−−−ネットワーク構成の例−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の通信制御システム100を含むネットワーク構成図である。図1に示す通信制御システム100は、所定領域での無線通信に伴う各移動体における伝送容量の偏りを低減可能とするコンピュータシステムである。
本実施形態では、移動体の一例として列車を想定する。列車は、様々な線区における各駅の間をダイヤに従って運行されている。また各列車はそれぞれに通信装置を備えて、駅施設や運行管理センタなど適宜な上位装置と通信を行い、運行状況等の管理情報や乗客向けコンテンツ等の各データを授受している。勿論、こうした列車は移動体としての一例であって、これに限定しない。
図1にて示すネットワーク構成においては、本実施形態の通信制御システム100を主として構成する通信制御スケジュール作成装置103が、適宜な内部ネットワーク111を介して、ダイヤ管理装置101、ダイヤ予測装置102、および進路制御装置105とデータ通信可能に結ばれている。こうした構成において、通信制御スケジュール作成装置103は、ダイヤ予測装置102による予測ダイヤを基に、列車107の通信制御スケジュールを作成する。また、作成した通信制御スケジュールは、ネットワーク110を介してパケット化され、広域無線通信装置108ないし狭域無線通信装置109によって列車107に配信される。列車107は、こうして受信した通信制御スケジュールを基に通信制御を行うこととなる。
上述のネットワーク構成のうち、ダイヤ管理装置101は、列車107の運行計画であるダイヤを管理する装置である。ダイヤ管理装置101として、例えば従来から存在する運行管理システム等の一部機能を有する情報処理装置を想定出来る。このダイヤ管理装置101は、内部ネットワーク111を介して、ダイヤ予測装置102、通信制御スケジュール作成装置103、および進路制御装置105と接続されている。
また、ダイヤ予測装置102は、列車107における将来の運行状況を予測する装置である。ダイヤ予測装置102として、例えば従来から存在する運行管理システム等の一部機能を有する情報処理装置を想定出来る。このダイヤ予測装置102は、内部ネットワーク111を介して、ダイヤ管理装置101、通信制御スケジュール作成装置103、および進路制御装置105と接続されている。
また、通信制御スケジュール作成装置103は、ダイヤ予測装置102によって作成された予測ダイヤを基に、列車107の通信制御スケジュールを作成する装置である。この通信制御スケジュール作成装置103は、内部ネットワーク111を介して、ダイヤ管理装置101、ダイヤ予測装置102、ディスプレイ104、および進路制御装置105に接続されている。
また、ディスプレイ104は、上述の通信制御スケジュール作成装置103が出力する情報を表示し、鉄道会社の担当者等に閲覧させるための表示装置である。当該ディスプレイ104が表示する画面としては、例えば、通信制御スケジュール作成用の各種設定情報の入力を上述の担当者等に促す入力インターフェイス等を想定出来る。
また、進路制御装置105は、ダイヤ管理装置101から提供されるダイヤを基に、連動装置106を制御する装置である。この連動装置106は、信号機や転てつ機などの沿線設備の制御や状態監視を行う装置である。進路制御装置105は、ダイヤ管理装置101、ダイヤ予測装置102、通信制御スケジュール作成装置103、および連動装置106に接続されている。
また、列車107は、線路上を移動する移動体であり、広域無線通信装置108ないし狭域無線通信装置109と通信し、ネットワーク110を介して通信制御スケジュール作成装置103に接続されている。
上述の広域無線通信装置108は、駅施設や線路沿線に設置され、電波を用いて列車107の通信装置との間でメッセージやパケットを交換するための装置である。この広域無線通信装置108は、携帯電話網など広域での通信に対応した通信装置である。また、当該広域無線通信装置108は、上述したとおり、ネットワーク110を介して、通信制御スケジュール作成装置103に接続されている。
一方、狭域無線通信装置109は、駅施設や線路沿線に設置され、電波を用いて列車107の通信装置との間でメッセージやパケットを交換するための装置である。この狭域無線通信装置109は、無線LANのアクセスポイント等を想定出来る。そのため、無線LAN電波の到達範囲といった狭い領域内に存在する列車107と通信可能である。また、当該狭域無線通信装置109は、上述したとおり、ネットワーク110を介して、通信制御スケジュール作成装置103に接続されている。
なお、ネットワーク110は、上述の広域無線通信装置108および狭域無線通信装置109との間、また、通信制御スケジュール作成装置103との間のそれぞれで規定された通信プロトコルに応じて、送受信対象の情報をパケット化する処理と、パケットから情報を再構成する処理、および、情報ないしパケット等を電波、光、音、電気信号などの媒体によりケーブル上で送信する処理、を適宜に実行するための、ルータ等のネットワーク機器やケーブルから構成される。こうした構成については内部ネットワーク111についても同様である。
−−−装置構成の例−−−
図2A〜図2Gに基づき、上述のネットワーク構成が含む各装置の構成例について説明する。なお、特に図示していない場合でも、いずれの装置も情報処理装置としての一般的な構成、機能は備えているものとする。
図2Aにて示すダイヤ管理装置101は、機能として、実績ダイヤ作成機能201および実績ダイヤ配信機能202を備え、また、情報として、列車の運行計画である実施ダイヤ203および列車の走行実績である実績ダイヤ204を備える。
このうち実績ダイヤ作成機能201は、進路制御装置105から送信された実績ダイヤを基に、複数の進路制御装置105からの実績ダイヤをマージするなど、整合性の取れた実績ダイヤを作成する。また、実績ダイヤ配信機能202は、作成した実績ダイヤをダイヤ予測装置102に配信する。
図2Bにて示すダイヤ予測装置102は、情報として、実施ダイヤ207、実績ダイヤ208、および予測ダイヤ209を備え、機能として、予測機能205および予測ダイヤ配信機能206を備える。
このうち予測機能205は、実施ダイヤ207、実績ダイヤ208を基に将来の列車の運行状況である予測ダイヤ209を作成する。また、予測ダイヤ配信機能206は、予測ダイヤ209を通信制御スケジュール作成装置103に配信する。
図2Cにて示す通信制御スケジュール作成装置103は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される記憶装置1031、RAMなど揮発性記憶素子で構成されるメモリ1033、記憶装置1031に保持されるプログラム1032をメモリ1033に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUなどの演算装置1034、ネットワークと接続し他装置との通信処理を担う通信装置1035、を備える。
