JP2004228781A - 位置決定方法、移動通信システム及び位置決定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】移動局10は、自局が在圏したセルの識別情報と、当該セル進入時刻とを履歴情報データベース40へ送信する。履歴情報データベース40は、これらの情報に基づいて、移動局10のセルに対する進入及び進出の態様の履歴(履歴情報)を生成する。移動局10は、自局が位置登録エリアの境界を跨った場合に、位置登録エリア決定装置30へ位置登録要求を送信する。位置登録要求を受信した位置登録エリア決定装置30は、履歴情報データベース40内の履歴情報に基づいて、移動局10が登録されるべき最適な位置登録エリア、具体的には、単位時間当たりの総制御信号数が最小になる位置登録エリアを決定する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信システムにて、移動局が登録されるべき1又は複数のセルによって構成される位置登録エリアを決定する位置決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の移動通信システムにおいて、非通信中の移動局の位置は、基地局が提供する複数のセルによって構成される位置登録エリアを単位として管理される。また、位置登録エリアは、予め移動通信ネットワークにおいて静的に決定されており、且つ、全ての移動局について画一的に決定されている。
【0003】
一般に、移動局が在圏する位置登録エリアが変わると、以下のような処理が行われる。即ち、非通信中の移動局は、位置登録エリアの境界を跨って新たな位置登録エリアに進入した場合、その新たな位置登録エリアを構成するセルを提供する基地局から報知される、位置登録エリアを識別するための情報(位置登録エリア識別情報)を受信する。更に、移動局は、それまで受信していた位置登録エリア情報と、新たに受信した位置登録エリア情報が異なっていることを検知し、自局が在圏している位置登録エリアが変わったと判断する。そして、移動局は、移動通信ネットワーク側に、位置登録エリアの変更を通知する。移動通信ネットワークは、この通知に応じて、移動局が登録されている位置登録エリアを変更する。
【0004】
また、非通信中の移動局に対する通信要求が発生した場合、移動通信ネットワークは、その移動局が登録されている位置登録エリアを構成する全てのセルに対し、当該セルを提供する基地局を介して呼出要求を送信する。移動局は、この呼出要求を受信すると、移動通信ネットワークに対して呼出応答を返す。この呼出応答は、移動局が在圏するセルを提供する基地局が受信する。このため、移動通信ネットワークは、位置登録エリアを構成するセルのうち、移動局が在圏しているセルを認識することができる。
【0005】
ところで、無線リソースの効率的な利用を図るためには、位置登録の際に用いられる信号(位置登録信号)の数と呼出時に用いられる信号(呼出信号)の数とは、できるだけ少ないことが要求される。位置登録エリアは、このような観点から適切に決定されることが望ましい。しかし、これら位置登録信号や呼出信号の数は、移動局の移動特性や呼出特性に依存する。更に、これら移動局の移動特性や呼出特性は、移動局がおかれている状況によって変化するものである。このため、位置登録信号や呼出信号の数を最小にするための最適な位置登録エリアは、移動局毎に異なることになる。従って、従来のように、静的に、且つ、全ての移動局について画一的に決定されている位置登録エリアは、位置登録信号や呼出信号の数を最小にするための最適なものではない。
【0006】
例えば、図1に示すように、位置登録エリアが決定され、移動局が移動する場合を考える。上述したように、従来の移動通信システムでは、位置登録エリアは、静的に、且つ、全ての移動局について画一的に決定されている。このため、図1に示すように、移動局の移動経路から離れた領域に構成されるセルX、Y及びZについても、移動局が在圏する位置登録エリア内のセルであるため、無駄な呼出要求が送出される。また、移動局が位置登録エリアの境界である地点x、y、zを通過する場合のように、位置登録エリアの境界を頻繁に跨って移動する場合、その都度、移動局の位置登録エリアが変更され、移動局と移動通信ネットワークとの間で頻繁に位置登録信号の送受信が行われる。
【0007】
このように、位置登録エリアが静的に、且つ、全ての移動局について画一的に決定されている場合には、位置登録信号や呼出信号の数を少なくすることができないという問題があった。
【0008】
この問題を解決するため、移動局のセル毎の在圏履歴から各セルの在圏確率を演算し、その在圏確率が予め定められた閾値以上のセルを位置登録エリアとして決定する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、移動局のセル毎の在圏履歴と、移動局のセル毎の在圏履歴から移動局が次に訪れるセルを予測し、訪れる可能性が高いセルを位置登録エリアとして決定する方法もある(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−250365号公報(第4頁、図1)。
【0010】
【特許文献2】
特開2001−119742号公報(第5頁、図4)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、在圏履歴は、過去に移動局が在圏したか否かの情報のみであり、移動局がどのように移動したかについての情報がない。一方、上述したように、位置登録信号や呼出信号の数は、移動局の移動特性に依存するため、これらの数を最小にする位置登録エリアの大きさや形状も移動局の移動特性に依存する。このため、特許文献1に記載の発明は、移動局の移動特性が明らかでなく、位置登録信号や呼出信号の数を最小にする位置登録エリアを形成することができない。
【0012】
また、特許文献2に記載の発明は、過去に、移動局が次に訪れたセルに関する情報のみ基づいて、当該移動局が次に訪れるセルを予測しており、どのセルから進入してきたのかについては何ら考慮されていない。従って、移動局の進行方向前方に存在するセルと、進行方向後方に存在するセルとは、他の条件を考慮しなければ、同じ確率で次に訪れるセルとして予測されるため、適切な方法ではない。
【0013】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、その課題は、移動局の移動方向を考慮した適切な位置登録エリアの決定が可能な位置決定方法、移動通信システム及び位置決定装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は請求項1に記載されるように、移動通信システムにて、移動局が登録されるべき1又は複数のセルによって構成される位置登録エリアを決定する位置決定方法において、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴を保持する手順と、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴に基づいて、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定する手順とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴により、過去において移動局がどこから進入してきたのかについても認識することができ、移動局のセルに対する進入及び進出に基づく移動方向を考慮して、適切な位置登録エリアを決定することができる。
