JP2004227811A - 有機elディスプレイおよびその製造方法 - Google Patents

有機elディスプレイおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004227811A
JP2004227811A JP2003011332A JP2003011332A JP2004227811A JP 2004227811 A JP2004227811 A JP 2004227811A JP 2003011332 A JP2003011332 A JP 2003011332A JP 2003011332 A JP2003011332 A JP 2003011332A JP 2004227811 A JP2004227811 A JP 2004227811A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
layer
color conversion
conversion filter
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003011332A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3867914B2 (ja
Inventor
Katsuhiko Yanagawa
克彦 柳川
Goji Kawaguchi
剛司 川口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Holdings Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Electric Holdings Ltd filed Critical Fuji Electric Holdings Ltd
Priority to JP2003011332A priority Critical patent/JP3867914B2/ja
Publication of JP2004227811A publication Critical patent/JP2004227811A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3867914B2 publication Critical patent/JP3867914B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Optical Filters (AREA)

Abstract

【課題】有機EL発光素子と色変換フィルタ基板を貼り合わせて形成されるディスプレイの製造において、低コスト且つ簡便に、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板との間に透明層を形成し、気泡を混入させることなく有機ELディスプレイを製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、基板上に、第1電極と、有機EL層と、第2電極とを形成して、有機EL発光素子を準備する工程と、透明基板上に色変換フィルタ層を形成して色変換フィルタ基板を準備する工程と、前記有機EL発光素子または色変換フィルタ基板上に溝を有する透明層を形成する工程と、前記有機EL発光素子と色変換フィルタ基板とを透明層を介して位置を合わせて貼り合わせる工程とを含むことを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高精細で視認性に優れ、携帯端末機または産業用計測器の表示など広範囲な応用可能性を有する有機ELディスプレイおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信の高速化と応用範囲の拡大が急速に進んでいる。この中で、表示デバイスに関して、携帯性や動画表示の要求に対応可能な低消費電力・高速応答性を有する高精細な表示デバイスの考案が広くなされている。
【0003】
中でもカラー化方式に対して、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた駆動方式のカラー表示装置が考案されている。この場合、TFTが形成されている基板側に光を取り出す方式では、配線部分の遮光効果により開口率が上がらないため、最近ではTFTが形成されている基板とは反対側に光を取り出す方式、いわゆるトップエミッション方式が考案されてきている。
【0004】
トップエミッション方式と、分離配置した蛍光体に励起光を吸収させてそれぞれの蛍光体から多色の蛍光を発光させる色変換方式とを組み合わせることにより、高精細かつ高輝度の有機ELディスプレイを提供できる可能性が示されてきている(特許文献1および2参照)。
【0005】
従来技術の有機ELディスプレイの構造を示す断面概略図を図7に示す。この図に示されるように、従来の有機ELディスプレイ600は、基板602、TFT604、下部電極606、有機EL層608、上部電極610、透明基板616、色変換フィルタ層612(612R、612G、612B)、ブラックマスク614、および外周封止層618を有する。この有機ELディスプレイ600は、基板602、TFT604、下部電極606、有機EL層608および上部電極610を有する有機EL発光素子と、透明基板616、色変換フィルタ層612およびブラックマスク614を有する色変換フィルタ基板を貼り合わせることにより得ることができる。貼り合わせは、基板602の周辺に、たとえば室温硬化型二液エポキシ系接着剤を使用して外周封止層618を形成し、透明基板616を接着させることにより行われる。このとき、2枚の基板の間には内部空間620が形成される。
【0006】
この構造では、内部空間620と上部電極610との界面および/または内部空間620と色変換フィルタ層612との界面において、有機EL層608からの発光の一部が反射され、ディスプレイの発光効率が低下する恐れがある。
【0007】
この反射を防止する手段としては、内部空間620が生じないように有機EL発光素子と色変換フィルタ基板を密着させることが考えられるが、その場合には、接着時に印加される圧力によって有機EL発光素子および色変換フィルタ基板の変形およびそれに伴う故障が発生するために好ましくない。このような問題点を解決するために有機EL発光素子と色変換フィルタ基板の間に膜厚が0.1〜500μmのシリコーン樹脂からなる透明樹脂層を形成することが提案されている(特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−251059号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2000−77191号公報
【0010】
【特許文献3】
特開平5−94878号公報
【0011】
【特許文献4】
特開平11−283739号公報
【0012】
【特許文献5】
特開2002−216958号公報
【0013】
【特許文献6】
特開平5−134112号公報
【0014】
【特許文献7】
特開平7−218717号公報
【0015】
【特許文献8】
特開平7−306311号公報
【0016】
【特許文献9】
特開平5−119306号公報
【0017】
【特許文献10】
特開平7−104114号公報
【0018】
【特許文献11】
特開平6−300910号公報
【0019】
【特許文献12】
特開平7−128519号公報
【0020】
【特許文献13】
特開平8−279394号公報
【0021】
【特許文献14】
特開平9−330793号公報
【0022】
【特許文献15】
特開平5−36475号公報
【0023】
【特許文献16】
特開平9−330793号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内部空間に透明樹脂層を設ける場合、透明樹脂層と、有機EL発光素子および/または色変換フィルタ基板との接触面において気泡を発生させないことが重要である。なぜならば、気泡が存在すると、有機EL発光素子からの光が、その気泡により反射および屈折され、ディスプレイの発光効率および表示品質の低下が起こるからである。
【0025】
気泡を発生させないための1つの方法としては、いずれかの基板上に充填材料を配置した後に、真空環境下で有機EL発光素子と色変換フィルタ基板とを加圧接着する方法がある。この方法では気泡の原因となる空気を排除することができるが、真空装置を必要とし、工程が複雑になる。
【0026】
別の方法としては、いずれかの基板の周縁部に設ける接着層に充填材料の注入口(開口部)を設けて貼り合わせ、その後に注入口より充填材料を注入し、充填後に注入口を封止(エンドシール)することが考えられる。この方法では、接着層に対する注入口の設置およびエンドシールのような工程が追加されるので、コストアップを招く。
【0027】
さらに別の方法としては、トップエミッション方式のEL素子の上部に、この素子の全面に配置される接着剤を塗布し、EL素子とカバー基板を貼り合わせる際に、カバー基板を凸面状に湾曲させた状態で貼り合わせることも試みられている(特許文献4参照)。このような工程を用いることにより、EL素子とカバー基板との間に気泡(微細な内部空間に相当する)が入ることを防止している。この方法は、カバー基板を凸面状に湾曲させるため、色変換フィルタ基板に適用すると、これを破損させる可能性がある。
【0028】
さらに別の方法として、封止ガラスと素子基板を貼り合わせる際に、素子基板の貼り合わせ面に、樹脂材料からなる直線状、波線状、スポット、破線状などの「ビード」と称されるものを複数形成することが知られている(特許文献5参照)。この文献には、「ビード」間に貼り合わせ時に空気を外部に逃がすための空気逃げ通路を形成することも開示されている。しかしこの文献に開示されている方法では、樹脂材料からなる「ビード」を形成する特殊な装置を必要とるためコスト高となる。また、この文献によれば、空気を空気逃げ通路に沿って逃がすために、封止ガラスと素子基板を貼り合わせる際に、封止ガラスを撓ませる。この文献に記載のような封止ガラスと素子基板の貼り合わせでは封止ガラスを撓ませることが可能であるが、色変換フィルタ基板を用いる場合には、先に特許文献4の発明で説明したのと同様の問題点があり、色変換フィルタ基板を破損させる可能性がある。
【0029】
従って、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板を貼り合わせて形成されるディスプレイの製造において、低コスト且つ簡便に、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板との間に透明層を形成し、気泡を混入させることなく有機ELディスプレイを製造する方法が望まれている。また、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板との間に気泡を混入させることなく、得られたディスプレイの発光効率および表示品質を向上させることができる方法が望まれている。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その第一の側面は、有機ELディスプレイの製造方法である。本発明の製造方法は、基板上に、第1電極と、有機EL層と、第2電極とを形成して、有機EL発光素子を準備する工程と;透明基板上に色変換フィルタ層を形成して色変換フィルタ基板を準備する工程と;前記有機EL発光素子または色変換フィルタ基板上に、溝を有する透明層を形成する工程と;前記有機EL発光素子と色変換フィルタ基板とを透明層を介して位置を合わせて貼り合わせる工程とを含む。本発明では、透明層は弾性体であることが好ましい。本発明の製造方法は、TFT型およびパッシブ型の有機ELディスプレイに適用することができる。