なお、記憶装置1031内には、必要な機能である通信制御スケジュール作成機能210および通信制御スケジュール配信機能211を実装する為のプログラム1032の他、予測ダイヤ212、対応無線媒体情報213、通信干渉箇所情報214、ダイヤ−位置対応情報215、狭域無線通信装置情報216、通信制御設定情報217、および通信制御スケジュール218、が少なくとも記憶されている。
当該通信制御スケジュール作成装置103における通信制御スケジュール作成機能210は、上述の予測ダイヤ212、対応無線媒体情報213、通信干渉箇所情報214、ダイヤ−位置対応情報215、狭域無線通信装置情報216、通信制御設定情報217に基づき、通信制御スケジュール218を作成する。
また、通信制御スケジュール配信機能211は、通信制御スケジュール作成機能210が作成した通信制御スケジュールを、広域無線通信装置108、狭域無線通信装置109、ネットワーク110を介して列車107に配信する。
また、記憶装置1031で保持する情報のうち、予測ダイヤ212は、上述のダイヤ予測装置102から得た情報である。また、対応無線媒体情報213は、列車毎の対応無線媒体を示す情報である。また、通信干渉箇所情報214は、線路上で通信が干渉する箇所を示す情報である。また、ダイヤ−位置対応情報215は、ダイヤと物理的な位置の関係を示す情報である。また、狭域無線通信装置情報216は、狭域無線通信装置毎の設定と通信可能範囲を示す情報である。また、通信制御設定情報217は、通信制御スケジュール作成時の判断基準である。また、通信制御スケジュール218は、列車毎の通信制御のスケジュールである。各情報の具体的なデータ構成の例は後述する。
また、図2Dにて示す進路制御装置105は、情報として、実施ダイヤ221および実績ダイヤ222を備え、機能として、採時機能219および実績ダイヤ配信機能220を備える。
このうち、採時機能219は、実施ダイヤ221と連動装置106から受信した設備状態情報から実績ダイヤ222を作成する。また、実績ダイヤ配信機能220は、実績ダイヤ222をダイヤ管理装置101へ配信する。
図2Eにて示す列車107は、一般的に列車が備えるべき主要な機構等は当然備えている。更に、本実施形態の列車107は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される記憶装置1071、RAMなど揮発性記憶素子で構成されるメモリ1073、記憶装置1071に保持されるプログラム1072をメモリ1073に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUなどの演算装置1074、ネッ
トワークと接続し他装置との通信処理を担う通信装置1075、を備える。
なお、記憶装置1071内には、必要な機能である通信制御スケジュール要求機能223および通信制御機能224を実装する為のプログラム1072の他、通信制御スケジュール225が少なくとも記憶されている。
このうち、通信制御スケジュール要求機能223は、広域無線通信装置108、狭域無線通信装置109、ネットワーク110を介して、通信制御スケジュール作成装置103に通信制御スケジュールを要求する。また、通信制御機能224は、通信制御スケジュール作成装置103から受信した通信制御スケジュール225に基づいて通信の制御を行う。
図2Fにて示す広域無線通信装置108は、光、音、電気信号などを用いたメッセージやパケットを、電波を用いたメッセージやパケットに変換する通信機能226を備える。
図2Gにて示す狭域無線通信装置109は、光、音、電気信号などを用いたメッセージやパケットを、電波を用いたメッセージやパケットに変換する通信機能227を備える。−−−線路とダイヤの具体例−−−
図3に本実施形態で想定する線路配線と予測ダイヤの例を示す。ここで示す線路配線において、線路301および線路302は線区Xの線路であり、線路303は線区Yの線路である。また、網掛けの領域304は狭域無線による通信が不可能な領域である。
また、列車305は列番「X−A」で示される列車、列車306は列番「X−B」で示される列車、列車307は列番「X−C」で示される列車、列車308は列番「X−D」で示される列車、列車309は列番「Y−E」で示される列車である。
また、ダイヤ図上の折れ線311は、列車305である「Aレ」の予測ダイヤ図、折れ線312は列車306である「Bレ」の予測ダイヤ図、折れ線313は列車307である「Cレ」の予測ダイヤ図、折れ線314は列車308である「Dレ」の予測ダイヤ図、折れ線315は列車309である「Eレ」の予測ダイヤ図である。
−−−各情報等の構成−−−
続いて本実施形態の実施ダイヤおよび実績ダイヤの具体的なデータ構成例について示す。図4Aは実施ダイヤのデータ構成例を示す図である。この実施ダイヤは、ダイヤ管理装置101における実施ダイヤ203、ダイヤ予測装置102における実施ダイヤ207、および進路制御装置105における実施ダイヤ221を示すものである。すなわち、当該実施ダイヤは予め作成しておき、ダイヤ管理装置101から、ダイヤ予測装置102、進路制御装置105に配信することで、各装置が保持しているものとなる。
こうした実施ダイヤにおいて、「列番」401は、列車の識別子である値である。また、「駅」402は、「列番」401で指定される列車が通る駅名である。また、「番線」403は、「列番」401で指定される列車が、「駅」402で使用する番線である。
また、「計画到着時刻」404は、「列番」401で指定される列車が、「駅」402に到着する計画上の時刻である。また、「計画出発時刻」405は、「列番」401で指定される列車が、「駅」402を出発する計画上の時刻である。
例えば、「列番」401が「X−A」で「駅」402が「N」の「番線」403は「1」であり、「計画到着時刻」404は「11:49:30」であり、「計画出発時刻」4
05は「11:50:00」である。なお、「列番」401の「X−A」の頭文字は線区を表しており、ここでは線区Xを示している。
次に、実績ダイヤについて説明する。図4Bは実績ダイヤのデータ構成例を示す図である。この実績ダイヤは、ダイヤ管理装置101における実績ダイヤ204、ダイヤ予測装置102における実績ダイヤ208、および進路制御装置105における実績ダイヤ222を示すものである。
すなわち、当該実績ダイヤは連動装置106からの情報を基に進路制御装置105の採時機能219が作成し、進路制御装置105の実績ダイヤ配信機能220がダイヤ管理装置101に配信し、ダイヤ管理装置101の実績ダイヤ配信機能202がダイヤ予測装置102に配信してなるものである。
こうした実績ダイヤにおいて、「列番」441は、列車の識別子である。また、「駅」442は、「列番」441で指定される列車が実際に通った駅名である。また、「番線」443は、「列番」441で指定される列車が、「駅」442で実際に使用した番線である。
また、「実績到着時刻」444は、「列番」441で指定される列車が、「駅」442に実際に到着した時刻である。また、「実績出発時刻」445は、「列番」441で指定される列車が、「駅」442を実際に出発した時刻である。
例えば、「列番」441が「X−A」で「駅」442が「N」の「番線」403は「1」であり、「実績到着時刻」444は「11:50:00」であり、「実績出発時刻」445は「11:50:30」である。
