JP2004230327A - スラリー処理装置の排気管設備 - Google Patents
スラリー処理装置の排気管設備 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004230327A JP2004230327A JP2003024055A JP2003024055A JP2004230327A JP 2004230327 A JP2004230327 A JP 2004230327A JP 2003024055 A JP2003024055 A JP 2003024055A JP 2003024055 A JP2003024055 A JP 2003024055A JP 2004230327 A JP2004230327 A JP 2004230327A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- exhaust pipe
- slurry
- processing apparatus
- solid content
- facility
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
【課題】スラリー流体の処理装置から排気される固形分同伴ガスが排気管内に堆積しないようにした排気管設備を得る。
【解決手段】フラッシュ槽1には、垂直な排気管L3 とこれに続く横方向の排気管L4 とが接続され、その下流側は洗浄塔4へ接続されている。横方向の排気管L4 は下流側が下り勾配の所定角度α(0.3〜10°)で傾斜状に設けられている。高温、高圧のスラリー流体がフラッシュ槽1に供給されると減圧弁V3 により減圧され、その減圧により流体をフラッシュ蒸発させ、その際冷却により析出される結晶の固形分を含む固形分同伴ガスが、排気管L4 内に堆積されるのを配管傾斜により防止するように排気管設備を構築している。
【選択図】 図1
【解決手段】フラッシュ槽1には、垂直な排気管L3 とこれに続く横方向の排気管L4 とが接続され、その下流側は洗浄塔4へ接続されている。横方向の排気管L4 は下流側が下り勾配の所定角度α(0.3〜10°)で傾斜状に設けられている。高温、高圧のスラリー流体がフラッシュ槽1に供給されると減圧弁V3 により減圧され、その減圧により流体をフラッシュ蒸発させ、その際冷却により析出される結晶の固形分を含む固形分同伴ガスが、排気管L4 内に堆積されるのを配管傾斜により防止するように排気管設備を構築している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、流動性のスラリーを処理して固形分を含むガスを排出するスラリー処理装置の排気管設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば高純度テレフタル酸等の化学物質を製造する化学工場等では、混合槽、反応器、熱交換器、晶析槽、分離機、乾燥機など各種の工程を成す化学処理機器が工程順に多数設置され、これら機器間をスラリー搬送管又は搬送管で接続して各機器から機器へとスラリー又は生成物質を搬送し、化学物質を製造する設備が設置されている。
【0003】
このような設備において、加熱器や高圧ポンプにより予め高温、高圧化(例えば250℃、4.0MPa(40kgf/cm2 ))されたスラリー流体が晶析槽へ送り込まれると、槽内で大きく減圧(例えば2.0MPaに)することにより急速にスラリーに含まれる液成分を蒸発、冷却させてスラリー流体中に化学物質を結晶化させる処理が晶析槽では行なわれるが、このように晶析処理するような槽は、一般にフラッシュ槽とも呼ばれる。このフラッシュ槽で気化されたガス又は蒸気(Vapor)は、フラッシュ槽の頂部に接続される排気管を介して所定位置に集められ、一般に洗浄塔などを経て外部へ排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記フラッシュ槽から排出されるガスは、排気管を介して洗浄塔へ送られるが、排気管はフラッシュ槽から垂直上方へ出て水平な方向の配管に接続されるという一般的な設計基準に基づいて設置される。そして、この水平方向の配管は、フラッシュ槽から排出されるガスに固形成分は含まれないとして設計されるが、実際には操作条件の変動等によりフラッシュ槽で発生するガスに固形成分が同伴される。このため、フラッシュ槽を長期間使用すると、特に排気管の水平配管部分に固形成分が堆積し、次第に排気管が詰ってフラッシュ槽の機能低下や設備の運転そのものに支障を来すこととなる。
