JP2004244464A - 含フッ素重合体およびその製造方法 - Google Patents

含フッ素重合体およびその製造方法 Download PDF

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Mitsugi Uejima
貢 上島
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Abstract

【課題】機械的強度に優れ、かつ耐汚染性などに優れた含フッ素重合体を提供すること、及び該含フッ素重合体を製造する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】分子内に、下記式(1)で表される繰り返し単位(A)を、重合体全体に対して1〜100モル%含有してなる含フッ素重合体であって、該重合体のフッ素含有量が10重量%以上であり、かつ該重合体中に含まれる分子量2,000未満の低分子量成分の含有量が30重量%以下であることを特徴とする含フッ素重合体、及び前記繰り返し単位(A)を与える含フッ素単量体(B)を、含フッ素有機過酸化物の存在下に重合させることを特徴とする含フッ素重合体の製造方法。
【化1】
Figure 2004244464

(式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子を表す。但し、R〜Rの少なくとも一つはフッ素原子である。nは1〜4の整数を表す。)
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーティング剤、光学材料、絶縁材料、医療用材料などとして有用な含フッ素重合体、および該含フッ素重合体を効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、主鎖に多数のフッ素原子を有する環状構造を有する含フッ素重合体は、撥水性に富み、低屈折率でかつ透明なフィルムまたはコーティング膜を形成するため、電子部材、光学部材、建築部材などの保護膜、機能性膜として有用であることが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、このような含フッ素重合体を製造する方法としては、分子内にフッ素原子を有する含フッ素環状単量体を、通常の無機系あるいは有機系の過酸化物の存在下に加熱して重合する方法が知られている(特許文献1,2)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−122928号公報
【特許文献2】
特開2001−330955号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの公報に記載されている含フッ素重合体を、特にコーティング剤などとして使用すると、機械的強度だけでなく、耐汚染性にも問題があることがわかった。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、機械的強度に優れ、かつ耐汚染性などに優れた含フッ素重合体を提供すること、及び該含フッ素重合体を製造する方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、▲1▼含フッ素重合体中のフッ素原子含有量を多くすること及び低分子量成分を少なくすること、▲2▼特定の有機過酸化物を重合開始剤の存在下に含フッ素環状単量体を重合させることにより、上記課題を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、分子内に、式(1)
【0008】
【化2】
Figure 2004244464
【0009】
(式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子を表す。但し、R〜Rの少なくとも一つはフッ素原子である。nは1〜4の整数を表す。また、nが2以上のとき、(CR)で表される基は同一でも相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位(A)を、重合体全体に対して1〜100モル%含有してなる含フッ素重合体であって、該重合体のフッ素原子含有量が10重量%以上であり、かつ該重合体中に含まれる分子量2,000未満の低分子量成分の含有量が30重量%以下であることを特徴とする含フッ素重合体が提供される。
【0010】
本発明の第2によれば、重合することにより前記繰り返し単位(A)を与える含フッ素単量体(B)を、含フッ素有機過酸化物の存在下に重合させることを特徴とする含フッ素重合体の製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、前記含フッ素単量体(B)及び含フッ素有機過酸化物を反応器に仕込んで重合して、重合転化率が10〜50重量%になった時点で、前記含フッ素単量体(B)、他の共重合可能な単量体またはこれらの混合物を前記反応器に添加して更に重合を続行するのが好ましい。
また、本発明の製造方法においては、前記含フッ素有機過酸化物として、含フッ素ジアシルパーオキサイドを用いるのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の含フッ素重合体およびその製造方法を詳細に説明する。