【0016】
また、本発明は請求項2に記載されるように、請求項1に記載の位置決定方法において、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴は、1の進入元のセルから進入して進出先のセルへ進出する確率を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は請求項3に記載されるように、請求項2に記載の位置決定方法において、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴は、対応するセルにおける前記移動局の過去の在圏時間を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は請求項4に記載されるように、請求項1乃至3の何れかに記載の位置決定方法において、更に前記移動局の呼出頻度の履歴を保持する手順を備え、前記位置登録エリアを決定する手順は、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴と、前記移動局の呼出頻度の履歴とに基づいて、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、移動局のセルに対する進入及び進出に基づく移動方向のみならず、移動局の呼出頻度を考慮した、より適切な位置登録エリアの決定が可能となる。
【0020】
また、本発明は請求項5に記載されるように、請求項1乃至4の何れかに記載の位置決定方法において、前記位置登録エリアを決定する手順は、単位時間当たりの位置登録信号の数と呼出信号の数との和が最小になる位置登録エリアを決定することを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、単位時間当たりの位置登録信号や呼出信号の数を最小にして、無線リソースの効率的な利用を図ることができる。
【0022】
また、本発明は請求項6に記載されるように、移動局と、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定する位置決定装置とを有する移動通信システムにおいて、前記移動局は、該移動局のセルに対する進入及び進出の態様を前記位置決定装置へ通知する進入出態様通知手段を備え、前記位置決定装置は、前記移動局の前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴を保持する進入出態様履歴保持手段と、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴に基づいて、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定する位置登録エリア決定手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は請求項7に記載されるように、請求項6に記載の移動通信システムにおいて、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴は、1の進入元のセルから進入して進出先のセルへ進出する確率を含むことを特徴とする。
【0024】
また、本発明は請求項8に記載されるように、請求項7に記載の移動通信システムにおいて、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴は、対応するセルにおける前記移動局の過去の在圏時間を含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明は請求項9に記載されるように、請求項6乃至8の何れかに記載の移動通信システムにおいて、更に前記移動局の呼出頻度の履歴を保持する呼出頻度履歴保持手段を備え、前記位置登録エリア決定手段は、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴と、前記移動局の呼出頻度の履歴とに基づいて、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定することを特徴とする。
【0026】
また、本発明は請求項10に記載されるように、請求項6乃至9の何れかに記載の移動通信システムにおいて、前記位置登録エリア決定手段は、単位時間当たりの位置登録信号の数と呼出信号の数との和が最小になる位置登録エリアを決定することを特徴とする。
【0027】
また、本発明は請求項11に記載されるように、移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定する位置決定装置において、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴に基づいて、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定する位置登録エリア決定手段を備えることを特徴とする。
【0028】
また、本発明は請求項12に記載されるように、請求項11に記載の位置決定装置において、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴は、1の進入元のセルから進入して進出先のセルへ進出する確率を含むことを特徴とする。
【0029】
また、本発明は請求項13に記載されるように、請求項12に記載の位置決定装置において、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴は、対応するセルにおける前記移動局の過去の在圏時間を含むことを特徴とする。
【0030】
また、本発明は請求項14に記載されるように、請求項11乃至13に記載の位置決定装置において、前記位置登録エリア決定手段は、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴と、前記移動局の呼出頻度の履歴とに基づいて、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定することを特徴とする。
【0031】
また、本発明は請求項15に記載されるように、請求項11乃至14に記載の位置決定装置において、前記位置登録エリア決定手段は、単位時間当たりの位置登録信号の数と呼出信号の数との和が最小になる位置登録エリアを決定することを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図2は、第1実施例における移動通信システムの構成例を示す図である。同図に示す移動通信システム1は、移動局10、基地局20、位置登録エリア決定装置30、履歴情報データベース40及び位置情報管理データベース50を備える。この移動通信システム1では、位置登録エリア決定装置30は、1又は複数のセルによって構成される位置登録エリアに対する移動局10の進入及び進出の態様の履歴に基づいて、位置登録信号の数と呼出信号の数との和が最小になる位置登録エリアを決定する。
【0033】
移動局10は、送受信部11、履歴情報記録部12、メモリ13及び境界跨り検出部14を備える。また、位置登録エリア決定装置30は、送受信部31及び位置登録エリア決定部33を備える。
【0034】
