JP2004226503A - 偏光度低下型光学素子及びそれを用いた面光源装置並びに液晶ディスプレイ - Google Patents
偏光度低下型光学素子及びそれを用いた面光源装置並びに液晶ディスプレイ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】偏りのある入力光の偏光度を低下させて出力する光学素子とそのバックライト等への応用。
【解決手段】導光板内に導入された光は内部反射を繰り返しつつ末端側へ伝播する過程で出射面から徐々に出射し、プリズムシートを経て反射型または散乱型の偏光フィルムに入射する。P偏光成分は偏光フィルムを透過し、S偏光成分は戻り光となる。戻り光は、導光板内において乱雑さをもった配向状態で均一に分散した複屈折性結晶微粒子の偏光変換作用を受け、偏光度が低下する。再出射した光は反射型偏光フィルムに再入射し、その半分近くが透過する。非透過成分は再度戻り光となり同様の過程を繰り返すことで、液晶表示パネルへ無駄なく光が供給される。プリズムシート、反射シート、導光板の背面にランダム配向状態で均一に分散した複屈折性結晶微粒子を含む層を設けても良い。
【選択図】 図4
【解決手段】導光板内に導入された光は内部反射を繰り返しつつ末端側へ伝播する過程で出射面から徐々に出射し、プリズムシートを経て反射型または散乱型の偏光フィルムに入射する。P偏光成分は偏光フィルムを透過し、S偏光成分は戻り光となる。戻り光は、導光板内において乱雑さをもった配向状態で均一に分散した複屈折性結晶微粒子の偏光変換作用を受け、偏光度が低下する。再出射した光は反射型偏光フィルムに再入射し、その半分近くが透過する。非透過成分は再度戻り光となり同様の過程を繰り返すことで、液晶表示パネルへ無駄なく光が供給される。プリズムシート、反射シート、導光板の背面にランダム配向状態で均一に分散した複屈折性結晶微粒子を含む層を設けても良い。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状、フィルム状、シート状等の形態を持つ偏光度低下型光学素子、特に、偏光度低下型の導光体及びプリズムシートに関し、また、それら偏光度低下型光学素子を用いた面光源装置、並びに、同面光源装置を照明手段に用いた液晶ディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学を応用した照明装置、あるいは、それを照明手段に用いた液晶ディスプレイなどの分野において、偏りのある光を入力し、該入力された光の偏光度を低下させて光を出力する機能を持つ偏光度低下型の光学素子に対するニーズが生まれている。特に、安価で大量生産に適した樹脂材料をベースに使用してそのような偏光度低下型光学素子を得ることができれば、そのメリットは極めて大きいと考えられる。中でも、液晶ディスプレイ用の面光源装置で使用される導光板あるいは機能性のフィルム状要素(例えばプリズムシート、光拡散シート)への応用が期待されるところである。
【0003】
このような偏光度低下型光学素子の応用可能性を説明するための前提として、従来の液晶ディスプレイ用バックライトとして用いられる面光源装置について、図1を参照して簡単に説明しておく。図1は、液晶パネルと一般的なバックライトの構造を示したもので、一次光の供給方式としてはいわゆるエッジライト型(サイドライト型ともいう)のものを例示した。同図に示したように、液晶ディスプレイは、液晶表示パネル(液晶表示部)と液晶表示パネルを背面側から照明する面光源装置で構成されている。
【0004】
面光源装置の通常の構成要素は、導光板、ランプ(一次光源)、ランプリフレクター、反射シート、プリズムシートなどであり、この他に、拡散シートなどの機能性フィルムを適宜配置することもある。ランプが点灯されると一次光が導光板の端部から導光板内に導入される。導光板内に導入された光は、2つのメジャー面である出射面(液晶表示パネル側の面)と背面(液晶表示パネルとは反対側の面)で内部反射を繰り返しつつ末端側へ伝播していく。この内部伝播の過程で出射面から徐々に光が出射され、プリズムシートを経て液晶表示パネルに供給される。
【0005】
周知のように、この出射を促すために、導光板には内部に散乱能を与えたり、背面に光拡散インクをプリントするなどの工夫が施され、更に、導光板の末端側での輝度低下を防止するために、導光板は断面が楔形状となるように成形されている。また、プリズムシートは、前方に傾斜して導光板から出射する光の方向特性を修正し、液晶表示パネルにほぼ垂直な方向から照明光が供給されるようにする。反射シートは、導光板の背面側から漏れ出た光を反射し、導光板へ戻す作用を果たす。これにより、導光板の背面側からの漏光により光の損失を防止する。
【0006】
液晶パネルは、その背面側(照明光入射側)と前面側(表示光出射側)にそれぞれ偏光板(偏光フィルムとも言う;以下、同じ)を有している。各偏光板には、沃素や染料などを用いたものが広く用いられており、周知のように、入射光の内、偏光板の偏光軸(透過軸ともいう)に平行な成分の光を透過させる一方、偏光軸に直交する成分の光を吸収してしまう。偏光軸の空間での方向は、偏光板の配向によって変わるが、図1に示した例では、偏光軸が液晶表示パネルの背面側から入射する光のP偏光成分が透過成分となり、S偏光成分が非透過成分(吸収成分)となるように配向されている。
【0007】
このような偏光板を用いた場合、自然光(非偏光)を入射させた場合の透過率は原理的に50%を越えられない。従って、この偏光板による吸収損失は、液晶ディスプレイの光利用効率の向上を阻害する1つの要因となる。そこで、この要因を除去すべく、偏光軸に平行な成分の光を透過させる一方、偏光軸に直交する成分の光を反射する特性を持った偏光板(いわゆる反射型偏光フィルム)が開発され、市販されている。図2に示したように、この反射型の偏光フィルムは、偏光軸成分の光を透過し、偏光軸に直交する成分の光を反射する機能を有している。なお、図2に示した例でも、反射型の偏光フィルムの配向は、液晶表示パネルの背面側から入射する光のP偏光成分が透過成分となり、S偏光成分が非透過成分となるように選ばれている。但し、非透過成分は殆ど吸収されることなく、導光板側へ反射される。
【0008】
このような反射型偏光フィルムにより反射された成分の光の多くは、いわゆる戻り光となって、導光板内に再入射する。ここで、この戻り光の大半は、偏光フィルムを透過できなかった偏光成分で占められている。このような偏りに富んだ戻り光は、導光板内で両メジャー面や、反射シートによる反射、導光板への入射あるいは導光板からの出射に際しての屈折、導光板内部での散乱などの作用を受け、進行方向が変えられるとともにその偏光状態が変化する。その後、導光板の出射面から出射され、再度反射型偏光フィルムに再入射する。
【0009】
この時点で、偏光状態は、反射型偏光フィルムで反射された直後と比較して変化している。即ち、偏りの程度が若干緩和され、自然光に多少近づいた状態にある。従って、再入射光の一部は反射型偏光フィルムを透過することができる透過偏光成分である。残りの非透過偏光成分は、再度反射され、再び戻り光となって導光板へ向かうことになる。このような過程の繰り返しにより、吸収型偏光板を透過するP偏光成分の光の量は増大することになる。その結果、無駄になる光が減り、液晶ディスプレイの表示輝度を向上させることができる。
【0010】
反射型偏光フィルムによる輝度の向上率は、反射光の偏光方向を偏光(透過)軸方向に変換する効率、導光体に再入射した光を導光体内部あるいは表面、または反射シートなどによって進行方向を変えて、反射型偏光フィルムへ再入射させる効率に依存する。既に触れたように、従来の導光体を大別すると、導光体表面に白色のドット印刷または微細で不規則な凹凸を施し、表面で光を散乱・乱反射させる方式のもの、導光体内部に導光体の母材とは異なる屈折率を有する微粒子を添加し、導光させながら光を散乱させる方式のものがある。
【0011】
いずれのタイプの導光板も光学的にほぼ等方性であり、多少の非複屈折性はあっても、このような材料中を短い距離導光しただけでは、散乱等による偏光成分の効率的な変換は起こらない。材料表面での反射により、ブルースター角近辺のようなある条件下では光の偏光状態は大きな変換を受ける。しかし、バックライトのような構成では、導光体表面において幅広い入射角での反射が起こりえるため、全体的な偏光変換効果はそれほど大きくない。従って、反射型偏光フィルムの機能を十分に活用しているとは言えない。
【0012】
更に、反射型偏光フィルムとしては、特許文献1に開示されているように、コレステリック液晶を用いて、一方の(例えば右)円偏光を透過させ、他方の(例えば左)円偏光を反射する方式のものもある。このような方式の反射型偏光フィルムにおいても、反射された光の偏光成分の一部を透過する偏光成分に変換するという点においては同様であるので、上述の議論と同様なことが言える。
【0013】
また、図2と同様な配置において、非透過偏光成分を導光板側への戻り光に変換する機能を持つ偏光フィルムも提案されている(特許文献2参照)。
【0014】
これは、樹脂マトリックスに複屈折性結晶微粒子を添加した偏光フィルムで、非透過偏光成分を散乱光の形態で戻り光を生じさせるもので、散乱型偏光フィルムとも呼ばれる。この散乱型偏光フィルムにおいても、戻り光の偏光成分の一部を透過する偏光成分に変換するという点においては同様であるので、やはり上述の議論と同様なことが言える。
【0015】
なお、この技術は、複屈折性結晶を光学樹脂中に添加するという点においては本願と共通しているが、樹脂中の複屈折性結晶を特定方向に配向させること、複屈折性結晶と光学樹脂の間に屈折率の整合性と不整合性を同時に併存させることを構成要件としている点で本質的に異なる。また、光学的な機能の面で見ても、散乱型偏光フィルムは、自然光を入射させたときに、ある方向の直線偏光を透過させ、それに直交する成分を散乱させることにより入射側に戻す偏光板としての機能を提供するもので、本願発明とは全く異なる技術であることがわかる。
【0016】
【特許文献1】
特開2001−311826号公報
【特許文献2】
特願2001−52145号
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、非透過偏光成分を戻り光に変換する機能を持つ偏光フィルム(あるいは偏光板)を用いることで、ある程度の性能改善は期待できる。しかし、戻り光を受ける側の光学素子(導光板、プリズムシートなど)の偏光成分変換機能が十分でないのが実状であった。即ち、従来技術では、偏りに富んだ戻り光を効率よく自然光に近付ける機能に欠けており、そのため、戻り光のリサイクル利用が不十分で、液晶表示パネルの照明に要する消費電力を低減させる障害となっていた。また、液晶ディスプレイへの応用に限らず、一般の光学分野において、「偏りのある入力光を効率よく自然光に近付ける機能を持った素子」には種々の応用可能性が期待されるところである。
【0018】
そこで、本発明の1つの目的は、樹脂材料をベースにしてそのような機能を持つ光学素子、例えば、液晶ディスプレイのバックライティングに用いる面光源装置で使用される導光板、プリズムシート、を提供することにある。また、本発明のもう1つの目的は、そのような光学素子を用いて、「偏りのある入力光を効率よく自然光に変換して出力する機能を持つ面光源装置」を提供することにある。
本発明の更にもう1つの目的は、そのような面光源装置を用いて、照明光の利用効率に優れた液晶ディスプレイを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、先ず、偏りのある光を入力し、該入力された光の偏光度を低下させて光を出力する偏光度低下型光学素子を提供する。この偏光度低下型光学素子は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、端部から一次光を入力し、メジャー面から照明光を出力する偏光度低下型導光板に適用することができる。この偏光度低下型導光板は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなり、前メジャー面は、偏りのある光を入力する面としても機能し、メジャー面から入力された偏りのある光を内部でその偏光度を低下させた後、メジャー面から出力することを特徴とする。
【0021】
更に本発明は、2つのメジャー面を有する偏光度低下型プリズムシートにも適用される。この偏光度低下型プリズムシートは、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなり、2つのメジャー面の内の少なくとも一方は、偏りのある光を入力する面としても機能し、入力された偏りのある光を内部でその偏光度を低下させた後、入力されたメジャー面とは反対側のメジャー面から出力することを特徴とする。
【0022】
次に、本発明は、第1のメジャー面と第2のメジャー面を有し、光取入部から一次光を取り入れ、第1のメジャー面から照明光を出力する導光板と、一次光の供給のための一次光源と、第1のメジャー面に沿って配置された偏光フィルムとを含む面光源装置に適用される。ここで、偏光フィルムは、照明光に含まれる透過偏光成分を透過し、非透過偏光成分を導光板側に向かう戻り光に変換する機能を有するものが採用される。本発明の特徴に従った面光源装置はいくつかの形態をとり得る。
【0023】
1つの形態においては、導光板は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなる偏光度低下型導光板である。そして、戻り光は、偏光度低下型導光板の内部でその偏光度を低下させられた後、第1のメジャー面から出力される。
もう1つの形態においては、第1のメジャー面と偏光フィルムとの間にプリズムシートが配置される。このプリズムシートは、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなる偏光度低下型プリズムシートであり、戻り光は、偏光度低下型プリズムシートを通過する際に、その偏光度を低下させる。
【0024】
更にもう1つの形態においては、第2のメジャー面側に光拡散体が設けられる。この光拡散体は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなる偏光度低下型光拡散体であり、前記第2のメジャー面を通して偏りのある光が導光板に入力される直前及び導光板から出力された直後に、偏りのある光の偏光度が偏光度低下型光拡散体によって低下させられる。ここで、この偏光度低下型光拡散体は、第2のメジャー面上に、導光板と一体に形成することができる。あるいは、偏光度低下型光拡散体は、第2のメジャー面に沿って配置された拡散反射シートとして機能するものであっても良い。
【0025】
上記の諸形態の面光源装置において、導光板の光取入部を導光板の端部に設け、一次光源を端部から一次光が導光板内に取入れられるように配置することができる。あるいは、導光板の第2のメジャー面が光取入部を提供するようにし、一次光源を第2のメジャー面を通して一次光が導光板内に取入れられるように配置しても良い。但し、この配置は、導光板の第2のメジャー面に沿って反射シートあるいは拡散反射シートを配置するケース、及び、偏光度低下型光拡散体を第2のメジャー面上に導光板と一体に形成するケースには適していない。
そして、本発明は上述の諸形態の面光源装置を照明手段と用いることで、照明光の利用効率に優れた液晶ディスプレイを提供するものでもある。
【0026】
上記したように、本発明は、「樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子を有する材料」が基本的な技術手段として用いられている。このような材料内で、偏りのある光の偏光度が低下する理由は概略次のように説明できる。なお、本明細書ではこの材料のことを「偏光度低下材料」と呼ぶことにする。
【0027】
