JP2004227246A - ダンピング抵抗値設計装置、ダンピング抵抗値設計方法、ダンピング抵抗値設計プログラム及びダンピング抵抗値設計プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】回路を誤動作させることなく電気ノイズを抑え、なおかつ品種数が最少となるダンピング抵抗値の組み合わせを求める。
【解決手段】使用抵抗値情報105と、各伝送線路の等価回路と、各等価回路上でダンピング抵抗を示す識別子と、各伝送線路上の信号波形に対する波形制約情報108とを取得し、信号波形シミュレーション手段110aによって各伝送線路上のダンピング抵抗値を取得した使用抵抗値としたときの信号波形を求め、該信号波形が取得した波形制約情報の示す制約を満たすかどうかを検証し、その結果から各ダンピング抵抗に各使用抵抗値が適用可能であるかどうかを示す使用可能ダンピング抵抗値テーブル111を求め、使用可能ダンピング抵抗値テーブル111から抵抗値の種類が最少となるようなダンピング抵抗値の組合せ113を決定し出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】使用抵抗値情報105と、各伝送線路の等価回路と、各等価回路上でダンピング抵抗を示す識別子と、各伝送線路上の信号波形に対する波形制約情報108とを取得し、信号波形シミュレーション手段110aによって各伝送線路上のダンピング抵抗値を取得した使用抵抗値としたときの信号波形を求め、該信号波形が取得した波形制約情報の示す制約を満たすかどうかを検証し、その結果から各ダンピング抵抗に各使用抵抗値が適用可能であるかどうかを示す使用可能ダンピング抵抗値テーブル111を求め、使用可能ダンピング抵抗値テーブル111から抵抗値の種類が最少となるようなダンピング抵抗値の組合せ113を決定し出力する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子回路を設計する際に適用する技術に関するものであり、特に設計対象の電子回路で発生するノイズを抑えるダンピング抵抗の抵抗値を決定するダンピング抵抗値設計装置、ダンピング抵抗値設計方法、ダンピング抵抗値設計プログラム及びダンピング抵抗値設計プログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子回路を設計する際に考慮すべき主なノイズとしては、反射ノイズとクロストークノイズがある。通常、反射ノイズは信号線送信端の信号源の特性インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスの不整合により発生する。この反射ノイズを抑えるために、信号線送信端近傍に直列にダンピング抵抗を挿入する方法が知られている。
【0003】
信号の反射の大きさは反射係数で表すことができる。ある信号線路上で特性インピーダンスZ0から特性インピーダンスZ1へ信号が流れ込む場合の反射係数ρは、一般に次式(1)で表される。
【0004】
ρ = (Z1−Z0)/(Z1+Z0) ・・・(1)
よって信号線送信端の特性インピーダンスと信号線路の特性インピーダンスとの差が小さければ、送信端側での反射も小さくなる。
【0005】
この点に着目した従来のダンピング抵抗値の決定方法として、信号線送信端の特性インピーダンスとダンピング抵抗値との合計が、伝送線路の特性インピーダンスと等しくなるようなダンピング抵抗値を選択する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−41592号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のダンピング抵抗の決定方法には、次のような問題があった。
【0008】
一般的に、伝送線路の特性インピーダンス及びその送信端の特性インピーダンスは、伝送線路ごとに異なる。よって、上記従来の方法でダンピング抵抗の抵抗値を決定すると、ダンピング抵抗の値がまちまちとなり、ダンピング抵抗の品種数が多くなってしまう。
【0009】
そして、部品品種が増えることにより、次のような新たな問題が発生する。
【0010】
すなわち、基板上に部品を搭載する際に、部品種切り替えに伴う部品装着機の部品供給用カセットの切り替え頻度が多くなり、基板実装時間が長くなる。特に、基板上の部品品種数が部品装着機の対応品種数より多い場合は、部品装着機のカセットを交換するか、もしくは2台以上の装着機に分けて実装する必要があり、時間を要する。
【0011】
少量多品種の部品購入、部品製造となるので、大量生産によるスケールメリットが得られず、部品単価が高くなる。
【0012】
多品種の部品を少量ずつストックしておく必要があり、在庫切れを起こしやすく、製造ライン停止の危険性が高くなる。
【0013】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、回路を誤動作させることなく電気ノイズを抑え、なおかつ品種数が最少となるダンピング抵抗値の組合せを簡単に求めることのできるダンピング抵抗値設計装置、ダンピング抵抗値設計方法、ダンピング抵抗値設計プログラム及びダンピング抵抗値設計プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のダンピング抵抗値設計装置は、ダンピング抵抗として用いる抵抗値の候補の集合である使用抵抗値情報と、ダンピング抵抗を備える伝送線路に関する情報である伝送線路情報と、伝送線路の良否を判断する情報である波形制約情報とを用いて回路のダンピング抵抗値を設計する装置であって、ダンピング抵抗値決定手段は、前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記使用抵抗値情報に含まれる任意の抵抗値としたときの良否を前記波形制約情報に基づいて判断することにより、伝送線路を良とする抵抗値を、前記使用抵抗値情報が備えるダンピング抵抗として用いる抵抗値の種類が最少となる組み合わせによって決定することを特徴としている。
【0015】
この場合、前記伝送線路情報は、少なくとも入力信号の波形を表す入力信号波形情報を備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、前記入力信号を伝送線路に与えた場合の伝送線路の終端における信号波形を求め、前記信号波形の良否を判定することよってダンピング抵抗値の良否判定を行うようにしてもよい。
【0016】
また、前記伝送線路情報は、1つの伝送線路が1または複数の終端をえることを表すことが可能であり、前記ダンピング抵抗値決定手段は、1つの伝送線路が備えるすべての終端において信号波形の良否を判定し、1つの伝送線路が備えるすべての終端において良判定となった場合に該伝送線路の信号波形を良と判定するようにしてもよい。
【0017】
具体的には、前記波形制約情報は少なくとも電圧しきい値と信号の立ち上がり遅延上限値とを備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、前記入力信号の波形が電圧しきい値を上回る時刻と終端における信号波形が電圧しきい値を上回る時刻との差である立ち上がり遅延時間を求め、立ち上がり遅延時間が、立ち上がり遅延上限値より短時間であった場合に信号波形を良と判定する。
【0018】
また、前記波形制約情報は少なくとも電圧しきい値と信号の立ち下がり遅延上限値とを備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、前記入力信号の波形が電圧しきい値を下回る時刻と終端における信号波形が電圧しきい値を下回る時刻との差である立ち下がり遅延時間を求め、立ち下がり遅延時間が、立ち下がり遅延上限値より短時間であった場合に信号波形を良と判定する。
【0019】
さらに、前記波形制約情報は少なくとも電圧しきい値を備え、前記信号波形情報は少なくとも信号の周期を備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、信号波形の一周期期間において終端における信号波形が電圧しきい値を3回以上またぐ場合に信号波形を否と判定する。
【0020】
この場合、前記伝送線路情報は、抵抗、キャパシタ、インダクタ等のアドミッタンスが定められた回路素子、独立電流源、独立電圧源、及びこれらの間の線路からなる構成として電気的特性を表す電気的特性情報を備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、キルヒホッフの法則とオームの法則とで定式化されている回路解析手法、及びニュートン法や数値積分法等の数値解析手法を用いて終端における信号波形を計算するようにしてもよい。
【0021】
また、前記伝送線路情報が表す伝送線路からダンピング抵抗を決定したい任意の伝送線路を選択するダンピング抵抗識別情報取得手段をさらに備えていてもよい。
【0022】
また、前記ダンピング抵抗値決定手段は、ダンピング抵抗を決定したいすべての伝送線路について、使用抵抗値情報が備えるすべての抵抗値ごとに良否判定を行い、使用抵抗値とダンピング抵抗を決定したい伝送線路を表すダンピング抵抗識別子とをそれぞれ行または列とする良否判定の行列である使用可能ダンピング抵抗値テーブルを作成し、使用可能ダンピング抵抗値テーブルに基づいてダンピング抵抗値の種類を最少とする組み合わせのダンピング抵抗値を決定するようにしてもよい。
【0023】
また、前記ダンピング抵抗値決定手段は、使用抵抗値の組み合わせを種類の少ない順に求め、該組み合わせによってダンピング抵抗を決定したいすべての伝送線路が良判定となるかを判断することによってダンピング抵抗値の種類を最少とするダンピング抵抗値を決定するようにしてもよい。
【0024】
また、前記ダンピング抵抗値決定手段は、ダンピング抵抗を決定したいすべての伝送線路について使用抵抗値情報が備えるすべての抵抗値ごとに良否判定を行い、前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を0Ω等のダンピング抵抗が不要であることを表す値とすることが可能である場合は前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記ダンピング抵抗が不要であることを表す値とし、その他の伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記使用抵抗値情報が備えるダンピング抵抗として用いる抵抗値の種類が最少となる組み合わせによって決定するようにしてもよい。