1)含フッ素重合体
本発明の含フッ素重合体は、分子内に、式(1)
【0012】
【化3】
Figure 2004244464
【0013】
(式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子を表す。但し、R〜Rの少なくとも一つはフッ素原子である。nは1〜4の整数を表す。また、nが2以上のとき、(CR)で表される基は同一でも相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位(A)を有する含フッ素重合体である。
【0014】
式(1)で表される繰り返し単位(A)は3〜6員の環状構造を有する。前記環状構造中のフッ素原子数は少なくとも一つであれば特に制限されないが、好ましくは4以上、より好ましくは5以上である。
【0015】
本発明の含フッ素重合体は、分子内に、前記繰り返し単位(A)を、重合体全体に対して1〜100モル%含有するものであればよく、前記繰り返し単位(A)のみからなる単独重合体であっても、繰り返し単位(A)と他の繰り返し単位からなる共重合体であってもよい。また、共重合体としては、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
本発明の含フッ素重合体においては、前記繰り返し単位(A)を、重合体全体に対して、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%含有することが好ましい。
前記他の繰り返し単位としては、後述する含フッ素単量体(B)と共重合して得られるものであれば特に制限されない。
【0016】
本発明の含フッ素重合体のフッ素原子含有量は、該重合体全体に対して10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。
重合体中のフッ素原子含有量は、公知の方法で測定することができる。例えば、炭酸カリウムカプセル分解法、ピロヒドリシス燃焼法などで求めることができる。
【0017】
本発明の含フッ素重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選定することができる。分子量の測定方法としては、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)、溶融粘度法、浸透圧測定法などが挙げられ、通常はGPC及び溶融粘度法が用いられる。溶融粘度法で測定した場合は、溶融温度200〜300℃の範囲で、100Pa・s〜100,000Pa・sである。GPCの場合は、重量平均分子量で3,000〜600,000、好ましくは5,000〜500,000である。なお、本発明の含フッ素重合体の分子量2,000未満の低分子量成分は、GPCで測定することができる。
【0018】
本発明の含フッ素重合体中に含まれる分子量2,000未満の低分子量成分の含有量は、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。本発明の含フッ素重合体は、分子量2,000未満の低分子量成分の含有量が少ないものであるので、成形した場合に、機械的強度、透明性、電気絶縁性などの諸物性に優れる成形体を得ることができる。
【0019】
低分子量成分は、副反応である重合停止反応により生成した含フッ素単量体のオリゴマーなどであり、一般に有機溶媒に可溶である。したがって、得られた重合体の一定量を、低分子量成分は溶解するが含フッ素重合体は溶解しない有機溶媒で抽出し、抽出物から溶媒を留去した残留物の量を測定することで、得られた含フッ素重合体中に含まれる低分子量成分の含有量を求めることができる。
【0020】
本発明により得られる含フッ素重合体は、主鎖に環構造を有していることから、非晶質で多くの溶媒に可溶であり、高い耐熱性、機械的強度、化学的安定性、耐汚染性、撥水性、低屈折率、透明性などを備えている。
本発明の含フッ素重合体は熱可塑性であり、それ自身フィルム、板状体などの成形物として使用することができる。
【0021】
本発明の含フッ素重合体は、塗料の造膜成分として使用が可能であり、顔料や染料を適宜添加することができる。またその際、紫外線吸収剤、光安定剤、防錆剤、分散剤、垂れ止め剤、造膜助剤、防カビ剤、凍結防止剤なども添加可能である。用いる塗料形態としては特に限定されず、例えば溶剤型常温架橋系、溶剤型焼き付け架橋系、水系エマルジョン型常温架橋系、水系エマルジョン型焼き付け架橋系、無溶剤型常温架橋系、無溶剤型焼き付け架橋系および非架橋系の形態を用いることができ、エナメルあるいはクリアー塗料として用いることができる。
【0022】
また、官能基を有する重合性単量体を使用して架橋部位が導入された含フッ素共重合体に、適宜架橋剤を組み合わせて硬化性樹脂としても用いることができる。架橋部位を有する含フッ素共重合体は硬化性塗料として有用である。架橋剤としては、メラミン硬化剤、尿素樹脂硬化剤、多塩基酸硬化剤、イソシアネート硬化剤、エポキシ硬化剤などを使用できる。官能基としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等が挙げられる。
【0023】
