JP2004243471A - 締付工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この締付工具は、モータの回転が衝撃力発生機構を介して主軸に伝達され、主軸が回転することによってネジの締付を行う。主軸には、主軸の回転角変化とその回転方向を検出する回転角検出手段が設けられる。モータ制御手段は、回転角検出手段によって検出される主軸の回転角変化とその回転方向とから、ネジ類の着座後に設定された所定時間内における主軸のネジ締め方向の累積回転角量を算出する(S106)。算出された累積回転角量は設定角度と比較される(S110)。累積回転角量が設定角度未満であると(S110でNO)そのままモータを停止し(S116)、累積回転角量は設定角度以上となると(S110でYES)さらにモータを駆動する(S112,S114)。
【選択図】 図14
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、モータの回転が衝撃力発生手段を介して主軸に伝達されるインパクトレンチ、インパクトドライバ、トルクレンチ等の締付工具に関する。
【0002】
【従来の技術】被締付部材(例えば鋼板等)に対し大きな締付トルクでネジ類(ボルト、ナット等)を締付るための締付工具では、モータの回転トルクは衝撃力発生手段を介して主軸に伝達される。一般的に、この種の締付工具では、衝撃力発生手段から発生する衝撃力の回数や頻度によってネジ類の締付トルクが決まる。そこで、ネジ類の締付トルクを作業毎に一定とするために、最初の衝撃力が発生してから所定時間後にモータを自動的に停止したり、衝撃力の発生した回数が設定値となったときにモータを自動的に停止する締付工具が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−210877号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した締付工具を用いた締付作業では、被締付部材の種類(例えば、材質(硬さ))が変化するとネジ類の締付トルクも変化する。すなわち、同一のネジ類を同一のモータ停止条件(例えば衝撃力発生回数が一定)で締付作業を行っても、被締付部材の種類が異なればネジ類の締付トルクは変化する。ネジ類の適正な締付トルクは、通常、被締付部材の種類によらずネジ類の種類によって決まり、同一のネジ類であれば適正な締付トルクも同一の値となる。したがって、同一のネジ類を異なる被締付部材に締付ける際にネジ類の締付トルクを適正な値とするためには、被締付部材の種類に応じてモータ停止条件を変えなければならない。従来の締付工具では、モータ停止条件の変更は作業者によって行われるため、作業者がモータ停止条件の変更を誤るとネジ類が適正な締付トルクで締付けられないこととなる。
【0005】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータ停止条件の変更を行うことなく、異なる被締付部材に対しネジ類を適性な締付トルクで締付けることができる締付工具を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記課題を解決するため、本願第1の発明に係る締付工具は、複数種類の被締付部材に対し設定された締付トルクとなるようにネジ類を締付るための締付工具であって、モータと、ネジ類と係合可能な主軸と、モータと主軸の間に介装され、主軸に作用する負荷が所定値以下のときはモータからの回転トルクを直接主軸に伝達して主軸を回転させ、主軸に作用する負荷が所定値を越えるときは衝撃力を発生して主軸を回転させる衝撃力発生手段と、主軸の回転角変化とその回転方向を検出する回転角検出手段と、モータを自動停止するための自動停止条件を複数記憶する手段とを有する。
そして、この締付工具のモータ制御手段は、ネジ類の着座後に回転角検出手段によって検出される主軸の回転角変化とその回転方向に基づいて自動停止条件記憶手段に記憶されている複数の自動停止条件の中から選択された一つの自動停止条件が満たされたときにモータを停止させることを特徴とする。
【0007】
この締付工具では、回転角検出手段によって検出される着座後の主軸の運動状態に基づいて締付作業を行っている被締付部材の種類を特定する。すなわち、被締付部材の種類が相違すると着座後の主軸の運動状態が異なり、この違いによって締付作業を行っている被締付部材の種類を特定する。被締付部材の種類が特定できれば、その種類に対応するモータの自動停止条件が選択できる。この締付工具のモータ制御手段は、このように選択された自動停止条件が満たされたときにモータを停止する。したがって、作業者がモータ停止条件を変更しなくても異なる被締付部材に対しネジ類を適正な締付トルクで締め付けることができる。
【0008】
ここで、上述したネジ類の種類の相違による着座後の主軸の運動状態の相違について図15乃至図17を参照して具体的に説明する。図15は鉄などの硬い部材(以下、ハードジョイント材という)に機械ネジを締付たときの主軸の回転累積角度の推移と、着座後における1打撃(1衝撃力)当りの主軸の回転角の推移の一例を併せて示している。図16は木材などの軟らかい部材(以下、ソフトジョイント材という)に機械ネジを締付たときの主軸の回転累積角度の推移と、着座後における1打撃(1衝撃力)当りの主軸の回転角の推移の一例を併せて示している。図17はハードジョイント材とソフトジョイント材のそれぞれについて着座後における主軸の累積回転角の推移の一例を示している。
