JP2004231855A - ポリエチレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−ト(BHET)を重合する際に蒸留除去すべきエチレングリコール(EG)量の低減を図りながら、触媒活性化の促進により重合触媒としての機能を速やかに発揮させることにより、重合工程を短縮化する。
【解決手段】反応容器内で、溶融状態のBHETに重合触媒を溶解させるとともに両者を反応させて反応液を得る予備反応工程と、重合容器内で、上記反応液とBHETとを混合して、BHETを重合させてポリエチレンテレフタレートを得る重合工程とからなる。溶融BHETと重合触媒との反応により重合触媒の活性化が促進され、BHETの重合を速やかに進行させることができる。重合触媒を重合反応系に添加する際、重合触媒をEGに分散させて添加しているわけではないので、余分のEGが重合触媒と共に反応系に加えられてはいない。
【選択図】 なし
【解決手段】反応容器内で、溶融状態のBHETに重合触媒を溶解させるとともに両者を反応させて反応液を得る予備反応工程と、重合容器内で、上記反応液とBHETとを混合して、BHETを重合させてポリエチレンテレフタレートを得る重合工程とからなる。溶融BHETと重合触媒との反応により重合触媒の活性化が促進され、BHETの重合を速やかに進行させることができる。重合触媒を重合反応系に添加する際、重合触媒をEGに分散させて添加しているわけではないので、余分のEGが重合触媒と共に反応系に加えられてはいない。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう。)の製造方法に関し、より詳しくはビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−ト(以下、BHETという。)を重合させてPETを得るPETの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PETは化学的安定性に優れ、軽量かつ適度な強度をもつため、飲料ボトルやフィルム、衣料用繊維等に好適に使用されている。それとともにPET製品の廃棄物(以下、廃PETという。)も増加しており、資源回収及びゴミの減量化の観点からも、廃PETを回収してケミカルリサイクルし、リサイクル品も新品のPETと同様に使用できることが求められている。
【0003】
PETのケミカルリサイクルとして、回収PETを直接エチレングリコール(以下、EGと略す。)と反応させて解重合することによりPETの中間原料であるBHETを生成し、得られた粗製BHETに対して、脱イオン・EG除去等を行った後に蒸留操作を行って精製BHETとし、これを再生PET原料として重縮合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところで、ポリエステルを効率よく製造する方法としては、高純度のテレフタル酸(以下、TPAともいう。)とEGとを直接エステル化した後、得られた反応生成物を三酸化アンチモン等の重合触媒により高温、高真空下で重縮合させる直接重合法が一般的である。そして、この直接重合法でPETを製造する場合、まず、EGのTPAに対するモル比が1.2程度の混合物として反応を開始する方法が一般的に採用されている。ここに、生成しようとするPETの繰り返し単位には1モル分のEG単位と1モル分のTPA単位とが含まれている。このため、重合工程では、TPAに対して余剰に加えられたEGを蒸留除去しながら重合が行われるが、余剰のEG量が多くなれば、その分EGの蒸留除去に手間がかかることになる。
【0005】
ところが、回収PETから得られた精製BHETをそのまま重合してPETにしようとすると、上記直接重合法と比べて、蒸留除去しなければならないEG量が多くなり、その分重合反応でEGを蒸留除去するのに余計な手間がかかって重合工程が長期化し、重合反応に要するエネルギーも増大するという欠点がある。
【0006】
すなわち、BHET1モル中には2モル分のEG単位と1モル分のTPA単位とが含まれている。一方、上述のとおり、生成しようとするPETの繰り返し単位には1モル分のEG単位と1モル分のTPA単位とが含まれている。このため、BHETをそのまま重合すると、理論的には、BHET1モル当たり、1モル分のPET(PETの繰り返し単位の分子量に等しいグラム数のPETの量を1モルとして計算している。以下、同様。)が生成されるとともに、1モルのEGが副生されることになる。したがって、BHETをそのまま重合すると、EGのTPAに対するモル比が1.2程度で重合される上記直接重合法と比べて、重合時に副生されるEG量、すなわち蒸留除去しなければならないEG量が(1/0.2)倍程度多くなってしまう。
【0007】
一方、BHETを重合してPETとする際、三酸化アンチモンや二酸化ゲルマニウム等の重合触媒が用いられる。そして、得られるPETの高品質化を図るためには、重合触媒の働きを十分に引き出すことが重要となる。
【0008】
そこで、三酸化アンチモンや二酸化ゲルマニウム等の粉末固体を常温のEGに分散させたもの又はそれをさらに加熱処理したものを、脱イオン化された溶融BHETに添加して、BHETを重縮合させる技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)
そして、この特許文献2には、重合触媒をEGで予め加熱処理することにより、脱イオン化されたBHETから高品質のPETを効率的に得ることができること、及びこうなることの理由は詳らかではないが、アンチモンやゲルマニウムのアルコラート化が促進され、重合触媒としての機能が速やかに発揮されることによるものと考えられることが開示されている。
【0009】
しかしながら、重合触媒をEGに分散させてBHETに添加すると、余分のEGが反応系に加えられることになるため、重合する際に蒸留除去しなけらばならないEG量が増え、その分重合工程が長期化してしまう。
【0010】
なお、PETを製造するに際して、PET製品における各種要求品質を満たすようにPET製品を多様化、高度化させるべく、媒体としてのBHETに所定の添加物を全体の5〜60重量%の割合で配合した混合物を、重合反応系に添加する技術も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0011】
この特許文献3に開示された技術では、混合物を重合反応系に添加したときの急激な沸騰を避けるべく、混合物の媒体として高沸点媒体たるBHETを採用している。また、高流動性により反応系への添加を容易にするとともに、混合物の添加により反応系内が冷却、固化して撹拌が不均一になることを避けるべく、混合物を予め加熱してBHET媒体を溶融した状態で、反応系に添加している。
【0012】
しかし、この特許文献3に開示された技術で、重合反応系に添加される添加物は、あくまでもPET製品に何らかの機能を付与する目的を持って添加される、PET原料以外のいわば第3成分であり、勿論重合触媒として反応系に添加されるものでもない。
【0013】
因みに、特許文献3には、着色効果、繊維用途に供する場合のつや消し効果やフィルム用途に供する場合のすべり効果等をPET製品に付与する目的を持って添加される添加物として、金属酸化物、金属微粉、カーボンブラック、無機顔料や有機染顔料が例示される一方、溶融BHET媒体に重合触媒を加えた混合物を重合反応系に添加する点については何ら開示されていない。そして、特許文献3では、直接重合法に適用した実施例において、TPAとEGと重合触媒としての三酸化アンチモンとの混合物をスラリー状でエステル化反応させる一方、繊維のつや消し用の添加物としてのアナターゼ型二酸化チタン40重量%とBHET60重量%との混合物を124℃で加熱して溶融混練物とし、エステル化反応で得られた反応生成物に対して120℃に保持した溶融混練物を連続添加しながら、該反応生成物を重縮合させている。
【0014】
【特許文献1】
特開2000−53802号公報(第4−5頁)
【特許文献2】
国際公開第01/29110 A1号パンフレット(第6−7頁)
【特許文献3】
特開2001−342332号公報(第2−5頁)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、重合する際に蒸留除去すべきEG量の低減を図りながら、触媒活性化の促進により重合触媒としての機能を速やかに発揮させることにより、重合工程を短縮化することのできるPETの製造方法を提供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明のポリエチレンテレフタレートの製造方法は、BHETを重合させてポリエチレンテレフタレートを得るポリエチレンテレフタレートの製造方法であって、反応容器内で、溶融状態のBHETに重合触媒を溶解させるとともに両者を反応させて反応液を得る予備反応工程と、重合容器内で、上記反応液とBHETとを混合して、BHETを重合させてポリエチレンテレフタレートを得る重合工程とからなることを特徴とするものである。
【0017】
このPETの製造方法では、反応容器内で、溶融状態にある溶融BHETに重合触媒を溶解させるとともに、この溶融BHETと重合触媒とを反応させて反応液を得る。こうして得られた反応液においては、溶融BHETとの反応により重合触媒の活性化が促進されている。このため、重合容器内で、この反応液とBHETとを混合することにより、反応液中の活性化された重合触媒によりBHETの重合を速やかに進行させることができる。
【0018】
また、重合触媒を重合反応系に添加する際、重合触媒をEGに分散させて添加しているわけではないので、余分のEGが重合触媒と共に反応系に加えられてはいない。したがって、重合時に蒸留除去しなければならないEG量が増えるようなこともなく、蒸留除去すべきEG量の増加により重合工程が長期化するようなこともない。
【0019】
さらに、重合反応系に加えられる反応液は予め加熱されているため、その分重合反応系を重合反応温度まで昇温するのに要する時間を短くすることができる。
【0020】
