JP2004237409A - ロータリダイカッターおよびこれを用いた切断方法 - Google Patents

ロータリダイカッターおよびこれを用いた切断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ダイロールに設けられた切断刃の摩耗の進行程度が場所によって相違する場合であっても、摩耗した切断刃とダイロールとの圧力を適正に維持して、ワークの切断を継続できるようにする。
【解決手段】ダイロール20の加圧周面24a,24aがアンビルロール30の外周面32aに圧接された状態で、切断刃23の刃先と外周面23aとでワークWが挟まれて切断される。切断刃23は場所によって摩耗の程度が相違するが、摩耗が早い部分に対向する加圧周面24a,24aの幅寸法を短くしておき、この部分に加圧ピース25を装着しておく。刃先の摩耗が進行したときに加圧ピース25を外すと、幅寸法の短い部分で加圧周面24a,24aの弾性収縮変形量が大きくなり、摩耗した刃先と外周面32aとの加圧力を増強できるようになる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、切断刃を有するダイロールとアンビルロールとを有するロータリダイカッター、および前記ロータリダイカッターを用いて、不織布、フィルム、またはこれらの複合体を切断するのに適した切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの製造過程で、不織布や樹脂フィルムを所定のパターンに切断し、あるいは複数の不織布の積層体や不織布と樹脂フィルムとの積層体を所定のパターンに切断するためにロータリダイカッターが用いられる。
【0003】
図6は従来のロータリダイカッター1を示す斜視図である。
このロータリダイカッター1は、ダイロール2とアンビルロール3とが、その軸方向が互いに平行となるように設けられている。前記ダイロール2は、回転軸4と、前記回転軸4の軸中心からの所定の半径で形成された外周面5を有しており、この外周面5から半径方向へ、所定の切断パターンの切断刃6が突出して設けられている。ダイロール2の軸方向の両側には、前記外周面よりも半径がやや大きい加圧周面7,7が形成されており、切断刃6の刃先が加圧周面7,7よりも半径方向へわずかに突出している。一方、アンビルロール3は、回転軸8と、回転軸8の軸中心から所定の半径で形成された外周面9を有している。
【0004】
前記ダイロール2とアンビルロール3は互いに同期して矢印方向へ回転駆動され、不織布や複数の不織布の積層体などのワークがダイロール2とアンビルロール3との間に送り込まれると、ダイロール2の切断刃6の刃先と、アンビルロール3の外周面9とで前記ワークが挟み込まれて、切断刃6によりワークが切断される。
【0005】
しかし、切断作業を長期間継続していると、切断刃6の刃先が摩耗してワークの切断不良が発生しやすくなる。このように切断不良が生じたときには、ダイロール2とアンビルロール3との加圧力を増加させることで対応している。前記ダイロール2とアンビルロール3は鋼で形成され、それぞれがわずかに弾性変形できるため、前記加圧力を増加させると、アンビルロール3の外周面9と当たる部分で加圧周面7,7がわずかに弾性収縮変形し、加圧周面7,7からの切断刃6の刃先の相対的な突出量を増大させることができる。この刃先の突出量の増加によりワークの切断を継続できるようにしている。
【0006】
また、以下の特許文献1には、ダイロール2とアンビルロール3を、それぞれ超硬合金やセラミックスなどの硬質な材料で形成して、ダイロール2の加圧周面7,7の弾性変形機能を減少させ、その代りに、切断刃6の刃先の加圧周面7,7からの突出寸法を0〜4μmの範囲に設定することで、切断刃6の刃先の摩耗を極力低下させようとする発明が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−117699号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記ダイロール2に設けられた切断刃6は、ワークから切り出す製品の形状に応じて種々の切断パターンとなるように形成されている。そのため、切断刃6の刃先の摩耗速度は、切断刃6の全ての領域において均一ではなく、切断刃6の場所により摩耗の早さが相違する。