偏光度低下材料に入射した光は、乱雑さをもって配向した多数の複屈折性結晶の持つ複屈折性により、その偏光状態が乱される。ミクロのレベルで考察すると、複屈折性結晶に入射した光は、同結晶の誘電率の主軸に沿った方向の平面上で互いに直交する2つの偏光成分に分かれる。それぞれの偏光成分に対する屈折率が異なるために、結晶中を伝搬する間に、それぞれの偏光成分間に位相差が生じる。光が結晶から出射する時には、両成分は合成され一つの偏光となるが、伝搬中に生じた位相差のため、入射時の偏光状態とは異なる偏光状態となる(偏光変換作用)。この偏光状態の変化は、光が入射した結晶の大きさ、結晶への入射角度等に依存する。
【0028】
ここで、偏光度低下材料中には数多くの微細な結晶微粒子が、乱雑な方向を向いて存在していることを考慮すると、同材料に対して一定の方向から光を入射させ、内部を伝搬させた場合でも、結晶の誘電率の主軸に対する入射・伝搬の方向は、多様なものとなる。そのため、マクロに見れば、偏光度低下材料中に入射した光は、ほぼランダムな偏光変換作用を受けることになり、自然光(非偏光)に近づいていく。換言すれば、偏光度低下材料は偏よった光の偏光状態をかきまぜるスクランブラとして作用する。
【0029】
複屈折性結晶を透過する際の偏光状態の変換は上記のようにして起るが、偏光状態のかき乱しは、光学樹脂中に添加した複屈折性結晶によって光が散乱される過程でも起こる。結局、本発明で用いる偏光度低下材料中では、複屈折性結晶中の透過の過程と同結晶による散乱の過程の双方を通して、偏光変換による偏光度低下が達成されることになる。この作用は、後述する実験でも明らかにされるように、多数の非複屈折性の粒子による散乱によって起る偏光状態のスクランブリング(かき乱し)よりもはるかに強い。
【0030】
なお、このような偏光度低下スクランブラとしての作用を考えた場合、本発明で使用される偏光度低下材料に要求される「樹脂マトリックス中の結晶微粒子の配向の乱雑さ」は、「いかなる配向秩序も実質的に存在しない」とような極限的なものでなくても良いことは明白である。即ち、樹脂マトリックス中に分散された多数の結晶微粒子の内のかなりの部分が配向秩序を有していたとしても、残りの結晶微粒子に配向の乱雑さによって、入力光の偏光度を実質的に低下させることはできる。
【0031】
例えば、実際に導光板等の光学素子を製造する際には射出成形や押出成形などが適用されるが、その過程で流動状態の樹脂材料中に複屈折性結晶微粒子が共存する状態を経験することになる。そのため、複屈折性結晶微粒子の幾何学的な形状が等方的でない場合(例えば針状形状)に、射出成形に用いる金型のゲート付近や押出成形に用いるノズル付近などで、樹脂の流れの影響を受けて複屈折性結晶微粒子に配向秩序が生じることになる。この時生じた配向秩序は、固化後の最終製品にも一部残留する。
【0032】
しかし、このような配向秩序は一般にそれ程強いものでなく、「配向の乱雑さ」は十分に残る。また、もしも製品として得られた光学素子に、「配向の乱雑さの程度がかなり劣った領域」が局所的に存在したとしても、光学素子全体として実質的に偏光スクランブル作用が保持されていれば、実用に供することはできる。
【0033】
例えば、ある領域内で仮に均一な添加濃度Dで添加した複屈折性結晶微粒子の半分(50%=前者)が一定方向に配向し、残りの半分(50%=後者)が実質的にランダムな配向をとったとした場合を想定してみる(これらはかなり強い配向秩序である)。
【0034】
この場合、少なくとも、理想状態(完全ランダム配向状態)の同種の複屈折性結晶微粒子をD/2(半分)の添加濃度で分散させた場合と同程度の偏光スクランブル作用は期待できる筈である。なぜならば、一定方向に配向した複屈折性結晶微粒子は、ランダム配向状態にある複屈折性結晶微粒子に比べて透過による偏光スクランブル作用は一般に劣ると推測されるものの、ランダム配向状態にある複屈折性結晶微粒子によって生じる偏光スクランブル作用を打ち消してしまう理由は特に存在せず、また、散乱による偏光スクランブル作用も、樹脂マトリックスとの屈折率差などに応じてある程度は上乗せされると考えられるからである。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図3以下を参照して、いくつかの実施形態について述べるが、先ず、本発明の基本的な技術手段となっている偏光度低下材料について、その作用の実例を図3(a)、(b)を参照して説明しておく。図3(a)、(b)のグラフは、本発明で用いる複屈折性結晶微粒子を乱雑さをもった配向状態で樹脂マトリックス中に分散させた材料(偏光度低下材料)が、同樹脂マトリックスに非複屈折性結晶微粒子を乱雑さをもった配向状態で同程度の添加濃度条件で分散させた従来材料に比べてはるかに優れた偏光変換機能を示すかを例証するものである。
【0036】
先ず図3(a)のグラフは、ポリメチルメタクリレート中に非複屈折性の微粒子材料として等方性のシリコーン微粒子(平均粒径7μm )を0.10wt% の添加濃度で均一分散させた試料について、偏光変換の起こり方を測定した結果を表わしている。また、図3(b)のグラフは、同じポリメチルメタクリレート中に複屈折性の微粒子材料として、炭酸カルシウム結晶微粒子(針状、長径約20μm)を0.212wt%の添加濃度で均一分散させた試料について、偏光変換の起こり方を測定した結果を表わしている。
【0037】
両試料における微粒子材料の添加濃度は、重量濃度では異なっているが(0.10wt% と0.212wt%)、体積濃度は同一である。また、複屈折性結晶微粒子を添加した試料について、微粒子の配向を揃えるような処理は行なわず、従って、微粒子の配向はほぼランダムである。
【0038】
各測定試料の形状については、直径10mmの円柱状とした。そして、円柱状試料の側面から、中心軸に直交するように直線偏光のレーザー光を入射させた。入射光の偏光方向は中心軸方向になるようにした。この方向をV という文字で表し、V に直交する偏光方向をH という文字で表した。
【0039】
散乱光VVは、V 偏光を入射させ、各試料通過後に、V 方向の偏光板を透過させて測定した散乱光強度である。また、HVは、V 偏光を入射させ、各試料通過後に、H 方向の偏光板を透過させて測定した散乱光強度である。これら散乱光強度は、各グラフの縦軸に相対強度で表わした。スケールは、1.0E+00 を基準光強度として、10を底とする対数スケールを採用した。例えば1.0E+01 は基準光強度の10倍、1.0E−02 は基準光強度の100分の1を表わしている。また、各グラフの横軸は散乱角を表わし、入射方向に一致した透過方向をゼロ度としている。
【0040】
図3(b)のグラフから判るように、複屈折性微粒子を添加した試料では、散乱光強度の角度特性がVVとHVでほぼ同一になっている。これは、複屈折性結晶微粒子を添加した試料に入射した直線偏光がほぼ自然光(非偏光)に近い状態に変換されたことを意味する。つまり、この試料を構成する材料は、優れた偏光度低下材料であるということである。
【0041】
これに対して、図3(a)のグラフを見ると、非複屈折性結晶微粒子を添加した試料では、散乱光のHV成分がゼロではないことからある程度の偏光変換が起っていることは確かであるが、散乱光に含まれるHV成分はVV成分の100分の1程度でしかなく、偏光変換効果が非常に低いことは明白である。
【0042】
以上の測定結果から、複屈折性結晶微粒子を乱雑さをもった配向で分散させた材料では直径10mmの円柱を横切る程度の光路長でも十分な偏光変換効果が得られると考えられる。一方、等方性(非複屈折性)の微粒子ではそれより遥かに長い光路長がなければ十分な偏光変換効果が得られないと考えられる。
【0043】
もちろん、複屈折性結晶微粒子をほぼランダム配向で分散させた材料でも、添加濃度が小さい程、単位光路長当りの偏光変換効果は低下するが、上記試料における程度の添加濃度は導光板その他の光学素子の基本機能を損ねるような(例えば光透過率の極端な低下を伴うような)ものではない。
【0044】
[基本実施形態]
実際に、偏光度低下材料として、上記実験で図3(b)の結果を得た試料と同じ材料(ポリメチルメタクリレート中に炭酸カルシウム結晶微粒子(針状、長径約20μm)を0.212wt%の添加濃度で均一に、且つ、ほぼランダム配向で分散させた材料)を用いて断面楔形状の導光板を作製し、図4に示したように、図2と同様の配置で液晶ディスプレイを構成することができる。これを本発明の基本実施形態とする。
【0045】
図4に示した配置は、導光板として本発明の特徴を備えた上記材料からなるものを使用した点を除けば、図2に示した配置と同じである。
即ち、本実施形態の液晶ディスプレイは、液晶表示パネル(液晶表示部)と液晶表示パネルを背面側から照明するエッジライト型の面光源装置で構成されている。面光源装置は、上記偏光度低下材料からなる導光板、ランプ(一次光源)、ランプリフレクター、反射シート、プリズムシート及び反射型偏光フィルムで構成されている。この他に、拡散シートなどの機能性フィルムを適宜配置することもある。
【0046】
本実施形態に係る液晶ディスプレイのランプが点灯されると、一次光が導光板の端部から導光板内に導入される。導光板内に導入された光は、2つのメジャー面である出射面(液晶表示パネル側の面)と背面(液晶表示パネルとは反対側の面)で内部反射を繰り返しつつ末端側へ伝播していく。この内部伝播の過程で出射面から徐々に光が出射され、プリズムシートを経て、反射型偏光フィルムに入射する(初回の入射)。
【0047】
前述したように、反射型偏光フィルムは、偏光軸成分の光を透過し、偏光軸に直交する成分の光を反射する機能を有している。そして、反射型偏光フィルムの配向は、液晶表示パネルの背面側から入射する光のP偏光成分が透過成分となり、S偏光成分が非透過成分となるように選ばれている。
【0048】
そして、非透過成分(S偏光成分)は殆ど吸収されることなく、導光板側へ反射され、戻り光となる。戻り光の多くは、プリズムシートを再通過(逆進)し、導光板内に再入射する。この再入射は、導光板のいわゆる「出射面」、即ち、「一次光が光取入部(ここでは端部)から導入された後、最初に導光板から液晶表示パネルに向けて出射される時に通るメジャー面」に対して起る。
【0049】
この戻り光の大半は、偏光フィルムを透過できなかった偏光成分(S偏光成分)で占められている。
【0050】
このような偏りに富んだ戻り光は、導光板内に導入された後、種々の作用を受ける。先ず、前述したように、両メジャー面や、反射シートによる反射、導光板への入射あるいは導光板からの出射に際しての屈折による進行方向転換作用がある。更に、本発明に固有の作用として、導光板の内部に乱雑さをもった配向で均一分散した多数の複屈折性結晶微粒子(針状炭酸カルシウム)による作用を受ける。この作用には、上述の実験結果からも判るように、「散乱による進行方向転換作用」と「偏光変換による偏光度低下作用」が含まれる。
【0051】
これら作用により、戻り光の偏光度は導光板内で徐々に低下し、導光板の出射面から再出射される時点では自然光に近い光となっている。この第2回目の出射光は、プリズムシートを経て再度反射型偏光フィルムに入射する。
【0052】
自然光に近い状態にある再入射光は、ほぼその半分は反射型偏光フィルムを透過することができる透過偏光成分(P偏光成分)であるから、液晶表示パネルへ供給され、表示光に有効利用される。残りのほぼ半分を占める非透過偏光成分(S偏光成分)は、再度反射され、再び戻り光となって導光板へ向かうことになる。このような過程の繰り返しより、反射型偏光板を透過するP成分の光の量は等比級数的に積算される。その結果、無駄になる光が大幅に減り、液晶ディスプレイの表示輝度を向上させることができる。このようにして、本実施形態により、前述の従来技術の問題点が解決される。
【0053】
液晶用バックライトに用いられる導光板のサイズは、ノート型パーソナルコンピュータ用の場合で、最厚部で2〜3mm、最薄部で0.3〜0.5mm程度のくさび型のものが多く、15インチ以上の大型のものでも厚さ5〜10mm程度の平板のものが多い。図3(b)に示した実験結果から、この程度の厚さがあれば、導光板に再入射し、再度出射して反射型偏光板に向かう光は自然光にきわめて近い状態にあると考えて良い。
【0054】
なお、戻り光ではなく、最初に導光板内に導入された一次光に対しても、当然、多数の複屈折性結晶微粒子による偏光変換は起る。しかし、この一次光は一般に自然光に近い、余り偏りない光であるから、全体としては、P偏光をS偏光に変換する作用とS偏光をP偏光に変換する作用が相殺することになり、特に大きな偏光状態の変化は起らない。但し、もしも一次光に大きな偏りがあれば、導光板内部で偏光度の低下が起る。
【0055】
また、図4に示した配置では、非透過偏光成分を戻り光とするために反射型偏光フィルムを用いたが、これに代えて、前述した散乱型偏光フィルムを用いた場合でも同様の結果が得られることは言うまでもない。
【0056】
上記のように、この基本実施形態では、樹脂マトリックスはポリメチルメタクリレート、複屈折性結晶微粒子は長径約20μm の針状炭酸カルシウム結晶微粒子、添加濃度は0.212wt%とした偏光度低下材料を用いたが、これはあくまで一例である。そこで、本発明で用いる偏光度低下材料の一般事項について若干捕捉しておく。
【0057】
上記したように、複屈折性結晶微粒子による作用には、「散乱による進行方向転換作用」と「偏光変換による偏光度低下作用」が含まれるが、後者は複屈折性結晶を透過する過程で起るが、散乱を通しても起る。一般に、透過による偏光変換と散乱による偏光変換のバランスは、複屈折性結晶の大きさ、複屈折性結晶の複屈折値、複屈折性結晶と光学樹脂との相対屈折率差などにより適宜調整することが可能である。
【0058】
複屈折性結晶の複屈折値は複屈折性結晶の種類によって決まり、複屈折性結晶と光学樹脂との相対屈折率差は複屈折性結晶と光学樹脂の組み合わせにより決まる。例えば、複屈折性結晶のサイズを大きくしたり、複屈折性結晶と光学樹脂との相対屈折率差を大きくすることにより、散乱による偏光変換効果を大きくすることができる。また、複屈折性結晶の複屈折値を大きくすることにより、複屈折性結晶を透過する際の偏光変換作用を強めることができる。
【0059】
更に、偏光変換による偏光度低下とは別の一般的な要請として、導光板の出射面からの出射強度が十分に均一であることが望まれている。この一般的要請についても、複屈折性結晶の大きさ、複屈折性結晶の複屈折値、複屈折性結晶と光学樹脂との相対屈折率差に加え、複屈折性結晶の濃度、導光体の形状などを調整することで設計的に解決することができる。
【0060】
偏光度低下材料のマトリックスを構成する光学樹脂としては、上記の例で使用したポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル系樹脂、ポリスチレンに代表されるスチレン系樹脂、ポリカーボネートに代表されるポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂(例えば日本ゼオン株式会社製 ゼオノア(登録商標)、ゼオネックス(登録商標)、JSR 株式会社製 アートン(登録商標))、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。本発明では、これら樹脂の他、透明性、成形性が十分であればあらゆる樹脂が偏光度低下材料のマトリックスとして使用可能である。
【0061】
複屈折性結晶の種類としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸コバルト、炭酸亜鉛、炭酸バリウムなどの種々の炭酸塩、酸化チタンに代表される種々の酸化物、MgSO4・5Mg(OH)2・3H2O、6CaO・6SiO2・H2O、9Al2O3・2B2O3などの複屈折性ウィスカーなどが挙げられ、本発明ではこれら屈折性結晶を含む種々のものが利用可能である。
【0062】
