JP4493920B2 - 締付工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの回転が衝撃力発生機構を介して主軸に伝達されるインパクトレンチ、インパクトドライバ、トルクレンチ等の締付工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
インパクトレンチ等の締付工具は、モータの回転が衝撃力発生機構を介して主軸に伝達され、これによって主軸が回転してネジ類(ボルト,ナット等)を締付ける。この種の締付工具としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
特許文献1の締付工具は、ハンマが主軸から離れたことを検知するインパクトセンサと、主軸の回転角を側定する角度センサを備える。インパクトセンサは、ハンマが主軸と係合状態にあるときにOFF信号を出力し、ハンマが後退して主軸と離れたときにON信号を出力する。角度センサは、主軸の回転角に応じた信号を出力する。モータを制御する制御回路は、インパクトセンサがON信号を出力してから次のON信号を出力するまでの主軸の回転角の進み量を測定し、その進み量からネジ類の締付トルクが設定値(スナッグトルク)に達したか否かを判定する。締付トルクが設定値に達していると、次に、その時点からの主軸の回転角の進み量を測定し、測定された回転進み量が設定量となったときにモータを停止する。
この締付工具によると、締付トルクが設定値となってからさらに主軸が設定量だけ回転してモータを停止するため、ネジ類が着座(スナッグトルクが発生)する前にインパクトが生じる場合でも安定した締付トルクでネジ類を締付けることができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−304879号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の締付工具では、角度センサからの信号だけではインパクト発生開始時(衝撃力発生開始時)を特定できず、インパクト発生開始時を検知するためだけにインパクトセンサを備えなければならなかった。
すなわち、主軸の先端に取付けられるソケットとソケットに係合するネジ頭部との間にがたがある場合、衝撃力がネジに伝達されると、その反作用(ハンマリング作用)によって主軸は正転(ネジ締め方向の回転)と逆転(ネジ緩め方向の回転)を繰返す。したがって、主軸の回転が停止する前に次の衝撃力が発生する場合がある。かかる場合は主軸が常に回転しているため、角度センサからの信号も常に変化することとなる。このため、従来の技術では、角度センサだけではインパクト発生開始時を正確に特定することができず、別途インパクトセンサを装備しなければならなかった。
【0005】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、主軸の回転角変化を検出するセンサの信号に基づいて衝撃力発生開始時を特定することで、従来必要とされた衝撃力発生開始時を検知するためのセンサを不要とすることができる技術を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記課題を解決するため、本願第1の発明に係る締付工具は、モータの回転が衝撃力発生機構を介して主軸に伝達され、主軸が回転することによってネジ類の締付を行う締付工具であって、主軸の回転角変化とその回転方向を検出するロータリーエンコーダと、ロータリーエンコーダで検出される主軸の回転角変化の履歴を記憶するメモリと、ロータリーエンコーダと接続され、ロータリーエンコーダから出力される信号に基づいてモータを制御する制御手段とを有する。
ロータリーエンコーダは、主軸が所定角度(2α)回転する毎に1パルス波となる検出信号を出力する2つの回転角検出センサを有しており、一方の回転角検出センサから出力されるパルス波と他方の回転角検出センサから出力されるパルス波の位相はα/2だけずれており、一方の回転角検出センサから出力されるパルス波と他方の回転角検出センサから出力されるパルス波は主軸の回転方向によって異なる方向に位相がずれることで、主軸の回転方向を検出することが可能となっている。
制御手段は、(1)2つの回転角検出センサのそれぞれから出力される検出信号の立上がりエッジ又は立下がりエッジが生じたか否かを予め設定された周期で判定するステップと、(2)前記(1)のステップで検出信号の立上がりエッジ又は立下りエッジが生じなかったと判定された場合は、主軸がネジ締め方向に回転していないとメモリに記憶するステップと、(3)前記(1)のステップで検出信号の立上がりエッジ又は立下りエッジが生じたと判定された場合は、ロータリーエンコーダで検出される主軸の回転方向がネジ締め方向であるときは主軸がネジ締め方向に回転角(α/2)だけ回転したとメモリに記憶する一方、ロータリーエンコーダで検出される主軸の回転方向がネジ締め方向と反対であるときは主軸がネジ締め方向に回転角(−α/2)だけ回転したとメモリに記憶し、さらに、その立上がりエッジ又は立下がりエッジが生じた時点を基準時として、その基準時から第1設定時間だけ遡った時点からその基準時までの主軸のネジ締め方向の回転角変化量を、メモリに記憶されている主軸の回転角変化の履歴から算出するステップと、(4)前記(3)のステップで算出された回転角変化量が第1設定値以内のときに、さらに、前記基準時から第2設定時間が経過するまで前記(1)のステップを予め設定された周期で繰り返し実行すると共に、その間の主軸の回転角変化量の絶対値を算出するステップと、(5)前記(4)のステップで算出された主軸の回転角変化量の絶対値が第2設定値以上となるときに、前記基準時を衝撃力の発生開始時であると判断するステップと、を実行する。
