JP2004229448A - 電動車両の監視方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両1は、バッテリ残量、GPS情報を基地局30に通知する。算出部38はバッテリ残量に対する走行可能距離を算出する。経路距離検索部39は現在位置からホームポジションまでの経路距離を算出する。第1判別部40は走行可能距離と経路距離と計数k1とにより、余裕をもって帰還可能かどうかを判別する。余裕をもって帰還できないと予測されたときはその旨警告する。日没判別部41は日没までに帰還できるか否かを判別し、日没までに帰還できないと予測されればその旨警告する。第2判別部42は、日没後の点灯に要する電力消費も考慮して帰還できる余裕があるかどうかを判別し、ほとんど余裕がないと判別されたときには、その旨警告する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動車両の監視方法および装置に関し、特に、ホームポジションへの帰還に支障がないようにするための電動車両の監視方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在位置情報をセンタ装置に送信する機能を有する端末装置を、車両に搭載したり人に持たせたりして、これら車両や人の現在位置を認識したいときにセンタ装置から前記端末装置に現在位置を要求する信号を送出する監視システムが知られる。この監視システムでは、端末装置から返信される現在位置情報に基づいて適切な処置を行うことができる。
【0003】
また、同様のシステムとして、例えば、特開2002−260184号公報には、自宅近辺を移動体のホームポジションへとして定義し、ホームポジション外へ移動体が移動したときや、所定の時刻に移動体がホームポジションへ帰還しない場合に、予め定めた監視センタに緊急通報するようにした移動体監視システムが開示されている。
【0004】
このような、監視システムは、徘徊老人や幼児等、判断能力が低い人の保護に有用である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、十分な判断能力を有している人であっても、監視システムが有用な場合がある。例えば、高齢者等が使用する小型低速の電動車両は、通常の車両と違って人の歩行速度程度の低速であるために、移動に時間がかかったり、道路の混雑や人との話し込みによって時間が予定以上にかかったりすることがある。その結果、十分な判断能力を有する利用者であっても、予定時間に帰還できなかったり、車両用のバッテリを消耗してしまって帰還できなくなったりすることがある。このように、常に、バッテリの残量を監視する等の注意が必要となり、特に、高齢者等の運転者にとって、バッテリに十分な余裕をとることに配慮するのは必ずしも容易なことではなく、バッテリ残量に気を使うあまり、ついつい行動範囲が狭まってしまうという問題点があっった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、運転者自身が気を配らなくても、帰還に支障が生じるおそれがある状況が、自動的に認識できるようにするのに好適な電動車両の監視方法および装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決し、目的を達成するための本発明は、バッテリ残量等、運転状態および現在位置を基地局へ送信する通信手段を有する電動車両の運転状態を前記基地局で監視する電動車両の監視方法において、前記基地局が、電動車両の現在位置から予定の帰還位置までの経路距離を直線距離または検索された適当な走行経路の距離を検出し、前記運転状態と前記経路距離とに基づいて前記電動車両が前記帰還位置に余裕を持って帰還するのに支障が生じるかどうかを予測し、支障が生じると予測されたときに、予定の通報先、例えば電動車両または前記帰還位置にある施設等に警報信号を送出する点に第1の特徴がある。
【0008】
第1の特徴によれば、車両の運転状態を検出した基地局では、例えば、バッテリ残量に基づき、予定の帰還位置まで走行するのに十分な余裕があるかどうかが判断され、余裕を持っての帰還に支障が予想された場合は、予定の通報先に緊急信号が送出される。したがって、この緊急信号を受信した通報先、例えば監視されている電動車両は、帰還を急ぐことができるし、該電動車両が帰還すべき老人ホーム等の施設は、電動車両に携帯電話機などを使って帰還を促すことができる。