したがって、本発明方法によれば、BHETの重合工程の短縮化を図ることができる。
【0021】
また、高沸点媒体たる溶融BHETに重合触媒を溶解、反応させて反応液を得ていることから、重合反応系に加えられた反応液が系の環境で急激な沸騰を起こすことを避けることができる。
【0022】
さらに、重合触媒の活性化を促進させるべく用いられる反応液の媒体としてのBHETを、PETを製造するための原料の一部として併用することができる。したがって、重合容器へ投入できるBHETの総量を増加させることができ、重合触媒をEG媒体に分散させて重合を行う場合と比べて、得られるPETの量を増加させることができる。
【0023】
好適な態様において、前記重合工程は、テレフタル酸の存在下で行われる。
【0024】
好適な態様において、前記テレフタル酸は、前記予備反応工程で、前記反応容器内に添加される。
【0025】
好適な態様において、前記テレフタル酸は、前記反応液を構成する前記BHETと前記重合容器内で該反応液と混合される前記BHETとの合計のBHET1モル当たり、0.5〜1モル添加される。
【0026】
好適な態様において、前記重合容器内で前記反応液と混合される前記BHETに対する、該反応液を構成する前記BHETの重量比は、0.1〜3.0である。
【0027】
好適な態様において、前記反応液を構成する前記BHET及び前記重合容器内で該反応液と混合される前記BHETのうちの少なくとも一部は、回収ポリエチレンテレフタレートを解重合することによって生成された解重合生成物から得られたものである。
【0028】
好適な態様において、前記解重合生成物は、カチオン交換樹脂及び/又はアニオン交換樹脂との接触によりBHET中のイオン含有量が50ppm以下となるように精製される。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明のPETの製造方法は、BHETを重合させてPETを得るもので、反応容器内で、溶融状態のBHETに重合触媒を溶解させるとともに両者を反応させて反応液を得る予備反応工程と、重合容器内で、該反応液とBHETとを混合し、所定の反応温度下でBHETを重合させてPETを得る重合工程とからなる。
【0030】
予備反応工程で用いられるBHET(上記反応液を構成するBHET。以下、反応液用BHETともいう。)及び重合工程で用いられるBHET(上記重合容器内で反応液と混合されるBHET。以下、重合用BHETともいう。)としては、特に限定されず、例えば、TPAとEGとから直接エステル化反応により生成したものでも、ジメチルテレフタレート(DMT)とEGとからエステル交換反応により生成したものでも、あるいは新品のPET製品を製造する段階で発生する屑PETや飲料ボトル等の使用済の回収PETをEGで解重合することにより生成したものでもよい。省資源化等の観点からは、上記反応液用BHET及び上記重合用BHETのうちの少なくとも一部は、回収PETをEGで解重合することによって生成した解重合生成物から得られたものを用いることが好ましい。
【0031】
上記回収PETをEGで解重合することによって生成した解重合生成物(粗製BHET)は、少なくとも蒸留精製を行う精製工程を経ることにより、精製BHETにしてから、予備反応工程及び重合工程で用いることが好ましい。
【0032】
ここに、回収PETをEGで解重合することによって生成した解重合生成物(粗製BHET)中には、回収PET中に含まれていた重合触媒や着色剤等の添加物が残存している(添加物のほとんどがカチオンやアニオンの形で残存している)ため、この粗製BHETの精製に特に留意しないと、得られるPETは黄褐色に着色してしまう。そこで、上記精製工程では、解重合生成物としての粗製BHETから着色剤、アニオン・カチオン等を除去する脱色・脱イオン工程を、蒸留操作により精製する蒸留工程の前に実施することが好ましい。
【0033】
上記脱色工程では、上記粗製BHETを公知の脱色剤(例えば活性炭や白土)に接触させることにより、脱色することができる。
【0034】
上記脱イオン工程では、上記粗製BHETをカチオン交換樹脂及び/又はアニオン交換樹脂と接触させることにより、該粗製BHETから金属カチオンとその対アニオンを除去することができる。
【0035】
ここに、粗製BHET中のイオン含有量(アニオン及びカチオン合計の含有量。以下、同様)が100ppm以上であると、蒸留精製時に悪影響を及ぼすおそれがあり、また、50ppmを超えると色調等の品質の良好なPETを得ることが困難となる。このため、上記脱イオン工程では、粗製BHET中のイオン含有量が50ppm以下となるように脱イオンすることが好ましい。
【0036】
上記蒸留操作により精製する蒸留工程では、粗製BHETのEG溶液からEGを除去する方法は特に限定されない。しかし、BHETの化学的な性質上、出来る限り低温でかつ出来る限り短時間で蒸留しなければ、蒸留釜に滞留中や蒸発中に望まぬ重合が進むおそれがある。そこで、この蒸留工程では、より短時間でかつより低温でEGを除去すべく、分子蒸留器を用いることが好ましい。
【0037】
精製工程を経て得られた精製BHETの精製度を示す因子の一例としてはBHETの色調を挙げることができ、例えば色差計で測定した値でASTM−D1482−57Tによる表示法でのb値が3以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。このb値が3を超えるBHETからPETを製造すると、PETのb値が5を大きく超えることとなり、実質的に実用に耐えられなくなる。
【0038】
本発明方法における大きな特徴である予備反応工程では、上述のとおり、反応容器内で、溶融状態のBHETに重合触媒を溶解させるとともに両者を反応させて反応液を得る。
【0039】
この予備反応工程は、例えば、反応容器内に所定量のBHETと所定量の重合触媒とを仕込み、反応系を撹拌下に130〜200℃程度まで昇温させた後、溶融したBHETに重合触媒が溶解して混合物が均一な溶液となり、さらにBHETと重合触媒とが反応するまで、撹拌下で同温度に保つことにより行うことができる。なお、所定の反応温度下でBHETと重合触媒とが接触してから撹拌下かつ同温度下で両者の反応が完了するまでの時間は、添加しようとする触媒の種類、量及び反応温度により変化するが、3〜5時間程度とすることができる。
【0040】
このように溶融BHETに重合触媒を溶解させるとともに両者を反応させることにより、重合触媒の活性化が促進される。その理由は、触媒として後述する金属酸化物は、そのままでは重合触媒能はなく、EGのような水酸基をもつ化合物と反応してはじめて触媒能が発揮されるからである。
【0041】
上記重合触媒としては、アンチモン、コバルト、リチウムやゲルマニウム及びこれらの酸塩や酸化物等の公知触媒を用いることができるが、アンチモン酸化物を含む態様によると重合反応をより円滑に進めることができ、また、ゲルマニウム酸化物を含む態様によると得られるPETの色調が良くなるため、好ましい。具体的には、アンチモン酸化物として三酸化アンチモンを用いることが好ましく、ゲルマニウム酸化物として二酸化ゲルマニウムを用いることが好ましい。
【0042】
この重合触媒の添加量は、使用する触媒の種類によって異なるが、例えば三酸化アンチモンを使用する場合には、上記反応液用BHET及び上記重合用BHETの総モル数に対して8ミリモル%程度、二酸化ゲルマニウムの場合には同総モル数に対して30ミリモル%程度で十分である。また、後述する重合工程における重合反応は、回分式又は連続式に実施することができるが、後者の場合は上記反応液に含まれる重合触媒成分の重量比が常に一定となるように、添加、反応させておくことが好ましい。
【0043】
ここに、連続的にPETを製造する場合は、上記予備反応工程を、当該予備反応工程を実施する当該サイクル以前に実施した先のサイクル(例えば、当該サイクルの1つ前のサイクル)における重合工程を実施している間に行うことが好ましい。こうすれば、1サイクルに要する時間を短縮させることができ、より効率的にPETを製造することが可能となる。
【0044】
一方、上記重合工程では、重合容器内で、上記反応液とBHETとを混合し、所定の反応温度下で上記重合触媒によりBHETを重合させてPETを得る。
【0045】
この重合工程は、例えば、以下のように実施することができる。まず、窒素雰囲気下に重合容器内に所定量のBHETを入れ、望ましくは撹拌下に130〜200℃に昇温させてBHETを溶融状態にしてから、撹拌下に上記反応液を一気に又は徐々に添加して混合する。そして、常圧下に徐々に反応系の温度を230〜245℃程度まで上げ、副生するEGや水を含む低沸成分を蒸留除去し、その蒸発が止まることを確認する。その後、さらに昇温を続けて260〜290℃程度の重合反応温度に保ちながら反応系を徐々に減圧し、最終的には内圧を10〜80Pa程度まで下げる。系内の反応物の溶融粘度は徐々に増加し、所定の粘度(例えば、撹拌に消費される電力によって確認することができる。)となった時点で重合反応を終了する。
【0046】
本発明方法では、重合工程で、予備反応工程で触媒の活性化が促進された重合触媒を用いて、BHETを重合させることから、重合反応を速やかに進行させることができる。
【0047】
また、重合触媒を重合反応系に添加する際、重合触媒をEGに分散させて添加しているわけではないので、余分のEGが重合触媒と共に反応系に加えられてはいない。したがって、重合時に蒸留除去しなければならないEG量が増えるようなこともなく、蒸留除去すべきEG量の増加により重合工程が長期化するようなこともない。
【0048】
さらに、重合反応系に加えられる反応液は予め加熱されているため、その分重合反応系を重合反応温度まで昇温するのに要する時間を短くすることができる。このとき、重合容器内のBHETを予め加熱し、例えば溶融状態にしておけば、反応液を添加してから重合反応温度に昇温するまでの時間をさらに短くすることができる。
【0049】
したがって、本発明方法によれば、BHETの重合工程の短縮化を図ることができる。
【0050】