本発明の含フッ素重合体の適用例としては、クリヤー塗料、エナメル塗料などのコーティング剤;レンズ、プリズムなどの光学材料;電線被覆剤、硬質プリント基板などの絶縁材料;α線保護膜;パッシベーション膜などの半導体用保護膜;アンプル、バイヤルなどの医療用材料;などが挙げられる。
【0024】
2)含フッ素重合体の製造方法
本発明の含フッ素重合体の製造方法は、重合することにより前記繰り返し単位(A)を与える含フッ素単量体(B)を、含フッ素有機過酸化物の存在下に重合することを特徴とする。
【0025】
(1)含フッ素単量体(B)
本発明に用いる含フッ素単量体(B)は、重合することにより前記繰り返し単位(A)を与える重合性単量体であり、分子内に少なくともフッ素原子を一つ有する、3〜6員環構造をもつ化合物である。
【0026】
用いる含フッ素単量体(B)の具体例としては、テトラフルオロシクロプロペンなどの3員環化合物;ヘキサフルオロシクロブテンなどの4員環化合物;1−フルオロシクロペンテン、1,2,3,4,5−ペンタクロロ−3,4,5−トリフルオロシクロペンテン、1,2,4,4−テトラクロロ−3,3,5,5−テトラフルオロシクロペンテン、1,3,4,5−テトラクロロ−2,3,4,5−テトラフルオロシクロペンテン、1,2,3,4,5−ペンタフルオロシクロペンテン、1,3,4,5,5−ペンタフルオロシクロペンテン、3,4,5−トリクロロ−1,2,3,4,5−ペンタフルオロシクロペンテン、1,2,4−トリクロロ−3,3,4,5,5−ペンタフルオロシクロペンテン、1,2,3,3,4,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、1,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、1,3,3,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、1,3,3,4,4,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、1,2−ジクロロ−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテン、1,2,3,3,4,4,5−ヘプタフルオロシクロペンテン、1,2,3,3,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテン、1−クロロ−2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテン、オクタフルオロシクロペンテンなどの5員環化合物;デカフルオロシクロヘキセンなどの6員環化合物;などが挙げられる。
【0027】
(2)含フッ素有機過酸化物
本発明の製造方法においては、重合開始剤として含フッ素有機過酸化物を用いる。含フッ素有機過酸化物は、分子内にフッ素原子を有する有機過酸化物である。含フッ素有機過酸化物を重合開始剤として使用することで、重合活性の低い含フッ素単量体(B)の重合反応性を高め、副反応である重合停止反応を起こりにくくし、低分子量成分の含有量の少ない含フッ素重合体を効率よく得ることができる。
【0028】
用いる含フッ素有機過酸化物としては、例えば、(CFCOO)、(n−CCOO)、(n−C13COO)、(n−C15COO)、(COCF(CF)COO)、(CCOO)、(CC(CHCOO)、(CFOCFCOO)、(CFCHCOO)、((CFCCOO)などの含フッ素ジアシルパーオキサイド;((CFCHOCOO)、(CFCFCHOCOO)、(COCOO)、(CCHOCOO)などの含フッ素パーオキシジカーボネート;(CFCFCHOOCOC(CF、(CFCHOOCOC(CF、(CFCHOOCOCHCFCF、(CFCHOOCOCなどの含フッ素パーオキシエステル;(CFO)、((CFCO)などの含フッ素ジアルキルパーオキサイド;、(CO)などの含フッ素アリールパーオキサイドなどが挙げられる。これらの中でも、低分子量成分の含有量の少ない含フッ素重合体をより効率よく得ることができる観点から、含フッ素ジアシルパーオキサイドの使用が好ましい。
【0029】
これらの含フッ素有機過酸化物の多くは公知であり、市販品、あるいは、例えば、J.Org.Chem.,47,2009−2013(1982)などの文献に記載の方法により合成したものを使用することができる。
含フッ素有機過酸化物の使用量は、用いる含フッ素単量体1モルに対して、通常0.000001〜1モル、好ましくは0.0001〜0.1モルである。
【0030】
(3)共重合可能な他の単量体
本発明の製造方法においては、前記含フッ素単量体を重合させるに際し、該含フッ素単量体と共重合可能な他の単量体を反応系に添加することができる。他の単量体を添加する場合には、含フッ素単量体と他の単量体との共重合体を得ることができる。本発明に用いる他の単量体としては、例えば、次の(a)〜(h)で示すものが挙げられる。
【0031】
(a)式:CX =CXで表されるオレフィン化合物。
このものを共重合させると、式:−(CX −CX)−で表される繰り返し単位を有する含フッ素共重合体が得られる。
【0032】
