JP2004238554A - 金属ナノ微粒子を含む光輝性塗工液、光輝性金属箔 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な光輝性および強度を有する光輝性金属箔を、薄膜で基体に製造する。
【解決手段】金属ナノコロイドに水溶性有機溶媒を混合して得られる金属ナノ微粒子を乾燥して光輝性金属箔を形成する。
【選択図】 なし
【解決手段】金属ナノコロイドに水溶性有機溶媒を混合して得られる金属ナノ微粒子を乾燥して光輝性金属箔を形成する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属ナノ微粒子を含有する光輝性塗工液および光輝性インキに関し、これらを用いて形成される光輝性金属箔および光輝性画像に関し、これらが形成されたシート類にも関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光輝性画像は光輝性インキを印刷して作成されてきたが、光輝性インキを印刷したのでは、均一な光沢を有する光輝性画像を作製できず、十分な光輝性を実現できない場合があった。均一な光沢を有する光輝性画像を作製するのであれば、印刷法ではなく箔押し法が適しているが、箔押し法の場合、型が高価であり、微細なパターンを形成し難いなどの不具合が発生することがあった。
【0003】
また、従来の光輝性インキは、光輝性粒子がバインダー樹脂中に分散されたものである。このため、従来の光輝性インキにより作製される画像においては、バインダー樹脂が硬化して形成された樹脂製の画像マトリクス中に、光輝性粒子が分散された状態で担持されているため、画像の光輝性が不十分となる可能性がある。
【0004】
更に、従来の光輝性インキから得られる画像においては、光輝性粒子の含有量を増加して光輝性を向上しようとすると、多量の光輝性粒子を添加する必要があるため、バインダー樹脂の含有量が不足して、印刷特性が低下したり、得られる光輝性画像の強度が不足する可能性がある。
【0005】
加えて、薄い光輝性画像の作製が困難な可能性もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の様な状況に鑑み、本発明においては、十分な光輝性および強度を有する光輝性画像を、薄膜で基体に高い生産性で製造することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明によれば、金属ナノコロイドに水溶性有機溶媒を混合して得られる金属ナノ微粒子を含む光輝性塗工液が提供される。
【0008】
また、この様な光輝性塗工液が樹脂ビヒクルを更に含む光輝性インキが提供される。
【0009】
これらの光輝性塗工液を塗工し乾燥するか、これらの光輝性インキを印刷し硬化すれば、光輝性金属箔が得られる。
【0010】
具体的には、界面活性剤存在下で金属ナノコロイド微粒子が水系媒体中にコロイド分散している金属ナノコロイドに水溶性有機溶媒を混合し、該コロイド分散を破壊し金属ナノ微粒子を生成する工程と、
該金属ナノ微粒子を回収および凝集する工程と、
該凝集された金属ナノ微粒子を乾燥する工程と
を含む光輝性金属箔の製造方法が提供される。
【0011】
界面活性剤によって保護された金属ナノコロイド微粒子がコロイド状態で分散している金属ナノコロイドに、水溶性有機溶媒(水と親和性の高い極性溶媒)を添加することで、界面活性剤が金属ナノコロイド微粒子の表面から剥がれ、金属ナノ微粒子として沈降する。この金属ナノ微粒子を凝集して回収し乾燥すると、理由は明らかではないが、特に成膜工程などを行わなくとも金属光沢を有する金属箔膜が形成される。
【0012】
従来品の場合、有機物であるバインダー樹脂中に光輝性粒子が分散された構造であるため、光輝性粒子の周辺には多量の有機物が存在している。一方、本発明の場合、有機物は金属ナノコロイド微粒子および金属ナノ微粒子の分散媒体および水溶性有機溶媒であり、これらの有機物は乾燥工程で除去されるため、最終的に得られる箔膜中の有機物の含有量は低くい。しかも、得られる箔膜は金属ナノ微粒子が連結して連続で一様な箔となっているため、ピンホール及び亀裂などの欠陥が少ない。この結果、本発明の金属箔は、十分な光輝性を有し、十分な強度を有し、十分に薄い薄膜を生産性良好に製造できる。
【0013】
なお、金属ナノコロイド微粒子とは、金属ナノコロイドにコロイド状態で含まれ金属を含んでなる微粒子を言う。また、金属ナノ微粒子とは、直径がナノメートルオーダーで金属を含んでなる微粒子を言う。更に、金属箔とは主に金属を含んでなる箔を言う。
【0014】
以上の様な光輝性金属箔は光輝性画像として好適である。
【0015】
また、この光輝性画像をシート状およびカード状の基体に形成することで、偽造防止用および真贋判定用として好適に使用できる。
【0016】
以上の光輝性画像中では、金属ナノ微粒子が連結され金属箔状で存在しているため、光輝性画像は高い光輝性を有している。
【0017】
また、金属ナノ微粒子の含有量を不必要に増加する必要はないため、光輝性画像の十分な強度を実現できる。
【0018】
以上の結果、本発明においては、十分な光輝性および強度を有する光輝性画像を実現できる。
【0019】
また、光輝性画像の膜厚をナノ粒子の厚み(蒸着膜並)まで薄くすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0021】
(金属ナノコロイド微粒子)
金属ナノコロイド微粒子は、例えば、電子顕微鏡で観察でき、電子顕微鏡で得られた画像中の金属ナノコロイド微粒子の直径を計測し平均することで、数平均粒子径および標準偏差を算出できる。また、光散乱法などを利用することにより、体積平均粒子径および標準偏差を測定できる。
【0022】
金属ナノコロイド微粒子の平均粒子径は、光輝性画像の十分な光輝性の観点から、0.1nm以上が好ましく、0.5nm以上がより好ましく、1nm以上が更に好ましい。一方、光輝性画像の製造性の観点から、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、30nm以下が更に好ましい。
【0023】
また、金属ナノコロイド微粒子は、光輝性画像の十分な光輝性の観点から、単分散に近い粒子径分布を有することが好ましく、具体的には、粒子径の標準偏差が平均粒子径の20%以下であることが好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましい。
【0024】
また、具体的には、粒子径の標準偏差が10nm以下であることが好ましく、7nm以下がより好ましく、5nm以下が更に好ましい。また、金属ナノコロイド微粒子の製造性および取扱性の理由から、0.01nm以上が好ましく、0.05nm以上がより好ましく、0.1nm以上が更に好ましい。
【0025】
金属ナノコロイド微粒子の構造としては、一種類の金属を含む金属ナノコロイド微粒子、二種類以上の金属を含む金属ナノコロイド微粒子などを使用できる。
【0026】
一種類の金属を含む金属ナノコロイド微粒子としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)等の比較的卑な金属よりなるナノコロイド微粒子;金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)等の比較的貴な金属よりなるナノコロイド微粒子を使用する。
【0027】
一種類の金属を含む金属ナノコロイド微粒子は、例えば、界面活性剤の存在下で金属塩の水溶液を調製し、これに還元剤を添加して、金属イオンを金属に還元する方法により作製できる。界面活性剤は生成する金属ナノコロイド微粒子に吸着し、金属ナノコロイド微粒子の沈降を防止することが本来の働きであるが、金属イオンと反対電荷の界面活性剤を用いた場合、ミセル中に金属イオンが取り込まれるため、得られる金属ナノコロイド微粒子の粒子径を制御できる。
【0028】
一方、二種類以上の金属を含む金属ナノコロイド微粒子として、例えば、二種類の金属を含む金属ナノコロイド微粒子は、二種類の金属イオンを含む水溶液に還元剤を添加して、これらの金属イオンの両者を還元して得られる。この際、より貴な金属がコアとなり、より卑な金属がシェルとなって、コアシェル構造の金属ナノコロイド微粒子が得られる。
【0029】
平均粒子径が小さく単分散なコアシェル構造の金属ナノコロイド微粒子を作製する観点から、コアを形成する、より貴な金属としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)等を使用する。
【0030】
また、シェルを形成する、より卑な金属としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)等を使用する。
【0031】
更に、例えば、分散剤の存在下で、より卑な金属のナノコロイド微粒子を水素処理し、これに、より貴な金属のイオンを添加すると、より卑な金属のナノコロイド微粒子の表面で、より貴な金属のイオンが水素還元されて金属となり、より卑な金属がコアで、より貴な金属がシェルである逆コアシェル構造の金属ナノコロイド微粒子が得られる。
【0032】
平均粒子径が小さく単分散な逆コアシェル構造の金属ナノコロイド微粒子を作製する観点から、コアを形成する、より卑な金属としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)等を使用する。
【0033】
また、シェルを形成する、より貴な金属としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)等を使用する。
【0034】
なお、コアシェル構造の金属ナノコロイド微粒子及び逆コアシェル構造の金属ナノコロイド微粒子の色は、シェルを構成する金属の種類により決定される。
【0035】
また、二種類以上の金属を含む金属ナノコロイド微粒子として、二種類以上の金属がクラスターを形成しているもの、二種類以上の金属がアロイを形成しているもの等も使用でき、これらの金属ナノコロイド微粒子の色は、組合わせる金属の種類および量を変化させることで制御される。
【0036】
二種類以上の金属を含む金属ナノコロイド微粒子を使用する場合、より貴な金属と、より卑な金属とを併用することにより、貴金属の使用量を低減できるため、コストを低減できる場合がある。
【0037】
また、より卑な金属成分を含むコア成分と、このコア成分を被覆する、より貴な金属を含むシェルとを有するコアシェル型ナノコロイド微粒子を使用することもできる。
【0038】
この様なコアシェル型ナノコロイド微粒子は、先ず、より卑な金属と配位子との錯イオンに界面活性剤を添加して、プレミセルを形成し;このプレミセルに、より貴な金属のイオンを添加して、より卑な金属のイオンを酸化すると同時に、より貴な金属のイオンを該より貴な金属に還元して製造できる。
【0039】
ここで、プレミセル状態を説明するために、コアを形成する金属(より卑な金属)の濃度と、界面活性剤の濃度と関係を考える。界面活性剤が低濃度の領域では、金属イオンと配位子とからなる錯イオンが溶解している。また、界面活性剤の濃度を上昇すれば、界面活性剤が錯イオンに結合して沈殿を生じる。更に、界面活性剤の濃度を上昇すると、沈殿が再び溶解する。
【0040】
しかしながら、界面活性剤を添加し錯イオン可溶化してミセルを形成する場合、界面活性剤の濃度は、普通、上記の界面活性剤の濃度より高くする。即ち、上記の界面活性剤の濃度は、ミセルを形成するに必要な一般的な濃度より低い。この場合、界面活性剤の濃度が、ミセルを形成するに必要な最低濃度(臨界ミセル濃度)より低いにも関わらず、錯イオンが溶解しており、ミセルを形成する前段階、即ちプレミセルな状態が形成されていると考えられる。
【0041】
より卑な金属としては、安定な錯イオン及びプレミセルを形成し易く、貴金属により表面を被覆する有用性が高い等の理由から、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)等を使用するが、酸化還元電位、毒性、価格などの観点から、中でも、鉄(Fe)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)等が好ましい。
【0042】
