JP2004227783A - 蛍光ランプおよび照明器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃蛍光ランプから回収、再生した再生蛍光体を蛍光ランプに適用するにあたって、再生蛍光体を使用することに基づく製造コストの低減効果などを維持した上で、再生蛍光体に起因する光出力などの特性低下を極力抑制する。
【解決手段】蛍光ランプ1はガラスバルブ2を有する。ガラスバルブ2の内壁面2aには蛍光体膜4が形成されている。蛍光体膜4は、ガラスバルブ2の内壁面2a側に配置され、再生蛍光体を含有する第1の蛍光体層と、放電空間3側に配置され、新品蛍光体を含有する第2の蛍光体層とを有する。ガラスバルブ2の両端には一対の電極5が封装され、さらに放電媒体が封入される。
【選択図】 図1
【解決手段】蛍光ランプ1はガラスバルブ2を有する。ガラスバルブ2の内壁面2aには蛍光体膜4が形成されている。蛍光体膜4は、ガラスバルブ2の内壁面2a側に配置され、再生蛍光体を含有する第1の蛍光体層と、放電空間3側に配置され、新品蛍光体を含有する第2の蛍光体層とを有する。ガラスバルブ2の両端には一対の電極5が封装され、さらに放電媒体が封入される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃蛍光ランプなどから回収、再生した再生蛍光体を使用した蛍光ランプとそれを用いた照明器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の資源の枯渇化や環境汚染などと関連して、電器製品のリサイクルへの要求が高まっている。その中で、各種電気機器に使用されている機能材料には、一般的に高価な金属材料が用いられているため、以前から回収した後に再利用(リサイクル)することの必要性が論じられており、また実際に回収、再生して再利用することが試みられている。
【0003】
例えば、一般的な蛍光ランプはランプ内に水銀を含んでいるため、そのまま廃棄すると環境汚染などを引き起こすおそれがある。一方、蛍光ランプの寿命は放電特性の低下などに基づくため、蛍光膜の構成材料である蛍光体自体は回収して再生することによって、再生蛍光体として再利用することができる。このようなことから、廃蛍光ランプから蛍光体材料を回収して再利用することが検討されており(例えば特許文献1や特許文献2など参照)、また一部で実験的に回収、再生が試みられている。
【0004】
ところで、廃蛍光ランプから回収した蛍光体材料には、水銀や酸化水銀が付着、混入していたり、またランプ点灯中に紫外線によるカラーセンターが形成されているため、これらを除去しなければ再生蛍光体として使用することができない。そこで、回収した蛍光体に加熱処理や酸による洗浄処理などを施し、再使用に耐え得る状態にした後に再利用されている。このように、廃蛍光ランプから回収した蛍光体は再生処理を施して再生蛍光体とし、この再生蛍光体を蛍光ランプに再利用しているものの、未使用の蛍光体(新品蛍光体)を用いた蛍光ランプに比べると特性が劣るという問題がある。
【0005】
すなわち、長期間点灯された蛍光ランプから回収された蛍光体の表面には、水銀イオンなどの衝突によりアモルファス層が形成されていることが多い。蛍光体表面のアモルファス層は光出力などの特性を劣化させる要因となるが、上述したような再生処理では十分に取り除くことができない。このような再生処理では取り除くことができない特性劣化要因に基づいて、従来の再生蛍光体を用いた蛍光ランプは新品蛍光体を用いた蛍光ランプに比べて特性の低下が避けられない。
【0006】
一方、上記したような再生蛍光体による特性低下を抑えるために、例えば特許文献2に記載されているように、再生蛍光体を新品蛍光体と混合して蛍光膜を形成したり、またガラスバルブの内壁面上に新品蛍光体を用いた蛍光体層と再生蛍光体を用いた蛍光体層とを順に形成することなども検討されている。しかし、再生蛍光体を用いた蛍光体層を放電空間側に形成した場合には、この再生蛍光体層が光出力などの特性に直接影響を及ぼすため、再生蛍光体のみを用いた蛍光ランプと同様に、光出力などの特性の低下が避けられない。また、再生蛍光体と新品蛍光体との混合物を使用した場合には、再生蛍光体の混合比率に応じて光出力などが低下してしまうおそれがある。
【0007】
【特許文献1】特開2001−345051号公報
【特許文献2】特開2001−345047号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の再生蛍光体を用いた蛍光ランプは、ランプ点灯中のイオン衝撃などで蛍光体表面に形成されるアモルファス層などに起因して、新品蛍光体を用いた蛍光ランプに比べて光出力などの特性が劣るという問題を有している。また、再生蛍光体を新品蛍光体と混合して蛍光膜を形成したり、あるいは新品蛍光体層上に再生蛍光体層を形成した2層構造の蛍光膜として使用することなどが検討されているものの、これらのランプ構造では再生蛍光体に起因する特性低下が必ずしも十分に抑えられているとは言えない。
【0009】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、廃蛍光ランプから回収、再生した再生蛍光体を蛍光ランプに適用するにあたって、再生蛍光体を使用することに基づく製造コストの低減効果などを維持した上で、再生蛍光体に起因する光出力などの特性低下を極力抑制することを可能にした蛍光ランプを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の蛍光ランプは、放電空間を有するガラスバルブと;前記ガラスバルブの内壁面に沿って形成された蛍光体膜であって、前記ガラスバルブの内壁面側に配置され、再生蛍光体を含有する第1の蛍光体層と、前記放電空間側に配置され、新品蛍光体を含有する第2の蛍光体層とを有する蛍光体膜と;前記ガラスバルブの両端に封装された一対の電極と;前記ガラスバルブ内に封入された放電媒体と;を具備することを特徴としている。
【0011】
上記した請求項1記載の発明および以下に示す各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は以下の通りである。
【0012】
ガラスバルブは放電容器を構成するものであり、その両端に一対の電極が封装されると共に、内部の放電空間に放電媒体が封入されるものである。ガラスバルブの形状は、直管、湾曲管、屈曲管のいずれであってもよいし、また複数の管を接続管で1本の放電路が形成されるように連結した構造などであってもよい。ガラスバルブの構成材料は特に限定されるものではなく、気密性、加工性、耐火性を備えていればよいが、蛍光ランプに一般的に用いられている軟質ガラス(ソーダライムガラスなど)が好適である。なお、要すれば硬質ガラス、半硬質ガラス、石英ガラスなどを使用してもよい。
【0013】
一対の電極はガラスバルブの両端に封装され、バルブ内部の放電空間に対向して配置されるものであり、それらの間で低圧水銀蒸気放電を生起するものである。電極には、フィラメント電極、セラミックス電極、冷陰極などの既知の電極を使用することができる。
【0014】
