JP2004229678A - 電気掃除機 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイナスイオン発生手段を搭載した電気掃除機においてマイナスイオン放出によって掃除機本体にプラス電荷が多量に帯電するのを防止する。
【解決手段】マイナスイオン発生装置112を備えた掃除機本体201にプラス電荷を気中に放電する除電手段208を設け、マイナスイオン放出によって掃除機本体201に蓄積したプラス電荷を気中に放電(除電)する。
【選択図】 図1
【解決手段】マイナスイオン発生装置112を備えた掃除機本体201にプラス電荷を気中に放電する除電手段208を設け、マイナスイオン放出によって掃除機本体201に蓄積したプラス電荷を気中に放電(除電)する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気掃除機に係り、特に、マイナスイオン(マイナス空気イオン)発生手段を搭載した電気掃除機に帯電したプラス電荷を除電するための手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2001−17361号公報
マイナスイオンが人体に好影響をもたらすといわれていることに注目し、マイナスイオンを発生するように構成した電気掃除機が提案されている。特許文献1に記載された電気掃除は、自発分極を有する粉体を送風経路の一部に配設し、マイナスイオンを発生させて放出する構成である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなマイナスイオン発生手段を搭載した電気掃除機は、マイナスイオンを放出し続けると、当然のことながら、その反面、電気掃除機にはプラス電荷が帯電(蓄積)してしまう。
【0004】
電気掃除機内にプラス電荷が帯電してしまうと、マイナスイオン発生手段から発生するマイナスイオンは、発生直後にプラスに帯電した電気掃除機内で中和されてしまい、機外(電気掃除機を使用している周辺空気)にマイナスイオンを放出することが困難となってしまう。
【0005】
マイナスイオン発生手段を掃除機本体における集塵部の消臭の目的で配設した場合でも同様であり、電気掃除機自体にプラス電荷が帯電してしまうと、マイナスイオン発生手段より発生したマイナスイオンは、その消臭対象である臭い源に到達するよりも先にプラスに帯電した電気掃除機内で中和されてしまい、消臭作用を十分に発揮することができなくなってしまう。
【0006】
更に、一定量以上のプラス電荷が帯電した電気掃除機に人体が触れると、電気的ショック(静電気ショック)を与えるおそれがあるとういう問題もある。
【0007】
このような問題は、家庭用電源コンセント(商用電源)から電源コードを介して受電する電気掃除機においては、電気掃除機に蓄積したプラス電荷を電源コードを介して家庭用電源コンセントに放電させて除電する構成とすることにより、解消することができるが、電源が家庭用電源コンセントに接続しない状態で使用する充電式(バッテリー駆動式)の電気掃除機においては、除電することが困難である。
【0008】
本発明の1つの目的は、マイナスイオンの生成および放出を安定に継続することができる電気掃除機を提案することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、マイナスイオンの発生および放出によって電気掃除機に帯電(蓄積)するプラス電荷を除電するのに好適な除電手段を提案することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、掃除機本体にマイナスイオン発生手段を搭載した電気掃除機において、前記マイナスイオン発生手段によってマイナスイオンを発生することによって前記掃除機本体に蓄積したプラス電荷を大気中に放出して除電する除電手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
そして、前記除電手段は、前記マイナスイオン発生手段によるマイナスイオン放出位置から離れた位置に設置した放電部材を備え、掃除機本体に帯電したプラス電荷を大気中へ放電させるように構成したことを特徴とする。
【0012】
また、前記除電手段は、電気抵抗の低い微細繊維の集合体を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、前記除電手段は、アクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルト状に集合させた繊維集合体を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、前記除電手段は、掃除機本体に吸込口体を接続する吸込ホースの途中に設けたことを特徴とする。
【0015】
また、前記除電手段は、掃除機本体に吸込口体を接続する吸込ホースの手元部に設けたことを特徴とする。
【0016】
また、前記除電手段は、掃除機本体に接続される吸込ホースと吸込口体の間に介在させる延長管に設けたことを特徴とする。
【0017】
また、前記除電手段は、吸込ホースを介して掃除機本体に接続される吸込口体に設けたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、樹脂成型部品を組み合わせて構成した掃除機本体と、この掃除機本体の後部に搭載したマイナスイオン発生手段を備えた電気掃除機において、前記マイナスイオン発生手段によってマイナスイオンを発生することによって前記掃除機本体に蓄積したプラス電荷を大気中に放出して除電する除電手段を該掃除機本体の前部に設けたことを特徴とする。
【0019】
そして、前記掃除機本体は、PP樹脂成型の下ケースと、ABS樹脂成型の上ケースおよび集塵室カバーを備え、前記除電手段は、前記集塵室カバーの前部に設置したことを特徴とする。
【0020】
また、前記集塵室カバーは、その前部に取っ手を構成する凹部を備え、前記除電手段は、前記凹部内に設置したことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図2は、本発明の一実施の形態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
【0023】
この実施の形態における電気掃除機は、電動送風機や集塵袋やマイナスイオン発生装置や制御装置や充電式電池等を内蔵する掃除機本体201と、掃除機本体201の吸込ホース接続部に接続された吸込ホース202と、吸込ホース202の先端部に設けた吸込ホース手元部203と、吸込ホース手元部203に接続された延長管204と、延長管204の先端に接続された吸込口体205を備える。掃除機本体201は、環状の本体車輪206と排気フィルター207と除電手段208を備え、吸込ホース手元部203は、スイッチ操作部209を備え、吸込口体205は、電動回転ブラシ(図示省略)を内蔵する。
【0024】
