JP2004232131A - 紡績糸 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高吸水性繊維を含む紡績糸であって、▲1▼5〜80重量%の高吸水性繊維、▲2▼5〜50重量%の熱融着性繊維、▲3▼それら以外の他の繊維15〜90重量%で構成されることを特徴とする紡績糸。好ましい態様として、高吸水性繊維が、イオン交換水を1000重量%以上吸水するもの、または、生理食塩水を800重量%以上吸水する繊維。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱融着性高吸水性紡績糸に関するもので、ワイパー、衛生用品、オムツ等の吸水素材として用いられる材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高吸水性繊維を紡績糸化して用いるものとして、例えば特開2000―282340号公報には、疎水性繊維と高吸水性合成繊維を含む複合紡績糸であって、該紡績糸全体を100重量部としたとき、前記高吸水性合成繊維を3〜30重量部含有し、糸断面を表層側と内層側に分けたときに、前記高吸水性合成繊維は主として前記内層側に位置することを特徴とする放熱性に優れた複合紡績糸が示されている。また、特開2001−329439号公報には、飽和吸水時の繊維径が吸水率5%以下の時の繊維径の10倍以下である高吸水性繊維を含有し、自重の2.0倍以上の純水吸水倍率と自重の1.5倍以上の生理食塩水吸水倍率の吸水性を併せ持ち、かつ10回繰返し洗濯後の前記純水吸水倍率保持率が80%以上であることを特徴とする高吸水性複合糸が示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−282340号公報
【特許文献2】
特開2001−329439号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来知られていた高吸水性繊維を使用した紡績糸は、単に高吸水性繊維と他の繊維とを混綿して用いているため、高吸水性繊維の脱落が起こりやすかった。また、高吸水性繊維は非常に吸水性能が高いゆえに膨潤が大きく形態保持性が悪かった。また、膨潤により止水するため、止水目的には適しているが、糸の一部分しか吸水性能を利用できない欠点があった。しかしながら、例えば衛生用品に用いられる吸水素材は、できるだけ広い面積で吸収するほうが総合吸収力が上がり、リウェット性能に好ましい。
【0005】
本発明はこのような実用上充分な機械的強度があり、しかも高い吸水性能と拡散性能を有する紡績糸材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、高吸水性繊維を含む紡績糸であって、▲1▼5〜80重量%の高吸水性繊維、▲2▼5〜50重量%の熱融着性繊維、▲3▼それら以外の他の繊維15〜90重量%で構成されることを特徴とする紡績糸によって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の紡績糸は、▲1▼5〜80重量%の高吸水性繊維、▲2▼5〜50重量%の熱融着性繊維、▲3▼それら以外の他の繊維15〜90重量%で構成される。
【0008】
本発明に用いる高吸水性繊維としては、吸水能力が自重の800重量%程度以上である所謂高吸水ポリマーを繊維化したものが挙げられる。
【0009】
中でも、イオン交換水を1000重量%以上、更には2000重量%以上吸水するもの、または、生理食塩水を800重量%以上、更には1200重量%以上吸水するものが好ましく用いられる。
【0010】
このような高吸水性繊維としては、アクリル酸塩架橋体繊維(商品名「ベルオアシス」カネボウ合繊(株)製)、高吸水アクリロニトリル系繊維、アクリル変性体繊維、PVA繊維等が挙げられる。
【0011】
上記高吸水性繊維の含有量が5重量%未満の場合は、吸水性能が不足し、十分な吸水性能を持った紡績糸は得られない。一方高吸水性繊維の含有量が80重量%超の場合は、非常に良好な吸水性能は示すが、紡績糸としての強度が低下して実用上の問題が生じる。また拡散性能が低下して高吸水性繊維の性能を十分活用することが出来ない。
【0012】
吸水性能と形態保持(強度)の点から考えると、本発明における好ましい高吸水性繊維の量は20〜70重量%であり、特に30〜60重量%が好ましい。
【0013】
本発明に用いる熱融着性繊維とは、通常160℃以下好ましくは90〜120℃程度で溶融する成分を含む繊維である。好ましくは、一方より融点が低い融着成分と一方より融点が高い非融着成分からなる複合繊維を用いる。
【0014】
本発明に好ましく用いられる熱融着性繊維の例として、鞘部分がポリオレフィン又は融点110〜130℃の共重合ポリエステルからなり、芯部分がポリエチレンテレフタレートである芯鞘型熱融着性繊維が挙げられる。
【0015】
融点110〜130℃の共重合ポリエステルからなる芯鞘型熱融着性繊維は、紡績糸に加工し易く、また熱処理も低温で加工し易い。また、鞘部分がポリオレフィンからなる芯鞘型熱融着性繊維は、柔軟性があり衛生材料のように風合いを重視する用途に適している。
【0016】
上記熱融着性繊維の含有量が5重量%未満の場合は、接着性に乏しく、高吸水性繊維の脱落や、糸の強度低下の恐れがある。一方50重量%超の熱融着性繊維を含有する場合は、糸自身の柔軟性が無くなり、製品としての風合いを損ねる。
【0017】
形態保持性および風合いとから考えると、本発明における好ましい熱融着性繊維の量は7〜30重量%であり、特に10〜20重量%が好ましい。