図5Aは、本実施形態における予測ダイヤのデータ構成例を示す図である。この予測ダイヤは、通信制御スケジュール作成装置103における予測ダイヤ213、および、ダイヤ予測装置102における予測ダイヤ209を示すものである。
すなわち、当該予測ダイヤは、実施ダイヤ207、実績ダイヤ208を基に、ダイヤ予測装置102の予測機能205が作成し、予測ダイヤ配信機能206によって通信制御スケジュール作成装置103に配信されてなるものである。
こうした予測ダイヤにおいて、「列番」501は、列車の識別子である値である。また、「駅」502は、「列番」501で指定される列車が通る駅名である。また、「番線」503は、「列番」501で指定される列車が「駅」502で使用する番線である。
また、「予測到着時刻」504は、「列番」501で指定される列車が「駅」502に到着することが予測される時刻である。また、「予測出発時刻」505は、「列番」501で指定される列車が「駅」502を出発することが予測される時刻である。
例えば、「列番」501が「X−A」で「駅」502が「P」の「番線」503は「2」、「予測到着時刻」504は「12:00:00」であり、「予測出発時刻」505は「12:00:30」である。
図5Bは、本実施形態における対応無線媒体情報213のデータ構成例を示す図である。本実施形態の対応無線媒体情報213において、「列番」531は、列車の識別子である。また、「通信媒体」532は、「列番」531で指定される列車が対応している無線媒体を読点区切りで示す値である。例えば、「列番」531が「A」の「通信媒体」53
2は「狭域無線、広域無線」である。対応無線媒体情報213は予め作成しておく。
図5Cは、本実施形態における通信干渉箇所情報214について説明する。本実施形態の通信干渉箇所情報214において、「ID」551は、通信干渉箇所を特定するための識別子である。また、「線区」552は、通信干渉箇所が存在する線区である。また、「発駅」553、「発番線」554、「着駅」555、「着番線」556は、「発駅」553、「発番線」554を出発し、「着駅」555、「着番線」556に着する経路に通信干渉箇所が存在することを示す値である。例えば、「ID」551が「1」の情報としては、「線区」552が「X」であり、「発駅」553が「P」であり、「発番線」554が「2」であり、「着駅」555が「Q」であり、「着番線」556が「2」のものと、「線区」552が「X」であり、「発駅」553が「Q」であり、「発番線」554が「3」であり、「着駅」555が「P」であり、「着番線」556が「3」のものがある。これは、線区Xにおいて、P駅の2番線を出発して、Q駅の2番線に到着する経路と、線区Xにおいて、Q駅の3番線を出発して、P駅の3番線に到着する経路で、通信の干渉が発生することを表している。通信干渉箇所情報214は予め作成しておく。
図6Aは本実施形態におけるダイヤ−位置対応情報215のデータ構成例を示す図である。本実施形態のダイヤ−位置対応情報215において、「ダイヤ」601は、線区、発駅、発番線、着駅、着番線、および割合の値で構成される。
ここで、割合は、発駅、発番線を出発し、着駅、着番線に到着する経路において、出発地点を0、到着地点を1とした場合の経路上の位置を示している。また、「位置」602はダイヤ−位置対応情報215におけるデータであり、「ダイヤ」601に対応する物理的な位置が記載される。ここでは「位置」602は、緯度、経度で表されている。例えば、「ダイヤ」601での「線区」が「X」であり、「発駅」が「P」であり、「発番線」が「2」であり、「着駅」が「Q」であり、「着番線」が「2」であり、「割合」が「0.1」あるものの「位置」602は、「経度」が「139.7311」であり、「緯度」が「35.7629」である。ダイヤ−位置対応情報215は予め作成しておく。
図6Bは本実施形態における狭域無線通信装置情報216のデータ構成例を示す図である。本実施形態の狭域無線通信装置情報216において、「基地局ID」621は、無線LANのSSID(Service Set Identifier)のような、当該狭域無線通信装置109を特定するための識別子である。
また、「チャンネル」622は、「基地局ID」621で特定される狭域無線通信装置109が使用する周波数帯域を特定する値である。また、「通信可能範囲」623は、「基地局ID」621で特定される狭域無線通信装置109が通信可能な範囲であり、「線区」、「発駅」、「発番線」、「着駅」、「着番線」、「開始点」、「終了点」で表されている。
ここで、開始点、終了点は、発駅、発番線を出発し、着駅、着番線に到着する経路において、出発地点を0、到着地点を1とした場合の経路上の位置を示しており、開始点から終了点までの経路上の範囲が通信可能であることを示している。
例えば、「基地局ID」621が「W2」の狭域無線通信装置109の「チャンネル」622は「2」であり、「通信可能範囲」623は「線区」が「X」、「発駅」が「Q」、「発番線」が「2」、「着駅」が「R」、「着番線」が「2」、「開始点」が「0」、「終了点」が「0.1」であるものと、「線区」が「X」、「発駅」が「R」、「発番線」が「3」、「着駅」が「Q」、「着番線」が「3」、「開始点」が「0.9」、「終了点」が「1」であるものがある。狭域無線通信装置情報216は予め作成しておく。
ここでは、広域無線通信装置108は、明示的に基地局IDやチャンネルを指定せずに接続可能としているため、狭域無線通信装置についてのみの情報を保持しているが、他の無線方式においても類似の情報が必要な場合は、通信制御スケジュール作成装置103はその情報を保持しておく。
図6Cは本実施形態における通信制御設定情報217のデータ構成例を示す図である。本実施形態の通信制御設定情報217において、「項目」641は、通信制御設定情報217の項目の名称である。また、「設定値」642は、「項目」641に対応する設定値である。ここでは、行643は「データ量」が「100MB」であることを示しており、行644は「通信干渉時間」が「20秒」であることを示しており、行645は「将来通信不可時間」が「30秒/180秒」であることを示しており、行646は「将来通信干渉時間」が「60秒/180秒」であることを示している。こうした各項目の詳細な意味については、図7Aの説明において述べる。通信制御設定情報217は予め作成しておく。
図6Dは本実施形態における通信制御スケジュールのデータ構成例を示す図である。本実施形態の通信制御スケジュールは、通信制御スケジュール作成装置103における通信制御スケジュール218、および列車107における通信制御スケジュール225を示すものである。
すなわち、当該通信制御スケジュールは、予測ダイヤ212、対応無線媒体情報213、通信干渉箇所情報214、ダイヤ−位置対応情報215、狭域無線通信装置情報216、通信制御設定情報217を基に、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が作成し、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール配信機能211が車両107に配信してなるものである。
当該通信制御スケジュールにおいて、「列番」661は、対象となる列車の列番である。また、「時刻」662は、「列番」661で示される列車107が、通信制御を行う開始時刻と終了時刻である。