図1は、この実施の形態における掃除機本体201の縦断側面図である。この実施の形態における掃除機本体201は、その前半部分に、下部を覆うPP樹脂成型部品の下ケース101と、上部を開閉可能に覆うABS樹脂成型部品の集塵室カバー102と、前記下ケース101に設けた吸込ホース接続口103と、集塵袋を収納する集塵室104を備え、その後半部分に、前記下ケース101とABS樹脂成型部品の上ケース105とで形成する電動送風機室106と、制御装置収納室(図示省略)と、マイナスイオン発生装置室107を備え、更に、前記電動送風機室106および制御装置収納室(図示省略)の下部には前記下ケース101と電池室蓋108によって形成する充電池収納室109を備える。マイナスイオン発生装置室107は、掃除機本体201の後側面に位置して機外に開放するマイナスイオン放出窓107aを備え、排気流の一部をマイナスイオン発生装置室107を通過させて機外に放出させることによって該マイナスイオン発生装置室107内で発生したマイナスイオンを掃除機本体201の後部から後方に向けて機外に放出するように構成する。
【0025】
集塵室104には、前記吸込ホース接続口103に接続された吸込ホース202から流入する吸込気流に含まれる塵埃を補集するための集塵袋(パックフィルター)110を着脱自在に収容し、電動送風機室106には、前記吸込気流を生み出す電動送風機111を設置し、前記制御装置収納室には、制御装置を設置し、マイナスイオン発生装置室107には、マイナスイオン発生装置112を設置し、充電池収納室109には、前記電動送風機111,吸込口体205内の電動回転ブラシおよびマイナスイオン発生装置112を駆動するための充電式電池(バッテリー)113を収納する。マイナスイオン発生装置112は、制御装置に一体的に設けても良い。
【0026】
前記電動送風機室106に設置した電動送風機111の吸気口111aは、電動送風機111の吸気口側に設けたフィルター114を介して前記集塵室104に連通させる。
【0027】
集塵室104の下部を形成している下ケース101の壁面上部にはパッキン115を設置し、集塵室カバー102をパッキン115に圧接することにより集塵室104の気密を保持するように構成する。因に、集塵室カバー102は、後端部に設けた支軸を中心にして前部を俯仰可能に設置し、その前端部に取っ手を形成するように吸込ホース接続口103の外周に位置させて該前端部に形成した凹部102aに指を入れて前端部に引っ掛けて俯仰操作(特に開放操作)することにより、集塵室104の上部を開閉する構成である。
【0028】
前記除電手段208は、マイナスイオン放出窓107aの位置から遠く離れて位置するようにPP樹脂成型部品である下ケース101に比較して電気抵抗が小さいABS樹脂成型部品である集塵室カバー102に設置する。この実施の形態における除電手段208は、大気に開放する放電開口208aを設けた保持部208bを集塵室カバー102に一体的に形成し、この保持部208bの内側に放電部材208cを収納し、その内側に蓋208dを嵌着して集塵室104の気密を保持する構成である。放電部材208cは、電気抵抗の低い微細繊維の集合体であって、集塵室カバー102にプラス電荷が蓄積して電位が上昇すると放電開口208aを通して気中放電してプラス電荷を放出(除電)するように構成する。
【0029】
図示説明は省略するが、制御装置は、充電式電池113を電源として、スイッチ操作部209に設けたスイッチからの指示信号に従って、電動送風機111と電動回転ブラシとマイナスイオン発生装置112を運転するように構成する。制御装置とスイッチ操作部209および電動回転ブラシの電気的な接続は、吸込ホース202および延長管204に内設した電線(図示省略)を介して実現する。
【0030】
この実施の形態の電気掃除機は、充電式(バッテリー駆動式)であるが、前記電池収納室109に、前記充電式電池(バッテリー)113の代わりに、電源コードリール(図示省略)を配設することにより、AC電源式の電気掃除機に変形して実施することも可能である。
【0031】
次に、この電気掃除機の動作について説明する。
【0032】
電気掃除機の使用者が吸込ホース手元部203に設けられたスイッチ操作部206のスイッチを押すことにより、押されたスイッチに従った指示信号コードを制御装置に伝達し、制御装置は、指示信号コードに応じた運転制御を実行する。
【0033】
真空吸引式掃除では、電動送風機111とマイナスイオン発生装置112を運転する。電動送風機111を運転すると、吸気口111aから集塵室104内の空気を吸い込んで排気することから吸込気流が発生し、この吸込気流により吸込口体205から吸い込んだ塵埃を延長管204,吸込ホース202,吸込ホース接続口103を介して集塵室104内に運んで集塵袋110で濾過(集塵)する。集塵袋110で濾過された気流は、フィルター114によって更に微細な塵を濾過した後に電動送風機111に吸込む。そして、電動送風機111から排出する気流を該電動送風機室106の下部の出口から電動送風機室106の外部に導き、本体車輪206に内設した排気フィルター207で再度濾過した後に電動掃除機本体201の外部へ排出する。
【0034】
また、排気フィルター207で濾過した気流の一部を、マイナスイオン発生装置室107へ導いてマイナスイオン放出窓107aから機外に排気するが、マイナスイオン発生装置室107内にはマイナスイオン発生装置112によってマイナスイオンが発生していることから該マイナスイオンが排気に乗って電動掃除機本体201の後方に向けて機外に放出される。
【0035】
電動回転ブラシ併用の真空吸引式掃除では、電動送風機111とマイナスイオン発生装置112は前述した真空吸引式掃除と同様に運転し、更に、吸込口体205に内蔵した電動回転ブラシ(図示省略)を運転する。この電動回転ブラシは、吸込ホース202,吸込ホース手元部203,延長管204にそれぞれ内設した電線(図示省略)を介して充電式電池113から給電する。電動回転ブラシには、掃除面を摺擦して該掃除面に沈着している塵埃を掻き出して吸込気流によって吸込み易くする。
【0036】
この実施の形態では、電気掃除機の運転(掃除)と連動してマイナスイオン発生装置112も自動的に運転するような制御方式としているが、マイナスイオン発生装置112を単独で運転することがができる制御モードを設定することも可能である。
【0037】
このような運転によってマイナスイオンの放出を継続すると、掃除機本体201にプラス電荷が蓄積する。そして、このプラス電荷は、比較的に電気抵抗の低い上ケース105から集塵室カバー102に流れて除電手段208に達する。そして、集塵室カバー102の電位が高くなると放電部材208cの電位も上昇して該放電部材208cから放電開口208aを通して気中放電してプラス電荷を放出(除電)する。このプラス電荷の放出は、掃除機本体201の前方部位で実現するので、後部方向へ放出するマイナスイオンへの影響を軽減することができる。
【0038】
次に、マイナスイオン発生装置112の実施の形態を図3〜図6を参照して説明する。
【0039】
図3は、この実施の形態において採用したマイナスイオン発生装置112の外観斜視図である。このマイナスイオン発生装置112は、コロナ放電によってマイナスイオンを発生させるための針状に尖らせた放電電極112aと、板状の正電極112bと、両電極112a,112bを間隔をあけて支持する電極固定基材112cと、前記放電電極112aと正電極112bの間に高電圧を印加するための高電圧発生ユニット112dを備える。
