JP2004238210A - 紫外線遮蔽剤として有用な二酸化チタン/チタン酸ストロンチウム複合微粒子およびその製造法 - Google Patents

紫外線遮蔽剤として有用な二酸化チタン/チタン酸ストロンチウム複合微粒子およびその製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外線遮蔽目的に使用する微粒子二酸化チタンの紫外線遮蔽能を実質上保存しつつ、可視光に対する透過率を高める。
【解決手段】平均粒子径0.1μm以下の微粒子二酸化チタンの粒子表面の少なくとも一部を覆う、コア部分の二酸化チタンと一体のチタン酸ストロンチウムよりなるシエル層を持っている、紫外線遮蔽能を有する二酸化チタン/チタン酸ストロンチウム複合微粒子。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、紫外線遮蔽剤として有用な二酸化チタン/チタン酸ストロンチウム複合微粒子に関する。本発明はまた、該複合微粒子の製造法にも関する。
【0002】
【先行技術及び課題】
良く知られているように、二酸化チタンは隠蔽力が大きく、化学的に安定で、堅牢性が高い白色顔料として、塗料、印刷インク、プラスチック、紙、ゴムなどに大量に使用されている。顔料グレードの二酸化チタンの平均粒子径は一般に0.2〜0.4μmの範囲にあるが、微粒子二酸化チタンとして知られている平均粒子径0.1μm以下(100nm以下)の二酸化チタンは可視光域の光線は透過させるが、散乱により紫外線の透過を選択的に阻止する性質を持っている。これを利用して微粒子二酸化チタンは、日焼け止め用化粧品や、紫外線による物質の劣化を防止する目的で塗料、プラスチック、印刷インクなどに配合される。
【0003】
紫外線の散乱を原理とする紫外線遮蔽剤に対し、紫外線を吸収し、熱エネルギーに転換して分散することを原理とする紫外線吸収剤が知られている。紫外線吸収剤も同様に日焼け止め、あるいは物質の光劣化の防止を目的として紫外線遮蔽剤と同じ用途に使用されている。典型的な紫外線吸収剤はベンゾフェノン系、ケイ皮酸系、p−アミノ安息香酸系、サリチル酸系などの光に対して安定な有機化合物であるが、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどのようなペロブスカイト構造を取る複酸化物も紫外線吸収剤として有用であると報告されている。特開平8−43477参照。
【0004】
前記のように、微粒子二酸化チタンは、紫外線の選択的散乱を原理とする紫外線遮蔽剤であるが、紫外線に対する遮蔽率(散乱率)は十分に高いものの、可視光に対する透過率が十分に高くない欠点が見られる。また二酸化チタンは光触媒作用が強く、特に比表面積の大きい微粒子二酸化チタンは酸素と水の存在下光照射によって周囲のマトリックス分子を分解・劣化させる作用がある。このような高い光触媒活性は、紫外線の選択的透過阻止を目的とする用途においては微粒子二酸化チタンの欠点の一つでもある。
【0005】
本発明の課題は、微粒子二酸化チタンが持つ、紫外線に対する高い選択的遮蔽能を実質的に保持しながら、その可視光に対する透過率を一層高め、かつその光触媒活性を緩和した二酸化チタン系複合微粒子の提供にある。
【0006】
【課題の解決手段】
本発明によれば、上記課題は微粒子二酸化チタンの粒子表面の少なくとも一部を覆う、コア部分の二酸化チタンと一体のチタン酸ストロンチウムよりなるシエル層を持っている、紫外線遮蔽能を有する二酸化チタン/チタン酸ストロンチウム複合微粒子を提供することによって解決される。
【0007】
本発明の二酸化チタン/チタン酸ストロンチウム複合微粒子は、複合微粒子全体、すなわちコア部分の二酸化チタン及びシエル部分のチタン酸ストロンチウムに含まれるチタン分に対するシエル部分のチタン酸ストチロンチウムに含まれるストロンチウム分の比Sr/Tiが、両金属のモル比で0.05〜0.9であることが好ましい。
【0008】
また、前記複合微粒子の比表面積は40〜150m/g,特に60m/g以上であることが好ましい。
【0009】
他の面において本発明は、固相状態の平均粒子径0.1μm以下の微粒子二酸化チタンに液相状態の水溶性ストロンチウム化合物を塩基性条件下において反応させ、二酸化チタンよりなるコア部分を残して表面の少なくとも一部をチタン酸ストロンチウムに転化させることを特徴とする二酸化チタン/チタン酸ストロンチウム複合微粒子の製造法を提供する。
【0010】