図15〜図17から明らかなように、両者とも着座前における主軸の回転累積角度の推移は略同一であるが、着座後における主軸の回転累積角度の推移は大きく異なる。ハードジョイント材では1打撃当りの主軸の回転角は小さく、着座後は殆どネジ類が回転しない。一方、ソフトジョイント材では1打撃当りの主軸の回転角は大きく、着座後もネジ類は回転してゆく。したがって、例えば回転角検出手段によって検出される主軸の回転角変化とその回転方向から着座後の主軸の回転累積角度(及び/又は1打撃当りの主軸の回転角)を求め、この値によって被締付部材がハードジョイント材であるかソフトジョイント材であるかを判定することが可能となる。したがって、ハードジョイント材であればハードジョイント材用の停止条件でモータを停止し、ソフトジョイント材であればソフトジョイント材用の停止条件でモータを停止すればよいこととなる。
【0009】
したがって、前記モータ制御手段は、(1)回転角検出手段によって検出される主軸の回転角変化とその回転方向から、ネジ類の着座後に設定された所定時間内における主軸のネジ締め方向の累積回転角量を算出し、(2)算出された累積回転角量から被締付部材の種類を判定し、(3)その判定された被締付部材の種類に対応する自動停止条件が満たされたときにモータを停止させるようにプログラムされていることが好ましい。
なお、被締付部材の種類(例えば、ハードジョイント材又はソフトジョイント材)の判定は、上述した主軸の回転累積角度や1打撃当りの主軸の回転角以外にも種々の指標によって判定することができ、例えば、1打撃当りの主軸の回転角の変動率等を用いることもできる。
【0010】
また、前記自動停止条件は、ネジ類の着座後のモータ駆動時間であってもよいし、ネジ類の着座後に衝撃力発生手段から発生する衝撃力の発生回数であってもよい。
このような構成によると、ネジ類が着座した後に所定の時間が経過するまで、あるいは所定回数の衝撃力が発生するまでモータが駆動され、ネジ類を適切な締付トルクで締め付けることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明を具現化した一実施形態に係る締付工具では、モータの回転が衝撃力発生機構を介して主軸に伝達され、主軸が回転することによってネジ類の締付を行う。この締付工具は、主軸の回転角変化とその回転方向を検出するロータリーエンコーダを備える。ロータリーエンコーダはモータ制御手段(例えば、マイクロコンピュータ)と接続され、ロータリーエンコーダの検出信号はモータ制御手段に入力する。
モータ制御手段は、予め設定された周期でロータリーエンコーダによって検出される主軸の回転角変化量とその回転方向を記憶する。そして、(1)主軸に回転角変化が生じたときに、記憶されている主軸の回転角変化量とその回転方向とから、その回転角変化から第1設定時間だけ遡った時点からその回転角変化が生じた時点までの主軸のネジ締め方向の回転角変化量を算出し、(2)算出された回転角変化量が第1設定値以内のときに、その回転角変化から第2設定時間が経過するまでの主軸の回転角変化量の絶対値を算出し、(3)算出された回転角変化量の絶対値が第2設定値以上となるときに、上記(1)の回転角変化が生じた時を衝撃力の発生開始時であると判断する。
モータ制御手段は、さらに、衝撃力発生開始時であると判断された主軸の回転角変化から第3設定時間が経過するまでの主軸のネジ締め方向の回転角変化量が第3設定値以下となるとき、ネジ類が被締結部材に着座したと判断する。
ネジ類が着座したと判断されると、次いで、モータ制御手段は、着座後の設定時間の間における主軸の累積回転角を算出する。そして、その算出された累積回転角が第4設定値を超える場合はさらに所定の時間だけモータを駆動し、算出された累積回転角が第4設定値以内である場合はモータを停止する。
【0012】
【実施例】次に本発明を具現化した一実施例に係るアングルソフトインパクトレンチを説明する。図1はアングルソフトインパクトレンチの一部断面側面図を示している。図1に示すアングルソフトインパクトレンチ1は、ハウジング3内に駆動源であるモータM(図1において図示省略:但し図6に図示)が収容固定されている。モータMの出力軸20には遊星歯車機構18が接続され、遊星歯車機構18の出力軸16には緩衝機構14を介してオイルユニット12が接続される。
オイルユニット12は、その内部に収容したオイルの圧力を利用して出力軸8に瞬間的に大きな衝撃力(オイルパルス)を発生させる公知の装置である。オイルユニット12で発生するオイルパルスは、内部に収容したオイルの最大圧力値を調整することで、所定の衝撃力が得られるよう調整されている。緩衝機構14は、オイルユニット10によるオイルパルス発生時の衝撃がダイレクトに遊星歯車機構16側に伝達されることを防止するための公知の機構(例えば、実開平7−31281号に開示されている機構)である。
オイルユニット12の出力軸8は、後で詳述する軸受装置10により軸支されており、その先端にはベベルギヤ6が連結されている。ベベルギヤ6は、出力軸8に対して直交状に軸支されるスピンドル2の一端に設けられたベベルギヤ4に噛合している。スピンドル2の他端には、ボルトやナット等の頭部に係合する図示されていないソケットが取付けられる。
したがって、上記のアングルソフトインパクトレンチ1においてモータMが回転すると、その回転が遊星歯車機構16によって減速されてオイルユニット12に伝達される。オイルユニット12は、ナット類を締付け始める初期の段階においてはスピンドル2への負荷が低いため、オイルパルスを発生させること無くモータ22から伝達された回転をそのままスピンドル2に伝達する。このため、スピンドル2が連続的に回転し、これにともなってネジ類も連続的に締め付けられる。一方、ネジ類が締付けられてスピンドル2(出力軸8)への負荷が高くなると、オイルユニット12からオイルパルスが発生し、その衝撃力によってネジ類が締付けられることとなる。
【0013】
次に、上述のように作動するオイルユニット12の出力軸8を回転可能に支持する軸受装置10(請求項でいうロータリーエンコーダに相当する。)について図2〜5を参照して説明する。ここで、図2は軸受装置の構造を示す断面図であり、図3は軸受装置に組み込まれる磁石と回転角検出センサの位置関係を模式的に示す図であり、図4と図5は出力軸8が正転又は逆転するときに2つの回転角検出センサから出力される検出信号の状態をそれぞれ示す図である。
