JP2004231555A - グリオーマ治療剤及び細胞分化誘導剤または増殖抑制剤 - Google Patents

グリオーマ治療剤及び細胞分化誘導剤または増殖抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】脳の機能を低下させることなくグリオーマの進展防止及び治療を行う方法が求められている。又、グリオーマ細胞に対して分化を誘導するような薬剤はこれまで知られていない。
【解決手段】グリオーマ細胞に対し分化誘導作用を有するレクチンを有効成分とするグリオーマ治療剤及びグリオーマ細胞分化誘導剤または増殖抑制剤を提供する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリオーマ(神経膠腫)細胞に対し分化誘導作用を有するレクチンを用いたグリオーマ治療剤及びグリオーマ細胞分化誘導剤または増殖抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
悪性グリオーマは、癌の中でも治療が困難なものの一つであり、近年の外科的治療・放射線治療の技術の進歩にも拘わらず予後はよくない。グリオーマは、一般的に非常に悪性度が高く、神経軸索に沿って広範囲に広がってしまい、更に、グリオーマは周囲の正常組織との間に明確な境界を持たないことが多い。この結果、グリオーマは周囲の脳組織に広範囲に散らばり、外科的切除は不完全に終わることが多い。例え、大脳半球切除術を実施したとしても再発を防げるとは言えない。
【0003】
又、他の組織の癌であれば外科的療法、放射線療法、化学療法等の治療により癌を取り除き治癒することが可能であるが、脳腫瘍の場合、それらのいずれの療法を適用するにしても、腫瘍を完全に取り除こうとすれば、正常な細胞及び脳自体の機能に多大な損傷を与えることは避けられない。
これらがグリオーマの治癒が極めて困難な理由である(非特許文献1)。そのため、手術のみによる平均生存期間は短く、術後の残存腫瘍に対して補助療法として放射線治療が試みられているが、その効果も一過性であることが多い。又、近年では患者のQOLへの配慮から放射線の治療総投与線量の抑制あるいは照射野の限定縮小等が行われ、放射線治療にも限界があると言われている。更に放射線療法に、ニトロソウレア系薬剤、インターフェロン‐β等の化学療法を加えた集学的治療も試みられているが、決して満足できる結果は得られていない。
【0004】
未成熟な正常細胞は、発生の過程を進むにつれ細胞種毎に特殊化が進行し、形態的・機能的にそれぞれの細胞に特徴的な性質を備えていく。この過程を分化と呼ぶ。癌の治療法の1つとして、細胞の有するこの分化能を利用する試みが為されている。即ち、癌細胞を分化誘導することにより、癌細胞を正常化し、癌を治療する方法である。この方法は細胞の持つ分化能を利用するものであることから、従来の細胞毒物質を投与する癌の治療法に比して、正常細胞に対する負荷が少ないと考えられている。そして現在白血病の治療に、レチノイン酸誘導体を分化誘導剤として用いる試みが臨床において為されている。しかしながら、グリオーマにおいては現在グリオーマ細胞を分化誘導する物質は見いだされていない。
【0005】
発明者等は先に、チョウセンアサガオレクチン(Datura stramonium agglutinin:以下DSAという)が、正常未分化なアストログリア細胞の、1)増殖性を低下させ、かつ2)形態を星状の形態にすると共に、3)アストログリア特異的中間径フィラメントの構成成分であるグリア繊維性酸性タンパク質(GFAP)量を増大させることから、DSAにより、アストログリア細胞の分化誘導が起きたと見られることを報告した(非特許文献2)。
【0006】
【非特許文献1】
P. M. Black, New Engl. J. Med., 324, 1555 (1991)
【非特許文献2】
