JP2004236458A - バイブレーションモータフレーム、その製造方法及びバイブレーションモータ - Google Patents

バイブレーションモータフレーム、その製造方法及びバイブレーションモータ Download PDF

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Takafumi Otsuki
尚文 大槻
Kazuhisa Takagi
和久 高木
Kimio Mori
毅美男 森
Mayuko Masuda
まゆこ 増田
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Abstract

【解決手段】バイブレーションモータの駆動部を収容するためのフレームであって、フレーム基体の外周面上に高分子材料からなる振動伝達体を成形したことを特徴とするバイブレーションモータフレーム。
【効果】本発明のバイブレーションモータフレームによれば、振動伝達媒体をモータ本体に装着する工程を必要とせず、モータを実装する際の工数を削減できる。また、振動伝達体には従来のホルダのようにスリットを形成する必要がないため、成形加工が単純化できると共に、振動伝達体の強度向上及び薄型・軽量化が可能である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話等に搭載されるバイブレーションモータのフレーム、その製造方法及びこのバイブレーションモータフレームを用いたバイブレーションモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話や無線機等に用いられるバイブレーションモータは、一般にモータからの振動を適当な強さで伝達させるために、図4に示されるように振動伝達媒体として機能するホルダaが装着されて使用され(例えば特許文献1:特開平10−285855号公報参照)、例えば、図4,5に示されるように、バイブレーションモータの駆動部を収容するための金属製のフレームb中に駆動部を組み込んで端子cを取り付けたモータ本体Aの、フレームbにホルダa、駆動部の回転軸eに偏心を起こさせるための分銅dを各々取り付けることにより組み立てられる。
【0003】
このようなホルダの装着には、ホルダを別に単体で成形加工し、このホルダに駆動部が組み込まれたモータ本体を嵌入することによりモータに装着する方法が採られているが、この方法では、ホルダを手作業で装着する必要があり、生産効率が非常に悪いという問題があるのみならず、ホルダとモータとを接着剤によって接着する必要もある。
【0004】
また、このようなホルダには図5,6に示されるように、モータ本体Aの嵌入を容易にし、かつホルダaとフレームbとの密着力を高めるために、スリットfを形成すると共に、ホルダaの被嵌入部gの径をフレームbの径よりやや小さく形成する必要があり、ホルダの成形加工を煩雑にしていた。更に、この方法では、加工性、装着時の強度や作業性等の点からホルダの厚さを0.5mm程度以上とする必要があり、ホルダを薄くすることはできなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−285855号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、振動伝達媒体をモータ本体に装着する工程を必要とせず、振動伝達媒体の成形加工が単純化できると共に、振動伝達媒体の薄型・軽量化を可能とするバイブレーションモータフレーム、その製造方法及びこのバイブレーションモータフレーム用いたバイブレーションモータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、バイブレーションモータの駆動部を収容するためのフレームを、フレーム基体の外周面上に高分子材料からなる振動伝達体を成形したものとすれば、バイブレーションモータに後からホルダを装着する必要がなく、モータを実装する際の工数を削減できること、このフレームは振動伝達体にモータ本体を嵌入する操作を必要としないため、振動伝達体にはスリットを形成する必要がなく、振動伝達体の成形加工が単純化できると共に、振動伝達体の強度向上、薄型・軽量化が可能であることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は、
[1] バイブレーションモータの駆動部を収容するためのフレームであって、フレーム基体の外周面上に高分子材料からなる振動伝達体を成形したことを特徴とするバイブレーションモータフレーム、
[2] 上記振動伝達体をフレーム基体の外周面を被覆するように管状に成形したことを特徴とする[1]記載のバイブレーションモータフレーム、
[3] 上記振動伝達体の最薄部の厚さが0.5mm以下であることを特徴とする[2]記載のバイブレーションモータフレーム、