複屈折性結晶微粒子の幾何学的な形状についても特に制約はなく、球形、直方体、立方体、四面体、八面体、棒状、針状、円錐状、四角錐状、円柱状、円盤状、板状などあらゆる形状のものが利用可能である。結晶系の観点から言えば、立方晶系以外の結晶は光学的異方性を有する複屈折性の結晶であり、正方晶系、六方晶系および菱面体晶系は一軸性複屈折性結晶、斜方晶系、単斜晶系および三斜晶系は二軸性複屈折性結晶であるので、これらに属するものは利用することができる。また、複屈折性結晶は単結晶であっても良いし、多結晶であっても良い。
【0063】
複屈折性結晶の複屈折値(2軸性結晶では、各軸の最大屈折率と最小屈折率の差)についても特に制約はないが、0.001以上であることが望ましく、0.005以上であることがさらに望ましい。複屈折性結晶は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などにより表面処理されていても良い。これらの表面処理剤に限らず、種々の公知の表面処理方法を利用することも可能である。
【0064】
本発明で用いる偏光度低下材料の製造方法についても特に制約はない。例えば、マトリックスとなる光学樹脂を合成する重合反応の開始前、あるいは重合反応開始後且つ終了前に、複屈折性結晶微粒子を混入する方法を採用することができる。即ち、高分子樹脂の原料となるモノマーに、添加剤として複屈折性結晶を混入して十分に分散させた後、重合反応を進行させることで内部に複屈折性結晶が乱雑さをもった配向状態で均一に分散した樹脂材料(偏光度低下材料の)を得ることができる。なお、この重合過程にあっては、複屈折性結晶はモノマーの重合反応に関与しない。
【0065】
他の製造方法としては、高分子樹脂材料の加熱溶融物に対して複屈折性結晶を添加し、これを混練する過程を通して光学樹脂中に複屈折性結晶を分散させる方法もある。この方法に基づいて十分に混練がなされた材料は、製品化に備え、適当な手段によってペレット化されることが好ましい。ペレット化された混練生成物は、射出成形、押出成形等の通常の成形技術によって種々の形状に成形加工され得る。
【0066】
上記基本実施形態で説明したように、このようにして製造される偏光度低下材料は、面光源装置の導光板に適用して高い有用性を発揮するものであるが、その偏光度低下機能を生かして、導光板以外の光学素子の構成材料に採用することもできる。例えば、次のような適用が考えられる。
【0067】
(i)例えば図4の配置において、導光板ではなく、プリズムシート内部に複屈折性結晶微粒子を添加する。
(ii)例えば図4の配置において、反射シート表面に複屈折性結晶を添加したコーティング層を形成する。
(iii)例えば図4の配置において、複屈折性結晶を添加した光学樹脂フィルムを導光体と反射型偏光板の間のいずれかの場所に配置する。
これらのケースでは、各光学素子乃至要素に導光板ほどの厚さがないため、その偏光変換効果(偏光度低下作用)はやや劣ることになるが、複屈折性結晶を添加していない従来品を使用した場合に比してかなりの性能改善を図ることが可能になる。特に、これらを組み合わせて用れば、その効果は高まる。また、複屈折性結晶微粒子を添加した導光板と、上記(i)〜(iii)の1つまたは複数を組み合わせて採用することも可能である。なお、各種の実例については、以下の実施例で触れる。
【0068】
[第1実施例]
MMA (メチルメタクリレート)に、長軸方向に沿った長さが約20μm 、太さ約2μm のアラゴナイト系炭酸カルシウム針状結晶を0.01wt% 添加し、均一に分散させた上で、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO) 0.5wt% 、連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプタン(n−BM)0.2wt% を添加し、70℃で20時間注型重合することにより、楔形の複屈折性結晶添加導光板を作製した。
導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚肉部2.4mm、薄肉部0.6mmとした。また、炭酸カルシウムの代わりに粒径約7μm のシリコーン球状微粒子を0.1wt% 添加し、同様な方法で比較用の導光板Aを作製した。これらの導光板を用いて、図5に示すような配置でバックライト用の面光源装置(以下、単にバックライトとも言う)を作製し、その明るさを評価した。
【0069】
明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST )を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。反射シートには、銀蒸着したタイプで、反射率が約80% のものを使用した。プリズムシートは、シートの導光板側の面に、頂角約65度、周期が約50μm のプリズム列が冷陰極管に平行な方向に形成されたものを用いた。
【0070】
図5に示した配置で複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトも、複屈折性結晶添加導光板の代わりに比較用導光板Aを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。また、導光体内部での偏光変換機能を評価するため、図5の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。
【0071】
これらの輝度の測定結果を表1として、図5中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、主に導光板により偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトの方が比較用導光板Aを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0072】
[第2実施例]
ポリメチルメタクリレートのペレット(旭化成製、デルペット80N)に長さ約20μm 、太さ約2μm の炭酸ストロンチウム針状結晶を0.03wt% 添加し、ミキサーで混合分散させた後、押出機でストランド状に押し出し、ペレタイザーでペレット化することにより、炭酸ストロンチウム針状結晶が均一に乱雑さをもった配向状態で分散されたペレットを調整した。
【0073】
このペレットを射出成形機を用いシリンダー温度230℃〜260℃、型温度50℃の条件で成形し、平板状の複屈折性結晶添加導光板を作製した。導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚さ2.5mmとした。また、炭酸ストロンチウムの代わりに粒径約7μm のシリコーン球状微粒子を0.3wt% 添加し、同様な方法で比較用の導光板Bを作製した。
【0074】
これらの導光板を用いて、図6に示すような配置でバックライトを作製し、その明るさを評価した。明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST )を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。
【0075】
反射シートには、銀蒸着したタイプで、反射率が約80%のものを使用した。プリズムシートは、シートの導光板側の面に、頂角約66度、周期が約50μm のプリズム列が冷陰極管に平行な方向に形成されたものを用いた。図6のような配置で複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトも、複屈折性結晶添加導光板の代わりに比較用導光板Bを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。
【0076】
明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。
また、導光体内部での偏光変換機能を評価するため、図6の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。輝度の測定結果を表2として、図6中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、主に導光板により偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0077】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトの方が比較用導光板Bを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0078】
[第3実施例]
MMA (メチルメタクリレート)に粒径約1μm のカルサイト系炭酸カルシウム結晶を1.5wt% 添加し、均一に分散させた上で、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO) 0.5wt% 、連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプタン(n−BM)0.2wt% を添加し、70℃で20時間注型重合することにより、平板状の複屈折性結晶添加導光板を作製した。導光板の大きさは、縦307.1mm、横232.5mm、厚さ2.5mmとした。また、炭酸カルシウムの代わりに粒径約2μm のシリコーン球状微粒子を0.4wt% 添加し、同様な方法で比較用の導光板Cを作製した。これらの導光板を用いて、本願の考案に基づき図7に示すような構成のバックライトを作製し、その明るさを評価した。
【0079】
明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST )を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。
反射板は、銀蒸着したタイプで、反射率が約80%のものを使用した。図7のような配置で複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトも、複屈折性結晶添加導光板の代わりに比較用導光板Cを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。
【0080】
明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。
また、導光体内部での偏光変換機能を評価するため、図7の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。輝度の測定結果を表3として、図7中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、主に導光板により偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0081】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトの方が比較用導光板Cを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0082】
なお、図7のバックライトでは、導光板への一次光の取入れを導光板の背面(一方のメジャー面)全体から行なっているため、基本実施形態などと光の挙動に若干の差異がある。この点について、簡単に捕捉しておく。
【0083】
図7の配置では、1次光を供給するランプは、レフレクターとともに導光板の背面側に配置されている。そのため、ランプが点灯されると、一次光が導光板の背面から導光板内に導入される。導光板内に導入された光は、内部で若干の散乱作用を受けた後、もう1つのメジャー面である出射面(液晶表示パネル側の面)から出射され、プリズムシートを経て、反射型偏光フィルムに入射する(初回の入射)。なお、一次光は一般に自然光に近いので、前述した通り、S偏光に変換する作用とS偏光をP偏光に変換する作用が相殺して特に大きな偏光状態の変化は起らない。
【0084】
反射型偏光フィルムの配向は、液晶表示パネルの背面側から入射する光のP偏光成分が透過成分となり、S偏光成分が非透過成分となるように選ばれている。
非透過成分(S偏光成分)は殆ど吸収されることなく、導光板側へ反射され、戻り光となる。戻り光の多くは、プリズムシートを再通過(逆進)し、導光板内に再入射する。この戻り光の多くは、「導光板内部→導光板背面→ランプ背後のレフレクター→導光板背面→導光板内部→導光板出射面→プリズムシート」、あるいは、「導光板内部→導光板背面→導光板内部→導光板出射面→プリズムシート」の経路を通り、反射型偏光板に再入射する。
【0085】
この再入射の時点では、戻り光の多くを占めていた「光フィルムを透過できなかった偏光成分(S偏光成分)」の割合が低減され、自然光に近い偏光状態となっている。自然光に近い状態にある再入射光は、ほぼその半分は反射型偏光フィルムを透過することができる透過偏光成分(P偏光成分)であるから、液晶表示パネルへ供給され、表示光に有効利用される。残りのほぼ半分を占める非透過偏光成分(S偏光成分)は、再度反射され、再び戻り光となって導光板へ向かうことになる。このような過程の繰り返しにより、反射型偏光板を透過するP成分の光の量は等比級数的に積算される。その結果、無駄になる光が大幅に減り、液晶ディスプレイの表示輝度を向上させることができる。このようにして、上記測定結果(表3)が得られたものと考えられる。
【0086】
[第4実施例]
MMA (メチルメタクリレート)に粒径約1μm のカルサイト系炭酸カルシウム結晶を1.5wt% 添加し、均一に分散させた上で、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO) 0.5wt% 、連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプタン(n−BM)0.2wt% を添加し、70℃で20時間注型重合することにより、平板状の複屈折性結晶添加導光板を作製した。導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚さ1.0mmとした。
【0087】
また、炭酸カルシウムの代わりに粒径約2μm のシリコーン球状微粒子を0.4wt% 添加し、同様な方法で比較用の導光板Dを作製した。これらの導光板を用いて、本願の考案に基づき図8に示すような構成のバックライトを作製し、その明るさを評価した。この構成では、冷陰極管および反射シート、複屈折性結晶添加導光板で囲まれた空間には、特に部材を配置せず、空気層となっている。
【0088】
明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST ) を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。
【0089】
反射板は、銀蒸着したタイプで、反射率が約80%のものを使用した。図8のような構成の複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトも、複屈折性結晶添加導光板の代わりに比較用導光板Dを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。
【0090】
また、導光体内部での偏光変換機能を評価するため、図8の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。輝度の測定結果を表4として、図8中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、主に導光板により偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0091】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトの方が比較用導光板Dを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0092】
[第5実施例]
