JP2004240170A - 増感部位を有するスルホニルオキシイミド型感放射線性酸発生剤およびそれを用いたポジ型感放射線性樹脂組成物 - Google Patents
増感部位を有するスルホニルオキシイミド型感放射線性酸発生剤およびそれを用いたポジ型感放射線性樹脂組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】保存安定性に優れ、放射線に対する透明性が高く、かつ高感度の新規感放射線性酸発生剤、並びに該感放射線性酸発生剤を含有し、保存安定性、感度、解像度、パターン形状等に優れたポジ型感放射線性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】感放射線性酸発生剤は、電子供与性基を有する芳香族炭化水素基および/または電子供与性基を有する複素環式基がスルホニルオキシイミド基を有する骨格に結合しており、かつ該電子供与性基はその電子供与性原子の部位で該芳香族炭化水素基中の芳香環あるいは該複素環式基中の複素環に結合した構造を有するスルホニルオキシイミド化合物を少なくとも1種含む。
ポジ型感放射線性樹脂組成物は、該感放射線性酸発生剤および酸解離性基含有樹脂を含有する。
【選択図】 なし
【解決手段】感放射線性酸発生剤は、電子供与性基を有する芳香族炭化水素基および/または電子供与性基を有する複素環式基がスルホニルオキシイミド基を有する骨格に結合しており、かつ該電子供与性基はその電子供与性原子の部位で該芳香族炭化水素基中の芳香環あるいは該複素環式基中の複素環に結合した構造を有するスルホニルオキシイミド化合物を少なくとも1種含む。
ポジ型感放射線性樹脂組成物は、該感放射線性酸発生剤および酸解離性基含有樹脂を含有する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性放射線、例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザーあるいはEUVに代表される(超)遠紫外線、電子線等に感応する感放射線性酸発生剤として、優れた熱安定性および保存安定性を有するとともに、平滑性に優れたレジストパターンをもたらすことができるスルホニルオキシイミド化合物、および当該感放射線性酸発生剤を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子等の微細化への要求に伴い、フォトリソグラフィーにおける露光波長の短波長化が進んでおり、近年では露光放射線が、KrFエキシマレーザー(248nm)を経て、ArFエキシマレーザー(波長193nm)やF2 エキシマレーザー(波長157nm)に世代交代が進んでいる。
そして、露光波長の短波長化に伴い、従来から、KrFエキシマレーザーに対して、酸の作用によりアルカリ易溶性となる樹脂に感放射線性酸発生剤を添加した化学増幅型レジストが用いられており、該レジストでは、前世代のg線やi線等の紫外線を用いるレジストと比較して、大幅な高感度化が達成されている。
現在用いられているKrFエキシマレーザー用の化学増幅型レジストの樹脂成分としては、ポリヒドロキシスチレンをベースとしたものが知られているが、この樹脂は波長220nm以下の遠紫外線領域におけるベンゼン環に起因する吸収が大き過ぎるため、ArFエキシマレーザーに適用した場合、レジストパターンの形成が困難である。
そこで、この問題を解決する方法として、樹脂成分に、例えば脂環式骨格を側鎖に有する(メタ)アクリル系樹脂、主鎖にノルボルネン系化合物に由来する脂環式骨格を有する樹脂やノルボルネン系化合物と無水マレイン酸との共重合体等を用いることが提案され、今やこれらの方法がKrFエキシマレーザー用の化学増幅型レジストとして主流となっている。
【0003】
一方、感放射線性酸発生剤については、KrFエキシマレーザーに対して主に用いられているトリフェニルスルホニウム塩等のトリアリールスルホニウム塩類は、ArFエキシマレーザーに適用した場合、高感度、高量子収率である一方で、そのベンゼン環に起因する強い吸収のため、レジスト被膜の下部へ行くほど透過線量が少なくなり、パターン形状が台形(テーパー)状となってしまうという欠点がある。そのため、波長193nmにおいて高い透明性を有する高感度の感放射線性酸発生剤に関して数々の試みがなされている。
その例としては、特許文献1にスルホン酸エステルイミド化合物等が提案されている。しかし、これらの化合物では遠紫外線領域における透明性は非常に高いものの、感度が極めて低く、実用レベルとはいえない。
【0004】
そこで、半導体素子における微細化の進行に対応しうる技術開発の観点から、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザーあるいはEUVに代表される(超)遠紫外線や、電子線に適応可能であり、放射線に対する透明性が高く、特に保存安定性に優れ、しかもレジストとしての基本物性に優れた化学増幅型レジストを与える改良された感放射線性酸発生剤の開発が重要な課題となっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平2001−199955号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、特に保存安定性に優れ、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザーあるいはEUVに代表される(超)遠紫外線や、電子線に適用可能で、放射線に対する透明性が高く、しかも十分な感度を有する新規な感放射線性酸発生剤、並びに当該感放射線性酸発生剤を含有し、保存安定性、感度、解像度、パターン形状等に優れたポジ型感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、放射線に対して増感作用を示す電子供与性基を有する芳香族炭化水素基あるいは複素環式基で置換されたスルホニルオキシイミド化合物が、高感度であるとともに、従来公知の感放射線性酸発生剤より、保存安定性、解像度等にも優れるこを見い出し、本発明を成すに至った。
【0008】
本発明は、第一に、
電子供与性基を有する芳香族炭化水素基および/または電子供与性基を有する複素環式基がスルホニルオキシイミド基を有する骨格に結合しており、かつ該電子供与性基はその電子供与性原子が該芳香族炭化水素基中の芳香環あるいは該複素環式基中の複素環に結合した構造を有するスルホニルオキシイミド化合物(以下、「スルホニルオキシイミド化合物(α)」という。)を少なくとも1種含むことを特徴とする感放射線性酸発生剤、
からなる。
【0009】
本発明は、第二に、
(A)前記感放射線性酸発生剤、および(B)酸解離性基を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離したときにアルカリ易溶性となる樹脂を含有する樹脂を特徴とするポジ型感放射線性樹脂組成物、からなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
感放射線性酸発生剤
スルホニルオキシイミド化合物(α)において、電子供与性基を有する芳香族炭化水素基および電子供与性基を有する複素環式基は、それぞれ1種以上存在することができ、またスルホニルオキシイミド基を有する骨格中の結合可能な全ての位置で結合することができる。
【0011】
スルホニルオキシイミド化合物(α)において、電子供与性基としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、等の電子供与性原子を少なくとも1個あるいは少なくとも1種有する基、より具体的には、ヒドロキシル基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、アミノ基、アミド基等を挙げることができ、好ましくは酸素原子および/または硫黄原子を有する基である。
【0012】
本発明における好ましいスルホニルオキシイミド化合物(α)としては、例えば、下記一般式(1)で表される構造単位がスルホニルオキシイミド基を有する骨格に結合したスルホニルオキシイミド化合物(以下、「スルホニルオキシイミド化合物(α1)」という。)、下記一般式(2)で表される構造単位がスルホニルオキシイミド基を有する骨格に結合したスルホニルオキシイミド化合物(以下、「スルホニルオキシイミド化合物(α2)」という。)等を挙げることができる。
【0013】
【化5】
【0014】
〔一般式(1)において、Aは2価の基を示し、Arは炭素数6〜20の(m+1)価の芳香族炭化水素基または原子数6〜20の(m+1)価の複素環式基を示し、Yは酸素原子または硫黄原子を示し、R1 は置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の原子数6〜20の1価の複素環式基を示し、mは0以上の整数である。但し、m=0のとき、Aの2価の基は電子供与性のヘテロ原子を有し、かつ該ヘテロ原子がAr中の芳香族環あるいは複素環に結合している。〕
【0015】
【化6】
【0016】
〔一般式(2)において、Ar、Y、R1 およびmは一般式(1)におけるそれぞれAr、Y、R1 およびmと同義であり、Z1 およびZ2 は相互に独立にフッ素原子または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のパーフルオロアルキル基を示し、nは1〜10の整数であり、Bは単結合または2価の基を示す。但し、m=0のとき、Bは電子供与性のヘテロ原子を有する2価の基であり、かつ該ヘテロ原子がAr中の芳香族環あるいは複素環に結合している。〕
【0017】
一般式(1)において、Aの2価の基としては、例えば、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭化水素基、主鎖にヘテロ原子を有する2価の基等を挙げることができる。
【0018】
Aの非置換の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基;1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数2〜8のアルキレン基;1,3−シクロペンチレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の炭素数3〜10のシクロアルキレン基;1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、メチル−1,4−フェニレン基、1,4−フェニレンメチレン基等の炭素数6〜14のアリーレン基等を挙げることができる。
【0019】
Aの前記2価の炭化水素基に対する置換基のうち、メチレン基およびアルキレン基に対するものとしては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシ基(例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)等の1個以上あるいは1種以上を挙げることができる。
【0020】
また、シクロアルキレン基およびアリーレン基に対するものとしては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキソ基(=O)、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等)、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等)、炭素数1〜4のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、シアノ基、炭素数2〜5のシアノアルキル基(例えば、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシ基(例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、炭素数1〜4のフルオロアルキル基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)等の1個以上あるいは1種以上を挙げることができる。
【0021】
また、Aの主鎖にヘテロ原子を有する2価の基としては、例えば、前記置換もしくは非置換の2価の炭化水素基の一方の結合手が―O−に結合した基、前記置換もしくは非置換の2価の炭化水素基の一方の結合手が―S−に結合した基、前記置換もしくは非置換の2価の炭化水素基の両方の結合手が―O−に結合した基、前記置換もしくは非置換の2価の炭化水素基の両方の結合手が―S−に結合した基や、−O−、−S−、−SO2 −、−SO−、−SO2 O−、−CO−、−COO−、−OCOO−、−N(R) −、−N(R)CO−、−OCH2 CON(R)−、−O(CH2)2 CON(R)−、−SCH2 CON(R)−、−S(CH2)2 CON(R)−(但し、各Rは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基または炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基を示す。以下同様。)等を挙げることができる。
【0022】
Rの非置換のアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜15、特に好ましくは1〜12であり、Rの非置換の1価の脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜18、さらに好ましくは3〜12、特に好ましくは3〜8であり、Rのアルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜15、特に好ましくは2〜12である。
【0023】
Rの非置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、t−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等を挙げることができる。
【0024】
Rの前記アルキル基に対する置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシ基(例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)等の1個以上あるいは1種以上を挙げることができる。
【0025】
また、Rの非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基、エチルアダマンチル基、n−ブチルアダマンチル基等の有橋脂環式炭化水素基等を挙げることができる。
さらに、Rの炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基としては、ビニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基等を挙げることができる。
【0026】
Rの前記脂環式炭化水素基に対する置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキソ基(=O)、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等)、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等)、炭素数1〜4のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、シアノ基、炭素数2〜5のシアノアルキル基(例えば、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシ基(例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、炭素数1〜4のフルオロアルキル基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)等の1個以上あるいは1種以上を挙げることができる。
【0027】
一般式(1)において、好ましいAの具体例としては、単結合、メチレン基、1,2−エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ジフルオロメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、1,4−フェニレンメチレン基、フルオロ−1,4−フェニレン基、1,1,2,2−テトラフルオロペンタメチレン基、−CH2 O−、−(CH2)2 O−、−(CH2)3 O−、−(CH2)4 O−、−(CH2)5 O−、1,4−シクロヘキシレンオキシ基、1,4−フェニレンオキシ基、−CH2 CO−、−(CH2)2 CO−、−(CH2)3 CO−、−CH2 COO−、−(CH2)2 COO−、−(CH2)3 COO−、−OCH2 COO−、−O(CH2)2 COO−、−O(CH2)3 COO−、
【0028】
−CH2 SO2 −、−(CH2)2 SO2 −、−(CH2)3 SO2 −、−OCH2 SO2 −、−O(CH2)2 SO2 −、−O(CH2)3 SO2 −、−CH2 S−、−(CH2)2 S−、−(CH2)3 S−、−(CH2)4 S−、−(CH2)5 S−、1,4−シクロヘキシレンチオ基、1,4−フェニレンチオ基、−OCH2 CON(R)−、−O(CH2)2 CON(R)−、−S(CH2)2 CON(R)−
等を挙げることができる。
【0029】
一般式(1)および一般式(2)において、Arの炭素数6〜20の(m+1)価の芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜15、さらに好ましくは6〜12、特に好ましくは6〜10である。
【0030】
前記(m+1)価の芳香族炭化水素基の具体例としては、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン、ナフタレン、アントラセン等に由来する基を挙げることができる。
【0031】
また、Arの原子数3〜20の1価の複素環式基は、複素環中に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を1個以上あるいは1種以上含む基であり、該1価の複素環式基の炭素数は、好ましくは2〜15、さらに好ましくは3〜12、特に好ましくは5〜10である。
前記1価の複素環式基の具体例としては、ピリジン、イミダゾリン、モルホリン、ピペリジン、フラン、ピラン、チオフェン等に由来する基を挙げることができる。
【0032】
一般式(1)および一般式(2)において、Arの前記芳香族炭化水素基および複素環式基は、非電子供与性の置換基、例えば、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等)のほか、カルボキシル基、オキソ基(=O)、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等)、シアノ基、炭素数2〜5のシアノアルキル基(例えば、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、炭素数1〜4のフルオロアルキル基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)等を1個以上あるいは1種以上有することもできる。
【0033】
一般式(1)において、好ましいArの具体例としては、ベンゼン、トルエン、p−キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ナフタレン、アントラセン等に由来する基を挙げることができる。
【0034】
一般式(1)および一般式(2)において、R1 の非置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜15、特に好ましくは1〜12である。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、t−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等を挙げることができる。
【0035】
また、R1 の非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜18、さらに好ましくは3〜12、特に好ましくは3〜8である。
前記1価の脂環式炭化水素基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、1−メチル−7,7−ジメチルノルボルニル基、1−(7,7−ジメチルノルボルニル)メチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、3−メチル−1−アダマンチル基、3−エチル−1−アダマンチル基、3−n−プロピル−1−アダマンチル基、3−n−ブチル−1−アダマンチル基、3−メチル−3−アダマンチル基、3−エチル−3−アダマンチル基、3−n−プロピル−3−アダマンチル基、3−n−ブチル−3−アダマンチル基等の炭素数6〜20の有橋脂環式炭化水素基等を挙げることができる。
【0036】
また、R1 の炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜15、特に好ましくは2〜12である。
前記アルケニル基の具体例としては、ビニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基等を挙げることができる。
【0037】
また、R1 の非置換の炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜15、さらに好ましくは6〜12、特に好ましくは6〜10である。
前記1価の芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、ベンジル基、o−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、9−アントリル基等を挙げることができる。
【0038】
また、R1 の非置換の原子数3〜20の1価の複素環式基は、複素環中に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を1個以上あるいは1種以上含む基であり、該1価の複素環式基の原子数は、好ましくは2〜15、さらに好ましくは3〜12、特に好ましくは5〜10である。
前記1価の複素環式基の具体例としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、5−イミダゾリル基、2−モルホリニル基、3−モルホリニル基、2−ピペリジニル基、3−ピペリジニル基、4−ピペリジニル基、2−ピロリジニル基、3−ピロリジニル基等を挙げることができる。
【0039】
R1 の置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基における置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシ基(例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)等の1個以上あるいは1種以上を挙げることができる。
【0040】
また、R1 の置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、置換の炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基および置換の原子数3〜20の1価の複素環式基における置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキソ基(=O)、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等)、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等)、炭素数1〜4のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、シアノ基、炭素数2〜5のシアノアルキル基(例えば、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシ基(例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、炭素数1〜4のフルオロアルキル基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)等の1個以上あるいは1種以上を挙げることができる。
【0041】
一般式(1)において、好ましいR1 の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、t−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、カンホロイル基、2−ノルボニル基、ヒドロキシ−2−ノルボニル基、(2−オキソ−7,7−ジメチルノルボルナン−1−イル)メチル基、フェニル基、p−トルイル基、ベンジル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、メトキシカルボニルジフルオロメチル基等を挙げることができる。
一般式(1)において、mとしては、0〜2が好ましい。
一般式(1)において、m個の−Y−R1 基はAr中の結合可能な全ての位置で結合することができる。
【0042】
一般式(2)において、Bの2価の基としては、例えば、前記一般式(1)におけるAについて例示した基と同様のものを挙げることができ、またArおよびR1 としては、例えば、前記一般式(1)におけるそれぞれArおよびR1 について例示した基と同様のものを挙げることができる。
【0043】
一般式(2)において、好ましいBの具体例としては、単結合、メチレン基、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、−O−、−S−、−CH2 O−、−(CH2)2 O−、−(CH2)3 O−、−CH2 S−、−(CH2)2 S−、−(CH2)3 S−等を挙げることができる。
【0044】
また、好ましいArの具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等に由来する基を挙げることができる。
【0045】
また、好ましいR1 の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、t−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、カンホロイル基、2−ノルボルニル基、3−テトラシクロドデシル基、フェニル基、p−トリル基、ベンジル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、メトキシカルボニルジフルオロメチル基、5−オキソノルボルナン−2−イル基等を挙げることができる。
