JP2004232655A - 転がり案内装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】精度がよく、移動部材の製造が容易で安価な転がり案内装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】長手方向に沿って転動体転走溝が形成された軌道部材と、転動体転走溝に対応する負荷転動体転走溝を含む無限循環路を有し、軌道部材と相対運動自在に組まれた移動部材2と、無限循環路に配列収容されて軌道部材および移動部材の相対運動に伴って循環する複数の転動体とを備え、その移動部材2が、負荷転動体転走溝9および負荷転動体転走溝9に略平行な転動体戻り通路11が形成された移動部材本体6と、負荷転動体転走溝9および転動体戻り通路11の端同士を連通する方向転換路が形成されており、移動部材本体6の端部に装着された側蓋7、8とからなる転がり案内装置の製造方法であって、断面凹形状となる溝が形成された圧延素材を準備し、その溝が形成された側の法線方向からファインブランキング法により打ち抜き加工する工程を有する製造方法により、上記課題を解決する。
【選択図】 図1
【解決手段】長手方向に沿って転動体転走溝が形成された軌道部材と、転動体転走溝に対応する負荷転動体転走溝を含む無限循環路を有し、軌道部材と相対運動自在に組まれた移動部材2と、無限循環路に配列収容されて軌道部材および移動部材の相対運動に伴って循環する複数の転動体とを備え、その移動部材2が、負荷転動体転走溝9および負荷転動体転走溝9に略平行な転動体戻り通路11が形成された移動部材本体6と、負荷転動体転走溝9および転動体戻り通路11の端同士を連通する方向転換路が形成されており、移動部材本体6の端部に装着された側蓋7、8とからなる転がり案内装置の製造方法であって、断面凹形状となる溝が形成された圧延素材を準備し、その溝が形成された側の法線方向からファインブランキング法により打ち抜き加工する工程を有する製造方法により、上記課題を解決する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり案内装置およびその製造方法に関し、更に詳しくは、ファインブランキング法により製造された、精度がよく且つ安価な小型の転がり案内装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械等に組み込まれて工作物担持用のテーブル等を案内する転がり案内装置101は、図6に示すように、長手方向に向かって形成された転動体転走溝105を有する軌道部材104と、その転動体転走溝105に対応する負荷転動体転走溝109を含む無限循環路を有し、その無限循環路に配列収容された多数の転動体103を介して軌道部材104に装着される移動部材102とから構成されている。そして、その軌道部材104と移動部材102とは、転動体103の転がりにより自在に相対運動するように構成されている。
【0003】
こうした転がり案内装置において、その移動部材は、図7に示すように、断面凹形状の移動部材本体106と、この移動部材本体106の両端に設けられた断面凹形状の側蓋107、108とからなっている。移動部材本体106は、通常、その凹形状の底面部にあたる水平部106aと、その凹形状の左右側部にあたる一対の脚部106bとを備えている。一対の脚部106bの内側面には、軌道部材104の左右側面104aに設けられた転動体転走溝105に対応する負荷軌道としての負荷転走溝109が形成されている。
【0004】
側蓋107、108には、負荷転走溝109を転がる転動体103を掬い上げて転動体戻り通路111に案内し、また逆に転動体戻り通路111から負荷転走溝109へと転動体103を案内する方向転換路外周部112が形成されている。また、移動部材本体106の両端には、この方向転換路外周部112と共に方向転換路を構成する方向転換路内周部113が装着されている。そして、側蓋07、108を移動部材本体106に結合させることで、方向転換路内周部113と方向転換路外周部112との間で方向転換路が構成されている。
【0005】
こうした一般的な転がり案内装置を構成する移動部材においては、側蓋と方向転換路内周部の2部品を組み合わせ、それを移動部材本体に取り付けた構造となっている。
【0006】
また、他の構造としては、移動部材本体と方向転換路内周部を一体化する方法が提案されている。例えば、移動部材本体の両端を切削して方向転換路内周部を形成する方法、金属射出成形(MIM)で移動部材本体と方向転換路内周部を一体成形する方法(例えば、特許文献1参照)、および樹脂材料をインサート成形して移動部材本体と方向転換路内周部を一体成形する方法(例えば、特許文献2を参照)、が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−65053号公報(段落番号0034)
【特許文献2】
特開平7−317762号公報(段落番号0076)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、側蓋と方向転換路内周部の2部品を組み合わせ、それを移動部材本体に取り付けた構造においては、特に小型の移動部材を形成する場合において、その方向転換路内周部の製造が極めて困難になると共に、組み立て性が悪くなるという問題があった。
【0009】
また、移動部材本体の両端を切削して方向転換路内周部を形成する方法においては、特殊工具が必要となるという製造上の難点があると共に、特に小型の移動部材を形成する場合においてその加工精度をだすのが難しいという問題があった。
【0010】
また、金属射出成形(MIM)で移動部材本体と方向転換路内周部を一体成形する方法においては、成形時に生じた歪みによる寸法精度のばらつきの問題や、後加工が難しいという問題があり、特に小型の移動部材の場合においてはその成形が困難になるという問題があった。
【0011】