移動局10が登録されるべき最適な位置登録エリアの決定に先立って、履歴情報データベース40への履歴情報の格納が行われる。以下、履歴情報データベース40への履歴情報格納時の処理を説明する。
【0035】
基地局20は、自局が提供するセルに対して、自局が提供するセルによって構成される位置登録エリアの識別情報(位置登録エリア識別情報)と、自局が提供するセルの識別情報(セル識別情報)とを含んだ報知情報を定期的に送信する。
【0036】
移動局10内の送受信部11は、移動局10が在圏するセルを提供する基地局20から定期的に報知される、報知情報を受信する毎に、当該報知情報に含まれる位置登録エリア識別情報及びセル識別情報を境界跨り検出部14へ送る。
【0037】
境界跨り検出部14は、送受信部11からセル識別情報が送られる毎に、その最新のセル識別情報と、1つ前に送受信部11から送られてきたセル識別情報とを比較する。更に、境界跨り検出部14は、送受信部11から送られた最新のセル識別情報と、1つ前に送受信部11から送られてきたセル識別情報とが異なる場合には、移動局10がセルの境界を跨って新たなセルに進入したと判断し、送受信部11から送られた最新のセル識別情報を履歴情報記録部12へ送る。
【0038】
履歴情報記録部12は、境界跨り検出部14からセル識別情報が送られる毎に、当該セル識別情報と、その時の時刻とを対応付けてメモリ13に格納する。その後、履歴情報記録部12は、所定のタイミング(例えば1日1回)でメモリ13に格納された、セル識別情報及び時刻を読み出し、送受信部11及び基地局20を介して、履歴情報データベース40へ送信する。
【0039】
履歴情報データベース40は、移動局10から送信されるセル識別情報及び時刻を受信するとともに、これらの情報の送信元を示す移動局10の識別情報(例えば、電話番号)を認識する。更に、履歴情報データベース40は、受信したセル識別情報及び時刻に基づいて、移動局10毎に、当該移動局10のセルに対する進入及び進出の態様の履歴を示す情報(以下、「履歴情報」と称する)を生成する。
【0040】
履歴情報は、経路情報、在圏時間及び移動確率により構成される。経路情報は、移動局10が在圏した3つのセルを在圏順に示す情報である。また、在圏時間は、移動局10が経路情報によって特定される順序で3つのセルに在圏した場合に、2番目のセルにおける過去の在圏時間の平均値を示す。この在圏時間は、移動局10が、経路情報における2番目のセルに進入した時刻と、3番目のセルに進入した時刻との差の平均値である。移動確率は、経路情報によって特定される1番目のセルから2番目のセルに移動した移動局10が、更に3番目のセルへ移動する確率を示す。
【0041】
移動局10が図3に示すように移動する場合、履歴情報は図4に示すように構成される。例えば、図4に示す最初の履歴情報は、以下のようにして生成される。移動局10がセルA、セルB及びセルCの順序で移動した場合、履歴情報データベース40は、セル識別情報及び時刻に基づいて、移動局10がセルA、セルB及びセルCの順序で移動したことを認識する。この場合、履歴情報データベース40は、セルA、セルB、セルCの順序で移動局10が移動したことを示す経路情報「セルA→セルB→セルC」を生成する。
【0042】
また、履歴情報データベース40は、経路情報によって特定される2番目のセル、即ちセルBにおける移動局10の過去の在圏時間TABCを演算する。具体的には、履歴情報データベース40は、セルBからセルCへ移動した時刻からセルAからセルBへ移動した時刻を差し引くことにより、セルBにおける在圏時間を演算する。その後、移動局10が再度、セルA、セルB及びセルCの順序で移動した場合には、履歴情報データベース40は、セルBにおける移動局10の平均在圏時間TABCを演算し、更新する。
【0043】
更に、履歴情報データベース40は、それまでに移動局10から送信されてきたセル識別情報に基づいて、移動局10の移動態様を認識し、セルAからセルBへ移動した移動局10が更にセルCへ移動する確率PABCを演算する。
【0044】
ここで、セルAからセルBへ移動した移動局10が過去において複数のセルに移動している場合、セルAからセルBへ移動した移動局10が更にこれらの各セルに移動する確率の全てを加えた値は1になる。具体的には、移動局10が、過去においてセルAからセルBに進入した後、更にセルC、セルD及びセルEの何れかに進入した場合、履歴情報データベース40は、図4の履歴情報に示すように、経路情報「セルA→セルB→セルC」、「セルA→セルB→セルD」、及び、「セルA→セルB→セルE」を生成する。更に、履歴情報データベース40は、経路情報「セルA→セルB→セルC」に対応する移動確率(セルAからセルBへ移動した移動局10が更にセルCへ移動する確率)PABC、経路情報「セルA→セルB→セルD」に対応する移動確率(セルAからセルBへ移動した移動局10が更にセルDへ移動する確率)PABD、及び、経路情報「セルA→セルB→セルE」に対応する移動確率(セルAからセルBへ移動した移動局10が更にセルEへ移動する確率)PABEを演算する。この場合、移動確率PABC、PABD及びPABEの全てを加えた値は1になる。
【0045】
その後も、履歴情報データベース40は、移動局10からセル識別情報が送信される毎に、当該セル識別情報に基づいて、移動局10の移動態様を認識し、対応する移動確率を演算し、更新する。
【0046】
また、履歴情報データベース40は、移動局10の呼出頻度に関する情報(以下、「呼出頻度情報」と称する)を保持する。図5は、呼出頻度情報の一例である。同図に示すように、呼出頻度情報は、1日の時間帯毎に、移動局10の単位時間当たりの呼出回数を示す。この呼出頻度情報は、過去の移動局10の通信状況に応じて構成される。なお、呼出頻度情報は、1日の時間帯毎だけでなく、曜日毎あるいは月毎、更には、これら全ての時間帯毎に構成されても良い。
【0047】
履歴情報及び呼出頻度情報が履歴情報データベース40へ格納された後、位置登録エリア決定装置30は、移動局10が登録されるべき最適なエリアを決定することが可能となる。具体的には、以下のように処理が行われる。
【0048】
移動局10内の境界跨り検出部14は、予め、自局が在圏する位置登録エリアを構成するセルのセル識別情報を保持している。そして、境界跨り検出部14は、送受信部11から送られるセル識別情報が保持しているセル識別情報の何れにも一致しない場合、移動局10が位置登録エリアの境界を跨ったことを検出する。この場合、境界跨り検出部14は、位置登録エリアの決定要求(位置登録要求)を、送受信部11及び基地局20を介して位置登録エリア決定装置30へ送信する。
【0049】
位置登録エリア決定装置30内の送受信部31は、受信した位置登録要求と、当該位置登録要求の送信元である移動局10の識別情報とを位置登録エリア決定部33へ送る。位置登録エリア決定部33は、位置登録要求に応じて、移動局10が登録されるべき最適なエリアを決定する。以下、位置登録エリア決定部33による位置登録エリアの決定時の処理を、移動局10の移動経路が単一の場合と、複数の場合とに分けて説明する。
【0050】
まず、移動局10が過去において、単一の経路を移動した場合について考える。例えば、通勤経路や通学経路の場合、過去の移動経路が固定的になる場合がある。このような場合、各履歴情報の移動確率は、移動経路が単一であるため、全て「1」になる。例えば、セルAからセルBへ移動した移動局10は、過去においてセルCのみに移動している場合、経路情報「セルA→セルB→セルC」に対応する移動確率は「1」である。
