JP2004231974A - 常温/低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物およびプリプレグ並びにその硬化方法 - Google Patents

常温/低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物およびプリプレグ並びにその硬化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 安全衛生上や煩わしさを解消できる常温/低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物およびプリプレグ並びにその硬化方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 下記A、B及びCまたはDを必須成分とすることを特徴とする常温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸していることを特徴とする常温硬化型プリプレグ並びに該プリプレグの常温硬化方法。
A;一分子中に少なくとも二個以上のグリシジル基を持つエポキシ化合物
B;ポリメルカプタン化合物
C;マイクロカプセル化されたアミン類化合物
D;常温で潜在性を有し、ポリメルカプタン化合物の硬化促進剤となりうる化合物
【選択図】 なし

Description

本発明は、保存安定性に優れた常温/又は低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物及びプリプレグ並びにプリプレグの成形時における硬化方法に関するものであり、特に従来ハンドレイアップでおこなわれていた作業の煩わしさを著しく改良できるとともに、従来と同様にスポーツ・レジャー用や土木建築用等の幅広い分野に利用可能な保存安定性に優れた常温/低温硬化型プリプレグおよびその硬化方法に関するものである。
従来プリプレグに用いられるエポキシ樹脂は、硬化温度が120℃以上とかなり高く、ウレタンやアクリル等の発泡材等を芯材とするプリプレグの貼り合わせ一体成形は不可能であった。しかし、最近では、一般のプリプレグ成形時の省エネや生産性を考慮して、低温硬化型のプリプレグが多数提案されてきた。それは、常温では硬化せずに、あるいはBステージ状態(半硬化状態)であるが、80℃以上の温度で硬化するような潜在性の硬化剤を用いる方法である。たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3には、分子内に活性水素と、触媒機能部位を有するアミンアダクト型硬化剤を用いるものがある。あるいは特許文献4、特許文献5、特許文献6には、マイクロカプセル型硬化剤を用いるものがある。しかし、それらはいずれも硬化させるために80℃以上の加熱硬化が必要である。
一方、従来からのFRP製タンクや塔類の製造あるいは工業用や下水道等のライニング方法は、短繊維または長繊維に常温硬化タイプのエポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂をハンドレイアップで塗布する方法が採用されている。また、最近では、土木建築分野においても、長繊維のシートに常温硬化タイプのエポキシ樹脂をハンドレイアップ方式で塗布して土木建築構造物の補修や補強を行う方法が特許文献7に提案されている。しかしながら、これらはいずれも現場で主剤と硬化剤を混合してエポキシ樹脂を調整し、ポットライフが短いことから限られた時間内にハンドレイアップ方式で繊維に空気が残らないように塗布しなければならず、しかも安全衛生上好ましくないという欠点を有している。
これに対して特許文献8では、あらかじめ繊維に70℃以上で硬化するエポキシ樹脂を含浸した長繊維プリプレグを用いるもの、さらには特許文献9では、実質的に硬化剤を含まないエポキシ樹脂を含浸して長繊維プリプレグを用いるもの等が提案されているが、これも常温で硬化させるために、プリプレグの表面にシンナーやMEKに溶かした常温硬化タイプのエポキシ樹脂溶液または、常温硬化タイプの硬化剤溶液を塗布するものであり、やはりハンドレイアップ方式の煩わしさや、溶剤を用いることから安全衛生上の問題を解決できるものではなく、また硬化不良になりやすい欠点もある。
一方、特許文献10では、ハンドレイアップを必要としない長繊維プリプレグを使用する方式が提案されているが、現場にて貼りつけた後に赤外線ランプや電気ヒーター等により50℃以上の高温に加熱して硬化させる必要がある。この方法によれば、溶剤を用いないことから、安全衛生上は問題はないが、やはり加熱して硬化させる作業が必要であり、煩わしさの点では未だ満足しうるものではない。
特開平3−115331号公報 特開平5−310892号公報 特開平5−262903号公報 特開平4−31420号公報 特開平4−325518号公報 特開平5−262903号公報 特開平3−224901号公報 特開平3−224966号公報 特開平5−39673号公報 特開平1−197532号公報
本発明は、こうした現状に鑑み、特に繊維シートまたはプリプレグを用いた構造物の補修や補強において、従来の低温硬化タイプのプリプレグに比べ、加熱装置が大掛かりでなく、省エネ、生産性向上などを考慮して、さらに低温で又は常温で硬化させることが可能であり、また従来のハンドレイアップ方式に比べ安全衛生上や煩わしさの問題点を解消させることができる常温/低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物およびプリプレグ並びにその硬化方法を提供することを目的とするものである。
即ち本発明の請求項1〜3は、下記A、B及びC