また、樹脂材料をインサート成形して移動部材本体と方向転換路内周部を一体成形する方法においては、複雑な形状の金型が必要となり、樹脂の流れの制御が難しいという問題があり、特に小型の移動部材の場合においてはその成形が困難になるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、精度がよく、移動部材の製造が容易で安価な転がり案内装置およびその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、長手方向に沿って転動体転走溝が形成された軌道部材と、前記転動体転走溝に対応する負荷転動体転走溝を含む無限循環路を有し、前記軌道部材と相対運動自在に組まれた移動部材と、前記無限循環路に配列収容されて前記軌道部材および移動部材の相対運動に伴って循環する複数の転動体とを備え、前記移動部材が、前記負荷転動体転走溝および当該負荷転動体転走溝に略平行な転動体戻り通路が形成された移動部材本体と、前記負荷転動体転走溝および前記転動体戻り通路の端同士を連通する方向転換路が形成されており、前記移動部材本体の端部に装着された側蓋とからなり、前記方向転換路が、前記移動部材本体の側部両端に形成された方向転換路内周部と、前記側蓋に形成された方向転換路外周部とからなる、転がり案内装置の製造方法であって、断面凹形状となる溝が形成された圧延素材を準備し、当該溝が形成された側の法線方向からファインブランキング法により打ち抜き加工する工程を有することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、予め溝を形成した圧延素材を準備し、その溝が形成された側からファインブランキング加工で打ち抜き加工する工程により移動部材本体を加工するので、寸法精度に優れた移動部材本体およびその移動部材本体を備える転がり案内装置を極めて効率的に製造することができる。この方法においては、移動部材本体の側部両端に形成される方向転換路内周部と移動部材本体とを一体成形できるので、特に小型の転がり案内装置を構成する移動部材の加工に関し、従来のような切削、鍛造、焼結、射出成形などの方法に比べて極めて有効な方法である。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載の転がり案内装置の製造方法において、前記打ち抜き加工する工程により、前記方向転換路内周部が移動部材本体と一体成形されることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、方向転換路内周部と移動部材本体とが一体成形されるので、従来のような切削、鍛造、焼結、射出成形などの方法に比べて極めて有効な方法である。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の転がり案内装置の製造方法において、前記打ち抜き加工が、断面凹形状と略同一形状の打ち抜き先端を有するパンチで行われることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、断面凹形状と略同一形状の打ち抜き先端を有するパンチで打ち抜き加工するので、断面凹形状を構成する凹部の形状および寸法の乱れが少なく、優れた寸法精度の移動部材本体およびそれを備える転がり案内装置を安定して製造することができる。
【0019】
上記課題を解決するための請求項4の発明は、長手方向に沿って転動体転走溝が形成された軌道部材と、前記転動体転走溝に対応する負荷転動体転走溝を含む無限循環路を有し、前記軌道部材と相対運動自在に組まれた移動部材と、前記無限循環路に配列収容されて前記軌道部材および移動部材の相対運動に伴って循環する複数の転動体と、を備える転がり案内装置であって、前記移動部材は、前記負荷転動体転走溝および当該負荷転動体転走溝に略平行な転動体戻り通路が形成された移動部材本体と、前記負荷転動体転走溝および前記転動体戻り通路の端同士を連通する方向転換路が形成され、前記移動部材本体の端部に装着された側蓋とからなり、当該方向転換路が、前記移動部材本体の側部両端に形成された方向転換路内周部と、前記側蓋に形成された方向転換路外周部とからなるものであり、前記移動部材本体は、前記方向転換路内周部が、当該移動部材本体と共にファインブランキング法により打ち抜き加工されて一体化していることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、方向転換路内周部が移動部材本体と共にファインブランキング法により打ち抜き加工されて一体化しているので、上述した従来の問題がなく、精度のよい移動部材およびそれを備える転がり案内装置を提供できる。さらに、加工が容易で加工時間も短いので、安価な移動部材およびそれを備える転がり案内装置とすることができる。また、ファインブランキング法で打ち抜き加工されて作製されているものなので、均質で精度のよい移動部材およびそれを備える転がり案内装置とすることができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項4に記載の転がり案内装置において、前記方向転換路内周部が、転動体転走溝を有しない半円柱形状であることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の転がり案内装置およびその製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0023】
本発明の転がり案内装置は、図1に示すように、転がり案内装置を構成する移動部材本体6に特徴を有するものである。その特徴的な移動部材本体6を有する移動部材2、およびその移動部材2を備える転がり案内装置は、図6に示すような一般的な転がり案内装置と同様の構成をなしている。
【0024】
転がり案内装置1は、図6に示すように、長手方向に沿って転動体転走溝5が形成された軌道部材4と、その転動体転走溝5に対応する負荷転動体転走溝9を含む無限循環路を有し、軌道部材4と相対運動自在に組まれた移動部材2と、無限循環路に配列収容されて軌道部材4および移動部材2の相対運動に伴って循環する複数の転動体3とを備えている。
