JP2004237580A - バインダー - Google Patents

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Abstract

【課題】ルーズリーフ用樹脂製バインダーの成形コストの低減を図る。
【解決手段】バインダー11のリング部は三分割されていて、背骨部12に結合されている中央1/3リング部13の上下にヒンジ部を介して1/3リング部14, 15が連結されている。上下の1/3リング部14, 15は、先端に対称的な段差部19, 20を形成した相欠き継ぎ構造であり、上1/3リング部14の段差部19の表面に設けた鎌形のフック部17と、下1/3リング部15の段差部20の裏面に設けたキャッチ部18とにより上下の1/3リング部14, 15が連結される。フック部と開放形キャッチ部とにより嵌合手段を構成したことにより、単純なスライド金型により成形できて成形コストが低減される。
【選択図】 図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ルーズリーフ用紙を綴じるバインダーに関するものであり、特に収納容積の減少および取り扱いの容易化を図ったバインダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
市販のルーズリーフ用紙や、多穴ペーパーパンチにて穿孔処理した書類を綴じるためのプラスチック製バインダーが知られている(例えば特許文献1参照)。以下、この種のバインダーの概略を説明する。図11はバインダー1を示し、背骨部2の両側縁部に多数の1/2リング部3, 4が一定間隔で配列されており、背骨部2自体が二つ割りのヒンジとなっている一体成形品である。図11(a)において上側の列の1/2リング部3は先端に突起5が形成されており、突起5は先端が膨らんだ形状となっている。下側の列の1/2リング部4の先端には突起5に対応する形状の穴6が形成されていて、突起5を穴6へ圧入して上下の1/2リング部3, 4を嵌合させる構造としている。ルーズリーフ用紙をバインダー1にて綴じる際は、一方の列の1/2リング部3または他方の列の1/2リング部4をルーズリーフ用紙の穴に通し、手で二列の1/2リング部3, 4を閉じれば、図11(b)に示すように1/2リング部3の突起5と1/2リング部4の穴6が嵌合してリングが形成され、ルーズリーフ用紙が綴じられる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−289376号公報(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来のバインダーは、一方の1/2リング部の先端から周方向へ突出する突起と他方の1/2リング部の先端に形成した穴とによって1/2リング部の嵌合手段を形成している。したがって、バインダーを射出成形するにあたって、先端が膨らんだ形状の突起ならびに突起と対称に内部が膨らんだ形状の穴を形成するために回転抜きなどの型抜き手段を用いなければならず、金型構造が複雑化して生産コストがかかる。
【0005】
また、リング部の半径方向の厚さをより薄くすれば紙の綴じ可能枚数も増加するが、突部と穴は嵌合強度を確保するため相応の寸法を要し、リング部の先端部位は必然的に突起ならびに穴の直径よりも太くなるので、リング部を細身に形成することが難しいという問題もある。
【0006】
そこで、バインダーの製造コストを低減するとともに、リング部をより細く形成できるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は上記課題を解決することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するために提案するものであり、背骨部と、背骨部の両側縁に一定間隔で配列した分割リング部と、分割リング部の両端に形成した嵌合手段とを備え、分割リング部の両端を嵌合させてルーズリーフ用紙を綴じる樹脂製バインダーにおいて、分割リング部の両端に対称的な半径方向の段差を設けて相欠き継ぎ構造とするとともに、一端にフック部を設け他端に前記フック部と嵌合対偶をなすキャッチ部を形成して分割リング部の嵌合手段を構成したことを特徴とするバインダーを提供するものである。
【0008】
また、背骨部と、背骨部の両側縁に一定間隔で配列した分割リング部と、分割リング部の両端に形成した嵌合手段とを備え、分割リング部の両端を嵌合させてルーズリーフ用紙を綴じる樹脂製バインダーにおいて、分割リング部の両端に対称的な段差を設けて相欠き継ぎ構造とするとともに、一方の分割リング部の段差部の表面側にフック部を設け、他方の分割リング部の段差部の裏面側に前記フック部と嵌合対偶をなすキャッチ部を形成して分割リング部の嵌合手段を構成したことを特徴とするバインダーを提供するものである。
【0009】
また、上記キャッチ部にすり割りを形成したバインダーを提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を図に従って詳述する。図1乃至図4はバインダー11を示し、定型紙の寸法に合わせた長さの背骨部12に一定間隔でリング部を配列した樹脂射出成形品であり、図2及び図4に示すように、リング部は背骨部へ結合されている中央1/3リング部13と、その上と下に連結されている1/3リング部14, 15とに三分割されていて、上下の1/3リング部14, 15を折り曲げて相互の先端を嵌合させることによりリングが形成される構造となっている。
【0011】
図2及び図4に示すように、中央1/3リング部13は外周面と内周面の曲率とが等しくなっており、また初期状態では三つの1/3リング部13, 14, 15のそれぞれの両端がほぼ一直線に揃っていて、これにより図5に示すように複数のバインダー11を重ねたときに前後の中央1/3リング部13が隙間なく面接触し、上下の1/3リング部14, 15は中央1/3リング部13よりも薄手であることからバインダー全体としてもほとんど間隙が生じないので包装時やバインド処理機などへ装填する際にスペースをとらないという効果がある。
【0012】
また、連続バインド処理を実行するバインド処理機を構成する場合は、複数のバインダーを順次前方へ送る機構が必要となるが、上記のバインダー11は前後の中央1/3リング部13が密着していて隙間がないことから、送り機構の押し荷重によりバインダーが撓んで送りに支障をきたす虞がなく、バインド処理の機械化に対応することができる。尚、必ずしも中央1/3リング部13の外周面と内周面の曲率とを等しくして前後のバインダー11を面接触させなくともよく、例えば図6のバインダー31のように、背骨部32と中央1/3リング部33の上下両端の三点で前後のバインダー31が接触するようにしても前記の例とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0013】
図4に示すように、三つの1/3リング部の内周面には周方向の溝16が形成されており、上側1/3リング部14の先端にフック部17が設けられていて、下側1/3リング部15の先端にはフック部17が嵌合するキャッチ部18が形成されている。
【0014】
図7は上側1/3リング部14の先端の詳細を示し、外周面先端部をステップ形に切欠いた形状の相欠き継ぎ構造としており、一段下降した段差部19の上に形成した楔形平面形状のフック部17が前方へ突出している。図8は下側1/3リング部15の先端の詳細を示し、上側1/3リング部14に対応する相欠き継ぎ構造であって、内周面先端部を切欠いて段差部20を形成し、外周側にフック部17に対応する楔形のキャッチ部18が形成されていて、キャッチ部18の内底面21にはフック部挿入時にキャッチ部18を弾性変形させてフック部17を受け入れるために周方向のすり割り22が形成されている。
【0015】
図9(a)(b)は上側1/3リング部14のフック部17と下側1/3リング部15のキャッチ部18を嵌合させてリングを形成した状態を示し、フック部17とキャッチ部18が嵌合することによって上側1/3リング部14と下側1/3リング部15は周方向及び左右にずれることがなく、また、上側1/3リング部14と下側1/3リング部15の先端部の相欠き継ぎ構造より、相互に半径方向へずれないように固定される。つまり、下側1/3リング部15のキャッチ部18の内底面21にフック部17が載っているので、上側1/3リング部14にリング中心方向への外圧がかかった場合や下側1/3リング部15にリング外側方向への外圧がかかった場合に上側1/3リング部14と下側1/3リング部15とがずれることがない。また、上側1/3リング部14の段差部19に下側1/3リング部15の段差部20が載っているので、上側1/3リング部14にリング外側方向への外圧がかかった場合や下側1/3リング部15にリング中心方向への外圧がかかった場合に上側1/3リング部14と下側1/3リング部15とがずれることがない。尚、バインダー11を書類から取り外す場合は、手で上側1/3リング部14と下側1/3リング部15とを周方向へ引っ張ればキャッチ部18が左右に開いてキャッチ部18とフック部17の嵌合が解除され、取り外したバインダー11を再使用できることは言うまでもない。
【0016】
図2乃至図4に示すように、背骨部12の内面側にはリングの中心方向へ突出するピン24が一定間隔で形成されており(この実施例においては五本)、背骨部12の背面側にはピン24と嵌合対偶をなす溝25, 26が形成されている。したがって、図5のように複数のバインダー11を重ねたときにピン24が前列のバインダー11の溝25, 26に嵌合して複数のバインダー11が連結され、複数のバインダー11がばらばらにならないのでパッケージ開梱時やバインド処理機への装填時における取り扱いが容易である。
【0017】
図10は溝25, 26の詳細を示し、(a)は図1における中央の溝25であり、(b)は中央以外の左右計四箇所の溝26を示している。溝25, 26は左右に長い形状であり、複数のバインダー11の両端を揃えて重ねたときに、前列のバインダー11の溝25, 26の左端部に後列のバインダー11のピン24が対向する。溝25, 26の左端はピン24の直径と同一幅またはやや幅狭のピン穴部25a, 26aであり、ピン穴部25a, 26a以外の幅はピン24の直径よりも幅広となっていて、複数のバインダー11の両端を揃えて前後から押さえつければ、ピン24が溝25, 26の左端ピン穴部25a, 26aに嵌合して前後のバインダー11が結合される。また、相互に嵌合している二つのバインダー11の前側のものを図1において左へスライドさせれば溝25, 26がピン24に対して左へ移動して溝25, 26のピン穴部25a, 26aとピン24の嵌合が解除され、バインダー11を分離することができる。
【0018】
バインド処理を機械化する場合は、バインド処理機にバインダー送り機構やバインダー分離機構が必要になると考えられるが、上記のバインダー11を使用するにあたっては最前列のバインダーを横へ押す機構を設ければ、連結された一群のバインダーから最前列のバインダーを分離でき、バインダー分離機構を簡単に構成することができる。
【0019】
図10(b)に示す溝26は、ピン穴部26aと右側の幅広溝部26bとがそれぞれ直線溝であるが、(a)に示す中央の溝25はピン穴部25aと幅広溝部25bとの接続部位の幅が狭くなっていてピン穴部25a内にピン24を保持するクリックストップ機能があり、連結した複数のバインダー11が振動などによってスライドして分離しないようにしている。尚、中央の溝25以外の溝26も(a)に示すクリックストップ形状としてもよいが、この例のように中央の溝25以外の溝26はピン24が容易にスライドできる形状とすればスライドに力が要らず、簡単にバインダー11を分離することができる。
【0020】
また、図10 (C)に示す溝27は(b)に示す溝26の変形例であり、ピン穴部27aを横長の平行直線溝として、横長のピン穴部27aが右側の幅広溝部27へ連続する形状としている。このようにピン穴部27aを横長とすることにより、ピン24と溝27とに若干のピッチずれが生じている場合であっても、中央の溝25のピン穴部25aへ中央のピン24を嵌合させたときに他のピン24が確実にピン穴部27aへ嵌合するので、成形公差により生じる相対的位置偏差による嵌合不良の虞を解消できる。
【0021】
以上、リング部を三分割した実施形態を説明したが、この発明は上記の実施形態に限定するものではなく、例えばリング部を二分割した形状のものであってよく、この発明の技術的範囲内において種々の改変が可能であり、この発明がそれらの改変されたものに及ぶことは当然である。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のバインダーは、分割リング部の先端結合手段として相欠き継ぎ構造と、フック部とキャッチ部とによる鎌継ぎ構造とを組み合わせているので、直線スライド金型で成形することができ、回転抜き金型を必要とする従来のバインダーよりも成形コストを著しく低減することができる。また、先端膨拡形ピンとこれに対応する穴とによってリング部結合手段を構成した従来のバインダーよりもリング部を細くすることが可能であり、これにより紙の綴じ枚数を増加することができる。また、一方の分割リング部の先端段差部の表面側にフック部を設け、他方の分割リング部の段差部の裏面側にキャッチ部を形成することにより、半径方向の外力により分割リング部の嵌合が外れる虞が解消される。また、上記キャッチ部にすり割りを形成することにより、キャッチ部とフック部の着脱を繰り返しても嵌合強度が低下することがなく、バインダーの反復使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示し、バインダーの背面図。
【図2】(a)はバインダーの背面図、(b)は側面図である。
【図3】バインダーの正面図。
【図4】(a)はバインダーの正面図、(b)は側面断面図である。
【図5】積層したバインダーの側面図である。
【図6】他の実施形態を示し、(a)はバインダーの側面図、(b)は積層したバインダーの側面図である。
【図7】バインダーの先端のフック部を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は側面断面図である。
【図8】バインダーの先端のキャッチ部を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は側面断面図である。
【図9】(a)はバインダーのリング形成状態を示す側面断面図、(b)は嵌合部分の側面図である。
【図10】バインダーの背骨部の溝を示し、(a)は中央の溝の正面図、(b)はその他の溝の正面図であり、(c)はその他の溝の他の実施形態の正面図である。
【図11】従来のバインダーを示し、(a)は側面図、(b)は分割リング部を嵌合させた状態の側面図である。
【符号の説明】
11 バインダー
12 背骨部
13 中央1/3リング部
14 上側1/3リング部
15 下側1/3リング部
17 フック部
18 キャッチ部
19 段差部
20 段差部
21 内底面
22 すり割り
24 ピン
25. 26 溝
25a ピン穴部
25b 幅広溝部
26a ピン穴部
26b 幅広溝部
27 溝
27a ピン穴部
27b 幅広溝部
31 バインダー
32 背骨部
33 中央1/3リング部

Claims (3)

  1. 背骨部と、背骨部の両側縁に一定間隔で配列した分割リング部と、分割リング部の両端に形成した嵌合手段とを備え、分割リング部の両端を嵌合させてルーズリーフ用紙を綴じる樹脂製バインダーにおいて、
    分割リング部の両端に対称的な半径方向の段差を設けて相欠き継ぎ構造とするとともに、一端にフック部を設け他端に前記フック部と嵌合対偶をなすキャッチ部を形成して分割リング部の嵌合手段を構成したことを特徴とするバインダー。
  2. 背骨部と、背骨部の両側縁に一定間隔で配列した分割リング部と、分割リング部の両端に形成した嵌合手段とを備え、分割リング部の両端を嵌合させてルーズリーフ用紙を綴じる樹脂製バインダーにおいて、
    分割リング部の両端に対称的な段差を設けて相欠き継ぎ構造とするとともに、一方の分割リング部の段差部の表面側にフック部を設け、他方の分割リング部の段差部の裏面側に前記フック部と嵌合対偶をなすキャッチ部を形成して分割リング部の嵌合手段を構成したことを特徴とするバインダー。
  3. 上記キャッチ部にすり割りを形成した請求項1または2記載のバインダー。
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