【0040】
放電電極112aは、金属,半金属,合金,ホウ化物,酸化物,炭化物,窒化物および硫化物などの材料を使用して構成し、針状に尖らせた先端部分は、研磨方法,蒸着方法または酸化等による化学反応によってその曲率を0.3mm以下に形成する。
【0041】
高電圧発生ユニット112dは、−3kV〜−8kVの直流または交流の高電圧を発生して尖った放電電極112aに印加する。この高電圧は、パルス状に印加することも可能である。
【0042】
針状に尖った放電電極112aと板状の正電極112bの間に所定の高電圧を印加すると、放電電極112aの十分に尖った先端部にコロナ放電が誘起し、空間(マイナスイオン発生装置室107)に存在する空気(分子)に電子を与えてマイナスイオンを発生する。
【0043】
このマイナスイオン発生装置112は、これを搭載する電気掃除機の形態に応じて、次のような形態に変形して実施することができる。
【0044】
図4は、レナード効果を利用したマイナスイオン発生装置112の縦断側面図である。
【0045】
このマイナスイオン発生装置112は、タンク112eの下方部分に水を収容しておき、この水をポンプ112fと送水パイプ112gにより上方に送水して複数個の噴射ノズル112hから衝突板112iに向けて勢い良く噴き付けることにより、水滴を微粒子に分裂させて空気中にマイナスイオンを発生する(自然界における滝の周辺で発生している所謂レナード現象を発生させる)構成である。タンク112e内には、吸気口112jから送風手段112kによって外部空気を取り込み、レナード効果によって発生したマイナスイオンを含ませた後に気水分離室112mを通して排気口112nから排気する。気水分離室112mは、衝突板112hに衝突して発生した微細な水滴と空気を分離するものであり、その内部には複数段の気水分離板112pを設ける。
【0046】
図5および図6は、マイナスイオン発生フィルターを使用するマイナスイオン発生装置112であって、図5は、マイナスイオン発生フィルターの斜視図、図6は、トルマリンの粉体の斜視図である。
【0047】
このマイナスイオン発生装置112は、トルマリン粉体112qを付着させたマイナスイオン発生フィルター112rをマイナスイオン発生装置室107に設置する構成である。
【0048】
トルマリン粉体112qは、自発分極を有する粉体であり、自然状態でプラス極112sとマイナス極112tに分極していて、前記プラス極112sとマイナス極112tの間に電界が生じている。
【0049】
このようなマイナスイオン発生装置112を設置した電気掃除機では、電動送風機111の排気流の一部がマイナスイオン発生装置室107に送り込まれると該排気流はトルマリン112qを付着させたマイナスイオン発生フィルター112rを通過する。このとき、排気流中に含まれる水分子がトルマリン112qに発生している電界によって分解されて該排気流中にマイナスイオンを発生し、発生したマイナスイオンがマイナスイオン放出窓107aから排気と共に機外に放出される。
【0050】
この変形例では、自発分極を有する粉体としてトルマリン112qを用いているが、その他にも、BaTiO3、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Zr,Ti)O3、KNbO3、KTaO3、K(Ta,Nb)O3、LiNbO3、ロッシェル塩、硫酸グリシン、りん酸カリ、プロピオン酸カリシウムストロンチウム、麦飯石、医王石、黒曜石、蓮菜石、松鉱石、竹炭、シリカブラックを用いても同様の作用効果を得ることができる。また、この変形例においては、マイナスイオン発生フィルター112rの基材は、ポリエステルの不織布を用いたが、その他にもナイロンやアクリル等の樹脂繊維や発泡材を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
また、このようなマイナスイオン発生フィルター112rは、トルマリン112qなどのように自発分極を有する粉体の代わりに、セラミックスの粉体を付着させることによっても構成することができる。セラミックスを付着させたマイナスイオン発生フィルター112rは、排気流が通過すると、排気流中に含まれる水分子がセラミックスから発生する微量放射線によって、H+分子とOH−分子に分解され、その結果、排気流中にマイナスイオン(OH−)が発生する。
【0052】
次に、除電手段208について説明する。この実施の形態においては、除電手段208の放電部材208cとして、微細なアクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルト状に集合させた集合体(不織布)を用いている。アクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルト状に集合させた集合体は、その繊維の一本一本の直径が15.6〜19μと極細で、しかも比抵抗値が5.85×10−2程度であり導体に近い半導体であることから、優れたコロナ放電性を有している。
【0053】
従って、掃除機本体201に蓄積されるプラス電荷が多くなって電位が上昇するとアクリロニトリル−硫化銅複合繊維内には強い電界が誘発され、更には、アクリロニトリル−硫化銅複合繊維の周囲の空気が電離されて該アクリロニトリル−硫化銅複合繊維の極性移動が起こる。この現象により、掃除機本体201に蓄積したプラス電荷がアクリロニトリル−硫化銅複合繊維の先端部分から大気中へ放出する除電メカニズムが実現する。
【0054】
保持部208bは、アクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルト状に集合させた繊維の集合体で構成した放電部材208cを掃除機本体201の外気側に面させるような放電開口208aを備えているので、プラス電荷の除電を効果的に行うことができる。
【0055】
この除電手段208は、これを設ける電気掃除機の形態に応じて、次のような形態に変形して実施することができる。
【0056】
図7は、その途中に除電手段208を設置した電気掃除機における吸込ホース202の側面図である。
【0057】
この変形例における除電手段208は、電線(図示省略)を内設した吸込ホース202の隣り合う2つの山部202aに挟まれた谷部202bにアクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルトリング状に集合させた繊維集合体の放電部材208eを嵌着した構成である。
【0058】
このように構成した除電手段208は、放電部材208eが電気掃除機の外気に常に面する構造となっているので、マイナスイオン発生装置112が運転を継続して掃除機本体201に蓄積するプラス電荷が増加すると、このプラス電荷は、掃除機本体201から吸込ホース202に内設した電線を通して放電部材208eへ導かれ、前述した実施の形態と同様にコロナ放電作用によって大気中へ放電(除電)する。
【0059】
そして、吸込ホース202の谷部202bに嵌着した放電部材208eは、外れ難く、引っ掛かって切れるおそれも少ない。
【0060】
図8は、除電手段208を設置した吸込ホース手元部203の斜視図である。
