JP2004238422A - 熱可塑性エラストマー組成物、及び製造方法 - Google Patents
熱可塑性エラストマー組成物、及び製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004238422A JP2004238422A JP2003026189A JP2003026189A JP2004238422A JP 2004238422 A JP2004238422 A JP 2004238422A JP 2003026189 A JP2003026189 A JP 2003026189A JP 2003026189 A JP2003026189 A JP 2003026189A JP 2004238422 A JP2004238422 A JP 2004238422A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- block
- weight
- thermoplastic elastomer
- styrene
- elastomer composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【課題】柔軟性に富み、圧縮永久歪み、耐油性、耐久性、及び成形性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】オレフィン系樹脂(イ)、下記(a)、(b)を満足するスチレン系共重合ゴム(ロ)、軟化剤(ハ)、及びフェノール樹脂架橋剤(ニ)を含有する混合物を動的架橋して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
(a)一般式(I)で表され、これを水素添加して得られる水添率が85%〜96%のブロック共重合体
一般式 A(B−A)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bは共役ジエンのエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(b)Aブロックの重量平均分子量が3.6万以上、50万以下であり、ブロック共重合体中のAブロックの割合が5〜45重量%
【選択図】 なし
【解決手段】オレフィン系樹脂(イ)、下記(a)、(b)を満足するスチレン系共重合ゴム(ロ)、軟化剤(ハ)、及びフェノール樹脂架橋剤(ニ)を含有する混合物を動的架橋して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
(a)一般式(I)で表され、これを水素添加して得られる水添率が85%〜96%のブロック共重合体
一般式 A(B−A)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bは共役ジエンのエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(b)Aブロックの重量平均分子量が3.6万以上、50万以下であり、ブロック共重合体中のAブロックの割合が5〜45重量%
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、柔軟性に富み、圧縮永久歪み、耐油性、耐久性、及び成形性に優れた熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系樹脂にスチレン系共重合ゴムをブレンドした組成物は熱可塑性エラストマーとして車両用部材、家電製品用部材、OA機器用部材、医療用部材、雑貨などの分野で広く用いられている。これらの熱可塑性エラストマーの圧縮永久歪みや耐油性は、分散相であるスチレン系共重合ゴムの架橋密度に大きく依存しており、この特性を向上させるためには、架橋密度を高くする必要がある。スチレン系共重合ゴムは通常ブロック構造を有しており、そのハードセグメントの疑似架橋によりゴムとしての性能を発現しているが、架橋点の数に限界があり、充分な架橋密度とならない場合がある。
【0003】
オレフィン系樹脂とスチレン系共重合ゴムより得られる熱可塑性エラストマーの架橋密度を高くする方法としては、過酸化物や、フェノール樹脂架橋剤を添加し架橋する方法が知られている。しかしながら、過酸化物を用いて架橋する方法では、共存するオレフィン系樹脂への影響が生じ、得られる熱可塑性エラストマー組成物の外観、物性、成形性が低下するという問題が生じる場合があった。また、架橋反応後もスチレン系共重合ゴムに含まれる不飽和結合が残り、耐久性が低く問題となる場合があった。他方、フェノール樹脂で架橋する方法では、オレフィン樹脂の劣化は起きないものの、従来の加硫ゴムに比べると、圧縮永久歪み、耐油性、耐久性に劣るためその使用範囲に制限があった。
【0004】
これらの点を改良するため、スチレン系共重合ゴムとして、特定の範囲の水添率を有する水素添加物を用い、フェノール樹脂架橋剤で架橋した組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、本発明者等の検討によると上記に提案された方法を用いても、圧縮永久歪み、耐油性は改良されるものの、耐久性は不充分であり、圧縮永久歪み、耐油性、耐久性に優れた熱可塑性エラストマーを得ることは困難な問題であった。
【0005】
【特許文献1】
特許第3303005号公報(特許請求の範囲、及び第3頁右欄37行〜第4頁左欄3行)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、柔軟性に富み、圧縮永久歪み、耐油性、耐久性、及び成形性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、オレフィン系樹脂と特定のスチレン系共重合ゴムと、軟化剤、及びフェノール樹脂架橋剤とを含有する混合物を動的架橋して得られる熱可塑性エラストマー組成物が、耐久性、圧縮永久歪み、耐油性、柔軟性に優れることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、オレフィン系樹脂(イ)、下記(a)、(b)を満足するスチレン系共重合ゴム(ロ)、軟化剤(ハ)、及びフェノール樹脂架橋剤(ニ)を含有する混合物を動的架橋して得られる熱可塑性エラストマー組成物に存している。
(a)一般式(I)で表され、これを水素添加して得られる水添率が85%〜96%のブロック共重合体
一般式 A(B−A)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bは共役ジエンのエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(b)Aブロックの重量平均分子量が3.6万以上、50万以下であり、ブロック共重合体中のAブロックの割合が5〜45重量%
また、本発明の要旨は、オレフィン系樹脂(イ)、上記のスチレン系共重合ゴム(ロ)、軟化剤(ハ)からなる混合物を、フェノール樹脂架橋剤(ニ)の存在下に動的架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法にも存している。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(1)組成物とその原材料
