JP2004225947A - 断熱箱体 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来、冷蔵庫の背面に形成した注入口の内側に舌状に形成した樹脂性シートを片持ち状態に設け、このシートを押し下げるように注入ヘッドを注入口へ挿入して発泡断熱材の原料を注入すると、断熱材充填空間内で発泡して断熱材充填空間に充填されつつ立ち上がり、その発泡圧力によってシートが押し上げられ注入口を塞ぐ。しかし、シートは発泡圧によって注入口を通って注入口の外側へ山型に張り出す膨らみが生じ、冷蔵庫の背面からこの膨らみが突出状態となり、見栄えが悪い冷蔵庫となる。本発明は、この点の改良に係る。
【解決手段】注入口を開閉する注入口シートは、注入口に入り込み注入口よりも若干外方まで突出する平坦な外面を備えた台形部を形成するものである。
【選択図】 図5
【解決手段】注入口を開閉する注入口シートは、注入口に入り込み注入口よりも若干外方まで突出する平坦な外面を備えた台形部を形成するものである。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内箱と外箱との間に形成した断熱材充填空間へ断熱材の原料を注入する注入口を開閉する注入口シートを備えた断熱箱体に関する。
【0002】
【従来の技術】
内箱と外箱との間に形成した断熱材充填空間へ断熱材の原料を注入する注入口を外箱に形成し、断熱材充填空間側にこの注入口を開閉する注入口シートを備えた冷蔵庫がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の図8乃至図10には、冷蔵庫の背面を上向きにして、背面に形成した注入口へ注入ヘッドを挿入して断熱材充填空間に断熱材を充填する形態が開示されている。そして、注入口の内側には、舌状に形成した樹脂性シートの注入口シールが片持ち状態に設けられている。この注入口シールを押し下げるように注入ヘッドを注入口へ挿入して発泡断熱材の原料を注入すると、断熱材充填空間内で発泡して断熱材充填空間に充填されつつ立ち上がり、その発泡圧力によって注入口シールが押し上げられ、注入口を塞ぐことが開示されている。
【0004】
特許文献1には発泡断熱材の種類によって断熱材の漏れが生じることが記載されているが、発泡断熱材の種類によっては、発泡圧力によって注入口シールが押し上げられたとき、注入口を塞いで断熱材の漏れを塞ぐ状態が得られる。この場合、注入口シールは、注入ヘッドの注入口への挿入の支障とならず、しかも注入後は発泡断熱材の立ち上がりによって注入口を塞ぐことが必要であり、このような作用に適し安価なものとして、比較的薄い合成樹脂シートが考えられる。
【0005】
しかし、合成樹脂シートを採用すると、注入口シールは発泡圧によって注入口を通って注入口の外側へ山型に張り出す膨らみが生じ、冷蔵庫の背面、即ち外箱の外面からこの膨らみが突出状態となる。
【0006】
また、発泡断熱材の色彩は黄色を呈するが冷蔵庫の外箱は白色系あるいはシルバーである場合が多く、注入口の部分が外箱の色彩と異なる色彩を呈し、デザイン上からすれば好ましくなく、注入口には目張りシールを貼っていた。この目張りシールは、打ち抜きにより前記注入口を形成した際に、この注入口の周縁に形成されるバリを覆う役目も果たし、バリにより作業者等が怪我をするのを防止している。
【0007】
【特許文献1】
特開平07−237230号公報(第1頁、図8〜10)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、作業性の向上のために、前記目張りシール自体及び前記目張りシールの貼付作業を省略すると共に、バリによる怪我の防止も可能な断熱箱体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の断熱箱体は、内箱と外箱との間に形成した断熱材充填空間へ発泡性断熱材の原料を注入する注入口が前記外箱に形成され、固定側が前記注入口の前記断熱材充填空間側の周縁部に取り付けられ前記注入口を開閉するように可動する注入口シートが設けられ、この注入口シートは、前記注入口に入り込み前記注入口よりも若干外方まで突出する平坦な外面を備えた台形部を形成したことを特徴とする。
