JP2004241235A - 荷電粒子光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定かつ最適な収差補正を実現し、最小プローブ系を得ることができるようにする。
【解決手段】対物レンズで試料に収束する荷電ビームの収差を補正するものであって、4段の静電型4極子1,2,3,4と、前記4段の静電型4極子1,2,3,4の中央の2段の静電型4極子2,3の電位分布と相似な磁位分布を重畳させる2段の静磁型4極子5,6と、前記4段の静電型4極子1,2,3,4に8極子電位を重畳させる4段の静電型8極子11,12,13,14と、前記4段の静電型4極子1,2,3,4、前記2段の静磁型4極子5,6および前記4段の静電型8極子11,12,13,14と対物レンズ7との間に配置された追加レンズ27と、を有し、前記追加レンズ27および対物レンズ7によって、収差調整およびフォーカス調整を独立に行う。
【選択図】 図1
【解決手段】対物レンズで試料に収束する荷電ビームの収差を補正するものであって、4段の静電型4極子1,2,3,4と、前記4段の静電型4極子1,2,3,4の中央の2段の静電型4極子2,3の電位分布と相似な磁位分布を重畳させる2段の静磁型4極子5,6と、前記4段の静電型4極子1,2,3,4に8極子電位を重畳させる4段の静電型8極子11,12,13,14と、前記4段の静電型4極子1,2,3,4、前記2段の静磁型4極子5,6および前記4段の静電型8極子11,12,13,14と対物レンズ7との間に配置された追加レンズ27と、を有し、前記追加レンズ27および対物レンズ7によって、収差調整およびフォーカス調整を独立に行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査電子顕微鏡などの電子ビーム装置やイオンマイクロプローブなどのイオンビーム装置のような荷電粒子ビーム装置に用い、試料に荷電粒子ビームを収束させる荷電粒子光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査電子顕微鏡や透過電子顕微鏡において、高分解能の像を観察したりプローブ電流密度を上げることを目的として、電子光学系の中に収差補正装置が組み込まれている。この収差補正装置として,色収差を静電4極子と磁場型4極子の組み合わせで補正し、球面収差を4段の8極子で補正する方式が提案されている。その原理については、非特許文献1〜3に示す文献に詳しく紹介されている。
【0003】
ここで、上記した収差補正装置の原理の概略を、図9に基づいて説明する。図9において、対物レンズ7の前段に収差補正装置10が配置されている。収差補正装置10は、4段の静電型4極子1,2,3,4と、静電型4極子の2段目と3段目が作り出す電位分布と相似な磁位分布を作り出し、電界と重畳した磁界を形成する2段の磁場型4極子5,6と、4段の静電型4極子が形成する電界と重畳した電界を形成する4段の静電型8極子11,12,13,14とより構成されている。なお、図中の符号PPは、対物レンズ7の主面を示している。
【0004】
このような構成において、光軸L0に沿って図の左側から入射した荷電粒子ビームは、4段の静電型4極子1,2,3,4と対物レンズ7によって、基準となる荷電粒子ビームの軌道が作られ、試料面20に荷電粒子ビームがフォーカスされる。この図9では、荷電粒子ビームが進行する光軸L0方向をZ方向として、このZ方向に直行する粒子線のX方向の軌道RxとY方向の軌道Ryとを同じ平面上にまとめて模式的に描いている。
【0005】
基準軌道とは、近軸軌道(収差が無いときの軌道と考えてよい)として、4極子1によってY方向の軌道Ryが4極子2の中心を通り、4極子2によってX方向の軌道Rxが4極子3の中心を通り、最後に4極子3,4と対物レンズ7によって荷電粒子ビームが試料面にフォーカスされる軌道をいう。実際には完全なフォーカスのために、これらの相互調整が必要になる。
【0006】
次に、収差補正装置Cによる色収差補正について説明する。図9に示したような系で先ず色収差を補正するには、上記の基準軌道を変えないように静電型4極子2の電位φq2[V]と磁場型4極子5の励磁J2[AT](あるいは磁位)が調整され、レンズ系全体としてX方向の色収差が0に補正される。同様に基準軌道を変えないように静電型4極子3の電位φq3[V]と磁場型4極子6の励磁J3[V]が調整され、レンズ系全体としてY方向の色収差が0に補正される。
【0007】
次に、球面収差補正(3次の開口収差補正)について説明する。球面収差を補正する場合には、X,Y方向の色収差の補正を行った後に、静電型8極子12の電位φ02[V]によってレンズ系全体としてX方向の球面収差を0に補正し、静電型8極子13の電位φ03[V]によってY方向の球面収差を0に補正する。次に、XYが合成された方向の球面型収差を静電型8極子11,14で0に補正する。実際は、交互の繰り返し調整が必要になる。
【0008】
なお、4極子や8極子の電位や励磁の重畳は、1個の12極子を用いて、12極の各極子に印加する電位や励磁を変化させる2極子、4極子、6極子、8極子などの合成が行われ、実用化されているが、ここではそれらについて述べない。また、このような電界型や磁界型の多極子を複数個用いて、粒子光学系の収差量を調整する機構を以下では収差補正装置と呼ぶことにする。
【0009】
【非特許文献1】
H. Rose, Optik 33, Heft 1, 1−23 (1971)
【非特許文献2】
J. Zach, Optik 83, No. 1, 30−40 (1989)
【非特許文献3】
J. Zach and M. Haider, Nucl. Instr. and Meth. In Phys. Res. A 363, 316−325 (1995)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記の理論や実験に基づく結果、例えば図9に示した従来の技術にはすばらしいものがあるが、さらに操作性を向上させる観点からは必ずしも十分な配慮が成されていなかった。以下には、従来方式の不具合について記す。
【0011】
第1には、加速電圧や作動距離を変えたとき、収差を再度補正したり、粒子プローブを試料面に再度フォーカスし直すことが必要であるが、両者が相互に影響し合うため、操作は面倒であった。
【0012】
第2には、実際の操作においては、最小プローブを得るために、収差係数が理論値や計算値からのズレや機差に対処するための微妙な調整が望まれるが、前記第1の問題点があるため、そのような操作も当然ながら大変厄介であった。
【0013】
本発明は、従来は配慮されていなかったこれらの問題を解決し、安定かつ最適な収差補正を実現し、最小プローブ径を得ることができるような荷電粒子光学装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、本発明に係る荷電粒子光学装置は、荷電粒子ビームをフォーカスさせて試料に照射させる荷電粒子光学装置において、4段の静電型4極子と、前記4段の静電型4極子の中央の2段の静電型4極子の電位分布と相似な磁位分布を重畳させる2段の静磁型4極子と、前記4段の静電型4極子に8極子電位を重畳させる4段の静電型8極子と、対物レンズと、前記4段の静電型4極子、前記2段の静磁型4極子および前記4段の静電型8極子と前記対物レンズとの間に配置された追加レンズと、を有し、前記追加レンズおよび対物レンズによって、収差調整およびフォーカス調整を独立に行う。
