JP2003166136A - ノントルク仮撚糸の製造方法 - Google Patents

ノントルク仮撚糸の製造方法

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JP2003166136A JP2001365642A JP2001365642A JP2003166136A JP 2003166136 A JP2003166136 A JP 2003166136A JP 2001365642 A JP2001365642 A JP 2001365642A JP 2001365642 A JP2001365642 A JP 2001365642A JP 2003166136 A JP2003166136 A JP 2003166136A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 解舒性や取り扱い性が良好で、高い捲縮性を
有し、風合いがソフトで、実質的に残留トルクがなく、
斜行のない織編物が得られるポリトリメチレンテレフタ
レート仮撚糸の製造方法を提供する。 【解決手段】 S撚方向に加撚、熱固定、解撚したS仮
撚糸と、Z撚方向に加撚、熱固定、解撚したZ仮撚糸と
を、仮撚工程中の解撚工程後に連続的に合糸してパッケ
ージに巻き取るノントルク仮撚糸の製造方法であって、
S仮撚糸とZ仮撚糸の少なくとも一方がポリトリメチレ
ンテレフタレート繊維で構成されていることを特徴とす
るノントルク仮撚糸の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノントルク仮撚糸
の製造方法に関する。より詳細には、解舒性や取り扱い
性が良好で、高い捲縮性を有し、風合いがソフトで、実
質的に残留トルクがなく、斜行のない織編物が得られる
ポリトリメチレンテレフタレート仮撚糸の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ポリトリメチレンテレフタレート繊維
は、ヤング率が低く、弾性回復性に優れた繊維であり、
低ヤング率を有することからナイロン繊維を凌駕する柔
らかさを持った織編物が得られ、同時に良好な熱セット
性を有することからバルキー性に富む捲縮糸が得られる
ことが期待される。特開平9−78373号公報には、
ポリトリメチレンテレフタレート繊維の1ヒーター仮撚
法による仮撚糸が開示されている。この仮撚糸はヤング
率が低いので、仮撚糸自体はソフトな風合いを持ってい
る。仮撚加工法は、マルチフィラメントを加撚した状態
で熱固定し、次いで解撚する方法によって、マルチフィ
ラメントを構成する単繊維1本々々に捲縮を付与する方
法である。従って、解撚されたマルチフィラメントには
加撚状態に戻ろうとする方向への応力が発生するため、
残留トルクを有している。
【0003】本発明者らの知見によれば、ポリトリメチ
レンテレフタレート繊維の1ヒーター仮撚糸は、ポリエ
チレンテレフタレート繊維やナイロン繊維の仮撚糸に比
較して残留トルクが著しく大きく、ポリエチレンテレフ
タレート繊維の仮撚糸の約1.5倍〜2倍も残留トルク
があるため、例えば該仮撚糸を用いた天竺組織の編地は
強い斜行が発生する。本発明者らは特開平11−172
536号公報でポリトリメチレンテレフタレート繊維を
用いた2ヒーター仮撚糸を提案している。この仮撚糸は
ソフトな風合いと適度なバルキー性をあわせ持った仮撚
糸であり、1ヒーター仮撚糸と比較すると残留トルクが
大きく低減された仮撚糸である。しかし、残留トルクが
実質的にゼロである捲縮糸が得られるような加工条件を
選択すると、同時に嵩高性も失われてしまうため、残留
トルクがなく適度な嵩高性を持った捲縮糸を得ることは
できなかった。
【0004】一方、仮撚糸の残留トルクを消す方法とし
て、S撚方向に仮撚した糸(以後S仮撚糸という)とZ
方向に仮撚した糸(以後Z仮撚糸という)を、編み立て
時に引き揃えて供給することにより編地の斜行を防止す
る方法が従来から行われている。例えば、特開平1−1
04804号公報には、ポリエチレンテレフタレート高
配向未延伸糸を延伸仮撚してS仮撚糸とZ仮撚糸を別々
に製造し、編み立てるときに該仮撚糸を引き揃えて供給
するか、あるいは甘撚で合撚した後に編み立てて斜行の
ない靴下の製造方法が開示されている。
【0005】しかし、編みたて時にS仮撚糸とZ仮撚糸
を引き揃えて供給する方法では、S仮撚糸とZ仮撚糸を
それぞれ別々に生産して用意しなければならず、製造ロ
ット間の色差や捲縮差が発生する可能性がある。また、
S仮撚糸とZ仮撚糸を取り違えてしまう可能性もあるこ
とから、工程管理が非常に煩雑になる問題がある。さら
に、甘撚で合撚した糸は、糸道ガイド等でしごかれた際
に撚の移動が起こりやすく、結果的に撚数のばらつきが
生じて編物の品位が低下してしまう問題がある。また、
残留トルクのない捲縮糸を得る方法としては、賦型法や
押込み捲縮加工法が良く知られている。しかし、これら
の方法による捲縮糸は、仮撚糸に比べると捲縮が弱く、
嵩高性に劣る。例えば、特公昭49−21256号公
報、特表平10−502139号公報にはポリトリメチ
レンテレフタレート繊維の押込み捲縮加工糸が開示され
ているが、熱処理後の捲縮伸長率はいずれも100%を
下回っており、高い捲縮性が要求される用途には不充分
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、解舒
性や取り扱い性が良好で、高い捲縮性を有し、風合いが
ソフトで、実質的に残留トルクがなく、斜行のない織編
物が得られるポリトリメチレンテレフタレート仮撚糸の
製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことにポ
リトリメチレンテレフタレート繊維を用いて特定の方法
により製造した仮撚糸であれば、上記目的を達成できる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、S撚方向に加撚、熱固定、解撚したS仮撚糸
