JP2004232160A - 不織布 - Google Patents

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Takashi Yanai
孝 谷内
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Abstract

【課題】バルキー性に優れ、且つストレッチ性やストレッチバック性に優れた不織布を提供する。
【解決手段】繊維長が20〜200mmの短繊維を柱状流で交絡した不織布であって、この繊維が、少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートで構成された潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維である不織布であり、不織布の長さ方向における50%伸長時の弾性回復率が45%以上である不織布。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性に優れ、且つストレッチ性やストレッチバック性に優れた不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先に特許文献1において、カード法や抄造法により形成したシートを柱状流で交絡させて得られるノーバインダーのいわゆるスパンレースタイプの不織布をポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成することにより、柔軟性等に優れた不織布が得られることを提案したが、例えばパップ材等の衛材用途では、バルキー性に加えてストレッチ性が必要であるが、ストレッチ性やストレッチバック性を満足するものではなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−107149号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、バルキー性に優れ、且つストレッチ性やストレッチバック性に優れた不織布を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題に鑑み鋭意検討の結果、不織布を構成する繊維に特定の繊維を用いることにより前記課題が解決されることを見いだし、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、繊維長が20〜200mmの短繊維を柱状流で交絡した不織布であって、この短繊維が、少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートで構成された潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維であることを特徴とする不織布である。
【0006】
本発明によれば、不織布の長さ方向における、50%伸長時の弾性回復率が45%以上、さらには50%以上、さらに55%以上、特に60%以上であり、99%以下さらには90%以下、さらに85%以下のストレッチバック性に優れた不織布が得られる。又、巾方向における、50%伸長時の弾性回復率も40%以上、さらには45%以上、特に50%以上であり、90%以下さらには80%以下、特に75%以下のストレッチバック性に優れた不織布が得られる。
【0007】
本発明において、不織布を構成する短繊維の繊維長は、20〜200mmであり、好ましくは25〜180mm、特に好ましくは30〜170mmの範囲である。この範囲の値未満ではペーパーライクでバルキー性に乏しく、この範囲の値を超える繊維長の短繊維又は、連続長繊維では短繊維独特のバルキー性に乏しい。
ここで、過長繊維割合(設定繊維長よりも長い繊維長を持つ単繊維の含有割合)が0.5%以下であることが好ましい。
単糸繊度は、0.1〜10.0dtexであることが好ましく、特に1.0〜6.0dtexが好ましい。
【0008】
さらに、この繊維の初期引張抵抗度が10〜30cN/dtexであることが好ましく、より好ましくは20〜30cN/dtex、さらに好ましくは20〜27cN/dtexである。
又、単繊維の断面は、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面形状が丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、ブーメラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
【0009】
本発明における潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維とは、少なくとも二種のポリエステル成分で構成(具体的には、サイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合されたものが多い。)されているものであり、熱処理によって捲縮を発現するものである。二種のポリエステル成分の複合比(一般的には質量%で70/30〜30/70の範囲内のものが多い。)、接合面形状(直線又は曲線形状のものがある。)は特に限定されない。
本発明の潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維は、少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートであることに特徴がある。具体的には、特開2001−40537号公報に開示されているようなポリトリメチレンテレフタレートを一成分とするものがある。
【0010】
即ち、二種のポリエステルポリマーをサイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合された複合繊維であり、サイドバイサイド型の場合、二種のポリエステルポリマーの溶融粘度比が、1.00〜2.00が好ましく、偏芯芯鞘型の場合は、鞘ポリマーと芯ポリマーのアルカリ減量速度比は、3倍以上鞘ポリマーが速いことが好ましい。具体的なポリマーの組み合わせとしては、ポリトリメチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1.3−プロパンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、エチレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。又、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。)とポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。又、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。)、並びにポリトリメチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1.4−ブタンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、エチレングリコール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。又、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。)が好ましく、特に捲縮の内側にポリトリメチレンテレフタレートが配置されると好ましい。
【0011】
このように本発明は、潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維を構成するポリエステル成分の少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタレートであるものであり、上記特開2001−40537号公報以外にも、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報、特開2000−328382号公報、特開2001−81640号公報等には、第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第二成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルを並列的あるいは偏芯的に配置したサイドバイサイド型又は偏芯鞘芯型に複合紡糸したものが開示されている。特にポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましく、互いにサイドバイサイド型に複合されたものが好ましい。
【0012】
2種類のポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度差は0.05〜0.40(dl/g)であることが好ましく、特に0.10〜0.35(dl/g)、さらに0.15〜0.35(dl/g)がよい。例えば高粘度側の固有粘度を0.70〜1.30(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有粘度は0.50〜1.10(dl/g)から選択されるのが好ましい。尚、低粘度側の固有粘度は0.80(dl/g)以上が好ましく、特に0.85〜1.00(dl/g)、さらに0.90〜1.00(dl/g)がよい。
また、本発明の複合繊維自体の固有粘度、即ち、平均固有粘度は、0.70〜1.20(dl/g)がよく、0.80〜1.20(dl/g)がより好ましい。特に0.85〜1.15(dl/g)が好ましく、さらに0.90〜1.10(dl/g)がよい。
【0013】
なお、本発明でいう固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸されている糸の粘度を指す。この理由は、ポリトリメチレンテレフタレートの特徴として、ポリエチレンテレフタレート等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合繊維においては両者の固有粘度差を大きく維持することが困難であるためである。
ここで、ポリトリメチレンテレフタレートは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルであり、トリメチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上のものをいう。従って、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が、約50モル%以下好ましくは30モル%以下、さらには20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0014】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又は例えばテレフタル酸ジメチルなどのその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に縮合せしめることにより製造される。この製造過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合してもよいし、又、ポリエチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを別個に製造した後、ブレンドしたりしても良い。ブレンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は質量%で、50%以上が好ましい。
【0015】
添加することができる第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で用いることもできる。
【0016】
さらに、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等の改質剤を添加して含有させていてもよい。