一般式(2)において、mとしては、0〜2が好ましい。
一般式(2)において、m個の−Y−R1 基はAr中の結合可能な全ての位置で結合することができる。
【0046】
一般式(2)において、Z1 およびZ2 の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフロオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−オクチル基等を挙げることができる。
一般式(2)において、Z1 およびZ2 としては、特に、フッ素原子、トリフルオロメチル基等が好ましい。
一般式(2)において、nとしては、1〜4が好ましい。
【0047】
本発明において、好ましいスルホニルオキシイミド化合物(α1)としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物(以下、「スルホニルオキシイミド化合物(α3)」という。)を挙げることができ、また好ましいスルホニルオキシイミド化合物(α2)としては、例えば、下記一般式(4)で表される化合物(以下、「スルホニルオキシイミド化合物(α4)」という。)を挙げることができる。
【0048】
【化7】
【0049】
〔一般式(3)において、A、Ar、Y、R1 およびmは一般式(1)におけるそれぞれA、Ar、Y、R1 およびmと同義であり、Xは置換もしくは非置換の2価の有機基を示し、R2 は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の原子数6〜20の1価の複素環式基を示す。〕
【0050】
【化8】
【0051】
〔一般式(4)において、Ar、Y、R1 およびmは一般式(1)におけるそれぞれAr、Y、R1 およびmと同義であり、Z1 、Z2 、nおよびBは一般式(2)におけるそれぞれZ1 、Z2 、nおよびBと同義であり、Xは一般式(3)におけるXと同義である。〕
【0052】
一般式(3)および一般式(4)において、Xの置換もしくは非置換の2価の有機基としては、例えば、メチレン基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3〜8のシクロアルキレン基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルケニレン基、炭素数3〜8のシクロアルケニレン基、炭素7〜15のアラルキレン基、炭素6〜14のアリーレン基のほか、ノルボルナンやその誘導体に由来する基、ノルボルネンやその誘導体に由来する基等を挙げることができ、より具体的には、1,2−エチレン基、トリメチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、エチニレン基、1,2−ジフェニルエチニレン基、1,2−シクロヘキセニレン基、1,2−フェニレン基、4−クロロ−1,2−フェニレン基、4−ニトロ−1,2−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、4−メトキシ−1,2−フェニレン基、4−カルボキシ−1,2−フェニレン基、1,8−ナフタレン基や、2,3−ノルボルナニレン基、7−オキシ−2,3−ノルボルナニレン基、5,6−(2−ノルボルネニレン)基、7−オキシ−5,6−(2−ノルボルネニレン)基等を挙げることができる。
【0053】
一般式(3)において、R2 の置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の原子数6〜20の1価の複素環式基としては、各基の好ましい例を含めて、例えば、一般式(1)および一般式(2)におけるR1 について例示したそれぞれ対応する基と同様のものを挙げることができる。
【0054】
スルホニルオキシイミド化合物(α1)の好ましい具体例としては、下記式(1−1) 〜式(1−9) で表される化合物等を、スルホニルオキシイミド化合物(α3)の好ましい具体例としては、下記式(3−1) 〜式(3−15)で表される化合物等を、またスルホニルオキシイミド化合物(α2)ないしスルホニルオキシイミド化合物(α4)の好ましい具体例としては、下記式(4−1) 〜式(4−13)で表される化合物等を挙げることができる。
【0055】
【化9】
【0056】
【化10】
【0057】
【化11】
【0058】
【化12】
【0059】
【化13】
【0060】
【化14】
【0061】
【化15】
【0062】
【化16】
【0063】
【化17】
【0064】
【化18】
【0065】
【化19】
【0066】
【化20】
【0067】
【化21】
【0068】
【化22】
【0069】
【化23】
【0070】
【化24】
【0071】
【化25】
【0072】
スルホニルオキシイミド化合物(α4)は、例えば、非特許文献1に記載されている方法に準じて、下記反応式に示すように、前駆N−ヒドロキシイミド化合物(5)とスルホニルクロリド化合物(6)とを塩基性触媒の存在下で反応させることにより合成することができる。また、スルホニルオキシイミド化合物(α3)も、対応する前駆N−ヒドロキシイミド化合物および対応するスルホニルクロリド化合物をそれぞれ前駆N−ヒドロキシイミド化合物(5)およびスルホニルクロリド化合物(6)に換えて用いることにより、同様にして合成することができる。
【0073】
【化26】
【0074】
【非特許文献1】
J. Am. Chem. Soc. Vol.103, P.7368−7370 (1981)
【0075】
前記反応において、スルホニルクロリド化合物(6)の前駆N−ヒドロキシイミド化合物(5)に対するモル比は、通常、1〜100、好ましくは1.5〜10である。
反応に使用される塩基性触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等挙げることができ、好ましくは、トリエチルアミン、ピリジン等である。
塩基性触媒のスルホニルクロリド化合物(6)に対するモル比は、通常、1.0〜10.0、好ましくは2.0〜4.0である。
【0076】
この反応は、通常、トルエン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性有機溶媒中で実施される。
反応温度は、通常、―40〜+50℃、好ましくは−20〜+30℃であり、反応時間は、通常、0.1〜72時間、好ましくは0.5〜3時間である。
【0077】
本発明の感放射線性酸発生剤は、露光により酸を発生する成分であり、特に、活性放射線、例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザーあるいはEUVに代表される(超)遠紫外線、電子線の如き各種の放射線を用いる微細加工に有用な感放射線性樹脂組成物における感放射線性酸発生剤として極めて好適に使用することができる。
【0078】
ポジ型感放射線性樹脂組成物
−(A)酸発生剤−
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物における(A)成分は、スルホニルオキシイミド化合物(α)を少なくとも1種含む感放射線性酸発生剤(以下、「(A)酸発生剤」という。)からなる。
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物において、(A)酸発生剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0079】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、(A)酸発生剤以外の感放射線性酸発生剤(以下、「他の酸発生剤」という。)を1種以上併用することができる。
他の酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物、ジスルホニルメタン化合物等を挙げることができる。
【0080】
前記オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩(但し、テトラヒドロチオフェニウム塩を含む。)、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。
また、前記スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらのα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。
また、前記スルホン酸エステル化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。
また、前記スルホンイミド化合物としては、例えば、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
【0081】
【化27】
〔一般式(5)において、Qは2価の有機基を示し、R3 は1価の有機基を示す。〕
【0082】
一般式(5)において、Qとしては、例えば、メチレン基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基、ジフルオロメチレン基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のパーフルオロアルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、ノルボルナン骨格を有する2価の基や、これらの基を炭素数6以上のアリール基や炭素数1以上のアルコキシル基で置換基した基等を挙げることができる。
【0083】
また、R3 としては、例えば、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜10のパーフルオロシクロアルキル基、炭素数7〜15の1価のビシクロ環含有炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基等を挙げることができる。
【0084】
また、前記ジアゾメタン化合物としては、例えば、下記一般式(6)で表される化合物を挙げることができる。
【0085】
【化28】
〔一般式(6)において、各R4 は相互に独立に直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換シクロアルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。〕
【0086】
また、前記ジスルホニルメタン化合物としては、例えば、下記一般式(7)で表される化合物を挙げることができる。
【0087】
【化29】
【0088】
〔一般式(7)において、各R5 は相互に独立に直鎖状もしくは分岐状の1価の脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロ原子を有する1価の他の有機基を示し、VおよびWは相互に独立にアリール基、水素原子、直鎖状もしくは分岐状の1価の脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基、アラルキル基またはヘテロ原子を有する1価の他の有機基を示し、且つVおよびWの少なくとも一方がアリール基であるか、VとWが相互に連結して少なくとも1個の不飽和結合を有する単環もしくは多環を形成しているか、あるいはVとWが相互に連結して下記式(i)で表される基
【0089】
【化30】
【0090】
(但し、V’及びW’は相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、または同一のもしくは異なる炭素原子に結合したV’とW’が相互に連結して炭素単環構造を形成しており、V’およびW’が複数存在する場合、複数のV’および複数のW’はそれぞれ相互に同一でも異なってもよく、jは2〜10の整数である。)
を形成している。〕
【0091】
他の酸発生剤としては、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物およびジアゾメタン化合物の群の1種または2種以上が好ましい。
特に好ましい他の酸発生剤としては、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、
【0092】
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔(5−メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)スルホニルオキシ〕スクシンイミド、ビス(シクロヘキサンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタンおよびビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]−デカン−7−スルホニル)ジアゾメタンの群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0093】
他の酸発生剤の使用割合は、各他の酸発生剤の種類に応じて適宜選定することができるが、(A)酸発生剤と他の酸発生剤との合計100重量部に対して、通常、95重量部以下、好ましくは90重量部以下、さらに好ましくは80重量部以下である。この場合、他の酸発生剤の使用割合が95重量部を超えると、本発明における所期の効果が損なわれるおそれがある。
【0094】
−(B)酸解離性基含有樹脂−
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物における(B)成分は、酸解離性基を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離したときにアルカリ易溶性となる樹脂(以下、「(B)酸解離性基含有樹脂」という。)からなる。
ここでいう「アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性」とは、(B)酸解離性基含有樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、当該レジスト被膜の代わりに(B)酸解離性基含有樹脂のみを用いた被膜を現像した場合に、当該被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
【0095】
(B)酸解離性基含有樹脂における酸解離性基とは、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性官能基中の水素原子を置換した基であり、酸の存在下で解離する基を意味する。
このような酸解離性基としては、例えば、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、環式酸解離性基等を挙げることができる。
【0096】
前記置換メチル基としては、例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、(2−メトキシエトキシ)メチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、4−ブロモフェナシル基、4−メトキシフェナシル基、4−メチルチオフェナシル基、α−メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、4−ブロモベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−メチルチオベンジル基、4−エトキシベンジル基、4−エチルチオベンジル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、i−プロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等を挙げることができる。
【0097】
また、前記1−置換エチル基としては、例えば、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、1−ベンジルチオエチル基、1−シクロプロピルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、1−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、1−n−プロポキシカルボニルエチル基、1−i−プロポキシカルボニルエチル基、1−n−ブトキシカルボニルエチル基、1−t−ブトキシカルボニルエチル基等を挙げることができる。
【0098】
また、前記1−置換−n−プロピル基としては、例えば、1−メトキシ−n−プロピル基、1−エトキシ−n−プロピル基等を挙げることができる。
また、前記1−分岐アルキル基としては、例えば、i−プロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基等を挙げることができる。
また、前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0099】
また、前記アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、p−トルエンスルホニル基、メシル基等を挙げることができる。
【0100】
また、前記環式酸解離性基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基等を挙げることができる。
【0101】
これらの酸解離性基のうち、ベンジル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−エトキシ−n−プロピル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基等が好ましい。
(B)酸解離性基含有樹脂において、酸解離性基は1種以上存在することができる。
【0102】
(B)酸解離性基含有樹脂中の酸解離性基の導入率((B)酸解離性基含有樹脂中の酸性官能基と酸解離性基との合計数に対する酸解離性基の数の割合)は、酸解離性基や該基が導入される樹脂の種類により適宜選定することができるが、好ましくは5〜100%、さらに好ましくは10〜100%である。
【0103】
(B)酸解離性基含有樹脂の構造は、前述した性状を有する限り特に限定はなく、種々の構造とすることができるが、特に、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)中のフェノール性水酸基の水素原子の一部または全部を酸解離性基で置換した樹脂、p−ヒドロキシスチレンおよび/またはp−ヒドロキシ−α−メチルスチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体中のフェノール性水酸基の水素原子および/またはカルボキシル基の水素原子の一部または全部を酸解離性基で置換した樹脂等を好ましく用いることができる。
【0104】
また、(B)酸解離性基含有樹脂の構造は、使用する放射線の種類に応じて種々選定することができる。
例えば、KrFエキシマレーザーを用いる感放射線性樹脂組成物に特に好適な(B)酸解離性基含有樹脂としては、例えば、下記一般式(8)で表される繰り返し単位(以下、「繰返し単位(8)」という。)を少なくとも1種と繰返し単位(8)中のフェノール性水酸基を酸解離性基で保護した繰り返し単位を少なくとも1種とを有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂(以下、「樹脂(B1)」という。)が好ましい。なお、樹脂(B1)は、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザー、電子線等の他の放射線を使用する感放射線性樹脂組成物にも好適に使用することができる。
【0105】
【化31】
〔一般式(8)において、R6 は水素原子または1価の有機基を示し、複数存在するR6 は相互に同一でも異なってもよく、aおよびbはそれぞれ1〜3の整数である。〕
【0106】
繰り返し単位(8)としては、特に、p−ヒドロキシスチレンの非芳香族二重結合が開裂した単位が好ましい。
また、樹脂(B1)は、さらに他の繰り返し単位を少なくとも1種含んでいてもよい。
前記他の繰り返し単位としては、例えば、スチレン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル等の(メタ)アクリル酸エステル類等の重合性不飽和結合が開裂した単位を挙げることができる
【0107】
また、ArFエキシマレーザーを用いる感放射線性樹脂組成物に特に好適な(B)酸解離性基含有樹脂としては、例えば、下記一般式(9)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(9)」という。)および下記一般式(10)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(10)」という。)の群から選ばれる少なくとも1種と下記一般式(11)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(11)」という。)を少なくとも1種とを有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂(以下、「樹脂(B2)」という)が好ましい。なお、樹脂(B2)は、KrFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザー、電子線等の他の放射線を用いる感放射線性樹脂組成物にも好適に使用することができる。
【0108】
【化32】
【0109】
〔一般式(9)、一般式(10)および一般式(11)において、R7 、R9 およびR10は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、一般式(9)において、各R8 は相互に独立に水素原子、水酸基、シアノ基または−COOR12(但し、R12は水素原子、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数3〜20の環状のアルキル基を示す。)を示し、一般式(11)において、各R11は相互に独立に炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、かつR11の少なくとも1つが該脂環式炭化水素基もしくはその誘導体であるか、あるいは何れか2つのR11が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成し、残りのR11が炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を示す。〕
【0110】
好ましい繰り返し単位(9)としては、例えば、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3−シアノアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3,5−ジカルボキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシ−5−ヒドロキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシアダマンタン−1−イル等を挙げることができる。
樹脂(B2)において、繰り返し単位(9)および繰り返し単位(10)はそれぞれ、単独でまたは2種以上が存在することができる。
【0111】
また、好ましい繰り返し単位(11)としては、例えば、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−n−プロピルアダマンタン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−i−プロピルアダマンタン−2−イル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチル等を挙げることができる。
樹脂(B2)において、繰り返し単位(11)は単独でまたは2種以上が存在することができる。
【0112】
樹脂(B2)は、さらに他の繰り返し単位を1種以上有することもできる。
前記他の繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸7−オキソ−6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−4−イル、(メタ)アクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−オキソテトラヒドロピラン−4−イル、(メタ)アクリル酸4−メチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イル、(メタ)アクリル酸5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、(メタ)アクリル酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、(メタ)アクリル酸(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチル、(メタ)アクリル酸(3,3−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド等の不飽和アミド化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンやその誘導体類、テトラシクロ[6.2.13,6 .02,7 ]ドデカ−3−エンやその誘導体類等の単官能性単量体のほか、メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体を挙げることができる。
【0113】
さらに、F2 エキシマレーザーを用いる感放射線性樹脂組成物に特に好適な(B)酸解離性基含有樹脂としては、下記一般式(12)で表される構造単位(以下、「構造単位(12)」という。)および一般式(13)で表される構造単位の群から選ばれる少なくとも1種を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性のポリシロキサン(以下、「樹脂(B3)」という。)が好ましい。なお、樹脂(B3)は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、電子線等の他の放射線を用いる場合にも好適に使用することができる。
【0114】
【化33】