【0051】
位置登録エリア決定部33は、履歴情報データベース40から移動局10の履歴情報と呼出頻度情報とを取得する。更に、位置登録エリア決定部33は、移動局10の履歴情報に応じた過去の移動経路に沿って、位置登録エリアの候補となるセルを、当該移動局10が在圏するセルから順次1つずつ増やしながら、履歴情報に基づいて単位時間当たりの位置登録信号数SLUを演算するとともに、呼出頻度情報に基づいて単位時間当たりの呼出信号数SPAを演算し、これら単位時間当たりの位置登録信号数SLUと、単位時間当たりの呼出信号数SPAをとを加算した総制御信号数Sを演算する。
【0052】
具体的には、位置登録エリア決定部33は、位置登録エリアの候補としてN個のセルを選択した場合、以下の数1を用いて単位時間当たりの位置登録信号数SLUを演算する。
【0053】
【数1】
数1において、Tiは、移動局10が位置登録エリアの境界を跨った後に過去の移動経路に沿って通過するi番目のセルにおける在圏時間である。また、数1において、係数の2は、移動局10が位置登録エリア決定装置30へ送信する位置登録要求と、位置登録エリア決定装置30が当該位置登録要求に基づいて移動局10へ送信する応答との双方を考慮したものである。
【0054】
また、位置登録エリア決定部33は、位置登録エリアの候補としてN個のセルを選択した場合、以下の数2を用いて単位時間当たりの呼出信号数SPAを演算する。
【0055】
【数2】
数2において、aは、現在時刻に対応する時間帯における移動局10の単位時間当たりの呼出回数を示す。また、数2において、係数N+1は、位置登録エリアにN個のセルが含まれる場合、呼出要求が当該N個のセルのそれぞれに送信され、何れかのセルに在圏する移動局10が応答を返すことを考慮したものである。
【0056】
更に、位置登録エリア決定部33は、位置登録エリアの候補としてN個のセルを選択した場合、以下の数3を用いて単位時間当たりの総制御信号数Sを演算する。
【0057】
【数3】
位置登録エリア決定部33は、位置登録エリアの候補となるセルを1つずつ増やす毎に、この数3により単位時間当たりの総制御信号数Sを演算する。但し、位置登録エリア決定部33は、位置登録エリアの候補となるセルとして所定個のセルを選択した時点で、その時点における単位時間当たりの呼出信号数SPAより、それまでにセルを1つずつ増やす毎に演算した単位時間当たりの総制御信号数Sの中で単位時間当たりの最小の総制御信号数S´の方が小さくなった場合には、単位時間当たりの総制御信号数Sの演算を停止し、その単位時間当たりの最小の総制御信号数S´に対応するセルの組み合わせを、総制御信号数を最小にする位置登録エリアとして決定する。
【0058】
ここで、単位時間当たりの呼出信号数SPAは、位置登録エリアの候補となるセルが増加するに従って単調増加する。従って、位置登録エリアの候補となるセルとして所定個のセルが選択された時点で、その時点における単位時間当たりの呼出信号数SPAより、それまでにセルを1つずつ増やす毎に演算した単位時間当たりの総制御信号数Sの中で単位時間当たりの最小の総制御信号数S´の方が小さければ、位置登録エリアの候補となるセルを更に増加させた場合における単位時間当たりの総制御信号数Sは、必ず、単位時間当たりの最小の総制御信号数S´より大きくなる。従って、それ以上、位置登録エリアの候補となるセルを増加させて総制御信号数Sを演算する意味はない。このため、位置登録エリア決定部33は、単位時間当たりの最小の総制御信号数S´に対応するセルの組み合わせを、総制御信号数を最小にする位置登録エリアとして決定する。
【0059】
図6は、位置登録エリア決定部33の動作の一例を示すフローチャートである。位置登録エリア決定部33は、移動局10から送信される位置登録要求を取得すると、当該移動局10が新たに在圏するセルによって構成される位置登録エリアの候補について、単位時間当たりの総制御信号数Sを演算する(ステップ101)。更に、位置登録エリア決定部33は、ステップ101において得られた総制御信号数Sを、単位時間当たりの最小の総制御信号数S´として設定する(ステップ102)。
【0060】
次に、位置登録エリア決定部33は、履歴情報に基づいて、次のセルを追加し、移動局10が在圏するセルと、追加したセルとによって構成される位置登録エリアの候補について、単位時間当たりの総制御信号数Sを演算する(ステップ103)。更に、位置登録エリア決定部33は、ステップ103において得られた総制御信号数Sの方が総制御信号数S´より小さいか否かを判定する(ステップ104)。総制御信号数Sの方が総制御信号数S´より小さい場合、位置登録エリア決定部33は、ステップ103において得られた総制御信号数Sを、新たな単位時間当たりの最小の総制御信号数S´として設定する(ステップ105)。一方、総制御信号数Sが総制御信号数S´以上である場合には、位置登録エリア決定部33は、このステップ105の処理を行わない。
【0061】
次に、位置登録エリア決定部33は、最新に演算した単位時間当たりの呼出信号数SPAの方が総制御信号数S´より小さいか否かを判定する(ステップ106)。最新に演算した単位時間当たりの呼出信号数SPAの方が総制御信号数S´より小さい場合、位置登録エリア決定部33は、次のセルを追加し、移動局が在圏するセルと、追加した全てのセルとによって構成される位置登録エリアについて、単位時間当たりの総制御信号数Sを演算する(ステップ107)。その後、位置登録エリア決定部33は、ステップ104以降の動作を繰り返す。
【0062】
一方、最新に演算した単位時間当たりの呼出信号数SPAが総制御信号数S´以上である場合、位置登録エリア決定部33は、総制御信号数がS´となるセルの組み合わせを、総制御信号数を最小にする位置登録エリアとして決定する(ステップ108)。
【0063】
次に、移動局10が過去において、図7に示すような単一の経路を移動し、履歴情報が図8に示すように構成される場合を例に、位置登録エリアの決定処理を説明する。なお、図7において、セルAとセルBの境界が位置登録エリアの境界であるものとする。また、移動局10に対応する呼出頻度情報は0.6とする。
【0064】
移動局10が図7におけるセルAからセルBに進入し、位置登録エリアを出た場合、位置登録エリア決定部33は、図7の最初の履歴情報と呼出頻度情報とに基づいて、セルBを位置登録エリアの候補とした場合における単位時間当たりの総制御信号数Sを算出する。
【0065】
S=0.6×(1+1)+2/0.4=6.2 (1)
更に、位置登録エリア決定部33は、(1)式により得られた、セルBを位置登録エリアの候補とした場合における総制御信号数Sを、単位時間当たりの最小の総制御信号数S´として設定する。
【0066】
次に、位置登録エリア決定部33は、図7の2番目の履歴情報と呼出頻度情報とに基づいて、セルBに加えて更にセルCを位置登録エリアの候補として追加した場合における単位時間当たりの総制御信号数Sを算出する。
【0067】
S=0.6×(2+1)+2/(0.4+0.4)=4.2 (2)