【0010】
これによって、台形部が注入口シートの補強部分として作用し、従来のような山型状の膨らみを抑制でき、平坦な外面によって外観形状を良好に保つことができる。また、金属製外箱を打ち抜きして注入口を形成したとき、この注入口の外側周縁にバリが形成される場合があるが、注入口シートの前記周囲壁によってこのバリの部分へ作業者等の手が触れ難くなり、作業者等を保護できる。
【0011】
また、本発明では、前記注入口シートは、前記断熱材充填空間側の面に前記注入口周辺の前記外箱の外面色と略同等の色彩層を有する透明樹脂シートで構成されたことを特徴とする。このように注入口シートが透明樹脂シートであるため、外箱外面側から見た色彩を種々の色彩にし易くなる。このため、発泡断熱材の色彩と冷蔵庫の外箱の色彩が大きく異なる場合にも、注入口シートに外箱と同系色を施せば、外観的に向上したものとなる。更に、注入口シートに施す色彩は、断熱材充填空間側の面に施されるため、外箱外面からの損傷を受けない効果を奏する。
【0012】
また、前記注入口周辺の前記外箱はシルバー色の外面を呈し、前記注入口シートは、前記断熱材充填空間側の面にアルミニウム蒸着層を形成した透明樹脂シートで構成されたことを特徴とする。このため、アルミニウム蒸着の形成は比較的安価にして簡単であり、塗装による場合のコストアップやカラーシートを接着する場合の皺やコストアップ等の問題も考慮することなく、シルバーの外箱に近い色を簡単にしかも安価に形成できる効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。各図は本発明の実施形態を示しており、図1は本発明に係る冷蔵庫の縦断側面、図2は本発明に係る冷蔵庫本体の正面斜視図、図3は本発明に係る冷蔵庫本体への断熱材充填状態の説明図、図4は本発明に係る注入口シートの斜視図、図5は本発明に係る注入口シートの取り付け状態を示す断面図である。
【0014】
これらの図において、Rは冷却貯蔵庫の一つである冷蔵庫であり、前面開口の冷蔵庫本体1内を区画して複数の貯蔵室を形成し、これら各貯蔵室の前面は扉で開閉できる構成である。この冷蔵庫において、1は断熱箱体を構成する冷蔵庫本体であり、外箱(外壁板)3と内箱(内壁板)2とを組み合わせて外箱(外壁板)3と内箱(内壁板)2との間に断熱材充填空間30を形成した箱体1Aの断熱材充填空間30に発泡性断熱材4を充填した断熱構造である。冷蔵庫本体1内には、貯蔵室として上から冷蔵室5、野菜室6、冷凍室7が区画されて設けられ、冷蔵室5内には複数段に板状棚で構成した棚装置8が設けられている。冷蔵室5内の底部にはその上方の冷蔵室5と最下段の棚装置8にて区画された特定低温室9が設けられ、また冷凍室7は上冷凍室10と下冷凍室11に区分されている。
【0015】
冷蔵室5の前面開口は、冷蔵庫本体1の一側部にヒンジ装置にて横方向に回動して開閉される回動式扉12にて閉塞される。野菜室6の前面開口は、野菜室6内に設けた左右のレール又はローラ装置によって前後方向へ引き出し可能に支持した野菜容器13と共に前方へ引き出される引き出し式扉14にて閉塞されている。上冷凍室10と下冷凍室11はそれぞれ野菜室6と同様に、冷凍室内に設けた左右のレールに対してそれぞれ前後方向へ引き出し可能に支持した容器15、16と共に前方へ引き出される引き出し式扉17、18にて閉塞されている。
【0016】
20は冷凍システムの冷媒の圧縮機、21は冷凍システムの冷媒の凝縮器、22は凝縮器21の熱にて後述の冷却器の除霜水を蒸発させる蒸発皿である。23、24は冷凍システムの冷媒の冷却器(蒸発器)であり、23は冷凍室7用冷却器、24は冷蔵室5、野菜室6及び特定低温室9用冷却器である。25は第1冷気循環送風機、26は第2冷気循環送風機である。冷却器23で冷却した冷気は送風機25によって、上冷凍室10及び下冷凍室11を経て冷却器23へ帰還する循環をする。また冷却器24で冷却した冷気は送風機26によって、冷蔵室5、特定低温室9及び野菜室6を経て冷却器24へ帰還する循環をする。このような冷気循環経路は図1に矢印で示す。特定低温室9は、前後方向へ引き出し可能に支持した容器27が設けられ、0℃前後で食品が凍結しない程度の低温に冷却されるものである。
【0017】
