JP2004230065A - マット - Google Patents

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JP2004230065A
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Nobuhiko Sakaguchi
信彦 坂口
Tomiji Yamabe
東海士 山辺
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WATAKYU SEIMOA CORP
Kuraray Plastics Co Ltd
Inoac Corp
Inoac Elastomer Co Ltd
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WATAKYU SEIMOA CORP
Kuraray Plastics Co Ltd
Inoue MTP KK
Inoac Corp
Inoac Elastomer Co Ltd
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Abstract

【課題】低コストで製造できるとともに、抗菌性能や消臭性能を長期間にわたって高く維持できるマットを提供する。
【解決手段】カットパイル12のうちの一部のカットパイル12aを、通常に用いられる例えばポリアミド繊維13等のみから構成し、残りのカットパイル12bを、光触媒繊維14のみから構成する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌性能及び消臭性能の少なくとも一方を有するマットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のマットでは、光触媒を含有する塗料をパイルに対してディピング等により付着させることによって抗菌性能や消臭性能を付与していた。しかしながら、このようなマットでは、洗濯によって光触媒がパイルから落ち、マットの抗菌性能や消臭性能が低下し易いという問題があった。
【0003】
一方、近年では、光触媒を繊維に含有させる技術が提案され、実用化されてきている。この技術によれば、光触媒が含有された繊維を洗濯しても、光触媒が繊維から落ちにくく、抗菌性能や消臭性能が長期間にわたって維持されるという効果が得られる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8―284011号公報(第2−13頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、こうした光触媒が含有された繊維は、高価なものであるため、このような繊維を用いてマットを製造すると、コスト面で不利となり易い。
【0006】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、低コストで製造できるとともに、抗菌性能及び消臭性能の少なくとも一方を長期間にわたって高く維持できるマットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1に記載の発明は、基部と、同基部に一部が保持された多数のパイルとを有するマットにおいて、前記パイルの繊維の一部に光触媒が含有された繊維を用いることを要旨とするものである。
【0008】
従って、この請求項1に記載の発明によれば、光触媒は繊維に含有されているため、マットを洗濯しても光触媒が繊維から落ちにくい。このため、抗菌性能や消臭性能を長期間にわたって高く維持することができる。また、パイルの繊維の全てに光触媒が含有された繊維を用いる場合に比べて、光触媒が含有された繊維の使用量を少なくすることができ、マットの製造コストを低減することができる。また、パイルの繊維の全てに光触媒が含有された繊維を用いる場合に比べ、光触媒が含有されていない繊維を適宜に選択することができる。このため、パイルを構成する繊維の組み合わせが自由になり、マットの風合いの向上や色彩の自由度が増すという効果もある。
【0009】
この場合、本願請求項2に記載の発明のように、前記各パイルをそれぞれ構成する一部の繊維に、光触媒が含有された繊維を用いたり、本願請求項3に記載の発明のように、前記パイルを、光触媒が含有された繊維のみを用いたものと、光触媒が含有された繊維を用いないものとから構成したりすることができる。
【0010】
ここで、請求項3に記載の発明によれば、例えば、各パイルが多数の繊維から構成されるマットの製造時には、光触媒が含有された繊維を一部に含むパイル糸を特別に用意する必要がなくなり、マットの製造コストをより低減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下に、本発明の第1実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、このマットは、基部としてのシート11と、このシート11に基端部が保持されたパイルとしてのカットパイル12とを備えている。