また、高沸点媒体たる溶融BHETに重合触媒を溶解、反応させて反応液を得ていることから、重合反応系に加えられた反応液が系の環境で急激な沸騰を起こすことを避けることができる。
【0051】
さらに、重合触媒の活性化を促進させるべく用いられる反応液の媒体としての反応液用BHETを、PETを製造するための原料の一部として併用することができる。したがって、重合容器へ投入できるBHETの総量を増加させることができ、重合触媒をEG媒体に分散させて重合を行う場合と比べて、得られるPETの量を増加させることができる。
【0052】
ここに、上記重合用BHETに対する上記反応液用BHETの重量比は、0.1〜3.0とすることが好ましく、0.3〜2.0とすることがより好ましい。重合用BHETに対する反応液用BHETの重量比が大きすぎると、反応容器の容積が重合容器のそれとあまり変わりなくなったり、やたらに大きくなり好ましくない。一方、重合用BHETに対する反応液用BHETの重量比が小さすぎると、後述のTPAの添加を想定したときに、BHETとTPAの混合物の流動性が著しく減少するため、好ましくない。なお、後述するように、上記反応液中にTPAを添加する場合であって、このTPAのモル数と、上記重合用BHET及び上記反応液用BHETの総モル数とを等しくする場合には、重合用BHETに対する反応液用BHETの重量比を0.5〜1.0とすることが好ましい。この比が0.5未満であると、反応液の見掛けの粘度が極めて大きくなり、均一な混合が困難となる。一方、1.0を超えると、反応容器を大きくする必要が生じ、好ましくない。
【0053】
また、上記重合工程は、テレフタル酸の存在下で行われることが好ましい。前述のとおり、BHET1モル中には2モル分のEG単位と1モル分のTPA単位とが含まれる一方、生成しようとするPETの繰り返し単位には1モル分のEG単位と1モル分のTPA単位とが含まれており、このため、BHETをそのまま重合すると、理論的には、BHET1モル当たり、1モル分のPETが生成されるとともに、1モルのEGが副生されることになり、この副生EGを系外に除去する必要がある。
【0054】
この点、テレフタル酸の存在下で重合させれば、理論的には、BHET1モル当たり、BHET1モル中に含まれる2モル分のEG単位及び1モル分のTPA単位と、別に添加された1モル分のTPAとの反応により、EGを副生させることなく2モル分のPETを生成させることができる。すなわち、添加されたTPA1モル分と副生されるはずであったEG1モル分とが反応して1モル分のPETが生成され、EGの副生が回避される。このため、TPAの添加量に応じて、副生されるEG量、すなわち蒸留除去しなけらばならないEG量を低減させることができ、その分重合工程を短縮化することが可能となる。
【0055】
このとき、重合に供するBHETのモル数と添加されるTPAのモル数とが同等であれば、理論的には、副生されるEG量を零とすることが可能となる。したがって、TPAの添加量としては、副生されるEG量をより低減させる観点からは、重合に供するBHETのモル数と同等のモル数とすることが最適となる。また、添加するTPAのモル数が重合に共するBHETのモル数を超えると、生成するPETに酸末端が増加するため、好ましくない。
【0056】
一方、公知の方法により製造されるPETには、その製造中に不可避的に副生されるジエチレングリコール(以下、DEGという。)成分が混在している。このため、本発明の製造方法に原料として使用できる回収PETにもDEG成分が含まれている。そして、回収PETを用いて解重合工程及び精製工程を実施すると、正確な理由は定かでないが、これらの工程中にDEGの副生が進む。このため、精製工程で得られた精製BHETには、回収PETにおける含有モル比よりも高い含有モル比でDEG成分が含まれている。なお、このDEG成分中には、DEGとテレフタル酸とからなるエステル化合物も含まれている。そして、このDEG成分を多く含んだ精製BHETを公知の重合方法で重合すると、得られるPET中のDEG成分がさらに増加し、DEGの含有量が2.5重量%を大きく超えてくるので、軟化点が低下する等の品質劣化が発生する。
【0057】
この点、テレフタル酸の存在下で重合すれば、理論的には、BHET1モル当たり、BHET1モル中に含まれる2モル分のEG単位及び1モル分のTPA単位と、添加された1モル分のTPAとが反応することにより、2モル分のPETが生成されることになる。このため、重合に供するBHET量及び添加されるTPAの添加量に応じて、得られるPETの生成量を増やすことができ、その結果PETの増量分に応じて該PET中のDEG成分の重量比(PET全体の重量に対するDEG成分の重量)を低下させるできる。したがって、この態様によれば、軟化点が低下する等の品質低下を招くことがなく、高品質のPETを得ることができる。
【0058】
上記TPAの添加時期としては、少なくとも重合工程における重合開始時以前であればよいが、前記予備反応工程で前記反応容器内に添加されることが好ましい。より具体的には、反応容器内で溶融BHETに重合触媒が溶解して均一な溶液となり、さらにBHETと重合触媒との反応が完了した反応液中にTPAを添加することが好ましい。このように予備反応工程で反応容器内にTPAを添加することにより、溶融BHETとTPAの少なくとも一部とを反応させることができ、結果として次工程での重合反応時間を短縮することも可能である。
【0059】
また、上記TPAは、上記反応液用BHETと上記重合用BHETとの合計のBHET1モル当たり、0.5〜1モル添加することが好ましい。
【0060】
すなわち、上記TPAの添加量の上限は、上記反応液用BHET及び上記重合用BHETの総モル数とすることが好ましい。TPAの添加量が上記反応液用BHET及び上記重合用BHETの総モル数を超えると、たとえその超過量が微小であっても生成されるPETにおいてカルボン酸末端が極端に増加してしまい、またその超過量が過大になれば重合反応が進みにくくなる。
【0061】
一方、上記反応液用BHET及び上記重合用BHETの総モル数よりも極端に少ないモル数、例えば該総モル数の20モル%の添加量でTPAを添加する場合を想定すると、重合反応が進むにつれて余剰となるEGの副生量が多くなってしまう。このため、TPAの添加量の下限は、上記反応液用BHET及び上記重合用BHETの総モル数に対して、50モル%とすることが好ましく、70モル%とすることが特に好ましい。
【0062】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に詳しく説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記述において「部」として示すものは特に限定しない限り、重量部を示す。
【0063】
(実施例1)
本実施例は、以下に示す準備工程、予備反応工程及び重合工程を実施することにより、PETを製造するものである。
【0064】
<準備工程>
まず、市販のポリマーグレードTPA1660部、EG1240部を蒸留装置付きステンレス製容器に入れ、攪拌下に160℃まで加熱した。温度が上がるにつれて水が発生し始めたが、水の発生が終わるまで反応を続け、反応生成物としてのBHET(a)を得た。加熱し始めてから水の発生が終わるまでに要した時間は約60分であった。BHET(a)を容器から取出し、温度120℃にて別の容器に納めた。このBHET(a)の一部を取出し、分析したところ、水酸基価から推定したBHETの含有率は96重量%であった。
【0065】
<予備反応工程>
反応液用BHETとして上記BHET(a)を用い、窒素置換されたステンレス製反応容器にこのBHET(a)80部を入れ、撹拌しながら160℃まで加熱して、このBHETを完全に溶融した。その後、撹拌を続けながら市販の触媒グレードの三酸化アンチモン0.03部を同反応容器に添加して、三酸化アンチモンの粉末を完全に溶融BHETに溶解させて均一な溶液とした後、さらに3時間同温度(160℃)で撹拌しながら溶融BHETと三酸化アンチモンとを反応させた。そして、撹拌しながら同反応容器にTPA166部を添加し、均一に混合して反応液(b)を得た。
【0066】
なお、溶融BHETと三酸化アンチモンとの反応完了は、この反応液(b)の一部(約1g)を50mlのメタノールに投入し、ゲル状の沈殿のみが得られることにより確認した。
【0067】
<重合工程>
一方、重合用BHETとして上記BHET(a)を用い、窒素置換された別のステンレス製重合容器にこのBHET(a)174部を入れ、攪拌しながら130℃まで加熱して、このBHETを完全に溶融した。
【0068】
なお、上記重合用BHETに対する上記反応液用BHETの重量比は、0.46程度とされている。
【0069】
そして、同重合容器内を撹拌しながら、上記反応液(b)を同重合容器に徐々に添加した。そして、撹拌を続けながら、反応液(b)中のTPAが完全に分散された後加熱を強めて徐々に内温を上げ、この混合液が透明な液体になるまで常圧下で加熱を続けた。透明となった時点での内温は243℃であり、大部分水からなる低沸成分が蒸留除去されたが、この蒸留除去された成分中にはEGは実質的に含まれていなかった。また、同重合容器に上記反応液を添加してから低沸成分の蒸留除去が完了するまでに要した時間は約1時間であった。
【0070】
その後、さらに昇温を続けて最終的に285℃の重合反応温度まで加熱しながら、反応系を徐々に減圧し、最終的には内圧を15Paまで下げた。そして、同重合反応温度及び同内圧を保ちながら20分保持してから、重合反応を終了させた。
【0071】
なお、上記反応液(b)を重合容器内に添加してから重合反応が完了するまでに要した実質的な重合時間は、1時間37分であった。
【0072】
こうして得られたPETの一部350部を取出し、35℃のオルソクロロフェノール中に1.2g/100mlの濃度で該PETを添加したときの粘度と、カラーマシンによる色調b値を調べたところ、表1に示す結果が得られた。なお、表1中の色調b値は、色差計で測定した値でASTM−D1482−57Tによる表示法で示している。
【0073】