【0025】
また、本発明のダンピング抵抗値設計方法は、回路の電気ノイズを抑えなおかつ品種数が最少となるダンピング抵抗値の組み合わせを求めるダンピング抵抗値設計方法であって、ダンピング抵抗として用いる抵抗値の候補の集合である使用抵抗値情報と、ダンピング抵抗を備える伝送線路に関する情報である伝送線路情報と、伝送線路の良否を判断する情報である波形制約情報とに基づいて、前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記使用抵抗値情報が含む任意の抵抗値としたときの良否を波形制約情報に基づいて判断する段階と、伝送線路を良とする抵抗値を、前記使用抵抗値情報が備えるダンピング抵抗として用いる抵抗値の種類が最も少なくなる組み合わせによって決定する段階とを備えたことを特徴としている。
【0026】
また、本発明のダンピング抵抗値設計方法は、これを実施するためのダンピング抵抗値設計プログラムとして実現することができる。すなわち、本発明のダンピング抵抗値設計プログラムは、回路の電気ノイズを抑えなおかつ品種数が最少となるダンピング抵抗値の組み合わせを演算によって求めるコンピュータ読み取り可能なダンピング抵抗値設計プログラムは、ダンピング抵抗として用いる抵抗値の候補の集合である使用抵抗値情報と、ダンピング抵抗を備える伝送線路に関する情報である伝送線路情報と、伝送線路の良否を判断する情報である波形制約情報とを用いて、前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記使用抵抗値情報が含む任意の抵抗値としたときの良否を波形制約情報に基づいて判断するステップと、伝送線路を良とする抵抗値を、前記使用抵抗値情報が備えるダンピング抵抗として用いる抵抗値の種類が最も少なくなる組み合わせによって決定するステップとを備えたことを特徴としている。
【0027】
なお、上記のダンピング抵抗値設計プログラムは、これを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として提供することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係わるダンピング抵抗設計装置の機能ブロック図である。
【0029】
ダンピング抵抗設計装置は、大別すると、ダンピング抵抗として用いる抵抗値の候補の集合である使用抵抗値情報105を取得する使用抵抗値情報取得手段101と、ダンピング抵抗識別情報106を取得するダンピング抵抗識別情報取得手段102と、ダンピング抵抗を備える伝送線路に関する情報である伝送線路情報107を取得する伝送線路情報取得手段103と、伝送線路の良否を判断する情報である波形制約情報108を取得する波形制約情報取得手段104と、使用可能ダンピング抵抗値テーブル111を計算する使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段109及び波形計算・検証手段110と、ダンピング抵抗値組合せ113を計算するダンピング抵抗値組み合せ計算手段112とで構成されている。
【0030】
次に、使用抵抗値情報105、伝送線路情報107、ダンピング抵抗値識別情報106、波形制約情報108等の各データのデータ構造、及び上記各機能ブロックの処理内容について説明する。
【0031】
(1)使用抵抗値情報、伝送線路情報、ダンピング抵抗値識別情報、波形制約情報の各データのデータ構造
<使用抵抗値情報>
使用抵抗値情報105は離散的な抵抗値の集合である。本設計装置で決定するダンピング抵抗の抵抗値は、すべて使用抵抗値情報105に含まれる抵抗値である。
【0032】
図2は、使用抵抗値情報105の例であり、100Ω、120Ω、150Ω、・・・、820Ωの各抵抗値より構成されている。
【0033】
なお、使用抵抗値情報105は、0Ω等の抵抗値が不要であることを表す値を備えていてもよい。
【0034】
本設計装置では、使用抵抗値情報取得手段101が使用抵抗値情報105を取得する。使用抵抗値情報105としては、入手が容易である、安価である等の、使用を推奨すべき抵抗の抵抗値を取得することが望ましい。
【0035】
<伝送線路情報>
伝送線路情報107は、図3に示すように、伝送線路の識別子と、各伝送線路の電気的特性情報と、各伝送線路への入力信号波形情報と、各伝送線路の始端を表す始端識別子と終端を表す終端識別子とを備えている。
【0036】
図4に示すように、伝送線路には1対1伝送線路と、1対多伝送線路がある。1対1伝送線路とは、図4(a)に示すように、1つの始端に対して1つの終端が存在する場合であり、1対多伝送線路とは、図4(b)に示すように、1つの始端に対して複数の終端が存在する場合である。1対多伝送線路の場合は、電気的に接続されているすべての線を1つの伝送線路とする。電気信号は伝送線路上を始端から終端に向かって伝達される。
【0037】
伝送線路情報107の備える電気的特性情報107aは、伝送線路情報107の示す伝送線路の等価回路の情報である。伝送線路の等価回路(電気的特性情報107a)は、図3に示すように、ダンピング抵抗を含む抵抗、キャパシタ、インダクタ等のアドミッタンスが定められている回路素子と、独立電流源と、独立電圧源と、これらの間の線路とで構成される。
【0038】
なお、ダンピング抵抗を備えない伝送線路に対して新たにダンピング抵抗を挿入する場合であって、前もってダンピング抵抗の抵抗値を決定したい場合は、電気的特性情報107aを該伝送線路に抵抗値が不定のダンピング抵抗を挿入した伝送線路の等価回路を表す情報とすればよい。
【0039】
入力信号波形情報は、始端への入力信号波形を表す情報であって、周期と波幅とを備えている。伝送線路への入力信号は周期的な方形波である。方形波の周期と波幅を図5に示す。周期cとは、方形波の立ち上がり時刻から次の方形波の立ち上がり時刻までの間の時間であり、波幅dとは、1つの方形波の立ち上がり時刻とその方形波の立ち下がり時刻との間の時間である。なお、入力信号波形情報は、周期の代わりに周波数を備えていてもよい。
【0040】
本設計装置では、伝送線路情報取得手段103が伝送線路情報107を取得する。
【0041】
<ダンピング抵抗識別情報>
ダンピング抵抗識別情報106はダンピング抵抗識別子の集合である。ダンピング抵抗識別子とは、伝送線路情報107に含まれる電気的特性情報107aが備える回路素子であって、ダンピング抵抗である回路素子を示す識別子である。
【0042】
ダンピング抵抗識別情報106に含まれるダンピング抵抗識別子の総数をnとし、ダンピング抵抗識別情報106に含まれる各ダンピング抵抗識別子をR1〜Rnとする。本設計装置はダンピング抵抗R1〜Rnの抵抗値を決定する。
【0043】
本設計装置では、ダンピング抵抗識別情報取得手段102がダンピング抵抗識別情報106を取得する。具体的には、伝送線路情報107が備える回路素子から、本設計装置で決定したいダンピング抵抗を示す回路素子を示す識別子をダンピング抵抗識別子とすればよい。
【0044】
また、ダンピング抵抗識別子が表すダンピング抵抗の抵抗値が、0Ω等の抵抗値が不要であることを表す値である場合は、そのダンピング抵抗識別子を備える電気的特性情報を備える伝送線路情報が表す伝送線路がダンピング抵抗を備えないとしてもよい。
【0045】
<波形制約情報>
伝送線路情報107に含まれる終端識別子の総数をKとし、各終端識別子をPO1〜POKとすると、波形制約情報108は、図6に示すように、1≦i≦Kとなるすべての整数iについて、伝送線路情報107が備える終端識別子POiが示す終端の出力信号の電圧しきい値と、立ち上がり遅延上限値と、立ち下がり遅延上限値とを備えている。
【0046】
本設計装置では、波形制約情報取得手段104が波形制約情報108を取得する。
【0047】
<使用可能ダンピング抵抗値テーブル>
使用可能ダンピング抵抗値テーブル111は、各ダンピング抵抗に対し、それぞれの使用抵抗値が使用可能であるかどうかを示す情報である。
【0048】
ダンピング抵抗識別子の総数をm、ダンピング抵抗識別子をR1〜Rm、使用抵抗値の総数をn、使用抵抗値をr1〜rnとすると、例えば、使用可能ダンピング抵抗値テーブルは1≦i≦mとなるすべての整数iと、1≦j≦nとなるすべての整数jとにおいて、使用抵抗値rjがダンピング抵抗Riの抵抗値として使用可能であればMij=T、そうでなければMij=Fとなる行列Mである。なお、行列Mにおいては、TはTrue(真)、FはFalse(偽)という意味で用いている。
【0049】
使用可能ダンピング抵抗値テーブル111は、図7に示すように、ダンピング抵抗識別子を行インデックス、使用抵抗値を列インデックスとし、行列要素がTまたはFの値を持つ行列で表せる。図7においてTは使用可能であることを示し、Fは使用可能でないことを示している。
【0050】
<ダンピング抵抗値組合せ>
ダンピング抵抗値組合せ113は、本設計装置で計算されたダンピング抵抗値の組み合わせである。
【0051】
ダンピング抵抗識別子の総数をnとし、ダンピング抵抗識別子をR1〜Rnとすると、ダンピング抵抗値組合せ113は図8に示すように、1≦i≦nとなるすべての整数iについて、ダンピング抵抗Riの抵抗値を備えている。また、ダンピング抵抗Riの抵抗値は、使用抵抗値に含まれる。
【0052】
なお、ダンピング抵抗識別情報106、伝送線路情報107、波形制約情報108間の各データ間のリンクを図示すると、図9に示すようになる。
【0053】
すなわち、各波形制約情報108が備える終端識別子は、いずれかの伝送線路情報107が備えるいずれかの終端識別子を指す。また、各ダンピング抵抗識別情報106が備える伝送線路識別子は、いずれかの伝送線路情報107が備える伝送線路識別子を指し、各ダンピング抵抗識別情報106が備えるダンピング抵抗識別子は、いずれかの伝送線路情報107が備える電気的特性情報107aの回路素子を指す。
【0054】
(2)各機能ブロックの処理内容の説明