式中、X、Xはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表す。Rは、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基などの炭素数1〜20のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3〜8のシクロアルキル基;フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基などの炭素数1〜20のフルオロアルキル基;フルオロシクロプロピル基、ジフルオロシクロプロピル基、ジフルオロシクロペンチル基、テトラフルオロシクロペンチル基、オクタフルオロシクロペンチル基、ジフルオロシクロヘキシル基、テトラフルオロシクロヘキシル基、デカフルオロシクロヘキシル基などの炭素数3〜8のフルオロシクロアルキル基;フェニル基;1−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などのフルオロフェニル基;を表す。また、前記シクロアルキル基、フェニル基およびフルオロフェニル基は、メチル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基などのフルオロアルキル基などの置換基を有していてもよい。
【0033】
前記(a)で表されるオレフィン化合物の具体例としては、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ヘキサフルオロプロペン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,2−トリフルオロプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン、ヘキサフルオロイソブテン、クロロトリフルオロエチレン、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチレンなどのフルオロオレフィン類;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;アリルエーテル;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのクロロオレフィン類;臭化ビニルなどのブロモオレフィン類;などが挙げられる。
【0034】
(b)式:CH=CH(OR)で表されるビニルエーテル化合物
このものを共重合させると、式:−(CH−CH(OR))−で表される繰り返し単位を有する含フッ素共重合体が得られる。
【0035】
式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、炭素数3〜8のフルオロシクロアルキル基またはフルオロフェニル基を表す。前記アルキル基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基およびフルオロフェニル基は、上記Rで列記したものと同様のものが挙げられる。また、Rのアルキル基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基、フェニル基およびフルオロフェニル基は、メチル基などのアルキル基;トリフルオロメチル基などのハロアルキル基;ヒドロキシル基;トリメチルシリル基などの加水分解性有機ケイ素基;エポキシ基などの置換基を有していてもよい。
【0036】
前記(b)で表されるビニルエーテル化合物の具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、β−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、イソアミルシクロヘキシルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メチルシクロヘキシルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、トルイルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0037】
(c)式:CF=CF(ORf)で表されるパーフルオロビニルエーテル化合物
このものを共重合させると、式:−(CF−CF(ORf))−で表される繰り返し単位を有する含フッ素共重合体が得られる。
式中、Rfは、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基などのパーフルオロアルキル基を表す。
【0038】
前記(c)で表されるパーフルオロビニルエーテル化合物の具体例としては、1,1,1−トリフルオロエチルビニルエーテル、2,2−ジフルオロエチルビニルエーテル、テトラフルオロエチルビニルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルビニルエーテル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルビニルエーテル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロノニルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0039】
(d)式:CH=CH(CHOR)で表されるアリルエーテル化合物
このものを共重合させると、式:−(CH−CH(OR))−で表される繰り返し単位を有する含フッ素共重合体が得られる。