これにより、本実施例により得られたPETは、テレフタル酸とEGとの重縮合反応により得られた新品PETと同等以上の品質を有していることが確認できた。
【0074】
(実施例2)
本実施例は、以下に示す準備工程、予備反応工程及び重合工程を実施することにより、PETを製造するものである。
【0075】
<準備工程>
まず、使用済みの回収PETボトルを公知の方法で粉砕、異樹脂等の除去及び脱水処理することにより、水分率が0.1重量%のPETフレークとした。
【0076】
そして、撹拌機及び還流器をセットしたステンレス製解重合容器に、上記ペットフレーク1920部、EG7800部及び解重合触媒としての炭酸ソーダ5部を投入し、撹拌しながらEGの還流温度まで加熱を続けた。PETフレークが完全に消滅した後、さらに同温度で1時間加熱を続けてから反応を終了し、液温を70℃まで下げた。
【0077】
得られたBHETのEG溶液を濾過して不溶物を濾別した後、活性炭層を通して脱色した。そして、このBHETのEG溶液の半量を1リットルの水へ投入し、沈殿物となったBHETを濾別して水分率0.1重量%になるまで60℃で乾燥して、BHET(c)とした。
【0078】
得られたBHET(c)をイオンクロマトグラフィーにて分析したところ、BHET(c)中のイオン含有量は85ppmであった。なお、得られたBHET量は1220部であった。
【0079】
一方、脱色後の上記BHETのEG溶液の半量を市販の強酸性カチオン交換樹脂、次いで弱アルカリ性アニオン交換樹脂と接触させ、共存するカチオンおよびアニオンを除去した。この時点でBHET中のイオン含有量は20ppmまで減少していた。その後、15kPaの減圧下、この溶液から余剰のEGの約90%を蒸留除去し、引き続いて遠心式分子蒸留装置を用いてBHETそのものを蒸発・分離して、BHET(d)を得た。なお、得られたBHET量は1180部であった。
【0080】
<予備反応工程>
反応液用BHETとしてBHET(a)の代わりにBHET(d)を用いること以外は、上記実施例1と同様にして、反応液(e)を得た。
【0081】
<重合工程>
重合用BHETとしてBHET(a)の代わりにBHET(d)を用いること、及び反応液(b)の代わりに反応液(e)を用いること以外は、上記実施例1に準じて、PETを得た。
【0082】
なお、常圧下での反応時に、低沸成分が蒸留除去された。また、上記反応液(e)を重合容器内に添加してから重合反応が完了するまでに要した実質的な重合時間は、実施例1と同様、1時間37分であった。
【0083】
こうして得られたPETの品質を表1に示すように、本実施例により得られたPETは、テレフタル酸とEGとの重縮合反応により得られた新品PETと同等以上の品質を有していることが確認できた。
【0084】
(実施例3)
本実施例は、以下に示す準備工程、予備反応工程及び重合工程を実施することにより、PETを製造するものである。
【0085】
<準備工程>
実施例1と同様にしてBHET(a)を得るとともに、実施例2と同様にしてBHET(d)を得た。
【0086】
<予備反応工程>
反応液用BHETとして上記BHET(d)を用い、窒素置換されたステンレス製反応容器にこのBHET(d)127部を入れ、撹拌しながら170℃まで加熱して、このBHETを完全に溶融した。その後、撹拌を続けながら市販の触媒グレードの二酸化ゲルマニウム0.03部を同反応容器に添加して、二酸化ゲルマニウムの粉末を完全に溶融BHETに溶解させて均一な溶液とした後、さらに4時間同温度(170℃)で撹拌しながら溶融BHETと二酸化ゲルマニウムとを反応させた。そして、撹拌しながら同反応容器にTPA166部を添加し、均一に混合して反応液(f)を得た。
【0087】
<重合工程>
一方、重合用BHETとして上記BHET(a)を用い、窒素置換された別のステンレス製重合容器にこのBHET(a)127部を入れ、攪拌しながら130℃まで加熱して、このBHETを完全に溶融した。
【0088】
なお、上記重合用BHETに対する上記反応液用BHETの重量比は、1とされている。
【0089】
そして、同重合容器内を撹拌しながら、上記反応液(f)を同重合容器に徐々に添加した。そして、撹拌を続けながら、反応液(f)中のTPAが完全に分散された後加熱を強めて徐々に内温を上げ、この混合液が透明な液体になるまで常圧下で加熱を続けた。透明となった時点での内温は240℃であり、大部分水からなる低沸成分が蒸留除去されたが、この蒸留除去された成分中にはEGは実質的に含まれていなかった。また、同重合容器に上記反応液を添加してから低沸成分の蒸留除去が完了するまでに要した時間は約1時間であった。
【0090】
その後、さらに昇温を続けて最終的に290℃の重合反応温度まで加熱しながら、反応系を徐々に減圧し、最終的には内圧を18Paまで下げた。そして、同重合反応温度及び同内圧を保ちながら20分保持してから、重合反応を終了させた。
【0091】
なお、上記反応液(f)を重合容器内に添加してから重合反応が完了するまでに要した実質的な重合時間は、実施例1と同様、1時間37分であった。
【0092】
こうして得られたPETの品質を表1に示すように、本実施例により得られたPETは、テレフタル酸とEGとの重縮合反応により得られた新品PETと同等以上の品質を有していることが確認できた。
【0093】
(実施例4)
本実施例は、以下に示す準備工程、予備反応工程及び重合工程を実施することにより、PETを製造するものである。
【0094】
<準備工程>
実施例1と同様にしてBHET(a)を得た。
【0095】
<予備反応工程>
反応容器内に添加するTPA量を166部から133部に減ずること以外は、実施例1と同様にして、反応液(g)を得た。
【0096】
<重合工程>
反応液(b)の代わりに反応液(g)を用いること以外は、実施例1に準じて、PETを得た。
【0097】
なお、常圧下での反応時に、11.5部のEG及び約28部の水が蒸留除去された。また、溶融BHET(a)に反応液(g)を添加してから低沸成分の蒸留除去が完了するまで要した時間は約70分であった。さらに、減圧下で、重合反応温度まで昇温してから重合反応が完了するまでに要した時間は30分であった。そして、上記反応液(g)を重合容器内に添加してから重合反応が完了するまでに要した実質的な重合時間は、1時間50分であった。
【0098】
こうして得られたPETの品質を表1に示すように、本実施例により得られたPETは、テレフタル酸とEGとの重縮合反応により得られた新品PETと同等以上の品質を有していることが確認できた。
【0099】
(実施例5)
本実施例は、以下に示す準備工程、予備反応工程及び重合工程を実施することにより、PETを製造するものである。
【0100】
<準備工程>
実施例2と同様にして、BHET(c)を得た。
【0101】
<予備反応工程>
反応液用BHETとしてBHET(a)の代わりにBHET(c)を用いること以外は、実施例1と同様にして、反応液(h)を得た。
【0102】
<重合工程>
重合用BHETとしてBHET(a)の代わりにBHET(c)を用いること、及び反応液(b)の代わりに反応液(h)を用いること以外は、実施例1と同様にして、PETを得た。
【0103】
なお、各反応時間はほぼ実施例1と同様であったが、常圧下での反応時に蒸留除去した低沸成分は着色しており、その量も実施例1の場合の約3倍であった。
【0104】
こうして得られたPETの品質を表1に示すように、BHET中のイオン含有量が50ppmを超えると、色調等の品質面で、実質的に実用に耐えうるようなPETを得ることができないことが確認できた。
【0105】
(実施例6)
本実施例は、以下に示す準備工程、予備反応工程及び重合工程を実施することにより、PETを製造するものである。
【0106】
<準備工程>
実施例1と同様にして、BHET(a)を得た。
【0107】
<予備反応工程>
TPAを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、反応液(i)を得た。
【0108】
<重合工程>
反応液(b)の代わりに反応液(i)を用いること以外は、実施例1に準じて、PETを得た。
【0109】
なお、常圧下での反応時に、EGを含む低沸成分を多量に蒸留除去しなければならず、溶融BHET(a)に反応液(i)を添加してから1時間30分かけて、低沸成分56部を蒸留除去したが、それ以上は除去できなかった。その後、減圧下で、260℃まで昇温することにより、本来除去すべきEGの98重量%を除去できたが、減圧下で260℃に保持する反応を1時間20分続けた時点でやっと見かけの溶融粘度が実施例1と同程度となったので、反応を停止した。
【0110】
こうして得られたPETの品質を表1に示すように、本実施例により得られたPETは、テレフタル酸とEGとの重縮合反応により得られた新品PETと同等以上の品質を有していることが確認できた。しかし、重合工程に要した全反応時間が2時間50分と増加していた。
【0111】
【表1】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう。)の製造方法に関し、より詳しくはビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−ト(以下、BHETという。)を重合させてPETを得るPETの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PETは化学的安定性に優れ、軽量かつ適度な強度をもつため、飲料ボトルやフィルム、衣料用繊維等に好適に使用されている。それとともにPET製品の廃棄物(以下、廃PETという。)も増加しており、資源回収及びゴミの減量化の観点からも、廃PETを回収してケミカルリサイクルし、リサイクル品も新品のPETと同様に使用できることが求められている。
【0003】
