JP4253863B2 - 表示装置用カラーフィルタの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界放射型表示装置、蛍光表示装置、プラズマディスプレイ(PDP)及び液晶表示装置などの表示装置用カラーフィルタ及び表示装置に関するものであり、特にインクジェット法により製造される表示装置用カラーフィルタ及び表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表示装置において、カラー表示、反射率の低減、コントラストの改善、分光特性制御などの目的にカラーフィルタを用いることは、有用な手段となっている。
この表示装置に用いるカラーフィルタは、多くの場合、カラーフィルタは画素として形成されて使用されるものである。この表示装置用カラーフィルタの画素を形成する方法として、これまで実用されてきた方法としては、フォトリソグラフィイ法、印刷法などがあげられる。
【0003】
これらの画素を形成する方法に対し、プリンタで実用されてきたインクジェット法による画素形成方法を、表示装置用カラーフィルタの製造に適用する技術が提案されている。
しかし、表示装置用カラーフィルタをインクジェット法により形成する方法においては、インクジェットによるインク粒子の飛散や、インクのにじみが発生し易く、カラーフィルタの画素形状が鮮明で画素エッヂのシャープな表示装置用カラーフィルタを得ることは困難なことである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、表示装置用カラーフィルタをインクジェット法により形成する方法において、ノズルから噴射したインク粒子の飛散や、インクのにじみを発生させず、カラーフィルタの画素形状が鮮明で画素エッヂのシャープな表示装置用カラーフィルタを提供すること、及びこの表示装置用カラーフィルタを用いた表示装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の発明は、少なくとも、透明基板と、この透明基板の上に形成された受像層と、この受像層の上に形成されたマトリックス状遮光層と、この受像層の上のマトリックス状遮光層の間に形成されたパターン状着色層を具備することを特徴とする表示装置用カラーフィルタである。
また、本発明は、上記発明の表示装置用カラーフィルタにおいて、前記パターン状着色層がインクジェット法により形成されたことを特徴とする表示装置用カラーフィルタである。
【0006】
次に、本発明の第二の発明は、少なくとも、透明基板と、この透明基板の上に形成されたマトリックス状遮光層と、このマトリックス状遮光層の間に形成されたパターン状凹部と、このパターン状凹部の底部上に形成されたパターン状受像層と、このパターン状受像層の上に形成されたパターン状着色層を具備することを特徴とする表示装置用カラーフィルタである。
また、本発明は、上記発明の表示装置用カラーフィルタにおいて、前記パターン状受像層及びパターン状着色層がインクジェット法により形成されたことを特徴とする表示装置用カラーフィルタである。
【0007】
また、本発明の第三の発明は、上記発明の表示装置用カラーフィルタにおいて、前記マトリックス状遮光層の主成分が、黒色遮光材と分散剤と樹脂であることを特徴とする表示装置用カラーフィルタである。
【0008】
次に、本発明の第四の発明は、上記発明の表示装置用カラーフィルタを備えたことを特徴とする表示装置である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明による表示装置用カラーフィルタを、その一実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明による表示装置用カラーフィルタの一実施例を示す平面図である。また、図2は、図1に示す本発明による表示装置用カラーフィルタの一実施例のA−A’断面図である。
図1、及び図2に示すように、表示装置用カラーフィルタ(1)は、透明基板の(2)上に受像層(3)が形成され、この受像層の上にマトリックス状遮光層(5)が形成され、この受像層(3)の上のマトリックス状遮光層(5)の間には、赤色(R),緑色(G),青色(B)各々のパターン状着色層(4)が形成されている。
【0010】
図3は、本発明による表示装置用カラーフィルタの他の実施例を示す断面図である。図3に示すように、表示装置用カラーフィルタ(1)は、透明基板の(2)上にマトリックス状遮光層(5)が形成され、このマトリックス状遮光層(5)の間には、パターン状凹部(6)が形成され、このパターン状凹部の底部上には、パターン状受像層(3’)が形成され、このパターン状受像層(3’)の上には、赤色(R),緑色(G),青色(B)各々のパターン状着色層(4)が形成されている。
【0011】
図1、及び図2において、本発明に用いる透明基板(2)は、十分な強度、平坦性、耐熱性、光透過性などを有するものが好ましい。例えば、通常カラーフィルタ基板として用いられている透明な無アルカリガラス、或いはソーダガラスなどがあげられる。
本発明における受像層(3)及びパターン状受像層(3’)は、パターン状着色層(4)をインクジェット法により形成する際に、インクジェットによるインク粒子の飛散や、インクのにじみの発生を防止するために設けられたものである。
【0012】
本発明における受像層(3)及びパターン状受像層(3’)の材料としては、透明であること、受像したインクの変色や褪色がないこと、諸耐性があることなどの性能が要求され、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールなどのビニル樹脂が良好なものとして用いられる。その他の材料としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステルなどが用いられる。
