JP2004243492A - シングルワイヤソー用ソーワイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】シングルワイヤソーについて、切削粉の排出を促進し、かつ、被切削面に対するソーワイヤの当たりを改善して、その切削性能を改善できるように、ソーワイヤの形状、構造を工夫することをその課題とする。
【解決手段】小波くせを有する単線又は撚線1からなることを特徴とするシングルワイヤソー用ソーワイヤ。
【選択図】図1
【解決手段】小波くせを有する単線又は撚線1からなることを特徴とするシングルワイヤソー用ソーワイヤ。
【選択図】図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、シングルワイヤソーに用いられるソーワイヤに関するものであり、その切削速度、切削精度を向上させることができるものである。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤソーには、シングルワイヤソーとマルチワイヤソーとがあり、シングルワイヤソーは、ループ状のソーワイヤWが例えば2つのローラR,R間に張設されてその間で循環してワーク(主に硬質の宝石)の切削加工を行うものである(図6参照)。
【0003】
ワイヤソーにはワイヤとワーク被切削部との間に砥粒を油とともに流し込む遊離砥粒式のものと、ワイヤ表面に樹脂やメッキ等によって予め砥粒を固着させた固定砥粒式のものとがあるが、いずれもワイヤとワークの切削面との間に砥粒を介在させて砥粒によってワークを切削加工するものである。
【0004】
ワイヤソーによる切削加工においては、切削粉が発生し、これはソーワイヤの走行によって切削部の外に掃き出されるのであるが、実際にはその排出が十分でなく、ワークの被切削面とソーワイヤとの間に切削粉が介在し、このために切削性能の低下が避けられない。特に、固定砥粒式のものでは、砥粒間に切削粉がつまる。いわゆる、目詰まりを起こし、切削性能が大きく低下する。
【0005】
このため、固定砥粒式ワイヤソー用ソーワイヤの場合は、砥粒固定層に多数の気孔(空洞)を設け、この気孔に切削粉を逃がすことによって、切削粉の介在による切削抵抗の低下を低減するようにしたものが提案されている。しかし、これでも切削性能の低下の抑制効果は十分ではないので、切削面に加工液を注入し、切削粉の排出を加工液で促進する工夫をしたものがある(特開2000−288902号公報)。しかし、加工液を注入して切削粉の排出を促進しても、切削粉の排出が十分ではなく、切削粉が砥粒の間に詰まって、切削性能を低下させることが避けられず、この影響はシングルワイヤソーの場合、顕著である。
【0006】
遊離砥粒式ワイヤソー用ソーワイヤの場合は、目詰まりはないが、ソーワイヤの上記気孔に切削粉を逃がす機能はないので、もっぱら加工液によって切削粉の排除を促進する他なく、したがって、切削粉の介在による切削性能、切削精度の低下が避けられない。
【0007】
【特許文献】
特開2000−288902号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、シングルワイヤソーに用いられるソーワイヤについて、切削粉の排出を促進し、かつ、被切削面に対するソーワイヤの当たりを改善して、その切削性能を改善できるように、ソーワイヤの形状、構造を工夫することをその課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題解決するために本発明のシングルワイヤソー用ソーワイヤは、小波くせを有する単線又は撚線からなることを特徴とする。
【0010】
単線あるいは撚線が有する小波くせは切削加工時の張力で伸びるが、完全に伸びきって直線状となることはなく、小波くせ自体は依然として残る。
したがって、ソーワイヤは上記の小波くせがついた状態で被切削面を通過し、このとき、小波くせの山の部分が被切削面に当たり、山と山との間の窪みの部分は被切削面から浮き上がった状態になっている。したがって、切削粉は上記小波くせの上記窪み部分に捕捉されてソーワイヤによって切削面の外に掃き出される。また、小波くせの山が被切削面に当たるので、その面圧が高くなって切削速度が向上し、切削部に切削粉が噛み込まれないので切削精度が向上する。
【0011】
上記構成において、単線あるいは撚線が有する小波くせは、切削粉を捕捉できる窪みが形成されるものであれば、どのようなくせ形状であってもよいが、製造しやすさを考慮すると、略螺旋状(三次元波)又は略平面状(二次元波)とするのが好ましい。
【0012】