T. Sasaki & T. Endo, Glia, 32, 60 (2000)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、グリオーマは脳組織に存在し、治療の極めて困難な癌であることから、脳の機能に悪影響が少なく、かつグリオーマの増殖を抑制する治療剤が求められている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討の結果、DSA等のレクチンがグリオーマの分化を誘導し、異常増殖を抑制することからグリオーマの治療剤として有用であることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(1)グリオーマ細胞に対し分化誘導作用を有するレクチンまたは抗体を有効成分とするグリオーマ治療剤、
(2)レクチンがアスパラギン結合型多分岐糖鎖及び/又はN−アセチルラクトサミンの直列の繰り返し構造を有する糖鎖に結合する蛋白質である上記第1項に記載のグリオーマ治療剤、
【0009】
(3)レクチンがGalβ1→4GlcNAcβ1→6(Galβ1→4GlcNAcβ1→2)Manを含むアスパラギン結合型多分岐糖鎖及び/又はN−アセチルラクトサミンの直列の繰り返し構造を有する糖鎖に結合する蛋白質である上記第1項に記載のグリオーマ治療剤、
(4)レクチンがチョウセンアサガオレクチン(Datura stramonium agglutinin)、インゲン豆レクチン(Phaseolus vulgaris leucoagglutinin)又はトマトレクチン(tomato lectin)のいずれかである上記第1項に記載のグリオーマ治療剤、
【0010】
(5)グリオーマ細胞に対し分化誘導作用を有するレクチンまたは抗体を有効成分とするグリオーマ細胞の分化誘導剤または増殖抑制剤、
(6)レクチンがアスパラギン結合型多分岐糖鎖及び/又はN−アセチルラクトサミンの直列の繰り返し構造を有する糖鎖に結合する蛋白質である上記第5項に記載のグリオーマ細胞の分化誘導剤または増殖抑制剤、
(7)レクチンがGalβ1→4GlcNAcβ1→6(Galβ1→4GlcNAcβ1→2)Manを含むアスパラギン結合型多分岐糖鎖及び/又はN−アセチルラクトサミンの直列の繰り返し構造を有する糖鎖に結合する蛋白質である上記第5項に記載のグリオーマ細胞の分化誘導剤または増殖抑制剤。
(8)レクチンがチョウセンアサガオレクチン(Datura stramonium agglutinin)、インゲン豆レクチン(Phaseolus vulgaris leucoagglutinin)又はトマトレクチン(tomato lectin)のいずれかである上記第5項に記載のグリオーマ細胞の分化誘導剤または増殖抑制剤、
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のグリオーマ治療剤、グリオーマ細胞の分化誘導剤または増殖抑制剤は、グリオーマ細胞に対し分化誘導作用を有するレクチンまたは抗体を有効成分とする。
レクチンとは動植物中に存在し、糖鎖を特異的に認識・結合する性質を有している糖結合性蛋白質である。本発明に使用するレクチンとしては、グリオーマ細胞に対し分化誘導作用を有していればどんな種類のレクチンであってもよく、特に限定されない。グリオーマ細胞に分化誘導作用を有すとは、レクチンを作用させた時、レクチンが、グリオーマ細胞の1)増殖性を低下させ、かつ2)形態を星状の形態にすると共に、3)該細胞における、アストログリア特異的中間径フィラメントの構成成分であるグリア繊維性酸性タンパク質(GFAP)量を増大させることである。
【0012】
レクチンがグリオーマ細胞に対して分化誘導作用を有するか否かは、後記実施例に示すように、グリオーマ細胞に、レクチンを作用させ、グリオーマ細胞を培養し、その増殖性、形態及びGFAP生産量を測定若しくは観察することにより、容易に見分けることができる。
本発明に使用されるレクチンとして好ましくは、アスパラギン結合型多分岐糖鎖及び/又はN−アセチルラクトサミンの直列の繰り返し構造を有する糖鎖に結合する性質を有するものである。
