JP2004234219A - 制御装置の制御パラメータ調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】制御量を目標値に一致させるように制御対象を制御する制御装置の制御パラメータ調整方法において、制御系を制御対象と制御装置とを組み合わせた閉ループの状態で1回目のテスト信号を加え、そのときの応答データを用いて2回目のテスト信号を作り、この2回目のテスト信号を加えたときの応答データを用いて制御パラメータの変化量を決め、これら2回一組としたテストを繰り返し、設定した評価関数を最小とする制御パラメータを決定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御装置の制御パラメータ調整方法に係わり、特に制御系の時系列の応答データを用いて制御パラメータを調整する制御装置の制御パラメータ調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
制御装置により制御対象を制御する場合、制御対象の特性に合わせて制御パラメータを調整する必要がある。制御パラメータの調整には、制御対象の応答データから制御パラメータを算出する方法が一般に行われている。
【0003】
以下の非特許文献1には、従来の制御パラメータの調整方法として実用化されている合計6種の方法が掲載されている。
また、以下の特許文献1には、非特許文献1に未掲載のニューラルネットを応用した調整方法が記載されている。
【0004】
ところで、これら2つの先行技術文献に記載されている方法は、原則的にテストを一度行って制御パラメータを決定する方法と、テストを繰り返し行ってパラメータを更新していく方法の2通りの方法に大別できる。テストの繰り返しを行わない方法の一つとして、制御対象の入出力からプラントの数式モデルを求め、この数式モデルからモデルマッチングあるいはジーグラ・ニコルス法で制御パラメータを求める方法が特許文献2のほか前記非特許文献1にも掲載されている。
【0005】
以下、これら従来の制御パラメータ調整方法について、その概要を説明する。図9は従来のパラメータ調整方法の一例を示すもので、モデル化してパラメータを計算する方法を説明するための構成図である。図9に示す制御システムの制御系は、制御対象1を制御する制御装置2と、この制御装置2の制御パラメータを調整するパラメータ計算部10と、制御装置2の出力操作量u(t)にテスト信号w(t)を重畳するテスト信号発生部13と、制御対象1の入力信号v(t)と出力信号y(t)とから制御対象1のモデルを作成するモデル化部9とから構成されている。なお、4−1は目標値r(t)と制御量y(t)とを加算し、偏差e(t)を求める信号加算部、4−2は操作量u(t)にテスト信号w(t)を重畳する信号加算部、また、4−3は制御対象1に雑音n(t)が加わることを表す加算部である。
【0006】
制御対象1のモデル化には制御対象1の伝達関数などのパラメトリックなモデルと、むだ時間、立ち上がり時間、減衰率またはオーバーシュート量などの特徴量をモデル化する方法などがある。そして、モデル化部9でモデル化を行う場合には、制御対象1の入出力信号v(t)、y(t)に多くの情報量を含める必要があり、このため一般には入力信号v(t)に重畳するテスト信号w(t)を変化させるようにしている。
【0007】
パラメータ計算部10は、モデル化部9からモデル化した制御対象1の情報(伝達関数のパラメータ、特徴量など)を入力して制御パラメータを計算により求める。この制御パラメータ計算部10における制御パラメータの計算には、一般にモデルマッチングあるいはジーグラ・ニコルス法が用いられるが、ファジー推論を用いる方法もある(前記非特許文献1の129頁〜132頁、図6.13〜図6.16を参照)。
【0008】
テストを繰り返し行って制御パラメータを更新する方法としては、前記特許文献1に記載のニューラルネットを応用した方法がある。以下、このニューラルネットを応用した制御パラメータ更新方法の概要について図10を参照して説明する。
【0009】
図10はこの制御パラメータ更新方法を説明するための構成図であり、この制御システムの制御系は、制御対象1を制御する制御装置2と、学習用データ部11と、調整ルール学習システム14と、制御装置2の制御パラメータを算出するパラメータ算出部12と、前記制御装置2から出力された操作量u(t)にテスト信号w(t)を重畳して前記制御対象1に入力するテスト信号発生部13とを備えている。