また、シェルの形成反応の際の、より卑な金属の錯イオンの濃度は、安定な錯イオン及びプレミセルを形成し、シェルの形成反応が十分に進行する等の観点から、0.01mmol/L以上が好ましく、0.05mmol/L以上がより好ましく、0.1mmol/L以上が更に好ましく、一方、10mmol/L以下が好ましく、5mmol/L以下がより好ましい。
【0043】
より貴な金属としては、シェルの形成が容易である等の理由から、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)等を使用する。
【0044】
また、シェル形成反応の際の、より貴な金属のイオンの濃度は、プレミセルを破壊することなく、シェルの形成反応が十分に進行する等の観点から、0.01mmol/L以上が好ましく、0.05mmol/L以上がより好ましく、0.1mmol/L以上が更に好ましく、一方、10mmol/L以下が好ましく、5mmol/L以下がより好ましい。
【0045】
より卑な金属と錯イオンを形成させる配位子としては、安定な錯イオン及びプレミセルを形成し易く、シェルの形成を阻害しないものを、カチオン性配位子、アニオン性配位子、両性配位子およびノニオン性配位子の中から注意深く選ぶが、中でも、錯イオン及びプレミセルの安定性および反応効率の観点から、カチオン性配位子が好ましい。
【0046】
カチオン性配位子としては、ピリジン及びその誘導体、2,2’−ビピリジン及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、エチレンジアミン及びその誘導体、プロピレンジアミン及びその誘導体、トリエチレンテトラミン及びその誘導体などを使用するが、中でも、錯イオン及びプレミセルの安定性および反応効率の観点から、1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジン等が好ましい。
【0047】
また、錯イオン及びプレミセルの安定性および反応効率の観点からすれば、アニオン性配位子も好ましい。
【0048】
中でも、錯イオン及びプレミセルの安定性および反応効率の観点から、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその誘導体、ジメチルグリオキシム及びその誘導体、1,10−フェナントロリンのカルボキシル基置換体、1,10−フェナントロリンのスルホニル基置換体などを使用する。
【0049】
更に、両性配位子としては、グリシン及びその誘導体などを使用する。
【0050】
また、ノニオン性配位子としては、アセチルアセトン及びその誘導体などを使用する。
【0051】
以上で説明してきた金属ナノコロイドにおいて、界面活性剤としては、安定なコロイドを形成し易いものを、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤の中から注意深く選ぶ。
【0052】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石けん、N−アシルアミノ酸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩類;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩などのスルホン酸塩類;硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキシサルフェート、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアマイドの硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩類;アルキル硫酸塩などの硫酸塩類;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩などのリン酸エステル類;ポリ及びオリゴ(メタ)アクリル酸、スチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの部分加水分解開環物(開環率は30〜80%が好ましい)、スチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの完全加水分解開環物、エチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの部分加水分解開環物(開環率は30〜80%が好ましい)、エチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの完全加水分解開環物、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの部分加水分解開環物(開環率は30〜80%が好ましい)、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの完全加水分解開環物、ポリ及びオリゴ酢酸ビニル、ポリ及びオリゴビニルアルコール、ヘキサエチルセルロース由来のオリゴマー、メチルセルロース由来のオリゴマー、カルボキシメチルセルロース由来のオリゴマー等を使用するが、中でも、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等のアルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、ポリ酢酸ビニルなどが好ましい。
【0053】
カチオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼントニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、四級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート共重合体、四級アンモニウム塩基含有マレイミド共重合体、四級アンモニウム塩基含有メタクリルイミド共重合体などを使用するが、中でも、臭化アルキルアンモニウム(アルキル基の炭素数は10〜14)等の脂肪族四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート共重合体などの高分子系四級アンモニウム塩などが好ましい。
【0054】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイド等を使用する。
【0055】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、単一鎖長ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン二級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル類;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩などのエステルエーテル類;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル類;脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素化合物などが好ましく、中でもポリオキシエチレンアルキルエーテル等が好ましい。
【0056】
以上に説明した界面活性剤の中でも、水溶性有機溶媒を添加した際に金属ナノコロイド微粒子から脱着し易いものが好ましく、この様な観点から、高分子量の界面活性剤よりも低分子量の界面活性剤の方が好ましく、具体的には分子量が3,000以下が好ましい。
【0057】
なお、必要に応じて2種類以上の界面活性剤を併用することもでき、特に、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤の少なくとも何れか一方と、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤の少なくとも何れか一方とを併用することが、プレミセルの安定性および反応効率の観点から好ましい。特に、高分子量の両性界面活性剤(両性界面活性剤ポリマー)および高分子量のノニオン性界面活性剤(ノニオン性界面活性剤ポリマー)は、包摂効果によりプレミセルが安定化するため好ましい。
【0058】
以上の様な金属ナノコロイド微粒子の中でも、得られる金属箔に光輝性を付与することに加え導電性を付与するものが好ましい。導電性を有する光輝性金属箔の場合、偽造防止性および真贋判定性を更に向上できる。
【0059】
(水溶性有機溶媒)
水溶性有機溶媒は、コロイド分散状態を効率良く破壊し、高品位の金属ナノ微粒子を得られるものを選択するが、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等の多価アルコール類誘導体;ピリジン、アセトニトリル、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒;チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含イオウ溶媒等;その他に、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、アセトン等を用いることもできる。
【0060】
上記の中でも、得られる金属ナノ微粒子の特性の観点から、アルコール類およびアセトンが好ましい。
【0061】
また、水溶性有機溶媒の使用量は、コロイド分散状態を十分に破壊するため、金属コロイド1容量部に対して、0.1容量部以上が好ましく、0.3容量部以上がより好ましく、0.5容量部以上が更に好ましい。一方、得られる金属ナノ微粒子の特性の観点から、金属コロイド1容量部に対して、3容量部以下が好ましく、2容量部以下がより好ましく、1容量部以下が更に好ましい。
【0062】
(光輝性インキ)
光輝性インキ全体に対する金属ナノ微粒子の占める割合は、光輝性画像の十分な光輝性の観点から、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、一方、光輝性画像の強度の関係から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
【0063】
光輝性インキに添加する樹脂ビヒクルとして適当なバインダー樹脂を選択すれば、乾燥硬化型インキ及び熱硬化型インキ等を調製でき、バインダー樹脂として、フェノール樹脂およびポリエステル樹脂などを使用する。
【0064】
また、無溶剤型光輝性インキ及び光硬化型光輝性インキが好ましい。
【0065】
無溶剤型光輝性インキ及び光硬化型光輝性インキの場合、バインダー樹脂としてはカチオン硬化性樹脂が好ましく、開始剤が併用される。
【0066】
開始剤としては、紫外線、電子線、X線などの放射線および熱の少なくとも何れかによりカチオン活性種を発生するものが好ましく、カチオン硬化性樹脂としては発生したカチオン活性種と反応する官能基を有する反応性樹脂を使用する。
【0067】
この様な開始剤としては、例えば、芳香族スルホニウム塩化合物、芳香族ホスホニウム塩化合物、芳香族ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、および鉄アレーン錯体化合物、又はこれらの組み合わせによるカチオン活性種が好ましい。中でも、塩化合物については、対アニオンが、六フッ化アンチモンアニオン、六フッ化リンアニオン又はテトラキス(ペンタフロロフェニル)ホウ素アニオンであるものが好ましい。
【0068】
一方、カチオン硬化性樹脂としては、例えば、脂環式エポキシ化合物、オキセタン化合物、アルケンオキシド化合物、グリシジルエーテル化合物、ビニルエーテル化合物、プロベニルエーテル化合物などが好ましく、特には低粘度である、リモネンジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが好ましく、2種以上のカチオン硬化性樹脂を混合して用いてもよい。
【0069】
カチオン硬化性樹脂および開始剤の混合比としては、カチオン硬化性樹脂100質量部に対して、開始剤を0.01質量部以上10質量部以下とすることが好ましい。
【0070】
なお、必要に応じて、2種類以上の開始剤を併用する場合もある。この際、開始剤の含有量とは、それぞれの開始剤の含有量の総和を言い、開始剤の含有量の総和が上記の範囲内であることが好ましい。
【0071】
