JP2004232010A - 多層保護被覆鋼管 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼管表面に多層の保護被覆層を形成するに当たり、有害な六価クロム等を用いず、従来のクロメート皮膜と同等以上の優れた高密着性、及び高耐蝕性を有する表面皮膜層を備えた多層保護被覆鋼管を提供すること。
【解決手段】鋼管の外周面上に形成された電気亜鉛メッキ層と、該電気亜鉛メッキ層上に電解処理により形成された膜厚０．０１〜２μｍのリン酸亜鉛皮膜層と、該リン酸亜鉛皮膜層上に塗装、或いは押出し成形により形成された合成樹脂層とを有する多層保護被覆鋼管とした。
【選択図】 なし
【解決手段】鋼管の外周面上に形成された電気亜鉛メッキ層と、該電気亜鉛メッキ層上に電解処理により形成された膜厚０．０１〜２μｍのリン酸亜鉛皮膜層と、該リン酸亜鉛皮膜層上に塗装、或いは押出し成形により形成された合成樹脂層とを有する多層保護被覆鋼管とした。
【選択図】 なし
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、多層保護被覆鋼管に関し、特に自動車等のブレーキ系、給油系をなす車体外部の配管用に使用される多層保護被覆鋼管に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、自動車等に使用される各種配管、例えばブレーキ用配管、フューエル用配管等には鋼管が多用され、これらの鋼管表面には、自動車走行中の跳ね石からの保護、また腐蝕からの保護等を目的として、多層の保護被覆層が形成されている。
【０００３】
この多層の保護被覆層としては、例えば鋼管の外周表面に、先ず亜鉛メッキ層、その上方に表面性状の良好なクロメート被膜層を形成し、その上層として、プライマーを介して、或いはプライマーを介在させることなく、フッ素樹脂層、或いはナイロン樹脂層を形成し、さらに、その上層として、例えば塩化ビニール樹脂層を塗布により形成したもの、或いはポリオレフィン樹脂層を熱収縮により形成したもの、更にはポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層を押出し成形により形成したものがある。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、公害問題に対する関心が高まり、従来のクロメート皮膜に用いられる六価クロム、三価クロム等の有害性、例えばアレルギーや生殖毒性、発ガン性などがクローズアップされ、環境保全の観点から、六価クロム等を使用しない表面処理の必要性が強く要望される至った。
【０００５】
そこで、本発明の目的は、鋼管表面に多層の保護被覆層を形成するに当たり、有害な六価クロム等を用いず、従来のクロメート皮膜と同等以上の優れた高密着性、及び高耐蝕性を有する表面皮膜層を備えた多層保護被覆鋼管を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、有害な六価クロム等を使用するクロメート処理に代えて、リン酸亜鉛皮膜層を電解処理により亜鉛メッキ層の上層として形成した場合、従来のクロメート皮膜と同等以上の優れた高密着性、及び高耐蝕性を有する表面皮膜層を備えた多層保護被覆鋼管を経済的に提供できることを見出し、本発明を完成させた。
【０００７】
即ち、本発明は、鋼管の外周面上に形成された亜鉛系メッキ層と、該亜鉛系メッキ層上に形成されたリン酸亜鉛皮膜層と、該リン酸亜鉛皮膜層上に形成された合成樹脂層とを有する多層保護被覆鋼管とした。
【０００８】
ここで、上記鋼管としては、鋼板から造管した一重巻鋼管、或いは二重巻鋼管が使用でき、また数μｍの銅メッキ層を外周面に有するものであっても良い。また、その他、電縫鋼管、引抜鋼管等も使用でき、これらの鋼管の外径及び厚みは、特には限定されないが、外径４．７６〜２０ｍｍ、厚さ０．５〜１ｍｍの細径薄肉鋼管が、自動車等に使用される各種配管には好ましい。
【０００９】