また、「通信媒体」663は、「列番」661で示される列車107が、「時刻」662において使用する通信媒体である。また、「通信方式」664は、「列番」661で示される列車107が、「時刻」662において使用する通信方式である。
また、「基地局ID」665は、「列番」661で示される列車107が、「時刻」662においてが使用する無線通信装置を特定するIDである。
ここでは、広域無線通信装置108は、明示的に基地局IDを指定せずに接続可能とし、「通信方式」664が「広域無線」の場合は「基地局ID」665を記載していない。「チャンネル」666は通信制御スケジュールにおけるデータであり、「列番」661で示される列車107が、「時刻」662において使用する無線帯域を示す値が記載されている。ここでは、広域無線通信装置108は、明示的にチャンネルを指定せずに接続可能とし、「通信方式」664が「広域無線」の場合は「チャンネル」666を記載していない。
例えば、「列番」661が「X−A」の列車107の「時刻」662が「11:59:30−12:00:30」の間の通信制御スケジュールは、「通信媒体」663が「狭域無線」で、「通信方式」664が「伝送容量優先」で、「基地局ID」665が「W1」で、「チャンネル」666が「1」である。
−−−通信制御方法のフロー例1−−−
以下、本実施形態における通信制御方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する通信制御方法に対応する各種動作は、通信制御システム100を構成する情報処理装置がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
図7Aは、本実施形態における通信制御方法のフロー例1を示す図である。より具体的には、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210のプログラムフローである。
当該フローにおいて、まず、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、予測ダイヤ212に含まれる全列車について、以降の702、703の処理を行う(701)。
続いて通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、予測ダイヤ212および通信干渉箇所情報214を参照して、通信干渉箇所に存在することが予測される列車、時間帯、および通信干渉箇所のIDの組を抽出する(702)。
例えば、予測ダイヤ212のレコード506とレコード507から、列番「X−A」の列車はP駅の2番線を発車し、Q駅の2番に到着することが分かる。これは、通信干渉箇所情報214のレコード557に対応している。この場合、抽出する時間帯は、列番「X−A」の列車がP駅の2番線を発車してから、Q駅の2番に到着するまでの時間帯とする。また、予測ダイヤ212のレコード507とレコード508は、通信干渉箇所情報214のレコード559に対応している。同様にして、列番「X−A」の列車については、図7Bに示すように、データが抽出される。
続いて通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、予測ダイヤ212、対応無線媒体情報213、および狭域無線通信装置情報216を参照して、通信制御スケジュール218を作成する(703)。
この場合、通信制御スケジュール作成機能210は、通信制御スケジュール218における通信方式664は「伝送容量優先」とした上で、対応無線媒体情報213、狭域無線通信装置情報216を参照して、狭域無線で通信可能な時間帯は狭域無線で通信するように、また、狭域無線で通信不可能な時間帯のうち、広域無線で通信可能な時間帯は広域無線で通信するように通信制御スケジュールを作成する。なお、予測ダイヤ212には駅の到着予測時刻504と出発予測時刻505のみしか存在しないため、途中の箇所での時刻は、到着予測時刻504と出発予測時刻505を用いて、既知の技術により補間する。
例えば、通信制御スケジュール作成機能210は、対応無線媒体情報213のレコード533から列番「X−A」の列車は狭域無線に対応していることを特定できる。そこで通信制御スケジュール作成機能210は、狭域無線通信装置情報216を参照して、列番「X−A」の列車が狭域無線で通信できる場合は、狭域無線で通信するスケジュールを作成する。
なお、図6Bで例示した狭域無線通信装置情報216から、Q駅には基地局ID「W2」の狭域無線通信が、R駅には基地局ID「W3」の狭域無線通信が存在していることが分かる。また、図6Bの狭域無線通信装置情報216では示していないが、P駅には基地局ID「W1」の狭域無線通信が存在しているとする。なお、図6Bで例示した狭域無線通信装置情報216のデータを、各駅の配置等も含めて視覚的に示した場合、図7Cに示す構成となる。
このため、ステップ703で作成される、列番「X−A」の列車の通信制御スケジュールは図7Dに示すものとなる。後のステップ714では、このように列車同士の通信の干渉を考慮に入れずに作成した通信制御スケジュールに対して修正を加えることとなる。
なお、図5Aの予測ダイヤ212で示される全列車について、ステップ702を実行した結果は、図7Eに示すものとなる。
次に、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、上述の702で抽出した全情報(図7Eのデータ)について、以降の705〜715の処理を行う(704)。
まず、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、702で抽出した情報、予測ダイヤ212、ダイヤ−位置対応情報215を用いて、同一時間帯に同一通信干渉箇所に存在し、通信制御設定情報217の通信干渉時間を超えて通信が干渉することが予測される他の列車が存在するか判定する(705)。
この場合、通信制御スケジュール作成機能210は、ステップ702で抽出した情報(図7E)において、例えば、#1と#5のデータは、通信干渉箇所IDが同一で、時間帯が重なっていることから、互いに通信干渉対象となる可能性があると特定する。そして通信制御スケジュール作成機能210は、この#1と#5の列車について、予測ダイヤ212とダイヤ−位置対応情報215から、通信が干渉すると予測される、より正確な時刻を算出する。ここでは、予測ダイヤ212とダイヤ−位置対応情報215を使用して、通信が干渉する可能性のある時間帯での複数の列車間の距離を算出し、算出された距離が一定値以内ならば、通信が干渉することが予測されるとする。
また通信制御スケジュール作成機能210は、予測ダイヤ212には駅の到着予測時刻504と出発予測時刻505のみしか存在しないため、途中の箇所での時刻は、到着予測時刻504と出発予測時刻505を用いて、既知の技術により補間する。
そして通信制御スケジュール作成機能210は、通信制御設定情報217の通信干渉時間644を超えて通信が干渉することが予測されるか否か判定する。ここでは、#1と#5の列車は12:00:30−12:02:30の時間帯に通信が干渉することが予測され、通信制御設定情報217の通信干渉時間644の「20秒」を超えている。