【0015】
すなわち、本発明に係る荷電粒子装置は、前記4段の静電型4極子、前記2段の静磁型4極子、及び前記4段の静電型8極子を備える収差補正装置と、前記対物レンズと、前記追加レンズとを有する。
【0016】
前記収差補正は、前記収差補正装置、前記対物レンズ及び前記追加レンズを含めた全系の色収差と球面収差について、前記色収差を補正するように前記対物レンズ及び前記追加レンズの合成倍率を求め、この合成倍率に基づいて前記対物レンズ及び前記追加レンズの焦点距離をそれぞれ定めて色収差を補正し、前記静電8極子を制御して前記球面収差を補正するようにすることが望ましい。
【0017】
前記フォーカス調整は、前記全系の色収差を補正するように前記合成倍率を求め、この合成倍率に基づいて前記対物レンズ及び前記追加レンズの焦点距離を定めることにより行うのが望ましい。
【0018】
また、前記荷電粒子ビームの加速電圧、作動距離、またはプローブ電流の変更に関わらず、前記2段の静磁型4極子の励磁を一定に保つことが望ましい。
【0019】
さらに、前記追加レンズおよび前記対物レンズの合成倍率を変更しても、前記対物レンズの焦点位置を一定に保つことが望ましい。
【0020】
さらにまた、前記追加レンズおよび対物レンズの合成倍率を一定に保ちつつ、前記対物レンズの結像位置を調整可能であることが望ましい。
【0021】
そして、前記追加レンズは、前記4段の静電型4極子または前記4段の静電型8極子の最終段付近を物面とし、これに共役な像面を前記対物レンズの前方焦点付近となるように配置されたことが望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る荷電粒子光学装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、荷電粒子光学装置の第1の実施の形態を示す図である。
【0024】
第1の実施の形態の荷電粒子光学装置は、荷電粒子ビームの一部をプローブとして試料に照射するものであって、色収差を補正するために、4段の静電型4極子1,2,3,4と、中央の2段の静電型4極子2,3の電位分布と相似な磁位分布を重畳させる2段の磁場型4極子5,6と、対物レンズ7と、4段目の静電4極子と対物レンズ7の間に配置された追加レンズ27と、光路の一部に設けられた図示しない対物絞り8と、加速電圧や作動距離を変更する操作表示部9と、4段の静電4極子1,2,3,4に電圧を供給する電源10と、2段の磁場型4極子5,6を励磁する電源15と、対物レンズ7および追加レンズ27用の電源17と、操作表示部9の操作または設定に基づいて前記電源10,15,17を制御する制御部19が設けられている。
【0025】
なお、対物レンズ7および追加レンズ27は、磁場型の場合は電源17から供給される電流を変えることによって、静電型の場合には電源17から供給される電圧を変えることによって、あるいは電場・磁場重畳型の場合は電源17から供給される電流および電圧を調節することによって、レンズの強度が調節される。更に、荷電粒子が高速のイオンの場合には、荷電粒子の質量に関係なく同じ屈折力が得られる静電型の対物レンズ7および追加レンズ27が用いられる。
【0026】
また、第1の実施の形態の荷電粒子光学装置は、球面収差を補正するために、前記した各構成要素に加えて4段の静電型4極子1,2,3,4の電位分布に8極子電位を重畳させる4段の静電型8極子11,12,13,14と、4段の静電型8極子11,12,13,14に電圧を供給する電源18と、操作表示部9の操作または設定に基づいて前記電源18を制御する制御部19が設けられている。
【0027】
以下において、上記4段の静電型4極子1,2,3,4と2段の磁場型4極子5,6と、これに各電源10,15を含めたもの、あるいはこれらに更に4段の静電型8極子11,12,13,14と電源18を含めたものを収差補正装置と呼ぶことにする。そして光学装置の目的に応じて、前者だけを構成して色収差を補正可能としたもの、後者も構成して色収差及び球面収差が補正可能としたものと使い分けられる。
【0028】
このような収差補正装置10は、例えば図2に示す如くに走査電子顕微鏡などに組み込まれる。この場合、荷電粒子には電子が該当することになる。
【0029】
内部が真空雰囲気にされた鏡筒100内には、電子ビームを発生し、加速電圧によって電子にエネルギーを与える電子銃101、電子銃101で発生した電子ビームを収束し、かつ電子ビーム電流を適当な値に制限するためのコンデンサレンズ102と対物絞り103、収差補正装置104(図1の収差補正装置10に相当)、電子ビームを二次元的に偏向して操作するための偏向器105、電子ビームをフォーカスして試料109に照射する追加レンズ106および対物レンズ107、電子ビームの照射・走査に伴ってステージ108に保持された試料109から発生する二次電子などの信号を検出する検出器110が備えられている。
【0030】
なお、本件発明者らは、特願2001−354335号において、以下の提案を行っている。すなわち、磁場型4極子5,6の励磁を一定に維持しつつ、色収差補正、又は色収差・球面収差補正をする構成とすることができる。この構成では、2段目の磁場型4極子5の励磁J2と3段目の磁場型4極子6の励磁J3とを常に一定に保ち、一方、静電型4極子の補正電圧と4段目の4極子4と対物レンズ7とによる合成倍率を調整することによって収差補正を行う。
【0031】
また、図10に示すように、4段目の静電型4極子4の調整によるX,Y方向の倍率の変化や収差補正装置内の基準軌道内を維持するためのフォーカスの再調整を避けるため4段目の静電型4極子4と対物レンズ7との間に追加レンズ27を配置し、加速電圧を変えた場合には主に追加レンズ27と対物レンズ7との合成倍率を変えるように構成することもできる。
【0032】
図3〜6を用いて、本実施の形態の動作原理を説明する。ここでは理解を容易にするため、収差補正装置の下段に第1および第2のレンズL1,L2という2つのレンズがあり、更にその下段に第2のレンズL2の像面位置Z2になる試料面があるものとする。補正すべき収差を発生させる多極子群を収差補正装置と呼ぶことにして、収差補正装置の像面の位置をZcとする。第1のレンズL1の物体距離をa1、像面位置をZ1、像距離をb1とする。また、第2のレンズL2の物体距離をa2、像面位置をZ2、像距離をb2とする。さらに、第1および第2のレンズL1,L2の主面間の距離をSとする。
【0033】
第2のレンズL2の物体距離は、a2=S−b1で表されるため、第1および第2のレンズL1,L2の合成倍率M12は、次の式(1)で与えられる。
【0034】
【数1】
この式(1)を第1のレンズL1の像距離b1について解くと、次の式(2)が得られる。
【0035】
【数2】
収差補正装置の像面位置Zcを固定して考える場合、第1のレンズL1の物体距離a1は一定の値になる。また、第2のレンズL2の像面位置Z2を固定するには、第2のレンズL2の像距離b2を一定にする必要がある。さらに、第1および第2のレンズL1,L2の主面間の距離Sは一定である。
【0036】
従って、像面位置Zc,Z2を固定する場合、前記物体距離a1、前記像距離b2および主面間の距離Sは、一定値である。この場合、第1のレンズの像距離b1は、次の式(3)のように、合成倍率M12のみを変数とする関数と見なすことができる。
【0037】
b1=b1(M12) (3)
この式(3)から、合成倍率M12が与えられると、式(2)によって第1のレンズの像距離b1を求めることができる。