【0005】
この発明は、上記の問題に留意して、スラリー流体の処理装置から排気される固形分同伴ガスが排気管内に堆積しないようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決する手段として、流動性のスラリーを受入れて所定の処理をし、この処理で固形分を含むガスを発生するスラリー処理装置に対し、この装置内で発生した固形分同伴ガスを排出する排気管を排出部へ導くように排気管設備を設置し、排気管の横方向の配管部を排出部へ向って所定角度の下り勾配で傾斜状に設けたスラリー処理装置の排気管設備としたのである。
【0007】
上記構成のスラリー処理装置の排気管設備によれば、排気管内壁に固形分が付着して堆積するのが防止される。スラリー処理装置とは、例えば晶析槽のような流体中に結晶を析出する槽である。そして、このようなスラリー処理をする際に流体が高温高圧で供給されると槽内で所定圧に減圧し、この減圧による蒸気圧の差で蒸発するガスに晶析された固形成分の一部が同伴されて外部へ排出される。この固形分同伴ガスを排気設備で長期間排出し続けると、排気管内壁に固形分が付着、堆積する。
【0008】
このため、この発明の排気設備では横方向の排気管をその長さに応じた所定角度で下流側へ向って下り勾配となる傾斜状に設けることによってガス中の固形分が堆積し難く設計したのである。このように排気管を傾斜状に設置すると、長期間の使用により止むを得ず内壁に固形分が堆積しても、洗浄が容易である。横方向の排気管の傾斜の高い側に洗浄液又は蒸気の流入口を設ければ、この流入口に高圧噴流洗浄液を送り込むと洗浄液は下り勾配に沿って排気管内を流れ易く、従って洗浄が有効に行なわれることとなる。
【0009】
【実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は実施形態のスラリー処理装置の排気管設備の概略図を示す。図示のスラリー処理はフラッシュ槽1であり、流入する流体を減圧することにより溶媒をフラッシュ蒸発させる作用を有する槽であって、例えば後述するテレフタル酸の晶析槽のようなものである。このフラッシュ槽1には高圧(例えば1.0MPa)に加圧されたスラリー液又は溶液が供給管L1 から供給され、この槽1の外部に取付けた減圧弁V3 を介して所定圧(例えば0.8MPa)に減圧され、溶媒はフラッシュ蒸発し、温度は減圧された圧力での沸点まで下がることにより流体が冷却され、晶析が行なわれる。
【0010】
Pは攪拌翼であり、必ずしも必要ではない。フラッシュ槽1が晶析槽である場合は、上記減圧による蒸発作用により貯留されているスラリー流体中に晶析作用を促進させ、晶析された結晶を含むスラリー流体SLは排出弁V2 、排出管L2 を経て排出される。以上のような構成、機能を有するフラッシュ槽1には、その頂部に排気管L3 、L4 が接続され、フラッシュ処理で生じたガスを排気する設備が接続されている。
【0011】
この排気設備は排気弁V3 を介して接続されている垂直な排気管L3 と横方向の排気管L4 を直列に接続して形成され、特に横方向の排気管L4 はその長さが5m以上では下流方向に向って水平方向に対し所定角度αを以て下り勾配に配設される。この所定角度αは排気管L4 の長さによって異なるが、0.3〜10°(又は1/100〜1/1000)である。又、横方向の排気管L4 の上流側の垂直な排気管L3 との屈折位置付近(傾斜の高い側)には洗浄液又は蒸気の流入口として末端フランジ部(又はハンドホール)3を設けてある。排気管L4 の下流端は図1の(a)図の例では洗浄塔4へガスを送るように接続されている。
【0012】