図2に示すように、軸受装置10は内筒30と、内筒30を回転自在に支持する外筒34を備える。内筒30には、オイルユニット12の出力軸8の外径と略同径(出力軸8の外径より若干小さい)の挿通孔が形成される。この挿通孔には、図面右端側よりオイルユニット12の出力軸8が圧挿され、これによって出力軸8に内筒30が固定されている。したがって、出力軸8が回転すると出力軸8と一体となって内筒30が回転する。
内筒30の図面右端には、円筒状の磁石取付部材40が固定されている。磁石取付部材40の外周状には、複数の磁石42(図3において42a,42b,42c・・で示されている。)が等間隔で配置されている。磁石42は、図3に示すようにS極が外周側となるように配置される磁石42a,42c・・と、N極が外周側となるように配置される磁石42b・・とがあり、S極が外周側となる磁石42a,42c・・と、N極が外周側となる磁石42b・・とは交互に配置されている。なお、隣接する磁石間の中心角(例えば、磁石42aの中心と磁石42bの中心と内筒30の回転中心とがなす角度)は、図3に示すようにそれぞれα°で同一角となる。
【0014】
外筒34は、図2に示すように内筒30より大なる内径を有する円筒状部材である。内筒30と外筒34の間にはボール32が介装され、内筒30は外筒34に対して回転可能に組み付けられている。したがって、外筒34がハウジング3内に収容固定されると、内筒30(すなわち、出力軸8)は外筒34(すなわち、ハウジング3)に対して回転可能に支持されることとなる。
外筒34の図面右端には、円筒状のセンサ取付部材36が固定される。センサ取付部材36の内壁面上で磁石42と対向する部位には、回転角検出センサ38a,38bが配設されている(図3参照)。回転角検出センサ38a,38bは、磁界の変化を検出して、検出信号の状態を切替えるラッチ型のホールICである。回転角検出センサ38a,38bは、S極側の磁界が作用すると出力信号の状態がLOWレベルとなり、N極側の磁界が作用すると出力信号の状態がHIGHレベルとなる。したがって、回転角検出センサ38a,38bが外周側をS極側とする磁石42a,42c・・と対向する位置となると、回転検出センサ38a,38bから出力される検出信号の状態はLOWレベルとなり、N極側を外周側とする磁石42b,・・と対向する位置となると回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号の状態はHIGHレベルとなる。
【0015】
また、回転角検出センサ38a,38bは、図3に良く示されるように中心角θ°(本実施例ではθ=α°/2)だけずれた位置に配設される。したがって、内筒30(すなわち、出力軸8)が正転方向へ回転すると、回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号の状態は図4に示すように変化する。
具体的に説明するため、例えば、回転角検出センサ38a,38bと磁石42a,42b,42cが図3の状態にあるものとする。図3の状態では、回転角検出センサ38aは磁石42b(N極が外周側)と対向する位置となるため、その検出信号はHIGHレベルとなっている。一方、回転角検出センサ38bは既に通過した磁石42c(S極が外周側)によって、その検出信号はLOWレベルとなっている。この状態から内筒30がθ°だけ回転すると、磁石42b(N極が外周側)が回転角検出センサ38bと対向する位置となる。このため、回転角検出センサ38bから出力される検出信号はLOWレベルからHIGHレベルに切り替わる。このとき、回転角検出センサ38aの検出信号の状態はHIGHレベルのままである。さらに内筒30が回転し、内筒30が図3の状態からα°だけ回転すると、磁石42a(S極が外周側)が回転角検出センサ38aと対向する位置となる。このため、回転角検出センサ38aの検出信号はHIGHレベルからLOWレベルに切り替わる。以下、同様にして、回転角検出センサ38aの検出信号の状態が切り替わってから角θ°だけ内筒30(出力軸8)が回転すると、回転角検出センサ38bの検出信号の状態が切り替わることとなる。
また、出力軸8が逆転方向へ回転する場合は、上述の場合とは逆に、回転角検出センサ38a,38bの検出信号は図5に示すように変化する。すなわち、回転角検出センサ38bの検出信号の状態が切り替わってからさらに角θ°だけ出力軸8が回転すると、回転角検出センサ38aの検出信号の状態が切り替わることとなる。
【0016】
上述の説明から明らかなように、回転角検出センサ38a,38bは、それぞれ内筒30(すなわち、オイルユニット12の出力軸8)がα°回転する毎に検出信号のレベルが切り替わる。したがって、回転角検出センサ38a,38bは出力軸8が2×α°回転する毎に1のパルス波を出力し、このパルス波の立上がりエッジ及び立下りエッジを後述するマイクロコンピュータ50が検出することで出力軸8の回転角変化が検出される。
ここで、図4,5から明らかなように、回転角検出センサ38aと38bの検出信号のいずれかには出力軸8がα°/2だけ回転する毎にエッジ変化が生じる。したがって、回転角検出センサ38a,38bにより検出できる出力軸8の回転角変化(正転方向及び逆転方向)の最小分解能はα°/2となる。
【0017】
また、二つの回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号はα°/2だけ位相がずれ、位相がずれる方向は出力軸8の回転方向によって異なる。したがって、回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号の位相のずれによって、出力軸8の回転方向が検出される。すなわち、回転角検出センサ38aの検出信号(立上がりエッジ及び立下りエッジ)と回転角検出センサ38bの検出信号(立上がりエッジ及び立下りエッジ)が入力する順番によって判断する。