放電媒体はガラスバルブ内に封入されて用いられるものであり、水銀および希ガスを含むものである。水銀は液体水銀を封入するか、あるいはアマルガムとして封入することが可能である。希ガスは蛍光ランプの放電開始を容易にし、また緩衝ガスとして用いられるものであり、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、ネオン(Ne)などをガラスバルブ内に200〜400Pa程度の圧力で封入する。希ガスは単体で使用してもよいし、また2種以上の混合物(例えばAr−Kr、Ne−Ar−Krなど)として用いてもよい。
【0015】
蛍光体膜はガラスバルブの内壁面に沿って形成されるものであり、バルブ内壁面上に直接形成してもよいし、また必要に応じて保護膜や下地膜などの上に形成してもよい。蛍光体膜を構成する蛍光体としては、代表的には三波長発光形蛍光体とハロリン酸塩蛍光体が挙げられるが、再生蛍光体の特性低下を抑制する上で、希土類蛍光体を用いた三波長発光形蛍光体を適用することが好ましい。三波長発光形蛍光体としては、一般的に青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体および赤色発光蛍光体などを適宜に混合した蛍光体が用いられる。
【0016】
三波長発光形蛍光体を構成する青色発光蛍光体には、例えばユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体(BaMg2Al16O27:Euなど)やユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体((Sr,Ca,Ba)5(PO4)3Cl:Euなど)が用いられる。緑色発光蛍光体には、例えばセリウムおよびテルビウム付活希土類燐酸塩蛍光体(LaPO4:Ce,Tbなど)やセリウム付活希土類アルミン酸塩蛍光体(Y3Al5O12:Ceなど)が用いられる。赤色発光蛍光体には、ユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y2O3:Eu)やユーロピウム付活燐酸バナジン酸イットリウム蛍光体(YPVO4:Eu)が用いられる。これら希土類蛍光体はいずれも高価であり、再生して再利用する価値が高いと共に、再生蛍光体として使用した際の光出力の低下が比較的少ないことから、再生蛍光体を用いた蛍光ランプに好適である。
【0017】
本発明の蛍光ランプにおける蛍光体膜は、再生蛍光体を用いた第1の蛍光体層と、新品蛍光体を用いた第2の蛍光体層とを有するものである。ここで、再生蛍光体とは廃蛍光ランプなどから回収した蛍光体に、例えば加熱処理や酸による洗浄処理などの再生処理を施して、再使用に耐え得る状態にしたものである。ただし、回収蛍光体の再生処理工程は特に限定されるものではなく、廃蛍光ランプや回収蛍光体の種類などに応じて適宜に設定することができる。一方、新品蛍光体は未使用の蛍光体であり、再生蛍光体とは明確に区別されるものである。
【0018】
そして、本発明の蛍光ランプにおいては、再生蛍光体を用いた第1の蛍光体層をガラスバルブの内壁面側に形成すると共に、新品蛍光体を用いた第2の蛍光体層を放電空間側に形成することが重要である。すなわち、蛍光ランプの光出力を維持する上で、蛍光体膜はある程度以上の膜厚を有している必要がある。ただし、蛍光体膜を発光させる紫外線の大部分は放電空間側に位置する蛍光体層で可視光に変換されるため、蛍光ランプの光出力はほぼ放電空間側の蛍光体層により決定される。一方、バルブ内壁面側に位置する蛍光体層の特性は、蛍光ランプ全体としての特性にはあまり影響を及ぼさない。
【0019】
従って、再生蛍光体を用いた第1の蛍光体層をバルブ内壁面側に形成すると共に、新品蛍光体を用いた第2の蛍光体層を放電空間側に形成することによって、再生蛍光体を使用することに基づく蛍光ランプの製造コストの低減効果などを得た上で、再生蛍光体に起因する蛍光ランプの光出力などの特性低下を極力抑制することが可能になる。再生蛍光体の使用によるランプ製造コストの低減効果は、基本的には全蛍光体に対する再生蛍光体の使用割合に基づくため、上述した第2の蛍光体層(新品蛍光体層)による光出力特性を維持し得る範囲で、再生蛍光体の使用割合を設定することが好ましい。
【0020】
なお、本発明における蛍光体膜は、基本的には第1の蛍光体層と第2の蛍光体層との2層構造を有するものであるが、蛍光体膜の構造は必ずしも2層構造に限られるものではなく、第1の蛍光体層および第2の蛍光体層以外に、例えば再生蛍光体と新品蛍光体との混合物を用いた蛍光体層、また再生蛍光体と新品蛍光体とを組成傾斜させた蛍光体層などを有していてもよい。
【0021】
第1の蛍光体層および第2の蛍光体層は、各蛍光体粉末をバインダ溶液および必要に応じて結着剤と混合して蛍光体塗布液(蛍光体スラリー)をそれぞれ調製し、これら蛍光体塗布液をガラスバルブの内壁面に順に塗布した後にベーキングすることにより形成される。バインダとしては、例えばポリエチレンオキサイドのような水系バインダや、ニトロセルロースのような有機系バインダが用いられる。本発明における2層構造の蛍光体膜は、上層側のスラリー塗布時に下層側の塗膜形状を維持する上で、一方の蛍光体スラリー(例えば下層側)に水系バインダを使用し、他方の蛍光体スラリー(例えば上層側)に有機系バインダを用いることが好ましい。この際、下層側の第1の蛍光体層ではアルミナ粒子が結着剤として作用する。一方、上層側の第2の蛍光体層では結着剤としてカルシウムやバリウムの硼酸塩や燐酸塩などを用いることが好ましい。
【0022】
請求項1記載の蛍光ランプにおいては、上述したようにランプの光出力を左右する放電空間側の第2の蛍光体層に新品蛍光体を使用し、再生蛍光体はランプ全体としての特性にはあまり影響を及ぼさないバルブ内壁面側の第1の蛍光体層に適用しているため、再生蛍光体の使用に基づいて蛍光ランプの製造コストを低減した上で、通常の新品蛍光体のみを用いた蛍光ランプと同等の光出力、もしくは出力低下を極力抑制した光出力を得ることが可能となる。
【0023】
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の蛍光ランプにおいて、前記蛍光体膜は総膜厚(第1の蛍光体層と第2の蛍光体層の合計膜厚)が10〜35μmの範囲であり、かつ前記総膜厚に対する前記第1の蛍光体層の膜厚比が20〜70%の範囲であることを特徴としている。請求項2記載の蛍光ランプは、上述した光出力の維持効果と再生蛍光体によるコスト低減効果をより確実に両立させることが可能な膜厚を規定したものである。
【0024】
すなわち、蛍光体膜の総膜厚が10μm未満であると、蛍光体膜全体としての膜厚が薄いことに基づいて、蛍光ランプの光出力の低下を招くことになる。一方、蛍光体膜の総膜厚を35μmを超えて厚くしても、それ以上の効果(光出力の向上効果など)を得ることができないだけでなく、蛍光体の使用量が増加することで製造コストの増大を招くことになる。そして、このような蛍光体膜の総膜厚tに対して、第1の蛍光体層の膜厚t1の比率は20〜70%の範囲とすることが好ましい。言い換えると、第1の蛍光体層の膜厚t1と第2の蛍光体層の膜厚t2との比率をt1:t2=2:8〜7:3の範囲とすることが好ましい。
【0025】