また、硬化の反応性を制御するために、ヒドロキシ化合物、炭化水素などの水素ドナーとなる反応助剤を添加してもよく、電磁波による反応の場合には、フェノチアジン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、アミノ安息香酸誘導体、アントラセン、フェナントレン、ペリレンなどの多環芳香族化合物、又はこれらの組み合わせなどの光増感剤を添加してよい。これらの添加量は、開始剤に対して0.01質量%以上100質量%以下が好ましい。
【0072】
以上のバインダー樹脂に加え、本発明の光輝性インキには、必要に応じて、塗工性・屈曲性改良剤を添加することが好ましい。
【0073】
塗工性・屈曲性改良剤としては、比表面積が大きく見掛け比重と平均粒径が小さい無機物、軟化点またはガラス転移点(Tg)が低い高分子化合物などが挙げられる。
【0074】
具体的には、比表面積が100m2/g以上、見掛け比重が50g/L以下、平均1次粒径が30nm以下のシリカが好ましく、例えば、日本アエロジル株式会社製AEROSIL 200CF(商品名)、日本アエロジル株式会社製AEROSIL 300CF(商品名)などが好ましい。
【0075】
また、軟化点100℃以下で数平均分子量1000以上50000以下の飽和ポリエステル樹脂が好ましく、例えば、東洋紡績株式会社製バイロン500(商品名)、東洋紡績株式会社製バイロン130(商品名)などが好ましい。
【0076】
更に、ガラス転移点(Tg)−30℃以下のポリビニルエーテル樹脂が好ましく、例えば、BASF社製ルトナールM40(商品名)、BASF社製ルトナールA25(商品名)などが好ましい。
【0077】
加えて、軟化点100℃以上のフェノキシ樹脂が好ましく、例えば、油化シェルエポキシ株式会社製エピコート1010(商品名)、油化シェルエポキシ株式会社製エピコート4010P(商品名)などが好ましい。なお、フェノキシ樹脂とは、ビスフェノール化合物およびエピクロルヒドリンから誘導されるオリゴマー又はポリマーを言う。
【0078】
上記の塗工性・屈曲性改良剤の作用として、シリカは凝集力および羽毛状の構造による擬似的架橋構造形成により、飽和ポリエステル樹脂およびポリビニルエーテル樹脂は光輝性インキ全体の粘度を上げ皮膜のガラス転移点(Tg)を下げることにより、フェノキシ樹脂は末端架橋による実質的な高分子量化により、それぞれ目的とする塗工性および屈曲性の改良に寄与していると考えられ、中でもシリカ及び飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
【0079】
以上で説明したカチオン硬化性樹脂および塗工性・屈曲性改良剤の含有量は、得られる光輝性インキの光輝性、光輝安定性、取扱い性、強度などを考慮して、注意深く決定される。
【0080】
例えば、カチオン硬化性樹脂および塗工性・屈曲性改良剤の合計が光輝性インキに占める割合は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、一方、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
【0081】
また、カチオン硬化性樹脂の含有量は、塗工性・屈曲性改良剤の含有量の1質量倍以上が好ましく、2質量倍以上がより好ましく、99質量倍以下が好ましく、80質量倍以下がより好ましい。
【0082】
なお、必要に応じて、2種類以上のカチオン硬化性樹脂を併用する場合もある。この際、カチオン硬化性樹脂の含有量とは、それぞれのカチオン硬化性樹脂の含有量の総和を言い、カチオン硬化性樹脂の含有量の総和が上記の範囲内であることが好ましい。
【0083】
同様に、必要に応じて、2種類以上の塗工性・屈曲性改良剤を併用する場合もある。この際、塗工性・屈曲性改良剤の含有量とは、それぞれの塗工性・屈曲性改良剤の含有量の総和を言い、塗工性・屈曲性改良剤の含有量の総和が上記の範囲内であることが好ましい。
【0084】
また、光輝性粒子との混練性や、得られる光輝性インキの印刷特性の観点から、カチオン硬化性樹脂、始開剤および塗工性・屈曲性改良剤の混合物の25℃での粘度は、1mPa・s以上が好ましく、10mPa・s以上がより好ましく、一方、5Pa・s以下が好ましく、3Pa・s以下がより好ましい。
【0085】
以上の様な光輝性インキは、スクリーン印刷法、オフセット印刷法およびコーター法などを用いて、入手可能な基材に汎用的に塗工することができる。
【0086】
光輝性インキを硬化するためには、熱、光を含む電磁波を用いることができ、これらの方法を混成して行ってもよい。
【0087】
光により硬化を行う場合、処理時間を短縮でき、処理施設を小型化でき、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【0088】
光を含む電磁波としては、マイクロ波から、赤外線、可視光、紫外光、真空紫外線、X線に至る、波長にして10−12〜1mの範囲内で任意に用いることができる。赤外から紫外光の波長範囲の一般的な光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極放電ランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、各種レーザー、半導体レーザーなどを使用することができるが、300〜500nmの波長域に比較的多くエネルギー強度分布を持つ高圧水銀灯およびメタルハライドランプが特に好ましい。光源ランプ強度は40W/cm以上が好ましく、より好ましくは80W/cm以上である。光硬化に要する積算光量は、好ましくは300〜500nmの波長域で100〜50000mJ/cm2、より好ましくは500〜10000mJ/cm2である。
【0089】
なお、光輝性インキが無溶剤型の場合、環境負荷が小さく、作業環境に優れる製造プロセスを構築できる。
【0090】
(基体)
基材としては、セラミック及びガラスをはじめ、無機繊維あるいは有機繊維の織物あるいは不織布、紙、それらと熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂との複合材、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレートなどのポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリイミドアミド、ポリアセタール、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴムなどに代表されるプラスチックなどの公知のものを使用することができる。またこれらの基材の表面には、塗布性や定着性を改善するために、カップリング剤処理やプライマー処理などの化学的処理や、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線処理、研磨処理などの物理的処理を施してもよい。
【0091】
また、シート状およびカード状の基材としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの無機または有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙あるいはこれらを組み合わせたもの、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材、ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂(PET、PENなど)基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン・ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVCなど)基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂(PC)基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材、あるいはこれらにマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理およびオゾン処理、あるいは各種易接着処理などの表面処理を施したものなどの公知のものから選択して用いることができる。
【0092】
中でも、例えば、紙、不織布、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、非晶質コポリエステル(PET−G)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
【0093】
(用途分野)
本発明においては、水溶性有機溶媒の添加で、金属ナノコロイドから金属ナノ微粒子を回収および濃縮できる。
【0094】
この様にして得られる光輝性画像はナノメートルオーダーの薄膜であるため、種々の応用が可能である。
【0095】
以上に説明してきた光輝性塗工液を用いれば、証明書、整理券、金券、入場券、チェックシート、プラスチックカード、ICカード、パッケージ(紙製、ペットボトル、缶など)、包装紙、グリーテングカード、DMのギミック、雑誌、カレンダー、手帳、CD−ROM(CR−R/RW等)、フィルム(ガラス等に貼付するもの)、シール、ラベル、時計の文字盤、家電製品のパネル、紙袋、薬袋、レジ袋、書籍、銘板、ラピングシート等を生産性良好に作製でき、真贋判定、偽造防止、改ざん防止などを実現できる。
【0096】
また、優待券、クジ、書物、教育機関などで使用する教材、書簡、証明書、整理券、金券、入場券、チェックシート、プラスチックカード、ICカード、転写シールのギミック、DMのギミック、パッケージ(紙製、ペットボトル、缶など)、包装紙、グリーテングカード、雑誌、カレンダー、手帳、CD−ROM(CR−R/RW等)、フィルム(ガラス等に貼付するもの)、シール、ラベル、時計の文字盤、家電製品のパネル、紙袋、薬袋、レジ袋、書籍、銘板、ラピングシート等を生産性良好に作製でき、特有の色彩を有する高品位の画像を実現できる。
【0097】
図1には、光輝性画像が形成された入場券を示した。入場券のミシン目を跨ぐ画像(図中のハッチで示した画像)が光輝性である。光輝性画像は美しい光沢を有しており、入場券を切断後においても、偽造は困難である。
【0098】
更に、光輝性画像が導電性を有していれば、真贋判定性が更に向上する。
【0099】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を使用した。
【0100】
(実施例1−1)光輝性画像1−1
塩化金酸(HAuCl4、還元反応時濃度:0.5mmol/L)と、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB、還元反応時濃度:2.2mmol/L)とを含む水溶液を攪拌し、ヒドラジン(N2H4、還元反応時濃度:1mmol/L)を添加して金イオンを還元し、平均粒子径が20nm、標準偏差が1.5nmで青色の金ナノコロイド微粒子(金属ナノコロイド微粒子1)を含む金属ナノコロイド1を得た。
【0101】
この金属ナノコロイド1の2容量部に対しイソプロピルアルコール1容量部を混合し、生成した金ナノ微粒子(金属ナノ微粒子1)を沈殿回収した。得られた金属ナノ微粒子1は金色の金属光沢を有していた。更に、この金属ナノ微粒子1を遠心法により凝集し回収し、画像を形成して乾燥し光輝性画像1−1を得た。光輝性画像1−1が連続した金属箔を形成していることを顕微鏡観察により確認し、X線分析により光輝性画像1−1が有機物を殆ど含有しないことを確認した。
【0102】
光輝性画像1−1は室温における乾燥で作製でき、膜厚は18nmであった。
【0103】
光輝性画像1−1は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像1−1が電流を導通することをテスターにより確認した。
【0104】
更に、光輝性画像1−1を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0105】
(実施例1−2)光輝性画像1−2
