JP2004226460A - 照明光学系およびこれを用いた投写型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【構成】超高圧水銀灯11と放物面鏡リフレクタ12を備えた主要光源部1からの光束の外周部と中央部の光束低密部に赤色波長域に強度ピークを有する光束を補う外周および中央補助光源部8、2と、各光源部1、8、2からの光束の光量分布均一化を図る主要インテグレータ部4、外周インテグレータ部(不図示)、中央インテグレータ部5とを備えた照明光学系である。外周補助光源部8のレーザ光源52a、52bからの光束は光軸に対し互いに略回転対称な位置に導入され、光路上の部材は中央補助光源部2からのものと略同様でこれに平行に配される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光体およびリフレクタを備えた光源部を用いて被照明体を照明する照明光学系に関するもので、特に、照明光束をライトバルブにより光変調し、この投映光束によりスクリーン上に画像を拡大投映する投写型表示装置に好適な照明光学系、およびこれを用いた投写型表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、投写型表示装置に用いる照明光学系に関して、投映画像の色再現性を良好とし得るものが要求されている。照明光学系に用いられる光源は、発光分布が小さく発光効率の高いものが望ましく、現在では、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプなどの光源を使用することが一般的である。これらの光源は、各々種類により固有の分光分布を有しており、可視光領域において一様な光量分布を持っているわけではない。色再現性を良好とするためには、この光源の分光分布のばらつきが問題となる場合がある。光源によっては、色再現性を良好とするために必要な波長域の光量が不足していたり、また、不必要な波長域の光量が過剰であったりするためである。
【0003】
例えば、図6は超高圧水銀灯の可視領域における波長の分光分布を示す図であり、縦軸が光強度を示すものである。図示のとおりこの光源では、3原色光のうち赤色波長域が、他の色成分に対応する波長域に比べ光量が少なく、その一方、黄色波長域に光強度のピークを有するため、そのままの光源光を使用すると、全体として黄色味を帯びたカラー画像が形成されてしまう。そのため、従来、装置の色再現性を良好とする方策としては、光源から出射された光のうち580nm近辺の波長域の光を取り除いて照明を行っていたが、その分の光量損失は免れないものとなっていた。
【0004】
これに対し、光源光量を有効利用しかつ色再現性を良好とするため、色光を補う2原色光を発生させる補助光源を設ける照明光学系が特許文献1に記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−174854号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、投写型表示装置においては明るい場所での投写でも問題なく利用できるよう、明るい投写型表示装置の開発が進められている。上記特許文献1は記載されたように、特定波長光を補うことによりこれまで捨てざるを得なかった光を有効利用できるようにするものであるが、より積極的に、特定波長光を補うことにより照明光束全体としての光量を増加させ得るような構成が望ましい。そのためには、これらの特定波長光をどのようにして照明光束中に補うかが重要となる。
【0007】
また、投写型表示装置の照明光学系の光源部としては、光源からの光を反射させ前方に出射させる、通常、放物面鏡または楕円面鏡よりなるリフレクタを用いる構成がコスト的に有利でもあり、一般的である。このような従来よりあるリフレクタを備えた光源部を少ない構成変更で利用し、コスト的にも有利で、かつ照明光学系のサイズもコンパクトに、良好な色再現性を発揮し得る照明光学系およびこれを備えた投写型表示装置が要望されている。
【0008】
また、投写型表示装置において画像表示素子を均一に照明するために、照明光学系から出射される照明光束は光量分布が均一とされていることが好ましい。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、光源とリフレクタよりなる光源部から出射される光束の光量分布に着目し、従来からあるこのタイプの光源部に対し大きな設計変更を施すことなく、コンパクトでありながら、照明効率が高く、明るく均一で、かつ色再現性の良好な照明を行ない得る照明光学系およびこれを用いた投写型表示装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る照明光学系は、発光体およびこの発光体から出射された光を被照明体側に反射するリフレクタを備えた主要光源部と、この主要光源部から出射された光束の中心近傍の光束低密部に光束を補うように光束を出射する中央補助光源部とを備え、前記主要光源部から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を前記中央補助光源部から出射させることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記中央補助光源部からの光束の光量均一化を図る中央インテグレータ部が設けられることが好ましい。
【0012】
また、前記主要光源部から出射された光束の外周部の光束低密部に光束を補うように光束を出射する外周補助光源部を備え、前記主要光源部から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を前記外周補助光源部から出射させることが好ましい。
【0013】
本発明に係る照明光学系は、発光体およびこの発光体から出射された光を被照明体側に反射するリフレクタを備えた主要光源部と、この主要光源部から出射された光束の外周部の光束低密部に光束を補うように光束を出射する外周補助光源部と、この外周補助光源部からの光束の光量均一化を図る外周インテグレータ部とを備え、前記主要光源部から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を前記外周補助光源部から出射させることを特徴とするものである。
【0014】
また、照明光学系の瞳面と前記主要光源部から出射された光束による照射面とが、前記照明光学系の瞳位置で光軸と直交する断面において部分的に互いに重なるよう構成され、該断面において、前記瞳面と前記照射面とが重ならない部分のうち該瞳面が該照射面より突出する部分に光束を補うように光束を出射する前記外周補助光源部を備えることが好ましい。
【0015】
また、前記主要光源部の前記発光体が超高圧水銀灯とされ、前記中央補助光源部および前記外周補助光源部のうち、少なくとも1つの光源は波長600〜700nmに強度ピークを有する光束を出射させることが好ましい。
【0016】
本発明に係る投写型表示装置は、上記照明光学系を備え、この照明光学系からの光束により、所定の画像情報に基づいて照明光束の光変調を行なう少なくとも1つのライトバルブを照明し、このライトバルブからの画像情報を担持した光束を、投写光学系を介し投写することを特徴とするものである。
【0017】