と、Z撚方向に加撚、熱固定、解撚したZ仮撚糸とを、
仮撚工程中の解撚工程後に連続的に合糸してパッケージ
に巻き取るノントルク仮撚糸の製造方法であって、S仮
撚糸とZ仮撚糸の少なくとも一方がポリトリメチレンテ
レフタレート繊維で構成されていることを特徴とするノ
ントルク仮撚糸の製造方法である。
【0008】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明においては、S仮撚糸とZ仮撚糸とを一旦巻き取りパ
ッケージに巻き取ることなく、仮撚工程中の解撚工程後
に連続的に合糸してパッケージに巻き取ることが必要で
ある。S仮撚糸とは、S撚方向に加撚されて熱固定さ
れ、続いて解撚された仮撚糸であり、S方向の残留トル
クを有している。一方、Z仮撚糸とは、Z撚方向に加撚
されて熱固定され、続いて解撚された仮撚糸であり、Z
方向の残留トルクを有している。両仮撚糸を引き揃えて
1本の仮撚糸とすることにより、お互いの残留トルクを
打ち消しあってノントルク仮撚糸となる。
【0009】本発明においてノントルク仮撚糸とは、実
質的に残留トルク数が全くないか、極めて残留トルクが
少ない仮撚糸である。本発明の製造方法によれば、S仮
撚糸とZ仮撚糸のそれぞれの残留トルク数が同じであれ
ば、両仮撚糸を合糸してパッケージに巻き取ることで理
論的には残留トルク数はゼロになる。しかしながら、巻
き取りパッケージからの解舒に伴う解舒撚りにより、実
際には数回/mの残留トルクが残る可能性がある。ま
た、S仮撚糸とZ仮撚糸のそれぞれの残留トルク数が異
なる場合は、両仮撚糸を合糸した仮撚糸は残留トルクが
残る場合がある。編地等で斜行が発生しないためには、
残留トルク数の好ましい範囲は10回/m以下、より好
ましくは5回/m以下である。
【0010】本発明の製造方法においては、S仮撚糸と
Z仮撚糸の少なくとも一方がポリトリメチレンテレフタ
レート繊維で構成されていることが必要である。ポリト
リメチレンテレフタレート繊維の仮撚糸は、ポリエチレ
ンテレフタレート繊維の仮撚糸と比較すると顕在捲縮が
大きく、特に解撚直後は捲縮が大きく発現している。ま
た、繊維間摩擦もポリエチレンテレフタレート繊維と比
較すると高いため、S仮撚糸とZ仮撚糸を解撚工程後に
連続的に引き揃えて合糸するだけで、互いの捲縮が絡み
合ってあたかも一本のマルチフィラメントを仮撚したか
のような集束性の高い仮撚糸となる。本発明の仮撚糸は
集束性が高いために、巻き取りパッケージからの解舒性
が良好であり、後工程において糸道ガイド等からしごき
作用を受けた場合でも、仮撚糸がS仮撚糸とZ仮撚糸に
分離しにくく、取り扱い性が非常に良好である。
【0011】一方、ポリエチレンテレフタレート繊維の
仮撚糸は、潜在捲縮型の仮撚糸であって、解撚直後にお
いても捲縮の発現が小さい。そのため、S仮撚糸とZ仮
撚糸の両方にポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚糸
を用いた場合は、単に引き揃えたのみでは捲縮同士の絡
み方が弱く集束性が低いため、巻き取りパッケージから
の解舒時や後工程においてS仮撚糸とZ仮撚糸に分離し
やすく、解舒性や取り扱い性が劣る。そのため、エア交
絡処理等によりS仮撚糸とZ仮撚糸を交絡して集束性を
付与することは必須である。一般にポリエチレンテレフ
タレート繊維の仮撚糸同士の場合は、40個/m程度以
上の交絡数が必要である。
【0012】仮撚糸同士を交絡すると、交絡部分は見か
けの糸径が小さく繊維の動きが拘束されるため、捲縮に
よる嵩高性や伸張性は、交絡部分ではほとんど発現しな
い。そのため、交絡数が多いほど嵩高性や伸張性は損な
われてしまう。S仮撚糸とZ仮撚糸の両方にポリエチレ
ンテレフタレート繊維の仮撚糸を用いた場合は、糸長の
かなりの部分が交絡されて捲縮による嵩高性や伸張性を
発揮できないため、捲縮性の高いノントルク仮撚糸を得
ることは困難である。
【0013】本発明の製造方法によるノントルク仮撚糸
は、S仮撚糸とZ仮撚糸の少なくともどちらか一方がポ
リトリメチレンテレフタレート繊維で構成されているた
め、前述のように必ずしも交絡を付与する必要がない。
また仮に、後工程でのしごきが強くてエア交絡ノズルに
よる交絡処理が必要な場合でも、ポリエチレンテレフタ
レート繊維に比較すると交絡数は非常に少なくてよい。
そのため、本発明の製造方法によるノントルク仮撚糸は
極めて捲縮性の高い仮撚糸となる。交絡数は0〜30個
/mの範囲が好ましく、0〜20個/mがより好まし
く、0〜10個/mがさらに好ましい。
【0014】本発明の製造方法とは異なり、S仮撚糸と
Z仮撚糸をそれぞれ仮撚後に一旦パッケージに巻き取っ
た後、後工程においてそれぞれの仮撚糸を引き揃えてノ
ントルク仮撚糸を製造する方法では、S仮撚糸とZ仮撚
糸の少なくともどちらか一方にポリトリメチレンテレフ
タレート繊維の仮撚糸を用いたとしても、取り扱い性に
優れた高捲縮性の仮撚糸は得ることができない。これ
は、仮撚糸を一旦巻き取りパッケージに巻き取ることに
より、顕在捲縮が低減してしまうため、後工程で引き揃
えても捲縮同士の絡みが弱く、仮撚糸の集束性が低下し
てしまうためである。S仮撚糸とZ仮撚糸をそれぞれパ
ッケージに巻き取ってから合糸するまでの時間が長いほ
ど、顕在捲縮の低減の度合いが大きくなるため、合糸し
たノントルク仮撚糸は集束性が低下し、後工程での取り
扱い性が低下する。集束性を向上させるためには交絡数
を多くしなければならず、そうすると捲縮性は大きく低
下してしまう。
【0015】本発明の製造方法のように、S仮撚糸とZ
仮撚糸の少なくともどちらか一方にポリトリメチレンテ
レフタレート繊維の仮撚糸を用い、仮撚工程中の解撚工
程後に連続的に合糸する方法によってのみ、取り扱い性
に優れ、高い捲縮性を有したノントルクの仮撚糸を製造
することができる。さらに、本発明の製造方法によるノ
ントルク仮撚糸は、S仮撚糸とZ仮撚糸の少なくとも一
方にポリトリメチレンテレフタレート繊維の仮撚糸を用