図7に示すような検出信号が測定された場合を例として具体的に説明する。図7の例では出力軸8がハンマリングしているため、時刻t3〜t7の間は回転角検出センサ38bから出力される検出信号のみにエッジ変化が現れている。
まず、マイクロコンピュータ50は、時刻t1で回転角検出センサ38aの検出信号の立上がりエッジを検出する。この際、このエッジ変化の直前に検出されたエッジ変化が回転角検出センサ38aと38bのいずれのエッジ変化であったかにより回転方向を検出する。ここでは、直前に検出されたエッジ変化が回転角検出センサ38bの立下りエッジであるとする。したがって、主軸8は正転方向に回転していると判断され、主軸8の回転角度はα°/2だけ増加する。次いで、時刻t2で回転角検出センサ38bの検出信号の立上がりエッジを検出する。したがって、時刻t2では出力軸8が正転していると判断され、主軸8の回転角度はα°/2だけ増加する。同様に、時刻t3,t4では、それぞれ出力軸8は正転していると判断され、主軸8の回転角度はα°/2ずつ増加する。
一方、時刻t5では回転角検出センサ38bの検出信号の立上がりエッジを検出する。したがって、時刻t4と同一の回転角検出センサ38bの検出信号にエッジ変化が検出され、出力軸8の回転方向が変化したと判断される(すなわち、出力軸8は逆転したと判断される)。このため、主軸8の回転角度はα°/2だけ減少する。同様に、時刻t6では出力軸8の回転方向が変化して正転していると判断され、時刻t7〜t9では出力軸8が正転していると判断される。
【0018】
なお、アングルソフトインパクトレンチ1には、モータMを起動するためのトリガスイッチ22が設けられ、また、ハウジング3の下端には、モータMや次に説明するマイクロコンピュータ50等に電力を供給するバッテリパック24が着脱可能に取付けられている。
【0019】
次に、図6を参照してアングルソフトインパクトレンチ1の制御回路の構成を説明する。本実施例に係るアングルソフトインパクトレンチ1の制御回路は、ハウジング3内に収容されたマイクロコンピュータ50を中心に構成される。
マイクロコンピュータ50はCPU52、ROM54、RAM56とI/O58が1チップ化されたマイクロコンピュータであり、図6に示すように接続されている。マイクロコンピュータ50のROM54には、後で詳述するモータMの駆動を自動的に停止するための制御プログラム等が記憶されている。
上述した回転角検出センサ(ホールIC)38a,38bはI/O58の所定の入力ポートに接続され、各回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号がマイクロコンピュータ50に入力するようになっている。また、電源であるバッテリパック24は、電源回路64を介してマイクロコンピュータ50に接続されるとともに、駆動回路62を介してモータMに接続されている。また、モータMは、駆動回路62及びブレーキ回路60を介してマイクロコンピュータ50に制御される。
モータMが駆動されるとオイルユニット12の出力軸8が回転し、これに伴って回転角検出センサ38a,38bからマイクロコンピュータ50に検出信号が入力する。マイクロコンピュータ50は、入力する検出信号に基づいて次に説明する処理を行い、所定のタイミングでブレーキ回路60を動作させることでモータMを停止する。
【0020】
なお、上記マイクロコンピュータ50のRAM56には、回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号のエッジ変化を記憶するための保管レジスタR1〜R10が設けられている(図8参照)。マイクロコンピュータ50は、所定の周期毎に回転角検出センサ38a,38bのエッジ変化を検出し、検出したエッジ変化とその回転方向を保管レジスタR1〜R10に格納する。具体的には、正転方向のエッジ変化が検出されている場合には「01」が格納され、逆転方向のエッジ変化が検出されている場合には「FF」が格納され、エッジ変化が検出されていない場合には「00」が格納される。図8に示す例では、保管レジスタR1〜R10にエッジ変化が記憶される間に主軸8はエッジ変化1つ分(すなわちα°/2)だけ正転方向に回転していることとなる。
なお、マイクロコンピュータ50がエッジ変化を検出する周期は充分に短い時間(本実施例では0.2ms)とされるため、1周期の間に2以上のエッジ変化が生じないようになっている。また、マイクロコンピュータ50は、レジスタR1からR10に向って順に検出されたエッジ変化を格納するようプログラムされている。そして、保管レジスタR1〜R10の全てにエッジ変化が格納されているときは、レジスタR2〜R10までの情報をレジスタR1〜R9にシフトして記憶し、レジスタR10に新たなエッジ変化を記憶するようプログラムされている。これによって、最も前に生じたエッジ変化が順にクリアされていくこととなる。
【0021】
次に、上述のように構成されるアングルソフトインパクトレンチ1を用いてナット類を締付ける際のマイクロコンピュータ50の処理について、図9〜図13に示すフローチャートを参照して説明する。
アングルソフトインパクトレンチ1を用いてナット類を締付けるためには、まず、作業者はスピンドル2の先端に取付けられたソケットにナット類を係合させ、トリガスイッチ22をONする。トリガスイッチ22をONすると、マイクロコンピュータ50は、モータMの回転駆動を開始するとともに以下に説明する処理を行う。
【0022】