【0040】
式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、炭素数3〜8のフルオロシクロアルキル基、フェニル基またはフルオロフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基およびフルオロフェニル基は、上記Rで列記したものと同様のものが挙げられる。
【0041】
前記(d)で表されるアリルエーテル化合物の具体例としては、メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ベンジルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテルなどが挙げられる。
【0042】
(e)式:CF=CF(CFORf’)で表されるパーフルオロアリルエーテル化合物
このものを共重合させると、式:−(CF−CF(CFORf’))−で表される繰り返し単位を有する含フッ素共重合体が得られる。
式中、Rf’はパーフルオロアルキル基を表す。Rf’の具体例としては、前記Rfと同様のものが挙げられる。
【0043】
前記(e)で表されるパーフルオロアリルエーテル化合物の具体例としては、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロブチルビニルエーテル、パーフルオロペンチルビニルエーテル、パーフルオロヘキシルビニルエーテル、パーフルオロオクチルビニルエーテル、パーフルオロドデシルビニルエーテルなどを挙げることができる。
【0044】
(f)式:CH=CH(OCOR)で表されるビニルエステル化合物
このものを共重合させると、式:−(CH−CH(OCOR))−で表される繰り返し単位を有する含フッ素共重合体が得られる。
【0045】
式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、炭素数3〜8のフルオロシクロアルキル基、フェニル基またはフルオロフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基およびフルオロフェニル基は、上記Rで列記したものと同様のものが挙げられる。
【0046】
前記(f)で表されるビニルエステル化合物の具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、ジクロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、クロトン酸ビニル、トリメチル酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、イソカプロン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ペラルゴン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、バーサチック9酸ビニル(ベオバ9(シェル化学(株)製)、バーサチック10酸ビニル(ベオバ10(シェル化学(株)製)、シクロヘキサン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−トルイル酸ビニル、p−tert−ブチル安息香酸ビニルなどの官能基をもたないビニルエステル化合物;クロトン酸ヒドロキシエチル、クロトン酸ヒドロキシブチルなどのカルボン酸エステル、コハク酸モノビニル、アジピン酸モノビニル、セバシン酸モノビニルシクロヘキサンジカルボン酸モノビニルなどのジカルボン酸モノビニルなどの官能基を有するビニルエステル化合物;などが挙げられる。
【0047】
(g)式:CH=CR(COOR10)で表される(メタ)アクリル酸化合物
このものを共重合させると、式:−(CH−CR(COOR10))−で表される繰り返し単位を有する含フッ素共重合体が得られる。
【0048】
式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、R10は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、炭素数3〜8のフルオロシクロアルキル基、フェニル基、フルオロフェニル基又はグリシジル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基およびフルオロフェニル基は、上記Rで列記したものと同様のものが挙げられる。
【0049】
前記(g)で表される(メタ)アクリル酸化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
【0050】
(h)式:CH=CR11(CONR12)で表される(メタ)アクリルアミド化合物
このものを共重合させると、式:−(CH−CR11(CONR12))−で表される繰り返し単位を有する含フッ素共重合体が得られる。
【0051】
式中、R11は水素原子またはメチル基を表し、R12は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、炭素数3〜8のフルオロシクロアルキル基、フェニル基またはフルオロフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基およびフルオロフェニル基は、上記Rで列記したものと同様のものが挙げられる。