【0010】
そしてこの図10による制御パラメータ更新方法は、操作量u(t)に重畳するテスト信号w(t)をあるいは目標信号r(t)を変更してテストを行い、このテストの繰り返しによって制御対象1の入出力信号v(t)、y(t)および制御偏差e(t)などの情報をパラメータ算出部12に入力し、調整ルール学習システム14から出力される調整ルールに従って制御パラメータの更新を行うようにしたものである。
【0011】
この制御パラメータの更新ルールはニューラルネットを利用した調整ルール学習システム14から与えられ、この調整ルール学習システム14は学習用データ11によりルールが決められる。
【0012】
【非特許文献1】
システム制御情報学会編、須田信英著作代表「PID制御」朝倉書店出版、1992年7月20日、p.107−117、118−172
【特許文献1】
特許第2862308号公報(第1−18頁、第1図−第28図)
【特許文献2】
特許第2755644号公報(第1−8頁、第1図−第18図(b))
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、雑音n(t)や制御対象の非線型性などによるモデル化には誤差が生じる。同様に特徴量を抽出する場合も誤差が生じる。このため、テストの繰り返しを前提としない方法では、テストにより得られた情報から、必ずしも正しい制御パラメータが決定されるか否かは明確ではない。
さらにファジー推論を用いる方法は、パラメータを算出するルールが恣意的で客観性がないため、ルールの構築に時間と労力を必要とする。
【0014】
一方、テストを繰り返して制御パラメータを更新するニューラルネットを用いた従来の方法では、調整ルールを定めるルールの学習に多大な時間と多くのテストデータを必要とする。
また、いずれの制御パラメータ調整方法も、選択された制御パラメータが妥当であるかどうかを定量的に評価・判断する方法がない。
【0015】
さらに、いずれの方法も制御対象の情報を明確に得るためには、制御装置を制御対象から切り離した、いわゆる開ループでテストを行うことが望ましいが、その場合には不安定な制御対象には適用が不可能である。
【0016】
そこで、本発明の目的は、短時間で制御パラメータを決定でき、かつ選ばれた制御パラメータの定量的な評価を同時に行うことのできる制御装置の制御パラメータ調整方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係わる制御装置の制御パラメータ調整方法の発明は、制御量を目標値に一致させるように制御対象を制御する制御装置の制御パラメータ調整方法において、制御系を制御対象と制御装置とを組み合わせた閉ループの状態で1回目のテスト信号を加え、そのときの応答データを用いて2回目のテスト信号を作り、この2回目のテスト信号を加えたときの応答データを用いて制御パラメータの変化量を決め、これら2回一組としたテストを繰り返し、設定した評価関数を最小とする制御パラメータを決定することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1は本発明による制御パラメータ調整方法を適用した制御システムの1実施の形態を示す図である。
【0019】
本実施の形態による制御システムの制御系は、制御対象1を制御する制御装置2と、この制御装置2の制御パラメータを調整する制御パラメータ調整システム3と、前記制御装置2から出力された操作量u(t)を偏微分して、操作量u(t)の、操作パラメータxについての変化率を求め、この変化率を前記制御パラメータ調整システム3に入力する信号変換部5と、制御対象1から出力される制御量y(t)を偏微分して、制御量y(t)の、操作パラメータxについての変化率を求め、この変化率を前記制御パラメータ調整システム3に出力する信号変換部7とから構成されている。
【0020】
次に、制御パラメータ調整システム3による制御パラメータの調整方法について説明する。なお、事前の条件として、制御対象1は制御装置2により必ずしも最適ではないが安定に制御されているものとする。
【0021】