[4] 上記高分子材料が、シリコーンゴムであることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項記載のバイブレーションモータフレーム、
[5] 上記高分子材料が、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項記載のバイブレーションモータフレーム、
[6] 上記高分子材料が、高分子発泡体であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項記載のバイブレーションモータフレーム、
[7] 上記高分子発泡体が、連続気泡を有する発泡体であることを特徴とする[6]記載のバイブレーションモータフレーム、
[8] フレーム基体を成形金型内に配置し、このフレーム基体の外周面と成形金型の内面とで形成されるキャビティ内に成形材料を導入して成形することにより、上記振動伝達体をフレーム基体の外周面上に成形することを特徴とする[1]記載のバイブレーションモータフレームの製造方法、及び
[9] [1]乃至[7]のいずれか1項記載のバイブレーションモータフレームを用いたことを特徴とするバイブレーションモータ
を提供する。
【0009】
本発明のバイブレーションモータフレームは、フレーム基体に振動伝達体が予め成形されているので、従来のようにモータ本体に振動伝達媒体であるホルダを装着する必要がない。そのため、アセンブリと呼ばれる振動伝達媒体であるホルダとバイブレーションモータとの集合体を製造するための工程を低減できる。また、振動伝達体には従来のホルダのようにスリットを形成する必要がないため、成形加工が単純化できると共に、振動伝達体の強度向上及び薄型・軽量化、ひいてはアセンブリの軽量化が可能となる。
【0010】
以下、本発明について更に詳述する。
本発明のバイブレーションモータフレームは、バイブレーションモータの駆動部を収容するためのフレームであり、フレーム基体の外周面上に高分子材料からなる振動伝達体を成形したものである。このようなバイブレーションモータフレームとして具体的には、図1(A),(B)に示されるような、バイブレーションモータの駆動部が収容される略円筒状のフレーム基体12の外周面上に、その外周面のほぼ中央部を被覆するように、外周が略四角形をなす振動伝達体11が成形されたものが挙げられる。この場合、フレーム基体12は、図1(A),(B)には示されていない奥側の開口部がモータ駆動部の挿入口とされ、この挿入口から駆動部が収容され、更に、図2に示されるように端子13、分銅14を取り付けることによりバイブレーションモータとなる。
【0011】
本発明において、振動伝達体は高分子材料からなり、この振動伝達体は、モータから発生する振動を適当な強さで被振動部材に伝達させるためのもので、振動の伝達と緩衝の機能を兼ね備えたものである。このような振動伝達体を構成する高分子材料としては、モータの振動の強度、バイブレーションモータの用途等に応じてゴム、エラストマー、樹脂などから適宜選定できるが、なかでも、振動伝達・緩衝特性、加工性の点からゴムとしてはシリコーンゴム、エラストマーとしてはオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが好ましく挙げられる。
【0012】
また、高分子材料としては、ゴム発泡体、エラストマー発泡体、樹脂発泡体などの高分子発泡体も好ましく挙げられる。なお、上記高分子発泡体には、高分子発泡体を構成するゴム、エラストマー、樹脂等の基材に発泡剤等を添加して発泡成形することにより得られるものの他、基材となるゴム、エラストマー又は樹脂に高分子マイクロバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン等を配合することにより気泡を内包させたものも含まれる。このような高分子発泡体としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリスチレン(PS)等の発泡体が挙げられる。
【0013】
更に、上記高分子発泡体としては、連続気孔を有する発泡体が特に好ましい。連続気孔を有する発泡体は、振動伝達体を軽量化することが可能であると共に、モータへの衝撃を緩衝する作用が単独気泡のものに比べて高いため好ましい。
【0014】
一方、上記振動伝達体を成形するフレーム基体としては、バイブレーションモータのケーシングとして用いられている従来公知のフレームを用いることができ、円筒状、略円筒状、四角筒状、略四角筒状等形状も特に限定されないが、上記振動伝達体を構成する高分子材料を成形するときの耐熱性の点からその材質は金属であることが好ましい。
【0015】