【0013】
シート11は、ゴム材料からなるゴムシート11aと、不織布11bとから構成されており、それらゴムシート11aと不織布11bとは、重合された状態で接合されている。このような接合は、例えば、ゴムシート11aが未加硫状態であるとき、このゴムシート11aに不織布11bを重合し、加硫することにより行われる。なお、シート11は、ゴムシート11aと不織布11bとを有する構成には限定されない。また、シート11を構成する部材の材質は、任意である。
【0014】
一方、各カットパイル12は、多数の繊維の集合体であり、シート11に対し、所定の間隔をもって多数設けられている。
本実施形態では、シート11上に設けられたカットパイル12には、前記繊維の一部に、光触媒が含有された繊維が用いられている。
【0015】
詳しくは、図3(a)に示すように、全てのカットパイル12のうちの一部のカットパイル12aは、通常に用いられる例えばポリアミド繊維13等を撚って構成されている。一方、図3(b)に示すように、残りのカットパイル12bでは、多数の繊維のうちの一部の繊維を、通常に用いられる例えばポリアミド繊維13等とし、このポリアミド繊維13と、光触媒が含有された繊維である光触媒繊維14とを撚って構成している。
【0016】
また、本実施形態では、カットパイル12におけるカットパイル12a:カットパイル12bの比を1:1とし、カットパイル12bにおけるポリアミド繊維13:光触媒繊維14の比を1:3としている。従って、光触媒繊維14は、シート11上に設けられるカットパイル12の全繊維の37.5%を占めている。
【0017】
ここで、光触媒繊維14として、例えば、株式会社クラレ製「シャインアップEX(商品名)」を用いることができる。この光触媒繊維14は、図4に示すように、芯線14aと被覆層14bとから構成される芯鞘複合繊維であり、芯線14aにはポリエステル、一方、被覆層14bにはポリアミドが用いられている。そして、被覆層14bには、例えば酸化チタン粉末等からなる光触媒が練り込まれている。また、被覆層14bには、吸着剤も練り込まれている。
【0018】
このマットの製造の際には、前記ポリアミド繊維13から構成された前記一部のカットパイル12a用のパイル糸、前記ポリアミド繊維13と光触媒繊維14とから構成された前記残りのカットパイル12b用のパイル糸の2種類のパイル糸が用いられる。そして、これらのパイル糸を、例えば不織布11bに対してタフティング及びシャーリングした後、このタフティングにより形成されたタフトを、ゴムシート11aに重合させた状態で接合する。
【0019】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)カットパイル12bを構成する一部の繊維に、光触媒が含有された光触媒繊維14を用いるため、マットを洗濯しても、光触媒が光触媒繊維14から落ちにくい。このため、抗菌性能や消臭性能を長期間にわたって高く維持することができる。
【0020】
(2)全てのカットパイル12を光触媒繊維14から構成する場合に比べて、光触媒繊維14の使用量を少なくすることができ、マットの製造コストを低減することができる。
【0021】
(3)光触媒繊維14の被覆層14bには、光触媒とともに吸着剤も練り込まれているため、マットに対する光照射の有無に拘わらず高い効率で長時間にわたり臭気成分を有効に除去することができる。
【0022】
(4)カットパイル12を構成する繊維のうち、光触媒繊維14以外の繊維の材質や色彩等を適宜に選択することが可能となる。このため、繊維の組み合わせが自由になり、マットの風合いを向上することができるとともに、色彩の自由度を増すことができる。
【0023】
(変形例)
なお、本発明の第1実施形態は、以下のように変形してもよい。
・前記第1実施形態において、全てのカットパイル12について、そのカットパイル12を構成する一部の繊維に光触媒繊維14を用いること。
【0024】
・前記第1実施形態において、各カットパイル12bでの光触媒繊維14の割合は、要求される抗菌性能や消臭性能のレベル等に応じて適宜設定可能である。
(第2実施形態)
つぎに、本発明の第2実施形態について、前記第1実施形態と異なる部分を中心に図5を参照して、説明する。この第2実施形態では、カットパイル12における繊維の構成が前記第1実施形態と異なっている。なお、図5において、図3と同一の構成については、同一の符号を付している。
【0025】
この第2実施形態では、図5(a)に示すように、全てのカットパイル12のうちの一部のカットパイル12aは、多数の繊維の全てを、通常用いられる例えばポリアミド繊維13等から構成されている。