A;一分子中に少なくとも二個以上のグリシジル基を持つエポキシ化合物
B;ポリメルカプタン化合物
C;マイクロカプセル化されたアミン類化合物
を必須成分とすることを特徴とする常温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸していることを特徴とする繊維強化プリプレグ、並びに該プリプレグの成形時に加圧してC成分のマイクロカプセルを破壊し硬化させることを特徴とするプリプレグの常温硬化方法である。
また本発明の請求項4〜7は、上記のA成分100重量部に対して、B成分を10〜100重量部と、常温で潜在性を有し、ポリメルカプタン化合物の硬化促進剤となりうる化合物であるD成分を1〜20重量部含有することを特徴とする低温速硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物である。
この場合のD成分はマイクロカプセル型の潜在性硬化促進剤であることが好ましく、更に好ましくは、保存安定性を確保するために、追加成分としてホウ酸エステル化合物をE成分として0.1〜5.0重量部含有することを特徴とする上記記載の低温速硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物である。更にまたかかるプリプレグ用エポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸していることを特徴とする低温速硬化型プリプレグに関するものである。
本発明は、保存安定性に優れ、しかも常温で硬化できる常温硬化型のプリプレグ用エポキシ樹脂組成物であり、従来の80℃程度の低温硬化型プリプレグ樹脂に比較しても、省エネ、生産性の面で非常に優れている。また、本発明は現場において、2液を混合して、ハンドレイアップ方式で施工するような方法に比べても、その煩わしさは非常に改善され、また、溶剤を用いることがないので、安全衛生上の問題も少なく、さらに硬化特性や硬化物の表面状態等の問題点を解決できる常温硬化方法であり、産業上非常に有益なものである。
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明請求項の全てに共通するA成分、B成分について説明する。A成分として用いられるエポキシ化合物は、一分子中に少なくとも二個以上のグリシジル基を持つものであれば特に制限はなくどのようなものでも使用可能である。特に例示するならば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、その他脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などを適宜選択して1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
市販品のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、エスポキシSA−115、エスポキシSA−134、エスポキシSA−011、エスポキシSA−019、エスポキシSA−7020(以上、新日鐵化学(株)製)、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコ−ト1001、エピコ−ト1002、エピコート1004(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、アラルダイトGY−250、アラルダイトGY−260、アラルダイト6071(以上、日本チバガイギー(株)製)などが利用できる。
市販品のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、エスポキシSCN−701P、エスポキシSCN−702P、エスポキシSCN−703P、エスポキシSCN−704P(以上、新日鐵化学(株)製)、アラルダイトECN−1273、アラルダイトECN−1280(以上、日本チバガイギー(株)製)、あるいは住友化学工業(株)製のESCN−220シリーズなどが利用できる。
市販品のフェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、エスポキシSPN−638(新日鐵化学(株)製)、エピコート152、エピコート154(以上、油化シェルエポキシ(株)製)などの市販されているものが利用できる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピクロン830(大日本インキ化学工業(株)製)などが利用できる。
次に、本発明の全てに共通するB成分のポリメルカプタン化合物としては、メルカプタン末端基をもつ化合物であり、液状ポリメルカプタンやポリサルファイドがある。ここで用いるポリメルカプタン化合物は、後述する触媒C成分中のアミン類化合物、または硬化促進剤のD成分が存在しない限り常温では、硬化しないか、または硬化反応が非常に遅いものである。そして、本発明に用いられるポリメルカプタン化合物で、具体的に市販されているものとしては、エピキュアーQX−40(油化シェルエポキシ(株)製)、アデカハードナーEH−317(旭電化(株)製)、チオコールLP−70(チオコール(株)製)などがあるが、これに限定されるものではない。
