JP2004231434A - 金属酸化物系複合材、金属酸化物含有触媒及びその製造方法 - Google Patents

金属酸化物系複合材、金属酸化物含有触媒及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】各成分が均一に分散し結晶状態が均一な複合酸化物を得る。
【解決手段】アンモニアガスを導入管2よりチャンバ1に供給して、該チャンバにアンモニアガスを充満させ、その状態でノズル3から、複数種類の金属塩が溶解した原料溶液をチャンバ1内に噴霧することにより、原料溶液の微小液滴をアンモニアガス雰囲気に包んで、水酸化物生成反応を微小液滴の表面から内部に素早く進行させ、得られた複合酸化物前駆体13を水洗し、乾燥・焼成することにより、複合酸化物を得る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属酸化物系複合材、金属酸化物含有触媒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数種類の金属原子を含む金属酸化物、すなわち、複合酸化物(複酸化物又は混合酸化物)の製法として、それら金属のイオンを含む溶液を撹拌しながら、これに塩基性溶液を滴下して金属酸化物の前駆体を生成し、これを水洗し、乾燥及び焼成する、という共沈法が従来より知られている。
【0003】
また、このような複合酸化物の他の製法として、複数種類の金属塩の溶液と塩基性溶液とを高速回転している円板上に同時に注ぐことにより、該円板上で遠心力を利用して当該両液を高速混合し、上記前駆体を生成することが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−182155号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の金属塩溶液に塩基性溶液を滴下する方法では、その滴下による沈殿のし易さが各金属元素間で異なることから、先に沈殿するものと後から沈殿するものとに分かれ、均質な沈殿物にならない。
【0006】
一方、上述の回転円板を用いた高速混合によれば、得られる沈殿物の均質性は高まるものの、液体同士の物理的混合による共沈であることから、得られる沈殿物の均質性向上にも限界がある。
【0007】
すなわち、本発明の課題は、均質な金属酸化物系複合材を得ること、また、均質な金属酸化物含有触媒を得てその触媒性能の向上を図ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、塩基性物質がガス状又は霧状になった雰囲気に、金属塩が溶解した原料溶液を噴霧すると、均質な金属酸化物系複合材が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明の金属酸化物系複合材は、複数種類の金属原子を含む金属酸化物系複合材であって、
塩基性物質がガス状又は霧状になって存在する雰囲気に上記複数種類の金属塩が溶解した原料溶液を噴霧して複合材前駆体を生成する工程と、得られた複合材前駆体を焼成する工程とを備えて製造されることを特徴とする。
【0010】
本発明の場合、噴霧された原料溶液の微小液滴はガス状の塩基性物質雰囲気に包まれ、反応が微小液滴の表面から内部に素早く進行することになり、各金属成分が均一に分散した均質な前駆体が得られる。また、上記塩基性物質が霧状になって存在する雰囲気であっても、その塩基性物質の微小液滴間には該塩基性物質がガス状態で存在するから、同様に均質な前駆体が得られる。また、上記原料溶液の微小液滴と塩基性物質の微小液滴とが接触して前駆体が生成する場合でも、微小液滴同士の接触による反応であるから、その反応は素早く完了し、均質な前駆体が得られる。よって、以上のような前駆体を焼成してなる当該金属酸化物系複合材は、一次粒子が微細であるとともに、その組成及び結晶状態が均一なものになる。
【0011】
上記塩基性物質がガス状又は霧状になって存在する雰囲気は、アンモニア水を加熱蒸発することによって得ることができる。
【0012】
また、上記雰囲気はアンモニアガス雰囲気として、上記原料溶液は上記複数種類の金属塩が溶解した水溶液とすることができる。
【0013】