アスパラギン結合型多分岐糖鎖としては、アスパラギン結合型糖鎖のうち、GlcNAcβ1→6(GlcNAcβ1→2)Manの分岐またはGlcNAcβ1→4(GlcNAcβ1→2)Manの分岐を含むものが好ましい。
【0013】
アスパラギン結合型多分岐糖鎖として更に好ましくは、上記糖鎖のトップに更Galが結合したGalβ1→4GlcNAcβ1→6(Galβ1→4GlcNAcβ1→2)Manを含むアスパラギン結合型多分岐糖鎖である。Galはガラクトース、GlcNAcはN−アセチルグルコース、Manはマンノースを表し、例えばGalβ1→4GlcNAcはガラクトースの1位とN−アセチルグルコースの4位がβ配置のグリコシル結合していることを示している。
【0014】
N−アセチルラクトサミンの直列の繰り返し構造を有する糖鎖とは、複数のN−アセチルラクトサミンが分岐することなく、結合したものである。
【0015】
本発明に使用されるレクチンとして具体的には、チョウセンアサガオレクチン(Datura stramonium agglutinin)、インゲン豆レクチン(Phaseolus vulgaris leucoagglutinin)又はトマトレクチン(tomato lectin)(場合によりTLと略す)等が挙げれる。
【0016】
チョウセンアサガオレクチン(Datura stramonium agglutinin)としてはシロバナチョウセンアサガオの種に含まれる糖含量の多い蛋白質で、分子量40000と46,000の異なるサブユニットから成る2量体を挙げることができる。これはキチンオリゴ糖とN−アセチルラクトサミンに対して親和性を示し、特に3本鎖、4本鎖分岐した複合型糖鎖と結合することが知られている。DASは試薬などとして一般に入手可能である。また、例えば次のようにしてチョウセンアサガオ(Datura stramonium) の種子から抽出することもできる。
【0017】
DASの抽出法 : チョウセンアサガオ(Datura stramonium) の種子 (200 g)を500 mlのメタノール中で抽出する。 橙色のメタノール溶液はデカンテーションにより捨てる。 これを1時間かけ4回、行う。 その後、残った固形の種子をブフナーロートにかけ、残ったメタノールをろ過し、さらに250 ml のジクロロメタンで洗い、風乾する。 以後の操作は、4℃で行う. ポリビニルポリピロリドン(Polyvinylpolypyrrolidone )(15g) を乾燥させた種子に加え、その混合物を700 mlのPBS(リン酸バッファー生理食塩水)中で一晩、撹拌し、抽出する。 抽出溶液を11000 x g、20分遠心にかけ、沈査から500 mlのPBSを用い、同様に抽出する(Jane F. Crowley and Irwin J. Goldstein, 1981)。
【0018】
インゲン豆レクチン(Phaseolus vulgaris leucoagglutinin)は、インゲン豆に含まれる分子量126,000の糖蛋白質である。インゲン豆には非共有結合したサブユニット(EとLが存在する)で構成された4量体のレクチンが5種類存在する(E, EL, E, EL, L)。後記実施例で使用する L−PHAはこのうち、Lタイプをさす。 これらのレクチンは試薬として一般に入手可能である。
【0019】
トマトレクチン(tomato lectin)は、トマトの果実より、精製された分子量71,000のタンパク質(Kilpatrick DC : Purification and some properties of a lectin from the fruit juice of the tomato (Lycopersicon esculentum)、Biochem J. 1980 Jan 1;185(1):269−72.)であり、試薬などとして入手可能である。また次のようにして、トマトから抽出することもできる。トマトレクチンの抽出法 : 1kgの熟したトマトをつぶし、室温(22℃)で1000 x g、10分遠心にかけ、種や破片を取り除く。 得られた透明なジュースを等量の0.15 M NaCl/0.1 M sodium phosphate, pH 7.0の溶液を加え、粉末の硫化アンモニウムを50%飽和まで、ゆっくり加える。 4℃で一晩静置したのち、40000 x g、1時間、遠心にかけ沈殿物を回収する。 0.9% NaCl にNaHPO(A液)を加えて、pH 7.0にしたものに沈殿物を加え、5 L のA液に対して4℃で48時間、透析する。 再溶解しなかったものは、40000 x g、30分間遠心し取り除く。