【0031】
さらに本発明の第二の側面は、有機ELディスプレイに関する。本発明の有機ELディスプレイは、基板上に形成された第1電極と、有機EL層と、第2電極とを含む有機EL発光素子と、透明基板上に形成された色変換フィルタ層を含む色変換フィルタ基板とを含み、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板との間に透明層が設けられており、該透明層が溝を有することを特徴とする。本発明では、透明層は弾性体であることが好ましい。本発明の有機ELディスプレイには、TFT型およびパッシブ型の両タイプが含まれる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の第一の側面および第二の側面について説明する。
【0033】
なお、本発明の第一の側面および第二の側面の駆動方式において、アクティブマトリクス駆動を行う場合には、基板上に薄膜トランジスタが設けられ、上記第1電極が薄膜トランジスタに接続されており、薄膜トランジスタにより有機ELディスプレイが駆動される。また、パッシブマトリクス駆動を行う場合には、上記第1電極および上記第2電極はそれぞれラインパターン状に形成され、第1電極のラインパターンと第2電極のラインパターンは直交する方向に延びることができる。
【0034】
本発明の有機ELディスプレイの製造方法および構造を図1〜図6を参照して説明するが、これらは例示であり、本発明はこれらの図面に示された実施形態に限定されない。
【0035】
図1において、(a)は有機EL発光素子160を示し、(b)は透明層128を有する色変換フィルタ基板150を示し、(c)は透明層128を有する色変換フィルタ基板150と有機EL発光素子160とを貼り合わせて製造される有機ELディスプレイ140を示す断面図である。図2は、図1に示す本発明の有機ELディスプレイ140の製造工程を説明するための概略断面図である。図3は機ELディスプレイ142を示す断面図である。図3(a)は透明層128を有する有機EL発光素子162を示し、図3(b)は色変換フィルタ基板152を示し、図3(c)は色変換フィルタ基板152と透明層128を有する有機EL発光素子162とを貼り合わせて製造される有機ELディスプレイ142を示す断面図である。図4は、図3に示す本発明の有機ELディスプレイ142の製造工程を説明するための概略断面図である。図5(a)は本発明の有機ELディスプレイ140の断面図であり、図5(b)および図5(c)は、図5(a)の有機ELディスプレイ140の中の線2−2’に沿って切断した断面を示す図である。即ち、図5(b)および図5(c)は、それぞれ、本発明の有機ELディスプレイの透明層128を示す実施形態の一例である。また、図6(a)および図6(b)は、それぞれ、透明層128の脱気溝132の実施形態の一例を示す図である。
【0036】
まず、本発明の有機ELディスプレイの製造方法について説明する。
【0037】
[製造方法1]
本発明の1つの製造方法は、図1に示されるように、有機EL発光素子160と、透明層128を有する色変換フィルタ基板150とを貼り合わせて、有機ELディスプレイ140を形成する。
【0038】
1)透明層を有する色変換フィルタ基板の製造
透明層128を有する色変換フィルタ基板は、図2(a)から図2(c)に示される工程で製造することができる。なお、図2に示される実施形態において、赤色変換フィルタ層は、赤色カラーフィルタ層118Rと赤色変換層120Rからなり、緑色変換フィルタ層は、緑色カラーフィルタ層118Gと緑色変換層120Gからなり、および青色変換フィルタ層は、青色カラーフィルタ層118Bからなるが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
a)色変換フィルタ基板の製造
透明基板116上に、RGB各色に対応する色変換フィルタ層と、それらの間および周囲に位置するブラックマスク122とを形成し、色変換フィルタ基板を形成する(図2(a))。色変換フィルタ層およびブラックマスクは、スピンコート法とフォトリソグラフ法を用いて従来通りの手法で形成することができる。
【0040】
得られた色変換フィルタ層およびブラックマスクは、図1(b)および図2(c)に示すようにオーバーコート層136で被覆してもよいが、後述する透明層128がオーバーコート層を兼ねることができるので、オーバーコート層の設置は任意である。オーバーコート層には種々のポリマー材料を用いることができる(後述のオーバーコート層の説明参照)。オーバーコート層の形成法は特に制限はない。たとえば、乾式法(スパッタ法、蒸着法、CVD法など)、あるいは湿式法(スピンコート法、ロールコート法、キャスト法など)のような慣用の手法により形成することができる。
【0041】
b)透明層の形成
次いで、透明層128を色変換フィルタ層およびブラックマトリックス122上に形成することにより透明層を有する色変換フィルタ基板150が得られる。
【0042】
本発明の一実施形態では、各色変換フィルタ層およびブラックマスク122を形成した後に、透明層の材料128’をスピンコート法などにより塗布する(図2(b))。引き続いてフォトリソグラフ法によりパターニングを実施して脱気溝132を形成し、透明層128を形成する(図2(c))。
【0043】
別の実施形態では、透明層128は、グラビア印刷法、転写法などの技術を使用して各色変換フィルタ層およびブラックマスク上に形成することができる。例えば、対応する脱気溝の形状の凸部を有するグラビアロールなどを用いて、透明層を印刷することによって形成してもよい。あるいは、対応する脱気溝に相当する凸部を有する基板(ポリマーフィルムなど)を用い、これに透明層の材料を充填し、それを色変換フィルタ層およびブラックマスク上に転写することによって形成してもよい。
【0044】
本発明において、透明層128は、弾性体であることが好ましいが、色変換フィルタ基板と有機EL発光素子を接着する際に弾性を有していればよい。従って、各色変換フィルタ層およびブラックマスク122上で弾性体となるように加工される材料を用いることができる。例えば、上記スピンコート法で透明層の材料を塗布する場合は、塗布された後に弾性体に硬化可能な液体材料を例として挙げることができる。また、上記グラビア印刷や転写法などによる方法では、弾性体となるように加工できる液体材料を転写元の基板(脱気溝の形状の凸部を有するものなど)などに塗布し、所望の形状に加工した後に印刷や転写をすることができる。あるいは、予め脱気溝を形成した固体弾性体を用い、各色変換フィルタ層およびブラックマスク上に直接印刷または転写してもよい。なお、透明層の厚さは10μm以下、好ましくは5から10μmである。
【0045】
本発明の透明層128は、波長400〜800nmの光に対して20%〜95%、好ましくは60%〜95%の可視光透過率と、1.2〜2.5の屈折率とを有することが好ましい。さらに、本発明の透明層128は、9.8×10−2〜19.6MPa(1〜200kg/cm)好ましくは0.49〜4.9MPa(5〜50kg/cm)の弾性率を有する。本発明ではこのような弾性率を有する透明層を形成できる材料であればいずれの材料であっても使用することができる。具体的には、本発明で使用しうる材料には、例えばJNPC−43(日本合成ゴム(株))、NN810(日本合成ゴム(株))、JNPC−50(日本合成ゴム(株))などを例に挙げることができる。
【0046】
透明層が弾性体であることにより、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板を貼り合わせる際にこの素子と基板を損傷することなく貼り合わせることが可能になる。即ち、透明層128の存在により、接合時の加圧が安定化される。
【0047】
脱気溝132は、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板の貼り合わせ時に気泡が混入しないいずれの配置であってもよいが、例えば図5(b)に示すストライプ状または図5(c)に示されるような格子状とすることができる。本発明では、透明層128の脱気溝以外の部分(たとえば図2(c)、図5(b)または図5(c)の134で示される領域)は、サブピクセルの領域に相当する(即ち、脱気溝132は色変換フィルタ層の間に相当する部分に設けられている)が、本発明では、この脱気溝以外の部分134は、複数のサブピクセルにまたがって形成されてもよく、さらには複数の画素にわたって形成されてもよい。
【0048】
本発明では、脱気溝132をサブピクセル間や画素間に形成することにより、有機EL発光素子からの光が脱気溝により反射され、ディスプレイの発光効率が低下することを防止する。
【0049】
本発明において、透明層128に形成される脱気溝132は、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板の貼り合わせ時に気泡が混入しない範囲で、透明層の厚さ方向のいずれの深さを有していてもよい。例えば、図6(a)または図6(b)に示されるように、脱気溝132は、透明層の厚さ方向に、透明層を貫通するように形成されていてもよい。本発明では、好ましくは、脱気溝の深さは、10μm以下、好ましくは1〜5μmである。また、脱気溝の幅は30μm以下、好ましくは10〜30μmである。
【0050】
2)有機EL発光素子の製造
TFT型の有機EL発光素子は当該技術において知られている手段を用いて製造することができる。即ち、スパッタ法、蒸着法、スピンコート法などを含む被覆方法、フォトリソグラフ法などを適宜組み合わせて、第1の基板102上に、複数のTFT104、平坦化絶縁層106、複数の第1電極108、有機EL層110、第2電極112およびパッシベーション層114を順次積層すればよい。
【0051】
また、パッシブマトリクス型の有機EL素子を製造する場合には、スパッタ法、蒸着法、スピンコート法などを含む被覆方法、フォトリソグラフ法などを適宜組み合わせて、ラインパターン状の第1電極、有機EL層、第1電極のラインパターンと直交する方向に延びるラインパターンを有する第2電極およびパッシベーション層を順次積層して、有機EL発光素子を形成すればよい。
【0052】
3)有機ELディスプレイの製造(貼り合わせ工程)
上記のように形成した透明層を有する色変換フィルタ基板150および有機EL発光素子160を乾燥窒素雰囲気(望ましくは、酸素および水分濃度ともに1ppm以下)内に配置する。そして、ディスペンサーロボットを用いて外周部に紫外線硬化型接着剤を塗布する。その後に、図2(d)(または図1(c))に示されるように有機EL発光素子160と透明層を有する色変換フィルタ基板150とを密着させる。このとき、透明層には脱気溝132が設けられているため有機EL発光素子160と透明層を有する色変換フィルタ基板150の接着面に気泡が混入することがない。
【0053】