さらに、本発明の常温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物(請求項1〜3)に共通するC成分中のアミン類化合物としては、第一、第二または第三アミンのいずれでもよいが、前記B成分のポリメルカプタン化合物の常温硬化用の触媒としての機能を有し、かつマイクロカプセル化が可能であることが必要である。そのような観点から、第三アミンは特に好ましい。具体例としては、2、4、6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルメチルアミン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明(請求項1〜3)では、前述したアミン類化合物をそのままAおよびB成分と一緒に共存させた場合には、常温下でも急速に硬化反応が進行してプリプレグを製造することができない。または、製造できたとしても非常に保存安定性が悪くなる。この問題を解決するために、AまたはB成分をマイクロカプセルにして硬化反応を抑制することも可能であるが、本発明(請求項1〜3)では、アミン類化合物をマイクロカプセル化したC成分として利用するものである。なぜなら、A成分とB成分は、ほぼ当量で硬化反応が進行する主成分であり、含有量が非常に多いことから、プリプレグ製造中にマイクロカプセルが破壊して保存安定性が悪化したり、また、逆に硬化を行う際に、破壊すべきマイクロカプセルの量が多くなり、作業性の悪化または不均一硬化の原因となったりするからである。それに比べ、アミン類化合物は、触媒として働き、含有量はAやB成分に比べてかなり少量でよく、さらに保存安定性や硬化作業性または硬化特性がよくなるからである。
ここでマイクロカプセルの種類は、保存安定性がよく、さらに常温で硬化させるために圧縮破壊型が都合がよく、シェル材としては、90°方向の圧縮には耐えうるが、剪断圧縮では破壊しやすいものがよい。シェル材としては、上記条件を満足すれば必ずしも素材に限定されることはない。あえて具体的に挙げれば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル(メチルエステル、エチルエステル等)、メタクリル酸エステル(メチルエステル、エチルエステル等)、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、スチレン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の重合物がある。
本発明(請求項1〜3)における圧縮破壊型のマイクロカプセルを製造する方法は、限定はされないが、例えば、前記したアクリル酸やスチレンの如き重合性不飽和結合を有するモノマーと内包したいコア成分および重合開始剤とを混合し、これを目的とする粒径を持つ油滴が形成されるように適宜の乳化分散剤等を含む媒体中に分散させ前記モノマー類を重合させる方法が一般的であり、その場合、目的とする粒子径、内包量、および耐圧強度の調整は、モノマーの成分の種類、モノマー成分と内包成分との比率、乳化分散剤の量や種類分散条件の選択によりなされる。
C成分について、さらに詳しく説明するならば、マイクロカプセルの平均粒子径は、1〜20μmが好ましい。1μm未満では、硬化反応の触媒として必要なコア材、すなわちC成分中のアミン類化合物に比べ、硬化に不必要なシェル材が多くなりやすい。つまり、シェル材はエポキシ樹脂とは反応せず、硬化した複合材料の強度に悪影響を及ぼす不純物として働くことから、その量はなるべく少ない方が良いからである。一方、20μmを越えるものは、繊維への樹脂含浸が不均一で硬化不良を起こしやすいからである。
次に、A、BおよびC成分の配合量であるが、前述したように、A成分とB成分は、当量で反応が進行することからほぼ当量添加することが好ましい。また、C成分は触媒であるので少量でよい。用いるエポキシ化合物、ポリメルカプタン化合物およびアミン類化合物の種類によって、適宜添加量を変えればよいが、A成分の総量100重量部に対して、B成分を10〜200重量部とC成分を0.1〜20重量部配合するのが好ましい。B成分が10重量部未満の場合には、硬化剤としてのポリメルカプタン化合物量が不足し硬化不良になりやすいので好ましくない。200重量部を超える場合には、硬化剤の量が多すぎ、複合材料の特性を低下せてしまうので好ましくない。C成分が0.1重量部未満の場合には、触媒効果が低くなり、硬化不良になり好ましくない。一方、20重量部を超える場合には、プリプレグ製造中にマイクロカプセルを破壊する危険が増えるばかりか、硬化に不必要な成分が増えることになるので、複合材料の物性を低下させることになり、やはり好ましくない。
上記本発明(請求項1〜3)の常温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物を用いた繊維強化プリプレグの製造方法は、一般的な方法でよく、具体的には、ホットメルト法やソルベント法があり、特に制限はされない。しかし特に、注意しなければならないことは、製造時にC成分のマイクロカプセルを破壊しないことである。もし、マイクロカプセルが破壊すれば、急速に硬化反応が進行し、保存安定性が悪化するからである。これらを回避するには、樹脂含浸時の温度および圧力または溶剤を用いる場合には、その種類を適宜考慮することにより可能である。ここで、プリプレグ製造中にC成分のマイクロカプセルを破壊するおそれがある場合には、A成分とB成分を含有した繊維強化プリプレグを製造した後に、該プレプレグ表面にC成分を付着させておく方法をとることもできる。なお、本発明に用いる繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維またはこれらの織布や不織布等があげられるが、特に制限されるものではない。