<使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段>
使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段109は、使用抵抗値情報105、伝送線路情報107、ダンピング抵抗識別情報106に基づいて使用可能ダンピング抵抗値テーブル111の値を計算する。
【0055】
図10は、使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段109の処理内容を示すフローチャートである。
【0056】
ここで、全ダンピング抵抗識別子の個数をmとし、ダンピング抵抗識別子をR1,R2,・・・,Rmとする。また、全使用抵抗値の個数をnとし、使用抵抗値をr1,r2,・・・,rnとする。また、iを1≦i≦mとなる整数、jを1≦j≦nとなる整数とし、使用可能ダンピング抵抗値テーブル111をMij∈{T,F}である行列Mとする。
【0057】
ステップS1001では、変数iに1を代入して初期化する。
【0058】
ステップS1002では、変数jに1を代入して初期化する。
【0059】
ステップS1003では、波形計算・検証手段110に入力値としてダンピング抵抗識別子Riと抵抗値rjを与えたときの波形計算・検証手段110の出力値をMijに代入する。
【0060】
ステップS1004では、jの値に1を加える。
【0061】
ステップS1005では、jの値がn以下ならばステップS1003に進み、そうでなければステップS1006に進む。
【0062】
ステップS1006では、iの値に1を加える。
【0063】
ステップS1007では、iの値がm以下ならばステップS1002に進み、そうでなければ処理を終了する。
【0064】
<波形計算・検証手段>
波形計算・検証手段110は、入力値として伝送線路情報107と、ダンピング抵抗識別子と、抵抗値とを受け取り、出力値としてTまたはFの値を返す。
【0065】
図11は、波形計算・検証手段110での計算・検証処理を示すフローチャートである。
【0066】
ここで、入力値のダンピング抵抗識別子をR、抵抗値をrとする。また、ダンピング抵抗識別子Rが示す回路素子を含む電気的特性情報107aを備える伝送線路情報107をSLとし、伝送線路情報SLが備える始端識別子をPI、伝送線路情報SLが備える終端識別子の数をK、伝送線路情報SLが備える終端識別子をPO1〜POkとする。また、伝送線路情報SLへの入力信号の波幅をd、周期をcとする。d及びcの値は、伝送線路情報SLの入力信号波形情報が備えている。また iを1≦i≦kである整数とする。
【0067】
ステップS1101では、ダンピング抵抗識別子Rが示す回路素子を含む電気的特性情報を備える伝送線路情報SLを取得し、伝送線路情報SLが備える電気的特性情報を取得する。
【0068】
ステップS1102では、伝送線路情報SLが備える始端識別子PIと入力信号波形情報とを取得する。
【0069】
ステップS1103では、iに1を代入する。
【0070】
ステップS1104では、伝送線路情報SLが備える終端識別子POiを取得し、終端識別子POiを備える波形制約情報を取得する。
【0071】
ステップS1105では、信号波形シミュレーション手段110aにより、SLが備える電気的特性情報と、SLが備える入力信号波形情報とから、終端POiの出力信号波形を求める。
【0072】
信号波形シミュレーション手段110aは、伝送線路の電気的特性と、伝送線路始端への入力信号波形情報とを入力値として受け取り、出力値として終端識別子POiの示す終端での出力信号波形を返す。すなわち、信号波形シミュレーション手段110aは、抵抗、キャパシタ、インダクタ等のアドミッタンスが定められている回路素子と、独立電流源と、独立電圧源と、無損失ないし損失のある線路とを構成要素として備える回路の回路節点における信号波形を、キルヒホッフの法則とオームの法則とで定式化されている回路解析手法と、ニュートン法や数値積分法等の数値解析手法とを用いて計算する。信号波形シミュレーション手段110aには、SPICE(LaurenceW.Nagle.−SPICE2:A COMPUTER PROGRAM TO SIMULATE SEMICONDUCTOR CIRCUITS〔Memorandom No. UCB/ERL M520 9 May 1975〕)などが用いられる。
【0073】
ステップS1106では、POiの出力信号波形をチェックし、判定値をFlagに代入する。
【0074】
ここで、信号波形が波形制約情報の制約を満たしているかどうかの判定の例として、図6に示す波形制約情報108を用いた場合について説明する。
【0075】
J1,J2,J3∈[T,F]とする。
【0076】
立ち上がり遅延時間dTinは、伝送線路情報SLが備える入力信号波形情報が表す入力信号波形が、最初にしきい値電圧未満からしきい値電圧以上になる時刻と、終端識別子POiが示す終端での出力信号波形が、最初にしきい値電圧未満からしきい値電圧以上になる時刻との差である。この立ち上がり遅延時間dTinが立ち上がり遅延上限値より小さければJ1=Tとし、そうでなければJ1=Fとする。
【0077】
立ち下がり遅延時間dToutは、伝送線路情報SLが備える入力信号波形情報が表す入力信号波形が、最初にしきい値電圧以上からしきい値電圧未満になる時刻と、終端識別子POiが示す終端での出力信号波形が、最初にしきい値電圧以上からしきい値電圧未満になる時刻との差である。この立ち下がり遅延時間dToutが立ち下がり遅延上限値より小さければJ2=Tとし、そうでなければJ2=Fとする。
【0078】
終端識別子POiが示す終端での出力信号波形が、1周期内に電圧しきい値をまたぐ回数が2より大きければ、ノイズによる余計なスイッチングが発生しているとみなしてJ3=Fとし、そうでなければJ3=Tとする。なお、周期の代わりに周波数を備えている場合は、周波数の逆数を算出して周期として用いればよい。
【0079】
そして、J1,J2,J3の値がすべてTであれば、Flagの値をTとし、そうでなければFとする。
【0080】
ステップS1107では、FlagがTであればステップS1108に進み、そうでなければステップS1111に進む
ステップS1108では、iの値に1を加える。
【0081】
ステップS1109では、iがk以下ならばステップS1104に進み、そうでなければステップS1110に進む
ステップS1110では、出力値をTとして処理を終了する。
【0082】
ステップS1111では、出力値をFとして処理を終了する。
【0083】
<ダンピング抵抗値組み合せ計算手段>
ダンピング抵抗値組み合せ計算手段112は、使用可能ダンピング抵抗値テーブル111を入力値として受け取り、ダンピング抵抗の抵抗値の種類が最も少なくなるような組合せを選択し、ダンピング抵抗組合せとして出力する。もし、回路構成可能なダンピング抵抗値の組合せが無い場合は「組合せ無し」と出力する。
【0084】
ダンピング抵抗値組み合せ計算手段112は、1からmまでの任意の整数iについて、使用抵抗値から選択したi個の抵抗値にて回路が構成可能か、すなわちすべてのダンピング抵抗識別子が示すダンピング抵抗について波形制約情報を満たすことができるかどうかを判定し、構成可能と判定されたうちでiが最も小さくなる抵抗の組み合せ(すなわち、最も少ない種類の抵抗からなる組み合せ)を算出する。
【0085】
図12は、ダンピング抵抗値組み合せ計算手段112のアルゴリズムである。ここでmを使用抵抗値の総数とする。
【0086】
ステップS1201では、iに1を代入する。
【0087】
ステップS1202では、m個の使用抵抗値からi個の抵抗値を選択する場合のmCi通りの組合せの中に、回路が構成可能となる組合せが存在するかどうかを判定する。存在するならばステップS1206に進み、そうでなければステップS1203に進む。
【0088】
上記ステップS1202において、選択されたi個の抵抗値によって回路の構成が可能か否かを判定する具体的な方法は次の通りである。
【0089】
すなわち、i個の抵抗値をr1〜riとすると、使用可能ダンピング抵抗値テーブル111のすべての行について、r1〜riのいずれかを列インデックスとする行列要素がTであれば構成可能とし、そうでなければ構成不可能とする。
【0090】
図13は、5つのダンピング抵抗R1〜R5の抵抗値の組み合せを3つの使用抵抗値r1〜r3の中から選択する例である。
【0091】
図13(a)は、1つの抵抗値だけで構成可能な例であり、R1〜R5のダンピング抵抗の共通した使用可能ダンピング抵抗値が20mΩである。図13(b)は、2つの抵抗値で回路構成が可能な例であり、10mΩがR1とR2の共通の使用可能ダンピング抵抗値、20mΩがR3、R4、R5の共通の使用可能ダンピング抵抗値である。
【0092】
回路が構成可能となる組み合せが存在するかどうかの判定は、例えば次のように行う。
【0093】
mCi通りの使用抵抗値の組み合わせを、抵抗値の合計値によって昇順に並べ、先頭から順に回路を構成可能かどうかを判定してゆき、最初に回路を構成可能と判定された時点でその組み合せを出力値とし、そうでなければ存在しないとする。 ステップS1203では、iに1加算する。
【0094】
ステップS1204では、iがmより小さければステップS1202に進み、そうでなければステップS1205に進む。
【0095】
ステップS1205では、出力値を「組合せ無し(解なし)」として終了する。
【0096】
ステップS1206では、回路構成可能と判定されたi個の抵抗値を、ダンピング抵抗値組合せとして出力し、処理を終了する。
【0097】
なお、ダンピング抵抗の使用可能抵抗値に0Ω等のダンピング抵抗が不要であることを表す値が含まれる場合は、それらのダンピング抵抗の抵抗値を前記ダンピング抵抗が不要であることを表す値とし、残りのダンピング抵抗の抵抗値の組み合わせを決定するようにしてもよい。すなわち、本実施形態の場合においては、使用可能ダンピング抵抗値テーブルである行列Mijにおいて、使用抵抗値が0Ωの列番号をoとすると、Mko=Tとなるすべての整数kにおいて、ダンピング抵抗識別子Rkが表すダンピング抵抗の抵抗値を0Ωとし、行番号がkのデータを使用可能ダンピング抵抗値テーブルから削除し、該使用可能ダンピング抵抗値テーブルより、図12を用いて説明したアルゴリズムにより、残りのダンピング抵抗識別子が示すダンピング抵抗の抵抗値を決定するようにしてもよい。