上記雰囲気温度は、室温から90℃の範囲とすることが上記前駆体の生成反応を効率良く進める上で好ましい。
【0014】
上記金属原子としては、Ce、Zr及びNdのうちから選ばれる少なくとも一種を含有させることができる。
【0015】
上記金属原子としては、Pt、Pd及びRhのうちから選ばれる少なくとも一種を含有させることができる。
【0016】
本発明の金属酸化物含有触媒は、アンモニア水を加熱蒸発させて得られた雰囲気又はアンモニアガス雰囲気に、Ce、Zr及びNdのうちから選ばれる少なくとも一種とPt、Pd及びRhのうちから選ばれる少なくとも一種とを含有する原料溶液を噴霧して複合酸化物前駆体を生成する工程と、得られた複合酸化物前駆体を焼成する工程とを備えて製造されることを特徴とする。
【0017】
従って、噴霧された原料溶液の微小液滴は、アンモニア水の蒸気又はアンモニアガスの雰囲気に包まれ、反応が微小液滴の表面から内部に素早く進行することになり、各金属成分が均一に分散した均質な複合酸化物前駆体が得られる。よって、このような前駆体を焼成してなる当該金属酸化物含有触媒は、一次粒子が微細であるとともに、その組成及び結晶状態が均一なものになる。
【0018】
そうして、この金属酸化物含有触媒は、Ce、Zr及びNdのうちから選ばれる少なくとも一種を含有するから、酸素吸蔵能を発揮し、また、Pt、Pd及びRhのうちから選ばれる少なくとも一種を含有するから、これが触媒金属として働くことから、例えば自動車の排ガス中のHC、CO及びNOxを同時に浄化する三元触媒として有効になる。
【0019】
上記雰囲気の温度は、室温から90℃の範囲とすることが複合酸化物前駆体の生成反応を効率良く進める上で好ましい。
【0020】
本発明の、複数種類の金属原子を含む金属酸化物系複合材の製造方法は、
複数種類の金属塩が溶解した原料溶液を準備する工程Aと、
上記原料溶液と反応させて上記金属酸化物系複合材の前駆体を生成させるための塩基性物質を準備する工程Bと、
上記塩基性物質を所定温度に保持された反応チャンバ内にガス状態又は霧状態で導入する工程Cと、
上記反応チャンバ内に上記原料溶液を噴霧して上記ガス状又は霧状の塩基性物質と反応させ上記前駆体を生成させる工程Dと、
上記前駆体を水洗し、乾燥し、上記金属酸化物系複合材となるように焼成する工程Eとを備えていることを特徴とする。
【0021】
従って、噴霧された原料溶液の微小液滴はガス状の塩基性物質雰囲気に包まれ、反応が微小液滴の表面から内部に素早く進行することになり、各金属成分が均一に分散した均質な前駆体が得られる。また、上記塩基性物質が霧状になって存在する雰囲気であっても、その塩基性物質の微小液滴間には該塩基性物質がガス状態で存在するから、同様に均質な前駆体が得られる。また、上記原料溶液の微小液滴と塩基性物質の微小液滴とが接触して前駆体が生成する場合でも、微小液滴同士の接触による反応であるから、その反応は素早く完了し、均質な前駆体が得られる。よって、以上のような前駆体の焼成により、一次粒子が微細であるとともに、その組成及び結晶状態が均一な金属酸化物系複合材が得られる。
【0022】
上記塩基性物質の準備工程Bは、アンモニア水を加熱して、水蒸気とアンモニアガスとアンモニア水の微小液滴とを含む蒸気を発生させる工程とすることができる。
【0023】
上記塩基性物質の準備工程Bは、液化アンモニアを封入した圧力容器を準備する工程とすることができる。
【0024】
以上において、上記工程Cの反応チャンバ内温度は、室温(20℃)から90℃の範囲とすることが好ましい。
【0025】
以上において、上記工程Aの原料溶液に含有させる金属のイオンとしては、Ce、Zr及びNdの少なくとも一種とすることができる。
【0026】
以上において、上記工程Aの原料溶液に含有させる金属のイオンとしては、Pt、Pd及びRhの少なくとも一種とすることができる。
【0027】
【発明の効果】
従って、本発明の金属酸化物系複合材によれば、一次粒子が微細で、金属成分が均一に分散して含まれ、結晶状態も均一になものになるから、触媒材料として利用してその触媒性能を高めることができ、或いは刃物等の工具類、ボールミル等の粉砕手段、摺動材、その他の機械部品に利用してその強度、靱性を高めることができ、或いは誘電材料、圧電材料、電歪材料等の機能材料として利用してその特性を高めることができる。