〔一般式(12)および一般式(13)において、各Eは相互に独立に酸解離性基を有する1価の有機基を示し、R13は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状の1価の炭化水素基を示す。〕
【0115】
一般式(12)および一般式(13)中のEとしては、環状構造を有する基に酸解離性基が結合した構造を有する基が好ましい。
前記環状構造を有する基としては、炭素数3〜8のシクロアルカン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタン等に由来する脂環式環状構造を有する基や、炭素数6〜20のハロゲン化芳香族環状構造を有する基が好ましい。
【0116】
樹脂(B3)としては、構造単位(12)を有する樹脂が好ましい。
特に好ましい構造単位(12)の具体例としては、下記式(12−1)〜(12−4)で表される単位等を挙げることができる。
【0117】
【化34】
【0118】
【化35】
【0119】
樹脂(B3)は、さらに他の構造単位を1種以上有することもできる。
前記他の構造単位としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類の加水分解により形成される単位や、下記式(14−1)〜(14−4)で表される単位等が好ましい。
【0120】
【化36】
【0121】
【化37】
【0122】
樹脂(B3)は、酸解離性基を有するシラン化合物を重縮合させるか、予め製造したポリシロキサンに酸解離性基を導入することにより製造することができる。
酸解離性基を有するシラン化合物を樹脂合させる際には、触媒として、酸性触媒を用いることが好ましく、特に、該シラン化合物を酸性触媒の存在下で重縮合させたのち、塩基性触媒を加えてさらに反応させることが好ましい。
【0123】
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、ほう酸、燐酸、四塩化チタン、塩化亜鉛、塩化アルミニウム等の無機酸類;蟻酸、酢酸、n−プロピオン酸、酪酸、吉草酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、無水酢酸、無水マレイン酸、くえん酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸類を挙げることができる。
これらの酸性触媒のうち、塩酸、硫酸、酢酸、しゅう酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、無水酢酸、無水マレイン酸等が好ましい。
前記酸性触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0124】
また、前記塩基性触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン等の有機塩基類を挙げることができる。
前記塩基性触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0125】
(B)酸解離性基含有樹脂が重合性不飽和単量体の重合によりあるいは該重合を経て製造される場合、当該樹脂は、重合性不飽結合を2つ以上有する多官能性単量体に由来する単位および/またはアセタール性架橋基によって分岐構造を導入することができる。このような分岐構造を導入することにより、(B)酸解離性基含有樹脂の耐熱性を向上させることができる。
この場合、(B)酸解離性基含有樹脂中の分岐構造の導入率は、該分岐構造やそれが導入される樹脂の種類により適宜選定することができるが、全繰返し単位に対して10モル%以下であることが好ましい。
【0126】
(B)酸解離性基含有樹脂の分子量については特に限定はなく、適宜選定することができるが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、1,000〜500,000、好ましくは2,000〜400,000、さらに好ましくは3,000〜300,000である。
また、分岐構造をもたない(B)酸解離性基含有樹脂のMwは、好ましくは1,000〜150,000、さらに好ましくは3,000〜100,000であり、分岐構造を有する(B)酸解離性基含有樹脂のMwは、好ましくは5,000〜500,000、さらに好ましくは8,000〜300,000である。このような範囲のMwを有する(B)酸解離性基含有樹脂を用いることにより、得られるレジストが現像特性に優れるものとなる。
【0127】
また、(B)酸解離性基含有樹脂のMwとGPCで測定したポリスチレン換算数分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)についても特に限定はなく、適宜選定することができるが、通常、1〜10、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜5である。このような範囲のMw/Mnを有する(B)酸解離性基含有樹脂を用いることにより、得られるレジストが解像性能に優れるものとなる。
【0128】
(B)酸解離性基含有樹脂の製造方法については特に限定はないが、例えば、予め製造したアルカリ可溶性樹脂中の酸性官能基に1種以上の酸解離性基を導入する方法;酸解離性基を有する1種以上の重合性不飽和単量体を、場合によりたの重合性不飽和単量体と共に、重合する方法;酸解離性基を有する1種以上の重縮合性成分を、場合により他の重縮合性成分と共に、重縮合する方法等によって製造することができる。
【0129】
アルカリ可溶性樹脂を製造する際の重合性不飽和単量体の重合および酸解離性基を有する1種以上の重合性不飽和単量体の重合は、使用される重合性不飽和単量体や反応媒質の種類等に応じて、ラジカル重合開始剤、アニオン重合触媒、配位アニオン重合触媒、カチオン重合触媒等の重合開始剤あるいは重合触媒を適宜に選定し、塊状重合、溶液重合、沈澱重合、乳化重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合等の適宜の重合形態で実施することができる。
また、酸解離性基を有する1種以上の重縮合性成分の重縮合は、好ましくは酸性触媒の存在下、水媒質中または水と親水性溶媒との混合媒質中で実施することができる。
【0130】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物において、(A)酸発生剤の使用量は、レジストの所望の特性に応じて種々の選定とすることができるが、(B)酸解離性基含有樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜70重量部、さらに好ましくは0.01〜50重量部、特に好ましくは0.1〜20質量部である。この場合、(A)酸発生剤の使用量を0.001重量部以上とすることにより、感度および解像度の低下を抑制でき、また70質量部以下とすることにより、レジストの塗布性やパターン形状の劣化を抑制することができる。
【0131】
−酸拡散抑制剤−
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、露光により(A)酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域での好ましくない化学反応を抑制する作用を有する酸拡散制御剤を配合することが好ましい。このような酸拡散制御剤を配合することにより、感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上させることができるとともに、レジストとしての解像度がさらに向上させ、また露光から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、その結果、プロセス安定性に極めて優れた感放射線性樹脂組成物を得ることができる。
【0132】
このような酸拡散制御剤としては、レジストパターンの形成工程中の露光や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
前記含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(15)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環式化合物等を挙げることができる。
【0133】
【化38】
〔一般式(15)において、各R14は相互に独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、これらの各基は置換されていてもよい。〕
【0134】
一般式(15)において、R14の置換されていてもよいアルキル基としては、例えば、炭素数1〜15、好ましくは1〜10のもの、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
【0135】
また、R14の置換されていてもよいアリール基としては、例えば、炭素数6〜12のもの、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、1−ナフチル基等を挙げることができる。
また、R14の置換されていてもよいアラルキル基としては、例えば、炭素数7〜19、好ましくは7〜13のもの、具体的には、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0136】
含窒素化合物(I)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等を挙げることができる。
【0137】
また、含窒素化合物(II) としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,
N’ , N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン等を挙げることができる。
また、含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
【0138】
また、前記アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
前記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0139】
また、前記含窒素複素環式化合物としては、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、1−ピペリジンエタノール、2−ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0140】
さらに、前記含窒素有機化合物として、酸解離性基を有する化合物を用いることもできる。
前記酸解離性基を有する含窒素有機化合物としては、例えば、N―(t−ブトキシカルボニル)ピペリジン、N―(t−ブトキシカルボニル)イミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)ベンズイミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンズイミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)ジ−n−オクチルアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン等を挙げることができる。
【0141】
これらの含窒素有機化合物のうち、含窒素化合物(I)、含窒素化合物(II) 、含窒素複素環式化合物、酸解離性基を有する含窒素有機化合物等が好ましい。
前記酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0142】
酸拡散制御剤の配合量は、(B)酸解離性基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは0.001〜10質量部、特に好ましくは0.005〜5質量部である。この場合、酸拡散制御剤の配合量を0.001質量部以上とすることにより、プロセス条件によってレジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下することを抑制でき、また15質量部以下とすることにより、レジストとしての感度や露光部の現像性を向上させることができる。
【0143】
−溶解制御剤−
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、酸の作用により、アルカリ現像液に対する溶解性が高くなる性質を有する溶解制御剤を配合することもできる。
このような溶解制御剤としては、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性官能基を有する化合物や、該化合物中の酸性官能基の水素原子を酸解離性基で置換した化合物等を挙げることができる。
前記溶解制御剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
溶解制御剤の配合量は、感放射線性樹脂組成物中の全樹脂成分100重量部に対し、通常、10重量部以下、好ましくは5重量部以下である。
【0144】
−界面活性剤−
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、感放射線性樹脂組成物の塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す界面活性剤を配合することもできる。
このような界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又は両性の界面活性剤のいずれでも使用することができるが、好ましくはノニオン系界面活性剤である。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類のほか、以下商品名で、「KP」(信越化学工業製)、「ポリフロー」(共栄社油脂化学工業製)、「エフトップ」(トーケムプロダクツ製)、「メガファック」(大日本インキ化学工業製)、「フロラード」(住友スリーエム製)、「アサヒガード」、「サーフロン」(以上、旭硝子製)等の各シリーズ等を挙げることができる。
前記界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
界面活性剤の配合量は、感放射線性樹脂組成物中の全樹脂成分100重量部に対し、界面活性剤の有効成分として、通常、2重量部以下、好ましくは1.5重量部以下である。
【0145】
−増感剤−
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを(A)酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を有し、感放射線性樹脂組成物のみかけの感度を向上させることができる増感剤を配合することもできる。
このような増感剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等を挙げることができる。
これらの増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。増感剤の配合量は、感放射線性樹脂組成物中の全樹脂成分100重量部に対して、通常、50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。
【0146】
−他の添加剤−
さらに、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、前記以外の添加剤、例えば、染料、顔料、接着助剤や、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、形状改良剤等、具体的には4−ヒドロキシ−4’−メチルカルコン等を配合することもできる。
この場合、染料や顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和でき、また接着助剤を配合することにより、基板との接着性を改善することができる。
【0147】
組成物溶液の調製
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、通常、使用時に各成分を溶剤に溶解して均一溶液とし、その後必要に応じて、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することにより、組成物溶液として調製される。
【0148】
前記溶剤としては、例えば、エーテル類、エステル類、エーテルエステル類、ケトン類、ケトンエステル類、アミド類、アミドエステル類、ラクタム類、(ハロゲン化)炭化水素類等を挙げることができ、より具体的には、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、(非)環式ケトン類、酢酸エステル類、ヒドロキシ酢酸エステル類、アルコキシ酢酸エステル類、乳酸エステル類、アセト酢酸エステル類、ピルビン酸エステル類、プロピオン酸エステル類、ヒドロキシプロピオン酸エステル類、アルコキシプロピオン酸エステル類、(置換)酪酸エステル類、N,N−ジアルキルホルムアミド類、N,N−ジアルキルアセトアミド類、N−アルキルピロリドン類、(ハロゲン化)脂肪族炭化水素類、(ハロゲン化)芳香族炭化水素類等を挙げることができる。
【0149】
前記溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、イソプロペニルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ヒドロキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸i−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、イソプロペニルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
【0150】
これらの溶剤のうち、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヘプタノン、乳酸エステル類、2−ヒドロキシプロピオン酸エステル類、3−アルコキシプロピオン酸エステル類等が、塗布時の膜面内均一性が良好となるの点で好ましい。
前記溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0151】
また必要に応じて、前記溶剤と共に、他の溶剤、例えば、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶剤等を使用することができる。
これらの他の溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
他の溶剤を使用割合は、全溶剤に対して、通常、50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
【0152】
溶剤の合計使用量は、溶液の全固形分濃度が、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%、就中10〜25重量%となる量である。溶液の全固形分濃度をこの範囲とすることにより、塗布時の膜面内均一性が良好となる点で好ましい。
【0153】
レジストパターンの形成
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、前記のようにして調製された組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成する。その後、場合により予め加熱処理(以下、「PB」という。)を行ったのち、所定のマスクパターンを介して、該レジスト被膜に露光する。
露光の際に使用することができる放射線としては、使用される(A)酸発生剤の種類に応じて、水銀灯の輝線スペクトル(波長254nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2 エキシマレーザー(波長157nm)、EUV(波長13nm等)等の遠紫外線や、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線等を挙げることができ、好ましくは遠紫外線および荷電粒子線であり、特に好ましくは、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザーおよび電子線である。
また、放射線量等の露光条件は、ポジ型感放射線性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類等に応じて適宜選定される。
また、レジストパターンの形成に際しては、露光後に加熱処理(以下、この加熱処理を「PEB」という。)を行うことが、レジストの見掛けの感度を向上させる点で好ましい。
PEBの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類等により変わるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
【0154】
その後、露光されたレジスト被膜をアルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。
前記アルカリ現像液としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水、アルキルアミン類、アルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の1種以上を溶解したアルカリ性水溶液が使用され、特に好ましいアルカリ現像液は、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類の水溶液である。
また、前記アルカリ性水溶液の濃度は、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは2〜5重量%である。この場合、アルカリ性水溶液の濃度を10重量%以下とすることにより、非露光部の現像液への溶解を抑制することができる。
また、前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することが好ましく、それによりレジストに対する現像液の濡れ性を高めることができる。
なお、前記アルカリ性水溶液からなる現像液で現像した後は、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【0155】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示して、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【0156】
〔スルホニルオキシイミド化合物(α)の合成〕
合成例1
アリルフェニルエーテル50gを1リットルナスフラスコに入れて、15分以上窒素ガスを流したのち、1−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヨードエタン137gおよびアゾビスイソブチロニトリル2.8gを加え、75℃まで昇温して12時間攪拌した。その後放冷し、塩化メチレン500ミリリットルおよび1,8−ジアザビシクロ [5.4.0] ―7−ウンデセン(DBU)85gを加えて、0℃で30分間攪拌したのち、室温でさらに1時間攪拌した。その後、塩化メチレン溶液を分液漏斗に移し、蒸留水500ミリリットルを加えて振とうして静置したのち、水層を除去した。その後、さらに0.1N塩酸500ミリリットルを加えて振とうして静置したのち、水層を除去した。その後、さらに飽和塩化ナトリウム水溶液500ミリリットルを加えて振とうして静置したのち、水層を除去した。その後、塩化メチル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ過し、乾燥後のジクロロメタン溶液からジクロロメタンを留去したのち、得られた液体を減圧蒸留(80〜84℃、0.3mmHg)することにより、無色液体の1−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロ−5−フェノキシ−3−ペンテン(以下、「化合物(1−a)」とする。)78.2gを得た。
【0157】
次いで、化合物(1−a)62gを酢酸エチル1リットルに溶解した溶液を、2リットルナスフラスコに入れ、5重量%のロジウムを含有するアルミナ12gを加えて、水素雰囲気下で3時間激しく攪拌した。その後、反応溶液をセライトを敷いたガラスフィルターで吸引ろ過し、ろ液を減圧濃縮したのち、濃縮液を減圧蒸留して精製することにより、無色液状の1−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロ−5−フェノキシペンタン(以下、「化合物(1−b)」とする。)56gを得た。
【0158】
次いで、亜二チオン酸ナトリウム70gおよび炭酸水素ナトリウム52gを水300ミリリットルに溶解した溶液を、十分に窒素置換した2リットルの3つ口フラスコに入れ、化合物(1−b)55gをアセトニトリルに溶解した溶液300ミリリットルを、室温で1時間かけて滴下したのち、75℃で2時間反応させた。その後、反応溶液を減圧蒸留してアセトニトリルを除去したのち、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧蒸留して酢酸エチルを除去することにより、1,1,2,2−テトラフルオロ−5−フェノキシペンタン−1−スルフィン酸ナトリウム(以下、「化合物(1−c)」とする。)35gを得た。
【0159】
次いで、化合物(1−c)80gを水250ミリリットルに溶解した溶液を、2リットルナスフラスコに入れて、室温で攪拌しつつ、過剰の塩素ガスを15分以上バブリングした。その後、フラスコの底部に溜まった油状物を塩化メチレンで抽出し、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧蒸留して塩化メチレンを除去することにより、1,1,2,2−テトラフルオロ−5−フェノキシペンタン−1−スルフィン酸クロライド(以下、「化合物(1−d)とする。」)と1,1,2,2−テトラフルオロ−5−(4―クロロフェニル)オキシペンタン−1−スルフィン酸クロライド(以下、「化合物(1−e)とする。」)との混合物68gを得た。
【0160】