蛍光体膜の総膜厚tに対する第1の蛍光体層の膜厚t1の比率[(t1/t)×100(%)]が70%を超えると、相対的に第2の蛍光体層(新品蛍光体層)の膜厚t2が薄くなることに伴って、光出力の低下度合いが大きくなる。すなわち、第1の蛍光体層(再生蛍光体層)が光出力に影響を及ぼすようになり、その分だけランプ全体としての光出力が低下する。一方、第1の蛍光体層の膜厚t1の比率を20%未満とすると、再生蛍光体を用いたことによる製造コストの低減効果を十分に得ることができない。蛍光ランプの製造コストの点からは、第1の蛍光体層の膜厚t1の比率を30%以上とすることがより好ましく、また光出力の点からは60%以下とすることがより好ましい。
【0026】
請求項3記載の発明は、上記した請求項1または2記載の蛍光ランプにおいて、前記第1の蛍光体層は前記再生蛍光体に対して3〜50質量%の範囲のアルミナ粒子を含有することを特徴としている。請求項3記載の蛍光ランプは、第1の蛍光体層(再生蛍光体層)による紫外線の反射機能や保護膜としての機能を高め、これにより蛍光ランプの光出力やその維持率などを向上させたものである。
【0027】
すなわち、アルミナ粒子は従来から蛍光体膜の結着剤として用いられている。このようなアルミナ粒子の含有量を、光出力にあまり影響を及ぼさない第1の蛍光体層(再生蛍光体層)では増加させることができる。第1の蛍光体層に比較的多量のアルミナ粒子を含有させ、第1の蛍光体層を緻密化させて紫外線の反射率を高めることによって、蛍光ランプの光出力を向上させることが可能となる。さらに、緻密化した第1の蛍光体層によればガラスバルブからのアルカリ溶出などを防ぐことができるため、従来アルミナや燐酸ストロンチウムなどで形成していた保護膜を代替することができる。
【0028】
第1の蛍光体層に添加するアルミナ粒子は、α−Al2O3、γ−Al2O3、δ−Al2O3のいずれであってもよいが、特にγ−Al2O3が好ましく用いられる。このようなアルミナ粒子は再生蛍光体に対して3〜50質量%の範囲となるように含有させることが好ましい。アルミナ粒子を結着剤として用いる場合には蛍光体に対して1〜3質量%程度の範囲で添加するが、再生蛍光体を用いた第1の蛍光体層では上述した紫外線の反射機能や保護膜としての機能を高める上で、アルミナ粒子を再生蛍光体に対して3質量%以上の範囲で含有させることが好ましい。紫外線の反射機能や保護膜機能などの点からは、アルミナ粒子を再生蛍光体に対して10質量%以上の範囲で含有させることがより好ましい。
【0029】
一方、再生蛍光体に対するアルミナ粒子の比率が高くなりすぎると、第1の蛍光体層が緻密化しすぎることから、つぶ肌などと呼ばれる肌荒れや亀裂などが生じやすくなり、蛍光ランプの特性や外観などが低下する。特に、環形、鞍形、U字形などの蛍光ランプでは、蛍光体膜を形成した後にガラスバルブの曲げ加工が実施されるため、その際に亀裂などが生じやすくなる。このような点から、アルミナ粒子は再生蛍光体に対して50質量%以下の範囲で含有させることが好ましい。肌荒れや亀裂などを確実に抑制する上で、再生蛍光体に対するアルミナ粒子の比率は35質量%以下の範囲で含有させることがより好ましく、環形などの蛍光ランプではこのような条件を満足させることが望ましい。
【0030】
請求項4記載の発明の照明器具は、請求項1ないし3いずれか一項記載の蛍光ランプと;前記蛍光ランプが配設される照明器具本体と;を具備することを特徴としている。このような本発明の照明器具によれば、良好な光出力と製造コストの低減効果を得ることができる。なお、照明器具本体とは、照明器具から蛍光ランプを除いた残余の構成を全て含むものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態による蛍光ランプの構造を一部破断面で示す図である。同図において、1は蛍光ランプ、2はガラスバルブ、3は放電空間、4は蛍光体膜、5は電極、6は口金である。
【0032】
蛍光ランプ1は、例えばソーダライムガラスからなる直管形のガラスバルブ2を有している。このガラスバルブ2の内部には細長い放電空間3が形成されており、さらにバルブ内壁面2a上には蛍光体膜4が形成されている。蛍光体膜4は図2に示すように、バルブ内壁面2a側に形成された第1の蛍光体層7と、放電空間3側に形成された第2の蛍光体層8とを有する2層構造の蛍光体膜である。このような蛍光体膜4は10〜35μmの範囲の膜厚tを有している。また、第1の蛍光体層7の膜厚t1は蛍光体膜2の膜厚tに対して20〜70%の範囲とされている。
【0033】
第1の蛍光体層7は、使用済の三波長蛍光ランプから回収した蛍光体に酸洗浄や加熱処理などの再生処理を施した再生蛍光体を用いて形成したものである。また、第1の蛍光体層7は再生蛍光体に対して3〜50質量%の範囲のγ−アルミナ粒子を含有している。第2の蛍光体層8は未使用の新品蛍光体、具体的には三波長発光形蛍光体を用いて形成したものである。三波長発光形蛍光体としては、例えば(Sr,Ca,Ba)5(PO4)3Cl:Eu蛍光体からなる青色発光蛍光体と、LaPO4:Ce,Tb蛍光体からなる緑色発光蛍光体と、Y2O3:Eu蛍光体からなる赤色発光蛍光体との混合物などが用いられる。
【0034】
ガラスバルブ2内部の放電空間3には、一対の電極5が対向して配置されている。一対の電極5はガラスバルブ2の両端部にそれぞれ封装されている。さらに、ガラスバルブ1の内部には所定圧の放電媒体、すなわちアルゴンのような希ガスと水銀とが封入されている。また、ガラスバルブ2の両端部には端子ピン6aを有する口金6が取り付けられている。そして、ガラスバルブ2の両端部に設けられた一対の電極5に所定の電圧を印加することで蛍光体膜4を発光させる。
【0035】
このような蛍光ランプ1は、例えば以下のようにして作製される。まず、ポリエチレンオキサイドの水溶液に再生蛍光体粉末とγ−アルミナ粉末とを分散させた第1の蛍光体層用スラリー(第1の蛍光体塗布液)と、ニトロセルロースを溶解した酢酸ブチルに新品蛍光体と硼酸バリウムカルシウムや燐酸カルシウムなどを分散させた第2の蛍光体層用スラリー(第2の蛍光体塗布液)とを用意する。
【0036】
まず、水系バインダを用いた第1の蛍光体層用スラリーをガラスバルブ2の内壁面2aに塗布し、乾燥させて第1の塗膜を形成する。次いで、第1の塗膜上に有機系バインダを用いた第2の蛍光体層用スラリーを塗布し、乾燥させて第2の塗膜を形成する。この2層構造の塗膜を例えば400〜650℃の温度で数分間程度ベーキングして、第1の蛍光体層7と第2の蛍光体層8とを有する2層構造の蛍光体膜4を形成する。この後、常法にしたがってバルブ端部へのステムの封止工程、バルブ内の排気と水銀および希ガスの封入工程、排気管の封切工程、口金6の装着工程などを行うことで、目的とする蛍光ランプ1を作製する。
【0037】
次に、上記した第1の実施形態による蛍光ランプの具体例とその評価結果について述べる。まず、使用済の三波長発光形蛍光ランプから蛍光体を回収し、これを水洗して不純物を除去した後、酸洗浄および加熱処理を施して再生蛍光体を得た。得られた再生蛍光体粉末とこの再生蛍光体に対して25質量%のγ−アルミナ粉末とをポリエチレンオキサイド水溶液(濃度=1.0質量%)に添加し十分に撹拌して、第1の蛍光体層用スラリー(第1の蛍光体塗布液)を調製した。
【0038】