【0020】
本発明に使用されるレクチンには、グリオーマに対し分化誘導作用を有している蛋白質であれば、上記レクチンの部分蛋白質も含まれる。
本発明で使用される抗体は、グリオーマ細胞に対して分化誘導作用を有する抗体であればいずれも使用しうる。そのような抗体の例としては上記レクチンが認識する糖鎖全体またはその一部を抗原として得られる抗体が挙げられる。
特定の糖鎖に対する抗体は種々知られており、それらに準じて、上記レクチンが認識する糖鎖全体またはその一部を抗原として用いて、常法により本発明で使用する抗体を得ることができる。
【0021】
本発明のレクチンを有効成分とするグリオーマ治療剤またはグリオーマ細胞分化誘導剤若しくは増殖抑制剤は、レクチンをそのまままたは適当な医薬用担体と共に製剤し、患者に全身または局所投与してもよい。例えば開頭手術時に直接患部に撒布してもよい。また、場合によりレクチンの一種あるいは二種以上と医薬用担体を含む医薬組成物として又は、レクチンを高分子化合物等に結合した医薬組成物として患者に全身または局所投与してもよい。更に、医薬製剤添加物を併用してもよい。また、グリオーマ細胞分化誘導剤若しくは増殖抑制剤の場合には、患部若しくは取り出されたグリオーマ細胞に直接散布、滴下などの方法で適用してもよい。
【0022】
本発明の薬剤の投与ルートは特に限定はなく、経口投与または非経口投与例えば血管内投与、患部への直接投与等をすることができる。その投与量は、患者により、又疾患の状態等により適宜調整することができる。例えば局所投与の場合には、局所に一回あたり、レクチンの量が0.1μg〜100mg程度になるように、一日1ないし数回程度投与すればよい。また、全身投与の場合には、成人あたり、レクチンの量が10μgないし1g程度を投与すればよい。
また、グリオーマ細胞に直接使用するときは、0.01マイクロモルないし100マイクロモル/グリオーマ細胞1×104〜6 程度使用すればよい。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
実施例1 DSAによるグリオーマ細胞に対する増殖抑制作用
DSAのグリオーマ細胞の増殖に対する作用を確認するため、DSA添加培養後のグリオーマ細胞数を調べた。
【0024】
i)DSA1μMでのグリオーマ細胞の増殖抑制
ラットグリオーマ細胞株C6細胞を12穴プレート(Asahi Techno glass製)に、1穴当たり0.5×10個となるように撒布し、10%牛胎児血清(以下FBSと略す)、0.1mg/mlのカナマイシン、4mg/mlのグルコースを加えたDMEM培地で、DSA無添加群(コントロール群)、DSA添加群、最初のみDSA添加培養後無添加培地切り替え群の三群につき、37℃、95%COの条件下で5日間培養した。培養途中4回及び5日の培養終了時の計5回細胞数を測定した。細胞数の測定は、トリプシンおよびEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を用いて、細胞を培養プレートからはがすとともに、該細胞剥離液に細胞を分散させて行った。測定結果は、図1中に平均値±標準偏差で示した。
【0025】
図1中、三角マーク(△)は、C6細胞を撒布後、1μMのDSAを加えた培地で培養した群(DSA添加群)を、黒菱形マーク(◆)は、DSA非存在下で培養した群(コントロール群)を、黒4角形マーク(■)は、C6細胞をDSA添加培地で24時間培養後、DSAを含まない培地に切り替えて更に96時間培養した群を、それぞれ示す。図1中、矢印は、DSAを含まない培地への交換時期(24時間後)を示す。