次いで、化合物(1−d)と化合物(1−e)との混合物30gをテトラヒドロフラン150gに溶解した溶液に、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド22gを加えたのち、トリエチルアミン29gを滴下した。その後、反応溶液を室温で10分間攪拌したのち、水を滴下した。その後、反応溶液を減圧濃縮して、残渣を塩化メチレンに溶解し、得られた溶液を分液漏斗に移して振とうして静置したのち、水層を除去した。その後、塩化メチレン層を炭酸水素ナトリウム水溶液、シュウ酸水溶液および水で順次洗浄した。その後、塩化メチレン溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ過したのち、エバポレーターを用いて塩化メチレンを留去し、得られた液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:水/アセトニトリル=80/20(重量比))により分離精製を行って、N−(1,1,2,2−テトラフルオロ−5−フェノキシ−3−ペンタン−1−スルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(以下、「酸発生剤(A−1)とする。」)10gおよびN−(1,1,2,2−テトラフルオロ−5−(4―クロロフェニル)−3−ペンタン−1−スルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(以下、「酸発生剤(A−2)とする。」)8gを得た。
【0161】
酸発生剤(A−1)および酸発生剤(A−2)について、日本電子(株)製「JMS−AX505W型質量分析計」を用いて、下記の条件で質量分析を行った。その結果、酸発生剤(A−1)はm/z=476(M+) 、酸発生剤(A−2)はm/z=511(M+) であった。
エミッター電流 :5mA(使用ガス:Xe)
加速電圧 :3.0kV
10N MULTI:1.3
イオン化法 :高速原子衝撃法(FAB)
検出イオン :カチオン(+)
測定質量範囲 :20〜1500m/z
スキャン :30sec
分解能 :1500
マトリックス :3−ニトロベンジルアルコール
【0162】
また、酸発生剤(A−1)および酸発生剤(A−2)について、日本電子(株)製「JNM−EX270」を用いて、 1H−NMR分析(測定溶媒:重水素化クロロホルム)を行った。その結果、化学シフトδ(ppm)は下記のとおりであった。
酸発生剤(A−1):
1.52(1H、d、J=12.9Hz、CH)、1.80(1H、d、J=12.6Hz、CH)、2.04〜2.15(2H、m、CH2)、2.28〜2.48(2H、m、CF2 CH2)、3.32〜3.37(2H、m、CH×2)、3.48〜3.51(2H、m、CH×2)、4.00(2H、t、J=5.9Hz、CH2 O)、6.19(2H、s、C=CH×2)、6.78〜6.84(2H、m、フェニル基)、7.20〜7.26(3H、m、フェニル基)。
【0163】
酸発生剤(A−2):
1.52(1H、d、J=12.6Hz、CH)、1.80(1H、d、J=12.6Hz、CH)、2.04〜2.14(2H、m、CH2)、2.27〜2.47(2H、m、CF2 CH2)、3.33〜3.36(2H、m、CH×2)、3.48〜3.49(2H、m、CH×2)、3.99(2H、t、J=5.6Hz、CH2 O)、6.18(2H、s、C=CH×2)、6.81(2H、d、J=9.0Hz、フェニル基)、7.23(2H、d、J=9.0Hz、フェニル基)。
【0164】
〔(B)酸解離性基含有樹脂の合成〕
以下に記載する方法により、各(B)酸解離性基含有樹脂を合成した。
各(B)酸解離性基含有樹脂のMwおよびMnは、東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶剤テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0165】
合成例2
4−アセトキシスチレン101g、スチレン5g、4−t−ブトキシスチレン42g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)6gおよびt−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル160gに溶解したのち、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合した。重合後、反応溶液を大量のn−ヘキサン中に滴下して、生成樹脂を凝固精製した。
次いで、この精製樹脂に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えたのち、さらにメタノール300g、トリエチルアミン80gおよび水15gを加え、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行なった。反応後、溶剤およびトリエチルアミンを減圧留去し、得られた樹脂をアセトンに溶解したのち、大量の水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた樹脂は、Mwが16,000、Mw/Mnが1.7であり、13C−NMR分析の結果、4−ヒドロキシスチレンとスチレンと4−t−ブトキシスチレンとの共重合モル比が72:5:23の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−1)とする。
【0166】
合成例3
4−アセトキシスチレン100g、アクリル酸t−ブチル25g、スチレン18g、AIBN6gおよびt−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル230gに溶解し、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して16時間重合した。重合後、反応溶液を大量のヘキサン中に滴下して、生成樹脂を凝固精製した。
次いで、この精製樹脂に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えたのち、さらにメタノール300g、トリエチルアミン80gおよび水15gを加え、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応後、溶剤およびトリエチルアミンを減圧留去し、得られた樹脂をアセトンに溶解したのち、大量の水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた樹脂は、Mwが11,500、Mw/Mnが1.6であり、13C−NMR分析の結果、4−ヒドロキシスチレンとアクリル酸t−ブチルとスチレンとの共重合モル比が61:19:20の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−2)とする。
【0167】
合成例4
4−t−ブトキシスチレン176gを、テトラヒドロフラン500ミリリットル中、−78℃で、n−ブチルリチウムを触媒として、アニオン重合した。重合後、反応溶液をメタノール中に滴下して樹脂を凝固させたのち、樹脂をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥して、白色のポリ(4−t−ブトキシスチレン)150gを得た。
次いで、このポリ(4−t−ブトキシスチレン)150gをジオキサン600gに溶解して、希塩酸を加え、70℃で2時間加水分解反応を行ったのち、反応溶液を多量の水中に滴下して樹脂を凝固させた。その後、この樹脂をアセトンに溶解して、大量の水中に凝固する操作を繰返したのち、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた樹脂は、Mwが10,400、Mw/Mnが1.10であり、13C−NMR分析の結果、ポリ(4−t−ブトキシスチレン)中のt−ブチル基の一部のみが加水分解した構造を有し、4−t−ブトキシスチレンと4−ヒドロキシスチレンとの共重合モル比が68:32の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−3)とする。
【0168】
合成例5
共重合モル比90:10の4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン共重合体25gを、酢酸n−ブチル100gに溶解して、窒素ガスにより30分問バブリングを行ったのち、エチルビニルエーテル3.3gを加え、触媒としてp−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩1gを添加して、室温で12時間反応させた。その後、反応溶液を1重量%アンモニア水溶液中に滴下して樹脂を凝固させて、ろ過したのち、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた樹脂は、Mwが13,000、Mw/Mnが1.01であり、13C−NMR分析の結果、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)中のフェノール性水酸基の水素原子の23モル%がエトキシキシエチル基で、10モル%がt−ブチル基で置換された構造を有するものであった。
この樹脂を、樹脂(B−4)とする。
【0169】
合成例6
メタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル53.69gおよびメタクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イル46.31gを2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスブチレート4.04gを投入したモノマー溶液を準備した。
別に、2−ブタノン100gを投入した1,000ミリリットルの三口フラスコを30分窒素パージして、内容物を攪拌しながら80℃に加熱したのち、前記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、反応溶液を水冷して30℃以下に冷却し、メタノール2,000g中へ投入して、析出した白色粉末をろ別した。その後、得られた白色粉末を2度メタノール400gによりスラリー状で洗浄して、ろ別したのち、減圧下50℃で17時間乾燥して、白色粉末の樹脂を得た。
この樹脂はMwが9,700であり、13C−NMR分析の結果、メタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルとメタクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イルとの共重合モル比が59.6:40.4の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−5) とする。
【0170】
合成例7
メタクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イル40.90g、メタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル15.47gおよびメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル43.64gを2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスブチレート4.02gを投入したモノマー溶液を準備した。
別に、2−ブタノン100gを投入した1,000ミリリットルの三口フラスコを30分窒素パージして、内容物を攪拌しながら80℃に加熱したのち、前記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、反応溶液を水冷して30℃以下に冷却し、メタノール2,000g中へ投入して、析出した白色粉末をろ別した。その後、得られた白色粉末を2度メタノール400gによりスラリー状で洗浄して、ろ別したのち、減圧下50℃で17時間乾燥して、白色粉末の樹脂を得た。
この樹脂はMwが9,200であり、13C−NMR分析の結果、メタクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イルとメタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルとメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルとの共重合モル比が36.2:15.2:48.6の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−6) とする。
【0171】
合成例8
メタクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチル43.66g、メタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル14.74gおよびメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル43.66gを2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスイソブチレート3.83gを投入したモノマー溶液を準備した。
別に、2−ブタノン100gを投入した1,000ミリリットルの三口フラスコを30分窒素パージして、内容物を攪拌しながら80℃に加熱したのち、前記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、反応溶液を水冷して30℃以下に冷却し、メタノール2,000g中へ投入して、析出した白色粉末をろ別した。その後、得られた白色粉末を2度メタノール400gによりスラリー状で洗浄して、炉別したのち、減圧下50℃で17時間乾燥して、白色粉末の樹脂を得た。
この樹脂はMwが9,600であり、13C−NMR分析の結果、メタクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチルとメタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルとメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルとの共重合モル比が35.6:15.1:49.3の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−7) とする。
【0172】
合成例9
メタクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イル16.13g、メタクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イル40.58gおよびメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル43.29gを2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスイソブチレート3.99gを投入したモノマー溶液を準備した。
別に、2−ブタノン100gを投入した1,000ミリリットルの三口フラスコを30分窒素パージして、内容物を攪拌しながら80℃に加熱したのち、前記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、反応溶液を水冷して30℃以下に冷却し、メタノール2,000g中へ投入して、析出した白色粉末をろ別した。その後、得られた白色粉末を2度メタノール400gによりスラリー状で洗浄して、炉別したのち、減圧下50℃で17時間乾燥して、白色粉末の樹脂を得た。
この樹脂はMwが8,900であり、13C−NMR分析の結果、メタクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イルとメタクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イルとメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルとの共重合モル比が13.7:38.2:48.1の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−8) とする。
【0173】
合成例10
アクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル42.44g、アクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル15.10gおよびアクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イル42.46gを2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスブチレート4.17gを投入したモノマー溶液を準備した。
別に、2−ブタノン100gを投入した1,000ミリリットルの三口フラスコを30分窒素パージして、内容物を攪拌しながら80℃に加熱したのち、前記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、反応溶液を水冷して30℃以下に冷却し、メタノール2,000g中へ投入して、析出した白色粉末をろ別した。その後、得られた白色粉末を2度メタノール400gによりスラリー状で洗浄して、炉別したのち、減圧下50℃で17時間乾燥して、白色粉末の樹脂を得た。
この樹脂はMwが10,200であり、13C−NMR分析の結果、アクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルとアクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルとアクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イルとの共重合モル比が49.2:15.3:35.5の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−9) とする。
【0174】
合成例11
メタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル55.00g、メタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル11.70gおよびアクリル酸1−エチルシクロペンチル33.31gを2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスブチレート4.56gを投入したモノマー溶液を準備した。
別に、2−ブタノン100gを投入した1,000ミリリットルの三口フラスコを30分窒素パージして、内容物を攪拌しながら80℃に加熱したのち、前記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、反応溶液を水冷して30℃以下に冷却して、2−プロパノール/n−ヘプタン=1/2(重量比)の混合溶媒2,000g中へ投入し、析出した白色粉末をろ別した。その後、得られた白色粉末を2度2−プロパノール/n−ヘプタン=1/2(重量比)の混合溶媒400gによりスラリー状で洗浄して、炉別したのち、減圧下50℃で17時間乾燥して、白色粉末の樹脂を得た。
この樹脂はMwが8,500であり、13C−NMR分析の結果、メタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルとメタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルとアクリル酸1−エチルシクロペンチルとの共重合モル比が53.7:11.1:35.2の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−10)とする。
【0175】
合成例12
撹拌機、寒流冷却器及び温度計を装着した3つ口フラスコに、下記式(16)で表されるシラン化合物1.52g、下記式(17)で表されるシラン化合物1.57g、メチルトリエトキシシラン1.91g、4−メチル−2−ペンタノン15gおよび1.75重量%しゅう酸水溶液1.31gを加えて、撹拌しつつ80℃で6時間反応させたのち、反応容器を氷冷して反応を停止させた。その後、反応溶液を分液ロートに移して水層を除去し、さらにイオン交換水を加えて有機層を水洗して、反応溶液が中性になるまで水洗を繰り返したのち、有機層を減圧留去した。
得られた樹脂は、Mwが2,000であり、前記式(12−2)で表される繰り返し単位と前記式(14−1)で表される繰り返し単位とのモル比が60:40の樹脂であった。
この樹脂を、樹脂(B−11)とする。
【0176】
【化39】
【0177】
【化40】
【0178】
〔組成物溶液の調製〕
表1−1および表1−2(但し、「部」は重量基準である。)に示す各成分を混合して均一溶液としたのち、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過して、実施例1〜16および比較例1〜3の各組成物溶液を調製した。
【0179】
実施例および比較例で用いた酸発生剤(A−1) 、酸発生剤(A−2) および樹脂(B−1) 〜(B−11)以外の各成分は下記のとおりである。
他の酸発生剤:
a−1:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
a−2:ビス(4−t −ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート
a−3:N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
【0180】
酸拡散制御剤:
C−1:トリ−n−ヘキシルアミン
C−2:トリエタノールアミン
C−3:2−フェニルベンズイミダゾール
C−4:N−(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンズイミダゾール
溶解制御剤:
D−1:デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル
溶剤:
S−1:乳酸エチル
S−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S−3:2−ヘプタノン
S−4:γ―ブチロラクトン
【0181】
〔性能評価〕
実施例1〜16および比較例1〜3の各液状組成物をシリコンウェハー上にスピンコートしたのち、表2に示す条件でPBを行って、表2に示す膜厚のレジスト被膜を形成した。その後、表2に示す条件で露光を行ったのち、表2に示す条件でPEBを行った。その後、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間、パドル法により現像したのち、純水で水洗し、乾燥することにより、レジストパターンを形成した。
【0182】
ここで、露光に用いた装置は、露光光源がKrFエキシマレーザー(表2では「KrF」と表示)の場合、(株)ニコン製「ステッパーNSR2205 EX12B」(開口数0.55);露光光源がArFエキシマレーザー(表2では「ArF」と表示)の場合、(株)ニコン製ArFエキシマレーザー露光装置(開口数0.55);露光光源がF2 エキシマレーザー(表2では「F2」と表示)の場合、ウルトラテック(Ultratech)社製F2 エキシマレーザー露光装置「XLS」(開口数0.60);露光光源が電子線の場合、(株)日立製作所製直描用電子線描画装置「HL700」(加速電圧30KeV)を加速電圧50KeVに改良した装置をそれぞれ用いた。
【0183】
得られた各レジストパターンおよび各液状組成物について、下記の方法により性能評価を行った。
感度
シリコンウエハー上に形成したレジスト被膜に露光量を変えて露光したのち、直ちにPEBを行い、その後現像し、水洗し、乾燥して、レジストパターンを形成したとき、線幅0.25μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度とした。
解像度
最適露光量で露光したときに解像されるライン・アンド・スペースパターン(1L1S)の最小寸法を解像度とした。
【0184】
パターン形状
シリコンウエハー上に形成した線幅0.25μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)の方形状断面の下辺の寸法Laと上辺の寸法Lbを、走査型電子顕微鏡を用いて測定し、0.85≦Lb/La≦1の条件を満足するものを「良好」とし、この条件を満たさないものを「不良」とした。
保存安定性
各液状組成物について、調製直後の感度、および室温で1月間静置後の感度を評価して、1月間静置後の感度の調製直後の感度に対する変化量が10%未満のものを「良好」とし、10%以上ものを「不良」とした。
以上の評価結果を表3に示す。
【0185】
放射線に対する透明性
本発明の酸発生剤(A−1) 〜(A−2) および他の酸発生剤(a−1) 〜(a−4) について、波長が193nmおよび248nmにおけるモル吸光係数を下記方法により測定した。
各酸発生剤の0.05モル/リットルアセトニトリル溶液を調製して、室温下、紫外可視分光装置(日本分光製V550型紫外可視分光光度計)を用い、各溶液の波長190〜400nmの範囲における吸光度を測定して、波長193nmおよび248nmにおけるモル吸光係数を求めた。測定結果を表4に示す。
表4において、他の酸発生剤(a−4)は下記のとおりである。
a−4:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロブタンスルホネート
【0186】
【表1】
【0187】
【表2】
【0188】
【表3】
【0189】
【表4】
【0190】
【表5】
【0191】
表3から、本発明の(A)酸発生剤を用いたポジ型感放射線性樹脂組成物は、当該酸発生剤を用いない比較例のポジ型感放射線性樹脂組成物に比べて、保存安定性が良好で耐塩基性に優れており、しかも高感度および高解像度であることが明らかとなる。また表4から、本発明の(A)酸発生剤は波長193nmおよび248nmにおけるモル吸光係数が何れも小さいことから、放射線に対する透明性が高いことが明らかとなる。
【0192】
【発明の効果】
本発明の(A)酸発生剤は、特に、優れた保存安定性を有し、かつ活性放射線、特に、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザーあるいはEUVに代表される(超)遠紫外線や、電子線に適用可能であり、放射線に対する透明性が高く、しかも高感度であり、半導体素子の製造に代表される微細加工に有用な化学増幅型フォトレジストの感放射線性酸発生剤として極めて好適に使用することができる。また、(A)酸発生剤を用いた本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、保存安定性に優れ、しかも高感度および高解像度で、パターン形状等に優れており、特に、今後ますます微細化が進行すると予想される半導体素子製造用の化学増幅型レジストとして極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性放射線、例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザーあるいはEUVに代表される(超)遠紫外線、電子線等に感応する感放射線性酸発生剤として、優れた熱安定性および保存安定性を有するとともに、平滑性に優れたレジストパターンをもたらすことができるスルホニルオキシイミド化合物、および当該感放射線性酸発生剤を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子等の微細化への要求に伴い、フォトリソグラフィーにおける露光波長の短波長化が進んでおり、近年では露光放射線が、KrFエキシマレーザー(248nm)を経て、ArFエキシマレーザー(波長193nm)やF2 エキシマレーザー(波長157nm)に世代交代が進んでいる。