しかし、フラッシュ槽1が例えば晶析槽として設けられる場合、図1の(b)図に示すように、多段の晶析槽1、10、20、30で晶析処理を多段で行なわれることがある。この場合は、それぞれのフラッシュ槽1、10、20、30では少しずつ段階的に設定圧力を下流側のフラッシュ槽になる程下げてフラッシュ処理が各槽で行なわれるが、各フラッシュ槽の排気管L4 、L14、L24、L34は集合排気管L5 へそれぞれ接続される。このとき、各排気管L4 、L14、L24、L34は前述したように、所定角度αの下り勾配の傾斜を以て集合排気管L5 の接続点P1 、P10、P20、P30にそれぞれ接続される。
【0013】
上記集合排気管L5 は集合点P0 へ向って同じく所定角度αの下り勾配の傾斜を以て合流するように設けられ、集合点P0 から接続管L6 を経て洗浄塔4に接続される。又、集合排気管L5 の上流側の端末には洗浄用の接続弁又はフランジ5がそれぞれ設けられている。なお、集合排気管L5 は、図示の例では垂直面内でゆるやかなV字状に屈曲して2つの集合排気管L5 が集合点P0 で接続され、その下方へ接続管L6 を接続した例を示しているが、集合排気管L5 は図示のように2つに限定されるものではなく、種々の角度で複数のものが合流、接続されるようにしてもよい。
【0014】
又、スラリー流体は複数のフラッシュ槽1、10、20、30を直列に接続する例を示しているが、複数のフラッシュ槽1、10、20、30は互いに並列でもよく、いくつかずつ直列のものが並列としてもよい。
【0015】
上記の構成としたスラリー処理装置の排気管設備は、スラリー処理装置がフラッシュ槽1のように、流体を処理する際にフラッシュ処理によって処理流体がスラリーであり、かつ溶媒が蒸発する際にこの固形分が同伴されることが前提である。このような固形分同伴ガスを排気管設備で排気する場合、長期間に亘って排気を続けるとガス中に含まれる固形分が排気管の内壁に付着して堆積する。この固形分の堆積は、横方向の排気管が従来のように水平であると堆積し易く、これを極力少しでも避けるため横方向の排気管L4 、L14、L24、L34は所定角度αを以て傾斜状に設けられている。
【0016】
このため、横方向の排気管L4 〜L34には固形分の堆積が少なく、堆積し難い。又、長期間の使用のため止むを得ず内壁に固形分が堆積した場合、各排気管L4 〜L34には所定角度αの傾斜が設けてあるため洗浄がし易く、洗浄液又は蒸気を流せば効果的に固形分を除去することができる。この洗浄液又は蒸気を流す場合、図1の(a)図のような単一のフラッシュ槽1では末端フランジ3に高圧噴流洗浄装置(ジェッター)(図示せず)を用いて排気管L4 の内壁に堆積している固形分を洗浄する。(b)図の場合は、各フラッシュ槽1、10、20、30の末端フランジ3、13、23、33に高圧を用いると共に、集合排気管L5 、L5 にも接続弁5を介して高圧を用いて、高圧を流すことにより洗浄を行なう。高圧水に代えて蒸気やアルカリにより洗浄するようにしてもよい。
【0017】
上述したフラッシュ槽1としての晶析槽を複数段備えた図2に示すテレフタル酸製造設備について簡単に説明する。パラキシレン(PX)と溶媒の酢酸と、触媒が酸化反応器11へ送られ、この反応器11へ分子状酸素含有ガスを供給して140〜210℃程の温度で酸化処理される。この反応器11で発生するガス成分は、図示していないが、反応器から抜き出されて熱交換器で酢酸等を凝縮分離した後排出され、凝縮液は反応器11へ還流される。
【0018】
酸化反応器11で酸化処理されたスラリー物質はスラリー搬送管L2 を経て晶析槽であるフラッシュ槽(図1参照)へ送られる。なお、実際の設備では、酸化反応器11よりさらに高温で酸化処理する酸化槽が設置され、又フラッシュ槽の複数段が設置されているが、簡略化のため図示省略している。フラッシュ槽で上記スラリー物質が晶析される。晶析の条件は、析出する固形分の収率、同固形分の純度等を勘案して選ばれ、一般に温度70〜190℃、圧力0.04〜1.5MPaとして実施される。
【0019】
晶析されたスラリー物質は、スラリー搬送管L3 を経て固液分離槽14へ送られ、ここで液体成分と固体成分とに分離され、固体成分はスラリー搬送管L4 を経て粗テレフタル酸が回収される。
【0020】
