JP2004242493A - 圧電アクチュエータ及びそれを用いた電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非共振状態で駆動でき、かつ構造が簡単で大きな移動速度が得られる圧電アクチュエータを得ること。
【解決手段】 平行に配置された二つの圧電駆動体1a,1bと、圧電駆動体1a,1bの一方の端面に固定された固定部3と、圧電駆動体1a,1bの他方の端面かつ二つの圧電駆動体1a,1bの中間位置に設けられた突起2と、突起2と接する移動体4を有する構造とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は移動体を精密に位置決め可能な圧電アクチュエータ、特に振動体を非共振状態で駆動する圧電アクチュエータ及び圧電アクチュエータを備えた電子機器に関する。

弾性体の共振モードを利用した超音波モータは制御性に優れ、精密位置決め用アクチュエータとしても注目され、幾つかの応用例も見られる。しかしながら共振を利用した超音波モータは温度等によって変化する共振点に追従するための周波数追尾回路が必要となり駆動回路が複雑になる。また、共振モードを利用していることから支持が難しく、支持部でのエネルギ損失や、特性ばらつきの発生等の原因ともなっていた。そこで、近年弾性体の非共振状態の振動を利用した超音波モータが提案され研究されている(例えば、非特許文献1参照)。
小坂光二著「非共振型超音波モータ駆動ステージの開発とそれを応用した超精密XYステージの開発」 精密工学会 超精密位置決め専門委員会定例会講演前刷集 NO.2002-1、P13-22
しかしながら圧電素子を非共振状態で使用すると、一般に振動振幅が極めて小さく移動速度も小さく、長いスパンの移動に時間が必要であった。また、現在研究されている構造ではモータ構造も複雑で小型化が難しく、コストを抑えることも難しかった。そして、接着剤による圧電素子等部品の接合を行っているため信頼性に不安があった。
そこで、本発明の圧電アクチュエータは、平行に配置された二つの圧電駆動体と、前記圧電駆動体の一方の端面に固定された固定部と、前記圧電駆動体の他方の端面かつ二つの前記圧電駆動体の中間位置に設けられた突起と、前記突起と接する稼動体を有する構造とする。
また、本発明の圧電アクチュエータは、平行に配置された三つ以上の圧電駆動体と、前記圧電駆動体の一方の端面に固定された固定部と、前記圧電駆動体の他方の端面かつ前記三つ以上の圧電駆動体の中間位置に設けられた突起と、前記突起と接する稼動体を有する構成とする。
そしてこれらの圧電アクチュエータは前記圧電駆動体と前記固定部を圧電素子のみで一体的に形成する。
本発明によれば圧電素子を非共振状態で使用しながらも突起による変位拡大効果により大きな変位を得られるため、大きな移動速度が得られる。また、構造が簡単で突起以外は圧電素子のみで一体的に形成可能なため小型化、量産化が容易となる。更には突起以外は接合部がないため大出力で駆動した際にも破壊に対して強くなる。そして、弾性体等に金属部品を使用しなくて済むため、強磁場の環境下でも使用が可能となる。
本発明の実施の形態について図面を基に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の圧電アクチュエータを示す図である。二つの圧電駆動体1a、1bが平行に配置され、逆T字状の突起2の接触部2aが二つの圧電駆動体1a、1bの中央に配置されるように突起と圧電駆動体1a、1bの一方の端面は接合されている。圧電駆動体1a、1bは複数の電極1c及び1dを有する積層素子である。圧電駆動体1a、1bは圧電素子単板、積層素子、単板素子を複数枚重ねて両側を金属等のブロック材で挟み込んでランジュバン型振動子状に構成したものでも良い。突起2は耐摩耗性に優れたセラミクス、複合プラスチック、金属等からなる。圧電駆動体1a、1bの他方の端面は固定部3に固定されている。固定部3には加圧力が加えられ、突起2は稼動体4と接している。稼動体4はガイド部材5a、5bによって長手方向に動作可能となっている。固定部3は図示しないV溝等によってガイド部材6a、6bにかん合し、突起2と稼動体4の接触圧方向にのみ移動可能となっている。また、ここで固定部3は圧電駆動体1a、1bの変形に対しカウンターバランスとして機能しこの様な簡単な支持方法であっても安定な圧電駆動体1a、1bの動作を可能とする。