続いて、有機EL発光素子の発光部と色変換フィルタ層とのアライメントを行う。アクティブマトリクス駆動の場合には、第1電極108と色変換フィルタ層との位置合わせを行う。一方、パッシブマトリクス駆動の場合には、第1電極および第2電極のラインパターンの交差部分と色変換フィルタ層との位置合わせを行う。なお、透明層128の脱気溝132はサブピクセルまたは画素間に配置されるように予め形成されている。
【0054】
その後に、前述の紫外線硬化型接着剤に対して紫外線を照射して、該接着剤を硬化させて外周封止層130を形成する。紫外線照射は、例えば100mW/cmの照度で30秒間にわたって行うことが好ましい。
【0055】
以上のように、透明層128を用いることにより、接着時の気泡の混入を防止でき、長期信頼性のある有機ELディスプレイ140を構成することができる。
【0056】
本発明において、脱気溝132をサブピクセル間または画素間に格子状に形成し、かつ脱気溝132を透明層128の厚さ方向に貫通するように形成した場合、有機ELディスプレイの視野角依存性が改良されうる。
【0057】
[製造方法2]
次に、本発明の別の製造方法について説明する。この方法は、図3に示されるように、透明層128を有する有機EL発光素子162と、色変換フィルタ基板152とを貼り合わせて、有機ELディスプレイ142を形成する。
【0058】
この方法においては、図3に示されるように、有機ELディスプレイは、透明層128がパッシベーション層上に形成され、脱気溝132が色変換フィルタ基板152に向けて形成されていることを除いて、図1(c)に示される有機ELディスプレイ140と同様の構造を有する。なお、本実施形態においても、脱気溝132は、透明層128を貫通していてもよい。
【0059】
1)色変換フィルタ基板152の製造
色変換フィルタ基板152は、透明基板116上に、RGB各色に対応する色変換フィルタ層と、それらの間および周囲に位置するブラックマスク122とを形成することにより得られる。色変換フィルタ層およびブラックマスクは、スピンコート法とフォトリソグラフ法を用いて従来通りの手法で形成することができる。本実施形態においても、各色変換フィルタ層は、図1(b)または図2(a)に示される実施形態と同様の構成を有する。
【0060】
得られた色変換フィルタ基板には、必要に応じてオーバーコート層136を設けることが好ましい(図3(b)参照)。オーバーコート層には種々のポリマー材料を用いることができる(後述のオーバーコート層の説明参照)。オーバーコート層の形成法は特に制限はない。たとえば、乾式法(スパッタ法、蒸着法、CVD法など)、あるいは湿式法(スピンコート法、ロールコート法、キャスト法など)のような慣用の手法により形成することができる。
【0061】
2)透明層を有する有機EL発光素子の製造
a)有機EL発光素子の製造
当該技術において知られている手段を用いて、有機EL発光素子を形成する。即ち、スパッタ法、蒸着法、スピンコート法などを含む被覆方法、フォトリソグラフ法などを適宜組み合わせて、第1の基板102上に、複数のTFT104、平坦化絶縁層106、複数の第1電極108、有機EL層110、第2電極112およびパッシベーション層114を順次積層すればよい(図4(a))。また、パッシブマトリクス駆動を行う場合には、スパッタ法、蒸着法、スピンコート法などを含む被覆方法、フォトリソグラフ法などを適宜組み合わせて、ラインパターン状の第1電極108、有機EL層110、第1電極108のラインパターンと直交する方向に延びるラインパターンを有する第2電極112およびパッシベーション層114を順次積層して、有機EL発光素子を形成することができる。
【0062】
b)透明層の形成
本発明の一実施形態では、パッシベーション層114を形成した後に、透明層の材料128’をスピンコート法などにより塗布する(図4(b))。引き続いてフォトリソグラフ法によりパターニングを実施して脱気溝132を形成し、透明層128を形成する(図4(c))。
【0063】
別の実施形態では、透明層128は、グラビア印刷法、転写法などの技術を使用してパッシベーション層114上に形成することができる。例えば、対応する脱気溝の形状の凸部を有するグラビアロールなどを用いて、透明層を印刷することによって形成してもよい。あるいは、対応する脱気溝に相当する凸部を有する基板(ポリマーフィルムなど)を用い、これに透明層の材料を充填し、それをパッシベーション層114上に転写することによって形成してもよい。
【0064】
本発明において、透明層132は、弾性体であることが好ましいが、色変換フィルタ基板と有機EL発光素子を接着する際に弾性を有していればよい。従って、パッシベーション層114上で弾性体となるように加工される材料を用いることができる。例えば、上記スピンコート法で透明層の材料を塗布する場合は、塗布された後に弾性体に硬化可能な液体材料を例として挙げることができる。また、上記グラビア印刷や転写法などによる方法では、弾性体となるように加工できる液体材料を転写元の基板(脱気溝の形状の凸部を有するものなど)などに塗布し、所望の形状に加工した後に印刷や転写することができる。あるいは、予め脱気溝を形成した弾性体を用い、パッシベーション層114上に直接印刷または転写してもよい。なお、透明層の厚さは10μm以下、好ましくは5から10μmである。
【0065】
本発明の透明層128の材料、並びに、脱気溝132および脱気溝以外の領域134の形状、寸法などは、先の[製造方法1]で説明したものと同じである。
【0066】
本発明では、透明層が弾性体であることにより、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板を貼り合わせる際にこの素子と基板を損傷することなく貼り合わせることが可能になる。即ち、透明層128の存在により、接合時の加圧が安定化される。
【0067】
3)有機ELディスプレイの製造(貼り合わせ工程)
上記のように形成した色変換フィルタ基板152および透明層を有する有機EL発光素子162を乾燥窒素雰囲気(望ましくは、酸素および水分濃度ともに1ppm以下)内に配置する。そして、ディスペンサーロボットを用いて、有機EL発光素子162の外周部に紫外線硬化型接着剤を塗布する。その後に、有機EL発光素子162と色変換フィルタ基板152とを密着させる。このとき、透明層には脱気溝132が設けられているため有機EL発光素子162と色変換フィルタ基板152の接着面に気泡が混入することがない。
【0068】
続いて、有機EL発光素子の発光部と色変換フィルタ層とのアライメントを行う。アクティブマトリクス駆動の場合には、第1電極108と色変換フィルタ層との位置合わせを行う。一方、パッシブマトリクス駆動の場合には、第1電極および第2電極のラインパターンの交差部分と色変換フィルタ層との位置合わせを行う。なお、透明層128の脱気溝132はサブピクセルまたは画素間に配置されるように予め形成されている。
【0069】
その後に、前述の紫外線硬化型接着剤に対して紫外線を照射して、該接着剤を硬化させて外周封止層130を形成する。紫外線照射は、例えば100mW/cmの照度で30秒間にわたって行うことが好ましい。
【0070】
以上のように、透明層128を用いることにより、接着時の気泡の混入を防止でき、長期信頼性のある有機ELディスプレイ142を構成することができる。
【0071】
本発明において、脱気溝132をサブピクセル間または画素間に格子状に形成し、かつ脱気溝132を透明層128の厚さ方向に貫通するように形成した場合、有機ELディスプレイの視野角依存性が改良されうる。
【0072】
次に本発明の第二の側面について説明する。第二の発明は、有機ELディスプレイに関し、具体的には、基板上に形成された第1電極と、有機EL層と、第2電極とを含む有機EL発光素子と、透明基板上に形成された色変換フィルタ層を含む色変換フィルタ基板とを含む有機ELディスプレイであって、前記有機EL発光素子と前記色変換フィルタ基板との間に、透明層を設け、この透明層に溝を設けたことを特徴とする。本発明の有機ELディスプレイでは、透明層が弾性体であることが好ましい。アクティブマトリクス駆動を行う場合には、基板上に薄膜トランジスタがさらに設けられ、前記第1電極が該薄膜トランジスタに接続されており、および該薄膜トランジスタにより有機ELディスプレイが駆動される。また、パッシブマトリクス駆動を行う場合には、前記第1電極および前記第2電極はそれぞれラインパターン状に形成され、前記第1電極のラインパターンと前記第2電極のラインパターンは直交する方向に延びることができる。
【0073】
TFT型の有機ELディスプレイの具体例としては、図1(c)または図3(c)に示されるものを挙げることができる。これらの図に示される有機ELディスプレイは、基板102上にTFT104、平坦化絶縁膜106、第1電極108、有機EL層110、第2電極112、パッシベーション層114を有する有機EL発光素子、および、透明基板116上にRGB各色に対応する色変換フィルタ層と、それらの間および周囲に位置するブラックマスク122とを有する色変換フィルタ層が、透明層128を介して接合された構造を有している。
【0074】
以下に本発明の有機ELディスプレイの各構成要素について説明する。
【0075】
[構成要素]
(1)第1の基板102
第1の基板102として、ガラスやプラスチックなどからなる絶縁性基板、または、半導電性や導電性基板に絶縁性の薄膜を形成した基板を用いることができる。
【0076】
(2)TFT104
TFT104は、アクティブマトリクス駆動を行う場合に設けられる。TFT104は、第1の基板102上にマトリックス状に配置され、各画素に対応した第1電極108にソース電極またはドレイン電極が接続される。好ましくは、TFT104は、ゲート電極をゲート絶縁膜の下に設けたボトムゲートタイプで、能動層として多結晶シリコン膜を用いた構造である。
【0077】
TFT104のドレイン電極およびゲート電極に対する配線部、並びにTFT自身の構造は、所望される耐圧性、オフ電流特性、オン電流特性を達成するように、当該技術において知られている方法により作成することができる。また、トップエミッション方式を用いる本発明の有機ELディスプレイにおいてはTFT部を光が通過しないので、開口率を増加させるためにTFTを小さくする必要がなく、TFT設計の自由度を高くすることができるので、上記の特性を達成するために有利である。
【0078】
(3)平坦化絶縁膜106
アクティブマトリクス駆動を行う場合、平坦化絶縁膜106を、TFT104の上部に形成することが好ましい。平坦化絶縁膜106は、TFT104のソース電極またはドレイン電極と第1電極108との接続およびその他の回路の接続に必要な部分以外に設けられ、基板表面を平坦化して引き続く層の高精細なパターン形成を容易にする。平坦化絶縁膜106は、当該技術に知られている任意の材料により形成することができる。好ましくは、無機酸化物または窒化物、あるいはポリイミドまたはアクリル樹脂から形成される。
【0079】
(4)第1電極108
第1電極108は、陽極または陰極のいずれであってもよい。第1電極108を陽極として用いる場合、正孔の注入を効率よく行うために、仕事関数が大きい材料が用いられる。特に通常の有機EL素子では、陽極を通して光が放出されるために陽極が透明であることが要求され、ITO等の導電性金属酸化物が用いられる。本発明のトップエミッション方式では透明であることは必要ではないが、ITO、IZOなどの導電性金属酸化物を用いて第1電極108を形成することができる。さらに、ITOなどの導電性金属酸化物を用いる場合、その下に反射率の高いメタル電極(Al,Ag,Mo,Wなど)を用いることが好ましい。このメタル電極は、導電性金属酸化物より抵抗率が低いので補助電極として機能すると同時に、有機EL層110で発光される光を色変換フィルタ基板150、152側に反射して光の有効利用を図ることが可能となる。
