JP2004244383A - アクリル酸の製造方法 - Google Patents

アクリル酸の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004244383A
JP2004244383A JP2003036891A JP2003036891A JP2004244383A JP 2004244383 A JP2004244383 A JP 2004244383A JP 2003036891 A JP2003036891 A JP 2003036891A JP 2003036891 A JP2003036891 A JP 2003036891A JP 2004244383 A JP2004244383 A JP 2004244383A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
reaction
reaction zone
acrylic acid
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003036891A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiromi Yunoki
弘己 柚木
Michio Tanimoto
道雄 谷本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2003036891A priority Critical patent/JP2004244383A/ja
Publication of JP2004244383A publication Critical patent/JP2004244383A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】モリブデン−バナジウム系の触媒を充填した固定床多管式反応器を用いた接触気相酸化反応によってアクリル酸を製造する場合に、ホットスポット部がどこに発生するかによらず、また、原料ガス濃度や空間速度が高い場合であっても、高い収率を維持しながら長期にわたって反応を継続することができる方法を提供する。
【解決手段】触媒を充填した固定床多管式反応器を用いて、アクロレインを分子状酸素または分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化することにより、アクリル酸を製造する方法において、前記触媒が、モリブデンおよびバナジウムを必須成分とする酸化物および/または複合酸化物を触媒成分とするとともに、孔部を有する粒状触媒であり、前記固定床多管式反応器における各反応管の触媒充填層が管軸方向に複数の反応帯に分けられていて、前記触媒の充填は前記複数の反応帯の少なくとも2つにおいてその孔径が異なる充填であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル酸の製造方法に関する。詳しくは、触媒を充填した固定床多管式反応器を用いて、アクロレインを分子状酸素または分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化することにより、アクリル酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
触媒を充填した固定床多管式反応器を用いて、アクロレインを分子状酸素または分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化することにより、アクリル酸を製造する場合、この接触気相酸化反応は非常な発熱反応を伴うことから、触媒層に局所的な異常高温部(以下、「ホットスポット部」と称することがある)が発生する。
ホットスポット部の温度が高いと、そのホットスポット部が、過度の酸化反応を引き起こして収率を低下させ、最悪の場合には暴走反応を引き起こす。ホットスポット部に位置する触媒は、高温に曝されるため、触媒の物理的性質および化学的性質が変化してしまい、活性や目的生成物の選択率が低下するなど、触媒の劣化が加速される。特に、モリブデン−バナジウム系の触媒の場合、モリブデン成分が昇華して触媒組成および物性が変化しやすいため、触媒の劣化の度合いが大きい。
【0003】
上記の問題は、目的生成物の生産性向上を目的として、高い空間速度での反応や高い原料ガス濃度での反応を行う場合に、さらに顕著となる。
以上の問題について再説する。反応管に充填された触媒層全体に着目すると、ホットスポット部に位置する触媒は、他の部分の触媒に比べて劣化が速く、長時間の使用によって目的生成物の収率が著しく低下し、安定的に製造を行うことが困難となり得るのである。
このような問題に対処するために、いくつかの提案が報告されている。例えば、原料ガス入口側の触媒を不活性物質で希釈する方法(例えば、特許文献1参照。)、担持型触媒を用いる方法において、該触媒の触媒活性物質の担持率が原料ガス入口側から出口側に向けてより高くなるように反応管に充填する方法(例えば、特許文献2参照。)、触媒に添加するアルカリ金属の種類および/または量を変更して調製した活性の異なる複数個の触媒を、原料ガス入口側から出口側に向けてより活性が高くなるように反応管に充填する方法(例えば、特許文献3参照。)、反応管に充填される触媒の体積が、原料ガス入口側から出口側に向けてより小さくなるように反応管に充填する方法(例えば、特許文献4参照。)等がある。
【0004】
【特許文献1】
特公昭53−30688号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平7−10802号公報
【0006】
【特許文献3】
特開2000−336060号公報
【0007】
【特許文献4】