また、本発明のバイブレーションモータフレームは、図1に示されているような、振動伝達体11をフレーム基体12の外周面を被覆するように管状に成形したものであることが好ましい。高分子材料を成形する場合、ゴム材料を硬化させるため、或いは熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー等を射出するために成形時、加熱が施される。この場合、成形後、成形された振動伝達体は常温に戻されるが、振動伝達体がフレーム基体の外周面を被覆するように管状に形成されている場合には、振動伝達体が収縮してフレーム基体に密着するため、バイブレーションモータフレームを振動伝達体とフレーム基体とが強固に密着したものとすることができる。特に、これら高分子材料の成形温度と常温(20℃)との間の収縮率が10/1000以上であれば、振動伝達体とフレーム基体との密着性を十分なものとすることができるため好ましい。
【0016】
更に、上述したように振動伝達体を管状に形成してやれば、振動伝達体の厚さを薄くしても、強度やフレーム基体と振動伝達体との密着性を保つことができる。そのため、本発明において、振動伝達体の最薄部の厚さは0.5mm以下、好ましくは0.4mm以下、特に好ましくは0.3mm以下とすることができる。なお、振動伝達体の厚さの下限は、高分子材料の種類やバイブレーションモータの用途などによっても異なるが、0.03mm以上であることが好ましい。
【0017】
更に、本発明のバイブレーションモータフレームにおいて、上記振動伝達体としてシリコーンゴムを用いた場合、上述したようにその厚さを薄くすることができるため、シリコーンゴム組成物を硬化させて成形したシリコーンゴムからなる振動伝達体中に残留し、モータを実装したときに問題となる低分子シロキサンを、振動伝達体を加熱することにより、従来に比べ低減することができる。この場合、特に、ジメチルポリシロキサンを主成分とするシリコーンゴム組成物を用いた場合、問題となるケイ素原子数4〜20の低分子シロキサンの量を、200℃、30分程度の加熱により300ppm以下とすることも可能である。
【0018】
本発明のバイブレーションモータフレームは、フレーム基体を成形金型内に配置し、このフレーム基体の外周面と成形金型の内面とで形成されるキャビティ内に成形材料を導入して成形することにより製造することができる。振動伝達体の成形方法としては、圧縮成形、射出成形などを適用し得、例えば、フレーム基体を成形金型の所定位置に配置し、このフレーム基体の外周面と成形金型の内面とで形成されるキャビティにゴム材料を流し込み、加熱下で硬化させて成形する方法、フレーム基体を成形金型の所定位置に配置し、このフレーム基体の外周面と成形金型の内面とで形成されるキャビティに熱可塑性エラストマー等を射出して成形する方法などが挙げられる。
【0019】
特に、振動伝達体としてシリコーンゴムを成形する場合、成形材料として液状シリコーンゴム組成物を用いることが好ましい。液状シリコーンゴム組成物を用いれば、材料注入時に圧力をかける必要がほとんどないため、射出成形のような密閉性の高い金型を必要とせず、また加熱硬化時に圧力をかける必要もないため大型のプレス装置を用いる必要がなく成形加工が容易となり好ましい。
【0020】
液状シリコーンゴム組成物を用いて振動伝達体を成形する方法としては、例えば、図3に示されるように、下型21と下型21上に設けられた複数に分割可能な中型22,22とで形成された凹部24の所定位置にフレーム基体12を配置(図3(A),(B))し、更に液状シリコーンゴム組成物の注入孔231が形成されると共に、液状シリコーンゴム組成物を所定量注入するためのディスペンサー232を備える押圧機構233を具備する上型23を、中型22,22上に載置して押圧機構233にて押圧しつつ、フレーム基体12の外周面と上記下型21、中型22,22及び上型23の内面とで形成されるキャビティ241に液状シリコーンゴム組成物111を、キャビティ241を減圧しながら注入し(同(C))、次いで上型23を引き上げて(同(D))下型21、中型22,22、フレーム基体12及びキャビティ241に充填された液状シリコーンゴム組成物111を遠赤外線オーブン等で加熱して液状シリコーンゴム組成物111を硬化させ(同(E))、中型22,22を開放して脱型する(同(F))ことによりフレーム基体の外周面上に高分子材料からなる振動伝達体を成形したフレーム1を製造する方法が適用できる。
【0021】
このような成形方法を用いれば、注入痕が残らず、また加熱硬化時に圧縮していないためバリを少なくできること、下型及び上型は共通化することができ、中型のみを交換するだけで様々なサイズや形状の振動伝達体を成形することができるなどの利点がある。更に、金型の代わりに樹脂型を用いることも可能である。
【0022】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0023】
[実施例1]