カチオン硬化性樹脂としてエルフアトケム社製1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン(商品名:リモネンジオキシド)29.14質量部と、塗工性・屈曲性改良剤として比表面積200m2/g、見掛け比重は30g/L、平均1次粒径12nmの日本アエロジル株式会社製シリカ(商品名:アエロジル200CF)1質量部および軟化点−5℃、数平均分子量15,000の東洋紡績株式会社製の飽和ポリエステル樹脂(商品名:バイロン500)4.86質量部とを混合し、遮光した室温下で30分以上撹拌し均一化した。
【0106】
次に、カチオン開始剤として旭電化工業株式会社製の芳香族スルホニウム塩化合物(商品名:アデカオプトマーSP−170)0.35質量部および旭電化工業株式会社製の芳香族スルホニウム塩化合物(商品名:アデカオプトンCP−66)0.35質量部を加えて撹拌および均一化した。その後、65質量部の金属ナノ微粒子1を混合し、得られた混合物を撹拌機混合し、ニーダーで高剪断混練を行うことにより、金属ナノ微粒子インキ1を得た。
【0107】
なお、カチオン硬化性樹脂、始開剤および塗工性・屈曲性改良剤の混合物の25℃での粘度は2.5Pa・sであった。また、金属ナノ微粒子インキ1の25℃での粘度は150Pa・sであった。
【0108】
以上で得られた金属ナノ微粒子インキ1を用いて、180メッシュ乳剤厚15μmのスクリーン版で幅1mm及び長さ1mのパターン基材上に、スクリーン印刷を行い、光輝性画像1−2を形成した。なお、印刷層の厚みは15μmであり、印刷性は良好であった。
【0109】
基材としては紙およびポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を使用した。紙としては、日本製紙株式会社製NPI−55(商品名)を使用した。また、PETとしては、東レ株式会社製ルミラーS(商品名)を使用した。
【0110】
硬化反応は、160W/cmのメタルハライドランプを、1100mW/cm2(株式会社トプコン製、UVR−T35により測定)の条件で、7m/minのコンベア式照射装置で5回照射して行った。硬化は十分速く、生産性は良好であった。
【0111】
光輝性画像1−2は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、汎用的な基体に十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像1−2は導電性を有していた。
【0112】
更に、光輝性画像1−2を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0113】
(実施例2−1)光輝性画像2−1
硝酸銀(AgNO3、還元反応時濃度:0.5mmol/L)と、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、還元反応時濃度:20mmol/L)とを含む水溶液を攪拌し、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4、還元反応時濃度:1mmol/L)を添加して銀イオンを還元し、平均粒子径が20nm、標準偏差が1.8nmで黄色の銀ナノコロイド微粒子(金属ナノコロイド微粒子2)を含む金属ナノコロイド2を得た。
【0114】
この金属ナノコロイド2の2容量部に対しアセトン1容量部を混合し、生成した金ナノ微粒子(金属ナノ微粒子2)を沈殿回収した。得られた金属ナノ微粒子2は銀色の金属光沢を有していた。更に、この金属ナノ微粒子2を遠心法により凝集し回収し、画像を形成して乾燥し光輝性画像2−1を得た。光輝性画像2−1が連続した金属箔を形成していることを顕微鏡観察により確認し、X線分析により光輝性画像2−1が有機物を殆ど含有しないことを確認した。
【0115】
光輝性画像2−1は室温における乾燥で作製でき、膜厚は17nmであった。
【0116】
光輝性画像2−1は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像2−1が電流を導通することをテスターにより確認した。
【0117】
更に、光輝性画像2−1を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0118】
(実施例2−2)光輝性画像2−2
金属ナノ微粒子1に代えて金属ナノ微粒子2を使用する以外は金属ナノ微粒子インキ1と同様に金属ナノ微粒子インキ2を調製し、光輝性画像1−2と同様に光輝性画像2−2を作製した。
【0119】
光輝性画像2−2は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、汎用的な基体に十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像2−2は導電性を有していた。
【0120】
更に、光輝性画像2−2を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0121】
(実施例3−1)光輝性画像3−1
塩化パラジウム(PdCl2、還元反応時濃度:0.5mmol/L、硫酸酸性)と、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(NP−X、還元反応時濃度:20mmol/L)とを含む水溶液を攪拌し、ヒドラジン(N2H4、還元反応時濃度:1mmol/L)を添加してパラジウムイオンを還元し、平均粒子径が20nm、標準偏差が1.8nmのパラジウムナノコロイド微粒子(金属ナノコロイド微粒子3)を含む金属ナノコロイド3を得た。
【0122】
この金属ナノコロイド3の1容量部に対しエタノール1容量部を混合し、生成したパラジウムナノ微粒子(金属ナノ微粒子3)を沈殿回収した。得られた金属ナノ微粒子3は銀色の金属光沢を有していた。更に、この金属ナノ微粒子3を遠心法により凝集し回収し、画像を形成して乾燥し光輝性画像3−1を得た。光輝性画像3−1が連続した金属箔を形成していることを顕微鏡観察により確認し、X線分析により光輝性画像3−1が有機物を殆ど含有しないことを確認した。
【0123】
光輝性画像3−1は室温における乾燥で作製でき、膜厚は18nmであった。
【0124】
光輝性画像3−1は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像3−1が電流を導通することをテスターにより確認した。
【0125】
更に、光輝性画像3−1を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0126】
(実施例3−2)光輝性画像3−2
金属ナノ微粒子1に代えて金属ナノ微粒子3を使用する以外は金属ナノ微粒子インキ1と同様に金属ナノ微粒子インキ3を調製し、光輝性画像1−2と同様に光輝性画像3−2を作製した。
【0127】
光輝性画像3−2は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、汎用的な基体に十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像3−2は導電性を有していた。
【0128】
更に、光輝性画像3−2を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0129】
(実施例4−1)光輝性画像4−1
0.033mmolの塩化パラジウム(PdCl2)を含有する水25mLと、0.033mmolの塩化白金酸(H2PtCl6)を含有する水25mLとを混合し、重量平均分子量1,500のポリエチレングリコールを151mg添加した。これを100℃で還流を90分行い、平均粒子径2nmのパラジウムで被覆された白金ナノコロイド(金属ナノコロイド微粒子4)を含む金属ナノコロイド4を得た。
【0130】
この金属ナノコロイド4の1容量部に対しイソプロピルアルコール1容量部を混合し、生成したパラジウムで被覆された白金ナノ微粒子(金属ナノ微粒子4)を沈殿回収した。得られた金属ナノ微粒子4は白金色の金属光沢を有していた。更に、この金属ナノ微粒子4を遠心法により凝集し回収し、画像を形成して乾燥し光輝性画像4−1を得た。光輝性画像4−1が連続した金属箔を形成していることを顕微鏡観察により確認し、X線分析により光輝性画像4−1が有機物を殆ど含有しないことを確認した。
【0131】
光輝性画像4−1は室温における乾燥で作製でき、膜厚は1.9nmであった。
【0132】
光輝性画像4−1は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像4−1が電流を導通することをテスターにより確認した。
【0133】
更に、光輝性画像4−1を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0134】
(実施例4−2)光輝性画像4−2
金属ナノ微粒子1に代えて金属ナノ微粒子4を使用する以外は金属ナノ微粒子インキ1と同様に金属ナノ微粒子インキ4を調製し、光輝性画像1−2と同様に光輝性画像4−2を作製した。
【0135】
光輝性画像4−2は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、汎用的な基体に十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像4−2は導電性を有していた。
【0136】
更に、光輝性画像4−2を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0137】
(実施例5−1)光輝性画像5−1
塩化トリス−1,10−フェナントロリン鉄([Fe(C12H8N2)3]Cl2、シェル形成時濃度:0.5mmol/L)と、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、シェル形成時濃度:4mmol/L)とを含むプレミセル水溶液を調製した。
【0138】
このプレミセル水溶液に、塩化金酸(HAuCl4、シェル形成時濃度:0.3mmol/L)を添加し、25℃で10分間の反応を進行したところ、金イオンが還元され、金のシェルが形成され、平均粒子径10nmの金被覆ナノコロイド(金属ナノコロイド微粒子5)を含む金属ナノコロイド5を得た。
【0139】
この金属ナノコロイド5の2容量部に対しイソプロピルアルコール1容量部を混合し、生成した金被覆ナノ微粒子(金属ナノ微粒子5)を沈殿回収した。得られた金属ナノ微粒子5は金色の金属光沢を有していた。更に、この金属ナノ微粒子5を遠心法により凝集し回収し、画像を形成して乾燥し光輝性画像5−1を得た。光輝性画像5−1が連続した金属箔を形成していることを顕微鏡観察により確認し、X線分析により光輝性画像5−1が有機物を殆ど含有しないことを確認した。
【0140】
光輝性画像5−1は室温における乾燥で作製でき、膜厚は8nmであった。
【0141】
光輝性画像5−1は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像5−1が電流を導通することをテスターにより確認した。
【0142】
更に、光輝性画像5−1を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0143】
(実施例5−2)光輝性画像5−2
金属ナノ微粒子1に代えて金属ナノ微粒子5を使用する以外は金属ナノ微粒子インキ1と同様に金属ナノ微粒子インキ5を調製し、光輝性画像1−2と同様に光輝性画像5−2を作製した。
【0144】
光輝性画像5−2は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、汎用的な基体に十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像5−2は導電性を有していた。
【0145】
更に、光輝性画像5−2を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0146】
【発明の効果】