また、この投写型表示装置において、前記主要光源部ならびに前記中央補助光源部および/または前記外周補助光源部からの光束により、画像情報に基づいて照明光束の光変調を行なう複数のライトバルブを照明し、かつ、前記中央補助光源部および/または前記外周補助光源部のうち少なくとも1つの光源からの光束は、前記複数のライトバルブのうち一部のライトバルブのみを照明するように構成してもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、本発明の実施例1に係る照明光学系を例として説明する。
<実施例1>
図1(a)は本実施例に係る照明光学系の断面図であり、図1(b)はこの照明光学系を被照明体側(矢印A方向)から見た図であり、図1(b)のB断面図が図1(a)となる。なお、図1(a)、および以下の図4(a)および図5において、各部材はその断面形状を重点的に記載したものであって、遠方の端面の記載を省略しているものがある。この照明光学系は、主要光源部1、外周補助光源部8、中央補助光源部2、ならびにこれらの光源部からの光束の光量分布均一化を図る主要インテグレータ部4、外周インテグレータ部(不図示)、中央インテグレータ部5を備えている。外周補助光源部8および中央補助光源部2(以下、「外周補助光源部および中央補助光源部」を「補助光源部」と称する)は、主要光源部1から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を出射するものである。
【0019】
主要光源部1は、光源11の発光点が放物面鏡よりなるリフレクタ12の焦点に配置されてなり、光源11から出射された光を被照明体側に反射するリフレクタ12の開口部からは、略平行な光束が出射される。この光源11は、発光分布が小さく発光効率の高いものが望ましく、本実施例では超高圧水銀灯からなる。
【0020】
この主要光源部1から出射される光束の、光軸と垂直な断面内における光量分布としては、所定範囲に光強度の弱い部分(以下、光束低密部と称する)が存在する。図2はこの光束低密部を説明するための図である。光源101から放射された白色光は、放物面リフレクタ104により反射されて、放物面リフレクタ104の光軸Xに略平行な光束となって光源部から出射される。図示のとおり、この出射光束の光量分布は一様ではなく、光軸Xの近傍および外周部に光束低密部が存在する。
【0021】
外周部の光束低密部は、発光点108から放射された光を放物面リフレクタ104により反射する場合に原理的に生じるもので、光軸Xに近い部分での反射光量が大きく、周辺に向かうにしたがって反射光量が小さくなっていくことにより生じる。光軸近傍の光束低密部は、実際の光源101が点光源でなく、例えばリフレクタ104の後部に配置された発光管等であるという構造上の理由により生じる。リフレクタ後部に設けられた孔部のために光が反射されない、または発光体そのものの大きさが原因となって光が遮られるためである。発光管を配置するためにリフレクタ最後部に鏡面化されていない範囲があり、この直径をCとすると、光源部から出射される光束の光軸近傍となる中央部に、少なくとも、図2においては光軸に直交する面内で直径Cの範囲に、光がほとんど通過しない空間が存在することになる。
【0022】
また、放物面リフレクタ104から出射される平行光束のさらに外周部も光強度は必ずしも0とはならず、弱い光強度ではあるが、漏れ光等により光が存在する。本発明において「光束低密部」とは、これらをも含む光強度の弱い部分のことである。
【0023】
本発明に係る照明光学系は、リフレクタ104のような凹面鏡リフレクタを備えた光源部から出射される光束の、外周部および中心近傍に存在する光束低密部に着目し、この光源部(主要光源部1)から出射された光束の、外周部の光束低密部に光束を補うように光束を出射する外周補助光源部8、および/または、中心近傍の光束低密部に光束を補うように光束を出射する中央補助光源部2を備えた構成とされている。
【0024】
図1(a)の断面図に示すとおり、中央補助光源部2は半導体レーザLDからなるレーザ光源31よりなり、コリメータレンズ35により平行光束とされた中央補助光源部2からの光束が偏向ミラー3により偏向されて、主要光源部1から出射された光束の中心近傍の光束低密部に導入される。
【0025】
外周補助光源部8は、図1(b)に示すとおり、半導体レーザLDからなる2つのレーザ光源52a、52bよりなる。光源52a、52bからの光束は、コリメータレンズ53a、53bにより平行光束とされ、図示されない偏向ミラーによりそれぞれ偏向されて、主要光源部1から出射された光束の外周部の光束低密部の、リフレクタ12の光軸に対し互いに略回転対称となる位置に導入される。レーザ光源52a、52bおよびこれらの光源からの光束の光路上の部材は、図1(a)におけるレーザ光源31およびこの光源からの光束の光路上の部材と略同様であって、互いに平行で、図1(a)において紙面手前方向と奥行方向にこれらと重なり合うように配されている。
【0026】
主要光源部1から出射された光束の光束低密部に補助光源部2、8から光束を補うという構成は、光源部全体として光量が増加し照明光学系の明るさを向上させることができる。外周補助光源部8と中央補助光源部2とは、両者を設置することにより一層の光量増加を図ることができるものである。しかし、外周補助光源部8のみ、または中央補助光源部2のみを配した照明光学系においても、相応の光量増加が可能である。
【0027】
中央補助光源部2は、従来一般に用いられるリフレクタを備えた光源部に対し、これを主要光源部1として、設計変更も少なくコンパクトなままで明るさを向上させることができるものである。主要光源部1から出射された光束の中心近傍の光束低密部に中央補助光源部2から光束を補うという構成は、単に光源部全体として光量が増加し照明光学系の明るさ向上に寄与するのみならず、光量分布においても、本来最も光強度を大きくしたい光束の中心近傍の光束低密部の光強度を増強することができることになる。また、この光束低密部に光束を補うために、例えば偏向ミラー3などの部材を配設しても、主要光源部1からの光束の光強度が弱い部分であるので、主要光源部1からの光束をほとんど遮ることなく、主要光源部1からの光束を効率よく利用することができる。
【0028】
また、外周補助光源部8は、従来一般に用いられるリフレクタを備えた光源部に対し、これを主要光源部1として、その外周部に補助光源部8を追加設置するだけでもよく、設計変更も少なくコンパクトなままで明るさを向上させることができる。また、この外周部の光束低密部に光束を補うために、例えば偏向ミラーなどの部材を配設しても、主要光源部1からの光束の光強度が弱い部分であるので、主要光源部1からの光束を遮ることが少なく、主要光源部1からの光束を効率よく利用することができる。主要光源部1からの光束を若干遮光する場合にも、外周補助光源部8からそれ以上の光量が補われることにより、照明光学系全体としての明るさを向上させることが可能である。
【0029】
なお、外周補助光源部8は、放物面リフレクタ12から出射される平行光束中の外周部の光束低密部、この平行光束のさらに外周部の光束低密部、およびこの両者に光束を補うように光束を出射するものとすることができる。
【0030】