【0009】
また、本発明は、前記基地局には、日没時刻情報を備え、電動車両の移動速度および日没時刻情報に基づき、前記経路距離を走行するうちに日没すると予測したときに日没警報信号を電動車両または前記帰還位置にある施設等に送出する点に第2の特徴がある。
【0010】
第2の特徴によれば、日没警報信号を受信した電動車両等は、帰還しなければならない時期であることを認識できる。
【0011】
また、前記日没を予測した場合には、日没後の灯火の電力消費量を考慮した前記バッテリ残量に従って帰還に余裕があるかどうかの予測を行い、余裕がほとんどないと予測したときに緊急警報信号を電動車両または前記帰還位置にある施設等に送出する点に第3の特徴がある。
【0012】
第3の特徴によれば、日没は迫るし、バッテリ残量も少なくなったときに緊急警報信号が送出されるので、この緊急警報信号を受信した電動車両の運転等は帰還しなければならない時期が緊急に迫っていることを認識して帰還を早めるなどの対応をとることができる。
【0013】
また、本発明は、前記通信手段がGPS機能を搭載した携帯電話機であり、該携帯電話機で前記警報信号、日没警報信号、および緊急警報信号を受信する点に第4の特徴がある。
【0014】
第4の特徴によれば、近年、入手が容易になっているGPS機能付き携帯電話機で、警報信号等を受けて、必要な警告表示を行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は本発明の一実施形態に係る電動車両を右後方から見た図である。同図において、電動車両1はモータで駆動される四輪車であり、例えば、最高速度6km/時で走行する高齢者用車両である。車両本体を構成する車体フレーム2は前部2aおよび後部2b、ならびにステップ2cを備える。前部2aには左右一対の前輪3(左前輪は隠れている)が支持され、前輪3に接続されるステアリングポスト4が上部後方に延びる。ステアリングポスト4の上部には操作パネル5を有するステアリングハンドル6が装着される。車体フレーム2の前部2aの左右側面には方向指示器としてのターンシグナルランプ(ウィンカランプ)7R,7Lが設けられる。このターンシグナルランプ7R,7Lの動作等を表示する表示器が操作パネル5に設けられる。操作パネル5の左脇に、電動車両1の運転状態、例えば、車両の位置、バッテリ電圧、アクセル角度センサ等を、予め設定した送信先に送信する携帯電話機PHが搭載されている。携帯電話機PHはGPS(全地球側位システム)機能を内蔵するものであるのが望ましいが、携帯電話機PHとへ別にGPSアンテナを含むGPS機能を車体フレーム2の、例えば前部2aに設けてもよい。
【0016】
車体フレーム2の後部2bには駆動輪である左右一対の後輪8,8が支持される。後部2bの上面にはシート9が設けられ、シート9の下方にモータMおよびモータMを駆動するバッテリ50、ならびにバッテリチャージャ(図示しない)が設けられる。
【0017】
図7は、ステアリングハンドル6の平面図である。ステアリングハンドル6は左右のグリップ10,11を有し、このグリップ10,11の端部は左右に張り出して前方に湾曲し、中央部で結合されてリンクをなす。ステアリングハンドル6の中央部には操作パネル5が配置される。操作パネル5の中央には走行速度を調節するボリューム12が配置され、ボリューム12の右手前には車両の前進・後退を選択するセレクトスイッチ13が設けられる。ボリューム12の左手前にはターンシグナルスイッチ(ウィンカスイッチ)14が設けられる。操作パネル5の最も手前には、ホーンスイッチ15とヘッドライトスイッチ16とが設けられ、そのほぼ中間には、メインスイッチのキー孔17が設けられる。
【0018】
操作パネル5の右側部には、走行レバー18が突出して設けられる。このレバー18はクランク状に屈曲していて、端部18aを押し下げると車両は走行し、放すとばねで復帰して車両は停止する。さらに、ステアリングハンドル6の左前部6aには図示しないブレーキレバーとミラーが取り付けられる。
【0019】