本発明に用いられるオレフィン系樹脂(イ)は、例えば、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン樹脂、又はそれらを主成分とする共重合体から選ばれる少なくとも一種を用いるのが好ましい。該共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系樹脂を挙げることが出来る。オレフィン系樹脂(イ)の中では、プロピレン系樹脂を用いることが好ましく、該プロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とする共重合体樹脂が好適であり、具体的にはプロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体等を挙げることができる。プロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)としては、通常0.05〜100g/10分であり、好ましくは0.1〜50g/10分である。メルトフローレートが上記未満のものを用いた場合は、成形性が悪化し、得られる成形体の外観に不具合が生じることがあり、また、上記範囲を超えるものを用いた場合は、機械的特性、特に引張破壊強さが低下する傾向にある。
【0010】
本発明に用いられるスチレン系共重合ゴム(ロ)は、前記の一般式(I)で表されるブロック共重合体であって、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体である。上記ブロック共重合体において、Aブロックはハードセグメント、Bブロックはソフトセグメントを構成し、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られている。このうち、本発明のスチレン系共重合ゴム(ロ)で、もっとも好ましいのはA−B−Aのトリブロック共重合体である。
【0011】
上記のAブロックにおけるビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
上記のBブロックとしては、共役ジエンからなるものが好ましい。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、特に、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンの2/8〜6/4重量割合の混合物が好ましい。
【0012】
ブロック共重合体中、Aブロックの含有量は、5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%である。Aブロックの含有量が前記範囲未満では、疑似架橋による拘束力が弱くなり、圧縮永久歪みの低減や耐油性の向上といった架橋特性が低下する。一方、前記範囲超過では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、ゴム弾性が劣ると共に、後述する(ハ)成分の炭化水素系ゴム用軟化剤のブリードが生じる。Aブロックの含有量は、NMR法によって求めることができる。
【0013】
共役ジエンとしてブタジエンのみが用いられている場合、熱可塑性エラストマーとしてのゴム弾性を保持する面から、Bブロックにおける共役ジエンの1,2−結合の割合は、通常20〜50%、好ましくは25〜45%である。
Aブロックの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量として、3.6万以上、50万以下であり、好ましくは3.8万以上、40万以下である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、前述の架橋特性は、スチレン系共重合ゴム(ロ)のAブロックによって形成される疑似架橋と、Bブロックに含まれる不飽和結合がフェノール樹脂架橋剤(二)と反応することで形成される架橋の双方により発現する。このうちAブロックの疑似架橋は、その分子量が小さいと疑似架橋点が形成されなくなる。そのため、Aブロックの分子量は3.6万以上が必要であり、好ましくは3.8万以上である。2種類以上のスチレン系共重合ゴムを併用することも可能である。2種類以上のスチレン系共重合ゴムを併用する場合、Aブロックの分子量は、全てのAブロックの平均で3.6万以上が必要であり、好ましくは3.8万以上である。併用する各々のAブロックの分子量は1.8万以上が必要で、好ましくは1.9万以上である。Aブロックの分子量が上記の範囲を超えるものを用いた場合は、得られる組成物の成形加工性が劣ることとなる。
【0014】
Bブロックの水添率は、85〜96%であり、好ましくは88〜95%である。前述の課題を解決するためには、高い架橋密度を得ること、及びスチレン系共重合ゴムに含まれる不飽和結合を、架橋反応によって出来るだけ消費することが必要である。これは、スチレン系共重合ゴムの水添率と配合するフェノール樹脂架橋剤量によって決定される。即ち、スチレン系共重合ゴムの水添率が高すぎると、架橋反応に使われる不飽和結合の量が少ないため、高い架橋密度は達成されない。他方、スチレン系共重合ゴムの不飽和結合を完全に消費するためには、本発明者らの検討によると、1.0〜1.5当量のフェノール樹脂架橋剤が必要であるが、水添されていないスチレン系共重合ゴムを用いる場合、必要なフェノール樹脂架橋剤の量はスチレン系共重合ゴム中の共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックの2〜3倍量必要となる。その結果、高い架橋密度は達成されるものの柔軟性が低下しゴムとしての特性が損なわれることとなる。即ち、水添率が上記範囲超過では、充分な架橋密度が得られず、架橋特性が低下し、一方、前記範囲未満では、不飽和結合が残存することにより耐久性が低下し、これを回避するために多量のフェノール樹脂架橋剤を添加するとBブロックの柔軟性が低下し好ましくない。
【0015】
水添率は以下の方法により測定出来る。水添前の原重合体、及び水添した重合体を二硫化炭素溶液とし、FT−IR(例えば、パーキンエルマー1600型等)を使用し、ハンプトン法に従い、結合スチレン量を求め、S0、S1(%)とし、次式により水添率を計算した。
【0016】
【数1】
水添率(%)=(1−(100−S1)/(S1) X S0/(100−S0))X 100 …(II)
オレフィン系樹脂(イ)とスチレン系共重合ゴム(ロ)の比率(重量)は、(イ)/(ロ)=10/90〜40/60の範囲である。オレフィン系樹脂の比率が上記範囲未満では、成形が困難となり、上記範囲超過では柔軟性が劣る傾向となる。
【0017】
上記ブロック共重合体の製造方法は、上記の構造・物性が得られる限り、如何なる方法であってもよい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法、即ち、リチウム触媒の存在下に不活性溶媒中でブロック重合を行う方法を採用することができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下で行うことができる。
【0018】
また、上記のようなブロック共重合体は、スチレン又はその誘導体とエラストマー性ブロックを重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることも出来る。また、ジリチウム化合物を開始剤としてエラストマー性ブロックを重合し、次いで、スチレン又はその誘導体を逐次重合して得ることも出来る。