【0028】
また、本発明の金属酸化物含有触媒によれば、金属成分が均一に分散して含まれ、結晶状態も均一になものになるから、自動車の排ガス中のHC、CO及びNOxを同時に浄化する三元触媒として有効に利用することができ、また、その耐久性向上にも有利になる。
【0029】
また、本発明の金属酸化物系複合材の製造方法によれば、一次粒子が微細で、金属成分が均一に分散して含まれ、結晶状態も均一な金属酸化物系複合材を得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
<製造装置>
図1は金属酸化物含有触媒等の金属酸化物系複合材を製造するための装置を示す。同図において、1は金属酸化物系複合材の前駆体を生成するための反応チャンバである。この反応チャンバ1には、アンモニアガス等のガス状塩基性物質を導入する塩基性物質導入管2と、複数種類の金属イオンを含む原料溶液(酸性)を霧状にして導入する原料溶液ノズル3とが設けられている。塩基性物質導入管2はガス状塩基性物質の供給源(図示省略)に接続されている。この供給源としては、例えば液化アンモニアを封入した圧力容器が用いられる。原料溶液ノズル3は原料溶液供給源(図示省略)に接続されている。
【0032】
反応チャンバ1の下部は漏斗状になって小径の排出管4に連なり、該排出管4が複合酸化物前駆体を集める容器5に接続されている。また、反応チャンバ1の周壁にはチャンバ内を所定温度に保つためのヒータ6が埋設されている。
【0033】
図2は上記金属酸化物系複合材を製造するための別の装置を示す。この装置は、塩基性物質導入管2に、塩基性物質源として、塩基性物質の蒸気発生手段7が接続されていることを特徴とし、他は図1の装置と同じである。この蒸気発生手段7は、アンモニア水等の塩基性物質の溶液10を貯留する容器8にヒータ9を設けたものであり、ヒータ9によって容器8内の塩基性物質溶液10を加熱して塩基性物質を含む蒸気を発生させ、上記導入管2を通して反応チャンバ1に供給するようになっている。容器8には塩基性物質溶液の供給管11が接続され、該供給管11には開閉バルブ12が設けられている。
【0034】
<製造方法>
次に金属酸化物系複合材の製造方法を説明する。この製造方法は図3に示すように5つの工程A〜Eを有する。
【0035】
−原料溶液準備工程A−
この工程は、複数種類の金属塩が溶解した原料溶液を準備する工程であり、各金属塩を水に混合して溶解することにより、或いは各金属塩の溶液を混合することにより、原料溶液を調製する。金属塩としては、例えば、Ce、Zr、Nd、Pt、Pd、Rh等の硝酸塩を採用することができる。
【0036】
−塩基性物質準備工程B−
この工程は、上記原料溶液と反応させて上記金属酸化物系複合材の前駆体を生成させるための塩基性物質を準備する工程である。図1に示す装置を用いる場合、例えば液化アンモニアを封入した圧力容器を準備することになる。また、図2に示す装置を用いる場合、例えば容器8に入れたアンモニア水をヒータ9によって加熱して、水蒸気とアンモニアガスとアンモニア水の微小液滴とを含む蒸気を発生させることになる。
【0037】
また、この工程は、炭酸アンモニウムの熱分解、塩化アンモニウムと水酸化カルシウムとの反応等を利用してアンモニアを発生させる、というものであってもよい。
【0038】
−塩基性物質導入工程C−
この工程は、塩基性物質を所定温度に保持された反応チャンバ1内にガス状態又は霧状態で導入する工程である。図1に示す装置を用いる場合、例えば、液化アンモニア圧力容器の栓を開いてアンモニアをガスとして取り出し、反応チャンバ1内が所定圧力のアンモニア雰囲気となるように該チャンバ1に供給することになる。図2に示す装置を用いる場合、例えば、反応チャンバ1内が所定圧力のアンモニア雰囲気となるように上記ヒータ9によってアンモニア水を加熱して上記蒸気を反応チャンバ1に供給することになる。
【0039】
反応チャンバ1内の温度は、チャンバヒータ6を作動させることによって室温(20℃)から90℃の範囲の所定温度となるようにする。
【0040】
また、この工程は、アンモニア水を噴霧ノズルを利用してチャンバ1内に霧状にして供給する、というものであってもよい。
【0041】