いているため、風合いが極めてソフトで、弾性回復性の
優れた仮撚糸である。
【0016】本発明のノントルク仮撚糸の製造方法にあ
っては、S仮撚糸とZ仮撚糸の少なくともどちらか一方
にポリトリメチレンテレフタレート繊維の仮撚糸を用い
ればよく、他方の仮撚糸は特に限定されるものではな
い。他方の仮撚糸としては、例えば、キュプラ、ビスコ
ース、ポリノジック、精製セルロース、アセテート等の
繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリ
エステル繊維、ナイロン、アクリル繊維等の各種合成繊
維が挙げられ、さらにはこれらの共重合タイプや、同種
または異種ポリマー使いの複合繊維(サイドバイサイド
型、偏心鞘芯型等)等の仮撚糸が挙げられる。
【0017】本発明のノントルク仮撚糸の製造方法にあ
っては、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の仮撚糸
の含有率は特に限定されるものではないが、捲縮の絡み
やすさによる良好な取り扱い性、風合いのソフトさ、弾
性回復性の高さ等から、30wt%以上が好ましく、5
0wt%以上がより好ましく、100wt%(すなわち
S仮撚糸とZ仮撚糸の両方ともポリトリメチレンテレフ
タレート繊維の仮撚糸を用いる)が最も好ましい。S仮
撚糸とZ仮撚糸のそれぞれの繊度、フィラメント数、断
面形状は特に限定されるものではなく、両仮撚糸で繊度
やフィラメント数、断面形状が異なっていても良い。ま
た、両仮撚糸の仮撚条件も特に限定されるものではな
く、両仮撚糸で仮撚条件(仮撚数、ヒーター温度)が異
なっていても良い。
【0018】ただし、本発明のノントルク仮撚糸の製造
方法においては、S仮撚糸とZ仮撚糸がそれぞれ有する
残留トルクを互いに打ち消しあってノントルク仮撚糸と
するため、両仮撚糸の残留トルクの大きさはほぼ等しい
ことが好ましい。残留トルクの大きさをほぼ等しくする
ことの容易さからは、S仮撚糸とZ仮撚糸の両方ともポ
リトリメチレンテレフタレート繊維の仮撚糸を用い、両
仮撚糸の繊度やフィラメント数、断面形状、仮撚条件が
等しいことが最も好ましい。本発明の製造方法において
使用する仮撚機は、一般に用いられているピンタイプ、
フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エア加撚タ
イプ等、いかなる加撚方法による仮撚機でもよい。
【0019】具体的な製造法としては、仮撚機において
隣り合う2錘でそれぞれS仮撚糸とZ仮撚糸を製造し、
解撚工程後に引き揃えてどちらか一方の糸道に通し、ワ
インダーでパッケージに巻き取る方法で製造することが
できる。また、1錘で2本のマルチフィラメントをそれ
ぞれS方向とZ方向に同時に仮撚し、引き揃えて1つの
パッケージに巻き取ることができる仮撚機であればより
好ましい。このような仮撚機は、例えば村田機械株式会
社製の33H仮撚機においてSZ同時仮撚用ツイスター
(1枚の円盤と2本の仮撚ベルトからなる仮撚装置)を
装備した仮撚機や、Barmag AG社製のAFK仮
撚機、あるいはFK6−1000仮撚機のマルチスピン
ドルタイプ(1錘に2つのディスクフリクション仮撚ユ
ニットを並列に配置した仮撚機)が挙げられる。
【0020】本発明の製造方法において、S仮撚糸とZ
仮撚糸の少なくともどちらか一方に用いるポリトリメチ
レンテレフタレート繊維の仮撚条件は特に限定されない
が、次の範囲内で選ばれるのが好ましい。仮撚ヒーター
温度は、第1ヒーターの出口直後の糸条温度が100〜
200℃、好ましくは120〜180℃、特に好ましく
は130〜170℃の範囲内になるようにヒーター温度
を設定することが好ましい。また必要に応じて、S仮撚
糸とZ仮撚糸を引き揃えた後、第2ヒーターで熱セット
して2ヒーター仮撚糸としても良い。第2ヒーター温度
は100℃以上210℃以下、好ましくは第1ヒーター
の出口直後の糸条温度に対して−30℃以上+50℃以
下の範囲とするのが好ましい。第2ヒーター内のオーバ
ーフィード率(第2オーバーフィード率)は+3%以上
+30%以下とするのが好ましい。
【0021】仮撚数Tは、次式で計算される仮撚数の係
数Kの値が18500〜37000の範囲になるように
仮撚数Tを設定することが好ましく、仮撚糸の太さによ
って好ましい仮撚数Tが決定される。 T(T/m)=K/(仮撚糸の繊度(dtex))1/2 本発明の製造方法により製造されたノントルク仮撚糸の
好ましい特性としては、90℃、15分の低荷重乾熱処
理(処理時の荷重は2.6×10-4cN/dtex
(0.3mg/d))後の伸縮伸長率が100〜250
%が好ましく、130〜230%がより好ましく、15
0〜230%がさらに好ましい。また、伸縮弾性率は7
0〜100%が好ましく、75〜100%がより好まし
く、80〜95%がさらに好ましい。
【0022】同様に90℃、15分の高荷重乾熱処理
(処理時の荷重は1.8×10-3cN/dtex(2m
g/d))後の伸縮伸長率が、10〜200%が好まし
く、20〜190%がより好ましく、30〜180%が
さらに好ましい。また、伸縮弾性率は80〜100%が
好ましく、85〜100%がより好ましく、85〜10
0%がさらに好ましい。本発明の製造方法により製造さ
れたノントルク仮撚糸のヤング率は10〜25cN/d
texが好ましく、12〜20cN/dtexがより好
ましい。ノントルク糸の総繊度は特に限定されるもので
はないが、衣料用においては50〜1000dtexが
好ましい。
【0023】本発明において、ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維とは、トリメチレンテレフタレート単位を
主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維をいい、ト
リメチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好
ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、さ
らに好ましくは90モル%以上のものをいう。従って、
第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の
合計量が、約50モル%以下、好ましくは30モル%以
下、さらには20モル%以下、さらに好ましくは10モ
ル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタ
レートを包含する。
【0024】ポリトリメチレンテレフタレートは、テレ
フタル酸、又は例えばテレフタル酸ジメチルなどのテレ
フタル酸の機能的誘導体と、トリメチレングリコール又
はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応
条件下に縮合せしめることにより合成される。この合成
過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添
加して共重合してもよい。あるいは、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリ
メチレンテレフタレート以外のポリエステルや、ナイロ
ン等とポリトリメチレンテレフタレートとをブレンドし
てもよい。
【0025】添加することができる第三成分としては、
脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環
族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳
香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソ
フタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコー
ル、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレング
リコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメ
タノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4
−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリ
エーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω
−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P
−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。又、1個又は3
個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香
酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である
範囲内で用いることができる。
【0026】さらにポリトリメチレンテレフタレート繊
維には、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、
ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タ
ルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダー
ドフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔
料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されて
いてもよい。本発明において、ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維は、一種類のポリトリメチレンテレフタレ
ートポリマーからなる繊維に限られるものではなく、重
合度や共重合組成等の異なる二種類以上のポリトリメチ
レンテレフタレートを含む繊維、または、少なくとも一
成分がポリトリメチレンテレフタレートであってさらに
他の成分を含有する繊維などでもよい。例えば、潜在捲
縮発現性ポリエステル繊維は、仮撚加工を施すことでよ
り捲縮性の高い仮撚糸となることから好ましいものとし
て挙げられる。
【0027】潜在捲縮発現性ポリエステル繊維とは、少
なくとも二種のポリエステル成分で構成(具体的にはサ
イドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合されたものが多
い)されているものであり、熱処理によって捲縮を発現
するものである。二種のポリエステル成分の複合比(一
般的に70/30〜30/70の範囲内のものが多
い)、接合面形状(直線又は曲線形状のものがある)等
は特に限定されない。又、繊度は20〜300dte
x、単糸繊度は0.5〜20dtexが好ましく用いら
れるが、これに限定されるものではない。
【0028】潜在捲縮発現性ポリエステル繊維は、少な
くとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートであれ
ばよい。具体的には、特開2001−40537号公報
に開示されているようなポリトリメチレンテレフタレー
トを少なくとも一成分とするものがある。即ち、二種の
ポリエステルポリマーをサイドバイサイド型又は偏芯芯
鞘型に接合された複合繊維であり、サイドバイサイド型
の場合は、二種のポリエステルポリマーの溶融粘度比
が、1.00〜2.00が好ましく、偏芯芯鞘型の場合
は、鞘ポリマーと芯ポリマーのアルカリ減量速度比は、
3倍以上鞘ポリマーが速いことが好ましい。
【0029】具体的なポリマーの組み合わせとしては、
ポリトリメチレンテレフタレート(テレフタル酸を主た
るジカルボン酸とし、1.3−プロパンジオールを主た
るグリコール成分とするポリエステルであり、エチレン