固相の微粒子二酸化チタンと液相の水溶性ストロンチウム化合物との反応は、pH11より高い塩基性条件下で行われるのが好ましく、また原料二酸化チタンに対して反応した水溶性ストロンチウム化合物のモル比が1未満であることが必要であり、0.05〜0.9であることが好ましい。
【0011】
本発明の二酸化チタン/チタン酸ストロンチウム複合微粒子は紫外線遮蔽率において微粒子二酸化チタンに匹敵する一方で、可視光線の透過率において微粒子二酸化チタンより有意に向上している。また、チタン酸ストロンチウムは二酸化チタンのように強い光触媒作用を持たないので、チタン酸ストロンチウムのシエル層で二酸化チタンのコア部を覆うことによって微粒子二酸化チタンの光触媒活性を緩和することができる。
【0012】
【好ましい実施態様】
平均粒子径0.1μm以下の微粒子二酸化チタンおよびその製造法は公知である。選択的紫外線遮蔽能を有する限りの粒子径および結晶構造を問わないが、配合した化粧品、塗料、プラスチック製品などの耐候性の観点からルチル型構造の微粒子二酸化チタンを用いるのが好ましい。
【0013】
チタン酸ストロンチウムは、典型的には二酸化チタンと炭酸ストロンチウムとの共融反応によって製造される。しかしながらこの方法では二酸化チタンの微粒子状態が失われてしまうので、本発明においては固相の微粒子二酸化チタンを液相の水溶性ストロンチウム塩、例えば塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウムなどと反応させ、微粒子酸化チタンの表面の少なくとも一部をチタン酸ストロンチウムに転化し、二酸化チタンのコア部分とこれを覆うチタン酸ストロンチウムからなる複合微粒子を製造する。
【0014】
例えば微粒子二酸化チタンの水性スラリーへ水溶性ストロンチウム塩を添加して溶解し、水酸化ナトリウムのようなアルカリを添加してpHを11より高く、好ましくはpH13.5以下、特に11.5〜13.0に調節し、スラリーを100℃の温度で数時間加熱する。この時表面から順次二酸化チタンがチタン酸ストロンチウムに転化し、二酸化チタンのコア部分を覆うチタン酸ストロンチウムのシエルが形成される。
【0015】
コア/シエル構造の複合微粒子を得るためには、SrTiO率=SrTiO/(TiO+SrTiO)×100で表したチタン酸ストロンチウム率が100%未満でなければならない。この式においてTiOおよびSrTiOをモル数とすれば、TiO+SrTiOの合計モル数は反応前の微粒子二酸化チタンのモル数と同じであるから、金属のモル数として表した複合微粒子のSr/Ti比に等しい。本発明においては、チタン酸ストロンチウム率が5〜90%,特に10〜50%であることが好ましい。
【0016】
チタン酸ストロンチウム率は、微粒子二酸化チタンのスラリーへ添加する水溶性ストロンチウム化合物の添加量を変えることによって制御することができる。またこの率は反応時のpHによっても影響され、水溶性ストロンチウム化合物の同じ添加量においてpHが高くなるにつれチタン酸ストロンチウム率が理論値に近くなる傾向にある。
【0017】
反応後の複合微粒子の粒子径および比表面積は、チタン酸ストロンチウム率および反応時のpHによって変動する。同じ粒子径および比表面積を有する微粒子二酸化チタンから出発した場合、一般に得られる複合微粒子の粒子径はチタン酸ストロンチウム率およびpHに比例し、比表面積はこれらに反比例する傾向にある。しかしながらチタン酸ストロンチウム率およびpHが前記した好ましい範囲内にある限り、反応前の微粒子二酸化チタンの紫外線遮蔽率を実質的に保持しつつ、可視光透過率を高めることが可能となる。
【0018】
反応後のスラリーを中和、濾過、水洗し、ケーキを例えば110℃において乾燥することにより、粉体の形で目的物が得られる。
【0019】
本発明の二酸化チタン/チタン酸ストロンチウム複合微粒子は種々の目的で公知の方法によってコーティングを施すことができる。コーティングの例は粒子に親水性、親油性または両親媒性を付与するためのコーティング、および光触媒活性をさらに低下させるためのコーティングを含む。これらのコーティング物質には、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、ニッケル、コバルトなどの酸化物や水酸化物を含む無機化合物;ラウリン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸、これら脂肪酸の金属石鹸(金属種としてZn,Al,Ca,Baなど)、環状もしくは直鎖状シリコーン、チタニウムアルコキサイドに代表される有機チタン化合物を含む有機化合物;例えばアルミニウムの水和酸化物とステアリン酸の複合体のような有機無機複合体が含まれる。これらのコーティングは異なるコーティング物質の複数の層からなることもできる。