【0098】
これによって、伝送線路が不要なダンピング抵抗を備えている場合に、それが不要であると判定することができるので、設計段階で不要なダンピング抵抗を取り除くことができ、かつ部品点数を削減することができる。
【0099】
(3)本発明による全体的な処理の流れ
図14は、本発明を用いてダンピング抵抗値の組み合せを決定し出力する処理の全体的な流れを示している。
【0100】
すなわち、ステップS1401では、使用抵抗値情報取得手段101が使用抵抗値情報105を、ダンピング抵抗識別情報取得手段102がダンピング抵抗識別情報106を、伝送線路情報取得手段103が伝送線路情報107を、波形制約情報取得手段104が波形制約情報108をそれぞれ取得する。
【0101】
ステップS1402では、使用抵抗値情報105と、ダンピング抵抗識別情報106と、伝送線路情報107と、波形制約情報108とに基づいて、使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段109が使用可能ダンピング抵抗値テーブル111を計算する。
【0102】
ステップS1403では、ダンピング抵抗値組み合せ計算手段112が、使用可能ダンピング抵抗値テーブル111より、構成可能なダンピング抵抗値の組み合せを計算し出力する。
【0103】
以上説明したダンピング抵抗値設計装置は、電気ノイズを抑えなおかつ品種数が最少となるダンピング抵抗値の組み合わせを演算処理するためのプログラムで実現されている。
【0104】
発明の対象とするのは、このプログラムそのものであってもよいし、このプログラムがコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されているものであってもよい。
【0105】
本発明では、この記録媒体として、マイクロコンピュータで処理が行なわれるために必要なメモリ、例えばROMのようなものそのものがプログラムメディアであってもよいし、また、図示していない外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであってもよい。いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロコンピュータがアクセスして実行させる構成であってもよいし、あるいはいずれの場合もプログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータの図示しないプログラム記憶エリアにロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0106】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、FD(フレキシブルディスク)やHD(ハードディスク)等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0107】
また、本発明においては、インターネットを含む通信ネットワークと接続可能なシステム構成である場合には、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予め装置本体に格納しておくか、あるいは別の記録媒体からインストールされるものであってもよい。なお、記録媒体に格納されている内容としてはプログラムに限定されず、データであってもよい。
【0108】
さらに、本発明では、プログラム自体として、マイクロコンピュータで実行される処理そのものであってもよいし、あるいはインターネットを含む通信ネットワークとアクセスすることで取り込める、あるいは取り込めたものであってもよいし、こちらから送り出すものであってもよい。さらには、この取り込んだプログラムに基づいて、上記ダンピング抵抗値設計装置内で処理された結果、つまり生成されたものであってもよい。あるいは、こちらから送り出す際に上記ダンピング抵抗値設計装置内で処理された結果、つまり生成されたものであってもよい。なお、これらのものはプログラムに限定されず、データであってもよい。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、取得した波形制約情報が備える制約を満たしつつ、使用抵抗値情報が備える抵抗値に含まれかつその品種数を最少とするようなダンピング抵抗値の組合せを求めることができる。従って、波形制約情報として回路を誤動作させないような波形の制約値を与え、使用抵抗値として使用を推奨すべき抵抗の抵抗値を与えれば、回路を誤動作させることなく、なおかつ品種数を最少とするようなダンピング抵抗値の組合せを求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るダンピング抵抗値設計装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】使用抵抗値情報のデータ構造を示す説明図である。
【図3】伝送線路情報のデータ構造を示す説明図である。
【図4】伝送線路の形態を示す説明図である。
【図5】入力信号波形情報の波形図である。
【図6】波形制約情報のデータ構造を示す説明図である。
【図7】使用可能ダンピング抵抗値テーブルの構造を示す説明図である。
【図8】ダンピング抵抗値組合せの説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係るダンピング抵抗値設計装置が扱うデータのリンク関係を示す説明図である。
【図10】使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】波形計算・検証手段の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】ダンピング抵抗値組合せ計算手段の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】ダンピング抵抗値組合せの例を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態に係るダンピング抵抗値設計装置がダンピング抵抗の抵抗値を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
101 使用抵抗値情報取得手段
102 ダンピング抵抗識別情報取得手段
103 伝送線路情報取得手段
104 波形制約情報取得手段
109 使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段
110 波形計算・検証手段
110a 信号波形シミュレーション手段
112 ダンピング抵抗値組み合わせ計算手段
【発明の属する技術分野】
本発明は電子回路を設計する際に適用する技術に関するものであり、特に設計対象の電子回路で発生するノイズを抑えるダンピング抵抗の抵抗値を決定するダンピング抵抗値設計装置、ダンピング抵抗値設計方法、ダンピング抵抗値設計プログラム及びダンピング抵抗値設計プログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子回路を設計する際に考慮すべき主なノイズとしては、反射ノイズとクロストークノイズがある。通常、反射ノイズは信号線送信端の信号源の特性インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスの不整合により発生する。この反射ノイズを抑えるために、信号線送信端近傍に直列にダンピング抵抗を挿入する方法が知られている。
【0003】
信号の反射の大きさは反射係数で表すことができる。ある信号線路上で特性インピーダンスZ0から特性インピーダンスZ1へ信号が流れ込む場合の反射係数ρは、一般に次式(1)で表される。
【0004】
ρ = (Z1−Z0)/(Z1+Z0) ・・・(1)
よって信号線送信端の特性インピーダンスと信号線路の特性インピーダンスとの差が小さければ、送信端側での反射も小さくなる。
【0005】
この点に着目した従来のダンピング抵抗値の決定方法として、信号線送信端の特性インピーダンスとダンピング抵抗値との合計が、伝送線路の特性インピーダンスと等しくなるようなダンピング抵抗値を選択する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−41592号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のダンピング抵抗の決定方法には、次のような問題があった。
【0008】
一般的に、伝送線路の特性インピーダンス及びその送信端の特性インピーダンスは、伝送線路ごとに異なる。よって、上記従来の方法でダンピング抵抗の抵抗値を決定すると、ダンピング抵抗の値がまちまちとなり、ダンピング抵抗の品種数が多くなってしまう。
【0009】
そして、部品品種が増えることにより、次のような新たな問題が発生する。
【0010】
すなわち、基板上に部品を搭載する際に、部品種切り替えに伴う部品装着機の部品供給用カセットの切り替え頻度が多くなり、基板実装時間が長くなる。特に、基板上の部品品種数が部品装着機の対応品種数より多い場合は、部品装着機のカセットを交換するか、もしくは2台以上の装着機に分けて実装する必要があり、時間を要する。
【0011】
少量多品種の部品購入、部品製造となるので、大量生産によるスケールメリットが得られず、部品単価が高くなる。
【0012】
多品種の部品を少量ずつストックしておく必要があり、在庫切れを起こしやすく、製造ライン停止の危険性が高くなる。