更に、位置登録エリア決定部33は、(2)式により得られた、セルB及びセルCを位置登録エリアの候補とした場合における単位時間当たりの総制御信号数S(4.2)と、単位時間当たりの最小の総制御信号数S´(6.2)とを比較する。ここでは、セルB及びセルCを位置登録エリアの候補とした場合における単位時間当たりの総制御信号数Sの方が単位時間当たりの最小の総制御信号数S´よりも小さい。このため、位置登録エリア決定部33は、セルB及びセルCを位置登録エリアの候補とした場合における総制御信号数Sを、新たな単位時間当たりの最小の総制御信号数S´(4.2)として設定する。また、位置登録エリア決定部33は、その時点での単位時間当たりの呼出信号数SPA(1.8)と単位時間当たりの最小の総制御信号数S´(4.2)とを比較し、単位時間当たりの最小の総制御信号数S´の方が大きいため、単位時間当たりの総制御信号数Sの演算を継続する。
【0068】
以下、位置登録エリア決定部33は、移動経路に沿ってセルを1つずつ追加しつつ、単位時間当たりの総制御信号数Sを演算し、単位時間当たりの最小の総制御信号数S´との比較を行う。
【0069】
即ち、位置登録エリア決定部33は、セルDを追加した場合には、セルB乃至セルDを位置登録エリアの候補とした場合における総制御信号数S=0.6×(3+1)+2/(0.4+0.4+0.3)=4.22を演算する。更に、位置登録エリア決定部33は、この単位時間当たりの総制御信号数S(4.22)の方が単位時間当たりの最小の総制御信号数S´(4.2)よりも大きいため、新たに単位時間当たりの最小の総制御信号数S´を設定しない。また、位置登録エリア決定部33は、その時点での単位時間当たりの呼出信号数SPA(2.4)と単位時間当たりの最小の総制御信号数S´(4.2)とを比較し、単位時間当たりの最小の総制御信号数S´の方が大きいため、単位時間当たりの総制御信号数Sの演算を継続する。
【0070】
次に、位置登録エリア決定部33は、セルEを追加した場合には、セルB乃至セルEを位置登録エリアの候補とした場合における総制御信号数S=0.6×(4+1)+2/(0.4+0.4+0.3+0.6)=4.18を演算する。更に、位置登録エリア決定部33は、この単位時間当たりの総制御信号数S(4.18)の方が単位時間当たりの最小の総制御信号数S´(4.2)よりも小さいため、新たな単位時間当たりの最小の総制御信号数S´(4.18)を設定する。また、位置登録エリア決定部33は、その時点での単位時間当たりの呼出信号数SPA(3.0)と単位時間当たりの最小の総制御信号数S´(4.18)とを比較し、単位時間当たりの最小の総制御信号数S´の方が大きいため、単位時間当たりの総制御信号数Sの演算を継続する。
【0071】
次に、位置登録エリア決定部33は、セルFを追加した場合には、セルB乃至セルFを位置登録エリアの候補とした場合における総制御信号数S=0.6×(5+1)+2/(0.4+0.4+0.3+0.6+0.6)=4.47を演算する。更に、位置登録エリア決定部33は、この単位時間当たりの総制御信号数S(4.47)の方が単位時間当たりの最小の総制御信号数S´(4.18)よりも大きいため、新たに単位時間当たりの最小の総制御信号数S´を設定しない。また、位置登録エリア決定部33は、その時点での単位時間当たりの呼出信号数SPA(3.6)と単位時間当たりの最小の総制御信号数S´(4.18)とを比較し、単位時間当たりの最小の総制御信号数S´の方が大きいため、単位時間当たりの総制御信号数Sの演算を継続する。
【0072】
次に、位置登録エリア決定部33は、セルGを追加した場合には、セルB乃至セルGを位置登録エリアの候補とした場合における総制御信号数S=0.6×(6+1)+2/(0.4+0.4+0.3+0.6+0.6+0.5)=4.90を演算する。更に、位置登録エリア決定部33は、この単位時間当たりの総制御信号数S(4.90)の方が単位時間当たりの最小の総制御信号数S´(4.18)よりも大きいため、新たに単位時間当たりの最小の総制御信号数S´を設定しない。また、位置登録エリア決定部33は、その時点での単位時間当たりの呼出信号数SPA(4.2)と単位時間当たりの最小の総制御信号数S´(4.18)とを比較し、その時点での単位時間当たりの呼出信号数SPA(4.2)の方が大きいため、単位時間当たりの総制御信号数Sの演算を終了する。
【0073】
この時、最小の単位時間当たりの総制御信号数S´(4.18)は、セルB乃至セルEが位置登録エリアの候補として選択された場合における総制御信号数である。このため、位置登録エリア決定部33は、セルB乃至セルEを位置登録エリアとして決定する。
【0074】
次に、移動局10が過去において、複数の経路を移動した場合について考える。位置登録エリア決定部33は、履歴情報データベース40から移動局10の履歴情報と呼出頻度情報とを取得する。更に、位置登録エリア決定部33は、移動局10の履歴情報に応じた過去の移動経路に沿って、位置登録エリアの候補となるセルを、当該移動局10が在圏するセルから順次1つずつ増やしながら、履歴情報に基づいて単位時間当たりの位置登録信号数SLUを演算するとともに、呼出頻度情報に基づいて単位時間当たりの呼出信号数SPAを演算する。更に、位置登録エリア決定部33は、これら単位時間当たりの位置登録信号数SLUと、単位時間当たりの呼出信号数SPAをとを加算した総制御信号数Sを演算する。
【0075】
具体的には、位置登録エリア決定部33は、過去の移動経路に沿って位置登録エリアの候補となるセルを選択した場合、以下の数4を用いて単位時間当たりの位置登録信号数SLUを演算する。
【0076】
【数4】
数4において、Tiは、選択されたセルを含む過去の移動経路のうち、i番目の移動経路について、移動局10が位置登録エリアの境界を跨った後に通過する各セルにおける在圏時間の合計値である。また、数4において、Piは、i番目の移動経路について、移動局10が位置登録エリアの境界を跨った後に当該移動経路に沿って移動する確率(移動確率)である。
【0077】
なお、数4において、係数の2は、数1と同様、移動局10が位置登録エリア決定装置30へ送信する位置登録要求と、位置登録エリア決定装置30が当該位置登録要求に基づいて移動局10へ送信する応答との双方を考慮したものである。
【0078】
例えば、図9に示すように、移動局10が過去において、位置登録エリアの境界を跨った後に、経路1(セルA、セルB、セルC、セルD、セルE、セルF、セルG、セルHの順)、経路2(セルA、セルB、セルC、セルD、セルIの順)、経路3(セルA、セルB、セルC、セルD、セルE、セルJの順)に移動した場合を考える。位置登録エリアの候補として、セルA、セルB、セルC、セルD、セルE、セルF、セルIの7個のセルが選択された場合、経路1に対応する在圏時間の合計値T1は、当該経路1に対応する各セルの在圏時間(セルAについてTA、セルBについてTB、セルCについてTC、セルDについてセルC、セルD、セルEの順に通過した場合におけるTD1、セルEについてセルD、セルE、セルFの順に通過した場合におけるTE1)の和となる。一方、経路1に対応する移動確率P1は、セルDにおいて経路1と経路2とに分岐し、セルEにおいて経路1と経路3に分岐していることを考慮すると、セルCからセルDへ移動した移動局10が更にセルEへ移動する確率PCDEとセルDからセルEへ移動した移動局10が更にセルFへ移動する確率PDEFとの積となる。
【0079】
同様に、経路2に対応する在圏時間の合計値T2は、当該経路2に対応する各セルの在圏時間(セルAについてTA、セルBについてTB、セルCについてTC、セルDについてセルC、セルD、セルIの順に通過した場合におけるTD2、セルIについてTI)の和となる。一方、経路2に対応する移動確率P2は、セルDにおいて経路1と経路2とに分岐していることを考慮すると、セルCからセルDへ移動した移動局10が更にセルIへ移動する確率PCDIになる。