MMA (メチルメタクリレート)に粒径約1μm のカルサイト系炭酸カルシウム結晶を2.0wt% 添加し、均一に分散させた上で、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO) 0.5wt% 、連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプタン(n−BM)0.2wt% を添加し、70℃で20時間注型重合することにより、平板状の複屈折性結晶添加導光板を作製した。導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚さ0.5mmとした。
【0093】
また、炭酸カルシウムの代わりに粒径約2μm のシリコーン球状微粒子を0.6wt% 添加し、同様な方法で比較用の導光板Eを作製した。これらの導光板を用いて、本願の考案に基づき図9に示すような構成のバックライトを作製し、その明るさを評価した。この構成では、冷陰極管および反射型偏光フィルム、複屈折性結晶添加導光板で囲まれた空間には、特に部材を配置せず、空気層となっている。
【0094】
明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST ) を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。
【0095】
反射板は、銀蒸着したタイプで、反射率が約80%のものを使用した。図9のような構成の複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトも、複屈折性結晶添加導光板の代わりに比較用導光板Eを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。
【0096】
明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。また、導光体内部での偏光変換機能を評価するため、図9の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。輝度の測定結果を表5として、図9中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、主に導光板により偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0097】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトの方が比較用導光板Eを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0098】
[第6実施例]
MMA (メチルメタクリレート)に粒径約1μm のカルサイト系炭酸カルシウム結晶を1.0wt% 添加し、均一に分散させた上で、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO) 0.5wt% 、連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプタン(n−BM)0.2wt% を添加し、70℃で20時間注型重合することにより、厚さ0.5mmのプリズムシートを作製した。
同プリズムシートは、その導光板側の面に、頂角約65度、周期が約50μm のプリズム列が冷陰極管に平行な方向に形成されたものである。また、炭酸カルシウムの代わりに粒径約2μm のシリコーン球状微粒子を0.15wt% 添加し、同様な方法で同形状、同サイズの比較用のプリズムシートFを作製した。
【0099】
導光板については、MMA に粒径約7μm のシリコーン球状微粒子を0.1wt% 添加し、均一に分散させた上で、ラジカル重合開始剤としてBPO 0.5wt% 、連鎖移動剤としてn−BM 0.2wt% を添加し、70℃で20時間注型重合することにより、楔形導光板を作製した。これは従来より使用されているタイプの導光板である。導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚肉部2.4mm、薄肉部0.6mmとした。
【0100】
先述のプリズムシートと導光板を用いて、図10に示すような構成のバックライトを作製し、その明るさを評価した。明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST ) を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。
【0101】
反射シートには、銀蒸着したタイプで、反射率が約80%のものを使用した。
図10のような構成の複屈折性結晶添加プリズムシートを用いたバックライトも、複屈折性結晶添加プリズムシートの代わりに比較用プリズムシートFを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。また、プリズムシート内部での偏光変換機能を評価するため、図10の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。
【0102】
輝度の測定結果を表6として、図10中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムによりプリズムシート側に戻された偏光成分が、偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0103】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加プリズムシートを用いたバックライトの方が比較用プリズムシートFを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0104】
[第7実施例]
ポリメチルメタクリレートのペレット(旭化成製、デルペット(登録商標)80N)に粒径約2μm のカルサイト系炭酸カルシウム結晶を15wt% 添加し、ミキサーで混合分散させた後、押出機でストランド状に押し出し、ペレタイザーでペレット化することにより、炭酸カルシウム結晶が均一に乱雑さをもった配向状態で分散されたペレットを調整した。
【0105】
このペレットを押出成形機を用いシリンダー温度230℃〜260℃で溶融し、Tダイを用いてシート状に成形した。得られたシートを導光板の大きさに合わせて切断し、複屈折性結晶添加反射シートとした。導光板は、ポリメチルメタクリレートに粒径約7μm のシリコーン球状微粒子を0.3wt% 添加することにより作製した従来タイプのものを用いた。導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚さ2.5mmとした。
【0106】
これらを用いて、図11に示すような構成のバックライトを作製し、その明るさを評価した。また、比較用として、複屈折性結晶添加反射シートの代わりに市販の白色反射シートを用いたバックライトの明るさを評価した。明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST ) を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。プリズムシートは、シートの導光板側の面に、頂角約65度、周期が約50μm のプリズム列が冷陰極管に平行な方向に形成されたものを用いた。
【0107】
図11のような構成の複屈折性結晶添加反射シートを用いたバックライトも、複屈折性結晶添加反射シートの代わりに市販の白色反射シートを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。
【0108】
また、複屈折性結晶添加反射シートを用いたバックライトによる偏光変換機能を評価するため、図11の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。輝度の測定結果を表7として、図11中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。
これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0109】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加反射シートを用いたバックライトの方が市販の白色反射シートを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0110】
[第8実施例]
ポリメチルメタクリレートのペレット(旭化成製、デルペット(登録商標)80N)を、射出成形機を用いシリンダー温度230℃〜260℃、型温度50℃の条件で成形して、平板状の導光板を作製した。導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚さ2.5mmとした。そして、この導光板の一方のメジャー面(背面)に、偏光度低下材料からなる拡散反射要素を多数のドット形態で分布形成した。そのための具体的な手法は下記の通りである。
【0111】
先ず、メチルメタクリレートに粒径5μm のカルサイト系炭酸カルシウム結晶を20wt% 添加し、均一に分散させた上で、UV重合開始剤としてベンゾインメチルエーテル1.0wt% を添加した溶液を調整した。この溶液を上記の導光板の背面にドット状に置き、UV光を照射することにより硬化させた。これにより、ドット状に分布した複屈折性結晶添加樹脂層を形成した。出射面内の輝度分布が実質的に一様になるように、ドットの密度は冷陰極管からの距離が大きくなるほど高くなるようにした。
【0112】
この導光板をここでは複屈折性結晶添加樹脂層付導光板と呼ぶ。この複屈折性結晶添加樹脂層付導光板を用いて図12に示すような構成のバックライトを作製し、その明るさを評価した。比較用として、市販の白色インクを同様なドット状に印刷した導光板の明るさを評価した。明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST ) を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。
【0113】
また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。
【0114】
反射シートには、銀蒸着したタイプで、反射率が約80%のものを使用した。
プリズムシートは、シートの導光板側の面に、頂角約66度、周期が約50μm のプリズム列が冷陰極管に平行な方向に形成されたものを用いた。図12のような構成の複屈折性結晶添加樹脂層付導光板を用いたバックライトも、複屈折性結晶添加樹脂層付導光板の代わりに市販の白色インクをドット状に印刷した導光板を用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。
【0115】
明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。
また、複屈折性結晶添加樹脂層付導光板を用いたバックライトによる偏光変換機能を評価するため、図12の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。輝度の測定結果を表8として、図12中に併記した。
【0116】
どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0117】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加樹脂層付導光板を用いたバックライトの方が市販の白色インクをドット状に印刷した導光板を用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0118】
【発明の効果】
本発明により、樹脂材料をベースにして、入力光の偏光度を高効率で低下させる各種の光学素子、例えば、液晶ディスプレイのバックライティングに用いる面光源装置で使用される導光板、プリズムシートなどが得られる。また、そのような光学素子を用いて、リサイクル的なプロセスで効率よく自然光に近い光を出力する機能を持つ面光源装置を提供し、そのような面光源装置を用いて、照明光の利用効率に優れた液晶ディスプレイを提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶パネルと一般的なバックライトの構造を示した図である。
【図2】反射型の偏光フィルムを利用したバックライト方式の液晶ディスプレイの従来構造を例示した図である。
【図3】偏光度低下材料の作用について説明する図で、(a)のグラフは、ポリメチルメタクリレート中に非複屈折性の微粒子材料として等方性のシリコーン微粒子(平均粒径7μm )を0.10wt% の添加濃度で均一分散させた試料について、偏光変換の起こり方を測定した結果を表わし、(b)のグラフは、同じポリメチルメタクリレート中に複屈折性の微粒子材料として、炭酸カルシウム結晶微粒子(針状、長径約20μm)を0.212wt%の添加濃度で均一分散させた試料について、偏光変換の起こり方を測定した結果を表わしている。
【図4】本発明の基本実施形態に係る液晶ディスプレイの配置を示した図である。
【図5】本発明の第1実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図6】本発明の第2実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図7】本発明の第3実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図8】本発明の第4実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図9】本発明の第5実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図10】本発明の第6実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図11】本発明の第7実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図12】本発明の第8実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状、フィルム状、シート状等の形態を持つ偏光度低下型光学素子、特に、偏光度低下型の導光体及びプリズムシートに関し、また、それら偏光度低下型光学素子を用いた面光源装置、並びに、同面光源装置を照明手段に用いた液晶ディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学を応用した照明装置、あるいは、それを照明手段に用いた液晶ディスプレイなどの分野において、偏りのある光を入力し、該入力された光の偏光度を低下させて光を出力する機能を持つ偏光度低下型の光学素子に対するニーズが生まれている。特に、安価で大量生産に適した樹脂材料をベースに使用してそのような偏光度低下型光学素子を得ることができれば、そのメリットは極めて大きいと考えられる。中でも、液晶ディスプレイ用の面光源装置で使用される導光板あるいは機能性のフィルム状要素(例えばプリズムシート、光拡散シート)への応用が期待されるところである。
【0003】
このような偏光度低下型光学素子の応用可能性を説明するための前提として、従来の液晶ディスプレイ用バックライトとして用いられる面光源装置について、図1を参照して簡単に説明しておく。図1は、液晶パネルと一般的なバックライトの構造を示したもので、一次光の供給方式としてはいわゆるエッジライト型(サイドライト型ともいう)のものを例示した。同図に示したように、液晶ディスプレイは、液晶表示パネル(液晶表示部)と液晶表示パネルを背面側から照明する面光源装置で構成されている。
【0004】