特開平9−241209号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらいずれの提案も、ホットスポット部の温度を抑制するという点ではある程度の改善が達成されるものの、触媒寿命および目的生成物の収率の面で必ずしも満足のいくものとは言えず、さらなる改善が求められているのが現状である。特に、モリブデン−バナジウム系の触媒を使用する場合において、高い原料ガス濃度や高い空間速度といった高負荷条件下で反応を行うと、これらの問題は顕著となる。
また、上記従来の提案は、ホットスポット部がガス出口部分寄りに形成されるような反応条件下では対応できないという問題もある。
【0009】
したがって、本発明の課題は、モリブデン−バナジウム系の触媒を充填した固定床多管式反応器を用いた接触気相酸化反応によってアクリル酸を製造する場合に、ホットスポット部がどこに発生するかによらず、また、原料ガス濃度や空間速度が高い場合であっても、高い収率を維持しながら長期にわたって反応を継続することができる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、触媒の形状として孔部を有する粒状触媒に着目した。そして、固定床多管式反応器の各反応管の触媒充填層に触媒を充填するに際し、触媒の孔径を制御して充填することにより、上記課題が解決できることに想到した。具体的に述べれば、上記触媒充填層を複数の反応帯に区分し、これら反応帯の少なくとも2つの間で触媒の孔径がそれぞれ異なるように触媒を充填するようにすれば、反応の負荷が、ガス入口部分からガス出口部分までの間の少なくとも一部で局部的に高くなるという状況(これがホットスポット発生原因の1つである。)が緩和され、触媒充填層全体で該負荷がほぼ均一化できる、と考えたのである。触媒孔径のこのような制御により、従来のような活性の異なる触媒を使用して触媒活性をコントロールするだけでは解決できなかった上記課題が解決できたのである。
【0011】
すなわち、本発明にかかるアクリル酸の製造方法は、触媒を充填した固定床多管式反応器を用いて、アクロレインを分子状酸素または分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化することにより、アクリル酸を製造する方法において、上記触媒が、モリブデンおよびバナジウムを必須成分とする酸化物および/または複合酸化物を触媒成分とするとともに、孔部を有する粒状触媒であり、前記固定床多管式反応器における各反応管の触媒充填層が管軸方向に複数の反応帯に分けられていて、上記触媒の充填は上記複数の反応帯の少なくとも2つにおいてその孔径が異なる充填であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるアクリル酸の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明で使用する触媒は、触媒成分のみを一定の形状に成形した成形型触媒であっても、あるいは触媒成分を一定の形状を有する任意の不活性担体に担持させた担持型触媒であっても、あるいは、これら成形型触媒と担持型触媒との組み合わせであってもよい。
【0013】
本発明で使用するモリブデンおよびバナジウムを必須とする触媒成分としては、アクロレインを接触気相酸化反応によりアクリル酸を製造し得るものであればいずれも使用できるが、下記一般式(1)で表される酸化物および/または複合酸化物触媒が好適に用いられる。
Mo (1)
(ここで、Moはモリブデン、Vはバナジウム、Aはニオブおよび/またはタングステン、Bはクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛およびビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、Cはスズ、アンチモンおよびテルルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、Dはアルカリ金属から選ばれる少なくとも1種の元素、ならびに、Oは酸素であり、a、b、c、d、e、fおよびxはそれぞれMo、V、A、B、C、DおよびOの原子比を表し、a=12のとき、1≦b≦14、0<c≦12、0<d≦10、0≦e≦10、0≦f≦5であり、xは各元素の酸化状態により定まる数値である。)
上記触媒成分の出発原料については特段の制限はなく、一般にこの種の触媒に使用される金属元素のアンモニウム塩、硝酸塩、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、水酸化物、有機酸塩および酸化物またはこれらの混合物を、複数組み合わせて用いればよいが、アンモニウム塩および硝酸塩が好適に用いられる。
【0014】
出発原料の混合液(出発原料混合液)は、この種の触媒に一般に用いられている方法により調製すればよく、例えば、上記出発原料を順次水に混合して水溶液または水性スラリーとなるようにするが、出発原料の種類に応じて複数の水溶液または水性スラリーを調製した場合には、これらを順次混合すればよい。出発原料の混合条件(混合順序、温度、圧力、pH等)については特に制限はない。
こうして得られた出発原料の混合液は、各種方法により乾燥させて乾燥物とする。例えば、加熱により乾燥させる方法や、減圧により乾燥させる方法が挙げられる。なかでも、乾燥物を得るための加熱方法および乾燥物の形態については、例えば、スプレードライヤー、ドラムドライヤー等を用いて粉末状の乾燥物を得るようにしてもよいし、箱型乾燥機、トンネル型乾燥機等を用いて気流中で加熱してブロック状またはフレーク状の乾燥物を得るようにしてもよい。また、乾燥物を得るための加熱方法には、出発原料の混合液を蒸発乾固(濃縮乾固)してケーキ状の固形物を得て、この固形物をさらに上記加熱処理する場合もある。一方、減圧により乾燥させる方法および乾燥物の形態については、例えば、真空乾燥機等を用いてブロック状または粉末状の乾燥物を得るようにしてよい。
【0015】
得られる乾燥物は、出発原料がそのまま乾燥されただけのもの(さらに高温で加熱処理した場合にあっては各種塩の分解等による揮発分が含まれているもの)であっても、その少なくとも一部が高温で加熱処理されたもの(各種塩の分解等による揮発分が含まれていないもの)であってもよく、特に限定はされない。