外周補助光源部8としては、少なくとも1つの光源を備えることにより照明光学系の光量増加が可能であるが、複数個の光源を備えることにより、より明るさを増すことができる。さらに望ましくは、図示の照明光学系のように、複数個の光源からの光束が、リフレクタ12の光軸に対し互いに略回転対称となるような位置に導入されることが好ましい。それにより照度分布の均一性を保つことができ、さらに投写型表示装置の照明光学系として用いた場合には、後段の投写光学系のレンズによるケラレが生じたとしてもその悪影響を防止し、色分解ダイクロイックミラーの特性による色ムラを制御することができる。
【0031】
さらに、近年、投写型表示装置の薄型化(リフレクタ光軸を水平配置した場合の高さ方向の小型化)を目的として多く用いられている、出射断面が矩形状の角型リフレクタを用いた場合にも、外周補助光源部8により光量増加を図ることができる。このようなリフレクタは、所定のアスペクト比を有する長方形状の出射断面形状を有するので、照明光学系の瞳位置近傍でも長方形状の光束断面となる。他方、照明光学系の瞳は光軸と直交する断面において円形である。この円直径が長方形形状の短辺と等しいかそれよりも小さい場合には、瞳全体を光束が通過することになるが、これでは瞳の外を通る光束が無駄になってしまう。したがって実際には、瞳の一部に光束が通過しない部分が存在することを容認し、より多くの照明光束が瞳を通過するように構成されることになる。本発明によれば、この、瞳内でありながら主要光源部1からの光束が通過しない部分に光束を補うように、外周補助光源部8を配設することにより、照明光学系全体としての明るさを向上させることができる。
【0032】
なお、上述した角型リフレクタ以外の要因により、瞳内でありながらその外周部に主要光源部1からの光束が通過しない部分が生じる場合にも、この部分に光束を補うように外周補助光源部8を配設することにより、同様の明るさ向上効果を得ることができる。このような部分とは、照明光学系の瞳面と主要光源部から出射された光束による照射面とが、照明光学系の瞳位置で光軸と直交する断面において部分的に互いに重なるよう構成された照明光学系に関し、上記断面において、上記瞳面と上記照射面とが重ならない部分のうち瞳面が照射面より突出する部分である、と規定することもできる。
【0033】
この照明光学系において補助光源部2、8は、主要光源部1から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を出射するものである。主要光源部1の光源が超高圧水銀灯とされているので、その分光分布において増加させたい赤色波長域に強度ピークを有する光束を、補助光源部2、8から出射させる構成とされている。この補助光源部2、8の光源としては、例えば、安価で小型な赤色半導体レーザを用いることができる。また、より具体的には、波長600〜700nmに強度ピークを有する光束を出射するものとすることが好ましい。すなわち、超高圧水銀灯の分光分布において小ピークを形成している580nm近辺の光をさらに増加させることなく、また、赤色に対する人の視感度が良好な波長域の光束を補うことが合理的である。
【0034】
このような構成によれば、照明光束全体として赤色波長域の光強度が増加し、従来は色再現性に悪影響を及ぼしていた超高圧水銀灯からの580nm近辺の光も、排除することなく利用できるようになる。この、これまで排除していた光量は、超高圧水銀灯の全光量の20%にも相当し、これ程の光量が増加する効果は高い。主要光源部1から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を、補助光源部2、8から出射させるように構成することにより、単に補助光源部2、8からの光量分が増加するのみならず、色再現性のためにこれまで排除していた主要光源部1からの光束も色再現性の低下を招くことなく取り込むことができ、明るく色再現性の良いコンパクトな照明光学系を得ることができる。
【0035】
なお、補助光源部2、8の光源が半導体レーザ31、52a、52bとされている場合には、この光源は通常、冷却しつつ用いる必要がある。そのため、主要光源部1からの光が直接当たらないところに配置することが好ましく、必要に応じて偏向ミラー3のような導光手段により、主要光源部1からの光束に増補されることが好ましい。
【0036】
また、この照明光学系は上記構成に加え、主要光源部1からの光束の光軸と垂直な断面における光量分布の均一化を図る主要インテグレータ部4、外周補助光源部8からの光束の光軸と垂直な断面における光量分布の均一化を図る外周インテグレータ部(不図示)、および中央補助光源部2からの光束の光軸と垂直な断面における光量分布の均一化を図る中央インテグレータ部5を備えている。なお、以下の説明では、各インテグレータ部の作用について「光量分布の均一化」と記載されている場合は、上記断面におけるものとする。
【0037】
図1(a)に示すとおり、主要光源部1から出射された光束は、主要光源部側から順に第2フライアイ15、第1フライアイ16が配設された主要インテグレータ部4により、光量分布の均一化を図られて、照明光束として照明光学系から出射される。すなわち、第2フライアイ15が主要光源部1からの略平行光束を第2フライアイ15のレンズセルの数と同数の部分光束に分割し、第1フライアイ16を構成する各レンズセル近傍に光源11の二次光源像を形成させることにより光量分布の均一化を図る。図1(b)に示すとおり、フライアイ16は、矩形状の輪郭をした微小な凸レンズによるレンズセル18が縦横に複数配列されたものである。図1(b)において、レンズセル18に相当する部分をハッチングにより示している。また、フライアイ15は、フライアイ16の各レンズセル18に各々対応するレンズセル17を備えた形状とされている。第2フライアイ15はレンズセル17の凸面を主要光源部側に向け、第1フライアイ16はレンズセル18の凸面を被照明体側に向けるように配置されている。
【0038】
なお、フライアイ15、16の中央部の、中央補助光源部2からの光束が入射する位置には、集光レンズ37、38が設けられている。また、不図示であるが、フライアイ15の延長面上の外周補助光源部8からの光束が入射する位置には、それぞれ集光レンズが設けられている。さらに、フライアイ16の延長面上の外周補助光源部8からの光束が入射する位置には、それぞれ集光レンズ55a、55bが設けられている。外周補助光源部8からの光束の光路上のレンズは、上記フライアイ15の延長面上のレンズは集光レンズ37と、また、集光レンズ55a、55bは集光レンズ38と同形状のレンズとされていてもよい。集光レンズ37を備えたフライアイ15、および、集光レンズ38を備えたフライアイ16は、同一形状とすることがコスト上有利である。なお、外周補助光源部8からの光束が入射する位置に設けられる集光レンズは、第1フライアイ16または第2フライアイ15と隣接して配置させてもよいし、これらと一体的に形成することもできる。
【0039】
中央補助光源部2から出射された光束は、中央インテグレータ部5としてのロッドインテグレータ36により、光量分布の均一化を図られる。ロッドインテグレータ36は2枚のフライアイ15、16の間に配設され、中央補助光源部2からの光束は、第2フライアイ15を透過する際に、集光レンズ37の作用により所定の角度をもってロッドインテグレータ36に入射される。そのため、ロッドインテグレータ36の内壁面において複数回反射されて出射され、光量分布が均一化される。