面光源装置の通常の構成要素は、導光板、ランプ(一次光源)、ランプリフレクター、反射シート、プリズムシートなどであり、この他に、拡散シートなどの機能性フィルムを適宜配置することもある。ランプが点灯されると一次光が導光板の端部から導光板内に導入される。導光板内に導入された光は、2つのメジャー面である出射面(液晶表示パネル側の面)と背面(液晶表示パネルとは反対側の面)で内部反射を繰り返しつつ末端側へ伝播していく。この内部伝播の過程で出射面から徐々に光が出射され、プリズムシートを経て液晶表示パネルに供給される。
【0005】
周知のように、この出射を促すために、導光板には内部に散乱能を与えたり、背面に光拡散インクをプリントするなどの工夫が施され、更に、導光板の末端側での輝度低下を防止するために、導光板は断面が楔形状となるように成形されている。また、プリズムシートは、前方に傾斜して導光板から出射する光の方向特性を修正し、液晶表示パネルにほぼ垂直な方向から照明光が供給されるようにする。反射シートは、導光板の背面側から漏れ出た光を反射し、導光板へ戻す作用を果たす。これにより、導光板の背面側からの漏光により光の損失を防止する。
【0006】
液晶パネルは、その背面側(照明光入射側)と前面側(表示光出射側)にそれぞれ偏光板(偏光フィルムとも言う;以下、同じ)を有している。各偏光板には、沃素や染料などを用いたものが広く用いられており、周知のように、入射光の内、偏光板の偏光軸(透過軸ともいう)に平行な成分の光を透過させる一方、偏光軸に直交する成分の光を吸収してしまう。偏光軸の空間での方向は、偏光板の配向によって変わるが、図1に示した例では、偏光軸が液晶表示パネルの背面側から入射する光のP偏光成分が透過成分となり、S偏光成分が非透過成分(吸収成分)となるように配向されている。
【0007】
このような偏光板を用いた場合、自然光(非偏光)を入射させた場合の透過率は原理的に50%を越えられない。従って、この偏光板による吸収損失は、液晶ディスプレイの光利用効率の向上を阻害する1つの要因となる。そこで、この要因を除去すべく、偏光軸に平行な成分の光を透過させる一方、偏光軸に直交する成分の光を反射する特性を持った偏光板(いわゆる反射型偏光フィルム)が開発され、市販されている。図2に示したように、この反射型の偏光フィルムは、偏光軸成分の光を透過し、偏光軸に直交する成分の光を反射する機能を有している。なお、図2に示した例でも、反射型の偏光フィルムの配向は、液晶表示パネルの背面側から入射する光のP偏光成分が透過成分となり、S偏光成分が非透過成分となるように選ばれている。但し、非透過成分は殆ど吸収されることなく、導光板側へ反射される。
【0008】
このような反射型偏光フィルムにより反射された成分の光の多くは、いわゆる戻り光となって、導光板内に再入射する。ここで、この戻り光の大半は、偏光フィルムを透過できなかった偏光成分で占められている。このような偏りに富んだ戻り光は、導光板内で両メジャー面や、反射シートによる反射、導光板への入射あるいは導光板からの出射に際しての屈折、導光板内部での散乱などの作用を受け、進行方向が変えられるとともにその偏光状態が変化する。その後、導光板の出射面から出射され、再度反射型偏光フィルムに再入射する。
【0009】
この時点で、偏光状態は、反射型偏光フィルムで反射された直後と比較して変化している。即ち、偏りの程度が若干緩和され、自然光に多少近づいた状態にある。従って、再入射光の一部は反射型偏光フィルムを透過することができる透過偏光成分である。残りの非透過偏光成分は、再度反射され、再び戻り光となって導光板へ向かうことになる。このような過程の繰り返しにより、吸収型偏光板を透過するP偏光成分の光の量は増大することになる。その結果、無駄になる光が減り、液晶ディスプレイの表示輝度を向上させることができる。
【0010】
反射型偏光フィルムによる輝度の向上率は、反射光の偏光方向を偏光(透過)軸方向に変換する効率、導光体に再入射した光を導光体内部あるいは表面、または反射シートなどによって進行方向を変えて、反射型偏光フィルムへ再入射させる効率に依存する。既に触れたように、従来の導光体を大別すると、導光体表面に白色のドット印刷または微細で不規則な凹凸を施し、表面で光を散乱・乱反射させる方式のもの、導光体内部に導光体の母材とは異なる屈折率を有する微粒子を添加し、導光させながら光を散乱させる方式のものがある。
【0011】
いずれのタイプの導光板も光学的にほぼ等方性であり、多少の非複屈折性はあっても、このような材料中を短い距離導光しただけでは、散乱等による偏光成分の効率的な変換は起こらない。材料表面での反射により、ブルースター角近辺のようなある条件下では光の偏光状態は大きな変換を受ける。しかし、バックライトのような構成では、導光体表面において幅広い入射角での反射が起こりえるため、全体的な偏光変換効果はそれほど大きくない。従って、反射型偏光フィルムの機能を十分に活用しているとは言えない。
【0012】
更に、反射型偏光フィルムとしては、特許文献1に開示されているように、コレステリック液晶を用いて、一方の(例えば右)円偏光を透過させ、他方の(例えば左)円偏光を反射する方式のものもある。このような方式の反射型偏光フィルムにおいても、反射された光の偏光成分の一部を透過する偏光成分に変換するという点においては同様であるので、上述の議論と同様なことが言える。
【0013】
また、図2と同様な配置において、非透過偏光成分を導光板側への戻り光に変換する機能を持つ偏光フィルムも提案されている(特許文献2参照)。
【0014】
これは、樹脂マトリックスに複屈折性結晶微粒子を添加した偏光フィルムで、非透過偏光成分を散乱光の形態で戻り光を生じさせるもので、散乱型偏光フィルムとも呼ばれる。この散乱型偏光フィルムにおいても、戻り光の偏光成分の一部を透過する偏光成分に変換するという点においては同様であるので、やはり上述の議論と同様なことが言える。
【0015】
なお、この技術は、複屈折性結晶を光学樹脂中に添加するという点においては本願と共通しているが、樹脂中の複屈折性結晶を特定方向に配向させること、複屈折性結晶と光学樹脂の間に屈折率の整合性と不整合性を同時に併存させることを構成要件としている点で本質的に異なる。また、光学的な機能の面で見ても、散乱型偏光フィルムは、自然光を入射させたときに、ある方向の直線偏光を透過させ、それに直交する成分を散乱させることにより入射側に戻す偏光板としての機能を提供するもので、本願発明とは全く異なる技術であることがわかる。
【0016】
【特許文献1】
特開2001−311826号公報
【特許文献2】
特願2001−52145号
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、非透過偏光成分を戻り光に変換する機能を持つ偏光フィルム(あるいは偏光板)を用いることで、ある程度の性能改善は期待できる。しかし、戻り光を受ける側の光学素子(導光板、プリズムシートなど)の偏光成分変換機能が十分でないのが実状であった。即ち、従来技術では、偏りに富んだ戻り光を効率よく自然光に近付ける機能に欠けており、そのため、戻り光のリサイクル利用が不十分で、液晶表示パネルの照明に要する消費電力を低減させる障害となっていた。また、液晶ディスプレイへの応用に限らず、一般の光学分野において、「偏りのある入力光を効率よく自然光に近付ける機能を持った素子」には種々の応用可能性が期待されるところである。
【0018】
そこで、本発明の1つの目的は、樹脂材料をベースにしてそのような機能を持つ光学素子、例えば、液晶ディスプレイのバックライティングに用いる面光源装置で使用される導光板、プリズムシート、を提供することにある。また、本発明のもう1つの目的は、そのような光学素子を用いて、「偏りのある入力光を効率よく自然光に変換して出力する機能を持つ面光源装置」を提供することにある。
本発明の更にもう1つの目的は、そのような面光源装置を用いて、照明光の利用効率に優れた液晶ディスプレイを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、先ず、偏りのある光を入力し、該入力された光の偏光度を低下させて光を出力する偏光度低下型光学素子を提供する。この偏光度低下型光学素子は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、端部から一次光を入力し、メジャー面から照明光を出力する偏光度低下型導光板に適用することができる。この偏光度低下型導光板は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなり、前メジャー面は、偏りのある光を入力する面としても機能し、メジャー面から入力された偏りのある光を内部でその偏光度を低下させた後、メジャー面から出力することを特徴とする。
【0021】
更に本発明は、2つのメジャー面を有する偏光度低下型プリズムシートにも適用される。この偏光度低下型プリズムシートは、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなり、2つのメジャー面の内の少なくとも一方は、偏りのある光を入力する面としても機能し、入力された偏りのある光を内部でその偏光度を低下させた後、入力されたメジャー面とは反対側のメジャー面から出力することを特徴とする。
【0022】
次に、本発明は、第1のメジャー面と第2のメジャー面を有し、光取入部から一次光を取り入れ、第1のメジャー面から照明光を出力する導光板と、一次光の供給のための一次光源と、第1のメジャー面に沿って配置された偏光フィルムとを含む面光源装置に適用される。ここで、偏光フィルムは、照明光に含まれる透過偏光成分を透過し、非透過偏光成分を導光板側に向かう戻り光に変換する機能を有するものが採用される。本発明の特徴に従った面光源装置はいくつかの形態をとり得る。
【0023】
1つの形態においては、導光板は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなる偏光度低下型導光板である。そして、戻り光は、偏光度低下型導光板の内部でその偏光度を低下させられた後、第1のメジャー面から出力される。
もう1つの形態においては、第1のメジャー面と偏光フィルムとの間にプリズムシートが配置される。このプリズムシートは、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなる偏光度低下型プリズムシートであり、戻り光は、偏光度低下型プリズムシートを通過する際に、その偏光度を低下させる。
【0024】
更にもう1つの形態においては、第2のメジャー面側に光拡散体が設けられる。この光拡散体は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなる偏光度低下型光拡散体であり、前記第2のメジャー面を通して偏りのある光が導光板に入力される直前及び導光板から出力された直後に、偏りのある光の偏光度が偏光度低下型光拡散体によって低下させられる。ここで、この偏光度低下型光拡散体は、第2のメジャー面上に、導光板と一体に形成することができる。あるいは、偏光度低下型光拡散体は、第2のメジャー面に沿って配置された拡散反射シートとして機能するものであっても良い。
【0025】
上記の諸形態の面光源装置において、導光板の光取入部を導光板の端部に設け、一次光源を端部から一次光が導光板内に取入れられるように配置することができる。あるいは、導光板の第2のメジャー面が光取入部を提供するようにし、一次光源を第2のメジャー面を通して一次光が導光板内に取入れられるように配置しても良い。但し、この配置は、導光板の第2のメジャー面に沿って反射シートあるいは拡散反射シートを配置するケース、及び、偏光度低下型光拡散体を第2のメジャー面上に導光板と一体に形成するケースには適していない。
そして、本発明は上述の諸形態の面光源装置を照明手段と用いることで、照明光の利用効率に優れた液晶ディスプレイを提供するものでもある。
【0026】
上記したように、本発明は、「樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子を有する材料」が基本的な技術手段として用いられている。このような材料内で、偏りのある光の偏光度が低下する理由は概略次のように説明できる。なお、本明細書ではこの材料のことを「偏光度低下材料」と呼ぶことにする。
【0027】
偏光度低下材料に入射した光は、乱雑さをもって配向した多数の複屈折性結晶の持つ複屈折性により、その偏光状態が乱される。ミクロのレベルで考察すると、複屈折性結晶に入射した光は、同結晶の誘電率の主軸に沿った方向の平面上で互いに直交する2つの偏光成分に分かれる。それぞれの偏光成分に対する屈折率が異なるために、結晶中を伝搬する間に、それぞれの偏光成分間に位相差が生じる。光が結晶から出射する時には、両成分は合成され一つの偏光となるが、伝搬中に生じた位相差のため、入射時の偏光状態とは異なる偏光状態となる(偏光変換作用)。この偏光状態の変化は、光が入射した結晶の大きさ、結晶への入射角度等に依存する。
【0028】
ここで、偏光度低下材料中には数多くの微細な結晶微粒子が、乱雑な方向を向いて存在していることを考慮すると、同材料に対して一定の方向から光を入射させ、内部を伝搬させた場合でも、結晶の誘電率の主軸に対する入射・伝搬の方向は、多様なものとなる。そのため、マクロに見れば、偏光度低下材料中に入射した光は、ほぼランダムな偏光変換作用を受けることになり、自然光(非偏光)に近づいていく。換言すれば、偏光度低下材料は偏よった光の偏光状態をかきまぜるスクランブラとして作用する。
【0029】
複屈折性結晶を透過する際の偏光状態の変換は上記のようにして起るが、偏光状態のかき乱しは、光学樹脂中に添加した複屈折性結晶によって光が散乱される過程でも起こる。結局、本発明で用いる偏光度低下材料中では、複屈折性結晶中の透過の過程と同結晶による散乱の過程の双方を通して、偏光変換による偏光度低下が達成されることになる。この作用は、後述する実験でも明らかにされるように、多数の非複屈折性の粒子による散乱によって起る偏光状態のスクランブリング(かき乱し)よりもはるかに強い。
【0030】
なお、このような偏光度低下スクランブラとしての作用を考えた場合、本発明で使用される偏光度低下材料に要求される「樹脂マトリックス中の結晶微粒子の配向の乱雑さ」は、「いかなる配向秩序も実質的に存在しない」とような極限的なものでなくても良いことは明白である。即ち、樹脂マトリックス中に分散された多数の結晶微粒子の内のかなりの部分が配向秩序を有していたとしても、残りの結晶微粒子に配向の乱雑さによって、入力光の偏光度を実質的に低下させることはできる。
【0031】
例えば、実際に導光板等の光学素子を製造する際には射出成形や押出成形などが適用されるが、その過程で流動状態の樹脂材料中に複屈折性結晶微粒子が共存する状態を経験することになる。そのため、複屈折性結晶微粒子の幾何学的な形状が等方的でない場合(例えば針状形状)に、射出成形に用いる金型のゲート付近や押出成形に用いるノズル付近などで、樹脂の流れの影響を受けて複屈折性結晶微粒子に配向秩序が生じることになる。この時生じた配向秩序は、固化後の最終製品にも一部残留する。
【0032】
しかし、このような配向秩序は一般にそれ程強いものでなく、「配向の乱雑さ」は十分に残る。また、もしも製品として得られた光学素子に、「配向の乱雑さの程度がかなり劣った領域」が局所的に存在したとしても、光学素子全体として実質的に偏光スクランブル作用が保持されていれば、実用に供することはできる。
【0033】
例えば、ある領域内で仮に均一な添加濃度Dで添加した複屈折性結晶微粒子の半分(50%=前者)が一定方向に配向し、残りの半分(50%=後者)が実質的にランダムな配向をとったとした場合を想定してみる(これらはかなり強い配向秩序である)。
【0034】