−前駆体生成工程D−
この工程は、原料溶液ノズル3から反応チャンバ1内に原料溶液を噴霧供給して上記ガス状又は霧状の塩基性物質と反応させ、上記金属酸化物系複合材の前駆体を生成させる工程である。塩基性物質の導入量と原料溶液の導入量とは、塩基性物質の方が過剰になるようにする。
【0042】
これにより、チャンバ1内の塩基性物質がガス状又は霧状になって存在する雰囲気に原料溶液の微小液滴が供給されることになり、この原料溶液の微小液滴はガス状の塩基性物質雰囲気に包まれ、反応が微小液滴の表面から内部に素早く進行して、均質な前駆体13が得られる。また、上記塩基性物質が霧状になって存在する雰囲気であっても、その塩基性物質の微小液滴間には該塩基性物質がガス状態で存在するから、同様に均質な前駆体13が得られることになる。また、上記原料溶液の微小液滴と塩基性物質の微小液滴とが接触して前駆体13が生成する場合でも、微小液滴同士の接触による反応であるから、その反応は素早く完了し、均質な前駆体13が得られる。
【0043】
生成した前駆体(ゲル)13は、反応チャンバ1内を落下して排出管4を通って容器5に受けられる。
【0044】
反応チャンバ1内のアンモニアガス圧を一定に保ちながら、原料溶液の噴霧供給を継続することにより、上記前駆体13を連続的に生成していくことができる。
【0045】
−水洗・乾燥・焼成工程E−
この工程は、容器5に集められた前駆体13を取り出して水洗し、乾燥し、金属酸化物系複合材となるように焼成する工程である。すなわち、容器5から前駆体を含む液体を別の容器に取り出して一昼夜放置し、上澄み液を除去して得られたケーキを遠心分離器にかけ、水洗する。この水洗したケーキを150℃前後の温度に加熱して乾燥させる。次いで、乾燥したケーキを加熱焼成する。この焼成は、金属酸化物含有触媒を得る場合は、当該ケーキを大気雰囲気において例えば400℃〜600℃の温度に保持することにより行なう。セラミックスとする場合は、1000℃以上の高温で焼成する。
【0046】
以上により、一次粒子が微細であるとともに、その組成及び結晶状態が均一な金属酸化物系複合材が得られる。
【0047】
<金属酸化物含有触媒に関する実施例及び比較例>
金属酸化物系複合材の一例として金属酸化物含有触媒に関する実施例及び比較例を説明する。
【0048】
−実施例−
オキシ硝酸ジルコニウム、硝酸第一セリウム、硝酸ネオジム(III)含水、及び硝酸ロジウム溶液の所定量を混合し、脱イオン水300mLを加えて室温で約1時間撹拌することにより、原料溶液を調製した(工程A)。一方、塩基性物質として、液化アンモニアを封入した圧力容器を準備し、図1に示す装置の塩基性物質導入管2に接続した(工程B)。液化アンモニア圧力容器の栓を開いてアンモニアをガスとして取り出して温度を80℃に保った反応チャンバ1に導入し、該チャンバ1内を1気圧のアンモニアガスで充満させた(工程C)。
【0049】
次いで、上記原料溶液を原料溶液ノズル3から反応チャンバ1内に噴霧供給した。これにより、チャンバ1内で霧状の原料溶液とアンモニアガスとが反応して、複合酸化物の前駆体、すなわち、Zr、Ce、Nd及びRhの各金属成分が均一に混ざり合った水酸化物(ゲル)が生成した(工程D)。容器5に受けた前駆体を取り出して別の容器に移して一昼夜放置し、生成したケーキを遠心分離器にかけ、十分に水洗した。この水洗したケーキを約150℃の温度で乾燥させた後、400℃の温度に5時間保持し、次いで500℃の温度に2時間保持するという条件で焼成し、金属酸化物含有触媒を得た(工程E)。
【0050】
この金属酸化物含有触媒の成分比は「CeO:ZrO:Nd:Rh
=24.4:72.5:2.5:0.6」であった。
【0051】
上記金属酸化物含有触媒、アルミナ、硝酸ジルコニル及び水の所定量を混合してスラリーを調製し、これにコージェライト製ハニカム担体を浸漬して引き上げ、余分なスラリーを吹き飛ばして、500℃で2時間の焼成を行なうことにより、実施例に係るハニカム触媒を得た。この触媒に対して大気雰囲気において1000℃で24時間保持するエージングを行なった。
【0052】
上記担体は、直径25.4mm、長さ50mm、1平方インチ(約6.54cm)当たりのセル数400、相隣るセルを隔てる壁厚6ミル(約0.15mm)である。また、上記触媒における担体1L当たりのRh担持量は0.27gである。