【0020】
コーティングは反応後のスラリーを用いて行うのが便利である。例えば日焼け止め化粧品または塗料に配合する目的で親油性のステアリン酸アルミニウムでコーティングする場合、スラリーを塩酸酸性とし、ステアリン酸ナトリウムと塩化アルミニウムを添加してステアリン酸アルミニウムのコーティング層を形成し、アルカリで中和後、濾過、水洗、乾燥して被覆粒子を得ることができる。耐候性および耐光変色性を向上させる目的でシリカとアルミナでコーティングする場合は、水で希釈した反応後のスラリーへケイ酸ナトリウムを添加し、酸で中和後、次に塩化アルミニウムを添加し、アルカリで再びpHを5.0へ上げ、濾過、水洗、乾燥して被覆粒子を得る。コーティングに代ってもしくは組合せて、出発原料の微粒子二酸化チタンとして、チタンおよびストロンチウム以外の金属元素を固溶させたものを用いても良い。
【0021】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例によって限定されるものではない。
【0022】
以下の実施例などにおいて、溶液または分散液の濃度を示す%は、特に基準を付記しない限り、重量%である。
【0023】
実施例1
テイカ社製硫酸チタニル結晶の水溶液を加熱して生成する加水分解物を、ろ過、洗浄して得られる含水酸化チタンケーキ35kg(酸化チタン含有量:TiO換算で10kgに相当)に、48%水酸化ナトリウム水溶液40kgをかきまぜながら加え、加熱して95〜105℃の範囲で2時間混合した。ついでこの二酸化チタン水和物の懸濁液をろ過し、ケーキを充分に洗浄した。洗浄後のケーキに水50kgを加えてスラリー化し、さらに35%塩酸14kgをかきまぜながら投入し、95℃で2時間加熱熟成し、酸化チタンスラリーを得た。
【0024】
このスラリー中の固体粒子はX線回折でルチル形二酸化チタンの結晶構造を示し、酸化チタン濃度は12.1%であった。この二酸化チタン固体粒子は、最大粒子径が0.07μmの微粒子であり、平均一次粒子径は0.015μmであった。
【0025】
上記で得られた酸化チタンスラリー、1000gに塩化ストロンチウム六水和物(SrCl・6HO)を60g(Sr/Tiのモル比が0.25)添加し、48%水酸化ナトリウム水溶液を系のpHが12.5となるまで添加した後、100℃で2時間加熱し、加熱後室温まで冷却してスラリーを得た。
【0026】
得られたスラリーを中和・ろ過・水洗し、110℃で8時間乾燥し、無処理粉体Aを得た。
【0027】
実施例2
酸化チタンスラリー、1000gに加える塩化ストロンチウム六水和物の量を24.1g(Sr/Tiのモル比が0.1)とする以外は実施例1と同様に処理を行い、粉体Bを得た。
【0028】
実施例3
酸化チタンスラリー、1000gに加える塩化ストロンチウム六水和物の量を192.1g(Sr/Tiのモル比が0.8)とする以外は実施例1と同様に処理を行い、粉体Cを得た。
【0029】
実施例4
ストロンチウム成分添加後に加える48%水酸化ナトリウム水溶液について、系のpHが11.2になるように添加する以外は、実施例1と同様に処理を行い、粉体Dを得た。
【0030】
実施例5
ストロンチウム成分添加後に加える48%水酸化ナトリウム水溶液について、系のpHが13.3になるように添加する以外は、実施例1と同様に処理を行い、粉体Eを得た。
【0031】
比較例1
酸化チタンスラリー、1000gに加える塩化ストロンチウム六水和物の量を7.2g(Sr/Tiのモル比が0.03)とする以外は実施例1と同様に処理を行い、粉体Fを得た。
【0032】
比較例2(チタン酸ストロンチウムのみの場合)
酸化チタンスラリー、1000gに加える塩化ストロンチウム六水和物の量を264g(Sr/Tiのモル比が1.1)とし、さらに、ストロンチウム成分添加後に加える48%水酸化ナトリウム水溶液について、系のpHが13.3になるように添加する以外は実施例1と同様に処理を行い、粉体Gを得た。
本方法によって得られた粉体GをX線回折装置によって測定したところ、チタン酸ストロンチウムの結晶のみが観察され、酸化チタンやストロンチウムの酸化物による結晶のピークは観察されなかった。
【0033】