得られた乾燥物は、必要に応じて適当な粒度の粉体を得るための粉砕工程や分級工程を経て、続く成形工程に送られる。また、成形工程に送られる前に、得られた乾燥物を焼成してもよい。
触媒の成形方法は、孔部を有する粒状触媒(担持型触媒を含む)を形成できる方法であれば特に限定されず、従来公知の方法を採用できる。例えば、押出成形法(押出し成形機)、打錠成形法、マルメライザー法、含浸法、蒸発乾固法およびスプレー法などが挙げられる。
【0016】
成形工程においては、触媒成分の前駆体となる乾燥物を成形する(担体への担持を含む)にあたり液状バインダー等を用いることができる。具体的には、得られた乾燥物に対して液状バインダーを添加し混合しておいて成形する(成形型触媒を得る)方法、あるいは、乾燥物を所望の担体に担持させる(担持型触媒を得る)場合においては、該担体を液状バインダーで湿らせておいてこれに乾燥物を添加して担持させる方法などが採用できる。
なお、本発明の触媒を得るにあたっては、前述した製法のほかに、出発原料混合液を乾燥させずに液のまま用い、所望の担体に該液を吸収させたり、塗布したりして、触媒成分を担体に担持させる方法(例えば、蒸発乾固法、スプレー法など)も採用できる。よって、担体に触媒成分を担持させる方法としては、前述した乾燥物を担持させる方法のほかに、出発原料混合液そのものを担持させる方法も挙げることができる。
【0017】
上記液状バインダーとしては、特に限定はされないが、一般にこの種の触媒の成形や担持に用いられるバインダーを使用できる。具体的には、水のほか、エチレングリコール、グリセリン、プロピオン酸、ベンジルアルコール、プロピルアルコール、ポリビニルアルコール、フェノールなどの有機化合物や、硝酸、シリカゾルなどが使用できる。また、これらは1種のみで用いても、2種以上を併用してもよい。
上記液状バインダーの使用量(添加量)は、特に限定はされないが、採用する成形や担持の方法、および、乾燥物粉末の物性などによって適宜設定すればよい。
【0018】
本発明の触媒を得る場合には、成形性を向上させ得る成形助剤や、触媒の強度を向上させる補強剤、触媒に適度な細孔を形成させる気孔形成剤など、一般に触媒の製造においてこれらの効果を目的として使用されている各種物質を用いることができる。これら各種物質としては、例えば、ステアリン酸、マレイン酸、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、グラファイト、でんぷん、セルロース、シリカ、アルミナ、ガラス繊維、炭化珪素、窒化珪素などが挙げられ、添加によって触媒性能(例えば、活性、目的生成物の選択性等)に悪影響を及ぼさないものが好ましい。これら各種物質は、例えば、上記液状バインダーや、出発原料混合液に添加・混合して用いることができる。これら物質は、添加量が過剰な場合、触媒の機械強度を著しく低下させる場合があるので、工業触媒として実用不可能な程度まで触媒の機械強度が低下しない程度の量を添加することが好ましい。
【0019】
本発明で使用する触媒は、孔部を有する粒状触媒である。孔部は貫通形であっても良く、底付きの凹部形であっても良いが、好ましくは貫通した孔部である。上記触媒の形状は、粒状であれば特に限定されないが、具体的には、球状、円柱状(ペレット状)が好ましく挙げられる。もちろん、球状の場合、真球である必要はなく実質的に球状であればよい。円柱状についても同様である。これらの中でも、円柱状が好ましい。なお、球状の場合、真球であればその触媒の外径は当該球体の直径であるが、真球でないときには最長外径と最短外径の平均値をその触媒の外径D1として扱う。円柱状の場合、断面が真円形状であれば、その触媒の外径は当該真円の直径であるが、真円形状でないときには最長外径と最短外径の平均値をその触媒の外径D1として扱う。なお、本明細書においては、触媒の外径とは、ここで説明した「外径D1」を意味するものとする。
【0020】
外径D1の大きさは、特に限定されないが、好ましくは3〜15mm、より好ましくは4〜10mmである。
孔部の開口形状は、特に限定されないが、具体的には、円形状、楕円形状が好ましく挙げられる。円形状の場合、真円形状である必要はなく実質的に円形状であればよい。なお、円形状の場合、真円形状であればその触媒の孔径は当該真円の直径であるが、真円形状でないときには最長孔径と最短孔径の平均値をその触媒の孔径D2として扱う。楕円形状の場合も同様で、最長孔径と最短孔径の平均値をその触媒の孔径D2として扱う。なお、本明細書においては、触媒の孔径(触媒孔径)とは、ここで説明した「孔径D2」を意味するものとする。
【0021】
孔径D2の大きさは、特に限定されないが、好ましくは0.1×D1〜0.7×D1、より好ましくは0.2×D1〜0.6×D1、さらに好ましくは0.3×D1〜0.6×D1である。ただし、孔径D2を必要以上に大きくすると触媒の厚みT(T=(D1−D2)/2)が小さくなり、触媒の機械強度が低くなる場合があるので、工業用触媒として実用可能な程度の値において選択することが望ましい。
以上により、本発明で使用する触媒は、最も好ましくは、粒外形が円柱状であり、その軸心に沿って、開口形状が円形状の貫通した孔部を有する、円筒形触媒(中空円筒形触媒とも言う。以下同様。)(リング形状)である。
【0022】
円筒形触媒(リング形状)の場合、円筒形の高さLは、好ましくは0.5×D1〜2.0×D1、より好ましくは0.7×D1〜1.5×D1である。
担持型触媒の場合、担体には孔部を有する担体を用いる。担体の材質自体には特に制限はなく、アクロレインを接触気相酸化してアクリル酸を製造する触媒を製造する際に通常用いることができる担体をいずれも使用することができる。使用可能な担体の具体例としては、例えば、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、チタニア、マグネシア、シリカ・マグネシア、シリカ・マグネシア・アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、ゼオライト等を含んでなる一定の形状を有する担体が挙げられる。