【0053】
−比較例−
オキシ硝酸ジルコニウム、硝酸第一セリウム、硝酸ネオジム(III)含水、及び硝酸ロジウム溶液の所定量を混合し、水300mLを加えて室温で約1時間撹拌した。この混合溶液を80℃まで加熱昇温させた後、これに撹拌しながら28%アンモニア水50mLを0.04mL/秒の速度で滴下して混合した。アンモニア水の混合によりゾル化した溶液を一昼夜放置し、生成したケーキを遠心分離器にかけ、十分に水洗した。この水洗したケーキを約150℃の温度で乾燥させた後、400℃の温度に5時間保持し、次いで500℃の温度に2時間保持するという条件で焼成した。得られた金属酸化物含有触媒の成分比は実施例と同じである。
【0054】
上記金属酸化物含有触媒を用い、上記実施例と同じ条件及び方法により比較例に係るハニカム触媒を得た。また、この触媒に対して実施例と同じエージングを行なった。この触媒における担体1L当たりのRh担持量は実施例と同じく0.27gである。
【0055】
−触媒性能評価−
モデルガス流通反応装置及び排気ガス分析装置を用いて、上記実施例及び比較例の各ハニカム触媒(上記エージング後のものをモデルガス流通反応装置に取り付け、空燃比リッチのモデルガス(温度600℃)を10分間流した後のもの)のHC、CO及びNOxの浄化に関するライトオフ温度T50及び浄化率C400を測定した。T50は、触媒に流入するモデルガス温度を常温から漸次上昇させていき、浄化率が50%に達したときの触媒入口のガス温度である。C400は触媒入口ガス温度が400℃のときの浄化率である。モデルガスは、A/F=14.7±0.9とした。すなわち、A/F=14.7のメインストリームガスを定常的に流しつつ、所定量の変動用ガスを1Hzでパルス状に添加することにより、A/Fを±0.9の振幅で強制的に振動させた。空間速度SVは60000h−1、昇温速度は30℃/分である。
【0056】
T50の結果を図4に示す。HC、CO及びNOxいずれの浄化に関しても実施例触媒の方が比較例触媒よりも低いT50になっている。C400の結果を図5に示す。HC、CO及びNOxいずれの浄化率に関しても実施例触媒の方が比較例触媒よりも格段に高くなっている。このように実施例触媒の性能が高くなっているのは、金属酸化物含有触媒において各金属成分が均一に分散し、その結晶状態も均一になものになっているからと認められる。
【0057】
<セラミックスに関する実施例及び比較例>
金属酸化物系複合材の他の例としてジルコニア複合アルミナセラミックスに関する実施例及び比較例を説明する。
【0058】
−実施例−
硫酸アルミニウム9水和物9モル及び硝酸ジルコニル2水和物1モルを脱イオン水300mLに混合溶解した原料溶液を準備した(工程A)。一方、塩基性物質として、液化アンモニアを封入した圧力容器を準備し、図1に示す装置の塩基性物質導入管2に接続した(工程B)。液化アンモニア圧力容器の栓を開いてアンモニアをガスとして取り出して温度を80℃に保った反応チャンバ1に導入し、該チャンバ1内を1気圧のアンモニアガスで充満させた(工程C)。
【0059】
次いで、上記原料溶液を原料溶液ノズル3から反応チャンバ1内に100mL/分の噴射量で1分間噴射した。これにより、チャンバ1内で霧状の原料溶液とアンモニアガスとが反応して、水酸化ジルコニウムと水酸化アルミニウムとがモル比1:9で均一に混ざり合った複合酸化物前駆体が生成した(工程D)。容器5に受けられた前駆体を取り出して別の容器に移して一昼夜放置し、生成したケーキを遠心分離器にかけ、十分に水洗した。この水洗したケーキを約150℃の温度で乾燥させた後、プレス成形機で直方体(6mm×8mm×50mm)の成形体を得た。この成形体を大気雰囲気において1350℃で2時間加熱することにより焼結させて実施例に係るセラミックスを得た(工程E)。
【0060】
−比較例−
市販のジルコニア粉末とアルミナ粉末とをモル比1:9に調合した後、振動ミルに移し、窒化珪素製ボールとメタノールとを入れて20時間混合粉砕した。これを乾燥させた後、実施例と同じく、プレス成形機で同サイズの直方体の成形体とし、同様の条件で焼結して比較例に係るセラミックスを得た。
【0061】
−評価−