金属ナノコロイドに水溶性有機溶媒を混合して得られる金属ナノ微粒子を乾燥して光輝性金属箔を形成することにより、十分な光輝性および強度を有する光輝性金属箔を、薄膜で汎用的な基体に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光輝性画像が形成されたシートを説明するための模式図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属ナノ微粒子を含有する光輝性塗工液および光輝性インキに関し、これらを用いて形成される光輝性金属箔および光輝性画像に関し、これらが形成されたシート類にも関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光輝性画像は光輝性インキを印刷して作成されてきたが、光輝性インキを印刷したのでは、均一な光沢を有する光輝性画像を作製できず、十分な光輝性を実現できない場合があった。均一な光沢を有する光輝性画像を作製するのであれば、印刷法ではなく箔押し法が適しているが、箔押し法の場合、型が高価であり、微細なパターンを形成し難いなどの不具合が発生することがあった。
【0003】
また、従来の光輝性インキは、光輝性粒子がバインダー樹脂中に分散されたものである。このため、従来の光輝性インキにより作製される画像においては、バインダー樹脂が硬化して形成された樹脂製の画像マトリクス中に、光輝性粒子が分散された状態で担持されているため、画像の光輝性が不十分となる可能性がある。
【0004】
更に、従来の光輝性インキから得られる画像においては、光輝性粒子の含有量を増加して光輝性を向上しようとすると、多量の光輝性粒子を添加する必要があるため、バインダー樹脂の含有量が不足して、印刷特性が低下したり、得られる光輝性画像の強度が不足する可能性がある。
【0005】
加えて、薄い光輝性画像の作製が困難な可能性もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の様な状況に鑑み、本発明においては、十分な光輝性および強度を有する光輝性画像を、薄膜で基体に高い生産性で製造することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明によれば、金属ナノコロイドに水溶性有機溶媒を混合して得られる金属ナノ微粒子を含む光輝性塗工液が提供される。
【0008】
また、この様な光輝性塗工液が樹脂ビヒクルを更に含む光輝性インキが提供される。
【0009】
これらの光輝性塗工液を塗工し乾燥するか、これらの光輝性インキを印刷し硬化すれば、光輝性金属箔が得られる。
【0010】
具体的には、界面活性剤存在下で金属ナノコロイド微粒子が水系媒体中にコロイド分散している金属ナノコロイドに水溶性有機溶媒を混合し、該コロイド分散を破壊し金属ナノ微粒子を生成する工程と、
該金属ナノ微粒子を回収および凝集する工程と、
該凝集された金属ナノ微粒子を乾燥する工程と
を含む光輝性金属箔の製造方法が提供される。
【0011】
界面活性剤によって保護された金属ナノコロイド微粒子がコロイド状態で分散している金属ナノコロイドに、水溶性有機溶媒(水と親和性の高い極性溶媒)を添加することで、界面活性剤が金属ナノコロイド微粒子の表面から剥がれ、金属ナノ微粒子として沈降する。この金属ナノ微粒子を凝集して回収し乾燥すると、理由は明らかではないが、特に成膜工程などを行わなくとも金属光沢を有する金属箔膜が形成される。
【0012】
従来品の場合、有機物であるバインダー樹脂中に光輝性粒子が分散された構造であるため、光輝性粒子の周辺には多量の有機物が存在している。一方、本発明の場合、有機物は金属ナノコロイド微粒子および金属ナノ微粒子の分散媒体および水溶性有機溶媒であり、これらの有機物は乾燥工程で除去されるため、最終的に得られる箔膜中の有機物の含有量は低くい。しかも、得られる箔膜は金属ナノ微粒子が連結して連続で一様な箔となっているため、ピンホール及び亀裂などの欠陥が少ない。この結果、本発明の金属箔は、十分な光輝性を有し、十分な強度を有し、十分に薄い薄膜を生産性良好に製造できる。
【0013】
なお、金属ナノコロイド微粒子とは、金属ナノコロイドにコロイド状態で含まれ金属を含んでなる微粒子を言う。また、金属ナノ微粒子とは、直径がナノメートルオーダーで金属を含んでなる微粒子を言う。更に、金属箔とは主に金属を含んでなる箔を言う。
【0014】
以上の様な光輝性金属箔は光輝性画像として好適である。
【0015】
また、この光輝性画像をシート状およびカード状の基体に形成することで、偽造防止用および真贋判定用として好適に使用できる。
【0016】
以上の光輝性画像中では、金属ナノ微粒子が連結され金属箔状で存在しているため、光輝性画像は高い光輝性を有している。
【0017】
また、金属ナノ微粒子の含有量を不必要に増加する必要はないため、光輝性画像の十分な強度を実現できる。
【0018】
以上の結果、本発明においては、十分な光輝性および強度を有する光輝性画像を実現できる。
【0019】
また、光輝性画像の膜厚をナノ粒子の厚み(蒸着膜並)まで薄くすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0021】
(金属ナノコロイド微粒子)
金属ナノコロイド微粒子は、例えば、電子顕微鏡で観察でき、電子顕微鏡で得られた画像中の金属ナノコロイド微粒子の直径を計測し平均することで、数平均粒子径および標準偏差を算出できる。また、光散乱法などを利用することにより、体積平均粒子径および標準偏差を測定できる。
【0022】
金属ナノコロイド微粒子の平均粒子径は、光輝性画像の十分な光輝性の観点から、0.1nm以上が好ましく、0.5nm以上がより好ましく、1nm以上が更に好ましい。一方、光輝性画像の製造性の観点から、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、30nm以下が更に好ましい。
【0023】
また、金属ナノコロイド微粒子は、光輝性画像の十分な光輝性の観点から、単分散に近い粒子径分布を有することが好ましく、具体的には、粒子径の標準偏差が平均粒子径の20%以下であることが好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましい。
【0024】
また、具体的には、粒子径の標準偏差が10nm以下であることが好ましく、7nm以下がより好ましく、5nm以下が更に好ましい。また、金属ナノコロイド微粒子の製造性および取扱性の理由から、0.01nm以上が好ましく、0.05nm以上がより好ましく、0.1nm以上が更に好ましい。
【0025】
金属ナノコロイド微粒子の構造としては、一種類の金属を含む金属ナノコロイド微粒子、二種類以上の金属を含む金属ナノコロイド微粒子などを使用できる。
【0026】
一種類の金属を含む金属ナノコロイド微粒子としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)等の比較的卑な金属よりなるナノコロイド微粒子;金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)等の比較的貴な金属よりなるナノコロイド微粒子を使用する。
【0027】
一種類の金属を含む金属ナノコロイド微粒子は、例えば、界面活性剤の存在下で金属塩の水溶液を調製し、これに還元剤を添加して、金属イオンを金属に還元する方法により作製できる。界面活性剤は生成する金属ナノコロイド微粒子に吸着し、金属ナノコロイド微粒子の沈降を防止することが本来の働きであるが、金属イオンと反対電荷の界面活性剤を用いた場合、ミセル中に金属イオンが取り込まれるため、得られる金属ナノコロイド微粒子の粒子径を制御できる。
【0028】
一方、二種類以上の金属を含む金属ナノコロイド微粒子として、例えば、二種類の金属を含む金属ナノコロイド微粒子は、二種類の金属イオンを含む水溶液に還元剤を添加して、これらの金属イオンの両者を還元して得られる。この際、より貴な金属がコアとなり、より卑な金属がシェルとなって、コアシェル構造の金属ナノコロイド微粒子が得られる。
【0029】
平均粒子径が小さく単分散なコアシェル構造の金属ナノコロイド微粒子を作製する観点から、コアを形成する、より貴な金属としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)等を使用する。
【0030】
また、シェルを形成する、より卑な金属としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)等を使用する。
【0031】
更に、例えば、分散剤の存在下で、より卑な金属のナノコロイド微粒子を水素処理し、これに、より貴な金属のイオンを添加すると、より卑な金属のナノコロイド微粒子の表面で、より貴な金属のイオンが水素還元されて金属となり、より卑な金属がコアで、より貴な金属がシェルである逆コアシェル構造の金属ナノコロイド微粒子が得られる。
【0032】
平均粒子径が小さく単分散な逆コアシェル構造の金属ナノコロイド微粒子を作製する観点から、コアを形成する、より卑な金属としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)等を使用する。
【0033】
また、シェルを形成する、より貴な金属としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)等を使用する。
【0034】
なお、コアシェル構造の金属ナノコロイド微粒子及び逆コアシェル構造の金属ナノコロイド微粒子の色は、シェルを構成する金属の種類により決定される。
【0035】
また、二種類以上の金属を含む金属ナノコロイド微粒子として、二種類以上の金属がクラスターを形成しているもの、二種類以上の金属がアロイを形成しているもの等も使用でき、これらの金属ナノコロイド微粒子の色は、組合わせる金属の種類および量を変化させることで制御される。
【0036】
二種類以上の金属を含む金属ナノコロイド微粒子を使用する場合、より貴な金属と、より卑な金属とを併用することにより、貴金属の使用量を低減できるため、コストを低減できる場合がある。
【0037】
また、より卑な金属成分を含むコア成分と、このコア成分を被覆する、より貴な金属を含むシェルとを有するコアシェル型ナノコロイド微粒子を使用することもできる。
【0038】
この様なコアシェル型ナノコロイド微粒子は、先ず、より卑な金属と配位子との錯イオンに界面活性剤を添加して、プレミセルを形成し;このプレミセルに、より貴な金属のイオンを添加して、より卑な金属のイオンを酸化すると同時に、より貴な金属のイオンを該より貴な金属に還元して製造できる。
【0039】
ここで、プレミセル状態を説明するために、コアを形成する金属(より卑な金属)の濃度と、界面活性剤の濃度と関係を考える。界面活性剤が低濃度の領域では、金属イオンと配位子とからなる錯イオンが溶解している。また、界面活性剤の濃度を上昇すれば、界面活性剤が錯イオンに結合して沈殿を生じる。更に、界面活性剤の濃度を上昇すると、沈殿が再び溶解する。
【0040】
しかしながら、界面活性剤を添加し錯イオン可溶化してミセルを形成する場合、界面活性剤の濃度は、普通、上記の界面活性剤の濃度より高くする。即ち、上記の界面活性剤の濃度は、ミセルを形成するに必要な一般的な濃度より低い。この場合、界面活性剤の濃度が、ミセルを形成するに必要な最低濃度(臨界ミセル濃度)より低いにも関わらず、錯イオンが溶解しており、ミセルを形成する前段階、即ちプレミセルな状態が形成されていると考えられる。
【0041】
より卑な金属としては、安定な錯イオン及びプレミセルを形成し易く、貴金属により表面を被覆する有用性が高い等の理由から、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)等を使用するが、酸化還元電位、毒性、価格などの観点から、中でも、鉄(Fe)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)等が好ましい。
【0042】
また、シェルの形成反応の際の、より卑な金属の錯イオンの濃度は、安定な錯イオン及びプレミセルを形成し、シェルの形成反応が十分に進行する等の観点から、0.01mmol/L以上が好ましく、0.05mmol/L以上がより好ましく、0.1mmol/L以上が更に好ましく、一方、10mmol/L以下が好ましく、5mmol/L以下がより好ましい。
【0043】
より貴な金属としては、シェルの形成が容易である等の理由から、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)等を使用する。
【0044】
また、シェル形成反応の際の、より貴な金属のイオンの濃度は、プレミセルを破壊することなく、シェルの形成反応が十分に進行する等の観点から、0.01mmol/L以上が好ましく、0.05mmol/L以上がより好ましく、0.1mmol/L以上が更に好ましく、一方、10mmol/L以下が好ましく、5mmol/L以下がより好ましい。