次に、繊維強化プリプレグの常温硬化方法について説明する。一般のプリプレグの成形では、まずプリプレグを接着すべき表面に貼付、加圧して空気溜まりがないようにする必要がある。本発明の上記したC成分をマイクロカプセルで使用した場合は、常温硬化させるために、プリプレグの成形段階でC成分のマイクロカプセルを破壊し、コア材を放出させなければならない。マイクロカプセルを破壊する方法は、加圧、加熱または電磁波等の照射などがある。加熱や電磁波照射の場合には、作業性や省エネまたは危険性の面から好ましくない。しかしながら、本発明によれば、接着すべき表面への貼付、加圧と同時にマイクロカプセルが破壊できメリットがある。加圧の方法は、マイクロカプセルを破壊できれば特に制限はないが、剪断圧縮の可能なローラーやバイブレーター類の器具を用いることが簡便でよい。また、A成分とB成分を用いた繊維強化プリプレグの表面に、C成分を付着させたプリプレグを使用する場合には、C成分の均一分散をより確実にするために、ドライヤーや加熱ローラー等のヒーターを併用して加圧することが望ましい。
次に本発明の請求項4〜7における低温速硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物及びプリプレグについて説明する。
A、B成分は前記した請求項1〜3のものが使用される。D成分の常温で潜在性を有し、B成分であるポリメルカプタン化合物の硬化促進剤となりうるものは、ルイス塩基であって、常温以下ではポリメルカプタン化合物の硬化反応をほとんど促進しないが、45℃以上ではかなり急激に硬化を促進する化合物である。一般にポリメルカプタンの硬化促進剤としては、トリスジメチルアミノメチルフェノールのような3級アミンやその塩類またはトリエチレンテトラミンやメタキシレンジアミンのような活性水素を有した1級または2級アミンが用いられている。これらをポリメルカプタンに併用することで、常温以下でも低温速硬化が可能となる。しかし、常温ではポットライフが数時間以内で取扱い性が不便であることが欠点である。もちろん、これを用いたプリプレグ化は保存安定性の面から不可能である。
そこで本発明では、低温速硬化性の硬化剤として、ポリメルカプタン化合物を用いたプリプレグ化を可能にするために、常温では、硬化促進作用を示さない、または示すとしても非常に遅い潜在性硬化促進を用いるものである。それらとしては、常温で潜在性を有する硬化剤としては、それ単独でも80〜100℃程度の低温硬化を可能とするものであるが、アミン化合物であることから、硬化促進剤としての機能も有しているからである。それゆえ、これらを従来から用いられている150℃前後の高温硬化条件の必要とするジシアンジアミドや酸無水物に対して用いることにより、さらに短時間、低温での硬化を実現している。
ところで、ポリメルカプタン系は、アミン化合物を硬化促進剤として用いることにより常温以下の低温でも速硬化性を有していることから、このような潜在性の硬化剤を用いる必要がなく、また用いられた例もない。本発明に相当する潜在性硬化剤には、アミン化合物をコア層としたマイクロカプセル型のもの、またはエポキシ化合物や尿素化合物やイソシアネート化合物をアミン化合物でアダクトしたアミンアダクト型のものなどがあるが、具体的に上市されているものには、マイクロカプセル型硬化剤としては、旭化成(株)製:商品名ノバキュアーやアミンアダクト型硬化剤としては、味の素(株):商品名アミキュアー、富士化成(株):商品名フジキュアー、ACR(株)製:商品名ACRハードナー、四国化成(株)の商品名キュアダクト等があるがこれに限定されるものではなく、適宜選択して1種あるいは2種以上を混合して用いることができる。
この中でもマイクロカプセル型は、シェル層でおおわれており、コア層のアミン化合物と直接エポキシに接触することがないことから、保存安定性の面では特にすぐれている。これらをポリメルタプタン化合物と併用することにより保存安定性に優れ、従来の80℃で30分の硬化条件を必要とするような低温硬化タイプのプリプレグに較べさらに低温でしかも短時間で、たとえば、80℃では10分以内、60℃でも20分程度の硬化条件でも硬化させることを見いだしたのである。
次に、A,BおよびD成分の配合量であるが、ポリメルカプタン系の硬化剤はエポキシ化合物とほぼ当量で反応することから、当量添加してもよいが、硬化促進剤を併用することから、硬化促進剤はそれ自体でも硬化剤としての機能を有することから当量よりかなり少なくてもよい。それぞれの添加量は、硬化条件、すなわち硬化温度や硬化時間により適時変化させればよいが、硬化特性およびプリプレグの保存安定性の面から、A成分、すなわち一分子中に少なくとも二個以上のグリシジル基を持つエポキシ化合物100重量部に対して、B成分、すなわちポリメルカプタン化合物を10〜100重量部とD成分、すなわち常温で潜在性を有し、ポリメルカプタン化合物の硬化促進剤となりうる化合物を1〜20重量部を含有させることが好ましい。
ポリメルカプタン化合物が10重量部未満の場合には、低温速硬化性能が劣るか、または硬化不良を生じてしまうからである。また、100重量部を越えるとやはり硬化不良を生じてしまう。次に、硬化促進剤については1重量部未満では、硬化促進の効果が十分ではなく低温速硬化性能が劣ってしまう。また、20重量部を越える場合には、低温速硬化性能については、若干程度さらに優れた効果は認められるが、逆に保存安定性が低下するデメリットが生じてくるからである。
次に、保存安定性については、A,BおよびD成分の他にE成分、即ち下記一般化学式(1)で示すホウ酸エステル化合物
B(OR1)(OR2)(OR3) (1)
(但し、R1〜R3は水素原子、アルキル基あるいはアリール基を表す)