また、上記鋼管の外周面上に形成された亜鉛系メッキ層としては、例えばＺｎメッキ、Ｚｎ−Ｎｉ合金メッキ、Ｚｎ−Ａｌ合金メッキ等を挙げることができ、これらのメッキ層のうち同種又は異種のものを２種以上メッキした複層の亜鉛系メッキ層とすることもできる。また、該亜鉛系メッキ層の形成方法としては、電解法、溶融法等の公知の方法によれば良いが、電解法は、均一且つ平滑な薄い亜鉛系メッキ層を、経済的に形成できるために好ましい。また、この亜鉛系メッキ層の膜厚は、耐蝕性及び経済性等の観点から、３〜４０μｍとすることが好ましい。
【００１０】
上記亜鉛系メッキ層上に形成されたリン酸亜鉛皮膜層としては、リン酸亜鉛を主成分として含有しているものであれば、特には制限されるものではなく、より優れた耐蝕性、密着性等を必要とする場合、Ｚｎ以外の成分としてＮｉ、Ｍｎ、Ｍｇ等の中から選ばれる１種又は２種以上の金属を含有したものとすることが好ましい。
【００１１】
上記リン酸亜鉛皮膜層の膜厚としては、０．０１〜２μｍとすることが好ましい。これは、亜鉛系メッキ層上に形成されたリン酸亜鉛皮膜層の膜厚が、０．０１μｍに満たないものである場合には、鋼管の耐蝕性を向上させる作用・効果が現れないためであり、逆に２μｍを越える膜厚のリン酸亜鉛皮膜層を形成した場合には、表面処理後の鋼管の曲げ加工等に際して、形成したリン酸亜鉛皮膜層が割れ、剥離する憂いがあるためである。
【００１２】
上記膜厚のリン酸亜鉛皮膜層を均一且つ経済的に形成する方法としては、例えばリン酸イオン、硝酸イオン、亜鉛イオンを含有し、必要に応じてニッケルイオン、マンガンイオン、マグネシウムイオン等の他の金属を含有する水溶液を用いた電解処理により形成することが好ましい。この場合の電流密度には、特には制限はないが、短時間で上記膜厚の皮膜層を経済的に形成するためには、電流密度を５〜１５Ａ／ｄｍ２の範囲内にコントロールすることが好ましい。
【００１３】
上記リン酸亜鉛皮膜層が形成された鋼管に対して、所望によりプライマー処理を施しても良い。このプライマー処理は、後に形成される合成樹脂層との密着性を高めることができる表面処理方法として、従来から知られた処理であり、その具体的な方法は、特には限定されないが、通常、プライマー処理剤に鋼管を浸漬する、或いはプライマー処理剤を鋼管にスプレーする方法などが採用される。
ここで、プライマー処理剤としては、例えば、エポキシ系樹脂を有機溶剤に溶解させたものや塩化ゴム系などの公知の各種有機物系プライマー処理剤、及び酸化クロム−コロイダルシリカ系等の公知の各種無機物系プライマー処理剤を用いることができる。
【００１４】
上記リン酸亜鉛皮膜層、或いは所望によりリン酸亜鉛皮膜層上に形成された上記プライマーの上層として形成された合成樹脂層としては、塗装、押出し成形等の方法で形成された単層、或いは同種又は異種のものを積層した複層の合成樹脂層とすることができ、該合成樹脂層を形成する樹脂材料としては、ＰＶＦ（ポリフッ化ビニル、ＰＶＤＦ（ポリフッ化ビニルデン）、ＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＥ（ポリエチレン）、ＰＡ１１（ポリアミド１１）、ＰＡ１２（ポリアミド１２）等の合成樹脂が挙げられる。
【００１５】
上記合成樹脂層は、跳ね石からの衝撃対策、複雑な経路をたどる配管同士、或いは配管と車両本体や他部品との干渉対策、更には断熱対策等も目的として形成されたものであることから、その層厚は、１０〜１５００μｍとすることが好ましい。
【００１６】
上記層厚の合成樹脂層を塗装により形成する方法としは、例えばＰＶＦ（ポリフッ化ビニル、ＰＶＤＦ（ポリフッ化ビニルデン）等をジエチルフタレートのような溶剤中に分散させ、その中に鋼管を浸漬して塗布し、その後加熱処理する焼付け塗装により行うことができる。
【００１７】
また、合成樹脂層を押出し成形により形成する方法としは、例えばＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＡ１１（ポリアミド１１）等の熱可塑性樹脂を、公知の押出機を用いて長手方向に送られてくる鋼管の外周表面上に筒状に押し出し、該押し出された合成樹脂を鋼管上において冷却させることにより、鋼管表面上に強固に密着した合成樹脂層を形成することができる。