【0025】
本発明において、その移動部材2は、負荷転動体転走溝9および負荷転動体転走溝9に略平行な転動体戻り通路11が形成された移動部材本体6と、その移動部材本体6の両端に装着され、負荷転動体転走溝9および転動体戻り通路11の端同士を連通して方向転換路を構成する側蓋7、8とから構成されている。方向転換路は、移動部材本体6に一体成形された方向転換路内周部13と、側蓋7、8に形成された方向転換路外周部12とからなるものである。
【0026】
こうした転がり案内装置1は、図6に示すような直線タイプの軌道部材4を有するものでも、曲線タイプの軌道部材を有するものでもよく、特に限定されない。また、転動体についても、図6に示すようなボール状の転動体3を有する転がり案内装置であっても、ローラ状の転動体を有する転がり案内装置であってもよく特に限定されない。したがって、本発明の転がり案内装置は、各種のタイプの軌道部材4や転動体3を有するものに好ましく適用することができる。
【0027】
本発明の転がり案内装置において、その移動部材は、図1に示すように、断面凹形状の移動部材本体6と、この移動部材本体6の両端に設けられた断面凹形状の側蓋7、8とからなっている。移動部材本体6は、その凹形状の底面部にあたる水平部6aと、その凹形状の左右側部にあたる一対の脚部6bとを備えている。一対の脚部6bの内側面には、軌道部材4の左右側面4aに設けられた転動体転走溝5に対応する負荷軌道としての負荷転走溝9が形成されている。断面凹形状の移動部材本体とは、軌道部材の長手方向に直交する断面の形状が、その軌道部材を一対の脚部6b、6bで挟む形態からなる凹形または略凹形であるものをいい、一般的な移動部材本体の形態と同様の形態のものを含む。なお、そうした移動部材本体には、凹形状の底面部にあたる水平部6aおよびその凹形状の左右側部にあたる一対の脚部6b、6b以外の形状が施されていてもよく、例えば側蓋装着時のネジ穴14、移動部材装着時のネジ穴15、他の溝、面取り部などが加工されているものであっても構わない。
【0028】
そして、本発明の特徴とするところは、その移動部材本体6の側部両端に形成された方向転換路内周部13が、その移動部材本体6と共にファインブランキング法により打ち抜き加工されて一体化していることにある。
【0029】
図2および図3は、本発明に係る転がり案内装置の製造方法の各工程を示す説明図である。本発明の転がり案内装置の製造方法は、その転がり案内装置を構成する移動部材本体の製造工程に特徴を有している。
【0030】
移動部材2の製造工程は、先ず、図2(a)に示すように、移動部材本体形成用に通常使用される鉄鋼製の圧延素材21を準備する。この圧延素材21の厚さは、その後引き続いて行われる引抜加工の回数により任意に設定される。例えば、引抜加工の回数が1回のときと複数回のときとでは、準備する圧延素材21の厚さが異なってくる。なお、本発明の製造方法は、小型の転がり案内装置を構成する移動部材の製造により好ましく適用されるので、例えばSUS440Cを圧延素材21として用いた場合には、厚さがおよそ4〜5mm以下程度であることが好ましい。
【0031】
次に、その圧延素材21を引抜加工する。引抜加工については、所定寸法の異形ダイスを用いて図2(b)に示すような溝24(符号22は底面部であり、符号23は側面部である。)を形成し、最終的な移動部材本体の断面凹形状の凹部寸法と同一または略同一となるように形成する。ここで形成した溝24は、その後の打ち抜き工程での基準溝となる。引抜加工の回数は特に限定されないが、通常1回から4、5回程度であり、工程の簡素化の観点からは1回または2回がより好ましい。
【0032】
次に、圧延素材21の溝形成面の法線方向からファインブランキング法により打ち抜き加工し、所望の形状からなる移動部材本体26を成形する(図3(c)を参照)。この打ち抜き加工は、溝24が形成された圧延素材25を順次送りながら、連続的に行われる。ファインブランキング法は、図4に例示するようなファインブランキング装置41を使用し、ナイフエッジ状の突起44を有する板押さえ治具43(圧力Pf)と、逆押さえ治具45(圧力Pr)とで被加工物(本願では圧延素材25)を押さえ、クリアランスの小さいパンチ46とダイ42とにより、被加工物の内部に高い圧縮応力を生じさせ、材料の延性を高めて割れの発生を防ぎ、破断のない垂直で美しいせん断面を得る方法である。本発明の移動部材本体の製造にこのファインブランキング法を適用することにより、高精度で極めて短時間に、移動部材本体形状に打ち抜くことができる。その結果、従来のような複雑で困難な加工を大幅に省略することができると共に、合理的で精度の高い打ち抜き製品を製造することができる。本発明において、クリアランスは通常のファインブランキング加工と同程度、例えば0〜数μm(例えば、5、6μm程度)で行うことができる。
【0033】
なお、本発明の製造方法において、パンチ46の打ち抜き先端には、圧延素材25の溝24の底面幅と側面高さからなる断面凹形状と略同一形状の凸部47が形成されている。そして、その凸部47を、圧延素材25に形成されている溝24に合致させて打ち抜いている。したがって、圧延素材25の溝24は、パンチ46の凸部47に相対する基準溝としての役割を担っている。本発明の製造方法においては、こうしたパンチ46でファインブランキング加工を行うので、脚部6bの寸法に乱れがなく、優れた寸法精度の移動部材本体を安定して製造することができる。
【0034】
図3(a)は、ファインブランキング法で打ち抜き加工された素形状の移動部材本体6’の一例を示している。この素形状の移動部材本体6’は、その側部両端の脚部6bに形成された略半円柱状の方向転換路内周部13が、素形状の移動部材本体6’と共にファインブランキング法により打ち抜き加工されて一体化している。そして、その方向転換路内周部13は、図3(a)を正面視すると明らかなように、上下方向(打ち抜き方向のこと。以下同じ。)の全長にわたって形成されている。このファインブランキング加工の際には、移動部材取り付け穴31を併せて形成してもよく、その後の穴空け加工を省略することができる。
