JP2004226517A - 表示装置用カラーフィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、透明基板と、この透明基板の上に形成されたパターン状遮光層上全面に受像層塗布したものの開口部位にインクジェット法により着色インクを付与して形成するカラーフィルタにおいて、該受像層表面における沸点130℃以上の水溶性の脂肪族エステルおよび/又は脂肪族エーテル系溶剤の接触角が30〜60°とする。なお、着色インクが沸点130℃以上の水溶性の脂肪族エステルおよび脂肪族エーテル系溶剤が主溶剤として構成されることも含まれる。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界放射型表示装置、蛍光表示装置、プラズマディスプレイ(PDP)及び液晶表示装置などの表示装置用カラーフィルタ及び表示装置に関するものであり、特にインクジェット法により製造される表示装置用カラーフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表示装置において、カラー表示、反射率の低減、コントラストの改善、分光特性制御などの目的にカラーフィルタを用いることは、有用な手段となっている。この表示装置に用いるカラーフィルタは、多くの場合、カラーフィルタは画素として形成されて使用されるものである。この表示装置用カラーフィルタの画素を形成する方法として、これまで実用されてきた方法としては、フォトリソグラフィ法、印刷法などがあげられる。
【0003】
これらの画素を形成する方法に対し、プリンタで実用されてきたインクジェット法による画素形成方法を、表示装置用カラーフィルタの製造に適用する技術が提案されている。しかし、表示装置用カラーフィルタをインクジェット法により形成する方法においては、インクジェットによるインク粒子の飛散や、インクのにじみが発生し易いので、カラーフィルタの画素形状が鮮明で画素エッヂのシャープな表示装置用カラーフィルタを得ることは困難なことである。
【0004】
近年、このインク粒子の飛散や、インクのにじみを防ぐため、基板上に受像層処理を施す特許が多く出願されている。例えば、特許文献1、特許文献2ではブラックマトリクスを設けた基板上にインク吸収性樹脂層を積層し、光照射等で開口部と遮光部のインクヌレ性を制御する方法、特許文献3では基板上にインク吸収性樹脂層を設け、光照射等でインク濡れ性の高い部分と低い部分を形成し、インクヌレ性の高い部分に着色インクを付与し、低い部分の上に遮光部材を配する方法などが提案されている。
【0005】
しかし、基板上に受像層を設けてインクジェット法によりカラーフィルタを形成する場合、着色インクの濡れ広がりを制御することが不可欠であり、この制御を行うための指針が明確になってはいない。
【0006】
【特許文献1】
特開平08−338905号公報
【特許文献2】
特開平09−15580号公報
【特許文献3】
特開平09−26508号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、表示装置用カラーフィルタをインクジェット法により形成する方法において、透明基板上に受像層を設け、その受像層上での着色インクの濡れ広がりを制御し、画素濃度の均一性に優れたカラーフィルタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、少なくとも、透明基板と、この透明基板の上に形成されたパターン状遮光層上全面に受像層塗布したものの開口部位にインクジェット法により着色インクを付与して形成するカラーフィルタにおいて、該受像層表面における沸点130℃以上の水溶性の脂肪族エステルおよび/又は脂肪族エーテル系溶剤の接触角が30〜60°であることを特徴とする表示装置用カラーフィルタである。
請求項2記載の発明は、沸点130℃以上の水溶性の脂肪族エステルおよび/又は脂肪族エーテル系溶剤が主溶剤として構成される着色インクを使用することを特徴とする表示装置用カラーフィルタである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明による表示装置用カラーフィルタを、その実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明による表示装置用カラーフィルタの実施例を示す平面図である。図1に示すように、表示装置用カラーフィルタ(1)は、透明基板(2)の上にパターン状遮光層(3)が形成され、さらにその上に受像層(4)が設けられる。そしてパターン状遮光層の開口部に相当する位置にインクジェット法により着色インクで赤色(R),緑色(G),青色(B)各々のパターン状着色層(5)が形成されている。このときの受像層上での着色インクの濡れ広がりを制御することで画素濃度の均一性に優れた表示装置用カラーフィルタが得られる。
【0010】