【0018】
また、上記高吸水性繊維と熱融着性繊維の残部の他の繊維の例として、次のものが挙げられる。なお、合成繊維/天然繊維/再生繊維を混用して用いることも出来る。
【0019】
合成繊維としては、例えばアクリル、モダクリルあるいはポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸のようなポリエステル、ナイロン6やナイロン66のなどのポリアミドおよびこれらの共重合体などを使用することができる。また、これらの二種以上を混合しても構わない。
【0020】
合成繊維はそのままでも利用できるが、後加工により各種性能を付与したものを用いてもよい。例えば、親水処理、難燃処理、耐候剤処理を施したものが挙げられる。
【0021】
これらの合成繊維の繊度は特には問わないが、1dtexから10dtexが好ましい。汎用的には2dtexから5dtexがより好ましい。一方、嵩高性を持たせて吸水性能と拡散性能を得るためには、5dtexから10dtexの太い繊維を用いることが好ましい。
【0022】
天然繊維を使用する場合、例えば羊毛、コットン、シルクなどを使用することができる。また、天然繊維素より再生したレーヨンも好ましい。また、これらの二種以上の混合であっても構わない。
【0023】
天然繊維はそのままでも利用できるが、後加工により各種性能を付与したものを用いてもよい。例えば、親水処理、難燃処理、耐候剤処理を施したものが挙げられる。
【0024】
拡散性の点からは、親水性能を有する繊維を用いることが好ましい。具体的には、レーヨン、コットン、後加工により親水性を付与した繊維である。これらの合成繊維及び天然繊維は、吸水時の膨潤がほとんど無いので、止水せずに拡散性能を発揮する。
【0025】
上記親水性能を後加工にて付与するには、一般に使用されている親水化処理剤、防汚処理剤等が使用される。例えば、高松油脂製薬(株)の防汚処理剤SR1000等を使用する。
【0026】
本発明の紡績糸は、特に製造方法を限定しない。一般的なリング紡績糸が製造コスト面からは好ましい。また、吸水能力を向上するために、高吸水性繊維を含む紡績糸の撚りをほとんどかけず、密度のあまい糸の外周をフィラメントヤーンでカバーしたカバリングヤーンや、糸自体の嵩高性をだすためにブークレー糸に加工しても良い。
【0027】
本発明の紡績糸は、製造工程の最終工程において、蒸気釜中で80〜130℃のスチームで5分間処理し、熱風循環式乾燥機等で乾燥する。これらの熱処理は、150℃以下で行なうのが良い。150℃以上では、高吸水性繊維の吸水能力を阻害する恐れがあることと紡績糸が硬くなりすぎる。
【0028】
上記のように熱処理することにより、高吸水性繊維の脱落を防止できる。また、紡績糸相互の固定にもなり、実用的な機械強度を高める効果がある。熱融着性繊維の混合率や熱処理温度は、製品の風合いおよび高吸水性繊維の脱落等のバランスを考慮して適宜選択する。
【0029】
【実施例】
以下実施例により、本発明を説明する。最初に、各種分析方法と評価方法について述べる。
【0030】
(高吸水性繊維の吸水量の測定方法)
高吸水性繊維0.5gを5cm×5cmのティーバッグに入れて、イオン交換水又は生理食塩水に十分浸漬する。これを取り出し、3.5kPa(0.5psi)の荷重を3分間かけて繊維間隙の水を除去した後、重量を測定して吸水性繊維1gに対する吸水量を算出した。
【0031】
(拡散性:横方向への浸透性測定方法)
サンプルを15cmに切り出し、一端に純水を10ml/分の速度で滴下する。この時液が滴下部より5cmの部分に到達する時間を測定し、浸透時間とした。評価は浸透時間20秒未満を○、20秒以上30秒未満を△、30秒以上を×とした。
【0032】
(紡績糸の測定方法)
紡績糸の強度はJIS−L−1015に準じて測定した。
【0033】
(紡績糸からの脱落量の測定方法)
高吸水性繊維の脱落は、卓上ワインダーを使用してボビンから2分間糸を巻き取る。その際の通過糸量および各テンション調節ガイドでの落綿を集めてその重量を測定して評価した。
評価は集めた落綿の通過糸重量に対する割合が0.4%未満を○、0.4%以上を×とした。
【0034】
実施例1
ユニチカファイバー(株)製熱融着性繊維「メルティー(タイプ4080)」(2.2dtex、51mm)10重量%とカネボウ合繊(株)製高吸水性繊維「ベルオアシス」(10dtex、51mm)40重量%とオーミケンシ(株)製レーヨン「NWD」(2.2dtex、51mm)50重量%を混綿し、カーディングを行なってスライバーを作製し、700dtex、撚り数300回/mの通常のリング紡績糸を製造した。この糸を130℃のスチームで5分間処理したものは、高吸水性繊維の脱落が少なく、吸水性能と拡散性能を併せ持つ良好な紡績糸であった。
【0035】
実施例2
チッソ(株)製熱融着性繊維「ES023」(2.2dtex、51mm)20重量%とカネボウ合繊(株)製高吸水性繊維「ベルオアシス」(10dtex、51mm)50重量%とオーミケンシ(株)製レーヨン「NWD」(2.2dtex、51mm)30重量%を混綿し、カーディングを行なってスライバーを作製し、700dtex、撚り数300回/mの通常のリング紡績糸を製造した。この糸を130℃のスチームで5分間処理したものは、嵩高性および柔軟性があり、高吸水性繊維の脱落が少なく、吸水性能と拡散性能を併せ持つ良好な紡績糸であった。
【0036】
比較例1