本発明において潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の紡糸については、例えば上記の各種特開に開示されており、例えば、3000m/分以下の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法や、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)等により長繊維を得る。
【0017】
得られた長繊維を連続的に束にするか、あるいは一度パッケージに巻き取った長繊維を再度解舒して束にしてトウを形成してもよく、その際、紡績用の油剤を付与してもよい。一度パッケージに巻き取った長繊維を再度解舒して束にする場合は、長繊維用の仕上げ油剤が付与されているため、該油剤を除去した後に紡績用の油剤を付与するのが好ましい。なお、溶融紡糸した未延伸糸を束にしてトウを形成した後に延伸しても良いが、均一な短繊維を得るには延伸後にトウを形成するのが好ましい。
溶融紡糸において、好ましくは2000m/分以上、より好ましくは2500〜4000m/分の巻取り速度で引取って得られる部分配向未延伸糸を用いることもできる。
【0018】
本発明の不織布は、かかる潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維で構成されてなるものであるが、不織布における、潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の混率は、好ましくは50質量%以上、特に70質量%以上、さらには80質重量%以上が本発明の目的達成上好ましい。
本発明の目的を損なわない範囲内で、50質量%以下の範囲内で天然繊維、合成繊維等他の繊維、例えば、綿、羊毛、麻、絹等の天然繊維、キュプラ、ビスコース、ポリノジック、精製セルロース、アセテート、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ナイロン、アクリル等の各種人造繊維、さらにはこれらの共重合タイプや、同種又は異種ポリマー使いの複合繊維(サイドバイサイド型、偏芯鞘芯型等)を混用してもよい。
【0019】
本発明の潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維を用いたシートは、つぎのような方法で製造される。ポリトリメチレンテレフタレートポリマーを多数の紡糸ノズルから溶融紡糸することによって形成される多数の連続フィラメント束を切断することにより所定の繊維長を有する短繊維を形成するが、好ましくは切断する前に、例えばスタッファボックスを用いた押込み捲縮加工により捲縮を付与することがシート作製上好ましい。捲縮の程度としては、顕在化している捲縮数が3〜30個/25mmが好ましく、5〜20個/25mmがより好ましい。また、顕在している捲縮の捲縮率は2〜30%が好ましく、4〜25%がより好ましい。
【0020】
ここで、繊維長が短いほど上記範囲内で捲縮数は多く、捲縮率は大きくする方が好ましい。より具体的には、繊維長38mmの場合には捲縮数は16±2個/25mm、捲縮率は18±3%、繊維長51mmの場合には捲縮数は12±2個/25mm、捲縮率は15±3%、繊維長64mm以上のバイアスカットの場合には捲縮数は8±2個/25mm、捲縮率は12±3%とするのが好ましい。また、次の工程であるカード機が、高速度タイプの場合は、捲縮が伸ばされ易くなるため、捲縮率を上記範囲よりも2〜5%大きくするのが好ましい。
【0021】
ついで、短繊維を開綿しカード機のドラムに装着された針布により櫛けずることにより、短繊維を一定の方向に配列させシートを形成する。
得られたシートは、注状流により交絡させる。ここでいう注状流とは、液体あるいは気体による高速流体であるが、取り扱い易さ、コスト、液体としての衝突エネルギーの大きさなどの点から水が最も好ましい。水を用いる場合、水圧は用いるシートの目付量によって異なるが、490〜19600kPa、好ましくは980〜7840kPaの範囲で衝突させる。低目付の場合は水圧は低く、高目付になる程高水圧に設定すれば良い。
【0022】
水流の軌跡形状はシートの進行方向(長さ方向)に対し平行な直線状であっても良いし、ノズルを取り付けたヘッダーの回転運動や進行方向に直角に往復する摺動運動によって得られる曲線形状であっても良い。回転運動により得られる幾重にも重なった円形状の水流軌跡の交絡は、ノズル1個当たりのシートに対する水流の噴射面積が大きくなり効率的であると同時に、用途によっては商品価値を低下させる水流軌跡の跡が見えにくい。さらには不織布の経緯の強度比が小さい利点があり好ましい。シートに対する高速水流の処理の仕方は、裏、表交互に水流を噴射する方法でも良いし、片面だけを処理するのも良い。また処理回数も目的に応じて最適条件を選択すれば良い。
【0023】
このようにして得られた不織布は、潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維の捲縮発現のために熱処理を施す。熱処理は、好ましくはシート作製後、又は注状流した後に行うのがよく、特に厚みを規制した状態で熱処理することにより、所望の密度の緻密な不織布が得られる。
熱処理は、熱風循環ドライヤー、熱風貫流ドライヤー、サクションドラムドライヤー、フラットカレンダーロール、エンボスロール等のヒートロール等の熱処理装置で熱処理を施す。
熱処理は、通常、100〜190℃好ましくは110〜180℃で乾式又は湿式で熱処理すればよい。
本発明において、不織布の目付は、好ましくは30〜200g/m、特に50〜200g/mの範囲がよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、実施例などにより本発明を詳細説明するが、本発明はこれらの実施例などにより何ら限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例における評価は以下の方法により測定した。
(1)固有粘度
固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
定義中のηrは純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