【0061】
この変形例における吸込ホース手元部203は、アクリロニトリル−硫化銅複合繊維を集合してフエルト状の集合体に構成した放電部材208fを放電開口208gによって外気に露出するように保持する保持部208hを備える。
【0062】
従って、マイナスイオン発生装置112の運転を継続することによって掃除機本体201に蓄積したプラス電荷は、掃除機本体201から吸込ホース202に内設した電線(図示省略)を通して放電部材208fに導かれ、前述した実施の形態と同様に、コロナ放電作用によって放電開口208gから大気中へ放出(除電)される。
【0063】
図9は、除電手段208を設置した延長管204の斜視図である。
【0064】
延長管204は、プラスティック製の内筒204aとプラスチック製の外筒204bをテレスコープ式に組み合わて挿入量を変化させることによって全長を調節することができるように構成したものである。そして、アクリロニトリル一硫化銅複合繊維をフエルトリング状の集合体に形成して構成した放電部材208iを延長管204のほぼ中央部に位置するように外筒204bに固定し、且つ内筒204aに常に接するように備え付けている。
【0065】
このような除電手段208を備えた電気掃除機によれば、マイナスイオン発生装置112の運転によって掃除機本体201に帯電したプラス電荷は、この掃除機本体201から吸込ホース202に内設した電線(図示省略)と延長管204に内設した電線(図示省略)を通して放電部材208iへ導かれ、前述した例と同様のコロナ放電作用によって、大気中へと放電(除電)する。
【0066】
このとき、延長管204の伸縮量が如何なる状態にあっても内筒204aも放電部材208iに接触しているので、掃除機本体201に帯電したプラス電荷および延長管204に発生したプラス電荷を1つの放電部材208iから効率的に放電(除電)することができる。
【0067】
図10は、除電手段208を設置した吸込口体205の斜視図である。
【0068】
この変形例における吸込口体205は、アクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルトリング状に形成した集合体で構成した放電部材208jを備えた除電手段208を備える。具体的には、この除電手段208は、放電部材208jを外気に露出させるような複数の放電開口208kを備えた保持部208mを吸込口体205の筐体を構成する上ケース205aと一体的に形成し、この保持部208m内に前記放電部材208jを内蔵するように設置した構成である。
【0069】
このような除電手段208を備えた電気掃除機は、マイナスイオン発生装置112の運転によって掃除機本体201に帯電したプラス電荷は、掃除機本体201から吸込ホース202と吸込ホース手元部203および延長管204に内設した電線(図示省略)を通して吸込口体205上の除電手段208の放電部材208jに導かれ、前述した例と同様のコロナ放電作用によって大気中へ放電(除電)される。
【0070】
また、このような除電手段208は、図示説明は省略するが、集塵室カバー102の前端部に形成した凹部102a内に位置するように同様な構成で放電部材208cを設置して構成することが可能である。
【0071】
【発明の効果】
本発明の電気掃除機は、マイナスイオンを生成して放出することによって掃除機本体に蓄積するプラス電荷を除電することができるので、マイナスイオンの生成および放出を安定に継続することができる。
【0072】
また、プラス電荷を除電する除電手段は、電気抵抗の低い微細繊維の集合体によって構成した放電部材を使用することによって、少ない部品点数で、生産性がよく、しかもコストパフォーマンスにも優れた構成で実現することができる。
【0073】
そして、このような除電手段を備えた電気掃除機は、家庭用電源コンセントとが電源コードにて電気的に接続しない状態で使用する充電式(バッテリー駆動式)の電気掃除機として特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す電気掃除機における掃除機本体の縦断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
【図3】図1及び図2に示した電気掃除機に搭載しているマイナスイオン発生装置の外観斜視図である。
【図4】マイナスイオン発生装置の変形例を示す縦断側面図である。
【図5】マイナスイオン発生装置の変形例であるマイナスイオン発生フィルターの外観斜視図である。
【図6】図5に示したマイナスイオン発生フィルターに付着させている粉体の自発分極性を説明するトルマリン粉体の斜視図である。
【図7】除電手段の変形例を示す吸込ホースの側面図である。
【図8】除電手段の変形例を示す吸込みホース手元部の斜視図である。
【図9】除電手段の変形例を示す延長管の斜視図である。
【図10】除電手段の変形例を示す吸込口体の斜視図である。
【符号の説明】
101…下ケース、102…集塵室カバー、102a…凹部、103…吸込ホース接続口、104…集塵室、105…上ケース、106…電動送風機室、107…マイナスイオン発生装置室、107a…マイナスイオン放出窓、110…集塵袋、111…電動送風機、112…マイナスイオン発生装置、112a…放電電極、112b…正電極、112d…高電圧発生ユニット、113…充電式電池、201…掃除機本体、202…吸込ホース、203…吸込ホース手元部、204…延焼管、205…吸込口体、208…除電手段、208a…放電開口、208b…保持部、208c…放電部材、208d…蓋。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気掃除機に係り、特に、マイナスイオン(マイナス空気イオン)発生手段を搭載した電気掃除機に帯電したプラス電荷を除電するための手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2001−17361号公報
マイナスイオンが人体に好影響をもたらすといわれていることに注目し、マイナスイオンを発生するように構成した電気掃除機が提案されている。特許文献1に記載された電気掃除は、自発分極を有する粉体を送風経路の一部に配設し、マイナスイオンを発生させて放出する構成である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなマイナスイオン発生手段を搭載した電気掃除機は、マイナスイオンを放出し続けると、当然のことながら、その反面、電気掃除機にはプラス電荷が帯電(蓄積)してしまう。
【0004】
電気掃除機内にプラス電荷が帯電してしまうと、マイナスイオン発生手段から発生するマイナスイオンは、発生直後にプラスに帯電した電気掃除機内で中和されてしまい、機外(電気掃除機を使用している周辺空気)にマイナスイオンを放出することが困難となってしまう。
【0005】
マイナスイオン発生手段を掃除機本体における集塵部の消臭の目的で配設した場合でも同様であり、電気掃除機自体にプラス電荷が帯電してしまうと、マイナスイオン発生手段より発生したマイナスイオンは、その消臭対象である臭い源に到達するよりも先にプラスに帯電した電気掃除機内で中和されてしまい、消臭作用を十分に発揮することができなくなってしまう。