【0038】
このように、収差補正装置の像面の位置Zcから第1のレンズL1の物体距離a1が得られ、合成倍率M12に依存する値の第1のレンズL1の像距離b1が得られた。同時に、第1および第2のレンズL1,L2の主面間の距離Sが一定であることを用いて第1のレンズL1の像距離b1から第2のレンズの物体距離a2(=S−b1)得られ、第2のレンズL2の像面の位置Z2から第2のレンズL2の像距離b2が得られた。
【0039】
これら第1のレンズL1の物体距離a1および像距離b1、第2のレンズL2の物体距離a2および像距離b2を用いて、次の式(4)および(5)により第1および第2のレンズL1,L2の焦点距離f1,f2を求めることができる。このようにして、合成倍率M12の値に基づいて第1および第2のレンズL1,L2の焦点距離f1,f2の値が得られた。
【0040】
【数3】
【数4】
前述のように、このような焦点距離f1,f2は、第1および第2のレンズL1,L2を電源から供給する電流または電圧によって制御することができる。
【0041】
次に、収差補正装置が元々光学系が有する収差を打ち消すために、像面Zcに発生させる色収差係数をCcc、球面収差係数をCscとする。また、収差補正以前(荷電粒子ビームは前述の基準軌道を通ってはいるが、未だ収差補正のための電圧等は印加されていない状態)における光学系全体によって像面Z2に発生している色収差係数をCcL、球面収差係数をCsLとする。
【0042】
これらの係数を用いると、像面Z2において、元々存在する収差とそれを打ち消すための収差補正装置に発生させた収差とを重畳した合成収差係数は、次の式(6)および(7)で与えられる。
【0043】
色収差係数: CcR=Ccc・M12 2+CcL(M12) (6)
球面収差係数:CsR=Csc・M12 4+CsL(M12) (7)
ここで、合成倍率M12の値を変えると元々光学系が有する収差量が多少とも変化することを考慮して、前記色収差係数CcLおよび球面収差係数CsLは合成倍率M12の関数であるとした。
【0044】
これらの式(6)および(7)を用いて、以下のような手順で合成収差係数CcR,CsRを補正する。
【0045】
先ず収差補正装置による色収差係数Cccに対して、合成倍率M12を変化させて式(6)がCcR=0となるような合成倍率M12を定める。このように定めた合成倍率M12に対応して、前述のように式(3)および(4)によって第1および第2のレンズL1,L2の焦点距離f1,f2が定まる。
【0046】
次に、収差補正装置の静電8極子11,12,13,14を制御しても基準軌道やその色収差係数Cccは変化しないので、これらの静電8極子11,12,13,14を制御して式(7)のCsR=0になるようにその球面収差係数Cscを定める。
【0047】
このような手順によって、第2のレンズL2の結像位置Z2の位置を一定に保ったまま、収差補正装置の色収差係数Cccを変更せずに、合成収差係数合成収差係数CcR,CsRを補正することができる。図4は、収差補正装置と前記合成レンズの色収差および球面収差が補正された状態を示す図である。
【0048】
次に、荷電粒子プローブを試料表面にフォーカスさせるフォーカス調整について説明する。原理的には、図6のごとく、第2のレンズL2の任意の結像位置Z2または像距離b2の値に対して、フォーカス条件と色収差補正条件を同時に満たす焦点距離f1,f2を定めることが可能である。
【0049】
すなわち、次の式(8)のように、合成色収差係数CcRの第2項に第2レンズL2の像距離b2にも依存性を持たせる。前記色収差係数CcRにおいては、前記像距離b2は固定されていたが、ここでは像距離b2を変数とする。
【0050】
CcR=Ccc・M12 2+CcL(b2,M12) (8)
この式(8)を用いると、合成された色収差係数を補正する式(8)についてCcR=0という条件下において、与えられた前記色収差係数Cccと前記像距離b2から、前記合成倍率M12が得られる。前述のように、式(4)および式(5)を用いると、この合成倍率M12から焦点距離f1,f2が定められる。
【0051】
ここでは、第1および第2のレンズL1,L2の合成倍率M12からその焦点距離f1,f2が同時に得られている。
【0052】
このようにして、合成倍率M12を一定に保ったままで対物レンズの焦点距離を単独で調整することによって、フォーカス調整の精度を向上させることができる。
【0053】
このように図4のごとく対物レンズの焦点距離を一定に保ったままで合成倍率M12の値を変えて収差補正量を調整したり、図6のごとく合成倍率M12の値を一定に保ったままで対物レンズの焦点距離をそれぞれ独立に調整することにより、前述した理論値からの誤差や、装置間の誤差に有効に対処することができる。
【0054】
次に、本実施の形態における前述の理論を具体的に適用する態様について説明する。
【0055】
図1では図3よりも実際の動作に近い形で光線図が描かれており、図1では追加レンズ27の結像位置が対物レンズ7の試料面位置よりも後方にあるが、光学的には図3と同様に考えることができる。図1を図2に対応させて考えると、上述の説明より明らかなように、X方向については4段目の静電型4極子4と追加レンズ27を1つのレンズL1として考え、収差補正装置10からの出射ビームが平行である場合には、対応関係は、
追加レンズ27→L1,Ca4→a1,b1→b1
対物レンズ7→L2,aoL→a2,boL→b2
とする。Y方向についても同様に考えることができる。
【0056】
なお、図1中において、符号a0L+Sおよびb0Lは、追加レンズ27および対物レンズ7の像距離をそれぞれ示している。また、符号ca4は4段目の4極子のX方向の物体距離を表し、本構成では3段目および4段目の静電型4極子3,4のX方向の主面間の距離に等しい。
【0057】
具体的な動作は、次のように行う。
【0058】
第1の段階として、収差補正装置の調整を行う前に、操作表示部9でフォーカス調整を行うと、対物レンズおよび追加レンズ用電源17は、対物レンズ7または追加レンズ27の何れか一方の焦点距離を変化させる。これによって、収差調整とは無関係に荷電粒子プローブを試料面にフォーカスさせることが可能になる。
【0059】
第2の段階として、前述のごとく荷電粒子プローブの試料面へのフォーカスを変えることなく合成倍率M12を調整して操作表示部9で収差調整を行うと、前記電源17は対物レンズ7および追加レンズ27のそれぞれの焦点距離を同時に設定し、試料面上でフォーカスしている荷電粒子プローブの色収差を調整して収差がないようにする。
【0060】
必要なら前記第1および第2の段階に従い交互に調整することによって所要の状態にフォーカスと色収差を収束させる。
【0061】
なお、収差補正のために、対物レンズ7と追加レンズ27の合成倍率M12を変化させたことによって、試料に入射するプローブの入射角は変化する。しかし、本実施の形態は、本実施の形態は試料に入射する最適な開き角を得るための構成と組み合わせることができることは明らかである。このような構成は、本件発明者らが特願2001−354335号において提案しているように、例えば光軸L0上に開き角を制御するためのレンズを配置することによって実現される。
【0062】
図7は、第2の実施の形態を示す図である。
【0063】
第2の実施の形態においては、前述した第1の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を用いて説明を省略することにする。