【0052】
前記(h)で表される(メタ)アクリル酸アミド化合物の具体例としては、(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルキル誘導体;N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのN−アルキロール誘導体;N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルコキシ誘導体などが挙げられる。
【0053】
これらの含フッ素単量体(B)と共重合可能な他の単量体の使用量は、得られる含フッ素重合体のフッ素原子の含有量が10重量%以上となる量であれば特に制限されない。他の単量体の使用量は、前記含フッ素単量体(A)1モルに対して、好ましくは0〜2モル、より好ましくは0〜1モルである。
【0054】
(4)重合方法
本発明の含フッ素重合体は、適当な溶媒中、前記含フッ素単量体または含フッ素単量体とこれと共重合可能な他の単量体とを含む単量体組成物に、含フッ素有機過酸化物を加えて重合反応を行うことにより製造する。重合形態としては溶液重合、懸濁重合が可能である。
【0055】
また、重合反応は、酸素ガスが存在すると副反応である重合停止反応が起きやすくなるため、不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。例えば、反応系内を凍結脱気し、窒素ガス、アルゴンガス又はヘリウムガスなどの不活性ガスで置換した後に重合を行う方法が挙げられる。
【0056】
重合反応に用いる溶媒としては、重合反応に不活性であって、含フッ素重合体を溶解できるものであれば特に制限されないが、分子内にフッ素原子を有する有機溶媒の使用が好ましい。例えば、パーフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどの含フッ素芳香族炭化水素類;パーフルオロデカリン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの含フッ素脂環式炭化水素類;パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミンなどの含フッ素アルキルアミン類;パーフルオロテトラヒドロフラン、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフランなどの含フッ素環状エーテル類;フッ素含有低分子量ポリエーテルなどの含フッ素ポリエーテル類;ビス(ヘプタフルオロイソプロピル)ケトンなどの含フッ素ケトン類;パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロドデカン、ペンタフルオロ−2,7−ジメチルオクタン、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、パーフルオロ−1,2−ジメチルヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルヘキサン、2H,3H−パーフルオロペンタン、1H−パーフルオロヘキサン、1H−パーフルオロオクタン、1H−パーフルオロデカン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロヘキサン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカン、3H,4H−パーフルオロ−2−メチルペンタン、2H,3H−パーフルオロ−2−メチルペンタンなどの含フッ素脂肪族炭化水素類;などが挙げられる。
【0057】
溶媒の使用量は均一反応で重合を行うことができる量であれば特に制約されないが、含フッ素単量体1重量部に対し、通常0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0058】
本発明の製造方法においては、前記含フッ素単量体(B)または含フッ素単量体(B)と、これと共重合可能な他の単量体とを含む単量体混合物、および所定量の含フッ素有機過酸化物を反応器に仕込んで重合して(前段階)、重合転化率が10〜50重量%になった時点で、前記含フッ素単量体(B)、他の共重合可能な単量体またはこれらの混合物を前記反応器に添加して更に重合を続行する(後段階)のが好ましい。このように操作することにより、高い重合転化率で、低分子量成分含有量の少ない含フッ素重合体を高収率で得ることができる。また、後から前記含フッ素単量体(B)、他の共重合可能な単量体またはこれらの混合物を添加する際に、含フッ素有機過酸化物をさらに添加してもよい。
【0059】
後段階において、添加する含フッ素単量体(B)、他の共重合可能な単量体又はこれらの混合物の量は、最初に仕込んだ含フッ素単量体(B)、単量体混合物の全量に対して、好ましくは1〜40重量%とするのが好ましい。含フッ素単量体(B)の重合転化率は、反応溶液を少量サンプリングして、ガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段により測定することができる。
【0060】