【0080】
第1電極108を陰極として用いる場合、仕事関数が小さい材料であるリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物が用いられる。前述と同様に、その下に反射率の高いメタル電極(Al,Ag,Mo,Wなど)を用いてもよく、その場合には低抵抗化および反射による有機EL層110の発光の有効利用を図ることができる。
【0081】
本発明の有機ELディスプレイにおいてアクティブマトリクス駆動を行う場合、第1電極108は、TFT104それぞれに対応して分離した形態で平坦化絶縁膜106上に形成され、TFT104のソース電極またはドレイン電極と接続される。ソース電極と接続される場合は陽極として機能し、ドレイン電極と接続される場合は陰極として機能する。TFT104と第1電極108とは、平坦化絶縁膜内に設けられたコンタクトホールに充填された導電性プラグによって接続される。導電性プラグは、第1電極108と一体に形成されてもよいし、あるいは金、銀、銅、アルミニウム、モリブデン、タングステンなどの低抵抗の金属類を用いて形成されてもよい。
【0082】
あるいは、本発明の有機ELディスプレイにおいてパッシブマトリクス駆動を行う場合、TFT104および平坦化絶縁膜106を形成することなしに、基板102上にラインパターン状の第1電極108が形成される。この場合にも、第1電極を陽極あるいは陰極のいずれとしても利用することができる。
【0083】
(5)有機EL層110
本発明の色変換方式の有機ELディスプレイにおいては、有機EL層110から発せられる近紫外から可視領域の光、好ましくは青色から青緑色領域の光を色変換フィルタ層に入射させて、所望される色を有する可視光を放出する。
【0084】
有機EL層110は、少なくとも有機EL発光層を含み、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、および/または電子注入層を介在させた構造を有する。具体的には、下記のような層構成からなるものが採用される。
【0085】
(1)有機EL発光層
(2)正孔注入層/有機EL発光層
(3)有機EL発光層/電子注入層
(4)正孔注入層/有機EL発光層/電子注入層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子注入層
(上記において、陽極は有機EL発光層または正孔注入層に接続され、陰極は有機EL発光層または電子注入層に接続される)
【0086】
上記各層の材料としては、公知のものが使用される。青色から青緑色の発光を得るためには、有機EL発光層中に、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。
【0087】
(6)第2電極112
第2電極112は、有機EL層110に対して効率よく電子または正孔を注入することとともに、有機EL層110の発光波長域において透明であることが求められる。第2電極112は、波長400〜800nmの光に対して50%以上の透過率を有することが好ましい。
【0088】
第2電極112を陰極として用いる場合、その材料は、電子を効率よく注入するために仕事関数が小さいことが求められる。さらに、有機EL層の発する光の波長域において透明であることが必要とされる。これら2つの特性を両立するために、本発明において陰極112を複数層からなる積層構造とすることが好ましい。なぜなら、仕事関数の小さい材料は、一般的に透明性が低いからである。すなわち、有機EL層110と接触する部位に、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物の極薄膜(10nm)を用いる。これらの仕事関数の小さい材料を用いることにより効率のよい電子注入を可能とし、さらに極薄膜とすることによりこれら材料による透明性低下を最低限とすることが可能となる。該極薄膜の上には、ITOまたはIZOなどの透明導電膜を形成する。これらの導電膜は補助電極として機能し、陰極112全体の抵抗値を減少させ有機EL層110に対して充分な電流を供給することを可能にする。
【0089】
第2電極112を陽極として用いる場合、正孔注入効率を高めるために仕事関数の大きな材料を用いる必要がある。また、有機EL層110からの発光が第2電極を通過するために透明性の高い材料を用いる必要がある。したがって、この場合にはITOまたはIZOのような透明導電性材料を用いることが好ましい。
【0090】
本発明の有機ELディスプレイにおいてアクティブマトリクス駆動を行う場合、第2電極112は、パターニングをされていない均一電極として形成することができる。
【0091】
あるいは、本発明の有機ELディスプレイにおいてパッシブマトリクス駆動を行う場合、第2電極112は、第1電極108のラインパターンと直交する方向に延びるラインパターン状に形成される。
【0092】
(7)パッシベーション層114
以上のように形成される第2電極112以下の各層を覆ってパッシベーション層114が設けられる。パッシベーション層114は、外部環境からの酸素、低分子成分および水分の透過を防止し、それらによる有機EL層110の機能低下を防止することに有効である。パッシベーション層114は、有機EL層110の発光を色変換フィルタ層へと透過させるために、その発光波長域において透明であることが好ましい。
【0093】
これらの要請を満たすために、パッシベーション層114は、可視域における透明性が高く(400〜800nmの範囲で透過率50%以上)、電気絶縁性を有し、水分、酸素および低分子成分に対するバリア性を有し、好ましくは2H以上の膜硬度を有する材料で形成される。例えば、SiO、SiN、SiN、AlO、TiO、TaO、ZnO等の無機酸化物、無機窒化物等の材料を使用できる。該パッシベーション層の形成方法としては特に制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法、ゾル−ゲル法等の慣用の手法により形成できる。
【0094】
また、パッシベーション層として種々のポリマー材料を用いることができる。イミド変性シリコーン樹脂(特許文献6〜8参照)、無機金属化合物(TiO、Al、SiO等)をアクリル、ポリイミド、シリコーン樹脂等の中に分散した材料(特許文献9および10を参照)、アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性ビニル基を有した樹脂、レジスト樹脂(特許文献11〜14を参照)、フッ素系樹脂(特許文献15および16参照)、または高い熱伝導率を有するメソゲン構造を有するエポキシ樹脂などの光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらポリマー材料を用いる場合にも、その形成法は特に制限はない。たとえば、乾式法(スパッタ法、蒸着法、CVD法など)、あるいは湿式法(スピンコート法、ロールコート法、キャスト法など)のような慣用の手法により形成することができる。
【0095】
上述のパッシベーション層114は、単層であっても、複数の層が積層されたものであってもよい。パッシベーション層114の厚さ(複数の層の積層物である場合は全厚)は、0.1〜10μmであることが好ましい。
【0096】
(8)透明基板116
透明基板116は、色変換フィルタ層によって変換された光に対して透明であることが必要である。また、透明基板116は、色変換フィルタ層、ブラックマスクおよび透明層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべきであり、さらに寸法安定性に優れていることが好ましい。透明基板116は、波長400〜800nmの光に対して50%以上の透過率を有することが好ましい。
【0097】
透明基板116の材料として好ましいものは、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等の樹脂を含む。ホウケイ酸ガラスまたは青板ガラス等が特に好ましいものである。
【0098】
(9)色変換フィルタ層
本明細書において、色変換フィルタ層は、カラーフィルタ層118、色変換層120、およびカラーフィルタ層118と色変換層120との積層体の総称である。色変換層120は、有機EL層110にて発光される近紫外領域ないし可視領域の光、特に青色ないし青緑色領域の光を吸収して異なる波長の可視光を発光するものである。フルカラー表示を可能にするためには、少なくとも青色(B)領域、緑色(G)領域および赤色(R)領域の光を放出する独立した色変換フィルタ層が設けられる。RGBそれぞれの色変換層は、例えば少なくとも有機蛍光色素とマトリクス樹脂とを含む。
【0099】
1)有機蛍光色素
本発明において、好ましくは、少なくとも赤色領域の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上を用い、さらに緑色領域の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上と組み合わせてもよい。これは、光源として青色ないし青緑色領域の光を発光する有機EL層110を用いる場合、有機EL層110からの光を単なる赤色フィルタに通して赤色領域の光を得ようとすると、元々赤色領域の波長の光が少ないために極めて暗い出力光になってしまうからである。
【0100】
したがって、有機EL層110からの青色ないし青緑色領域の光を、蛍光色素によって赤色領域の光に変換することにより、十分な強度を有する赤色領域の光の出力が可能となる。発光体から発せられる青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウムパークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0101】
発光体から発せられる青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
【0102】
さらに、青色領域の光に関しては、有機EL層110からの発光を単なる青色フィルタに通して出力させることが可能である。
【0103】
なお、本発明に用いる有機蛍光色素を、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびこれらの樹脂混合物などに予め練り込んで顔料化して、有機蛍光顔料としてもよい。また、これらの有機蛍光色素や有機蛍光顔料(本明細書中で、前記2つを合わせて有機蛍光色素と総称する)は単独で用いてもよく、蛍光の色相を調整するために2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0104】
本発明の蛍光変換層120は、該蛍光変換層の重量を基準として0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%の有機蛍光色素を含有する。前記含有量範囲の有機蛍光色素を用いることにより、濃度消光などの硬化による色変換効率を伴うことなしに、充分な波長変換を行うことが可能となる。
【0105】
2)マトリクス樹脂