上記の様なブロック共重合体の市販品としては、「KRATON−G」(クレイトンポリマージャパン株式会社)、「セプトン」(株式会社クラレ)、「タフテック」(旭化成株式会社)等の商品が例示できる。
【0019】
本発明において軟化剤(ハ)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物を軟化させ、柔軟性を増加させるとともに、得られる組成物の加工性、流動性を向上させる目的のために使用される。この軟化剤(ハ)としては、鉱物油系軟化剤、植物油系軟化剤等を用いることができるが、このうち鉱物油系軟化剤が好ましい。
一般に、鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物である。全炭素量に対し、芳香族炭化水素の炭素の割合が35重量%以上のものは芳香族系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のものはナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50重量%以上のものはパラフィン系オイルと呼ばれる。これらのうち、本発明においては、パラフィン系オイルが好適に使用される。軟化剤の添加方法は、特に限定されるものではなく、組成物の製造に先だって、成分(ロ)であるスチレン系共重合ゴムに予め含有されていてもよく、組成物の製造時に原料と共に添加してもよく、また、組成物を成型品とする段階で添加してもよい。
【0020】
軟化剤(ハ)の配合量は、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔らかさと強度のバランスから、オレフィン系樹脂(イ)とスチレン系共重合ゴム(ロ)との合計100重量部に対して、通常1〜500重量部であり、好ましくは20〜350重量部、特に好ましくは40〜250重量部である。
本発明に用いられるフェノール樹脂架橋剤(ニ)としては、特公昭58−46138号公報に記載されているものを使用することができ、例えば、置換フェノールまたは未置換フェノールとアルデヒドの縮合或いは二官能性フェノールとジアルコールの縮合により得られるフェノール系樹脂である。該フェノール系架橋剤は通常、活性化剤と共に使用される。ここで用いることができる活性化剤としては、例えば、塩化第一スズ、塩化第二鉄、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレンのようなハロゲン供与体、及び酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、二酸化珪素、酸化亜鉛のような受酸剤が用いられる。フェノール系樹脂がハロゲン化されている場合にはハロゲン供与体は用いなくてもよい。
【0021】
フェノール樹脂架橋剤(二)の添加量は、スチレン系共重合体(ロ)のBブロックに対して、通常8〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。フェノール樹脂架橋剤とBブロックに含まれる不飽和結合とが反応することによって、架橋特性や耐久性が向上する。フェノール樹脂架橋剤の必要添加量は、式(III)によって計算した。
【0022】
【数2】
W4=k×(M4/M2)×W2×(1−PS/100)×(1−PH/100) ……(III)
但し、W4:フェノール樹脂架橋剤の重量%、W2:スチレン系共重合体の重量(=100)、M4:フェノール樹脂架橋剤の分子量、M2:スチレン系共重合ゴムのBブロックの分子量、PS:スチレン系共重合体のスチレン含量(重量%)、
PH:スチレン系共重合体の水素添加率(%)、 k:1〜1.5である。
【0023】
フェノール樹脂架橋剤(二)の添加量が上記範囲未満では架橋特性が不充分となる場合があり、上記範囲超過ではBブロックの柔軟性を損なう場合がある。
ハロゲン供与体の添加量はフェノール樹脂架橋剤に対して、10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%とするのがよい。10重量%未満では架橋度が不足となりやすく、40重量%超過ではハロゲン化水素の発生量が過大となり製造装置の腐食を招く場合がある。受酸剤を用いる場合の添加量はフェノール樹脂架橋剤に対して、通常、5〜20重量%である。5重量%未満では発生するハロゲン化水素の捕捉が不十分となり、製造装置が腐食する恐れがあり、20重量%超過では架橋速度が低下することがある。
【0024】
本発明の架橋熱可塑性エラストマー組成物には、上記必須成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で各種目的に応じ他の任意の配合成分を配合することができる。
任意成分としては、例えば、充填材(フィラー)、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等の各種添加物、上記必須成分以外の熱可塑性樹脂、上記必須成分以外のエラストマーを挙げることができ、これらの中から任意のものを単独でまたは併用して用いることができる。
【0025】
ここで、必須成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等を挙げることができる。
【0026】
更に、充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。
(2)組成物の製造方法
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、動的架橋して得られるものである。ここに、動的架橋とは、前記成分(イ)〜(ニ)の混合物を溶融状態又は半溶融状態で混練することを指す。そして、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等が使用される。混練温度は通常、オレフィン系樹脂の融点温度以上である。混練時間は、10秒〜30分、好ましくは20秒〜20分間である。また、動的架橋時の材料の状態は使用する材料の種類や動的熱処理温度によって異なり、通常は半溶融状態または溶融状態となるが、特に制限されない。混練に際しては、各成分を一括して混練しても、また任意の成分を混練した後、他の残りの成分を添加して混練する多段分割混練法を用いても良い。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の諸例で使用した材料および評価方法は以下に示す通りである。
<材料>
成分(イ):ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、MA8Q)(MFR:0.9g/10min、(230℃、21.2N荷重))
成分(ロ−1)(比較例用):スチレン/エチレン・ブチレン/スチレン(以下SEBSと略記)(クレイトンポリマージャパン(株)製、クレイトンG1651)(水添率98%、スチレン含量33%、スチレンブロックの分子量4.0万、重量平均分子量24万)
成分(ロ−2):SEBS(水添率93%、スチレン含量33%、スチレンブロックの分子量4.0万、重量平均分子量24万)
成分(ロ−3):SEBS(水添率91%、スチレン含量33%、スチレンブロックの分子量4.0万、重量平均分子量24万)