内箱2と外箱3とを組み合わせた箱体1Aの背面の左右両側部分には、箱体1Aの左右側壁に存在する断熱材充填空間30に対応する位置に、外箱3の背壁3Aを貫通して注入口31が形成されている。箱体1Aの断熱材充填空間30への発泡性断熱材4の充填は、図3のように箱体1Aをその前面開口1Bを下側に背面1Cが上になるように伏せた状態に治具によって保持し、この状態で注入口31へ差し込んだ注入ヘッド32を通して発泡性断熱材4の原料(原液ともいう)を断熱材充填空間30へ注入する。この注入によって発泡性断熱材4の原料は、断熱材充填空間30の下方部分から発泡して断熱材充填空間30内を立ち上がりつつ、断熱材充填空間30内に充填された発泡性断熱材4の層が形成される。
【0018】
本発明では、注入口31から発泡性断熱材4が漏れないように注入口31を塞ぐ注入口シート40が取り付けられている。具体的には、外箱3に形成した注入口31の断熱材充填空間30側の周縁部に注入口シート40の固定側41が両面接着テープ33によって取り付けられ、注入口シート40はその反対側の可動側42が上下動して注入口31を開閉するように可動できる。注入口シート40は透明樹脂シート47で構成され、注入口31の全周にわたって入り込み外箱3の背壁3Aの外側面よりも若干外方まで突出する周囲壁43と、この周囲壁43で囲まれた平坦な外面44とを有する台形部45を形成した構成である。
【0019】
注入口シート40の台形部45の周囲壁43が注入口31へスムースに入り込み、注入口シート40によって注入口31の閉塞が良好となるためには、注入口31と周囲壁43とは円形とし、注入口31の直径よりも若干周囲壁43の外形が小さい状態に形成するのがよい。
【0020】
このような構成において、注入口31へ差し込まれた注入ヘッド32によって注入口シート40は固定側41を支点として可動側42が下方へ回動する。そして、断熱材充填空間30への発泡性断熱材4の原料の注入が終わって注入ヘッド32を注入口31から抜き出すことによって、注入口シート40は自己の復元力と発泡性断熱材4の発泡圧力によって、注入口31へ向けて復帰し、最終的には発泡圧力によって押圧されて台形部45が注入口31に入り込み、台形部45の周辺部が注入口31の周縁部に当接して、注入口31からの発泡性断熱材4の漏れを防止する。
【0021】
このように、台形部45が注入口31に入り込んだ状態で、注入口31よりも若干外方まで突出する平坦な外面44を備えている。即ち、台形部45は外箱3、即ち外箱3の背壁3Aよりも外方へ若干張り出すように突出する。このため、周囲壁43を含む台形部45が注入口シート40の補強部分として作用し、従来のような山型状の膨らみを抑制でき、平坦な外面44によって外観形状を良好に保つことができる。また、金属製外箱3を打ち抜きして注入口31を形成したとき、この注入口31の外側周縁にバリが形成される場合があるが、注入口シート40の周囲壁43によって、このバリの部分へ作業者等の手が触れ難くなり、作業者等を保護できることとなる。具体的には、この台形部45の高さは、注入口31が形成される部分の外箱3の板厚よりも大きく設計しているので、台形部45は外箱3の外方に若干突出し、注入口31の周縁部のバリ部分に作業者の手が不用意に触れることを防止している。このため、その部分のデザイン等を考慮して、台形部45の外箱3の外方への張り出し高さは、1mm〜2mm前後で十分である。
【0022】
また、注入口シート40は、発泡性断熱材4の発泡圧力によって注入口31へ向けて復帰する作用をするが、発泡性断熱材4及びそれに含まれるガスに侵されない材質で作られることが必要である。このため、注入口シート40は、例えばポリプロピレン樹脂シートで構成され、可撓性を考慮して、その厚さは1mm前後でよい。
【0023】
また、本発明の注入口シート40は、断熱材充填空間30側の面に、注入口31周辺の外箱3の外面色、即ち外箱3の背壁3Aの外面色と略同等の色彩層46を有するポリプロピレン樹脂等の透明樹脂シート47で構成されている。このように注入口シート40が透明樹脂シートであるため、透明樹脂シート47の裏側に色彩層46を形成すれば、この色彩層46が透明樹脂シート47を透して外部から視認できることとなり、外箱3の外面側から見た色彩を種々の色彩にし易くなる。このため、発泡断熱材4の色彩と冷蔵庫の外箱3の色彩が大きく異なる場合にも、注入口シート40に外箱3と同色又は同系色を施せば、外観的に向上したものとなる。更に、注入口シート40に施す色彩は、断熱材充填空間30側の面に施されるため、外箱3外面からの損傷を受けない効果を奏する。