【0064】
前記第1の実施の形態では、追加レンズ27は収差補正装置10と対物レンズ7の間に配置するが、実現し得る焦点距離の可変範囲(従って合成倍率M12の可変範囲)に由来する制限を除いては、特にその位置関係については制約は設けなかった。しかし、本件発明者らは特願2002−189812号において収差補正装置10の最終段付近を追加レンズ27の物面とし、これに共役な追加レンズ27の像面を対物レンズ7の前方焦点面(FFP)付近となるように追加レンズ系を配置することができることを提案している。このような追加レンズ27はトランスファーレンズとも呼ばれる。
【0065】
なお、以下では追加レンズ27は、対応する2枚のトランスファーレンズによって構成されるが、簡単のためにこれらのレンズ系も追加レンズ27と呼ぶことにする。
【0066】
図7には、追加レンズ27として、第1および第2のトランスファーレンズ27a,27bの2個を配置した例が示されている。収差補正装置10から対物レンズ7に至る点線がこの共役な面の間の対応を示している。
【0067】
図7では、収差補正装置10から光軸L0に平行に出射したビームが、第1のトランスファーレンズ27aの像面Z1で光軸L0と交わり、第2のトランスファーレンズ27bを出射後に再び光軸L0に対して平行にある動作例を示している。この場合、第1および第2のトランスファーレンズ27a,27bによって調整される倍率MABは、
MAB=b1/a2
である。これを図3に対応させると、X方向の軌道Rxについては、4段目の静電4極子4と第1のトランスファーレンズ27aを第1のレンズL1と、第2のトランスファーレンズ27bと対物レンズ7を第2のレンズL2とし、第1および第2のレンズL1,L2の間隔をSと考えることができる。Y方向についても同様である。
【0068】
この系では、例えば操作表示部9からフォーカス調整を行う場合には対物レンズおよび追加レンズ用電源17を制御して対物レンズ7のboL(=foL)を調整し、操作表示部9から収差調整を行う場合には前記電源17を制御して、第1のトランスファーレンズ27aの焦点距離f1と第2のトランスファーレンズ27bの焦点距離f2を
f1=a2
f2=b1 (a2+b1=S)
を満たすように倍率を調整すれば良い。このようにすれば、収差補正装置10と対物レンズ7の合成収差による高次収差が収差補正時に軽減されるだけでなく、フォーカス調整と収差調整が分離して行えるようになる。
【0069】
なお、上記の例では、第1のトランスファーレンズ27aに入射するビームや第2のトランスファーレンズ27bを出射するビームは平行であるとしたが、これは傾斜していても同様のフォーカス調整や収差補正が行えることが明らかである。
【0070】
図8は、第3の実施の形態を示す図である。
【0071】
前記第2の実施の形態では、追加レンズとして、2個のトランスファーレンズを用いる場合について説明したが、これは1個のトランスファーレンズに置き換えても実現することができる。
【0072】
収差補正装置10と対物レンズ7の間隔をTとし、この中間付近に1個のトランスファーレンズ27を配置し、トランスファーレンズ27の焦点距離f1をT/4程度とすると、収差補正装置10の終端付近が対物レンズ7の前方焦点付近と共役になる。この状態で、フォーカス調整をする場合には操作表示部9から対物レンズおよび追加レンズ用電源17を制御して対物レンズ7の像距離boLを調整し、操作表示部9から収差調整を行う場合には前記電源17を制御して、像距離boLが一定の条件で、トランスファーレンズ27の焦点距離f1と対物レンズ7の焦点距離foLを連動して変化させるように倍率を調整すれば良い。
【0073】
なお、図8では、収差補正装置10の結像位置Zcをトランスファーレンズ27の前方に配置したが、この結像位置Zcはトランスファーレンズ27の後方に配置してもよい。すなわち、収差補正装置10からは平行でビームが出射し、トランスファーレンズ27と対物レンズ7との間にクロスオーバー位置(結像位置)を配置しても同等であることは明らかである。
【0074】
上述のように、本実施の形態では、収差補正装置と対物レンズとの間に少なくとも1個以上の追加レンズ系を設け、追加レンズ系と対物レンズによる収差調整とフォーカス調整とが独立に行えるようになった。従って、フォーカス条件と収差補正条件を同時に満足する条件を見つけやすくなった。また、フォーカス調整と収差補正の調整により、確実に最適位置が見出せるようになった。
【0075】
また、本実施の形態では、加速電圧、作動距離または荷電粒子のプローブ電流の何れかを変更したとき、収差補正装置の磁場型4極子の励磁を一定に保つことを特徴とする系と組み合わせた。従って、これらの条件変更に対して磁場を一定に保っても色収差が確実に補正でき、かつフォーカス調整が容易に行えるようになった。また、磁場を変更する必要がないため、磁場ドリフトの影響を受けずに、自在に収差量が調整できるようになった。
【0076】
さらに、本実施の形態では、追加レンズ系と対物レンズによる収差調整では、追加レンズ系と対物レンズの合成倍率を変更しても対物レンズのフォーカス位置を一定に保つようにした。従って、収差量調整時のフォーカスのずれを軽減できるようになった。また、収差量調整時のフォーカスのずれがないので、フォーカス最調整時の収差量の変化も軽減できるようになった。
【0077】
さらにまた、本実施の形態では、追加レンズ系と対物レンズによる合成倍率を一定にしながら、対物レンズの結像位置を調整可能なモードを設けた。従って、焦点距離変化時に収差係数の変化がない条件においては、フォーカス調整時の収差補正量の変化が軽減できるようになった。
【0078】
そして、本実施の形態では、基準となる補正条件では、収差補正装置の最終段付近を追加レンズ系の物面とし、これに共役な追加レンズ径の像面を対物レンズの前方焦点付近となるように追加レンズ系を配置した。従って、基準となる位置で収差補正装置と対物レンズとの合成収差による高次収差を軽減できるようになった。
【0079】
【発明の効果】
すなわち、本発明によると、安定かつ最適な収差補正を実現し、最小プローブ系を得ることができるような収差補正装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の荷電粒子光学装置を示す図である。
【図2】荷電粒子光学装置が組み込まれた走査電子顕微鏡を示す図である。
【図3】本実施の形態の原理を示す図である。
【図4】本実施の形態の原理を示す図である。
【図5】本実施の形態の原理を示す図である。
【図6】本実施の形態の原理を示す図である。
【図7】第2の実施の形態の荷電粒子光学装置を示す図である。
【図8】第3の実施の形態の荷電粒子光学装置を示す図である。
【図9】従来の荷電粒子光学装置を示す図である。
【図10】前記第1の実施の形態の基となる荷電粒子光学装置を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査電子顕微鏡などの電子ビーム装置やイオンマイクロプローブなどのイオンビーム装置のような荷電粒子ビーム装置に用い、試料に荷電粒子ビームを収束させる荷電粒子光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査電子顕微鏡や透過電子顕微鏡において、高分解能の像を観察したりプローブ電流密度を上げることを目的として、電子光学系の中に収差補正装置が組み込まれている。この収差補正装置として,色収差を静電4極子と磁場型4極子の組み合わせで補正し、球面収差を4段の8極子で補正する方式が提案されている。その原理については、非特許文献1〜3に示す文献に詳しく紹介されている。