【0035】
図3(b)は、ファインブランキング加工された素形状の移動部材本体6’を加工して所望の移動部材本体6としたときの形態を示している。素形状の移動部材本体6’の加工は、先ず、上下方向に延びる略半円柱状の方向転換路内周部13の脚部6b側に位置する転走体転走領域を残し、それ以外の部分を切削により除去する。
【0036】
その後、成形された移動部材本体6’の脚部6bに形成された方向転換路内周部13の横に、転動体の循環路である転走体戻り通路11を形成する。この転走体戻り通路11の形成において、打ち抜き加工された後の素形状の移動部材本体6’は溝形成面の側からパンチで打ち抜き加工されるので、成形された素形状の移動部材本体6’の脚部6b側の端部33に「ダレ」が生じることがない。そのため、脚部6bには、転動体の循環路である転走体戻り通路11を穴空けするためのスペースが確保されることになり、問題なく穴空け加工することができる。このとき、その転動体戻り通路11を形成した後またはそれと同時に、側蓋の装着ネジ穴32を形成してもよい。
【0037】
なお、「ダレ」が生じない脚部6b側の端部33とは反対側の端部34においては、パンチの打ち抜かれる方向に起因したダレが生じる。しかしながら、この部分に生じたダレが、面取りを省略することができるという利点を発生し、面取り作業の省略または面取り作業の軽減を図ることができる。
【0038】
図5は、本発明の転がり案内装置を構成する移動部材の転動体の循環路を示す平面図である。略半円柱状の方向転換路内周部13と移動部材本体とが一体化しているので、方向転換路内周部13と移動部材本体とが別体で設けられた場合のような段差による転動体の転走障害のようなものがなく、極めてスムースに転がることができる。なお、略半円柱状の方向転換路内周部13は、転動体転走溝を有していないが、その状態であっても転走体の転がりには影響がなかった。なお、方向転換路内周部13には、その後の加工により、転動体の径等に対応した任意の転走溝を形成してもよい。
【0039】
以上のように作製された移動部材本体6にはその後側蓋7、8が装着され、移動部材2が製造され、その移動部材2を構成部材とする転がり案内装置が製造される。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の転がり案内装置によれば、その転がり案内装置を構成を構成する移動部材の方向転換路内周部が、移動部材本体と共にファインブランキング法により打ち抜き加工されて一体化しているので、上述した従来の問題がなく、精度のよい移動部材を提供でき、さらに、加工が容易で加工時間も短いので安価な移動部材とすることができる。また、移動部材本体がファインブランキング法で打ち抜き加工されて作製されたので、均質で精度のよい移動部材とすることができ、転がり案内装置の品質向上に寄与できる。
【0041】
また、本発明の転がり案内装置の製造方法によれば、寸法精度に優れた移動部材本体を極めて効率的に製造することができる。この方法は、特に小型の転がり案内装置を構成する移動部材の製造に関し、従来のような切削、鍛造、焼結、射出成形などの方法に比べて極めて有効な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり案内装置を構成する移動部材の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の転がり案内装置を構成する移動部材の製造工程を示す説明図である。
【図3】本発明の転がり案内装置を構成する移動部材の製造工程を示す説明図である。
【図4】本発明に適用したファインブランキング装置の一例を示す原理図である。
【図5】移動部材の転動体の循環路を示す平面図である。
【図6】転がり案内装置の一例を示す斜視図である。
【図7】一般的な移動部材の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 転がり案内装置
2 移動部材
3 転動体
4 軌道部材
4a 軌道部材の左右側面
5 転動体転走溝
6 移動部材本体
6’ 素形状の移動部材本体
6a 水平部
6b 脚部
7、8 側蓋
9 負荷転動体転走溝
11 転動体戻り通路
12 方向転換路外周部
13 方向転換路内周部
14 側蓋装着時のネジ穴
15 移動部材装着時のネジ穴
21 圧延素材
22 底面部
23 側面部
24 溝
25 溝形成後の圧延素材
26 移動部材本体
31 移動部材取り付け穴
32 側蓋の装着ネジ穴
33、34 端部
41 ファインブランキング装置
42 ダイ
43 板押さえ治具
44 ナイフエッジ状の突起
45 逆押さえ治具
46 パンチ
47 パンチの凸部
P、Pf、Pr 圧力
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり案内装置およびその製造方法に関し、更に詳しくは、ファインブランキング法により製造された、精度がよく且つ安価な小型の転がり案内装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械等に組み込まれて工作物担持用のテーブル等を案内する転がり案内装置101は、図6に示すように、長手方向に向かって形成された転動体転走溝105を有する軌道部材104と、その転動体転走溝105に対応する負荷転動体転走溝109を含む無限循環路を有し、その無限循環路に配列収容された多数の転動体103を介して軌道部材104に装着される移動部材102とから構成されている。そして、その軌道部材104と移動部材102とは、転動体103の転がりにより自在に相対運動するように構成されている。
【0003】