グリコール、ブタンジオール等のグリコール類やイソフ
タル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボ
ン酸等を共重合してもよい。又、他ポリマー、艶消剤、
難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよ
い。)とポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸を
主たるジカルボン酸とし、エチレングリコールを主たる
グリコール成分とするポリエステルであり、ブタンジオ
ール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタ
レンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよ
い。又、他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔
料等の添加剤を含有してもよい。)、並びにポリトリメ
チレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート
(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1.4−ブ
タンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステ
ルであり、エチレングリコール等のグリコール類やイソ
フタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカル
ボン酸等を共重合してもよい。又、他ポリマー、艶消
剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有しても
よい。)が好ましく、特に捲縮の内側にポリトリメチレ
ンテレフタレートが配置されると好ましい。
【0030】このように本発明は、潜在捲縮発現性ポリ
エステル繊維を構成するポリエステル成分の少なくとも
一方がポリトリメチレンテレフタレートであるものであ
り、上記特開2001−40537号公報以外にも、特
公昭43−19108号公報、特開平11−18992
3号公報、特開2000−239927号公報、特開2
000−256918号公報、特開2000−3283
82号公報、特開2001−81640号公報等には、
第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第
二成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポ
リエステル、ナイロンを並列的あるいは偏芯的に配置し
たサイドバイサイド型又は偏芯鞘芯型に複合紡糸したも
のが開示されている。特にポリトリメチレンテレフタレ
ートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合
わせや、固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテ
レフタレートの組み合わせが好ましい。
【0031】二種類のポリトリメチレンテレフタレート
の固有粘度差は0.05〜0.4(dl/g)であるこ
とが好ましく、より好ましくは0.1〜0.35(dl
/g)、さらに好ましくは0.15〜0.35(dl/
g)である。例えば高粘度側の固有粘度を0.7〜1.
3(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有
粘度は0.5〜1.1(dl/g)から選択されるのが
好ましい。尚、低粘度側の固有粘度は0.8(dl/
g)以上が好ましく、より好ましくは0.85〜1.0
(dl/g)、さらに好ましくは0.9〜1.0(dl
/g)である。また、この複合繊維の平均固有粘度は、
0.7〜1.2(dl/g)が好ましく、より好ましく
は0.8〜1.2(dl/g)、さらに好ましくは0.
85〜1.15(dl/g)、最も好ましくは0.9〜
1.1(dl/g)である。
【0032】なお、本発明でいう固有粘度の値は、使用
するポリマーではなく、紡糸されている糸の粘度を指
す。この理由は、ポリトリメチレンテレフタレート特有
の欠点としてポリエチレンテレフタレート等と比較して
熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用して
も熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合マルチ
フィラメントにおいては両者の固有粘度差を大きく維持
することが困難であるためである。本発明に用いられる
ポリトリメチレンテレフタレート繊維の形態は、その単
糸の断面が長さ方向に均一なものや太細のあるものでも
よく、断面形状が丸型、三角、L型、T型、Y型、W
型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W
型、I型、ブ−メラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方
体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉
型、中空型や不定形なものでもよい。
【0033】本発明に用いられるポリトリメチレンテレ
フタレート繊維の好ましい特性としては、強度は2〜5
cN/dtexが好ましく、より好ましくは2.5〜
4.5cN/dtex、さらに好ましくは3〜4.5c
N/dtexである。伸度は30〜60%が好ましく、
より好ましくは35〜55%、さらに好ましくは40〜
55%である。ヤング率は30cN/dtex以下が好
ましく、より好ましくは10〜30cN/dtex、さ
らに好ましくは12〜28cN/dtex、最も好まし
くは15〜25cN/dtexである。10%伸長時の
弾性回復率は70%以上が好ましく、より好ましくは8