成分(ロ−4)(比較例用):スチレン/ブタジエン・ブチレン/スチレン(以下SBBSと略記)(旭化成(株)製、JT90C)(水添率56%、スチレン含量30%、スチレンブロックの分子量1.5万、重量平均分子量9.4万)
成分(ロ−5)(比較例用):スチレン/ブタジエン/スチレン(以下SBSと略記)(クレイトンポリマージャパン(株)製、D1101)(水添率0%、スチレン含量30%、スチレンブロックの分子量2.2万、重量平均分子量14.5万)
成分(ロ−6)(比較例用):SEBS(水添率70%、スチレン含量33%、スチレンブロックの分子量3.0万、重量平均分子量18万)
成分(ハ):パラフィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘度382cSt、流動点−15℃、引火点300℃、出光興産(株)製、PW380)成分(ニ):フェノール樹脂架橋剤(田岡化学工業(株)製、タッキロール201)
活性化剤:塩化第1スズ(和光純薬工業(株)製、特級試薬)
受酸剤:酸化亜鉛(和光純薬工業(株)製、特級試薬)
<評価方法>
1)硬度:JIS K−6253(ショア硬度A)に従い測定した。
2)引張り強度:JIS K−6251に準拠し測定した。試験片はダンベル3号のプレスシート、試験速度は500mm/min。
3)圧縮永久歪み:JIS K−6262に準拠し、温度70℃、22時間、25%圧縮の条件で測定した。
4)膨潤率:軽質パラフィン中への浸漬(80℃、24時間)前後の重量から下記の式にて求めた。
【0028】
W1:浸漬前の重量(g)
W2:浸漬後の重量(g)
膨潤率=(W2−W1)/W1 X 100 (%)
5)ゲル分率:沸騰キシレン10時間の抽出残量と組成物の配合比から計算により求められたゴム成分量の比から求めた。
【0029】
We:抽出残量(g)
Wr:配合比から計算されたゴム成分量(g)
ゲル分率=We/Wr X 100 (%)
6)耐久性:スガ試験機製ウェザオメーター(S80)を使用して83℃、500時間条件での、試験前後の引張り強度の保持率を求めた。
7)成形性:温度200℃、圧力100kg/cm2にて厚み2mmのプレスシートを作成し、得られたサンプルを目視観察し、下記の基準で評価した。×の場合は、各々不具合点を記載した。
【0030】
○:反り、気泡、割れのないシートが成形できた
×:反り、気泡、割れが認められる
<実施例、比較例>
(実施例1〜4、比較例1〜12)
表1、2に記載のオレフィン系樹脂(イ)、スチレン系共重合ゴム(ロ)、軟化剤(ハ)、活性化剤、及び受酸剤を、同じく表1、2に記載の配合量、ラボプラストミル(東洋精機製、30C150)のブラベンダーに投入し、180℃、150rpmで4分間混練した後、フェノール樹脂架橋剤(二)を表1〜3に記載の量投入して、更に150rpmで6分間混練した。得られた熱可塑性エラストマー組成物を、200℃、100kg/cm2にて2mm厚にプレス成形して上記の項目を評価した。このとき、成形性が劣り、気泡の発生したサンプルについては、上記1)〜6)の評価は実施しなかった。これらの結果を表1〜3に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
<結果の評価>
1)比較例1〜4は、本発明の範囲外のスチレン系共重合ゴムを使用しているため、膨潤率が高く、圧縮永久歪みが劣っている。
2)比較例5〜10は、本発明の範囲外のスチレン系共重合ゴムを使用しているため、成形性が劣っている。
3)比較例11は、本発明の範囲外のスチレン系共重合ゴムを使用しているため、耐久性が劣っている。
4)比較例12は、本発明の範囲外のスチレン系共重合ゴムを使用しているため、膨潤率が高く、圧縮永久歪みが劣っており、耐久性が劣っている。
【0035】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明により柔軟性に富み、圧縮永久歪み、耐油性、耐久性、及び成形性に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られることが判明した。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、車両用部材、家電製品用部材、OA機器用部材、医療用部材、雑貨などに有用である。
【産業上の利用分野】
本発明は、柔軟性に富み、圧縮永久歪み、耐油性、耐久性、及び成形性に優れた熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系樹脂にスチレン系共重合ゴムをブレンドした組成物は熱可塑性エラストマーとして車両用部材、家電製品用部材、OA機器用部材、医療用部材、雑貨などの分野で広く用いられている。これらの熱可塑性エラストマーの圧縮永久歪みや耐油性は、分散相であるスチレン系共重合ゴムの架橋密度に大きく依存しており、この特性を向上させるためには、架橋密度を高くする必要がある。スチレン系共重合ゴムは通常ブロック構造を有しており、そのハードセグメントの疑似架橋によりゴムとしての性能を発現しているが、架橋点の数に限界があり、充分な架橋密度とならない場合がある。
【0003】
オレフィン系樹脂とスチレン系共重合ゴムより得られる熱可塑性エラストマーの架橋密度を高くする方法としては、過酸化物や、フェノール樹脂架橋剤を添加し架橋する方法が知られている。しかしながら、過酸化物を用いて架橋する方法では、共存するオレフィン系樹脂への影響が生じ、得られる熱可塑性エラストマー組成物の外観、物性、成形性が低下するという問題が生じる場合があった。また、架橋反応後もスチレン系共重合ゴムに含まれる不飽和結合が残り、耐久性が低く問題となる場合があった。他方、フェノール樹脂で架橋する方法では、オレフィン樹脂の劣化は起きないものの、従来の加硫ゴムに比べると、圧縮永久歪み、耐油性、耐久性に劣るためその使用範囲に制限があった。
【0004】
これらの点を改良するため、スチレン系共重合ゴムとして、特定の範囲の水添率を有する水素添加物を用い、フェノール樹脂架橋剤で架橋した組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、本発明者等の検討によると上記に提案された方法を用いても、圧縮永久歪み、耐油性は改良されるものの、耐久性は不充分であり、圧縮永久歪み、耐油性、耐久性に優れた熱可塑性エラストマーを得ることは困難な問題であった。
【0005】
【特許文献1】
特許第3303005号公報(特許請求の範囲、及び第3頁右欄37行〜第4頁左欄3行)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、柔軟性に富み、圧縮永久歪み、耐油性、耐久性、及び成形性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、オレフィン系樹脂と特定のスチレン系共重合ゴムと、軟化剤、及びフェノール樹脂架橋剤とを含有する混合物を動的架橋して得られる熱可塑性エラストマー組成物が、耐久性、圧縮永久歪み、耐油性、柔軟性に優れることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、オレフィン系樹脂(イ)、下記(a)、(b)を満足するスチレン系共重合ゴム(ロ)、軟化剤(ハ)、及びフェノール樹脂架橋剤(ニ)を含有する混合物を動的架橋して得られる熱可塑性エラストマー組成物に存している。
(a)一般式(I)で表され、これを水素添加して得られる水添率が85%〜96%のブロック共重合体
