JP2004237584A - 画像処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】受信した印刷データに画像処理を施して印刷可能なデータにした後に、当該データを印刷エンジンに出力する画像処理装置であって、適切なトラッピング処理により全ての種類の画像に対して有効な画質の劣化防止を行うことのできる画像処理装置を提供する。
【解決手段】受信した印刷データ1を、色のデータと画像の種類を示す属性データとを有するビットマップデータに変換し、当該ビットマップデータに画像処理を施して処理後のデータを印刷エンジン3に出力する画像処理装置2が、前記画像の種類に応じて設定された、色の変化するエッジ部分を拡大させるトラッピング処理の内容に関する設定情報を記録する記録手段252、253と、前記ビットマップデータが有する属性データに基づいて、前記記録手段が記録する設定情報の中から、当該属性データが示す画像の種類に応じた設定情報を選択する選択手段251と、前記ビットマップデータの色のデータと、前記選択手段251によって選択された設定情報に基づいて、トラッピング処理を実行するトラッピング処理手段254とを有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信した印刷データに画像処理を施して印刷可能なデータにした後に、当該データを印刷エンジンに出力する画像処理装置に関し、特に、有効なトラッピング処理を行うことのできる画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カラー画像の印刷は、複数の色成分を重ね合わせることによって行われる。かかるカラー画像印刷では、通常の場合、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の4色が用いられ、これらの各色毎に順次印刷動作が実行されて4色の重ね合わせが行われる。従って、このようなカラー画像印刷では、各色の印刷動作が異なるため、各色の出力画像間に位置ずれを起こす場合がある。
【0003】
このような位置ずれが起こると出力画像の画質が劣化し、特に、位置ずれにより、色の変わる境目の部分に本来はない白い部分が発生してしまう、いわゆる白抜けという現象が起こると、画質は劣悪なものとなる。そこで、従来より、この位置ずれによる画質劣化を防止するためにトラッピング処理というものが提案されている。
【0004】
このトラッピング処理は、色の変化する境目(エッジ)周辺に余計に色を付加し、位置ずれが起きても白抜け等による画質劣化を防止しようとするものである。具体的には、印刷動作前に印刷する画像データを用いて、色の変化するエッジ部分を検出し、色の変化状況等からトラッピング処理を行うか否かを判断し、トラッピング処理を行う場合には、当該エッジ部分周辺の画像データ(色のデータ)を位置ずれが起きても画質が劣化しないように変更する。
【0005】
下記特許文献(特開2002−165104号公報)には、かかるトラッピング処理のための装置と方法が開示され、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の4色のデータを用いて、色を付加する領域及び付加する色を決定する旨が記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−165104号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来のトラッピング処理では、印刷する画像の種類に関係なく、即ち、画像が文字であるか、グラフィックスであるか、あるいはイメージであるかに関わらず一律な内容で処理が行われていた。しかしながら、印刷する画像が写真などのイメージである場合、通常、明確に色が変化する箇所は少なく、前述した各色間の位置ずれが起きても画質の劣化は少ないと言える。また、通常、イメージの場合の色データは、複数の色成分を含んでおり、文字やグラフィックスの場合の色データよりも前述した白抜けが起こりずらい状態となっている。したがって、画像がイメージである場合にも、他の画像の種類の場合と同様にトラッピング処理を行うと、トラッピングによる画質の劣化防止のメリットよりも、位置ずれせずにトラッピングした部分に本来ない色が付いてしまうことによる画質劣化のデメリットの方が大きい場合が多い。
【0008】