トリガスイッチ22がONされると、図9に示すように、マイクロコンピュータ50はまず保管レジスタR1〜R10,着座検出カウンタC,及びオートストップタイマをリセットしてモータMを起動する(ステップS10)。着座検出カウンタCは、ナット類が被締付部材に着座していると判定されると1インクリメントされる。オートストップタイマは、モータMを停止するか否かを判定するためのタイマである。
初期化処理が行われると、次に着座検出タイマTをリセットする(ステップS12)。着座検出タイマTは、後述する着座検出処理(ステップS14〜S34)を行う際に必要となるタイマである。
【0023】
ステップS14に進むと、マイクロコンピュータ50は第1エッジ変化検出処理を開始する。図10を参照して第1エッジ変化検出処理を説明する。
図10に示すように第1エッジ変化検出処理では、まず回転角検出センサ38a,38bからの検出信号にエッジ変化が生じたか否かを判定する(S38)。エッジ変化が生じていない場合〔ステップS38でNO〕は保管レジスタRに「00」を記憶して(S40)、図9のステップS12に戻りステップS12からの処理を繰返す。
一方、エッジ変化が生じている場合〔ステップS38でYES〕は、そのエッジ変化が正転方向か逆転方向かを判定する(S42)。正転方向のエッジ変化の場合〔ステップS42でYES〕は保管レジスタに「01」を格納し(S44,S48)、逆転方向のエッジ変化の場合〔ステップS42でNO〕は保管レジスタに「FF」を格納する(S46,S48)。ステップS48でエッジ変化が格納されると、次いで、そのエッジ変化を生じる前のT1ms(請求項でいう第1設定時間)の間における主軸8の正転方向(ネジ締め方向)の回転角変化量を算出する(S50)。具体的には、保管レジスタR1〜R10に記憶されているエッジ変化を加算して算出する。ステップS50が終了すると、図9のステップS16に進む。
【0024】
ステップS16に進むと、マイクロコンピュータ50は、図10のステップS50で算出された回転角変化量が「設定値1」以下となるか否かを判定する。本実施例において「設定値1」(請求項でいう第1設定値)は、α°とされている。
ステップS50で算出された回転角変化量が「設定値1」を超える場合〔ステップS16でNO〕は、主軸8が回転を停止した状態ではないと判断し、ステップS12に戻ってステップS12からの処理を繰返す。一方、ステップS50で算出された回転角変化量が「設定値1」以下となる場合〔ステップS16でYES〕は、主軸8が回転を停止している状態であると判断し、ステップS18に進む。
ステップS18に進むと、変数rに第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化(詳しくは、図10のステップS44,S46)を格納する。変数rは、エッジ変化が生じた後のT2ms(請求項でいう第2設定時間)の間における主軸8の回転角変化量を算出するための変数である。
ステップS20では、ステップS18と同様、変数Rに第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化を格納する。変数Rは、エッジ変化が生じた後のT3ms(請求項でいう第3設定時間)の間における主軸8の正転方向の回転角変化量を算出するための変数である。
ステップS24に進むと着座検出タイマTがT2msに達したか否かを判定する。着座検出タイマTがT2msに達している場合〔ステップS24でYES〕はステップS28に進み、着座検出タイマTがT2msに達していない場合〔ステップS24でNO〕はステップS26に進んで第2エッジ変化検出処理を行う。
【0025】
図11を参照してステップS26の第2エッジ変化検出処理を説明する。図11に示すように第2エッジ変化検出処理では、まず回転角検出センサ38a,38bからの検出信号にエッジ変化が生じたか否かを判定する(S52)。エッジ変化が生じていない場合〔ステップS52でNO〕は、レジスタR45,r45に「00」を記憶してステップS62に進む。
一方、エッジ変化が生じている場合〔ステップS52でYES〕は、そのエッジ変化が正転方向か逆転方向かを判定する(S56)。正転方向のエッジ変化の場合〔ステップS56でYES〕はレジスタR45,r45に「01」を格納し(S58)、逆転方向のエッジ変化の場合〔ステップS56でNO〕はレジスタR45に「FF」、r45に「01」を格納する(S60)。
ステップS62に進むと、変数RにレジスタR45の数値を加算し、変数rにレジスタr45の数値を加算する。これによって、変数Rと変数rには、検出された主軸8の回転角変化量が加算されていくこととなる。なお、ステップS62では、さらに保管レジスタにレジスタR45の数値が格納される。ステップS62が終わると図9のステップS24に戻って、ステップS24からの処理を繰返すこととなる。したがって、着座検出タイマTがT2msとなるまで(すなわち、第2エッジ変化検出処理が(T2/0.2+1)回行われるまで)、ステップS24,S26の処理を繰返す。
【0026】
一方、図9のステップS24でYESの場合(エッジ変化からT2msが経過すると)、変数rの絶対値が「設定値2」以上となったか否かを判定する(S28)。すなわち、ステップS14の第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化が生じた後、主軸8が回転(正転方向又は逆転方向)を開始したか否かを判定する。本実施例において「設定値2」(請求項でいう第2設定値)は、「設定値1」と同一の値(α°)とされている。
ステップS28でNOと判定されると、第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化はオイルパルスの発生開始時点のものではないと判断し、ステップS12に戻ってステップS12からの処理を繰返す。ステップS28でYESと判定されると、第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化はオイルパルスの発生開始時点のものであると判断してステップS34に進む。