図1において、本発明に用いる透明基板(2)は、十分な強度、平坦性、耐熱性、光透過性などを有するものが好ましい。例えば、通常カラーフィルタ基板として用いられている透明な無アルカリガラス、或いはソーダガラスなどがあげられる。
【0011】
本発明におけるパターン状遮光層(3)の材料としては、黒色遮光材、分散剤、樹脂、溶媒を主成分とする黒色樹脂組成物であり、例えば、光重合性モノマー、光重合開始剤などを混合し感光性をもたせた黒色樹脂組成物が好ましいものである。
【0012】
本発明におけるパターン状遮光層(3)の黒色遮光材としては、黒色顔料、黒色染料、無機材料などであり、有機顔料、カーボンブラック、アニリンブラック、黒鉛、酸化チタン、鉄黒などを混合して用いられるものである。
【0013】
また、本発明におけるパターン状遮光層(3)の分散剤としては、非イオン性界面活性剤では、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなど、また、イオン性界面活性剤では、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ脂肪酸塩、脂肪酸塩アルキルリン酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩など、その他に、有機顔料誘導体、ポリエステルなどがあげられる。分散剤は一種類を単独で使用してもよく、また、二種類以上を混合して使用してもよい。
【0014】
本発明におけるパターン状遮光層(3)の溶媒としては、黒色樹脂組成物の塗布性、分散安定性などの点から、適宜選択して使用されるものであり、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジクライム、シクロヘキサノンなどがあげられる。
【0015】
本発明における受像層(4)の材料は、樹脂を主成分とし、溶媒、必要に応じて有機および無機微粒子などで構成するものである。
【0016】
本発明における受像層(4)の材料としては、透明であること、受像したインク中の色材の定着性に優れること、また変色や褪色がないこと、諸耐性があることなどの性能が要求され、その代表例としては、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルなどのアクリル系樹脂が挙げられるが、前記要求性能が満たされるものであれば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニル樹脂等の材料種が用いられる。
【0017】
これら受像層に要求される性能としては、その受像層塗膜表面における沸点130℃以上の水溶性の脂肪族エステルおよび/又は脂肪族エーテル系溶剤の接触角が30〜60°のものが好ましく、30°以下では受像層上での塗れ広がりが著しく、そのため隣接画素との混色が発生し、また、60°以上であると濡れ性に乏しく、そのため画素内の白抜け等の欠陥を引き起こす原因となる。
【0018】
また、インクの受像性を高めるために、透明性を損なわない範囲内で、この樹脂に微粒子(フィラー)を含有させることも有効である。フィラーとしては、無機微粒子では微粉末珪酸、有機微粒子ではアクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、フッソ樹脂などであるが、透明性の点からは、アクリル樹脂が好ましい。また、フィラーの添加量は、受像層100重量%に対し1〜10%が好ましいものである。
【0019】
本発明における受像層(4)材料の溶媒は、受像層組成物の塗布性、分散安定性などの点から、適宜選択して使用されるものであり、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジクライム、シクロヘキサノンなどがあげられる。
【0020】
本発明における着色インクの材料は、着色顔料、樹脂、分散剤、溶媒などで構成するものである。
【0021】
着色剤として使用する顔料の具体例としては、Pigment Red9、19、38、43、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、215、216、208、216、217、220、223、224、226、227、228、240、Pigment Blue 15、15:6、16、22、29、60、64、Pigment Green7、36、Pigment Red 20、24、86、81、83、93、108、109、110、117、125、137、138、139、147、148、153、154、166、168、185、 Pigment Orange36、 Pigment Violet23などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。さらに、これらは要望の色相を得るために2種類以上を混合して用いても構わない。
【0022】