次に、本発明の色変換層に用いられるマトリクス樹脂は、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)を光および/または熱処理して、ラジカル種またはイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させたものである。また、色変換層のパターニングを行うために、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、未露光の状態において有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
【0106】
具体的には、マトリクス樹脂は、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤とからなる組成物膜を光または熱処理して、光ラジカルまたは熱ラジカルを発生させて重合させたもの、(2)ボリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物を光または熱処理により二量化させて架橋したもの、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物膜を光または熱処理してナイトレンを発生させ、オレフィンと架橋させたもの、および(4)エポキシ基を有するモノマーと酸発生剤とからなる組成物膜を光または熱処理により、酸(カチオン)を発生させて重合させたものなどを含む。特に、(1)のアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと光または熱重合開始剤とからなる組成物を重合させたものが好ましい。なぜなら、該組成物は高精細なパターニングが可能であり、および重合した後は耐溶剤性、耐熱性等の信頼性が高いからである。
【0107】
本発明で用いることができる光重合開始剤、増感剤および酸発生剤は、含まれる蛍光変換色素が吸収しない波長の光によって重合を開始させるものであることが好ましい。本発明の色変換層において、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂中の樹脂自身が光または熱により重合することが可能である場合には、光重合開始剤および熱重合開始剤を添加しないことも可能である。
【0108】
マトリクス樹脂(色変換層)は、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂、有機蛍光色素および添加剤を含有する溶液または分散液を、支持基板上に塗布して樹脂の層を形成し、そして所望される部分の光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を露光することにより重合させて形成される。所望される部分に露光を行って光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を不溶化させた後に、パターニングを行う。該パターニングは、未露光部分の樹脂を溶解または分散させる有機溶媒またはアルカリ溶液を用いて、未露光部分の樹脂を除去するなどの慣用の方法によって実施することができる。
【0109】
3)構成および形状
赤色に関しては、例えば蛍光色素を用いた赤色変換層120Rのみから形成されてもよい。しかし、蛍光色素による変換のみでは十分な色純度が得られない場合は、図1(a)に示されるように色変換層120Rとカラーフィルタ層118Rとの積層体としてもよい。カラーフィルタ層118Rを併用する場合、カラーフィルタ層118Rの厚さは1〜1.5μmであることが好ましい。
【0110】
また、緑色に関しては、例えば蛍光色素を用いた緑色変換層120Gのみから形成されてもよい。しかし、蛍光色素による変換のみでは十分な色純度が得られない場合は、図1(a)に示されるように色変換層120Gとカラーフィルタ層118Gとの積層体としてもよい。カラーフィルタ層118Gを併用する場合、カラーフィルタ層118Gの厚さは1〜1.5μmであることが好ましい。あるいは、有機EL層110の発光が緑色領域の光を充分に含む場合には、カラーフィルタ層118Gのみとしてもよい。カラーフィルタ層118Gのみを用いる場合、その厚さは0.5〜10μmであることが好ましい。
【0111】
一方、青色に関しては、図1に示されるようにカラーフィルタ層118Bのみとすることができる。カラーフィルタ層118Bのみを用いる場合、その厚さは0.5〜10μmであることが好ましい。
【0112】
色変換フィルタ層の形状は、よく知られているように各色ごとに分離したストライプパターンとしてもよいし、各画素のサブピクセルごとに分離させた構造を有してもよい。
【0113】
(10)ブラックマスク122
各色に対応する色変換フィルタ層の間の領域には、ブラックマスク122を形成することが好ましい。ブラックマスクを設けることによって、隣接するサブピクセルの色変換フィルタ層への光の漏れを防止して、にじみのない所望される蛍光変換色のみを得ることが可能となる。後述する有機ELディスプレイの封止を妨げないことを条件として、透明基板116上の色変換フィルタ層が設けられている領域の周囲にブラックマスクを設けてもよい。ブラックマスク122は、好ましくは0.5〜2.0μmの厚さを有する。
【0114】
(11)オーバーコート層136
色変換フィルタ基板には、オーバーコート層136を形成することが好ましい。オーバーコート層136には、種々のポリマー材料を用いることができる。イミド変性シリコーン樹脂(特許文献6〜8参照)、無機金属化合物(TiO、Al、SiO等)をアクリル、ポリイミド、シリコーン樹脂等の中に分散した材料(特許文献9および10を参照)、アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性ビニル基を有した樹脂、レジスト樹脂(特許文献11〜14を参照)、フッ素系樹脂(特許文献15および16参照)、または高い熱伝導率を有するメソゲン構造を有するエポキシ樹脂などの光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらポリマー材料を用いる場合、その形成法は特に制限はない。たとえば、乾式法(スパッタ法、蒸着法、CVD法など)、あるいは湿式法(スピンコート法、ロールコート法、キャスト法など)のような慣用の手法により形成することができる。
【0115】
上述のオーバーコート層136は、単層であっても、複数の層が積層されたものであってもよい。オーバーコート層の厚さ(複数の層の積層物である場合は全厚)は、0.1〜10μmであることが好ましい。なお、色変換フィルタ基板に後述する透明層128を設ける場合は、透明層128はオーバーコート層136を兼ねることができるので、オーバーコート層を省略することができる。
【0116】
(12)透明層128
透明層128は、従来法のディスプレイ(図7)において形成される内部空間620のうち色変換フィルタ基板と有機El発光素子の間の空間を充填して、有機EL層110の発光の内部空間界面における反射を抑制し、該発光を色変換フィルタ基板へと効率よく透過させるために設けられる。また、透明層128は、弾性体で形成されることが好ましい。さらに好ましくは、透明層128は、有機EL発光素子および色変換フィルタ基板の特性に悪影響を及ぼさない不活性弾性体であることが好ましい。透明層が弾性体であることにより、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板を貼り合わせる際にこの素子と基板を損傷することなく貼り合わせることが可能になる。即ち、透明層128の存在により、接合時の加圧が安定化される。
【0117】
透明層128は、波長400〜800nmの光に対して20%〜95%、好ましくは60%〜95%の可視光透過率と、1.2〜2.5の屈折率とを有する。このような特性を有することにより、有機EL層110からの発光の伝達経路の各界面における屈折率差を小さくすることができ、各界面における反射を抑制し、色変換フィルタ層への光の伝達をより効率的に行うことが可能となる。
【0118】
透明層128は、塗布の際には液体であり、塗布後に弾性体となる材料で形成することができるが、パターンニングされた弾性材料をグラビア印刷や転写法などを用いて形成することも可能である(上記本発明の第一の側面参照)。透明層の材料として塗布後に弾性体となる液体を用いる場合には、弾性体となった後に前述の可視光透過率および屈折率を有するべきである。透明層として用いられる不活性材料は、波長400〜800nmの光に対して20%〜95%、好ましくは60%〜95%の可視光透過率と、1.2〜2.5の屈折率とを有する。さらに本発明の透明層128は、9.8×10−2〜19.6MPa(1〜200kg/cm)好ましくは0.49〜4.9MPa(5〜50kg/cm)の弾性率を有する。本発明ではこのような弾性率を有する透明層を形成できる材料であればいずれの材料であっても使用することができる。具体的には、本発明で使用しうる材料には、例えばJNPC−43(日本合成ゴム(株))、NN810(日本合成ゴム(株))、JNPC−50(日本合成ゴム(株))などを例に挙げることができる。なお、透明層の厚さは10μm以下、好ましくは5から10μmである。
【0119】
脱気溝132は、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板の貼り合わせ時に気泡が混入しないいずれの配置であってもよいが、例えば図5(b)に示すストライプ状または図5(c)に示されるような格子状とすることができる。本発明では、透明層128の脱気溝以外の部分(たとえば図2(c)、図5(b)または図5(c)の134で示される領域)は、サブピクセルの領域に相当する(即ち、脱気溝132は色変換フィルタ層の間に相当する部分に設けられている)が、本発明では、この脱気溝以外の部分134は、複数のサブピクセルにまたがって形成されてもよく、さらには複数の画素にわたって形成されてもよい。このようにサブピクセル間または画素間に脱気溝を形成することにより、有機EL発光素子からの光が脱気溝により反射され、ディスプレイの発光効率が低下することを防止する。
【0120】
本発明において、透明層128に形成される脱気溝132は、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板の貼り合わせ時に気泡が混入しない範囲で、透明層の厚さ方向のいずれの深さを有していてもよい。即ち、図6(a)または図6(b)に示されるように、脱気溝132は、透明層128の厚さ方向に貫通するように形成されていてもよい。本発明では、好ましくは、脱気溝の深さは、10μm以下、好ましくは1〜5μmである。また、脱気溝の幅は30μm以下、好ましくは10〜30μmである。
【0121】
本発明において、脱気溝132をサブピクセルまたは画素単位で脱気溝以外の部分134を形成するように格子状に形成し、かつ脱気溝132を透明層128の厚さ方向に貫通するように形成した場合、有機ELディスプレイの視野角依存性が改良されうる。
【0122】
(13)外周封止層130
外周封止層130は、有機EL発光素子または色変換フィルタ基板の外周部に設けられ、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板を接着するとともに、内部の各構成要素を外部環境の酸素、水分などから保護する機能を有する。外周封止層130は紫外線硬化型接着剤から形成される。そのような紫外線硬化型接着剤は、硬化する前は粘度変化あるいはゲル化などを起こさず、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板との相対的移動により、色変換フィルタ層と有機EL発光素子の発光部との精密なアライメントを可能にする。