ステップS34では着座検出タイマTがT3msに達したか否かを判定する。着座検出タイマTがT3msに達している場合〔ステップS34でYES〕はステップS36のモータ停止処理(S36)に進み、着座検出タイマTがT3msに達していない場合〔ステップS34でNO〕はステップS32に進んで第3エッジ変化検出処理(S32)に進む。
【0027】
まず、ステップS32の第3エッジ変化検出処理について図12を参照して説明する。
図12に示すように第3エッジ変化検出処理では、まず回転角検出センサ38a,38bからの検出信号にエッジ変化が生じたか否かを判定する(S64)。エッジ変化が生じていない場合〔ステップS64でNO〕は、レジスタR45に「00」を記憶してステップS74に進む。
一方、エッジ変化が生じている場合〔ステップS64でYES〕は、そのエッジ変化が正転方向か逆転方向かを判定する(S68)。正転方向のエッジ変化の場合〔ステップS68でYES〕はレジスタR45に「01」を格納し(S70)、逆転方向のエッジ変化の場合〔ステップS68でNO〕はレジスタR45に「FF」を格納する(S72)。
ステップS74に進むと、変数RにレジスタR45の数値を加算する。これによって、変数Rには、0.2ms毎に検出される主軸8の回転角変化が加算されてゆく。また、ステップS74では、さらに保管レジスタにレジスタR45の数値が格納される。ステップS74が終わると図9のステップS30に戻って、ステップS30からの処理を繰返すこととなる。したがって、着座検出タイマTがT3msとなるまで(すなわち、第3エッジ検出処理が((T3−T2)/0.2)回行われるまで)ステップS28〜S34までの処理を繰返す。
【0028】
次に、ステップS36のモータ停止処理について図13を参照して説明する。
図13に示すようにモータ停止処理では、まず、変数Rの値(すなわち、第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化からT3msが経過するまでの間における主軸8の正転方向への回転角変化量)が「設定値3」以下となったか否かを判定する(S76)。なお、「設定値3」は、ネジ類の種類(例えば、木ネジ,ボルト・ナット等の機械ネジ)や締付作業の種類に応じて適切な値を設定することが好ましい。
変数Rが「設定値3」を超える場合〔ステップS76でNO〕はネジ類が着座していないとしてステップS84に進み、変数Rが「設定値3」以内となる場合〔ステップS76でYES〕はネジ類が着座したとしてステップS78に進む。すなわち本実施例では、ネジ類の着座前と比較してネジ類の着座後は、1回のオイルパルス(衝撃力)によって主軸8が正転方向に回転する回転角の変化量が小さくなることを利用してネジ類の着座を判定する。
ステップS76でYESの場合は、着座検出カウンタCに1加算して(S78)、着座検出カウンタCが2となったか否かを判定する(S80)。着座検出カウンタCが2でない場合〔ステップS80でNO〕は、2回目の着座検出を行うためにステップS84に進む。一方、着座検出カウンタCが2の場合〔ステップS80でYES〕はオートストップタイマをスタートさせ(S86)、オートストップタイマが設定時間T4(請求項でいう第4設定時間)となったか否かを判定する(S88)。オートストップタイマが設定時間T4となっていない場合〔ステップS88でNO〕はオートストップタイマが設定時間T4となるまで待機する。逆に、オートストップタイマが設定時間T4となっている場合〔ステップS88でYES〕はモータMを停止する(S90)。
一方、ステップS84に進むと、着座検出タイマTがT5msと一致したか否かが判定される(S84)。着座検出タイマTがT5msと一致しない場合〔ステップS84でNO〕は着座検出タイマTがT5msとなるまで待機する。着座検出タイマTがT5msと一致する場合〔ステップS84でYES〕は、図9のステップS12に戻ってステップS12からの処理を繰返す。したがって、着座判定が行われるとT5ms(請求項でいう第5設定時間)が経過するまでは次の着座判定が行われない。したがって、ネジ類が着座することによる手ぶれ等が次回の着座判定に影響しないため、ネジ類の着座を精度良く検出することができる。
【0029】
上述した説明から明らかなように、本実施例では回転角検出センサ38a,38bのエッジ変化とその回転方向が所定の周期毎に保管レジスタR1〜R10に格納することで、エッジ変化が検出される前の主軸8の運動状態(停止又は回転)を判断する。また、主軸8が停止していると判断されると、さらに、エッジ変化が検出された後の主軸8の運動状態(停止又は回転)を測定することで、そのエッジ変化が発生した時点がオイルパルスの発生開始時点であるか否かを判定する。したがって、主軸8の回転角変化を検出する回転角検出センサ38a、38bによってオイルパルスの発生開始時点を特定するため、これによって従来必要とされたインパクトセンサを不要とすることができる。
【0030】
(実施例2) 次に、本発明を具現化した第2実施例に係る締付工具(アングルソフトインパクトレンチ)について図面を参照して説明する。
第2実施例に係る締付工具も、その機械的な構成は第1実施例に係る締付工具と同一となる。ただし、第2実施例の締付工具は、2種類の被締付部材(ハードジョイント材(具体的には鉄板)とソフトジョイント材(具体的には木板))の締付け作業を行うために用いられる。このため、マイクロコンピュータ50のROM54には、ハードジョイント材用のモータ停止条件(着座後のモータ駆動時間T1)とソフトジョイント材用のモータ停止条件(着座後のモータ駆動時間T2(ただし、T2>T1))が格納される。また、マイクロコンピュータ50のROM54には、締付けている被締付部材がハードジョイント材かソフトジョイント材かを判断し、ハードジョイント材の場合には着座後にモータ駆動時間T1だけモータMを駆動し、また、ソフトジョイント材の場合には着座後にモータ駆動時間T2だけモータMを駆動するためのプログラムが組まれている。したがって、第1実施例と第2実施例の相違はマイクロコンピュータ50のプログラムが異なるだけでハード構成は同一である。このため、第2実施例に係る締付工具の機械的な構成については、第1実施例の符号を援用するとともにその説明を省略する。以下、第1実施例とは異なる点のみを説明する。