【0045】
より卑な金属と錯イオンを形成させる配位子としては、安定な錯イオン及びプレミセルを形成し易く、シェルの形成を阻害しないものを、カチオン性配位子、アニオン性配位子、両性配位子およびノニオン性配位子の中から注意深く選ぶが、中でも、錯イオン及びプレミセルの安定性および反応効率の観点から、カチオン性配位子が好ましい。
【0046】
カチオン性配位子としては、ピリジン及びその誘導体、2,2’−ビピリジン及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、エチレンジアミン及びその誘導体、プロピレンジアミン及びその誘導体、トリエチレンテトラミン及びその誘導体などを使用するが、中でも、錯イオン及びプレミセルの安定性および反応効率の観点から、1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジン等が好ましい。
【0047】
また、錯イオン及びプレミセルの安定性および反応効率の観点からすれば、アニオン性配位子も好ましい。
【0048】
中でも、錯イオン及びプレミセルの安定性および反応効率の観点から、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその誘導体、ジメチルグリオキシム及びその誘導体、1,10−フェナントロリンのカルボキシル基置換体、1,10−フェナントロリンのスルホニル基置換体などを使用する。
【0049】
更に、両性配位子としては、グリシン及びその誘導体などを使用する。
【0050】
また、ノニオン性配位子としては、アセチルアセトン及びその誘導体などを使用する。
【0051】
以上で説明してきた金属ナノコロイドにおいて、界面活性剤としては、安定なコロイドを形成し易いものを、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤の中から注意深く選ぶ。
【0052】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石けん、N−アシルアミノ酸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩類;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩などのスルホン酸塩類;硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキシサルフェート、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアマイドの硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩類;アルキル硫酸塩などの硫酸塩類;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩などのリン酸エステル類;ポリ及びオリゴ(メタ)アクリル酸、スチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの部分加水分解開環物(開環率は30〜80%が好ましい)、スチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの完全加水分解開環物、エチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの部分加水分解開環物(開環率は30〜80%が好ましい)、エチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの完全加水分解開環物、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの部分加水分解開環物(開環率は30〜80%が好ましい)、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合ポリマー及びオリゴマーの完全加水分解開環物、ポリ及びオリゴ酢酸ビニル、ポリ及びオリゴビニルアルコール、ヘキサエチルセルロース由来のオリゴマー、メチルセルロース由来のオリゴマー、カルボキシメチルセルロース由来のオリゴマー等を使用するが、中でも、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等のアルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、ポリ酢酸ビニルなどが好ましい。
【0053】
カチオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼントニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、四級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート共重合体、四級アンモニウム塩基含有マレイミド共重合体、四級アンモニウム塩基含有メタクリルイミド共重合体などを使用するが、中でも、臭化アルキルアンモニウム(アルキル基の炭素数は10〜14)等の脂肪族四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート共重合体などの高分子系四級アンモニウム塩などが好ましい。
【0054】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイド等を使用する。
【0055】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、単一鎖長ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン二級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル類;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩などのエステルエーテル類;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル類;脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素化合物などが好ましく、中でもポリオキシエチレンアルキルエーテル等が好ましい。
【0056】
以上に説明した界面活性剤の中でも、水溶性有機溶媒を添加した際に金属ナノコロイド微粒子から脱着し易いものが好ましく、この様な観点から、高分子量の界面活性剤よりも低分子量の界面活性剤の方が好ましく、具体的には分子量が3,000以下が好ましい。
【0057】
なお、必要に応じて2種類以上の界面活性剤を併用することもでき、特に、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤の少なくとも何れか一方と、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤の少なくとも何れか一方とを併用することが、プレミセルの安定性および反応効率の観点から好ましい。特に、高分子量の両性界面活性剤(両性界面活性剤ポリマー)および高分子量のノニオン性界面活性剤(ノニオン性界面活性剤ポリマー)は、包摂効果によりプレミセルが安定化するため好ましい。
【0058】
以上の様な金属ナノコロイド微粒子の中でも、得られる金属箔に光輝性を付与することに加え導電性を付与するものが好ましい。導電性を有する光輝性金属箔の場合、偽造防止性および真贋判定性を更に向上できる。
【0059】
(水溶性有機溶媒)
水溶性有機溶媒は、コロイド分散状態を効率良く破壊し、高品位の金属ナノ微粒子を得られるものを選択するが、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等の多価アルコール類誘導体;ピリジン、アセトニトリル、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒;チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含イオウ溶媒等;その他に、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、アセトン等を用いることもできる。
【0060】
上記の中でも、得られる金属ナノ微粒子の特性の観点から、アルコール類およびアセトンが好ましい。
【0061】
また、水溶性有機溶媒の使用量は、コロイド分散状態を十分に破壊するため、金属コロイド1容量部に対して、0.1容量部以上が好ましく、0.3容量部以上がより好ましく、0.5容量部以上が更に好ましい。一方、得られる金属ナノ微粒子の特性の観点から、金属コロイド1容量部に対して、3容量部以下が好ましく、2容量部以下がより好ましく、1容量部以下が更に好ましい。
【0062】
(光輝性インキ)
光輝性インキ全体に対する金属ナノ微粒子の占める割合は、光輝性画像の十分な光輝性の観点から、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、一方、光輝性画像の強度の関係から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
【0063】
光輝性インキに添加する樹脂ビヒクルとして適当なバインダー樹脂を選択すれば、乾燥硬化型インキ及び熱硬化型インキ等を調製でき、バインダー樹脂として、フェノール樹脂およびポリエステル樹脂などを使用する。
【0064】
また、無溶剤型光輝性インキ及び光硬化型光輝性インキが好ましい。
【0065】
無溶剤型光輝性インキ及び光硬化型光輝性インキの場合、バインダー樹脂としてはカチオン硬化性樹脂が好ましく、開始剤が併用される。
【0066】
開始剤としては、紫外線、電子線、X線などの放射線および熱の少なくとも何れかによりカチオン活性種を発生するものが好ましく、カチオン硬化性樹脂としては発生したカチオン活性種と反応する官能基を有する反応性樹脂を使用する。
【0067】
この様な開始剤としては、例えば、芳香族スルホニウム塩化合物、芳香族ホスホニウム塩化合物、芳香族ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、および鉄アレーン錯体化合物、又はこれらの組み合わせによるカチオン活性種が好ましい。中でも、塩化合物については、対アニオンが、六フッ化アンチモンアニオン、六フッ化リンアニオン又はテトラキス(ペンタフロロフェニル)ホウ素アニオンであるものが好ましい。
【0068】
一方、カチオン硬化性樹脂としては、例えば、脂環式エポキシ化合物、オキセタン化合物、アルケンオキシド化合物、グリシジルエーテル化合物、ビニルエーテル化合物、プロベニルエーテル化合物などが好ましく、特には低粘度である、リモネンジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが好ましく、2種以上のカチオン硬化性樹脂を混合して用いてもよい。
【0069】
カチオン硬化性樹脂および開始剤の混合比としては、カチオン硬化性樹脂100質量部に対して、開始剤を0.01質量部以上10質量部以下とすることが好ましい。
【0070】
なお、必要に応じて、2種類以上の開始剤を併用する場合もある。この際、開始剤の含有量とは、それぞれの開始剤の含有量の総和を言い、開始剤の含有量の総和が上記の範囲内であることが好ましい。
【0071】
また、硬化の反応性を制御するために、ヒドロキシ化合物、炭化水素などの水素ドナーとなる反応助剤を添加してもよく、電磁波による反応の場合には、フェノチアジン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、アミノ安息香酸誘導体、アントラセン、フェナントレン、ペリレンなどの多環芳香族化合物、又はこれらの組み合わせなどの光増感剤を添加してよい。これらの添加量は、開始剤に対して0.01質量%以上100質量%以下が好ましい。
【0072】
以上のバインダー樹脂に加え、本発明の光輝性インキには、必要に応じて、塗工性・屈曲性改良剤を添加することが好ましい。
【0073】
塗工性・屈曲性改良剤としては、比表面積が大きく見掛け比重と平均粒径が小さい無機物、軟化点またはガラス転移点(Tg)が低い高分子化合物などが挙げられる。
【0074】
具体的には、比表面積が100m2/g以上、見掛け比重が50g/L以下、平均1次粒径が30nm以下のシリカが好ましく、例えば、日本アエロジル株式会社製AEROSIL 200CF(商品名)、日本アエロジル株式会社製AEROSIL 300CF(商品名)などが好ましい。
【0075】
また、軟化点100℃以下で数平均分子量1000以上50000以下の飽和ポリエステル樹脂が好ましく、例えば、東洋紡績株式会社製バイロン500(商品名)、東洋紡績株式会社製バイロン130(商品名)などが好ましい。
【0076】
更に、ガラス転移点(Tg)−30℃以下のポリビニルエーテル樹脂が好ましく、例えば、BASF社製ルトナールM40(商品名)、BASF社製ルトナールA25(商品名)などが好ましい。
【0077】
加えて、軟化点100℃以上のフェノキシ樹脂が好ましく、例えば、油化シェルエポキシ株式会社製エピコート1010(商品名)、油化シェルエポキシ株式会社製エピコート4010P(商品名)などが好ましい。なお、フェノキシ樹脂とは、ビスフェノール化合物およびエピクロルヒドリンから誘導されるオリゴマー又はポリマーを言う。
【0078】
上記の塗工性・屈曲性改良剤の作用として、シリカは凝集力および羽毛状の構造による擬似的架橋構造形成により、飽和ポリエステル樹脂およびポリビニルエーテル樹脂は光輝性インキ全体の粘度を上げ皮膜のガラス転移点(Tg)を下げることにより、フェノキシ樹脂は末端架橋による実質的な高分子量化により、それぞれ目的とする塗工性および屈曲性の改良に寄与していると考えられ、中でもシリカ及び飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
【0079】
以上で説明したカチオン硬化性樹脂および塗工性・屈曲性改良剤の含有量は、得られる光輝性インキの光輝性、光輝安定性、取扱い性、強度などを考慮して、注意深く決定される。
【0080】
例えば、カチオン硬化性樹脂および塗工性・屈曲性改良剤の合計が光輝性インキに占める割合は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、一方、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
【0081】
また、カチオン硬化性樹脂の含有量は、塗工性・屈曲性改良剤の含有量の1質量倍以上が好ましく、2質量倍以上がより好ましく、99質量倍以下が好ましく、80質量倍以下がより好ましい。
【0082】
なお、必要に応じて、2種類以上のカチオン硬化性樹脂を併用する場合もある。この際、カチオン硬化性樹脂の含有量とは、それぞれのカチオン硬化性樹脂の含有量の総和を言い、カチオン硬化性樹脂の含有量の総和が上記の範囲内であることが好ましい。
【0083】
同様に、必要に応じて、2種類以上の塗工性・屈曲性改良剤を併用する場合もある。この際、塗工性・屈曲性改良剤の含有量とは、それぞれの塗工性・屈曲性改良剤の含有量の総和を言い、塗工性・屈曲性改良剤の含有量の総和が上記の範囲内であることが好ましい。
【0084】
また、光輝性粒子との混練性や、得られる光輝性インキの印刷特性の観点から、カチオン硬化性樹脂、始開剤および塗工性・屈曲性改良剤の混合物の25℃での粘度は、1mPa・s以上が好ましく、10mPa・s以上がより好ましく、一方、5Pa・s以下が好ましく、3Pa・s以下がより好ましい。
【0085】
以上の様な光輝性インキは、スクリーン印刷法、オフセット印刷法およびコーター法などを用いて、入手可能な基材に汎用的に塗工することができる。
【0086】
光輝性インキを硬化するためには、熱、光を含む電磁波を用いることができ、これらの方法を混成して行ってもよい。
【0087】
光により硬化を行う場合、処理時間を短縮でき、処理施設を小型化でき、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【0088】
光を含む電磁波としては、マイクロ波から、赤外線、可視光、紫外光、真空紫外線、X線に至る、波長にして10−12〜1mの範囲内で任意に用いることができる。赤外から紫外光の波長範囲の一般的な光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極放電ランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、各種レーザー、半導体レーザーなどを使用することができるが、300〜500nmの波長域に比較的多くエネルギー強度分布を持つ高圧水銀灯およびメタルハライドランプが特に好ましい。光源ランプ強度は40W/cm以上が好ましく、より好ましくは80W/cm以上である。光硬化に要する積算光量は、好ましくは300〜500nmの波長域で100〜50000mJ/cm2、より好ましくは500〜10000mJ/cm2である。
【0089】
なお、光輝性インキが無溶剤型の場合、環境負荷が小さく、作業環境に優れる製造プロセスを構築できる。
【0090】
(基体)
基材としては、セラミック及びガラスをはじめ、無機繊維あるいは有機繊維の織物あるいは不織布、紙、それらと熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂との複合材、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレートなどのポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリイミドアミド、ポリアセタール、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴムなどに代表されるプラスチックなどの公知のものを使用することができる。またこれらの基材の表面には、塗布性や定着性を改善するために、カップリング剤処理やプライマー処理などの化学的処理や、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線処理、研磨処理などの物理的処理を施してもよい。
【0091】
また、シート状およびカード状の基材としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの無機または有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙あるいはこれらを組み合わせたもの、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材、ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂(PET、PENなど)基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン・ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVCなど)基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂(PC)基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材、あるいはこれらにマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理およびオゾン処理、あるいは各種易接着処理などの表面処理を施したものなどの公知のものから選択して用いることができる。
【0092】
中でも、例えば、紙、不織布、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、非晶質コポリエステル(PET−G)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
【0093】
(用途分野)
本発明においては、水溶性有機溶媒の添加で、金属ナノコロイドから金属ナノ微粒子を回収および濃縮できる。
【0094】
この様にして得られる光輝性画像はナノメートルオーダーの薄膜であるため、種々の応用が可能である。
【0095】
以上に説明してきた光輝性塗工液を用いれば、証明書、整理券、金券、入場券、チェックシート、プラスチックカード、ICカード、パッケージ(紙製、ペットボトル、缶など)、包装紙、グリーテングカード、DMのギミック、雑誌、カレンダー、手帳、CD−ROM(CR−R/RW等)、フィルム(ガラス等に貼付するもの)、シール、ラベル、時計の文字盤、家電製品のパネル、紙袋、薬袋、レジ袋、書籍、銘板、ラピングシート等を生産性良好に作製でき、真贋判定、偽造防止、改ざん防止などを実現できる。
【0096】
また、優待券、クジ、書物、教育機関などで使用する教材、書簡、証明書、整理券、金券、入場券、チェックシート、プラスチックカード、ICカード、転写シールのギミック、DMのギミック、パッケージ(紙製、ペットボトル、缶など)、包装紙、グリーテングカード、雑誌、カレンダー、手帳、CD−ROM(CR−R/RW等)、フィルム(ガラス等に貼付するもの)、シール、ラベル、時計の文字盤、家電製品のパネル、紙袋、薬袋、レジ袋、書籍、銘板、ラピングシート等を生産性良好に作製でき、特有の色彩を有する高品位の画像を実現できる。
【0097】
図1には、光輝性画像が形成された入場券を示した。入場券のミシン目を跨ぐ画像(図中のハッチで示した画像)が光輝性である。光輝性画像は美しい光沢を有しており、入場券を切断後においても、偽造は困難である。
【0098】
更に、光輝性画像が導電性を有していれば、真贋判定性が更に向上する。
【0099】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を使用した。
【0100】
(実施例1−1)光輝性画像1−1
塩化金酸(HAuCl4、還元反応時濃度:0.5mmol/L)と、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB、還元反応時濃度:2.2mmol/L)とを含む水溶液を攪拌し、ヒドラジン(N2H4、還元反応時濃度:1mmol/L)を添加して金イオンを還元し、平均粒子径が20nm、標準偏差が1.5nmで青色の金ナノコロイド微粒子(金属ナノコロイド微粒子1)を含む金属ナノコロイド1を得た。
【0101】
この金属ナノコロイド1の2容量部に対しイソプロピルアルコール1容量部を混合し、生成した金ナノ微粒子(金属ナノ微粒子1)を沈殿回収した。得られた金属ナノ微粒子1は金色の金属光沢を有していた。更に、この金属ナノ微粒子1を遠心法により凝集し回収し、画像を形成して乾燥し光輝性画像1−1を得た。光輝性画像1−1が連続した金属箔を形成していることを顕微鏡観察により確認し、X線分析により光輝性画像1−1が有機物を殆ど含有しないことを確認した。
【0102】
光輝性画像1−1は室温における乾燥で作製でき、膜厚は18nmであった。
【0103】
光輝性画像1−1は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像1−1が電流を導通することをテスターにより確認した。
【0104】
更に、光輝性画像1−1を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0105】
(実施例1−2)光輝性画像1−2
カチオン硬化性樹脂としてエルフアトケム社製1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン(商品名:リモネンジオキシド)29.14質量部と、塗工性・屈曲性改良剤として比表面積200m2/g、見掛け比重は30g/L、平均1次粒径12nmの日本アエロジル株式会社製シリカ(商品名:アエロジル200CF)1質量部および軟化点−5℃、数平均分子量15,000の東洋紡績株式会社製の飽和ポリエステル樹脂(商品名:バイロン500)4.86質量部とを混合し、遮光した室温下で30分以上撹拌し均一化した。
【0106】
次に、カチオン開始剤として旭電化工業株式会社製の芳香族スルホニウム塩化合物(商品名:アデカオプトマーSP−170)0.35質量部および旭電化工業株式会社製の芳香族スルホニウム塩化合物(商品名:アデカオプトンCP−66)0.35質量部を加えて撹拌および均一化した。その後、65質量部の金属ナノ微粒子1を混合し、得られた混合物を撹拌機混合し、ニーダーで高剪断混練を行うことにより、金属ナノ微粒子インキ1を得た。
