JP2004228434A - プリント配線基板製造方法及びレジスト除去装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】現像後に残存するレジスト残渣を除去した後、メッキ処理又はエッチング処理を行うように構成して、高細密で且つ強固な配線パターンを有したプリント配線基板を製造するプリント配線基板製造方法及びレジスト除去装置を提供する。
【解決手段】シード層生成工程1で、シード層101を基板100上に生成し、レジスト塗布工程2で、レジスト102をシード層101上に塗布する。そして、露光工程3と現像工程4を経て、レジスト102に配線パターンに対応した溝106を形成する。しかる後、レジスト残渣除去工程5を実行し、レジスト102内の残渣102bをアッシングする。具体的には、オゾンガスAをレジスト102に接触させると共に、赤外線Bをレジスト102全面に照射する。そして、メッキ工程6,レジスト剥離工程7,シード層除去工程8を実行し、シード層101に銅107が固着した所望の配線パターンのプリント配線基板を得る。
【選択図】 図2
【解決手段】シード層生成工程1で、シード層101を基板100上に生成し、レジスト塗布工程2で、レジスト102をシード層101上に塗布する。そして、露光工程3と現像工程4を経て、レジスト102に配線パターンに対応した溝106を形成する。しかる後、レジスト残渣除去工程5を実行し、レジスト102内の残渣102bをアッシングする。具体的には、オゾンガスAをレジスト102に接触させると共に、赤外線Bをレジスト102全面に照射する。そして、メッキ工程6,レジスト剥離工程7,シード層除去工程8を実行し、シード層101に銅107が固着した所望の配線パターンのプリント配線基板を得る。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子部品を搭載するためのプリント配線基板製造方法及びレジスト除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プリント配線基板の製造方法としては、大別して、サブトラクティブ法とアディティブ法とがある。
サブトラクティブ(Subtractive)法は、例えば、特許文献1に示すように、基板の銅箔上に積層されたレジストを露光及び現像して、配線パターンに対応したレジスト形状にした後、レジスト外に露出した余分な銅箔をエッチングで除去することにより、所望の配線パターンを有したプリント配線基板を得る方法である。
これに対して、アディティブ(Additive)法は、フルアディティブ(Full−Additive)法を開示した特許文献2に示すように、基板上に積層されたレジストのパターン溝内に銅メッキを行って、所望の配線パターンを基板上に形成する方法である。
このアディティブ法は、近年望まれている配線パターンの微細化に適した方法であり、その中でも、フルアディティブ法は理想的なプロセスとして開発が進められているが、有機材料のアルカリ耐性の問題があり、電気的メッキ法を使用するセミアディティブ(Semi−Additive)法が注目されている。
セミアディティブ法は、例えば、特許文献3に示すように、銅などの導電性物質でなるシード層を表面に有する基板に、レジストを塗布した後、このレジストを露光及び現像して配線パターンのレジスト溝を形成する。そして、電気メッキなどにより、銅などの導電性物質をこの溝内に析出させる。しかる後、レジストを除去すると共に、配線パターンに無関係な余分なシード層部分をエッチングして、微細な配線パターンを有したプリント配線基板を得る技術である。
【0003】
【特許文献1】
特開平07−106735号公報
【特許文献2】
特開平06−69632号公報
【特許文献3】
特開2002−180095号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の技術では、次のような問題がある。
上記したセミアディティブ法を含め、アディティブ法によるプリント配線基板製造においては、レジストを露光及び現像して配線パターンに対応したレジスト溝を形成し、電気メッキなどによって、銅などの導電性物質をこの溝内に析出させる必要があるが、レジストの現像後、レジスト溝の底などにレジストの残渣が残る。軽度であってもこのような残渣が存在すると、メッキパターンがマスクパターンを忠実に再現しないのは勿論のこと、溝内に入り込むメッキ液のいわゆる濡れ性が劣化し、析出した導電性物質がシード層に強固に密着せず、形成された配線パターンが不完全であったり、剥がれ易くなったりするおそれがある。
このレジスト残渣による濡れ性の劣化の問題は、アディティブ法だけでなく、サブトラクティブ法においても生じる。
すなわち、ウエットエッチングによる場合には、レジスト外の余分な銅箔上に残渣が残ることで、エッチング液等の溶媒である水の銅箔に対する濡れ性が劣化し、エッチングが十分に行われない。この結果、余分な銅箔が残り、ショートを招くおそれがある。また、パターンの溝幅により、エッチングの速度にバラツキが生じ寸法制御が難しい等の問題を生ずる。また、ドライエッチングによる場合にも、銅箔を覆うレジスト残渣が、エッチングガスと銅箔との反応を阻害して、十分なエッチングが不可能になる。
このように、レジスト残渣による問題は、早期に解決されるべき問題であり、特に、半導体ウエハと異なり、銅などの導電性物質をレジスト溝内に厚めに析出する必要があるプリント配線基板においては、レジスト残渣による濡れ性の劣化は致命的な欠陥になるおそれがある。
【0005】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、レジストの現像後に残存するレジスト残渣を除去した後、メッキ処理又はエッチング処理を行うように構成して、高細密で且つ強固な配線パターンを有したプリント配線基板を製造するプリント配線基板製造方法及びレジスト除去装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者等は、上記目的を達成するために、レジストの現像工程後に残渣を除去するためのレジスト残渣除去工程を設け、かかる除去工程を経てメッキ処理などの配線パターン生成工程を設けることを考案した。
このようなレジスト残渣除去法としては、低圧の酸素プラズマを用いる方法が一般的であるが、真空装置であり、価格的にも高いものである。
そのため、レジスト残渣除去工程として、半導体装置製造技術分野で用いられている酸素プラズマの電気的ストレスを解除する目的で開発され、レジスト剥離に用いられているオゾンガスと基板加熱とにより、レジスト残渣をアッシングすることを考案した。ここでは、オゾンがレジストより熱エネルギを受け取ることで活性化されるという原理を用いている。
かかるアッシング処理では、基板温度を例えば300℃という高温度まで上昇させて、オゾンガスとレジスト残渣との化学反応速度を高める必要がある。
半導体装置製造技術分野では、半導体ウエハをホットプレート上に載置して、ホットプレートにより半導体ウエハを上記高温まで裏面側から加熱するアッシング方法を採用している。シリコンで構成された半導体ウエハは、熱伝導率と耐熱性に優れ、かかる処理方法は効果的である。
しかし、プリント配線基板は、樹脂のベース基板表面に銅箔などの金属導電性物質を付着した構成となっているので、熱伝導率と耐熱性に劣る。したがって、プリント配線基板に対して上記アッシング方法をそのまま適用すると、樹脂のベース基板が焼損するなどの事態が発生し、好ましくない。また、低温で有機汚染等を分解洗浄する紫外光を用いてオゾンを生成分解するUVオゾン装置も市販されているが、加工レートは低く、レジスト残渣除去に適用することはできない。
【0007】
そこで、発明者等は、赤外線がレジストなどの有機物質に吸収され易い性質を有しているため、有機物質の温度上昇が高速で行われること、及び赤外線は銅箔などの金属導電性物質の表面で全反射する性質を有しているため、かかる物質の温度上昇に直接的には寄与しないこと、さらに、一般的には樹脂のベース基板の耐熱性がレジストに比べて高いこと、及びオゾンに対する分解性が低いことに着目した。
この結果、発明者等は、赤外線をプリント配線基板の被加工面に照射することにより、有機物であるレジスト残渣のみをほぼ選択的にアッシングすることができるという着想を得た。
【0008】