そして、露光波長の短波長化に伴い、従来から、KrFエキシマレーザーに対して、酸の作用によりアルカリ易溶性となる樹脂に感放射線性酸発生剤を添加した化学増幅型レジストが用いられており、該レジストでは、前世代のg線やi線等の紫外線を用いるレジストと比較して、大幅な高感度化が達成されている。
現在用いられているKrFエキシマレーザー用の化学増幅型レジストの樹脂成分としては、ポリヒドロキシスチレンをベースとしたものが知られているが、この樹脂は波長220nm以下の遠紫外線領域におけるベンゼン環に起因する吸収が大き過ぎるため、ArFエキシマレーザーに適用した場合、レジストパターンの形成が困難である。
そこで、この問題を解決する方法として、樹脂成分に、例えば脂環式骨格を側鎖に有する(メタ)アクリル系樹脂、主鎖にノルボルネン系化合物に由来する脂環式骨格を有する樹脂やノルボルネン系化合物と無水マレイン酸との共重合体等を用いることが提案され、今やこれらの方法がKrFエキシマレーザー用の化学増幅型レジストとして主流となっている。
【0003】
一方、感放射線性酸発生剤については、KrFエキシマレーザーに対して主に用いられているトリフェニルスルホニウム塩等のトリアリールスルホニウム塩類は、ArFエキシマレーザーに適用した場合、高感度、高量子収率である一方で、そのベンゼン環に起因する強い吸収のため、レジスト被膜の下部へ行くほど透過線量が少なくなり、パターン形状が台形(テーパー)状となってしまうという欠点がある。そのため、波長193nmにおいて高い透明性を有する高感度の感放射線性酸発生剤に関して数々の試みがなされている。
その例としては、特許文献1にスルホン酸エステルイミド化合物等が提案されている。しかし、これらの化合物では遠紫外線領域における透明性は非常に高いものの、感度が極めて低く、実用レベルとはいえない。
【0004】
そこで、半導体素子における微細化の進行に対応しうる技術開発の観点から、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザーあるいはEUVに代表される(超)遠紫外線や、電子線に適応可能であり、放射線に対する透明性が高く、特に保存安定性に優れ、しかもレジストとしての基本物性に優れた化学増幅型レジストを与える改良された感放射線性酸発生剤の開発が重要な課題となっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平2001−199955号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、特に保存安定性に優れ、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザーあるいはEUVに代表される(超)遠紫外線や、電子線に適用可能で、放射線に対する透明性が高く、しかも十分な感度を有する新規な感放射線性酸発生剤、並びに当該感放射線性酸発生剤を含有し、保存安定性、感度、解像度、パターン形状等に優れたポジ型感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、放射線に対して増感作用を示す電子供与性基を有する芳香族炭化水素基あるいは複素環式基で置換されたスルホニルオキシイミド化合物が、高感度であるとともに、従来公知の感放射線性酸発生剤より、保存安定性、解像度等にも優れるこを見い出し、本発明を成すに至った。
【0008】
本発明は、第一に、
電子供与性基を有する芳香族炭化水素基および/または電子供与性基を有する複素環式基がスルホニルオキシイミド基を有する骨格に結合しており、かつ該電子供与性基はその電子供与性原子が該芳香族炭化水素基中の芳香環あるいは該複素環式基中の複素環に結合した構造を有するスルホニルオキシイミド化合物(以下、「スルホニルオキシイミド化合物(α)」という。)を少なくとも1種含むことを特徴とする感放射線性酸発生剤、
からなる。
【0009】
本発明は、第二に、
(A)前記感放射線性酸発生剤、および(B)酸解離性基を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離したときにアルカリ易溶性となる樹脂を含有する樹脂を特徴とするポジ型感放射線性樹脂組成物、からなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
感放射線性酸発生剤
スルホニルオキシイミド化合物(α)において、電子供与性基を有する芳香族炭化水素基および電子供与性基を有する複素環式基は、それぞれ1種以上存在することができ、またスルホニルオキシイミド基を有する骨格中の結合可能な全ての位置で結合することができる。
【0011】
スルホニルオキシイミド化合物(α)において、電子供与性基としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、等の電子供与性原子を少なくとも1個あるいは少なくとも1種有する基、より具体的には、ヒドロキシル基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、アミノ基、アミド基等を挙げることができ、好ましくは酸素原子および/または硫黄原子を有する基である。
【0012】
本発明における好ましいスルホニルオキシイミド化合物(α)としては、例えば、下記一般式(1)で表される構造単位がスルホニルオキシイミド基を有する骨格に結合したスルホニルオキシイミド化合物(以下、「スルホニルオキシイミド化合物(α1)」という。)、下記一般式(2)で表される構造単位がスルホニルオキシイミド基を有する骨格に結合したスルホニルオキシイミド化合物(以下、「スルホニルオキシイミド化合物(α2)」という。)等を挙げることができる。
【0013】
【化5】
【0014】
〔一般式(1)において、Aは2価の基を示し、Arは炭素数6〜20の(m+1)価の芳香族炭化水素基または原子数6〜20の(m+1)価の複素環式基を示し、Yは酸素原子または硫黄原子を示し、R1 は置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の原子数6〜20の1価の複素環式基を示し、mは0以上の整数である。但し、m=0のとき、Aの2価の基は電子供与性のヘテロ原子を有し、かつ該ヘテロ原子がAr中の芳香族環あるいは複素環に結合している。〕
【0015】
【化6】
【0016】
〔一般式(2)において、Ar、Y、R1 およびmは一般式(1)におけるそれぞれAr、Y、R1 およびmと同義であり、Z1 およびZ2 は相互に独立にフッ素原子または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のパーフルオロアルキル基を示し、nは1〜10の整数であり、Bは単結合または2価の基を示す。但し、m=0のとき、Bは電子供与性のヘテロ原子を有する2価の基であり、かつ該ヘテロ原子がAr中の芳香族環あるいは複素環に結合している。〕
【0017】
一般式(1)において、Aの2価の基としては、例えば、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭化水素基、主鎖にヘテロ原子を有する2価の基等を挙げることができる。
【0018】
Aの非置換の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基;1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数2〜8のアルキレン基;1,3−シクロペンチレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の炭素数3〜10のシクロアルキレン基;1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、メチル−1,4−フェニレン基、1,4−フェニレンメチレン基等の炭素数6〜14のアリーレン基等を挙げることができる。
【0019】
Aの前記2価の炭化水素基に対する置換基のうち、メチレン基およびアルキレン基に対するものとしては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシ基(例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)等の1個以上あるいは1種以上を挙げることができる。
【0020】
また、シクロアルキレン基およびアリーレン基に対するものとしては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキソ基(=O)、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等)、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等)、炭素数1〜4のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、シアノ基、炭素数2〜5のシアノアルキル基(例えば、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシ基(例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、炭素数1〜4のフルオロアルキル基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)等の1個以上あるいは1種以上を挙げることができる。
【0021】
また、Aの主鎖にヘテロ原子を有する2価の基としては、例えば、前記置換もしくは非置換の2価の炭化水素基の一方の結合手が―O−に結合した基、前記置換もしくは非置換の2価の炭化水素基の一方の結合手が―S−に結合した基、前記置換もしくは非置換の2価の炭化水素基の両方の結合手が―O−に結合した基、前記置換もしくは非置換の2価の炭化水素基の両方の結合手が―S−に結合した基や、−O−、−S−、−SO2 −、−SO−、−SO2 O−、−CO−、−COO−、−OCOO−、−N(R) −、−N(R)CO−、−OCH2 CON(R)−、−O(CH2)2 CON(R)−、−SCH2 CON(R)−、−S(CH2)2 CON(R)−(但し、各Rは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基または炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基を示す。以下同様。)等を挙げることができる。
【0022】
Rの非置換のアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜15、特に好ましくは1〜12であり、Rの非置換の1価の脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜18、さらに好ましくは3〜12、特に好ましくは3〜8であり、Rのアルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜15、特に好ましくは2〜12である。
【0023】
Rの非置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、t−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等を挙げることができる。
【0024】
Rの前記アルキル基に対する置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシ基(例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)等の1個以上あるいは1種以上を挙げることができる。
【0025】
また、Rの非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基、エチルアダマンチル基、n−ブチルアダマンチル基等の有橋脂環式炭化水素基等を挙げることができる。
さらに、Rの炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基としては、ビニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基等を挙げることができる。
【0026】
Rの前記脂環式炭化水素基に対する置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキソ基(=O)、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等)、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等)、炭素数1〜4のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、シアノ基、炭素数2〜5のシアノアルキル基(例えば、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシ基(例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、炭素数1〜4のフルオロアルキル基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)等の1個以上あるいは1種以上を挙げることができる。
【0027】
一般式(1)において、好ましいAの具体例としては、単結合、メチレン基、1,2−エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ジフルオロメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、1,4−フェニレンメチレン基、フルオロ−1,4−フェニレン基、1,1,2,2−テトラフルオロペンタメチレン基、−CH2 O−、−(CH2)2 O−、−(CH2)3 O−、−(CH2)4 O−、−(CH2)5 O−、1,4−シクロヘキシレンオキシ基、1,4−フェニレンオキシ基、−CH2 CO−、−(CH2)2 CO−、−(CH2)3 CO−、−CH2 COO−、−(CH2)2 COO−、−(CH2)3 COO−、−OCH2 COO−、−O(CH2)2 COO−、−O(CH2)3 COO−、
【0028】
−CH2 SO2 −、−(CH2)2 SO2 −、−(CH2)3 SO2 −、−OCH2 SO2 −、−O(CH2)2 SO2 −、−O(CH2)3 SO2 −、−CH2 S−、−(CH2)2 S−、−(CH2)3 S−、−(CH2)4 S−、−(CH2)5 S−、1,4−シクロヘキシレンチオ基、1,4−フェニレンチオ基、−OCH2 CON(R)−、−O(CH2)2 CON(R)−、−S(CH2)2 CON(R)−
等を挙げることができる。
【0029】
一般式(1)および一般式(2)において、Arの炭素数6〜20の(m+1)価の芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜15、さらに好ましくは6〜12、特に好ましくは6〜10である。
【0030】
前記(m+1)価の芳香族炭化水素基の具体例としては、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン、ナフタレン、アントラセン等に由来する基を挙げることができる。
【0031】
また、Arの原子数3〜20の1価の複素環式基は、複素環中に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を1個以上あるいは1種以上含む基であり、該1価の複素環式基の炭素数は、好ましくは2〜15、さらに好ましくは3〜12、特に好ましくは5〜10である。
前記1価の複素環式基の具体例としては、ピリジン、イミダゾリン、モルホリン、ピペリジン、フラン、ピラン、チオフェン等に由来する基を挙げることができる。
【0032】
一般式(1)および一般式(2)において、Arの前記芳香族炭化水素基および複素環式基は、非電子供与性の置換基、例えば、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等)のほか、カルボキシル基、オキソ基(=O)、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等)、シアノ基、炭素数2〜5のシアノアルキル基(例えば、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、炭素数1〜4のフルオロアルキル基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)等を1個以上あるいは1種以上有することもできる。
【0033】
一般式(1)において、好ましいArの具体例としては、ベンゼン、トルエン、p−キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ナフタレン、アントラセン等に由来する基を挙げることができる。
【0034】
一般式(1)および一般式(2)において、R1 の非置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜15、特に好ましくは1〜12である。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、t−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等を挙げることができる。
【0035】
また、R1 の非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜18、さらに好ましくは3〜12、特に好ましくは3〜8である。
前記1価の脂環式炭化水素基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、1−メチル−7,7−ジメチルノルボルニル基、1−(7,7−ジメチルノルボルニル)メチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、3−メチル−1−アダマンチル基、3−エチル−1−アダマンチル基、3−n−プロピル−1−アダマンチル基、3−n−ブチル−1−アダマンチル基、3−メチル−3−アダマンチル基、3−エチル−3−アダマンチル基、3−n−プロピル−3−アダマンチル基、3−n−ブチル−3−アダマンチル基等の炭素数6〜20の有橋脂環式炭化水素基等を挙げることができる。
【0036】
また、R1 の炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜15、特に好ましくは2〜12である。
前記アルケニル基の具体例としては、ビニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基等を挙げることができる。
【0037】
また、R1 の非置換の炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜15、さらに好ましくは6〜12、特に好ましくは6〜10である。
前記1価の芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、ベンジル基、o−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、9−アントリル基等を挙げることができる。
【0038】
また、R1 の非置換の原子数3〜20の1価の複素環式基は、複素環中に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を1個以上あるいは1種以上含む基であり、該1価の複素環式基の原子数は、好ましくは2〜15、さらに好ましくは3〜12、特に好ましくは5〜10である。
前記1価の複素環式基の具体例としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、5−イミダゾリル基、2−モルホリニル基、3−モルホリニル基、2−ピペリジニル基、3−ピペリジニル基、4−ピペリジニル基、2−ピロリジニル基、3−ピロリジニル基等を挙げることができる。
【0039】
R1 の置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基における置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシ基(例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)等の1個以上あるいは1種以上を挙げることができる。
【0040】
また、R1 の置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、置換の炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基および置換の原子数3〜20の1価の複素環式基における置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキソ基(=O)、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等)、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等)、炭素数1〜4のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、シアノ基、炭素数2〜5のシアノアルキル基(例えば、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等)、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシ基(例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、炭素数1〜4のフルオロアルキル基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)等の1個以上あるいは1種以上を挙げることができる。
【0041】
一般式(1)において、好ましいR1 の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、t−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、カンホロイル基、2−ノルボニル基、ヒドロキシ−2−ノルボニル基、(2−オキソ−7,7−ジメチルノルボルナン−1−イル)メチル基、フェニル基、p−トルイル基、ベンジル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、メトキシカルボニルジフルオロメチル基等を挙げることができる。
一般式(1)において、mとしては、0〜2が好ましい。
一般式(1)において、m個の−Y−R1 基はAr中の結合可能な全ての位置で結合することができる。
【0042】
一般式(2)において、Bの2価の基としては、例えば、前記一般式(1)におけるAについて例示した基と同様のものを挙げることができ、またArおよびR1 としては、例えば、前記一般式(1)におけるそれぞれArおよびR1 について例示した基と同様のものを挙げることができる。
【0043】
一般式(2)において、好ましいBの具体例としては、単結合、メチレン基、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、−O−、−S−、−CH2 O−、−(CH2)2 O−、−(CH2)3 O−、−CH2 S−、−(CH2)2 S−、−(CH2)3 S−等を挙げることができる。
【0044】
また、好ましいArの具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等に由来する基を挙げることができる。
【0045】
また、好ましいR1 の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、t−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、カンホロイル基、2−ノルボルニル基、3−テトラシクロドデシル基、フェニル基、p−トリル基、ベンジル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、メトキシカルボニルジフルオロメチル基、5−オキソノルボルナン−2−イル基等を挙げることができる。
一般式(2)において、mとしては、0〜2が好ましい。
一般式(2)において、m個の−Y−R1 基はAr中の結合可能な全ての位置で結合することができる。
【0046】
一般式(2)において、Z1 およびZ2 の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフロオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−オクチル基等を挙げることができる。
一般式(2)において、Z1 およびZ2 としては、特に、フッ素原子、トリフルオロメチル基等が好ましい。
一般式(2)において、nとしては、1〜4が好ましい。
【0047】
本発明において、好ましいスルホニルオキシイミド化合物(α1)としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物(以下、「スルホニルオキシイミド化合物(α3)」という。)を挙げることができ、また好ましいスルホニルオキシイミド化合物(α2)としては、例えば、下記一般式(4)で表される化合物(以下、「スルホニルオキシイミド化合物(α4)」という。)を挙げることができる。
【0048】
【化7】
【0049】
〔一般式(3)において、A、Ar、Y、R1 およびmは一般式(1)におけるそれぞれA、Ar、Y、R1 およびmと同義であり、Xは置換もしくは非置換の2価の有機基を示し、R2 は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の原子数6〜20の1価の複素環式基を示す。〕