小波くせのピッチ:1.0〜2.0mm、波高:1/100〜1/10mmは、実用上の適用範囲であって、特別な技術的意義を有する限界値(あるいは臨界値)ではない。したがって、ワイヤソーの使用目的、切削対象の材質の如何によっては、この範囲を越えて、本発明の作用を奏する範囲で適宜選択することができる。
【0013】
なお、ソーワイヤの径(線径、撚線径)は、0.05〜1.0mmといった、ソーワイヤの一般的な範囲が適用できる。また、撚線とは、複数本の単線を撚り合わせたものを意味する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1(a)は本発明の実施の一形態を示すソーワイヤの概略平面図である。図1(a)に示すソーワイヤは、線径dが0.05〜1.0mmの単線であり、ピッチPが1.0〜2.0mmで、波高Hが1/100〜1/10mmである略螺旋状の小波くせを有している。
また、図1(b)は本発明の実施の別の一形態を示すソーワイヤの概略平面図であり、このものは、複数本の単線を撚り合わせた1×n構造の撚線(コード)であって、コード径dが0.05〜1.0mmであり、ピッチPが1.0〜2.0mmで、波高Hが1/100〜1/10mmである略螺旋状の小波くせを有している。
【0016】
ここで、波高Hとは、図1に示すように、小波くせを谷から山までの高さhから線径、あるいはコード径を引いた高さのことで、ピッチPとは谷から谷、または山から山の直線長さである。
【0017】
小波くせのくせ付けは次のようにして行なう。
【0018】
図2にピン方式のくせ付けの一例を示している。この例では、高速回転するくせ付け装置上に設けた3本のピン間に単線、あるいは撚線を通すことによって螺旋状の小波くせが付けられる。小波くせの波高およびピッチの調整は、くせ付けピンの径や間隔、押し込み程度や単線(撚線)の張力並びにくせ付け装置の回転数を変化させることで行う。なお、くせ付け装置を回転させなければ、略平面状(二次元)の小波くせとなる。
【0019】
撚線に略螺旋状の小波くせを施す場合は、撚線を構成する単線それぞれに、上記ピン方式によって螺旋状の小波くせを施した後に、これらの単線を撚り合わせるようにしてもよい。
【0020】
図3は歯車方式のくせ付けの例を示している。この例では、くせ付け部は歯車3,3を、小さな隙間を介して噛み合わせてあり、歯車3,3の噛み合い部に単線あるいは撚線1を通してくせ付けを行うものである。歯車の間を通すことによって単線あるいは撚線に略平面状の二次元の小波くせが付けられる。
【0021】
以上のようにして形成された小波くせを有する単線、あるいは撚線を所定長に切断後、両端部を溶接等によって接合してループ状にすることで、シングルワイヤソー用ソーワイヤが作られる。
【0022】
また、単線の場合、特願2002−178156号明細書に記載されているように、単線を丸めて一つの輪を形成し、この輪に単線の片端を巻き付けることでループ状のシングルワイヤソー用ソーワイヤを作ることもできる。この方法によれば、接合部が他の部分に比して太くなることの弊害が低減される。
【0023】
また、複数の単線を撚り合わせる場合には、小波くせが付けられた単線にさらに撚り合わせのための大波くせを付けて(図5参照)から、これらを撚り合わせるようにしてもよい。
【0024】
単線の場合は、コイル状のくせを有する単線を所定の長さに切断し、その一端を固定して他端を捻り(図4参照)、この捻りによって略螺旋状の小波くせを形成させたところでループ状にして両端を接合することでも製造することができる。この場合は、接合後に熱処理することによって単線の残留捻れ力を除去する必要がある。
【0025】
ところで、本発明のソーワイヤは、遊離砥粒式、固定砥粒式のどちらの場合においても採用できることは勿論のことである。
【0026】
【実施例】
線径が0.14mmの単線に、くせ付け装置にて、ピッチ1.2mmで波高が0.05mmの小波くせを施し、この単線を所定長さに切断後、両端末を溶接して、本発明の単線のソーワイヤを製造した。このソーワイヤを用いて、遊離砥粒方式で、試験材として石英ガラスを切断して、切断試験を行った。
なお、比較例は、小波くせを施さないストレートのものを用いた。
【0027】
次に、線径が0.165mmの単線を4本撚り合わせてコード径0.4mmの撚線を製造し、これをくせ付け装置に通して、ピッチ1.2mmで波高が0.06mmの小波くせを施し、この撚線を所定長さに切断後、両端末を溶接にて接合して、本発明の撚線のソーワイヤを製造した。このソーワイヤを用いて、遊離砥粒方式で、試験材として石英ガラスを切断して、切断試験を行った。
なお、比較例は、小波くせを施さないストレートのものを用いた。
【0028】
上記切断試験によって、上記単線、撚線いずれのソーワイヤにおいても、本発明の小波くせを有するソーワイヤは、従来のストレートなソーワイヤに比べて、切断時間が短縮でき、しかも被切削面の面粗さが向上することが確認できた。