実施例及び比較例のセラミックスをそれぞれセラミックスのJIS曲げ強度試験用のテストピースサイズに加工し、3点曲げ強度を測定した(サンプル数5)。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 2004231434
【0063】
表1からわかるように、実施例は比較例に比べて明らかに強度が向上していることが認められ、且つその強度のバラツキも小さくなっている。これは、実施例の場合、上記製法に起因して、一次粒子が微細であって結晶状態も均一であり、且つジルコニアとアルミナとの混合が均一になっているためと認められる。
【0064】
なお、本発明が他の組成の金属酸化物含有触媒、セラミックス、その他の金属酸化物系複合材にも適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る複合体前駆体製造装置を示す断面図。
【図2】本発明の実施形態に係る他の複合体前駆体製造装置を示す断面図。
【図3】本発明に係る金属酸化物系複合材の製造工程を示すブロック図。
【図4】本発明の実施例及び比較例のライトオフ温度T50を示すグラフ図。
【図5】本発明の実施例及び比較例の浄化率C400を示すグラフ図。
【符号の説明】
1 反応チャンバ
2 塩基性物質導入管
3 原料溶液ノズル
5 前駆体容器
7 塩基性物質の蒸気発生手段
13 前駆体

Claims (8)

  1. 複数種類の金属原子を含む金属酸化物系複合材であって、
    塩基性物質がガス状又は霧状になって存在する雰囲気に上記複数種類の金属塩が溶解した原料溶液を噴霧して複合材前駆体を生成する工程と、得られた複合材前駆体を焼成する工程とを備えて製造されることを特徴とする金属酸化物系複合材。
  2. 請求項1において、
    上記塩基性物質がガス状又は霧状になって存在する雰囲気は、アンモニア水を加熱蒸発させて得られたものであることを特徴とする金属酸化物系複合材。
  3. 請求項1において、
    上記雰囲気はアンモニアガス雰囲気であり、上記原料溶液は上記複数種類の金属塩が溶解した水溶液であることを特徴とする金属酸化物系複合材。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    上記雰囲気温度が室温から90℃の範囲であることを特徴とする金属酸化物系複合材。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    上記金属原子としてCe、Zr及びNdのうちから選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする金属酸化物系複合材。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
    上記金属原子としてPt、Pd及びRhのうちから選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする金属酸化物系複合材。
  7. アンモニア水を加熱蒸発させて得られた雰囲気又はアンモニアガス雰囲気に、Ce、Zr及びNdのうちから選ばれる少なくとも一種とPt、Pd及びRhのうちから選ばれる少なくとも一種とを含有する原料溶液を噴霧して複合酸化物前駆体を生成する工程と、得られた複合酸化物前駆体を焼成する工程とを備えて製造されることを特徴とする金属酸化物含有触媒。
  8. 複数種類の金属原子を含む金属酸化物系複合材の製造方法であって、
    上記複数種類の金属塩が溶解した原料溶液を準備する工程Aと、
    上記原料溶液と反応させて上記金属酸化物系複合材の前駆体を生成させるための塩基性物質を準備する工程Bと、
    上記塩基性物質を所定温度に保持された反応チャンバ内にガス状態又は霧状態で導入する工程Cと、
    上記反応チャンバ内に上記原料溶液を噴霧して上記ガス状又は霧状の塩基性物質と反応させ上記前駆体を生成させる工程Dと、
    上記前駆体を水洗し、乾燥し、上記金属酸化物系複合材となるように焼成する工程Eとを備えていることを特徴とする金属酸化物系複合材の製造方法。
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