一方、未使用の三波長発光形蛍光体粉末((Sr,Ca,Ba)5(PO4)3Cl:Eu蛍光体(青)とLaPO4:Ce,Tb蛍光体(緑)とY2O3:Eu蛍光体(赤)との混合粉末)を、1質量%のニトロセルロースを溶解した酢酸ブチル溶液に添加し、さらに1.5質量%の硼酸バリウムカルシウムと1.5質量%の燐酸カルシウム添加し十分に撹拌して、第2の蛍光体層用スラリー(第2の蛍光体塗布液)を調製した。
【0039】
次に、第1の蛍光体層用スラリーをガラスバルブ2の内壁面2aに塗布し、乾燥させて第1の塗膜を形成した後、その上に第2の蛍光体層用スラリーを塗布し、乾燥させて第2の塗膜を形成した。この塗膜をベーキングして2層構造の蛍光体膜を形成した。この際、第1の蛍光体層用スラリーと第2の蛍光体層用スラリーの塗布厚を調整することによって、第1の蛍光体層(再生蛍光体層)と第2の蛍光体層(新品蛍光体層)の膜厚比を種々に変えた2層構造の蛍光体膜を形成した。また、再生蛍光体層または新品蛍光体層のみの蛍光体膜も形成した。
【0040】
この後、常法にしたがってバルブ端部の封止工程、バルブ内の排気と水銀および希ガスの封入工程、排気管の封切工程、口金の装着工程などを行うことによって、第1の蛍光体層と第2の蛍光体層の膜厚比を変えた複数の直管形蛍光ランプ(FL40S・EX−N)を作製した。また、本発明との比較例として、再生蛍光体層と新品蛍光体層の形成位置を逆転させた直管形蛍光ランプ、すなわち新品蛍光体層をバルブ内壁面側に形成すると共に、再生蛍光体層を放電空間側に形成した直管形蛍光ランプ(FL40S・EX−N)を作製した。比較例の蛍光ランプについても膜厚比を種々に変更した。
【0041】
上述した実施例および比較例による各蛍光ランプの初期光出力を測定した。その結果を表1および図3に示す。なお、表1および図3に示す光出力は、新品蛍光体層のみの蛍光ランプ(再生蛍光体層の比率=0%)の光出力を100とした場合の相対値である。
【0042】
【表1】
【0043】
表1および図3から明らかなように、再生蛍光体層をバルブ内壁面側に形成すると共に、新品蛍光体層を放電空間側に形成した実施例の蛍光ランプは、新品蛍光体層のみの蛍光ランプに匹敵する光出力を有していることが分かる。ただし、再生蛍光体層の膜厚比を大きくしすぎると光出力が低下するため、再生蛍光体層の膜厚比は70%以下、さらには60%以下とすることが好ましいことが分かる。その上で、再生蛍光体層を使用することで新品蛍光体層の膜厚を薄くすることができるため、その分だけランプ製造コストを低減することが可能となる。一方、再生蛍光体層を放電空間側に形成した比較例の蛍光ランプは、再生蛍光体層の膜厚比によらず光出力が劣っていることが分かる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態による蛍光ランプについて、図4を参照して説明する。図4は本発明の第2の実施形態による蛍光ランプの構造を一部破断面で示す図である。図4に示す環形蛍光ランプ9は環形のガラスバルブ10を有しており、この環形ガラスバルブ10の内壁面上には、図2と同様な2層構造の蛍光体膜4、すなわちバルブ内壁面側に形成された第1の蛍光体層と放電空間3側に形成された第2の蛍光体層とを有する蛍光体膜4が形成されている。蛍光体膜4の膜厚、第1の蛍光体層と第2の蛍光体層との膜厚比、各蛍光体層の構成材料などは、第1の実施形態と同様である。ただし、第1の蛍光体層におけるγ−アルミナ粒子の含有量はガラスバルブ10を曲げ加工することを考慮して、再生蛍光体に対して3〜35質量%の範囲とすることが好ましい。
【0045】
上述した第2の実施形態の環形蛍光ランプについても、第1の実施形態と同様に、第1の蛍光体層と第2の蛍光体層の膜厚比を変えた複数の環形蛍光ランプを作製し、それらの初期光出力を測定した。その結果、直管形蛍光ランプと同様に、新品蛍光体層を放電空間側に形成することで、新品蛍光体層のみの蛍光ランプに匹敵する光出力が得られることが確認された。また、再生蛍光体層の膜厚比は70%以下とすることが好ましいことが確認された。なお、環形蛍光ランプに限らず、鞍形やU字形などの蛍光ランプにおいても同様な結果が得られた。
【0046】
次に、本発明の第3の実施形態による照明器具について述べる。この実施形態の照明器具は光源として、上述した第1の実施形態による直管形蛍光ランプや第2の実施形態による環形蛍光ランプなどを有するものである。これら蛍光ランプは照明器具本体内に配設される。照明器具本体には既知の器具本体、すなわち各種の器具ケースや点灯装置などを有する器具本体が用いられる。そして、これら蛍光ランプおよび照明器具本体によって、照明器具が構成されている。
【0047】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、廃蛍光ランプなどから回収、再生した再生蛍光体を使用して製造コストの低減を図った上で、再生蛍光体に起因する光出力などの特性低下を抑制することが可能となる。従って、光出力などの特性に優れ、かつ再生蛍光体を使用した分だけ低コストの蛍光ランプを提供することができる。再生蛍光体の使用は電気機器材料のリサイクルの点からも重要である。
【0048】
請求項2記載の発明によれば、上述した光出力の維持効果と再生蛍光体による製造コストの低減効果をより確実に両立させることが可能となる。請求項3記載の発明によれば、蛍光ランプの光出力やその維持率などをさらに向上させることが可能となる。また、請求項4記載の発明によれば、そのような蛍光ランプを使用した低コストの照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による直管形蛍光ランプの概略構造を一部破断面で示す図である。
【図2】図1に示す蛍光ランプの蛍光体膜を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の実施例および比較例による蛍光ランプの光出力と第1の蛍光体層の膜厚比との関係を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による環形蛍光ランプの概略構造を一部破断面で示す図である。
【符号の説明】
1……直管形蛍光ランプ、2,10……ガラスバルブ、2a……バルブ内壁面、3……放電空間、4……蛍光体膜、5……電極、7……第1の蛍光体層(再生蛍光体層)、8……第2の蛍光体層(新品蛍光体層)、9……環形蛍光ランプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃蛍光ランプなどから回収、再生した再生蛍光体を使用した蛍光ランプとそれを用いた照明器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の資源の枯渇化や環境汚染などと関連して、電器製品のリサイクルへの要求が高まっている。その中で、各種電気機器に使用されている機能材料には、一般的に高価な金属材料が用いられているため、以前から回収した後に再利用(リサイクル)することの必要性が論じられており、また実際に回収、再生して再利用することが試みられている。
【0003】