そこで、通信制御スケジュール作成機能210は、当該列車が存在すると判定し(705:Yes)、処理をステップ706に進める。他方、該当列車が存在しないと判定した場合(705:No)、通信制御スケジュール作成機能210は、処理を705に戻す。
次に、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、上述の705で特定した、同一時間帯に同一通信干渉箇所に存在する複数列車、すなわち#1と#5の列車の中で、通信制御スケジュール作成装置103に優先的に送るべきデータを保持する列車が存在するか判定する(706)。
この判定の結果、該当列車が存在することが判明した場合(706:Yes)、通信制御スケジュール作成機能210は、処理を707に進める。他方、該当列車が存在しないことが判明した場合(706:No)、通信制御スケジュール作成機能210は、処理を708に進める。例えば、上述の列車のうち、#5の列車が優先的に送るべきデータを保持しているとした場合、ステップ707に進む。
次に、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、上述の706で存在すると判断された列車以外の列車、すなわち#1の列車に関して、メモリ1033等で保持する通信抑制度として「4」を加算する(707)。この通信抑制度の値は、通信の干渉発生対象とされた他の列車とくらべ通信の必要度が低く、通信を抑制すべきとする程度を示す値である。値が大きいほど通信を抑制すべき移動体、ということになる。
続いて通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、上述の705で抽出された、同一時間帯に同一通信干渉箇所に存在する複数列車、すなわち#1と#5の列車の中で、通信制御スケジュール作成装置103から送るべきデータが、通信制御設定情報217のデータ量643の値よりも大きい列車が存在するか判定する(708)。
この判定の結果、該当列車が存在することが判明した場合(708:Yes)、通信制御スケジュール作成機能210は、処理を709に進める。他方、該当列車が存在しないことが判明した場合(708:No)、通信制御スケジュール作成機能210は、処理を710に進める。
続いて、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、上述の708で存在すると判断された列車以外の列車の通信抑制度に「3」を加算する(709)。
また、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、予測ダイヤ212、対応無線媒体情報213、および狭域無線通信装置情報216を用いて、上述の705で抽出された、同一時間帯に同一通信干渉箇所に存在する複数列車、すなわち#1と#5の列車の中で、当該時間帯の終了時刻から、通信制御設定情報217の将来通信不可時間645の分母に示される時間の範囲内で、通信制御設定情報217の将来通信不可時間645の分子に示される時間を超えて通信不可の時間が発生することが予測される列車が存在するか判定する(710)。
なお、通信制御スケジュール作成機能210は、予測ダイヤ212には駅の到着予測時刻504と出発予測時刻505のみしか存在しないため、途中の箇所での時刻は、到着予測時刻504と出発予測時刻505を用いて、既知の技術により補間する。
上述の判定の結果、該当列車が存在することが判明した場合(710:Yes)、通信制御スケジュール作成機能210は、処理を711に進める。他方、該当列車が存在しないことが判明した場合(710:No)、通信制御スケジュール作成機能210は、処理を712に進める。
次に、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、710で存在すると判断された列車以外の列車の通信抑制度に「2」を加算する(711)。
また、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、702で抽出した情報、予測ダイヤ212、およびダイヤ−位置対応情報215を用いて、705で抽出された、同一時間帯に同一通信干渉箇所に存在する複数列車、すなわち#1と#5の列車の中で、当該時間帯の終了時刻から、通信制御設定情報217の将来通信干渉時間646の分母に示される時間の範囲内で、通信制御設定情報217の将来通信干渉時間646の分子に示される時間を超えて通信が干渉する時間が発生することが予測される列車が存在するか判定する(712)。ここで通信制御スケジュール作成機能21
0は、上述の705と同様の手法で、他の列車との通信干渉時間を予測する。
上述の判定の結果、該当列車が存在することが判明した場合(712:Yes)、通信制御スケジュール作成機能210は、処理を713に進める。他方、該当列車が存在しないことが判明した場合(712:No)、通信制御スケジュール作成機能210は、処理を714に進める。
次に通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、上述の712で存在すると判断された列車以外の列車の通信抑制度に「1」を加算する(713)。
次に、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、上述の707、709、711、および713でそれぞれ設定された、列車毎の通信抑制度の値に基づいて、通信制御スケジュール(703で作成したもの)を修正する(714)。
ここで通信制御スケジュール作成機能210は、上述の通信抑制度が1以上2以下の場合は、通信制御スケジュールの当該列車のレコードのうち、時刻662の値が、705で算出した通信干渉時間に該当するレコードにおける通信方式664を、「通信品質優先」とする。
また通信制御スケジュール作成機能210は、通信抑制度が3以上の場合は、通信制御スケジュールの当該列車のレコードのうち、時刻662の値が、705で算出した通信干渉時間に該当するレコードにおける、通信媒体663、通信方式664、基地局ID665、およびチャンネル666の各値を空欄にするなどし、当該列車に関して705で算出された通信干渉時間での通信を抑制するスケジュールとする。
例えば、#1の列車、すなわち、列番「X−A」の列車の「12:00:30−12:02:30」の時間帯の通信抑制度が「4」である場合、通信制御スケジュール作成機能210は、当該列車「X−A」の当該時間帯の通信を抑制するよう、図6Dの通信制御スケジュールのうちレコード668の、通信媒体663、通信方式664、基地局ID665、およびチャンネル666の各値を空欄にする処理を行い、通信制御スケジュールを修正する。
次に通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、702で抽出した情報から、今回ループでの比較対象となった情報、すなわち図7Eのデータのうち、#1と#5のデータを削除する(715)。
なお、上述のステップ705〜715の2回目のループ実行時に関して、更に説明すると以下のとおりとなる。