次に動作原理について図2を基に説明する。動作方法としては様々な場合が考えられる。図2(a)に示した様に圧電駆動体1a、1bの何れかに交流電圧を印加すると、信号を印加した圧電駆動体は伸縮運動するため、実線で示した突起2の接触部2aは破線で示すように上昇しながら傾く動きをする。ここでは圧電駆動体1bに信号を印加しているので上昇した突起2の接触部2aは左に傾く。従って、突起2と接する稼動体4は左に移動する。圧電駆動体1aに信号を印加した場合、突起2は逆に動くため、稼動体4は右へ移動する。この様に、信号を印加する圧電駆動体を選択するのみで移動方向を制御できるため、駆動回路が簡単になる。ここでは稼動体4を移動させたが、稼動体4を固定すれば圧電駆動体自体を駆動することも可能である。
図2(b)においては圧電駆動体1a、1bに印加する駆動信号の電圧レベルを異ならせている。圧電駆動体1bに印加する駆動信号の電圧値を圧電駆動体1aに印加する駆動信号の電圧値よりも大きくすることで、突起2に図2(a)と同様の傾きを与えることができる。移動方向を変える場合には圧電駆動体1a、1bに加える信号の電圧値の大小関係を逆にすればよい。本図の場合、稼動体4は左方向に移動する。この様に二つの圧電駆動体1a、1b両方に駆動信号を与えることにより、突起2の稼動体4への接触圧は強くなり、稼動体の駆動力は大きくなる。
図2(c)においては圧電駆動体1a、1bに印加する駆動信号の位相を変えることで突起2の接触部2aに楕円運動をさせた例である。楕円運動の方向に応じて稼動体の移動方向が決定されるが、圧電駆動体1a、1bに印加する駆動信号の電圧レベル、位相差を変えることにより楕円運動の大きさ、形を自由に設定でき、稼動体の移動スピード、推進力を制御することが可能となる。
(実施の形態2)
図3は実施の形態1の圧電アクチュエ−タと別の構成例である。二つの圧電駆動体7a、7b及び固定部7cを一つの圧電素子で一体的に構成したものである。電極8a、8b、8c、8dを圧電素子中に部分的に設けることにより電極の設けた部分で圧電駆動体7a、7bを構成する。電極8c、8dは図示していないが電極8aおよび8bと対向するように圧電素子7の反対の面に設けられている。圧電駆動体7a、7bの中央部には突起2が接合されているが、これ以外は接合部がなく破壊にも強く、また接合部でのロスもなく大出力が得られる。更には組み立てによる製品個々の特性ばらつきも小さくなる。この様に、構成が簡単なため小型化が容易である。
図3(b)は本実施の形態に示す圧電アクチュエータの駆動体7の作製方法について示したものである。駆動体7が複数取れる大きさの圧電素子9の一方の面に電極8a、8bを設け、他方の面に電極8c、8dを設ける。図中省略しているが実際には駆動体7の個数分の電極を圧電素子9に設ける。そして圧電素子9を分極処理後ここの大きさの駆動体7にダイシング等によって切り出す。そして最後に溝部7dを切り出す。ここでは単板の圧電素子9を例に取り説明したが、厚み方向に積層した積層型圧電素子を用いても良いし、長手方向に積層した圧電素子を用いてもかまわない。そして溝部7dは無くても構わない。この様な製法を採ることで小型で量産性に優れ、信頼性の高いアクチュエータが実現できる。
(実施の形態3)