かかる着想に基づき、請求項1の発明は、基板の表面にレジストを塗布するレジスト塗布工程と、レジストを露光後、現像して、所定の溝をレジストに形成する露光及び現像工程と、露光及び現像工程実行後の基板の被加工面に、所定濃度のオゾンガスを接触させると共に、赤外線を基板の被加工面全面に照射することで、レジストの溝内に残存するレジスト残渣をアッシングするレジスト残渣除去工程と、レジスト残渣除去工程実行後の基板におけるレジストの溝内をメッキ処理又はエッチング処理することにより、所定の配線パターンを生成する配線パターン生成工程とを具備する構成とした。
かかる構成により、レジスト塗布工程において、レジストが基板の表面に塗布されると、露光及び現像工程において、レジストが露光後、現像され、所定の溝がレジストに形成される。そして、レジスト残渣除去工程を実行し、基板の被加工面に、所定濃度のオゾンガスを接触させると共に、赤外線を基板の被加工面全面に照射することで、レジストの溝内に残存するレジスト残渣がアッシングされる。しかる後、配線パターン生成工程の実行により、レジストの溝内がメッキ処理又はエッチング処理され、所定の配線パターンが基板に生成される。
【0009】
特に、請求項2の発明は、請求項1に記載のプリント配線基板製造方法において、レジスト残渣除去工程は、露光及び現像工程後の基板を収納するチャンバを、基板の被加工面に対向する壁部が被加工面に近接するように設定すると共に壁部に窓部を形成して赤外線透過性のある板材を取り付けることにより、小容積化し、且つ、赤外線ランプ又は赤外線を発光する能力を有する抵抗ヒータを、チャンバの板材の外側に配することにより、チャンバ内のオゾンガスを所定密度に維持した状態で、赤外線を板材を通して基板の被加工面全面に照射するものである構成とした。
かかる構成により、レジスト残渣除去工程において基板を収納するチャンバが、小容積化されるので、チャンバ内のオゾンガスが、拡散することなく、所定密度を維持する。
【0010】
また、窓部の板材は、赤外線透過性がある材質であれば良いが、材料的には限られ、高分子の重要な吸収帯のある5000nm以上まで良好な透過性を有する例として、請求項3の発明は、請求項2に記載のプリント配線基板製造方法において、板材を、シリコン,サファイア又はフッ化カルシウムのいずれかで形成した構成としてある。
【0011】
さらに、請求項4の発明は、請求項3に記載のプリント配線基板製造方法において、板材をシリコンで形成すると共に、チャンバ内の基板を囲むように複数の紫外線ランプを配設することにより、シリコンの板材による反射を利用して、紫外線を基板の被加工面全面に照射する構成とした。
かかる構成により、複数の紫外線ランプからの紫外線が、紫外線をある程度遮光するシリコンの板材によって反射され、紫外線が基板の被加工面全面に照射される。この結果、オゾンが基板表面近傍で分解され、レジストの残渣除去が加速される。
【0012】
ところで、上記のレジスト残渣除去工程を具体的に実行可能な装置も物の発明として成立する。
そこで、請求項5の発明は、基板を収納するためのチャンバ部と、このチャンバ部内に所定濃度のオゾンガスを供給するためのオゾン供給部と、チャンバ部内に収納された基板の被加工面に照射するための赤外線を発生する赤外線発生部とを具備するレジスト除去装置であって、チャンバ部は、基板の被加工面に近接して対向する壁部に、赤外線透過性を有する板材が嵌め込まれた窓部を有し、赤外線発生部は、チャンバ部の窓部の外側位置であって、赤外線を板材を通じて基板の被加工面全面に照射することができる位置に配置されている構成とした。
かかる構成により、基板をチャンバ部に収納し、所定濃度のオゾンガスをチャンバ部内に供給すると共に、窓部の外側位置にある赤外線発生部により、赤外線を発生すると、赤外線が窓部の板材を通じて基板の被加工面全面に照射し、被加工面のレジストなどを加熱し、オゾンガスとの反応速度を高める。
【0013】
また、窓部の板材は、赤外線透過性がある材質であれば良いが、好例として、請求項6の発明は、請求項5に記載のレジスト除去装置において、赤外線発生部を、赤外線ランプ又は抵抗ヒータで構成し、窓部の板材を、シリコン,サファイア又はフッ化カルシウムのいずれかで形成した構成としてある。
【0014】
さらに、請求項7の発明は、請求項6に記載のレジスト除去装置において、窓部の板材を、シリコンで形成し、複数の紫外線ランプを、チャンバ部内の基板を囲む位置に配設した構成としてある。
かかる構成により、基板を囲む位置に配設された複数の紫外線ランプからの紫外線が、シリコンの板材によって反射され、基板の被加工面全面に照射することで活性酸素の生成を加速するものである。この場合サファイア又はフッ化カルシウムは、紫外光も透過するので用いられない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態に係るセミアディティブ法によるプリント配線基板製造方法を示す工程図であり、図2は、各工程における基板の縦断面図である。
図1に示すように、この実施形態のプリント配線基板製造方法は、シード層生成工程1とレジスト塗布工程2と露光工程3と現象工程4とレジスト残渣除去工程5とメッキ工程6とレジスト剥離工程7とシード層除去工程8とを具備している。
【0016】
シード層生成工程1は、図2の(a)に示すように、ポリイミド等の樹脂製のベース基板100の表面に、シード層101を生成する工程であり、例えばスパッタ法によって、銅のシード層101を基板100上に形成する。
レジスト塗布工程2は、基板の表面にレジストを塗布する工程である。具体的には、図2の(b)に示すように、光感光性を有する樹脂のポジ型レジスト102をシード層101の表面にコーティングする。
露光工程3は、基板上のレジストを露光する工程である。具体的には、図2の(c)に示すように、所望の配線パターンに対応した開口104aを有するマスク104をレジスト102の上方に配し、紫外線Dをマスク104を介してレジスト102に照射する。
現像工程4は、基板上のレジストを現像して、所定の溝をレジストに形成する工程である。具体的には、図2の(d)に示すように、露光されたレジスト102を有した基板全体を現像液105に漬け、レジスト102を現像することで溝106を形成する。
【0017】
レジスト残渣除去工程5は、基板の被加工面としてのレジスト102の溝106内に残存するレジスト102の残渣をアッシングする工程である。
具体的には、図2の(e)に示すように、所定濃度のオゾンガスAをレジスト102に接触させると共に、赤外線Bをレジスト102全面に上方から照射する。
【0018】
図3は、このレジスト残渣除去工程5を実行するための装置を示す斜視図であり、図4は、一部破断して示すレジスト除去装置9の正面図である。
図3及び図4に示すように、このレジスト除去装置9は、チャンバ部10とオゾン供給部50と赤外線発生部60とを有している。
【0019】
チャンバ部10は、図1及び図2の(d)に示す現像工程4で得た基板200を収納するための室であり、レジスト除去装置9の筐体9a上に取り付けられている。
図5は、蓋を閉じた状態のチャンバ部10を示す縦断面図であり、図6は、蓋を開けた状態のチャンバ部10を示す縦断面図であり、図7は、チャンバ部10を一部破断して示すレジスト除去装置9の平面図である。
これらの図に示すように、チャンバ部10は、内室20と外室30と蓋40とで構成されている。
【0020】
内室20は、図3及び図4に示したように、外室30の底壁31に固定されたテーブル21上に載置固定されている。
この内室20は、矩形状の箱体であり、図7に示すように、側壁22とこの側壁22に対向する側壁23とに、複数の孔22a,23aが穿設されている。そして、図5に示すように、側壁22〜25上にO−リングシール26が取り付けられている。
かかる内室20は、薄く設定され、小容積化が図られている。例えば、この実施形態では、最大サイズ200mmの基板200を可能な限り小容積内に収納すべく、側壁22〜25の内側高さhが25mm、内側幅wが220mmに設定されている。
【0021】
一方、外室30は、内室20よりも大径の円筒状の箱体であり、外室30内面と内室20外面との間に排出ガス通路32が画成されている。そして、外室30の側壁には、図7に示すように、貫通孔33が穿設され、底壁31には、図5に示すように、排気口35が穿設されている。また、この側壁上にも、O−リングシール36が取り付けられている。
【0022】
蓋40は、このような外室30に開閉自在に組み付けられている。