【0024】
また、本発明は、注入口31周辺の外箱3はシルバー色の外面を呈し、注入口シート40は、断熱材充填空間30側の面にアルミニウム蒸着層46を形成した透明樹脂シート47で構成されたことを特徴とする。色彩層46の形成を、塗装による場合はコストアップが生じ、カラーシートやアルミニウム箔を接着する場合は皺やコストアップ等の問題も生じるが、本発明によるアルミニウム蒸着層46の形成は比較的安価にして簡単であり、このような問題を考慮することなく、ステンレス製外箱であれば、そのシルバー色に近い色を簡単にしかも安価に形成できる効果がある。
【0025】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態の断熱箱体である冷蔵庫、恒温庫、冷凍庫等に適用でき、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り種種の変更が考えられ、それに係る種種の実施形態を包含するものである。
【0026】
【発明の効果】
本発明によって、金属製外箱を打ち抜きして注入口を形成したとき、この注入口の外側周縁にバリが形成される場合があるが、注入口シートの台形部によってこのバリの部分へ作業者等の手が触れ難くなり、作業者等を保護できる。
【0027】
また、本発明では、注入口シートが透明樹脂シートであるため、外箱外面側から見た色彩を種々の色彩にし易くなる。このため、発泡断熱材の色彩と冷蔵庫の外箱の色彩が大きく異なる場合にも、注入口シートに外箱と同系色を施せば、外観的に向上したものとなる。更に、注入口シートに施す色彩は、断熱材充填空間側の面に施されるため、外箱外面からの損傷を受けない効果を奏する。
【0028】
また、本発明では、注入口周辺の外箱はシルバー色の外面を呈し、注入口シートは、断熱材充填空間側の面にアルミニウム蒸着層を形成した透明樹脂シートで構成されたものであり、アルミニウム蒸着の形成は比較的安価にして簡単であり、塗装による場合のコストアップやカラーシートを接着する場合の皺やコストアップ等の問題も考慮することなく、シルバーの外箱に近い色を簡単にしかも安価に形成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る冷蔵庫の縦断側面である。
【図2】本発明に係る冷蔵庫本体の正面斜視図である。
【図3】本発明に係る冷蔵庫本体への断熱材充填状態の説明図である。
【図4】本発明に係る注入口シートの斜視図である。
【図5】本発明に係る注入口シートの取り付け状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・冷蔵庫本体
2・・・内箱
3・・・外箱
4・・・発泡性断熱材
30・・・断熱材充填空間
31・・・注入口
32・・・注入ヘッド
33・・・両面接着テープ
40・・・注入口シート
41・・・固定側
43・・・周囲壁
44・・・外側面
45・・・台形部
46・・・色彩層、アルミニウム蒸着層
47・・・透明樹脂シート
【発明の属する技術分野】
本発明は、内箱と外箱との間に形成した断熱材充填空間へ断熱材の原料を注入する注入口を開閉する注入口シートを備えた断熱箱体に関する。
【0002】
【従来の技術】
内箱と外箱との間に形成した断熱材充填空間へ断熱材の原料を注入する注入口を外箱に形成し、断熱材充填空間側にこの注入口を開閉する注入口シートを備えた冷蔵庫がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の図8乃至図10には、冷蔵庫の背面を上向きにして、背面に形成した注入口へ注入ヘッドを挿入して断熱材充填空間に断熱材を充填する形態が開示されている。そして、注入口の内側には、舌状に形成した樹脂性シートの注入口シールが片持ち状態に設けられている。この注入口シールを押し下げるように注入ヘッドを注入口へ挿入して発泡断熱材の原料を注入すると、断熱材充填空間内で発泡して断熱材充填空間に充填されつつ立ち上がり、その発泡圧力によって注入口シールが押し上げられ、注入口を塞ぐことが開示されている。