図4は実施の形態1の圧電アクチュエータの変形例である。圧電素子10は平行に配置された四つの圧電駆動体10a、10b、10c、10dと固定部10eが一体に形成されている。四つの圧電駆動体10a、10b、10c、10dの中央部には突起2が接合されている。圧電素子10の固定部10eは支持板12に固定されている。突起2は稼動体4と接している。駆動方法としては実施の形態1に示した方法と同様であり、次の三つの方法あるいはこれらの組み合わせによって突起に楕円運動をさせるか、あるいは突起に上下方向の運動と圧電素子10との接合部を支点とした回転運動を合成した動きをさせる。1)四つの圧電駆動体10a、10b、10c、10dの内何れかに駆動信号を印加する。2)四つの圧電駆動体10a、10b、10c、10d個々に異なる電圧レベルの駆動信号を印加する。3)位相の異なる二つの信号から成る駆動信号を四つの圧電駆動体10a、10b、10c、10dの内、幾つかに印加する。この様な駆動法により、移動体4をx−y平面内を自由に動かすことができる。
ところで突起2の形状は任意であるが突起2の形状を最適化することにより圧電駆動体の力を効率良く移動体に伝えることが可能になる。その一例を図7を基に説明する。図7において先端に接触部16aを有する三角錐形状の突起16は四つの圧電駆動体10a、10b、10c、10dの一方の端部に接合されている。この様な形状とすることにより圧電駆動体10の発生力を接触部16aに集中的に伝えられると共に接触部16aで受ける移動体の接触圧を圧電駆動体10a、10b、10c、10dの一方の端部に均等に伝えることが出来るため移動体の駆動力を大きくすることが出来る。ここで突起16の形状は図7に示したものに関わらず突起と移動体の接触圧方向と垂直な面にある突起の断面が移動体側から圧電駆動体側に向かうにつれて大きくなる部分を有する形状であれば良く、曲線部を有する形状であっても良い。またこの様な突起の形状は本実施例に関わらず他の実施の形態の圧電アクチュエータ全てに適用可能である。
ここでは四つの圧電駆動体10a、10b、10c、10dを用いたが圧電駆動体の数に限るものではなく、三つでも構わない。また、固定部10eを設けずに圧電駆動体10を支持板12に直接固定しても構わない。そしてこの場合、支持板12自体が固定部として機能する。
(実施の形態4)
図5は実施の形態1、2の圧電アクチュエータを用いてx−yテーブルを構成した例であり、図5(a)駆動体11a、11b、11c、11dを上方から見た図、図5(b)は本実施の形態のアクチュエータを横方向から見た図である。四つの駆動体11a、11b、11c、11dは支持板12に固定されている。駆動体11a、11cは稼動体4をy方向に、駆動体11b、11dは稼動体4をx方向に駆動する向きに配置されている。
四つの駆動体11a、11b、11c、11d夫々の動作を制御することにより稼動体4を任意の方向に動作させることができる。
例えば駆動体11b、11dには稼動体4がx方向に、駆動体11a、11cには稼動体4がy方向に動くような動作をさせれば稼動体4は駆動体11b、11dの駆動力と駆動体11a、11cの駆動力のベクトルの和の方向に駆動体4は動作する。
駆動体11bには稼動体4がx方向に、11dには稼動体4が−x方向に、駆動体11aには稼動体4が−y方向に、11cには稼動体4がy方向に動くような動作をさせれば稼動体4は反時計周りに回転動作する。
また、単純にx方向あるいはy方向にのみ動かしたい場合には駆動に寄与しない駆動体には稼動体4との接触方向(縦方向)のみの振動を発生するようにする。図1においては圧電駆動体1a、1bに同時に電圧レベルが同じで位相が同じ駆動信号を印加することで行う。この様な駆動を行うことによって駆動に寄与しない駆動体と稼動体との摩擦力が低減でき、効率よく、そして安定に稼動体4を動かすことが可能となる。
駆動体の配置や個数は本実施の形態に限るものではなく用途や使用に応じて自由に設定して構わない。この様に複数の駆動体の上に稼動体4を乗せるだけで安定するため、加圧機構も稼動体4の案内機構も不要あるいは簡素化できる。稼動体4と突起2との接触圧は稼動体4の自重となる。
(実施の形態5)
本発明の圧電アクチュエータを用いて電子機器を構成した例を図6を基に説明する。