図2に示す形状のフレーム(材質:SPCD(冷間圧延鋼板))をフレーム基体とし、図3に示されるような下型と下型上に設けられた複数に分割可能な中型とで形成されたの凹部の所定位置に上記フレーム基体を配置し、上型を中型上に載置して押圧機構にて押圧しつつ、フレーム基体の外周面と下型、中型及び上型の内面とで形成されるキャビティに液状シリコーンゴム組成物(KE−3475信越化学工業(株)製)を、キャビティを減圧しながら注入し、次いで上型を引き上げて下型、中型、フレーム基体及びキャビティに充填された液状シリコーンゴム組成物を遠赤外線オーブンで温度200℃、5分の条件で加熱して液状シリコーンゴム組成物を硬化させ、中型を開放して脱型することにより、図1に示す形状のシリコーンゴムからなる振動伝達体(平均厚さ0.3mm、最薄部厚さ0.1mm)がフレーム基体の外周面上に成形されたバイブレーションモータフレームを得た。このフレームを更に200℃で30分間加熱してシリコーンゴム製の振動伝達体を二次加硫して、シリコーンゴムに含まれるケイ素原子数4〜20の低分子シロキサンの量をガスクロマトグラフ(GC−14B:島津製作所製
FID方式)により測定したところ240ppmであった。
【0024】
[実施例2]
図2に示す形状のフレーム(材質:SPCD(冷間圧延鋼板))をフレーム基体とし、これを金型内の所定の位置に配置し、金型内にオレフィン系熱可塑性エラストマー(サントプレーン111−64 AES社製)を速度100〜150mm/secで射出成形(ピンゲート方式)することにより、図1に示す形状のオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる振動伝達体(平均厚さ0.3mm、最薄部厚さ0.1mm)がフレーム基体の外周面上に成形されたバイブレーションモータフレームを得た。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のバイブレーションモータフレームによれば、振動伝達媒体をモータ本体に装着する工程を必要とせず、モータを実装する際の工数を削減できる。また、振動伝達体には従来のホルダのようにスリットを形成する必要がないため、成形加工が単純化できると共に、振動伝達体の強度向上及び薄型・軽量化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の一実施例に係るフレーム基体の外周面上に高分子材料からなる振動伝達体を成形したバイブレーションモータフレームを示す斜視図であり、(B)は、振動伝達体を成形する前のフレーム基体を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係るバイブレーションモータを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例に係るバイブレーションモータフレームを製造する方法における各工程を説明するための説明図である。
【図4】従来のホルダを装着したバイブレーションモータを示す斜視図である。
【図5】図4のバイブレーションモータの分解斜視図である。
【図6】従来のバイブレーションモータ用のホルダを示す図であり、図5中の矢印Xの方向から見た斜視図である。
【符号の説明】
1 フレーム
11 振動伝達体
12 フレーム基体
13 端子
14 分銅
a ホルダ

Claims (9)

  1. バイブレーションモータの駆動部を収容するためのフレームであって、フレーム基体の外周面上に高分子材料からなる振動伝達体を成形したことを特徴とするバイブレーションモータフレーム。
  2. 上記振動伝達体をフレーム基体の外周面を被覆するように管状に成形したことを特徴とする請求項1記載のバイブレーションモータフレーム。
  3. 上記振動伝達体の最薄部の厚さが0.5mm以下であることを特徴とする請求項2記載のバイブレーションモータフレーム。
  4. 上記高分子材料が、シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のバイブレーションモータフレーム。
  5. 上記高分子材料が、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のバイブレーションモータフレーム。
  6. 上記高分子材料が、高分子発泡体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のバイブレーションモータフレーム。
  7. 上記高分子発泡体が、連続気泡を有する発泡体であることを特徴とする請求項6記載のバイブレーションモータフレーム。
  8. フレーム基体を成形金型内に配置し、このフレーム基体の外周面と成形金型の内面とで形成されるキャビティ内に成形材料を導入して成形することにより、上記振動伝達体をフレーム基体の外周面上に成形することを特徴とする請求項1記載のバイブレーションモータフレームの製造方法。
  9. 請求項1乃至7のいずれか1項記載のバイブレーションモータフレームを用いたことを特徴とするバイブレーションモータ。
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