重合反応の温度は用いる含フッ素有機過酸化物にもよるが、通常、−40℃〜+100℃である。重合温度は、前段階および後段階で同じであってもよいし、前段階と後段階の反応温度を変化(後段階の反応温度を前段階より高くするなど)させてもよい。
【0061】
重合時間は、反応規模にも依存するが、通常1時間から数十時間、好ましくは数時間から数十時間である。前段階および後段階ともに、重合時間は、通常1時間から10時間程度である。
【0062】
重合終了後は、反応液を適当な溶媒で希釈し、得られた希釈液をメタノールなどの不溶性溶媒中に注入して、目的とする含フッ素重合体を単離することができる。
【0063】
本発明の製造方法は、本発明の含フッ素重合体の製造に好適である。すなわち、本発明の製造方法によれば、繰り返し単位(A)を、重合体全体に対して1〜100モル%含有してなる含フッ素重合体であって、該重合体のフッ素原子含有量が10重量%以上であり、かつ該重合体中に含まれる分子量2,000未満の低分子量成分の含有量が30重量%以下である含フッ素重合体を得ることができ
る。
【0064】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。これらの例中の[部]及び[%]は、特に断りのない限り重量基準である。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0065】
本実施例における評価は、以下の方法によって行なった。
1.重合体の溶融粘度
JIS K−7199に基づき、280℃で測定した。
2.破断強度
重合体を180℃で成形し、得られた成形体をASTM D1708に基づき測定した。
3.耐汚染性
2.で得られた成形体につき以下の2項目で行なった。
3−1 耐マジック汚染性
得られた成形体の表面にマジックインクを塗布し、室温で48時間放置した後、キシレンを浸した柔らかい布で、塗布したマジックインクをふき取り、その後の成形体の表面を目視で観察した。
3−2 耐カーボン汚染性
得られた成形体を、カーボンブラックの水分散液(カーボンブラックと水の重量比は5:95)に浸漬し、20℃の恒温室内で24時間放置後、水を含ませた布などで成形体表面をこすって数回洗浄を行い、成形体の汚れ具合を目視で観察した。
【0066】
実施例1
オクタフルオロシクロペンテン(FCPE)20部、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン5部、および(n−CCOO)の5%トリクロロトリフルオロエタン溶液1部をステンレス製のオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を凍結脱気した後、窒素ガスでオートクレーブ内を置換する作業を3回繰り返し、水浴中(20℃)、4時間内容物を撹拌した。4時間後のFCPEの重合転化率は42重量%であった。その後、パーフルオロプロピルビニルエーテル10部を反応系に添加し、さらに20℃で6時間重合を行った。反応液をトリクロロトリフルオロエタンで希釈し、メタノール中に投入し、沈殿物を80℃で乾燥することにより、重合体を22.7部得た。得られた重合体のフッ素原子含有量は71.0重量%であり、溶融粘度は1,200Pa・sであった。重合体を180℃でプレス成形し、破断強度を測定したところ、36.3MPaであった。得られた成形体の耐汚染性を評価したところ、汚染はまったく見られなかった。また、得られた重合体をアセトン抽出したところ、抽出物中の分子量2,000未満の低分子量成分は0重量%であった。
【0067】
実施例2
FCPE15部、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン5部、および(n−CCOO)の5%トリクロロトリフルオロエタン溶液1部をステンレス製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を凍結脱気した後、窒素ガスでオートクレーブ内を置換する作業を3回繰り返し、水浴中(20℃)、4時間内容物を撹拌した。4時間後のFCPEの重合転化率は38重量%であった。その後、イソプロピルビニルエーテル8部とFCPE5部の混合物を反応系に添加し、さらに20℃で6時間重合を行った。反応液をトリクロロトリフルオロエタンで希釈し、メタノール中に投入し、沈殿物を80℃で乾燥することにより、重合体を14.8部得た。得られた重合体のフッ素原子含有量は52.8重量%であり、溶融粘度は200Pa・sであった。重合体を180℃でプレス成形し、破断強度を測定したところ、32.4MPaであった。得られた成形体の耐汚染性を評価したところ、汚染はまったく見られなかった。また、得られた重合体をアセトン抽出したところ、抽出物中の分子量2,000未満の低分子量成分は0重量%であった。
【0068】
実施例3