【0013】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、回路を誤動作させることなく電気ノイズを抑え、なおかつ品種数が最少となるダンピング抵抗値の組合せを簡単に求めることのできるダンピング抵抗値設計装置、ダンピング抵抗値設計方法、ダンピング抵抗値設計プログラム及びダンピング抵抗値設計プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のダンピング抵抗値設計装置は、ダンピング抵抗として用いる抵抗値の候補の集合である使用抵抗値情報と、ダンピング抵抗を備える伝送線路に関する情報である伝送線路情報と、伝送線路の良否を判断する情報である波形制約情報とを用いて回路のダンピング抵抗値を設計する装置であって、ダンピング抵抗値決定手段は、前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記使用抵抗値情報に含まれる任意の抵抗値としたときの良否を前記波形制約情報に基づいて判断することにより、伝送線路を良とする抵抗値を、前記使用抵抗値情報が備えるダンピング抵抗として用いる抵抗値の種類が最少となる組み合わせによって決定することを特徴としている。
【0015】
この場合、前記伝送線路情報は、少なくとも入力信号の波形を表す入力信号波形情報を備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、前記入力信号を伝送線路に与えた場合の伝送線路の終端における信号波形を求め、前記信号波形の良否を判定することよってダンピング抵抗値の良否判定を行うようにしてもよい。
【0016】
また、前記伝送線路情報は、1つの伝送線路が1または複数の終端をえることを表すことが可能であり、前記ダンピング抵抗値決定手段は、1つの伝送線路が備えるすべての終端において信号波形の良否を判定し、1つの伝送線路が備えるすべての終端において良判定となった場合に該伝送線路の信号波形を良と判定するようにしてもよい。
【0017】
具体的には、前記波形制約情報は少なくとも電圧しきい値と信号の立ち上がり遅延上限値とを備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、前記入力信号の波形が電圧しきい値を上回る時刻と終端における信号波形が電圧しきい値を上回る時刻との差である立ち上がり遅延時間を求め、立ち上がり遅延時間が、立ち上がり遅延上限値より短時間であった場合に信号波形を良と判定する。
【0018】
また、前記波形制約情報は少なくとも電圧しきい値と信号の立ち下がり遅延上限値とを備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、前記入力信号の波形が電圧しきい値を下回る時刻と終端における信号波形が電圧しきい値を下回る時刻との差である立ち下がり遅延時間を求め、立ち下がり遅延時間が、立ち下がり遅延上限値より短時間であった場合に信号波形を良と判定する。
【0019】
さらに、前記波形制約情報は少なくとも電圧しきい値を備え、前記信号波形情報は少なくとも信号の周期を備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、信号波形の一周期期間において終端における信号波形が電圧しきい値を3回以上またぐ場合に信号波形を否と判定する。
【0020】
この場合、前記伝送線路情報は、抵抗、キャパシタ、インダクタ等のアドミッタンスが定められた回路素子、独立電流源、独立電圧源、及びこれらの間の線路からなる構成として電気的特性を表す電気的特性情報を備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、キルヒホッフの法則とオームの法則とで定式化されている回路解析手法、及びニュートン法や数値積分法等の数値解析手法を用いて終端における信号波形を計算するようにしてもよい。
【0021】
また、前記伝送線路情報が表す伝送線路からダンピング抵抗を決定したい任意の伝送線路を選択するダンピング抵抗識別情報取得手段をさらに備えていてもよい。
【0022】
また、前記ダンピング抵抗値決定手段は、ダンピング抵抗を決定したいすべての伝送線路について、使用抵抗値情報が備えるすべての抵抗値ごとに良否判定を行い、使用抵抗値とダンピング抵抗を決定したい伝送線路を表すダンピング抵抗識別子とをそれぞれ行または列とする良否判定の行列である使用可能ダンピング抵抗値テーブルを作成し、使用可能ダンピング抵抗値テーブルに基づいてダンピング抵抗値の種類を最少とする組み合わせのダンピング抵抗値を決定するようにしてもよい。
【0023】
また、前記ダンピング抵抗値決定手段は、使用抵抗値の組み合わせを種類の少ない順に求め、該組み合わせによってダンピング抵抗を決定したいすべての伝送線路が良判定となるかを判断することによってダンピング抵抗値の種類を最少とするダンピング抵抗値を決定するようにしてもよい。
【0024】
また、前記ダンピング抵抗値決定手段は、ダンピング抵抗を決定したいすべての伝送線路について使用抵抗値情報が備えるすべての抵抗値ごとに良否判定を行い、前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を0Ω等のダンピング抵抗が不要であることを表す値とすることが可能である場合は前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記ダンピング抵抗が不要であることを表す値とし、その他の伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記使用抵抗値情報が備えるダンピング抵抗として用いる抵抗値の種類が最少となる組み合わせによって決定するようにしてもよい。
【0025】
また、本発明のダンピング抵抗値設計方法は、回路の電気ノイズを抑えなおかつ品種数が最少となるダンピング抵抗値の組み合わせを求めるダンピング抵抗値設計方法であって、ダンピング抵抗として用いる抵抗値の候補の集合である使用抵抗値情報と、ダンピング抵抗を備える伝送線路に関する情報である伝送線路情報と、伝送線路の良否を判断する情報である波形制約情報とに基づいて、前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記使用抵抗値情報が含む任意の抵抗値としたときの良否を波形制約情報に基づいて判断する段階と、伝送線路を良とする抵抗値を、前記使用抵抗値情報が備えるダンピング抵抗として用いる抵抗値の種類が最も少なくなる組み合わせによって決定する段階とを備えたことを特徴としている。
【0026】
また、本発明のダンピング抵抗値設計方法は、これを実施するためのダンピング抵抗値設計プログラムとして実現することができる。すなわち、本発明のダンピング抵抗値設計プログラムは、回路の電気ノイズを抑えなおかつ品種数が最少となるダンピング抵抗値の組み合わせを演算によって求めるコンピュータ読み取り可能なダンピング抵抗値設計プログラムは、ダンピング抵抗として用いる抵抗値の候補の集合である使用抵抗値情報と、ダンピング抵抗を備える伝送線路に関する情報である伝送線路情報と、伝送線路の良否を判断する情報である波形制約情報とを用いて、前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記使用抵抗値情報が含む任意の抵抗値としたときの良否を波形制約情報に基づいて判断するステップと、伝送線路を良とする抵抗値を、前記使用抵抗値情報が備えるダンピング抵抗として用いる抵抗値の種類が最も少なくなる組み合わせによって決定するステップとを備えたことを特徴としている。
【0027】
なお、上記のダンピング抵抗値設計プログラムは、これを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として提供することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係わるダンピング抵抗設計装置の機能ブロック図である。
【0029】
ダンピング抵抗設計装置は、大別すると、ダンピング抵抗として用いる抵抗値の候補の集合である使用抵抗値情報105を取得する使用抵抗値情報取得手段101と、ダンピング抵抗識別情報106を取得するダンピング抵抗識別情報取得手段102と、ダンピング抵抗を備える伝送線路に関する情報である伝送線路情報107を取得する伝送線路情報取得手段103と、伝送線路の良否を判断する情報である波形制約情報108を取得する波形制約情報取得手段104と、使用可能ダンピング抵抗値テーブル111を計算する使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段109及び波形計算・検証手段110と、ダンピング抵抗値組合せ113を計算するダンピング抵抗値組み合せ計算手段112とで構成されている。
【0030】
次に、使用抵抗値情報105、伝送線路情報107、ダンピング抵抗値識別情報106、波形制約情報108等の各データのデータ構造、及び上記各機能ブロックの処理内容について説明する。
【0031】
(1)使用抵抗値情報、伝送線路情報、ダンピング抵抗値識別情報、波形制約情報の各データのデータ構造
<使用抵抗値情報>
使用抵抗値情報105は離散的な抵抗値の集合である。本設計装置で決定するダンピング抵抗の抵抗値は、すべて使用抵抗値情報105に含まれる抵抗値である。
【0032】
図2は、使用抵抗値情報105の例であり、100Ω、120Ω、150Ω、・・・、820Ωの各抵抗値より構成されている。
【0033】
なお、使用抵抗値情報105は、0Ω等の抵抗値が不要であることを表す値を備えていてもよい。
【0034】
本設計装置では、使用抵抗値情報取得手段101が使用抵抗値情報105を取得する。使用抵抗値情報105としては、入手が容易である、安価である等の、使用を推奨すべき抵抗の抵抗値を取得することが望ましい。
【0035】
<伝送線路情報>
伝送線路情報107は、図3に示すように、伝送線路の識別子と、各伝送線路の電気的特性情報と、各伝送線路への入力信号波形情報と、各伝送線路の始端を表す始端識別子と終端を表す終端識別子とを備えている。
【0036】
図4に示すように、伝送線路には1対1伝送線路と、1対多伝送線路がある。1対1伝送線路とは、図4(a)に示すように、1つの始端に対して1つの終端が存在する場合であり、1対多伝送線路とは、図4(b)に示すように、1つの始端に対して複数の終端が存在する場合である。1対多伝送線路の場合は、電気的に接続されているすべての線を1つの伝送線路とする。電気信号は伝送線路上を始端から終端に向かって伝達される。
【0037】