を0.1〜5.0重量部含有させることにより、さらに向上させることができる。本発明では、E成分を含有させない場合においても、かなり保存安定性は良好であるが、例えば、30℃前後に放置した場合にはやはり不十分と言わざるをえない。なぜなら、保存温度が30℃前後とかなり高い場合には、本発明に用いる潜在性硬化剤と言えども極微量に溶解または溶出し、徐々にポリメルカプタン化合物の硬化反応を促進してしまうからである。そこで本発明者らは、保存中に溶解または溶出する潜在性硬化剤のみをホウ酸エステル化合物で定量的にブロックすることにより、保存安定性を更に向上させることができることを見いだしたのである。
ここでホウ酸エステル化合物は、保存中に溶解または溶出する潜在性硬化剤のルイス塩基がポリメルカプタン化合物の硬化促進剤として働くより前に、化学的な結合をしてブロックすることにより、ルイス塩基としての機能を失わす作用をしていると考えられる。そこで含有させるホウ酸エステル化合物は、保存安定性と加熱硬化時の硬化速度の観点から、0.1〜5.0重量部含有させることが良い。0.1重量部未満の場合には、その保存安定効果があまり発揮されないからであり、また5.0重量部を越える場合には、保存安定性は非常に優れるが、逆に加熱硬化時に潜在性硬化剤の硬化促進効果を阻害してしまうことから硬化速度が遅くなってしまうからである。このようなホウ酸エステル化合物は、単体でもよくまたエポキシ樹脂等の混合物であってもよく、上市されているものとしては、キュアアダクトL−01B(四国化成(株)製)などがあるが、これに限定されるものではない。
本発明においては、A,B、D、E成分以外に、必要に応じ低温速硬化性能に影響を与えない範囲で、たとえば難燃剤、酸化防止剤、フローコントロール剤またはタック調製剤などの添加剤を少量添加することはいっこうに差し支えない。上記低温速硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物をもちいた繊維強化プリプレグの製造方法は,一般的な方法でよく,具体的には,ホットメルト法やソルベント法があるが,特に制限はされない。しかし特に,注意しなければならないことは,製造時に温度を必要以上に上げて硬化反応を開始させないことである。硬化反応が進行すると保存安定性が低下するからである。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、40℃を越えると硬化反応が徐々に進行していくことから、40℃以下でのプリプレグ製造が好ましい。これらは、エポキシ樹脂の種類や樹脂含浸時の温度および圧力、または溶剤を用いる場合にはその種類を適宜考慮することにより可能である。また、保存は、常温以下で通常プリプレグと同様に0℃以下で保存することが好ましい。なお、本発明に用いる繊維としては,例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維またはこれらの織布や不織布等があげられるが、特に制限されるものではない。
本発明(請求項7)のプリプレグの硬化方法は、40℃を越える温度に加熱することができればどのような方法でもよいが、気温の高い時期においてはあえて加熱する必要はない。また、加熱を必要とするような低温時期や硬化時間を短縮させるためには、ドライヤー、ジェットヒーター、プラジェットシーター、赤外線ヒーター、加熱ローラーまたはアイロン等の機器を用いることは簡便でよい。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
なお以下の実施例における評価方法は下記の通りである。
・保存安定性;15℃で10日放置した後に,プリプレグのタック性を触感評価
○・・・良好(変化なし)
△・・・やや良好(やや硬化気味であるが使用には支障なし)
×・・・不良(硬化して使用不可能)
・貼付作業性;エポキシ系のプライマー処理を施したセメント表面に、プリプレグまたはシートを貼付けるときの作業性
・安全衛生性;貼付作業を行う時の臭気
・硬化特性;プリプレグまたはシートを貼りつけた後、加熱後に1週間放置したのち、アセトンに浸漬して硬化状態を評価
良好・・・変化がなく、十分に硬化している
不良・・・表面が膨潤または(一部)溶解して硬化不良である
・硬化後の表面状態;硬化後に目視で観察したときの表面状態
○・・・良好
△・・・やや良好
×・・・不良
実施例1
下記A、BおよびC成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し、炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率約50wt%、両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは、表1に示すように、保存安定性が良好であった。次に、ポリエチレンフィルムを剥がし、そのプリプレグをエポキシ系プライマーで処理したセメント表面に接着し、離型紙の上からコテとバイブレーターを用いて空気を抜きながら加圧した。この貼付作業は、非常に簡単であり、さらにこのプリプレグの硬化特性、硬化後の表面状態は良好であった。
・A成分;エポキシ化合物(エピコート828とエピコート1002の3対7の混合物:油化シェルエポキシ(株)製)100重量部
・B成分;ポリメルカプタン化合物(エピキュアQX−40:油化シェルエポキシ(株)製)28重量部
・C成分;トリスジメチルアミノメチルフェノール70重量%内包し、ポリアクリル樹脂をシェル材としたマイクロカプセル(平均粒子径5μm)10重量部
実施例2