【0009】
図6に示す切断刃6のパターンを例にとると、経験則として、切断刃6のうちのダイロール2の周方向に延びる部分6a、または前記周方向に対して±30度以下の範囲で延びる部分では刃先が摩耗するのが早く、ダイロール2の軸方向に延びる部分6b、または前記軸方向に対して±30度以下の範囲で延びる部分では、刃先が摩耗するのが遅いことが知られている。この摩耗の差は、同じ摩耗量となる時間の比として5〜10倍程度の違いを生じさせている。
【0010】
これは、周方向に延びる部分6aの方が、軸方向に延びる部分6bに比べて、ワークやアンビルロール3の外周面9に当たる時間がわずかに長く、また前記周方向に延びる部分6aの方が、軸方向に延びる部分6bに対して、ワークや前記外周面9に対して摺れやすく、余分な摩擦力が与えられやすいためであると予測される。
【0011】
そこで、前記従来のように、切断刃6の刃先が摩耗したときに、ダイロール2とアンビルロール3との加圧力を増加させてしまうと、切断刃6の周方向に延びる部分6aと軸方向に延びる部分6bの全てが、加圧周面7,7から相対的に大きく突出することになる。その結果、切断刃6の摩耗の少ない部分、例えば軸方向に延びる部分6bがアンビルロール3の外周面9に強く当たることになり、前記部分6bと外周面9との加圧力が過大になって、前記部分6bの刃先に組織破壊が発生するという問題が生じる。
【0012】
また、前記特許文献1に記載のように、ダイロール2とアンビルロール3を弾性変形しにくい硬質な材料で形成して、加圧周面7,7から刃先の突出寸法を高精度に管理しようとするものにおいても、前述のように、切断刃6の刃先の摩耗の程度は、切断刃6の場所に応じて相違するのであるから、切断刃6の場所による摩耗量の相違に対応することはできない。
【0013】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、ダイロールに設けられた切断刃に部分的な摩耗量の違いが生じても、切断刃の各部分をアンビルロールに対して常に最適な状態で当接させることを可能としたロータリダイカッターおよびこれを使用した切断方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、周面に切断刃が設けられたダイロールと、アンビルロールとを有し、前記ダイロールと前記アンビルロールとが互いに圧接された状態で回転駆動されるロータリダイカッターにおいて、
前記ダイロールには、外周面と、前記外周面から半径方向へ突出する所定の切断パターンの切断刃と、前記外周面よりも半径が広げられた加圧周面とを有して、前記加圧周面が前記アンビルロールの外周面に当接しており、
前記切断刃と軸方向に対向している部分での前記加圧周面の幅寸法が、前記切断刃のパターンに応じて変化していることを特徴とするものである。
【0015】
例えば、摩耗が早く進行する切断刃に対向する箇所で、加圧周面の幅寸法を短くして加圧周面の弾性収縮変形量が大きくなるようにし、摩耗が遅く進行する切断刃に対向する箇所で、加圧周面の幅寸法を広くしてこの部分で加圧周面の弾性収縮変形量が小さくなるようにでき、その結果、切断刃の摩耗量が場所によって相違するものであっても、切断刃の各部分とアンビルロールの外周面とを長期間にわたって適正な圧力で当接させてワークの切断作業を行えるようになる。
【0016】
また、本発明では、さらに、前記加圧周面の前記幅寸法が減少している部分を埋める加圧ピースが前記ダイロールに着脱自在に設けられており、前記加圧ピースが取り付けられた状態で、前記加圧周面と前記加圧ピースの表面とが同一半径の周面上に位置しているものとして構成できる。
【0017】
前記加圧ピースを設けると、切断刃の摩耗が進行していない初期において加圧ピースを取り付けることにより、切断刃の各部分の加圧周面に対する突出量を均一にでき、また切断刃の摩耗量が場所によって相違してきたときに加圧ピースを取り外すことにより、切断刃の摩耗量の進行が速い部分を加圧周面から大きく突出させることができ、切断刃の摩耗が進行したときの切断刃とアンビルロールとの圧接力を、初期に近い状態に設定できる。
【0018】