一般式 A(B−A)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bは共役ジエンのエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(b)Aブロックの重量平均分子量が3.6万以上、50万以下であり、ブロック共重合体中のAブロックの割合が5〜45重量%
また、本発明の要旨は、オレフィン系樹脂(イ)、上記のスチレン系共重合ゴム(ロ)、軟化剤(ハ)からなる混合物を、フェノール樹脂架橋剤(ニ)の存在下に動的架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法にも存している。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(1)組成物とその原材料
本発明に用いられるオレフィン系樹脂(イ)は、例えば、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン樹脂、又はそれらを主成分とする共重合体から選ばれる少なくとも一種を用いるのが好ましい。該共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系樹脂を挙げることが出来る。オレフィン系樹脂(イ)の中では、プロピレン系樹脂を用いることが好ましく、該プロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とする共重合体樹脂が好適であり、具体的にはプロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体等を挙げることができる。プロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)としては、通常0.05〜100g/10分であり、好ましくは0.1〜50g/10分である。メルトフローレートが上記未満のものを用いた場合は、成形性が悪化し、得られる成形体の外観に不具合が生じることがあり、また、上記範囲を超えるものを用いた場合は、機械的特性、特に引張破壊強さが低下する傾向にある。
【0010】
本発明に用いられるスチレン系共重合ゴム(ロ)は、前記の一般式(I)で表されるブロック共重合体であって、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体である。上記ブロック共重合体において、Aブロックはハードセグメント、Bブロックはソフトセグメントを構成し、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られている。このうち、本発明のスチレン系共重合ゴム(ロ)で、もっとも好ましいのはA−B−Aのトリブロック共重合体である。
【0011】
上記のAブロックにおけるビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
上記のBブロックとしては、共役ジエンからなるものが好ましい。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、特に、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンの2/8〜6/4重量割合の混合物が好ましい。
【0012】
ブロック共重合体中、Aブロックの含有量は、5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%である。Aブロックの含有量が前記範囲未満では、疑似架橋による拘束力が弱くなり、圧縮永久歪みの低減や耐油性の向上といった架橋特性が低下する。一方、前記範囲超過では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性、ゴム弾性が劣ると共に、後述する(ハ)成分の炭化水素系ゴム用軟化剤のブリードが生じる。Aブロックの含有量は、NMR法によって求めることができる。
【0013】
共役ジエンとしてブタジエンのみが用いられている場合、熱可塑性エラストマーとしてのゴム弾性を保持する面から、Bブロックにおける共役ジエンの1,2−結合の割合は、通常20〜50%、好ましくは25〜45%である。
Aブロックの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量として、3.6万以上、50万以下であり、好ましくは3.8万以上、40万以下である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、前述の架橋特性は、スチレン系共重合ゴム(ロ)のAブロックによって形成される疑似架橋と、Bブロックに含まれる不飽和結合がフェノール樹脂架橋剤(二)と反応することで形成される架橋の双方により発現する。このうちAブロックの疑似架橋は、その分子量が小さいと疑似架橋点が形成されなくなる。そのため、Aブロックの分子量は3.6万以上が必要であり、好ましくは3.8万以上である。2種類以上のスチレン系共重合ゴムを併用することも可能である。2種類以上のスチレン系共重合ゴムを併用する場合、Aブロックの分子量は、全てのAブロックの平均で3.6万以上が必要であり、好ましくは3.8万以上である。併用する各々のAブロックの分子量は1.8万以上が必要で、好ましくは1.9万以上である。Aブロックの分子量が上記の範囲を超えるものを用いた場合は、得られる組成物の成形加工性が劣ることとなる。
【0014】
Bブロックの水添率は、85〜96%であり、好ましくは88〜95%である。前述の課題を解決するためには、高い架橋密度を得ること、及びスチレン系共重合ゴムに含まれる不飽和結合を、架橋反応によって出来るだけ消費することが必要である。これは、スチレン系共重合ゴムの水添率と配合するフェノール樹脂架橋剤量によって決定される。即ち、スチレン系共重合ゴムの水添率が高すぎると、架橋反応に使われる不飽和結合の量が少ないため、高い架橋密度は達成されない。他方、スチレン系共重合ゴムの不飽和結合を完全に消費するためには、本発明者らの検討によると、1.0〜1.5当量のフェノール樹脂架橋剤が必要であるが、水添されていないスチレン系共重合ゴムを用いる場合、必要なフェノール樹脂架橋剤の量はスチレン系共重合ゴム中の共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックの2〜3倍量必要となる。その結果、高い架橋密度は達成されるものの柔軟性が低下しゴムとしての特性が損なわれることとなる。即ち、水添率が上記範囲超過では、充分な架橋密度が得られず、架橋特性が低下し、一方、前記範囲未満では、不飽和結合が残存することにより耐久性が低下し、これを回避するために多量のフェノール樹脂架橋剤を添加するとBブロックの柔軟性が低下し好ましくない。
【0015】
水添率は以下の方法により測定出来る。水添前の原重合体、及び水添した重合体を二硫化炭素溶液とし、FT−IR(例えば、パーキンエルマー1600型等)を使用し、ハンプトン法に従い、結合スチレン量を求め、S0、S1(%)とし、次式により水添率を計算した。
【0016】
【数1】
水添率(%)=(1−(100−S1)/(S1) X S0/(100−S0))X 100 …(II)