上記の粗テレフタル酸を搬送管L5 を経て送り、これに水を含む液体を加えて混合・溶解工程15においてスラリー化し、これを加熱溶解した搬送管L6 を経て水添反応器16へ送り、水素添加触媒の存在下で水添処理を行う。得られた反応物を搬送管L7 を経て晶析器17へ送り、晶析器17で晶析される。晶析された物質は搬送管L8 を経て固液分離・洗浄工程18で分離、洗浄され、その後搬送管L9 を経て乾燥器19で乾燥され、搬送管L10で送り出されると高純度テレフタル酸(PTA)が得られる。
【0021】
以上のようなテレフタル酸製造設備において、反応器や晶析槽を備えた設備で、各装置に対してそこから排出される固形分同伴ガスを排気する前述した排気管設備を設ければ、テレフタル酸製造設備を長期間使用しても、排気管に固形分の堆積がし難く、万一同形成が堆積しても洗浄液で容易に効果的に洗浄することができ、設備全体を常に高効率に作動させることかできる。なお、上述排気管設備は、テレフタル酸製造設備だけでなく、固形成分が排出ガスに同伴されるような機能を有する設備であれば、種々の設備に設置できることは言うまでもない。
【0022】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、この発明のスラリー処理装置の排気管設備は、固形分同伴ガスを発生するスラリー処理装置に排気管を排出部へ導くように設置し、横方向の排気管を下流側へ向って所定角度の下り勾配で傾斜状に設けたから、スラリー処理装置から固形分同伴ガスが長期間排出されても排気管内壁に固形分の堆積が生じ難く、又その傾斜の高い側に洗浄液または蒸気の流入口を設ければ堆積が生じても洗浄液を流入口から高圧で流せば固形分を容易に洗い流すことができ、従って固形分堆積の防止と洗浄を極めて効果的に行なうことができるという利点が得られる。又、プラント停止洗浄時には装置及び排気管を洗浄液で満液して洗浄する場合にも極めて効率よく洗浄を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のスラリー処理装置の排気管設備の全体概略図
【図2】同上スラリー処理装置を備えたテレフタル酸製造設備の全体概略図
【符号の説明】
1、10、20、30 フラッシュ槽
3 末端フランジ
4 洗浄塔
5 接続弁
L1 供給管
L2 排出管
L3 、L4 排気管
L5 集合排気管
【発明の属する技術分野】
この発明は、流動性のスラリーを処理して固形分を含むガスを排出するスラリー処理装置の排気管設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば高純度テレフタル酸等の化学物質を製造する化学工場等では、混合槽、反応器、熱交換器、晶析槽、分離機、乾燥機など各種の工程を成す化学処理機器が工程順に多数設置され、これら機器間をスラリー搬送管又は搬送管で接続して各機器から機器へとスラリー又は生成物質を搬送し、化学物質を製造する設備が設置されている。
【0003】
このような設備において、加熱器や高圧ポンプにより予め高温、高圧化(例えば250℃、4.0MPa(40kgf/cm2 ))されたスラリー流体が晶析槽へ送り込まれると、槽内で大きく減圧(例えば2.0MPaに)することにより急速にスラリーに含まれる液成分を蒸発、冷却させてスラリー流体中に化学物質を結晶化させる処理が晶析槽では行なわれるが、このように晶析処理するような槽は、一般にフラッシュ槽とも呼ばれる。このフラッシュ槽で気化されたガス又は蒸気(Vapor)は、フラッシュ槽の頂部に接続される排気管を介して所定位置に集められ、一般に洗浄塔などを経て外部へ排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記フラッシュ槽から排出されるガスは、排気管を介して洗浄塔へ送られるが、排気管はフラッシュ槽から垂直上方へ出て水平な方向の配管に接続されるという一般的な設計基準に基づいて設置される。そして、この水平方向の配管は、フラッシュ槽から排出されるガスに固形成分は含まれないとして設計されるが、実際には操作条件の変動等によりフラッシュ槽で発生するガスに固形成分が同伴される。このため、フラッシュ槽を長期間使用すると、特に排気管の水平配管部分に固形成分が堆積し、次第に排気管が詰ってフラッシュ槽の機能低下や設備の運転そのものに支障を来すこととなる。
【0005】