この場合、通信制御スケジュール作成機能210は、ステップ702で抽出した情報(図7E)において、#2と#8のデータは、通信干渉箇所IDが同一で、時間帯が重なっており、互いに通信干渉対象となる可能性ありと判定する(705)。
次に通信制御スケジュール作成機能210は、上記と同様に通信が干渉することが予測される時間を算出し、#2と#8の列車は「12:07:30−12:09:30」の時間帯に通信が干渉することが予測され、通信制御設定情報217の通信干渉時間644の「20秒」を超えていると判定する。この場合、処理をステップ706に進める。
次に通信制御スケジュール作成機能210は、上述の#2と#8の列車の中で、通信制御スケジュール作成装置103に優先的に送るべきデータを保持する列車が存在するか否かを判定する(706)。ここでは、対象となる列車は存在しないとし、ステップ708に進む。
また、通信制御スケジュール作成機能210は、#2と#8の列車の中で、通信制御スケジュール作成装置103から送るべきデータが、通信制御設定情報217のデータ量643の値よりも大きい列車が存在するか否かを判定する(708)。ここでは、対象となる列車は存在しないとし、ステップ710に進む。
次に通信制御スケジュール作成機能210は、#2と#8の列車の中で、干渉時間帯の終了時刻(=12:09:30)から、通信制御設定情報217の将来通信不可時間645の分母に示される時間の範囲内で、通信制御設定情報217の将来通信不可時間645の分子に示される時間を超えて通信不可の時間が発生することが予測される列車が存在するか判定する(710)。
ここでは、#8の列車、すなわち、列番「X−B」の列車が、直後に通信不可領域304に入り、上記閾値を超えて通信不可の時間が発生するとし、ステップ711に進む。
次に、通信制御スケジュール作成機能210は、直後に通信不可となる列車以外の列車である#2の列車の通信抑制度に「2」を加算する(711)。
また、通信制御スケジュール作成機能210は、#2と#8の列車の中で、干渉時間帯の終了時刻(=12:09:30)から、通信制御設定情報217の将来通信干渉時間646の分母に示される時間の範囲内で、通信制御設定情報217の将来通信干渉時間646の分子に示される時間を超えて通信が干渉する時間が発生することが予測される列車が存在するか判定する(712)。ここでは、対象となる列車は存在しないとし、ステップ714に進む。
次に通信制御スケジュール作成機能210は、通信抑制度に基づいて、通信制御スケジュールを修正する(714)。ここでは、#2の列車、すなわち、列番「X−A」の列車の「12:07:30−12:09:30」の時間帯の通信抑制度が「2」なので、当該列車の当該時間帯の通信方式を「通信品質優先」にするよう、上述の1回目のループ同様、通信制御スケジュールを修正する。
次に通信制御スケジュール作成機能210は、抽出情報から今回対象情報を削除する(715)。すなわち、図7Eのデータのうち、#2と#8のデータを削除する。通信制御スケジュール作成機能210は、以降同様に、図7Eのデータについて、ステップ705〜715を実行する。
−−−通信制御方法のフロー例2−−−
図8は通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール配信機能211のプログラムフローである。ここでは、列車107が、通信制御スケジュール作成装置103に対して、主体的に通信制御スケジュールを要求する状況を想定する。
この場合、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール配信機能211が、列車107から通信制御スケジュール要求を受信する(801)。
次に、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール配信機能211が、受信した通信制御スケジュール要求に、「優先度高」、すなわち、優先的にデータ送信
すべき列車である旨の情報が設定されているか否か判定する(802)。
この判定の結果、該当情報が設定されている場合(802:Yes)、通信制御スケジュール配信機能211は、処理を803に進める。他方、該当情報が設定されていない場合(802:No)、通信制御スケジュール配信機能211は、処理を804に進める。
次に通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール配信機能211が、対象列車について、現在時刻から一定時間は、通信干渉対象となる列車の通信を抑制し、通信方式664を「伝送容量優先」とするように、通信制御スケジュールを修正する(803)。この修正の手法についてはフロー例1で示したとおりである。
次に、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール配信機能211が、通信制御スケジュール要求を送信した列車107に、通信制御スケジュールを送信し(804)、当該フローを終了する。
−−−通信制御方法のフロー例3−−−
図9は列車107の通信制御スケジュール要求機能223と通信制御機能224のプログラムフローである。このフローは、上述のフロー例2で通信制御スケジュール作成装置103が受信した要求の発信元たる、列車107での処理について示すものである。
この場合、列車107の通信制御スケジュール要求機能223が、当該列車107から優先的に送るべきデータが存在するか判定する。例えば、優先的に送るべきデータに関して予め定めた属性やフラグが付与されたデータを、記憶装置1071にて検索し、当該検索で該当データが特定されるか判定することで当該処理を実行する。
上述の判定の結果、該当データが存在する場合(901:Yes)、通信制御スケジュール要求機能223は、処理を902に進める。他方、該当データが存在しない場合(901:No)、通信制御スケジュール要求機能223は、処理を903に進める。
次に、列車107の通信制御スケジュール要求機能223が、通信制御スケジュール要求に「優先度高」の値を設定する(S902)。また、列車107の通信制御スケジュール要求機能223が、通信制御スケジュール作成装置103に、通信制御スケジュール要求を送信する(S903)。
その後、列車107の通信制御機能224が、通信制御スケジュール作成装置103から、通信制御スケジュールの受信に成功したか否かを判定する(904)。成功した場合(904:Yes)、通信制御機能224は、処理を905に進める。他方、失敗した場合(904:No)、通信制御機能224は、処理を906に進める。
次に、列車107の通信制御機能224が、通信制御スケジュール作成装置103から受信した通信制御スケジュールに基づいて、当該列車107で保持する通信制御スケジュール225を更新する(S905)。
また、列車107の通信制御機能224が、当該列車107で保持する通信制御スケジュール225が現在時刻から一定時間内の過去のもの、すなわち適宜に新しいものか否かを判定する(906)。この判定の結果、一定期間内の場合(906:Yes)、通信制御機能224は、処理を907に進める。
この場合、列車107の通信制御機能224が、当該列車107で保持する通信制御スケジュール225に基づいて通信を行う(S907)。