また、トラッピング処理は、前述した位置ずれや白抜けが起こった場合に目立つ部分、即ち、文字の輪郭部分など色の変わり目がある程度長く続く部分に対して行われるのが適切である。一方、トラッピング処理は、通常画素毎に処理が行われるが、その際に、処理速度の低下や回路規模の増大を避けるために、対象画素の周辺の小さな領域のみを参照してトラッピング処理を行うか否かの判断がなされる。このような判断でも、画像の種類が文字やグラフィックスである場合には、前述したトラッピング処理が行われるべき部分に的確にトラッピング処理が行われる場合が多いが、画像がイメージの場合には、局所的に色が変化している部分が多く、このような判断では、本来トラッピング処理が行われるべきでない部分に対してもトラッピングが実行されて、逆に画質が劣化してしまう場合が多い。
【0009】
そこで、本発明の目的は、受信した印刷データに画像処理を施して印刷可能なデータにした後に、当該データを印刷エンジンに出力する画像処理装置であって、適切なトラッピング処理により全ての種類の画像に対して有効な画質の劣化防止を行うことのできる画像処理装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、受信した印刷データを、色のデータと画像の種類を示す属性データとを有するビットマップデータに変換し、当該ビットマップデータに画像処理を施して処理後のデータを印刷エンジンに出力する画像処理装置が、前記画像の種類に応じて設定された、トラッピング処理の内容に関する設定情報を記録する記録手段と、前記ビットマップデータが有する属性データに基づいて、前記記録手段が記録する設定情報の中から、当該属性データが示す画像の種類に応じた設定情報を選択する選択手段と、前記ビットマップデータの色のデータと、前記選択手段によって選択された設定情報に基づいて、トラッピング処理を実行するトラッピング処理手段とを有することである。従って、本発明によれば、画像の種類に応じたトラッピング処理がなされるので、その画像の特性を活かした有効な画質の劣化防止を図ることができる。
【0011】
更に、上記の発明において、その好ましい態様は、前記記録手段が、前記画像の種類がイメージである場合の前記設定情報を記録する第一記録手段と、前記画像の種類が文字又はグラフィックスである場合の前記設定情報を記録する第二記録手段とを備えることを特徴とする。従って、画像の種類がイメージである場合と文字又はグラフィックスである場合とでトラッピング処理の内容を変えることが可能となり、画像の種類に関わらず一律にトラッピング処理を行う場合の問題を解決することができる。
【0012】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、前記第一記録手段が記録する第一設定情報に、トラッピング処理を行わない旨の情報が含まれ、前記選択手段で当該第一設定情報が選択された場合には、前記トラッピング処理手段がトラッピング処理を実行しないことを特徴とする。これにより、画像の種類がイメージである場合には、トラッピング処理が行われないので、イメージ画像に対してトラッピング処理が行われた場合のデメリットを解消することができる。
【0013】
また、上記の発明において、別の態様は、前記第一記録手段が記録する第一設定情報及び前記第二記録手段が記録する第二設定情報に、トラッピング処理の程度を示すトラッピング量に関する情報が含まれ、前記選択手段が前記第一設定情報を選択した場合に前記トラッピング処理手段が実行するトラッピング処理のトラッピング量が、前記選択手段が前記第二設定情報を選択した場合に前記トラッピング処理手段が実行するトラッピング処理のトラッピング量よりも少ないことを特徴とする。これにより、画像の種類がイメージである場合のトラッピング処理のデメリットを抑えることができる。
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、受信した印刷データを、色のデータと画像の種類を示す属性データとを有するビットマップデータに変換し、当該ビットマップデータに画像処理を施して処理後のデータを印刷エンジンに出力する画像処理装置が、前記ビットマップデータが有する色のデータに基づいて、トラッピング処理を実行するトラッピング部を有し、前記トラッピング部が、前記属性データが示す画像の種類に応じて、トラッピング処理の内容を変えることである。従って、本発明によれば、画像の種類に応じたトラッピング処理がなされるので、その画像の特性を活かした有効な画質の劣化防止を図ることができる。
【0015】
更に、上記の発明において、その好ましい態様は、前記画像の種類がイメージである場合に、前記トラッピング部がトラッピング処理を実行しないことを特徴とする。これにより、イメージ画像に対してトラッピング処理が行われた場合のデメリットを解消することができる。
【0016】