PETのケミカルリサイクルとして、回収PETを直接エチレングリコール(以下、EGと略す。)と反応させて解重合することによりPETの中間原料であるBHETを生成し、得られた粗製BHETに対して、脱イオン・EG除去等を行った後に蒸留操作を行って精製BHETとし、これを再生PET原料として重縮合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところで、ポリエステルを効率よく製造する方法としては、高純度のテレフタル酸(以下、TPAともいう。)とEGとを直接エステル化した後、得られた反応生成物を三酸化アンチモン等の重合触媒により高温、高真空下で重縮合させる直接重合法が一般的である。そして、この直接重合法でPETを製造する場合、まず、EGのTPAに対するモル比が1.2程度の混合物として反応を開始する方法が一般的に採用されている。ここに、生成しようとするPETの繰り返し単位には1モル分のEG単位と1モル分のTPA単位とが含まれている。このため、重合工程では、TPAに対して余剰に加えられたEGを蒸留除去しながら重合が行われるが、余剰のEG量が多くなれば、その分EGの蒸留除去に手間がかかることになる。
【0005】
ところが、回収PETから得られた精製BHETをそのまま重合してPETにしようとすると、上記直接重合法と比べて、蒸留除去しなければならないEG量が多くなり、その分重合反応でEGを蒸留除去するのに余計な手間がかかって重合工程が長期化し、重合反応に要するエネルギーも増大するという欠点がある。
【0006】
すなわち、BHET1モル中には2モル分のEG単位と1モル分のTPA単位とが含まれている。一方、上述のとおり、生成しようとするPETの繰り返し単位には1モル分のEG単位と1モル分のTPA単位とが含まれている。このため、BHETをそのまま重合すると、理論的には、BHET1モル当たり、1モル分のPET(PETの繰り返し単位の分子量に等しいグラム数のPETの量を1モルとして計算している。以下、同様。)が生成されるとともに、1モルのEGが副生されることになる。したがって、BHETをそのまま重合すると、EGのTPAに対するモル比が1.2程度で重合される上記直接重合法と比べて、重合時に副生されるEG量、すなわち蒸留除去しなければならないEG量が(1/0.2)倍程度多くなってしまう。
【0007】
一方、BHETを重合してPETとする際、三酸化アンチモンや二酸化ゲルマニウム等の重合触媒が用いられる。そして、得られるPETの高品質化を図るためには、重合触媒の働きを十分に引き出すことが重要となる。
【0008】
そこで、三酸化アンチモンや二酸化ゲルマニウム等の粉末固体を常温のEGに分散させたもの又はそれをさらに加熱処理したものを、脱イオン化された溶融BHETに添加して、BHETを重縮合させる技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)
そして、この特許文献2には、重合触媒をEGで予め加熱処理することにより、脱イオン化されたBHETから高品質のPETを効率的に得ることができること、及びこうなることの理由は詳らかではないが、アンチモンやゲルマニウムのアルコラート化が促進され、重合触媒としての機能が速やかに発揮されることによるものと考えられることが開示されている。
【0009】
しかしながら、重合触媒をEGに分散させてBHETに添加すると、余分のEGが反応系に加えられることになるため、重合する際に蒸留除去しなけらばならないEG量が増え、その分重合工程が長期化してしまう。
【0010】
なお、PETを製造するに際して、PET製品における各種要求品質を満たすようにPET製品を多様化、高度化させるべく、媒体としてのBHETに所定の添加物を全体の5〜60重量%の割合で配合した混合物を、重合反応系に添加する技術も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0011】
この特許文献3に開示された技術では、混合物を重合反応系に添加したときの急激な沸騰を避けるべく、混合物の媒体として高沸点媒体たるBHETを採用している。また、高流動性により反応系への添加を容易にするとともに、混合物の添加により反応系内が冷却、固化して撹拌が不均一になることを避けるべく、混合物を予め加熱してBHET媒体を溶融した状態で、反応系に添加している。
【0012】
しかし、この特許文献3に開示された技術で、重合反応系に添加される添加物は、あくまでもPET製品に何らかの機能を付与する目的を持って添加される、PET原料以外のいわば第3成分であり、勿論重合触媒として反応系に添加されるものでもない。
【0013】
因みに、特許文献3には、着色効果、繊維用途に供する場合のつや消し効果やフィルム用途に供する場合のすべり効果等をPET製品に付与する目的を持って添加される添加物として、金属酸化物、金属微粉、カーボンブラック、無機顔料や有機染顔料が例示される一方、溶融BHET媒体に重合触媒を加えた混合物を重合反応系に添加する点については何ら開示されていない。そして、特許文献3では、直接重合法に適用した実施例において、TPAとEGと重合触媒としての三酸化アンチモンとの混合物をスラリー状でエステル化反応させる一方、繊維のつや消し用の添加物としてのアナターゼ型二酸化チタン40重量%とBHET60重量%との混合物を124℃で加熱して溶融混練物とし、エステル化反応で得られた反応生成物に対して120℃に保持した溶融混練物を連続添加しながら、該反応生成物を重縮合させている。
【0014】
【特許文献1】
特開2000−53802号公報(第4−5頁)
【特許文献2】
国際公開第01/29110 A1号パンフレット(第6−7頁)
【特許文献3】
特開2001−342332号公報(第2−5頁)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、重合する際に蒸留除去すべきEG量の低減を図りながら、触媒活性化の促進により重合触媒としての機能を速やかに発揮させることにより、重合工程を短縮化することのできるPETの製造方法を提供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明のポリエチレンテレフタレートの製造方法は、BHETを重合させてポリエチレンテレフタレートを得るポリエチレンテレフタレートの製造方法であって、反応容器内で、溶融状態のBHETに重合触媒を溶解させるとともに両者を反応させて反応液を得る予備反応工程と、重合容器内で、上記反応液とBHETとを混合して、BHETを重合させてポリエチレンテレフタレートを得る重合工程とからなることを特徴とするものである。
【0017】
このPETの製造方法では、反応容器内で、溶融状態にある溶融BHETに重合触媒を溶解させるとともに、この溶融BHETと重合触媒とを反応させて反応液を得る。こうして得られた反応液においては、溶融BHETとの反応により重合触媒の活性化が促進されている。このため、重合容器内で、この反応液とBHETとを混合することにより、反応液中の活性化された重合触媒によりBHETの重合を速やかに進行させることができる。
【0018】
また、重合触媒を重合反応系に添加する際、重合触媒をEGに分散させて添加しているわけではないので、余分のEGが重合触媒と共に反応系に加えられてはいない。したがって、重合時に蒸留除去しなければならないEG量が増えるようなこともなく、蒸留除去すべきEG量の増加により重合工程が長期化するようなこともない。
【0019】
さらに、重合反応系に加えられる反応液は予め加熱されているため、その分重合反応系を重合反応温度まで昇温するのに要する時間を短くすることができる。
【0020】
したがって、本発明方法によれば、BHETの重合工程の短縮化を図ることができる。
【0021】
また、高沸点媒体たる溶融BHETに重合触媒を溶解、反応させて反応液を得ていることから、重合反応系に加えられた反応液が系の環境で急激な沸騰を起こすことを避けることができる。
【0022】
さらに、重合触媒の活性化を促進させるべく用いられる反応液の媒体としてのBHETを、PETを製造するための原料の一部として併用することができる。したがって、重合容器へ投入できるBHETの総量を増加させることができ、重合触媒をEG媒体に分散させて重合を行う場合と比べて、得られるPETの量を増加させることができる。
【0023】
好適な態様において、前記重合工程は、テレフタル酸の存在下で行われる。
【0024】
好適な態様において、前記テレフタル酸は、前記予備反応工程で、前記反応容器内に添加される。
【0025】
好適な態様において、前記テレフタル酸は、前記反応液を構成する前記BHETと前記重合容器内で該反応液と混合される前記BHETとの合計のBHET1モル当たり、0.5〜1モル添加される。
【0026】
好適な態様において、前記重合容器内で前記反応液と混合される前記BHETに対する、該反応液を構成する前記BHETの重量比は、0.1〜3.0である。
【0027】
好適な態様において、前記反応液を構成する前記BHET及び前記重合容器内で該反応液と混合される前記BHETのうちの少なくとも一部は、回収ポリエチレンテレフタレートを解重合することによって生成された解重合生成物から得られたものである。
【0028】
好適な態様において、前記解重合生成物は、カチオン交換樹脂及び/又はアニオン交換樹脂との接触によりBHET中のイオン含有量が50ppm以下となるように精製される。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明のPETの製造方法は、BHETを重合させてPETを得るもので、反応容器内で、溶融状態のBHETに重合触媒を溶解させるとともに両者を反応させて反応液を得る予備反応工程と、重合容器内で、該反応液とBHETとを混合し、所定の反応温度下でBHETを重合させてPETを得る重合工程とからなる。
【0030】
予備反応工程で用いられるBHET(上記反応液を構成するBHET。以下、反応液用BHETともいう。)及び重合工程で用いられるBHET(上記重合容器内で反応液と混合されるBHET。以下、重合用BHETともいう。)としては、特に限定されず、例えば、TPAとEGとから直接エステル化反応により生成したものでも、ジメチルテレフタレート(DMT)とEGとからエステル交換反応により生成したものでも、あるいは新品のPET製品を製造する段階で発生する屑PETや飲料ボトル等の使用済の回収PETをEGで解重合することにより生成したものでもよい。省資源化等の観点からは、上記反応液用BHET及び上記重合用BHETのうちの少なくとも一部は、回収PETをEGで解重合することによって生成した解重合生成物から得られたものを用いることが好ましい。