他方、上述の判定の結果、当該列車107で保持する通信制御スケジュール225が一定期間内の新しいものでない場合(906:No)、通信制御機能224は、処理を908に進める。この場合、列車107の通信制御機能224が、当該列車107で保持する通信制御スケジュール225を使用せずに、予め定められた別の設定に従って通信を行う(S908)。
−−−通信制御方法の動作シーケンス例−−−
図10は本実施形態における動作シーケンスを示す図である。この動作シーケンスは、本実施形態におけるダイヤ管理装置101、ダイヤ予測装置102、通信制御スケジュール作成装置103、進路制御装置105、および列車107の動作シーケンスを示したものである。
この場合、進路制御装置105の実績ダイヤ配信機能220が、採時機能219により作成した実績ダイヤをダイヤ管理装置101に送信する(1001)。この処理は周期的に行われる。
また、ダイヤ管理装置101の実績ダイヤ作成機能201が、進路制御装置105から送信された実績ダイヤを基に実績ダイヤを作成する(1002)。この処理は周期的に行われる。
また、ダイヤ管理装置101の実績ダイヤ配信機能202が、作成した実績ダイヤをダイヤ予測装置102に送信する(1003)。この処理は周期的に行われる。
また、ダイヤ予測装置102の予測機能205が、ダイヤ管理装置101から送信された実績ダイヤを使用して、将来の列車の運行状況を予測する(1004)。この処理は周期的に行われる。
また、ダイヤ予測装置102の予測ダイヤ配信機能206が、通信制御スケジュール作成装置103に作成した予測ダイヤを送信する(1005)。この処理は、予測処理1004を実行した後に行われる。
また、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール作成機能210が、ダイヤ予測装置102から送信された予測ダイヤを使用して、図7Aで示される処理に従って、通信制御スケジュールを作成する(1006)。この処理は、ダイヤ予測装置102から予測ダイヤを受信した後に行われる。
また、列車107の通信制御スケジュール要求機能223が、通信制御スケジュール作成装置103に通信制御スケジュール要求1007を送信する(1007)。この処理は、周期的に、もしくは、列車107が一定時間通信不可の状態だった際は、通信可能になった際に行われる。
また、通信制御スケジュール作成装置103の通信制御スケジュール配信機能211が、列車107から送信された通信制御スケジュール要求を基に、図8で示される処理に従って、通信制御スケジュールを修正し、列車107に当該通信制御スケジュールを送信する(1008)。この処理は、列車107から通信制御スケジュール要求を受信した際に行われる。
また、列車107の通信制御機能224が、図9で示される処理に従って、通信制御ス
ケジュール作成装置103から送信された通信制御スケジュールを使用し、通信制御を行う(1009)。この処理は、常に行われる。
図11は、本実施形態の通信制御設定情報217の設定画面たるウィンドウ1101である。当該ウィンドウ1101は、通信制御設定情報217をユーザが設定するための画面である。その構成は、テキストボックス1102〜1107を備える。
このうちテキストボックス1102は、通信制御設定情報217のデータ量643を入力するエリアである。また、テキストボックス1103は、通信制御設定情報217の通信干渉時間644を入力するエリアである。
また、テキストボックス1104は、通信制御設定情報217の通信不可時間645の分子となる値を入力するエリアである。また、テキストボックス1105は、通信制御設定情報217の通信不可時間645の分母となる値を入力するエリアである。
また、テキストボックス1106は、通信制御設定情報217の通信干渉時間646の分子となる値を入力するエリアである。また、テキストボックス1107は、通信制御設定情報217の通信干渉時間646の分母となる値を入力するエリアである。
当該ウィンドウ1101を用いて、ユーザは事前に、通信制御スケジュール作成に使用する通信制御設定情報217を作成する。
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば上述した実施形態では、ダイヤ予測装置102と通信制御スケジュール作成装置103が別の装置となっているが、1つの装置であってもよい。また、通信制御スケジュールは列車の走行が終了すると予測される時間までのものを作成してもよいし、現在時刻から10分後までのように、一定の時間幅に限定して作成してもよい。
また図7Aでは、優先度の高い送信データがある列車が存在するか否かを確認する処理(706)、送信データ量が一定以上の列車が存在するか否かを確認する処理(707)、将来の通信不可時間が一定値以上の列車が存在するか否かを確認する処理(708)、将来の通信干渉時間が一定値以上の列車が存在するか否かを確認する処理(709)の順に処理を行っているが、各処理間の順序はこの通りでなくともよい。
また図7Aでは、優先度の高い送信データがある列車が存在するか否かを確認する処理(706)、送信データ量が一定以上の列車が存在するか否かを確認する処理(707)、将来の通信不可時間が一定値以上の列車が存在するか否かを確認する処理(708)、将来の通信干渉時間が一定値以上の列車が存在するか否かを確認する処理(709)でそれぞれ条件分岐をしているが、例えば、将来の通信不可時間に応じてスコアを算出し、将来の通信干渉時間に応じてスコアを算出し、算出されたスコアの合計が一定値以上ならば、通信制御スケジュールを修正する処理(710)を行う等、複数の判断基準を組み合わせた形で、通信制御スケジュールを修正する処理(710)を行うか否かの判断を行ってもよい。
こうした本実施形態によれば、 所定領域での無線通信に伴う各移動体における伝送容
量の偏りを低減することが可能となる。より具体的には、各移動体の移動の予測結果に基づいて、各移動体の将来的な通信状況を推定し、将来的な通信状況が他移動体と比べて劣る移動体については事前に優先的に通信させ、当該移動体の伝送容量が過度に小さなもの
とならぬよう制御出来る。
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の通信制御システムにおいて、前記演算装置は、前記通信状況の推定に際し、各移動体の通信が干渉する事態を推定した場合、当該干渉の発生が予測される時間帯に関して、前記必要度に応じ、当該各移動体のうちいずれかの移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成するものである、としてもよい。
これによれば、各移動体が狭いエリアに所在し、その通信が干渉する状況においても、各移動体のうち通信に関する必要度が低いものの当該通信を抑制すると共に、必要度が高いものについては当該通信を他移動体より優先させる、といった通信制御スケジュールを定め、ひいては各移動体における伝送容量が偏らないよう図ることが出来る。
前記演算装置は、優先的に送信すべきデータを保持する移動体の情報に基づき、前記干渉の発生が予測される時間帯に関して、当該移動体の前記必要度が他の移動体より高いと判定し、前記他の移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成するものである、としてもよい。