具体的には、蓋40は、円板状体であり、その一端部がヒンジ41を介して外室30の上部外縁部に連結されると共に、取手42が当該一端部に対向する端部に取り付けられている。
また、蓋40には、窓部43が設けられている。この窓部43は、赤外線を透過させる性質(赤外線透過性)を有するシリコン,サファイヤ又はフッ化カルシウムのいずれかで形成された板材44を、内室20と略同形の矩形状開口に気密に嵌めた構造になっている。
かかる構造により、蓋40を閉じると、蓋40が、内室20の上壁部を構成し、内室20内に収納された基板200の被加工面に接近した状態になる。
【0023】
一方、図3及び図4に示すオゾン供給部50は、チャンバ部10に所定濃度のオゾンガスAを供給する部分であり、酸素濃縮器51とオゾン発振管52とオゾン除去器53とを有してなる。
ここで用いている酸素濃縮器51は、外気を吸気口51aから吸入し、ゼオライトを用いて空気中の酸素を濃縮し、パイプ54に送出する機器であり、レジスト除去装置9の筐体9a内に収納されている。この実施形態では、例えば、酸素が約90%のガスCを生成する。
パイプ54は、オゾン発振管52の入力側に接続され、ガスCをオゾン発振管52に流入させる。
オゾン発振管52は、パイプ54からのガスCを放電させて、濃度1%以上のオゾンガスAを生成する機器であり、筐体9a上に載置固定されている。
このようなオゾン発振管52の出力側には、オゾンガスAをチャンバ部10に送るためのパイプ55が接続されている。
図7に示すように、オゾン発振管52からチャンバ部10側に延出されたパイプ55は、外室30の貫通孔33に気密に通され、その複数の先端部55aが内室20の側壁22の孔22aに圧入されている。これにより、オゾン発振管52で生成されたオゾンガスAがチャンバ部10の内室20内に直接流入するようになっている。
また、図3及び図4に示すオゾン除去器53は、チャンバ部10から排気されたオゾンガスAを取り込んで除去する機器であり、酸素濃縮器51と同様に筐体9a内に収納されている。
具体的には、このオゾン除去器53の吸入側に、パイプ56が接続され、このパイプ56の他方端が、外室30の排気口35に圧入されている。これにより、側壁23の孔23aを通じて内室20から排出ガス通路32に排出されたオゾンガスAがオゾン除去器53に導入される。
【0024】
赤外線発生部60は、内室20内に収納された基板200の被加工面に照射する赤外線Bを発生する部分であり、図8に示すように、ハウジング61内に巴状に収納された4つの抵抗ヒータ62で構成される。
ハウジング61は、図5に示すように、板材44よりも大径の開口61aを下側に有しており、抵抗ヒータ62からの赤外線Bを内室20内に照射することを可能にしている。
すなわち、抵抗ヒータ62を基板200から離して、チャンバ部10の窓部43の外側に配置し、抵抗ヒータを加熱することで発生する赤外線Bを、板材44を通じて基板200の被加工面全面に均一に照射することができるようになっている。
【0025】
ここで、図1及び図2に示すメッキ工程6は、レジスト剥離工程7及びシード層除去工程8と共に、配線パターン生成工程を構成するもので、レジスト102の溝106内のシード層101にメッキ処理を行う工程である。
具体的には、図2の(f)に示すように、基板全体を硫酸銅メッキ液108に漬け、シード層101を一方の電極として銅の電気メッキ処理を行うことで、溝106内に銅107を析出させる。
【0026】
レジスト剥離工程7は、残存するレジスト102の層を全て剥離する工程であり、具体的には、図2の(g)に示すように、水酸化ナトリウムを含むアルカリ性のレジスト剥離液109に漬ける。
【0027】
そして、シード層除去工程8は、余分なシード層101を除去する工程であり、具体的には、図2の(h)に示すように、基板全体を過硫酸ナトリウム等のエッチング液110に漬ける。
【0028】
この実施形態のプリント配線基板製造方法が上記構成をとることにより、シード層生成工程1及びレジスト塗布工程2の実行後、露光工程3を実行すると、ポジ型レジストを用いているため、図2の(c)に示すように、レジスト102のうち、紫外線が当たった部分が可溶化する。これにより、レジスト102内に配線パターンに対応した可溶部102aが生じる。
しかる後、現像工程4を実行すると、図2の(d)に示すように、レジスト102の可溶部102aが溶解され、配線パターンに対応した溝106がレジスト102に形成される。
【0029】
しかし、図2の(e)に示すように、現像工程4のみでは、溝106が形成されても、レジストの残渣102bが溝106内のシード層101表面に残る。
そこで、レジスト残渣除去工程5を実行して、残渣102bをアッシングする。
具体的には、被加工面であるレジスト102側の面を上に向けた基板200を図3及び図4に示すレジスト除去装置9のチャンバ部10の内室20内に収納し、図5に示すように、蓋40を閉じる。しかる後、オゾン供給部50の酸素濃縮器51,オゾン発振管52,オゾン除去器53を駆動すると共に、複数の抵抗ヒータ62を通電加熱する。
すると、ガスCが酸素濃縮器51からパイプ54を介して、オゾン発振管52に供給され、オゾンガスAがオゾン発振管52で生成される。そして、常圧のオゾンガスAがパイプ55を介してチャンバ部10の内室20内に流入し、基板200のレジスト102表面に接触する。
このとき、内室20が上記したように小容積化されているため、常圧のオゾンガスAが内室20内で拡散することなく、オゾンガスAが所定の室内密度を維持し、図2の(e)に示すように、多量のオゾンガスAがレジスト102の溝106内に入り込んで、残渣102bに接触する。
これと並行して、抵抗ヒータ62から発した赤外線Bが、板材44を通じて、溝106を有したレジスト102全面に均一照射される。
すると、溝106内の残渣102bに当たった赤外線Bが有機物質である残渣102bを急速に昇温させる。これにより、残渣102bとオゾンガスAとの化学反応が促進され、残渣102bがアッシングされる。
一方、溝106内に露出しているシード層101に当たった赤外線Bは、シード層101によってほぼ全反射され、シード層101及びシード層101下側の基板100に熱的影響をほとんど与えない。
ところで、オゾンガスAは、溝106内の残渣102bだけでなく、レジスト102全体に接触するので、残渣102b以外のレジスト102もアッシングされる。即ち、図9の破線で示すように、アッシングによって、溝106の深さd1が浅くなり、幅d2が広くなる。したがって、所望の深さd1と幅d2を得るように、オゾンガスAの供給時間及び赤外線Bの照射時間を設定しておく。
これにより、基板100やシード層101を加熱することなく、しかも、溝106について所望の深さd1と幅d2とを確保しつつ、あたかも、残渣102bのみを選択的にアッシングするような処理を行うことができる。
また、溝106内に露出しているシード層101に接触したオゾンガスAは、シード層101と化学反応し、図10に示すように、シード層101の表面に銅の酸化膜101aを生成する。
【0030】
このように、レジスト残渣除去工程5の実行により、レジスト102の溝106内の残渣102bは完全に除去され、しかも、シード層101の表面に酸化膜101aが付着した状態となり、銅表面の水に対する濡れ性が向上する。
かかる状態で、メッキ工程6を実行すると、銅表面の濡れ性が大幅に向上しているため、メッキの前処理液あるいはメッキ液108が細かい溝106内に浸入する。このため、溝106内の各所の銅表面にメッキ液が到達する時間が短縮されるとともにバラツキが小さくなる。酸化膜101aは、例えば硫酸銅メッキの場合には、硫酸により溶解し、銅表面に銅メッキを析出する。即ち、メッキ液109の濡れ性が非常に高くなっているので、図2の(f)に示すように、シード層101に強固に結合した銅107が、溝106内に析出する。
【0031】
しかる後、レジスト剥離工程7,シード層除去工程8を順に実行することにより、図2の(g)及び(h)に示すように、銅107がシード層101に固着した高細密な配線パターンを有したプリント配線基板を得る。
【0032】
以上のように、この実施形態のプリント配線基板製造方法によれば、基板200を焼損させることなく、残渣102bをアッシングして、高細密な配線パターンを有したプリント配線基板を製造することができるという効果がある。
【0033】
(第2実施形態)