実施例1で用いたAおよびB成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、ガラス繊維(強度150kg/mm2、引張弾性率7t/mm2)の平織布に含浸し、次にこの両面に実施例1で用いたC成分を約5重量部づつ塗布し、ガラス繊維目付110g/m2、樹脂含有率約60wt%、両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグを実施例1と同様に評価したところ、表1に示すように、保存安定性がよく、貼付作業性、硬化特性、硬化後の表面状態は良好であった。
比較例1
実施例1で用いたAおよびB成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し、炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率48wt%、両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグを実施例1と同様に評価したところ、表1に示すように、保存安定性は良好であったが、常温では3週間後でも硬化しなかった。
・A成分;100重量部
・B成分;28重量部
比較例2
実施例1で用いたA、Bおよび下記のC’成分を含有するエポキシ樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)のプリプレグを製造しようとしたところ、エポキシ樹脂を調合している間に、エポキシ樹脂組成物が硬化して、プリプレグが製造できなかった。
・A成分;100重量部
・B成分;28重量部
・C’成分;トリスジメチルアミノメチルフェノール−10重量部
比較例3
下記のAおよびB成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し、炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率48wt%、両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグを実施例1と同様に評価したところ、表1に示すように、保存安定性および貼付作業性は良好であった。そして、80℃で30分間加熱することにより硬化したが、常温では、3週間後でも全く硬化しなかった。
・A成分;エポキシ化合物(エピコート828とエピコート1001の3対7の混合物)100重量部
・B成分;潜在性マイクロカプセル型低温硬化剤(ノバキュアHX3722:旭化成(株))30重量部
比較例4
一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)のシート(炭素繊維目付150g/m2)に、下記のAおよびB成分を混合して調整したエポキシ樹脂溶液を、ハンドレイアップ方式でエポキシ系プライマーで処理したセメント表面に接着した。この貼付作業は、表1に示すように、空気抜きする作業以外にエポキシ樹脂溶液を均一にシートに含浸する作業を含み、非常に煩わしいものであった。このシートは、1週間後には完全に硬化していたが、表面にはややボイドが見られた。
・A成分;エポキシ化合物(エピコート828)100重量部
・B成分;エチレンジアミン7重量部
Figure 2004231974
実施例3
下記のA、BおよびD成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し,炭素繊維目付150g/m2,樹脂含有率40wt%,両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは,表2に示すように,保存安定性は良好であった。次に、前記プリプレグのポリエチレンフィルムを剥がし、離型紙の上から、ゆっくりとローラーを用いて、エポキシ系プライマー処理を行ったセメント表面にボイドを抜きながら貼付けた。それを70℃の恒温槽中で10分加熱した後、取り出し冷却後、離型紙をはぎ取った。この作業については、特に煩わしくもなく、臭気など特に安全衛生上についても問題はなく、さらに貼り付けられたプリプレグは十分に硬化しており、またその表面状態はボイド等も見られず良好であった。
・A成分;エポキシ化合物(エピコート828とエピコート1002の6対4の混合物:油化シェルエポキシ(株)製)100重量部
・B成分;ポリメルカプタン化合物(エピキュアーQX−40:油化シェルエポキシ(株)製)35重量部
・D成分;マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤(ノバキュアーH−3722:旭化成(株)製)7重量部
実施例4
実施例3で用いたA、B成分および下記のD成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたガラス炭素繊維(強度150kg/mm2、引張弾性率7t/mm2)に含浸し、ガラス繊維目付110g/m2、樹脂含有率35wt%、両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは、表3に示すように、保存安定性は良好であった。次に、前記プリプレグのポリエチレンフィルムを剥がし、離型紙の上から、ゆっくりとローラーを用いて、エポキシ系プライマー処理を行ったセメント表面にボイドを抜きながら貼付けた。それを60℃の恒温槽中で20分加熱した後、取り出し冷却後、離型紙をはぎ取った。この作業については、特に煩わしくもなく、臭気など特に安全衛生上についても問題はなく、さらに貼り付けられたプリプレグは十分に硬化しており、またその表面状態はボイド等も見られず良好であった。
・A成分;100重量部
・B成分; 30重量部
・D成分; 5重量部{潜在性硬化促進剤(フジキュアーFXE−1000:富士化成(株)製)
実施例5