【0040】
また、外周補助光源部8から出射された光束は、図示されない外周インテグレータ部としてのロッドインテグレータにより、光量分布の均一化を図られる。外周インテグレータ部としてのロッドインテグレータは、不図示であるが中央インテグレータ部5のロッドインテグレータ36と略同様であって、図1(a)においてロッドインテグレータ36と互いに平行に、紙面手前方向と奥行方向にロッドインテグレータ36と重なり合うように配されている。外周補助光源部8からの光束は、上述したとおり第2フライアイ15の延長面上に設けられた集光レンズの作用により、所定の角度をもってこれらのロッドインテグレータに入射される。そのため、各ロッドインテグレータの内壁面において複数回反射されて出射され、光量分布が均一化される。
【0041】
なお、本実施例および以下の説明において、ロッドインテグレータとしては、ガラス製の中実な棒状ロッドプリズムや、内面を反射コートにより鏡面とした中空プリズムや、棒状ロッドプリズムを光束入射側に配置しその光束出射側に中空プリズムを配置して両者を組み合わせた、いわゆるハイブリッド型のインテグレータを用いることができる。ロッドインテグレータに入射した光束は、棒状ロッドプリズムにおいては内壁面において複数回全反射されながら、中空プリズムにおいては内壁面の鏡面で複数回反射されながら、その光束出射端に導かれる。ロッドインテグレータから出射される光束は、その出射端において光束密度が略均一化された光束とされている。投写型表示装置のインテグレータ部として用いる場合には、ロッドインテグレータの出射端と後段のライトバルブとがリレーレンズを介して互いに結像関係(共役関係)となるように構成される。
【0042】
外周インテグレータ部および中央インテグレータ部5から出射された光束は、集光レンズ38、55a、55bにより所望の方向に屈折せしめられる。投写型表示装置に用いる照明光学系としては、補助光源部2、8からの光束が主要光源部1からの光束と同様に後段のライトバルブ上に重畳されるように、屈折させることが好ましい。
【0043】
本実施例においては、補助光源部2、8から出射される光束は、主要光源部1から出射される光束の光束低密部に光束を補うように出射される光束径の小さいものであることを利用し、これら補助光源部2、8から出射される光束の光量分布を均一化するための外周および中央インテグレータ部としては、ロッドインテグレータを用いた簡易な構成としている。そして、このロッドインテグレータの配設位置としては、2枚のフライアイ15、16の間とし、スペースを有効利用しコンパクトな構成を達成している。また、中央補助光源部2からの光束を第2フライアイ15より主要光源部側において導入し、ロッドインテグレータ36を2枚のフライアイ15、16の間に配置することにより、フライアイ15、16において集光レンズ37、38を各々一体的に形成し、コンパクトな構成を達成している。
【0044】
なお、本実施例のように補助光源部2、8を備えた照明光学系において、補助光源部2、8のいずれかが、出射された状態で光量分布が略均一となっているような光束を出射する光源とされている場合、例えば、このようなレーザ光源を用いた場合には、その光束はインテグレータにより光量均一化を図る必要がないので、光量均一化を図る手段を省略し、より簡易な構成とすることができる。
【0045】
また、本発明に係る照明光学系において、主要インテグレータ部4の後段に、ランダムな偏光を発生する主要光源部1からの光束を直線偏光に変換するための偏光変換光学系を配設することができる。
【0046】
さらに、補助光源部2、8がランダムな偏光を発生する場合には、これらの光束を、上記偏光変換光学系により直線偏光に変換された主要光源部1からの光束と略一致する偏光方向となるような、直線偏光に変換する補助偏光変換光学系を適宜配設することも可能である。なお、補助光源部2、8が直線偏光を発生する場合には、これらを偏光変換する光学系は不要となる。すなわち、主要光源部1の光源はランダムな偏光を発生し、この光束が偏光変換光学系により直線偏光に変換されて被照明体の照明を行い、補助光源部2、8は、直線偏光に変換された主要光源部1からの光束と略一致する偏光方向となるような、偏光方向が揃えられた光束を出射し、この光束は偏光変換をされずに被照明体の照明を行うように構成することにより、構成の簡易化を図ることができる。
【0047】
本実施例の変更例として、補助光源部として、外周補助光源部8のみ、または中央補助光源部2のみを備えた構成とすることも可能である。本発明によれば、所定波長域に強度ピークを有する光束を出射するいずれか一方の補助光源部のみを備えた場合においても、コンパクトでありながら、照明効率が高く、明るく均一で、かつ色再現性の良好な照明を行ない得る照明光学系を達成することができる。
【0048】
また、主要インテグレータ部4としてのフライアイ15、16と補助光源部2、8との位置関係としては、本実施例のものだけでなく、例えば、中央補助光源部2から出射された光束が、偏向ミラー3を介し主要光源部1から出射された光束の中心近傍の光束低密部に位置するように、2枚のフライアイ15、16の間において導入される構成とすることも可能である。
【0049】
この場合には、両フライアイ15、16の近傍において、特に第1フライアイ16の近傍では、主要光源部1からの光が第2フライアイ15により各部分光束として集光されているため、この集光された各部分光束を遮らないように、いわば各部分光束の隙間に部材を配設することができる。例えば、補助光源部2からの光の光路上にある偏向ミラー3、集光レンズ37、38、ロッドインテグレータ36等を支持固定するための部材を、このような位置に配設することができる。これにより主要光源部1からの光束中に挿入する部材は主要光源部1からの光をほとんど遮ることなく、光利用効率を向上させることができる。なお、中央補助光源部2から出射された光束が通過する光路上には、集光レンズや中央インテグレータ部を適宜配設または形成することが好ましい。
【0050】
また、中央補助光源部2から出射された光束が、偏向ミラー3により主要光源部1からの光束中に導入されるのではなく、中央補助光源部2自体を主要光源部1から出射される光束の光束低密部に、主要インテグレータ部4の前段や、主要インテグレータ部4としての2枚のフライアイ15、16の間に配することも可能である。この場合も光束低密部に中央補助光源部2を配設するので、主要光源部1から出射される光の利用効率を悪化させる虞はない。
【0051】
なお、外周補助光源部8についても、中央補助光源部2と略同様にその配設位置を変更することが可能である。
【0052】
以下、本発明に係る照明光学系の実施例2および3について説明する。各実施例においては、特に記載のない限り実施例1と同様の構成部分には同一の符号を付しており、既出の事項に関しては詳細な説明を省略している。
【0053】
<実施例2>
本実施例に係る照明光学系の概略構成の断面図を図3に示す。