この発明は、上記の問題に留意して、スラリー流体の処理装置から排気される固形分同伴ガスが排気管内に堆積しないようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決する手段として、流動性のスラリーを受入れて所定の処理をし、この処理で固形分を含むガスを発生するスラリー処理装置に対し、この装置内で発生した固形分同伴ガスを排出する排気管を排出部へ導くように排気管設備を設置し、排気管の横方向の配管部を排出部へ向って所定角度の下り勾配で傾斜状に設けたスラリー処理装置の排気管設備としたのである。
【0007】
上記構成のスラリー処理装置の排気管設備によれば、排気管内壁に固形分が付着して堆積するのが防止される。スラリー処理装置とは、例えば晶析槽のような流体中に結晶を析出する槽である。そして、このようなスラリー処理をする際に流体が高温高圧で供給されると槽内で所定圧に減圧し、この減圧による蒸気圧の差で蒸発するガスに晶析された固形成分の一部が同伴されて外部へ排出される。この固形分同伴ガスを排気設備で長期間排出し続けると、排気管内壁に固形分が付着、堆積する。
【0008】
このため、この発明の排気設備では横方向の排気管をその長さに応じた所定角度で下流側へ向って下り勾配となる傾斜状に設けることによってガス中の固形分が堆積し難く設計したのである。このように排気管を傾斜状に設置すると、長期間の使用により止むを得ず内壁に固形分が堆積しても、洗浄が容易である。横方向の排気管の傾斜の高い側に洗浄液又は蒸気の流入口を設ければ、この流入口に高圧噴流洗浄液を送り込むと洗浄液は下り勾配に沿って排気管内を流れ易く、従って洗浄が有効に行なわれることとなる。
【0009】
【実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は実施形態のスラリー処理装置の排気管設備の概略図を示す。図示のスラリー処理はフラッシュ槽1であり、流入する流体を減圧することにより溶媒をフラッシュ蒸発させる作用を有する槽であって、例えば後述するテレフタル酸の晶析槽のようなものである。このフラッシュ槽1には高圧(例えば1.0MPa)に加圧されたスラリー液又は溶液が供給管L1 から供給され、この槽1の外部に取付けた減圧弁V3 を介して所定圧(例えば0.8MPa)に減圧され、溶媒はフラッシュ蒸発し、温度は減圧された圧力での沸点まで下がることにより流体が冷却され、晶析が行なわれる。
【0010】
Pは攪拌翼であり、必ずしも必要ではない。フラッシュ槽1が晶析槽である場合は、上記減圧による蒸発作用により貯留されているスラリー流体中に晶析作用を促進させ、晶析された結晶を含むスラリー流体SLは排出弁V2 、排出管L2 を経て排出される。以上のような構成、機能を有するフラッシュ槽1には、その頂部に排気管L3 、L4 が接続され、フラッシュ処理で生じたガスを排気する設備が接続されている。
【0011】
この排気設備は排気弁V3 を介して接続されている垂直な排気管L3 と横方向の排気管L4 を直列に接続して形成され、特に横方向の排気管L4 はその長さが5m以上では下流方向に向って水平方向に対し所定角度αを以て下り勾配に配設される。この所定角度αは排気管L4 の長さによって異なるが、0.3〜10°(又は1/100〜1/1000)である。又、横方向の排気管L4 の上流側の垂直な排気管L3 との屈折位置付近(傾斜の高い側)には洗浄液又は蒸気の流入口として末端フランジ部(又はハンドホール)3を設けてある。排気管L4 の下流端は図1の(a)図の例では洗浄塔4へガスを送るように接続されている。
【0012】
しかし、フラッシュ槽1が例えば晶析槽として設けられる場合、図1の(b)図に示すように、多段の晶析槽1、10、20、30で晶析処理を多段で行なわれることがある。この場合は、それぞれのフラッシュ槽1、10、20、30では少しずつ段階的に設定圧力を下流側のフラッシュ槽になる程下げてフラッシュ処理が各槽で行なわれるが、各フラッシュ槽の排気管L4 、L14、L24、L34は集合排気管L5 へそれぞれ接続される。このとき、各排気管L4 、L14、L24、L34は前述したように、所定角度αの下り勾配の傾斜を以て集合排気管L5 の接続点P1 、P10、P20、P30にそれぞれ接続される。
【0013】