【0026】
試験開始後120時間(5日)では、DSAを加えなかったコントロール群の細胞数は試験前の28.9倍に増加したが、DSAを1μM添加した群では細胞数の増加は1.14倍に過ぎなかった。1μMのDSAはC6細胞の増殖をほぼ完全に抑制した。また、C6細胞をDSAに接触させた後、DSAを含まない培地で培養した群(最初のみDSA添加培養後無添加培地切り替え群)では、DSA添加培地での培養中も、また、DSAを培地から除いた後も、C6細胞の増殖は抑制されたままであった。従って、DSAによるC6細胞の増殖抑制作用は不可逆的であると考えられた。
【0027】
ii)グリオーマ細胞の増殖抑制のDSA濃度依存性
ラットグリオーマ細胞株C6細胞を12穴プレートに、各穴1.0×10個となるように撒布し、10%FBSを含む培地にて培養を開始する。DSAは細胞撒布後3時間の時点で図中に示す濃度(0、0.25、0.5、1.0 各μM)となるように培地に加えた。細胞数は、細胞撒布後24時間の時点で測定した。各DSA濃度につき5穴ずつ測定を行い、平均値±標準偏差で細胞数を表した。
結果を図2に示す。DSAによるC6細胞に対する増殖抑制作用の強さは、DSA濃度に依存した。
【0028】
iii)DNA合成抑制でのグリオーマ細胞の増殖抑制作用の確認
DSAによるC6グリオーマ細胞の増殖抑制作用をDNA合成の抑制でも確認した。すなわち、5’−ブロモデオキシウリジン(5’−Bromodeoxyuridine;以下BrdUともいう)の細胞内への取り込み量を常法により測定し、その取り込み量を指標に、DNA合成の抑制の度合いを調べた。1μMのDSA添加後12時間の時点でのC6細胞のBrdUの取り込み量はコントロール群の4.3%にすぎなかった。このことはC6細胞株のDNA合成がDSAによって非常に強く抑制されたことを示している。
【0029】
iv)DSAのヒトグリオーマ細胞に対する増殖抑制
ヒトグリオーマ細胞4株(U251(glioblastoma)、SF−539(gliosarcoma)、SNB−75(astrocytoma)、SNB−78(astrocytoma))に対する、DSAの細胞増殖抑制作用を調べた。ヒトグリオーマ細胞の培養は、Monks等(1991年)(J. Natl.Cancer Inst. vol. 83:757−766)及び矢守等(1999年)(Cancer Res. Vol. 59:4042−4049)に報告された方法にて行った。
【0030】
ヒトグリオーマ細胞株を12穴プレート(Asahi Techno glass製)に、撒布し、5%FBS、0.1mg/mlのカナマイシン、0.5μg/mlのファンギゾンを加えたRPMI1640培地で、37℃、95%COの条件下で培養した。
U251株は1穴当たり0.4×10個、SF−539、SNB−75及びSNB−78の各株は1穴当たり1.0×10個になるよう散布した。
各細胞株撒布24時間後に、DSAが1μMとなるように培地に加える。1時間DSAを加えた培地で培養後、DSAを含まない培地に交換し、培養を継続する。36時間培養後、細胞数を測定し、下記に示す数式によって、細胞増殖率を求めた。
細胞増殖率(%)=100×{(T−T0)/(C−T0)}
ここでCはコントロール群の細胞数、TはDSA添加群の細胞数、T0はDSA添加直前の細胞数を示す。
また、ラットグリオーマ細胞株C6についても、培地を上記 i)で使用したと同じ組成の培地を使用した以外は、上記ヒトグリオーマ細胞の場合同様にして、その増殖抑制を調べた。
結果を図3に示す。ラットグリオーマ細胞株C6がもっとも強く増殖抑制され、4種類のヒトグリオーマ細胞株についても、いずれも増殖が強く抑制された。以上より、グリオーマ細胞株はDSAによって増殖抑制を受けることが示された。
【0031】
v) DSAによるグリオーマ細胞株の形態変化