FCPE20部、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン5部、および(n−CCOO)の5%トリクロロトリフルオロエタン溶液1部をステンレス製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を凍結脱気した後、窒素ガスでオートクレーブ内を置換する作業を3回繰り返し、水浴中(20℃)、3時間培養物を撹拌した。3時間後のFCPEの重合転化率は28重量%であった。その後、パーフルオロプロピルビニルエーテル10部を反応系に添加し、さらに20℃で6時間重合を行った。反応液をトリクロロトリフルオロエタンで希釈し、メタノール中に投入し、沈殿物を80℃で乾燥することにより、重合体を15.8部得た。得られた重合体のフッ素原子含有量は70.5重量%であった。重合体を180℃でプレス成形し、破断強度を測定したところ、30.4MPaであり、溶融粘度は980Pa・sであった。得られた成形体の耐汚染性を評価したところ、汚染はまったく見られなかった。また、得られた重合体をアセトン抽出したところ、抽出物中の分子量2,000未満の低分子量成分は5重量%であった。
【0069】
比較例1
FCPE20部、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン5部、及びアゾビスブチロニトリル0.6部をステンレス製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を凍結脱気した後、窒素ガスでオートクレーブ内を置換する作業を3回繰り返し、60℃、15時間内容物を撹拌した。反応液をトリクロロトリフルオロエタンで希釈し、メタノールに投入したが、重合体は得られなかった。
【0070】
比較例2
FCPE20部、イソプロピルビニルエーテル8部、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン5部、及びt−ブチルパーオキシピバレート0.8gをステンレス製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を凍結脱気した後、窒素ガスでオートクレーブ内を置換する作業を3回繰り返し、60℃で8時間内容物を撹拌した。反応液をトリクロロトリフルオロエタンで希釈し、メタノールに投入して、沈殿物を80℃で乾燥することにより、重合体を17.8g得た。得られた重合体のフッ素原子含有量は51重量%であった。重合体を180℃でプレス成形し、破断強度を測定したところ、22.6MPaであり、溶融粘度は320Pa・sであった。得られた成形体の耐汚染性を評価したところ、成形体に付着したものを完全に除去することができず、表面が汚れていた。また、得られた重合体をアセトン抽出したところ、抽出物中の分子量2,000未満の低分子量成分は39重量%であった。
【0071】
上記の結果から以下のことがわかる。実施例に示すように本発明の製造方法により得られる含フッ素重合体は、該重合体のフッ素原子含有量が10重量%以上であり、かつ分子量2,000未満の低分子量成分の含有量が30重量%以下であるので、破断強度も大きく、耐汚染性にも優れる。
一方、比較例に示すように、重合開始剤として含フッ素有機過酸化物を用いていないと、含フッ素重合体が得られない(比較例1)、或いは含フッ素重合体が得られても、分子量2,000未満の低分子量成分が30重量%を超え、該重合体の破断強度が小さく、耐汚染性に劣る(比較例2)。
【0072】
【発明の効果】
本発明の含フッ素重合体は、低分子量成分の含有量が少なく、所定量以上のフッ素を有するので、機械的強度、透明性、耐汚染性、電気絶縁性などの諸物性に優れる。
本発明の含フッ素重合体は熱可塑性であり、成形することにより、所望の形状を有する成形体を容易に得ることができる。この場合、従来のように、成形する前に低分子量成分を除去する工程を必要としないので、生産効率が高く、コスト面から有利である。
本発明の製造方法によれば、低分子量成分の含有量が少なく、所定量以上のフッ素原子含有量を有する含フッ素重合体を効率よく製造することができる。本発明の製造方法は、本発明の含フッ素重合体の製造に好適である。

Claims (4)

  1. 分子内に、式(1)
    Figure 2004244464
    (式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子を表す。但し、R〜Rの少なくとも一つはフッ素原子である。nは1〜4の整数を表す。また、nが2以上のとき、(CR)で表される基は同一でも相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位(A)を、重合体全体に対して1〜100モル%含有してなる含フッ素重合体であって、該重合体のフッ素原子含有量が10重量%以上であり、かつ該重合体中に含まれる分子量2,000未満の低分子量成分の含有量が30重量%以下であることを特徴とする含フッ素重合体。
  2. 重合することにより前記繰り返し単位(A)を与える含フッ素単量体(B)を、含フッ素有機過酸化物の存在下に重合させることを特徴とする含フッ素重合体の製造方法。
  3. 前記含フッ素単量体(B)及び含フッ素有機過酸化物を反応器に仕込んで重合して、重合転化率が10〜50重量%になった時点で、前記含フッ素単量体(B)、他の共重合可能な単量体またはこれらの混合物を前記反応器に添加して更に重合を続行することを特徴とする請求項2に記載の含フッ素重合体の製造方法。
  4. 前記含フッ素有機過酸化物として、含フッ素ジアシルパーオキサイドを用いることを特徴とする請求項2または3に記載の含フッ素重合体の製造方法。
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