例えば、一般的な蛍光ランプはランプ内に水銀を含んでいるため、そのまま廃棄すると環境汚染などを引き起こすおそれがある。一方、蛍光ランプの寿命は放電特性の低下などに基づくため、蛍光膜の構成材料である蛍光体自体は回収して再生することによって、再生蛍光体として再利用することができる。このようなことから、廃蛍光ランプから蛍光体材料を回収して再利用することが検討されており(例えば特許文献1や特許文献2など参照)、また一部で実験的に回収、再生が試みられている。
【0004】
ところで、廃蛍光ランプから回収した蛍光体材料には、水銀や酸化水銀が付着、混入していたり、またランプ点灯中に紫外線によるカラーセンターが形成されているため、これらを除去しなければ再生蛍光体として使用することができない。そこで、回収した蛍光体に加熱処理や酸による洗浄処理などを施し、再使用に耐え得る状態にした後に再利用されている。このように、廃蛍光ランプから回収した蛍光体は再生処理を施して再生蛍光体とし、この再生蛍光体を蛍光ランプに再利用しているものの、未使用の蛍光体(新品蛍光体)を用いた蛍光ランプに比べると特性が劣るという問題がある。
【0005】
すなわち、長期間点灯された蛍光ランプから回収された蛍光体の表面には、水銀イオンなどの衝突によりアモルファス層が形成されていることが多い。蛍光体表面のアモルファス層は光出力などの特性を劣化させる要因となるが、上述したような再生処理では十分に取り除くことができない。このような再生処理では取り除くことができない特性劣化要因に基づいて、従来の再生蛍光体を用いた蛍光ランプは新品蛍光体を用いた蛍光ランプに比べて特性の低下が避けられない。
【0006】
一方、上記したような再生蛍光体による特性低下を抑えるために、例えば特許文献2に記載されているように、再生蛍光体を新品蛍光体と混合して蛍光膜を形成したり、またガラスバルブの内壁面上に新品蛍光体を用いた蛍光体層と再生蛍光体を用いた蛍光体層とを順に形成することなども検討されている。しかし、再生蛍光体を用いた蛍光体層を放電空間側に形成した場合には、この再生蛍光体層が光出力などの特性に直接影響を及ぼすため、再生蛍光体のみを用いた蛍光ランプと同様に、光出力などの特性の低下が避けられない。また、再生蛍光体と新品蛍光体との混合物を使用した場合には、再生蛍光体の混合比率に応じて光出力などが低下してしまうおそれがある。
【0007】
【特許文献1】特開2001−345051号公報
【特許文献2】特開2001−345047号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の再生蛍光体を用いた蛍光ランプは、ランプ点灯中のイオン衝撃などで蛍光体表面に形成されるアモルファス層などに起因して、新品蛍光体を用いた蛍光ランプに比べて光出力などの特性が劣るという問題を有している。また、再生蛍光体を新品蛍光体と混合して蛍光膜を形成したり、あるいは新品蛍光体層上に再生蛍光体層を形成した2層構造の蛍光膜として使用することなどが検討されているものの、これらのランプ構造では再生蛍光体に起因する特性低下が必ずしも十分に抑えられているとは言えない。
【0009】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、廃蛍光ランプから回収、再生した再生蛍光体を蛍光ランプに適用するにあたって、再生蛍光体を使用することに基づく製造コストの低減効果などを維持した上で、再生蛍光体に起因する光出力などの特性低下を極力抑制することを可能にした蛍光ランプを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の蛍光ランプは、放電空間を有するガラスバルブと;前記ガラスバルブの内壁面に沿って形成された蛍光体膜であって、前記ガラスバルブの内壁面側に配置され、再生蛍光体を含有する第1の蛍光体層と、前記放電空間側に配置され、新品蛍光体を含有する第2の蛍光体層とを有する蛍光体膜と;前記ガラスバルブの両端に封装された一対の電極と;前記ガラスバルブ内に封入された放電媒体と;を具備することを特徴としている。
【0011】
上記した請求項1記載の発明および以下に示す各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は以下の通りである。
【0012】
ガラスバルブは放電容器を構成するものであり、その両端に一対の電極が封装されると共に、内部の放電空間に放電媒体が封入されるものである。ガラスバルブの形状は、直管、湾曲管、屈曲管のいずれであってもよいし、また複数の管を接続管で1本の放電路が形成されるように連結した構造などであってもよい。ガラスバルブの構成材料は特に限定されるものではなく、気密性、加工性、耐火性を備えていればよいが、蛍光ランプに一般的に用いられている軟質ガラス(ソーダライムガラスなど)が好適である。なお、要すれば硬質ガラス、半硬質ガラス、石英ガラスなどを使用してもよい。
【0013】
一対の電極はガラスバルブの両端に封装され、バルブ内部の放電空間に対向して配置されるものであり、それらの間で低圧水銀蒸気放電を生起するものである。電極には、フィラメント電極、セラミックス電極、冷陰極などの既知の電極を使用することができる。
【0014】
放電媒体はガラスバルブ内に封入されて用いられるものであり、水銀および希ガスを含むものである。水銀は液体水銀を封入するか、あるいはアマルガムとして封入することが可能である。希ガスは蛍光ランプの放電開始を容易にし、また緩衝ガスとして用いられるものであり、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、ネオン(Ne)などをガラスバルブ内に200〜400Pa程度の圧力で封入する。希ガスは単体で使用してもよいし、また2種以上の混合物(例えばAr−Kr、Ne−Ar−Krなど)として用いてもよい。
【0015】
蛍光体膜はガラスバルブの内壁面に沿って形成されるものであり、バルブ内壁面上に直接形成してもよいし、また必要に応じて保護膜や下地膜などの上に形成してもよい。蛍光体膜を構成する蛍光体としては、代表的には三波長発光形蛍光体とハロリン酸塩蛍光体が挙げられるが、再生蛍光体の特性低下を抑制する上で、希土類蛍光体を用いた三波長発光形蛍光体を適用することが好ましい。三波長発光形蛍光体としては、一般的に青色発光蛍光体、緑色発光蛍光体および赤色発光蛍光体などを適宜に混合した蛍光体が用いられる。
【0016】
三波長発光形蛍光体を構成する青色発光蛍光体には、例えばユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体(BaMg2Al16O27:Euなど)やユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体((Sr,Ca,Ba)5(PO4)3Cl:Euなど)が用いられる。緑色発光蛍光体には、例えばセリウムおよびテルビウム付活希土類燐酸塩蛍光体(LaPO4:Ce,Tbなど)やセリウム付活希土類アルミン酸塩蛍光体(Y3Al5O12:Ceなど)が用いられる。赤色発光蛍光体には、ユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y2O3:Eu)やユーロピウム付活燐酸バナジン酸イットリウム蛍光体(YPVO4:Eu)が用いられる。これら希土類蛍光体はいずれも高価であり、再生して再利用する価値が高いと共に、再生蛍光体として使用した際の光出力の低下が比較的少ないことから、再生蛍光体を用いた蛍光ランプに好適である。