下記のA、B、D、及びE成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたガラス炭素繊維(強度150kg/mm2,引張弾性率7t/mm2)に含浸し,ガラス繊維目付110g/m2、樹脂含有率35wt%、両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは表2に示すように,保存安定性は実施例4に較べ更に良好であった。また、25℃で10日の保存安定性についても良好であった。次に、前記プリプレグのポリエチレンフィルムを剥がし、離型紙の上から、ゆっくりとローラーを用いて、エポキシ系プライマー処理を行ったセメント表面にボイドを抜きながら貼付けた。それを60℃の恒温槽中で20分加熱した後、取り出し冷却後、離型紙をはぎ取った。この作業については、特に煩わしくもなく、臭気など特に安全衛生上についても問題はなく、さらに貼り付けられたプリプレグは十分に硬化しており、またその表面状態はボイド等も見られず良好であった。
・A成分;100重量部
・B成分; 30重量部
・D成分; 5重量部
・E成分; 7重量部{ホウ酸エステル化合物(キェアダクトL−01B:四国化成(株)製)
実施例6
下記のA、BおよびD成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、12KのPAN系炭素繊維ストランド(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し,樹脂含有率45wt%のストランドプリプレグを製造した。このプリプレグは,表2に示すように,保存安定性は良好であった。次に、前記プリプレグをエポキシ系プライマー処理を行った円筒のセメント表面に4重巻きにボイドを抜きながら貼付けた。それを60℃の恒温槽中で20分加熱した後、取り出した。この作業については、特に煩わしくもなく、臭気など特に安全衛生上についても問題はなく、さらに貼り付けられたプリプレグは十分に硬化しており、またその表面状態はボイド等も見られず良好であった。
・A成分;100重量部{エポキシ化合物(エピコート828とエピコート1002の7対3の混合物)}
・B成分; 45重量部{ポリメルカプタン化合物(アデカハードナーEH−317:旭電化工業(株)製)}
・D成分; 10重量部{マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤(ノバキュアーH−3722)}
比較例5
実施例3で用いたAおよびB成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し,炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率40wt%、両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは,保存安定性は良好であった。このプリプレグを実施例と同様に評価を行ったところ、貼付作業性については、特に煩わしくもなく、また臭気など特に安全衛生上についても問題はなかった。しかし、貼り付けられたプリプレグは未硬化であった。
・A成分;100重量部
・B成分; 35重量部
比較例6
実施例3で用いたAおよびD成分で調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し,炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率40wt%,両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは,80℃タイプの低温硬化型プリプレグであり、保存安定性は良好であった。このプリプレグを実施例と同様に評価を行ったところ、貼付作業性については、特に煩わしくもなく、またまた臭気など特に安全衛生上についても問題はなかった。しかし、貼り付けられたプリプレグは未硬化であった。
・A成分;100重量部
・D成分; 30重量部
比較例7
実施例3で用いたA,BおよびD成分でD成分の配合量を少なく調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し,炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率40wt%,両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは,保存安定性は良好であった。このプリプレグを実施例3と同様に評価を行ったところ、貼付作業性については、特に煩わしくもなく、また臭気など特に安全衛生上についても問題はなかった。しかし、貼り付けられたプリプレグは未硬化であった。
・A成分;100重量部
・B成分; 35重量部
・D成分;0.5重量部
比較例8
実施例3で用いたA,BおよびD成分でD成分の配合量を多く調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し,炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率40wt%,両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは,保存安定性が悪く、2日後にはかなり硬化が進行しており、実施例3と同様な貼付作業性は行えなかった。
・A成分;100重量部
・B成分; 35重量部
・D成分; 30重量部
比較例9