本実施例の主要光源部1は、実施例1と同様の光源11を備え、その発光点が楕円面リフレクタ13の第1焦点に配置されてなる。光源11から出射された光束は被照明体側に反射され、リフレクタ13の開口部から出射される光束は楕円面鏡の第2焦点に収束される。この主要光源部1から出射される光束の光軸と垂直な断面内における光量分布においても、光軸近傍の所定範囲には光束低密部が存在する。上述したとおり、リフレクタ後部に設けられた孔部または光源そのものの大きさが原因となって、光源部から出射される光束の中央部に、少なくとも、リフレクタ13の第2焦点を中心に角度D°となるような範囲に、光がほとんど通過しない空間が存在することになる。したがって、このような主要光源部1に対しても、中心近傍の光束低密部に光束を補うように光束を出射する中央補助光源部2を備えた構成が有効である。
【0054】
本実施例の中央補助光源部2は、主要光源部1から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を出射するものである。主要光源部1の光源が超高圧水銀灯とされているので、光源31a、31bは、一方が赤色波長域にピークを有する光束を、他方が青色波長域にピークを有する光束を出射するものである。すなわち、この補助光源部2は、主要光源部1の光源の分光分布において光量の少ない方の2原色を補うもので、これにより、補助光源部からの光量分が増加するのみならず、主要光源部からの光束も色再現性の低下を招くことなく取り込むことができ、色再現性が高く明るい照明光束を得ることができる。
【0055】
分光分布が異なる2種類の光源31a、31bを用いているので、これらの光源31a、31bから出射された光束を合成する手段としてクロスプリズム7が配されている。コリメータレンズ35a、35bにより平行光束とされた中央補助光源部2からの光束がクロスプリズム7内のダイクロイック膜51a、51bにより反射されて偏向され、主要光源部1から出射された光束の中心近傍の光束低密部に光束を補うようにこの光束中に導入される。
【0056】
本実施例において、主要光源部1からの光束の光量均一化を図る主要インテグレータ部4はロッドインテグレータ23からなる。また、このロッドインテグレータ23は中央補助光源部2からの光束の光量均一化を図る中央インテグレータ部5の役割をも担うものである。主要光源部1から出射された光束は、楕円面リフレクタ13の作用により集光され、このリフレクタ13の第2焦点位置近傍にその入射端が位置するように配されたロッドインテグレータ23に入射され、その内壁面において複数回反射され、出射端における光束密度が略均一化された光束として出射される。
【0057】
中央補助光源部2の光源31a、31bから出射された光束は、クロスプリズム7により、この光束低密部において、混合された状態で略同一方向に進行する。この光束は、その焦点位置がリフレクタ13の第2焦点に略一致するように配された集光レンズ47により集光されて、ロッドインテグレータ23に入射されるので、主要光源部1から出射された光束と同様に、ロッドインテグレータ23により光束密度が略均一化された光束として出射される。
【0058】
本実施例によれば、楕円面鏡よりなるリフレクタ13を用いることにより、レンズを配置せずに主要光源部1からの光束を集光させてロッドインテグレータ23に入射させることができ、簡易でコンパクトな構成とすることができる。また、本実施例によれば、主要インテグレータ部4としてロッドインテグレータ23を用いる構成とされ、フライアイを用いた構成よりも簡易でコンパクトな構成とすることができる。さらに、主要インテグレータ部4と中央インテグレータ部5が同一のロッドインテグレータ23を共有しているので、簡易でコンパクトな構成とすることができる。
【0059】
また、本実施例は、本発明に係る照明光学系において、複数の光源を備えた中央補助光源部2を有するものの一例である。中央補助光源部2として複数の光源を備えていることにより、主要光源部1の光束低密部に補う光量を増加させることができる。また、所定の波長域に強度ピークを有する光束を出射する光源とすることにより、色再現性を良好とすることができる。複数の光源を備えた中央補助光源部2としては、このほか、分光分布が同様な複数の光源を備えた中央補助光源部2とすることも可能である。この場合は、本実施例のダイクロイックプリズムに替えてミラー等の合成手段を用いる。また、中央補助光源部2として、3つ以上の光源を用いることも可能である。なお、3つ以上の光源を用いた場合に必ずしも各光源の分光分布が互いに異なる必要はなく、全て分光分布が同様な光源としたり、分光分布が異なる少なくとも2種類の光源としてもよい。
【0060】
また、本実施例は外周補助光源部を配さず、中央補助光源部2のみを備えた照明光学系の例であるが、楕円面リフレクタ13の第2焦点を中心に角度D°となる範囲のさらに外周部にも、放物面リフレクタの場合と同様に光束低密部が存在する。したがって、本実施例の照明光学系に、さらに外周補助光源部を配設して、照明光学系の光量増加および/または色再現性の向上を図ることも可能である。
【0061】
また、本実施例のように主要インテグレータ部4としてロッドインテグレータ23を用いる構成においても、中央補助光源部2から出射される光束が、出射された状態で光量分布が略均一となっているような光源とされていてもよい。この光束はインテグレータにより光量均一化を図る必要がないので、中央補助光源部2からの光束の光量均一化を図る手段を省略し、より簡易な構成とすることができる。また、主要インテグレータ部4としてロッドインテグレータ23を用いる構成においても、必要に応じて主要光源部1からの光束の偏光方向を揃えるための偏光変換光学系や、中央補助光源部2からの光束の偏光方向を揃えるための偏光変換光学系を備えた照明光学系とすることができる。また、中央補助光源部2の光源31a、31bが所定の直線偏光を出射するように構成し、照明効率を良好とすることもできる。
【0062】
<実施例3>
本実施例に係る照明光学系の概略構成の断面図を図4(a)に示す。また、図4(b)はこの照明光学系を被照明体側(矢印A方向)から見た図であり、図4(b)のB断面が図4(a)となる。本実施例は、本発明に係る照明光学系において、中央補助光源部を配さず、外周補助光源部8のみを有するものの一例である。この外周補助光源部8は、主要光源部1から出射された光束の外周部の光束低密部に光束を補うように光束を出射するもので、主要光源部1から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を出射するものである。
【0063】
本実施例の外周補助光源部8の作用効果は実施例1と略同様である。外周補助光源部として少なくとも1つの光源を備えていることにより、主要光源部1の光束低密部に補う光量を増加させることができる。また、所定の波長域に強度ピークを有する光束を出射する光源とすることにより、色再現性を良好とすることができる。
【0064】
本実施例の主要光源部1の構成は実施例1と同様である。また、主要インテグレータ部4の2枚のフライアイ15、16も実施例1と略同様であるが、中央補助光源部のない構成とされているので、光軸近傍にもフライアイセルが配されている。
【0065】
本実施例では外周補助光源部8の光源の数が実施例1と異なっているので、その点について説明する。外周補助光源部8は、リフレクタ12の光軸に対し互いに略回転対称となるように配設された、半導体レーザLDからなる4つのレーザ光源52a〜d(光源52b、52dは不図示)よりなる。主要光源部1の光源が超高圧水銀灯とされているので、光源52a〜dは赤色波長域にピークを有する光束を出射する赤色半導体レーザを用いることができる。