【0007】
この締付工具では、主軸の回転角変化とその回転方向を検出するためにロータリーエンコーダを用いる。制御手段(例えば、マイクロプロセッサ等)は、予め設定された周期でロータリーエンコーダの2つの回転角検出センサから出力される検出信号の立上がりエッジ又は立下がりエッジが生じたか否かを予め設定された周期で判定する。
そして、制御手段は、検出信号の立上がりエッジ又は立下りエッジが生じていると判定したときは、主軸が実質的に回転を停止しているか否かを判断する。すなわち、立上がりエッジ又は立下がりエッジが生じた時点を基準時として、その基準時から第1設定時間だけ遡った時点からその基準時までの主軸のネジ締め方向の回転角変化量が第1設定値以内のときは、主軸がハンマリング作用によって正転と逆転を繰り返しているとして、主軸は停止していると判断される。主軸が実質的に回転を停止している場合、次に、基準時から第2設定時間が経過するまでの間の主軸の回転角変化量の絶対値を算出し、その絶対値が第2設定値以上となるか否か(主軸が回転を開始したか否か)を判断する。そして、主軸が回転を開始している場合は、その基準時を衝撃力発生開始時と判断する。これによって、ロータリーエンコーダのみで衝撃力発生開始時を特定可能としている。
【0008】
なお、上記した回転角変化を記憶する周期、第1設定時間、第2設定時間は、衝撃力が発生する間隔よりも充分に小さくなるよう設定することが好ましい。また、これら周期、第1設定時間,第2設定時間は、締付作業の種類(金属のボルト締め,木ねじ締め等)に応じて適宜設定することが好ましい。
また、上記した衝撃力発生機構としては、従来公知の種々の機構を用いることができる。例えば、ハンマによりアンビル(主軸)を打撃する機械的な衝撃力発生機構や、油圧により衝撃力を発生させるオイルユニット等を用いることができる。
【0009】
上記締付工具においては、1回の衝撃力による主軸のネジ締め方向の回転角変化量は、ネジ類が着座(ネジ類の底面が被締付部材の表面に当接)する前と着座した後では大きく異なる。すなわち、ネジ類の着座前における主軸の回転角変化量は大きく、ネジ類の着座後における主軸の回転角変化量は小さくなる。したがって、1回の衝撃力による主軸の回転角変化量の大きさによってネジ類が着座したか否かの判断が可能となる。
このため、前記制御手段は、さらに、(6)前記(3)のステップで算出された回転角変化量が第1設定値以内のときに、前記基準時から前記第2設定時間よりも長い前記第3設定時間が経過するまで前記(1)のステップを予め設定された周期で繰り返し実行すると共に、その間の主軸のネジ締め方向の回転角変化量を算出するステップと、(7)前記(6)のステップで算出された主軸のネジ締め方向の回転角変化量が第3設定値以下となるとき、ネジ類が被締結部材に着座していると判断するステップとを有することができる。
なお、第3設定値は、締付作業の種類(金属のボルト締め,木ねじ締め等)等に応じて適宜設定することができる。
【0010】
さらに、前記制御手段は、さらに、ネジ類が被締付部材に着座していると判断した時点でオートストップタイマをスタートさせ、オートストップタイマが第4設定時間を計時したときにモータを停止させることができる。
このような構成によると、ネジ類が着座してからさらにモータが駆動(すなわち、ネジ締め)されるため、ネジ類を安定したトルクで締付けることができる。
【0011】
なお、前記制御手段は、前記(7)のステップでネジ類が被締結部材に着座していると判断したときに、前記(1)〜(7)のステップを最初から繰り返し実行することで、ネジ類が被締付部材に着座していることを複数回に亘って判断するよう構成することができる。この場合、前記制御手段は、さらに、ネジ類が被締付部材に着座していると判断した回数をカウントし、カウントされた回数が第1設定回数となったときにオートストップタイマをスタートさせ、オートストップタイマが第4設定時間を計時したときにモータを停止させることができる。このような構成によると、着座判定が第1設定回数(複数回)だけ行われるため、より確実にネジ類を着座させることができる。
着座判定を複数回行う場合、前記制御手段は、前記(7)のステップでネジ類が被締付部材に着座していると判断された時点から第5設定時間が経過してから、前記(1)〜(7)のステップを開始することが好ましい。着座していると判定した直後に着座判定を行わない時間を設けることで、着座時の手ぶれ等の影響を排除することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
上述した各請求項に記載した締付工具は、下記に示す各形態で好適に実施することができる。
(形態1) 前記衝撃力発生機構は、主軸に衝撃力を発生させるオイルユニットを有し、オイルユニットの出力軸が主軸とされる。