まず、制御性能を測る制御指標を設定する。この制御指標としては目標値r(t)と出力y(t)との偏差e(t)をはじめとして操作量u(t)、操作量の変化量u(t)−u(t−1)などを使って1回目のテストからN回目のテストまでのテスト期間の総和を考える。具体的な制御指標として、以下の式(1)から(3)などがある。
【0022】
【数1】
【0023】
上記の(1)式〜(3)式において、tはサンプル、λ(t)はサンプルtの重み係数、u∞は操作量の定常値とし、総和はテスト期間t=1からt=Nまでの加算平均とする。
【0024】
これら(1)式〜(3)式に示すいずれかの評価指標Jを選んでテストを行い、このテストの時系列応答データ(以下、単に応答データという)から決まる評価指標の値を最小にする制御パラメータxを求めることで、制御装置2のパラメータ調整を行う。
【0025】
次に、評価指標Jを最小にする調整方法について上記(1)式を例にして説明する。評価指標Jは制御装置2のパラメータxの関数であり、制御パラメータを変数xと書くと、評価指標Jは制御パラメータの関数J(x)として書くことができる。
【0026】
このパラメータの関数J(x)が制御パラメータxについて最小になる条件は∂J(x)/∂x=0となる場合である。(1)式を制御パラメータxで偏微分すると、(4)式に示す関数の感度すなわち勾配が求まる。そして、感度(勾配)を最小すなわち∂J(x)/∂x=0とする制御パラメータxをニュートン法により、逐次更新すると(5)式に示す制御パラメータの値が求まる。
【0027】
【数2】
【0028】
なお、(5)式において、xkはk回目の更新により求められた制御パラメ−タの値とする。Rkは正定値行列であり、添字kはk回目の更新時の値を示す。
上記(5)式による制御パラメータの更新には(4)式の値が必要であり、(4)式中の偏差e(t)、操作量u(t)はテストを行って応答データから直接求める。一方、(4)式中の制御量y(t)、操作量u(t)の制御パラメータxについての変化率∂y(t)/∂x、∂u(t)/∂xはデータから直接得ることはできないが、2回のテストを行って応答データから求める。
【0029】
図1における制御対象1と制御装置2とからなる閉ループ系について、目標値r(t)と出力である制御量y(t)との関係、目標値r(t)と操作量u(t)との関係はそれぞれ次のようになる。
【0030】
【数3】
【0031】
上式から、∂y(t)/∂x、∂u(t)/∂xはそれぞれ、以下の(6)式、(7)式から求めることができる。
【0032】
【数4】
なお、ここで(6)式および(7)式の∂C(x)/∂xは制御装置2の制御演算式から計算することができる。また、1/1+PC(x)・e(t)およびP/1+PC(x)・e(t)は、それぞれ1回目のテストの結果得られた偏差e(t)すなわちr(t)−y(t)を、2回目のテストの際、テスト信号w(t)とした場合の操作量u(t)および出力y(t)である。
【0033】
このように、本実施の形態は2回のテストを一組としてテストを行うことにより(4)式の計算に必要なデータを応答データとして求め、さらにこの応答データを(5)式に従って計算することにより、制御パラメータを逐次更新することができる。
【0034】
次に、以上説明した制御パラメータの更新の考え方に基づいて、図1における制御パラメータ調整システム3の動作を説明する。
この方法は(4)式の中の制御量y(t)、操作量u(t)の、制御パラメータxについての変化率∂y(t)/∂x、∂u(t)/∂xを求めるために、(6)式、(7)式を用いる方法である。
【0035】
▲1▼.1回目のテスト:
図3の動作説明図で示すように、制御パラメータ調整システム3は、発生させたテスト信号w(t)を目標値r(t)として用い、目標値そのものをr(t)からr1(t)に変化させる。そしてこのときの偏差e(t)および操作量u(t)を計測し、応答データe1(t)およびu1(t)を前記制御パラメータ調整システム3に入力する。この制御パラメータ調整システム3ではこの入力したデータe1(t)、u1(t)を1回目のテストの応答データとして保存する。
【0036】
▲2▼.2回目のテスト:
図4の動作説明図で示すように、保存しておいた1回目のテストの応答データである偏差e1(t)をテスト信号w2(t)とし、これを信号加算部4−2において操作量u2(t)に重畳させてv2(t)を制御対象1に加えることにより、2回目のテストを行い、操作量u2(t)、出力y2(t)を測定する。そして操作量u2(t)、出力y2(t)についてそれぞれ信号変換部5、7で偏微分により∂C(x)/∂xを求め、それぞれ∂y(t)/∂x、∂u(t)/∂xを生成し、制御パラメータ調整システム3に入力する。
【0037】
▲3▼.∂J(x)/∂xの計算:
制御パラメータ調整システム3は、取込んだ∂y(t)/∂x、∂u(t)/∂xを(4)式に代入して∂J(x)/∂xを計算する。(4)式で用いるe(t)、u(t)は1回目のテストの応答データe1(t)、u1(t)を用い、∂y(t)/∂x、∂u(t)/∂xは2回目のテストから得た応答データから生成した値を用いる。
【0038】
▲4▼.パラメータの更新:
制御パラメータ調整システム3は、(5)式に従って制御パラメータxを逐次更新することにより、xk+1を得る。λは適当な進み幅である。
【0039】
なお、(5)式において、Rkは単位行列でもよいし、∂y(t)/∂xおよび∂u(t)/∂xを使ってガウス・ニュートン法による次式(8)から求めるようにしてもよい。
【0040】
【数5】
【0041】
以上述べたように、第1の実施の形態によれば、制御指標を定量的に表す評価関数を最小にする制御パラメータを求めることができる。また、制御パラメータの更新に評価関数の制御パラメータについての感度(勾配)を用いるため、最適値への収束を早くすることができる。さらに、評価関数の制御パラメータについての感度(勾配)を求めるため、制御パラメータの収束状況を定量的に把握することができる。
また、テストが閉ループで実施されるため、不安定な制御対象にも適用できる。
【0042】
さらに、制御量y(t)、操作量u(t)の、制御パラメータxについての変化率∂y(t)/∂xおよび∂u(t)/∂xを計算する際、それぞれ(6)式、(7)式を用いているため,計算が簡単になるという特長を有する。
【0043】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について図2に示す制御システム構成図を参照して説明する。本実施の形態と、第1の実施の形態との主な相違点は、(4)式の中の∂y(t)/∂x、∂u(t)/∂xを求めるために、本実施の形態では第1の実施の形態における信号変換部5および7をそれぞれ信号変換部6および8に替えて(9)、(10)式を演算するようにした点である。
【0044】
すなわち、図2における制御対象1と制御装置2とからなる閉ループ系について、目標値と出力である制御量y(t)との関係、目標値と操作量u(t)との関係はそれぞれ次のようになる。
【0045】
【数6】
【0046】
上式から、∂y(t)/∂xおよび∂u(t)/∂xはそれぞれ、(9)式および(10)式として求めることができる。
【0047】
【数7】
【0048】
なお、ここで、(9)および(10)式の1/C(x)・∂C(x)/∂xは制御装置2の制御演算式から計算することができる。また、C(x)/1+PC(x)・e(t)およびPC(x)/1+PC(x)・e(t)は、それぞれ1回目のテストで得られた偏差e(t)すなわちr(t)−y(t)を、2回目のテストの際、目標値r(t)とした場合の操作量u(t)および出力y(t)である。
【0049】
このように、第2の実施の形態の場合も第1の実施の形態と同様、2回のテストを1組としてテストを行うことにより(4)式の計算に必要なデータを応答データとして求め、さらにこの応答データを(5)式に従って計算することにより、制御パラメータを逐次更新することができる。
以上説明した制御パラメータの更新の考え方に基づいて、図2における制御パラメータ調整システム3の動作を説明する。
【0050】
▲1▼1回目のテスト:
図3の動作説明図において、1回目のテストを行う。このテスト方法は第1の実施の形態による方法と同一である。
【0051】
▲2▼.2回目のテスト:
図5の動作説明図で示すように、制御パラメータ調整システム3は保存しておいた1回目のテストの応答データである偏差e1(t)をテスト信号w2(t)として出力する。そしてこのテスト信号を目標値r(t)にして2回目のテストを行い、操作量u2(t)、出力y2(t)を測定する。さらに操作量u2(t)、出力y2(t)についてそれぞれ信号変換部6、8で偏微分によりそれぞれ1/C(x)・∂C(x)/∂xを求め、それぞれ∂y(t)/∂xおよび∂u(t)/∂xを生成し、制御パラメータ調整システム3に入力する。