図11は、この発明の第2実施形態に係るプリント配線基板製造方法に適用されるレジスト除去装置9の要部を示す縦断面図であり、図12は、チャンバ部10の内室20を示す平面図である。
この実施形態は、抵抗ヒータ62を用い、オゾンガスAを内室20内に供給する構造をとっている点で、上記第1実施形態と同様であるが、板材44に紫外線を通さないシリコンを用い且つ紫外線ランプ70を内室20内に取り付けた点が、上記第1実施形態と異なる。
【0034】
具体的には、図11に示すように、紫外線透過性を有する石英ガラス板71を内室20の側壁24(22,23,25)に傾斜させて取り付け、底壁28と側壁24(22,23,25)との間に、4つの収納室を画成する。そして、これらの収納室内に紫外線ランプ70をそれぞれ収納した。
これにより、図12に示すように、4本の紫外線ランプ70が基板200を囲んだ状態になり、しかも、各紫外線ランプ70が紫外線Dを板材44に向けて照射する状態となる。
【0035】
かかる構成により、図13に示すように、紫外線ランプ70からの紫外線Dが板材44で全反射され、紫外線Dが基板200の被加工面全面に照射され、しかも、紫外線Dの照度分布が均一になる。
したがって、オゾンガスAを内室20内に供給すると共に、赤外線Bを抵抗ヒータ62から板材44を通じて基板200に照射し、さらに、紫外線ランプ70から紫外線Dを放射することで、基板200の全面に照射される紫外線Dによって、オゾンガスAがさらに活性化され、残渣102bのアッシング速度が上記第1の実施形態のレジスト残渣除去工程5におけるアッシング速度よりも速くなる。
その他の構成,作用及び効果は、上記第1実施形態と同様であるので、その記載は省略する。
【0036】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、セミアディティブ法を例にとって説明したが、本発明のプリント配線基板の製造方法はサブトラクティブ法についても適用することができることは勿論である。
すなわち、図14に示すように、サブトラクティブ法では、レジスト塗布工程1−1と露光工程2−1と現像工程3−1とレジスト残渣除去工程4−1とエッチング工程5−1とレジスト剥離工程6−1とを備え、レジスト塗布工程1−1においては、図15の(a)に示すように、銅箔101′を貼ったベース基板100′にレジスト102′を塗布する。しかる後、図15の(b)に示すように、露光工程2−1を実行し、マスク104′を用いて、配線パターン作成部分以外の部分にを可溶部102a′を形成し、現像工程3−1にて、この可溶部102a′を溶解する。そして、上記第1実施形態のレジスト残渣除去工程5と同様のレジスト残渣除去工程4−1を実行し、残渣をアッシングした後、図15の(c)に示すように、基板全体をエッチング液110′内に漬けて、エッチング工程5−1を実行する。これにより、溝106′内の銅箔101′がエッチングされる。このエッチングの際、溝106′内の銅箔101′表面にレジスト102′の残渣が存在しないので、銅箔101′表面の濡れ性が良く、銅箔101′に対するエッチングが正確且つ速やかに行われる。そして、最後に、レジスト剥離工程6−1を実行し、図15の(d)に示すように、基板全体をレジスト剥離液109′に漬けて、全てのレジスト102′を剥離することにより、図15の(e)に示すように、銅箔101′による高細密な配線パターンを有したプリント配線基板を得る。
なお、上記エッチング工程5−1において、上記の如くウエットエッチング処理ではなく、ドライエッチング処理を用いた場合にも、上記と同様に、高細密な配線パターンを有したプリント配線基板を得ることができることは明らかである。
【0037】
さらに、本発明のプリント配線基板製造方法は、フルアディティブ法についても適用することができる。
かかる方法は、図16に示すように、ベース基板100上に触媒111を配し、触媒111の作用によって、銅を溝106内に析出させる技術であるので、赤外線Bを全反射させる層がベース基板100上に存在しない。このため、赤外線Bがベース基板100に直接照射して、ベース基板100が加熱される。しかし、樹脂のベース基板100は、レジストより耐熱性が高く分解性が低いのが通例で、レジストの残渣102bを選択的に除去できる。したがって、ベース基板100が焼損するような温度に達する前に、残渣102bがアッシングされるので、赤外線Bの照射時間を適宜設定することで、ベース基板100を焼損させることなく、残渣102bをアッシングすることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、請求項1及び請求項5の発明によれば、レジスト残渣除去工程を実行することで、露光及び現像工程後の基板のレジストの溝内に残存するレジスト残渣をアッシングすることができるので、配線パターン生成工程を経て、高細密で且つ強固な配線パターンを有したプリント配線基板を製造することができるという効果がある。しかも、基板を焼損させることなく、レジスト残渣のみを選択的にアッシングすることができるという優れた効果もある。
【0039】
また、請求項2,請求項3,請求項5及び請求項6の発明によれば、レジスト残渣除去工程を実行するチャンバを小容積化する構成にして、オゾンガスを所定密度に維持することができるようにしたので、オゾンガスと基板被加工面のレジストとの安定且つ高速な反応を期待することができると共に、レジスト残渣除去工程を実行する装置の小型化も図ることができるという効果がある。
【0040】
さらに、請求項4及び請求項7の発明によれば、小容積のチャンバ内に複数の紫外線ランプを配設し、シリコンの板材による反射を利用して、紫外線を基板の被加工面全面に照射するようにしたので、紫外線のオゾンガスに対する活性化作用によって、オゾンガスと残渣との反応速度をさらに高めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係るプリント配線基板製造方法の工程図である。
【図2】図1に示す各工程における基板の縦断面図である。
【図3】レジスト残渣除去工程を実行するための装置を示す斜視図である。
【図4】一部破断して示すレジスト除去装置の正面図である。
【図5】蓋を閉じた状態のチャンバ部を示す縦断面図である。
【図6】蓋を開けた状態のチャンバ部を示す縦断面図である。
【図7】チャンバ部を一部破断して示すレジスト除去装置の平面図である。
【図8】抵抗ヒータの収納状態を示す赤外線発生部の下面図である。
【図9】レジストの溝を示す基板の部分断面図である。
【図10】酸化膜生成状態を示す基板の縦断面図である。
【図11】この発明の第2実施形態に係るプリント配線基板製造方法に適用されるレジスト除去装置の要部を示す縦断面図である。
【図12】チャンバ部の内室を示す平面図である。
【図13】ベース基板に対する紫外線の照射状態を示す部分断面図である。
【図14】第1変形例を示す工程図である。
【図15】図14に示す各工程における基板の縦断面図である。
【図16】第2変形例における溝の形成状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1…シード層生成工程、 2…レジスト塗布工程、 3…露光工程、 4…現象工程、 5…レジスト残渣除去工程、 6…メッキ工程、 7…レジスト剥離工程、 8…シード層除去工程、 9…レジスト除去装置、 10…チャンバ部、20…内室、 30…外室、 40…蓋、 43…窓部、 44…板材、 50…オゾン供給部、 51…酸素濃縮器、 52…オゾン発振管、 53…オゾン除去器、 60…赤外線発生部、 61…ハウジング、 62…抵抗ヒータ、70…紫外線ランプ、 71…石英ガラス板、 100…ベース基板、 101…シード層、 102…レジスト、 106…レジストの溝、 107…銅、A…オゾンガス、 B…赤外線、 D…紫外線。
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子部品を搭載するためのプリント配線基板製造方法及びレジスト除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プリント配線基板の製造方法としては、大別して、サブトラクティブ法とアディティブ法とがある。
サブトラクティブ(Subtractive)法は、例えば、特許文献1に示すように、基板の銅箔上に積層されたレジストを露光及び現像して、配線パターンに対応したレジスト形状にした後、レジスト外に露出した余分な銅箔をエッチングで除去することにより、所望の配線パターンを有したプリント配線基板を得る方法である。