【0066】
外周補助光源部8の構成として、ここでは光源52aからの光束に関して説明するが、光源52b〜dに関してもそれぞれ同様である。光源52aからの光束は、集光レンズ47aの作用により、所定の角度をもって外周インテグレータ部9としてのロッドインテグレータ54aに入射される。そのため、ロッドインテグレータ54aの内壁面において複数回反射されて出射され、光束出射端において光量分布が均一化された状態で出射され、集光レンズ55aにより所望の方向に屈折せしめられる。投写型表示装置に用いる照明光学系としては、外周補助光源部8からの光束が主要光源部1からの光束と同様に後段のライトバルブ上に重畳されるように、屈折させることが好ましい。
【0067】
図示されていないがレーザ光源52b、52dおよびこれらの光源からの光束の光路上の部材は、図4(a)における、レーザ光源52aおよびこの光源からの光束の光路上の部材と略同様であって、互いに平行に配されており、各光源52b、52dからの光束が図4(b)に示された集光レンズ55b、55dに各々入射されるような位置に、紙面手前方向と奥行方向に配されている。本実施例においても、集光レンズ47a〜d、55a〜dは、第1フライアイ16または第2フライアイ15と隣接して配置させてもよいし、これらと一体的に形成することもできる。
【0068】
光源52a〜dからの光束は、主要光源部1から出射された光束の外周部の光束低密部の、リフレクタ12の光軸に対し互いに略回転対称となる位置に導入される。それにより、実施例1と略同様に照度分布の均一性を保つことができ、さらに投写型表示装置の照明光学系として用いた場合には、後段の投写光学系のレンズによるケラレが生じたとしてもその悪影響を防止し、色分解ダイクロイックミラーの特性による色ムラを制御することができる。また、上述のように角型リフレクタを用いた場合にも、このような位置に配された4つの光源を備えた外周補助光源部8により、光量増加を図ることができる。
【0069】
また、本実施例は、主要インテグレータ部4の後段に、ランダムな偏光を発生する主要光源部1からの光束を直線偏光に変換するための偏光変換光学系6を備えた照明光学系とされている。投写型表示装置に用いる照明光学系としては、例えば装置のライトバルブが液晶パネルとされている場合など、照明光学系から出射される光は偏光方向が揃えられた略平行光とされていることが好ましい場合があるので、本実施例によりこのような態様の一例を示す。
【0070】
偏光変換光学系6は、主要インテグレータ部4から出射された主要光源部1からの光束の偏光方向を揃えるもので、従来よく知られた、偏光ビームスプリッタアレイ、およびλ/2位相板からなるものである。偏光ビームスプリッタアレイはその内部に、偏光分離膜19と反射膜20とが、光軸に対して略45度の角度を有するように交互に形成されている。λ/2位相板は、偏光ビームスプリッタアレイの光出射面側に配設され、複数のλ/2位相膜21がストライプ状に配設されたものである。図4(b)において、ハッチング部分はλ/2位相膜21が配された部分である。
【0071】
ランダムな偏光である主要光源部1からの光束は、フライアイ16の対応するレンズセルから入射され、偏光分離膜19により偏光方向の異なるP偏光とS偏光の2種類の偏光に分離される。一方の偏光は偏光分離膜19を透過しプリズム面22から出射される。他方の偏光は偏光分離膜19および隣接する反射膜20で反射されて、最終的には、偏光ビームスプリッタアレイを直進透過した光束とほぼ平行な角度で偏光ビームスプリッタアレイより出射され、λ/2位相膜21を通過する際に、偏光面の回転作用により偏光ビームスプリッタアレイを直進透過した光束と略一致する偏光方向に変換されて出射される。
【0072】
ここで、外周補助光源部8の光源52a〜dが偏光方向の揃えられた光束を出射するものとされている場合には、この光源からの光の偏光方向を揃えるための偏光変換光学系を配設する必要はなく、構成の簡易化を図ることができる。すなわち、主要光源部1の光源はランダムな偏光を発生し、この光束が偏光変換光学系6により直線偏光に変換されて被照明体の照明を行い、外周補助光源部8は、偏光変換光学系6により直線偏光に変換された主要光源部1からの光束と略一致する偏光方向となるような、偏光方向が揃えられた光束を出射し、この光束は偏光変換をされずに被照明体の照明を行うように構成すればよい。
【0073】
また、外周補助光源部8の光源52a〜dがランダムな偏光を発生するものとされている場合は、この光源からの光の偏光方向を、直線偏光に変換された主要光源部1からの光束と略一致する偏光方向となるように揃えるための偏光変換光学系を、後段に適宜配設することが好ましい。
【0074】
このようにして、略一致する偏光方向となるように変換されて照明光束が出射される照明光学系によれば、装置のライトバルブが液晶パネルとされた投写型表示装置に用いる照明光学系としても、照明効率の高いものとすることができる。
【0075】
なお、本実施例のような複数の光源を備えた外周補助光源部8としては、必ずしも全て分光分布が同様な光源とする必要はない。主要光源部1から出射される光束の分光分布において、2つ以上の増加させたい波長域がある場合に、強度ピークの異なる複数の光源を外周補助光源部8として用いて、光量増加と良好な色再現性を達成することができる。この場合は、同じ波長域に強度ピークを有する光源が、主要光源部1から出射された光束の外周部の光束低密部の、リフレクタ12の光軸に対し互いに略回転対称となる位置に導入されることが色ムラ防止上望ましい。
【0076】
また、本実施例も放物面リフレクタ12を備えた照明光学系の例であるので、リフレクタ12から出射される光束の中心近傍にも光束低密部が存在する。したがって、本実施例の照明光学系にさらに中央補助光源部を配設して、照明光学系の光量増加および色再現性の向上を図ることも可能である。
【0077】
以上、本発明に係る照明光学系の具体的な実施例として、実施例1〜3について説明した。各実施例とも、主要光源部1から出射された光束の中心近傍および/または外周部の光束低密部に、中央および/または外周補助光源部から光束を補う構成とされ、その光束は主要光源部1から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束とされているので、明るく色再現性の良好な、コンパクトな照明光学系とされている。さらに、各光源部に対応させたインテグレータ部を備えることにより、均一な照明を行ない得る照明光学系とされている。
【0078】
本発明の照明光学系としては、上述したものに限られるものではなく種々の態様の変更が可能である。例えば、実施例1〜3中に用いられた主要光源部、外周補助光源部、中央補助光源部、偏向手段、主要インテグレータ部、外周インテグレータ部、中央インテグレータ部、偏光変換光学系等をそれぞれ取出して組合わせた構成としてもよい。例えば、上記実施例2を変更し、放物面鏡を備えた主要光源部からの光束を、集光レンズを介し、ロッドインテグレータよりなる主要インテグレータ部に入射させる構成としてもよい。また、複数の光源を備えた中央補助光源部と、フライアイよりなる主要インテグレータ部とを備えた構成(例えば、上記実施例1の中央補助光源部に光源を追加したもの)も可能である。