【0004】
特許文献1には発泡断熱材の種類によって断熱材の漏れが生じることが記載されているが、発泡断熱材の種類によっては、発泡圧力によって注入口シールが押し上げられたとき、注入口を塞いで断熱材の漏れを塞ぐ状態が得られる。この場合、注入口シールは、注入ヘッドの注入口への挿入の支障とならず、しかも注入後は発泡断熱材の立ち上がりによって注入口を塞ぐことが必要であり、このような作用に適し安価なものとして、比較的薄い合成樹脂シートが考えられる。
【0005】
しかし、合成樹脂シートを採用すると、注入口シールは発泡圧によって注入口を通って注入口の外側へ山型に張り出す膨らみが生じ、冷蔵庫の背面、即ち外箱の外面からこの膨らみが突出状態となる。
【0006】
また、発泡断熱材の色彩は黄色を呈するが冷蔵庫の外箱は白色系あるいはシルバーである場合が多く、注入口の部分が外箱の色彩と異なる色彩を呈し、デザイン上からすれば好ましくなく、注入口には目張りシールを貼っていた。この目張りシールは、打ち抜きにより前記注入口を形成した際に、この注入口の周縁に形成されるバリを覆う役目も果たし、バリにより作業者等が怪我をするのを防止している。
【0007】
【特許文献1】
特開平07−237230号公報(第1頁、図8〜10)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、作業性の向上のために、前記目張りシール自体及び前記目張りシールの貼付作業を省略すると共に、バリによる怪我の防止も可能な断熱箱体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の断熱箱体は、内箱と外箱との間に形成した断熱材充填空間へ発泡性断熱材の原料を注入する注入口が前記外箱に形成され、固定側が前記注入口の前記断熱材充填空間側の周縁部に取り付けられ前記注入口を開閉するように可動する注入口シートが設けられ、この注入口シートは、前記注入口に入り込み前記注入口よりも若干外方まで突出する平坦な外面を備えた台形部を形成したことを特徴とする。
【0010】
これによって、台形部が注入口シートの補強部分として作用し、従来のような山型状の膨らみを抑制でき、平坦な外面によって外観形状を良好に保つことができる。また、金属製外箱を打ち抜きして注入口を形成したとき、この注入口の外側周縁にバリが形成される場合があるが、注入口シートの前記周囲壁によってこのバリの部分へ作業者等の手が触れ難くなり、作業者等を保護できる。
【0011】
また、本発明では、前記注入口シートは、前記断熱材充填空間側の面に前記注入口周辺の前記外箱の外面色と略同等の色彩層を有する透明樹脂シートで構成されたことを特徴とする。このように注入口シートが透明樹脂シートであるため、外箱外面側から見た色彩を種々の色彩にし易くなる。このため、発泡断熱材の色彩と冷蔵庫の外箱の色彩が大きく異なる場合にも、注入口シートに外箱と同系色を施せば、外観的に向上したものとなる。更に、注入口シートに施す色彩は、断熱材充填空間側の面に施されるため、外箱外面からの損傷を受けない効果を奏する。
【0012】
また、前記注入口周辺の前記外箱はシルバー色の外面を呈し、前記注入口シートは、前記断熱材充填空間側の面にアルミニウム蒸着層を形成した透明樹脂シートで構成されたことを特徴とする。このため、アルミニウム蒸着の形成は比較的安価にして簡単であり、塗装による場合のコストアップやカラーシートを接着する場合の皺やコストアップ等の問題も考慮することなく、シルバーの外箱に近い色を簡単にしかも安価に形成できる効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。各図は本発明の実施形態を示しており、図1は本発明に係る冷蔵庫の縦断側面、図2は本発明に係る冷蔵庫本体の正面斜視図、図3は本発明に係る冷蔵庫本体への断熱材充填状態の説明図、図4は本発明に係る注入口シートの斜視図、図5は本発明に係る注入口シートの取り付け状態を示す断面図である。
【0014】