【００１８】
上記した本発明にかかる多層保護被覆鋼管によれば、有害な六価クロム等を使用したクロメート皮膜を形成することなく、耐蝕性及び密着性の優れた多層の保護被覆層を有する鋼管を提供できる。
【００１９】
【実施例】
以下、上記した本発明に係る多層保護被覆鋼管の実施例を記載するが、本発明は、何ら下記の実施例に限定されるものではない。
【００２０】
−実施例１−
外径６．３５ｍｍ、厚さ０．７ｍｍの一重巻鋼管、或いは外径４．７６ｍｍ、厚さ０．７ｍｍの二重巻鋼管の外周面に、先ず、膜厚２５μｍ程度の電気亜鉛メッキ層を形成し、その上方に、膜厚０．１μｍ程度の電解リン酸亜鉛皮膜層を形成した。続いて、該鋼管の外周面に、焼付け塗装によるプライマー処理を行い、その上方に、層厚２０μｍ程度のフッ素樹脂層を焼付け塗装により形成し、多層保護被覆鋼管とした。
【００２１】
−実施例２−
上記実施例１の多層保護被覆鋼管の上方に、更に層厚１０００μｍ程度のＰＰ（ポリプロピレン）樹脂層を押出し成形により形成し、最外層の合成樹脂層が異種の合成樹脂から成る二層の多層保護被覆鋼管とした。
【００２２】
−実施例３−
上記実施例１の多層保護被覆鋼管の焼付け塗装によるフッ素樹脂層に代えて、層厚１５０μｍ程度のＰＡ１１（ポリアミド１１）樹脂層を押出し成形によりプライマー上に形成した多層保護被覆鋼管とした。
【００２３】
−実施例４−
上記実施例３の多層保護被覆鋼管の上方に、更に層厚１０００μｍ程度のＰＰ（ポリプロピレン）樹脂層を押出し成形により形成し、最外層の合成樹脂層が異種の合成樹脂から成る二層の多層保護被覆鋼管とした。
【００２４】
上記した実施例１乃至４に係る本発明の多層保護被覆鋼管は、いずれも各層間の密着性が良好で、しかも耐蝕性の高い多層保護被覆鋼管となり、種々の曲げ加工が施される自動車等に使用される各種配管、例えばブレーキ用配管、フューエル用配管等に好適に使用できるものであった。
【００２５】
【発明の効果】
以上、説明した本発明に係る多層保護被覆鋼管によれば、有害な六価クロム等を使用したクロメート皮膜を形成することなく、優れた耐蝕性及び密着性を有する多層保護被覆鋼管を提供でき、例えば、自動車等に使用される各種配管に本発明に係る多層保護被覆鋼管を用いることにより、環境負荷物質である六価クロムの環境への溶出を大幅に低減でき、環境保全に絶大な効果を発揮する。
【産業上の利用分野】
本発明は、多層保護被覆鋼管に関し、特に自動車等のブレーキ系、給油系をなす車体外部の配管用に使用される多層保護被覆鋼管に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、自動車等に使用される各種配管、例えばブレーキ用配管、フューエル用配管等には鋼管が多用され、これらの鋼管表面には、自動車走行中の跳ね石からの保護、また腐蝕からの保護等を目的として、多層の保護被覆層が形成されている。
【０００３】
この多層の保護被覆層としては、例えば鋼管の外周表面に、先ず亜鉛メッキ層、その上方に表面性状の良好なクロメート被膜層を形成し、その上層として、プライマーを介して、或いはプライマーを介在させることなく、フッ素樹脂層、或いはナイロン樹脂層を形成し、さらに、その上層として、例えば塩化ビニール樹脂層を塗布により形成したもの、或いはポリオレフィン樹脂層を熱収縮により形成したもの、更にはポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層を押出し成形により形成したものがある。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、公害問題に対する関心が高まり、従来のクロメート皮膜に用いられる六価クロム、三価クロム等の有害性、例えばアレルギーや生殖毒性、発ガン性などがクローズアップされ、環境保全の観点から、六価クロム等を使用しない表面処理の必要性が強く要望される至った。