上記集合排気管L5 は集合点P0 へ向って同じく所定角度αの下り勾配の傾斜を以て合流するように設けられ、集合点P0 から接続管L6 を経て洗浄塔4に接続される。又、集合排気管L5 の上流側の端末には洗浄用の接続弁又はフランジ5がそれぞれ設けられている。なお、集合排気管L5 は、図示の例では垂直面内でゆるやかなV字状に屈曲して2つの集合排気管L5 が集合点P0 で接続され、その下方へ接続管L6 を接続した例を示しているが、集合排気管L5 は図示のように2つに限定されるものではなく、種々の角度で複数のものが合流、接続されるようにしてもよい。
【0014】
又、スラリー流体は複数のフラッシュ槽1、10、20、30を直列に接続する例を示しているが、複数のフラッシュ槽1、10、20、30は互いに並列でもよく、いくつかずつ直列のものが並列としてもよい。
【0015】
上記の構成としたスラリー処理装置の排気管設備は、スラリー処理装置がフラッシュ槽1のように、流体を処理する際にフラッシュ処理によって処理流体がスラリーであり、かつ溶媒が蒸発する際にこの固形分が同伴されることが前提である。このような固形分同伴ガスを排気管設備で排気する場合、長期間に亘って排気を続けるとガス中に含まれる固形分が排気管の内壁に付着して堆積する。この固形分の堆積は、横方向の排気管が従来のように水平であると堆積し易く、これを極力少しでも避けるため横方向の排気管L4 、L14、L24、L34は所定角度αを以て傾斜状に設けられている。
【0016】
このため、横方向の排気管L4 〜L34には固形分の堆積が少なく、堆積し難い。又、長期間の使用のため止むを得ず内壁に固形分が堆積した場合、各排気管L4 〜L34には所定角度αの傾斜が設けてあるため洗浄がし易く、洗浄液又は蒸気を流せば効果的に固形分を除去することができる。この洗浄液又は蒸気を流す場合、図1の(a)図のような単一のフラッシュ槽1では末端フランジ3に高圧噴流洗浄装置(ジェッター)(図示せず)を用いて排気管L4 の内壁に堆積している固形分を洗浄する。(b)図の場合は、各フラッシュ槽1、10、20、30の末端フランジ3、13、23、33に高圧を用いると共に、集合排気管L5 、L5 にも接続弁5を介して高圧を用いて、高圧を流すことにより洗浄を行なう。高圧水に代えて蒸気やアルカリにより洗浄するようにしてもよい。
【0017】
上述したフラッシュ槽1としての晶析槽を複数段備えた図2に示すテレフタル酸製造設備について簡単に説明する。パラキシレン(PX)と溶媒の酢酸と、触媒が酸化反応器11へ送られ、この反応器11へ分子状酸素含有ガスを供給して140〜210℃程の温度で酸化処理される。この反応器11で発生するガス成分は、図示していないが、反応器から抜き出されて熱交換器で酢酸等を凝縮分離した後排出され、凝縮液は反応器11へ還流される。
【0018】
酸化反応器11で酸化処理されたスラリー物質はスラリー搬送管L2 を経て晶析槽であるフラッシュ槽(図1参照)へ送られる。なお、実際の設備では、酸化反応器11よりさらに高温で酸化処理する酸化槽が設置され、又フラッシュ槽の複数段が設置されているが、簡略化のため図示省略している。フラッシュ槽で上記スラリー物質が晶析される。晶析の条件は、析出する固形分の収率、同固形分の純度等を勘案して選ばれ、一般に温度70〜190℃、圧力0.04〜1.5MPaとして実施される。
【0019】
晶析されたスラリー物質は、スラリー搬送管L3 を経て固液分離槽14へ送られ、ここで液体成分と固体成分とに分離され、固体成分はスラリー搬送管L4 を経て粗テレフタル酸が回収される。
【0020】
上記の粗テレフタル酸を搬送管L5 を経て送り、これに水を含む液体を加えて混合・溶解工程15においてスラリー化し、これを加熱溶解した搬送管L6 を経て水添反応器16へ送り、水素添加触媒の存在下で水添処理を行う。得られた反応物を搬送管L7 を経て晶析器17へ送り、晶析器17で晶析される。晶析された物質は搬送管L8 を経て固液分離・洗浄工程18で分離、洗浄され、その後搬送管L9 を経て乾燥器19で乾燥され、搬送管L10で送り出されると高純度テレフタル酸(PTA)が得られる。
【0021】