【0031】
上記回収PETをEGで解重合することによって生成した解重合生成物(粗製BHET)は、少なくとも蒸留精製を行う精製工程を経ることにより、精製BHETにしてから、予備反応工程及び重合工程で用いることが好ましい。
【0032】
ここに、回収PETをEGで解重合することによって生成した解重合生成物(粗製BHET)中には、回収PET中に含まれていた重合触媒や着色剤等の添加物が残存している(添加物のほとんどがカチオンやアニオンの形で残存している)ため、この粗製BHETの精製に特に留意しないと、得られるPETは黄褐色に着色してしまう。そこで、上記精製工程では、解重合生成物としての粗製BHETから着色剤、アニオン・カチオン等を除去する脱色・脱イオン工程を、蒸留操作により精製する蒸留工程の前に実施することが好ましい。
【0033】
上記脱色工程では、上記粗製BHETを公知の脱色剤(例えば活性炭や白土)に接触させることにより、脱色することができる。
【0034】
上記脱イオン工程では、上記粗製BHETをカチオン交換樹脂及び/又はアニオン交換樹脂と接触させることにより、該粗製BHETから金属カチオンとその対アニオンを除去することができる。
【0035】
ここに、粗製BHET中のイオン含有量(アニオン及びカチオン合計の含有量。以下、同様)が100ppm以上であると、蒸留精製時に悪影響を及ぼすおそれがあり、また、50ppmを超えると色調等の品質の良好なPETを得ることが困難となる。このため、上記脱イオン工程では、粗製BHET中のイオン含有量が50ppm以下となるように脱イオンすることが好ましい。
【0036】
上記蒸留操作により精製する蒸留工程では、粗製BHETのEG溶液からEGを除去する方法は特に限定されない。しかし、BHETの化学的な性質上、出来る限り低温でかつ出来る限り短時間で蒸留しなければ、蒸留釜に滞留中や蒸発中に望まぬ重合が進むおそれがある。そこで、この蒸留工程では、より短時間でかつより低温でEGを除去すべく、分子蒸留器を用いることが好ましい。
【0037】
精製工程を経て得られた精製BHETの精製度を示す因子の一例としてはBHETの色調を挙げることができ、例えば色差計で測定した値でASTM−D1482−57Tによる表示法でのb値が3以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。このb値が3を超えるBHETからPETを製造すると、PETのb値が5を大きく超えることとなり、実質的に実用に耐えられなくなる。
【0038】
本発明方法における大きな特徴である予備反応工程では、上述のとおり、反応容器内で、溶融状態のBHETに重合触媒を溶解させるとともに両者を反応させて反応液を得る。
【0039】
この予備反応工程は、例えば、反応容器内に所定量のBHETと所定量の重合触媒とを仕込み、反応系を撹拌下に130〜200℃程度まで昇温させた後、溶融したBHETに重合触媒が溶解して混合物が均一な溶液となり、さらにBHETと重合触媒とが反応するまで、撹拌下で同温度に保つことにより行うことができる。なお、所定の反応温度下でBHETと重合触媒とが接触してから撹拌下かつ同温度下で両者の反応が完了するまでの時間は、添加しようとする触媒の種類、量及び反応温度により変化するが、3〜5時間程度とすることができる。
【0040】
このように溶融BHETに重合触媒を溶解させるとともに両者を反応させることにより、重合触媒の活性化が促進される。その理由は、触媒として後述する金属酸化物は、そのままでは重合触媒能はなく、EGのような水酸基をもつ化合物と反応してはじめて触媒能が発揮されるからである。
【0041】
上記重合触媒としては、アンチモン、コバルト、リチウムやゲルマニウム及びこれらの酸塩や酸化物等の公知触媒を用いることができるが、アンチモン酸化物を含む態様によると重合反応をより円滑に進めることができ、また、ゲルマニウム酸化物を含む態様によると得られるPETの色調が良くなるため、好ましい。具体的には、アンチモン酸化物として三酸化アンチモンを用いることが好ましく、ゲルマニウム酸化物として二酸化ゲルマニウムを用いることが好ましい。
【0042】
この重合触媒の添加量は、使用する触媒の種類によって異なるが、例えば三酸化アンチモンを使用する場合には、上記反応液用BHET及び上記重合用BHETの総モル数に対して8ミリモル%程度、二酸化ゲルマニウムの場合には同総モル数に対して30ミリモル%程度で十分である。また、後述する重合工程における重合反応は、回分式又は連続式に実施することができるが、後者の場合は上記反応液に含まれる重合触媒成分の重量比が常に一定となるように、添加、反応させておくことが好ましい。
【0043】
ここに、連続的にPETを製造する場合は、上記予備反応工程を、当該予備反応工程を実施する当該サイクル以前に実施した先のサイクル(例えば、当該サイクルの1つ前のサイクル)における重合工程を実施している間に行うことが好ましい。こうすれば、1サイクルに要する時間を短縮させることができ、より効率的にPETを製造することが可能となる。
【0044】
一方、上記重合工程では、重合容器内で、上記反応液とBHETとを混合し、所定の反応温度下で上記重合触媒によりBHETを重合させてPETを得る。
【0045】
この重合工程は、例えば、以下のように実施することができる。まず、窒素雰囲気下に重合容器内に所定量のBHETを入れ、望ましくは撹拌下に130〜200℃に昇温させてBHETを溶融状態にしてから、撹拌下に上記反応液を一気に又は徐々に添加して混合する。そして、常圧下に徐々に反応系の温度を230〜245℃程度まで上げ、副生するEGや水を含む低沸成分を蒸留除去し、その蒸発が止まることを確認する。その後、さらに昇温を続けて260〜290℃程度の重合反応温度に保ちながら反応系を徐々に減圧し、最終的には内圧を10〜80Pa程度まで下げる。系内の反応物の溶融粘度は徐々に増加し、所定の粘度(例えば、撹拌に消費される電力によって確認することができる。)となった時点で重合反応を終了する。
【0046】
本発明方法では、重合工程で、予備反応工程で触媒の活性化が促進された重合触媒を用いて、BHETを重合させることから、重合反応を速やかに進行させることができる。
【0047】
また、重合触媒を重合反応系に添加する際、重合触媒をEGに分散させて添加しているわけではないので、余分のEGが重合触媒と共に反応系に加えられてはいない。したがって、重合時に蒸留除去しなければならないEG量が増えるようなこともなく、蒸留除去すべきEG量の増加により重合工程が長期化するようなこともない。
【0048】
さらに、重合反応系に加えられる反応液は予め加熱されているため、その分重合反応系を重合反応温度まで昇温するのに要する時間を短くすることができる。このとき、重合容器内のBHETを予め加熱し、例えば溶融状態にしておけば、反応液を添加してから重合反応温度に昇温するまでの時間をさらに短くすることができる。
【0049】
したがって、本発明方法によれば、BHETの重合工程の短縮化を図ることができる。
【0050】
また、高沸点媒体たる溶融BHETに重合触媒を溶解、反応させて反応液を得ていることから、重合反応系に加えられた反応液が系の環境で急激な沸騰を起こすことを避けることができる。
【0051】
さらに、重合触媒の活性化を促進させるべく用いられる反応液の媒体としての反応液用BHETを、PETを製造するための原料の一部として併用することができる。したがって、重合容器へ投入できるBHETの総量を増加させることができ、重合触媒をEG媒体に分散させて重合を行う場合と比べて、得られるPETの量を増加させることができる。
【0052】
ここに、上記重合用BHETに対する上記反応液用BHETの重量比は、0.1〜3.0とすることが好ましく、0.3〜2.0とすることがより好ましい。重合用BHETに対する反応液用BHETの重量比が大きすぎると、反応容器の容積が重合容器のそれとあまり変わりなくなったり、やたらに大きくなり好ましくない。一方、重合用BHETに対する反応液用BHETの重量比が小さすぎると、後述のTPAの添加を想定したときに、BHETとTPAの混合物の流動性が著しく減少するため、好ましくない。なお、後述するように、上記反応液中にTPAを添加する場合であって、このTPAのモル数と、上記重合用BHET及び上記反応液用BHETの総モル数とを等しくする場合には、重合用BHETに対する反応液用BHETの重量比を0.5〜1.0とすることが好ましい。この比が0.5未満であると、反応液の見掛けの粘度が極めて大きくなり、均一な混合が困難となる。一方、1.0を超えると、反応容器を大きくする必要が生じ、好ましくない。
【0053】
また、上記重合工程は、テレフタル酸の存在下で行われることが好ましい。前述のとおり、BHET1モル中には2モル分のEG単位と1モル分のTPA単位とが含まれる一方、生成しようとするPETの繰り返し単位には1モル分のEG単位と1モル分のTPA単位とが含まれており、このため、BHETをそのまま重合すると、理論的には、BHET1モル当たり、1モル分のPETが生成されるとともに、1モルのEGが副生されることになり、この副生EGを系外に除去する必要がある。
【0054】
この点、テレフタル酸の存在下で重合させれば、理論的には、BHET1モル当たり、BHET1モル中に含まれる2モル分のEG単位及び1モル分のTPA単位と、別に添加された1モル分のTPAとの反応により、EGを副生させることなく2モル分のPETを生成させることができる。すなわち、添加されたTPA1モル分と副生されるはずであったEG1モル分とが反応して1モル分のPETが生成され、EGの副生が回避される。このため、TPAの添加量に応じて、副生されるEG量、すなわち蒸留除去しなけらばならないEG量を低減させることができ、その分重合工程を短縮化することが可能となる。