【０００５】
そこで、本発明の目的は、鋼管表面に多層の保護被覆層を形成するに当たり、有害な六価クロム等を用いず、従来のクロメート皮膜と同等以上の優れた高密着性、及び高耐蝕性を有する表面皮膜層を備えた多層保護被覆鋼管を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、有害な六価クロム等を使用するクロメート処理に代えて、リン酸亜鉛皮膜層を電解処理により亜鉛メッキ層の上層として形成した場合、従来のクロメート皮膜と同等以上の優れた高密着性、及び高耐蝕性を有する表面皮膜層を備えた多層保護被覆鋼管を経済的に提供できることを見出し、本発明を完成させた。
【０００７】
即ち、本発明は、鋼管の外周面上に形成された亜鉛系メッキ層と、該亜鉛系メッキ層上に形成されたリン酸亜鉛皮膜層と、該リン酸亜鉛皮膜層上に形成された合成樹脂層とを有する多層保護被覆鋼管とした。
【０００８】
ここで、上記鋼管としては、鋼板から造管した一重巻鋼管、或いは二重巻鋼管が使用でき、また数μｍの銅メッキ層を外周面に有するものであっても良い。また、その他、電縫鋼管、引抜鋼管等も使用でき、これらの鋼管の外径及び厚みは、特には限定されないが、外径４．７６〜２０ｍｍ、厚さ０．５〜１ｍｍの細径薄肉鋼管が、自動車等に使用される各種配管には好ましい。
【０００９】
また、上記鋼管の外周面上に形成された亜鉛系メッキ層としては、例えばＺｎメッキ、Ｚｎ−Ｎｉ合金メッキ、Ｚｎ−Ａｌ合金メッキ等を挙げることができ、これらのメッキ層のうち同種又は異種のものを２種以上メッキした複層の亜鉛系メッキ層とすることもできる。また、該亜鉛系メッキ層の形成方法としては、電解法、溶融法等の公知の方法によれば良いが、電解法は、均一且つ平滑な薄い亜鉛系メッキ層を、経済的に形成できるために好ましい。また、この亜鉛系メッキ層の膜厚は、耐蝕性及び経済性等の観点から、３〜４０μｍとすることが好ましい。
【００１０】
上記亜鉛系メッキ層上に形成されたリン酸亜鉛皮膜層としては、リン酸亜鉛を主成分として含有しているものであれば、特には制限されるものではなく、より優れた耐蝕性、密着性等を必要とする場合、Ｚｎ以外の成分としてＮｉ、Ｍｎ、Ｍｇ等の中から選ばれる１種又は２種以上の金属を含有したものとすることが好ましい。
【００１１】
上記リン酸亜鉛皮膜層の膜厚としては、０．０１〜２μｍとすることが好ましい。これは、亜鉛系メッキ層上に形成されたリン酸亜鉛皮膜層の膜厚が、０．０１μｍに満たないものである場合には、鋼管の耐蝕性を向上させる作用・効果が現れないためであり、逆に２μｍを越える膜厚のリン酸亜鉛皮膜層を形成した場合には、表面処理後の鋼管の曲げ加工等に際して、形成したリン酸亜鉛皮膜層が割れ、剥離する憂いがあるためである。
【００１２】
上記膜厚のリン酸亜鉛皮膜層を均一且つ経済的に形成する方法としては、例えばリン酸イオン、硝酸イオン、亜鉛イオンを含有し、必要に応じてニッケルイオン、マンガンイオン、マグネシウムイオン等の他の金属を含有する水溶液を用いた電解処理により形成することが好ましい。この場合の電流密度には、特には制限はないが、短時間で上記膜厚の皮膜層を経済的に形成するためには、電流密度を５〜１５Ａ／ｄｍ２の範囲内にコントロールすることが好ましい。
【００１３】
上記リン酸亜鉛皮膜層が形成された鋼管に対して、所望によりプライマー処理を施しても良い。このプライマー処理は、後に形成される合成樹脂層との密着性を高めることができる表面処理方法として、従来から知られた処理であり、その具体的な方法は、特には限定されないが、通常、プライマー処理剤に鋼管を浸漬する、或いはプライマー処理剤を鋼管にスプレーする方法などが採用される。
ここで、プライマー処理剤としては、例えば、エポキシ系樹脂を有機溶剤に溶解させたものや塩化ゴム系などの公知の各種有機物系プライマー処理剤、及び酸化クロム−コロイダルシリカ系等の公知の各種無機物系プライマー処理剤を用いることができる。
【００１４】