【0079】
また、主要光源部の光源は超高圧水銀灯に限られず、例えば発光分布が小さく発光効率の高い光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプなどを用いてもよい。これらの光源は、発光管からなるものだけでなく、リフレクタの後部とリフレクタの光出射側に電極が配置されるタイプとされていてもよい。なお、外周補助光源部および/または中央補助光源部から出射させる光束は、主要光源部の光源の分光分布に応じ、その強度ピークを有する波長域を適宜設定することができる。
【0080】
また、主要光源部から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域は、必ずしも1波長域に限定されない。例えば、3原色光のうち主要光源部から出射される光束において光量の少ない2原色光を補助光源部から出射させるようにしてもよい。本発明に係る照明光学系の、中央補助光源部および外周補助光源部においては、いずれの補助光源部も1つまたは複数の光源を備えたものとすることができる。外周補助光源部または中央補助光源部が複数の光源を備えている場合に、これら複数の光源のうちの少なくとも2つが、互いに異なる波長域に強度ピークを有する光束を出射するものとされていてもよい。また、外周補助光源部と中央補助光源部とが、互いに異なる波長域に強度ピークを有する光束を出射するものとされていてもよい。
【0081】
また、外周補助光源部および中央補助光源部の全ての光源が、主要光源部から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を出射するものとされている必要はない。外周補助光源部の一部の光源が所定波長域に強度ピークを有する光束を出射する光源を備えている場合には、外周補助光源部のその他の光源や中央補助光源部の光源が、また、中央補助光源部の一部の光源が所定波長域に強度ピークを有する光束を出射する光源を備えている場合には、中央補助光源部のその他の光源や外周補助光源部の光源が、照明光束の光量増加を図ることを目的として、主要光源と同様に白色光を出射するものとされていてもよい。
【0082】
また、本発明に係る照明光学系の外周補助光源部および中央補助光源部の一部または全部の光源は、特定波長光を出射するレーザ光源に限られるものではなく、放物面鏡や楕円面鏡等の凹面鏡リフレクタを用いたものであってもよい。これにより、これら補助光源部を低コストで光量の大きいものとすることができる。所定波長域に強度ピークを有する光束を得る場合には、これら補助光源部を白色光源およびリフレクタより構成し、白色光から所望の光束だけを分離して用いることが可能である。なお、このような補助光源部から出射された光束は、光量分布の不均一な略平行光とされているので、後段には対応するインテグレータ部を設けることが好ましい。
【0083】
また、外周補助光源部および中央補助光源部は、照明光学系の光量増加、光量分布の均一化、色再現性の適正化(所定の色味を強くしたい、弱くしたい等の場合を含む)等の所期の目的を達成し得る光量を発生させるものとすることが好ましい。
【0084】
また、本発明において、主要インテグレータ部、外周インテグレータ部および中央インテグレータ部としては、主要光源部、外周補助光源部および中央補助光源部の構成に応じ適宜ロッドインテグレータまたはフライアイを用いることができる。なお、本発明において、「主要インテグレータ部」、「外周インテグレータ部」および「中央インテグレータ部」の用語は機能的に表現したものであって、実際の形態としては、これらが別体とされている場合に限られず、これらの少なくとも一部が一体とされている場合も含まれるものとする。また、これらの少なくとも一部がインテグレータ部を共通化する場合も含まれる。
【0085】
また、各補助光源部からの光束を、主要光源部からの光束中に導入する位置としては、主要インテグレータ、外周インテグレータ部および中央インテグレータ部の前段、後段、また主要インテグレータ部がフライアイの場合は中段も含め、いずれとされていてもよい。
【0086】
また、各フライアイのレンズセルや、主要光源部および各補助光源部からの光束の光路中に配される各レンズの形状は、適宜設定することができる。各補助光源部からの光束の光路中の集光レンズが、フライアイのレンズセルと同形状とされていてもよい。
【0087】
次に、本発明に係る投写型表示装置の具体的な実施例として、実施例4について説明する。実施例4においても、特に記載のない限り実施例1〜3と同様の構成部分には同一の符号を付しており、既出の事項に関しては詳細な説明を省略している。
【0088】
<実施例4>
本実施例に係る投写型表示装置の概略構成を図5に示す。この装置は、本発明に係る照明光学系を代表したものとしての、上記実施例1に係る照明光学系を用いた装置とされている。なお、この照明光学系の偏光変換光学系6は、実施例3と同様の従来よく知られたものとされている。
【0089】
この装置は、照明光学系からの照明光束により、所定の画像情報に基づいて照明光束の光変調を行なう透過型画像表示素子よりなるライトバルブを照明し、このライトバルブからの画像情報を担持した光束を、投写光学系67を介し投写するものである。照明光束は、主要インテグレータ部4、外周インテグレータ部および中央インテグレータ部5により光量分布が均一化され、偏光変換光学系6により偏光方向が揃えられた状態で、本発明の照明光学系から出射される。そしてこの照明光束は、以下に示すとおり、3原色光に分解され、各色光用の透過型画像表示素子である液晶パネル64a〜cにより光変調されて、これらの投映光束が合成された後、投写光学系67により投写されて、スクリーン(不図示)上にフルカラー画像が結像される。なお、以下に示す第1〜第3色光成分とは、青色、緑色、赤色の3原色光を任意の順に対応させることができる。
【0090】
すなわち、照明光学系から出射された照明光束は、ダイクロイックミラー62a、62bにより色光分解され、それぞれ第1〜第3色光成分用の画像が表示される液晶パネル64a〜cに照射される。ダイクロイックミラー62aは、照明光束を第1色光成分光束と第2、第3色光成分の合成光束とに分離し、ダイクロイックミラー62bは、ダイクロイックミラー62aにより分離された第2、第3色光成分の合成光束を、第2色光成分光束と第3色光成分光束とに分離するものである。照明光束の光路上には、偏向のための全反射ミラー63a〜dと、集光レンズ61a〜fとが配され、液晶パネル64a〜c上には、主要光源部1、外周補助光源部、および中央補助光源部2からの光束が重畳される。液晶パネル64a〜cを透過し、所定の画像情報に基づいて光変調された投映光束である第1〜第3色光成分光束は、第1色光成分を反射するダイクロイック膜65aと第3色光成分を反射するダイクロイック膜65bとを内部に有する、クロスプリズム66により合成される。
【0091】
本実施例によれば、本発明に係る照明光学系を備えていることにより、コンパクトでありながら、照明効率が高く色再現性が良好で、明るく均一な照明を行ない得る投写型表示装置を得ることができる。
【0092】