【0013】
また、インクの受像性を高めるために、この樹脂に微粒子(フィラー)を含有させることも有効である。フィラーとしては、無機微粒子では微粉末珪酸、有機微粒子ではアクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、フッソ樹脂などであるが、透明性の点からは、アクリル樹脂が好ましい。また、フィラーの添加量は、受像層100重量%に対し1〜10%が好ましいものである。
【0014】
本発明における遮光層(5)の材料としては、黒色遮光材、分散剤、樹脂、溶媒を主成分とする黒色樹脂組成物であり、例えば、光重合性モノマー、光重合開始剤などを混合し感光性をもたせた黒色樹脂組成物が好ましいものである。
【0015】
透明基板の上のパターン状凹部(6)は、例えば、エッチング法により形成することができる。フォトレジストをエッチングレジストとするものであり、ウエットエッチング、ドライエッチングなどがあげられるが、用いる透明基板、フォトレジストの組成によって選択されるものである。
例えば、通常カラーフィルタ基板として用いられている透明な無アルカリガラスに対しては、緩衝フッ酸を用いたウエットエッチングが好ましい。
パターン状凹部(6)の深さは、透明基板の厚みの1%以下とするのが好ましい。例えば、透明基板の厚みが0.7mmの際には数μm程度が好ましいものである。
【0016】
本発明における着色インクの材料としては、色素と樹脂と溶媒を主成分としたものである。色素としては染料や顔料などが用いられる。
樹脂としては、カゼイン、ゼラチン、ポリビニールアルコール、カルボキシメチルアセタール、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラニン樹脂などが用いられ、色素との関係にて適宜選択されるものである。
耐熱性や耐光性が要求される際にはアクリル樹脂が好ましいものである。
【0017】
樹脂への色素の分散を向上させるために、分散剤を用いてもよく、分散剤として、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなど、また、イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ脂肪酸塩、脂肪酸塩アルキルリン酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩など、その他に、有機顔料誘導体、ポリエステルなどがあげられる。
分散剤は一種類を単独で使用してもよく、また、二種類以上を混合して使用してもよい。溶媒としては溶解性の他に経時安定性、乾燥性などが要求され、色素、樹脂との関係にて適宜選択されるものである。
【0018】
本発明における表示装置用カラーフィルタ(1)の透明基板の(2)上の受像層(3)或いはパターン状受像層(3’)の形成、及び、受像層(3)或いはパターン状受像層(3’)の上へのパターン状着色層(4)の形成は、例えば、インクジェット法によるものである。また、マトリックス状遮光層(5)の形成は、例えば、フォトリソグラフィイ法によるものである。
【0019】
すなわち、図1、及び図2に示す一実施例においては、インクジェットのノズルから噴射したインク粒子が飛散したり、にじみ出したりすることを防ぐために、先ず、受像層用インクをスピンナー法によって透明基板(2)の上に塗布し受像層(3)を形成する。
次に、この受像層(3)の上にマトリックス状遮光層(5)をフォトリソグラフィ法により形成し、このマトリックス状遮光層(5)の間の受像層(3)の上にパターン状着色層(4)をインクジェット法により形成する。
このようにしてパターン状着色層(4)を形成するために、ノズルから噴射したインク粒子の飛散や、インクのにじみを発生させず、カラーフィルタの画素形状が鮮明で画素エッヂのシャープな表示装置用カラーフィルタとなる。
【0020】
また、図3に示す他の実施例においては、インクジェットのノズルから噴射したインク粒子が飛散したり、にじみ出したりすることを防ぐために、先ず、透明基板(2)の上にマトリックス状遮光層(5)を、例えば、フォトリソグラフィ法により形成し、このマトリックス状遮光層(5)の間に、パターン状凹部(6)を形成する、そして、このパターン状凹部の底部上に、例えば、インクジェット法によりパターン状受像層(3’)を形成し、このパターン状受像層(3’)の上に、例えば、インクジェット法によりパターン状着色層(4)を形成する。
このようにしてパターン状着色層(4)を形成するために、ノズルから噴射したインク粒子の飛散や、インクのにじみを発生させず、カラーフィルタの画素形状が鮮明で画素エッヂのシャープな表示装置用カラーフィルタとなる。
【0021】
使用するインクジェット装置としては、インクの吐出方法の相違によりピエゾ変換方式と熱変換方式があり、特にピエゾ変換方式が好適である。
インクの粒子化周波数は5〜100KHz程度、ノズル径としては5〜80μm程度,ヘッドを3個配置し1ヘッドにノズルを1〜30個組み込んだ装置が好適である。また、必要に応じパターン状着色層(4)の形成後に加熱などの硬化を行ってもよい。
【0022】
この際、インクジェット法により形成されるパターン状着色層(4)の断面の状態は、使用する着色インクの材料の成分によって異なったものとなる。
すなわち、着色インクの色素として染料を使用した際には、着色インクの大部分が受像層に浸透し、一部分が受像層の上に層を形成するものとなる。