また、上記の発明において、別の態様は、前記画像の種類がイメージである場合に前記トラッピング部が実行するトラッピング処理のトラッピング量が、前記画像の種類が文字又はグラフィックスである場合に前記トラッピング部が実行するトラッピング処理のトラッピング量よりも少ないことを特徴とする。これにより、画像の種類がイメージである場合のトラッピング処理のデメリットを抑えることができる。
【0017】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0019】
図1は、本発明を適用した画像処理装置の実施の形態例に係る構成図である。図1に示す画像処理装置2が、本実施の形態例に係る画像処理装置であり、パーソナルコンピュータなどの印刷要求元から送信される印刷データ1に各種の画像処理を施して印刷可能なデータとし、そのデータを印刷を実行する印刷エンジン3に出力する装置であるが、かかる画像処理において、画像の種類に応じたトラッピング処理を行い、全ての種類の画像に対して有効な画質の劣化防止を図ろうとするものである。
【0020】
なお、前記画像の種類には、文字、グラフィックス、及びイメージがある。文字は、元々コンピュータ等においてテキストデータとして扱われていたデータなどによる画像を意味し、グラフィックスは、元々コンピュータ等において線などの図形データとして扱われていたデータなどによる画像を意味する。また、イメージは、元々コンピュータ等においても画素毎の色で表現されている写真などのデータによる画像を意味する。
【0021】
なお、本実施の形態例における印刷エンジン3は、カラー印刷時に、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の各色について順番に印刷動作を繰り返す4サイクル式のエンジンとするが、本発明を4サイクル式エンジン用に限定するものではなく、例えば、タンデム方式のエンジンの場合であっても本発明を適用することができる。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態例にかかる画像処理装置2は、前処理部21、ページメモリ22、及び後処理部23で構成されている。まず、前処理部21は、従来装置と同様であり、ページ記述言語で表現された印刷データ1を受信し、当該データに対して、データ解釈、色変換、圧縮等の処理を施し、処理後のデータをページメモリ22に格納しておく。格納されるデータは、画素毎のデータ、即ちビットマップデータに変換されており、1画素毎に、C、M、Y、Kの4色の色データとXで表される属性データを有している。この属性データには、前記画像の種類を表す情報が含まれており、この属性データから画像の種類を識別することができる。なお、この画像の種類を表す情報は、前記受信する印刷データ1を解釈することによって得られる。
【0023】
ページメモリ22は、このビットマップデータを印刷の1ページ分保持する。したがって、ページメモリ22には、図1に示すように、印刷1ページ分のC、M、Y、K、Xのデータが保持されている。
【0024】
次に、後処理部23は、ページメモリ22に格納された1ページ分のビットマップデータを印刷する際に印刷エンジン3に同期して動作する部分であり、C、M、Y、Kの4色について1色ずつ順番に処理を実行する。図1は、Cに関して処理を実行している場合を示している。後処理部23が各色に対して行う処理の内容は同様であるので、以下、処理内容については、Cに関して処理を実行している場合について説明する。
【0025】
図1に示すように、後処理部23には、スムージング部24、本画像処理装置2の特徴部分であるトラッピング部25、スクリーン部26、パルス巾合成部27、及びPWM部28が設けられており、印刷エンジン3に同期してページメモリ22からのデータの読み出し、スムージング処理、トラッピング処理、スクリーン処理等の各処理を実行して、印刷可能なデータとした後に当該データを印刷エンジン3に出力する。
【0026】
スムージング部24は、色の変わるエッジ部分が斜めになっている場合などに、画素による階段状の表現をできるだけ打ち消して滑らかな傾斜線として表されるように補正を行う部分である。かかる処理を実行するために、スムージング部24は、処理対象の画素を中心とした所定の範囲についてデータを保持するバッファ(図示せず)を備えている。スムージング部24は、処理後、補正内容についての補正情報をパルス巾合成部27に送信する。
【0027】
次に、トラッピング部25は、本画像処理装置2の特徴部分であり、印刷エンジン3に同期した印刷時の処理において、トラッピング処理を実行する部分である。具体的な処理内容は後述するが、トラッピング部25は、印刷範囲の各画素毎に、ページメモリ22から読み出されたデータに基づいて、トラッピング処理を行うか否かの判定、トラッピング処理を行う場合にはそのトラップ量の決定、及び当該画素の画素値の出力を行う。
【0028】
図1に示すように、トラッピング部25は、セレクタ251(選択手段)、イメージ用レジスタ252(第一記録手段)、文字・グラフィックス用レジスタ253(第二記録手段)、及びトラッピング処理回路254(トラッピング処理手段)を有している。セレクタ251は、処理対象画素のXデータ(属性情報)をページメモリ22から読み込み、当該データに基づいて画像の種類を識別し、画像の種類がイメージである場合にはイメージ用レジスタ252から、また、画像の種類が文字又はグラフィックスある場合には文字・グラフィックス用レジスタ253から設定情報を読み出して、当該設定情報をトラッピング処理回路254に伝える。
【0029】
イメージ用レジスタ252及び文字・グラフィックス用レジスタ253には、それぞれ、予めイメージ用の設定情報及び文字・グラフィックス用の設定情報が記録されている。ここで設定情報とは、トラッピングを行うか否かという情報やトラッピングを行う場合のトラッピング量の情報などトラッピング処理の内容を示す情報である。したがって、イメージ用レジスタ252には、画像の種類がイメージであった場合のトラッピング処理の内容が記録され、同様に、文字・グラフィックス用レジスタ253には、画像の種類が文字又はグラフィックスであった場合のトラッピング処理の内容が記録される。
【0030】
このイメージ用レジスタ252に記録される設定情報と、文字・グラフィックス用レジスタ253に記録される設定情報が異なっていることが本発明の一つの特徴であり、具体的には、イメージ用レジスタ252に記録される設定情報においては、トラッピングを行わない、あるいは、文字・グラフィックス用レジスタ253に設定されているトラッピング量より少ないトラッピング量が設定されている。一方、文字・グラフィックス用レジスタ253には、トラッピング処理を試みる旨と、イメージの場合よりも大きいトラッピング量が設定されている。
【0031】
なお、トラッピング量とは、トラッピング処理を行う場合に付加する色の量のことであり、具体的には、色の濃度を表す色データの増加量若しくは増加させた後の色データの値のことを言う。例えば、色データが256階調で表されている場合に、元の色データが“70”で、増加させた後(トラッピング後)の色データの値としてトラッピング量を“150”と設定している場合には、トラッピングを行うと判断されると当該画素の色データは“150”となる。
【0032】
次に、トラッピング処理回路254は、ページメモリ22から読み出された色データとセレクタ251から受け取った前記設定情報に基づいて、処理対象の画素についてのトラッピング処理を実行する部分である。具体的な処理内容は後述するが、図1に示すように、Cに関して処理を行っている場合には、対象画素のCの色についてトラッピング処理を実施し、トラッピング処理後のCの色データをスクリーン部26に出力する。トラッピング処理回路254による処理は、前述した画像の種類によって異なる設定情報に基づいて行われるので、画像の種類によって異なるトラッピング処理が行われることになる。
【0033】
次に、スクリーン部26は、トラッピング処理回路254から送られた各画素の色データ(画素値)をパルス巾に変換する処理を行う。また、パルス巾合成部27では、前述したスムージング部24からの補正情報に基づき、スクリーン部26からのパルス巾に補正を行う。更に、PWM部28では、補正されたパルス巾のデータをレーザ発光のON/OFF信号に変換する。そして、その最終的に作成されたデータが印刷エンジン3に出力され、印刷が行われる。
【0034】
図2は、トラッピング部25で行われる処理を例示したフローチャートである。以下、図2に基づいて、本画像処理装置2のトラッピング部25で行われる処理の一例について説明する。なお、ここでは、Cの色について処理を行っている場合で、トラッピング処理にC、M、Y、Kの4色の色データを使用する場合について説明する。
【0035】
まず、トラッピング処理回路254は、処理対象の画素とその周囲の画素についてC、M、Y、Kの4色の色データを読み込む(図2のステップS1)。データを読み込む周囲の画素は、例えば、対象画素の左右上下の画素とすることができる。また、Cのデータについては、前述したスムージング部24のバッファから読み込み、M、Y、Kのデータについては、ページメモリ22とトラッピング処理回路254の間に設けられるバッファ(図示せず)から読み込む。
【0036】
一方、セレクタ251は、当該対象画素のXデータ(属性データ)をページメモリ22から読み込む(図2のステップS2)。そして、セレクタ251は、当該Xデータから対象画素の画像の種類を識別し、その画像の種類について前記設定情報を記録しているレジスタから設定情報を読み込む(図2のステップS3)。具体的には、画像の種類がイメージである場合には、イメージ用レジスタ252から設定情報を読み込み、画像の種類が文字又はグラフィックスである場合には、文字・グラフィックス用レジスタ253から設定情報を読み込む。セレクタ251は、読み込んだ設定情報をトラッピング処理回路254に送信する。
【0037】
送信された設定情報を受信したトラッピング処理回路254は、当該設定情報を解釈する(図2のステップS4)。ここで、設定情報に、トラッピング処理を行わない旨の情報が示されていれば、トラッピング処理回路254は、トラッピング処理を実行せずに(図2のステップS5のNo)、読み込んだ対象画素の色データをそのままスクリーン部26に送信する(図2のステップS6)。例えば、前述したように、イメージ用レジスタ252にトラッピング処理を行わない旨設定されている場合に、セレクタ251が読み込んだXデータの示す画像の種類がイメージであれば、このような処理が実行される。
【0038】
一方、設定情報に、トラッピング処理を行わない旨の情報が示されていない場合、あるいは、トラッピング処理を試みる旨の情報が示されている場合などには(図2のステップS5のYes)、実際にトラッピング処理を行うか否かの判定(トラップ判定)を行う(図2のステップS7)。本画像処理装置2では、画像の種類が文字又はグラフィックスである場合に、必ずトラップ判定が行われる。
【0039】
かかるトラップ判定は、各種の手法で行うことができるが、例えば、C、M、Y、Kの各色毎に、対象画素と周囲画素のデータからトラップ判定を行い、一つの色でもトラッピングを行うと判定された場合には、トラッピング処理を行うとする手法を取ることができる。また、前記各色について行われるトラップ判定の手法としては、例えば、以下のような方法を取ることができる。
【0040】
Cの色について行う場合には、前述したようにページメモリ22から読み込んだ対象画素とその周囲画素のCの色データをチェックし、対象画素の色データ値(画素値、Cの濃度)が予め定めた閾値よりも小さく、かつ、周囲画素の中にその色データ値が前記閾値よりも大きい画素がある場合に、当該対象画素に対してトラッピング処理を行うと判定する。
【0041】
図3は、トラッピング処理回路254が行う処理の一例を示した図である。図3の(a)は、トラッピング処理回路254が読み込んだCの色データの一例を示している。図のAが対象画素であり、図のB1からB4までが周囲画素である。したがって、対象画素の色データ値は“50”であり、その上に位置する周囲画素の色データ値は“200”であるということを表している。ここで、これらのデータに対して上述したトラップ判定のための条件を適用した結果が、図3の(b)及び(c)に示されている。
【0042】
図3の(b)は、例えば前記閾値を“70”にした場合であり、図中の“0”は、その色データ値が閾値より小さいことを示し、図中の“1”は、その色データ値が閾値より大きいことを示している。対象画素(A)の色データ値は、閾値“70”よりも小さいため判定の結果は“0”となり、また、周囲画素(B1)の色データ値は、閾値“70”よりも大きいため判定の結果は“1”となっている。したがって、この場合には、対象画素の色データ値が閾値よりも小さく、かつ、周囲画素の中にその色データ値が閾値よりも大きい画素があるので、当該対象画素に対してトラッピング処理を行うと判定される。一方、図3の(c)は、例えば前記閾値を“45”にした場合であり、対象画素(A)の色データ値が、閾値“45”よりも大きいため判定の結果は“1”となり、したがって、前述した条件を満たさず、トラッピング処理を行わないと判定される。
【0043】
なお、かかるトラップ判定の手法についての情報を前記設定情報に含め、即ち、トラップ判定の手法についても前述したイメージ用レジスタ252及び文字・グラフィックス用レジスタ253にそれぞれ記録しておき、対象画素の画像の種類に応じてトラップ判定の手法を変えるようにしてもよい。
【0044】
以上説明したトラップ判定(図2のステップS7)の結果、トラッピング処理を行わないと判定された場合には(図2のステップS8のNo)、トラッピング処理回路254は、トラッピング処理を実行せずに前記読み込んだ対象画素の色データをそのままスクリーン部26に送信する(図2のステップS6)。
【0045】
一方、トラップ判定(図2のステップS7)の結果、トラッピング処理を行うと判定された場合には(図2のステップS8のYes)、トラッピング処理回路254は、トラッピング量(トラップ量)の決定を行う(図2のステップS9)。なお、ここではトラップ量は、色の濃度を増加させた後(トラッピング後)の色データの値のことを意味することとする。
【0046】
かかるトラップ量の決定処理は、トラッピング処理回路254が読み込んだ前記設定情報に含まれるトラップ量の情報に基づいて行われるが、画像の種類がイメージの場合のトラップ量が、画像の種類が文字又はグラフィックスの場合よりも相対的に小さく決定され、この点が本画像処理装置2の特徴の一つである。なお、前述のように、イメージ用レジスタ252にトラッピング処理を行わないと設定されている場合には、画像の種類がイメージの時にはトラップ量の決定は行われない。
【0047】
トラップ量決定の具体的な手法については、様々な手法を用いることができるが、例えば、処理対象の色の色データについて、予め定めた最小トラップ値と周囲画素の最大色データ値のいずれか小さい方の値と、予め定めたトラップ率を周囲画素の最大色データ値にかけた値、のいずれか大きい方の値を対象画素の色データ値(トラップ量)とするという方法を用いることができる。以下、図3の(a)に示した入力に対してこの手法を用いた場合について説明する。
【0048】
前記予め定めた最小トラップ値が“100”であり、前記予め定めたトラップ率が“0.4”であるとすると、予め定めた最小トラップ値と周囲画素の最大色データ値のいずれか小さい方の値は、“100”と“200”を比較して“100”となる。また、予め定めたトラップ率を周囲画素の最大色データ値にかけた値は、“0.4”を“200”にかけて“80”となる。したがって、“100”と“80”の大きい方の値である“100”が対象画素の色データ値(トラップ量)として決定される。この決定により、対象画素(A)の画素値は“100”に置換される。図3の(d)は、その結果を示している。なお、この例における対象画素の画像の種類が文字であったとし、同じ条件で画像の種類がイメージであったと仮定すると、決定されるトラップ量は、上記“100”よりも小さい、例えば“70”という値となる。
【0049】
このように、トラップ量が決定されると、トラッピング処理回路254は、その値を対象画素の色データとし、そのデータをスクリーン部26に送信する(図2のステップS10)。
【0050】
トラッピング部25は、以上説明したようなトラッピング処理を画素毎に実行し、順次決定した画素値をスクリーン部26に出力する。なお、前述したように、本実施の形態例においては、各色のトラッピング処理に4色のデータを用いたが、4色全てのデータを用いずに、例えば処理対象の色のデータのみを用いるようにしてもよい。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態例に係る画像処理装置2を用いることにより、画像の種類に応じたトラッピング処理を行うことができ、全ての種類の画像について、その画像の特性を活かした有効な画質の劣化防止を行うことができる。具体的には、画像の種類がイメージの場合には、トラッピング処理が行われないか、あるいは他の種類の画像の場合よりもトラッピング量が少なくなるので、前述したイメージの画像に対してトラッピング処理が施されることによるデメリットを小さく抑えることができる。
【0052】
図4は、その一例を説明するための図である。通常、イメージの画像では文字やグラフィックスの画像よりも局所的に色が変化する部分が多い。図4の(a)は、イメージの画像において局所的に色が変化している場合の一例を示している。この図は5×5の画素範囲を示しており、各画素の数字がその画素の色を表している。したがって、表示されている範囲に、3種類の色の画素が存在している。このような範囲について、画像の種類に関係なくトラッピング処理を施すと、前述したように、対象画素に隣接する画素程度の小さい範囲でトラッピングを行うか否かの判断がなされるので、「1」の色の画素と「2」の色の画素については、トラッピング処理を行うと判断され、これらの画素については色が付加される結果となる。図4の(b)は、トラッピング処理後の様子を示している。
【0053】
前述したように、局所的に色が変化している部分については、本来トラッピング処理を行う必要性が低く、このような結果になると、元の画像と異なる色となるので、逆に画質を悪くしてしまう場合が多い。本画像処理装置2では、イメージの画像については、前述のように、トラッピング処理が行われないか、あるいは他の種類の画像の場合よりもトラッピング量が少なくなるので、このような局所的に色が変化している部分についてのデメリットを抑えることができる。
【0054】
一方、文字やグラフィックスの画像については、局所的な判断でトラッピング処理を行うべき箇所を検出できる場合が多く、イメージの場合よりもトラップ量が大きいため、的確な部分に適切な量のトラッピング処理が実施され、位置ずれによる白抜けを防止でき、有効な画質の劣化防止が図られる。
【0055】
なお、本実施の形態例においては、トラッピング処理を行うトラッピング部25を後処理部23内に配したが、同様の機能を有するトラッピング部を前処理部21内に備える構成とすることもできる。
【0056】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した画像処理装置の実施の形態例に係る構成図である。
【図2】トラッピング部25で行われる処理を示したフローチャートである。
【図3】トラッピング処理回路254が行う処理の一例を示した図である。
【図4】本画像処理装置2の効果の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 印刷データ、 2 画像処理装置、 3 印刷エンジン、 21 前処理部、 22 ページメモリ、 23 後処理部、 24 スムージング部、25トラッピング部、 26 スクリーン部、 27 パルス巾合成部、 28 PWM部、 251 セレクタ、 252 イメージ用レジスタ、253 文字・グラフィックス用レジスタ、 254 トラッピング処理回路

Claims (7)

  1. 受信した印刷データを、色のデータと画像の種類を示す属性データとを有するビットマップデータに変換し、当該ビットマップデータに画像処理を施して処理後のデータを印刷エンジンに出力する画像処理装置であって、
    前記画像の種類に応じて設定された、トラッピング処理の内容に関する設定情報を記録する記録手段と、
    前記ビットマップデータが有する属性データに基づいて、前記記録手段が記録する設定情報の中から、当該属性データが示す画像の種類に応じた設定情報を選択する選択手段と、
    前記ビットマップデータの色のデータと、前記選択手段によって選択された設定情報に基づいて、トラッピング処理を実行するトラッピング処理手段とを有する
    ことを特徴とする画像処理装置。
  2. 請求項1において、
    前記記録手段が、
    前記画像の種類がイメージである場合の前記設定情報を記録する第一記録手段と、前記画像の種類が文字又はグラフィックスである場合の前記設定情報を記録する第二記録手段とを備える
    ことを特徴とする画像処理装置。
  3. 請求項2において、
    前記第一記録手段が記録する第一設定情報に、トラッピング処理を行わない旨の情報が含まれ、前記選択手段で当該第一設定情報が選択された場合には、前記トラッピング処理手段がトラッピング処理を実行しない
    ことを特徴とする画像処理装置。
  4. 請求項2において、
    前記第一記録手段が記録する第一設定情報及び前記第二記録手段が記録する第二設定情報に、トラッピング処理の程度を示すトラッピング量に関する情報が含まれ、
    前記選択手段が前記第一設定情報を選択した場合に前記トラッピング処理手段が実行するトラッピング処理のトラッピング量が、前記選択手段が前記第二設定情報を選択した場合に前記トラッピング処理手段が実行するトラッピング処理のトラッピング量よりも少ない
    ことを特徴とする画像処理装置。
  5. 受信した印刷データを、色のデータと画像の種類を示す属性データとを有するビットマップデータに変換し、当該ビットマップデータに画像処理を施して処理後のデータを印刷エンジンに出力する画像処理装置であって、
    前記ビットマップデータが有する色のデータに基づいて、トラッピング処理を実行するトラッピング部を有し、
    前記トラッピング部が、前記属性データが示す画像の種類に応じて、トラッピング処理の内容を変える
    ことを特徴とする画像処理装置。
  6. 請求項5において、
    前記画像の種類がイメージである場合に、前記トラッピング部がトラッピング処理を実行しない
    ことを特徴とする画像処理装置。
  7. 請求項5において、
    前記画像の種類がイメージである場合に前記トラッピング部が実行するトラッピング処理のトラッピング量が、前記画像の種類が文字又はグラフィックスである場合に前記トラッピング部が実行するトラッピング処理のトラッピング量よりも少ない
    ことを特徴とする画像処理装置。
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