こうした転がり案内装置において、その移動部材は、図7に示すように、断面凹形状の移動部材本体106と、この移動部材本体106の両端に設けられた断面凹形状の側蓋107、108とからなっている。移動部材本体106は、通常、その凹形状の底面部にあたる水平部106aと、その凹形状の左右側部にあたる一対の脚部106bとを備えている。一対の脚部106bの内側面には、軌道部材104の左右側面104aに設けられた転動体転走溝105に対応する負荷軌道としての負荷転走溝109が形成されている。
【0004】
側蓋107、108には、負荷転走溝109を転がる転動体103を掬い上げて転動体戻り通路111に案内し、また逆に転動体戻り通路111から負荷転走溝109へと転動体103を案内する方向転換路外周部112が形成されている。また、移動部材本体106の両端には、この方向転換路外周部112と共に方向転換路を構成する方向転換路内周部113が装着されている。そして、側蓋07、108を移動部材本体106に結合させることで、方向転換路内周部113と方向転換路外周部112との間で方向転換路が構成されている。
【0005】
こうした一般的な転がり案内装置を構成する移動部材においては、側蓋と方向転換路内周部の2部品を組み合わせ、それを移動部材本体に取り付けた構造となっている。
【0006】
また、他の構造としては、移動部材本体と方向転換路内周部を一体化する方法が提案されている。例えば、移動部材本体の両端を切削して方向転換路内周部を形成する方法、金属射出成形(MIM)で移動部材本体と方向転換路内周部を一体成形する方法(例えば、特許文献1参照)、および樹脂材料をインサート成形して移動部材本体と方向転換路内周部を一体成形する方法(例えば、特許文献2を参照)、が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−65053号公報(段落番号0034)
【特許文献2】
特開平7−317762号公報(段落番号0076)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、側蓋と方向転換路内周部の2部品を組み合わせ、それを移動部材本体に取り付けた構造においては、特に小型の移動部材を形成する場合において、その方向転換路内周部の製造が極めて困難になると共に、組み立て性が悪くなるという問題があった。
【0009】
また、移動部材本体の両端を切削して方向転換路内周部を形成する方法においては、特殊工具が必要となるという製造上の難点があると共に、特に小型の移動部材を形成する場合においてその加工精度をだすのが難しいという問題があった。
【0010】
また、金属射出成形(MIM)で移動部材本体と方向転換路内周部を一体成形する方法においては、成形時に生じた歪みによる寸法精度のばらつきの問題や、後加工が難しいという問題があり、特に小型の移動部材の場合においてはその成形が困難になるという問題があった。
【0011】
また、樹脂材料をインサート成形して移動部材本体と方向転換路内周部を一体成形する方法においては、複雑な形状の金型が必要となり、樹脂の流れの制御が難しいという問題があり、特に小型の移動部材の場合においてはその成形が困難になるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、精度がよく、移動部材の製造が容易で安価な転がり案内装置およびその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、長手方向に沿って転動体転走溝が形成された軌道部材と、前記転動体転走溝に対応する負荷転動体転走溝を含む無限循環路を有し、前記軌道部材と相対運動自在に組まれた移動部材と、前記無限循環路に配列収容されて前記軌道部材および移動部材の相対運動に伴って循環する複数の転動体とを備え、前記移動部材が、前記負荷転動体転走溝および当該負荷転動体転走溝に略平行な転動体戻り通路が形成された移動部材本体と、前記負荷転動体転走溝および前記転動体戻り通路の端同士を連通する方向転換路が形成されており、前記移動部材本体の端部に装着された側蓋とからなり、前記方向転換路が、前記移動部材本体の側部両端に形成された方向転換路内周部と、前記側蓋に形成された方向転換路外周部とからなる、転がり案内装置の製造方法であって、断面凹形状となる溝が形成された圧延素材を準備し、当該溝が形成された側の法線方向からファインブランキング法により打ち抜き加工する工程を有することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、予め溝を形成した圧延素材を準備し、その溝が形成された側からファインブランキング加工で打ち抜き加工する工程により移動部材本体を加工するので、寸法精度に優れた移動部材本体およびその移動部材本体を備える転がり案内装置を極めて効率的に製造することができる。この方法においては、移動部材本体の側部両端に形成される方向転換路内周部と移動部材本体とを一体成形できるので、特に小型の転がり案内装置を構成する移動部材の加工に関し、従来のような切削、鍛造、焼結、射出成形などの方法に比べて極めて有効な方法である。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載の転がり案内装置の製造方法において、前記打ち抜き加工する工程により、前記方向転換路内周部が移動部材本体と一体成形されることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、方向転換路内周部と移動部材本体とが一体成形されるので、従来のような切削、鍛造、焼結、射出成形などの方法に比べて極めて有効な方法である。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の転がり案内装置の製造方法において、前記打ち抜き加工が、断面凹形状と略同一形状の打ち抜き先端を有するパンチで行われることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、断面凹形状と略同一形状の打ち抜き先端を有するパンチで打ち抜き加工するので、断面凹形状を構成する凹部の形状および寸法の乱れが少なく、優れた寸法精度の移動部材本体およびそれを備える転がり案内装置を安定して製造することができる。