伝送線路情報107の備える電気的特性情報107aは、伝送線路情報107の示す伝送線路の等価回路の情報である。伝送線路の等価回路(電気的特性情報107a)は、図3に示すように、ダンピング抵抗を含む抵抗、キャパシタ、インダクタ等のアドミッタンスが定められている回路素子と、独立電流源と、独立電圧源と、これらの間の線路とで構成される。
【0038】
なお、ダンピング抵抗を備えない伝送線路に対して新たにダンピング抵抗を挿入する場合であって、前もってダンピング抵抗の抵抗値を決定したい場合は、電気的特性情報107aを該伝送線路に抵抗値が不定のダンピング抵抗を挿入した伝送線路の等価回路を表す情報とすればよい。
【0039】
入力信号波形情報は、始端への入力信号波形を表す情報であって、周期と波幅とを備えている。伝送線路への入力信号は周期的な方形波である。方形波の周期と波幅を図5に示す。周期cとは、方形波の立ち上がり時刻から次の方形波の立ち上がり時刻までの間の時間であり、波幅dとは、1つの方形波の立ち上がり時刻とその方形波の立ち下がり時刻との間の時間である。なお、入力信号波形情報は、周期の代わりに周波数を備えていてもよい。
【0040】
本設計装置では、伝送線路情報取得手段103が伝送線路情報107を取得する。
【0041】
<ダンピング抵抗識別情報>
ダンピング抵抗識別情報106はダンピング抵抗識別子の集合である。ダンピング抵抗識別子とは、伝送線路情報107に含まれる電気的特性情報107aが備える回路素子であって、ダンピング抵抗である回路素子を示す識別子である。
【0042】
ダンピング抵抗識別情報106に含まれるダンピング抵抗識別子の総数をnとし、ダンピング抵抗識別情報106に含まれる各ダンピング抵抗識別子をR1〜Rnとする。本設計装置はダンピング抵抗R1〜Rnの抵抗値を決定する。
【0043】
本設計装置では、ダンピング抵抗識別情報取得手段102がダンピング抵抗識別情報106を取得する。具体的には、伝送線路情報107が備える回路素子から、本設計装置で決定したいダンピング抵抗を示す回路素子を示す識別子をダンピング抵抗識別子とすればよい。
【0044】
また、ダンピング抵抗識別子が表すダンピング抵抗の抵抗値が、0Ω等の抵抗値が不要であることを表す値である場合は、そのダンピング抵抗識別子を備える電気的特性情報を備える伝送線路情報が表す伝送線路がダンピング抵抗を備えないとしてもよい。
【0045】
<波形制約情報>
伝送線路情報107に含まれる終端識別子の総数をKとし、各終端識別子をPO1〜POKとすると、波形制約情報108は、図6に示すように、1≦i≦Kとなるすべての整数iについて、伝送線路情報107が備える終端識別子POiが示す終端の出力信号の電圧しきい値と、立ち上がり遅延上限値と、立ち下がり遅延上限値とを備えている。
【0046】
本設計装置では、波形制約情報取得手段104が波形制約情報108を取得する。
【0047】
<使用可能ダンピング抵抗値テーブル>
使用可能ダンピング抵抗値テーブル111は、各ダンピング抵抗に対し、それぞれの使用抵抗値が使用可能であるかどうかを示す情報である。
【0048】
ダンピング抵抗識別子の総数をm、ダンピング抵抗識別子をR1〜Rm、使用抵抗値の総数をn、使用抵抗値をr1〜rnとすると、例えば、使用可能ダンピング抵抗値テーブルは1≦i≦mとなるすべての整数iと、1≦j≦nとなるすべての整数jとにおいて、使用抵抗値rjがダンピング抵抗Riの抵抗値として使用可能であればMij=T、そうでなければMij=Fとなる行列Mである。なお、行列Mにおいては、TはTrue(真)、FはFalse(偽)という意味で用いている。
【0049】
使用可能ダンピング抵抗値テーブル111は、図7に示すように、ダンピング抵抗識別子を行インデックス、使用抵抗値を列インデックスとし、行列要素がTまたはFの値を持つ行列で表せる。図7においてTは使用可能であることを示し、Fは使用可能でないことを示している。
【0050】
<ダンピング抵抗値組合せ>
ダンピング抵抗値組合せ113は、本設計装置で計算されたダンピング抵抗値の組み合わせである。
【0051】
ダンピング抵抗識別子の総数をnとし、ダンピング抵抗識別子をR1〜Rnとすると、ダンピング抵抗値組合せ113は図8に示すように、1≦i≦nとなるすべての整数iについて、ダンピング抵抗Riの抵抗値を備えている。また、ダンピング抵抗Riの抵抗値は、使用抵抗値に含まれる。
【0052】
なお、ダンピング抵抗識別情報106、伝送線路情報107、波形制約情報108間の各データ間のリンクを図示すると、図9に示すようになる。
【0053】
すなわち、各波形制約情報108が備える終端識別子は、いずれかの伝送線路情報107が備えるいずれかの終端識別子を指す。また、各ダンピング抵抗識別情報106が備える伝送線路識別子は、いずれかの伝送線路情報107が備える伝送線路識別子を指し、各ダンピング抵抗識別情報106が備えるダンピング抵抗識別子は、いずれかの伝送線路情報107が備える電気的特性情報107aの回路素子を指す。
【0054】
(2)各機能ブロックの処理内容の説明
<使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段>
使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段109は、使用抵抗値情報105、伝送線路情報107、ダンピング抵抗識別情報106に基づいて使用可能ダンピング抵抗値テーブル111の値を計算する。
【0055】
図10は、使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段109の処理内容を示すフローチャートである。
【0056】
ここで、全ダンピング抵抗識別子の個数をmとし、ダンピング抵抗識別子をR1,R2,・・・,Rmとする。また、全使用抵抗値の個数をnとし、使用抵抗値をr1,r2,・・・,rnとする。また、iを1≦i≦mとなる整数、jを1≦j≦nとなる整数とし、使用可能ダンピング抵抗値テーブル111をMij∈{T,F}である行列Mとする。
【0057】
ステップS1001では、変数iに1を代入して初期化する。
【0058】
ステップS1002では、変数jに1を代入して初期化する。
【0059】
ステップS1003では、波形計算・検証手段110に入力値としてダンピング抵抗識別子Riと抵抗値rjを与えたときの波形計算・検証手段110の出力値をMijに代入する。
【0060】
ステップS1004では、jの値に1を加える。
【0061】
ステップS1005では、jの値がn以下ならばステップS1003に進み、そうでなければステップS1006に進む。
【0062】
ステップS1006では、iの値に1を加える。
【0063】
ステップS1007では、iの値がm以下ならばステップS1002に進み、そうでなければ処理を終了する。
【0064】
<波形計算・検証手段>
波形計算・検証手段110は、入力値として伝送線路情報107と、ダンピング抵抗識別子と、抵抗値とを受け取り、出力値としてTまたはFの値を返す。
【0065】
図11は、波形計算・検証手段110での計算・検証処理を示すフローチャートである。
【0066】
ここで、入力値のダンピング抵抗識別子をR、抵抗値をrとする。また、ダンピング抵抗識別子Rが示す回路素子を含む電気的特性情報107aを備える伝送線路情報107をSLとし、伝送線路情報SLが備える始端識別子をPI、伝送線路情報SLが備える終端識別子の数をK、伝送線路情報SLが備える終端識別子をPO1〜POkとする。また、伝送線路情報SLへの入力信号の波幅をd、周期をcとする。d及びcの値は、伝送線路情報SLの入力信号波形情報が備えている。また iを1≦i≦kである整数とする。
【0067】
ステップS1101では、ダンピング抵抗識別子Rが示す回路素子を含む電気的特性情報を備える伝送線路情報SLを取得し、伝送線路情報SLが備える電気的特性情報を取得する。
【0068】
ステップS1102では、伝送線路情報SLが備える始端識別子PIと入力信号波形情報とを取得する。
【0069】
ステップS1103では、iに1を代入する。
【0070】
ステップS1104では、伝送線路情報SLが備える終端識別子POiを取得し、終端識別子POiを備える波形制約情報を取得する。
【0071】
ステップS1105では、信号波形シミュレーション手段110aにより、SLが備える電気的特性情報と、SLが備える入力信号波形情報とから、終端POiの出力信号波形を求める。
【0072】
信号波形シミュレーション手段110aは、伝送線路の電気的特性と、伝送線路始端への入力信号波形情報とを入力値として受け取り、出力値として終端識別子POiの示す終端での出力信号波形を返す。すなわち、信号波形シミュレーション手段110aは、抵抗、キャパシタ、インダクタ等のアドミッタンスが定められている回路素子と、独立電流源と、独立電圧源と、無損失ないし損失のある線路とを構成要素として備える回路の回路節点における信号波形を、キルヒホッフの法則とオームの法則とで定式化されている回路解析手法と、ニュートン法や数値積分法等の数値解析手法とを用いて計算する。信号波形シミュレーション手段110aには、SPICE(LaurenceW.Nagle.−SPICE2:A COMPUTER PROGRAM TO SIMULATE SEMICONDUCTOR CIRCUITS〔Memorandom No. UCB/ERL M520 9 May 1975〕)などが用いられる。
【0073】
ステップS1106では、POiの出力信号波形をチェックし、判定値をFlagに代入する。
【0074】
ここで、信号波形が波形制約情報の制約を満たしているかどうかの判定の例として、図6に示す波形制約情報108を用いた場合について説明する。
【0075】
J1,J2,J3∈[T,F]とする。
【0076】
立ち上がり遅延時間dTinは、伝送線路情報SLが備える入力信号波形情報が表す入力信号波形が、最初にしきい値電圧未満からしきい値電圧以上になる時刻と、終端識別子POiが示す終端での出力信号波形が、最初にしきい値電圧未満からしきい値電圧以上になる時刻との差である。この立ち上がり遅延時間dTinが立ち上がり遅延上限値より小さければJ1=Tとし、そうでなければJ1=Fとする。
【0077】