【0003】
ここで、上記した収差補正装置の原理の概略を、図9に基づいて説明する。図9において、対物レンズ7の前段に収差補正装置10が配置されている。収差補正装置10は、4段の静電型4極子1,2,3,4と、静電型4極子の2段目と3段目が作り出す電位分布と相似な磁位分布を作り出し、電界と重畳した磁界を形成する2段の磁場型4極子5,6と、4段の静電型4極子が形成する電界と重畳した電界を形成する4段の静電型8極子11,12,13,14とより構成されている。なお、図中の符号PPは、対物レンズ7の主面を示している。
【0004】
このような構成において、光軸L0に沿って図の左側から入射した荷電粒子ビームは、4段の静電型4極子1,2,3,4と対物レンズ7によって、基準となる荷電粒子ビームの軌道が作られ、試料面20に荷電粒子ビームがフォーカスされる。この図9では、荷電粒子ビームが進行する光軸L0方向をZ方向として、このZ方向に直行する粒子線のX方向の軌道RxとY方向の軌道Ryとを同じ平面上にまとめて模式的に描いている。
【0005】
基準軌道とは、近軸軌道(収差が無いときの軌道と考えてよい)として、4極子1によってY方向の軌道Ryが4極子2の中心を通り、4極子2によってX方向の軌道Rxが4極子3の中心を通り、最後に4極子3,4と対物レンズ7によって荷電粒子ビームが試料面にフォーカスされる軌道をいう。実際には完全なフォーカスのために、これらの相互調整が必要になる。
【0006】
次に、収差補正装置Cによる色収差補正について説明する。図9に示したような系で先ず色収差を補正するには、上記の基準軌道を変えないように静電型4極子2の電位φq2[V]と磁場型4極子5の励磁J2[AT](あるいは磁位)が調整され、レンズ系全体としてX方向の色収差が0に補正される。同様に基準軌道を変えないように静電型4極子3の電位φq3[V]と磁場型4極子6の励磁J3[V]が調整され、レンズ系全体としてY方向の色収差が0に補正される。
【0007】
次に、球面収差補正(3次の開口収差補正)について説明する。球面収差を補正する場合には、X,Y方向の色収差の補正を行った後に、静電型8極子12の電位φ02[V]によってレンズ系全体としてX方向の球面収差を0に補正し、静電型8極子13の電位φ03[V]によってY方向の球面収差を0に補正する。次に、XYが合成された方向の球面型収差を静電型8極子11,14で0に補正する。実際は、交互の繰り返し調整が必要になる。
【0008】
なお、4極子や8極子の電位や励磁の重畳は、1個の12極子を用いて、12極の各極子に印加する電位や励磁を変化させる2極子、4極子、6極子、8極子などの合成が行われ、実用化されているが、ここではそれらについて述べない。また、このような電界型や磁界型の多極子を複数個用いて、粒子光学系の収差量を調整する機構を以下では収差補正装置と呼ぶことにする。
【0009】
【非特許文献1】
H. Rose, Optik 33, Heft 1, 1−23 (1971)
【非特許文献2】
J. Zach, Optik 83, No. 1, 30−40 (1989)
【非特許文献3】
J. Zach and M. Haider, Nucl. Instr. and Meth. In Phys. Res. A 363, 316−325 (1995)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記の理論や実験に基づく結果、例えば図9に示した従来の技術にはすばらしいものがあるが、さらに操作性を向上させる観点からは必ずしも十分な配慮が成されていなかった。以下には、従来方式の不具合について記す。
【0011】
第1には、加速電圧や作動距離を変えたとき、収差を再度補正したり、粒子プローブを試料面に再度フォーカスし直すことが必要であるが、両者が相互に影響し合うため、操作は面倒であった。
【0012】
第2には、実際の操作においては、最小プローブを得るために、収差係数が理論値や計算値からのズレや機差に対処するための微妙な調整が望まれるが、前記第1の問題点があるため、そのような操作も当然ながら大変厄介であった。
【0013】
本発明は、従来は配慮されていなかったこれらの問題を解決し、安定かつ最適な収差補正を実現し、最小プローブ径を得ることができるような荷電粒子光学装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、本発明に係る荷電粒子光学装置は、荷電粒子ビームをフォーカスさせて試料に照射させる荷電粒子光学装置において、4段の静電型4極子と、前記4段の静電型4極子の中央の2段の静電型4極子の電位分布と相似な磁位分布を重畳させる2段の静磁型4極子と、前記4段の静電型4極子に8極子電位を重畳させる4段の静電型8極子と、対物レンズと、前記4段の静電型4極子、前記2段の静磁型4極子および前記4段の静電型8極子と前記対物レンズとの間に配置された追加レンズと、を有し、前記追加レンズおよび対物レンズによって、収差調整およびフォーカス調整を独立に行う。
【0015】
すなわち、本発明に係る荷電粒子装置は、前記4段の静電型4極子、前記2段の静磁型4極子、及び前記4段の静電型8極子を備える収差補正装置と、前記対物レンズと、前記追加レンズとを有する。
【0016】
前記収差補正は、前記収差補正装置、前記対物レンズ及び前記追加レンズを含めた全系の色収差と球面収差について、前記色収差を補正するように前記対物レンズ及び前記追加レンズの合成倍率を求め、この合成倍率に基づいて前記対物レンズ及び前記追加レンズの焦点距離をそれぞれ定めて色収差を補正し、前記静電8極子を制御して前記球面収差を補正するようにすることが望ましい。
【0017】
前記フォーカス調整は、前記全系の色収差を補正するように前記合成倍率を求め、この合成倍率に基づいて前記対物レンズ及び前記追加レンズの焦点距離を定めることにより行うのが望ましい。
【0018】
また、前記荷電粒子ビームの加速電圧、作動距離、またはプローブ電流の変更に関わらず、前記2段の静磁型4極子の励磁を一定に保つことが望ましい。
【0019】
さらに、前記追加レンズおよび前記対物レンズの合成倍率を変更しても、前記対物レンズの焦点位置を一定に保つことが望ましい。
【0020】
さらにまた、前記追加レンズおよび対物レンズの合成倍率を一定に保ちつつ、前記対物レンズの結像位置を調整可能であることが望ましい。
【0021】
そして、前記追加レンズは、前記4段の静電型4極子または前記4段の静電型8極子の最終段付近を物面とし、これに共役な像面を前記対物レンズの前方焦点付近となるように配置されたことが望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る荷電粒子光学装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、荷電粒子光学装置の第1の実施の形態を示す図である。
【0024】