一方、着色インクの色素として顔料を使用した際には、着色インクの一部分が受像層に浸透し、大部分が受像層の上に層を形成するものとなる。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の実施例を具体的に説明する。
<実施例1>
無アルカリガラス(コーニング社製、品番7059)上に、感光性着色樹脂組成物として富士フイルムオーリン(株)製、品番CK5002を用い、線幅約10μm,ピッチ約110μmのマトリックス状遮光層(5)を形成した。
次に、23℃の緩衝フッ酸(橋本化成(株)製、品番LAL800)に10分間浸漬し、無アルカリガラスをエッチングしパターン状凹部(6)を形成した。
得られたパターン状凹部(6)の深さは約1μmであった。
【0024】
この無アルカリガラスのパターン状凹部(6)に、シリカ5g、ポリビニールアルコール20g、水75gを攪拌して得た受像層インクをインクジェット法により厚さ約0.8μmに塗布し、100℃にて20分間、加熱硬化させパターン状凹部の底部上にパターン状受像層(3’)を形成した。
【0025】
続いて、メタクリル酸20部、メチルメタクリレート10部、ブチルメタクリレート55部、ヒドロキシエチレンメタクリレート15部をエチルセロソルブ300gに溶解し、窒素雰囲気下でアゾビスイソブチルニトリル0.75部を加え70℃にて5時間の反応によりアクリル共重合樹脂を得た。
得られたアクリル共重合樹脂を樹脂濃度が10%になるようにエタノールで希釈しアクリル共重合樹脂の希釈液とした。
【0026】
この希釈液90.1gに対し顔料9.0g、分散剤0.9gを添加して、3本ロールにて混練し、赤色、緑色、青色の各着色ワニスを得た。この各着色ワニス100gに対し、トリメチロールプロパンアクリレート5.4g、メラミン樹脂(三和ケミカル製、品番MS−21)1.8gを加え、エタノールで粘度が3cpsに調整し着色インクを得た。
この着色インクを用い、インクジェット法により形成したパターン状受像層(3’)の上に、各色のパターン状着色層(4)を形成し、200℃にて5時間の加熱硬化後、線幅約100μmのパターン状着色層(4)を得た。
【0027】
このようにして得られたパターン状着色層(4)からなる表示装置用カラーフィルタは、ノズルから噴射したインク粒子の飛散や、インクのにじみを発生させず、カラーフィルタの画素形状が鮮明で画素エッヂのシャープな表示装置用カラーフィルタであった。
また、このようにして得られた表示装置用カラーフィルタを用いた表示装置の表示品質は良好なものであった。
【0028】
<比較例1>
実施例1において、パターン状凹部の底部上へのパターン状受像層(3’)の形成のみを省略し、その他の工程、及び材料は実施例1と同一で行った。
得られた表示装置用カラーフィルタのパターン状着色層(4)はムラが生じ、良好なものではなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明の表示装置用カラーフィルタは、透明基板と、この透明基板の上に形成された受像層と、この受像層の上に形成されたマトリックス状遮光層と、この受像層の上のマトリックス状遮光層の間に形成されたパターン状着色層を具備しているので、インクジェット法によりカラーフィルタを形成した際に、ノズルから噴射したインク粒子の飛散や、インクのにじみを発生させず、カラーフィルタの画素形状が鮮明で画素エッヂのシャープな表示装置用カラーフィルタが得られる。
【0030】
また、本発明の表示装置用カラーフィルタは、透明基板と、この透明基板の上に形成されたマトリックス状遮光層と、このマトリックス状遮光層の間に形成されたパターン状凹部と、このパターン状凹部の底部上に形成されたパターン状受像層と、このパターン状受像層の上に形成されたパターン状着色層を具備しているので、インクジェット法によりカラーフィルタを形成した際に、ノズルから噴射したインク粒子の飛散や、インクのにじみを発生させず、カラーフィルタの画素形状が鮮明で画素エッヂのシャープな表示装置用カラーフィルタが得られる。
【0031】
また、本発明の表示装置は、上記発明の表示装置用カラーフィルタを用いているので、表示品質の良好な表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による表示装置用カラーフィルタの一実施例を示す平面図である。
【図2】 図1に示す本発明による表示装置用カラーフィルタの一実施例のA−A’断面図である。
【図3】 本発明による表示装置用カラーフィルタの他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…カラーフィルタ
2…透明基板
3…受像層
3’…パターン状受像層
4…パターン状着色層
5…マトリックス状遮光層
6…パターン状凹部
R…赤色パターン状着色層
G…緑色パターン状着色層
B…青色パターン状着色層

Claims (2)

  1. 少なくとも、透明基板の上に、主成分が黒色遮光材と分散剤と樹脂であるマトリックス状遮光層を形成する工程と、この透明基板をエッチングすることにより、このマトリックス状遮光層の間にパターン状凹部を形成する工程と、このパターン状凹部の底部上に、微粒子を含む受像層インクをインクジェット法で塗布し、加熱硬化させて、パターン状受像層を形成する工程と、このパターン状受像層の上に顔料を含む着色インクを用いてパターン状着色層をインクジェット法で形成する工程とを含むことを特徴とする表示装置用カラーフィルタの製造方法。
  2. 前記パターン状凹部が、前記透明基板の厚さの1%以下の深さのあることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用カラーフィルタの製造方法。
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