【0006】
更に、一定量以上のプラス電荷が帯電した電気掃除機に人体が触れると、電気的ショック(静電気ショック)を与えるおそれがあるとういう問題もある。
【0007】
このような問題は、家庭用電源コンセント(商用電源)から電源コードを介して受電する電気掃除機においては、電気掃除機に蓄積したプラス電荷を電源コードを介して家庭用電源コンセントに放電させて除電する構成とすることにより、解消することができるが、電源が家庭用電源コンセントに接続しない状態で使用する充電式(バッテリー駆動式)の電気掃除機においては、除電することが困難である。
【0008】
本発明の1つの目的は、マイナスイオンの生成および放出を安定に継続することができる電気掃除機を提案することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、マイナスイオンの発生および放出によって電気掃除機に帯電(蓄積)するプラス電荷を除電するのに好適な除電手段を提案することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、掃除機本体にマイナスイオン発生手段を搭載した電気掃除機において、前記マイナスイオン発生手段によってマイナスイオンを発生することによって前記掃除機本体に蓄積したプラス電荷を大気中に放出して除電する除電手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
そして、前記除電手段は、前記マイナスイオン発生手段によるマイナスイオン放出位置から離れた位置に設置した放電部材を備え、掃除機本体に帯電したプラス電荷を大気中へ放電させるように構成したことを特徴とする。
【0012】
また、前記除電手段は、電気抵抗の低い微細繊維の集合体を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、前記除電手段は、アクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルト状に集合させた繊維集合体を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、前記除電手段は、掃除機本体に吸込口体を接続する吸込ホースの途中に設けたことを特徴とする。
【0015】
また、前記除電手段は、掃除機本体に吸込口体を接続する吸込ホースの手元部に設けたことを特徴とする。
【0016】
また、前記除電手段は、掃除機本体に接続される吸込ホースと吸込口体の間に介在させる延長管に設けたことを特徴とする。
【0017】
また、前記除電手段は、吸込ホースを介して掃除機本体に接続される吸込口体に設けたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、樹脂成型部品を組み合わせて構成した掃除機本体と、この掃除機本体の後部に搭載したマイナスイオン発生手段を備えた電気掃除機において、前記マイナスイオン発生手段によってマイナスイオンを発生することによって前記掃除機本体に蓄積したプラス電荷を大気中に放出して除電する除電手段を該掃除機本体の前部に設けたことを特徴とする。
【0019】
そして、前記掃除機本体は、PP樹脂成型の下ケースと、ABS樹脂成型の上ケースおよび集塵室カバーを備え、前記除電手段は、前記集塵室カバーの前部に設置したことを特徴とする。
【0020】
また、前記集塵室カバーは、その前部に取っ手を構成する凹部を備え、前記除電手段は、前記凹部内に設置したことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図2は、本発明の一実施の形態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
【0023】
この実施の形態における電気掃除機は、電動送風機や集塵袋やマイナスイオン発生装置や制御装置や充電式電池等を内蔵する掃除機本体201と、掃除機本体201の吸込ホース接続部に接続された吸込ホース202と、吸込ホース202の先端部に設けた吸込ホース手元部203と、吸込ホース手元部203に接続された延長管204と、延長管204の先端に接続された吸込口体205を備える。掃除機本体201は、環状の本体車輪206と排気フィルター207と除電手段208を備え、吸込ホース手元部203は、スイッチ操作部209を備え、吸込口体205は、電動回転ブラシ(図示省略)を内蔵する。
【0024】
図1は、この実施の形態における掃除機本体201の縦断側面図である。この実施の形態における掃除機本体201は、その前半部分に、下部を覆うPP樹脂成型部品の下ケース101と、上部を開閉可能に覆うABS樹脂成型部品の集塵室カバー102と、前記下ケース101に設けた吸込ホース接続口103と、集塵袋を収納する集塵室104を備え、その後半部分に、前記下ケース101とABS樹脂成型部品の上ケース105とで形成する電動送風機室106と、制御装置収納室(図示省略)と、マイナスイオン発生装置室107を備え、更に、前記電動送風機室106および制御装置収納室(図示省略)の下部には前記下ケース101と電池室蓋108によって形成する充電池収納室109を備える。マイナスイオン発生装置室107は、掃除機本体201の後側面に位置して機外に開放するマイナスイオン放出窓107aを備え、排気流の一部をマイナスイオン発生装置室107を通過させて機外に放出させることによって該マイナスイオン発生装置室107内で発生したマイナスイオンを掃除機本体201の後部から後方に向けて機外に放出するように構成する。
【0025】
集塵室104には、前記吸込ホース接続口103に接続された吸込ホース202から流入する吸込気流に含まれる塵埃を補集するための集塵袋(パックフィルター)110を着脱自在に収容し、電動送風機室106には、前記吸込気流を生み出す電動送風機111を設置し、前記制御装置収納室には、制御装置を設置し、マイナスイオン発生装置室107には、マイナスイオン発生装置112を設置し、充電池収納室109には、前記電動送風機111,吸込口体205内の電動回転ブラシおよびマイナスイオン発生装置112を駆動するための充電式電池(バッテリー)113を収納する。マイナスイオン発生装置112は、制御装置に一体的に設けても良い。
【0026】
前記電動送風機室106に設置した電動送風機111の吸気口111aは、電動送風機111の吸気口側に設けたフィルター114を介して前記集塵室104に連通させる。
【0027】
集塵室104の下部を形成している下ケース101の壁面上部にはパッキン115を設置し、集塵室カバー102をパッキン115に圧接することにより集塵室104の気密を保持するように構成する。因に、集塵室カバー102は、後端部に設けた支軸を中心にして前部を俯仰可能に設置し、その前端部に取っ手を形成するように吸込ホース接続口103の外周に位置させて該前端部に形成した凹部102aに指を入れて前端部に引っ掛けて俯仰操作(特に開放操作)することにより、集塵室104の上部を開閉する構成である。
【0028】