そのためには、本発明では、加圧ピースが取り付けられている部分での前記加圧周面の幅寸法と前記加圧ピースの表面の幅寸法との合計が、加圧ピースを有しない部分での前記加圧周面の幅寸法と同一であることが好ましい。
【0019】
このように構成することにより、初期の切断作業において、切断刃の各部分を加圧周面から均一に突出させることができる。
【0020】
例えば、本発明では、ダイロールの周方向に対して所定角度θ以内の傾きを有している切断刃に対向する部分での前記加圧周面の幅寸法が、ダイロールの軸方向に対して前記所定角度θ以内の傾きを有している切断刃に対向する部分での前記加圧周面の幅寸法よりも短く、前記所定角度θは0以上で45度未満である。
【0021】
さらに好ましくは前記所定角度θは30度以下である。このように切断刃の角度に応じて加圧周面の幅寸法を変えると、切断刃の摩耗量の進行速度に違いが生じても、切断刃の各部分をアンビルロールに常に適正な圧力で加圧できるようになる。
【0022】
また本発明は、外周面と、前記外周面から半径方向へ突出する所定の切断パターンの切断刃と、前記外周面よりも半径が広げられた加圧周面とが設けられたダイロールと、このダイロールに対向するアンビルロールとを用い、前記ダイロールの前記加圧周面を前記アンビルロールの外周面に圧接させて前記ダイロールとアンビルロールとを回転させ、両ロール間にワークを供給して、前記切断刃で前記ワークを切断する切断方法において、
前記ダイロールは、前記切断刃と軸方向に対向している部分での加圧周面の幅寸法が、前記切断刃のパターンに応じて変化していると共に、前記加圧周面の前記幅寸法が減少している部分を埋める加圧ピースが前記ダイロールに着脱自在に設けられており、
ダイロールに前記加圧ピースを取り付けた状態でワークを切断する作業を行い、前記切断刃の摩耗が進行したときに、前記加圧ピースを取り外して、ワークを切断する作業を継続することを特徴とするものである。
【0023】
前記切断方法では、前記加圧ピースを取り付けたときと、加圧ピースを取り外したときとで、ダイロールとアンビルロールとの加圧力を同じにできる。
【0024】
よって、切断刃の摩耗が進行したときに、加圧ピースを取り外す作業を行うだけで良く、加圧の再調整の手間を省くことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1と図2は本発明の実施の形態のロータリダイカッターを示す斜視図であり、図1は加圧ピースを取り付けた状態を示し、図2は加圧ピースを取り外した状態を示す。図3は図1と図2に示すダイロールの正面図、図4と図5は他の実施の形態を示すダイロールの正面図である。
【0026】
図1と図2に示すロータリダイカッター10は、ダイロール20とアンビルロール30を有している。ダイロール20とアンビルロール30は、共に工具鋼などの鋼材料により形成されている。
【0027】
ダイロール20は、回転軸21と、回転軸21に固定された本体ロール22を有している。本体ロール22の外周面22aは、回転軸21の軸中心O1に対して半径が均一となる円筒面である。前記本体ロール22の外周面22aに、切断刃23が設けられている。この切断刃23は、外周面22aから半径方向へ突出し、その幅寸法は刃先に向かって徐々に薄くなるように形成されている。また切断刃23の刃先の前記外周面22aからの突出量は、切断刃23の各部分において均一である。切断刃23の刃先は、製品の形状に応じた切断パターンとなるように形成されている。
【0028】
前記ダイロール20では、切断刃23を挟んで軸方向の両側にサイドリング24,24が一体に形成されており、このサイドリング24,24の外周面が加圧周面24a,24aとなっている。加圧周面24a,24aの半径は、前記外周面22aよりも大きい。また切断刃23が摩耗していない初期の段階で、切断刃23の刃先は、前記加圧周面24a,24aよりも半径方向へ0〜数μmの範囲、あるいは0〜10数μmの範囲で突出している。
【0029】
図2に示されるように、前記切断刃23と軸方向に対向する部分において、前記加圧周面24a,24aの幅寸法が、切断刃23のパターンに応じて変化している。すなわち、加圧周面24a,24aには、軸方向に向けて欠損する凹部24b,24bが形成されており、前記凹部24b,24bが形成されている部分での加圧周面24a,24aの軸方向の幅寸法W2が、前記凹部24b,24bを有しない部分での加圧周面24a,24aの幅寸法W1よりも短くなっている。