この場合、少なくとも、理想状態(完全ランダム配向状態)の同種の複屈折性結晶微粒子をD/2(半分)の添加濃度で分散させた場合と同程度の偏光スクランブル作用は期待できる筈である。なぜならば、一定方向に配向した複屈折性結晶微粒子は、ランダム配向状態にある複屈折性結晶微粒子に比べて透過による偏光スクランブル作用は一般に劣ると推測されるものの、ランダム配向状態にある複屈折性結晶微粒子によって生じる偏光スクランブル作用を打ち消してしまう理由は特に存在せず、また、散乱による偏光スクランブル作用も、樹脂マトリックスとの屈折率差などに応じてある程度は上乗せされると考えられるからである。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図3以下を参照して、いくつかの実施形態について述べるが、先ず、本発明の基本的な技術手段となっている偏光度低下材料について、その作用の実例を図3(a)、(b)を参照して説明しておく。図3(a)、(b)のグラフは、本発明で用いる複屈折性結晶微粒子を乱雑さをもった配向状態で樹脂マトリックス中に分散させた材料(偏光度低下材料)が、同樹脂マトリックスに非複屈折性結晶微粒子を乱雑さをもった配向状態で同程度の添加濃度条件で分散させた従来材料に比べてはるかに優れた偏光変換機能を示すかを例証するものである。
【0036】
先ず図3(a)のグラフは、ポリメチルメタクリレート中に非複屈折性の微粒子材料として等方性のシリコーン微粒子(平均粒径7μm )を0.10wt% の添加濃度で均一分散させた試料について、偏光変換の起こり方を測定した結果を表わしている。また、図3(b)のグラフは、同じポリメチルメタクリレート中に複屈折性の微粒子材料として、炭酸カルシウム結晶微粒子(針状、長径約20μm)を0.212wt%の添加濃度で均一分散させた試料について、偏光変換の起こり方を測定した結果を表わしている。
【0037】
両試料における微粒子材料の添加濃度は、重量濃度では異なっているが(0.10wt% と0.212wt%)、体積濃度は同一である。また、複屈折性結晶微粒子を添加した試料について、微粒子の配向を揃えるような処理は行なわず、従って、微粒子の配向はほぼランダムである。
【0038】
各測定試料の形状については、直径10mmの円柱状とした。そして、円柱状試料の側面から、中心軸に直交するように直線偏光のレーザー光を入射させた。入射光の偏光方向は中心軸方向になるようにした。この方向をV という文字で表し、V に直交する偏光方向をH という文字で表した。
【0039】
散乱光VVは、V 偏光を入射させ、各試料通過後に、V 方向の偏光板を透過させて測定した散乱光強度である。また、HVは、V 偏光を入射させ、各試料通過後に、H 方向の偏光板を透過させて測定した散乱光強度である。これら散乱光強度は、各グラフの縦軸に相対強度で表わした。スケールは、1.0E+00 を基準光強度として、10を底とする対数スケールを採用した。例えば1.0E+01 は基準光強度の10倍、1.0E−02 は基準光強度の100分の1を表わしている。また、各グラフの横軸は散乱角を表わし、入射方向に一致した透過方向をゼロ度としている。
【0040】
図3(b)のグラフから判るように、複屈折性微粒子を添加した試料では、散乱光強度の角度特性がVVとHVでほぼ同一になっている。これは、複屈折性結晶微粒子を添加した試料に入射した直線偏光がほぼ自然光(非偏光)に近い状態に変換されたことを意味する。つまり、この試料を構成する材料は、優れた偏光度低下材料であるということである。
【0041】
これに対して、図3(a)のグラフを見ると、非複屈折性結晶微粒子を添加した試料では、散乱光のHV成分がゼロではないことからある程度の偏光変換が起っていることは確かであるが、散乱光に含まれるHV成分はVV成分の100分の1程度でしかなく、偏光変換効果が非常に低いことは明白である。
【0042】
以上の測定結果から、複屈折性結晶微粒子を乱雑さをもった配向で分散させた材料では直径10mmの円柱を横切る程度の光路長でも十分な偏光変換効果が得られると考えられる。一方、等方性(非複屈折性)の微粒子ではそれより遥かに長い光路長がなければ十分な偏光変換効果が得られないと考えられる。
【0043】
もちろん、複屈折性結晶微粒子をほぼランダム配向で分散させた材料でも、添加濃度が小さい程、単位光路長当りの偏光変換効果は低下するが、上記試料における程度の添加濃度は導光板その他の光学素子の基本機能を損ねるような(例えば光透過率の極端な低下を伴うような)ものではない。
【0044】
[基本実施形態]
実際に、偏光度低下材料として、上記実験で図3(b)の結果を得た試料と同じ材料(ポリメチルメタクリレート中に炭酸カルシウム結晶微粒子(針状、長径約20μm)を0.212wt%の添加濃度で均一に、且つ、ほぼランダム配向で分散させた材料)を用いて断面楔形状の導光板を作製し、図4に示したように、図2と同様の配置で液晶ディスプレイを構成することができる。これを本発明の基本実施形態とする。
【0045】
図4に示した配置は、導光板として本発明の特徴を備えた上記材料からなるものを使用した点を除けば、図2に示した配置と同じである。
即ち、本実施形態の液晶ディスプレイは、液晶表示パネル(液晶表示部)と液晶表示パネルを背面側から照明するエッジライト型の面光源装置で構成されている。面光源装置は、上記偏光度低下材料からなる導光板、ランプ(一次光源)、ランプリフレクター、反射シート、プリズムシート及び反射型偏光フィルムで構成されている。この他に、拡散シートなどの機能性フィルムを適宜配置することもある。
【0046】
本実施形態に係る液晶ディスプレイのランプが点灯されると、一次光が導光板の端部から導光板内に導入される。導光板内に導入された光は、2つのメジャー面である出射面(液晶表示パネル側の面)と背面(液晶表示パネルとは反対側の面)で内部反射を繰り返しつつ末端側へ伝播していく。この内部伝播の過程で出射面から徐々に光が出射され、プリズムシートを経て、反射型偏光フィルムに入射する(初回の入射)。
【0047】
前述したように、反射型偏光フィルムは、偏光軸成分の光を透過し、偏光軸に直交する成分の光を反射する機能を有している。そして、反射型偏光フィルムの配向は、液晶表示パネルの背面側から入射する光のP偏光成分が透過成分となり、S偏光成分が非透過成分となるように選ばれている。
【0048】
そして、非透過成分(S偏光成分)は殆ど吸収されることなく、導光板側へ反射され、戻り光となる。戻り光の多くは、プリズムシートを再通過(逆進)し、導光板内に再入射する。この再入射は、導光板のいわゆる「出射面」、即ち、「一次光が光取入部(ここでは端部)から導入された後、最初に導光板から液晶表示パネルに向けて出射される時に通るメジャー面」に対して起る。
【0049】
この戻り光の大半は、偏光フィルムを透過できなかった偏光成分(S偏光成分)で占められている。
【0050】
このような偏りに富んだ戻り光は、導光板内に導入された後、種々の作用を受ける。先ず、前述したように、両メジャー面や、反射シートによる反射、導光板への入射あるいは導光板からの出射に際しての屈折による進行方向転換作用がある。更に、本発明に固有の作用として、導光板の内部に乱雑さをもった配向で均一分散した多数の複屈折性結晶微粒子(針状炭酸カルシウム)による作用を受ける。この作用には、上述の実験結果からも判るように、「散乱による進行方向転換作用」と「偏光変換による偏光度低下作用」が含まれる。
【0051】
これら作用により、戻り光の偏光度は導光板内で徐々に低下し、導光板の出射面から再出射される時点では自然光に近い光となっている。この第2回目の出射光は、プリズムシートを経て再度反射型偏光フィルムに入射する。
【0052】
自然光に近い状態にある再入射光は、ほぼその半分は反射型偏光フィルムを透過することができる透過偏光成分(P偏光成分)であるから、液晶表示パネルへ供給され、表示光に有効利用される。残りのほぼ半分を占める非透過偏光成分(S偏光成分)は、再度反射され、再び戻り光となって導光板へ向かうことになる。このような過程の繰り返しより、反射型偏光板を透過するP成分の光の量は等比級数的に積算される。その結果、無駄になる光が大幅に減り、液晶ディスプレイの表示輝度を向上させることができる。このようにして、本実施形態により、前述の従来技術の問題点が解決される。
【0053】
液晶用バックライトに用いられる導光板のサイズは、ノート型パーソナルコンピュータ用の場合で、最厚部で2〜3mm、最薄部で0.3〜0.5mm程度のくさび型のものが多く、15インチ以上の大型のものでも厚さ5〜10mm程度の平板のものが多い。図3(b)に示した実験結果から、この程度の厚さがあれば、導光板に再入射し、再度出射して反射型偏光板に向かう光は自然光にきわめて近い状態にあると考えて良い。
【0054】
なお、戻り光ではなく、最初に導光板内に導入された一次光に対しても、当然、多数の複屈折性結晶微粒子による偏光変換は起る。しかし、この一次光は一般に自然光に近い、余り偏りない光であるから、全体としては、P偏光をS偏光に変換する作用とS偏光をP偏光に変換する作用が相殺することになり、特に大きな偏光状態の変化は起らない。但し、もしも一次光に大きな偏りがあれば、導光板内部で偏光度の低下が起る。
【0055】
また、図4に示した配置では、非透過偏光成分を戻り光とするために反射型偏光フィルムを用いたが、これに代えて、前述した散乱型偏光フィルムを用いた場合でも同様の結果が得られることは言うまでもない。
【0056】
上記のように、この基本実施形態では、樹脂マトリックスはポリメチルメタクリレート、複屈折性結晶微粒子は長径約20μm の針状炭酸カルシウム結晶微粒子、添加濃度は0.212wt%とした偏光度低下材料を用いたが、これはあくまで一例である。そこで、本発明で用いる偏光度低下材料の一般事項について若干捕捉しておく。
【0057】
上記したように、複屈折性結晶微粒子による作用には、「散乱による進行方向転換作用」と「偏光変換による偏光度低下作用」が含まれるが、後者は複屈折性結晶を透過する過程で起るが、散乱を通しても起る。一般に、透過による偏光変換と散乱による偏光変換のバランスは、複屈折性結晶の大きさ、複屈折性結晶の複屈折値、複屈折性結晶と光学樹脂との相対屈折率差などにより適宜調整することが可能である。
【0058】
複屈折性結晶の複屈折値は複屈折性結晶の種類によって決まり、複屈折性結晶と光学樹脂との相対屈折率差は複屈折性結晶と光学樹脂の組み合わせにより決まる。例えば、複屈折性結晶のサイズを大きくしたり、複屈折性結晶と光学樹脂との相対屈折率差を大きくすることにより、散乱による偏光変換効果を大きくすることができる。また、複屈折性結晶の複屈折値を大きくすることにより、複屈折性結晶を透過する際の偏光変換作用を強めることができる。
【0059】
更に、偏光変換による偏光度低下とは別の一般的な要請として、導光板の出射面からの出射強度が十分に均一であることが望まれている。この一般的要請についても、複屈折性結晶の大きさ、複屈折性結晶の複屈折値、複屈折性結晶と光学樹脂との相対屈折率差に加え、複屈折性結晶の濃度、導光体の形状などを調整することで設計的に解決することができる。
【0060】
偏光度低下材料のマトリックスを構成する光学樹脂としては、上記の例で使用したポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル系樹脂、ポリスチレンに代表されるスチレン系樹脂、ポリカーボネートに代表されるポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂(例えば日本ゼオン株式会社製 ゼオノア(登録商標)、ゼオネックス(登録商標)、JSR 株式会社製 アートン(登録商標))、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。本発明では、これら樹脂の他、透明性、成形性が十分であればあらゆる樹脂が偏光度低下材料のマトリックスとして使用可能である。
【0061】
複屈折性結晶の種類としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸コバルト、炭酸亜鉛、炭酸バリウムなどの種々の炭酸塩、酸化チタンに代表される種々の酸化物、MgSO4・5Mg(OH)2・3H2O、6CaO・6SiO2・H2O、9Al2O3・2B2O3などの複屈折性ウィスカーなどが挙げられ、本発明ではこれら屈折性結晶を含む種々のものが利用可能である。
【0062】
複屈折性結晶微粒子の幾何学的な形状についても特に制約はなく、球形、直方体、立方体、四面体、八面体、棒状、針状、円錐状、四角錐状、円柱状、円盤状、板状などあらゆる形状のものが利用可能である。結晶系の観点から言えば、立方晶系以外の結晶は光学的異方性を有する複屈折性の結晶であり、正方晶系、六方晶系および菱面体晶系は一軸性複屈折性結晶、斜方晶系、単斜晶系および三斜晶系は二軸性複屈折性結晶であるので、これらに属するものは利用することができる。また、複屈折性結晶は単結晶であっても良いし、多結晶であっても良い。
【0063】
複屈折性結晶の複屈折値(2軸性結晶では、各軸の最大屈折率と最小屈折率の差)についても特に制約はないが、0.001以上であることが望ましく、0.005以上であることがさらに望ましい。複屈折性結晶は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などにより表面処理されていても良い。これらの表面処理剤に限らず、種々の公知の表面処理方法を利用することも可能である。
【0064】
本発明で用いる偏光度低下材料の製造方法についても特に制約はない。例えば、マトリックスとなる光学樹脂を合成する重合反応の開始前、あるいは重合反応開始後且つ終了前に、複屈折性結晶微粒子を混入する方法を採用することができる。即ち、高分子樹脂の原料となるモノマーに、添加剤として複屈折性結晶を混入して十分に分散させた後、重合反応を進行させることで内部に複屈折性結晶が乱雑さをもった配向状態で均一に分散した樹脂材料(偏光度低下材料の)を得ることができる。なお、この重合過程にあっては、複屈折性結晶はモノマーの重合反応に関与しない。
【0065】
他の製造方法としては、高分子樹脂材料の加熱溶融物に対して複屈折性結晶を添加し、これを混練する過程を通して光学樹脂中に複屈折性結晶を分散させる方法もある。この方法に基づいて十分に混練がなされた材料は、製品化に備え、適当な手段によってペレット化されることが好ましい。ペレット化された混練生成物は、射出成形、押出成形等の通常の成形技術によって種々の形状に成形加工され得る。
【0066】
上記基本実施形態で説明したように、このようにして製造される偏光度低下材料は、面光源装置の導光板に適用して高い有用性を発揮するものであるが、その偏光度低下機能を生かして、導光板以外の光学素子の構成材料に採用することもできる。例えば、次のような適用が考えられる。
【0067】
(i)例えば図4の配置において、導光板ではなく、プリズムシート内部に複屈折性結晶微粒子を添加する。
(ii)例えば図4の配置において、反射シート表面に複屈折性結晶を添加したコーティング層を形成する。
(iii)例えば図4の配置において、複屈折性結晶を添加した光学樹脂フィルムを導光体と反射型偏光板の間のいずれかの場所に配置する。
これらのケースでは、各光学素子乃至要素に導光板ほどの厚さがないため、その偏光変換効果(偏光度低下作用)はやや劣ることになるが、複屈折性結晶を添加していない従来品を使用した場合に比してかなりの性能改善を図ることが可能になる。特に、これらを組み合わせて用れば、その効果は高まる。また、複屈折性結晶微粒子を添加した導光板と、上記(i)〜(iii)の1つまたは複数を組み合わせて採用することも可能である。なお、各種の実例については、以下の実施例で触れる。
【0068】
[第1実施例]
MMA (メチルメタクリレート)に、長軸方向に沿った長さが約20μm 、太さ約2μm のアラゴナイト系炭酸カルシウム針状結晶を0.01wt% 添加し、均一に分散させた上で、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO) 0.5wt% 、連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプタン(n−BM)0.2wt% を添加し、70℃で20時間注型重合することにより、楔形の複屈折性結晶添加導光板を作製した。