【0031】
第2実施例の締付工具においても、マイクロコンピュータ50は図9に示すフローチャートにしたがって処理を行う。また、図9に示すフローチャート中の第1エッジ変化検出処理(図10)、第2エッジ変化検出処理(図11)及び第3エッジ変化検出処理(図12)についても第1実施例と同様に行われる。ただし、第2実施例では図9に示すステップS36のモータ停止処理が第1実施例のモータ停止処理と異なる。以下、第2実施例に係るモータ停止処理を図14に示すフローチャートを参照して説明する。
【0032】
図14に示すように、第2実施例のモータ停止処理では、まず、着座検出フラグFが「1」か否かを判定する(S92)。着座検出フラグFはネジ類が着座しているか否かを示すフラグであり、着座していると「1」となり、着座していないと「0」となる。なお、着座検出フラグFは、図9のステップS10の初期化処理においてクリアされ、モータMの起動後の最初に行われるモータ停止処理では必ずステップS92の判定がNOとなる。
着座検出フラグFが「1」でない場合〔ステップS92でNO〕はステップS94に進んで、変数Rの値(すなわち、第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化から5.0msが経過するまでの間における主軸8の正転方向への回転角変化量)が「設定値3」以下となったか否かを判定する。変数Rが「設定値3」を超える場合〔ステップS94でNO〕はネジ類が着座していないとしてステップS104に進み、変数Rが「設定値3」以内となる場合〔ステップS94でYES〕はネジ類が着座したとしてステップS96に進む。
ステップS96では着座検出カウンタCに1加算して、次いで、着座検出カウンタCが2となったか否かを判定する(S98)。着座検出カウンタCが2でない場合〔ステップS98でNO〕は、2回目の着座検出を行うためにステップS104に進む。一方、着座検出カウンタCが2の場合〔ステップS98でYES〕は、着座検出フラグFを「1」とすると共にオートストップタイマをスタートし(S100)、ステップS104に進む。
ステップS104では、着座検出タイマTが15msと一致したか否かが判定される(S104)。着座検出タイマTが15msと一致しない場合〔ステップS104でNO〕は、着座検出タイマTが15msとなるまで待機する。着座検出タイマTが15msと一致する場合〔ステップS104でYES〕は、図9のステップS12に戻ってステップS12からの処理を繰返す。したがって、第2実施例ではオートストップタイマがスタートした後も、再び図9のステップS12に戻ってステップS12からの処理が行われる。
【0033】
一方、ステップS92でYESの場合(すなわち、着座検出フラグFが「1」でオートストップタイマがスタートしている場合)は、変数RRに変数Rの値(すなわち、第1エッジ変化検出処理(S14)で検出されたエッジ変化から現時点までの主軸8の正転方向への回転角変化量)を加算し(S106)、オートストップタイマが「設定時間」となったか否かを判定する(S108)。なお、ステップS108の「設定時間」はハードジョイント材用のモータ駆動時間T1である。
オートストップタイマが「設定時間」となっていない場合〔ステップS108でNO〕はステップS104に進む。したがって、再び図9のステップS12からの処理が繰返され、変数RRにはネジ類の着座後における主軸8の正転方向への回転角変化量が記憶されてゆく。
一方、オートストップタイマが「設定時間」となる場合〔ステップS108でYES〕はステップS110に進む。ステップS110では、変数RR(すなわち、着座検出後から「設定時間」が経過するまでの主軸8の正転方向への回転角変化量(請求項でいう累積回転角量に相当する))が「設定角度」以上となるか否かを判断する(S110)。
変数RRが「設定角度」未満の場合〔ステップS110でNO〕は締付けている被締付部材がハードジョイント材であると判断し、そのままモータMを停止させる(S116)。一方、変数RRが「設定角度」以上となる場合〔ステップS110でYES〕は締付けている被締付部材がソフトジョイント材であると判断し、「設定時間」をk倍(k>1)する(S112)。すなわち、ソフトジョイント材用の「設定時間」であるモータ駆動時間T2に変更する。そして、オートストップタイマが「設定時間」となるまで待機し(S114)、オートストップタイマが「設定時間」となるとモータを停止して処理を終了する(S116)。
【0034】
上述した説明から明らかなように第2実施例では、着座検出後における主軸8の正転方向への回転角変化量(累積回転角量)を算出し、その算出された回転角変化量を閾値と比較する。そして、算出された回転角変化量が閾値以上となると締付けている被締付部材がソフトジョイント材であると判定し、算出された回転角変化量が閾値未満となると締付けている被締付部材がハードジョイント材であると判定する。ハードジョイント材であると判定されると着座後に駆動時間T1だけモータが駆動され、ソフトジョイント材であると判定されると着座後に駆動時間T2だけモータが駆動される。したがって、被締付部材の種類に応じて着座後のモータ駆動時間が自動的に変更されるため、被締付部材の種類が異なってもネジ類を適切な締付トルクで締付けることができる。