第1の実施の形態の荷電粒子光学装置は、荷電粒子ビームの一部をプローブとして試料に照射するものであって、色収差を補正するために、4段の静電型4極子1,2,3,4と、中央の2段の静電型4極子2,3の電位分布と相似な磁位分布を重畳させる2段の磁場型4極子5,6と、対物レンズ7と、4段目の静電4極子と対物レンズ7の間に配置された追加レンズ27と、光路の一部に設けられた図示しない対物絞り8と、加速電圧や作動距離を変更する操作表示部9と、4段の静電4極子1,2,3,4に電圧を供給する電源10と、2段の磁場型4極子5,6を励磁する電源15と、対物レンズ7および追加レンズ27用の電源17と、操作表示部9の操作または設定に基づいて前記電源10,15,17を制御する制御部19が設けられている。
【0025】
なお、対物レンズ7および追加レンズ27は、磁場型の場合は電源17から供給される電流を変えることによって、静電型の場合には電源17から供給される電圧を変えることによって、あるいは電場・磁場重畳型の場合は電源17から供給される電流および電圧を調節することによって、レンズの強度が調節される。更に、荷電粒子が高速のイオンの場合には、荷電粒子の質量に関係なく同じ屈折力が得られる静電型の対物レンズ7および追加レンズ27が用いられる。
【0026】
また、第1の実施の形態の荷電粒子光学装置は、球面収差を補正するために、前記した各構成要素に加えて4段の静電型4極子1,2,3,4の電位分布に8極子電位を重畳させる4段の静電型8極子11,12,13,14と、4段の静電型8極子11,12,13,14に電圧を供給する電源18と、操作表示部9の操作または設定に基づいて前記電源18を制御する制御部19が設けられている。
【0027】
以下において、上記4段の静電型4極子1,2,3,4と2段の磁場型4極子5,6と、これに各電源10,15を含めたもの、あるいはこれらに更に4段の静電型8極子11,12,13,14と電源18を含めたものを収差補正装置と呼ぶことにする。そして光学装置の目的に応じて、前者だけを構成して色収差を補正可能としたもの、後者も構成して色収差及び球面収差が補正可能としたものと使い分けられる。
【0028】
このような収差補正装置10は、例えば図2に示す如くに走査電子顕微鏡などに組み込まれる。この場合、荷電粒子には電子が該当することになる。
【0029】
内部が真空雰囲気にされた鏡筒100内には、電子ビームを発生し、加速電圧によって電子にエネルギーを与える電子銃101、電子銃101で発生した電子ビームを収束し、かつ電子ビーム電流を適当な値に制限するためのコンデンサレンズ102と対物絞り103、収差補正装置104(図1の収差補正装置10に相当)、電子ビームを二次元的に偏向して操作するための偏向器105、電子ビームをフォーカスして試料109に照射する追加レンズ106および対物レンズ107、電子ビームの照射・走査に伴ってステージ108に保持された試料109から発生する二次電子などの信号を検出する検出器110が備えられている。
【0030】
なお、本件発明者らは、特願2001−354335号において、以下の提案を行っている。すなわち、磁場型4極子5,6の励磁を一定に維持しつつ、色収差補正、又は色収差・球面収差補正をする構成とすることができる。この構成では、2段目の磁場型4極子5の励磁J2と3段目の磁場型4極子6の励磁J3とを常に一定に保ち、一方、静電型4極子の補正電圧と4段目の4極子4と対物レンズ7とによる合成倍率を調整することによって収差補正を行う。
【0031】
また、図10に示すように、4段目の静電型4極子4の調整によるX,Y方向の倍率の変化や収差補正装置内の基準軌道内を維持するためのフォーカスの再調整を避けるため4段目の静電型4極子4と対物レンズ7との間に追加レンズ27を配置し、加速電圧を変えた場合には主に追加レンズ27と対物レンズ7との合成倍率を変えるように構成することもできる。
【0032】
図3〜6を用いて、本実施の形態の動作原理を説明する。ここでは理解を容易にするため、収差補正装置の下段に第1および第2のレンズL1,L2という2つのレンズがあり、更にその下段に第2のレンズL2の像面位置Z2になる試料面があるものとする。補正すべき収差を発生させる多極子群を収差補正装置と呼ぶことにして、収差補正装置の像面の位置をZcとする。第1のレンズL1の物体距離をa1、像面位置をZ1、像距離をb1とする。また、第2のレンズL2の物体距離をa2、像面位置をZ2、像距離をb2とする。さらに、第1および第2のレンズL1,L2の主面間の距離をSとする。
【0033】
第2のレンズL2の物体距離は、a2=S−b1で表されるため、第1および第2のレンズL1,L2の合成倍率M12は、次の式(1)で与えられる。
【0034】
【数1】
この式(1)を第1のレンズL1の像距離b1について解くと、次の式(2)が得られる。
【0035】
【数2】
収差補正装置の像面位置Zcを固定して考える場合、第1のレンズL1の物体距離a1は一定の値になる。また、第2のレンズL2の像面位置Z2を固定するには、第2のレンズL2の像距離b2を一定にする必要がある。さらに、第1および第2のレンズL1,L2の主面間の距離Sは一定である。
【0036】
従って、像面位置Zc,Z2を固定する場合、前記物体距離a1、前記像距離b2および主面間の距離Sは、一定値である。この場合、第1のレンズの像距離b1は、次の式(3)のように、合成倍率M12のみを変数とする関数と見なすことができる。
【0037】
b1=b1(M12) (3)
この式(3)から、合成倍率M12が与えられると、式(2)によって第1のレンズの像距離b1を求めることができる。
【0038】
このように、収差補正装置の像面の位置Zcから第1のレンズL1の物体距離a1が得られ、合成倍率M12に依存する値の第1のレンズL1の像距離b1が得られた。同時に、第1および第2のレンズL1,L2の主面間の距離Sが一定であることを用いて第1のレンズL1の像距離b1から第2のレンズの物体距離a2(=S−b1)得られ、第2のレンズL2の像面の位置Z2から第2のレンズL2の像距離b2が得られた。
【0039】
これら第1のレンズL1の物体距離a1および像距離b1、第2のレンズL2の物体距離a2および像距離b2を用いて、次の式(4)および(5)により第1および第2のレンズL1,L2の焦点距離f1,f2を求めることができる。このようにして、合成倍率M12の値に基づいて第1および第2のレンズL1,L2の焦点距離f1,f2の値が得られた。
【0040】
【数3】
【数4】
前述のように、このような焦点距離f1,f2は、第1および第2のレンズL1,L2を電源から供給する電流または電圧によって制御することができる。
【0041】
次に、収差補正装置が元々光学系が有する収差を打ち消すために、像面Zcに発生させる色収差係数をCcc、球面収差係数をCscとする。また、収差補正以前(荷電粒子ビームは前述の基準軌道を通ってはいるが、未だ収差補正のための電圧等は印加されていない状態)における光学系全体によって像面Z2に発生している色収差係数をCcL、球面収差係数をCsLとする。
【0042】
これらの係数を用いると、像面Z2において、元々存在する収差とそれを打ち消すための収差補正装置に発生させた収差とを重畳した合成収差係数は、次の式(6)および(7)で与えられる。
【0043】
色収差係数: CcR=Ccc・M12 2+CcL(M12) (6)
球面収差係数:CsR=Csc・M12 4+CsL(M12) (7)
ここで、合成倍率M12の値を変えると元々光学系が有する収差量が多少とも変化することを考慮して、前記色収差係数CcLおよび球面収差係数CsLは合成倍率M12の関数であるとした。
【0044】
これらの式(6)および(7)を用いて、以下のような手順で合成収差係数CcR,CsRを補正する。
【0045】