【0023】
担持型触媒の場合、触媒成分の担持率は、酸化反応条件、触媒の活性、および強度等を勘案して最適な活性および選択性が得られるように適宜決定されるが、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは15〜50質量%である。後述するように、本発明では、固定床多管式反応器における各反応管において、触媒充填層は、孔径の大小に応じて、管軸方向に複数の反応帯に区分されているが、触媒成分の担持率が反応帯ごとに異なっていても良い。ここで、担持率は、後述の実施例において記載する算出方法により求められる値とする。
触媒調製時の熱処理条件(いわゆる焼成条件)についても特段の制限はなく、この種の触媒製造において一般的に採用されている焼成条件を適用できる。熱処理温度としては、好ましくは350〜450℃、より好ましくは380〜420℃、熱処理時間としては好ましくは1〜10時間である。本発明においては、各反応管の各反応帯に充填する触媒の熱処理温度が異なっていても良い。
【0024】
本発明においては、反応に使用する固定床多管型反応器における各反応管の触媒充填層が管軸方向に複数個の反応帯に区分されており、かつ、この複数個の反応帯の少なくとも2つに触媒孔径の異なる触媒をそれぞれ充填するようにする、すなわち、該触媒の充填がこの複数個の反応帯の少なくとも2つにおいて触媒孔径がそれぞれ異なる充填であることが重要である。
本発明に用いる固定床多管式反応器に対する上記触媒充填態様を、より具体的に述べると、触媒孔径については、例えば、ガス入口側反応帯からガス出口側反応帯に向かって触媒孔径がより小さくなるように充填する態様や、ガス入口側反応帯からガス出口側反応帯に向かって一旦触媒孔径が大きくなるように充填するが、最もガス出口側の反応帯における触媒孔径は最もガス入口側の反応帯における触媒孔径よりも小さくなるように充填する態様などが挙げられるが、特にこれらに限定はされない。後者の充填態様については、例えば、反応帯を3つ設け、ガス入口側から出口側に向けて第1反応帯、第2反応帯、第3反応帯とした場合であれば、触媒の孔径が、第1反応帯より第2反応帯の方が大きく第2反応帯より第3反応帯の方が小さくなっており且つ第1反応帯より第3反応帯の方が小さくなっている態様が挙げられる。
【0025】
本発明でいう上記触媒の充填の態様に関し、触媒の外径については、特に限定はされず、任意の隣り合う2つの反応帯においてそのガス出口側の反応帯に充填された触媒の外径がそのガス入口側の反応帯に充填された触媒の外径に対して同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは、最もガス出口側の反応帯に充填された触媒の外径が最もガス入口側の反応帯に充填された触媒の外径よりも小さくなっている態様であり、より好ましくは、最もガス出口側の反応帯に充填された触媒の外径が最もガス入口側の反応帯に充填された触媒の外径よりも小さく、かつ、任意の隣り合う2つの反応帯においてそのガス出口側の反応帯に充填された触媒の外径がそのガス入口側の反応帯に充填された触媒の外径に対して大きくなることはない(つまり、小さいか又は同一)態様である。例えば、反応帯を3つ設け、ガス入口側から出口側に向けて第1反応帯、第2反応帯、第3反応帯とした場合においては、触媒の外径が、第1反応帯から第3反応帯へ順に小さくなっている態様でもよいし、第1反応帯より第2反応帯の方が小さく第2反応帯と第3反応帯とでは同じである態様でもよいし、第1反応帯と第2反応帯とは同じであり第2反応帯より第3反応帯の方が小さくなっている態様でもよいし、第1反応帯より第2反応帯の方が大きく第2反応帯より第3反応帯の方が小さくなっており且つ第1反応帯より第3反応帯の方が小さくなっている態様でもよいし、第1反応帯より第2反応帯の方が小さく第2反応帯より第3反応帯の方が大きくなっており且つ第1反応帯より第3反応帯の方が小さくなっている態様でもよい。なお、上述した触媒孔径の態様と触媒外径の態様との組み合わせは適宜設定および変更して実施することができ、特に限定はされない。
【0026】
触媒充填層における反応帯の数は、特に限定されないが、工業的には2または3程度にすることで十分目的とする効果を得ることができる。また、触媒充填層の分割比(各反応帯の触媒充填層長の比)については、酸化反応条件や各層に充填された触媒の組成、形状、サイズなどによって最適値が左右されるため一概に特定できず、全体としての最適な活性および選択率が得られるように適宜選択すればよい。
各反応帯に充填する触媒の形状は同一でも、あるいは異なっていてもよいが(例えば、ガス入口側:球状触媒、ガス出口側:円柱形状触媒)、通常、同一形状の触媒を充填するようにする。
【0027】
本発明のように、孔部を有する粒状触媒を用いることによって、高い活性および高い目的生成物の選択性が得られるという効果がある。そして、本発明のように、複数の反応帯の少なくとも2つにおいて触媒孔径がそれぞれ異なるように触媒を充填することによって、モリブデン−バナジウム系の触媒を充填した固定床多管式反応器を用いた接触気相酸化反応によってアクリルを製造する場合に、ホットスポット部がどこに発生するかによらず、高い収率を維持しながら長期にわたって反応を継続することができる。また、従来のように活性の異なる触媒を使用して触媒活性をコントロールするだけの方法では、特に原料ガス濃度や空間速度が高い場合には、極端に触媒寿命が短くなるという問題があったが、本発明の製造方法を用いれば、原料ガス濃度が高い場合であっても、ホットスポット部がどこに発生するかによらず、高い収率を維持しながら長期にわたって反応を継続することができるのである。
【0028】