これらの図において、Rは冷却貯蔵庫の一つである冷蔵庫であり、前面開口の冷蔵庫本体1内を区画して複数の貯蔵室を形成し、これら各貯蔵室の前面は扉で開閉できる構成である。この冷蔵庫において、1は断熱箱体を構成する冷蔵庫本体であり、外箱(外壁板)3と内箱(内壁板)2とを組み合わせて外箱(外壁板)3と内箱(内壁板)2との間に断熱材充填空間30を形成した箱体1Aの断熱材充填空間30に発泡性断熱材4を充填した断熱構造である。冷蔵庫本体1内には、貯蔵室として上から冷蔵室5、野菜室6、冷凍室7が区画されて設けられ、冷蔵室5内には複数段に板状棚で構成した棚装置8が設けられている。冷蔵室5内の底部にはその上方の冷蔵室5と最下段の棚装置8にて区画された特定低温室9が設けられ、また冷凍室7は上冷凍室10と下冷凍室11に区分されている。
【0015】
冷蔵室5の前面開口は、冷蔵庫本体1の一側部にヒンジ装置にて横方向に回動して開閉される回動式扉12にて閉塞される。野菜室6の前面開口は、野菜室6内に設けた左右のレール又はローラ装置によって前後方向へ引き出し可能に支持した野菜容器13と共に前方へ引き出される引き出し式扉14にて閉塞されている。上冷凍室10と下冷凍室11はそれぞれ野菜室6と同様に、冷凍室内に設けた左右のレールに対してそれぞれ前後方向へ引き出し可能に支持した容器15、16と共に前方へ引き出される引き出し式扉17、18にて閉塞されている。
【0016】
20は冷凍システムの冷媒の圧縮機、21は冷凍システムの冷媒の凝縮器、22は凝縮器21の熱にて後述の冷却器の除霜水を蒸発させる蒸発皿である。23、24は冷凍システムの冷媒の冷却器(蒸発器)であり、23は冷凍室7用冷却器、24は冷蔵室5、野菜室6及び特定低温室9用冷却器である。25は第1冷気循環送風機、26は第2冷気循環送風機である。冷却器23で冷却した冷気は送風機25によって、上冷凍室10及び下冷凍室11を経て冷却器23へ帰還する循環をする。また冷却器24で冷却した冷気は送風機26によって、冷蔵室5、特定低温室9及び野菜室6を経て冷却器24へ帰還する循環をする。このような冷気循環経路は図1に矢印で示す。特定低温室9は、前後方向へ引き出し可能に支持した容器27が設けられ、0℃前後で食品が凍結しない程度の低温に冷却されるものである。
【0017】
内箱2と外箱3とを組み合わせた箱体1Aの背面の左右両側部分には、箱体1Aの左右側壁に存在する断熱材充填空間30に対応する位置に、外箱3の背壁3Aを貫通して注入口31が形成されている。箱体1Aの断熱材充填空間30への発泡性断熱材4の充填は、図3のように箱体1Aをその前面開口1Bを下側に背面1Cが上になるように伏せた状態に治具によって保持し、この状態で注入口31へ差し込んだ注入ヘッド32を通して発泡性断熱材4の原料(原液ともいう)を断熱材充填空間30へ注入する。この注入によって発泡性断熱材4の原料は、断熱材充填空間30の下方部分から発泡して断熱材充填空間30内を立ち上がりつつ、断熱材充填空間30内に充填された発泡性断熱材4の層が形成される。
【0018】
本発明では、注入口31から発泡性断熱材4が漏れないように注入口31を塞ぐ注入口シート40が取り付けられている。具体的には、外箱3に形成した注入口31の断熱材充填空間30側の周縁部に注入口シート40の固定側41が両面接着テープ33によって取り付けられ、注入口シート40はその反対側の可動側42が上下動して注入口31を開閉するように可動できる。注入口シート40は透明樹脂シート47で構成され、注入口31の全周にわたって入り込み外箱3の背壁3Aの外側面よりも若干外方まで突出する周囲壁43と、この周囲壁43で囲まれた平坦な外面44とを有する台形部45を形成した構成である。
【0019】
注入口シート40の台形部45の周囲壁43が注入口31へスムースに入り込み、注入口シート40によって注入口31の閉塞が良好となるためには、注入口31と周囲壁43とは円形とし、注入口31の直径よりも若干周囲壁43の外形が小さい状態に形成するのがよい。
【0020】
このような構成において、注入口31へ差し込まれた注入ヘッド32によって注入口シート40は固定側41を支点として可動側42が下方へ回動する。そして、断熱材充填空間30への発泡性断熱材4の原料の注入が終わって注入ヘッド32を注入口31から抜き出すことによって、注入口シート40は自己の復元力と発泡性断熱材4の発泡圧力によって、注入口31へ向けて復帰し、最終的には発泡圧力によって押圧されて台形部45が注入口31に入り込み、台形部45の周辺部が注入口31の周縁部に当接して、注入口31からの発泡性断熱材4の漏れを防止する。