【0123】
ひとたびアライメントが完了したならば、紫外線を照射して、紫外線硬化型接着剤を硬化させる。例えば、100mW/cmの紫外線を照射した際に、10〜60秒以内に硬化することが好ましい。この時間範囲内で硬化させることにより、紫外線照射による他の構成要素への悪影響をもたらすことなしに、紫外線硬化型接着剤が充分に硬化して適切な接着強さを発現させることが可能となる。また、生産工程の効率の観点からも、前述の時間範囲内であることが好ましい。
【0124】
また、前記紫外線硬化型接着剤は、直径5〜50μm、好ましくは直径5〜20μmのガラスビーズ、シリカビーズなどを含んでもよい。これらのビーズ類は、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板との貼り合わせにおいて、基板間距離(基板102と透明基板116との間の距離)を規定するとともに、接着のために印加される圧力を負担する。さらに、ディスプレイ駆動時に発生する応力(特にディスプレイ外周部における応力)も負担して、該応力によるディスプレイの劣化を防止する。
【0125】
本発明は、上記有機ELディスプレイの製造方法および有機ELディスプレイに加え、色変換フィルタ基板を包含する。即ち、本発明には、透明基板上に色変換フィルタ層を含む色変換フィルタ基板であって、該色変換フィルタ基板上にさらに透明層を有し、該透明層が溝を有することを特徴とする色変換フィルタ基板が含まれる。本発明の一実施形態では、該色変換フィルタ基板は、図1(b)または図2(c)に示される断面構造を有する色変換フィルタ基板である。これらの図に示されるように、本発明の色変換フィルタ基板は、上記有機ELディスプレイの説明のうち(8)〜(11)で説明した各構成要素から成る色変換フィルタ基板上に、上記(12)で説明した透明層128を有する。透明層128には溝、即ち先に説明した脱気溝132が形成されている。この脱気溝132の形状、寸法などは先に説明したとおりである。また、この色変換フィルタ基板の製造方法は、先の有機ELディスプレイの製造方法で説明したとおりである。
【0126】
【実施例】
(実施例1)
ガラス基板上に、TFT、陽極、有機EL層、陰極、パッシベーション層を順次形成して、図1(a)に示される有機EL発光素子160を得た。長辺方向のピッチ195μm、短辺方向のピッチ65μmを有して、陽極を配置した。各陽極と陰極が対向するエリアの寸法は、長辺方向180μm、短辺方向50μmであった。
【0127】
透明ガラス基板上に、厚さ1.5μmのブラックマスク、それぞれの厚さが1.5μmである赤色、緑色および青色のカラーフィルタ層、およびそれぞれの厚さが10μmである赤色および緑色の蛍光変換層を積層した。これにより図2(a)に示す色変換フィルタ基板(ただし、オーバーコート層を除いたもの)が得られる。なお、図2では、オーバーコート層136を設けた場合を示したが、本実施例では、透明層がオーバーコート層を兼ねることができるので、オーバーコート層は省略した。各カラーフィルタ層および蛍光変換層は、55×185μmの寸法を有した。次に、図2(b)に示されるように、JNPC−43(日本合成ゴム(株))をスピンコートし、引き続いてフォトリソグラフ法によりパターニングを実施して厚さ10μmの透明層128を形成した。なお、透明層128には、図5(b)に示すようなパターンで脱気溝を高さ5μm、幅30μmで形成した。これにより図2(c)に示される透明層を有する色変換フィルタ基板150を得た。なお、脱気溝は、カラーフィルタ層および各蛍光変換層の間に相当する部分に設けられている。これにより有機EL発光素子からの光が脱気溝により反射され、ディスプレイの発光効率が低下することを防止する。
【0128】
次に、上記のように形成した色変換フィルタ基板150および有機EL発光素子160をグローブボックス内の乾燥窒素雰囲気(望ましくは、酸素および水分濃度ともに1ppm以下)下に配置した。ディスペンサーロボットを用いて、直径20μmのビーズを分散させた紫外線硬化型接着剤(スリーボンド社製、商品名30Y−437)を塗布した。
【0129】
その後、図1(c)(または図2(d))に示されるように有機EL発光素子160と色変換フィルタ基板150とを密着させる。続いて、第1電極108(すなわち有機EL発光素子の発光部)と色変換フィルタ層とのアライメントを行った後に、100mW/cmの照度で30秒間にわたって紫外線を照射して、接着剤を硬化させて外周封止層130を形成して、有機ELディスプレイ140を得た。
【0130】
(実施例2)
図5(c)に示すような各画素を形成するように脱気溝を形成した以外、実施例1と同様にして有機ELディスプレイを得た。脱気溝の高さおよび幅は実施例1と同様である。
【0131】
(実施例3)
図6(a)に示すように、透明層の厚さと同じ高さの脱気溝を形成した以外、実施例1と同様にして有機ELディスプレイを得た。
【0132】
(実施例4)
図6(b)に示すように、透明層の厚さと同じ高さの脱気溝を形成した以外、実施例1と同様にして有機ELディスプレイを得た。
【0133】
(実施例5)
透明層の材料としてNN810(日本合成ゴム(株))を用い、図5(c)の格子状のパターンの脱気溝を有する透明層128を形成した以外、実施例1と同様にして有機ELディスプレイを得た。
【0134】
(実施例6)
ガラス基板上に、TFT、陽極、有機EL層、陰極、パッシベーション層を順次形成した。これにより図4(a)に示す有機EL発光部を得た。次に、図4(b)に示されるように、JNPC−43(日本合成ゴム(株))をスピンコートし、引き続いてフォトリソグラフ法によりパターニングを実施して厚さ10μmの透明層128を形成した。なお、透明層128には、図5(b)に示すようなパターンで脱気溝を高さ5μm、幅30μmで形成した。これにより、図4(c)にされる有機EL発光素子162を得た。長辺方向のピッチ195μm、短辺方向のピッチ65μmを有して、陽極を配置した。各陽極と陰極が対向するエリアの寸法は、長辺方向180μm、短辺方向50μmであった。
【0135】
透明ガラス基板上に、厚さ1.5μmのブラックマスク、それぞれの厚さが1.5μmである赤色、緑色および青色のカラーフィルタ層、およびそれぞれの厚さが10μmである赤色および緑色の蛍光変換層を積層し、次いで、オーバーコート層を形成した。これにより、図3(b)に示される色変換フィルタ基板を得た。各カラーフィルタ層および蛍光変換層は、48×178μmの寸法を有した。
【0136】
次に、上記のように形成した色変換フィルタ基板および有機EL発光素子162をグローブボックス内の乾燥窒素雰囲気(望ましくは、酸素および水分濃度ともに1ppm以下)下に配置した。ディスペンサーロボットを用いて、直径20μmのビーズを分散させた紫外線硬化型接着剤(スリーボンド社製、商品名30Y−437)を塗布した。
【0137】
その後に、図4(d)または図(3c)に示されるように有機EL発光素子162と色変換フィルタ基板152とを密着させた。続いて、第1電極108(すなわち有機EL発光素子の発光部)と色変換フィルタ層とのアライメントを行った後に、100mW/cmの照度で30秒間にわたって紫外線を照射して、接着剤を硬化させて外周封止層130を形成して、有機ELディスプレイ142を得た。
【0138】
(実施例7)
図5(c)に示すような各画素を形成するように脱気溝を形成した以外、実施例6と同様にして有機ELディスプレイを得た。脱気溝の高さおよび幅は実施例6と同様である。
【0139】
(実施例8)
図6(a)に示すように、透明層の厚さと同じ高さの脱気溝を形成した以外、実施例6と同様にして有機ELディスプレイを得た。
【0140】
(実施例9)
図6(b)に示すように、透明層の厚さと同じ高さの脱気溝を形成した以外、実施例6と同様にして有機ELディスプレイを得た。
【0141】
(実施例10)
透明層の材料としてJNPC−50(日本合成ゴム(株))を用い、図5(c)の格子状のパターンの脱気溝を有する透明層128を形成した以外、実施例6と同様にして有機ELディスプレイを得た。
【0142】
上記各実施例で得られた有機ELディスプレイは、貼り合わせ時に気泡が混入することなく形成された。また、有機EL発光素子、色変換フィルタ基板などの各部品も接合時に破損することはなかった。また、有機EL発光素子と色変換フィルタ基板との間に気泡が混入しないため、得られたディスプレイは、従来品と同等かそれよりも良い発光効率および表示品質を有していた。
【0143】
【発明の効果】
以上に述べたとおり、本発明の記載のように、脱気溝を有する透明層を設けて有機ELディスプレイと色変換フィルタ層を接合することにより、接合面に気泡が混入することなく、有機ELディスプレイを製造することができる。また、透明層を弾性体とすることにより、接合時の加圧を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機ELディスプレイを示す概略断面図であり、(a)は色変換フィルタ基板150を示し、(b)は有機EL発光素子160を示し、および(c)は色変換フィルタ基板150と有機EL発光素子160とを貼り合わせて製造される有機ELディスプレイ140を示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の有機ELディスプレイの製造方法を示す概略断面図である。
【図3】本発明の有機ELディスプレイを示す概略断面図であり、(a)は色変換フィルタ基板152を示し、(b)は有機EL発光素子162を示し、および(c)は色変換フィルタ基板152と有機EL発光素子162とを貼り合わせて製造される有機ELディスプレイ142を示す断面図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明の有機ELディスプレイの別の製造方法を示す概略断面図である。
【図5】本発明の有機ELディスプレイを示す概略断面図であり、(a)は有機ELディスプレイを示す断面図である。(b)は、(a)中の破線2−2’に沿って切断した断面の一例を示す横断面図である。(c)は、(a)中の破線2−2’に沿って切断した断面の別の一例を示す横断面図である。
【図6】(a)および(b)は、透明層の脱気溝の一実施形態を示す概略断面図である。
【図7】従来技術の有機ELディスプレイを示す概略断面図である。
【符号の説明】
102、602 第1の基板
104、604 TFT
106 平坦化絶縁層
108 第1電極
110、608 有機EL層
112 第2電極
114 パッシベーション層
116、616 透明基板
118 カラーフィルタ層
120 蛍光変換層
122、614 ブラックマスク
128 透明層
130 外周封止層
132 脱気溝
136 オーバーコート層
140、142 本発明の有機ELディスプレイ
150 透明層を有する色変換フィルタ基板
152 色変換フィルタ基板
160 有機EL発光素子
162 透明層を有する有機EL発光素子
600 従来技術の有機ELディスプレイ
606 陽極
610 陰極
612 色変換フィルタ層
618 外周封止層
620 内部空間