以上のようなテレフタル酸製造設備において、反応器や晶析槽を備えた設備で、各装置に対してそこから排出される固形分同伴ガスを排気する前述した排気管設備を設ければ、テレフタル酸製造設備を長期間使用しても、排気管に固形分の堆積がし難く、万一同形成が堆積しても洗浄液で容易に効果的に洗浄することができ、設備全体を常に高効率に作動させることかできる。なお、上述排気管設備は、テレフタル酸製造設備だけでなく、固形成分が排出ガスに同伴されるような機能を有する設備であれば、種々の設備に設置できることは言うまでもない。
【0022】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、この発明のスラリー処理装置の排気管設備は、固形分同伴ガスを発生するスラリー処理装置に排気管を排出部へ導くように設置し、横方向の排気管を下流側へ向って所定角度の下り勾配で傾斜状に設けたから、スラリー処理装置から固形分同伴ガスが長期間排出されても排気管内壁に固形分の堆積が生じ難く、又その傾斜の高い側に洗浄液または蒸気の流入口を設ければ堆積が生じても洗浄液を流入口から高圧で流せば固形分を容易に洗い流すことができ、従って固形分堆積の防止と洗浄を極めて効果的に行なうことができるという利点が得られる。又、プラント停止洗浄時には装置及び排気管を洗浄液で満液して洗浄する場合にも極めて効率よく洗浄を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のスラリー処理装置の排気管設備の全体概略図
【図2】同上スラリー処理装置を備えたテレフタル酸製造設備の全体概略図
【符号の説明】
1、10、20、30 フラッシュ槽
3 末端フランジ
4 洗浄塔
5 接続弁
L1 供給管
L2 排出管
L3 、L4 排気管
L5 集合排気管
Claims (7)
- 流動性のスラリーを受入れて所定の処理をし、この処理で固形分を含むガスを発生するスラリー処理装置に対し、この装置内で発生した固形分同伴ガスを排出する排気管をガス処理系へ導くように排気管設備を設置し、排気管の横方向の配管部をガス処理系へ向って所定角度の下り勾配で傾斜状に設けたスラリー処理装置の排気管設備。
- 前記横方向配管部の傾斜の高い側に洗浄液又は蒸気の流入口を設けたことを特徴とする請求項1に記載のスラリー処理装置の排気管設備。
- 前記スラリー処理装置の複数組にそれぞれ設けられる排気管を集合排気管へ接続し、この集合排気管を集合点に向って所定角度の下り勾配で傾斜状に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスラリー処理装置の排気管設備。
- 前記集合排気管の傾斜の高い側に洗浄液又は蒸気の流入口を設けたことを特徴とする請求項3に記載のスラリー処理装置の排気管設備。
- 前記流入口を末端フランジ又は接続弁としたことを特徴とする請求項2又は4に記載のスラリー処理装置の排気管設備。
- 所定の原料化学物質を溶液や触媒と混合処理し、その後必要な条件下で反応、晶析、分離を含む必要な処理をする機器をスラリー搬送管を介して結び、これら処理を経て所望の生成化学物質を製造する製造設備を設け、上記各種機器のうちスラリー処理で固形分同伴ガスを発生する機器に対し請求項1乃至3のいずれかに記載の排気管設備を付設した化学物質製造設備。
- 請求項6に記載の化学物質製造設備において、上記原料化学物質をパラキシレンとし、溶媒として酢酸を用いてテレフタル酸を製造するようにしたことを特徴とするテレフタル酸製造設備。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003024055A JP2004230327A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | スラリー処理装置の排気管設備 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003024055A JP2004230327A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | スラリー処理装置の排気管設備 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004230327A true JP2004230327A (ja) | 2004-08-19 |