【0052】
▲3▼.∂J(x)/∂xの計算:
制御パラメータ調整システム3は、取込んだ∂y(t)/∂x、∂u(t)/∂xを(4)式に代入して∂J(x)/∂xを計算する。(4)式で用いるe(t)、u(t)は1回目のテスト結果e1(t)、u1(t)を用い、∂y(t)/∂xおよび∂u(t)/∂xは2回目のテストから得た応答データから生成した値を用いる。
【0053】
▲4▼.パラメータの更新:
制御パラメータ調整システム3は、(5)式に従って制御パラメータxを逐次更新することにより、xk+1を得る。λは適当な進み幅である。
【0054】
なお、(5)式において、Rkは単位行列でもよいし、∂y(t)/∂xおよび∂u(t)/∂xを使ってガウス・ニュートン法による前記(8)式から求めるようにしてもよい。
【0055】
以上述べたように、第2の実施の形態によれば(9)式、(10)式を計算するので、(6)式、(7)式を計算する第1の実施の形態と比較して計算自体は複雑になるが,2回のテストが共に目標値信号の変更で実施できる。このためコントローラと制御パラメータ調整システム3との信号のインターフェイスが簡単になる。特に、多くの汎用のコントローラは標準的に目標値信号を外部から入力できるようになっているため、コントローラのインターフェイスや、制御プログラムの変更が不要である。このため、現場に実装済みの制御装置2にハードウェアやソフトウェアの変更なしで、そのまま適用することができる。
【0056】
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、第1および第2の実施の形態によるパラメータの調整方法において、評価指標を(2)式とした場合である。評価指標を(2)式とする場合は、以上説明した操作量の評価をu(t)からu(t)−u(t−1)に変更すればよい。
【0057】
なお、制御対象が定位系すなわち制御量の定常値を変化させるために操作量も定常的に変化するような系の場合、テスト信号で目標値をステップ状に変更させると、操作量u(t)は時間が経過してもゼロにならない。偏差e(t)はゼロに向かうため、前述した(1)式の評価関数では、重み係数λ(t)がゼロ以外では、操作量u(t)が大きく評価され、結果的に操作量を小さくする制御パラメータが選択される。このため定位系では望ましい応答が得られない場合がある。
【0058】
しかしながら、この第3の実施の形態では、前記(2)式の評価関数を採用したので、制御対象の特性にかかわらず、目標値のステップ状の変化に対して時間の経過にしたがい偏差e(t)と操作量の差分u(t)−u(t−1)は共にゼロに向かうため、偏差と操作量の評価が重み係数λ(t)で調整でき、定位系における前記の不具合を解消することができる。
【0059】
(第4の実施の形態)
本実施の形態は、第1および第2の実施の形態で述べたパラメータの調整方法において、評価指標を(3)式とした場合である。評価指標を(3)式とする場合は、以上説明した操作量の評価をu(t)からu(t)−u∞に変更すればよい。
【0060】
第4の実施の形態によれば、評価関数の中の、偏差e(t)と操作量の変化分u(t)−u∞は時間の経過に従ってゼロに向かうため、前述した第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態による調整方法を図2に示す。この実施の形態と第2の実施の形態との相違点は、第2の実施の形態の場合、制御パラメータ調整システム3が1回目のテストで目標値r(t)を変化させるのに対して、本実施の形態の場合は1回目のテストで操作量の出口のテスト信号w(t)を変化させるようにした点にあり、2回目のテストの結果は図4と同じである。原理は第2の実施の形態の場合と同様である。
【0062】
この第5の実施の形態は、(4)式の中の∂y(t)/∂xおよび∂u(t)/∂xを求めるために(6)、(7)式を用いる方法では制御パラメータの更新は次のようになる。
【0063】
▲1▼.1回目のテスト:
図6の動作説明図において、制御パラメータ調整システム3からテスト信号w(t)を発生させ、目標値を変化させる。このときの偏差e(t)および操作量u(t)を計測して、e1(t)、u1(t)として制御パラメータ調整システム3に保存する。
【0064】
▲2▼.2回目のテスト:
図7の操作説明図において、1回目のテストの結果保存されている偏差e1(t)をテスト信号w(t)として用いて2回目のテストを行い、操作量u(t)、出力y(t)を測定する。そしてこれらの測定量を信号変換部5および7で偏微分してそれぞれ∂Cx/∂xの計算を行い、生成した∂y(t)/∂xおよび∂u(t)/∂xを制御パラメータ調整システム3に入力する。
【0065】
▲3▼.∂J(x)/∂xの計算:
制御パラメータ調整システム3は、(4)式に従って、∂J(x)/∂xを計算する。(4)式におけるe(t)、u(t)は1回目のテスト結果e1(t)、u1(t)を用い、また、∂y(t)/∂x、∂u(t)/∂xは2回目のテストから得た応答データを使って生成した値を用いる。
【0066】
▲4▼.パラメータの更新:
制御パラメータ調整システム3は、(4)式で求めた値を(5)式に代入し、制御パラメータxを求め、逐次更新する。(5)式のλは適当な進み幅である。なお、Rkは単位行列でもよいし、∂y(t)/∂x、∂u(t)/∂xを使ってガウス・ニュートン法による前記(8)式を用いてもよい。
【0067】
以上述べた第5の実施の形態では、計算について第1の実施の形態と同様の効果のほか、さらに次のような効果を得ることができる。すなわち、第1の実施の形態から第4の実施の形態の場合、1回目のテストで目標値を変更するため、これにしたがって制御量が目標値に一致するように変化する。このため制御対象の運転状態が変化してしまう。
【0068】
しかしながら、この第5の実施の形態では、操作量にテスト信号を与えて一時的に制御量を変化させてはいるが、目標値が一定であるため制御量は元の値に戻る。このため、制御対象の運転状態に与える影響を小さくできるといった効果を得ることができる。
【0069】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態について図2に示す制御システム構成図を参照して説明する。本実施の形態は、(4)式の中の∂y(t)/∂x、∂u(t)/∂xを求めるために(9)(10)式を用いて制御パラメータを調整するようにした方法に関するものである。
【0070】
▲1▼.1回目のテスト:
第1回目のテストは、第5の実施の形態と同一であり、また、動作説明図は図6のとおりである。
【0071】
▲2▼.2回目のテスト:
図8の動作説明図で示すように、目標値r(t)を1回目のテストの目標値と出力との偏差e1(t)としてテストを行い、操作量u(t)、出力y(t)を測定し、信号変換部6および8でそれぞれ1/C(x)・∂C(x)/∂xの計算を行い、∂y(t)/∂xおよび∂u(t)/∂xを生成し、制御パラメータ調整システム3に入力し保存する。
【0072】
▲3▼.∂J(x)/∂xの計算:
制御パラメータ調整システム3は、取込んだ∂y(t)/∂x、∂u(t)/∂xを(4)式に代入して∂J(x)/∂xを計算する。(4)式で用いるe(t)、u(t)は1回目のテストの応答データe1(t)、u1(t)を用い、∂y(t)/∂xおよび∂u(t)/∂xは2回目のテストから得た応答データから生成した値を用いる。
【0073】
▲4▼.パラメータの更新:
制御パラメータ調整システム3は、(5)式に従って制御パラメータxを逐次更新することにより、xk+1を得る。λは適当な進み幅である。
なお、(5)式において、Rkは単位行列でもよいし、∂y(t)/∂xおよび∂u(t)/∂xを使ってガウス・ニュートン法による前記(8)式から求めるようにしてもよい。
【0074】
以上述べたように、第6の実施の形態の場合、2回目のテストは目標値を変化するが、1回目のテストで制御量がゼロに向かうため、2回目のテストの目標値もゼロに向かう信号となる。このため、運転状態に与える影響が小さくなり、第5の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
(第7の実施の形態)
本実施の形態は、以上述べたパラメータの調整方法において、評価指標を(2)式とした場合である。評価指標を(2)式とする場合は、以上説明した操作量の評価をu(t)からu(t)−u(t−1)に変更すればよい。