前記除電手段208は、マイナスイオン放出窓107aの位置から遠く離れて位置するようにPP樹脂成型部品である下ケース101に比較して電気抵抗が小さいABS樹脂成型部品である集塵室カバー102に設置する。この実施の形態における除電手段208は、大気に開放する放電開口208aを設けた保持部208bを集塵室カバー102に一体的に形成し、この保持部208bの内側に放電部材208cを収納し、その内側に蓋208dを嵌着して集塵室104の気密を保持する構成である。放電部材208cは、電気抵抗の低い微細繊維の集合体であって、集塵室カバー102にプラス電荷が蓄積して電位が上昇すると放電開口208aを通して気中放電してプラス電荷を放出(除電)するように構成する。
【0029】
図示説明は省略するが、制御装置は、充電式電池113を電源として、スイッチ操作部209に設けたスイッチからの指示信号に従って、電動送風機111と電動回転ブラシとマイナスイオン発生装置112を運転するように構成する。制御装置とスイッチ操作部209および電動回転ブラシの電気的な接続は、吸込ホース202および延長管204に内設した電線(図示省略)を介して実現する。
【0030】
この実施の形態の電気掃除機は、充電式(バッテリー駆動式)であるが、前記電池収納室109に、前記充電式電池(バッテリー)113の代わりに、電源コードリール(図示省略)を配設することにより、AC電源式の電気掃除機に変形して実施することも可能である。
【0031】
次に、この電気掃除機の動作について説明する。
【0032】
電気掃除機の使用者が吸込ホース手元部203に設けられたスイッチ操作部206のスイッチを押すことにより、押されたスイッチに従った指示信号コードを制御装置に伝達し、制御装置は、指示信号コードに応じた運転制御を実行する。
【0033】
真空吸引式掃除では、電動送風機111とマイナスイオン発生装置112を運転する。電動送風機111を運転すると、吸気口111aから集塵室104内の空気を吸い込んで排気することから吸込気流が発生し、この吸込気流により吸込口体205から吸い込んだ塵埃を延長管204,吸込ホース202,吸込ホース接続口103を介して集塵室104内に運んで集塵袋110で濾過(集塵)する。集塵袋110で濾過された気流は、フィルター114によって更に微細な塵を濾過した後に電動送風機111に吸込む。そして、電動送風機111から排出する気流を該電動送風機室106の下部の出口から電動送風機室106の外部に導き、本体車輪206に内設した排気フィルター207で再度濾過した後に電動掃除機本体201の外部へ排出する。
【0034】
また、排気フィルター207で濾過した気流の一部を、マイナスイオン発生装置室107へ導いてマイナスイオン放出窓107aから機外に排気するが、マイナスイオン発生装置室107内にはマイナスイオン発生装置112によってマイナスイオンが発生していることから該マイナスイオンが排気に乗って電動掃除機本体201の後方に向けて機外に放出される。
【0035】
電動回転ブラシ併用の真空吸引式掃除では、電動送風機111とマイナスイオン発生装置112は前述した真空吸引式掃除と同様に運転し、更に、吸込口体205に内蔵した電動回転ブラシ(図示省略)を運転する。この電動回転ブラシは、吸込ホース202,吸込ホース手元部203,延長管204にそれぞれ内設した電線(図示省略)を介して充電式電池113から給電する。電動回転ブラシには、掃除面を摺擦して該掃除面に沈着している塵埃を掻き出して吸込気流によって吸込み易くする。
【0036】
この実施の形態では、電気掃除機の運転(掃除)と連動してマイナスイオン発生装置112も自動的に運転するような制御方式としているが、マイナスイオン発生装置112を単独で運転することがができる制御モードを設定することも可能である。
【0037】
このような運転によってマイナスイオンの放出を継続すると、掃除機本体201にプラス電荷が蓄積する。そして、このプラス電荷は、比較的に電気抵抗の低い上ケース105から集塵室カバー102に流れて除電手段208に達する。そして、集塵室カバー102の電位が高くなると放電部材208cの電位も上昇して該放電部材208cから放電開口208aを通して気中放電してプラス電荷を放出(除電)する。このプラス電荷の放出は、掃除機本体201の前方部位で実現するので、後部方向へ放出するマイナスイオンへの影響を軽減することができる。
【0038】
次に、マイナスイオン発生装置112の実施の形態を図3〜図6を参照して説明する。
【0039】
図3は、この実施の形態において採用したマイナスイオン発生装置112の外観斜視図である。このマイナスイオン発生装置112は、コロナ放電によってマイナスイオンを発生させるための針状に尖らせた放電電極112aと、板状の正電極112bと、両電極112a,112bを間隔をあけて支持する電極固定基材112cと、前記放電電極112aと正電極112bの間に高電圧を印加するための高電圧発生ユニット112dを備える。
【0040】
放電電極112aは、金属,半金属,合金,ホウ化物,酸化物,炭化物,窒化物および硫化物などの材料を使用して構成し、針状に尖らせた先端部分は、研磨方法,蒸着方法または酸化等による化学反応によってその曲率を0.3mm以下に形成する。
【0041】
高電圧発生ユニット112dは、−3kV〜−8kVの直流または交流の高電圧を発生して尖った放電電極112aに印加する。この高電圧は、パルス状に印加することも可能である。
【0042】
針状に尖った放電電極112aと板状の正電極112bの間に所定の高電圧を印加すると、放電電極112aの十分に尖った先端部にコロナ放電が誘起し、空間(マイナスイオン発生装置室107)に存在する空気(分子)に電子を与えてマイナスイオンを発生する。
【0043】
このマイナスイオン発生装置112は、これを搭載する電気掃除機の形態に応じて、次のような形態に変形して実施することができる。
【0044】
図4は、レナード効果を利用したマイナスイオン発生装置112の縦断側面図である。
【0045】
このマイナスイオン発生装置112は、タンク112eの下方部分に水を収容しておき、この水をポンプ112fと送水パイプ112gにより上方に送水して複数個の噴射ノズル112hから衝突板112iに向けて勢い良く噴き付けることにより、水滴を微粒子に分裂させて空気中にマイナスイオンを発生する(自然界における滝の周辺で発生している所謂レナード現象を発生させる)構成である。タンク112e内には、吸気口112jから送風手段112kによって外部空気を取り込み、レナード効果によって発生したマイナスイオンを含ませた後に気水分離室112mを通して排気口112nから排気する。気水分離室112mは、衝突板112hに衝突して発生した微細な水滴と空気を分離するものであり、その内部には複数段の気水分離板112pを設ける。
【0046】
図5および図6は、マイナスイオン発生フィルターを使用するマイナスイオン発生装置112であって、図5は、マイナスイオン発生フィルターの斜視図、図6は、トルマリンの粉体の斜視図である。
【0047】
このマイナスイオン発生装置112は、トルマリン粉体112qを付着させたマイナスイオン発生フィルター112rをマイナスイオン発生装置室107に設置する構成である。
【0048】