0%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましく
は95%以上である。
【0034】本発明において潜在捲縮発現性繊維ポリエ
ステル繊維及びポリトリメチレンテレフタレート繊維の
紡糸については、前記の各公報に開示されており、例え
ば、3000m/分以下の巻き取り速度で未延伸糸を得
た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法や、紡糸−延撚
工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻き取り速
度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアッ
プ法)を採用すればよい。また、溶融紡糸において、2
000m/分以上、好ましくは2500〜4000m/
分の巻き取り速度で巻き取って得られる部分配向未延伸
糸を用いることもできる。この場合の仮撚加工は、延伸
仮撚等、延伸後、あるいは延伸と同時に仮撚加工を行う
ことが好ましい。
【0035】なお、本発明の製造方法により製造された
ノントルク仮撚糸は、天然繊維、合成繊維等他の繊維、
例えば、綿、羊毛、麻、絹等の天然繊維、キュプラ、ビ
スコース、ポリノジック、精製セルロース、アセテー
ト、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフ
タレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエ
ステル系繊維、ナイロン、アクリル等の各種人造繊維、
さらにはこれらの共重合タイプや、同種又は異種ポリマ
ー使いの複合繊維(サイドバイサイド型、偏芯鞘芯型
等)と、混紡(コアヤーン、サイロスパンやサイロフィ
ル、ホロースピンドル等)、カバリング(シングル、ダ
ブル)等の手段で混用してもよい。また、例えば沸水収
縮率3〜10%程度の低収縮糸、又は、例えば沸水収縮
率15〜30%程度の高収縮糸との混繊や交撚、2フィ
ード空気噴射加工等の手段で混用してもよい。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例と比較例と
を対比して具体的に説明するが、本発明は実施例などに
より何ら限定されるものではない。なお、本発明、実施
例及び比較例における仮撚糸等の評価と特性値の測定は
以下の方法で行った。 (1)固有粘度 固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて
求められる値である。 定義中のηrは純度98%以上のo−クロロフェノール
溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又は
ポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での
粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値
であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg
/100mlで表されるポリマー濃度である。なお、固
有粘度の異なるポリマーを用いた複合繊維は、該複合繊
維を構成するそれぞれの繊維の固有粘度を測定すること
は困難であるので、該複合繊維の紡糸条件と同じ条件で
二種類のポリマーをそれぞれ単独で紡糸し、得られたそ
れぞれの糸を用いて測定した固有粘度を、該複合繊維を
構成する繊維の固有粘度とした。
【0037】(2)10%伸長時の弾性回復率 繊維をチャック間距離10cmで引っ張り試験機に取り
付け、引張り速度20cm/minで伸長率10%まで
伸長し、1分間放置した。その後、再び同じ速度で元に
戻し、応力−歪み曲線を描いた。元に戻す途中で、応力
がゼロになった時の伸度を残留伸度(A)とする。弾性
回復率は以下の式に従って求めた。 10%伸長時の弾性回復率=〔(10−A)/10〕×
100(%) (3)強伸度、ヤング率 JIS−L−1013、化学繊維フィラメント糸験方法
の引張強さ、伸び率および初期引張抵抗度の試験方法に
従って測定を行った。測定は各試料につき10回づつ行
い、その平均値を求めた。
【0038】(4)伸縮伸長率、伸縮弾性率 JIS−L−1090、合成繊維フィラメントかさ高加
工糸試験方法の伸縮性試験方法(A法)に従って測定を
行い、伸縮伸長率(%)、伸縮弾性率(%)を算出し
た。測定は各試料につき10回ずつ行い、その平均値を
求めた。なお、試料の前処理方法として、次の二種類の
処理方法を用いた。 低荷重乾熱処理:仮撚糸を小綛に巻き、2.6×10-4
cN/dtex(0.3mg/d)の荷重を掛けて、9
0℃、15分の条件で乾熱処理を行い、直ちに除重し、
標準状態(温度20±2℃、相対湿度65±2%)で2
4時間放置した。 高荷重乾熱処理:荷重を1.8×10-3cN/dtex
(2mg/d)に変えた以外は低荷重乾熱処理と同様に
処理を行った。
【0039】(5)残留トルク数 仮撚糸を、トルクが入らないように巻き取りパッケージ
から採取し、フックに掛けて2本の糸を重ね、フックか
ら1m以上の所よりも下に8.8×10-2cN/dte
x(0.1g/d)の初荷重を掛ける。その荷重下で、
フックから1mの所に2.2×10-2cN/dtex
(0.025g/d)の荷重を掛け、初荷重をはずす。
糸の下端をフリーにすると、残留トルクにより回転して
2本の糸で撚りが入るため、静止するまで放置する。静
止したときの撚数を検撚機で測定し、1/2倍して残留
トルク数とする。測定は5回行い、その平均値を算出
し、回/mで表示する。
【0040】(6)交絡数 試料に8.8×10-2cN/dtex(0.1g/d)
の荷重を掛け、50cmの間隔で印を付ける。次に、荷
重をはずし、試料をやや緩めた状態で、交絡により糸が
締まって見える個所の数を50cm間で数える。測定は
10回行い、平均値を算出し、その値を2倍して交絡数