【0017】
本発明の蛍光ランプにおける蛍光体膜は、再生蛍光体を用いた第1の蛍光体層と、新品蛍光体を用いた第2の蛍光体層とを有するものである。ここで、再生蛍光体とは廃蛍光ランプなどから回収した蛍光体に、例えば加熱処理や酸による洗浄処理などの再生処理を施して、再使用に耐え得る状態にしたものである。ただし、回収蛍光体の再生処理工程は特に限定されるものではなく、廃蛍光ランプや回収蛍光体の種類などに応じて適宜に設定することができる。一方、新品蛍光体は未使用の蛍光体であり、再生蛍光体とは明確に区別されるものである。
【0018】
そして、本発明の蛍光ランプにおいては、再生蛍光体を用いた第1の蛍光体層をガラスバルブの内壁面側に形成すると共に、新品蛍光体を用いた第2の蛍光体層を放電空間側に形成することが重要である。すなわち、蛍光ランプの光出力を維持する上で、蛍光体膜はある程度以上の膜厚を有している必要がある。ただし、蛍光体膜を発光させる紫外線の大部分は放電空間側に位置する蛍光体層で可視光に変換されるため、蛍光ランプの光出力はほぼ放電空間側の蛍光体層により決定される。一方、バルブ内壁面側に位置する蛍光体層の特性は、蛍光ランプ全体としての特性にはあまり影響を及ぼさない。
【0019】
従って、再生蛍光体を用いた第1の蛍光体層をバルブ内壁面側に形成すると共に、新品蛍光体を用いた第2の蛍光体層を放電空間側に形成することによって、再生蛍光体を使用することに基づく蛍光ランプの製造コストの低減効果などを得た上で、再生蛍光体に起因する蛍光ランプの光出力などの特性低下を極力抑制することが可能になる。再生蛍光体の使用によるランプ製造コストの低減効果は、基本的には全蛍光体に対する再生蛍光体の使用割合に基づくため、上述した第2の蛍光体層(新品蛍光体層)による光出力特性を維持し得る範囲で、再生蛍光体の使用割合を設定することが好ましい。
【0020】
なお、本発明における蛍光体膜は、基本的には第1の蛍光体層と第2の蛍光体層との2層構造を有するものであるが、蛍光体膜の構造は必ずしも2層構造に限られるものではなく、第1の蛍光体層および第2の蛍光体層以外に、例えば再生蛍光体と新品蛍光体との混合物を用いた蛍光体層、また再生蛍光体と新品蛍光体とを組成傾斜させた蛍光体層などを有していてもよい。
【0021】
第1の蛍光体層および第2の蛍光体層は、各蛍光体粉末をバインダ溶液および必要に応じて結着剤と混合して蛍光体塗布液(蛍光体スラリー)をそれぞれ調製し、これら蛍光体塗布液をガラスバルブの内壁面に順に塗布した後にベーキングすることにより形成される。バインダとしては、例えばポリエチレンオキサイドのような水系バインダや、ニトロセルロースのような有機系バインダが用いられる。本発明における2層構造の蛍光体膜は、上層側のスラリー塗布時に下層側の塗膜形状を維持する上で、一方の蛍光体スラリー(例えば下層側)に水系バインダを使用し、他方の蛍光体スラリー(例えば上層側)に有機系バインダを用いることが好ましい。この際、下層側の第1の蛍光体層ではアルミナ粒子が結着剤として作用する。一方、上層側の第2の蛍光体層では結着剤としてカルシウムやバリウムの硼酸塩や燐酸塩などを用いることが好ましい。
【0022】
請求項1記載の蛍光ランプにおいては、上述したようにランプの光出力を左右する放電空間側の第2の蛍光体層に新品蛍光体を使用し、再生蛍光体はランプ全体としての特性にはあまり影響を及ぼさないバルブ内壁面側の第1の蛍光体層に適用しているため、再生蛍光体の使用に基づいて蛍光ランプの製造コストを低減した上で、通常の新品蛍光体のみを用いた蛍光ランプと同等の光出力、もしくは出力低下を極力抑制した光出力を得ることが可能となる。
【0023】
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の蛍光ランプにおいて、前記蛍光体膜は総膜厚(第1の蛍光体層と第2の蛍光体層の合計膜厚)が10〜35μmの範囲であり、かつ前記総膜厚に対する前記第1の蛍光体層の膜厚比が20〜70%の範囲であることを特徴としている。請求項2記載の蛍光ランプは、上述した光出力の維持効果と再生蛍光体によるコスト低減効果をより確実に両立させることが可能な膜厚を規定したものである。
【0024】
すなわち、蛍光体膜の総膜厚が10μm未満であると、蛍光体膜全体としての膜厚が薄いことに基づいて、蛍光ランプの光出力の低下を招くことになる。一方、蛍光体膜の総膜厚を35μmを超えて厚くしても、それ以上の効果(光出力の向上効果など)を得ることができないだけでなく、蛍光体の使用量が増加することで製造コストの増大を招くことになる。そして、このような蛍光体膜の総膜厚tに対して、第1の蛍光体層の膜厚t1の比率は20〜70%の範囲とすることが好ましい。言い換えると、第1の蛍光体層の膜厚t1と第2の蛍光体層の膜厚t2との比率をt1:t2=2:8〜7:3の範囲とすることが好ましい。
【0025】
蛍光体膜の総膜厚tに対する第1の蛍光体層の膜厚t1の比率[(t1/t)×100(%)]が70%を超えると、相対的に第2の蛍光体層(新品蛍光体層)の膜厚t2が薄くなることに伴って、光出力の低下度合いが大きくなる。すなわち、第1の蛍光体層(再生蛍光体層)が光出力に影響を及ぼすようになり、その分だけランプ全体としての光出力が低下する。一方、第1の蛍光体層の膜厚t1の比率を20%未満とすると、再生蛍光体を用いたことによる製造コストの低減効果を十分に得ることができない。蛍光ランプの製造コストの点からは、第1の蛍光体層の膜厚t1の比率を30%以上とすることがより好ましく、また光出力の点からは60%以下とすることがより好ましい。
【0026】
請求項3記載の発明は、上記した請求項1または2記載の蛍光ランプにおいて、前記第1の蛍光体層は前記再生蛍光体に対して3〜50質量%の範囲のアルミナ粒子を含有することを特徴としている。請求項3記載の蛍光ランプは、第1の蛍光体層(再生蛍光体層)による紫外線の反射機能や保護膜としての機能を高め、これにより蛍光ランプの光出力やその維持率などを向上させたものである。
【0027】
すなわち、アルミナ粒子は従来から蛍光体膜の結着剤として用いられている。このようなアルミナ粒子の含有量を、光出力にあまり影響を及ぼさない第1の蛍光体層(再生蛍光体層)では増加させることができる。第1の蛍光体層に比較的多量のアルミナ粒子を含有させ、第1の蛍光体層を緻密化させて紫外線の反射率を高めることによって、蛍光ランプの光出力を向上させることが可能となる。さらに、緻密化した第1の蛍光体層によればガラスバルブからのアルカリ溶出などを防ぐことができるため、従来アルミナや燐酸ストロンチウムなどで形成していた保護膜を代替することができる。
【0028】
第1の蛍光体層に添加するアルミナ粒子は、α−Al2O3、γ−Al2O3、δ−Al2O3のいずれであってもよいが、特にγ−Al2O3が好ましく用いられる。このようなアルミナ粒子は再生蛍光体に対して3〜50質量%の範囲となるように含有させることが好ましい。アルミナ粒子を結着剤として用いる場合には蛍光体に対して1〜3質量%程度の範囲で添加するが、再生蛍光体を用いた第1の蛍光体層では上述した紫外線の反射機能や保護膜としての機能を高める上で、アルミナ粒子を再生蛍光体に対して3質量%以上の範囲で含有させることが好ましい。紫外線の反射機能や保護膜機能などの点からは、アルミナ粒子を再生蛍光体に対して10質量%以上の範囲で含有させることがより好ましい。