着色インクに使用する溶剤種としてはインクジェット印刷における適性の表面張力範囲35mN/m以下で、且つ、沸点が130℃以上のものが好ましい。表面張力が35mN/m以上であるとインクジェット吐出時のドット形状の安定性に著しい悪影響を及ぼし、また、沸点が130℃以下であるとノズル近傍での乾燥性が著しく高くなり、その結果、ノズル詰まり等の不良発生を招くので好ましくない。具体的には、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルエーテル、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、上記要件を満たす溶剤なら用いることができる。また、必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して用いても構わない。
【0023】
本発明における着色インクの樹脂としては、カゼイン、ゼラチン、ポリビニールアルコール、カルボキシメチルアセタール、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラニン樹脂などが用いられ、色素との関係にて適宜選択されるものである。耐熱性や耐光性が要求される際にはアクリル樹脂が好ましいものである。
【0024】
樹脂への色素の分散を向上させるために、分散剤を用いてもよく、分散剤として、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなど、また、イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ脂肪酸塩、脂肪酸塩アルキルリン酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩など、その他に、有機顔料誘導体、ポリエステルなどがあげられる。分散剤は一種類を単独で使用してもよく、また、二種類以上を混合して使用してもよい。溶媒としては溶解性の他に経時安定性、乾燥性などが要求され、色素、樹脂との関係にて適宜選択されるものである。
【0025】
また、本発明により形成されるカラーフィルタは画素形成後、その耐性向上を目的として、熱、光、電子線等のエネルギーによる硬化処理が可能である。
【0026】
本発明における表示装置用カラーフィルタ(1)の透明基板(2)上のパターン状遮光層(3)の形成は、フォトリソグラフィ法によるものである。受像層(4)の形成は、スピンコータ、ロールコータなどによるものであり、また、パターン状遮光層(3)、および受像層(4)上の開口部へのパターン状着色層(5)の形成は、インクジェット法によるものである。
【0027】
すなわち、図1に示す実施例において、透明基板の上に形成されたパターン状遮光層上に沸点130℃以上の水溶性の脂肪族エステルおよび脂肪族エーテル系溶剤の接触角が30〜60°である受像層を塗布したものの開口部位にインクジェット法により赤色(R),緑色(G),青色(B)各々の着色インクでパターン状着色層を形成することにより画素濃度均一性に優れた表示装置用カラーフィルタとなる。
【0028】
使用するインクジェット装置としては、インクの吐出方法の相違によりピエゾ変換方式と熱変換方式があり、特にピエゾ変換方式が好適である。インクの粒子化周波数は5〜100KHz程度、ノズル径としては5〜80μm程度,ヘッドを3個配置し、1ヘッドにノズルを60〜500個組み込んだ装置が好適である。また、必要に応じパターン状着色層(5)の形成後に加熱などの硬化を行ってもよい。
【0029】
【実施例】
以下に本発明の実施例を具体的に説明する。
【0030】
<実施例1>
(パターン状遮光層の作製)
ポリイミド前駆体(東レ(株)製:「セミコファインSP−510」)10重量部、カーボンブラック7.5重量部、NMP130重量部、及び、分散剤(銅フタロシアニン誘導体)5重量部をビーズミル分散機で冷却しながら3時間分散し黒色樹脂組成物を調製した。 この黒色樹脂組成物をスピンコータによって、無アルカリガラス(コーニング社製、品番7059)上に約1.0μmの塗膜に形成した。100℃で20分間の加熱硬化により黒色樹脂組成物の遮光層を形成した。次に、ポジ型フォトレジスト(ヘキスト社製:AZ1350)をスピンコータによって塗布し、100℃で20分間の加熱硬化した。続いて、マスクを介して10mJ/cm2のUV光露光を行い、ヘキスト社製:AZ現像液を用いてポジ型フォトレジストの現像、及び黒色樹脂組成物の遮光層のエッチングを同時に行った。次に、130℃で20分間の加熱硬化の後、ポジ型フォトレジストを5%苛性ソーダ水溶液で剥離し、250℃で60分間の加熱硬化を行い、パターン状遮光層を得た。
【0031】
(受像層の作製)
受像層用塗工液は、アクリルポリマー(ダイヤナールBR−85、三菱レイヨン製)を10%トルエン溶液として調製した。そして前記マトリックス状遮光層を設けたガラス基板上に、受像層用塗工液をロールコータによって塗布し、100℃で10分間乾燥し、約2.0μmの塗膜に形成した。