【0019】
上記課題を解決するための請求項4の発明は、長手方向に沿って転動体転走溝が形成された軌道部材と、前記転動体転走溝に対応する負荷転動体転走溝を含む無限循環路を有し、前記軌道部材と相対運動自在に組まれた移動部材と、前記無限循環路に配列収容されて前記軌道部材および移動部材の相対運動に伴って循環する複数の転動体と、を備える転がり案内装置であって、前記移動部材は、前記負荷転動体転走溝および当該負荷転動体転走溝に略平行な転動体戻り通路が形成された移動部材本体と、前記負荷転動体転走溝および前記転動体戻り通路の端同士を連通する方向転換路が形成され、前記移動部材本体の端部に装着された側蓋とからなり、当該方向転換路が、前記移動部材本体の側部両端に形成された方向転換路内周部と、前記側蓋に形成された方向転換路外周部とからなるものであり、前記移動部材本体は、前記方向転換路内周部が、当該移動部材本体と共にファインブランキング法により打ち抜き加工されて一体化していることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、方向転換路内周部が移動部材本体と共にファインブランキング法により打ち抜き加工されて一体化しているので、上述した従来の問題がなく、精度のよい移動部材およびそれを備える転がり案内装置を提供できる。さらに、加工が容易で加工時間も短いので、安価な移動部材およびそれを備える転がり案内装置とすることができる。また、ファインブランキング法で打ち抜き加工されて作製されているものなので、均質で精度のよい移動部材およびそれを備える転がり案内装置とすることができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項4に記載の転がり案内装置において、前記方向転換路内周部が、転動体転走溝を有しない半円柱形状であることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の転がり案内装置およびその製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0023】
本発明の転がり案内装置は、図1に示すように、転がり案内装置を構成する移動部材本体6に特徴を有するものである。その特徴的な移動部材本体6を有する移動部材2、およびその移動部材2を備える転がり案内装置は、図6に示すような一般的な転がり案内装置と同様の構成をなしている。
【0024】
転がり案内装置1は、図6に示すように、長手方向に沿って転動体転走溝5が形成された軌道部材4と、その転動体転走溝5に対応する負荷転動体転走溝9を含む無限循環路を有し、軌道部材4と相対運動自在に組まれた移動部材2と、無限循環路に配列収容されて軌道部材4および移動部材2の相対運動に伴って循環する複数の転動体3とを備えている。
【0025】
本発明において、その移動部材2は、負荷転動体転走溝9および負荷転動体転走溝9に略平行な転動体戻り通路11が形成された移動部材本体6と、その移動部材本体6の両端に装着され、負荷転動体転走溝9および転動体戻り通路11の端同士を連通して方向転換路を構成する側蓋7、8とから構成されている。方向転換路は、移動部材本体6に一体成形された方向転換路内周部13と、側蓋7、8に形成された方向転換路外周部12とからなるものである。
【0026】
こうした転がり案内装置1は、図6に示すような直線タイプの軌道部材4を有するものでも、曲線タイプの軌道部材を有するものでもよく、特に限定されない。また、転動体についても、図6に示すようなボール状の転動体3を有する転がり案内装置であっても、ローラ状の転動体を有する転がり案内装置であってもよく特に限定されない。したがって、本発明の転がり案内装置は、各種のタイプの軌道部材4や転動体3を有するものに好ましく適用することができる。
【0027】
本発明の転がり案内装置において、その移動部材は、図1に示すように、断面凹形状の移動部材本体6と、この移動部材本体6の両端に設けられた断面凹形状の側蓋7、8とからなっている。移動部材本体6は、その凹形状の底面部にあたる水平部6aと、その凹形状の左右側部にあたる一対の脚部6bとを備えている。一対の脚部6bの内側面には、軌道部材4の左右側面4aに設けられた転動体転走溝5に対応する負荷軌道としての負荷転走溝9が形成されている。断面凹形状の移動部材本体とは、軌道部材の長手方向に直交する断面の形状が、その軌道部材を一対の脚部6b、6bで挟む形態からなる凹形または略凹形であるものをいい、一般的な移動部材本体の形態と同様の形態のものを含む。なお、そうした移動部材本体には、凹形状の底面部にあたる水平部6aおよびその凹形状の左右側部にあたる一対の脚部6b、6b以外の形状が施されていてもよく、例えば側蓋装着時のネジ穴14、移動部材装着時のネジ穴15、他の溝、面取り部などが加工されているものであっても構わない。
【0028】
そして、本発明の特徴とするところは、その移動部材本体6の側部両端に形成された方向転換路内周部13が、その移動部材本体6と共にファインブランキング法により打ち抜き加工されて一体化していることにある。
【0029】
図2および図3は、本発明に係る転がり案内装置の製造方法の各工程を示す説明図である。本発明の転がり案内装置の製造方法は、その転がり案内装置を構成する移動部材本体の製造工程に特徴を有している。
【0030】
移動部材2の製造工程は、先ず、図2(a)に示すように、移動部材本体形成用に通常使用される鉄鋼製の圧延素材21を準備する。この圧延素材21の厚さは、その後引き続いて行われる引抜加工の回数により任意に設定される。例えば、引抜加工の回数が1回のときと複数回のときとでは、準備する圧延素材21の厚さが異なってくる。なお、本発明の製造方法は、小型の転がり案内装置を構成する移動部材の製造により好ましく適用されるので、例えばSUS440Cを圧延素材21として用いた場合には、厚さがおよそ4〜5mm以下程度であることが好ましい。