【0050】
【化8】
【0051】
〔一般式(4)において、Ar、Y、R1 およびmは一般式(1)におけるそれぞれAr、Y、R1 およびmと同義であり、Z1 、Z2 、nおよびBは一般式(2)におけるそれぞれZ1 、Z2 、nおよびBと同義であり、Xは一般式(3)におけるXと同義である。〕
【0052】
一般式(3)および一般式(4)において、Xの置換もしくは非置換の2価の有機基としては、例えば、メチレン基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数3〜8のシクロアルキレン基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルケニレン基、炭素数3〜8のシクロアルケニレン基、炭素7〜15のアラルキレン基、炭素6〜14のアリーレン基のほか、ノルボルナンやその誘導体に由来する基、ノルボルネンやその誘導体に由来する基等を挙げることができ、より具体的には、1,2−エチレン基、トリメチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、エチニレン基、1,2−ジフェニルエチニレン基、1,2−シクロヘキセニレン基、1,2−フェニレン基、4−クロロ−1,2−フェニレン基、4−ニトロ−1,2−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、4−メトキシ−1,2−フェニレン基、4−カルボキシ−1,2−フェニレン基、1,8−ナフタレン基や、2,3−ノルボルナニレン基、7−オキシ−2,3−ノルボルナニレン基、5,6−(2−ノルボルネニレン)基、7−オキシ−5,6−(2−ノルボルネニレン)基等を挙げることができる。
【0053】
一般式(3)において、R2 の置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または置換もしくは非置換の原子数6〜20の1価の複素環式基としては、各基の好ましい例を含めて、例えば、一般式(1)および一般式(2)におけるR1 について例示したそれぞれ対応する基と同様のものを挙げることができる。
【0054】
スルホニルオキシイミド化合物(α1)の好ましい具体例としては、下記式(1−1) 〜式(1−9) で表される化合物等を、スルホニルオキシイミド化合物(α3)の好ましい具体例としては、下記式(3−1) 〜式(3−15)で表される化合物等を、またスルホニルオキシイミド化合物(α2)ないしスルホニルオキシイミド化合物(α4)の好ましい具体例としては、下記式(4−1) 〜式(4−13)で表される化合物等を挙げることができる。
【0055】
【化9】
【0056】
【化10】
【0057】
【化11】
【0058】
【化12】
【0059】
【化13】
【0060】
【化14】
【0061】
【化15】
【0062】
【化16】
【0063】
【化17】
【0064】
【化18】
【0065】
【化19】
【0066】
【化20】
【0067】
【化21】
【0068】
【化22】
【0069】
【化23】
【0070】
【化24】
【0071】
【化25】
【0072】
スルホニルオキシイミド化合物(α4)は、例えば、非特許文献1に記載されている方法に準じて、下記反応式に示すように、前駆N−ヒドロキシイミド化合物(5)とスルホニルクロリド化合物(6)とを塩基性触媒の存在下で反応させることにより合成することができる。また、スルホニルオキシイミド化合物(α3)も、対応する前駆N−ヒドロキシイミド化合物および対応するスルホニルクロリド化合物をそれぞれ前駆N−ヒドロキシイミド化合物(5)およびスルホニルクロリド化合物(6)に換えて用いることにより、同様にして合成することができる。
【0073】
【化26】
【0074】
【非特許文献1】
J. Am. Chem. Soc. Vol.103, P.7368−7370 (1981)
【0075】
前記反応において、スルホニルクロリド化合物(6)の前駆N−ヒドロキシイミド化合物(5)に対するモル比は、通常、1〜100、好ましくは1.5〜10である。
反応に使用される塩基性触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等挙げることができ、好ましくは、トリエチルアミン、ピリジン等である。
塩基性触媒のスルホニルクロリド化合物(6)に対するモル比は、通常、1.0〜10.0、好ましくは2.0〜4.0である。
【0076】
この反応は、通常、トルエン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性有機溶媒中で実施される。
反応温度は、通常、―40〜+50℃、好ましくは−20〜+30℃であり、反応時間は、通常、0.1〜72時間、好ましくは0.5〜3時間である。
【0077】
本発明の感放射線性酸発生剤は、露光により酸を発生する成分であり、特に、活性放射線、例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザーあるいはEUVに代表される(超)遠紫外線、電子線の如き各種の放射線を用いる微細加工に有用な感放射線性樹脂組成物における感放射線性酸発生剤として極めて好適に使用することができる。
【0078】
ポジ型感放射線性樹脂組成物
−(A)酸発生剤−
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物における(A)成分は、スルホニルオキシイミド化合物(α)を少なくとも1種含む感放射線性酸発生剤(以下、「(A)酸発生剤」という。)からなる。
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物において、(A)酸発生剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0079】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、(A)酸発生剤以外の感放射線性酸発生剤(以下、「他の酸発生剤」という。)を1種以上併用することができる。
他の酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物、ジスルホニルメタン化合物等を挙げることができる。
【0080】
前記オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩(但し、テトラヒドロチオフェニウム塩を含む。)、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。
また、前記スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらのα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。
また、前記スルホン酸エステル化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。
また、前記スルホンイミド化合物としては、例えば、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
【0081】
【化27】
〔一般式(5)において、Qは2価の有機基を示し、R3 は1価の有機基を示す。〕
【0082】
一般式(5)において、Qとしては、例えば、メチレン基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基、ジフルオロメチレン基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のパーフルオロアルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、ノルボルナン骨格を有する2価の基や、これらの基を炭素数6以上のアリール基や炭素数1以上のアルコキシル基で置換基した基等を挙げることができる。
【0083】
また、R3 としては、例えば、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜10のパーフルオロシクロアルキル基、炭素数7〜15の1価のビシクロ環含有炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基等を挙げることができる。
【0084】
また、前記ジアゾメタン化合物としては、例えば、下記一般式(6)で表される化合物を挙げることができる。
【0085】
【化28】
〔一般式(6)において、各R4 は相互に独立に直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換シクロアルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。〕
【0086】
また、前記ジスルホニルメタン化合物としては、例えば、下記一般式(7)で表される化合物を挙げることができる。
【0087】
【化29】
【0088】
〔一般式(7)において、各R5 は相互に独立に直鎖状もしくは分岐状の1価の脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロ原子を有する1価の他の有機基を示し、VおよびWは相互に独立にアリール基、水素原子、直鎖状もしくは分岐状の1価の脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基、アラルキル基またはヘテロ原子を有する1価の他の有機基を示し、且つVおよびWの少なくとも一方がアリール基であるか、VとWが相互に連結して少なくとも1個の不飽和結合を有する単環もしくは多環を形成しているか、あるいはVとWが相互に連結して下記式(i)で表される基
【0089】
【化30】
【0090】
(但し、V’及びW’は相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、または同一のもしくは異なる炭素原子に結合したV’とW’が相互に連結して炭素単環構造を形成しており、V’およびW’が複数存在する場合、複数のV’および複数のW’はそれぞれ相互に同一でも異なってもよく、jは2〜10の整数である。)
を形成している。〕
【0091】
他の酸発生剤としては、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物およびジアゾメタン化合物の群の1種または2種以上が好ましい。
特に好ましい他の酸発生剤としては、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、
【0092】
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔(5−メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)スルホニルオキシ〕スクシンイミド、ビス(シクロヘキサンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタンおよびビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]−デカン−7−スルホニル)ジアゾメタンの群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0093】
他の酸発生剤の使用割合は、各他の酸発生剤の種類に応じて適宜選定することができるが、(A)酸発生剤と他の酸発生剤との合計100重量部に対して、通常、95重量部以下、好ましくは90重量部以下、さらに好ましくは80重量部以下である。この場合、他の酸発生剤の使用割合が95重量部を超えると、本発明における所期の効果が損なわれるおそれがある。
【0094】
−(B)酸解離性基含有樹脂−
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物における(B)成分は、酸解離性基を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離したときにアルカリ易溶性となる樹脂(以下、「(B)酸解離性基含有樹脂」という。)からなる。
ここでいう「アルカリ不溶性またはアルカリ難溶性」とは、(B)酸解離性基含有樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、当該レジスト被膜の代わりに(B)酸解離性基含有樹脂のみを用いた被膜を現像した場合に、当該被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
【0095】
(B)酸解離性基含有樹脂における酸解離性基とは、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性官能基中の水素原子を置換した基であり、酸の存在下で解離する基を意味する。
このような酸解離性基としては、例えば、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、環式酸解離性基等を挙げることができる。
【0096】
前記置換メチル基としては、例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、(2−メトキシエトキシ)メチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、4−ブロモフェナシル基、4−メトキシフェナシル基、4−メチルチオフェナシル基、α−メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、4−ブロモベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−メチルチオベンジル基、4−エトキシベンジル基、4−エチルチオベンジル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、i−プロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等を挙げることができる。
【0097】
また、前記1−置換エチル基としては、例えば、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、1−ベンジルチオエチル基、1−シクロプロピルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、1−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、1−n−プロポキシカルボニルエチル基、1−i−プロポキシカルボニルエチル基、1−n−ブトキシカルボニルエチル基、1−t−ブトキシカルボニルエチル基等を挙げることができる。
【0098】
また、前記1−置換−n−プロピル基としては、例えば、1−メトキシ−n−プロピル基、1−エトキシ−n−プロピル基等を挙げることができる。
また、前記1−分岐アルキル基としては、例えば、i−プロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基等を挙げることができる。
また、前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0099】
また、前記アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、p−トルエンスルホニル基、メシル基等を挙げることができる。
【0100】
また、前記環式酸解離性基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基等を挙げることができる。
【0101】
これらの酸解離性基のうち、ベンジル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−エトキシ−n−プロピル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基等が好ましい。
(B)酸解離性基含有樹脂において、酸解離性基は1種以上存在することができる。
【0102】
(B)酸解離性基含有樹脂中の酸解離性基の導入率((B)酸解離性基含有樹脂中の酸性官能基と酸解離性基との合計数に対する酸解離性基の数の割合)は、酸解離性基や該基が導入される樹脂の種類により適宜選定することができるが、好ましくは5〜100%、さらに好ましくは10〜100%である。
【0103】
(B)酸解離性基含有樹脂の構造は、前述した性状を有する限り特に限定はなく、種々の構造とすることができるが、特に、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)中のフェノール性水酸基の水素原子の一部または全部を酸解離性基で置換した樹脂、p−ヒドロキシスチレンおよび/またはp−ヒドロキシ−α−メチルスチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体中のフェノール性水酸基の水素原子および/またはカルボキシル基の水素原子の一部または全部を酸解離性基で置換した樹脂等を好ましく用いることができる。
【0104】
また、(B)酸解離性基含有樹脂の構造は、使用する放射線の種類に応じて種々選定することができる。
例えば、KrFエキシマレーザーを用いる感放射線性樹脂組成物に特に好適な(B)酸解離性基含有樹脂としては、例えば、下記一般式(8)で表される繰り返し単位(以下、「繰返し単位(8)」という。)を少なくとも1種と繰返し単位(8)中のフェノール性水酸基を酸解離性基で保護した繰り返し単位を少なくとも1種とを有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂(以下、「樹脂(B1)」という。)が好ましい。なお、樹脂(B1)は、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザー、電子線等の他の放射線を使用する感放射線性樹脂組成物にも好適に使用することができる。
【0105】
【化31】
〔一般式(8)において、R6 は水素原子または1価の有機基を示し、複数存在するR6 は相互に同一でも異なってもよく、aおよびbはそれぞれ1〜3の整数である。〕
【0106】
繰り返し単位(8)としては、特に、p−ヒドロキシスチレンの非芳香族二重結合が開裂した単位が好ましい。
また、樹脂(B1)は、さらに他の繰り返し単位を少なくとも1種含んでいてもよい。
前記他の繰り返し単位としては、例えば、スチレン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル等の(メタ)アクリル酸エステル類等の重合性不飽和結合が開裂した単位を挙げることができる
【0107】
また、ArFエキシマレーザーを用いる感放射線性樹脂組成物に特に好適な(B)酸解離性基含有樹脂としては、例えば、下記一般式(9)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(9)」という。)および下記一般式(10)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(10)」という。)の群から選ばれる少なくとも1種と下記一般式(11)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(11)」という。)を少なくとも1種とを有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂(以下、「樹脂(B2)」という)が好ましい。なお、樹脂(B2)は、KrFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザー、電子線等の他の放射線を用いる感放射線性樹脂組成物にも好適に使用することができる。
【0108】
【化32】
【0109】
〔一般式(9)、一般式(10)および一般式(11)において、R7 、R9 およびR10は相互に独立に水素原子またはメチル基を示し、一般式(9)において、各R8 は相互に独立に水素原子、水酸基、シアノ基または−COOR12(但し、R12は水素原子、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数3〜20の環状のアルキル基を示す。)を示し、一般式(11)において、各R11は相互に独立に炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、かつR11の少なくとも1つが該脂環式炭化水素基もしくはその誘導体であるか、あるいは何れか2つのR11が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成し、残りのR11が炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を示す。〕
【0110】
好ましい繰り返し単位(9)としては、例えば、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3−シアノアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3,5−ジカルボキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシ−5−ヒドロキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシアダマンタン−1−イル等を挙げることができる。
樹脂(B2)において、繰り返し単位(9)および繰り返し単位(10)はそれぞれ、単独でまたは2種以上が存在することができる。
【0111】
また、好ましい繰り返し単位(11)としては、例えば、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−n−プロピルアダマンタン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−i−プロピルアダマンタン−2−イル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチル等を挙げることができる。
樹脂(B2)において、繰り返し単位(11)は単独でまたは2種以上が存在することができる。
【0112】
樹脂(B2)は、さらに他の繰り返し単位を1種以上有することもできる。
前記他の繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸7−オキソ−6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−4−イル、(メタ)アクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−オキソテトラヒドロピラン−4−イル、(メタ)アクリル酸4−メチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イル、(メタ)アクリル酸5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、(メタ)アクリル酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、(メタ)アクリル酸(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチル、(メタ)アクリル酸(3,3−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)メチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド等の不飽和アミド化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンやその誘導体類、テトラシクロ[6.2.13,6 .02,7 ]ドデカ−3−エンやその誘導体類等の単官能性単量体のほか、メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体を挙げることができる。
【0113】
さらに、F2 エキシマレーザーを用いる感放射線性樹脂組成物に特に好適な(B)酸解離性基含有樹脂としては、下記一般式(12)で表される構造単位(以下、「構造単位(12)」という。)および一般式(13)で表される構造単位の群から選ばれる少なくとも1種を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性のポリシロキサン(以下、「樹脂(B3)」という。)が好ましい。なお、樹脂(B3)は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、電子線等の他の放射線を用いる場合にも好適に使用することができる。
【0114】
【化33】
〔一般式(12)および一般式(13)において、各Eは相互に独立に酸解離性基を有する1価の有機基を示し、R13は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状の1価の炭化水素基を示す。〕
【0115】
一般式(12)および一般式(13)中のEとしては、環状構造を有する基に酸解離性基が結合した構造を有する基が好ましい。
前記環状構造を有する基としては、炭素数3〜8のシクロアルカン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタン等に由来する脂環式環状構造を有する基や、炭素数6〜20のハロゲン化芳香族環状構造を有する基が好ましい。
【0116】
樹脂(B3)としては、構造単位(12)を有する樹脂が好ましい。
特に好ましい構造単位(12)の具体例としては、下記式(12−1)〜(12−4)で表される単位等を挙げることができる。
【0117】
【化34】
【0118】
【化35】
【0119】
樹脂(B3)は、さらに他の構造単位を1種以上有することもできる。
前記他の構造単位としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類の加水分解により形成される単位や、下記式(14−1)〜(14−4)で表される単位等が好ましい。
【0120】
【化36】
【0121】
【化37】
【0122】
樹脂(B3)は、酸解離性基を有するシラン化合物を重縮合させるか、予め製造したポリシロキサンに酸解離性基を導入することにより製造することができる。
酸解離性基を有するシラン化合物を樹脂合させる際には、触媒として、酸性触媒を用いることが好ましく、特に、該シラン化合物を酸性触媒の存在下で重縮合させたのち、塩基性触媒を加えてさらに反応させることが好ましい。