(1)DSAによるラットグリオーマ細胞株C6細胞の形態変化を調べるため、DSAの有無による形態の違いを顕微鏡を用いて観察した。DSAを添加していない場合はC6細胞は扁平な紡錘状又は多角形の形態を示していたが、DSA存在下ではC6細胞は星状の形態をとり細長い突起を出すことが観察された。この形状は、高度に分化したastrocytesに酷似しており、DSAがC6細胞に対して分化誘導作用を示したと考えられた。
同様にヒト脳腫瘍株4株(U251(glioblastoma)、SF−539(gliosarcoma)、SNB−75(astrocytoma)、SNB−78(astrocytoma))のDSAによる形態の変化を観察した。4種類の細胞株はいずれもDSA添加により、扁平な形状から、突起を伸ばした星状の形態に変化した。この変化した形態は、高度に分化したastrocytesの特徴の一つである。
【0032】
実施例2 DSAによるグリオーマ細胞株のGFAP発現量変化
グリオーマは未分化なほど悪性度が高いと言われており、悪性なほど細胞内のアストログリア特異的中間径フィラメントの構成成分であるグリア繊維性酸性タンパク質(GFAP)含有量が少ないとされている。成熟したastrocyteでは、非常に多くのGFAPが発現していることが知られており、悪性度の高いC6細胞株ではGFAPの発現量レベルは非常に低いことが知られている。そこで、C6細胞株及びヒト脳腫瘍細胞株(U251(glioblastoma)、SF−539(gliosarcoma)、SNB−75(astrocytoma)、SNB−78(astrocytoma))にDSAを接触させた場合のGFAPの発現量を、抗GFAP抗体によるイムノブロッティング法により定量した(図4)。
【0033】
即ち、それぞれの細胞をDSA非存在下、又は存在下で24時間培養する。氷冷したPBS緩衝液で3回細胞を洗浄後、rubber scraperで細胞を培養皿からはがし、PBS緩衝液中に集める。遠心して集めた細胞塊を、1mM PMSF(フッ化フェニルメチルスルファニル)、10μM ロイペプチン、1μM アプロチニン、1μM ペプスタチンA、1mM EDTAを含む、1.0%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、10mM トリス塩酸緩衝液、pH7.4の中でホモジナイズする。ホモジナイズして得られた蛋白質のうち、C6細胞については10μg、他のヒトグリオーマ細胞からはそれぞれ5μgを、Laemmli(1970年)(Nature Vol 227:680−685))の方法に従って、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動に供し、ゲル上に展開する。ゲル上に展開された蛋白質を、PVDF(polyvinylidene difluoride)膜に電気的に転写する。蛋白が転写されたPVDF膜に抗GFAPポリクローナル抗体(DACO社)を反応させた後、過酸化酵素で標識された抗ウサギIgG抗体を反応させ、更に過酸化酵素の基質DAB(3,3’ジアミノベンチジン)と反応させる。DAB反応物の発色の強さをデンシトメーターで計測し、GFAPを定量した。
【0034】
図4中、レーン1、3、5、7、9はDSA非存在下での細胞(コントロール群)、レーン2、4、6、8、10はDSA存在下での細胞、から得た蛋白質をImmunoblottingした結果である。又、レーン1、2はU251;レーン3、4はSNB−75;レーン5、6はSNB−78;レーン7、8はSF−539;レーン9、10はC6細胞からそれぞれ得られた蛋白質のImmunoblotting結果である。レーン11は分子量マーカーを展開した。右欄外にGFAPの泳動位置と分子量マーカーの分子量を示した。
デンシトメーター(densitometer)での計測結果によると、DSAによって、C6細胞株においては100倍以上、ヒト脳腫瘍細胞株においては12倍以上のGFAPが誘導されていた。
【0035】