カネボウ合繊(株)製高吸水性繊維「ベルオアシス」(10dtex、51mm)50重量%と大島産業(株)製ポリエステルステープル(2.2dtex、51mm)50重量%を混綿し、カーディングを行なってスライバーを作製し、700dtex、撚り数300回/mの通常のリング紡績糸を製造した。この紡績糸は、落綿が多く、吸水時の拡散も不良であった。
【0037】
比較例2
ユニチカファイバー(株)製熱融着性繊維「メルティー(タイプ4080)」(2.2dtex、51mm)3重量%とカネボウ合繊(株)製高吸水性繊維「ベルオアシス」(10dtex、51mm)3重量%とオーミケンシ(株)製レーヨン「NWD」(2.2dtex、51mm)94重量%を混綿し、カーディングを行なってスライバーを作製し、700dtex、撚り数300回/mの通常のリング紡績を行ない、この糸を130℃のスチームで5分間処理し、リング紡績糸を得た。この紡績糸は、落綿が多く、吸水性能も不良であった。
【0038】
比較例3
ユニチカファイバー(株)製熱融着性繊維「メルティー(タイプ4080)」(2.2dtex、51mm)60重量%とカネボウ合繊(株)製高吸水性繊維「ベルオアシス」(10dtex、51mm)3重量%とオーミケンシ(株)製レーヨン「NWD」(2.2dtex、51mm)37重量%を混綿し、カーディングを行なってスライバーを作製し、700dtex、撚り数300回/mの通常のリング紡績を行ない、この糸を130℃のスチームで5分間処理し、リング紡績糸を得た。この紡績糸は、吸水性能が少なく、風合いの硬い紡績糸であった。
【0039】
比較例4
ユニチカファイバー(株)製熱融着性繊維「メルティー(タイプ4080)」(2.2dtex、51mm)3重量%とカネボウ合繊(株)製高吸水性繊維「ベルオアシス」(10dtex、51mm)90重量%とオーミケンシ(株)製レーヨン「NWD」(2.2dtex、51mm)7重量%を混綿し、カーディングを行なってスライバーを作製し、700dtex、撚り数300回/mの通常のリング紡績を行ない、この糸を130℃のスチームで5分間処理し、リング紡績糸を得た。この紡績糸は、吸水性能はあったが、落綿が多く、拡散性能が不良であった。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
本発明の紡績糸は、高吸水性繊維と熱融着性繊維とその他の繊維で構成しているため落綿が少なく、実用上充分な機械的強度があり、しかも高い吸水性能と拡散性能を有する。
Claims (4)
- 高吸水性繊維を含む紡績糸であって、▲1▼5〜80重量%の高吸水性繊維、▲2▼5〜50重量%の熱融着性繊維、▲3▼それら以外の他の繊維15〜90重量%で構成されることを特徴とする紡績糸。
- 該熱融着性繊維が、一方より融点が低い融着成分と一方より融点が高い非融着成分からなる複合繊維である、請求項1記載の紡績糸。
- 該熱融着性繊維が、鞘部分がポリオレフィン又は融点110〜130℃の共重合ポリエステルからなる芯鞘型熱融着性繊維であることを特徴とする請求項2記載の紡績糸。
- 該高吸水性繊維が、イオン交換水を1000重量%以上吸水するもの、または、生理食塩水を800重量%以上吸水する繊維である請求項1乃至3いずれかに記載の紡績糸。
Priority Applications (1)
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JP2003021522A JP2004232131A (ja) | 2003-01-30 | 2003-01-30 | 紡績糸 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003021522A JP2004232131A (ja) | 2003-01-30 | 2003-01-30 | 紡績糸 |
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JP2004232131A true JP2004232131A (ja) | 2004-08-19 |
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ID=32950832
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JP2003021522A Pending JP2004232131A (ja) | 2003-01-30 | 2003-01-30 | 紡績糸 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004232131A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015505911A (ja) * | 2011-12-01 | 2015-02-26 | コンバテック・テクノロジーズ・インコーポレイテッドConvatec Technologies Inc | ゲル形成フィラメントまたは繊維を含むヤーン |
-
2003
- 2003-01-30 JP JP2003021522A patent/JP2004232131A/ja active Pending
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JP2015505911A (ja) * | 2011-12-01 | 2015-02-26 | コンバテック・テクノロジーズ・インコーポレイテッドConvatec Technologies Inc | ゲル形成フィラメントまたは繊維を含むヤーン |
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