オレフィン系樹脂(イ)とスチレン系共重合ゴム(ロ)の比率(重量)は、(イ)/(ロ)=10/90〜40/60の範囲である。オレフィン系樹脂の比率が上記範囲未満では、成形が困難となり、上記範囲超過では柔軟性が劣る傾向となる。
【0017】
上記ブロック共重合体の製造方法は、上記の構造・物性が得られる限り、如何なる方法であってもよい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法、即ち、リチウム触媒の存在下に不活性溶媒中でブロック重合を行う方法を採用することができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下で行うことができる。
【0018】
また、上記のようなブロック共重合体は、スチレン又はその誘導体とエラストマー性ブロックを重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることも出来る。また、ジリチウム化合物を開始剤としてエラストマー性ブロックを重合し、次いで、スチレン又はその誘導体を逐次重合して得ることも出来る。
上記の様なブロック共重合体の市販品としては、「KRATON−G」(クレイトンポリマージャパン株式会社)、「セプトン」(株式会社クラレ)、「タフテック」(旭化成株式会社)等の商品が例示できる。
【0019】
本発明において軟化剤(ハ)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物を軟化させ、柔軟性を増加させるとともに、得られる組成物の加工性、流動性を向上させる目的のために使用される。この軟化剤(ハ)としては、鉱物油系軟化剤、植物油系軟化剤等を用いることができるが、このうち鉱物油系軟化剤が好ましい。
一般に、鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物である。全炭素量に対し、芳香族炭化水素の炭素の割合が35重量%以上のものは芳香族系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のものはナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50重量%以上のものはパラフィン系オイルと呼ばれる。これらのうち、本発明においては、パラフィン系オイルが好適に使用される。軟化剤の添加方法は、特に限定されるものではなく、組成物の製造に先だって、成分(ロ)であるスチレン系共重合ゴムに予め含有されていてもよく、組成物の製造時に原料と共に添加してもよく、また、組成物を成型品とする段階で添加してもよい。
【0020】
軟化剤(ハ)の配合量は、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔らかさと強度のバランスから、オレフィン系樹脂(イ)とスチレン系共重合ゴム(ロ)との合計100重量部に対して、通常1〜500重量部であり、好ましくは20〜350重量部、特に好ましくは40〜250重量部である。
本発明に用いられるフェノール樹脂架橋剤(ニ)としては、特公昭58−46138号公報に記載されているものを使用することができ、例えば、置換フェノールまたは未置換フェノールとアルデヒドの縮合或いは二官能性フェノールとジアルコールの縮合により得られるフェノール系樹脂である。該フェノール系架橋剤は通常、活性化剤と共に使用される。ここで用いることができる活性化剤としては、例えば、塩化第一スズ、塩化第二鉄、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレンのようなハロゲン供与体、及び酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、二酸化珪素、酸化亜鉛のような受酸剤が用いられる。フェノール系樹脂がハロゲン化されている場合にはハロゲン供与体は用いなくてもよい。
【0021】
フェノール樹脂架橋剤(二)の添加量は、スチレン系共重合体(ロ)のBブロックに対して、通常8〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。フェノール樹脂架橋剤とBブロックに含まれる不飽和結合とが反応することによって、架橋特性や耐久性が向上する。フェノール樹脂架橋剤の必要添加量は、式(III)によって計算した。
【0022】
【数2】
W4=k×(M4/M2)×W2×(1−PS/100)×(1−PH/100) ……(III)
但し、W4:フェノール樹脂架橋剤の重量%、W2:スチレン系共重合体の重量(=100)、M4:フェノール樹脂架橋剤の分子量、M2:スチレン系共重合ゴムのBブロックの分子量、PS:スチレン系共重合体のスチレン含量(重量%)、
PH:スチレン系共重合体の水素添加率(%)、 k:1〜1.5である。
【0023】
フェノール樹脂架橋剤(二)の添加量が上記範囲未満では架橋特性が不充分となる場合があり、上記範囲超過ではBブロックの柔軟性を損なう場合がある。
ハロゲン供与体の添加量はフェノール樹脂架橋剤に対して、10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%とするのがよい。10重量%未満では架橋度が不足となりやすく、40重量%超過ではハロゲン化水素の発生量が過大となり製造装置の腐食を招く場合がある。受酸剤を用いる場合の添加量はフェノール樹脂架橋剤に対して、通常、5〜20重量%である。5重量%未満では発生するハロゲン化水素の捕捉が不十分となり、製造装置が腐食する恐れがあり、20重量%超過では架橋速度が低下することがある。
【0024】
本発明の架橋熱可塑性エラストマー組成物には、上記必須成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で各種目的に応じ他の任意の配合成分を配合することができる。
任意成分としては、例えば、充填材(フィラー)、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等の各種添加物、上記必須成分以外の熱可塑性樹脂、上記必須成分以外のエラストマーを挙げることができ、これらの中から任意のものを単独でまたは併用して用いることができる。
【0025】
ここで、必須成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等を挙げることができる。
【0026】
更に、充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。
(2)組成物の製造方法
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、動的架橋して得られるものである。ここに、動的架橋とは、前記成分(イ)〜(ニ)の混合物を溶融状態又は半溶融状態で混練することを指す。そして、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等が使用される。混練温度は通常、オレフィン系樹脂の融点温度以上である。混練時間は、10秒〜30分、好ましくは20秒〜20分間である。また、動的架橋時の材料の状態は使用する材料の種類や動的熱処理温度によって異なり、通常は半溶融状態または溶融状態となるが、特に制限されない。混練に際しては、各成分を一括して混練しても、また任意の成分を混練した後、他の残りの成分を添加して混練する多段分割混練法を用いても良い。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の諸例で使用した材料および評価方法は以下に示す通りである。