【0107】
なお、カチオン硬化性樹脂、始開剤および塗工性・屈曲性改良剤の混合物の25℃での粘度は2.5Pa・sであった。また、金属ナノ微粒子インキ1の25℃での粘度は150Pa・sであった。
【0108】
以上で得られた金属ナノ微粒子インキ1を用いて、180メッシュ乳剤厚15μmのスクリーン版で幅1mm及び長さ1mのパターン基材上に、スクリーン印刷を行い、光輝性画像1−2を形成した。なお、印刷層の厚みは15μmであり、印刷性は良好であった。
【0109】
基材としては紙およびポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を使用した。紙としては、日本製紙株式会社製NPI−55(商品名)を使用した。また、PETとしては、東レ株式会社製ルミラーS(商品名)を使用した。
【0110】
硬化反応は、160W/cmのメタルハライドランプを、1100mW/cm2(株式会社トプコン製、UVR−T35により測定)の条件で、7m/minのコンベア式照射装置で5回照射して行った。硬化は十分速く、生産性は良好であった。
【0111】
光輝性画像1−2は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、汎用的な基体に十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像1−2は導電性を有していた。
【0112】
更に、光輝性画像1−2を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0113】
(実施例2−1)光輝性画像2−1
硝酸銀(AgNO3、還元反応時濃度:0.5mmol/L)と、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、還元反応時濃度:20mmol/L)とを含む水溶液を攪拌し、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4、還元反応時濃度:1mmol/L)を添加して銀イオンを還元し、平均粒子径が20nm、標準偏差が1.8nmで黄色の銀ナノコロイド微粒子(金属ナノコロイド微粒子2)を含む金属ナノコロイド2を得た。
【0114】
この金属ナノコロイド2の2容量部に対しアセトン1容量部を混合し、生成した金ナノ微粒子(金属ナノ微粒子2)を沈殿回収した。得られた金属ナノ微粒子2は銀色の金属光沢を有していた。更に、この金属ナノ微粒子2を遠心法により凝集し回収し、画像を形成して乾燥し光輝性画像2−1を得た。光輝性画像2−1が連続した金属箔を形成していることを顕微鏡観察により確認し、X線分析により光輝性画像2−1が有機物を殆ど含有しないことを確認した。
【0115】
光輝性画像2−1は室温における乾燥で作製でき、膜厚は17nmであった。
【0116】
光輝性画像2−1は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像2−1が電流を導通することをテスターにより確認した。
【0117】
更に、光輝性画像2−1を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0118】
(実施例2−2)光輝性画像2−2
金属ナノ微粒子1に代えて金属ナノ微粒子2を使用する以外は金属ナノ微粒子インキ1と同様に金属ナノ微粒子インキ2を調製し、光輝性画像1−2と同様に光輝性画像2−2を作製した。
【0119】
光輝性画像2−2は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、汎用的な基体に十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像2−2は導電性を有していた。
【0120】
更に、光輝性画像2−2を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0121】
(実施例3−1)光輝性画像3−1
塩化パラジウム(PdCl2、還元反応時濃度:0.5mmol/L、硫酸酸性)と、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(NP−X、還元反応時濃度:20mmol/L)とを含む水溶液を攪拌し、ヒドラジン(N2H4、還元反応時濃度:1mmol/L)を添加してパラジウムイオンを還元し、平均粒子径が20nm、標準偏差が1.8nmのパラジウムナノコロイド微粒子(金属ナノコロイド微粒子3)を含む金属ナノコロイド3を得た。
【0122】
この金属ナノコロイド3の1容量部に対しエタノール1容量部を混合し、生成したパラジウムナノ微粒子(金属ナノ微粒子3)を沈殿回収した。得られた金属ナノ微粒子3は銀色の金属光沢を有していた。更に、この金属ナノ微粒子3を遠心法により凝集し回収し、画像を形成して乾燥し光輝性画像3−1を得た。光輝性画像3−1が連続した金属箔を形成していることを顕微鏡観察により確認し、X線分析により光輝性画像3−1が有機物を殆ど含有しないことを確認した。
【0123】
光輝性画像3−1は室温における乾燥で作製でき、膜厚は18nmであった。
【0124】
光輝性画像3−1は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像3−1が電流を導通することをテスターにより確認した。
【0125】
更に、光輝性画像3−1を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0126】
(実施例3−2)光輝性画像3−2
金属ナノ微粒子1に代えて金属ナノ微粒子3を使用する以外は金属ナノ微粒子インキ1と同様に金属ナノ微粒子インキ3を調製し、光輝性画像1−2と同様に光輝性画像3−2を作製した。
【0127】
光輝性画像3−2は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、汎用的な基体に十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像3−2は導電性を有していた。
【0128】
更に、光輝性画像3−2を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0129】
(実施例4−1)光輝性画像4−1
0.033mmolの塩化パラジウム(PdCl2)を含有する水25mLと、0.033mmolの塩化白金酸(H2PtCl6)を含有する水25mLとを混合し、重量平均分子量1,500のポリエチレングリコールを151mg添加した。これを100℃で還流を90分行い、平均粒子径2nmのパラジウムで被覆された白金ナノコロイド(金属ナノコロイド微粒子4)を含む金属ナノコロイド4を得た。
【0130】
この金属ナノコロイド4の1容量部に対しイソプロピルアルコール1容量部を混合し、生成したパラジウムで被覆された白金ナノ微粒子(金属ナノ微粒子4)を沈殿回収した。得られた金属ナノ微粒子4は白金色の金属光沢を有していた。更に、この金属ナノ微粒子4を遠心法により凝集し回収し、画像を形成して乾燥し光輝性画像4−1を得た。光輝性画像4−1が連続した金属箔を形成していることを顕微鏡観察により確認し、X線分析により光輝性画像4−1が有機物を殆ど含有しないことを確認した。
【0131】
光輝性画像4−1は室温における乾燥で作製でき、膜厚は1.9nmであった。
【0132】
光輝性画像4−1は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像4−1が電流を導通することをテスターにより確認した。
【0133】
更に、光輝性画像4−1を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0134】
(実施例4−2)光輝性画像4−2
金属ナノ微粒子1に代えて金属ナノ微粒子4を使用する以外は金属ナノ微粒子インキ1と同様に金属ナノ微粒子インキ4を調製し、光輝性画像1−2と同様に光輝性画像4−2を作製した。
【0135】
光輝性画像4−2は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、汎用的な基体に十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像4−2は導電性を有していた。
【0136】
更に、光輝性画像4−2を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0137】
(実施例5−1)光輝性画像5−1
塩化トリス−1,10−フェナントロリン鉄([Fe(C12H8N2)3]Cl2、シェル形成時濃度:0.5mmol/L)と、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、シェル形成時濃度:4mmol/L)とを含むプレミセル水溶液を調製した。
【0138】
このプレミセル水溶液に、塩化金酸(HAuCl4、シェル形成時濃度:0.3mmol/L)を添加し、25℃で10分間の反応を進行したところ、金イオンが還元され、金のシェルが形成され、平均粒子径10nmの金被覆ナノコロイド(金属ナノコロイド微粒子5)を含む金属ナノコロイド5を得た。
【0139】
この金属ナノコロイド5の2容量部に対しイソプロピルアルコール1容量部を混合し、生成した金被覆ナノ微粒子(金属ナノ微粒子5)を沈殿回収した。得られた金属ナノ微粒子5は金色の金属光沢を有していた。更に、この金属ナノ微粒子5を遠心法により凝集し回収し、画像を形成して乾燥し光輝性画像5−1を得た。光輝性画像5−1が連続した金属箔を形成していることを顕微鏡観察により確認し、X線分析により光輝性画像5−1が有機物を殆ど含有しないことを確認した。
【0140】
光輝性画像5−1は室温における乾燥で作製でき、膜厚は8nmであった。
【0141】
光輝性画像5−1は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像5−1が電流を導通することをテスターにより確認した。
【0142】
更に、光輝性画像5−1を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0143】
(実施例5−2)光輝性画像5−2
金属ナノ微粒子1に代えて金属ナノ微粒子5を使用する以外は金属ナノ微粒子インキ1と同様に金属ナノ微粒子インキ5を調製し、光輝性画像1−2と同様に光輝性画像5−2を作製した。
【0144】
光輝性画像5−2は十分な光輝性を有し、十分な強度を有しており、汎用的な基体に十分な薄膜を生産性良好に製造できることが分った。また、光輝性画像5−2は導電性を有していた。
【0145】
更に、光輝性画像5−2を有する入場券を作製したところ、商品価値は高く、高い精度で真贋判定を行うことができた。
【0146】
【発明の効果】
金属ナノコロイドに水溶性有機溶媒を混合して得られる金属ナノ微粒子を乾燥して光輝性金属箔を形成することにより、十分な光輝性および強度を有する光輝性金属箔を、薄膜で汎用的な基体に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光輝性画像が形成されたシートを説明するための模式図である。
Claims (6)
- 金属ナノコロイドに水溶性有機溶媒を混合して得られる金属ナノ微粒子を含む光輝性塗工液。
- 請求項1記載の光輝性塗工液が樹脂ビヒクルを更に含む光輝性インキ。
- 請求項1記載の光輝性塗工液を塗工し乾燥して得られるか、請求項2記載の光輝性インキを印刷し硬化して得られる光輝性金属箔。
- 導電性を有する請求項3記載の光輝性金属箔。
- 請求項3又は4記載の光輝性金属箔からなる光輝性画像が形成されたシート。
- 界面活性剤存在下で金属ナノコロイド微粒子が水系媒体中にコロイド分散している金属ナノコロイドに水溶性有機溶媒を混合し、該コロイド分散を破壊し金属ナノ微粒子を生成する工程と、
該金属ナノ微粒子を回収および凝集する工程と、
該凝集された金属ナノ微粒子を乾燥する工程と
を含む光輝性金属箔の製造方法。
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