導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚肉部2.4mm、薄肉部0.6mmとした。また、炭酸カルシウムの代わりに粒径約7μm のシリコーン球状微粒子を0.1wt% 添加し、同様な方法で比較用の導光板Aを作製した。これらの導光板を用いて、図5に示すような配置でバックライト用の面光源装置(以下、単にバックライトとも言う)を作製し、その明るさを評価した。
【0069】
明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST )を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。反射シートには、銀蒸着したタイプで、反射率が約80% のものを使用した。プリズムシートは、シートの導光板側の面に、頂角約65度、周期が約50μm のプリズム列が冷陰極管に平行な方向に形成されたものを用いた。
【0070】
図5に示した配置で複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトも、複屈折性結晶添加導光板の代わりに比較用導光板Aを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。また、導光体内部での偏光変換機能を評価するため、図5の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。
【0071】
これらの輝度の測定結果を表1として、図5中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、主に導光板により偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトの方が比較用導光板Aを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0072】
[第2実施例]
ポリメチルメタクリレートのペレット(旭化成製、デルペット80N)に長さ約20μm 、太さ約2μm の炭酸ストロンチウム針状結晶を0.03wt% 添加し、ミキサーで混合分散させた後、押出機でストランド状に押し出し、ペレタイザーでペレット化することにより、炭酸ストロンチウム針状結晶が均一に乱雑さをもった配向状態で分散されたペレットを調整した。
【0073】
このペレットを射出成形機を用いシリンダー温度230℃〜260℃、型温度50℃の条件で成形し、平板状の複屈折性結晶添加導光板を作製した。導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚さ2.5mmとした。また、炭酸ストロンチウムの代わりに粒径約7μm のシリコーン球状微粒子を0.3wt% 添加し、同様な方法で比較用の導光板Bを作製した。
【0074】
これらの導光板を用いて、図6に示すような配置でバックライトを作製し、その明るさを評価した。明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST )を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。
【0075】
反射シートには、銀蒸着したタイプで、反射率が約80%のものを使用した。プリズムシートは、シートの導光板側の面に、頂角約66度、周期が約50μm のプリズム列が冷陰極管に平行な方向に形成されたものを用いた。図6のような配置で複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトも、複屈折性結晶添加導光板の代わりに比較用導光板Bを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。
【0076】
明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。
また、導光体内部での偏光変換機能を評価するため、図6の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。輝度の測定結果を表2として、図6中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、主に導光板により偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0077】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトの方が比較用導光板Bを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0078】
[第3実施例]
MMA (メチルメタクリレート)に粒径約1μm のカルサイト系炭酸カルシウム結晶を1.5wt% 添加し、均一に分散させた上で、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO) 0.5wt% 、連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプタン(n−BM)0.2wt% を添加し、70℃で20時間注型重合することにより、平板状の複屈折性結晶添加導光板を作製した。導光板の大きさは、縦307.1mm、横232.5mm、厚さ2.5mmとした。また、炭酸カルシウムの代わりに粒径約2μm のシリコーン球状微粒子を0.4wt% 添加し、同様な方法で比較用の導光板Cを作製した。これらの導光板を用いて、本願の考案に基づき図7に示すような構成のバックライトを作製し、その明るさを評価した。
【0079】
明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST )を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。
反射板は、銀蒸着したタイプで、反射率が約80%のものを使用した。図7のような配置で複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトも、複屈折性結晶添加導光板の代わりに比較用導光板Cを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。
【0080】
明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。
また、導光体内部での偏光変換機能を評価するため、図7の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。輝度の測定結果を表3として、図7中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、主に導光板により偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0081】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトの方が比較用導光板Cを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0082】
なお、図7のバックライトでは、導光板への一次光の取入れを導光板の背面(一方のメジャー面)全体から行なっているため、基本実施形態などと光の挙動に若干の差異がある。この点について、簡単に捕捉しておく。
【0083】
図7の配置では、1次光を供給するランプは、レフレクターとともに導光板の背面側に配置されている。そのため、ランプが点灯されると、一次光が導光板の背面から導光板内に導入される。導光板内に導入された光は、内部で若干の散乱作用を受けた後、もう1つのメジャー面である出射面(液晶表示パネル側の面)から出射され、プリズムシートを経て、反射型偏光フィルムに入射する(初回の入射)。なお、一次光は一般に自然光に近いので、前述した通り、S偏光に変換する作用とS偏光をP偏光に変換する作用が相殺して特に大きな偏光状態の変化は起らない。
【0084】
反射型偏光フィルムの配向は、液晶表示パネルの背面側から入射する光のP偏光成分が透過成分となり、S偏光成分が非透過成分となるように選ばれている。
非透過成分(S偏光成分)は殆ど吸収されることなく、導光板側へ反射され、戻り光となる。戻り光の多くは、プリズムシートを再通過(逆進)し、導光板内に再入射する。この戻り光の多くは、「導光板内部→導光板背面→ランプ背後のレフレクター→導光板背面→導光板内部→導光板出射面→プリズムシート」、あるいは、「導光板内部→導光板背面→導光板内部→導光板出射面→プリズムシート」の経路を通り、反射型偏光板に再入射する。
【0085】
この再入射の時点では、戻り光の多くを占めていた「光フィルムを透過できなかった偏光成分(S偏光成分)」の割合が低減され、自然光に近い偏光状態となっている。自然光に近い状態にある再入射光は、ほぼその半分は反射型偏光フィルムを透過することができる透過偏光成分(P偏光成分)であるから、液晶表示パネルへ供給され、表示光に有効利用される。残りのほぼ半分を占める非透過偏光成分(S偏光成分)は、再度反射され、再び戻り光となって導光板へ向かうことになる。このような過程の繰り返しにより、反射型偏光板を透過するP成分の光の量は等比級数的に積算される。その結果、無駄になる光が大幅に減り、液晶ディスプレイの表示輝度を向上させることができる。このようにして、上記測定結果(表3)が得られたものと考えられる。
【0086】
[第4実施例]
MMA (メチルメタクリレート)に粒径約1μm のカルサイト系炭酸カルシウム結晶を1.5wt% 添加し、均一に分散させた上で、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO) 0.5wt% 、連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプタン(n−BM)0.2wt% を添加し、70℃で20時間注型重合することにより、平板状の複屈折性結晶添加導光板を作製した。導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚さ1.0mmとした。
【0087】
また、炭酸カルシウムの代わりに粒径約2μm のシリコーン球状微粒子を0.4wt% 添加し、同様な方法で比較用の導光板Dを作製した。これらの導光板を用いて、本願の考案に基づき図8に示すような構成のバックライトを作製し、その明るさを評価した。この構成では、冷陰極管および反射シート、複屈折性結晶添加導光板で囲まれた空間には、特に部材を配置せず、空気層となっている。
【0088】
明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST ) を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。
【0089】
反射板は、銀蒸着したタイプで、反射率が約80%のものを使用した。図8のような構成の複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトも、複屈折性結晶添加導光板の代わりに比較用導光板Dを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。
【0090】
また、導光体内部での偏光変換機能を評価するため、図8の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。輝度の測定結果を表4として、図8中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、主に導光板により偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0091】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトの方が比較用導光板Dを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0092】
[第5実施例]
MMA (メチルメタクリレート)に粒径約1μm のカルサイト系炭酸カルシウム結晶を2.0wt% 添加し、均一に分散させた上で、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO) 0.5wt% 、連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプタン(n−BM)0.2wt% を添加し、70℃で20時間注型重合することにより、平板状の複屈折性結晶添加導光板を作製した。導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚さ0.5mmとした。
【0093】
また、炭酸カルシウムの代わりに粒径約2μm のシリコーン球状微粒子を0.6wt% 添加し、同様な方法で比較用の導光板Eを作製した。これらの導光板を用いて、本願の考案に基づき図9に示すような構成のバックライトを作製し、その明るさを評価した。この構成では、冷陰極管および反射型偏光フィルム、複屈折性結晶添加導光板で囲まれた空間には、特に部材を配置せず、空気層となっている。
【0094】
明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST ) を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。
【0095】
反射板は、銀蒸着したタイプで、反射率が約80%のものを使用した。図9のような構成の複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトも、複屈折性結晶添加導光板の代わりに比較用導光板Eを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。
【0096】
明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。また、導光体内部での偏光変換機能を評価するため、図9の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。輝度の測定結果を表5として、図9中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、主に導光板により偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0097】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加導光板を用いたバックライトの方が比較用導光板Eを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0098】
[第6実施例]
MMA (メチルメタクリレート)に粒径約1μm のカルサイト系炭酸カルシウム結晶を1.0wt% 添加し、均一に分散させた上で、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO) 0.5wt% 、連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプタン(n−BM)0.2wt% を添加し、70℃で20時間注型重合することにより、厚さ0.5mmのプリズムシートを作製した。
同プリズムシートは、その導光板側の面に、頂角約65度、周期が約50μm のプリズム列が冷陰極管に平行な方向に形成されたものである。また、炭酸カルシウムの代わりに粒径約2μm のシリコーン球状微粒子を0.15wt% 添加し、同様な方法で同形状、同サイズの比較用のプリズムシートFを作製した。
【0099】