さらに、上記ソーワイヤにメッキによって砥粒を固着させた固定砥粒式のソーワイヤも製造して、同様の切断試験を行ったが、この場合でも、小波くせを付けたソーワイヤの方が性能が優れていることが確認できた。
【0029】
【発明の効果】
シングルワイヤソーの場合は、一つのソーワイヤが少なくとも2つのローラ間を繰り返し走行してワークを切断するが、本発明のシングルワイヤソー用ソーワイヤは、小波くせを有するから、切削粉の排出が確実になされ、ソーワイヤと被切削面との間に切削粉が介在することがなく、したがって、長期間に亙って高い切削性能が維持できる。
また、小波くせの山の部分が被切削面に当たるので、被切削面に対するソーワイヤの面圧が高く、したがって切削性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すソーワイヤで、(a)は小波くせを付けた単線の概略平面図、(b)は同じく撚線(コード)の概略平面図である。
【図2】ピン方式のくせ付けを示す模式図である。
【図3】歯車方式のくせ付けを示す模式図である。
【図4】片端を固定し、他端を捻ってループ状の単線に螺旋状の小波くせを付ける方式の模式図である。
【図5】小波くせと大波くせとを付与した線材を模式的に示す平面図である。
【図6】シングルワイヤソーによる切断装置の要部の概略斜視図である。
【符号の説明】
1・・・単線又は撚線(コード)
2・・・ピン
3・・・歯車
W・・・ソーワイヤ
R・・・ローラ
P・・・ピッチ
H・・・波高
h・・・小波くせの谷から山までの高さ
【産業上の利用分野】
この発明は、シングルワイヤソーに用いられるソーワイヤに関するものであり、その切削速度、切削精度を向上させることができるものである。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤソーには、シングルワイヤソーとマルチワイヤソーとがあり、シングルワイヤソーは、ループ状のソーワイヤWが例えば2つのローラR,R間に張設されてその間で循環してワーク(主に硬質の宝石)の切削加工を行うものである(図6参照)。
【0003】
ワイヤソーにはワイヤとワーク被切削部との間に砥粒を油とともに流し込む遊離砥粒式のものと、ワイヤ表面に樹脂やメッキ等によって予め砥粒を固着させた固定砥粒式のものとがあるが、いずれもワイヤとワークの切削面との間に砥粒を介在させて砥粒によってワークを切削加工するものである。
【0004】
ワイヤソーによる切削加工においては、切削粉が発生し、これはソーワイヤの走行によって切削部の外に掃き出されるのであるが、実際にはその排出が十分でなく、ワークの被切削面とソーワイヤとの間に切削粉が介在し、このために切削性能の低下が避けられない。特に、固定砥粒式のものでは、砥粒間に切削粉がつまる。いわゆる、目詰まりを起こし、切削性能が大きく低下する。
【0005】
このため、固定砥粒式ワイヤソー用ソーワイヤの場合は、砥粒固定層に多数の気孔(空洞)を設け、この気孔に切削粉を逃がすことによって、切削粉の介在による切削抵抗の低下を低減するようにしたものが提案されている。しかし、これでも切削性能の低下の抑制効果は十分ではないので、切削面に加工液を注入し、切削粉の排出を加工液で促進する工夫をしたものがある(特開2000−288902号公報)。しかし、加工液を注入して切削粉の排出を促進しても、切削粉の排出が十分ではなく、切削粉が砥粒の間に詰まって、切削性能を低下させることが避けられず、この影響はシングルワイヤソーの場合、顕著である。
【0006】
遊離砥粒式ワイヤソー用ソーワイヤの場合は、目詰まりはないが、ソーワイヤの上記気孔に切削粉を逃がす機能はないので、もっぱら加工液によって切削粉の排除を促進する他なく、したがって、切削粉の介在による切削性能、切削精度の低下が避けられない。
【0007】
【特許文献】
特開2000−288902号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、シングルワイヤソーに用いられるソーワイヤについて、切削粉の排出を促進し、かつ、被切削面に対するソーワイヤの当たりを改善して、その切削性能を改善できるように、ソーワイヤの形状、構造を工夫することをその課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題解決するために本発明のシングルワイヤソー用ソーワイヤは、小波くせを有する単線又は撚線からなることを特徴とする。
【0010】
単線あるいは撚線が有する小波くせは切削加工時の張力で伸びるが、完全に伸びきって直線状となることはなく、小波くせ自体は依然として残る。