<材料>
成分(イ):ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、MA8Q)(MFR:0.9g/10min、(230℃、21.2N荷重))
成分(ロ−1)(比較例用):スチレン/エチレン・ブチレン/スチレン(以下SEBSと略記)(クレイトンポリマージャパン(株)製、クレイトンG1651)(水添率98%、スチレン含量33%、スチレンブロックの分子量4.0万、重量平均分子量24万)
成分(ロ−2):SEBS(水添率93%、スチレン含量33%、スチレンブロックの分子量4.0万、重量平均分子量24万)
成分(ロ−3):SEBS(水添率91%、スチレン含量33%、スチレンブロックの分子量4.0万、重量平均分子量24万)
成分(ロ−4)(比較例用):スチレン/ブタジエン・ブチレン/スチレン(以下SBBSと略記)(旭化成(株)製、JT90C)(水添率56%、スチレン含量30%、スチレンブロックの分子量1.5万、重量平均分子量9.4万)
成分(ロ−5)(比較例用):スチレン/ブタジエン/スチレン(以下SBSと略記)(クレイトンポリマージャパン(株)製、D1101)(水添率0%、スチレン含量30%、スチレンブロックの分子量2.2万、重量平均分子量14.5万)
成分(ロ−6)(比較例用):SEBS(水添率70%、スチレン含量33%、スチレンブロックの分子量3.0万、重量平均分子量18万)
成分(ハ):パラフィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘度382cSt、流動点−15℃、引火点300℃、出光興産(株)製、PW380)成分(ニ):フェノール樹脂架橋剤(田岡化学工業(株)製、タッキロール201)
活性化剤:塩化第1スズ(和光純薬工業(株)製、特級試薬)
受酸剤:酸化亜鉛(和光純薬工業(株)製、特級試薬)
<評価方法>
1)硬度:JIS K−6253(ショア硬度A)に従い測定した。
2)引張り強度:JIS K−6251に準拠し測定した。試験片はダンベル3号のプレスシート、試験速度は500mm/min。
3)圧縮永久歪み:JIS K−6262に準拠し、温度70℃、22時間、25%圧縮の条件で測定した。
4)膨潤率:軽質パラフィン中への浸漬(80℃、24時間)前後の重量から下記の式にて求めた。
【0028】
W1:浸漬前の重量(g)
W2:浸漬後の重量(g)
膨潤率=(W2−W1)/W1 X 100 (%)
5)ゲル分率:沸騰キシレン10時間の抽出残量と組成物の配合比から計算により求められたゴム成分量の比から求めた。
【0029】
We:抽出残量(g)
Wr:配合比から計算されたゴム成分量(g)
ゲル分率=We/Wr X 100 (%)
6)耐久性:スガ試験機製ウェザオメーター(S80)を使用して83℃、500時間条件での、試験前後の引張り強度の保持率を求めた。
7)成形性:温度200℃、圧力100kg/cm2にて厚み2mmのプレスシートを作成し、得られたサンプルを目視観察し、下記の基準で評価した。×の場合は、各々不具合点を記載した。
【0030】
○:反り、気泡、割れのないシートが成形できた
×:反り、気泡、割れが認められる
<実施例、比較例>
(実施例1〜4、比較例1〜12)
表1、2に記載のオレフィン系樹脂(イ)、スチレン系共重合ゴム(ロ)、軟化剤(ハ)、活性化剤、及び受酸剤を、同じく表1、2に記載の配合量、ラボプラストミル(東洋精機製、30C150)のブラベンダーに投入し、180℃、150rpmで4分間混練した後、フェノール樹脂架橋剤(二)を表1〜3に記載の量投入して、更に150rpmで6分間混練した。得られた熱可塑性エラストマー組成物を、200℃、100kg/cm2にて2mm厚にプレス成形して上記の項目を評価した。このとき、成形性が劣り、気泡の発生したサンプルについては、上記1)〜6)の評価は実施しなかった。これらの結果を表1〜3に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
<結果の評価>
1)比較例1〜4は、本発明の範囲外のスチレン系共重合ゴムを使用しているため、膨潤率が高く、圧縮永久歪みが劣っている。
2)比較例5〜10は、本発明の範囲外のスチレン系共重合ゴムを使用しているため、成形性が劣っている。
3)比較例11は、本発明の範囲外のスチレン系共重合ゴムを使用しているため、耐久性が劣っている。
4)比較例12は、本発明の範囲外のスチレン系共重合ゴムを使用しているため、膨潤率が高く、圧縮永久歪みが劣っており、耐久性が劣っている。
【0035】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明により柔軟性に富み、圧縮永久歪み、耐油性、耐久性、及び成形性に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られることが判明した。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、車両用部材、家電製品用部材、OA機器用部材、医療用部材、雑貨などに有用である。
Claims (5)
- オレフィン系樹脂(イ)、下記(a)、(b)を満足するスチレン系共重合ゴム(ロ)、軟化剤(ハ)、及びフェノール樹脂架橋剤(ニ)を含有する混合物を動的架橋して得られる熱可塑性エラストマー組成物。
(a)一般式(I)で表され、これを水素添加して得られる水添率が85%〜96%のブロック共重合体
一般式 A(B−A)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bは共役ジエンのエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(b)Aブロックの重量平均分子量が3.6万以上、50万以下であり、ブロック共重合体中のAブロックの割合が5〜45重量% - 上記オレフィン系樹脂(イ)が、エチレン、プロピレン、またはブテンの単独重合体、及びそれらの少なくとも一種を主成分とする共重合体から選ばれた樹脂である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- オレフィン系樹脂(イ)とスチレン系共重合ゴム(ロ)との含有比(重量)が、(イ)/(ロ)=10/90〜40/60の範囲であって、且つフェノール樹脂架橋剤(ニ)の割合がスチレン系共重合ゴム(ロ)中のBブロックに対して8〜50重量%である請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 軟化剤(ハ)の割合が、オレフィン系樹脂(イ)とスチレン系共重合ゴム(ロ)との合計100重量部に対し1〜500重量部である請求項1乃至3の何れか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- オレフィン系樹脂(イ)、スチレン系共重合ゴム(ロ)、軟化剤(ハ)からなる混合物を、フェノール樹脂架橋剤(ニ)の存在下に動的架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003026189A JP2004238422A (ja) | 2003-02-03 | 2003-02-03 | 熱可塑性エラストマー組成物、及び製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003026189A JP2004238422A (ja) | 2003-02-03 | 2003-02-03 | 熱可塑性エラストマー組成物、及び製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004238422A true JP2004238422A (ja) | 2004-08-26 |