このような形態では、オイルユニットで発生する最大圧力を調整することで主軸に伝達される衝撃力の最大値を調整することができる。また、オイルユニットが駆動されつづけることによって生じるオイルユニットの破損が防止される。
【0014】
【実施例】
次に本発明を具現化した一実施例に係るアングルソフトインパクトレンチを説明する。図1はアングルソフトインパクトレンチの一部断面側面図を示している。図1に示すアングルソフトインパクトレンチ1は、ハウジング3内に駆動源であるモータM(図1において図示省略:但し図6に図示)が収容固定されている。モータMの出力軸20には遊星歯車機構18が接続され、遊星歯車機構18の出力軸16には緩衝機構14を介してオイルユニット12が接続される。
オイルユニット12は、その内部に収容したオイルの圧力を利用して出力軸8に瞬間的に大きな衝撃力(オイルパルス)を発生させる公知の装置である。オイルユニット12で発生するオイルパルスは、内部に収容したオイルの最大圧力値を調整することで、所定の衝撃力が得られるよう調整されている。緩衝機構14は、オイルユニット10によるオイルパルス発生時の衝撃がダイレクトに遊星歯車機構16側に伝達されることを防止するための公知の機構(例えば、実開平7−31281号に開示されている機構)である。
オイルユニット12の出力軸8は、後で詳述する軸受装置10により軸支されており、その先端にはベベルギヤ6が連結されている。ベベルギヤ6は、出力軸8に対して直交状に軸支されるスピンドル2の一端に設けられたベベルギヤ4に噛合している。スピンドル2の他端には、ボルトやナット等の頭部に係合する図示されていないソケットが取付けられる。
したがって、上記のアングルソフトインパクトレンチ1においてモータMが回転すると、その回転が遊星歯車機構16によって減速されてオイルユニット12に伝達される。オイルユニット12は、ナット類を締付け始める初期の段階においてはスピンドル2への負荷が低いため、オイルパルスを発生させること無くモータ22から伝達された回転をそのままスピンドル2に伝達する。このため、スピンドル2が連続的に回転し、これにともなってネジ類も連続的に締め付けられる。一方、ネジ類が締付けられてスピンドル2(出力軸8)への負荷が高くなると、オイルユニット12からオイルパルスが発生し、その衝撃力によってネジ類が締付けられることとなる。
【0015】
次に、上述のように作動するオイルユニット12の出力軸8を回転可能に支持する軸受装置10(請求項でいうロータリーエンコーダに相当する。)について図2〜5を参照して説明する。ここで、図2は軸受装置の構造を示す断面図であり、図3は軸受装置に組み込まれる磁石と回転角検出センサの位置関係を模式的に示す図であり、図4と図5は出力軸8が正転又は逆転するときに2つの回転角検出センサから出力される検出信号の状態をそれぞれ示す図である。
図2に示すように、軸受装置10は内筒30と、内筒30を回転自在に支持する外筒34を備える。内筒30には、オイルユニット12の出力軸8の外径と略同径(出力軸8の外径より若干小さい)の挿通孔が形成される。この挿通孔には、図面右端側よりオイルユニット12の出力軸8が圧挿され、これによって出力軸8に内筒30が固定されている。したがって、出力軸8が回転すると出力軸8と一体となって内筒30が回転する。
内筒30の図面右端には、円筒状の磁石取付部材40が固定されている。磁石取付部材40の外周状には、複数の磁石42(図3において42a,42b,42c・・で示されている。)が等間隔で配置されている。磁石42は、図3に示すようにS極が外周側となるように配置される磁石42a,42c・・と、N極が外周側となるように配置される磁石42b・・とがあり、S極が外周側となる磁石42a,42c・・と、N極が外周側となる磁石42b・・とは交互に配置されている。なお、隣接する磁石間の中心角(例えば、磁石42aの中心と磁石42bの中心と内筒30の回転中心とがなす角度)は、図3に示すようにそれぞれα°で同一角となる。
【0016】
外筒34は、図2に示すように内筒30より大なる内径を有する円筒状部材である。内筒30と外筒34の間にはボール32が介装され、内筒30は外筒34に対して回転可能に組み付けられている。したがって、外筒34がハウジング3内に収容固定されると、内筒30(すなわち、出力軸8)は外筒34(すなわち、ハウジング3)に対して回転可能に支持されることとなる。
外筒34の図面右端には、円筒状のセンサ取付部材36が固定される。センサ取付部材36の内壁面上で磁石42と対向する部位には、回転角検出センサ38a,38bが配設されている(図3参照)。回転角検出センサ38a,38bは、磁界の変化を検出して、検出信号の状態を切替えるラッチ型のホールICである。回転角検出センサ38a,38bは、S極側の磁界が作用すると出力信号の状態がLOWレベルとなり、N極側の磁界が作用すると出力信号の状態がHIGHレベルとなる。したがって、回転角検出センサ38a,38bが外周側をS極側とする磁石42a,42c・・と対向する位置となると、回転検出センサ38a,38bから出力される検出信号の状態はLOWレベルとなり、N極側を外周側とする磁石42b,・・と対向する位置となると回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号の状態はHIGHレベルとなる。