したがって、ソーワイヤは上記の小波くせがついた状態で被切削面を通過し、このとき、小波くせの山の部分が被切削面に当たり、山と山との間の窪みの部分は被切削面から浮き上がった状態になっている。したがって、切削粉は上記小波くせの上記窪み部分に捕捉されてソーワイヤによって切削面の外に掃き出される。また、小波くせの山が被切削面に当たるので、その面圧が高くなって切削速度が向上し、切削部に切削粉が噛み込まれないので切削精度が向上する。
【0011】
上記構成において、単線あるいは撚線が有する小波くせは、切削粉を捕捉できる窪みが形成されるものであれば、どのようなくせ形状であってもよいが、製造しやすさを考慮すると、略螺旋状(三次元波)又は略平面状(二次元波)とするのが好ましい。
【0012】
小波くせのピッチ:1.0〜2.0mm、波高:1/100〜1/10mmは、実用上の適用範囲であって、特別な技術的意義を有する限界値(あるいは臨界値)ではない。したがって、ワイヤソーの使用目的、切削対象の材質の如何によっては、この範囲を越えて、本発明の作用を奏する範囲で適宜選択することができる。
【0013】
なお、ソーワイヤの径(線径、撚線径)は、0.05〜1.0mmといった、ソーワイヤの一般的な範囲が適用できる。また、撚線とは、複数本の単線を撚り合わせたものを意味する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1(a)は本発明の実施の一形態を示すソーワイヤの概略平面図である。図1(a)に示すソーワイヤは、線径dが0.05〜1.0mmの単線であり、ピッチPが1.0〜2.0mmで、波高Hが1/100〜1/10mmである略螺旋状の小波くせを有している。
また、図1(b)は本発明の実施の別の一形態を示すソーワイヤの概略平面図であり、このものは、複数本の単線を撚り合わせた1×n構造の撚線(コード)であって、コード径dが0.05〜1.0mmであり、ピッチPが1.0〜2.0mmで、波高Hが1/100〜1/10mmである略螺旋状の小波くせを有している。
【0016】
ここで、波高Hとは、図1に示すように、小波くせを谷から山までの高さhから線径、あるいはコード径を引いた高さのことで、ピッチPとは谷から谷、または山から山の直線長さである。
【0017】
小波くせのくせ付けは次のようにして行なう。
【0018】
図2にピン方式のくせ付けの一例を示している。この例では、高速回転するくせ付け装置上に設けた3本のピン間に単線、あるいは撚線を通すことによって螺旋状の小波くせが付けられる。小波くせの波高およびピッチの調整は、くせ付けピンの径や間隔、押し込み程度や単線(撚線)の張力並びにくせ付け装置の回転数を変化させることで行う。なお、くせ付け装置を回転させなければ、略平面状(二次元)の小波くせとなる。
【0019】
撚線に略螺旋状の小波くせを施す場合は、撚線を構成する単線それぞれに、上記ピン方式によって螺旋状の小波くせを施した後に、これらの単線を撚り合わせるようにしてもよい。
【0020】
図3は歯車方式のくせ付けの例を示している。この例では、くせ付け部は歯車3,3を、小さな隙間を介して噛み合わせてあり、歯車3,3の噛み合い部に単線あるいは撚線1を通してくせ付けを行うものである。歯車の間を通すことによって単線あるいは撚線に略平面状の二次元の小波くせが付けられる。
【0021】
以上のようにして形成された小波くせを有する単線、あるいは撚線を所定長に切断後、両端部を溶接等によって接合してループ状にすることで、シングルワイヤソー用ソーワイヤが作られる。
【0022】
また、単線の場合、特願2002−178156号明細書に記載されているように、単線を丸めて一つの輪を形成し、この輪に単線の片端を巻き付けることでループ状のシングルワイヤソー用ソーワイヤを作ることもできる。この方法によれば、接合部が他の部分に比して太くなることの弊害が低減される。
【0023】
また、複数の単線を撚り合わせる場合には、小波くせが付けられた単線にさらに撚り合わせのための大波くせを付けて(図5参照)から、これらを撚り合わせるようにしてもよい。
【0024】
単線の場合は、コイル状のくせを有する単線を所定の長さに切断し、その一端を固定して他端を捻り(図4参照)、この捻りによって略螺旋状の小波くせを形成させたところでループ状にして両端を接合することでも製造することができる。この場合は、接合後に熱処理することによって単線の残留捻れ力を除去する必要がある。
【0025】
ところで、本発明のソーワイヤは、遊離砥粒式、固定砥粒式のどちらの場合においても採用できることは勿論のことである。
【0026】
【実施例】
線径が0.14mmの単線に、くせ付け装置にて、ピッチ1.2mmで波高が0.05mmの小波くせを施し、この単線を所定長さに切断後、両端末を溶接して、本発明の単線のソーワイヤを製造した。このソーワイヤを用いて、遊離砥粒方式で、試験材として石英ガラスを切断して、切断試験を行った。