【0029】
一方、再生蛍光体に対するアルミナ粒子の比率が高くなりすぎると、第1の蛍光体層が緻密化しすぎることから、つぶ肌などと呼ばれる肌荒れや亀裂などが生じやすくなり、蛍光ランプの特性や外観などが低下する。特に、環形、鞍形、U字形などの蛍光ランプでは、蛍光体膜を形成した後にガラスバルブの曲げ加工が実施されるため、その際に亀裂などが生じやすくなる。このような点から、アルミナ粒子は再生蛍光体に対して50質量%以下の範囲で含有させることが好ましい。肌荒れや亀裂などを確実に抑制する上で、再生蛍光体に対するアルミナ粒子の比率は35質量%以下の範囲で含有させることがより好ましく、環形などの蛍光ランプではこのような条件を満足させることが望ましい。
【0030】
請求項4記載の発明の照明器具は、請求項1ないし3いずれか一項記載の蛍光ランプと;前記蛍光ランプが配設される照明器具本体と;を具備することを特徴としている。このような本発明の照明器具によれば、良好な光出力と製造コストの低減効果を得ることができる。なお、照明器具本体とは、照明器具から蛍光ランプを除いた残余の構成を全て含むものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態による蛍光ランプの構造を一部破断面で示す図である。同図において、1は蛍光ランプ、2はガラスバルブ、3は放電空間、4は蛍光体膜、5は電極、6は口金である。
【0032】
蛍光ランプ1は、例えばソーダライムガラスからなる直管形のガラスバルブ2を有している。このガラスバルブ2の内部には細長い放電空間3が形成されており、さらにバルブ内壁面2a上には蛍光体膜4が形成されている。蛍光体膜4は図2に示すように、バルブ内壁面2a側に形成された第1の蛍光体層7と、放電空間3側に形成された第2の蛍光体層8とを有する2層構造の蛍光体膜である。このような蛍光体膜4は10〜35μmの範囲の膜厚tを有している。また、第1の蛍光体層7の膜厚t1は蛍光体膜2の膜厚tに対して20〜70%の範囲とされている。
【0033】
第1の蛍光体層7は、使用済の三波長蛍光ランプから回収した蛍光体に酸洗浄や加熱処理などの再生処理を施した再生蛍光体を用いて形成したものである。また、第1の蛍光体層7は再生蛍光体に対して3〜50質量%の範囲のγ−アルミナ粒子を含有している。第2の蛍光体層8は未使用の新品蛍光体、具体的には三波長発光形蛍光体を用いて形成したものである。三波長発光形蛍光体としては、例えば(Sr,Ca,Ba)5(PO4)3Cl:Eu蛍光体からなる青色発光蛍光体と、LaPO4:Ce,Tb蛍光体からなる緑色発光蛍光体と、Y2O3:Eu蛍光体からなる赤色発光蛍光体との混合物などが用いられる。
【0034】
ガラスバルブ2内部の放電空間3には、一対の電極5が対向して配置されている。一対の電極5はガラスバルブ2の両端部にそれぞれ封装されている。さらに、ガラスバルブ1の内部には所定圧の放電媒体、すなわちアルゴンのような希ガスと水銀とが封入されている。また、ガラスバルブ2の両端部には端子ピン6aを有する口金6が取り付けられている。そして、ガラスバルブ2の両端部に設けられた一対の電極5に所定の電圧を印加することで蛍光体膜4を発光させる。
【0035】
このような蛍光ランプ1は、例えば以下のようにして作製される。まず、ポリエチレンオキサイドの水溶液に再生蛍光体粉末とγ−アルミナ粉末とを分散させた第1の蛍光体層用スラリー(第1の蛍光体塗布液)と、ニトロセルロースを溶解した酢酸ブチルに新品蛍光体と硼酸バリウムカルシウムや燐酸カルシウムなどを分散させた第2の蛍光体層用スラリー(第2の蛍光体塗布液)とを用意する。
【0036】
まず、水系バインダを用いた第1の蛍光体層用スラリーをガラスバルブ2の内壁面2aに塗布し、乾燥させて第1の塗膜を形成する。次いで、第1の塗膜上に有機系バインダを用いた第2の蛍光体層用スラリーを塗布し、乾燥させて第2の塗膜を形成する。この2層構造の塗膜を例えば400〜650℃の温度で数分間程度ベーキングして、第1の蛍光体層7と第2の蛍光体層8とを有する2層構造の蛍光体膜4を形成する。この後、常法にしたがってバルブ端部へのステムの封止工程、バルブ内の排気と水銀および希ガスの封入工程、排気管の封切工程、口金6の装着工程などを行うことで、目的とする蛍光ランプ1を作製する。
【0037】
次に、上記した第1の実施形態による蛍光ランプの具体例とその評価結果について述べる。まず、使用済の三波長発光形蛍光ランプから蛍光体を回収し、これを水洗して不純物を除去した後、酸洗浄および加熱処理を施して再生蛍光体を得た。得られた再生蛍光体粉末とこの再生蛍光体に対して25質量%のγ−アルミナ粉末とをポリエチレンオキサイド水溶液(濃度=1.0質量%)に添加し十分に撹拌して、第1の蛍光体層用スラリー(第1の蛍光体塗布液)を調製した。
【0038】
一方、未使用の三波長発光形蛍光体粉末((Sr,Ca,Ba)5(PO4)3Cl:Eu蛍光体(青)とLaPO4:Ce,Tb蛍光体(緑)とY2O3:Eu蛍光体(赤)との混合粉末)を、1質量%のニトロセルロースを溶解した酢酸ブチル溶液に添加し、さらに1.5質量%の硼酸バリウムカルシウムと1.5質量%の燐酸カルシウム添加し十分に撹拌して、第2の蛍光体層用スラリー(第2の蛍光体塗布液)を調製した。
【0039】
次に、第1の蛍光体層用スラリーをガラスバルブ2の内壁面2aに塗布し、乾燥させて第1の塗膜を形成した後、その上に第2の蛍光体層用スラリーを塗布し、乾燥させて第2の塗膜を形成した。この塗膜をベーキングして2層構造の蛍光体膜を形成した。この際、第1の蛍光体層用スラリーと第2の蛍光体層用スラリーの塗布厚を調整することによって、第1の蛍光体層(再生蛍光体層)と第2の蛍光体層(新品蛍光体層)の膜厚比を種々に変えた2層構造の蛍光体膜を形成した。また、再生蛍光体層または新品蛍光体層のみの蛍光体膜も形成した。
【0040】
この後、常法にしたがってバルブ端部の封止工程、バルブ内の排気と水銀および希ガスの封入工程、排気管の封切工程、口金の装着工程などを行うことによって、第1の蛍光体層と第2の蛍光体層の膜厚比を変えた複数の直管形蛍光ランプ(FL40S・EX−N)を作製した。また、本発明との比較例として、再生蛍光体層と新品蛍光体層の形成位置を逆転させた直管形蛍光ランプ、すなわち新品蛍光体層をバルブ内壁面側に形成すると共に、再生蛍光体層を放電空間側に形成した直管形蛍光ランプ(FL40S・EX−N)を作製した。比較例の蛍光ランプについても膜厚比を種々に変更した。
【0041】
上述した実施例および比較例による各蛍光ランプの初期光出力を測定した。その結果を表1および図3に示す。なお、表1および図3に示す光出力は、新品蛍光体層のみの蛍光ランプ(再生蛍光体層の比率=0%)の光出力を100とした場合の相対値である。
【0042】
【表1】
【0043】