先ず収差補正装置による色収差係数Cccに対して、合成倍率M12を変化させて式(6)がCcR=0となるような合成倍率M12を定める。このように定めた合成倍率M12に対応して、前述のように式(3)および(4)によって第1および第2のレンズL1,L2の焦点距離f1,f2が定まる。
【0046】
次に、収差補正装置の静電8極子11,12,13,14を制御しても基準軌道やその色収差係数Cccは変化しないので、これらの静電8極子11,12,13,14を制御して式(7)のCsR=0になるようにその球面収差係数Cscを定める。
【0047】
このような手順によって、第2のレンズL2の結像位置Z2の位置を一定に保ったまま、収差補正装置の色収差係数Cccを変更せずに、合成収差係数合成収差係数CcR,CsRを補正することができる。図4は、収差補正装置と前記合成レンズの色収差および球面収差が補正された状態を示す図である。
【0048】
次に、荷電粒子プローブを試料表面にフォーカスさせるフォーカス調整について説明する。原理的には、図6のごとく、第2のレンズL2の任意の結像位置Z2または像距離b2の値に対して、フォーカス条件と色収差補正条件を同時に満たす焦点距離f1,f2を定めることが可能である。
【0049】
すなわち、次の式(8)のように、合成色収差係数CcRの第2項に第2レンズL2の像距離b2にも依存性を持たせる。前記色収差係数CcRにおいては、前記像距離b2は固定されていたが、ここでは像距離b2を変数とする。
【0050】
CcR=Ccc・M12 2+CcL(b2,M12) (8)
この式(8)を用いると、合成された色収差係数を補正する式(8)についてCcR=0という条件下において、与えられた前記色収差係数Cccと前記像距離b2から、前記合成倍率M12が得られる。前述のように、式(4)および式(5)を用いると、この合成倍率M12から焦点距離f1,f2が定められる。
【0051】
ここでは、第1および第2のレンズL1,L2の合成倍率M12からその焦点距離f1,f2が同時に得られている。
【0052】
このようにして、合成倍率M12を一定に保ったままで対物レンズの焦点距離を単独で調整することによって、フォーカス調整の精度を向上させることができる。
【0053】
このように図4のごとく対物レンズの焦点距離を一定に保ったままで合成倍率M12の値を変えて収差補正量を調整したり、図6のごとく合成倍率M12の値を一定に保ったままで対物レンズの焦点距離をそれぞれ独立に調整することにより、前述した理論値からの誤差や、装置間の誤差に有効に対処することができる。
【0054】
次に、本実施の形態における前述の理論を具体的に適用する態様について説明する。
【0055】
図1では図3よりも実際の動作に近い形で光線図が描かれており、図1では追加レンズ27の結像位置が対物レンズ7の試料面位置よりも後方にあるが、光学的には図3と同様に考えることができる。図1を図2に対応させて考えると、上述の説明より明らかなように、X方向については4段目の静電型4極子4と追加レンズ27を1つのレンズL1として考え、収差補正装置10からの出射ビームが平行である場合には、対応関係は、
追加レンズ27→L1,Ca4→a1,b1→b1
対物レンズ7→L2,aoL→a2,boL→b2
とする。Y方向についても同様に考えることができる。
【0056】
なお、図1中において、符号a0L+Sおよびb0Lは、追加レンズ27および対物レンズ7の像距離をそれぞれ示している。また、符号ca4は4段目の4極子のX方向の物体距離を表し、本構成では3段目および4段目の静電型4極子3,4のX方向の主面間の距離に等しい。
【0057】
具体的な動作は、次のように行う。
【0058】
第1の段階として、収差補正装置の調整を行う前に、操作表示部9でフォーカス調整を行うと、対物レンズおよび追加レンズ用電源17は、対物レンズ7または追加レンズ27の何れか一方の焦点距離を変化させる。これによって、収差調整とは無関係に荷電粒子プローブを試料面にフォーカスさせることが可能になる。
【0059】
第2の段階として、前述のごとく荷電粒子プローブの試料面へのフォーカスを変えることなく合成倍率M12を調整して操作表示部9で収差調整を行うと、前記電源17は対物レンズ7および追加レンズ27のそれぞれの焦点距離を同時に設定し、試料面上でフォーカスしている荷電粒子プローブの色収差を調整して収差がないようにする。
【0060】
必要なら前記第1および第2の段階に従い交互に調整することによって所要の状態にフォーカスと色収差を収束させる。
【0061】
なお、収差補正のために、対物レンズ7と追加レンズ27の合成倍率M12を変化させたことによって、試料に入射するプローブの入射角は変化する。しかし、本実施の形態は、本実施の形態は試料に入射する最適な開き角を得るための構成と組み合わせることができることは明らかである。このような構成は、本件発明者らが特願2001−354335号において提案しているように、例えば光軸L0上に開き角を制御するためのレンズを配置することによって実現される。
【0062】
図7は、第2の実施の形態を示す図である。
【0063】
第2の実施の形態においては、前述した第1の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を用いて説明を省略することにする。
【0064】
前記第1の実施の形態では、追加レンズ27は収差補正装置10と対物レンズ7の間に配置するが、実現し得る焦点距離の可変範囲(従って合成倍率M12の可変範囲)に由来する制限を除いては、特にその位置関係については制約は設けなかった。しかし、本件発明者らは特願2002−189812号において収差補正装置10の最終段付近を追加レンズ27の物面とし、これに共役な追加レンズ27の像面を対物レンズ7の前方焦点面(FFP)付近となるように追加レンズ系を配置することができることを提案している。このような追加レンズ27はトランスファーレンズとも呼ばれる。
【0065】
なお、以下では追加レンズ27は、対応する2枚のトランスファーレンズによって構成されるが、簡単のためにこれらのレンズ系も追加レンズ27と呼ぶことにする。
【0066】
図7には、追加レンズ27として、第1および第2のトランスファーレンズ27a,27bの2個を配置した例が示されている。収差補正装置10から対物レンズ7に至る点線がこの共役な面の間の対応を示している。
【0067】
図7では、収差補正装置10から光軸L0に平行に出射したビームが、第1のトランスファーレンズ27aの像面Z1で光軸L0と交わり、第2のトランスファーレンズ27bを出射後に再び光軸L0に対して平行にある動作例を示している。この場合、第1および第2のトランスファーレンズ27a,27bによって調整される倍率MABは、
MAB=b1/a2
である。これを図3に対応させると、X方向の軌道Rxについては、4段目の静電4極子4と第1のトランスファーレンズ27aを第1のレンズL1と、第2のトランスファーレンズ27bと対物レンズ7を第2のレンズL2とし、第1および第2のレンズL1,L2の間隔をSと考えることができる。Y方向についても同様である。
【0068】
この系では、例えば操作表示部9からフォーカス調整を行う場合には対物レンズおよび追加レンズ用電源17を制御して対物レンズ7のboL(=foL)を調整し、操作表示部9から収差調整を行う場合には前記電源17を制御して、第1のトランスファーレンズ27aの焦点距離f1と第2のトランスファーレンズ27bの焦点距離f2を
f1=a2
f2=b1 (a2+b1=S)