【0123】
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、ほう酸、燐酸、四塩化チタン、塩化亜鉛、塩化アルミニウム等の無機酸類;蟻酸、酢酸、n−プロピオン酸、酪酸、吉草酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、無水酢酸、無水マレイン酸、くえん酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸類を挙げることができる。
これらの酸性触媒のうち、塩酸、硫酸、酢酸、しゅう酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、無水酢酸、無水マレイン酸等が好ましい。
前記酸性触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0124】
また、前記塩基性触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン等の有機塩基類を挙げることができる。
前記塩基性触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0125】
(B)酸解離性基含有樹脂が重合性不飽和単量体の重合によりあるいは該重合を経て製造される場合、当該樹脂は、重合性不飽結合を2つ以上有する多官能性単量体に由来する単位および/またはアセタール性架橋基によって分岐構造を導入することができる。このような分岐構造を導入することにより、(B)酸解離性基含有樹脂の耐熱性を向上させることができる。
この場合、(B)酸解離性基含有樹脂中の分岐構造の導入率は、該分岐構造やそれが導入される樹脂の種類により適宜選定することができるが、全繰返し単位に対して10モル%以下であることが好ましい。
【0126】
(B)酸解離性基含有樹脂の分子量については特に限定はなく、適宜選定することができるが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、1,000〜500,000、好ましくは2,000〜400,000、さらに好ましくは3,000〜300,000である。
また、分岐構造をもたない(B)酸解離性基含有樹脂のMwは、好ましくは1,000〜150,000、さらに好ましくは3,000〜100,000であり、分岐構造を有する(B)酸解離性基含有樹脂のMwは、好ましくは5,000〜500,000、さらに好ましくは8,000〜300,000である。このような範囲のMwを有する(B)酸解離性基含有樹脂を用いることにより、得られるレジストが現像特性に優れるものとなる。
【0127】
また、(B)酸解離性基含有樹脂のMwとGPCで測定したポリスチレン換算数分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)についても特に限定はなく、適宜選定することができるが、通常、1〜10、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜5である。このような範囲のMw/Mnを有する(B)酸解離性基含有樹脂を用いることにより、得られるレジストが解像性能に優れるものとなる。
【0128】
(B)酸解離性基含有樹脂の製造方法については特に限定はないが、例えば、予め製造したアルカリ可溶性樹脂中の酸性官能基に1種以上の酸解離性基を導入する方法;酸解離性基を有する1種以上の重合性不飽和単量体を、場合によりたの重合性不飽和単量体と共に、重合する方法;酸解離性基を有する1種以上の重縮合性成分を、場合により他の重縮合性成分と共に、重縮合する方法等によって製造することができる。
【0129】
アルカリ可溶性樹脂を製造する際の重合性不飽和単量体の重合および酸解離性基を有する1種以上の重合性不飽和単量体の重合は、使用される重合性不飽和単量体や反応媒質の種類等に応じて、ラジカル重合開始剤、アニオン重合触媒、配位アニオン重合触媒、カチオン重合触媒等の重合開始剤あるいは重合触媒を適宜に選定し、塊状重合、溶液重合、沈澱重合、乳化重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合等の適宜の重合形態で実施することができる。
また、酸解離性基を有する1種以上の重縮合性成分の重縮合は、好ましくは酸性触媒の存在下、水媒質中または水と親水性溶媒との混合媒質中で実施することができる。
【0130】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物において、(A)酸発生剤の使用量は、レジストの所望の特性に応じて種々の選定とすることができるが、(B)酸解離性基含有樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜70重量部、さらに好ましくは0.01〜50重量部、特に好ましくは0.1〜20質量部である。この場合、(A)酸発生剤の使用量を0.001重量部以上とすることにより、感度および解像度の低下を抑制でき、また70質量部以下とすることにより、レジストの塗布性やパターン形状の劣化を抑制することができる。
【0131】
−酸拡散抑制剤−
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、露光により(A)酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域での好ましくない化学反応を抑制する作用を有する酸拡散制御剤を配合することが好ましい。このような酸拡散制御剤を配合することにより、感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上させることができるとともに、レジストとしての解像度がさらに向上させ、また露光から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、その結果、プロセス安定性に極めて優れた感放射線性樹脂組成物を得ることができる。
【0132】
このような酸拡散制御剤としては、レジストパターンの形成工程中の露光や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
前記含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(15)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環式化合物等を挙げることができる。
【0133】
【化38】
〔一般式(15)において、各R14は相互に独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、これらの各基は置換されていてもよい。〕
【0134】
一般式(15)において、R14の置換されていてもよいアルキル基としては、例えば、炭素数1〜15、好ましくは1〜10のもの、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
【0135】
また、R14の置換されていてもよいアリール基としては、例えば、炭素数6〜12のもの、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、1−ナフチル基等を挙げることができる。
また、R14の置換されていてもよいアラルキル基としては、例えば、炭素数7〜19、好ましくは7〜13のもの、具体的には、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基等を挙げることができる。
【0136】
含窒素化合物(I)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等を挙げることができる。
【0137】
また、含窒素化合物(II) としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,
N’ , N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン等を挙げることができる。
また、含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
【0138】
また、前記アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
前記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0139】
また、前記含窒素複素環式化合物としては、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、1−ピペリジンエタノール、2−ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0140】
さらに、前記含窒素有機化合物として、酸解離性基を有する化合物を用いることもできる。
前記酸解離性基を有する含窒素有機化合物としては、例えば、N―(t−ブトキシカルボニル)ピペリジン、N―(t−ブトキシカルボニル)イミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)ベンズイミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンズイミダゾール、N―(t−ブトキシカルボニル)ジ−n−オクチルアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N―(t−ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン等を挙げることができる。
【0141】
これらの含窒素有機化合物のうち、含窒素化合物(I)、含窒素化合物(II) 、含窒素複素環式化合物、酸解離性基を有する含窒素有機化合物等が好ましい。
前記酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0142】
酸拡散制御剤の配合量は、(B)酸解離性基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは0.001〜10質量部、特に好ましくは0.005〜5質量部である。この場合、酸拡散制御剤の配合量を0.001質量部以上とすることにより、プロセス条件によってレジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下することを抑制でき、また15質量部以下とすることにより、レジストとしての感度や露光部の現像性を向上させることができる。
【0143】
−溶解制御剤−
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、酸の作用により、アルカリ現像液に対する溶解性が高くなる性質を有する溶解制御剤を配合することもできる。
このような溶解制御剤としては、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性官能基を有する化合物や、該化合物中の酸性官能基の水素原子を酸解離性基で置換した化合物等を挙げることができる。
前記溶解制御剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
溶解制御剤の配合量は、感放射線性樹脂組成物中の全樹脂成分100重量部に対し、通常、10重量部以下、好ましくは5重量部以下である。
【0144】
−界面活性剤−
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、感放射線性樹脂組成物の塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す界面活性剤を配合することもできる。
このような界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又は両性の界面活性剤のいずれでも使用することができるが、好ましくはノニオン系界面活性剤である。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類のほか、以下商品名で、「KP」(信越化学工業製)、「ポリフロー」(共栄社油脂化学工業製)、「エフトップ」(トーケムプロダクツ製)、「メガファック」(大日本インキ化学工業製)、「フロラード」(住友スリーエム製)、「アサヒガード」、「サーフロン」(以上、旭硝子製)等の各シリーズ等を挙げることができる。
前記界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
界面活性剤の配合量は、感放射線性樹脂組成物中の全樹脂成分100重量部に対し、界面活性剤の有効成分として、通常、2重量部以下、好ましくは1.5重量部以下である。
【0145】
−増感剤−
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを(A)酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を有し、感放射線性樹脂組成物のみかけの感度を向上させることができる増感剤を配合することもできる。
このような増感剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等を挙げることができる。
これらの増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。増感剤の配合量は、感放射線性樹脂組成物中の全樹脂成分100重量部に対して、通常、50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。
【0146】
−他の添加剤−
さらに、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、前記以外の添加剤、例えば、染料、顔料、接着助剤や、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、形状改良剤等、具体的には4−ヒドロキシ−4’−メチルカルコン等を配合することもできる。
この場合、染料や顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和でき、また接着助剤を配合することにより、基板との接着性を改善することができる。
【0147】
組成物溶液の調製
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、通常、使用時に各成分を溶剤に溶解して均一溶液とし、その後必要に応じて、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することにより、組成物溶液として調製される。
【0148】
前記溶剤としては、例えば、エーテル類、エステル類、エーテルエステル類、ケトン類、ケトンエステル類、アミド類、アミドエステル類、ラクタム類、(ハロゲン化)炭化水素類等を挙げることができ、より具体的には、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、(非)環式ケトン類、酢酸エステル類、ヒドロキシ酢酸エステル類、アルコキシ酢酸エステル類、乳酸エステル類、アセト酢酸エステル類、ピルビン酸エステル類、プロピオン酸エステル類、ヒドロキシプロピオン酸エステル類、アルコキシプロピオン酸エステル類、(置換)酪酸エステル類、N,N−ジアルキルホルムアミド類、N,N−ジアルキルアセトアミド類、N−アルキルピロリドン類、(ハロゲン化)脂肪族炭化水素類、(ハロゲン化)芳香族炭化水素類等を挙げることができる。
【0149】
前記溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、イソプロペニルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ヒドロキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸i−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、イソプロペニルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
【0150】
これらの溶剤のうち、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヘプタノン、乳酸エステル類、2−ヒドロキシプロピオン酸エステル類、3−アルコキシプロピオン酸エステル類等が、塗布時の膜面内均一性が良好となるの点で好ましい。
前記溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0151】
また必要に応じて、前記溶剤と共に、他の溶剤、例えば、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶剤等を使用することができる。
これらの他の溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
他の溶剤を使用割合は、全溶剤に対して、通常、50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
【0152】
溶剤の合計使用量は、溶液の全固形分濃度が、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%、就中10〜25重量%となる量である。溶液の全固形分濃度をこの範囲とすることにより、塗布時の膜面内均一性が良好となる点で好ましい。
【0153】
レジストパターンの形成
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、前記のようにして調製された組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成する。その後、場合により予め加熱処理(以下、「PB」という。)を行ったのち、所定のマスクパターンを介して、該レジスト被膜に露光する。
露光の際に使用することができる放射線としては、使用される(A)酸発生剤の種類に応じて、水銀灯の輝線スペクトル(波長254nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2 エキシマレーザー(波長157nm)、EUV(波長13nm等)等の遠紫外線や、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線等を挙げることができ、好ましくは遠紫外線および荷電粒子線であり、特に好ましくは、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザーおよび電子線である。
また、放射線量等の露光条件は、ポジ型感放射線性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類等に応じて適宜選定される。
また、レジストパターンの形成に際しては、露光後に加熱処理(以下、この加熱処理を「PEB」という。)を行うことが、レジストの見掛けの感度を向上させる点で好ましい。
PEBの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類等により変わるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
【0154】
その後、露光されたレジスト被膜をアルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。
前記アルカリ現像液としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水、アルキルアミン類、アルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の1種以上を溶解したアルカリ性水溶液が使用され、特に好ましいアルカリ現像液は、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類の水溶液である。
また、前記アルカリ性水溶液の濃度は、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは2〜5重量%である。この場合、アルカリ性水溶液の濃度を10重量%以下とすることにより、非露光部の現像液への溶解を抑制することができる。
また、前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することが好ましく、それによりレジストに対する現像液の濡れ性を高めることができる。
なお、前記アルカリ性水溶液からなる現像液で現像した後は、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【0155】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示して、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【0156】
〔スルホニルオキシイミド化合物(α)の合成〕
合成例1
アリルフェニルエーテル50gを1リットルナスフラスコに入れて、15分以上窒素ガスを流したのち、1−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヨードエタン137gおよびアゾビスイソブチロニトリル2.8gを加え、75℃まで昇温して12時間攪拌した。その後放冷し、塩化メチレン500ミリリットルおよび1,8−ジアザビシクロ [5.4.0] ―7−ウンデセン(DBU)85gを加えて、0℃で30分間攪拌したのち、室温でさらに1時間攪拌した。その後、塩化メチレン溶液を分液漏斗に移し、蒸留水500ミリリットルを加えて振とうして静置したのち、水層を除去した。その後、さらに0.1N塩酸500ミリリットルを加えて振とうして静置したのち、水層を除去した。その後、さらに飽和塩化ナトリウム水溶液500ミリリットルを加えて振とうして静置したのち、水層を除去した。その後、塩化メチル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ過し、乾燥後のジクロロメタン溶液からジクロロメタンを留去したのち、得られた液体を減圧蒸留(80〜84℃、0.3mmHg)することにより、無色液体の1−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロ−5−フェノキシ−3−ペンテン(以下、「化合物(1−a)」とする。)78.2gを得た。
【0157】
次いで、化合物(1−a)62gを酢酸エチル1リットルに溶解した溶液を、2リットルナスフラスコに入れ、5重量%のロジウムを含有するアルミナ12gを加えて、水素雰囲気下で3時間激しく攪拌した。その後、反応溶液をセライトを敷いたガラスフィルターで吸引ろ過し、ろ液を減圧濃縮したのち、濃縮液を減圧蒸留して精製することにより、無色液状の1−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロ−5−フェノキシペンタン(以下、「化合物(1−b)」とする。)56gを得た。
【0158】
次いで、亜二チオン酸ナトリウム70gおよび炭酸水素ナトリウム52gを水300ミリリットルに溶解した溶液を、十分に窒素置換した2リットルの3つ口フラスコに入れ、化合物(1−b)55gをアセトニトリルに溶解した溶液300ミリリットルを、室温で1時間かけて滴下したのち、75℃で2時間反応させた。その後、反応溶液を減圧蒸留してアセトニトリルを除去したのち、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧蒸留して酢酸エチルを除去することにより、1,1,2,2−テトラフルオロ−5−フェノキシペンタン−1−スルフィン酸ナトリウム(以下、「化合物(1−c)」とする。)35gを得た。
【0159】
次いで、化合物(1−c)80gを水250ミリリットルに溶解した溶液を、2リットルナスフラスコに入れて、室温で攪拌しつつ、過剰の塩素ガスを15分以上バブリングした。その後、フラスコの底部に溜まった油状物を塩化メチレンで抽出し、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧蒸留して塩化メチレンを除去することにより、1,1,2,2−テトラフルオロ−5−フェノキシペンタン−1−スルフィン酸クロライド(以下、「化合物(1−d)とする。」)と1,1,2,2−テトラフルオロ−5−(4―クロロフェニル)オキシペンタン−1−スルフィン酸クロライド(以下、「化合物(1−e)とする。」)との混合物68gを得た。
【0160】
次いで、化合物(1−d)と化合物(1−e)との混合物30gをテトラヒドロフラン150gに溶解した溶液に、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド22gを加えたのち、トリエチルアミン29gを滴下した。その後、反応溶液を室温で10分間攪拌したのち、水を滴下した。その後、反応溶液を減圧濃縮して、残渣を塩化メチレンに溶解し、得られた溶液を分液漏斗に移して振とうして静置したのち、水層を除去した。その後、塩化メチレン層を炭酸水素ナトリウム水溶液、シュウ酸水溶液および水で順次洗浄した。その後、塩化メチレン溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ過したのち、エバポレーターを用いて塩化メチレンを留去し、得られた液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:水/アセトニトリル=80/20(重量比))により分離精製を行って、N−(1,1,2,2−テトラフルオロ−5−フェノキシ−3−ペンタン−1−スルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(以下、「酸発生剤(A−1)とする。」)10gおよびN−(1,1,2,2−テトラフルオロ−5−(4―クロロフェニル)−3−ペンタン−1−スルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(以下、「酸発生剤(A−2)とする。」)8gを得た。
【0161】
酸発生剤(A−1)および酸発生剤(A−2)について、日本電子(株)製「JMS−AX505W型質量分析計」を用いて、下記の条件で質量分析を行った。その結果、酸発生剤(A−1)はm/z=476(M+) 、酸発生剤(A−2)はm/z=511(M+) であった。
エミッター電流 :5mA(使用ガス:Xe)
加速電圧 :3.0kV
10N MULTI:1.3
イオン化法 :高速原子衝撃法(FAB)
検出イオン :カチオン(+)
測定質量範囲 :20〜1500m/z