【0080】
また、経路3に対応する在圏時間の合計値T3は、当該経路3に対応する各セルの在圏時間(セルAについてTA、セルBについてTB、セルCについてTC、セルDについてセルC、セルD、セルEの順に通過した場合におけるTD1、セルEについてセルD、セルE、セルJの順に通過した場合におけるTE2)の和となる。一方、経路3に対応する移動確率P3は、セルDにおいて経路1と経路2とに分岐し、セルEにおいて経路1と経路3に分岐していることを考慮すると、セルCからセルDへ移動した移動局10が更にセルEへ移動する確率PCDEとセルDからセルEへ移動した移動局10が更にセルJへ移動する確率PDEJとの積となる。
【0081】
また、位置登録エリア決定部33は、位置登録エリアの候補としてN個のセルを選択した場合、上述した数2を用いて単位時間当たりの呼出信号数SPAを演算する。
【0082】
更に、位置登録エリア決定部33は、位置登録エリアの候補としてN個のセルを選択した場合、以下の数5を用いて単位時間当たりの総制御信号数Sを演算する。
【0083】
【数5】
位置登録エリア決定部33は、位置登録エリアの候補となるセルを1つずつ増やす毎に、この数5により単位時間当たりの総制御信号数Sを演算する。但し、位置登録エリア決定部33は、位置登録エリアの候補となるセルとして所定個のセルを選択した時点で、その時点における単位時間当たりの呼出信号数SPAより、それまでにセルを1つずつ増やす毎に演算した単位時間当たりの総制御信号数Sの中での最小の総制御信号数S´の方が小さくなった場合には、単位時間当たりの総制御信号数Sの演算を停止し、その単位時間当たりの最小の総制御信号数S´に対応するセルの組み合わせを、総制御信号数を最小にする位置登録エリアとして決定する。
【0084】
図10は、位置登録エリア決定部33の動作の他の例を示すフローチャートである。位置登録エリア決定部33は、移動局10から送信される位置登録要求を取得すると、当該移動局10が新たに在圏するセルを位置登録エリアの候補とした場合における、単位時間当たりの総制御信号数Sを演算する(ステップ201)。更に、位置登録エリア決定部33は、ステップ201において得られた総制御信号数Sを、単位時間当たりの最小の総制御信号数S´として設定する(ステップ202)。
【0085】
次に、位置登録エリア決定部33は、過去の移動経路に沿って位置登録エリアの候補となるセルを1つ増やし(ステップ203)、移動局10が在圏するセルと、追加したセルとの2個のセルによって構成される位置登録エリアの候補のそれぞれについて、単位時間当たりの総制御信号数Sを演算する(ステップ204)。
【0086】
更に、位置登録エリア決定部33は、ステップ204において得られた総制御信号数Sのうち、最小のものを制御信号数S´´として設定する(ステップ205)。
【0087】
次に、位置登録エリア決定部22は、制御信号数S´´の方が総制御信号数S´より小さいか否かを判定する(ステップ206)。総制御信号数S´´の方が総制御信号数S´より小さい場合、位置登録エリア決定部33は、総制御信号数S´´を新たな単位時間当たりの最小の総制御信号数S´として設定する(ステップ207)。一方、総制御信号数S´´が総制御信号数S´以上である場合には、位置登録エリア決定部33は、このステップ207の処理を行わない。
【0088】
次に、位置登録エリア決定部33は、最新に演算した単位時間当たりの呼出信号数SPAの方が総制御信号数S´より小さいか否かを判定する(ステップ208)。最新に演算した単位時間当たりの呼出信号数SPAの方が総制御信号数S´´より小さい場合、位置登録エリア決定部33は、過去の移動経路に沿って次のセルを追加し、移動局が在圏するセルと、追加した全てのセルとのN個のセルによって構成される位置登録エリアの候補について、単位時間当たりの総制御信号数Sを演算する(ステップ210)。更に、位置登録エリア決定部33は、ステップ210において得られた総制御信号数Sのうち、最小のものを制御信号数S´´として設定する(ステップ211)。その後、位置登録エリア決定部33は、ステップ206以降の動作を繰り返す。
【0089】
一方、最新に演算した単位時間当たりの呼出信号数SPAが総制御信号数S´以上である場合、位置登録エリア決定部33は、総制御信号数がS´となるセルの組み合わせを、総制御信号数を最小にする位置登録エリアとして決定する(ステップ212)。
【0090】
位置登録エリア決定部33は、上述した手順により、単位時間当たりの総制御信号数を最小にする位置登録エリアを決定すると、位置情報データベース50に対し、位置登録要求を送信する。この位置登録要求には、位置登録エリアの登録対象となっている移動局10の識別情報と、単位時間当たりの総制御信号数を最小にする位置登録エリアを構成するセルのセル識別情報とが含まれる。位置情報データベース50は、この位置登録要求を受信すると、保持している移動局10に対応する位置登録エリアの情報(位置情報)を更新し、位置登録エリア決定部33へ応答(位置登録応答)を返す。位置登録エリア決定部33は、この位置登録応答を、送受信部31及び基地局20を介して移動局10へ送信する。
【0091】
次に、シーケンス図を参照しつつ、移動通信システム1の動作を説明する。図11は、履歴情報の格納時における移動通信システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0092】
移動局10は、保持しているセル識別情報及び時刻に基づいて、履歴情報を生成し、基地局20へ送信する(ステップ301)。基地局20は、この履歴情報を履歴情報データベース40へ送信する(ステップ302)。
【0093】
履歴情報データベース40は、移動局10から送信される履歴情報を受信すると、当該履歴情報を格納する(ステップ303)。更に、履歴情報データベース40は、履歴情報の格納が完了した旨の応答(履歴情報格納応答)を基地局20へ送信する(ステップ304)。基地局20は、この履歴情報格納応答を移動局10へ送信する(ステップ305)。移動局10は、この履歴情報格納応答により、履歴情報データベース40に自局の履歴情報が格納されたことを認識する。なお、履歴情報データベース40内の履歴情報が更新される場合にも、同様の動作が行われる。
【0094】
図12は、位置登録エリア決定時における移動通信システム1の動作を示すシーケンス図である。移動局10は、基地局20から送信される報知情報を受信する(ステップ401)。更に、移動局10は、この報知情報に位置登録エリア識別情報が含まれていない場合、移動局10が位置登録エリアの境界を跨ったことを検出する(ステップ402)。この場合、移動局10は、基地局20へ位置登録要求を送信する(ステップ403)。更に、基地局20は、この位置登録要求を位置登録エリア決定装置30へ送信する(ステップ404)。
【0095】
位置登録エリア決定装置30は、位置登録エリア要求を受信すると、最適な位置登録エリア、具体的には、単位時間当たりの総制御信号数が最小になる位置登録エリアを決定する(ステップ405)。この際、位置登録エリア決定装置30は、移動局10の履歴情報が必要となる毎に、履歴情報データベース40に対し、当該移動局10の履歴情報を要求し(ステップ406)、取得する(ステップ407)。
【0096】