【0035】
以上、本発明の好適ないくつかの実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述した各実施例においては、ネジ類が着座してから所定時間後にモータMの回転を停止させたが、本発明はこのような例に限られず、主軸に加えられる衝撃力(打撃)の回数をカウントし、打撃回数が所定回数となったときにモータMの駆動を停止するようにしてもよい。
また、上述の実施例では衝撃力発生機構にオイルユニットを用いたが、衝撃力を発生させる機構としては、その他の種々の機構、例えば、ハンマによりアンビルを打撃する機械的な衝撃力発生機構を有する締付工具にも本発明を適用することができる。
さらに、上述の第2実施例では、主軸の正転方向への回転角変化量によってハードジョイント材かソフトジョイント材かを判定したが、これ以外にも、例えば、オイルパルス毎に主軸の正転方向への回転角変化量(あるいは1オイルパルスの平均回転角変化量)を算出し、この値によってネジの種類を判定してもよい。
また、上述した第2実施例では、ネジ類を締付ける被締付部材の種類がハードジョイント材とソフトジョイント材の2種類であったが、ネジ類を締付ける被締付部材の種類は2種類に限られない。例えば、図18に示すように主軸の累積回転角量と比較する閾値を複数設け、これら複数の閾値と主軸の累積回転角量を比較することで3種類以上の被締付部材についてネジ類を締付けることができる。図18に示す例の場合、主軸の累積回転角量が閾値4未満であると被締付部材1と判定し、主軸の累積回転角量が閾値4〜閾値3であると被締付部材2と判定し、主軸の累積回転角量が閾値3〜閾値2であると被締付部材3と判定し、主軸の累積回転角量が閾値2〜閾値1であると被締付部材4と判定し、主軸の累積回転角量が閾値1以上であると被締付部材5と判定する。被締付部材の種類が判定できれば、その種類に応じたモータ停止条件でモータを停止すればよい。
【0036】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るアングルソフトインパクトレンチの一部断面側面図。
【図2】軸受装置の構造を示す断面図。
【図3】軸受装置に組み込まれる磁石と回転角検出センサの位置関係を模式的に示す図。
【図4】出力軸が正転するときに、二つの回転角検出センサから出力される検出信号の状態を示す図。
【図5】出力軸が逆転するときに、二つの回転角検出センサから出力される検出信号の状態を示す図。
【図6】アングルソフトインパクトレンチの制御回路の構成を示すブロック図。
【図7】回転角検出センサ38a,38bの検出信号と主軸8の回転角度変化との関係を模式的に示す図。
【図8】マイクロコンピュータのRAMに設けられる保管レジスタの構成を示す図。
【図9】マイクロコンピュータが行うオートストップ処理のフローチャート。
【図10】第1エッジ変化検出処理のフローチャート。
【図11】第2エッジ変化検出処理のフローチャート。
【図12】第3エッジ変化検出処理のフローチャート。
【図13】モータ停止処理のフロチャート。
【図14】第2実施例のモータ停止処理のフローチャート。
【図15】材質が硬い機械ネジを締付たときの主軸の回転累積角度の推移と、着座後における1打撃(1衝撃力)当りの主軸の回転角の推移の一例を併せて示す図。
【図16】材質が軟らかい機械ネジ(以下、ソフトジョイント材という)を締付たときの主軸の回転累積角度の推移と、着座後における1打撃(1衝撃力)当りの主軸の回転角の推移の一例を併せて示す図。
【図17】ハードジョイント材とソフトジョイント材のそれぞれについて着座後における主軸の累積回転角の推移の一例を示す図。
【図18】第2実施例の変形例を説明するための図
【符号の説明】
1 ・・アングルソフトインパクトレンチ
8 ・・出力軸
10・・軸受装置
12・・オイルユニット
22・・トリガスイッチ
30・・内筒
34・・外筒
36・・センサ取付部材
38a,38b・・回転角検出センサ
40・・磁石取付部材
42・・磁石
Claims (4)
- 複数種類の被締付部材に対し設定された締付トルクとなるようにネジ類を締付るための締付工具であって、
モータと、
ネジ類と係合可能な主軸と、
モータと主軸の間に介装され、主軸に作用する負荷が所定値以下のときはモータからの回転トルクを直接主軸に伝達して主軸を回転させ、主軸に作用する負荷が所定値を越えるときは衝撃力を発生して主軸を回転させる衝撃力発生手段と、
主軸の回転角変化とその回転方向を検出する回転角検出手段と、
モータを自動停止するための自動停止条件を複数記憶する手段と、
ネジ類の着座後に回転角検出手段によって検出される主軸の回転角変化とその回転方向に基づいて自動停止条件記憶手段に記憶されている複数の自動停止条件の中から選択された一つの自動停止条件が満たされたときにモータを停止させるモータ制御手段と、
を有する締付工具。 - 前記モータ制御手段は、(1)回転角検出手段によって検出される主軸の回転角変化とその回転方向から、ネジ類の着座後に設定された所定時間内における主軸のネジ締め方向の累積回転角量を算出し、(2)算出された累積回転角量から被締付部材の種類を判定し、(3)その判定された被締付部材の種類に対応する自動停止条件が満たされたときにモータを停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の締付工具。
- 前記自動停止条件は、ネジ類の着座後のモータ駆動時間であることを特徴とする請求項1又は2に記載の締付工具。
- 前記自動停止条件は、ネジ類の着座後に衝撃力発生手段から発生する衝撃力の発生回数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の締付工具。
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