操作パネル5の中央前方には表示器19が設けられる。この表示器19は、バッテリ残量の表示機能とウィンカランプ7(ウィンカターンシグナルランプ7R,7L)の動作表示機能とを併せ持つLED表示装置である。表示器19は横(左右)一列に配列された複数(この例では5個)のLED20を含み、このLED20はバッテリ残量に応じた個数が点灯されるとともに、ターンシグナルスイッチ14が操作されたときには、その切り替え位置に対応した予定のパターンで点灯する。
【0020】
操作パネル5の左側には、携帯電話機PHを搭載するための携帯電話機ホルダ21が設けられる。携帯電話機ホルダ21は、操作パネル5を支持するベース部材22に結合されるステー(後述)に固定される。携帯電話機ホルダ21は、例えば、折りたたみ式携帯電話機PHを開いた状態で、本体(ボタンやキーが配列された側)を装着できるようなガイド部211を有する。携帯電話機ホルダ21の底部には、携帯電話機PHの外部接続端子と結合できる通信コネクタ212が設けられる。通信コネクタ212から接続端子付きのケーブル23が引き出される。ケーブル23は電動車両1のバッテリ残量を含む運転状態を示すデータを携帯電話機PHを通じて基地局へ送信するための通信ユニット(後述)に接続される。通信ユニットは、ベース部材22内またはハンドルポスト4の下部を覆う車体フレーム内に収容することができる。
【0021】
図3は、携帯電話機ホルダ21の正面図、図4は側面図、図5は上面図である。携帯電話機ホルダ21は、図示のように、ステー213を有し、このステー213をベース部材22に止めねじ24で固定する(図5参照)。携帯電話機ホルダ21の底部に設けられる通信コネクタ212は、携帯電話機PHの底面に設けられる外部接続端子に適合される。携帯電話機PHの外部接続端子と通信コネクタ212とが確実に接続されていることを認識できるように、携帯電話機ホルダ21の下部領域214を透明にすることができる。また、車両1の走行時の振動で外部接続端子と通信コネクタ212との接続が緩むことがないように、ロック手段を設けることができる。エジェクトボタン25は、ロック手段を解除するために設けられる。
【0022】
さらに、携帯電話機ホルダ21は、携帯電話機PHの内部に設けられる蓄電池の充電装置としての機能を備えることができる。携帯電話機ホルダ21の上部に充電端子26が設けられる。充電端子26には、ケーブル27を通じて、電動車両1に搭載されるバッテリ50から電気的仕様を適合させた電力が供給される。なお、充電端子26は、携帯電話機PH側の充電用端子の位置に対応するように、設置位置が決定される。
【0023】
図6は、電動車両1に搭載される通信システムのブロック図である。通信ユニット28はCPU281、EEPROM282、通信インタフェース回路284、および電源部285を備える。ECU29は車両を駆動するモータMの制御、および電動車両1の運転状態の監視をする。通信インタフェース回路284はECU29に接続され、ECU29で検出された電動車両1の運転状態を示す情報を読み込み、この情報等を通信機としての携帯電話機PHから無線を介して基地局30へ通信する。携帯電話機PHは通信インタフェース回路284に接続され、通信インタフェース回路284を介してCPU29から入力される指示に従って基地局30と通信をする。
【0024】
ECU29は電動車両1に設けられる各種センサ、例えば、走行レバー18の押し下げ量を検出するアクセル角センサやバッテリ電圧検出装置による感知データを通信ユニット28に送信し、送信ユニット28は携帯電話機PHを通じて電動車両1の状態データを一般の公衆回線網100に送出する。
【0025】
携帯電話機PHにGPSを含まない場合は、電動車両1本体にGPS機能、つまりGPSアンテナANTおよびGPSの信号を受信するGPS受信回路31を搭載することができる。その場合、通信ユニット28のCPU281およびGPS受信回路31で検出された位置情報(GPS情報)に基づいて電動車両1の位置が算出される。
【0026】
携帯電話機PHは、通信状況やメール通信文等を表示するための液晶表示画面を有している。この表示画面には、電動車両1の運転状況(故障状況)等を表示できるようにするほか、バッテリ残量が電動車両1のホームポジションへの帰還に支障があると予見できる値になったときに基地局30から出力される警報信号に従って警報表示できるようにする。
【0027】
前記警報信号は次のような判断で出力される。電動車両1を監視する基地局30では、地図データ上に電動車両1のホームポジションつまり老人ホーム等、該電動車両1が帰還すべき施設の位置を予め登録したものを所有する。監視対象の電動車両1は一般に複数であり、各車両毎にホームポジションが登録される。電動車両1は自己の運転状態データおよびGPS情報を基地局へ送信する。基地局では、運転状態データおよびGPS情報、ならびにホームポジションを示すデータに基づいて、運転状態データから判断される電動車両1の状況が、ホームポジションへの帰還に支障ないものかどうかを判断する。例えば、バッテリ残量とGPS情報が示す電動車両1の現在位置およびホームポジション間の経路距離とから、ホームポジションへの帰還に十分なバッテリ残量があるかどうかを判断する。これ以上、停滞したりホームポジションから遠ざかったりすれば、帰還に十分な余裕がなくなるバッテリ残量であると判断したとき、警報信号が出力される。
【0028】
現在位置とホームポジションとの間の直線距離を概略経路距離とみなしてもよいし、地図データ上に記載されている電動車両1が走行可能な道路を経路探索し、その経路から適切な帰還経路を決定しその経路長を積算して経路距離としてもよい。適切な帰還経路としては、バッテリ消費が少ないように最短距離の道路を選ぶのがよいが、例えば交通量の少ない安全な道路を選択して帰還経路としてもよい。電動車両1が走行可能か否かの情報は、実際の周辺道路状況を調査し、地図データベース上に予め取り込んでおく。また、周辺道路状況には、道路の勾配を含み、経路距離の計算に際しては、勾配をモータに対する負荷として考慮し、補正係数を加味するのが好ましい。
【0029】
さらに、車両駆動用モータの負荷電流と電動車両1の速度を検出できるようにして、走行中にこれら実測し、記憶学習することによって、周辺道路状況の走行データを基地局30にデータベースとして蓄積し、これを利用することによって帰還可否判断の精度を上げることができる。
【0030】
また、バッテリは、走行モータの駆動のみならず、灯火(ヘッドライト等)の点灯によっても大きく消耗するので、経路距離とともに、灯火の点灯必要性の有無も加味して警報信号出力判断の基準とするのがよい。すなわち、基地局30では、季節毎の日没時刻情報をデータベースとして保持し、現在時刻と日没時刻情報とに基づいて、ホームポジションへの帰還までに灯火を点灯して走行する時間を計算し、その時間の点灯で消耗するバッテリ量(電力量)をバッテリ残量から減算する。そして、このバッテリ残量に従って走行可能な距離を計算する。
【0031】
次に、前記基地局からの警報信号の出力判断処理つまりホームポジションへの帰還可否判断処理を説明する。図8は、帰還可否判断処理の一例を示すフローチャートである。同図において、ステップS1では、前回帰還可否判断処理時からの経過時間Txが判断のための所定のインターバル時間Tjに達したか否かを判断する。この判断が肯定ならば、電動車両1からGPS情報を入手し(ステップS2)、GPS情報に基づいて電動車両1の現在位置を算出する(ステップS3)。ステップS4では、電動車両1からバッテリ残量を入手して値Aとして保持する。
【0032】
ステップS5では、ホームポジションまでの経路距離を地図データベースと現在位置とから計算し、値Cとして保持する。経路距離は上述のように、直線距離としてもよいし、電動車両1が走行可能な道路を経路探索して決定してもよい。
【0033】
ステップS6では、バッテリ残量Aで走行可能な距離Bを計算する。走行可能距離Bはモータ負荷率を考慮して決定されるのが望ましい。図9は、バッテリ残量Aに対応する走行可能距離Bをモータの平均負荷率Cmをパラメータとして示したテーブルである。例えば、このテーブルを使用して走行可能距離Bを決定する。なお、平均負荷率Cmは、所定の実稼働時間(例えば60分)前から現時点までに車両駆動用モータにかかった負荷率の平均値である。
【0034】
ステップS7では、ホームポジションへの帰還予定時刻を算出する。帰還予定時刻は、経路距離Cを電動車両1の平均移動速度(所定時間前からの)を除した値に現在時刻を加算して求められる。
【0035】
ステップS8では、走行可能距離Bから経路距離Cを減算し、さらに距離補正係数k1で除算した値が、予め設定された余裕値Z1より大きいか否かによってバッテリの余裕度を判断する。距離補正係数k1は道路の勾配によって決定される。例えば、所定実稼働時間前から現在までの走行道路の勾配は、地図データ上または実走行によるモータの負荷電流や走行速度に基づいて予定の計算式またはテーブル等を参照して計算される。
【0036】
ステップS8が否定の場合はバッテリ残量に十分な余裕がないと判断されるので、ステップS9に進んでホームポジションへの帰還を促すための警報信号を出力する。この警報信号は、電動車両1およびホームポジションにある施設等、予定の通報先の少なくとも1カ所に送信され、該電動車両1や通報先ではこの警報信号に応答して可視表示や音声表示によって帰還を促す警告がなされる。
【0037】
一方、ステップS8が肯定の場合は帰還に必要なバッテリ残量に十分余裕があると判断される。この場合、ステップS10に進んで日没までにホームポジションへ帰還できるか否かを判断する。この判断は前記帰還予測時刻と日没時刻情報とを比較して行われる。日没までに帰還できないと判断した場合は、ステップS11に進んで、日没警報信号を出力する。この日没警報信号は、電動車両1およびホームポジションにある施設等、予定の通報先の少なくとも1カ所に送信され、該電動車両1や通報先ではこの日没警報信号に応答して可視表示や音声表示によって日没が近いことを表す警報がなされる。
【0038】
ステップS12では、走行可能距離Bから経路距離Cを減算し、さらに距離補正係数k2で除算した値が、予め設定された余裕値Z2より大きいか否かによってバッテリ50の余裕度を判断する。距離補正係数k2は、日没後のヘッドライト点灯によるバッテリ消耗を考慮して決定される。余裕値Z2はホームポジションまでの走行距離に最低限の余裕を持たせた安全値である(Z1>Z2)。
【0039】
ステップS12が否定の場合は、日没を考慮すればバッテリ残量にもう余裕がないと判断されるので、ステップS13に進んで緊急警報信号を出力する。この緊急警報信号は、電動車両1およびホームポジションにある施設等、予定の通報先の少なくとも1カ所に送信され、該電動車両1や通報先ではこの緊急警報信号に応答して可視表示や音声表示によって至急の帰還を促す警告(緊急警告)がなされる。ステップS12が肯定の場合は、日没を考慮してもバッテリ50に余裕があると判断されるので、基地局30では、なんら処置を要しない。すなわち、すでにステップS11で出力されている日没警報信号で十分とする。
【0040】
図1は、帰還可否判断処理のための要部機能を示すブロック図である。同図において、電動車両1側には、GPS情報通知部32、バッテリ残量通知部33,および警告表示部34が設けられる。なお、警告表示部34は、電動車両1に搭載される携帯電話機PHの表示画面として実現できるが、電動車両1の操作パネル5上、またはその近辺に専用の表示器(LCDまたはLED表示灯等)を設けてもよい。GPS情報通知部32はGPS受信回路31又は携帯電話機PHのGPSシステムで受信したデータを基地局30に通知する。バッテリ残量通知部33は車両1に搭載されるバッテリ50の残量(バッテリ電圧)を基地局30に通知する。
【0041】
基地局30側には現在位置算出部35が設けられる。現在位置算出部35はGPS情報および地図データベース36から供給される地図データに基づいて電動車両1の現在位置を算出する。バッテリ残量保持部37はバッテリ残量の通知を受けてバッテリ残量の値Aを保持する。走行可能距離算出部38は、バッテリ残量Aに対応する該電動車両1の走行可能距離Bをマップ(図9)から算出する。経路距離検索部39は現在位置から地図データベース上に予め登録されたホームポジションまでの経路距離Cを算出もしくは経路探索によって計算する。
【0042】
帰還可否第1判別部40は、走行可能距離B、経路距離Cならびに補正係数k1および余裕値Z1を使用して現バッテリ残量でホームポジションまで余裕を持って帰還可能か判別する。具体的な判別方法は上記フローチャートに示した。
【0043】
日没判別部41は、現在時刻、日没時刻情報および経路距離Cを使用して日没までにホームポジションに帰還可能か判別する。帰還可否第2判別部42は、走行可能距離B、経路距離Cならびに補正係数k2および余裕値Z2を使用して現バッテリ残量で、日没後のヘッドライト点灯を考慮してもホームポジションまで帰還可能かを判別する。具体的な判別方法は上記フローチャートに示した。
【0044】
帰還可否第1判別部40および帰還可否第2判別部42は、それぞれホームポジションに所定条件で帰還までの余裕度を判別し余裕の度合いに応じて、警報信号および緊急警報信号を出力する。また、日没判別部41は、日没までにホームポジションに帰還不能になりそうだと判別したときに日没警報信号を出力する。警告表示部34は、警報信号、緊急警報信号、および日没警報信号にそれぞれ応答して予定の警告表示を行う。警報表示部34は電動車両1に限らず、予め設定した通報先、例えば電動車両1が帰還すべき施設や自宅などに設けてもよい。
【0045】
上述の実施形態では、ホームポジションに、予定条件で帰還までの余裕が少なくなったときに警報を発するようにしたが、さらに、警報を発するだけでなく、バッテリの消耗をできるだけ少なくできる最短距離を誘導案内するナビゲーション機能を加えることもできる。この誘導案内のためには、前記各種警報信号の送信時に、同時に帰還経路を示した地図データを電動車両1に送信するのがよい。
【0046】
また、電動車両1と基地局との間の通信は携帯電話機PHに限らず、他のタイプの通信機を使用することもできる。
【0047】
なお、本実施形態の電動車両は低速小型のものであるが、これに限らず、他の形式の電動車両であってもよい。車輪数も4輪に限らず3輪であってもよい。ステアリングハンドル6の形状も左右に張り出したリンク状である必要はなく、左右に張り出した棒状のハンドルであってもよいし、丸ハンドルであってもよい。いずれの場合も、操作パネル5は運転席前方、好ましくはステアリングポスト4の上方に配置するのがよく、携帯電話機ホルダ21はこの操作パネル5の近傍に設置してあるのがよい。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1〜17の発明によれば、電動車両が予定のホームポジションへ帰還不能にならないように基地局で監視できるので、電動車両の利用者や、該利用者の関係者等の、帰還時期に関する心理的負担を軽減することができる。特に、電動車両の利用者は、自己の意識が少ない場合に帰還のきっかけを付与されるし、関係者等は電動車両の状態を伝達されるので対応をとりやすい。
【0049】
請求項2の発明によれば、バッテリ残量に対する監視の負担が軽減し、心理的に楽である。請求項5の発明によれば、帰還可否判断のための経路距離の決定手順を簡素化できる。請求項6の発明によれば、バッテリ消耗の少ない経路等、帰還に適した経路の距離が決定される。請求項7の発明によれば、帰還に適した経路を提示して、効率的に帰還できるように案内することができる。
【0050】
請求項8の発明によれば、日没までに帰還できるタイミングを認識することができる。請求項10発明によれば、灯火点灯分のバッテリ消耗も考慮して、帰還可否が判断されるので、日没になっても、灯火点灯して走行できる。請求項12〜14の発明によれば、携帯電話機によって現在位置情報の検出機能と基地局等との通信機能を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の監視方法の要部機能を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電動車両の斜視図である。
【図3】携帯電話機ホルダの正面図である。
【図4】携帯電話機ホルダの側面図である。
【図5】携帯電話機ホルダの上面図である。
【図6】通信システムのブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る電動車両に設けられるステアリングハンドルの平面図である。
【図8】帰還可否判断処理のフローチャートである。
【図9】バッテリ残量Aに対応する走行可能距離Bをモータの平均負荷率Cmをパラメータとして示したテーブルである。
【符号の説明】
1…電動車両、 2…車体フレーム、 4…ステアリングポスト、 5…操作パネル、 6…ステアリングハンドル、 7R,7L…ウィンカランプ、 14…ウィンカスイッチ、 30…基地局、 32…GPS情報通知部、 33…バッテリ残量通知部、 34…警告表示部、 35…現在位置算出部、 36…地図データベース、 38…走行可能距離算出部、 39…経路距離検索部、 40…帰還可否第1判別部、 41…日没判別部、 42…帰還可否第2判別部
Claims (17)
- 運転状態および現在位置を基地局へ送信する通信手段を有する電動車両の運転状態を前記基地局で監視する電動車両の監視方法において、
前記基地局が、
電動車両の現在位置から予定の帰還位置までの経路距離を検出し、
前記運転状態と前記経路距離とに基づいて前記電動車両が前記帰還位置に余裕を持って帰還するのに支障が生じるかどうかを予測し、
支障が生じると予測されたときに、予定の通報先に警報信号を送出することを特徴とする電動車両の監視方法。 - 前記運転状態には電動車両に搭載されたバッテリの残量が含まれ、
前記バッテリ残量が、前記経路距離を走行するのに十分な余裕量でないときに、帰還に支障が生じると予測して前記警報信号を送出することを特徴とする請求項1記載の電動車両の監視方法。 - 前記警報信号を受信して前記通報先では警告を表示することを特徴とする請求項1または2記載の電動車両の監視方法。
- 前記通報先が、該電動車両または前記帰還位置にある施設であることを特徴とする請求項3記載の電動車両の監視方法。
- 前記経路距離が、前記電動車両の現在位置から前記帰還位置までの直線距離であることを特徴とする請求項1または2記載の電動車両の監視方法。
- 前記基地局には地図データベースを備え、
前記経路距離が、前記地図データベースに基づいて電動車両が走行可能な道路の最短距離を積算して決定されることを特徴とする請求項1または2記載の電動車両の監視方法。 - 前記警報信号とともに前記経路距離の決定根拠となる走行経路を前記通報先に送出することを特徴とする請求項6記載の電動車両の監視方法。
- 前記基地局には、日没時刻情報を備え、
電動車両の移動速度および日没時刻情報に基づき、前記経路距離を走行するうちに日没すると予測したときに日没警報信号を送出することを特徴とする請求項2記載の電動車両の監視方法。 - 前記日没警報信号を受信して前記通報先では日没警告を表示することを特徴とする請求項8記載の電動車両の監視方法。
- 前記日没を予測した場合には、日没後の灯火の電力消費量を考慮した前記バッテリ残量に従って帰還に支障があるかどうかの予測を行い、帰還に支障があると予測したときに緊急警報信号を送出することを特徴とする請求項8記載の電動車両の監視方法。
- 前記緊急警報信号を受信して前記通報先では緊急警告を表示することを特徴とする請求項10記載の電動車両の監視方法。
- 前記通信手段がGPS機能を搭載した携帯電話機であり、該携帯電話機で前記警報信号を受信することを特徴とする請求項1または2記載の電動車両の監視方法。
- 前記通信手段がGPS機能を搭載した携帯電話機であり、該携帯電話機で前記日没警報信号を受信することを特徴とする請求項8記載の電動車両の監視方法。
- 前記通信手段がGPS機能を搭載した携帯電話機であり、該携帯電話機で前記緊急警報信号を受信することを特徴とする請求項10記載の電動車両の監視方法。
- 電動車両の運転状態および現在位置を基地局へ送信する通信手段を有する電動車両の監視装置において、
前記電動車両の現在位置から予定の帰還位置までの経路距離を検出する手段と、
前記運転状態と前記経路距離とに基づいて前記電動車両が前記帰還位置に余裕を持って帰還するのに支障が生じるかどうかを予測する手段と、
支障が生じると予測されたときに、予定の通報先に警報信号を送出する手段とを具備したことを特徴とする電動車両の監視装置。 - 前記運転状態には電動車両に搭載されたバッテリの残量が含まれ、
前記警報信号を送出する手段が、前記経路距離を走行するのにバッテリ残量が十分でないときに帰還に支障が生じると予測して前記警報信号を送出するように構成されたことを特徴とする請求項15記載の電動車両の監視装置。 - 帰還に支障が生じるかどうかが、日没後の灯火点灯によるバッテリ消耗を含めて予測されることを特徴とする請求項16記載の電動車両の監視装置。
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