Claims (10)

  1. 基板上に、第1電極と、有機EL層と、第2電極とを形成して、有機EL発光素子を準備する工程と、
    透明基板上に色変換フィルタ層を形成して色変換フィルタ基板を準備する工程と、
    前記有機EL発光素子または色変換フィルタ基板上に溝を有する透明層を形成する工程と、
    前記有機EL発光素子と色変換フィルタ基板とを透明層を介して位置を合わせて貼り合わせる工程と
    を含むことを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法。
  2. 前記透明層が弾性体であることを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  3. 基板上に前記第1電極と接続される薄膜トランジスタをさらに設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  4. 前記第1電極および前記第2電極はそれぞれラインパターン状に形成され、前記第1電極のラインパターンと前記第2電極のラインパターンは直交する方向に延びていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  5. 基板上に形成された第1電極と、有機EL層と、第2電極とを含む有機EL発光素子と、透明基板上に形成された色変換フィルタ層を含む色変換フィルタ基板とを含む有機ELディスプレイであって、
    前記有機EL発光素子と前記色変換フィルタ基板との間に透明層を設け、該透明層が溝を有することを特徴とする有機ELディスプレイ。
  6. 前記透明層が弾性体であることを特徴とする請求項5に記載の有機ELディスプレイ。
  7. 基板上に薄膜トランジスタがさらに設けられ、前記第1電極が該薄膜トランジスタに接続されており、および該薄膜トランジスタにより駆動されることを特徴とする請求項5または6に記載の有機ELディスプレイ。
  8. 前記第1電極および前記第2電極はそれぞれラインパターン状に形成され、前記第1電極のラインパターンと前記第2電極のラインパターンは直交する方向に延びていることを特徴とする請求項5または6に記載の有機ELディスプレイ。
  9. 透明基板上に少なくとも色変換フィルタ層を含む色変換フィルタ基板であって、該色変換フィルタ基板上にさらに透明層を有し、該透明層が溝を有することを特徴とする色変換フィルタ基板。
  10. 前記透明層が弾性体であることを特徴とする請求項9に記載の色変換フィルタ基板。
JP2003011332A 2003-01-20 2003-01-20 有機elディスプレイおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP3867914B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003011332A JP3867914B2 (ja) 2003-01-20 2003-01-20 有機elディスプレイおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003011332A JP3867914B2 (ja) 2003-01-20 2003-01-20 有機elディスプレイおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004227811A true JP2004227811A (ja) 2004-08-12
JP3867914B2 JP3867914B2 (ja) 2007-01-17