【0030】
図3は、前記切断刃23のパターンを示す正面図であるが、この実施の形態の切断刃23は、ダイロール20の回転周方向(R方向)に延びる第1の直線部23a,23aと、ダイロール20の軸中心方向(O1方向)に延びる第2の直線部23b,23bと、第1の直線部23aと第2の直線部23bとをそれぞれ繋ぐ4箇所の曲線部23cを有する形状である。
【0031】
前記第1の直線部23aに対して軸方向に対向する部分に前記凹部24b,24bが形成されて、この部分で加圧周面24a,24aの幅寸法がW2と短くなっており、前記第2の直線部23bと曲線部23cの一部に対して軸方向に対向する部分で、加圧周面24a,24aの幅寸法がW1と長くなっている。この実施の形態では、凹部24bが形成されている部分で、加圧周面24a,24aの幅寸法が、周方向へ向けて均一な寸法W2となっており、前記凹部24b,24bが形成されていない部分での加圧周面24a,24aの幅寸法が、周方向に向けて均一な寸法W1となっている。
【0032】
ダイロール20に設けられた切断刃23では、回転周方向(R方向)に延びる部分、およびこの回転周方向に対して±θ以内の角度で延びる部分の刃先の摩耗の進行が早く、軸中心方向(O1方向)に延びる部分、およびこの方向に対して±θ以内の角度で延びる部分では、刃先の摩耗の進行が遅い。刃先の摩耗量が同じになるまでの時間の比は、進行の早い部分と進行の遅い部分とで5〜10倍程度の差が生じることがある。前記θは45度未満であり、刃先の摩耗量の進行に顕著な差が生じるのはθが35度、あるいは30度である。
【0033】
そこで、図1ないし図3に示すダイロール20では、刃先の摩耗の進行が早い第1の直線部23a,23aに対して軸方向へ対向する部分、および曲線部23cの一部(回転周方向に対して±θ以内の角度となる部分)に対して軸方向に対向する部分で、加圧周面24a,24aの幅寸法をW2とし、それ以外の部分で加圧周面24a,24aの幅寸法をW1としている。
【0034】
図1に示すように、ダイロール20では、前記凹部24b,24bを埋める加圧ピース25,25が設けられている。なお、図3では加圧ピース25を区別しやすくするためにハッチングを付して記載している(図4と図5も同じ)。この加圧ピース25,25は、軸方向へ向けて挿入されるボルトによりサイドリング24,24に固定されて、必要に応じて着脱できるようになっている。加圧ピース25,25が前記凹部24b,24b内に取り付けられた状態で、加圧ピース25,25の表面25a,25aは、加圧周面24aと同一周面上に位置している。すなわち加圧ピース25の表面25aと加圧周面24aは、軸中心O1に対して同一半径上に位置している。また、加圧ピース25はサイドリング24と同じ金属材料で形成されている。
【0035】
また凹部24bに加圧ピース25が取り付けられた部分での、加圧周面24aの軸方向の幅寸法と、加圧ピース25の表面25aの軸方向の幅寸法との和は、凹部24bが形成されていない部分での加圧周面24aの幅寸法W1と同一である。
【0036】
前記アンビルロール30は、回転軸31と、この回転軸31に設けられたロール部32を有しており、ロール部32の外周面32aは、軸中心O2からの半径が均一な円筒面である。前記外周面32aの半径は、ダイロール20の前記加圧周面24aの半径と同一に設定されている。
【0037】
ダイロール20の回転軸21には同期歯車26が固定され、アンビルロール30の回転軸31には、同期歯車33が固定されている。同期歯車26と同期歯車33は、同じピッチ円を有して互いに噛み合っている。また同期歯車33は、2枚の平歯車33a,33bが組み合わされて両平歯車33aと33bがスプリングによって周方向へ互いに逆向きに付勢されている。この両平歯車33a,33bを前記同期歯車26に噛み合せることにより、同期歯車26と同期歯車33との間のバックラッシュを除去している。
【0038】
次に、前記ロータリダイカッター10を用いた切断方法を説明する。
前記ダイロール20の切断刃23の刃先の突出量を調整する作業では、加圧ピース25,25を凹部24b,24bに取り付け、加圧ピース25,25をサイドリング24,24にボルトなどで固定した状態で、ダイロール20を軸中心O1を中心として回転させながら研磨作業が行われる。
【0039】
この研磨作業では、まずサイドリング24,24の加圧周面24a,24aと加圧ピース25,25の表面25a,25aとが、軸中心O1に対して均一な半径の円筒面となるように研磨される。次に、切断刃23の刃先が研磨されて、前記加圧周面24a,24aおよび表面25a,25からの切断刃23の刃先の突出量が調整される。
【0040】
前記研磨作業が行われた後のダイロール20と、アンビルロール30を図1と図2に示す状態に組み込んでワークWに対する切断作業が行われる。
【0041】
前記ワークWは、使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの製造過程に使用される不織布や樹脂フィルムであり、あるいは複数枚の不織布の積層体や樹脂フィルムと不織布の積層体である。例えば、使い捨ておむつや生理用ナプキンの最終の外形を決めるトリミング工程では、前記ワークWは、液透過性の不織布または樹脂フィルムで形成されたトップシートと、液不透過性の樹脂フィルムまたは樹脂フィルムと不織布との積層体で形成されたバックシートと、前記トップシートとバックシートの間に挟まれた吸収コアやその他の部材から成る積層体であり、この積層体が前記切断刃23により切断される。
【0042】
切断作業では、ダイロール20とアンビルロール30との加圧力を調整して、サイドリング24,24の加圧周面24a,24aおよび加圧ピース25,25の表面25a,25aを、所定の圧力にてアンビルロール30の外周面32aに圧接させる。この圧力の調整により、サイドリング24,24と加圧ピース25,25が半径方向へわずかに弾性収縮し、加圧周面24a,24aからの切断刃23の刃先の突出量、すなわち前記刃先とアンビルロール30の外周面32aとの当接圧力が設定される。
【0043】
この状態で、モータからの回転力が同期歯車26または同期歯車33に与えられて、ダイロール20とアンビルロール30とが同期して同じ回転数で回転する。前記ワークWは、アンビルロール30の外周面32aの周速度と一致する搬送速度で送られながら、ダイロール20とアンビルロール30との間を通過する。このとき、ワークWは、ダイロール20の切断刃23の刃先と、アンビルロール30の外周面32aとの間に挟まれて切断される。図1と図2では、ワークWの切断された穴をWaで示しており、この穴Waから抜き出されたものが製品として使用される。
【0044】
前記切断作業を長期間続けていると、切断刃23の刃先が摩耗し、ワークWの切断不良などが発生するようになる。前記のように、刃先の摩耗の進行の早さは、切断刃23の各部分で相違し、図1ないし図3に示す実施の形態では、第1の直線部23a,23aと曲線部23cの一部で摩耗が早く進行し、第2の直線部23bと曲線部23cの残りの部分では摩耗の進行が遅い。そこで、切断不良などが発生したときに、加圧ピース25,25を除去し、加圧周面24a,24aの幅寸法が図2に示すように変化する状態に設定する。
【0045】
前述のように加圧周面24a,24aは、アンビルロール30の外周面32aに加圧されてわずかに弾性収縮変形しているが、図2に示すように、加圧ピース25,25を除去して加圧周面24a,24aの幅寸法を変化させると、アンビルロール30の外周面32aから幅寸法がW2の部分に与えられる圧力が、幅寸法W1の部分に与えられる圧力よりも大きくなる。また加圧周面24a,24aの幅寸法がW2の部分は、W1の部分に比べて弾性収縮変形しやすくなる。
【0046】
よって、加圧周面24a,24aの幅寸法W2の部分がアンビルロール30の外周面32aに当たると、この部分が大きく弾性収縮変形し、摩耗の進行の早い切断刃23の第1の直線部23aと曲線部23cの一部が、加圧周面24a,24aから大きく突出し、刃先と外周面32aの加圧力を増強できる。一方、切断刃23の曲線部23cの残りの部分と第2の直線部23bに対向する部分では、加圧周面24a,24aの幅寸法W1が長いため、加圧周面24a,24aのこの部分の弾性収縮量が増加することがなく、第2の直線部23bなどの刃先と外周面32aとの加圧力が過大になることがない。