これに対して、アディティブ(Additive)法は、フルアディティブ(Full−Additive)法を開示した特許文献2に示すように、基板上に積層されたレジストのパターン溝内に銅メッキを行って、所望の配線パターンを基板上に形成する方法である。
このアディティブ法は、近年望まれている配線パターンの微細化に適した方法であり、その中でも、フルアディティブ法は理想的なプロセスとして開発が進められているが、有機材料のアルカリ耐性の問題があり、電気的メッキ法を使用するセミアディティブ(Semi−Additive)法が注目されている。
セミアディティブ法は、例えば、特許文献3に示すように、銅などの導電性物質でなるシード層を表面に有する基板に、レジストを塗布した後、このレジストを露光及び現像して配線パターンのレジスト溝を形成する。そして、電気メッキなどにより、銅などの導電性物質をこの溝内に析出させる。しかる後、レジストを除去すると共に、配線パターンに無関係な余分なシード層部分をエッチングして、微細な配線パターンを有したプリント配線基板を得る技術である。
【0003】
【特許文献1】
特開平07−106735号公報
【特許文献2】
特開平06−69632号公報
【特許文献3】
特開2002−180095号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の技術では、次のような問題がある。
上記したセミアディティブ法を含め、アディティブ法によるプリント配線基板製造においては、レジストを露光及び現像して配線パターンに対応したレジスト溝を形成し、電気メッキなどによって、銅などの導電性物質をこの溝内に析出させる必要があるが、レジストの現像後、レジスト溝の底などにレジストの残渣が残る。軽度であってもこのような残渣が存在すると、メッキパターンがマスクパターンを忠実に再現しないのは勿論のこと、溝内に入り込むメッキ液のいわゆる濡れ性が劣化し、析出した導電性物質がシード層に強固に密着せず、形成された配線パターンが不完全であったり、剥がれ易くなったりするおそれがある。
このレジスト残渣による濡れ性の劣化の問題は、アディティブ法だけでなく、サブトラクティブ法においても生じる。
すなわち、ウエットエッチングによる場合には、レジスト外の余分な銅箔上に残渣が残ることで、エッチング液等の溶媒である水の銅箔に対する濡れ性が劣化し、エッチングが十分に行われない。この結果、余分な銅箔が残り、ショートを招くおそれがある。また、パターンの溝幅により、エッチングの速度にバラツキが生じ寸法制御が難しい等の問題を生ずる。また、ドライエッチングによる場合にも、銅箔を覆うレジスト残渣が、エッチングガスと銅箔との反応を阻害して、十分なエッチングが不可能になる。
このように、レジスト残渣による問題は、早期に解決されるべき問題であり、特に、半導体ウエハと異なり、銅などの導電性物質をレジスト溝内に厚めに析出する必要があるプリント配線基板においては、レジスト残渣による濡れ性の劣化は致命的な欠陥になるおそれがある。
【0005】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、レジストの現像後に残存するレジスト残渣を除去した後、メッキ処理又はエッチング処理を行うように構成して、高細密で且つ強固な配線パターンを有したプリント配線基板を製造するプリント配線基板製造方法及びレジスト除去装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者等は、上記目的を達成するために、レジストの現像工程後に残渣を除去するためのレジスト残渣除去工程を設け、かかる除去工程を経てメッキ処理などの配線パターン生成工程を設けることを考案した。
このようなレジスト残渣除去法としては、低圧の酸素プラズマを用いる方法が一般的であるが、真空装置であり、価格的にも高いものである。
そのため、レジスト残渣除去工程として、半導体装置製造技術分野で用いられている酸素プラズマの電気的ストレスを解除する目的で開発され、レジスト剥離に用いられているオゾンガスと基板加熱とにより、レジスト残渣をアッシングすることを考案した。ここでは、オゾンがレジストより熱エネルギを受け取ることで活性化されるという原理を用いている。
かかるアッシング処理では、基板温度を例えば300℃という高温度まで上昇させて、オゾンガスとレジスト残渣との化学反応速度を高める必要がある。
半導体装置製造技術分野では、半導体ウエハをホットプレート上に載置して、ホットプレートにより半導体ウエハを上記高温まで裏面側から加熱するアッシング方法を採用している。シリコンで構成された半導体ウエハは、熱伝導率と耐熱性に優れ、かかる処理方法は効果的である。
しかし、プリント配線基板は、樹脂のベース基板表面に銅箔などの金属導電性物質を付着した構成となっているので、熱伝導率と耐熱性に劣る。したがって、プリント配線基板に対して上記アッシング方法をそのまま適用すると、樹脂のベース基板が焼損するなどの事態が発生し、好ましくない。また、低温で有機汚染等を分解洗浄する紫外光を用いてオゾンを生成分解するUVオゾン装置も市販されているが、加工レートは低く、レジスト残渣除去に適用することはできない。
【0007】
そこで、発明者等は、赤外線がレジストなどの有機物質に吸収され易い性質を有しているため、有機物質の温度上昇が高速で行われること、及び赤外線は銅箔などの金属導電性物質の表面で全反射する性質を有しているため、かかる物質の温度上昇に直接的には寄与しないこと、さらに、一般的には樹脂のベース基板の耐熱性がレジストに比べて高いこと、及びオゾンに対する分解性が低いことに着目した。
この結果、発明者等は、赤外線をプリント配線基板の被加工面に照射することにより、有機物であるレジスト残渣のみをほぼ選択的にアッシングすることができるという着想を得た。
【0008】
かかる着想に基づき、請求項1の発明は、基板の表面にレジストを塗布するレジスト塗布工程と、レジストを露光後、現像して、所定の溝をレジストに形成する露光及び現像工程と、露光及び現像工程実行後の基板の被加工面に、所定濃度のオゾンガスを接触させると共に、赤外線を基板の被加工面全面に照射することで、レジストの溝内に残存するレジスト残渣をアッシングするレジスト残渣除去工程と、レジスト残渣除去工程実行後の基板におけるレジストの溝内をメッキ処理又はエッチング処理することにより、所定の配線パターンを生成する配線パターン生成工程とを具備する構成とした。
かかる構成により、レジスト塗布工程において、レジストが基板の表面に塗布されると、露光及び現像工程において、レジストが露光後、現像され、所定の溝がレジストに形成される。そして、レジスト残渣除去工程を実行し、基板の被加工面に、所定濃度のオゾンガスを接触させると共に、赤外線を基板の被加工面全面に照射することで、レジストの溝内に残存するレジスト残渣がアッシングされる。しかる後、配線パターン生成工程の実行により、レジストの溝内がメッキ処理又はエッチング処理され、所定の配線パターンが基板に生成される。
【0009】
特に、請求項2の発明は、請求項1に記載のプリント配線基板製造方法において、レジスト残渣除去工程は、露光及び現像工程後の基板を収納するチャンバを、基板の被加工面に対向する壁部が被加工面に近接するように設定すると共に壁部に窓部を形成して赤外線透過性のある板材を取り付けることにより、小容積化し、且つ、赤外線ランプ又は赤外線を発光する能力を有する抵抗ヒータを、チャンバの板材の外側に配することにより、チャンバ内のオゾンガスを所定密度に維持した状態で、赤外線を板材を通して基板の被加工面全面に照射するものである構成とした。
かかる構成により、レジスト残渣除去工程において基板を収納するチャンバが、小容積化されるので、チャンバ内のオゾンガスが、拡散することなく、所定密度を維持する。
【0010】
また、窓部の板材は、赤外線透過性がある材質であれば良いが、材料的には限られ、高分子の重要な吸収帯のある5000nm以上まで良好な透過性を有する例として、請求項3の発明は、請求項2に記載のプリント配線基板製造方法において、板材を、シリコン,サファイア又はフッ化カルシウムのいずれかで形成した構成としてある。
【0011】
さらに、請求項4の発明は、請求項3に記載のプリント配線基板製造方法において、板材をシリコンで形成すると共に、チャンバ内の基板を囲むように複数の紫外線ランプを配設することにより、シリコンの板材による反射を利用して、紫外線を基板の被加工面全面に照射する構成とした。
かかる構成により、複数の紫外線ランプからの紫外線が、紫外線をある程度遮光するシリコンの板材によって反射され、紫外線が基板の被加工面全面に照射される。この結果、オゾンが基板表面近傍で分解され、レジストの残渣除去が加速される。
【0012】
ところで、上記のレジスト残渣除去工程を具体的に実行可能な装置も物の発明として成立する。
そこで、請求項5の発明は、基板を収納するためのチャンバ部と、このチャンバ部内に所定濃度のオゾンガスを供給するためのオゾン供給部と、チャンバ部内に収納された基板の被加工面に照射するための赤外線を発生する赤外線発生部とを具備するレジスト除去装置であって、チャンバ部は、基板の被加工面に近接して対向する壁部に、赤外線透過性を有する板材が嵌め込まれた窓部を有し、赤外線発生部は、チャンバ部の窓部の外側位置であって、赤外線を板材を通じて基板の被加工面全面に照射することができる位置に配置されている構成とした。
かかる構成により、基板をチャンバ部に収納し、所定濃度のオゾンガスをチャンバ部内に供給すると共に、窓部の外側位置にある赤外線発生部により、赤外線を発生すると、赤外線が窓部の板材を通じて基板の被加工面全面に照射し、被加工面のレジストなどを加熱し、オゾンガスとの反応速度を高める。
【0013】
また、窓部の板材は、赤外線透過性がある材質であれば良いが、好例として、請求項6の発明は、請求項5に記載のレジスト除去装置において、赤外線発生部を、赤外線ランプ又は抵抗ヒータで構成し、窓部の板材を、シリコン,サファイア又はフッ化カルシウムのいずれかで形成した構成としてある。
【0014】
さらに、請求項7の発明は、請求項6に記載のレジスト除去装置において、窓部の板材を、シリコンで形成し、複数の紫外線ランプを、チャンバ部内の基板を囲む位置に配設した構成としてある。
かかる構成により、基板を囲む位置に配設された複数の紫外線ランプからの紫外線が、シリコンの板材によって反射され、基板の被加工面全面に照射することで活性酸素の生成を加速するものである。この場合サファイア又はフッ化カルシウムは、紫外光も透過するので用いられない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態に係るセミアディティブ法によるプリント配線基板製造方法を示す工程図であり、図2は、各工程における基板の縦断面図である。
図1に示すように、この実施形態のプリント配線基板製造方法は、シード層生成工程1とレジスト塗布工程2と露光工程3と現象工程4とレジスト残渣除去工程5とメッキ工程6とレジスト剥離工程7とシード層除去工程8とを具備している。
【0016】
シード層生成工程1は、図2の(a)に示すように、ポリイミド等の樹脂製のベース基板100の表面に、シード層101を生成する工程であり、例えばスパッタ法によって、銅のシード層101を基板100上に形成する。
レジスト塗布工程2は、基板の表面にレジストを塗布する工程である。具体的には、図2の(b)に示すように、光感光性を有する樹脂のポジ型レジスト102をシード層101の表面にコーティングする。
露光工程3は、基板上のレジストを露光する工程である。具体的には、図2の(c)に示すように、所望の配線パターンに対応した開口104aを有するマスク104をレジスト102の上方に配し、紫外線Dをマスク104を介してレジスト102に照射する。
現像工程4は、基板上のレジストを現像して、所定の溝をレジストに形成する工程である。具体的には、図2の(d)に示すように、露光されたレジスト102を有した基板全体を現像液105に漬け、レジスト102を現像することで溝106を形成する。
【0017】
レジスト残渣除去工程5は、基板の被加工面としてのレジスト102の溝106内に残存するレジスト102の残渣をアッシングする工程である。
具体的には、図2の(e)に示すように、所定濃度のオゾンガスAをレジスト102に接触させると共に、赤外線Bをレジスト102全面に上方から照射する。
【0018】
図3は、このレジスト残渣除去工程5を実行するための装置を示す斜視図であり、図4は、一部破断して示すレジスト除去装置9の正面図である。
図3及び図4に示すように、このレジスト除去装置9は、チャンバ部10とオゾン供給部50と赤外線発生部60とを有している。
【0019】
チャンバ部10は、図1及び図2の(d)に示す現像工程4で得た基板200を収納するための室であり、レジスト除去装置9の筐体9a上に取り付けられている。
図5は、蓋を閉じた状態のチャンバ部10を示す縦断面図であり、図6は、蓋を開けた状態のチャンバ部10を示す縦断面図であり、図7は、チャンバ部10を一部破断して示すレジスト除去装置9の平面図である。
これらの図に示すように、チャンバ部10は、内室20と外室30と蓋40とで構成されている。
【0020】
内室20は、図3及び図4に示したように、外室30の底壁31に固定されたテーブル21上に載置固定されている。
この内室20は、矩形状の箱体であり、図7に示すように、側壁22とこの側壁22に対向する側壁23とに、複数の孔22a,23aが穿設されている。そして、図5に示すように、側壁22〜25上にO−リングシール26が取り付けられている。
かかる内室20は、薄く設定され、小容積化が図られている。例えば、この実施形態では、最大サイズ200mmの基板200を可能な限り小容積内に収納すべく、側壁22〜25の内側高さhが25mm、内側幅wが220mmに設定されている。
【0021】
一方、外室30は、内室20よりも大径の円筒状の箱体であり、外室30内面と内室20外面との間に排出ガス通路32が画成されている。そして、外室30の側壁には、図7に示すように、貫通孔33が穿設され、底壁31には、図5に示すように、排気口35が穿設されている。また、この側壁上にも、O−リングシール36が取り付けられている。
【0022】
蓋40は、このような外室30に開閉自在に組み付けられている。
具体的には、蓋40は、円板状体であり、その一端部がヒンジ41を介して外室30の上部外縁部に連結されると共に、取手42が当該一端部に対向する端部に取り付けられている。
また、蓋40には、窓部43が設けられている。この窓部43は、赤外線を透過させる性質(赤外線透過性)を有するシリコン,サファイヤ又はフッ化カルシウムのいずれかで形成された板材44を、内室20と略同形の矩形状開口に気密に嵌めた構造になっている。
かかる構造により、蓋40を閉じると、蓋40が、内室20の上壁部を構成し、内室20内に収納された基板200の被加工面に接近した状態になる。
【0023】
一方、図3及び図4に示すオゾン供給部50は、チャンバ部10に所定濃度のオゾンガスAを供給する部分であり、酸素濃縮器51とオゾン発振管52とオゾン除去器53とを有してなる。
ここで用いている酸素濃縮器51は、外気を吸気口51aから吸入し、ゼオライトを用いて空気中の酸素を濃縮し、パイプ54に送出する機器であり、レジスト除去装置9の筐体9a内に収納されている。この実施形態では、例えば、酸素が約90%のガスCを生成する。
パイプ54は、オゾン発振管52の入力側に接続され、ガスCをオゾン発振管52に流入させる。
オゾン発振管52は、パイプ54からのガスCを放電させて、濃度1%以上のオゾンガスAを生成する機器であり、筐体9a上に載置固定されている。
このようなオゾン発振管52の出力側には、オゾンガスAをチャンバ部10に送るためのパイプ55が接続されている。
図7に示すように、オゾン発振管52からチャンバ部10側に延出されたパイプ55は、外室30の貫通孔33に気密に通され、その複数の先端部55aが内室20の側壁22の孔22aに圧入されている。これにより、オゾン発振管52で生成されたオゾンガスAがチャンバ部10の内室20内に直接流入するようになっている。
また、図3及び図4に示すオゾン除去器53は、チャンバ部10から排気されたオゾンガスAを取り込んで除去する機器であり、酸素濃縮器51と同様に筐体9a内に収納されている。
具体的には、このオゾン除去器53の吸入側に、パイプ56が接続され、このパイプ56の他方端が、外室30の排気口35に圧入されている。これにより、側壁23の孔23aを通じて内室20から排出ガス通路32に排出されたオゾンガスAがオゾン除去器53に導入される。
【0024】
赤外線発生部60は、内室20内に収納された基板200の被加工面に照射する赤外線Bを発生する部分であり、図8に示すように、ハウジング61内に巴状に収納された4つの抵抗ヒータ62で構成される。
ハウジング61は、図5に示すように、板材44よりも大径の開口61aを下側に有しており、抵抗ヒータ62からの赤外線Bを内室20内に照射することを可能にしている。
すなわち、抵抗ヒータ62を基板200から離して、チャンバ部10の窓部43の外側に配置し、抵抗ヒータを加熱することで発生する赤外線Bを、板材44を通じて基板200の被加工面全面に均一に照射することができるようになっている。
【0025】
ここで、図1及び図2に示すメッキ工程6は、レジスト剥離工程7及びシード層除去工程8と共に、配線パターン生成工程を構成するもので、レジスト102の溝106内のシード層101にメッキ処理を行う工程である。
具体的には、図2の(f)に示すように、基板全体を硫酸銅メッキ液108に漬け、シード層101を一方の電極として銅の電気メッキ処理を行うことで、溝106内に銅107を析出させる。
【0026】
レジスト剥離工程7は、残存するレジスト102の層を全て剥離する工程であり、具体的には、図2の(g)に示すように、水酸化ナトリウムを含むアルカリ性のレジスト剥離液109に漬ける。
【0027】
そして、シード層除去工程8は、余分なシード層101を除去する工程であり、具体的には、図2の(h)に示すように、基板全体を過硫酸ナトリウム等のエッチング液110に漬ける。
【0028】
この実施形態のプリント配線基板製造方法が上記構成をとることにより、シード層生成工程1及びレジスト塗布工程2の実行後、露光工程3を実行すると、ポジ型レジストを用いているため、図2の(c)に示すように、レジスト102のうち、紫外線が当たった部分が可溶化する。これにより、レジスト102内に配線パターンに対応した可溶部102aが生じる。
しかる後、現像工程4を実行すると、図2の(d)に示すように、レジスト102の可溶部102aが溶解され、配線パターンに対応した溝106がレジスト102に形成される。
【0029】
しかし、図2の(e)に示すように、現像工程4のみでは、溝106が形成されても、レジストの残渣102bが溝106内のシード層101表面に残る。
そこで、レジスト残渣除去工程5を実行して、残渣102bをアッシングする。
具体的には、被加工面であるレジスト102側の面を上に向けた基板200を図3及び図4に示すレジスト除去装置9のチャンバ部10の内室20内に収納し、図5に示すように、蓋40を閉じる。しかる後、オゾン供給部50の酸素濃縮器51,オゾン発振管52,オゾン除去器53を駆動すると共に、複数の抵抗ヒータ62を通電加熱する。
すると、ガスCが酸素濃縮器51からパイプ54を介して、オゾン発振管52に供給され、オゾンガスAがオゾン発振管52で生成される。そして、常圧のオゾンガスAがパイプ55を介してチャンバ部10の内室20内に流入し、基板200のレジスト102表面に接触する。
このとき、内室20が上記したように小容積化されているため、常圧のオゾンガスAが内室20内で拡散することなく、オゾンガスAが所定の室内密度を維持し、図2の(e)に示すように、多量のオゾンガスAがレジスト102の溝106内に入り込んで、残渣102bに接触する。
これと並行して、抵抗ヒータ62から発した赤外線Bが、板材44を通じて、溝106を有したレジスト102全面に均一照射される。
すると、溝106内の残渣102bに当たった赤外線Bが有機物質である残渣102bを急速に昇温させる。これにより、残渣102bとオゾンガスAとの化学反応が促進され、残渣102bがアッシングされる。
一方、溝106内に露出しているシード層101に当たった赤外線Bは、シード層101によってほぼ全反射され、シード層101及びシード層101下側の基板100に熱的影響をほとんど与えない。
ところで、オゾンガスAは、溝106内の残渣102bだけでなく、レジスト102全体に接触するので、残渣102b以外のレジスト102もアッシングされる。即ち、図9の破線で示すように、アッシングによって、溝106の深さd1が浅くなり、幅d2が広くなる。したがって、所望の深さd1と幅d2を得るように、オゾンガスAの供給時間及び赤外線Bの照射時間を設定しておく。
これにより、基板100やシード層101を加熱することなく、しかも、溝106について所望の深さd1と幅d2とを確保しつつ、あたかも、残渣102bのみを選択的にアッシングするような処理を行うことができる。
また、溝106内に露出しているシード層101に接触したオゾンガスAは、シード層101と化学反応し、図10に示すように、シード層101の表面に銅の酸化膜101aを生成する。
【0030】
このように、レジスト残渣除去工程5の実行により、レジスト102の溝106内の残渣102bは完全に除去され、しかも、シード層101の表面に酸化膜101aが付着した状態となり、銅表面の水に対する濡れ性が向上する。
かかる状態で、メッキ工程6を実行すると、銅表面の濡れ性が大幅に向上しているため、メッキの前処理液あるいはメッキ液108が細かい溝106内に浸入する。このため、溝106内の各所の銅表面にメッキ液が到達する時間が短縮されるとともにバラツキが小さくなる。酸化膜101aは、例えば硫酸銅メッキの場合には、硫酸により溶解し、銅表面に銅メッキを析出する。即ち、メッキ液109の濡れ性が非常に高くなっているので、図2の(f)に示すように、シード層101に強固に結合した銅107が、溝106内に析出する。
【0031】
しかる後、レジスト剥離工程7,シード層除去工程8を順に実行することにより、図2の(g)及び(h)に示すように、銅107がシード層101に固着した高細密な配線パターンを有したプリント配線基板を得る。
【0032】
以上のように、この実施形態のプリント配線基板製造方法によれば、基板200を焼損させることなく、残渣102bをアッシングして、高細密な配線パターンを有したプリント配線基板を製造することができるという効果がある。
【0033】
(第2実施形態)
図11は、この発明の第2実施形態に係るプリント配線基板製造方法に適用されるレジスト除去装置9の要部を示す縦断面図であり、図12は、チャンバ部10の内室20を示す平面図である。
この実施形態は、抵抗ヒータ62を用い、オゾンガスAを内室20内に供給する構造をとっている点で、上記第1実施形態と同様であるが、板材44に紫外線を通さないシリコンを用い且つ紫外線ランプ70を内室20内に取り付けた点が、上記第1実施形態と異なる。
【0034】
具体的には、図11に示すように、紫外線透過性を有する石英ガラス板71を内室20の側壁24(22,23,25)に傾斜させて取り付け、底壁28と側壁24(22,23,25)との間に、4つの収納室を画成する。そして、これらの収納室内に紫外線ランプ70をそれぞれ収納した。
これにより、図12に示すように、4本の紫外線ランプ70が基板200を囲んだ状態になり、しかも、各紫外線ランプ70が紫外線Dを板材44に向けて照射する状態となる。
【0035】
かかる構成により、図13に示すように、紫外線ランプ70からの紫外線Dが板材44で全反射され、紫外線Dが基板200の被加工面全面に照射され、しかも、紫外線Dの照度分布が均一になる。
したがって、オゾンガスAを内室20内に供給すると共に、赤外線Bを抵抗ヒータ62から板材44を通じて基板200に照射し、さらに、紫外線ランプ70から紫外線Dを放射することで、基板200の全面に照射される紫外線Dによって、オゾンガスAがさらに活性化され、残渣102bのアッシング速度が上記第1の実施形態のレジスト残渣除去工程5におけるアッシング速度よりも速くなる。
その他の構成,作用及び効果は、上記第1実施形態と同様であるので、その記載は省略する。
【0036】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、セミアディティブ法を例にとって説明したが、本発明のプリント配線基板の製造方法はサブトラクティブ法についても適用することができることは勿論である。