なお、比較例は、小波くせを施さないストレートのものを用いた。
【0027】
次に、線径が0.165mmの単線を4本撚り合わせてコード径0.4mmの撚線を製造し、これをくせ付け装置に通して、ピッチ1.2mmで波高が0.06mmの小波くせを施し、この撚線を所定長さに切断後、両端末を溶接にて接合して、本発明の撚線のソーワイヤを製造した。このソーワイヤを用いて、遊離砥粒方式で、試験材として石英ガラスを切断して、切断試験を行った。
なお、比較例は、小波くせを施さないストレートのものを用いた。
【0028】
上記切断試験によって、上記単線、撚線いずれのソーワイヤにおいても、本発明の小波くせを有するソーワイヤは、従来のストレートなソーワイヤに比べて、切断時間が短縮でき、しかも被切削面の面粗さが向上することが確認できた。
さらに、上記ソーワイヤにメッキによって砥粒を固着させた固定砥粒式のソーワイヤも製造して、同様の切断試験を行ったが、この場合でも、小波くせを付けたソーワイヤの方が性能が優れていることが確認できた。
【0029】
【発明の効果】
シングルワイヤソーの場合は、一つのソーワイヤが少なくとも2つのローラ間を繰り返し走行してワークを切断するが、本発明のシングルワイヤソー用ソーワイヤは、小波くせを有するから、切削粉の排出が確実になされ、ソーワイヤと被切削面との間に切削粉が介在することがなく、したがって、長期間に亙って高い切削性能が維持できる。
また、小波くせの山の部分が被切削面に当たるので、被切削面に対するソーワイヤの面圧が高く、したがって切削性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すソーワイヤで、(a)は小波くせを付けた単線の概略平面図、(b)は同じく撚線(コード)の概略平面図である。
【図2】ピン方式のくせ付けを示す模式図である。
【図3】歯車方式のくせ付けを示す模式図である。
【図4】片端を固定し、他端を捻ってループ状の単線に螺旋状の小波くせを付ける方式の模式図である。
【図5】小波くせと大波くせとを付与した線材を模式的に示す平面図である。
【図6】シングルワイヤソーによる切断装置の要部の概略斜視図である。
【符号の説明】
1・・・単線又は撚線(コード)
2・・・ピン
3・・・歯車
W・・・ソーワイヤ
R・・・ローラ
P・・・ピッチ
H・・・波高
h・・・小波くせの谷から山までの高さ
Claims (4)
- 小波くせを有する単線又は撚線からなることを特徴とするシングルワイヤソー用ソーワイヤ。
- 小波くせが略螺旋状又は略平面状である請求項1に記載のシングルワイヤソー用ソーワイヤ。
- 小波くせのピッチが1.0〜2.0mmで、波高が1/100〜1/10mmである請求項1又は2に記載のシングルワイヤソー用ソーワイヤ。
- 表面に砥粒を固着させた請求項1乃至3のいずれか記載のシングルワイヤソー用ソーワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003037515A JP2004243492A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | シングルワイヤソー用ソーワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003037515A JP2004243492A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | シングルワイヤソー用ソーワイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004243492A true JP2004243492A (ja) | 2004-09-02 |
Family
ID=33022293
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003037515A Pending JP2004243492A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | シングルワイヤソー用ソーワイヤ |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004243492A (ja) |
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2003
- 2003-02-14 JP JP2003037515A patent/JP2004243492A/ja active Pending
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