【0026】
一方、図5(b)に示すように、残りのカットパイル12bは、多数の繊維の全てが、前記第1実施形態と同一の構成を有する光触媒繊維14から構成されている。
【0027】
ここで、全てのカットパイル12におけるカットパイル12bの割合は、20〜80%、好ましくは35〜70%である。このカットパイル12bの割合が20%未満であると、所望の抗菌性能や消臭性能が得られなくなるおそれが生じる。逆に、カットパイル12bの割合が80%を超えると、光触媒繊維14の使用量が多くなって、マットの製造コストの増大を招く。
【0028】
本発明において、光触媒繊維14としては、光触媒と吸着剤とを併用した例えば以下のような繊維が好適に用いられる。ここで、光触媒とは、紫外線などの光線の照射により活性酸素を生成させ、多くの有害物、悪臭物を酸化分解し、光酸化触媒として機能するものをいう。このような光触媒を用いると、単なる吸着作用ではなく、触媒的な分解を利用して消臭できるため、脱臭効果が長期間に亘り持続する。さらに、光触媒は有害物、悪臭物を分解するだけでなく、殺菌作用も有している。
【0029】
光触媒としては、有機または無機を問わず、種々の光半導体が使用でき、特に酸化物半導体、例えばTiO、ZnOなどが好ましい。また、光半導体の結晶構造は特に制限されず、例えばTiOには、アナターゼ型、ブルカイト型、ルチル型、アモルファス型などのいずれであってもよい。好ましいTiOには、アナターゼ型酸化チタンが含まれる。
【0030】
本発明の光触媒繊維14において、前記光触媒と吸着剤(四価金属のリン酸塩及び二価金属の水酸化物など)とで構成された組成物を用いるのが有利である。このように光触媒と吸着剤とを組み合わせた光触媒繊維を用いることにより、消臭性を顕著に高めることができ、マットに対する光照射の有無に拘わらず高い効率で長時間にわたり臭気成分を有効に除去することができる。なお、前記吸着剤のうち、リン酸塩を形成する四価金属は、四価の金属である限り、周期表における族は特に制限されない。また、前記吸着剤のうち、水酸化物を形成する二価金属は、周期表の族の如何を問わず、二価の金属であればよい。
【0031】
また、吸着剤の使用量は、光触媒繊維14の構造などに応じて適宜に選択でき、例えば、繊維全体に対して0.1〜25重量%、好ましくは0.5〜20重量%(1〜20重量%)、さらに好ましくは1〜15重量部程度である。
【0032】
また、前記光触媒と吸着剤とを繊維に含有させる手段としては、例えば、繊維表面に光触媒と吸着成分とを担持させる方法、光触媒と吸着成分と繊維形成性樹脂とを含む樹脂組成物を紡糸して、繊維中に含有させる方法などが挙げられる。
【0033】
さらに、本発明において使用する繊維、すなわち光触媒を含有する繊維と光触媒を含有しない繊維とは、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維のいずれであってもよい。ここで、合成繊維であるポリアミド繊維としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン810、ナイロン812などの脂肪族ポリアミド繊維や、脂環族ポリアミド繊維や、芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸、これらの誘導体を用いて得られる芳香族ポリアミド繊維などが例示される。
【0034】
以下、本実施形態を具体化した実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
マットに形成した全カットパイル12において、カットパイル12bの割合を50%、すなわち、カットパイル12a:カットパイル12b=1:1とした。
(比較例1)
マットに形成した全カットパイル12において、カットパイル12bの割合を0%、すなわち、全てのカットパイル12をカットパイル12aとした。なお、この比較例1のマットを標準綿布とした。
<抗菌性試験>
これら実施例1及び比較例1の各マットについて、その抗菌性をJIS L1902 に準じて測定した。この抗菌性試験では、試験菌として、黄色ぶどう球菌、肺炎桿菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ぶどう球菌)の3種類を個別に用い、Tween80 をそれぞれに0.05%添加したものを試験菌液として使用した。試験試料としては、各マットにおけるパイル部分のみを使用し、それらのパイルには、試験菌を培養している期間(18時間)中、約8000Lxの光を照射し続けた。また、生菌数の測定には、混釈平板培養法を用いた。また、各試験では、ユーザーにて予め3回洗濯したものを用い、実施例1のマットについては、ユーザーにて予め3回洗濯したもの(洗濯回数:0回)と、ユーザーにて予め3回洗濯した後、高温加速洗濯法(JAFET 標準配合洗剤使用)にて10回洗濯したもの(洗濯回数:10回)とを用いた。表1に試験結果を示す。なお、表1中、(a)は黄色ぶどう球菌、(b)は肺炎桿菌、(c)はMRSAを試験菌として使用した際の試験結果を示している。