すなわち、図14に示すように、サブトラクティブ法では、レジスト塗布工程1−1と露光工程2−1と現像工程3−1とレジスト残渣除去工程4−1とエッチング工程5−1とレジスト剥離工程6−1とを備え、レジスト塗布工程1−1においては、図15の(a)に示すように、銅箔101′を貼ったベース基板100′にレジスト102′を塗布する。しかる後、図15の(b)に示すように、露光工程2−1を実行し、マスク104′を用いて、配線パターン作成部分以外の部分にを可溶部102a′を形成し、現像工程3−1にて、この可溶部102a′を溶解する。そして、上記第1実施形態のレジスト残渣除去工程5と同様のレジスト残渣除去工程4−1を実行し、残渣をアッシングした後、図15の(c)に示すように、基板全体をエッチング液110′内に漬けて、エッチング工程5−1を実行する。これにより、溝106′内の銅箔101′がエッチングされる。このエッチングの際、溝106′内の銅箔101′表面にレジスト102′の残渣が存在しないので、銅箔101′表面の濡れ性が良く、銅箔101′に対するエッチングが正確且つ速やかに行われる。そして、最後に、レジスト剥離工程6−1を実行し、図15の(d)に示すように、基板全体をレジスト剥離液109′に漬けて、全てのレジスト102′を剥離することにより、図15の(e)に示すように、銅箔101′による高細密な配線パターンを有したプリント配線基板を得る。
なお、上記エッチング工程5−1において、上記の如くウエットエッチング処理ではなく、ドライエッチング処理を用いた場合にも、上記と同様に、高細密な配線パターンを有したプリント配線基板を得ることができることは明らかである。
【0037】
さらに、本発明のプリント配線基板製造方法は、フルアディティブ法についても適用することができる。
かかる方法は、図16に示すように、ベース基板100上に触媒111を配し、触媒111の作用によって、銅を溝106内に析出させる技術であるので、赤外線Bを全反射させる層がベース基板100上に存在しない。このため、赤外線Bがベース基板100に直接照射して、ベース基板100が加熱される。しかし、樹脂のベース基板100は、レジストより耐熱性が高く分解性が低いのが通例で、レジストの残渣102bを選択的に除去できる。したがって、ベース基板100が焼損するような温度に達する前に、残渣102bがアッシングされるので、赤外線Bの照射時間を適宜設定することで、ベース基板100を焼損させることなく、残渣102bをアッシングすることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、請求項1及び請求項5の発明によれば、レジスト残渣除去工程を実行することで、露光及び現像工程後の基板のレジストの溝内に残存するレジスト残渣をアッシングすることができるので、配線パターン生成工程を経て、高細密で且つ強固な配線パターンを有したプリント配線基板を製造することができるという効果がある。しかも、基板を焼損させることなく、レジスト残渣のみを選択的にアッシングすることができるという優れた効果もある。
【0039】
また、請求項2,請求項3,請求項5及び請求項6の発明によれば、レジスト残渣除去工程を実行するチャンバを小容積化する構成にして、オゾンガスを所定密度に維持することができるようにしたので、オゾンガスと基板被加工面のレジストとの安定且つ高速な反応を期待することができると共に、レジスト残渣除去工程を実行する装置の小型化も図ることができるという効果がある。
【0040】
さらに、請求項4及び請求項7の発明によれば、小容積のチャンバ内に複数の紫外線ランプを配設し、シリコンの板材による反射を利用して、紫外線を基板の被加工面全面に照射するようにしたので、紫外線のオゾンガスに対する活性化作用によって、オゾンガスと残渣との反応速度をさらに高めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係るプリント配線基板製造方法の工程図である。
【図2】図1に示す各工程における基板の縦断面図である。
【図3】レジスト残渣除去工程を実行するための装置を示す斜視図である。
【図4】一部破断して示すレジスト除去装置の正面図である。
【図5】蓋を閉じた状態のチャンバ部を示す縦断面図である。
【図6】蓋を開けた状態のチャンバ部を示す縦断面図である。
【図7】チャンバ部を一部破断して示すレジスト除去装置の平面図である。
【図8】抵抗ヒータの収納状態を示す赤外線発生部の下面図である。
【図9】レジストの溝を示す基板の部分断面図である。
【図10】酸化膜生成状態を示す基板の縦断面図である。
【図11】この発明の第2実施形態に係るプリント配線基板製造方法に適用されるレジスト除去装置の要部を示す縦断面図である。
【図12】チャンバ部の内室を示す平面図である。
【図13】ベース基板に対する紫外線の照射状態を示す部分断面図である。
【図14】第1変形例を示す工程図である。
【図15】図14に示す各工程における基板の縦断面図である。
【図16】第2変形例における溝の形成状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1…シード層生成工程、 2…レジスト塗布工程、 3…露光工程、 4…現象工程、 5…レジスト残渣除去工程、 6…メッキ工程、 7…レジスト剥離工程、 8…シード層除去工程、 9…レジスト除去装置、 10…チャンバ部、20…内室、 30…外室、 40…蓋、 43…窓部、 44…板材、 50…オゾン供給部、 51…酸素濃縮器、 52…オゾン発振管、 53…オゾン除去器、 60…赤外線発生部、 61…ハウジング、 62…抵抗ヒータ、70…紫外線ランプ、 71…石英ガラス板、 100…ベース基板、 101…シード層、 102…レジスト、 106…レジストの溝、 107…銅、A…オゾンガス、 B…赤外線、 D…紫外線。
Claims (7)
- 基板の表面にレジストを塗布するレジスト塗布工程と、
上記レジストを露光後、現像して、所定の溝をレジストに形成する露光及び現像工程と、
上記露光及び現像工程実行後の基板の被加工面に、所定濃度のオゾンガスを接触させると共に、赤外線を当該基板の被加工面全面に照射することで、上記レジストの溝内に残存するレジスト残渣をアッシングするレジスト残渣除去工程と、上記レジスト残渣除去工程実行後の基板におけるレジストの上記溝内をメッキ処理又はエッチング処理することにより、所定の配線パターンを生成する配線パターン生成工程と
を具備することを特徴とするプリント配線基板製造方法。 - 請求項1に記載のプリント配線基板製造方法において、
上記レジスト残渣除去工程は、
上記露光及び現像工程後の基板を収納するチャンバを、基板の被加工面に対向する壁部が当該被加工面に近接するように設定すると共に当該壁部に窓部を形成して赤外線透過性ある板材を取り付けることにより、小容積化し、
且つ、赤外線ランプ又は赤外線を発光する能力を有する抵抗ヒータを、上記チャンバの板材の外側に配することにより、
チャンバ内のオゾンガスを所定密度に維持した状態で、赤外線を上記板材を通して基板の被加工面全面に照射するものである、
ことを特徴とするプリント配線基板製造方法。 - 請求項2に記載のプリント配線基板製造方法において、
上記板材を、シリコン,サファイア又はフッ化カルシウムのいずれかで形成した、
ことを特徴とするプリント配線基板製造方法。 - 請求項3に記載のプリント配線基板製造方法において、
上記板材をシリコンで形成すると共に、上記チャンバ内の基板を囲むように複数の紫外線ランプを配設することにより、上記シリコンの板材による反射を利用して、紫外線を上記基板の被加工面全面に照射する、
ことを特徴とするプリント配線基板製造方法。 - 基板を収納するためのチャンバ部と、このチャンバ部内に所定濃度のオゾンガスを供給するためのオゾン供給部と、上記チャンバ部内に収納された基板の被加工面に照射するための赤外線を発生する赤外線発生部とを具備するレジスト除去装置であって、
上記チャンバ部は、上記基板の被加工面に近接して対向する壁部に、赤外線透過性を有する板材が嵌め込まれた窓部を有し、
上記赤外線発生部は、上記チャンバ部の窓部の外側位置であって、赤外線を上記板材を通して上記基板の被加工面全面に照射することができる位置に配置されている、
ことを特徴とするレジスト除去装置。 - 請求項5に記載のレジスト除去装置において、
上記赤外線発生部を、赤外線ランプ又は赤外線を発光する能力を有する抵抗ヒータで構成し、
上記窓部の板材を、シリコン,サファイア又はフッ化カルシウムのいずれかで形成した、
ことを特徴とするレジスト除去装置。 - 請求項6に記載のレジスト除去装置において、
上記窓部の板材を、シリコンで形成し、
複数の紫外線ランプを、上記チャンバ部内の基板を囲む位置に配設した、
ことを特徴とするレジスト除去装置。
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