立ち下がり遅延時間dToutは、伝送線路情報SLが備える入力信号波形情報が表す入力信号波形が、最初にしきい値電圧以上からしきい値電圧未満になる時刻と、終端識別子POiが示す終端での出力信号波形が、最初にしきい値電圧以上からしきい値電圧未満になる時刻との差である。この立ち下がり遅延時間dToutが立ち下がり遅延上限値より小さければJ2=Tとし、そうでなければJ2=Fとする。
【0078】
終端識別子POiが示す終端での出力信号波形が、1周期内に電圧しきい値をまたぐ回数が2より大きければ、ノイズによる余計なスイッチングが発生しているとみなしてJ3=Fとし、そうでなければJ3=Tとする。なお、周期の代わりに周波数を備えている場合は、周波数の逆数を算出して周期として用いればよい。
【0079】
そして、J1,J2,J3の値がすべてTであれば、Flagの値をTとし、そうでなければFとする。
【0080】
ステップS1107では、FlagがTであればステップS1108に進み、そうでなければステップS1111に進む
ステップS1108では、iの値に1を加える。
【0081】
ステップS1109では、iがk以下ならばステップS1104に進み、そうでなければステップS1110に進む
ステップS1110では、出力値をTとして処理を終了する。
【0082】
ステップS1111では、出力値をFとして処理を終了する。
【0083】
<ダンピング抵抗値組み合せ計算手段>
ダンピング抵抗値組み合せ計算手段112は、使用可能ダンピング抵抗値テーブル111を入力値として受け取り、ダンピング抵抗の抵抗値の種類が最も少なくなるような組合せを選択し、ダンピング抵抗組合せとして出力する。もし、回路構成可能なダンピング抵抗値の組合せが無い場合は「組合せ無し」と出力する。
【0084】
ダンピング抵抗値組み合せ計算手段112は、1からmまでの任意の整数iについて、使用抵抗値から選択したi個の抵抗値にて回路が構成可能か、すなわちすべてのダンピング抵抗識別子が示すダンピング抵抗について波形制約情報を満たすことができるかどうかを判定し、構成可能と判定されたうちでiが最も小さくなる抵抗の組み合せ(すなわち、最も少ない種類の抵抗からなる組み合せ)を算出する。
【0085】
図12は、ダンピング抵抗値組み合せ計算手段112のアルゴリズムである。ここでmを使用抵抗値の総数とする。
【0086】
ステップS1201では、iに1を代入する。
【0087】
ステップS1202では、m個の使用抵抗値からi個の抵抗値を選択する場合のmCi通りの組合せの中に、回路が構成可能となる組合せが存在するかどうかを判定する。存在するならばステップS1206に進み、そうでなければステップS1203に進む。
【0088】
上記ステップS1202において、選択されたi個の抵抗値によって回路の構成が可能か否かを判定する具体的な方法は次の通りである。
【0089】
すなわち、i個の抵抗値をr1〜riとすると、使用可能ダンピング抵抗値テーブル111のすべての行について、r1〜riのいずれかを列インデックスとする行列要素がTであれば構成可能とし、そうでなければ構成不可能とする。
【0090】
図13は、5つのダンピング抵抗R1〜R5の抵抗値の組み合せを3つの使用抵抗値r1〜r3の中から選択する例である。
【0091】
図13(a)は、1つの抵抗値だけで構成可能な例であり、R1〜R5のダンピング抵抗の共通した使用可能ダンピング抵抗値が20mΩである。図13(b)は、2つの抵抗値で回路構成が可能な例であり、10mΩがR1とR2の共通の使用可能ダンピング抵抗値、20mΩがR3、R4、R5の共通の使用可能ダンピング抵抗値である。
【0092】
回路が構成可能となる組み合せが存在するかどうかの判定は、例えば次のように行う。
【0093】
mCi通りの使用抵抗値の組み合わせを、抵抗値の合計値によって昇順に並べ、先頭から順に回路を構成可能かどうかを判定してゆき、最初に回路を構成可能と判定された時点でその組み合せを出力値とし、そうでなければ存在しないとする。 ステップS1203では、iに1加算する。
【0094】
ステップS1204では、iがmより小さければステップS1202に進み、そうでなければステップS1205に進む。
【0095】
ステップS1205では、出力値を「組合せ無し(解なし)」として終了する。
【0096】
ステップS1206では、回路構成可能と判定されたi個の抵抗値を、ダンピング抵抗値組合せとして出力し、処理を終了する。
【0097】
なお、ダンピング抵抗の使用可能抵抗値に0Ω等のダンピング抵抗が不要であることを表す値が含まれる場合は、それらのダンピング抵抗の抵抗値を前記ダンピング抵抗が不要であることを表す値とし、残りのダンピング抵抗の抵抗値の組み合わせを決定するようにしてもよい。すなわち、本実施形態の場合においては、使用可能ダンピング抵抗値テーブルである行列Mijにおいて、使用抵抗値が0Ωの列番号をoとすると、Mko=Tとなるすべての整数kにおいて、ダンピング抵抗識別子Rkが表すダンピング抵抗の抵抗値を0Ωとし、行番号がkのデータを使用可能ダンピング抵抗値テーブルから削除し、該使用可能ダンピング抵抗値テーブルより、図12を用いて説明したアルゴリズムにより、残りのダンピング抵抗識別子が示すダンピング抵抗の抵抗値を決定するようにしてもよい。
【0098】
これによって、伝送線路が不要なダンピング抵抗を備えている場合に、それが不要であると判定することができるので、設計段階で不要なダンピング抵抗を取り除くことができ、かつ部品点数を削減することができる。
【0099】
(3)本発明による全体的な処理の流れ
図14は、本発明を用いてダンピング抵抗値の組み合せを決定し出力する処理の全体的な流れを示している。
【0100】
すなわち、ステップS1401では、使用抵抗値情報取得手段101が使用抵抗値情報105を、ダンピング抵抗識別情報取得手段102がダンピング抵抗識別情報106を、伝送線路情報取得手段103が伝送線路情報107を、波形制約情報取得手段104が波形制約情報108をそれぞれ取得する。
【0101】
ステップS1402では、使用抵抗値情報105と、ダンピング抵抗識別情報106と、伝送線路情報107と、波形制約情報108とに基づいて、使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段109が使用可能ダンピング抵抗値テーブル111を計算する。
【0102】
ステップS1403では、ダンピング抵抗値組み合せ計算手段112が、使用可能ダンピング抵抗値テーブル111より、構成可能なダンピング抵抗値の組み合せを計算し出力する。
【0103】
以上説明したダンピング抵抗値設計装置は、電気ノイズを抑えなおかつ品種数が最少となるダンピング抵抗値の組み合わせを演算処理するためのプログラムで実現されている。
【0104】
発明の対象とするのは、このプログラムそのものであってもよいし、このプログラムがコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されているものであってもよい。
【0105】
本発明では、この記録媒体として、マイクロコンピュータで処理が行なわれるために必要なメモリ、例えばROMのようなものそのものがプログラムメディアであってもよいし、また、図示していない外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであってもよい。いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロコンピュータがアクセスして実行させる構成であってもよいし、あるいはいずれの場合もプログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータの図示しないプログラム記憶エリアにロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0106】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、FD(フレキシブルディスク)やHD(ハードディスク)等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0107】
また、本発明においては、インターネットを含む通信ネットワークと接続可能なシステム構成である場合には、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予め装置本体に格納しておくか、あるいは別の記録媒体からインストールされるものであってもよい。なお、記録媒体に格納されている内容としてはプログラムに限定されず、データであってもよい。
【0108】
さらに、本発明では、プログラム自体として、マイクロコンピュータで実行される処理そのものであってもよいし、あるいはインターネットを含む通信ネットワークとアクセスすることで取り込める、あるいは取り込めたものであってもよいし、こちらから送り出すものであってもよい。さらには、この取り込んだプログラムに基づいて、上記ダンピング抵抗値設計装置内で処理された結果、つまり生成されたものであってもよい。あるいは、こちらから送り出す際に上記ダンピング抵抗値設計装置内で処理された結果、つまり生成されたものであってもよい。なお、これらのものはプログラムに限定されず、データであってもよい。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、取得した波形制約情報が備える制約を満たしつつ、使用抵抗値情報が備える抵抗値に含まれかつその品種数を最少とするようなダンピング抵抗値の組合せを求めることができる。従って、波形制約情報として回路を誤動作させないような波形の制約値を与え、使用抵抗値として使用を推奨すべき抵抗の抵抗値を与えれば、回路を誤動作させることなく、なおかつ品種数を最少とするようなダンピング抵抗値の組合せを求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るダンピング抵抗値設計装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】使用抵抗値情報のデータ構造を示す説明図である。
【図3】伝送線路情報のデータ構造を示す説明図である。
【図4】伝送線路の形態を示す説明図である。
【図5】入力信号波形情報の波形図である。
【図6】波形制約情報のデータ構造を示す説明図である。