【0035】
【表1】
Figure 2004230065
まず、各試験において、表1(a)〜(c)中の対数値におけるlogB−logAの値が1.5よりも大きいため、各試験が成立していることが分かる。
【0036】
次に、黄色ぶどう球菌に対する抗菌性についてみてみる。表1(a)に示したように、黄色ぶどう球菌を18時間培養した後では、実施例1での生菌数が比較例1での生菌数よりも小さくなり、静菌活性値が3.9,3.5(>0)となっている。また、18時間培養後の実施例1における生菌数は、接種直後の比較例1における生菌数よりも減少しており、殺菌活性値が1.2,0.8(>0)となっている。これらのことから、実施例1のマットは、黄色ぶどう球菌に対して抗菌性を有していることが分かる。
【0037】
次に、肺炎桿菌に対する抗菌性についてみてみると、表1(b)に示したように、静菌活性値が3.9,3.6(>0)であり、殺菌活性値が0.8,0.5(>0)となっている。これらのことから、実施例1のマットは、肺炎桿菌に対して抗菌性を有していることが分かる。
【0038】
次に、MRSAに対する抗菌性についてみてみると、表1(c)に示したように、静菌活性値が4.1,3.7(>0)であり、殺菌活性値が0.5,0.1(>0)となっている。これらのことから、実施例1のマットは、MRSAに対しても抗菌性を有していることが分かる。
【0039】
また、これらの試験結果から、18時間培養後の実施例1における生菌数は、接種直後の比較例1における生菌数よりも小さく(C<A)、かつ0ではない(c≠0)。このため、実施例1のマットは、SEK(繊維製品新機能評価評議会)が定めるSEKマークの「制菌加工(特定用途)」の成立条件を満たしていることが分かる。
【0040】
さらに、いずれの試験においても、試験菌を18時間培養した後の実施例1のマットについて、洗濯回数0回のものと10回のものとでは、静菌活性値及び殺菌活性値に大きな差は見られない。このことから、実施例1のマットを10回洗濯しても、抗菌性がほぼ維持されていることが確認できる。
【0041】
従って、本実施形態によれば、前記第1実施形態における(1)〜(4)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(5)マットを製造するに際して、ポリアミド繊維13と光触媒繊維14とを撚り合わせたパイル糸を特別に用意する必要がなくなる。このため、マットの製造コストをより低減することができる。
【0042】
(変形例)
なお、本発明の各実施形態は、以下のように変形してもよい。
・前記各実施形態において、少なくとも一部にループパイルを有するマットに適用すること。
【0043】
【発明の効果】
以上、実施形態で例示したように、この発明においては、マットの抗菌性能や消臭性能を長期間にわたって高く維持することができるとともに、マットの製造コストを低減することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のマットを示す断面図。
【図2】図1の2―2線に沿った断面図。
【図3】(a)は図2の3a―3a線、(b)は図2の3b―3b線に沿った断面図。
【図4】光触媒繊維の断面図。
【図5】(a)及び(b)は第2実施形態のマットのパイルの断面図。
【符号の説明】
11…基部としてのシート、11a…基部の一部を構成するゴムシート、11b…基部の一部を構成する不織布、12,12a,12b…カットパイル、13…ポリアミド繊維、14…光触媒が含有された繊維としての光触媒繊維。

Claims (3)

  1. 基部と、同基部に一部が保持された多数のパイルとを有するマットにおいて、
    前記パイルの繊維の一部に光触媒が含有された繊維を用いることを特徴とするマット。
  2. 前記各パイルをそれぞれ構成する一部の繊維に、光触媒が含有された繊維を用いることを特徴とする請求項1に記載のマット。
  3. 前記パイルを、光触媒が含有された繊維のみを用いたものと、光触媒が含有された繊維を用いないものとから構成することを特徴とする請求項1に記載のマット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20150099090A1 (en) * 2012-05-10 2015-04-09 Bmes Glass, quartz or metal pile fabric
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