導光板については、MMA に粒径約7μm のシリコーン球状微粒子を0.1wt% 添加し、均一に分散させた上で、ラジカル重合開始剤としてBPO 0.5wt% 、連鎖移動剤としてn−BM 0.2wt% を添加し、70℃で20時間注型重合することにより、楔形導光板を作製した。これは従来より使用されているタイプの導光板である。導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚肉部2.4mm、薄肉部0.6mmとした。
【0100】
先述のプリズムシートと導光板を用いて、図10に示すような構成のバックライトを作製し、その明るさを評価した。明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST ) を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。
【0101】
反射シートには、銀蒸着したタイプで、反射率が約80%のものを使用した。
図10のような構成の複屈折性結晶添加プリズムシートを用いたバックライトも、複屈折性結晶添加プリズムシートの代わりに比較用プリズムシートFを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。また、プリズムシート内部での偏光変換機能を評価するため、図10の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。
【0102】
輝度の測定結果を表6として、図10中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムによりプリズムシート側に戻された偏光成分が、偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0103】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加プリズムシートを用いたバックライトの方が比較用プリズムシートFを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0104】
[第7実施例]
ポリメチルメタクリレートのペレット(旭化成製、デルペット(登録商標)80N)に粒径約2μm のカルサイト系炭酸カルシウム結晶を15wt% 添加し、ミキサーで混合分散させた後、押出機でストランド状に押し出し、ペレタイザーでペレット化することにより、炭酸カルシウム結晶が均一に乱雑さをもった配向状態で分散されたペレットを調整した。
【0105】
このペレットを押出成形機を用いシリンダー温度230℃〜260℃で溶融し、Tダイを用いてシート状に成形した。得られたシートを導光板の大きさに合わせて切断し、複屈折性結晶添加反射シートとした。導光板は、ポリメチルメタクリレートに粒径約7μm のシリコーン球状微粒子を0.3wt% 添加することにより作製した従来タイプのものを用いた。導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚さ2.5mmとした。
【0106】
これらを用いて、図11に示すような構成のバックライトを作製し、その明るさを評価した。また、比較用として、複屈折性結晶添加反射シートの代わりに市販の白色反射シートを用いたバックライトの明るさを評価した。明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST ) を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。プリズムシートは、シートの導光板側の面に、頂角約65度、周期が約50μm のプリズム列が冷陰極管に平行な方向に形成されたものを用いた。
【0107】
図11のような構成の複屈折性結晶添加反射シートを用いたバックライトも、複屈折性結晶添加反射シートの代わりに市販の白色反射シートを用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。
【0108】
また、複屈折性結晶添加反射シートを用いたバックライトによる偏光変換機能を評価するため、図11の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。輝度の測定結果を表7として、図11中に併記した。どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。
これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0109】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加反射シートを用いたバックライトの方が市販の白色反射シートを用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0110】
[第8実施例]
ポリメチルメタクリレートのペレット(旭化成製、デルペット(登録商標)80N)を、射出成形機を用いシリンダー温度230℃〜260℃、型温度50℃の条件で成形して、平板状の導光板を作製した。導光板の大きさは、縦148.2mm、横113.3mm、厚さ2.5mmとした。そして、この導光板の一方のメジャー面(背面)に、偏光度低下材料からなる拡散反射要素を多数のドット形態で分布形成した。そのための具体的な手法は下記の通りである。
【0111】
先ず、メチルメタクリレートに粒径5μm のカルサイト系炭酸カルシウム結晶を20wt% 添加し、均一に分散させた上で、UV重合開始剤としてベンゾインメチルエーテル1.0wt% を添加した溶液を調整した。この溶液を上記の導光板の背面にドット状に置き、UV光を照射することにより硬化させた。これにより、ドット状に分布した複屈折性結晶添加樹脂層を形成した。出射面内の輝度分布が実質的に一様になるように、ドットの密度は冷陰極管からの距離が大きくなるほど高くなるようにした。
【0112】
この導光板をここでは複屈折性結晶添加樹脂層付導光板と呼ぶ。この複屈折性結晶添加樹脂層付導光板を用いて図12に示すような構成のバックライトを作製し、その明るさを評価した。比較用として、市販の白色インクを同様なドット状に印刷した導光板の明るさを評価した。明るさは輝度計(株式会社トプコン、色彩輝度計BM−7 FAST ) を用いて測定した。測定時には輝度計が導光板の出射面に正対するような位置をとらせた。
【0113】
また、輝度計の前面には、偏光板を配置し、その偏光透過軸が反射型偏光フィルム(住友スリーエム株式会社、輝度上昇フィルム Dual Brightness Enhancement Film:DBEF(登録商標))の偏光透過軸と一致するようにした。
【0114】
反射シートには、銀蒸着したタイプで、反射率が約80%のものを使用した。
プリズムシートは、シートの導光板側の面に、頂角約66度、周期が約50μm のプリズム列が冷陰極管に平行な方向に形成されたものを用いた。図12のような構成の複屈折性結晶添加樹脂層付導光板を用いたバックライトも、複屈折性結晶添加樹脂層付導光板の代わりに市販の白色インクをドット状に印刷した導光板を用いたバックライトも、出射面内の輝度は、実用上十分な均一性であった。
【0115】
明るさは両バックライトの中央部分から正対する方向の輝度により評価した。
また、複屈折性結晶添加樹脂層付導光板を用いたバックライトによる偏光変換機能を評価するため、図12の構成から反射型偏光フィルムを取り除いた状態においても輝度を測定した。輝度の測定結果を表8として、図12中に併記した。
【0116】
どちらのバックライトも、反射型偏光フィルムを組み入れることで輝度が向上した。これは反射型偏光フィルムにより導光板側に戻された偏光成分が、偏光方向を変換され、再度反射型偏光フィルムに入射し、透過することによる光の再利用がなされたからである。
【0117】
しかし、反射型偏光フィルムを挿入することによる輝度の上昇率は、複屈折性結晶添加樹脂層付導光板を用いたバックライトの方が市販の白色インクをドット状に印刷した導光板を用いたバックライトに比べて格段に大きい。このことから、複屈折性結晶を添加することによる偏光変換効果(偏光度低下作用)が、輝度の上昇に大きく寄与していることが確認された。
【0118】
【発明の効果】
本発明により、樹脂材料をベースにして、入力光の偏光度を高効率で低下させる各種の光学素子、例えば、液晶ディスプレイのバックライティングに用いる面光源装置で使用される導光板、プリズムシートなどが得られる。また、そのような光学素子を用いて、リサイクル的なプロセスで効率よく自然光に近い光を出力する機能を持つ面光源装置を提供し、そのような面光源装置を用いて、照明光の利用効率に優れた液晶ディスプレイを提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶パネルと一般的なバックライトの構造を示した図である。
【図2】反射型の偏光フィルムを利用したバックライト方式の液晶ディスプレイの従来構造を例示した図である。
【図3】偏光度低下材料の作用について説明する図で、(a)のグラフは、ポリメチルメタクリレート中に非複屈折性の微粒子材料として等方性のシリコーン微粒子(平均粒径7μm )を0.10wt% の添加濃度で均一分散させた試料について、偏光変換の起こり方を測定した結果を表わし、(b)のグラフは、同じポリメチルメタクリレート中に複屈折性の微粒子材料として、炭酸カルシウム結晶微粒子(針状、長径約20μm)を0.212wt%の添加濃度で均一分散させた試料について、偏光変換の起こり方を測定した結果を表わしている。
【図4】本発明の基本実施形態に係る液晶ディスプレイの配置を示した図である。
【図5】本発明の第1実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図6】本発明の第2実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図7】本発明の第3実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図8】本発明の第4実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図9】本発明の第5実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図10】本発明の第6実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図11】本発明の第7実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
【図12】本発明の第8実施例及び比較例で作用されるバックライトの配置を示した図に、同実施例及び関連する比較例について得た測定結果を表形式で併記したものである。
Claims (11)
- 偏りのある光を入力し、該入力された光の偏光度を低下させて光を出力する偏光度低下型光学素子であって、
前記偏光度低下型光学素子は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなることを特徴とする、前記偏光度低下型光学素子。 - 端部から一次光を入力し、メジャー面から照明光を出力する偏光度低下型導光板であって、
前記偏光度低下型導光板は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなり、
前記メジャー面は、偏りのある光を入力する面としても機能し、前記メジャー面から入力された偏りのある光を内部でその偏光度を低下させた後、前記メジャー面から出力することを特徴とする、前記偏光度低下型導光板。 - 2つのメジャー面を有する偏光度低下型プリズムシートであって、
前記偏光度低下型プリズムシートは、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなり、
前記2つのメジャー面の内の少なくとも一方は、偏りのある光を入力する面としても機能し、前記入力された偏りのある光を内部でその偏光度を低下させた後、前記入力されたメジャー面とは反対側のメジャー面から出力することを特徴とする、前記偏光度低下型プリズムシート。 - 第1のメジャー面と第2のメジャー面を有し、光取入部から一次光を取り入れ、前記第1のメジャー面から照明光を出力する導光板と、前記一次光の供給のための一次光源と、前記第1のメジャー面に沿って配置された偏光フィルムとを含む面光源装置であって、
前記偏光フィルムは、前記照明光に含まれる透過偏光成分を透過し、非透過偏光成分を前記導光板側に向かう戻り光に変換する機能を有し、
前記導光板は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなる偏光度低下型導光板であり、
前記戻り光は、前記偏光度低下型導光板の内部でその偏光度を低下させられた後、前記第1のメジャー面から出力されることを特徴とする、前記面光源装置。 - 第1のメジャー面と第2のメジャー面を有し、光取入部から一次光を取り入れ、前記第1のメジャー面から照明光を出力する導光板と、前記一次光の供給のための一次光源と、前記第1のメジャー面に沿って配置された偏光フィルムと、前記第1のメジャー面と前記偏光フィルムとの間に配置されたプリズムシートとを含む面光源装置であって、
前記偏光フィルムは、前記照明光に含まれる透過偏光成分を透過し、非透過偏光成分を前記導光板側へ向かう戻り光に変換する機能を有し、
前記プリズムシートは、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなる偏光度低下型プリズムシートであり、
前記戻り光は、前記偏光度低下型プリズムシートを通過する際に、その偏光度を低下させることを特徴とする、前記面光源装置。 - 第1のメジャー面と第2のメジャー面を有し、光取入部から一次光を取り入れ、前記第1のメジャー面から照明光を出力する導光板と、前記一次光の供給のための一次光源と、前記第1のメジャー面に沿って配置された偏光フィルムとを含む面光源装置であって、
前記偏光フィルムは、前記照明光の内、透過偏光成分を透過し、透過偏光成分を前記導光板側に向かう戻り光に変換する機能を有し、
前記第2のメジャー面側に光拡散体が設けられており、
前記光拡散体は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス中に乱雑さをもって配向して分散した多数の複屈折性結晶微粒子からなる偏光度低下型光拡散体であり、
前記第2のメジャー面を通して偏りのある光が前記導光板に入力される直前及び前記導光板から出力された直後に、前記偏りのある光の偏光度が前記偏光度低下型光拡散体によって低下させられることを特徴とする、前記面光源装置。 - 前記偏光度低下型光拡散体は、前記第2のメジャー面上に、前記導光板と一体で形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の面光源装置。
- 前記偏光度低下型光拡散体は、前記第2のメジャー面に沿って配置された拡散反射シートとして機能することを特徴とする、請求項6に記載の面光源装置。
- 前記光取入部は、前記導光板の端部に設けられており、前記一次光源は前記端部から一次光が前記導光板内に取入れられるように配置されていることを特徴とする、請求項4〜請求項8の内のいずれか1項に記載の面光源装置。
- 前記光取入部は、前記導光板の前記第2のメジャー面によって提供されており、前記一次光源は前記第2のメジャー面を通して一次光が前記導光板内に取入れられるように配置されていることを特徴とする、請求項4〜請求項6の内のいずれか1項に記載の面光源装置。
- 請求項1〜請求項10の内のいずれか1項に記載された面光源装置を照明手段として用いたことを特徴とする、液晶ディスプレイ。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090113 |