【0017】
また、回転角検出センサ38a,38bは、図3に良く示されるように中心角θ°(本実施例ではθ=α°/2)だけずれた位置に配設される。したがって、内筒30(すなわち、出力軸8)が正転方向へ回転すると、回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号の状態は図4に示すように変化する。
具体的に説明するため、例えば、回転角検出センサ38a,38bと磁石42a,42b,42cが図3の状態にあるものとする。図3の状態では、回転角検出センサ38aは磁石42b(N極が外周側)と対向する位置となるため、その検出信号はHIGHレベルとなっている。一方、回転角検出センサ38bは既に通過した磁石42c(S極が外周側)によって、その検出信号はLOWレベルとなっている。この状態から内筒30がθ°だけ回転すると、磁石42b(N極が外周側)が回転角検出センサ38bと対向する位置となる。このため、回転角検出センサ38bから出力される検出信号はLOWレベルからHIGHレベルに切り替わる。このとき、回転角検出センサ38aの検出信号の状態はHIGHレベルのままである。さらに内筒30が回転し、内筒30が図3の状態からα°だけ回転すると、磁石42a(S極が外周側)が回転角検出センサ38aと対向する位置となる。このため、回転角検出センサ38aの検出信号はHIGHレベルからLOWレベルに切り替わる。以下、同様にして、回転角検出センサ38aの検出信号の状態が切り替わってから角θ°だけ内筒30(出力軸8)が回転すると、回転角検出センサ38bの検出信号の状態が切り替わることとなる。
また、出力軸8が逆転方向へ回転する場合は、上述の場合とは逆に、回転角検出センサ38a,38bの検出信号は図5に示すように変化する。すなわち、回転角検出センサ38bの検出信号の状態が切り替わってからさらに角θ°だけ出力軸8が回転すると、回転角検出センサ38aの検出信号の状態が切り替わることとなる。
【0018】
上述の説明から明らかなように、回転角検出センサ38a,38bは、それぞれ内筒30(すなわち、オイルユニット12の出力軸8)がα°回転する毎に検出信号のレベルが切り替わる。したがって、回転角検出センサ38a,38bは出力軸8が2×α°回転する毎に1のパルス波を出力し、このパルス波の立上がりエッジ及び立下りエッジを後述するマイクロコンピュータ50が検出することで出力軸8の回転角変化が検出される。
ここで、図4,5から明らかなように、回転角検出センサ38aと38bの検出信号のいずれかには出力軸8がα°/2だけ回転する毎にエッジ変化が生じる。したがって、回転角検出センサ38a,38bにより検出できる出力軸8の回転角変化(正転方向及び逆転方向)の最小分解能はα°/2となる。
【0019】
また、二つの回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号はα°/2だけ位相がずれ、位相がずれる方向は出力軸8の回転方向によって異なる。したがって、回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号の位相のずれによって、出力軸8の回転方向が検出される。すなわち、回転角検出センサ38aの検出信号(立上がりエッジ及び立下りエッジ)と回転角検出センサ38bの検出信号(立上がりエッジ及び立下りエッジ)が入力する順番によって判断する。
図7に示すような検出信号が測定された場合を例として具体的に説明する。図7の例では出力軸8がハンマリングしているため、時刻t3〜t7の間は回転角検出センサ38bから出力される検出信号のみにエッジ変化が現れている。
まず、マイクロコンピュータ50は、時刻t1で回転角検出センサ38aの検出信号の立上がりエッジを検出する。この際、このエッジ変化の直前に検出されたエッジ変化が回転角検出センサ38aと38bのいずれのエッジ変化であったかにより回転方向を検出する。ここでは、直前に検出されたエッジ変化が回転角検出センサ38bの立下りエッジであるとする。したがって、主軸8は正転方向に回転していると判断され、主軸8の回転角度はα°/2だけ増加する。次いで、時刻t2で回転角検出センサ38bの検出信号の立上がりエッジを検出する。したがって、時刻t2では出力軸8が正転していると判断され、主軸8の回転角度はα°/2だけ増加する。同様に、時刻t3,t4では、それぞれ出力軸8は正転していると判断され、主軸8の回転角度はα°/2ずつ増加する。
一方、時刻t5では回転角検出センサ38bの検出信号の立上がりエッジを検出する。したがって、時刻t4と同一の回転角検出センサ38bの検出信号にエッジ変化が検出され、出力軸8の回転方向が変化したと判断される(すなわち、出力軸8は逆転したと判断される)。このため、主軸8の回転角度はα°/2だけ減少する。同様に、時刻t6では出力軸8の回転方向が変化して正転していると判断され、時刻t7〜t9では出力軸8が正転していると判断される。
【0020】
なお、アングルソフトインパクトレンチ1には、モータMを起動するためのトリガスイッチ22が設けられ、また、ハウジング3の下端には、モータMや次に説明するマイクロコンピュータ50等に電力を供給するバッテリパック24が着脱可能に取付けられている。