【図7】使用可能ダンピング抵抗値テーブルの構造を示す説明図である。
【図8】ダンピング抵抗値組合せの説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係るダンピング抵抗値設計装置が扱うデータのリンク関係を示す説明図である。
【図10】使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】波形計算・検証手段の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】ダンピング抵抗値組合せ計算手段の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】ダンピング抵抗値組合せの例を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態に係るダンピング抵抗値設計装置がダンピング抵抗の抵抗値を決定する処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
101 使用抵抗値情報取得手段
102 ダンピング抵抗識別情報取得手段
103 伝送線路情報取得手段
104 波形制約情報取得手段
109 使用可能ダンピング抵抗値テーブル計算手段
110 波形計算・検証手段
110a 信号波形シミュレーション手段
112 ダンピング抵抗値組み合わせ計算手段
Claims (14)
- ダンピング抵抗として用いる抵抗値の候補の集合である使用抵抗値情報を記憶する手段と、
ダンピング抵抗を備える伝送線路に関する情報である伝送線路情報を記憶する手段と、
伝送線路の良否を判断する情報である波形制約情報を記憶する手段と、
前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記使用抵抗値情報に含まれる任意の抵抗値としたときの良否を前記波形制約情報に基づいて判断することにより、伝送線路を良とする抵抗値を、前記使用抵抗値情報が備えるダンピング抵抗として用いる抵抗値の種類が最少となる組み合わせによって決定するダンピング抵抗値決定手段とを備えたことを特徴とするダンピング抵抗値設計装置。 - 前記伝送線路情報は少なくとも入力信号の波形を表す入力信号波形情報を備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、前記入力信号を伝送線路に与えた場合の伝送線路の終端における信号波形を求め、前記信号波形の良否を判定することよってダンピング抵抗値の良否判定を行うことを特徴とする請求項1記載のダンピング抵抗値設計装置。
- 前記伝送線路情報は、1つの伝送線路が1または複数の終端を備えることを表すことが可能であり、前記ダンピング抵抗値決定手段は、1つの伝送線路が備えるすべて終端において信号波形の良否を判定し、1つの伝送線路が備えるすべての終端において良判定となった場合に該伝送線路の信号波形を良と判定することを特徴とする請求項2記載のダンピング抵抗値設計装置。
- 前記波形制約情報は少なくとも電圧しきい値と信号の立ち上がり遅延上限値とを備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、前記入力信号の波形が電圧しきい値を上回る時刻と終端における信号波形が電圧しきい値を上回る時刻との差である立ち上がり遅延時間を求め、立ち上がり遅延時間が、立ち上がり遅延上限値より短時間であった場合に信号波形を良と判定することを特徴とする請求項2または請求項3記載のダンピング抵抗値設計装置。
- 前記波形制約情報は少なくとも電圧しきい値と信号の立ち下がり遅延上限値とを備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、前記入力信号の波形が電圧しきい値を下回る時刻と終端における信号波形が電圧しきい値を下回る時刻との差である立ち下がり遅延時間を求め、立ち下がり遅延時間が、立ち下がり遅延上限値より短時間であった場合に信号波形を良と判定することを特徴とする請求項2または請求項3記載のダンピング抵抗値設計装置。
- 前記波形制約情報は少なくとも電圧しきい値を備え、前記信号波形情報は少なくとも信号の周期を備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、信号波形の一周期期間において終端における信号波形が電圧しきい値を3回以上またぐ場合に信号波形を否と判定することを特徴とする請求項2または請求項3記載のダンピング抵抗値設計装置。
- 前記伝送線路情報は、抵抗、キャパシタ、インダクタ等のアドミッタンスが定められた回路素子、独立電流源、独立電圧源、及びこれらの間の線路からなる構成として電気的特性を表す電気的特性情報を備えており、前記ダンピング抵抗値決定手段は、キルヒホッフの法則とオームの法則とで定式化されている回路解析手法、及びニュートン法や数値積分法等の数値解析手法を用いて終端における信号波形を計算することを特徴とする請求項2または請求項3記載のダンピング抵抗値設計装置。
- 前記伝送線路情報が表す伝送線路からダンピング抵抗を決定したい任意の伝送線路が備えるダンピング抵抗を表すダンピング抵抗識別子を選択するダンピング抵抗識別情報取得手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のダンピング抵抗値設計装置。
- 前記ダンピング抵抗値決定手段は、ダンピング抵抗を決定したいすべての伝送線路について、使用抵抗値情報が備えるすべての抵抗値ごとに良否判定を行い、使用抵抗値と決定したいダンピング抵抗を表すダンピング抵抗識別子とをそれぞれ行または列とする良否判定の行列である使用可能ダンピング抵抗値テーブルを作成し、使用可能ダンピング抵抗値テーブルに基づいてダンピング抵抗値の種類を最少とする組み合わせのダンピング抵抗値を決定することを特徴とする請求項1記載のダンピング抵抗値設計装置。
- 前記ダンピング抵抗値決定手段は、使用抵抗値の組み合わせを種類の少ない順に求め、該組み合わせによってダンピング抵抗を決定したいすべての伝送線路が良判定となるかを判断することによってダンピング抵抗値の種類を最少とするダンピング抵抗値を決定することを特徴とする請求項1記載のダンピング抵抗値設計装置。
- 前記ダンピング抵抗値決定手段は、ダンピング抵抗を決定したいすべての伝送線路について使用抵抗値情報が備えるすべての抵抗値ごとに良否判定を行い、前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値をダンピング抵抗が不要であることを表す値としたときに良と判定できる場合は前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記ダンピング抵抗が不要であることを表す値とし、その他の伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記使用抵抗値情報が備えるダンピング抵抗として用いる抵抗値の種類が最少となる組み合わせによって決定することを特徴とする請求項1記載のダンピング抵抗値設計装置。
- 回路の電気ノイズを抑えなおかつ品種数が最少となるダンピング抵抗値の組み合わせを求めるダンピング抵抗値設計方法であって、
ダンピング抵抗として用いる抵抗値の候補の集合である使用抵抗値情報と、ダンピング抵抗を備える伝送線路に関する情報である伝送線路情報と、伝送線路の良否を判断する情報である波形制約情報とに基づいて、
前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記使用抵抗値情報が含む任意の抵抗値としたときの良否を波形制約情報に基づいて判断する段階と、
伝送線路を良とする抵抗値を、前記使用抵抗値情報が備えるダンピング抵抗として用いる抵抗値の種類が最少となる組み合わせによって決定する段階とを備えたことを特徴とするダンピング抵抗値設計方法。 - 回路の電気ノイズを抑えなおかつ品種数が最少となるダンピング抵抗値の組み合わせを演算によって求めるコンピュータ読み取り可能なダンピング抵抗値設計プログラムであって、
ダンピング抵抗として用いる抵抗値の候補の集合である使用抵抗値情報と、ダンピング抵抗を備える伝送線路に関する情報である伝送線路情報と、伝送線路の良否を判断する情報である波形制約情報とを用いて、
前記伝送線路が備えるダンピング抵抗の抵抗値を前記使用抵抗値情報が含む任意の抵抗値としたときの良否を波形制約情報に基づいて判断するステップと、
伝送線路を良とする抵抗値を、前記使用抵抗値情報が備えるダンピング抵抗として用いる抵抗値の種類が最少となる組み合わせによって決定するステップとを備えたことを特徴とするダンピング抵抗値設計プログラム。 - 請求項13に記載のダンピング抵抗値設計プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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JP2003013728A JP2004227246A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | ダンピング抵抗値設計装置、ダンピング抵抗値設計方法、ダンピング抵抗値設計プログラム及びダンピング抵抗値設計プログラムを記録した記録媒体 |
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JP2009276874A (ja) * | 2008-05-13 | 2009-11-26 | Nec Electronics Corp | 半導体パッケージ基板の設計方法 |
US20140358818A1 (en) * | 2011-11-30 | 2014-12-04 | Hitachi, Ltd. | Product-information management device, method, and program |
-
2003
- 2003-01-22 JP JP2003013728A patent/JP2004227246A/ja active Pending
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