【0047】
このように、加圧ピース25を取り外すことにより、切断刃23のうちの摩耗の進行の早い部分とアンビルロール30の外周面32aとの加圧力を増強することができる。
【0048】
したがって、加圧ピース25を取り外した後のダイロール20とアンビルロール30との加圧力を再設定することなく、この加圧力を初期の設定のまま、すなわち加圧ピース25を取り付けていたときと同じ加圧力に設定したままで、ワークWに対して確実な切断作業を継続できるようになる。このように加圧力を初期の設定のままにしておくと、切断刃23のうちの摩耗の進行の遅い部分と、外周面32aとの加圧力が過大にならないため、刃先の組織破壊が生じる心配もない。
【0049】
このように加圧ピース25,25を除去して切断作業を継続できるが、さらに長期間切断作業を継続して、さらに切断刃23の刃先が摩耗して、摩耗の進行の遅い第2の直線部23bなどでの切れ味が悪くなったときには、加圧ピース25,25を取り外したまま、ダイロール20とアンビルロール30との加圧力をさらに増強させる。これにより加圧周面24a,24aが、アンビルロール30の外周面32aと当たったときの弾性収縮変形量を増大でき、切断刃23の刃先と外周面32aとの当接圧力を強くなるように再設定できる。
【0050】
なお、前記加圧周面24a,24aの幅寸法の変化は、切断刃23のパターンに応じて種々の形状となるように設定される。
【0051】
図4に示す実施の形態では、ダイロール20Aに、曲線を主体としたパターンの切断刃23Aが設けられている。このダイロール20Aでは、周方向長さL1の範囲で、切断刃23Aが、周方向(R方向)に対して所定の角度θ以内のパターンで延びている。また、周方向長さL3の範囲で、切断刃23Aが軸中心方向(O1方向)に対して所定の角度θ以内のパターンで延びている。またこの長さL3の範囲では、湾曲しながら軸方向に延びる切断刃23Aの部分が存在しているため、外周面32a上での切断刃23Aの占有面積率が、これ以外の部分での占有面積率よりも高くなっている。そして、周方向長さL2の範囲で切断刃23Aの角度が徐々にカーブして変化している。
【0052】
前記切断刃23Aのパターン形状に合わせて、前記周方向長さL1の範囲で、これに対向する加圧周面24a,24aの幅寸法を最も小さいW3とし、前記周方向長さL3の範囲で、前記幅寸法を最も長いW1とし、前記周方向長さL2の範囲で、幅寸法W4を周方向に向けて徐々に変化させている。
【0053】
そして、加圧ピース25A,25Aは、前記のように加圧周面24a,24aの幅寸法を変化させている凹部24b,24bに、隙間なく装着できる形状となっている。
【0054】
図5に示す実施の形態では、ダイロール20Bに、直線と曲線を含んだパターンの切断刃23Bが設けられている。このダイロール20Bでは、周方向の長さL5の部分で、切断刃23Bが周方向(R方向)に延び、周方向の長さL6の部分で、切断刃23Bが軸中心方向(O1方向)に延びている。また周方向の長さL4の範囲で、切断刃23Bが曲線パターンとなっている。
【0055】
前記切断刃23Bのパターン形状に合わせて、前記周方向の長さL5の範囲で、これに対向する加圧周面24a,24aの幅寸法を最も短いW6とし、周方向の長さL6の範囲で、前記幅寸法を最も長いW1とし、周方向の長さL4の範囲で、前記幅寸法を中間の長さのW5としている。
【0056】
この場合も、加圧ピース25B,25Bは凹部24b,24bの内部に密着する形状である。
【0057】
前記各実施の形態では、前記加圧周面24a,24aの幅寸法を、段階的に変化させ、あるいは連続して変化させて、このときに凹部24bに1個の加圧ピースを装着できるようにしている。ただし、本発明では、1つの加圧周面24aに対して加圧ピース25が複数個装着され、初期に全ての加圧ピースを取り付けて切断作業を行い、その後は、切断刃の摩耗の進行に応じて、加圧ピースを期間を空けて1個ずつまたは2個ずつ順番に取り外すようにしてもよい。
【0058】
また、本発明では、切断作業の当初に必ずしも加圧ピース25を取り付けておく必要はなく、加圧ピース25は研磨作業のときのみ使用し、切断作業では最初から加圧ピースを用いなくてもよい。すなわち本発明では、加圧周面の幅寸法を変化させておくことで、切断刃の刃先の摩耗が進行したときに、これに応じて幅の短い加圧周面が収縮して、摩耗の早い刃先を常に適正な突出量に維持できるようになる。
【0059】
【発明の効果】
以上のように本発明では、ダイロールに設けられた切断刃の刃先の摩耗の進行程度が場所によって相違しても、その摩耗の程度に応じて加圧周面の弾性収縮量を異ならせておくことによって、加圧周面からの刃先の突出量を常に最適にでき、刃先をアンビルロールに適正な圧力で加圧できるようになる。そのため、ワークの切断を長期間に渡って確実に行え、また刃先の組織破壊も防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のロータリダイカッターを示す斜視図、
【図2】図1に示すロータリダイカッターから加圧ピースを外した状態を示す斜視図、
【図3】図1に示すダイロールの正面図、
【図4】本発明の他の実施の形態のダイロールを示す正面図、
【図5】本発明の他の実施の形態のダイロールを示す正面図、
【図6】従来のロータリダイカッターを示す斜視図、
【符号の説明】
10 ロータリダイカッター
20 ダイロール
22a 外周面
23,23A,23B 切断刃
24a 加圧周面
24b 凹部
25,25A,25B 加圧ピース
25a 表面

Claims (6)

  1. 周面に切断刃が設けられたダイロールと、アンビルロールとを有し、前記ダイロールと前記アンビルロールとが互いに圧接された状態で回転駆動されるロータリダイカッターにおいて、
    前記ダイロールには、外周面と、前記外周面から半径方向へ突出する所定の切断パターンの切断刃と、前記外周面よりも半径が広げられた加圧周面とを有して、前記加圧周面が前記アンビルロールの外周面に当接しており、
    前記切断刃と軸方向に対向している部分での前記加圧周面の幅寸法が、前記切断刃のパターンに応じて変化していることを特徴とするロータリダイカッター。
  2. 前記加圧周面の前記幅寸法が減少している部分を埋める加圧ピースが前記ダイロールに着脱自在に設けられており、前記加圧ピースが取り付けられた状態で、前記加圧周面と前記加圧ピースの表面とが同一半径の周面上に位置している請求項1記載のロータリダイカッター。
  3. 加圧ピースが取り付けられている部分での前記加圧周面の幅寸法と前記加圧ピースの表面の幅寸法との合計が、加圧ピースを有しない部分での前記加圧周面の幅寸法と同一である請求項2記載のロータリダイカッター。
  4. ダイロールの周方向に対して所定角度θ以内の傾きを有している切断刃に対向する部分での前記加圧周面の幅寸法が、ダイロールの軸方向に対して前記所定角度θ以内の傾きを有している切断刃に対向する部分での前記加圧周面の幅寸法よりも短く、前記所定角度θは0以上で45度未満である請求項1ないし3のいずれかに記載のロータリダイカッター。
  5. 外周面と、前記外周面から半径方向へ突出する所定の切断パターンの切断刃と、前記外周面よりも半径が広げられた加圧周面とが設けられたダイロールと、このダイロールに対向するアンビルロールとを用い、前記ダイロールの前記加圧周面を前記アンビルロールの外周面に圧接させて前記ダイロールとアンビルロールとを回転させ、両ロール間にワークを供給して、前記切断刃で前記ワークを切断する切断方法において、
    前記ダイロールは、前記切断刃と軸方向に対向している部分での加圧周面の幅寸法が、前記切断刃のパターンに応じて変化していると共に、前記加圧周面の前記幅寸法が減少している部分を埋める加圧ピースが前記ダイロールに着脱自在に設けられており、
    ダイロールに前記加圧ピースを取り付けた状態でワークを切断する作業を行い、前記切断刃の摩耗が進行したときに、前記加圧ピースを取り外して、ワークを切断する作業を継続することを特徴とする切断方法。
  6. 前記加圧ピースを取り付けたときと、加圧ピースを取り外したときとで、ダイロールとアンビルロールとの加圧力を同じとする請求項5記載の切断方法。
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