この第7の実施の形態によれば、第3の実施の形態と第5の実施の形態あるいは第6の実施の形態を合わせた効果を得ることができる。
【0076】
(第8の実施の形態)
本実施の形態によるパラメータの調整方法は、評価指標を(3)式とする場合のパラメータの調整方法に関するものである。この場合、操作量の評価をu(t)からu(t)−u∞に変更すればよい。
この第8の実施の形態によれば、第4、第5あるいは第6の実施の形態を合わせた効果が得られる。
【0077】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、制御指標を定量的に表す評価関数を最小にする制御パラメータを求めることができる。
また、制御パラメータの更新に評価関数の制御パラメータについての感度(勾配)を用いるため、最適値への収束を早くすることができる。
【0078】
さらに、評価関数の制御パラメータについての感度(勾配)が求められるため、制御パラメータの収束状況が定量的に把握することができる。
またさらに、テストを閉ループで実施するため、不安定な制御対象についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するためのシステム構成例の一例を示す図。
【図2】本発明を説明するためのシステム構成例の他の例を示す図。
【図3】発明の第1の実施の形態におけるパラメータ調整の第1回目のテスト時の作用を示す図。
【図4】発明の第1の実施の形態におけるパラメータ調整の第2回目のテスト時の作用を示す図。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるパラメータ調整の第2回目のテスト時の作用を示す図。
【図6】本発明の第5および第6の実施の形態におけるパラメータ調整の第1回目のテスト時の作用を示す図。
【図7】本発明の第5の実施の形態におけるパラメータ調整の第2回目のテスト時の作用を示す図。
【図8】本発明の第6の実施の形態におけるパラメータ調整の第2回目のテスト時の作用を示す図。
【図9】従来の制御パラメータ更新方法の一例を説明するための構成図。
【図10】従来の制御パラメータ更新方法の他の例を説明するための構成図。
【符号の説明】
1…制御対象、2…制御装置、3…制御パラメータ調整システム、4−1〜4−3…信号加算部、5〜8…信号変換部。
Claims (7)
- 制御量を目標値に一致させるように制御対象を制御する制御装置の制御パラメータ調整方法において、
制御系を制御対象と制御装置とを組み合わせた閉ループの状態で1回目のテスト信号を加え、そのときの応答データを用いて2回目のテスト信号を作り、この2回目のテスト信号を加えたときの応答データを用いて制御パラメータの変化量を決め、これら2回一組としたテストを繰り返し、設定した評価関数を最小とする制御パラメータを決定することを特徴とする制御装置の制御パラメータ調整方法。 - 前記評価関数は、目標値の望ましい変化と制御対象の出力との偏差の2乗と操作量の変化分の2乗に重みをかけた量の和をテスト期間についての加算平均値であることを特徴とする請求項1記載の制御装置の制御パラメータ調整方法。
- 前記評価関数は、目標値の望ましい変化と制御対象の出力との偏差の2乗と、操作量と操作量の将来値との差の2乗に重みをかけた量の和をテスト期間についての加算平均値であることを特徴とする請求項1記載の制御装置の制御パラメータ調整方法。
- 前記1回目のテストの際、目標値を変化することを特徴とする請求項1記載の制御装置の制御パラメータ調整方法。
- 前記1回目のテストの際、操作量にテスト信号を加えることを特徴とする請求項1の制御装置の制御パラメータ調整方法。
- 前記2回目のテストの際、1回目のテスト目標値の望ましい変化と制御対象の出力との偏差を、新しい目標値とすることを特徴とする請求項1の制御装置の制御パラメータ調整方法。
- 前記2回目のテストの際、1回目のテスト目標値の望ましい変化と制御対象の出力との偏差を、操作量に加えることを特徴とする請求項1記載の制御装置の制御パラメータ調整方法。
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