トルマリン粉体112qは、自発分極を有する粉体であり、自然状態でプラス極112sとマイナス極112tに分極していて、前記プラス極112sとマイナス極112tの間に電界が生じている。
【0049】
このようなマイナスイオン発生装置112を設置した電気掃除機では、電動送風機111の排気流の一部がマイナスイオン発生装置室107に送り込まれると該排気流はトルマリン112qを付着させたマイナスイオン発生フィルター112rを通過する。このとき、排気流中に含まれる水分子がトルマリン112qに発生している電界によって分解されて該排気流中にマイナスイオンを発生し、発生したマイナスイオンがマイナスイオン放出窓107aから排気と共に機外に放出される。
【0050】
この変形例では、自発分極を有する粉体としてトルマリン112qを用いているが、その他にも、BaTiO3、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Zr,Ti)O3、KNbO3、KTaO3、K(Ta,Nb)O3、LiNbO3、ロッシェル塩、硫酸グリシン、りん酸カリ、プロピオン酸カリシウムストロンチウム、麦飯石、医王石、黒曜石、蓮菜石、松鉱石、竹炭、シリカブラックを用いても同様の作用効果を得ることができる。また、この変形例においては、マイナスイオン発生フィルター112rの基材は、ポリエステルの不織布を用いたが、その他にもナイロンやアクリル等の樹脂繊維や発泡材を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
また、このようなマイナスイオン発生フィルター112rは、トルマリン112qなどのように自発分極を有する粉体の代わりに、セラミックスの粉体を付着させることによっても構成することができる。セラミックスを付着させたマイナスイオン発生フィルター112rは、排気流が通過すると、排気流中に含まれる水分子がセラミックスから発生する微量放射線によって、H+分子とOH−分子に分解され、その結果、排気流中にマイナスイオン(OH−)が発生する。
【0052】
次に、除電手段208について説明する。この実施の形態においては、除電手段208の放電部材208cとして、微細なアクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルト状に集合させた集合体(不織布)を用いている。アクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルト状に集合させた集合体は、その繊維の一本一本の直径が15.6〜19μと極細で、しかも比抵抗値が5.85×10−2程度であり導体に近い半導体であることから、優れたコロナ放電性を有している。
【0053】
従って、掃除機本体201に蓄積されるプラス電荷が多くなって電位が上昇するとアクリロニトリル−硫化銅複合繊維内には強い電界が誘発され、更には、アクリロニトリル−硫化銅複合繊維の周囲の空気が電離されて該アクリロニトリル−硫化銅複合繊維の極性移動が起こる。この現象により、掃除機本体201に蓄積したプラス電荷がアクリロニトリル−硫化銅複合繊維の先端部分から大気中へ放出する除電メカニズムが実現する。
【0054】
保持部208bは、アクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルト状に集合させた繊維の集合体で構成した放電部材208cを掃除機本体201の外気側に面させるような放電開口208aを備えているので、プラス電荷の除電を効果的に行うことができる。
【0055】
この除電手段208は、これを設ける電気掃除機の形態に応じて、次のような形態に変形して実施することができる。
【0056】
図7は、その途中に除電手段208を設置した電気掃除機における吸込ホース202の側面図である。
【0057】
この変形例における除電手段208は、電線(図示省略)を内設した吸込ホース202の隣り合う2つの山部202aに挟まれた谷部202bにアクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルトリング状に集合させた繊維集合体の放電部材208eを嵌着した構成である。
【0058】
このように構成した除電手段208は、放電部材208eが電気掃除機の外気に常に面する構造となっているので、マイナスイオン発生装置112が運転を継続して掃除機本体201に蓄積するプラス電荷が増加すると、このプラス電荷は、掃除機本体201から吸込ホース202に内設した電線を通して放電部材208eへ導かれ、前述した実施の形態と同様にコロナ放電作用によって大気中へ放電(除電)する。
【0059】
そして、吸込ホース202の谷部202bに嵌着した放電部材208eは、外れ難く、引っ掛かって切れるおそれも少ない。
【0060】
図8は、除電手段208を設置した吸込ホース手元部203の斜視図である。
【0061】
この変形例における吸込ホース手元部203は、アクリロニトリル−硫化銅複合繊維を集合してフエルト状の集合体に構成した放電部材208fを放電開口208gによって外気に露出するように保持する保持部208hを備える。
【0062】
従って、マイナスイオン発生装置112の運転を継続することによって掃除機本体201に蓄積したプラス電荷は、掃除機本体201から吸込ホース202に内設した電線(図示省略)を通して放電部材208fに導かれ、前述した実施の形態と同様に、コロナ放電作用によって放電開口208gから大気中へ放出(除電)される。
【0063】
図9は、除電手段208を設置した延長管204の斜視図である。
【0064】
延長管204は、プラスティック製の内筒204aとプラスチック製の外筒204bをテレスコープ式に組み合わて挿入量を変化させることによって全長を調節することができるように構成したものである。そして、アクリロニトリル一硫化銅複合繊維をフエルトリング状の集合体に形成して構成した放電部材208iを延長管204のほぼ中央部に位置するように外筒204bに固定し、且つ内筒204aに常に接するように備え付けている。
【0065】
このような除電手段208を備えた電気掃除機によれば、マイナスイオン発生装置112の運転によって掃除機本体201に帯電したプラス電荷は、この掃除機本体201から吸込ホース202に内設した電線(図示省略)と延長管204に内設した電線(図示省略)を通して放電部材208iへ導かれ、前述した例と同様のコロナ放電作用によって、大気中へと放電(除電)する。
【0066】
このとき、延長管204の伸縮量が如何なる状態にあっても内筒204aも放電部材208iに接触しているので、掃除機本体201に帯電したプラス電荷および延長管204に発生したプラス電荷を1つの放電部材208iから効率的に放電(除電)することができる。
【0067】
図10は、除電手段208を設置した吸込口体205の斜視図である。
【0068】
この変形例における吸込口体205は、アクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルトリング状に形成した集合体で構成した放電部材208jを備えた除電手段208を備える。具体的には、この除電手段208は、放電部材208jを外気に露出させるような複数の放電開口208kを備えた保持部208mを吸込口体205の筐体を構成する上ケース205aと一体的に形成し、この保持部208m内に前記放電部材208jを内蔵するように設置した構成である。