【0021】
このように、台形部45が注入口31に入り込んだ状態で、注入口31よりも若干外方まで突出する平坦な外面44を備えている。即ち、台形部45は外箱3、即ち外箱3の背壁3Aよりも外方へ若干張り出すように突出する。このため、周囲壁43を含む台形部45が注入口シート40の補強部分として作用し、従来のような山型状の膨らみを抑制でき、平坦な外面44によって外観形状を良好に保つことができる。また、金属製外箱3を打ち抜きして注入口31を形成したとき、この注入口31の外側周縁にバリが形成される場合があるが、注入口シート40の周囲壁43によって、このバリの部分へ作業者等の手が触れ難くなり、作業者等を保護できることとなる。具体的には、この台形部45の高さは、注入口31が形成される部分の外箱3の板厚よりも大きく設計しているので、台形部45は外箱3の外方に若干突出し、注入口31の周縁部のバリ部分に作業者の手が不用意に触れることを防止している。このため、その部分のデザイン等を考慮して、台形部45の外箱3の外方への張り出し高さは、1mm〜2mm前後で十分である。
【0022】
また、注入口シート40は、発泡性断熱材4の発泡圧力によって注入口31へ向けて復帰する作用をするが、発泡性断熱材4及びそれに含まれるガスに侵されない材質で作られることが必要である。このため、注入口シート40は、例えばポリプロピレン樹脂シートで構成され、可撓性を考慮して、その厚さは1mm前後でよい。
【0023】
また、本発明の注入口シート40は、断熱材充填空間30側の面に、注入口31周辺の外箱3の外面色、即ち外箱3の背壁3Aの外面色と略同等の色彩層46を有するポリプロピレン樹脂等の透明樹脂シート47で構成されている。このように注入口シート40が透明樹脂シートであるため、透明樹脂シート47の裏側に色彩層46を形成すれば、この色彩層46が透明樹脂シート47を透して外部から視認できることとなり、外箱3の外面側から見た色彩を種々の色彩にし易くなる。このため、発泡断熱材4の色彩と冷蔵庫の外箱3の色彩が大きく異なる場合にも、注入口シート40に外箱3と同色又は同系色を施せば、外観的に向上したものとなる。更に、注入口シート40に施す色彩は、断熱材充填空間30側の面に施されるため、外箱3外面からの損傷を受けない効果を奏する。
【0024】
また、本発明は、注入口31周辺の外箱3はシルバー色の外面を呈し、注入口シート40は、断熱材充填空間30側の面にアルミニウム蒸着層46を形成した透明樹脂シート47で構成されたことを特徴とする。色彩層46の形成を、塗装による場合はコストアップが生じ、カラーシートやアルミニウム箔を接着する場合は皺やコストアップ等の問題も生じるが、本発明によるアルミニウム蒸着層46の形成は比較的安価にして簡単であり、このような問題を考慮することなく、ステンレス製外箱であれば、そのシルバー色に近い色を簡単にしかも安価に形成できる効果がある。
【0025】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態の断熱箱体である冷蔵庫、恒温庫、冷凍庫等に適用でき、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り種種の変更が考えられ、それに係る種種の実施形態を包含するものである。
【0026】
【発明の効果】
本発明によって、金属製外箱を打ち抜きして注入口を形成したとき、この注入口の外側周縁にバリが形成される場合があるが、注入口シートの台形部によってこのバリの部分へ作業者等の手が触れ難くなり、作業者等を保護できる。
【0027】
また、本発明では、注入口シートが透明樹脂シートであるため、外箱外面側から見た色彩を種々の色彩にし易くなる。このため、発泡断熱材の色彩と冷蔵庫の外箱の色彩が大きく異なる場合にも、注入口シートに外箱と同系色を施せば、外観的に向上したものとなる。更に、注入口シートに施す色彩は、断熱材充填空間側の面に施されるため、外箱外面からの損傷を受けない効果を奏する。
【0028】