本発明に関し、使用する固定床多管式反応器に対する触媒充填態様を具体的に述べると、前述した触媒孔径が異なる触媒の充填としては、各反応管の触媒充填層のガス入口側反応帯からガス出口側反応帯に向けて触媒孔径がより小さくなる充填であることが、第1の好ましい態様である。すなわち、該充填は、最もガス出口側の反応帯に充填された触媒の孔径が最もガス入口側の反応帯に充填された触媒の孔径よりも小さく、かつ、隣り合う2つの反応帯においてはそのガス出口側の反応帯に充填された触媒の孔径がそのガス入口側の反応帯に充填された触媒の孔径に対して大きくなることはない(つまり、小さいか又は同一)、という態様である。例えば、反応帯を3つ設けた場合において、ガス入口側から出口側に向けて第1反応帯、第2反応帯、第3反応帯としたとき、各反応帯に充填される触媒の孔径が、第1反応帯から第3反応帯へと順に小さくなっている態様でもよいし、第1反応帯より第2反応帯の方が小さくなっており第2反応帯と第3反応帯とでは同じである態様でもよいし、第1反応帯と第2反応帯とは同じであり第2反応帯より第3反応帯の方が小さくなっている態様でもよい。第1の好ましい態様によれば、一般的に、ガス入口側寄りに発生するホットスポット部の触媒の劣化が抑制され、かつ目的生成物の高い選択性が得られるという効果がある。
【0029】
第1の好ましい態様において、各反応帯に充填される触媒の外径については、前述した各種充填態様と同様の態様を採用できる。
なお、第1の好ましい態様においては、上述した触媒孔径の態様と触媒外径の態様との組み合わせは適宜設定および変更して実施することができ、特に限定はされない。
本発明に関し、使用する固定床多管式反応器に対する触媒充填態様を具体的に述べると、各反応管において、それらの触媒充填層がガス入口側から順に第1反応帯、第2反応帯、第3反応帯の3つの反応帯を備え、第2反応帯における触媒の孔径が第1反応帯における触媒の孔径よりも小さくなっており、かつ、第3反応帯における触媒の外径が第2反応帯における触媒の外径よりも小さくなっていることが、第2の好ましい実施態様である。第2の好ましい態様によれば、上述の触媒充填層のガス入口側反応帯からガス出口側反応帯に向けて触媒孔径がより小さくなる充填に比べて、活性が向上するという効果がある。
【0030】
第2の好ましい態様における、触媒の孔径については、さらに、第2反応帯における触媒の孔径に対し第3反応帯における触媒の孔径が小さくなっていても同じであってもあるいは大きくなっていてもよい。
同様に、第2の好ましい態様における、触媒の外径については、さらに、第1反応帯における触媒の外径に対し第2反応帯における触媒の外径が小さくなっていても同じであってもあるいは大きくなっていてもよい。
なお、第2の好ましい態様においては、上述した触媒孔径の態様と触媒外径の態様との組み合わせは適宜設定および変更して実施することができ、特に限定はされない。
【0031】
本発明にかかるアクリル酸の製造方法おいては、上記各種充填態様において、前記複数個の反応帯にそれぞれ充填される触媒の活性が異なることがさらに好ましい。
上記活性の異なる触媒の製造方法は、特に限定されず、したがって、公知の方法を用いることも出来る。具体的には、例えば、アルカリ金属から選ばれる少なくとも1種の元素(本発明で用いる触媒でいうD成分)の種類および/または量を変える方法、担持率を変える方法、焼成温度を変える方法、希釈率を変える方法、触媒の粒径を変える方法や、これらの組み合わせによる方法が挙げられる。なかでも、組み合わせによる方法が、触媒寿命や収率面で好ましい。
【0032】
このように、前記複数個の反応帯にそれぞれ充填される触媒の活性が異なる場合、触媒の充填態様については、活性に着目した場合には、例えば、ガス入口側からガス出口側に向かって活性が順次高くなるように充填する態様や、ガス入口側からガス出口側に向かって活性が一旦下がった後に高くなるように充填する態様などが挙げられ、好ましくは、活性の異なる触媒を各反応管のガス入口側からガス出口側に向かって活性が順次高くなるようにする態様である。すなわち、活性が最も低い触媒をガス入口側に、活性の最も高い触媒をガス出口側に充填する態様である。ガス入口側からガス出口側に向かって活性が一旦下がった後に高くなるように充填する態様においては、ガス入口側部分の高活性触媒の充填層長は、全触媒層長の50%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。
【0033】
このように活性の異なる複数個の触媒を配列することによって、ホットスポット部における蓄熱を抑制し、また、長期間安定して高選択率で目的生成物を得ることができる。
各反応管の触媒充填層への触媒の充填に際しては、不活性物質で希釈した触媒を各反応帯に充填することもできる。
本発明の製造方法に関し、アクロレインを分子状酸素または分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化することにより、アクリル酸を製造するための具体的方法としては、触媒として本発明の触媒を使用する点を除けば特に制限はなく、一般に用いられている装置、方法および条件下で実施することができる。
【0034】
すなわち、本発明の製造方法における接触気相酸化反応は、通常の単流通法、あるいはリサイクル法で行ってもよい。
本発明でいうアクロレインは、通常、これを含む原料ガスの状態で接触気相酸化に供せられるが、このような原料ガスとしては、例えば、アクロレインと、空気、酸素、水蒸気、不活性ガスおよびその他各種ガスからなる群より選ばれる少なくとも1種とを含む混合ガスを使用することができる。
本発明でいうアクロレインとしては、プロピレンを分子状酸素または分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化して得られる反応ガス中のアクロレインを適用することができる。該適用の際は、上記反応ガスをそのまま用いてもよいし必要に応じて、空気、酸素、水蒸気、不活性ガスおよびその他各種ガスからなる群より選ばれる少なくとも1種のガスを添加して使用することもできる。プロピレンを接触気相酸化して得られる、アクロレイン含有の上記反応ガス中には、副生成物として、アクリル酸、酢酸、酸化炭素や、プロパン、未反応プロピレンなどが含まれ得るが、これら副生生物は、本発明で使用する触媒の性能等に対して何ら害をもたらすものではない。プロピレンを接触気相酸化する際に使用する触媒としては、この酸化反応に使用できる公知の触媒、例えば、モリブデン系の触媒(例えば、モリブデン−ビスマス−鉄系触媒など。)などが挙げられる。