Family
ID=32954268
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003026189A Pending JP2004238422A (ja) | 2003-02-03 | 2003-02-03 | 熱可塑性エラストマー組成物、及び製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004238422A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP4112690A4 (en) * | 2020-02-28 | 2024-04-10 | Eneos Corp | THERMOPLASTIC ELASTOMER COMPOSITION |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6399256A (ja) * | 1986-10-16 | 1988-04-30 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 動加硫した水添ブロツク共重合体組成物 |
JPS63112649A (ja) * | 1986-10-30 | 1988-05-17 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 動加硫された水添ブロツク共重合体組成物 |
-
2003
- 2003-02-03 JP JP2003026189A patent/JP2004238422A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6399256A (ja) * | 1986-10-16 | 1988-04-30 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 動加硫した水添ブロツク共重合体組成物 |
JPS63112649A (ja) * | 1986-10-30 | 1988-05-17 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 動加硫された水添ブロツク共重合体組成物 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP4112690A4 (en) * | 2020-02-28 | 2024-04-10 | Eneos Corp | THERMOPLASTIC ELASTOMER COMPOSITION |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4153577B2 (ja) | 耐油性に優れた熱可塑性エラストマー | |
JP5185662B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP4050570B2 (ja) | 難燃性熱可塑性エラストマー組成物 | |
JPH043779B2 (ja) | ||
JP4119288B2 (ja) | 架橋熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びその成形体 | |
JP3589042B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP3503352B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP2008226850A (ja) | 難燃性熱可塑性エラストマー樹脂組成物およびその製造方法 | |
JP5285832B2 (ja) | 熱可塑性難燃樹脂組成物 | |
JP3503339B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP2004238422A (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物、及び製造方法 | |
JP3967004B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造法 | |
JP2005089656A (ja) | スチレン系熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP2000212383A (ja) | 熱可塑性エラストマ―樹脂組成物 | |
JP2004189922A (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物前駆体、組成物、及びその製造方法 | |
JP2003003038A (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法 | |
JP2005047948A (ja) | スチレン系熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP6440445B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP6144979B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP2007302906A (ja) | 架橋熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びその成形体 | |
JP2004243544A (ja) | 熱可塑性エラストマーを基材とした積層体及び積層管状体 | |
JP3875551B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP4676382B2 (ja) | チューブまたはホース用熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP2004307564A (ja) | スチレン系熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP2010272531A (ja) | 難燃性熱可塑性エラストマー樹脂組成物およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050830 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070821 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071023 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080311 |