なお、固有粘度の異なるポリマーを用いた複合マルチフィラメントは、マルチフィラメントを構成するそれぞれの固有粘度を測定することは困難であるので、複合マルチフィラメントの紡糸条件と同じ条件で2種類のポリマーをそれぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有粘度を、複合マルチフィラメントを構成する固有粘度とした。
【0025】
(2)初期引張抵抗度
JIS−L−1013;化学繊維フィラメント糸試験方法、初期引張抵抗度の試験方法に準じ、試料の単位繊度当たり0.0882cN/dtexの初荷重を掛けて引張試験を行い、得られた荷重−伸長曲線から初期引張抵抗度(cN/dtex)を算出し、10回の平均値を求めた。
(3)捲縮数、捲縮率
JIS−L−1015(化学繊維ステープル試験方法)のけん縮数試験方法、及び、けん縮率試験方法により測定した。
(4)50%伸長時の弾性回復率
不織布の長さ方向並びに巾方向に50mm×200mmの試験片を採取し、自動記録装置付き定速伸長形引っ張り試験機につかみ巾として100mmで取り付け、伸長率50%まで引っ張り速度500mm/minで伸長し1分間放置した。その後、再び同じ速度で収縮させ、応力−歪み曲線を描く。収縮中、応力がゼロになった時の伸度を残留伸度(A)とする。弾性回復率は以下の式に従って求めた。
50%伸長時の弾性回復率(%)=〔(50−A)/50〕×100
【0026】
【実施例1】
固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを比率1:1でサイドバイサイド型に押出し、紡糸温度265℃、紡糸速度1500m/分で未延伸糸を得、次いでホットロール温度55℃、ホットプレート温度140℃、延伸速度400m/分、延伸倍率は延伸後の繊度が84dtexとなるように設定して延撚し、84dtex/36fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は高粘度側が[η]=0.92、低粘度側が[η]=0.68であった。初期引張抵抗度は25cN/dtexであった。
【0027】
得られた延伸糸200本を束にしてトウとし、精錬工程にて長繊維用の仕上げ剤を除去した後、ラウリル燐酸エステルカリウム塩を主成分とする紡績用油剤を0.1%omf付与し、スチーム処理工程で110℃の条件で熱処理を行った。続いて熱延伸ロール工程において、ロール表面温度105℃(トウ表面温度92℃)、延伸倍率1.05倍、熱セット時間30秒の条件で乾熱延伸処理(緊張熱セット)を行った後、スタッファボックスを用いてトウ表面温度55℃の条件で押込み捲縮加工を行い、ECカッターを用いて繊維長38mmの長さに切断してポリトリメチレンテレフタレート複合短繊維を得た。得られたポリトリメチレンテレフタレート複合短繊維の顕在捲縮数は16.6個/25mm、顕在捲縮率は17.5%であった。
【0028】
得られたポリトリメチレンテレフタレート複合短繊維を通常の綿紡方式の紡績工程に投入し、目付40g/mのカードウェブのシートを得た。
このシートにノズル径0.1mm、ノズル間ピッチ5mm、列数18列の多数のノズルから2940kPaの水圧の柱状水流を噴射させて繊維を交絡させた。
ノズルとシートの間隔は30mmで、シートの下はステンレス製の100メッシュの金網支持部体とし、金網を通して吸引脱水した。同様の処理をシートの反対側にも施した。次いで水圧を1764kPaに設定し、両面を同様に柱状水流で噴射処理した。その後乾燥して交絡した不織布を得た。
この不織布を熱風循環ドライヤーに通して、140℃で加熱処理を施し、捲縮発現させた。
この不織布は、目付50g/m、50%伸長時の弾性回復率が、不織布の長さ方向が82%、巾方向70%と、バルキー性並びにストレッチ性やストレッチバック性に優れた不織布であった。
【0029】
【比較例1】
実施例1において、固有粘度が[η]=0.76の一成分のポリトリメチレンテレフタレートフィラメント(初期引張抵抗度は27cN/dtex)に変化させた以外は、実施例1同様に、交絡した不織布を作製した。この不織布は、目付45g/m、50%伸長時の弾性回復率は、不織布の長さ方向が22%、巾方向38%と、実施例1対比ストレッチ性やストレッチバック性に劣っていた。
【比較例2】
実施例1において、高粘度側が[η]=0.66、低粘度側が[η]=0.50である固有粘度の異なる二種類のポリエチレンテレフタレートで構成されたサイドバイサイド型複合マルチフィラメント(初期引張抵抗度は70cN/dtex)を用いた以外は、実施例1同様に、交絡した不織布を作製した。
この不織布は、目付68g/m、50%伸長時の弾性回復率は、不織布の長さ方向が42%、巾方向39%と、実施例1対比ストレッチ性やストレッチバック性に劣っていた。
【0030】
【実施例2】
実施例1において、高粘度側が[η]=0.88、低粘度側が[η]=0.70の複合マルチフィラメントに変化させた以外は、実施例1同様に、交絡した不織布を得た。
この不織布は、50%伸長時の弾性回復率が、不織布の長さ方向が80%、巾方向68%と、実施例1同様、バルキー性並びにストレッチ性やストレッチバック性に優れた不織布であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、バルキーに優れ、且つストレッチ性やストレッチバック性に優れた不織布を提供するものであり、医療、衛材向け素材、例えば、メディカルドレープ、サージカルガウン、アンダーパッド等の医療用素材特に、オムツ、ナプキン、マスク、パップ等の衛生材料に好適な不織布である。

Claims (2)

  1. 繊維長が20〜200mmの短繊維を柱状流で交絡した不織布であって、この短繊維が、少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートで構成された潜在捲縮発現性ポリエステル系繊維であることを特徴とする不織布。
  2. 不織布の長さ方向における50%伸長時の弾性回復率が45%以上であることを特徴とする請求項1記載の不織布。
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