【0035】
本発明の製造方法を実施するための、上記反応条件としては、例えば、1〜15容量%(好ましくは4〜12容量%)のアクロレイン、0.5〜25容量%(好ましくは2〜20容量%)の酸素(分子状酸素)、0〜30容量%(好ましくは0〜25容量%)の水蒸気、および、20〜80容量%(好ましくは50〜70容量%)の不活性ガス(例えば、窒素および炭酸ガス等)などからなる混合ガスを、200〜400℃(好ましくは220〜380℃)の温度範囲で、0.1〜1MPaの圧力下に、300〜10000hr−1(STP)(好ましくは500〜5000hr−1(STP))の空間速度で、本発明でいう触媒と接触させて反応させること、が挙げられる。
【0036】
本発明の製造方法によれば、生産性を高めることを目的とした高負荷反応条件下、例えばより高い原料ガス濃度、あるいはより高い空間速度の条件下において、従来法に比べて特に著しい好結果が得られる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら制限されるものではない。以下では、便宜上、「質量部」を単に「部」と記すことがある。なお、本明細書における担持率の算出方法、アクロレイン転化率、アクリル酸選択率、およびアクリル酸収率はそれぞれ以下のように定義される。
<担持率の算出方法>
担持率(質量%)
=〔(得られた触媒の質量(g)−用いた担体の質量(g))/得られた触媒の質量(g)〕×100
<アクロレインの転化率>
アクロレイン転化率(モル%)
=(反応したアクロレインのモル数/供給したアクロレインのモル数)×100
<アクリル酸選択率>
アクリル酸選択率(モル%)
=(生成したアクリル酸のモル数/反応したアクロレインのモル数)×100
<アクリル酸収率>
アクリル酸収率(モル%)
=(生成したアクリル酸のモル数/供給したアクロレインのモル数)×100
〔製造例1〕
(触媒(1)の調製)
純水20000部を加熱撹拌しながら、モリブデン酸アンモニウム3000部、メタバナジン酸アンモニウム547部、パラタングステン酸アンモニウム459部を溶解させた。別に、純水2000部を加熱撹拌しながら、硝酸銅三水和物547部を溶解させた。得られた2つの水溶液を混合し、この混合液を加熱撹拌を続けながら蒸発乾固して、ケーキ状の固形物を得た。その後、得られた固形物を空気雰囲気下にて380℃で5時間焼成した。次いで、この焼成物を500μm以下に粉砕して、触媒成分粉末を得た。得られた触媒成分粉末にグラファイト粉末を3質量%となるように加え、打錠成形機にて外径7mm、孔径2mm、高さ7mmの円筒形(リング形状)に成形した。次いで、成形体を空気雰囲気下にて380℃で2時間加熱処理して触媒(1)を得た。触媒(1)の酸素を除く金属元素組成は次の通りであった。
【0038】
触媒(1):Mo123.31.2Cu1.6
触媒(1)の触媒組成、触媒サイズ、成形方法、焼成温度を表1に示した。
〔製造例2〕
(触媒(2)の調製)
製造例1において、触媒の孔径が3mmとなるように成形した以外は、製造例1と同様にして、触媒(2)を得た。触媒(2)の酸素を除く金属元素組成は触媒(1)と同様であった。
触媒(2)の触媒組成、触媒サイズ、成形方法、焼成温度を表1に示した。
【0039】
〔製造例3〕
(触媒(3)の調製)
純水20000部を加熱撹拌しながら、モリブデン酸アンモニウム3000部、メタバナジン酸アンモニウム547部、パラタングステン酸アンモニウム459部を溶解させた。別に、純水2000部を加熱撹拌しながら、硝酸銅三水和物547部を溶解させた。得られた2つの水溶液を混合し、さらに三酸化アンチモン62部を添加した。得られた混合液を、外径8mm、孔径3mm、高さ8mmの円筒形(リング形状)のシリカアルミナ担体とともに、湯浴上の磁製蒸発皿に入れ、撹拌しながら蒸発乾固して、触媒成分を担体に担持させた。次いで、これを空気雰囲気下にて400℃で5時間加熱処理して触媒(3)を得た。触媒(3)の担持率は20質量%であった。触媒(3)の触媒成分中の酸素を除く金属元素組成は次の通りであった。
【0040】
触媒(3):Mo123.31.2Cu1.6Sb0.3
触媒(3)の触媒組成、触媒サイズ、成形方法、焼成温度を表1に示した。
〔製造例4、5〕
(触媒(4)、(5)の調製)
製造例3において、外径7mm、孔径2mm、高さ7mmの円筒形(リング形状)のシリカアルミナ担体、および、外径6mm、孔径2mm、高さ6mmの円筒形(リング形状)のシリカアルミナ担体をそれぞれ用いた以外は、製造例3と同様にして、触媒(4)と触媒(5)を得た。触媒(4)と触媒(5)の担持率は、共に20質量%であった。触媒(4)と触媒(5)の触媒成分中の酸素を除く金属元素組成は、共に触媒(1)と同様であった。
【0041】
触媒(4)と触媒(5)の、触媒組成、触媒サイズ、成形方法、焼成温度を表1に示した。
〔実施例1〕
溶融硝酸塩により加熱した内径25mmのステンレス製反応管の触媒充填層に、ガス入口側からガス出口側に向かって順に、触媒(2)を層長1000mm、触媒(1)を層長2000mmとなるように充填し、下記組成の混合ガスを空間速度2100hr−1(STP)で導入してアクロレインの接触気相酸化反応を行った。反応は4000時間継続して行い、反応開始から100時間および4000時間経過時点の結果を表2に示した。
【0042】
アクロレイン 4.5容量%
空気 25.0容量%
水蒸気 30.0容量%
窒素 40.5容量%
〔比較例1〕
実施例1において、触媒(2)は用いず、触媒(1)のみを層長3000mmとなるように充填した以外は、実施例1と同様にして、アクロレインの接触気相酸化反応を行った。反応は4000時間継続して行い、反応開始から100時間および4000時間経過時点の結果を表2に示した。
【0043】
〔比較例2〕