Family
ID=32952696
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003024055A Pending JP2004230327A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | スラリー処理装置の排気管設備 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004230327A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114180025A (zh) * | 2021-12-31 | 2022-03-15 | 武昌船舶重工集团有限公司 | 一种适用于船舶泥浆系统的透气装置 |
-
2003
- 2003-01-31 JP JP2003024055A patent/JP2004230327A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114180025A (zh) * | 2021-12-31 | 2022-03-15 | 武昌船舶重工集团有限公司 | 一种适用于船舶泥浆系统的透气装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4558870B2 (ja) | 塔式処理方法および装置 | |
CN101395119B (zh) | 羧酸制备方法 | |
JP2013507427A (ja) | アクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液sから精製分離するための分離法のスタートアップ方法 | |
CN106715377B (zh) | 用于处理乙酸生产单元的废气的方法和装置 | |
JP2004230327A (ja) | スラリー処理装置の排気管設備 | |
KR20030040506A (ko) | 결정화 방법 | |
JP4147015B2 (ja) | 気体の凝縮方法 | |
JP2010163380A (ja) | 芳香族カルボン酸の製造装置及び製造方法 | |
US20010018931A1 (en) | Storage tank for viscous oil containing easily polymerizable compounds | |
CN116023250A (zh) | Pta工艺余热回收系统、pta工艺系统及pta工艺 | |
CN106164045B (zh) | 在集成的纯化对苯二甲酸生产和聚酯聚合设备中的污染预防 | |
JP2010202552A (ja) | 芳香族カルボン酸の晶析装置 | |
TW201619114A (zh) | 淨化丙烯酸的程序和裝置 | |
EP2533874A1 (en) | Processes utilizing switch condensers | |
JP2013530141A (ja) | カルボン酸結晶の分離および乾燥のためのプロセスおよびシステム | |
CN102892742B (zh) | 通过催化加氢纯化羧酸 | |
JP5296534B2 (ja) | 晶析方法 | |
CN103124714B (zh) | 纯化芳香族二羧酸的方法 | |
US8524922B2 (en) | Process and plant for recovering solid reaction products from solutions | |
JP2006045201A (ja) | 高純度テレフタル酸の製造方法 | |
JP5830378B2 (ja) | (メタ)アクリル酸の製造方法 | |
CN213231891U (zh) | 一种医药中间体废水mvr蒸发结晶中自动除油装置 | |
US20230373897A1 (en) | Purification device | |
EP4349444A1 (en) | Purification apparatus | |
JP2009023957A (ja) | 芳香族カルボン酸の製造方法 |