【0021】
次に、図6を参照してアングルソフトインパクトレンチ1の制御回路の構成を説明する。本実施例に係るアングルソフトインパクトレンチ1の制御回路は、ハウジング3内に収容されたマイクロコンピュータ50を中心に構成される。
マイクロコンピュータ50はCPU52、ROM54、RAM56とI/O58が1チップ化されたマイクロコンピュータであり、図6に示すように接続されている。マイクロコンピュータ50のROM54には、後で詳述するモータMの駆動を自動的に停止するための制御プログラム等が記憶されている。
上述した回転角検出センサ(ホールIC)38a,38bはI/O58の所定の入力ポートに接続され、各回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号がマイクロコンピュータ50に入力するようになっている。また、電源であるバッテリパック24は、電源回路64を介してマイクロコンピュータ50に接続されるとともに、駆動回路62を介してモータMに接続されている。また、モータMは、駆動回路62及びブレーキ回路60を介してマイクロコンピュータ50に制御される。
モータMが駆動されるとオイルユニット12の出力軸8が回転し、これに伴って回転角検出センサ38a,38bからマイクロコンピュータ50に検出信号が入力する。マイクロコンピュータ50は、入力する検出信号に基づいて次に説明する処理を行い、所定のタイミングでブレーキ回路60を動作させることでモータMを停止する。
【0022】
なお、上記マイクロコンピュータ50のRAM56には、回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号のエッジ変化を記憶するための保管レジスタR1〜R10が設けられている(図8参照)。マイクロコンピュータ50は、所定の周期毎に回転角検出センサ38a,38bのエッジ変化を検出し、検出したエッジ変化とその回転方向を保管レジスタR1〜R10に格納する。具体的には、正転方向のエッジ変化が検出されている場合には「01」が格納され、逆転方向のエッジ変化が検出されている場合には「FF」が格納され、エッジ変化が検出されていない場合には「00」が格納される。図8に示す例では、保管レジスタR1〜R10にエッジ変化が記憶される間に主軸8はエッジ変化1つ分(すなわちα°/2)だけ正転方向に回転していることとなる。
なお、マイクロコンピュータ50がエッジ変化を検出する周期は充分に短い時間(本実施例では0.2ms)とされるため、1周期の間に2以上のエッジ変化が生じないようになっている。また、マイクロコンピュータ50は、レジスタR1からR10に向って順に検出されたエッジ変化を格納するようプログラムされている。そして、保管レジスタR1〜R10の全てにエッジ変化が格納されているときは、レジスタR2〜R10までの情報をレジスタR1〜R9にシフトして記憶し、レジスタR10に新たなエッジ変化を記憶するようプログラムされている。これによって、最も前に生じたエッジ変化が順にクリアされていくこととなる。
【0023】
次に、上述のように構成されるアングルソフトインパクトレンチ1を用いてナット類を締付ける際のマイクロコンピュータ50の処理について、図9〜図13に示すフローチャートを参照して説明する。
アングルソフトインパクトレンチ1を用いてナット類を締付けるためには、まず、作業者はスピンドル2の先端に取付けられたソケットにナット類を係合させ、トリガスイッチ22をONする。トリガスイッチ22をONすると、マイクロコンピュータ50は、モータMの回転駆動を開始するとともに以下に説明する処理を行う。
【0024】
トリガスイッチ22がONされると、図9に示すように、マイクロコンピュータ50はまず保管レジスタR1〜R10,着座検出カウンタC,及びオートストップタイマをリセットしてモータMを起動する(ステップS10)。着座検出カウンタCは、ナット類が被締付部材に着座していると判定されると1インクリメントされる。オートストップタイマは、モータMを停止するか否かを判定するためのタイマである。
初期化処理が行われると、次に着座検出タイマTをリセットする(ステップS12)。着座検出タイマTは、後述する着座検出処理(ステップS14〜S34)を行う際に必要となるタイマである。
【0025】
ステップS14に進むと、マイクロコンピュータ50は第1エッジ変化検出処理を開始する。図10を参照して第1エッジ変化検出処理を説明する。
図10に示すように第1エッジ変化検出処理では、まず回転角検出センサ38a,38bからの検出信号にエッジ変化が生じたか否かを判定する(S38)。エッジ変化が生じていない場合〔ステップS38でNO〕は保管レジスタRに「00」を記憶して(S40)、図9のステップS12に戻りステップS12からの処理を繰返す。
一方、エッジ変化が生じている場合〔ステップS38でYES〕は、そのエッジ変化が正転方向か逆転方向かを判定する(S42)。正転方向のエッジ変化の場合〔ステップS42でYES〕は保管レジスタに「01」を格納し(S44,S48)、逆転方向のエッジ変化の場合〔ステップS42でNO〕は保管レジスタに「FF」を格納する(S46,S48)。ステップS48でエッジ変化が格納されると、次いで、そのエッジ変化を生じる前のT1ms(請求項でいう第1設定時間)の間における主軸8の正転方向(ネジ締め方向)の回転角変化量を算出する(S50)。具体的には、保管レジスタR1〜R10に記憶されているエッジ変化を加算して算出する。ステップS50が終了すると、図9のステップS16に進む。