実施例1において、触媒(1)は用いず、触媒(2)のみを層長3000mmとなるように充填した以外は、実施例1と同様にして、アクロレインの接触気相酸化反応を行った。反応は4000時間継続して行い、反応開始から100時間および4000時間経過時点の結果を表2に示した。
〔実施例2〕
(プロピレン酸化用触媒の調製)
純水10000部を加熱撹拌しながら、モリブデン酸アンモニウム1500部、パラタングステン酸アンモニウム96部を溶解させ、さらに20質量%のシリカゾル425部を加えた。この混合液に、純水1000部に硝酸コバルト1030部、硝酸ニッケル618部、硝酸鉄343部、硝酸カリウム5.7部を溶解させた液を、滴下しながら激しく撹拌した。続いて、この混合液に、純水500部に濃硝酸325部を加えた水溶液に硝酸ビスマス446部を溶解させた液を、滴下しながら激しく撹拌した。このようにして得られた懸濁液を加熱撹拌し、水の大部分を蒸発させ、ケーキ状の固形物を得た。得られたケーキ状固形物を箱型乾燥機で加熱処理し、ブロック状の乾燥物を得た。この乾燥物を粉砕して得られた粉末に、バインダーとして50質量%の硝酸アンモニウム水溶液を添加して、1時間混練した後、外径6.0mm、孔径2.0mm、高さ6.6mmの円筒形(リング形状)に押出し成形した。次いで、この成形体を、空気流通下、480℃で5時間焼成して、プロピレン酸化用触媒(P1)を得た。触媒(P1)の酸素を除く金属元素組成は次の通りであった。
【0044】
触媒(P1):Mo120.5CoNiBi1.3Fe1.2Si0.08
一方、上記触媒(P1)の調製方法において、触媒サイズを外径7.0mm、孔径3.0mm、高さ7.7mmとなるように変えた以外は、同様にして、プロピレン酸化用触媒(P2)を得た。
(プロピレン酸化用触媒の充填)
溶融硝酸塩により加熱した内径25mmのステンレス製反応管の触媒充填層に、ガス入口側からガス出口側に向かって順に、触媒(P2)を層長1000mm、触媒(P1)を層長2000mmとなるように充填した。
【0045】
(プロピレン酸化反応)
プロピレン(工業用プロピレン(純度96%))7容量%、空気60容量%、水蒸気8容量%および窒素24.7容量%よりなる混合ガス(a)を、上記触媒(P1)、(P2)を充填した反応管に導入し、空間速度1600hr−1(STP)でプロピレンの接触気相酸化反応を行い、アクロレインを含有する混合ガス(b)を得た。
(アクロレイン酸化反応)
得られた混合ガス(b)を、実施例1と同様に、触媒(1)、(2)を充填した反応管に導入して、アクロレインの接触気相酸化反応を行った。反応は4000時間継続して行い、反応開始から100時間および4000時間経過時点の結果を表2に示した。
【0046】
なお、アクロレイン酸化反応に関する上記結果については、反応管に導入された混合ガス(b)中のプロピレン、プロパン、アクリル酸および酢酸などのアクロレイン以外のガスは反応しなかったものと仮定して計算した。
〔実施例3、4〕
実施例1において、表2に示す組み合わせ、順番および層長となるように触媒を充填し、混合ガス組成を以下に示すのように変えた以外は、実施例1と同様にして、アクロレインの接触気相酸化反応を行った。反応は4000時間継続して行い、反応開始から100時間および4000時間経過時点の結果を表2に示した。
【0047】
アクロレイン 5.0容量%
空気 30.0容量%
水蒸気 30.0容量%
窒素 35.0容量%
【0048】
【表1】
Figure 2004244383
【0049】
【表2】
Figure 2004244383
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、モリブデン−バナジウム系の触媒を充填した固定床多管式反応器を用いた接触気相酸化反応によってアクリル酸を製造する場合に、ホットスポット部がどこに発生するかによらず、また、原料ガス濃度や空間速度が高い場合であっても、高い収率を維持しながら長期にわたって反応を継続することができる。

Claims (5)

  1. 触媒を充填した固定床多管式反応器を用いて、アクロレインを分子状酸素または分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化することにより、アクリル酸を製造する方法において、
    前記触媒が、モリブデンおよびバナジウムを必須成分とする酸化物および/または複合酸化物を触媒成分とするとともに、孔部を有する粒状触媒であり、
    前記固定床多管式反応器における各反応管の触媒充填層が管軸方向に複数の反応帯に分けられていて、前記触媒の充填は前記複数の反応帯の少なくとも2つにおいてその孔径が異なる充填である、
    ことを特徴とする、アクリル酸の製造方法。
  2. 前記孔径が異なる触媒の充填は、各反応管の触媒充填層のガス入口側反応帯からガス出口側反応帯に向けて前記孔径がより小さくなる充填である、請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
  3. 各反応管の触媒充填層がガス入口側から順に第1反応帯、第2反応帯、第3反応帯の3つの反応帯を備え、第2反応帯における触媒の孔径が第1反応帯における触媒の孔径よりも小さく、かつ、第3反応帯における触媒の外径が第2反応帯における触媒の外径よりも小さい、請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
  4. 前記触媒が円筒形触媒である、請求項1から3までのいずれかに記載のアクリル酸の製造方法。
  5. 前記アクロレインは、プロピレンを分子状酸素または分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化することによって得られたものである、請求項1から4までのいずれかに記載のアクリル酸の製造方法。