比較例3(二酸化チタンのみの場合)
ストロンチウム成分添加後に加える48%水酸化ナトリウム水溶液について、系のpHが10.5になるように添加する以外は、実施例1と同様に処理を行い、粉体Hを得た。
本方法で得られた粉体HをX線回折装置によって測定したところ、酸化チタンの結晶のみが観察され、チタン酸ストロンチウムやストロンチウムの酸化物による結晶のピークは観察されなかったので、酸化チタンとストロンチウムとの反応が起こらなかった、と考えられる。
【0034】
比較例4
ストロンチウム成分添加後に加える48%水酸化ナトリウム水溶液について、系のpHが14.0になるように添加する以外は、実施例1と同様に処理を行い、粉体Iを得た。
【0035】
比較例5(ストロンチウムを反応させない酸化チタンのみの場合)
実施例1における酸化チタンスラリーに対し、ストロンチウム反応処理を行うことなく、中和・ろ過・水洗し、110℃で8時間乾燥して粉体Jを得た。
【0036】
比較例6(物理混合品)
比較例2で得たチタン酸ストロンチウムの結晶のみが観察された粉体Gと、比較例5で得た酸化チタンのみの粉体Jとを、モル比で24:76で乾式混合を行い、粉体Kを得た。
【0037】
〔チタン酸ストロンチウム率及び比表面積の測定〕
当該粉体に対し、蛍光X線を用いた測定により、ストロンチウム(SrO)量と酸化チタン(TiO)量とを算出する。本発明において行った各実施例、比較例の、いずれの場合においてもX線回折による測定では酸化ストロンチウムの形成が確認されなかったので、粉体中のストロンチウムは全てチタン酸ストロンチウムとして存在しているものと想定し、各化合物のモル換算値として、上述した式:SrTiO/(TiO+SrTiO)×100、をチタン酸ストロンチウム率(%)として表1に示した。なお、モル換算のSrTiO/(TiO+SrTiO)×100は、モル比でのSr/Ti×100と同じである。
【0038】
なお、使用した測定装置は次のとおり。
蛍光X線分析装置:リガク社製 システム3270E
X線回折測定装置:日本フィリップス社製 X’Pert−Pro MPD
比表面積測定:湯浅アイオニクス社製 全自動表面積測定装置 マルチソーブ−12
【0039】
Figure 2004238210
TiO(R) :ルチル型酸化チタン、SrTiO:チタン酸ストロンチウム
粉体A〜Eが実施例、粉体F〜Kは比較例
【0040】
【塗料に配合した場合の紫外線遮蔽能および可視光透明性評価】
この試験に用いた試料は、以下の方法によって実施例および比較例の粉体をステアリン酸アルミニウムで被覆して用いた。
【0041】
1.被覆方法
塩化ストロンチウムと反応後の実施例および比較例の各スラリーを固形分7%となるように水で希釈し、このスラリー1Lに塩酸を加えてpH1.0とし、80℃に昇温後、ステアリン酸ナトリウム7gを添加し、60分熟成後、Alに換算して4.9gに相当するポリ塩化アルミニウム水溶液を添加し、30分間熟成した。その後48%水酸化ナトリウム水溶液で系のpHを7.0に中和し、濾過、水洗し、85℃で16時間乾燥し、ステアリン酸アルミニウム被覆粉体を得た。
【0042】
2.評価方法
配合:
ニトロセルロース(粘度1/2秒) 8.6g
酢酸ブチル 10.5g
酢酸エチル 7.0g
ブチルセロソルブ 3.5g
トルエン 9.4g
ステアリン酸アルミニウム処理粉体 0.6g
【0043】
上記配合と、直径1.5mmのガラスビーズ50gをペイントシェーカーにて1時間分散後、ガラスビーズを濾過して得た塗料を、#5バーコーターを用いてポリプロピレンフィルムに塗布し、乾燥して試料を調製した。この試料について、分光光度計(日立製作所モデルU−3300)を用いて波長300nm(紫外域)および400nm(可視光域)における透過率を測定し、表2に示す結果を得た。
【0044】
Figure 2004238210
【0045】
表2の結果からわかるように、本発明の二酸化チタン/チタン酸ストロンチウム複合微粒子(粉体A〜E)は、微粒子二酸化チタン(粉体H)と比較して、紫外線遮蔽能においてほぼ匹敵し、可視光透過率において有意に向上(>6%)している。全体がチタン酸ストロンチウムに転化した粒子(粉体G)では選択的紫外線遮蔽能が実質失われる。
【0046】
【化粧料に配合した場合のSPFおよび可視光透過率評価】
1.化粧料の作成
上の試験に用いたステアリン酸アルミニウムで被覆した実施例および比較例の粉体を用いて下記配合に従って日焼け止め化粧料を作成した。
【0047】
油相:
ステアリン酸Al処理粉体 7.0g
シクロメチコン(KF995) 23.8g
ポリエーテル変性シリコーン(界面活性剤) 3.5g
流動パラフィン 3.5g
水相:
脱イオン水 22.4g
ブチレングリコール 9.8g
【0048】
上記油相と直径0.8mmのジルコニアビーズ300gをマヨネーズびんに入れ、ペイントシェーカーで1時間分散後、ビーズを除去した濾液に水相を添加し、デイスパー(3000rpm)にて25分間攪拌し、W/Oエマルションとした。
【0049】
2.評価方法
作成した各化粧料について、SPF(Sun Protection Factor)および400nmにおける透過率を測定し、表3に示す結果を得た。
【0050】
Figure 2004238210
【0051】
表3から明らかなように、実施例の粉体のみにおいて高いSPFと高い可視光透過率の両方が両立する。
【0052】
【インクに配合した場合の紫外線遮蔽能および可視光透過率の評価】
この試験に用いた試料は、以下の方法によって実施例1および比較例5の粉体をシリカ−アルミナで被覆して用いた。
【0053】
1.被覆方法
塩化ストロンチウムと反応後の実施例1および塩化ストロンチウムを反応させなかった比較例5の各スラリーを固形分7%となるように水で希釈し、このスラリー1LにSiOに換算して200g/Lのケイ酸ナトリウム水溶液10.5mlを添加し、80℃に昇温後硫酸で150分を要してpH6.5へ中和した。その後Alに換算して123g/Lのポリ塩化アルミニウム水溶液17.1mlを添加し、水酸化ナトリウム水溶液を用いて系のpHを5.0に調節し、スラリーを濾過、水洗し、110℃で8時間乾燥し、シリカ−アルミナ被覆粉体を得た。
【0054】
2.評価方法
シリカ−アルミナ処理粉体 12.0g
ウレタン樹脂(三洋化成社製サンプレン 50.0g
IB−422:固形分30%)
トルエン 50.0g
【0055】
上の配合と、直径0.8mmのジルコニアビーズ200gをマヨネーズびんに入れ、ペイントシェーカーにて2時間分散後ジルコニアビーズを除去し、濾液をPETフィルムに#12バーコーターを用いて塗布し、乾燥後剥離して得られたフィルムについて塗料の場合と同じ測定方法で波長300nmおよび400nmにおける透過率を測定した。結果を表4に示す。
【0056】
Figure 2004238210
【0057】
上の結果が示すように、インクに配合した場合、本発明の二酸化チタン/チタン酸ストロンチウム複合微粒子は、微粒子二酸化チタンに比較して高い選択的紫外線遮蔽性を示す。

Claims (11)

  1. 平均粒子径0.1μm以下の微粒子二酸化チタンの粒子表面の少なくとも一部を覆う、コア部分の二酸化チタンと一体のチタン酸ストロンチウムよりなるシエル層を持っている、紫外線遮蔽能を有する二酸化チタン/チタン酸ストロンチウム複合微粒子。
  2. コア部分の二酸化チタンおよびシエル部分のチタン酸ストロンチウム全体に含まれるチタン分に対する、シエル部分のチタン酸ストロンチウムに含まれるストロンチウム分の比Sr/Tiが、両金属のモル比で0.05〜0.9である請求項1の複合微粒子。
  3. 比表面積が40m/gないし150m/gである請求項1または2の複合微粒子。
  4. 固相状態の平均粒子径0.1μm以下の微粒子二酸化チタンに液相状態の水溶性ストロンチウム化合物を塩基性条件下において反応させ、二酸化チタンよりなるコア部分を残して表面の少なくとも一部をチタン酸ストロンチウムに転化させることを特徴とする請求項1の複合微粒子の製造法。
  5. 前記反応はpH11より高い塩基性条件下で行われる請求項4の方法。
  6. 水溶性ストロンチウム化合物は、塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、または水酸化ストロンチウムから選ばれる請求項4の方法。
  7. 固相の微粒子二酸化チタンに対して反応した水相の水溶性ストロンチウムのモル比が0.05〜0.9である請求項4の方法。
  8. 請求項1ないし3のいずれかの複合微粒子よりなる紫外線遮蔽剤。
  9. 請求項1ないし3のいずれかの複合微粒子を含有する日焼け止め化粧料。
  10. 請求項1ないし3のいずれかの複合微粒子を含有する紫外線遮蔽塗料。
  11. 請求項1ないし3のいずれかの複合微粒子を含有する紫外線遮蔽インク。
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