上記リン酸亜鉛皮膜層、或いは所望によりリン酸亜鉛皮膜層上に形成された上記プライマーの上層として形成された合成樹脂層としては、塗装、押出し成形等の方法で形成された単層、或いは同種又は異種のものを積層した複層の合成樹脂層とすることができ、該合成樹脂層を形成する樹脂材料としては、ＰＶＦ（ポリフッ化ビニル、ＰＶＤＦ（ポリフッ化ビニルデン）、ＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＥ（ポリエチレン）、ＰＡ１１（ポリアミド１１）、ＰＡ１２（ポリアミド１２）等の合成樹脂が挙げられる。
【００１５】
上記合成樹脂層は、跳ね石からの衝撃対策、複雑な経路をたどる配管同士、或いは配管と車両本体や他部品との干渉対策、更には断熱対策等も目的として形成されたものであることから、その層厚は、１０〜１５００μｍとすることが好ましい。
【００１６】
上記層厚の合成樹脂層を塗装により形成する方法としは、例えばＰＶＦ（ポリフッ化ビニル、ＰＶＤＦ（ポリフッ化ビニルデン）等をジエチルフタレートのような溶剤中に分散させ、その中に鋼管を浸漬して塗布し、その後加熱処理する焼付け塗装により行うことができる。
【００１７】
また、合成樹脂層を押出し成形により形成する方法としは、例えばＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＡ１１（ポリアミド１１）等の熱可塑性樹脂を、公知の押出機を用いて長手方向に送られてくる鋼管の外周表面上に筒状に押し出し、該押し出された合成樹脂を鋼管上において冷却させることにより、鋼管表面上に強固に密着した合成樹脂層を形成することができる。
【００１８】
上記した本発明にかかる多層保護被覆鋼管によれば、有害な六価クロム等を使用したクロメート皮膜を形成することなく、耐蝕性及び密着性の優れた多層の保護被覆層を有する鋼管を提供できる。
【００１９】
【実施例】
以下、上記した本発明に係る多層保護被覆鋼管の実施例を記載するが、本発明は、何ら下記の実施例に限定されるものではない。
【００２０】
−実施例１−
外径６．３５ｍｍ、厚さ０．７ｍｍの一重巻鋼管、或いは外径４．７６ｍｍ、厚さ０．７ｍｍの二重巻鋼管の外周面に、先ず、膜厚２５μｍ程度の電気亜鉛メッキ層を形成し、その上方に、膜厚０．１μｍ程度の電解リン酸亜鉛皮膜層を形成した。続いて、該鋼管の外周面に、焼付け塗装によるプライマー処理を行い、その上方に、層厚２０μｍ程度のフッ素樹脂層を焼付け塗装により形成し、多層保護被覆鋼管とした。
【００２１】
−実施例２−
上記実施例１の多層保護被覆鋼管の上方に、更に層厚１０００μｍ程度のＰＰ（ポリプロピレン）樹脂層を押出し成形により形成し、最外層の合成樹脂層が異種の合成樹脂から成る二層の多層保護被覆鋼管とした。
【００２２】
−実施例３−
上記実施例１の多層保護被覆鋼管の焼付け塗装によるフッ素樹脂層に代えて、層厚１５０μｍ程度のＰＡ１１（ポリアミド１１）樹脂層を押出し成形によりプライマー上に形成した多層保護被覆鋼管とした。
【００２３】
−実施例４−
上記実施例３の多層保護被覆鋼管の上方に、更に層厚１０００μｍ程度のＰＰ（ポリプロピレン）樹脂層を押出し成形により形成し、最外層の合成樹脂層が異種の合成樹脂から成る二層の多層保護被覆鋼管とした。
【００２４】
上記した実施例１乃至４に係る本発明の多層保護被覆鋼管は、いずれも各層間の密着性が良好で、しかも耐蝕性の高い多層保護被覆鋼管となり、種々の曲げ加工が施される自動車等に使用される各種配管、例えばブレーキ用配管、フューエル用配管等に好適に使用できるものであった。
【００２５】
【発明の効果】
以上、説明した本発明に係る多層保護被覆鋼管によれば、有害な六価クロム等を使用したクロメート皮膜を形成することなく、優れた耐蝕性及び密着性を有する多層保護被覆鋼管を提供でき、例えば、自動車等に使用される各種配管に本発明に係る多層保護被覆鋼管を用いることにより、環境負荷物質である六価クロムの環境への溶出を大幅に低減でき、環境保全に絶大な効果を発揮する。
Claims (2)