分化したastrocyteは、▲1▼星状の形態であること、▲2▼GFAPを大量に発現すること、▲3▼増殖を停止すること、により定義される(Butt(1991年)Ann NY Acad Sci Vol 633:90−95;Bovolentaら(1984年)Dev Biol Vol 102:248−259)。よって、C6細胞株及びヒト脳腫瘍株4株は全てDSAにより、分化誘導されたといえる。
【0036】
実施例3 グリオーマ細胞の増殖抑制作用を持つレクチンの特異性
DSAはGalβ1→4GlcNAcβ1→6(Galβ1→4GlcNAcβ1→2)Manを含むアスパラギン結合型多分岐糖鎖及びN−アセチルラクトサミンの直列の繰り返し構造を認識する(Cummings and Kornfeld(1984年)J Biol Chem vol 259:6253−6260;Yamashita等(1987年))J Biol Chem vol 262:1602−1607)。
【0037】
レクチンはそれぞれ異なる糖結合特異性を持っているので、各種レクチンを用いてグリオーマの増殖阻害能を調べた。結果は図5に示す。
トマトレクチン(tomato lectin)(TL)は3つ以上のN−アセチルラクトサミンの直列の繰り返し構造を認識する(Kilpatrick et al.(1984年)Biochem J Vol 220:843−847;Merkle and Cummings(1987年)。トマトレクチンはDSAと同程度の増殖阻害効果を示した。
Galβ1→4GlcNAcβ1→6(Galβ1→4GlcNAcβ1→2)Manを含むアスパラギン結合型多分岐糖鎖を認識するPhaseolus vulgaris leucoagglutinin(L−PHA)(Cummings and Kornfeld(1982年)、J Biol Chem 259:6253−6260)は、やや弱いが増殖阻害効果を示した。
【0038】
又、末端にα2−6結合しているシアル酸(Siaα2→6)に結合するSambucus sieboldiana agglutinin(SSA)は、弱い阻害能を示した。
セリン・スレオニン結合型コア1糖鎖構造oligosaccharide (Galb1R3GalNAc) (Baker ら、1983年)に結合するDolichos biflorus agglutinin(DBA)、フコースに結合するLotus tetragonolobus agglutinin(LTA)は、いずれも増殖阻害能を示さなかった。
なお、上記の各種レクチンのグリオーマ増殖阻害能は下記のようにして調べた。
図5中に示した6種類のレクチン(1μモルの濃度)で、C6細胞をそれぞれ処理した。即ち、細胞は12穴プレートに、各穴1.0×10個となるように撒布し、3時間後に各種レクチンを加えた。細胞数は撒布から24時間後に測定した。測定は各々5回行い、平均値±標準偏差で細胞数を図5に示した。
その結果を見ると、レクチン非存在下での細胞数は、24時間後には散布時の2.64倍に増加したが、DSA、L−PHA、TL、SSA存在下では、それぞれ1.06倍、1.71倍、1.09倍、2.06倍の増加であった。
【0039】
これらのことから、DSAはGalβ1→4GlcNAcβ1→6(Galβ1→4GlcNAcβ1→2)Manを含むアスパラギン結合型多分岐糖鎖、N−アセチルラクトスアミンの直列の繰り返し構造の、両方又はいずれかと結合することで、グリオーマの増殖を阻害していると考えている。
【0040】
【発明の効果】
細胞分裂と分化の制御は正常な発生と恒常性維持に決定的に重要な点であり、腫瘍形成の過程ではしばしばそれらが破綻している。本発明により、レクチンを用いてグリオーマ細胞を分化誘導し、グリオーマ細胞の増殖抑制を引き起こすことにより、グリオーマの進展を防止、治療することが可能となった。