【0031】
次に、その圧延素材21を引抜加工する。引抜加工については、所定寸法の異形ダイスを用いて図2(b)に示すような溝24(符号22は底面部であり、符号23は側面部である。)を形成し、最終的な移動部材本体の断面凹形状の凹部寸法と同一または略同一となるように形成する。ここで形成した溝24は、その後の打ち抜き工程での基準溝となる。引抜加工の回数は特に限定されないが、通常1回から4、5回程度であり、工程の簡素化の観点からは1回または2回がより好ましい。
【0032】
次に、圧延素材21の溝形成面の法線方向からファインブランキング法により打ち抜き加工し、所望の形状からなる移動部材本体26を成形する(図3(c)を参照)。この打ち抜き加工は、溝24が形成された圧延素材25を順次送りながら、連続的に行われる。ファインブランキング法は、図4に例示するようなファインブランキング装置41を使用し、ナイフエッジ状の突起44を有する板押さえ治具43(圧力Pf)と、逆押さえ治具45(圧力Pr)とで被加工物(本願では圧延素材25)を押さえ、クリアランスの小さいパンチ46とダイ42とにより、被加工物の内部に高い圧縮応力を生じさせ、材料の延性を高めて割れの発生を防ぎ、破断のない垂直で美しいせん断面を得る方法である。本発明の移動部材本体の製造にこのファインブランキング法を適用することにより、高精度で極めて短時間に、移動部材本体形状に打ち抜くことができる。その結果、従来のような複雑で困難な加工を大幅に省略することができると共に、合理的で精度の高い打ち抜き製品を製造することができる。本発明において、クリアランスは通常のファインブランキング加工と同程度、例えば0〜数μm(例えば、5、6μm程度)で行うことができる。
【0033】
なお、本発明の製造方法において、パンチ46の打ち抜き先端には、圧延素材25の溝24の底面幅と側面高さからなる断面凹形状と略同一形状の凸部47が形成されている。そして、その凸部47を、圧延素材25に形成されている溝24に合致させて打ち抜いている。したがって、圧延素材25の溝24は、パンチ46の凸部47に相対する基準溝としての役割を担っている。本発明の製造方法においては、こうしたパンチ46でファインブランキング加工を行うので、脚部6bの寸法に乱れがなく、優れた寸法精度の移動部材本体を安定して製造することができる。
【0034】
図3(a)は、ファインブランキング法で打ち抜き加工された素形状の移動部材本体6’の一例を示している。この素形状の移動部材本体6’は、その側部両端の脚部6bに形成された略半円柱状の方向転換路内周部13が、素形状の移動部材本体6’と共にファインブランキング法により打ち抜き加工されて一体化している。そして、その方向転換路内周部13は、図3(a)を正面視すると明らかなように、上下方向(打ち抜き方向のこと。以下同じ。)の全長にわたって形成されている。このファインブランキング加工の際には、移動部材取り付け穴31を併せて形成してもよく、その後の穴空け加工を省略することができる。
【0035】
図3(b)は、ファインブランキング加工された素形状の移動部材本体6’を加工して所望の移動部材本体6としたときの形態を示している。素形状の移動部材本体6’の加工は、先ず、上下方向に延びる略半円柱状の方向転換路内周部13の脚部6b側に位置する転走体転走領域を残し、それ以外の部分を切削により除去する。
【0036】
その後、成形された移動部材本体6’の脚部6bに形成された方向転換路内周部13の横に、転動体の循環路である転走体戻り通路11を形成する。この転走体戻り通路11の形成において、打ち抜き加工された後の素形状の移動部材本体6’は溝形成面の側からパンチで打ち抜き加工されるので、成形された素形状の移動部材本体6’の脚部6b側の端部33に「ダレ」が生じることがない。そのため、脚部6bには、転動体の循環路である転走体戻り通路11を穴空けするためのスペースが確保されることになり、問題なく穴空け加工することができる。このとき、その転動体戻り通路11を形成した後またはそれと同時に、側蓋の装着ネジ穴32を形成してもよい。
【0037】
なお、「ダレ」が生じない脚部6b側の端部33とは反対側の端部34においては、パンチの打ち抜かれる方向に起因したダレが生じる。しかしながら、この部分に生じたダレが、面取りを省略することができるという利点を発生し、面取り作業の省略または面取り作業の軽減を図ることができる。
【0038】
図5は、本発明の転がり案内装置を構成する移動部材の転動体の循環路を示す平面図である。略半円柱状の方向転換路内周部13と移動部材本体とが一体化しているので、方向転換路内周部13と移動部材本体とが別体で設けられた場合のような段差による転動体の転走障害のようなものがなく、極めてスムースに転がることができる。なお、略半円柱状の方向転換路内周部13は、転動体転走溝を有していないが、その状態であっても転走体の転がりには影響がなかった。なお、方向転換路内周部13には、その後の加工により、転動体の径等に対応した任意の転走溝を形成してもよい。
【0039】
以上のように作製された移動部材本体6にはその後側蓋7、8が装着され、移動部材2が製造され、その移動部材2を構成部材とする転がり案内装置が製造される。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の転がり案内装置によれば、その転がり案内装置を構成を構成する移動部材の方向転換路内周部が、移動部材本体と共にファインブランキング法により打ち抜き加工されて一体化しているので、上述した従来の問題がなく、精度のよい移動部材を提供でき、さらに、加工が容易で加工時間も短いので安価な移動部材とすることができる。また、移動部材本体がファインブランキング法で打ち抜き加工されて作製されたので、均質で精度のよい移動部材とすることができ、転がり案内装置の品質向上に寄与できる。
【0041】