JP2003036891A 2003-02-14 2003-02-14 アクリル酸の製造方法 Pending JP2004244383A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003036891A JP2004244383A (ja) 2003-02-14 2003-02-14 アクリル酸の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003036891A JP2004244383A (ja) 2003-02-14 2003-02-14 アクリル酸の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004244383A true JP2004244383A (ja) 2004-09-02

Family

ID=33021855

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003036891A Pending JP2004244383A (ja) 2003-02-14 2003-02-14 アクリル酸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004244383A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1697295A4 (en) * 2003-12-26 2007-11-14 Lg Chemical Ltd PROCESS FOR PRODUCING UNSATURATED ALDEHYDE AND / OR UNSATURATED ACID
JP2008535784A (ja) * 2005-02-25 2008-09-04 エルジー・ケム・リミテッド 不飽和アルデヒド及び/または不飽和酸の製造法
WO2013147032A1 (ja) 2012-03-29 2013-10-03 株式会社日本触媒 固定床多管式反応器を用いてのアクリル酸の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1697295A4 (en) * 2003-12-26 2007-11-14 Lg Chemical Ltd PROCESS FOR PRODUCING UNSATURATED ALDEHYDE AND / OR UNSATURATED ACID
JP2008535784A (ja) * 2005-02-25 2008-09-04 エルジー・ケム・リミテッド 不飽和アルデヒド及び/または不飽和酸の製造法
WO2013147032A1 (ja) 2012-03-29 2013-10-03 株式会社日本触媒 固定床多管式反応器を用いてのアクリル酸の製造方法
US9174910B2 (en) 2012-03-29 2015-11-03 Nippon Shokubai Co., Ltd. Method for producing acrylic acid with a fixed-bed multitubular reactor
JPWO2013147032A1 (ja) * 2012-03-29 2015-12-14 株式会社日本触媒 固定床多管式反応器を用いてのアクリル酸の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5845337B2 (ja) 固定床多管式反応器を用いてのアクリル酸の製造方法
JP3943284B2 (ja) アクリル酸の製造方法
JP6674441B2 (ja) 不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸製造用触媒及びその製造方法並びに不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸の製造方法
WO1998024746A1 (fr) Procede de preparation d'acroleine et d'acide acrylique
CZ279457B6 (cs) Způsob výroby nenasycených aldehydů a nenasycených kyselin
WO2015008815A1 (ja) 不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸の製造方法
JP5134745B2 (ja) アクリル酸の製造方法
JP2004255343A (ja) 複合酸化物触媒およびそれを用いたアクリル酸の製造方法
KR102612311B1 (ko) 아크롤레인, 메타크롤레인, 아크릴산, 또는 메타크릴산의 제조 방법
US7045657B2 (en) Catalytic gas phase oxidation process
JP2016539936A (ja) 不飽和アルデヒド及び/又は不飽和カルボン酸の製造法
US7161044B2 (en) Catalytic gas phase oxidation reaction
JP5680373B2 (ja) 触媒及びアクリル酸の製造方法
KR100660988B1 (ko) 불포화 알데히드의 제조방법
JP2008264766A (ja) 酸化物触媒および該触媒を用いたアクロレインまたはアクリル酸の製造方法ならびに当該アクリル酸を用いた吸水性樹脂の製造方法
JP5845338B2 (ja) 固定床多管式反応器を用いてのアクロレインおよびアクリル酸の製造方法
JP2005320315A (ja) 接触気相酸化反応
JP3939187B2 (ja) 不飽和アルデヒドの製造方法
JPWO2009057463A1 (ja) 気相接触酸化反応方法
JP3939262B2 (ja) 不飽和アルデヒドの製造法
JP2004244383A (ja) アクリル酸の製造方法
JP5448331B2 (ja) アクリル酸製造用触媒および該触媒を用いたアクリル酸の製造方法
JP2004002208A (ja) 不飽和アルデヒドの製造法
JP2005162744A (ja) 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造方法
JP2011102247A (ja) アクロレインおよび/またはアクリル酸の製造方法