発生や分化に伴って糖鎖の構造は変化し、それらはよく制御されている。例えば、同じ神経系の細胞である神経細胞とアストログリアではその骨格蛋白質部分は共通の分子を持っているが、その蛋白質に結合している糖鎖構造は全く異なる。アストログリアの癌化したグリオーマ細胞が有するDSAと相互作用する糖鎖は神経細胞にほとんどない。その結果、該糖鎖部分をターゲットとしてグリオーマ細胞の分化誘導を引き起こす薬剤は、神経細胞に対する影響を最小限にすることができる。即ち、本発明のレクチンによるグリオーマ細胞分化誘導作用を利用したグリオーマ治療剤は、正常細胞と癌細胞との選択性に優れ、正常組織に負荷が小さい、副作用の低減された医薬として期待される。又、この分化誘導にはレクチンとの継続的な接触は必要なく、一過性に接触すれば分化誘導は可能であった。これは周囲の正常細胞に対する影響を最小限にするのに効果的である。
これらの特徴は、本発明がこれまでの薬剤に比べ脳腫瘍に対して飛躍的に有用であることを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】DSAによるラットグリオーマ細胞株C6細胞の増殖抑制作用を示す。
【図2】DSAによるラットグリオーマ細胞株C6細胞に対する増殖抑制作用が、DSA濃度依存性であることを示す。
【図3】DSAのヒトグリオーマ細胞株4種及びC6細胞に対する増殖抑制作用を示す。
【図4】抗GFAP抗体を用いたImmunoblotting結果によるGFAP発現量を示す。
【図5】レクチンのC6細胞に対する増殖抑制作用の特異性を示す。
【符号の説明】
図1中、三角マーク(△)は、C6細胞を撒布後、1μMのDSAを加えた培地で培養した群(DSA添加群)を、黒菱形マーク(◆)は、DSA非存在下で培養した群(コントロール群)を、黒4角形マーク(■)は、C6細胞をDSA添加培地で24時間培養後、DSAを含まない培地に切り替えて更に96時間培養した群を、それぞれ示す。
図1中、矢印は、DSAを含まない培地への交換時期(24時間後)を示す。

Claims (8)

  1. グリオーマ細胞に対し分化誘導作用を有するレクチンまたは抗体を有効成分とするグリオーマ治療剤。
  2. レクチンがアスパラギン結合型多分岐糖鎖及び/又はN−アセチルラクトサミンの直列の繰り返し構造を有する糖鎖に結合する蛋白質である請求項第1項に記載のグリオーマ治療剤。
  3. レクチンがGalβ1→4GlcNAcβ1→6(Galβ1→4GlcNAcβ1→2)Manを含むアスパラギン結合型多分岐糖鎖及び/又はN−アセチルラクトサミンの直列の繰り返し構造を有する糖鎖に結合する蛋白質である請求項第1項に記載のグリオーマ治療剤。
  4. レクチンがチョウセンアサガオレクチン(Datura stramonium agglutinin)、インゲン豆レクチン(Phaseolus vulgaris leucoagglutinin)又はトマトレクチン(tomato lectin)のいずれかである請求項第1項に記載のグリオーマ治療剤。
  5. グリオーマ細胞に対し分化誘導作用を有するレクチンまたは抗体を有効成分とするグリオーマ細胞の分化誘導剤または増殖抑制剤。
  6. レクチンがアスパラギン結合型多分岐糖鎖及び/又はN−アセチルラクトサミンの直列の繰り返し構造を有する糖鎖に結合する蛋白質である請求項第5項に記載のグリオーマ細胞の分化誘導剤または増殖抑制剤。
  7. レクチンがGalβ1→4GlcNAcβ1→6(Galβ1→4GlcNAcβ1→2)Manを含むアスパラギン結合型多分岐糖鎖及び/又はN−アセチルラクトサミンの直列の繰り返し構造を有する糖鎖に結合する蛋白質である請求項第5項に記載のグリオーマ細胞の分化誘導剤または増殖抑制剤。
  8. レクチンがチョウセンアサガオレクチン(Datura stramonium agglutinin)、インゲン豆レクチン(Phaseolus vulgaris leucoagglutinin)又はトマトレクチン(tomato lectin)のいずれかである請求項第5項に記載のグリオーマ細胞の分化誘導剤または増殖抑制剤。
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