【0026】
ステップS16に進むと、マイクロコンピュータ50は、図10のステップS50で算出された回転角変化量が「設定値1」以下となるか否かを判定する。本実施例において「設定値1」(請求項でいう第1設定値)は、α°とされている。
ステップS50で算出された回転角変化量が「設定値1」を超える場合〔ステップS16でNO〕は、主軸8が回転を停止した状態ではないと判断し、ステップS12に戻ってステップS12からの処理を繰返す。一方、ステップS50で算出された回転角変化量が「設定値1」以下となる場合〔ステップS16でYES〕は、主軸8が回転を停止している状態であると判断し、ステップS18に進む。
ステップS18に進むと、変数rに第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化(詳しくは、図10のステップS44,S46)を格納する。変数rは、エッジ変化が生じた後のT2ms(請求項でいう第2設定時間)の間における主軸8の回転角変化量を算出するための変数である。
ステップS20では、ステップS18と同様、変数Rに第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化を格納する。変数Rは、エッジ変化が生じた後のT3ms(請求項でいう第3設定時間)の間における主軸8の正転方向の回転角変化量を算出するための変数である。
ステップS24に進むと着座検出タイマTがT2msに達したか否かを判定する。着座検出タイマTがT2msに達している場合〔ステップS24でYES〕はステップS28に進み、着座検出タイマTがT2msに達していない場合〔ステップS24でNO〕はステップS26に進んで第2エッジ変化検出処理を行う。
【0027】
図11を参照してステップS26の第2エッジ変化検出処理を説明する。図11に示すように第2エッジ変化検出処理では、まず回転角検出センサ38a,38bからの検出信号にエッジ変化が生じたか否かを判定する(S52)。エッジ変化が生じていない場合〔ステップS52でNO〕は、レジスタR45,r45に「00」を記憶してステップS62に進む。
一方、エッジ変化が生じている場合〔ステップS52でYES〕は、そのエッジ変化が正転方向か逆転方向かを判定する(S56)。正転方向のエッジ変化の場合〔ステップS56でYES〕はレジスタR45,r45に「01」を格納し(S58)、逆転方向のエッジ変化の場合〔ステップS56でNO〕はレジスタR45に「FF」、r45に「01」を格納する(S60)。
ステップS62に進むと、変数RにレジスタR45の数値を加算し、変数rにレジスタr45の数値を加算する。これによって、変数Rと変数rには、検出された主軸8の回転角変化量が加算されていくこととなる。なお、ステップS62では、さらに保管レジスタにレジスタR45の数値が格納される。ステップS62が終わると図9のステップS24に戻って、ステップS24からの処理を繰返すこととなる。したがって、着座検出タイマTがT2msとなるまで(すなわち、第2エッジ変化検出処理が(T2/0.2+1)回行われるまで)、ステップS24,S26の処理を繰返す。
【0028】
一方、図9のステップS24でYESの場合(エッジ変化からT2msが経過すると)、変数rの絶対値が「設定値2」以上となったか否かを判定する(S28)。すなわち、ステップS14の第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化が生じた後、主軸8が回転(正転方向又は逆転方向)を開始したか否かを判定する。本実施例において「設定値2」(請求項でいう第2設定値)は、「設定値1」と同一の値(α°)とされている。
ステップS28でNOと判定されると、第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化はオイルパルスの発生開始時点のものではないと判断し、ステップS12に戻ってステップS12からの処理を繰返す。ステップS28でYESと判定されると、第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化はオイルパルスの発生開始時点のものであると判断してステップS34に進む。
ステップS34では着座検出タイマTがT3msに達したか否かを判定する。着座検出タイマTがT3msに達している場合〔ステップS34でYES〕はステップS36のモータ停止処理(S36)に進み、着座検出タイマTがT3msに達していない場合〔ステップS34でNO〕はステップS32に進んで第3エッジ変化検出処理(S32)に進む。
【0029】
まず、ステップS32の第3エッジ変化検出処理について図12を参照して説明する。
図12に示すように第3エッジ変化検出処理では、まず回転角検出センサ38a,38bからの検出信号にエッジ変化が生じたか否かを判定する(S64)。エッジ変化が生じていない場合〔ステップS64でNO〕は、レジスタR45に「00」を記憶してステップS74に進む。