とし、個/mで表示する。 (7)解舒性 150m/分の速度で仮撚糸の巻き取りパッケージから
仮撚糸を解除しながら、解舒張力をエイコー測器株式会
社製テンションピックアップH−IIRで測定し、レコー
ダーに30分間記録した。得られた張力波形から、平均
解舒張力、解舒張力の振れ幅及び異常な張力ピークの有
無を読み取った。
【0041】
【実施例1】固有粘度[η]=0.92のポリトリメチ
レンテレフタレートを、紡糸温度265℃、紡糸速度1
200m/分で紡糸して未延伸糸を得、次いで、ホット
ロール温度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸
倍率3倍、延伸速度800m/分で延撚して、56dt
ex/24fの延伸糸を得た。延伸糸の強伸度、弾性率
並びに10%伸長時の弾性回復率は、各々3.3cN/
dtex、46%、20cN/dtex並びに98%で
あった。
【0042】得られたポリトリメチレンテレフタレート
延伸糸を、石川製作所株式会社製のピン仮撚機IVF3
38に仕掛け、隣り合う2錘を使ってそれぞれS仮撚と
Z仮撚を同時に行い、第2フィードローラ(仮撚スピナ
ーの直後のローラ)を通過した後で両仮撚糸を引き揃え
て合糸し、紙管に巻き取ってノントルク仮撚糸を得た。
仮撚条件は、糸速度190m/分、仮撚数4100T/
m、第1ヒーター温度165℃、ドロー比0.995、
巻き取りフィード率+3.0%で仮撚を行った。このと
きの加撚張力は7cN、解撚張力は13cNであった。
得られたノントルク仮撚糸の物性および評価結果を表1
に示す。
【0043】
【実施例2】固有粘度[η]=0.92のポリトリメチ
レンテレフタレートを、紡糸温度265℃で紡糸し、9
0℃に加熱した周速度3200m/分のロールで熱処理
を行った後、3190m/分の速度で紙管に巻き取り、
98dtex/36fの部分配向未延伸糸を得た。部分
配向未延伸糸の強伸度は、各々2.4cN/dtex、
90%であった。
【0044】得られたポリトリメチレンテレフタレート
部分配向未延伸糸を、村田機械株式会社製のニップベル
ト仮撚機33Hに仕掛け、隣り合う2錘を使ってそれぞ
れS仮撚とZ仮撚を同時に行い、第2フィードローラ
(摩擦ベルトの直後のローラ)を通過した後で両仮撚糸
を引き揃えて合糸し、紙管に巻き取ってノントルク仮撚
糸を得た。仮撚条件は、糸速度400m/分、ツイスタ
ー角度(摩擦ベルト同士のなす角度)110度(仮撚数
は約3400T/m)、第1ヒーター温度170℃、ド
ロー比1.225、VR(摩擦ベルト周速/糸速)1.
43、巻き取りフィード率+3.0%で仮撚を行った。
このときの加撚張力は17cN、解撚張力は14cNで
あった。得られたノントルク仮撚糸の物性および評価結
果を表1に示す。
【0045】
【実施例3〜5】実施例2において、S仮撚糸とZ仮撚
糸を合糸した後に、第2フィードローラと第3フィード
ローラ(第2ヒーター直後に設置)間でエア交絡ノズル
を用いて交絡処理を施した以外は、実施例2と同様にし
てノントルク仮撚糸を得た。エア交絡ノズルは阿波スピ
ンドル株式会社製のMK−2−23型を用い、オーバー
フィード率とエア圧をそれぞれ表1に示すように変えて
交絡処理を行った。得られたノントルク仮撚糸の物性お
よび評価結果を表1に示す。
【0046】
【実施例6】固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレ
ンテレフタレートを比率1:1でサイドバイサイド型に
押出し、紡糸温度265℃、紡糸速度1500m/分で
未延伸糸を得、次いでホットロール温度55℃、ホット
プレート温度140℃、延伸速度400m/分、延伸倍
率は延伸後の繊度が84dtexとなるように設定して
延撚し、84dtex/24fのサイドバイサイド型複
合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィ
ラメントの固有粘度は高粘度側が[η]=0.90、低
粘度側が[η]=0.70であった。得られた複合マル
チフィラメントを用いた以外は実施例2と同様にして、
ノントルク仮撚糸を製造した。このときの加撚張力は1
8cN、解撚張力は14cNであった。得られたノント
ルク仮撚糸の物性および評価結果を表1に示す。
【0047】
【実施例7】実施例2で用いたのと同じポリトリメチレ
ンテレフタレート部分配向未延伸糸を用い、村田機械株
式会社製のSZ同時仮撚用ツイスターを装備した33H
仮撚機に仕掛けて、摩擦円盤の両側でS仮撚とZ仮撚を
同時に行い、第2フィードローラ(摩擦円盤の直後のロ
ーラ)を通過した後で両仮撚糸を引き揃えて合糸し、紙
管に巻き取ってノントルク仮撚糸を得た。仮撚条件は、
糸速度400m/分、ツイスター角度(摩擦円盤と摩擦
ベルトのなす角度)100度(仮撚数は約3200T/
m)、第1ヒーター温度170℃、ドロー比1.22
5、VR(摩擦円盤周速/糸速)1.28、巻き取りフ
ィード率+3.0%で仮撚を行った。このときの加撚張
力は14cN、解撚張力は11cNであった。得られた
ノントルク仮撚糸の物性および評価結果を表1に示す。
【0048】
【比較例1】実施例2において、隣り合う2錘を使って
それぞれS仮撚とZ仮撚を同時に行い、両仮撚糸を引き
揃えずに、それぞれ別々の紙管に巻き取った。得られた
仮撚糸を10日間放置した後、ワインダーを用いて両仮
撚糸を引き揃えて合糸し、紙管に巻き取った。得られた
仮撚糸の物性および評価結果を表1に示す。
【0049】
【比較例2】実施例2と同様にして、196dtex/
48fのポリトリメチレンテレフタレート部分配向未延
伸糸を得た。部分配向未延伸糸の強伸度は、各々2.5
cN/dtex、92%であった。得られたポリトリメ
チレンテレフタレート部分配向未延伸糸1本を、村田機
械株式会社製のニップベルト仮撚機33Hに仕掛け、S
仮撚を行い紙管に巻き取った。仮撚条件は、糸速度40
0m/分、ツイスター角度110度(仮撚数は約250
0T/m)、第1ヒーター温度170℃、ドロー比1.