また、本発明では、注入口周辺の外箱はシルバー色の外面を呈し、注入口シートは、断熱材充填空間側の面にアルミニウム蒸着層を形成した透明樹脂シートで構成されたものであり、アルミニウム蒸着の形成は比較的安価にして簡単であり、塗装による場合のコストアップやカラーシートを接着する場合の皺やコストアップ等の問題も考慮することなく、シルバーの外箱に近い色を簡単にしかも安価に形成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る冷蔵庫の縦断側面である。
【図2】本発明に係る冷蔵庫本体の正面斜視図である。
【図3】本発明に係る冷蔵庫本体への断熱材充填状態の説明図である。
【図4】本発明に係る注入口シートの斜視図である。
【図5】本発明に係る注入口シートの取り付け状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・冷蔵庫本体
2・・・内箱
3・・・外箱
4・・・発泡性断熱材
30・・・断熱材充填空間
31・・・注入口
32・・・注入ヘッド
33・・・両面接着テープ
40・・・注入口シート
41・・・固定側
43・・・周囲壁
44・・・外側面
45・・・台形部
46・・・色彩層、アルミニウム蒸着層
47・・・透明樹脂シート
Claims (3)
- 内箱と外箱との間に形成した断熱材充填空間へ発泡性断熱材の原料を注入する注入口が前記外箱に形成され、固定側が前記注入口の前記断熱材充填空間側の周縁部に取り付けられ前記注入口を開閉するように可動する注入口シートが設けられ、この注入口シートは、前記注入口に入り込み前記注入口よりも若干外方まで突出する平坦な外面を備えた台形部を形成したことを特徴とする断熱箱体。
- 前記注入口シートは、前記断熱材充填空間側の面に前記注入口周辺の前記外箱の外面色と略同等の色彩層を有する透明樹脂シートで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の断熱箱体。
- 前記注入口周辺の前記外箱はシルバー色の外面を呈し、前記注入口シートは、前記断熱材充填空間側の面にアルミニウム蒸着層を形成した透明樹脂シートで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の断熱箱体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003011708A JP2004225947A (ja) | 2003-01-20 | 2003-01-20 | 断熱箱体 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003011708A JP2004225947A (ja) | 2003-01-20 | 2003-01-20 | 断熱箱体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004225947A true JP2004225947A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=32900532
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003011708A Pending JP2004225947A (ja) | 2003-01-20 | 2003-01-20 | 断熱箱体 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004225947A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011002165A (ja) * | 2009-06-19 | 2011-01-06 | Panasonic Corp | 断熱体とそれを用いた冷蔵庫 |
JP2020148352A (ja) * | 2019-03-11 | 2020-09-17 | Phcホールディングス株式会社 | 断熱箱体の注入口開閉装置 |
-
2003
- 2003-01-20 JP JP2003011708A patent/JP2004225947A/ja active Pending
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