表1および図3から明らかなように、再生蛍光体層をバルブ内壁面側に形成すると共に、新品蛍光体層を放電空間側に形成した実施例の蛍光ランプは、新品蛍光体層のみの蛍光ランプに匹敵する光出力を有していることが分かる。ただし、再生蛍光体層の膜厚比を大きくしすぎると光出力が低下するため、再生蛍光体層の膜厚比は70%以下、さらには60%以下とすることが好ましいことが分かる。その上で、再生蛍光体層を使用することで新品蛍光体層の膜厚を薄くすることができるため、その分だけランプ製造コストを低減することが可能となる。一方、再生蛍光体層を放電空間側に形成した比較例の蛍光ランプは、再生蛍光体層の膜厚比によらず光出力が劣っていることが分かる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態による蛍光ランプについて、図4を参照して説明する。図4は本発明の第2の実施形態による蛍光ランプの構造を一部破断面で示す図である。図4に示す環形蛍光ランプ9は環形のガラスバルブ10を有しており、この環形ガラスバルブ10の内壁面上には、図2と同様な2層構造の蛍光体膜4、すなわちバルブ内壁面側に形成された第1の蛍光体層と放電空間3側に形成された第2の蛍光体層とを有する蛍光体膜4が形成されている。蛍光体膜4の膜厚、第1の蛍光体層と第2の蛍光体層との膜厚比、各蛍光体層の構成材料などは、第1の実施形態と同様である。ただし、第1の蛍光体層におけるγ−アルミナ粒子の含有量はガラスバルブ10を曲げ加工することを考慮して、再生蛍光体に対して3〜35質量%の範囲とすることが好ましい。
【0045】
上述した第2の実施形態の環形蛍光ランプについても、第1の実施形態と同様に、第1の蛍光体層と第2の蛍光体層の膜厚比を変えた複数の環形蛍光ランプを作製し、それらの初期光出力を測定した。その結果、直管形蛍光ランプと同様に、新品蛍光体層を放電空間側に形成することで、新品蛍光体層のみの蛍光ランプに匹敵する光出力が得られることが確認された。また、再生蛍光体層の膜厚比は70%以下とすることが好ましいことが確認された。なお、環形蛍光ランプに限らず、鞍形やU字形などの蛍光ランプにおいても同様な結果が得られた。
【0046】
次に、本発明の第3の実施形態による照明器具について述べる。この実施形態の照明器具は光源として、上述した第1の実施形態による直管形蛍光ランプや第2の実施形態による環形蛍光ランプなどを有するものである。これら蛍光ランプは照明器具本体内に配設される。照明器具本体には既知の器具本体、すなわち各種の器具ケースや点灯装置などを有する器具本体が用いられる。そして、これら蛍光ランプおよび照明器具本体によって、照明器具が構成されている。
【0047】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、廃蛍光ランプなどから回収、再生した再生蛍光体を使用して製造コストの低減を図った上で、再生蛍光体に起因する光出力などの特性低下を抑制することが可能となる。従って、光出力などの特性に優れ、かつ再生蛍光体を使用した分だけ低コストの蛍光ランプを提供することができる。再生蛍光体の使用は電気機器材料のリサイクルの点からも重要である。
【0048】
請求項2記載の発明によれば、上述した光出力の維持効果と再生蛍光体による製造コストの低減効果をより確実に両立させることが可能となる。請求項3記載の発明によれば、蛍光ランプの光出力やその維持率などをさらに向上させることが可能となる。また、請求項4記載の発明によれば、そのような蛍光ランプを使用した低コストの照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による直管形蛍光ランプの概略構造を一部破断面で示す図である。
【図2】図1に示す蛍光ランプの蛍光体膜を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の実施例および比較例による蛍光ランプの光出力と第1の蛍光体層の膜厚比との関係を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による環形蛍光ランプの概略構造を一部破断面で示す図である。
【符号の説明】
1……直管形蛍光ランプ、2,10……ガラスバルブ、2a……バルブ内壁面、3……放電空間、4……蛍光体膜、5……電極、7……第1の蛍光体層(再生蛍光体層)、8……第2の蛍光体層(新品蛍光体層)、9……環形蛍光ランプ
Claims (4)
- 放電空間を有するガラスバルブと;
前記ガラスバルブの内壁面に沿って形成された蛍光体膜であって、前記ガラスバルブの内壁面側に配置され、再生蛍光体を含有する第1の蛍光体層と、前記放電空間側に配置され、新品蛍光体を含有する第2の蛍光体層とを有する蛍光体膜と;
前記ガラスバルブの両端に封装された一対の電極と;
前記ガラスバルブ内に封入された放電媒体と;
を具備することを特徴とする蛍光ランプ。 - 前記蛍光体膜は総膜厚が10〜35μmの範囲であり、かつ前記総膜厚に対する前記第1の蛍光体層の膜厚比が20〜70%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
- 前記第1の蛍光体層は前記再生蛍光体に対して3〜50質量%の範囲のアルミナ粒子を含有することを特徴とする請求項1または2記載の蛍光ランプ。
- 請求項1ないし3いずれか一項記載の蛍光ランプと;
前記蛍光ランプが配設された照明器具本体と;
を具備することを特徴とする照明器具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003010394A JP2004227783A (ja) | 2003-01-17 | 2003-01-17 | 蛍光ランプおよび照明器具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003010394A JP2004227783A (ja) | 2003-01-17 | 2003-01-17 | 蛍光ランプおよび照明器具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004227783A true JP2004227783A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=32899606
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003010394A Withdrawn JP2004227783A (ja) | 2003-01-17 | 2003-01-17 | 蛍光ランプおよび照明器具 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004227783A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013093252A (ja) * | 2011-10-27 | 2013-05-16 | Hitachi Appliances Inc | 蛍光ランプ |
-
2003
- 2003-01-17 JP JP2003010394A patent/JP2004227783A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013093252A (ja) * | 2011-10-27 | 2013-05-16 | Hitachi Appliances Inc | 蛍光ランプ |
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