を満たすように倍率を調整すれば良い。このようにすれば、収差補正装置10と対物レンズ7の合成収差による高次収差が収差補正時に軽減されるだけでなく、フォーカス調整と収差調整が分離して行えるようになる。
【0069】
なお、上記の例では、第1のトランスファーレンズ27aに入射するビームや第2のトランスファーレンズ27bを出射するビームは平行であるとしたが、これは傾斜していても同様のフォーカス調整や収差補正が行えることが明らかである。
【0070】
図8は、第3の実施の形態を示す図である。
【0071】
前記第2の実施の形態では、追加レンズとして、2個のトランスファーレンズを用いる場合について説明したが、これは1個のトランスファーレンズに置き換えても実現することができる。
【0072】
収差補正装置10と対物レンズ7の間隔をTとし、この中間付近に1個のトランスファーレンズ27を配置し、トランスファーレンズ27の焦点距離f1をT/4程度とすると、収差補正装置10の終端付近が対物レンズ7の前方焦点付近と共役になる。この状態で、フォーカス調整をする場合には操作表示部9から対物レンズおよび追加レンズ用電源17を制御して対物レンズ7の像距離boLを調整し、操作表示部9から収差調整を行う場合には前記電源17を制御して、像距離boLが一定の条件で、トランスファーレンズ27の焦点距離f1と対物レンズ7の焦点距離foLを連動して変化させるように倍率を調整すれば良い。
【0073】
なお、図8では、収差補正装置10の結像位置Zcをトランスファーレンズ27の前方に配置したが、この結像位置Zcはトランスファーレンズ27の後方に配置してもよい。すなわち、収差補正装置10からは平行でビームが出射し、トランスファーレンズ27と対物レンズ7との間にクロスオーバー位置(結像位置)を配置しても同等であることは明らかである。
【0074】
上述のように、本実施の形態では、収差補正装置と対物レンズとの間に少なくとも1個以上の追加レンズ系を設け、追加レンズ系と対物レンズによる収差調整とフォーカス調整とが独立に行えるようになった。従って、フォーカス条件と収差補正条件を同時に満足する条件を見つけやすくなった。また、フォーカス調整と収差補正の調整により、確実に最適位置が見出せるようになった。
【0075】
また、本実施の形態では、加速電圧、作動距離または荷電粒子のプローブ電流の何れかを変更したとき、収差補正装置の磁場型4極子の励磁を一定に保つことを特徴とする系と組み合わせた。従って、これらの条件変更に対して磁場を一定に保っても色収差が確実に補正でき、かつフォーカス調整が容易に行えるようになった。また、磁場を変更する必要がないため、磁場ドリフトの影響を受けずに、自在に収差量が調整できるようになった。
【0076】
さらに、本実施の形態では、追加レンズ系と対物レンズによる収差調整では、追加レンズ系と対物レンズの合成倍率を変更しても対物レンズのフォーカス位置を一定に保つようにした。従って、収差量調整時のフォーカスのずれを軽減できるようになった。また、収差量調整時のフォーカスのずれがないので、フォーカス最調整時の収差量の変化も軽減できるようになった。
【0077】
さらにまた、本実施の形態では、追加レンズ系と対物レンズによる合成倍率を一定にしながら、対物レンズの結像位置を調整可能なモードを設けた。従って、焦点距離変化時に収差係数の変化がない条件においては、フォーカス調整時の収差補正量の変化が軽減できるようになった。
【0078】
そして、本実施の形態では、基準となる補正条件では、収差補正装置の最終段付近を追加レンズ系の物面とし、これに共役な追加レンズ径の像面を対物レンズの前方焦点付近となるように追加レンズ系を配置した。従って、基準となる位置で収差補正装置と対物レンズとの合成収差による高次収差を軽減できるようになった。
【0079】
【発明の効果】
すなわち、本発明によると、安定かつ最適な収差補正を実現し、最小プローブ系を得ることができるような収差補正装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の荷電粒子光学装置を示す図である。
【図2】荷電粒子光学装置が組み込まれた走査電子顕微鏡を示す図である。
【図3】本実施の形態の原理を示す図である。
【図4】本実施の形態の原理を示す図である。
【図5】本実施の形態の原理を示す図である。
【図6】本実施の形態の原理を示す図である。
【図7】第2の実施の形態の荷電粒子光学装置を示す図である。
【図8】第3の実施の形態の荷電粒子光学装置を示す図である。
【図9】従来の荷電粒子光学装置を示す図である。
【図10】前記第1の実施の形態の基となる荷電粒子光学装置を示す図である。
Claims (6)
- 荷電粒子ビームをフォーカスさせて試料に照射させる荷電粒子光学装置において、
4段の静電型4極子と、
前記4段の静電型4極子の中央の2段の静電型4極子の電位分布と相似な磁位分布を重畳させる2段の静磁型4極子と、
対物レンズと、
前記4段の静電型4極子、前2段の記静磁型4極子と前記対物レンズとの間に配置された追加レンズと、
を有し、
前記追加レンズおよび対物レンズによって、収差調整およびフォーカス調整を独立に行うこと
を特徴とする荷電粒子光学装置。 - 前記荷電粒子ビームの加速電圧、作動距離、または電流の変更に関わらず、前記2段の静磁型4極子の励磁を一定に保つことを特徴とする請求項1記載の荷電粒子光学装置。
- 前記追加レンズおよび前記対物レンズの合成倍率を変更しても、前記対物レンズの焦点位置を一定に保つことを特徴とする請求項1または2記載の荷電粒子光学装置。
- 前記追加レンズおよび対物レンズの合成倍率を一定に保ちつつ、前記対物レンズの結像位置を調整可能であることを特徴とする請求項1または2記載の荷電粒子光学装置。
- 前記追加レンズは、前記4段の静電型4極子の最終段付近を物面とし、これに共役な像面を前記対物レンズの前方焦点付近となるように配置されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の荷電粒子光学装置。
- 前記4段の静電型4極子に8極子電位を重畳させる4段の静電型8極子を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の荷電粒子光学装置。
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---|---|---|---|
JP2003028481A JP2004241235A (ja) | 2003-02-05 | 2003-02-05 | 荷電粒子光学装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004241235A true JP2004241235A (ja) | 2004-08-26 |
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Family Applications (1)
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-
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- 2003-02-05 JP JP2003028481A patent/JP2004241235A/ja not_active Withdrawn
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