225、VR1.39、巻き取りフィード率+3.0%
で仮撚を行った。このときの加撚張力は33cN、解撚
張力は27cNであった。得られた仮撚糸の物性および
評価結果を表1に示す。
【0050】
【比較例3】120dtex/36fのポリエチレンテ
レフタレート部分配向未延伸糸(強度2.8cN/dt
ex、伸度97%)を用い、実施例2と同様にしてS仮
撚とZ仮撚を同時に行い、交絡処理を行わずに引き揃え
てノントルク仮撚糸を得た。仮撚条件は、糸速度400
m/分、ツイスター角度110度(仮撚数は約3200
T/m)、第1ヒーター温度210℃、ドロー比1.4
50、VR1.37、巻き取りフィード率+2.0%で
仮撚を行った。このときの加撚張力は18cN、解撚張
力は20cNであった。得られたノントルク仮撚糸の物
性および評価結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】以上の結果から、それらをまとめると次の
ようになる。実施例の方法で得られた仮撚糸はいずれも
残留トルクがなく、高い捲縮性を有している。特に高荷
重乾熱処理時の伸縮伸長率が大きく、チーズ染色や布帛
中での捲縮発現性が高いことが期待できる。但し、エア
交絡処理による交絡が増えるほど捲縮性はやや低下する
傾向が見られた。また、実施例の方法で得られた仮撚糸
はいずれも巻き取りパッケージからの解舒性が良好で、
取り扱い性が良好であった。特に、交絡がなくても低張
力で解舒ができ、仮撚糸がS仮撚糸とZ仮撚糸に分離す
ることなく、異常張力も見られなかった。実施例の方法
で得られた仮撚糸を用いて、天竺組織の靴下編地を作成
し、30分間の熱水処理を行なったところ、いずれの編
地も斜行は発生しなかった。
【0053】一方、比較例1の方法で得られた仮撚糸
は、S仮撚糸とZ仮撚糸を後工程で合糸しているため、
単繊維間の絡みが弱く、巻き取りパッケージからの解舒
性が不良で、取り扱い性が劣る仮撚糸であった。比較例
2の方法で得られた仮撚糸は、実施例2と比較すると2
倍の繊度の糸を仮撚しているため、捲縮性が低く、また
残留トルクの大きな仮撚糸であった。比較例3の方法で
得られた仮撚糸は、ポリエチレンテレフタレート繊維を
使用しているため、ヤング率が高くて風合いが硬く、捲
縮性もやや低いものであった。また、解撚工程直後に引
き揃えて合糸したにもかかわらず、単繊維間の絡みが弱
いため、巻き取りパッケージからの解舒性が不良で、取
り扱い性が劣る仮撚糸であった。また、実施例と同様の
方法で靴下編地を作成し、熱水処理を行なったところ、
編地には著しい斜行が発生した。
【0054】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、実施的に残
留トルクがなく、高い捲縮性を有し、風合いがソフト
で、解舒性や取り扱い性が良好な仮撚糸が得られる。ま
た、本発明の方法により得られた仮撚糸を用いることに
より、斜行のない高品位な織編物が得られる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 S撚方向に加撚、熱固定、解撚したS仮
    撚糸と、Z撚方向に加撚、熱固定、解撚したZ仮撚糸と
    を、仮撚工程中の解撚工程後に連続的に合糸してパッケ
    ージに巻き取るノントルク仮撚糸の製造方法であって、
    S仮撚糸とZ仮撚糸の少なくとも一方がポリトリメチレ
    ンテレフタレート繊維で構成されていることを特徴とす
    るノントルク仮撚糸の製造方法。
  2. 【請求項2】 ノントルク仮撚糸が交絡を有していない
    ことを特徴とする請求項1記載のノントルク仮撚糸の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 ノントルク仮撚糸の交絡数が30個/m
    以下であることを特徴とする請求項1記載のノントルク
    仮撚糸の製造方法。
  4. 【請求項4】 S仮撚糸とZ仮撚糸が共にポリトリメチ
    レンテレフタレート繊維で構成されていることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載のノントルク仮撚糸
    の製造方法。
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