また、本発明の転がり案内装置の製造方法によれば、寸法精度に優れた移動部材本体を極めて効率的に製造することができる。この方法は、特に小型の転がり案内装置を構成する移動部材の製造に関し、従来のような切削、鍛造、焼結、射出成形などの方法に比べて極めて有効な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり案内装置を構成する移動部材の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の転がり案内装置を構成する移動部材の製造工程を示す説明図である。
【図3】本発明の転がり案内装置を構成する移動部材の製造工程を示す説明図である。
【図4】本発明に適用したファインブランキング装置の一例を示す原理図である。
【図5】移動部材の転動体の循環路を示す平面図である。
【図6】転がり案内装置の一例を示す斜視図である。
【図7】一般的な移動部材の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 転がり案内装置
2 移動部材
3 転動体
4 軌道部材
4a 軌道部材の左右側面
5 転動体転走溝
6 移動部材本体
6’ 素形状の移動部材本体
6a 水平部
6b 脚部
7、8 側蓋
9 負荷転動体転走溝
11 転動体戻り通路
12 方向転換路外周部
13 方向転換路内周部
14 側蓋装着時のネジ穴
15 移動部材装着時のネジ穴
21 圧延素材
22 底面部
23 側面部
24 溝
25 溝形成後の圧延素材
26 移動部材本体
31 移動部材取り付け穴
32 側蓋の装着ネジ穴
33、34 端部
41 ファインブランキング装置
42 ダイ
43 板押さえ治具
44 ナイフエッジ状の突起
45 逆押さえ治具
46 パンチ
47 パンチの凸部
P、Pf、Pr 圧力
Claims (5)
- 長手方向に沿って転動体転走溝が形成された軌道部材と、前記転動体転走溝に対応する負荷転動体転走溝を含む無限循環路を有し、前記軌道部材と相対運動自在に組まれた移動部材と、前記無限循環路に配列収容されて前記軌道部材および移動部材の相対運動に伴って循環する複数の転動体とを備え、前記移動部材が、前記負荷転動体転走溝および当該負荷転動体転走溝に略平行な転動体戻り通路が形成された移動部材本体と、前記負荷転動体転走溝および前記転動体戻り通路の端同士を連通する方向転換路が形成されており、前記移動部材本体の端部に装着された側蓋とからなり、
前記方向転換路が、前記移動部材本体の側部両端に形成された方向転換路内周部と、前記側蓋に形成された方向転換路外周部とからなる、転がり案内装置の製造方法であって、
断面凹形状となる溝が形成された圧延素材を準備し、当該溝が形成された側の法線方向からファインブランキング法により打ち抜き加工する工程を有することを特徴とする転がり案内装置の製造方法。 - 前記打ち抜き加工する工程により、前記方向転換路内周部が移動部材本体と一体成形されることを特徴とする請求項1に記載の転がり案内装置の製造方法。
- 前記打ち抜き加工が、断面凹形状と略同一形状の打ち抜き先端を有するパンチで行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の転がり案内装置の製造方法。
- 長手方向に沿って転動体転走溝が形成された軌道部材と、前記転動体転走溝に対応する負荷転動体転走溝を含む無限循環路を有し、前記軌道部材と相対運動自在に組まれた移動部材と、前記無限循環路に配列収容されて前記軌道部材および移動部材の相対運動に伴って循環する複数の転動体と、を備える転がり案内装置であって、
前記移動部材は、前記負荷転動体転走溝および当該負荷転動体転走溝に略平行な転動体戻り通路が形成された移動部材本体と、前記負荷転動体転走溝および前記転動体戻り通路の端同士を連通する方向転換路が形成され、前記移動部材本体の端部に装着された側蓋とからなり、当該方向転換路が、前記移動部材本体の側部両端に形成された方向転換路内周部と、前記側蓋に形成された方向転換路外周部とからなるものであり、
前記移動部材本体は、前記方向転換路内周部が、当該移動部材本体と共にファインブランキング法により打ち抜き加工されて一体化していることを特徴とする転がり案内装置。 - 前記方向転換路内周部が、転動体転走溝を有しない半円柱形状であることを特徴とする請求項4に記載の転がり案内装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003018356A JP2004232655A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 転がり案内装置およびその製造方法 |
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JP2003018356A JP2004232655A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 転がり案内装置およびその製造方法 |
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JP (1) | JP2004232655A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104001789A (zh) * | 2014-06-05 | 2014-08-27 | 武汉理工大学 | 一种精冲模具点式压边圈及其加工方法 |
CN113586608A (zh) * | 2021-07-28 | 2021-11-02 | 无锡阳光精机有限公司 | 一种用于多线切割机的弧形导轨轴承 |
-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003018356A patent/JP2004232655A/ja not_active Withdrawn
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