これによれば、重要なデータ送信を行うべき移動体に関して、その通信を優先する通信制御スケジュールを定めることが可能であり、当該移動体が所定領域の移動中に必要なデータ送信を実行出来ない結果となる事態を事前に回避出来る。
前記演算装置は、所定基準量以上の送信データを保持する移動体、または、所定基準量以上のデータの送信先となっている移動体、の情報に基づき、前記干渉の発生が予測される時間帯に関して、当該移動体の前記必要度が他の移動体より高いと判定し、前記他の移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成するものである、としてもよい。
これによれば、送受信するデータ量が他移動体よりも多い移動体に関して、その通信を優先する通信制御スケジュールを定めることが可能となり、当該移動体が所定領域の移動中に必要なデータ送信を完了出来ない結果となる事態を事前に回避出来る。
前記演算装置は、前記通信状況の推定に際し、前記干渉が所定時間以上継続する時間帯を推定した場合、当該干渉の発生が予測される時間帯に関して、前記必要度に応じ、当該各移動体のうちいずれかの移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成するものである、としてもよい。
これによれば、実質的に移動体の通信に影響を与えないような、ごく短時間のみ干渉が発生する時間帯(場所ともみなせる)に関して、通信制御スケジュールの生成処理等を行う事態を回避し、全体として処理効率を改善することが出来る。
前記演算装置は、前記通信状況の推定に際し、前記干渉の発生が予測される時間帯の終了時刻から所定時間以内に、一定時間を超えて通信不可となる事態が予測される移動体を特定した場合、前記干渉の発生が予測される時間帯に関して、当該移動体の前記必要度が他の移動体より高いと判定し、前記他の移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成するものである、としてもよい。
これによれば、他移動体との干渉に続いて通信不可の状況が到来する、すなわち相応の長時間に亘って伝送容量が低下する移動体を優先し、通信できるよう通信制御スケジュールを定めることが出来る。ひいては、所定領域での無線通信に伴う各移動体における伝送容量の偏りを低減することが出来る。
前記演算装置は、前記通信状況の推定に際し、前記干渉の発生が予測される時間帯の終了時刻から所定時間以内に、新たな干渉の発生が予測される移動体を特定した場合、前記干渉の発生が予測される時間帯に関して、当該移動体の前記必要度が他の移動体より高いと判定し、前記他の移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成するものである、としてもよい。
これによれば、他移動体との干渉に続いて更なる干渉が発生する、すなわち相応の長時間に亘って伝送容量が低下する移動体を優先し、通信できるよう通信制御スケジュールを定めることが出来る。ひいては、所定領域での無線通信に伴う各移動体における伝送容量の偏りを低減することが出来る。
前記演算装置は、前記必要度を判定するに際し、前記所定条件に応じて定まる、移動体における通信抑制の指標値を規定した情報に、当該将来位置での各移動体に関する前記所定条件を照合して、該当指標値を集計することで各移動体における通信の抑制程度を特定し、当該抑制程度に基づいて、当該各移動体のうちいずれの移動体の通信を抑制するか判定し、当該移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成するものである、としてもよい。
これによれば、干渉の発生対象である各移動体のうち、通信を抑制すべき移動体を効率的かつ迅速に特定し、精度良好に通信制御スケジュールを生成できる。ひいては、所定領域での無線通信に伴う各移動体における伝送容量の偏りを効率的に低減することが出来る。
本実施形態の通信制御方法において、前記情報処理システムが、前記通信状況の推定に際し、各移動体の通信が干渉する事態を推定した場合、当該干渉の発生が予測される時間帯に関して、前記必要度に応じ、当該各移動体のうちいずれかの移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成する、としてもよい。
本実施形態の通信制御方法において、前記情報処理システムが、優先的に送信すべきデータを保持する移動体の情報に基づき、前記干渉の発生が予測される時間帯に関して、当該移動体の前記必要度が他の移動体より高いと判定し、前記他の移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成する、としてもよい。
本実施形態の通信制御方法において、前記情報処理システムが、所定基準量以上の送信データを保持する移動体、または、所定基準量以上のデータの送信先となっている移動体、の情報に基づき、前記干渉の発生が予測される時間帯に関して、当該移動体の前記必要度が他の移動体より高いと判定し、前記他の移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成する、としてもよい。
本実施形態の通信制御方法において、前記情報処理システムが、前記通信状況の推定に際し、前記干渉が所定時間以上継続する時間帯を推定した場合、当該干渉の発生が予測される時間帯に関して、前記必要度に応じ、当該各移動体のうちいずれかの移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成する、としてもよい。
本実施形態の通信制御方法において、前記情報処理システムが、前記通信状況の推定に際し、前記干渉の発生が予測される時間帯の終了時刻から所定時間以内に、一定時間を超えて通信不可となる事態が予測される移動体を特定した場合、前記干渉の発生が予測される時間帯に関して、当該移動体の前記必要度が他の移動体より高いと判定し、前記他の移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成する、としてもよい。
本実施形態の通信制御方法において、前記情報処理システムが、前記通信状況の推定に際し、前記干渉の発生が予測される時間帯の終了時刻から所定時間以内に、新たな干渉の発生が予測される移動体を特定した場合、前記干渉の発生が予測される時間帯に関して、当該移動体の前記必要度が他の移動体より高いと判定し、前記他の移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成する、としてもよい。
本実施形態の通信制御方法において、前記情報処理システムが、前記必要度を判定するに際し、前記所定条件に応じて定まる、移動体における通信抑制の指標値を規定した情報に、当該将来位置での各移動体に関する前記所定条件を照合して、該当指標値を集計することで各移動体における通信の抑制程度を特定し、当該抑制程度に基づいて、当該各移動体のうちいずれの移動体の通信を抑制するか判定し、当該移動体の通信を抑制するよう通信制御スケジュールを生成する、としてもよい。