更に、位置登録エリア決定装置30は、位置情報データベース50に対し、移動局10の識別情報と、単位時間当たりの総制御信号数を最小にする位置登録エリアを構成するセルのセル識別情報とを含んだ位置登録要求を送信する(ステップ408)。位置情報データベース50は、この位置登録要求を受信すると、保持している移動局10の位置情報を更新し(ステップ409)、位置登録エリア決定装置30へ位置登録応答を返す(ステップ410)。位置登録エリア決定装置30は、この位置登録応答を基地局20へ送信する(ステップ411)。更に、基地局20は、受信した位置登録応答を移動局10へ送信する(ステップ412)。移動局10は、この位置登録応答により、位置情報データベース50内の自局の位置情報が更新されたことを認識する。
(第2実施例)
ところで、上述した第1実施例では、位置登録エリア決定装置30が、移動局10が登録されるべき最適なエリアを決定したが、移動局が自ら登録されるべき最適なエリアを決定しても良い。
【0097】
図13は、第2実施例における移動通信システムの構成例を示す図である。同図に示す移動通信システム100は、移動局110、基地局120及び位置情報管理データベース150を備える。この移動通信システム100では、移動局110は、1又は複数のセルによって構成される位置登録エリアに対する移動局110の進入及び進出の態様の履歴に基づいて、位置登録信号の数と呼出信号の数との和が最小になる位置登録エリアを決定する。
【0098】
移動局110は、送受信部111、履歴情報記録部112、メモリ113、境界跨り検出部114及び位置登録エリア決定部115を備える。送受信部111が報知情報を受信してから履歴情報記録部112がセル識別情報と時刻とを対応付けてメモリ113に格納するまでの処理は、第1実施例と同様であるので、その説明は省略する。
【0099】
その後、履歴情報記録部112は、所定のタイミング(例えば1日1回)でメモリ13に格納された、セル識別情報及び時刻を読み出し、移動局110の履歴情報を生成する。具体的な生成手順は、第1実施例の履歴情報データベース40における手順と同様であるので、その説明は省略する。更に、履歴情報記録部112は、生成した履歴情報を位置登録エリア決定部115へ送る。なお、履歴情報記録部112がメモリ13に格納されたセル識別情報及び時刻を読み出して位置登録エリア決定部115へ送り、当該位置登録エリア決定部115が移動局110の履歴情報を生成するようにしても良い。
【0100】
境界跨り検出部114は、予め、自局が在圏する位置登録エリアを構成するセルのセル識別情報を保持している。そして、境界跨り検出部114は、送受信部111から送られるセル識別情報が保持しているセル識別情報の何れにも一致しない場合、移動局110が位置登録エリアの境界を跨ったことを検出し、その旨を位置登録エリア決定部115へ通知する。
【0101】
位置登録エリア決定部115は、予め移動局110の呼出頻度情報を保持するとともに、履歴情報記録部112から送られる履歴情報あるいは自らが生成した履歴情報を保持する。更に、位置登録エリア決定部115は、境界跨り検出部114から移動局10が位置登録エリアの境界を跨った旨の通知が送られると、移動局110が登録されるべき最適なエリア、具体的には、単位時間当たりの総制御信号数を最小にする位置登録エリアを決定する。具体的な位置登録エリアの決定手順は、第1実施例における位置登録エリア決定装置30内の位置登録エリア決定部33における手順と同様であるので、その説明は省略する。
【0102】
位置登録エリア決定部115は、単位時間当たりの総制御信号数を最小にする位置登録エリアを決定すると、送受信部111及び基地局120を介して、位置情報データベース150に対し、位置登録要求を送信する。この位置登録要求には、位置登録エリアの登録対象となっている移動局110の識別情報と、単位時間当たりの総制御信号数を最小にする位置登録エリアを構成するセルのセル識別情報とが含まれる。位置情報データベース150は、この位置登録要求を受信すると、保持している移動局110に対応する位置情報を更新し、移動局110へ位置登録応答を返す。
【0103】
次に、シーケンス図を参照しつつ、移動通信システム100の動作を説明する。図14は、位置登録エリア決定時における移動通信システム100の動作を示すシーケンス図である。
【0104】
移動局110は、基地局120から送信される報知情報を受信する(ステップ501)。更に、移動局110は、この報知情報に位置登録エリア識別情報が含まれていない場合、移動局110が位置登録エリアの境界を跨ったことを検出する(ステップ502)。この場合、移動局110は、最適な位置登録エリア、具体的には、単位時間当たりの総制御信号数が最小になる位置登録エリアを決定する(ステップ503)。
【0105】
更に、移動局110は、基地局120へ移動局110の識別情報と、単位時間当たりの総制御信号数を最小にする位置登録エリアを構成するセルのセル識別情報とを含んだ位置登録要求を送信する(ステップ504)。基地局120は、この位置登録要求を位置情報データベース150へ送信する(ステップ505)。
【0106】
位置登録情報データベース150は、位置登録要求を受信すると、保持している移動局110の位置情報を更新し(ステップ506)、基地局120へ位置登録応答を返す(ステップ507)。基地局120は、受信した位置登録応答を移動局110へ送信する(ステップ508)。移動局110は、この位置登録応答により、位置情報データベース150内の自局の位置情報が更新されたことを認識する。
【0107】
このように、本実施形態の移動通信システムでは、移動局あるいは履歴情報データベースが、移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴(履歴情報)を保持し、位置登録エリア決定装置あるいは移動局が、この履歴情報に基づいて、移動局が登録されるべき最適な位置登録エリア、具体的には、単位時間当たりの総制御信号数が最小になる位置登録エリアを決定する。従って、位置登録エリア決定装置あるいは移動局は、過去において移動局がどこから進入してきたのかについても認識することができ、移動局のセルに対する進入及び進出に基づく移動方向を考慮して、無線リソースの効率的な利用を図ることが可能な位置登録エリアを決定することができる。
【0108】
また、本実施形態の移動通信システムでは、履歴情報データベースあるいは移動局が、移動局の呼出頻度情報を保持し、位置登録エリア決定装置あるいは移動局が、履歴情報とともに呼出頻度情報を利用して、移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定する。従って、位置登録エリア決定装置あるいは移動局は、移動局のセルに対する進入及び進出に基づく移動方向のみならず、移動局の呼出頻度を考慮した、より適切な位置登録エリアの決定が可能となる。
【0109】
なお、上述した実施形態では、移動局が1つのセルを1回だけ通過する場合を例に説明したが、同一のセルを複数回通過する場合もあり得る。このような場合には、数2を用いて単位時間当たりの呼出信号数SPAを演算する際に、一度通過したセルが追加された際には、セルの個数Nを増加させないようにすれば良い。
【発明の効果】
上述の如く、本発明によれば、移動局の移動方向を考慮した適切な位置登録エリアの決定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の位置登録エリアと移動局の移動経路との関係を示す図である。
【図2】第1実施例における移動通信システムの構成例を示す図である。
【図3】セルと移動経路との関係の第1の例を示す図である。
【図4】履歴情報の一例を示す図である。
【図5】呼出頻度情報の一例を示す図である。
【図6】位置登録エリア決定部の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】セルと移動経路との関係の第2の例を示す図である。
【図8】履歴情報の他の例を示す図である。
【図9】セルと移動経路との関係の第3の例を示す図である。
【図10】位置登録エリア決定部の動作の他の例を示すフローチャートである。
【図11】第1実施例における履歴情報格納時の移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図12】第1実施例における位置登録エリア決定時の移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図13】第2実施例における移動通信システムの構成例を示す図である。
【図14】第2実施例における位置登録エリア決定時の移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
1、100 移動通信システム
10、110 移動局
11、31、111 送受信部
12、112 履歴情報記録部
13、113 メモリ
14、114 境界跨り検出部
20、120 基地局
30 位置登録エリア決定装置
33、115 位置登録エリア決定部
40 履歴情報データベース
50、150 位置情報データベース
Claims (15)
- 移動通信システムにて、移動局が登録されるべき1又は複数のセルによって構成される位置登録エリアを決定する位置決定方法において、
前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴を保持する手順と、
前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴に基づいて、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定する手順と、
を備えることを特徴とする位置決定方法。 - 請求項1に記載の位置決定方法において、
前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴は、1の進入元のセルから進入して進出先のセルへ進出する確率を含むことを特徴とする位置決定方法。 - 請求項2に記載の位置決定方法において、
前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴は、対応するセルにおける前記移動局の過去の在圏時間を含むことを特徴とする位置決定方法。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の位置決定方法において、
更に前記移動局の呼出頻度の履歴を保持する手順を備え、
前記位置登録エリアを決定する手順は、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴と、前記移動局の呼出頻度の履歴とに基づいて、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定することを特徴とする位置決定方法。 - 請求項1乃至4の何れかに記載の位置決定方法において、
前記位置登録エリアを決定する手順は、単位時間当たりの位置登録信号の数と呼出信号の数との和が最小になる位置登録エリアを決定することを特徴とする位置決定方法。 - 移動局と、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定する位置決定装置とを有する移動通信システムにおいて、
前記移動局は、
該移動局のセルに対する進入及び進出の態様を前記位置決定装置へ通知する進入出態様通知手段を備え、
前記位置決定装置は、
前記移動局の前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴を保持する進入出態様履歴保持手段と、
前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴に基づいて、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定する位置登録エリア決定手段と、
を備えることを特徴とする移動通信システム。 - 請求項6に記載の移動通信システムにおいて、
前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴は、1の進入元のセルから進入して進出先のセルへ進出する確率を含むことを特徴とする移動通信システム。 - 請求項7に記載の移動通信システムにおいて、
前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴は、対応するセルにおける前記移動局の過去の在圏時間を含むことを特徴とする移動通信システム。 - 請求項6乃至8の何れかに記載の移動通信システムにおいて、
更に前記移動局の呼出頻度の履歴を保持する呼出頻度履歴保持手段を備え、
前記位置登録エリア決定手段は、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴と、前記移動局の呼出頻度の履歴とに基づいて、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定することを特徴とする移動通信システム。 - 請求項6乃至9の何れかに記載の移動通信システムにおいて、
前記位置登録エリア決定手段は、単位時間当たりの位置登録信号の数と呼出信号の数との和が最小になる位置登録エリアを決定することを特徴とする移動通信システム。 - 移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定する位置決定装置において、
前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴に基づいて、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定する位置登録エリア決定手段を備えることを特徴とする位置決定装置。 - 請求項11に記載の位置決定装置において、
前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴は、1の進入元のセルから進入して進出先のセルへ進出する確率を含むことを特徴とする位置決定装置。 - 請求項12に記載の位置決定装置において、
前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴は、対応するセルにおける前記移動局の過去の在圏時間を含むことを特徴とする位置決定装置。 - 請求項11乃至13の何れかに記載の位置決定装置において、
前記位置登録エリア決定手段は、前記移動局のセルに対する進入及び進出の態様の履歴と、前記移動局の呼出頻度の履歴とに基づいて、該移動局が登録されるべき位置登録エリアを決定することを特徴とする位置決定装置。 - 請求項11乃至14の何れかに記載の位置決定装置において、
前記位置登録エリア決定手段は、単位時間当たりの位置登録信号の数と呼出信号の数との和が最小になる位置登録エリアを決定することを特徴とする位置決定装置。
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