【0055】
このとき、重合に供するBHETのモル数と添加されるTPAのモル数とが同等であれば、理論的には、副生されるEG量を零とすることが可能となる。したがって、TPAの添加量としては、副生されるEG量をより低減させる観点からは、重合に供するBHETのモル数と同等のモル数とすることが最適となる。また、添加するTPAのモル数が重合に共するBHETのモル数を超えると、生成するPETに酸末端が増加するため、好ましくない。
【0056】
一方、公知の方法により製造されるPETには、その製造中に不可避的に副生されるジエチレングリコール(以下、DEGという。)成分が混在している。このため、本発明の製造方法に原料として使用できる回収PETにもDEG成分が含まれている。そして、回収PETを用いて解重合工程及び精製工程を実施すると、正確な理由は定かでないが、これらの工程中にDEGの副生が進む。このため、精製工程で得られた精製BHETには、回収PETにおける含有モル比よりも高い含有モル比でDEG成分が含まれている。なお、このDEG成分中には、DEGとテレフタル酸とからなるエステル化合物も含まれている。そして、このDEG成分を多く含んだ精製BHETを公知の重合方法で重合すると、得られるPET中のDEG成分がさらに増加し、DEGの含有量が2.5重量%を大きく超えてくるので、軟化点が低下する等の品質劣化が発生する。
【0057】
この点、テレフタル酸の存在下で重合すれば、理論的には、BHET1モル当たり、BHET1モル中に含まれる2モル分のEG単位及び1モル分のTPA単位と、添加された1モル分のTPAとが反応することにより、2モル分のPETが生成されることになる。このため、重合に供するBHET量及び添加されるTPAの添加量に応じて、得られるPETの生成量を増やすことができ、その結果PETの増量分に応じて該PET中のDEG成分の重量比(PET全体の重量に対するDEG成分の重量)を低下させるできる。したがって、この態様によれば、軟化点が低下する等の品質低下を招くことがなく、高品質のPETを得ることができる。
【0058】
上記TPAの添加時期としては、少なくとも重合工程における重合開始時以前であればよいが、前記予備反応工程で前記反応容器内に添加されることが好ましい。より具体的には、反応容器内で溶融BHETに重合触媒が溶解して均一な溶液となり、さらにBHETと重合触媒との反応が完了した反応液中にTPAを添加することが好ましい。このように予備反応工程で反応容器内にTPAを添加することにより、溶融BHETとTPAの少なくとも一部とを反応させることができ、結果として次工程での重合反応時間を短縮することも可能である。
【0059】
また、上記TPAは、上記反応液用BHETと上記重合用BHETとの合計のBHET1モル当たり、0.5〜1モル添加することが好ましい。
【0060】
すなわち、上記TPAの添加量の上限は、上記反応液用BHET及び上記重合用BHETの総モル数とすることが好ましい。TPAの添加量が上記反応液用BHET及び上記重合用BHETの総モル数を超えると、たとえその超過量が微小であっても生成されるPETにおいてカルボン酸末端が極端に増加してしまい、またその超過量が過大になれば重合反応が進みにくくなる。
【0061】
一方、上記反応液用BHET及び上記重合用BHETの総モル数よりも極端に少ないモル数、例えば該総モル数の20モル%の添加量でTPAを添加する場合を想定すると、重合反応が進むにつれて余剰となるEGの副生量が多くなってしまう。このため、TPAの添加量の下限は、上記反応液用BHET及び上記重合用BHETの総モル数に対して、50モル%とすることが好ましく、70モル%とすることが特に好ましい。
【0062】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に詳しく説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記述において「部」として示すものは特に限定しない限り、重量部を示す。
【0063】
(実施例1)
本実施例は、以下に示す準備工程、予備反応工程及び重合工程を実施することにより、PETを製造するものである。
【0064】
<準備工程>
まず、市販のポリマーグレードTPA1660部、EG1240部を蒸留装置付きステンレス製容器に入れ、攪拌下に160℃まで加熱した。温度が上がるにつれて水が発生し始めたが、水の発生が終わるまで反応を続け、反応生成物としてのBHET(a)を得た。加熱し始めてから水の発生が終わるまでに要した時間は約60分であった。BHET(a)を容器から取出し、温度120℃にて別の容器に納めた。このBHET(a)の一部を取出し、分析したところ、水酸基価から推定したBHETの含有率は96重量%であった。
【0065】
<予備反応工程>
反応液用BHETとして上記BHET(a)を用い、窒素置換されたステンレス製反応容器にこのBHET(a)80部を入れ、撹拌しながら160℃まで加熱して、このBHETを完全に溶融した。その後、撹拌を続けながら市販の触媒グレードの三酸化アンチモン0.03部を同反応容器に添加して、三酸化アンチモンの粉末を完全に溶融BHETに溶解させて均一な溶液とした後、さらに3時間同温度(160℃)で撹拌しながら溶融BHETと三酸化アンチモンとを反応させた。そして、撹拌しながら同反応容器にTPA166部を添加し、均一に混合して反応液(b)を得た。
【0066】
なお、溶融BHETと三酸化アンチモンとの反応完了は、この反応液(b)の一部(約1g)を50mlのメタノールに投入し、ゲル状の沈殿のみが得られることにより確認した。
【0067】
<重合工程>
一方、重合用BHETとして上記BHET(a)を用い、窒素置換された別のステンレス製重合容器にこのBHET(a)174部を入れ、攪拌しながら130℃まで加熱して、このBHETを完全に溶融した。
【0068】
なお、上記重合用BHETに対する上記反応液用BHETの重量比は、0.46程度とされている。
【0069】
そして、同重合容器内を撹拌しながら、上記反応液(b)を同重合容器に徐々に添加した。そして、撹拌を続けながら、反応液(b)中のTPAが完全に分散された後加熱を強めて徐々に内温を上げ、この混合液が透明な液体になるまで常圧下で加熱を続けた。透明となった時点での内温は243℃であり、大部分水からなる低沸成分が蒸留除去されたが、この蒸留除去された成分中にはEGは実質的に含まれていなかった。また、同重合容器に上記反応液を添加してから低沸成分の蒸留除去が完了するまでに要した時間は約1時間であった。
【0070】
その後、さらに昇温を続けて最終的に285℃の重合反応温度まで加熱しながら、反応系を徐々に減圧し、最終的には内圧を15Paまで下げた。そして、同重合反応温度及び同内圧を保ちながら20分保持してから、重合反応を終了させた。
【0071】
なお、上記反応液(b)を重合容器内に添加してから重合反応が完了するまでに要した実質的な重合時間は、1時間37分であった。
【0072】
こうして得られたPETの一部350部を取出し、35℃のオルソクロロフェノール中に1.2g/100mlの濃度で該PETを添加したときの粘度と、カラーマシンによる色調b値を調べたところ、表1に示す結果が得られた。なお、表1中の色調b値は、色差計で測定した値でASTM−D1482−57Tによる表示法で示している。
【0073】
これにより、本実施例により得られたPETは、テレフタル酸とEGとの重縮合反応により得られた新品PETと同等以上の品質を有していることが確認できた。
【0074】
(実施例2)
本実施例は、以下に示す準備工程、予備反応工程及び重合工程を実施することにより、PETを製造するものである。
【0075】
<準備工程>
まず、使用済みの回収PETボトルを公知の方法で粉砕、異樹脂等の除去及び脱水処理することにより、水分率が0.1重量%のPETフレークとした。
【0076】
そして、撹拌機及び還流器をセットしたステンレス製解重合容器に、上記ペットフレーク1920部、EG7800部及び解重合触媒としての炭酸ソーダ5部を投入し、撹拌しながらEGの還流温度まで加熱を続けた。PETフレークが完全に消滅した後、さらに同温度で1時間加熱を続けてから反応を終了し、液温を70℃まで下げた。
【0077】
得られたBHETのEG溶液を濾過して不溶物を濾別した後、活性炭層を通して脱色した。そして、このBHETのEG溶液の半量を1リットルの水へ投入し、沈殿物となったBHETを濾別して水分率0.1重量%になるまで60℃で乾燥して、BHET(c)とした。
【0078】
得られたBHET(c)をイオンクロマトグラフィーにて分析したところ、BHET(c)中のイオン含有量は85ppmであった。なお、得られたBHET量は1220部であった。
【0079】
一方、脱色後の上記BHETのEG溶液の半量を市販の強酸性カチオン交換樹脂、次いで弱アルカリ性アニオン交換樹脂と接触させ、共存するカチオンおよびアニオンを除去した。この時点でBHET中のイオン含有量は20ppmまで減少していた。その後、15kPaの減圧下、この溶液から余剰のEGの約90%を蒸留除去し、引き続いて遠心式分子蒸留装置を用いてBHETそのものを蒸発・分離して、BHET(d)を得た。なお、得られたBHET量は1180部であった。
【0080】
<予備反応工程>
反応液用BHETとしてBHET(a)の代わりにBHET(d)を用いること以外は、上記実施例1と同様にして、反応液(e)を得た。
【0081】
<重合工程>
重合用BHETとしてBHET(a)の代わりにBHET(d)を用いること、及び反応液(b)の代わりに反応液(e)を用いること以外は、上記実施例1に準じて、PETを得た。
【0082】
なお、常圧下での反応時に、低沸成分が蒸留除去された。また、上記反応液(e)を重合容器内に添加してから重合反応が完了するまでに要した実質的な重合時間は、実施例1と同様、1時間37分であった。
【0083】
こうして得られたPETの品質を表1に示すように、本実施例により得られたPETは、テレフタル酸とEGとの重縮合反応により得られた新品PETと同等以上の品質を有していることが確認できた。