- 鋼管の外周面上に形成された亜鉛系メッキ層と、該亜鉛系メッキ層上に形成されたリン酸亜鉛皮膜層と、該リン酸亜鉛皮膜層上に形成された合成樹脂層とを有することを特徴とする多層保護被覆鋼管。
- 上記リン酸亜鉛皮膜層が、電解処理により形成された膜厚が０．０１〜２μｍのリン酸亜鉛皮膜層であることを特徴とする、請求項１記載の多層保護被覆鋼管。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003020369A JP2004232010A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 多層保護被覆鋼管 |
| PCT/JP2003/016888 WO2004067803A1 (ja) | 2003-01-29 | 2003-12-26 | 多層保護被覆鋼管 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003020369A JP2004232010A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 多層保護被覆鋼管 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004232010A true JP2004232010A (ja) | 2004-08-19 |
Family
ID=32820627
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2003020369A Pending JP2004232010A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 多層保護被覆鋼管 |
Country Status (2)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004232010A (ja) |
| WO (1) | WO2004067803A1 (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007052683A1 (ja) * | 2005-11-01 | 2007-05-10 | Sanoh Kogyo Kabushiki Kaisha | 自動車配管用鋼管 |
| WO2009066721A1 (ja) * | 2007-11-21 | 2009-05-28 | Sanoh Kogyo Kabushiki Kaisha | 車両配管用鋼管 |
| JPWO2016129639A1 (ja) * | 2015-02-13 | 2017-11-30 | 三桜工業株式会社 | 車輌配管用被覆金属管及びその製造方法 |
| JP2022019596A (ja) * | 2020-07-15 | 2022-01-27 | テーイー・アウトモティーフェ（ハイデルベルク）ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング | 導管のコーティング方法及び導管 |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH03126893A (ja) * | 1989-10-12 | 1991-05-30 | Kawasaki Steel Corp | 化成処理性に優れた亜鉛系電気めっき鋼板の製造方法 |
| AU2000229684A1 (en) * | 2000-01-19 | 2001-07-31 | Itt Manufacturing Enterprises, Inc. | Corrosion resistant metal tube and process for making the same |
-
2003
- 2003-01-29 JP JP2003020369A patent/JP2004232010A/ja active Pending
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