【0069】
このような除電手段208を備えた電気掃除機は、マイナスイオン発生装置112の運転によって掃除機本体201に帯電したプラス電荷は、掃除機本体201から吸込ホース202と吸込ホース手元部203および延長管204に内設した電線(図示省略)を通して吸込口体205上の除電手段208の放電部材208jに導かれ、前述した例と同様のコロナ放電作用によって大気中へ放電(除電)される。
【0070】
また、このような除電手段208は、図示説明は省略するが、集塵室カバー102の前端部に形成した凹部102a内に位置するように同様な構成で放電部材208cを設置して構成することが可能である。
【0071】
【発明の効果】
本発明の電気掃除機は、マイナスイオンを生成して放出することによって掃除機本体に蓄積するプラス電荷を除電することができるので、マイナスイオンの生成および放出を安定に継続することができる。
【0072】
また、プラス電荷を除電する除電手段は、電気抵抗の低い微細繊維の集合体によって構成した放電部材を使用することによって、少ない部品点数で、生産性がよく、しかもコストパフォーマンスにも優れた構成で実現することができる。
【0073】
そして、このような除電手段を備えた電気掃除機は、家庭用電源コンセントとが電源コードにて電気的に接続しない状態で使用する充電式(バッテリー駆動式)の電気掃除機として特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す電気掃除機における掃除機本体の縦断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す電気掃除機の外観斜視図である。
【図3】図1及び図2に示した電気掃除機に搭載しているマイナスイオン発生装置の外観斜視図である。
【図4】マイナスイオン発生装置の変形例を示す縦断側面図である。
【図5】マイナスイオン発生装置の変形例であるマイナスイオン発生フィルターの外観斜視図である。
【図6】図5に示したマイナスイオン発生フィルターに付着させている粉体の自発分極性を説明するトルマリン粉体の斜視図である。
【図7】除電手段の変形例を示す吸込ホースの側面図である。
【図8】除電手段の変形例を示す吸込みホース手元部の斜視図である。
【図9】除電手段の変形例を示す延長管の斜視図である。
【図10】除電手段の変形例を示す吸込口体の斜視図である。
【符号の説明】
101…下ケース、102…集塵室カバー、102a…凹部、103…吸込ホース接続口、104…集塵室、105…上ケース、106…電動送風機室、107…マイナスイオン発生装置室、107a…マイナスイオン放出窓、110…集塵袋、111…電動送風機、112…マイナスイオン発生装置、112a…放電電極、112b…正電極、112d…高電圧発生ユニット、113…充電式電池、201…掃除機本体、202…吸込ホース、203…吸込ホース手元部、204…延焼管、205…吸込口体、208…除電手段、208a…放電開口、208b…保持部、208c…放電部材、208d…蓋。
Claims (11)
- 掃除機本体にマイナスイオン発生手段を搭載した電気掃除機において、
前記マイナスイオン発生手段によってマイナスイオンを発生することによって前記掃除機本体に蓄積したプラス電荷を大気中に放出して除電する除電手段を設けたことを特徴とする電気掃除機。 - 請求項1において、前記除電手段は、前記マイナスイオン発生手段によるマイナスイオン放出位置から離れた位置に設置した放電部材を備え、掃除機本体に帯電したプラス電荷を大気中へ放電させるように構成したことを特徴とする電気掃除機。
- 請求項1または2において、前記除電手段は、電気抵抗の低い微細繊維の集合体を備えたことを特徴とする電気掃除機。
- 請求項1または2において、前記除電手段は、アクリロニトリル−硫化銅複合繊維をフエルト状に集合させた繊維集合体を備えたことを特徴とする電気掃除機。
- 請求項1〜4の1項において、前記除電手段は、掃除機本体に吸込口体を接続する吸込ホースの途中に設けたことを特徴とする電気掃除機。
- 請求項1〜4の1項において、前記除電手段は、掃除機本体に吸込口体を接続する吸込ホースの手元部に設けたことを特徴とする電気掃除機。
- 請求項1〜4の1項において、前記除電手段は、掃除機本体に接続される吸込ホースと吸込口体の間に介在させる延長管に設けたことを特徴とする電気掃除機。
- 請求項1〜4の1項において、前記除電手段は、吸込ホースを介して掃除機本体に接続される吸込口体に設けたことを特徴とする電気掃除機。
- 樹脂成型部品を組み合わせて構成した掃除機本体と、この掃除機本体の後部に搭載したマイナスイオン発生手段を備えた電気掃除機において、
前記マイナスイオン発生手段によってマイナスイオンを発生することによって前記掃除機本体に蓄積したプラス電荷を大気中に放出して除電する除電手段を該掃除機本体の前部に設けたことを特徴とする電気掃除機。 - 請求項9において、前記掃除機本体は、PP樹脂成型の下ケースと、ABS樹脂成型の上ケースおよび集塵室カバーを備え、前記除電手段は、前記集塵室カバーの前部に設置したことを特徴とする電気掃除機。
- 請求項10において、前記集塵室カバーは、その前部に取っ手を構成する凹部を備え、前記除電手段は、前記凹部内に設置したことを特徴とする電気掃除機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003018200A JP2004229678A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 電気掃除機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003018200A JP2004229678A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 電気掃除機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004229678A true JP2004229678A (ja) | 2004-08-19 |
Family
ID=32948393
Family Applications (1)
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JP2003018200A Pending JP2004229678A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 電気掃除機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004229678A (ja) |
-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003018200A patent/JP2004229678A/ja active Pending
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