一方、エッジ変化が生じている場合〔ステップS64でYES〕は、そのエッジ変化が正転方向か逆転方向かを判定する(S68)。正転方向のエッジ変化の場合〔ステップS68でYES〕はレジスタR45に「01」を格納し(S70)、逆転方向のエッジ変化の場合〔ステップS68でNO〕はレジスタR45に「FF」を格納する(S72)。
ステップS74に進むと、変数RにレジスタR45の数値を加算する。これによって、変数Rには、0.2ms毎に検出される主軸8の回転角変化が加算されてゆく。また、ステップS74では、さらに保管レジスタにレジスタR45の数値が格納される。ステップS74が終わると図9のステップS30に戻って、ステップS30からの処理を繰返すこととなる。したがって、着座検出タイマTがT3msとなるまで(すなわち、第3エッジ検出処理が((T3−T2)/0.2)回行われるまで)ステップS28〜S34までの処理を繰返す。
【0030】
次に、ステップS36のモータ停止処理について図13を参照して説明する。図13に示すようにモータ停止処理では、まず、変数Rの値(すなわち、第1エッジ変化検出処理で検出されたエッジ変化からT3msが経過するまでの間における主軸8の正転方向への回転角変化量)が「設定値3」以下となったか否かを判定する(S76)。なお、「設定値3」は、ネジ類の種類(例えば、木ネジ,ボルト・ナット等の機械ネジ)や締付作業の種類に応じて適切な値を設定することが好ましい。
変数Rが「設定値3」を超える場合〔ステップS76でNO〕はネジ類が着座していないとしてステップS84に進み、変数Rが「設定値3」以内となる場合〔ステップS76でYES〕はネジ類が着座したとしてステップS78に進む。すなわち本実施例では、ネジ類の着座前と比較してネジ類の着座後は、1回のオイルパルス(衝撃力)によって主軸8が正転方向に回転する回転角の変化量が小さくなることを利用してネジ類の着座を判定する。
ステップS76でYESの場合は、着座検出カウンタCに1加算して(S78)、着座検出カウンタCが2となったか否かを判定する(S80)。着座検出カウンタCが2でない場合〔ステップS80でNO〕は、2回目の着座検出を行うためにステップS84に進む。一方、着座検出カウンタCが2の場合〔ステップS80でYES〕はオートストップタイマをスタートさせ(S86)、オートストップタイマが設定時間T4(請求項でいう第4設定時間)となったか否かを判定する(S88)。オートストップタイマが設定時間T4となっていない場合〔ステップS88でNO〕はオートストップタイマが設定時間T4となるまで待機する。逆に、オートストップタイマが設定時間T4となっている場合〔ステップS88でYES〕はモータMを停止する(S90)。
一方、ステップS84に進むと、着座検出タイマTがT5msと一致したか否かが判定される(S84)。着座検出タイマTがT5msと一致しない場合〔ステップS84でNO〕は着座検出タイマTがT5msとなるまで待機する。着座検出タイマTがT5msと一致する場合〔ステップS84でYES〕は、図9のステップS12に戻ってステップS12からの処理を繰返す。したがって、着座判定が行われるとT5ms(請求項でいう第5設定時間)が経過するまでは次の着座判定が行われない。したがって、ネジ類が着座することによる手ぶれ等が次回の着座判定に影響しないため、ネジ類の着座を精度良く検出することができる。
【0031】
上述した説明から明らかなように、本実施例では回転角検出センサ38a,38bのエッジ変化とその回転方向が所定の周期毎に保管レジスタR1〜R10に格納することで、エッジ変化が検出される前の主軸8の運動状態(停止又は回転)を判断する。また、主軸8が停止していると判断されると、さらに、エッジ変化が検出された後の主軸8の運動状態(停止又は回転)を測定することで、そのエッジ変化が発生した時点がオイルパルスの発生開始時点であるか否かを判定する。したがって、主軸8の回転角変化を検出する回転角検出センサ38a、38bによってオイルパルスの発生開始時点を特定するため、これによって従来必要とされたインパクトセンサを不要とすることができる。
【0032】
以上、本発明の好適な一実施例について詳細に説明したが、これは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述した実施例においては、ネジ類が着座してから所定時間後にモータMの回転を停止させたが、本発明はこのような例に限られず、主軸に加えられる衝撃力(打撃)の回数をカウントし、打撃回数が所定回数となったときにモータMの駆動を停止するようにしてもよい。
また、上述の実施例では衝撃力発生機構にオイルユニットを用いたが、衝撃力を発生させる機構としては、その他の種々の機構、例えば、ハンマによりアンビルを打撃する機械的な衝撃力発生機構を有する締付工具にも本発明を適用することができる。
【0033】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例に係るアングルソフトインパクトレンチの一部断面側面図。
【図2】 軸受装置の構造を示す断面図。
【図3】 軸受装置に組み込まれる磁石と回転角検出センサの位置関係を模式的に示す図。
【図4】 出力軸が正転するときに、二つの回転角検出センサから出力される検出信号の状態を示す図。
【図5】 出力軸が逆転するときに、二つの回転角検出センサから出力される検出信号の状態を示す図。
【図6】 アングルソフトインパクトレンチの制御回路の構成を示すブロック図。
【図7】 回転角検出センサ38a,38bの検出信号と主軸8の回転角度変化との関係を模式的に示す図。
【図8】 マイクロコンピュータのRAMに設けられる保管レジスタの構成を示す図。
【図9】 マイクロコンピュータが行うオートストップ処理のフローチャート。
【図10】 第1エッジ変化検出処理のフローチャート。
【図11】 第2エッジ変化検出処理のフローチャート。
【図12】 第3エッジ変化検出処理のフローチャート。
【図13】 モータ停止処理のフロチャート。
【符号の説明】
1 ・・アングルソフトインパクトレンチ
8 ・・出力軸
10・・軸受装置
12・・オイルユニット
22・・トリガスイッチ
30・・内筒
34・・外筒
36・・センサ取付部材
38a,38b・・回転角検出センサ
40・・磁石取付部材
42・・磁石
Claims (5)
- モータの回転が衝撃力発生機構を介して主軸に伝達され、主軸が回転することによってネジ類の締付を行う締付工具であって、
主軸の回転角変化とその回転方向を検出するロータリーエンコーダと、
ロータリーエンコーダで検出される主軸の回転角変化の履歴を記憶するメモリと、
ロータリーエンコーダと接続され、ロータリーエンコーダから出力される信号に基づいてモータを制御する制御手段とを有し、
ロータリーエンコーダは、主軸が所定角度(2α)回転する毎に1パルス波となる検出信号を出力する2つの回転角検出センサを有しており、一方の回転角検出センサから出力されるパルス波と他方の回転角検出センサから出力されるパルス波の位相はα/2だけずれており、一方の回転角検出センサから出力されるパルス波と他方の回転角検出センサから出力されるパルス波は主軸の回転方向によって異なる方向に位相がずれることで、主軸の回転方向を検出することが可能とされており、
制御手段は、
(1)2つの回転角検出センサのそれぞれから出力される検出信号の立上がりエッジ又は立下がりエッジが生じたか否かを予め設定された周期で判定するステップと、
(2)前記(1)のステップで検出信号の立上がりエッジ又は立下りエッジが生じなかったと判定された場合は、主軸がネジ締め方向に回転していないとメモリに記憶するステップと、
(3)前記(1)のステップで検出信号の立上がりエッジ又は立下りエッジが生じたと判定された場合は、ロータリーエンコーダで検出される主軸の回転方向がネジ締め方向であるときは主軸がネジ締め方向に回転角(α/2)だけ回転したとメモリに記憶する一方、ロータリーエンコーダで検出される主軸の回転方向がネジ締め方向と反対であるときは主軸がネジ締め方向に回転角(−α/2)だけ回転したとメモリに記憶し、さらに、その立上がりエッジ又は立下がりエッジが生じた時点を基準時として、その基準時から第1設定時間だけ遡った時点からその基準時までの主軸のネジ締め方向の回転角変化量を、メモリに記憶されている主軸の回転角変化の履歴から算出するステップと、
(4)前記(3)のステップで算出された回転角変化量が第1設定値以内のときに、さらに、前記基準時から第2設定時間が経過するまで前記(1)のステップを予め設定された周期で繰り返し実行すると共に、その間の主軸の回転角変化量の絶対値を算出するステップと、
(5)前記(4)のステップで算出された主軸の回転角変化量の絶対値が第2設定値以上となるときに、前記基準時を衝撃力の発生開始時であると判断するステップと、を実行することを特徴とする締付工具。 - 前記制御手段は、さらに、
(6)前記(3)のステップで算出された回転角変化量が第1設定値以内のときに、前記基準時から前記第2設定時間よりも長い前記第3設定時間が経過するまで前記(1)のステップを予め設定された周期で繰り返し実行すると共に、その間の主軸のネジ締め方向の回転角変化量を算出するステップと、
(7)前記(6)のステップで算出された主軸のネジ締め方向の回転角変化量が第3設定値以下となるとき、ネジ類が被締結部材に着座していると判断するステップとを有することを特徴とする請求項1に記載の締付工具。 - 前記制御手段は、さらに、ネジ類が被締付部材に着座していると判断した時点でオートストップタイマをスタートさせ、オートストップタイマが第4設定時間を計時したときにモータを停止させることを特徴とする請求項2に記載の締付工具。
- 前記制御手段は、前記(7)のステップでネジ類が被締結部材に着座していると判断したときに、前記(1)〜(7)のステップを最初から繰り返し実行することで、ネジ類が被締付部材に着座していることを複数回に亘って判断するよう構成されており、
前記制御手段は、さらに、ネジ類が被締付部材に着座していると判断した回数をカウントし、カウントされた回数が第1設定回数となったときにオートストップタイマをスタートさせ、オートストップタイマが第4設定時間を計時したときにモータを停止させることを特徴とする請求項2に記載の締付工具。 - 前記制御手段は、前記(7)のステップでネジ類が被締付部材に着座していると判断された時点から第5設定時間が経過してから、前記(1)〜(7)のステップを開始することを特徴とする請求項4に記載の締付工具。
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