【0084】
(実施例3)
本実施例は、以下に示す準備工程、予備反応工程及び重合工程を実施することにより、PETを製造するものである。
【0085】
<準備工程>
実施例1と同様にしてBHET(a)を得るとともに、実施例2と同様にしてBHET(d)を得た。
【0086】
<予備反応工程>
反応液用BHETとして上記BHET(d)を用い、窒素置換されたステンレス製反応容器にこのBHET(d)127部を入れ、撹拌しながら170℃まで加熱して、このBHETを完全に溶融した。その後、撹拌を続けながら市販の触媒グレードの二酸化ゲルマニウム0.03部を同反応容器に添加して、二酸化ゲルマニウムの粉末を完全に溶融BHETに溶解させて均一な溶液とした後、さらに4時間同温度(170℃)で撹拌しながら溶融BHETと二酸化ゲルマニウムとを反応させた。そして、撹拌しながら同反応容器にTPA166部を添加し、均一に混合して反応液(f)を得た。
【0087】
<重合工程>
一方、重合用BHETとして上記BHET(a)を用い、窒素置換された別のステンレス製重合容器にこのBHET(a)127部を入れ、攪拌しながら130℃まで加熱して、このBHETを完全に溶融した。
【0088】
なお、上記重合用BHETに対する上記反応液用BHETの重量比は、1とされている。
【0089】
そして、同重合容器内を撹拌しながら、上記反応液(f)を同重合容器に徐々に添加した。そして、撹拌を続けながら、反応液(f)中のTPAが完全に分散された後加熱を強めて徐々に内温を上げ、この混合液が透明な液体になるまで常圧下で加熱を続けた。透明となった時点での内温は240℃であり、大部分水からなる低沸成分が蒸留除去されたが、この蒸留除去された成分中にはEGは実質的に含まれていなかった。また、同重合容器に上記反応液を添加してから低沸成分の蒸留除去が完了するまでに要した時間は約1時間であった。
【0090】
その後、さらに昇温を続けて最終的に290℃の重合反応温度まで加熱しながら、反応系を徐々に減圧し、最終的には内圧を18Paまで下げた。そして、同重合反応温度及び同内圧を保ちながら20分保持してから、重合反応を終了させた。
【0091】
なお、上記反応液(f)を重合容器内に添加してから重合反応が完了するまでに要した実質的な重合時間は、実施例1と同様、1時間37分であった。
【0092】
こうして得られたPETの品質を表1に示すように、本実施例により得られたPETは、テレフタル酸とEGとの重縮合反応により得られた新品PETと同等以上の品質を有していることが確認できた。
【0093】
(実施例4)
本実施例は、以下に示す準備工程、予備反応工程及び重合工程を実施することにより、PETを製造するものである。
【0094】
<準備工程>
実施例1と同様にしてBHET(a)を得た。
【0095】
<予備反応工程>
反応容器内に添加するTPA量を166部から133部に減ずること以外は、実施例1と同様にして、反応液(g)を得た。
【0096】
<重合工程>
反応液(b)の代わりに反応液(g)を用いること以外は、実施例1に準じて、PETを得た。
【0097】
なお、常圧下での反応時に、11.5部のEG及び約28部の水が蒸留除去された。また、溶融BHET(a)に反応液(g)を添加してから低沸成分の蒸留除去が完了するまで要した時間は約70分であった。さらに、減圧下で、重合反応温度まで昇温してから重合反応が完了するまでに要した時間は30分であった。そして、上記反応液(g)を重合容器内に添加してから重合反応が完了するまでに要した実質的な重合時間は、1時間50分であった。
【0098】
こうして得られたPETの品質を表1に示すように、本実施例により得られたPETは、テレフタル酸とEGとの重縮合反応により得られた新品PETと同等以上の品質を有していることが確認できた。
【0099】
(実施例5)
本実施例は、以下に示す準備工程、予備反応工程及び重合工程を実施することにより、PETを製造するものである。
【0100】
<準備工程>
実施例2と同様にして、BHET(c)を得た。
【0101】
<予備反応工程>
反応液用BHETとしてBHET(a)の代わりにBHET(c)を用いること以外は、実施例1と同様にして、反応液(h)を得た。
【0102】
<重合工程>
重合用BHETとしてBHET(a)の代わりにBHET(c)を用いること、及び反応液(b)の代わりに反応液(h)を用いること以外は、実施例1と同様にして、PETを得た。
【0103】
なお、各反応時間はほぼ実施例1と同様であったが、常圧下での反応時に蒸留除去した低沸成分は着色しており、その量も実施例1の場合の約3倍であった。
【0104】
こうして得られたPETの品質を表1に示すように、BHET中のイオン含有量が50ppmを超えると、色調等の品質面で、実質的に実用に耐えうるようなPETを得ることができないことが確認できた。
【0105】
(実施例6)
本実施例は、以下に示す準備工程、予備反応工程及び重合工程を実施することにより、PETを製造するものである。
【0106】
<準備工程>
実施例1と同様にして、BHET(a)を得た。
【0107】
<予備反応工程>
TPAを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、反応液(i)を得た。
【0108】
<重合工程>
反応液(b)の代わりに反応液(i)を用いること以外は、実施例1に準じて、PETを得た。
【0109】
なお、常圧下での反応時に、EGを含む低沸成分を多量に蒸留除去しなければならず、溶融BHET(a)に反応液(i)を添加してから1時間30分かけて、低沸成分56部を蒸留除去したが、それ以上は除去できなかった。その後、減圧下で、260℃まで昇温することにより、本来除去すべきEGの98重量%を除去できたが、減圧下で260℃に保持する反応を1時間20分続けた時点でやっと見かけの溶融粘度が実施例1と同程度となったので、反応を停止した。
【0110】
こうして得られたPETの品質を表1に示すように、本実施例により得られたPETは、テレフタル酸とEGとの重縮合反応により得られた新品PETと同等以上の品質を有していることが確認できた。しかし、重合工程に要した全反応時間が2時間50分と増加していた。
【0111】
【表1】
Claims (7)
- ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−トを重合させてポリエチレンテレフタレートを得るポリエチレンテレフタレートの製造方法であって、
反応容器内で、溶融状態のビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−トに重合触媒を溶解させるとともに両者を反応させて反応液を得る予備反応工程と、
重合容器内で、上記反応液とビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−トとを混合して、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−トを重合させてポリエチレンテレフタレートを得る重合工程とからなることを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。 - 前記重合工程は、テレフタル酸の存在下で行われることを特徴とする請求項1記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 前記テレフタル酸は、前記予備反応工程で、前記反応容器内に添加されることを特徴とする請求項2記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 前記テレフタル酸は、前記反応液を構成する前記ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−トと前記重合容器内で該反応液と混合される前記ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−トとの合計のビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−ト1モル当たり、0.5〜1モル添加されることを特徴とする請求項2又は3記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 前記重合容器内で前記反応液と混合される前記ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−トに対する、該反応液を構成する前記ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−トの重量比は、0.1〜3.0であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 前記反応液を構成する前記ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−ト及び前記重合容器内で該反応液と混合される前記ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−トのうちの少なくとも一部は、回収ポリエチレンテレフタレートを解重合することによって生成された解重合生成物から得られたものであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
- 前記解重合生成物は、カチオン交換樹脂及び/又はアニオン交換樹脂との接触によりビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−ト中のイオン含有量が50ppm以下となるように精製されることを特徴とする請求項6記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
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