なお、本発明の投写型表示装置としてはこの実施例のものに限られず、種々の態様の変更が可能である。例えば、本発明の投写型表示装置としては、本発明の照明光学系を任意に用いることができる。主要インテグレータ、外周インテグレータ部および中央インテグレータ部がフライアイであるか、ロッドインテグレータであるか、あるいは設けられていないかによって、後段の装置構成が限定されるものではない。ただし、これらの組み合わせは任意であるが装置全体としての整合性は必要である。
【0093】
また、本発明の投写型表示装置においてライトバルブは実施例のものに限られない。例えば、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)や、反射型画像表示素子よりなるライトバルブを備えた投写型表示装置にも、本発明の照明光学系を適用することができる。なお、本発明の照明光学系を、照明光束を時系列的に色光分解する手段を備えた装置に用いる場合には、所定波長域に強度ピークを有する光束を出射させる補助光源部の光源を、色光分解に同期させて点滅させるように構成してもよい。
【0094】
また、この照明光学系は、主要光源部から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を、外周補助光源部および中央補助光源部を構成する複数の光源から出射させるように構成されている。このように両補助光源部を構成する光源のうち少なくとも1つの光源からの光束が、白色光でなく特定の波長域に光強度が偏っている場合には、両補助光源部を構成する複数の光源のうち少なくとも1つの光源からの光束は、照明光束を色光分解し各色光ごとに各々ライトバルブにより画像情報を担持させた後に色合成を行なう構成の装置の、複数のライトバルブのうち一部のライトバルブのみを照明するように構成してもよい。例えば、主要光源部が白色光を出射し、両補助光源部のうち少なくとも1つの光源が赤色半導体レーザとされている場合、この光源からの光は赤色成分用のライトバルブのみを照明するように投写型表示装置が構成されていてもよい。
【0095】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る照明光学系およびこれを用いた投写型表示装置によれば、光源とリフレクタよりなる主要光源部から出射された光束の、中心近傍および/または外周部の光束低密部に、中央および/または外周補助光源部から光束を補う構成とされ、その光束は主要光源部から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束とされていることにより、コンパクトでありながら、照明効率が高く、明るく色再現性の良好な照明を行ない得る照明光学系およびこれを用いた投写型表示装置を得ることができる。さらに、これらの光源部に対応させたインテグレータ部を備えることにより、均一な照明を行ない得る照明光学系およびこれを用いた投写型表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る照明光学系の概略構成図
【図2】放物面リフレクタによる反射光の強度分布を示す図
【図3】本発明の実施例2に係る照明光学系の概略構成図
【図4】本発明の実施例3に係る照明光学系の概略構成図
【図5】本発明の実施例4に係る投写型表示装置の概略構成図
【図6】超高圧水銀灯の可視領域における波長の分光分布図
【符号の説明】
1 主要光源部
2 中央補助光源部
3 偏向ミラー
4 主要インテグレータ部
5 中央インテグレータ部
6 偏光変換光学系
7、66 クロスプリズム
8 外周補助光源部
9 外周インテグレータ部
11 光源
12、104 放物面リフレクタ
13 楕円面リフレクタ
15 第2フライアイ
16 第1フライアイ
17、18 レンズセル
19 偏光分離膜
20 反射膜
21 λ/2位相膜
22 プリズム面
23、36 ロッドインテグレータ
31、52 半導体レーザ
35、53 コリメータレンズ
37、38、47、61 集光レンズ
51、65 ダイクロイック膜
62 ダイクロイックミラー
63 全反射ミラー
64 透過型液晶パネル
67 投写光学系
101 発光管
108 発光点
Claims (8)
- 発光体およびこの発光体から出射された光を被照明体側に反射するリフレクタを備えた主要光源部と、この主要光源部から出射された光束の中心近傍の光束低密部に光束を補うように光束を出射する中央補助光源部とを備え、前記主要光源部から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を前記中央補助光源部から出射させることを特徴とする照明光学系。
- 前記中央補助光源部からの光束の光量均一化を図る中央インテグレータ部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の照明光学系。
- 前記主要光源部から出射された光束の外周部の光束低密部に光束を補うように光束を出射する外周補助光源部を備え、前記主要光源部から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を前記外周補助光源部から出射させることを特徴とする請求項1または2記載の照明光学系。
- 発光体およびこの発光体から出射された光を被照明体側に反射するリフレクタを備えた主要光源部と、この主要光源部から出射された光束の外周部の光束低密部に光束を補うように光束を出射する外周補助光源部と、この外周補助光源部からの光束の光量均一化を図る外周インテグレータ部とを備え、前記主要光源部から出射される光束の分光分布において増加させたい波長域に強度ピークを有する光束を前記外周補助光源部から出射させることを特徴とする照明光学系。
- 照明光学系の瞳面と前記主要光源部から出射された光束による照射面とが、前記照明光学系の瞳位置で光軸と直交する断面において部分的に互いに重なるよう構成され、該断面において、前記瞳面と前記照射面とが重ならない部分のうち該瞳面が該照射面より突出する部分に光束を補うように光束を出射する前記外周補助光源部を備えたことを特徴とする請求項3または4記載の照明光学系。
- 前記主要光源部の前記発光体が超高圧水銀灯とされ、前記中央補助光源部および前記外周補助光源部のうち、少なくとも1つの光源が波長600〜700nmに強度ピークを有する光束を出射させることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項記載の照明光学系。
- 請求項1〜6のうちいずれか1記載の照明光学系を備え、この照明光学系からの光束により、所定の画像情報に基づいて照明光束の光変調を行なう少なくとも1つのライトバルブを照明し、このライトバルブからの画像情報を担持した光束を、投写光学系を介し投写することを特徴とする投写型表示装置。
- 請求項7記載の投写型表示装置において、前記主要光源部ならびに前記中央補助光源部および/または前記外周補助光源部からの光束により、画像情報に基づいて照明光束の光変調を行なう複数のライトバルブを照明し、かつ、前記中央補助光源部および/または前記外周補助光源部のうち少なくとも1つの光源からの光束は、前記複数のライトバルブのうち一部のライトバルブのみを照明することを特徴とする投写型表示装置。
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