図6は本発明の圧電アクチュエータを用いてハードディスクドライブ機構において稼動部となる読み取りヘッドの位置決め駆動を行うものである。ディスク15上の読み取りヘッド13bはアーム13aの先端に取り付けられている。アーム13aの他端は、アーム13aの回転中心となる軸受けが固定されるとともに軸受けを中心に回転する回転板13cが設けられている。回転板13cの外周部には圧電素子7に接合された突起2がばね14の力を受け接触されている。回転板13cは突起2の力を受け動作する。本圧電アクチュエータは駆動信号一周期あたりの送り量が極めて小さくできるため回転板13c、即ちヘッド13bの位置決め精度は極めて高く、ディスク15の記録密度を格段に上げることが可能となる。
ここではハードディスクドライブ機構を例に示したが、加工装置における送り機構やマニピュレータ等の稼動部の駆動へも応用が可能である。
本発明のアクチュエータにより読み取り、あるいは書き込みヘッドを駆動することにより磁気ディスクや光ディスクの等の情報記録機器へ適用できる。またステージ等の駆動に用いることにより工作機械、製造装置、計測装置等で用いられる精密位置決め機構に適用できる。
本発明の実施の形態1にかかわる圧電アクチュエータを示す図である。 本発明の圧電アクチュエータの突起の動きを示す図である。 本発明の実施の形態2にかかわる圧電アクチュエータ及びその製造方法を示す図である。 本発明の実施の形態3にかかわる圧電アクチュエータを示す図である。 本発明の実施の形態4にかかわる圧電アクチュエータを示す図である。 本発明の圧電アクチュエータを用いた電子機器を示す図である。 本発明の実施の形態3にかかわる圧電アクチュエータを示す図である。
符号の説明
1a、1b、7a、7b、10a、10b、10c、10d 圧電駆動体
2 突起
4 稼動体
12 支持板

Claims (10)

  1. 平行に配置された二つの圧電駆動体と、前記圧電駆動体の一方の端面に固定された固定部と、前記圧電駆動体の他方の端面に設けられ二つの前記圧電駆動体の中間位置に位置する接触部を有する突起と、前記突起と接する移動体を有する圧電アクチュエータ。
  2. 平行に配置された三つ以上の圧電駆動体と、前記圧電駆動体の一方の端面に固定された固定部と、前記圧電駆動体の他方の端面に設けられ前記三つ以上の圧電駆動体の中間位置に位置する接触部を有する突起と、前記突起と接する移動体を有する圧電アクチュエータ。
  3. 前記圧電駆動体と前記固定部は一体的に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の圧電アクチュエータ。
  4. 請求項1または2記載の圧電アクチュエータにおいて、前記固定部と嵌合するガイド部材を有することを特徴とする圧電アクチュエータ。
  5. 請求項1または2記載の圧電アクチュエータにおいて、前記突起と前記移動体の接触圧方向と垂直な面にある前記突起の断面は前記移動体側から前記圧電駆動体側に向かうにつれて大きくなる部分を有することを特徴とする圧電アクチュエータ。
  6. 前記複数の圧電駆動体の中で、駆動信号を印加する圧電駆動体を選択することにより移動体の移動方向を変えることを特徴とする請求項1または2記載の圧電アクチュエータ。
  7. 前記複数の圧電駆動体のうち幾つかの圧電駆動体に印加する駆動信号と、他の幾つかの圧電駆動体に加える駆動信号の位相は異なることを特徴とする請求項1または2記載の圧電アクチュエータ。
  8. 前記圧電駆動体に印加する駆動信号の電圧振幅は圧電駆動体毎にそれぞれ異なることを特徴とする請求項1または2記載の圧電アクチュエータ。
  9. 請求項1または2記載の圧電アクチュエータを複数配置し、一つの移動体を駆動することを特徴とする圧電アクチュエータ。
  10. 請求項1から7のいずれか一項に記載の圧電アクチュエータにより稼動部を駆動することを特徴とする電子機器。
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