スキャン :30sec
分解能 :1500
マトリックス :3−ニトロベンジルアルコール
【0162】
また、酸発生剤(A−1)および酸発生剤(A−2)について、日本電子(株)製「JNM−EX270」を用いて、 1H−NMR分析(測定溶媒:重水素化クロロホルム)を行った。その結果、化学シフトδ(ppm)は下記のとおりであった。
酸発生剤(A−1):
1.52(1H、d、J=12.9Hz、CH)、1.80(1H、d、J=12.6Hz、CH)、2.04〜2.15(2H、m、CH2)、2.28〜2.48(2H、m、CF2 CH2)、3.32〜3.37(2H、m、CH×2)、3.48〜3.51(2H、m、CH×2)、4.00(2H、t、J=5.9Hz、CH2 O)、6.19(2H、s、C=CH×2)、6.78〜6.84(2H、m、フェニル基)、7.20〜7.26(3H、m、フェニル基)。
【0163】
酸発生剤(A−2):
1.52(1H、d、J=12.6Hz、CH)、1.80(1H、d、J=12.6Hz、CH)、2.04〜2.14(2H、m、CH2)、2.27〜2.47(2H、m、CF2 CH2)、3.33〜3.36(2H、m、CH×2)、3.48〜3.49(2H、m、CH×2)、3.99(2H、t、J=5.6Hz、CH2 O)、6.18(2H、s、C=CH×2)、6.81(2H、d、J=9.0Hz、フェニル基)、7.23(2H、d、J=9.0Hz、フェニル基)。
【0164】
〔(B)酸解離性基含有樹脂の合成〕
以下に記載する方法により、各(B)酸解離性基含有樹脂を合成した。
各(B)酸解離性基含有樹脂のMwおよびMnは、東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶剤テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0165】
合成例2
4−アセトキシスチレン101g、スチレン5g、4−t−ブトキシスチレン42g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)6gおよびt−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル160gに溶解したのち、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合した。重合後、反応溶液を大量のn−ヘキサン中に滴下して、生成樹脂を凝固精製した。
次いで、この精製樹脂に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えたのち、さらにメタノール300g、トリエチルアミン80gおよび水15gを加え、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行なった。反応後、溶剤およびトリエチルアミンを減圧留去し、得られた樹脂をアセトンに溶解したのち、大量の水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた樹脂は、Mwが16,000、Mw/Mnが1.7であり、13C−NMR分析の結果、4−ヒドロキシスチレンとスチレンと4−t−ブトキシスチレンとの共重合モル比が72:5:23の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−1)とする。
【0166】
合成例3
4−アセトキシスチレン100g、アクリル酸t−ブチル25g、スチレン18g、AIBN6gおよびt−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル230gに溶解し、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して16時間重合した。重合後、反応溶液を大量のヘキサン中に滴下して、生成樹脂を凝固精製した。
次いで、この精製樹脂に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えたのち、さらにメタノール300g、トリエチルアミン80gおよび水15gを加え、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応後、溶剤およびトリエチルアミンを減圧留去し、得られた樹脂をアセトンに溶解したのち、大量の水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた樹脂は、Mwが11,500、Mw/Mnが1.6であり、13C−NMR分析の結果、4−ヒドロキシスチレンとアクリル酸t−ブチルとスチレンとの共重合モル比が61:19:20の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−2)とする。
【0167】
合成例4
4−t−ブトキシスチレン176gを、テトラヒドロフラン500ミリリットル中、−78℃で、n−ブチルリチウムを触媒として、アニオン重合した。重合後、反応溶液をメタノール中に滴下して樹脂を凝固させたのち、樹脂をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥して、白色のポリ(4−t−ブトキシスチレン)150gを得た。
次いで、このポリ(4−t−ブトキシスチレン)150gをジオキサン600gに溶解して、希塩酸を加え、70℃で2時間加水分解反応を行ったのち、反応溶液を多量の水中に滴下して樹脂を凝固させた。その後、この樹脂をアセトンに溶解して、大量の水中に凝固する操作を繰返したのち、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた樹脂は、Mwが10,400、Mw/Mnが1.10であり、13C−NMR分析の結果、ポリ(4−t−ブトキシスチレン)中のt−ブチル基の一部のみが加水分解した構造を有し、4−t−ブトキシスチレンと4−ヒドロキシスチレンとの共重合モル比が68:32の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−3)とする。
【0168】
合成例5
共重合モル比90:10の4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン共重合体25gを、酢酸n−ブチル100gに溶解して、窒素ガスにより30分問バブリングを行ったのち、エチルビニルエーテル3.3gを加え、触媒としてp−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩1gを添加して、室温で12時間反応させた。その後、反応溶液を1重量%アンモニア水溶液中に滴下して樹脂を凝固させて、ろ過したのち、減圧下50℃で一晩乾燥した。
得られた樹脂は、Mwが13,000、Mw/Mnが1.01であり、13C−NMR分析の結果、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)中のフェノール性水酸基の水素原子の23モル%がエトキシキシエチル基で、10モル%がt−ブチル基で置換された構造を有するものであった。
この樹脂を、樹脂(B−4)とする。
【0169】
合成例6
メタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル53.69gおよびメタクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イル46.31gを2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスブチレート4.04gを投入したモノマー溶液を準備した。
別に、2−ブタノン100gを投入した1,000ミリリットルの三口フラスコを30分窒素パージして、内容物を攪拌しながら80℃に加熱したのち、前記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、反応溶液を水冷して30℃以下に冷却し、メタノール2,000g中へ投入して、析出した白色粉末をろ別した。その後、得られた白色粉末を2度メタノール400gによりスラリー状で洗浄して、ろ別したのち、減圧下50℃で17時間乾燥して、白色粉末の樹脂を得た。
この樹脂はMwが9,700であり、13C−NMR分析の結果、メタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルとメタクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イルとの共重合モル比が59.6:40.4の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−5) とする。
【0170】
合成例7
メタクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イル40.90g、メタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル15.47gおよびメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル43.64gを2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスブチレート4.02gを投入したモノマー溶液を準備した。
別に、2−ブタノン100gを投入した1,000ミリリットルの三口フラスコを30分窒素パージして、内容物を攪拌しながら80℃に加熱したのち、前記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、反応溶液を水冷して30℃以下に冷却し、メタノール2,000g中へ投入して、析出した白色粉末をろ別した。その後、得られた白色粉末を2度メタノール400gによりスラリー状で洗浄して、ろ別したのち、減圧下50℃で17時間乾燥して、白色粉末の樹脂を得た。
この樹脂はMwが9,200であり、13C−NMR分析の結果、メタクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イルとメタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルとメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルとの共重合モル比が36.2:15.2:48.6の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−6) とする。
【0171】
合成例8
メタクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチル43.66g、メタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル14.74gおよびメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル43.66gを2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスイソブチレート3.83gを投入したモノマー溶液を準備した。
別に、2−ブタノン100gを投入した1,000ミリリットルの三口フラスコを30分窒素パージして、内容物を攪拌しながら80℃に加熱したのち、前記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、反応溶液を水冷して30℃以下に冷却し、メタノール2,000g中へ投入して、析出した白色粉末をろ別した。その後、得られた白色粉末を2度メタノール400gによりスラリー状で洗浄して、炉別したのち、減圧下50℃で17時間乾燥して、白色粉末の樹脂を得た。
この樹脂はMwが9,600であり、13C−NMR分析の結果、メタクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチルとメタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルとメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルとの共重合モル比が35.6:15.1:49.3の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−7) とする。
【0172】
合成例9
メタクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イル16.13g、メタクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イル40.58gおよびメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル43.29gを2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスイソブチレート3.99gを投入したモノマー溶液を準備した。
別に、2−ブタノン100gを投入した1,000ミリリットルの三口フラスコを30分窒素パージして、内容物を攪拌しながら80℃に加熱したのち、前記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、反応溶液を水冷して30℃以下に冷却し、メタノール2,000g中へ投入して、析出した白色粉末をろ別した。その後、得られた白色粉末を2度メタノール400gによりスラリー状で洗浄して、炉別したのち、減圧下50℃で17時間乾燥して、白色粉末の樹脂を得た。
この樹脂はMwが8,900であり、13C−NMR分析の結果、メタクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イルとメタクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イルとメタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルとの共重合モル比が13.7:38.2:48.1の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−8) とする。
【0173】
合成例10
アクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル42.44g、アクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル15.10gおよびアクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イル42.46gを2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスブチレート4.17gを投入したモノマー溶液を準備した。
別に、2−ブタノン100gを投入した1,000ミリリットルの三口フラスコを30分窒素パージして、内容物を攪拌しながら80℃に加熱したのち、前記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、反応溶液を水冷して30℃以下に冷却し、メタノール2,000g中へ投入して、析出した白色粉末をろ別した。その後、得られた白色粉末を2度メタノール400gによりスラリー状で洗浄して、炉別したのち、減圧下50℃で17時間乾燥して、白色粉末の樹脂を得た。
この樹脂はMwが10,200であり、13C−NMR分析の結果、アクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルとアクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルとアクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イルとの共重合モル比が49.2:15.3:35.5の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−9) とする。
【0174】
合成例11
メタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イル55.00g、メタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル11.70gおよびアクリル酸1−エチルシクロペンチル33.31gを2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチルアゾビスブチレート4.56gを投入したモノマー溶液を準備した。
別に、2−ブタノン100gを投入した1,000ミリリットルの三口フラスコを30分窒素パージして、内容物を攪拌しながら80℃に加熱したのち、前記モノマー溶液を滴下漏斗を用いて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、反応溶液を水冷して30℃以下に冷却して、2−プロパノール/n−ヘプタン=1/2(重量比)の混合溶媒2,000g中へ投入し、析出した白色粉末をろ別した。その後、得られた白色粉末を2度2−プロパノール/n−ヘプタン=1/2(重量比)の混合溶媒400gによりスラリー状で洗浄して、炉別したのち、減圧下50℃で17時間乾燥して、白色粉末の樹脂を得た。
この樹脂はMwが8,500であり、13C−NMR分析の結果、メタクリル酸5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7 ]ノナン−2−イルとメタクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルとアクリル酸1−エチルシクロペンチルとの共重合モル比が53.7:11.1:35.2の共重合体であった。
この樹脂を、樹脂(B−10)とする。
【0175】
合成例12
撹拌機、寒流冷却器及び温度計を装着した3つ口フラスコに、下記式(16)で表されるシラン化合物1.52g、下記式(17)で表されるシラン化合物1.57g、メチルトリエトキシシラン1.91g、4−メチル−2−ペンタノン15gおよび1.75重量%しゅう酸水溶液1.31gを加えて、撹拌しつつ80℃で6時間反応させたのち、反応容器を氷冷して反応を停止させた。その後、反応溶液を分液ロートに移して水層を除去し、さらにイオン交換水を加えて有機層を水洗して、反応溶液が中性になるまで水洗を繰り返したのち、有機層を減圧留去した。
得られた樹脂は、Mwが2,000であり、前記式(12−2)で表される繰り返し単位と前記式(14−1)で表される繰り返し単位とのモル比が60:40の樹脂であった。
この樹脂を、樹脂(B−11)とする。
【0176】
【化39】
【0177】
【化40】
【0178】
〔組成物溶液の調製〕
表1−1および表1−2(但し、「部」は重量基準である。)に示す各成分を混合して均一溶液としたのち、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過して、実施例1〜16および比較例1〜3の各組成物溶液を調製した。
【0179】
実施例および比較例で用いた酸発生剤(A−1) 、酸発生剤(A−2) および樹脂(B−1) 〜(B−11)以外の各成分は下記のとおりである。
他の酸発生剤:
a−1:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
a−2:ビス(4−t −ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート
a−3:N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
【0180】
酸拡散制御剤:
C−1:トリ−n−ヘキシルアミン
C−2:トリエタノールアミン
C−3:2−フェニルベンズイミダゾール
C−4:N−(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンズイミダゾール
溶解制御剤:
D−1:デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル
溶剤:
S−1:乳酸エチル
S−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S−3:2−ヘプタノン
S−4:γ―ブチロラクトン
【0181】
〔性能評価〕
実施例1〜16および比較例1〜3の各液状組成物をシリコンウェハー上にスピンコートしたのち、表2に示す条件でPBを行って、表2に示す膜厚のレジスト被膜を形成した。その後、表2に示す条件で露光を行ったのち、表2に示す条件でPEBを行った。その後、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間、パドル法により現像したのち、純水で水洗し、乾燥することにより、レジストパターンを形成した。
【0182】
ここで、露光に用いた装置は、露光光源がKrFエキシマレーザー(表2では「KrF」と表示)の場合、(株)ニコン製「ステッパーNSR2205 EX12B」(開口数0.55);露光光源がArFエキシマレーザー(表2では「ArF」と表示)の場合、(株)ニコン製ArFエキシマレーザー露光装置(開口数0.55);露光光源がF2 エキシマレーザー(表2では「F2」と表示)の場合、ウルトラテック(Ultratech)社製F2 エキシマレーザー露光装置「XLS」(開口数0.60);露光光源が電子線の場合、(株)日立製作所製直描用電子線描画装置「HL700」(加速電圧30KeV)を加速電圧50KeVに改良した装置をそれぞれ用いた。
【0183】
得られた各レジストパターンおよび各液状組成物について、下記の方法により性能評価を行った。
感度
シリコンウエハー上に形成したレジスト被膜に露光量を変えて露光したのち、直ちにPEBを行い、その後現像し、水洗し、乾燥して、レジストパターンを形成したとき、線幅0.25μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度とした。
解像度
最適露光量で露光したときに解像されるライン・アンド・スペースパターン(1L1S)の最小寸法を解像度とした。
【0184】
パターン形状
シリコンウエハー上に形成した線幅0.25μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)の方形状断面の下辺の寸法Laと上辺の寸法Lbを、走査型電子顕微鏡を用いて測定し、0.85≦Lb/La≦1の条件を満足するものを「良好」とし、この条件を満たさないものを「不良」とした。
保存安定性
各液状組成物について、調製直後の感度、および室温で1月間静置後の感度を評価して、1月間静置後の感度の調製直後の感度に対する変化量が10%未満のものを「良好」とし、10%以上ものを「不良」とした。
以上の評価結果を表3に示す。
【0185】
放射線に対する透明性
本発明の酸発生剤(A−1) 〜(A−2) および他の酸発生剤(a−1) 〜(a−4) について、波長が193nmおよび248nmにおけるモル吸光係数を下記方法により測定した。
各酸発生剤の0.05モル/リットルアセトニトリル溶液を調製して、室温下、紫外可視分光装置(日本分光製V550型紫外可視分光光度計)を用い、各溶液の波長190〜400nmの範囲における吸光度を測定して、波長193nmおよび248nmにおけるモル吸光係数を求めた。測定結果を表4に示す。
表4において、他の酸発生剤(a−4)は下記のとおりである。
a−4:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロブタンスルホネート
【0186】
【表1】
【0187】
【表2】
【0188】
【表3】
【0189】
【表4】
【0190】
【表5】
【0191】
表3から、本発明の(A)酸発生剤を用いたポジ型感放射線性樹脂組成物は、当該酸発生剤を用いない比較例のポジ型感放射線性樹脂組成物に比べて、保存安定性が良好で耐塩基性に優れており、しかも高感度および高解像度であることが明らかとなる。また表4から、本発明の(A)酸発生剤は波長193nmおよび248nmにおけるモル吸光係数が何れも小さいことから、放射線に対する透明性が高いことが明らかとなる。
【0192】
【発明の効果】
本発明の(A)酸発生剤は、特に、優れた保存安定性を有し、かつ活性放射線、特に、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2 エキシマレーザーあるいはEUVに代表される(超)遠紫外線や、電子線に適用可能であり、放射線に対する透明性が高く、しかも高感度であり、半導体素子の製造に代表される微細加工に有用な化学増幅型フォトレジストの感放射線性酸発生剤として極めて好適に使用することができる。また、(A)酸発生剤を用いた本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、保存安定性に優れ、しかも高感度および高解像度で、パターン形状等に優れており、特に、今後ますます微細化が進行すると予想される半導体素子製造用の化学増幅型レジストとして極めて有用である。
Claims (7)
- 電子供与性基を有する芳香族炭化水素基および/または電子供与性基を有する複素環式基がスルホニルオキシイミド基を有する骨格に結合しており、かつ該電子供与性基はその電子供与性原子が該芳香族炭化水素基中の芳香環あるいは該複素環式基中の複素環に結合した構造を有するスルホニルオキシイミド化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする感放射線性酸発生剤。
- 下記一般式(1)で表される構造単位がスルホニルオキシイミド基を有する骨格に結合したスルホニルオキシイミド化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする感放射線性酸発生剤。
- (A)請求項1〜5の何れかに記載の感放射線性酸発生剤、および(B)酸解離性基を有するアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性の樹脂であって、該酸解離性基が解離したときにアルカリ易溶性となる樹脂を含有する樹脂を特徴とするポジ型感放射線性樹脂組成物。
- さらに(E)酸拡散制御剤を含有することを特徴とする請求項6に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
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2003
- 2003-02-06 JP JP2003029273A patent/JP2004240170A/ja active Pending
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