【0032】
(着色インクの調製)
メタクリル酸20部、メチルメタクリレート10部、ブチルメタクリレート55部、ヒドロキシエチルメタクリレート15部を乳酸ブチル300gに溶解し、窒素雰囲気下でアゾビスイソブチルニトリル0.75部を加え70℃にて5時間の反応によりアクリル共重合樹脂を得た。得られたアクリル共重合樹脂を樹脂濃度が10%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈しアクリル共重合樹脂の希釈液とした。 この希釈液80.1gに対し顔料19.0g、分散剤0.9gを添加して、3本ロールにて混練し、赤色、緑色、青色の各着色ワニスを得た。この各着色ワニスをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで顔料濃度が12〜15%、粘度が15cpsになるように調整しR,G,B着色インクを得た。
【0033】
(カラーフィルタの作製)
前記受像層を塗布したガラス基板の受像層上に、前記R,G,B各色の着色インクを使用し、12pl,180dpiヘッド(セイコーインスツルメンツ社製)を搭載したインクジェット印刷装置により、パターン状遮光層の開口部にインクジェット法により赤色(R),緑色(G),青色(B)各々のパターン状着色層(5)を得た。このようにして得られた表示装置用カラーフィルタは、濃度バランスに優れ、カラーフィルタの画素形状が鮮明で画素エッヂのシャープな表示装置用カラーフィルタであった。
【0034】
<実施例2>
実施例1における受像層材料をアクリルポリマー(ダイヤナールBR−80、三菱レイヨン製)とした以外は、実施例1と同様の方法で行った。
【0035】
<比較例1>
実施例1における受像層材料をアクリルポリマー(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン製)とした以外は、実施例1と同様の方法で行った。
【0036】
<比較例2>
実施例2における受像層材料をアクリルポリマー(ダイヤナールBR−88、三菱レイヨン製)とした以外は、実施例1と同様の方法で行った。
【0037】
上記実施例1,2、比較例1,2で述べたカラーフィルタの特性を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
上記、表1中の評価法の詳細を以下に示す。
【0040】
<接触角>
協和界面科学製動的表面張力計(ZR−21型)を使用して、受像層表面のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを溶媒とする動的接触角を測定。1秒後の接触角値を示した。
【0041】
<画素ムラ>
RGB各画素内での濃度をオリンパス製顕微分光測光装置(OSP−SP200)で測定し、その最大値と最小値によりそれぞれΔEを算出。その平均値を上記画素ムラとした。
【0042】
<画素間混色>
光学顕微鏡により画素間での混色の有無を目視で評価。
【0043】
<画素内白抜け>
光学顕微鏡により画素内部での白抜けの有無を目視で評価。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、少なくとも、透明基板と、この透明基板の上に形成されたパターン状遮光層上全面に受像層塗布したものの開口部位にインクジェット法により着色インクを付与して形成するカラーフィルタにおいて、該受像層表面における沸点130℃以上の水溶性の脂肪族エステルおよび/又は脂肪族エーテル系溶剤の接触角が30〜60°であることで受像層上での着色インクの濡れ広がりを制御し、画素間混色、画素内白抜け等の欠陥のない、濃度バランスに優れ、カラーフィルタの画素形状が鮮明で画素エッヂのシャープな表示装置用カラーフィルタが得られる。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による表示装置用カラーフィルタの製造工程の一実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…カラーフィルタ
2…透明基板
3…パターン状遮光層
4…受像層
5…パターン状着色層
Claims (2)
- 少なくとも、透明基板と、この透明基板の上に形成されたパターン状遮光層上全面に受像層塗布したものの開口部位にインクジェット法により着色インクを付与して形成するカラーフィルタにおいて、該受像層表面における沸点130℃以上の水溶性の脂肪族エステルおよび/又は脂肪族エーテル系溶剤の接触角が30〜60°であることを特徴とする表示装置用カラーフィルタ。
- 請求項1記載の沸点130℃以上の水溶性の脂肪族エステルおよび/又は脂肪族エーテル系溶剤が主溶剤として構成される着色インクを使用することを特徴とする表示装置用カラーフィルタ。
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