下記のA、BおよびD成分(B成分としてジシアンジアミド)で調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し,炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率40wt%,両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは,ゴルフシャフト等の一般スポーツ・レジャー用の120℃硬化タイプのプリプレグであり、保存安定性は良好であった。このプリプレグを実施例5と同様に評価を行ったところ、貼付作業性については、特に煩わしくもなく、またまた臭気など特に安全衛生上についても問題はなかった。しかし、貼り付けられたプリプレグは未硬化であった。
・A成分;100重量部{エポキシ化合物(エピコート828とエピコート1001の4対6の混合物:油化シェルエポキシ(株)製)}
・B成分; 4重量部(ジシアンジアミド)
・D成分; 3重量部{3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア}
比較例10
実施例3で用いたA,BおよびD成分でB成分の配合量を少なく調整されたエポキシ樹脂組成物を、12KのPAN系炭素繊維ストランド(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し,樹脂含有率45wt%のストランドプリプレグを製造した。このプリプレグは、表2に示すように、保存安定性は良好であった。次に前記プリプレグをエポキシ系プライマー処理を円筒のセメント表面に4重巻きにボイドを抜きながら貼り付けた。それを60℃の恒温槽中で20分加熱した後取り出した。この作業については、特に煩わしくもなく、臭気など特に安全衛生上についても問題はなかったが、貼り付けられたプリプレグは未硬化であった。
・A成分;100重量部
・B成分; 4重量部
・D成分; 7重量部
比較例11
実施例3で用いたA,BおよびD成分でB成分の配合量を多く調整されたエポキシ樹脂組成物を、一方向に引きそろえられたPAN系炭素繊維(強度350kg/mm2、引張弾性率24t/mm2)に含浸し,炭素繊維目付150g/m2、樹脂含有率40wt%,両側をポリエチレンフィルムと離型紙でサンドイッチされたプリプレグを製造した。このプリプレグは,表2に示すように、保存安定性は良好であった。次に前記プリプレグをエポキシ系プライマー処理を行った円筒のセメント表面に4重巻きにボイドを抜きながら貼り付けた。それを60℃の恒温槽中で20分加熱した後取り出した。この作業については、特に煩わしくもなく、臭気など特に安全衛生上についても問題はなかったが、貼り付けられたプリプレグはかなり硬化は進んでいたが、やはり未硬化であった。
・A成分;100重量部
・B成分;120重量部
・D成分; 7重量部
比較例12
エポキシ系プライマー処理を行ったセメント表面に,下記成分を約1mm厚に刷毛を用いて,均一に塗布したのち,比較例10で調整された120℃硬化タイプの樹脂を用いて製造されたピッチ系炭素繊維プリプレグ(繊維:強度370kg/mm2、引張弾性率40t/mm2、炭素繊維目付100g/m2、樹脂含有率33wt%)を貼付けて、実施例と同様の評価を行った。このプリプレグは,保存安定性がよく,貼付作業性は特に問題は生じなかったが,トルエンを用いていたことから,臭気が激しく安全衛生性については問題があった。この複合材料は,1週間後では,未硬化のところがかなりあり,表面はボイドも見られた。
成分;エポキシ化合物(エピコート828)とエチレンジアミンの100対7の混合物を80重量%含有するトルエン溶液
Figure 2004231974

Claims (7)

  1. 下記A、B及びCを必須成分とすることを特徴とする常温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物。
    A;一分子中に少なくとも二個以上のグリシジル基を持つエポキシ化合物
    B;ポリメルカプタン化合物
    C;マイクロカプセル化されたアミン類化合物
  2. 請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸していることを特徴とする常温硬化型プリプレグ。
  3. 請求項2に記載のプリプレグの成形時に、該プリプレグを加圧してC成分のマイクロカプセルを破壊し硬化させることを特徴とするプリプレグの常温硬化方法。
  4. 下記A成分100重量部に対して、B成分を10〜100重量部とD成分を1〜20重量部含有することを特徴とする低温速硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物。
    A;一分子中に少なくとも二個以上のグリシジル基を持つエポキシ化合物
    B;ポリメルカプタン化合物
    D;常温で潜在性を有し、ポリメルカプタン化合物の硬化促進剤となりうる化合物
  5. 請求項4に記載の低温速硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物に更にE成分としてホウ酸エステル化合物が0.1〜5.0重量部含有されていることを特徴とする低温速硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物。
  6. D成分がマイクロカプセル型の潜在性硬化促進剤であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の低温速硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸していることを特徴とする低温速硬化型プリプレグ。

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