Family

ID=32900267

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003011332A Expired - Fee Related JP3867914B2 (ja) 2003-01-20 2003-01-20 有機elディスプレイおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3867914B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006009039A1 (ja) * 2004-07-22 2006-01-26 Idemitsu Kosan Co., Ltd. カラー発光装置
JP2006100134A (ja) * 2004-09-29 2006-04-13 Fuji Electric Holdings Co Ltd 色変換フィルタ基板およびそれを用いた有機el素子の製造方法
JP2006107884A (ja) * 2004-10-04 2006-04-20 Fuji Electric Holdings Co Ltd 有機elパネル
JP2006269328A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Seiko Epson Corp 発光装置
CN100459214C (zh) * 2005-12-07 2009-02-04 陕西科技大学 一种带有消气剂的有机电致发光显示器件
CN112748609A (zh) * 2019-10-31 2021-05-04 夏普福山半导体株式会社 显示装置以及显示装置的制造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006009039A1 (ja) * 2004-07-22 2006-01-26 Idemitsu Kosan Co., Ltd. カラー発光装置
JP2006100134A (ja) * 2004-09-29 2006-04-13 Fuji Electric Holdings Co Ltd 色変換フィルタ基板およびそれを用いた有機el素子の製造方法
JP2006107884A (ja) * 2004-10-04 2006-04-20 Fuji Electric Holdings Co Ltd 有機elパネル
JP2006269328A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Seiko Epson Corp 発光装置
US7888866B2 (en) 2005-03-25 2011-02-15 Seiko Epson Corporation Light-emitting device
CN100459214C (zh) * 2005-12-07 2009-02-04 陕西科技大学 一种带有消气剂的有机电致发光显示器件
CN112748609A (zh) * 2019-10-31 2021-05-04 夏普福山半导体株式会社 显示装置以及显示装置的制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3867914B2 (ja) 2007-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3501155B1 (ja) 有機elディスプレイおよびその製造方法
JP3594018B2 (ja) 有機elディスプレイ
US7215075B2 (en) Organic el device having upper electrode including plurality of transparent electrode layers and method for manufacturing the same
JP3865245B2 (ja) 有機elディスプレイの製造方法および製造装置
KR100915616B1 (ko) 유기 el 디스플레이
US7119409B2 (en) Organic el display
JP2005123089A (ja) カラー有機elディスプレイおよびその製造方法
JP3591728B2 (ja) 有機elディスプレイ
JP2003257622A (ja) 有機elディスプレイとその製造方法
WO2004112438A1 (ja) 有機elディスプレイ
JP3726789B2 (ja) 有機elディスプレイ
JP2008165108A (ja) リブ機能を併せ持つカラーフィルタ基板、リブ機能を併せ持つ色変換フィルタ基板、および、これらを用いたカラー有機el素子、並びに、これらの製造方法
JPWO2010106619A1 (ja) 色変換フィルター基板
JP4061588B2 (ja) 有機elディスプレイの製造方法および製造装置
JP3867914B2 (ja) 有機elディスプレイおよびその製造方法
JP4010286B2 (ja) 有機elディスプレイの製造方法
JP2004103519A (ja) 色変換カラーフィルタ基板およびこれを用いた有機カラーディスプレイ
JP2008159321A (ja) 有機elディスプレイパネル及びその製造方法
JP2003282261A (ja) 有機elディスプレイ
JP2006107836A (ja) 色変換フィルタ、その製造方法およびそれを用いた有機elディスプレイ
JP2005196075A (ja) 色変換型カラーディスプレイおよび色変換型カラーディスプレイの制御方法
JP2004241247A (ja) 有機elディスプレイパネルおよびその製造方法
JP2004055404A (ja) 有機el素子の製造方法
JP2006086096A (ja) 有機el表示素子
JP4552187B2 (ja) 多色発光デバイスおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060622

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060627

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060828

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060922

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061005

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101020

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111020

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111020

Year of fee payment: 5

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111020

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121020

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121020

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131020

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees