JP2004225239A - 既存階段構造の蹴込み部の施工方法 - Google Patents

既存階段構造の蹴込み部の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既存階段構造を削り加工する必要はなく、しかも工事終了直後からの通行を可能とする既存階段構造の蹴込み部の施工方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、踏面部12及び蹴込み部14を備えた既存階段構造10の蹴込み部14を施工する方法である。まず、蹴込み部14に、その幅方向にて所定間隔をおいて複数の取付部材30を、プラグ42及びボルト44を用いて仮止めする。次に、複数の取付部材30を支持ガイドとして、踏面部12とは異色の複数の化粧蹴込み板20を蹴込み部14の表面にて支持する。その後、複数の取付部材30を本止めして、蹴込み部14の表面と複数の取付部材30との間にて複数の化粧蹴込み板20を挟み込んで固定する。化粧蹴込み板20と蹴込み部14とを接着しても良い。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に駅や広場などに設けられた既存階段構造の蹴込み部の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハードビル法)の第3条を受けて告示された判断基準によれば、その基本的考えとして、階段は、高齢者などにとって安全かつ円滑な通行を配慮した構造とすることが掲げられている。特に、上記判断基準では、踏面の色をけあげの色と明度の差の大きいものとすること等により、階段の各段を識別しやすいものとすることが謳われている。
【0003】
例えば駅構内の階段の中には、階段全体がコンクリートにて打設されたものがあり、踏面と段鼻と蹴込み面とが同色であるものがある。これらの既存階段構造は、ハートビル法に基づく判断基準に合致した構造に改造する必要がある。
【0004】
階段の各段を識別し易くするには、踏面と蹴込み面とをそれぞれ色の異なる例えば花崗岩にてL字状に一体化した化粧板(特許文献1,特許文献2)を用いる施工方法がある。
【0005】
この化粧板を用いて既存階段構造を改造しようとすれば、既存階段構造の踏面と蹴込み面とを一部削り落とし、コンクリートスラブ等を用いて既存階段上に上述の化粧板を敷設固定する必要がある。個々の化粧板は比較的高価であり、しかも改造作業は大掛かりとなるので、駅構内の全ての階段を改造するには、膨大な費用と時間がかかってしまう。
【0006】
また、駅構内の階段改造作業は、乗客がいない深夜から早朝にかけて終了する必要があり、中途半端な終了状況では通行の支障となってしまう。また、打設されたコンクリートまたはモルタル等が乾かない状況下で階段を通行されると、階段が変形、破損して重大な人身事故を招く虞がある。
【0007】
なお、本出願人は事前にデータベース上で論理式(E04F11/00)ラ(蹴込板)にて先行技術調査をしたが、上述の問題を解決するものはなく、上述の特許文献1,2に加えて、関連する先行技術として特許文献3〜7を得た。
【0008】
【特許文献1】
特許第1768601号公報
【特許文献2】
実用新案登録第3054213号公報
【特許文献3】
特開平6−173403号公報
【特許文献4】
特開昭61−117354号公報
【特許文献5】
特開2000−320099号公報
【特許文献6】
実用新案登録第3029129号公報
【特許文献7】
実開昭57−185828号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献3は、段鼻付きのコンクリート製蹴込み板を型枠として用い、この蹴込み板と手摺用型枠とで囲まれた領域にコンクリートを打設して、踏面を形成するものである。この方法は、階段を新たに構築するものであり、踏面と蹴込み面とを有する既存階段の改造には利用不可能である。
【0010】
特許文献4〜7もまた新たに階段を構築するものであり、化粧蹴込み板の取り付け構造に相違が見られるが、化粧蹴込み板の取り付け後に踏面をモルタル、コンクリート等で形成するものである。よって、この方法を既存階段構造の改造に転用したとしても、既存構造の少なくとも踏面を削り加工する必要があり、しかも打設によって踏面を新たに形成するので、工事終了直後からの通行は不可能である。
【0011】
そこで、本発明の目的とするところは、既存階段構造を削り加工する必要はなく、しかも工事終了直後からの通行を可能とする既存階段構造の蹴込み部の施工方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、踏面部及び蹴込み部を備えた既存階段構造の前記蹴込み部を施工する方法であって、前記蹴込み部に、その幅方向にて所定間隔をおいて複数の取付部材を仮止めする工程と、前記複数の取付部材を支持ガイドとして、前記踏面部とは異色の複数の化粧蹴込み板を前記蹴込み部の表面側にて支持する工程と、前記複数の取付部材を本止めして、前記蹴込み部の表面と前記複数の取付部材との間にて前記複数の化粧蹴込み板を挟み込んで固定する工程とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明方法によれば、既存階段構造の踏面とは異なる色の化粧蹴込み板を配置できるので、階段の段鼻を含む蹴込み面(化粧蹴込み板)が、既存の踏面と異色となり、各段を識別し易い階段に改造できる。この改造にあたって、既存階段構造を削り加工する必要は必ずしもなく、しかも踏面を再構築するためのコンクリート、モルタルの打設を要しない。よって、ハートビル法に基づく階段の判断基準に合致させるための施工作業を、比較的短時間でかつ熟練を要せずに行うことができ、施工後直ちに階段を通行しても支障は生じない。
【0014】
本発明方法では、複数の取付部材を本止めする前に、複数の化粧蹴込み板の背面または前記蹴込み部の表面に接着剤が塗布されると良い。化粧蹴込み板を配置する前に蹴込み部の表面に接着剤を塗布しても良いし、それに代えてまたはそれに併せて、接着剤を塗布した蹴込み板を取付部材に支持させても良い。あるいは、取付部材に支持された化粧蹴込み板の背面と蹴込み部の表面との間に、接着剤を流し込んでも良い。化粧蹴込み板は、取付部材の締結力と接着剤とによって、より強固に固定されることになる。しかも、仮に接着剤の乾燥前に乗客が階段を通行しても、取付部材の締結力によって化粧蹴込み板が離脱されることを防止できる。
【0015】
本発明方法では、蹴込み部の最下部に位置する踏面部上と、複数の化粧蹴込み板の下端との間に、全幅に亘って目地材を配置する工程をさらに有することができる。この目地材は、化粧蹴込み板及び取付部材の寸法精度、取付精度に起因してばらつく下端の隙間を目隠しするためのものである。また、複数の化粧蹴込み板の下端が目地材によりシールされるので、乾燥前の接着剤が外部に漏れることも防止できる。
【0016】
本発明方法では、複数の取付部材の各々は、蹴込み部に固定される被固定部と、蹴込み部の表面と間隔をおいて対向配置される対向部とを一体的に備えることができる。この場合、複数の化粧蹴込み板は、被固定部の仮止め時に、その一部が蹴込み部の表面と前記対向部との間に落とし込んで配置される。その後、被固定部を本止めすることで、化粧蹴込み板は蹴込み部の表面と対向部との間で挟み込んで固定される。
【0017】
本発明方法では、複数の化粧蹴込み板の各々は、上端部の側面が隣接する他の化粧蹴込み板の上端部の側面と接するように配置され、その上端部より下方の側面は、取付部材の前記被固定部と干渉しないように切り欠くことができる。こうすると、複数の化粧蹴込み板の上端間にほとんど隙間はなくなり、段鼻が実質的に連続するので歩行上の安全が確保される。また、段鼻によって取付部材は上方から目隠しされるので、見栄えも向上する。
【0018】
本発明方法では、複数の化粧蹴込み板の各々の両側面(上端部の両側面を除く)にスリットを形成することができる。この場合、複数の化粧蹴込み板の取り付け時には、取付部材の対向部がスリットに挿入されることになる。こうすると、複数の化粧蹴込み板の各々にて露出する化粧表面が、取付部材よりも突出して配置される。こうすると、取付部材は化粧蹴込み板よりも埋没するので、蹴込み面に突起がなくなる。
【0019】
取付部材が化粧蹴込み板の化粧表面よりも埋没する場合には、取付部材を目隠し部材により被覆する工程をさらに設けることができる。こうすると、取付部材が露出しないので、蹴込み面の見栄えが向上する。
【0020】
本発明方法では、化粧蹴込み板の背面からスリットに至る厚さを、上端から下端に向かうに従い薄く形成することができる。こうすると、化粧蹴込み板の落とし込みの初期の負荷抵抗を小さくすることができる。この場合、取付部材の被固定部から対向部までの高さを、上端から下端に向かうに従い低く形成して、挿入完了後に化粧蹴込み板が取付部材内のスペースにフィットするようにしてもよい。
【0021】
本発明方法では、複数の取付部材の各々の被固定部と、蹴込み部との間に、複数の取付部材の各々を蹴込み部よりも前方に移動付勢するバネ材を配置する工程をさらに設けることができる。こうすると、複数の取付部材の仮止め状態では、複数の取付部材の各々がバネ材によって蹴込み部よりも前方に移動付勢され、挿入用の隙間を多く確保できるので、化粧蹴込み板の挿入作業を円滑に行うことができる。
【0022】
本発明方法に用いる複数の化粧蹴込み板の各々は、既存階段構造の踏面と異色である材料であり、階段としての機能を担保できる強度を有するものであればよい。特に上述の通り段部や切り欠きを設けるには、化粧蹴込み板としては、石材でもよいが、石材は加工が必要なことから、型通りに成形可能でかつ比較的安価なタイル材を用いても良い。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
<第1の実施形態>
(既存階段構造及び改造後の階段構造)
図1は本実施形態の既存階段構造の改造後の横断面図であり、図2は図1の階段構造の正面図である。図1及び図2において、既存階段構造10は、各段が踏面部12と蹴込み部14とを有し、乗客が通行可能に階段状に形成されている。本実施形態は、この既存階段構造10の蹴込み部14を改造するものである。
【0025】
既存階段構造10の蹴込み部14の表面を覆って、複数の化粧蹴込み板20が配置される。蹴込み部14の表面には、その幅方向にて所定間隔毎に、複数の取付部材30が固定されている。複数の取付部材30の各々は、蹴込み部14の表面に穿孔した下孔40に埋め込まれたプラグ42と、それに螺合するボルト44とにより、蹴込み部14の表面に固定される。
【0026】
複数の化粧蹴込み板20の各々は、その両端が、取付部材30と蹴込み部14との間に挟み込んで固定される。化粧蹴込み板20の背面と蹴込み部14の表面との間に接着剤を塗布しても良い。蹴込み部14の最下部に位置する踏面部12上と、化粧蹴込み板20の下端20Cとの間には、全幅に亘って目地材50が配置される。
【0027】
(取付部材)
取付部材30は、図3(A)(B)に示すように、例えば金属プレートを曲げ加工することで形成される。取付部材30は、蹴込み部14に固定される被固定部32と、この被固定部32の両側より垂直に立ち上がる2つの連結部34と、この2つの連結部34の上端を外側に水平に屈曲させた2つの対向部36とを一体的に備える。
【0028】
被固定部32には、ボルト44のための孔32Aが形成されている。この孔32Aを利用して取付部材30が蹴込み部14に取り付けられると、対向部36は、蹴込み部14の表面と間隔をおいて対向配置される。
【0029】
被固定部32より立ち上がる連結部34の高さHは、取付部材30の上端30Aから下端30Bに向かうに従い低くなっている。
【0030】
(化粧蹴込み板)
化粧蹴込み板20は、図4(A)(B)に示す形状に形成されている。図4(A)に示すように、化粧蹴込み板20は略長方形であり、上端20Aには面取り20Bが形成されている。この面取り20Bを含む上端部22の幅が最大であり、化粧蹴込み板20の上端部22以外の両端には切り欠き24が形成されている。また、化粧蹴込み板20の天面(段鼻となる)は、粗面などに形成されることでノンスリップ仕様となっている。化粧蹴込み板20のうち、取付部材30の対向部36と対面する2箇所の位置には、化粧表面26よりも対向部36の板厚分以上だけ低い段部28が形成されている。これにより、段部28の上に取付部材30の対向部36が配置されても、その対向部36が化粧表面26より突出することはない。
【0031】
化粧蹴込み板20の厚さTは、図4(B)に示すように、上端20Aから下端20Cに向かうに従い薄くなっている。
【0032】
この化粧蹴込み板20は、例えば型により大量生産可能なタイル材にて形成され、既存階段構造10の踏面部12とは異なる色を有している。
【0033】
(施工方法)
上述した既存階段構造10は、例えば駅構内の階段であり、化粧蹴込み板20の取付施工は、乗客のいない深夜から早朝にかけて行われる。既存階段構造10のうち、化粧蹴込み板20が取り付けられる蹴込み部14と、この蹴込み部14の直下であって、目地材50が取り付けられる一部の踏面部12が清掃されることが好ましい。
【0034】
第1工程として、既存階段構造10の蹴込み部14に、その幅方向にて所定間隔をおいて複数の取付部材30が仮止めされる。
【0035】
このために、先ず、蹴込み部14に下孔40がドリル等により穿孔される。蹴込み部14が、図1に示すように垂直でなく傾斜している場合には、下孔40はその傾斜表面に対して垂直に穿孔される。
【0036】
次に、下孔40にプラグ42が埋め込まれる。この作業は、市販のアンカー用のボルト・プラグを利用して行うことができる。なお、下孔40の穿孔工程とプラグ42の埋め込み工程とを、前日までに完了しておいても良い。
【0037】
その後、プラグ42の埋め込み位置に孔30を位置合わせして取付部材30を配置し、ボルト44をプラグ42に螺合させて、取付部材30を蹴込み部14に仮止めする。仮止めの意味は、後に化粧蹴込み板20を挿入できる程度の遊びをもって、取付部材30を仮固定することである。
【0038】
第2工程として、複数の取付部材30を支持ガイドとして、複数の化粧蹴込み板20を蹴込み部14の表面側にて支持する。すなわち、図5に示すように、蹴込み部14に仮止めされた取付部材30の上方より、化粧蹴込み板20を落とし込む。このとき、化粧蹴込み板20の両端部は取付部材30の対向部36により案内されて所定の位置に位置決めされる。
【0039】
ここで、図4(B)に示すように化粧蹴込み板20の挿入先端となる下端20Cの厚さTは最小であり、挿入後端となる上端20Aの厚さが最大である。従って、化粧蹴込み板20の落とし込み工程の初期の負荷抵抗は格段に小さく、落とし込み作業が円滑に行われる。なお、本実施形態では、図3(B)に示すように、取付部材30の被固定部32から対向部36までの高さHは、上端30Aから下端30Cに向けて小さくなり、化粧蹴込み板20の厚さと相似形となっている。よって、化粧蹴込み板20の挿入が終了すると、この化粧蹴込み板20は取付部材30にフィットするように納まる。
【0040】
なお、複数の取付部材30の各々の被固定部32と、蹴込み部14との間に、複数の取付部材20の各々を蹴込み部14よりも前方に移動付勢するバネ材(図示省略)を配置する工程をさらに設けることができる。このバネ材は、例えばボルト44の挿通孔を有して、無負荷時に例えばくの字状に屈曲した板バネとすることができる。このバネ材を用いると、複数の取付部材30の仮止め状態では、複数の取付部材30の各々がバネ材によって蹴込み部14よりも前方に移動付勢され、化粧蹴込み板20の挿入用の隙間を多く確保できるので、化粧蹴込み板20の挿入作業を円滑に行うことができる。
【0041】
この後の第3工程の前に、化粧蹴込み板20の背面または蹴込み部14の表面に接着剤を塗布する工程を完了させておくことができる。このために、化粧蹴込み板20を配置する第2工程の開始前に、蹴込み部14の表面に接着剤を塗布しておいても良い。それに代えて、あるいはそれに追加して、接着剤を塗布した化粧蹴込み板20を取付部材30に支持させても良い。あるいは、第2工程の終了後、取付部材30に支持された化粧蹴込み板20の背面と蹴込み部14の表面との間に、接着剤を流し込んでも良い。
【0042】
第3工程として、ボルト44を締め付けて取付部材30を本止めし、蹴込み部14の表面と取付部材30との間にて、化粧蹴込み板20を挟み込んで固定する。本止めの意味は、仮止めよりも強固に取付部材30をことであり、所定トルクにてボルト44を締め付けることである。
【0043】
この第3工程により、既存階段構造10の施工は完了し、その直後から乗客の通行が可能となる。化粧蹴込み板20は、接着剤の乾燥後は、取付部材30の締結力と接着剤とによってより強固に固定されることになるが、仮に接着剤の乾燥前に乗客が階段を通行しても、取付部材30の締結力のみによって化粧蹴込み板20が離脱されることを防止できるからである。
【0044】
最後に、仕上げとして、蹴込み部14の直下の踏面部12上と、複数の化粧蹴込み板20の下端20Cとの間に、例えば樹脂モルタル等にて目地材50を配置する。なお、柔軟性を有する保形性の目地材であれば、化粧蹴込み板20の取付以前に、その目地材を配置しておいても良い。
【0045】
本実施形態の施工方法は、既存階段構造10への加工は、蹴込み部14へ下孔の穿孔作業のみであるから、従来のように踏面部12及び蹴込み部14の双方の一部分を削り落とすものと比較して、作業が簡易化され工期も格段に短くなる。また、下孔加工(加えてプラグ取付加工)だけ前日以前に行っておいても、階段機能は損なわれないので、分割作業が可能となる。よって、比較的少ない人手でも乗客のいない時間を利用して駅構内の階段を改造することができる。
【0046】
施工後の階段は、既存の踏面部12とは異色の化粧蹴込み部20を備え、化粧蹴込み部20の上端20Aが異色の段鼻として機能することから、ハートビル法に基づく階段の判断基準に合致し、高齢者などが安全に通行できるものとなる。
【0047】
また、複数の化粧蹴込み板20は、上端部22同士が密接しているので、隣合う化粧蹴込み板20間に隙間は無く、通行上の支障は一切生じない。さらに、取付部材30は、化粧蹴込み板20の化粧表面26より突出せずに面一もしくは埋没しているので、この点でも通行上の支障は一切生じない。
【0048】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。上述の実施形態は駅構内の既存階段構造10に適用したものであったが、特にハートビル法に基づく判断基準が適用され得る全ての階段構造に適用可能である。
【0049】
図1では、化粧蹴込み板20の化粧表面26と、取付部材20の対向部36の表面とが面一の例を示したが、対向部36の表面が化粧表面26よりも低い場合には、図6に示すように、目隠し板60を設けることができる。この目隠し板60は、取付部材30を目隠しするもので、取付部材30の配置領域に例えば接着固定される。目隠し部材60の少なくとも表面は、好ましくは化粧蹴込み板20と同種の材料とすると良いが、異種材料であっても良い。
【0050】
図6の構造に用いられる取付部材30は、図1の構造に用いられるものと比較して、図3(B)に示す高さHを低くできるので、取付部材30の曲げ加工は容易となる。
【0051】
なお、取付部材30の高さHは、必ずしも上端30Aから下端30Cに向かうに従い低くなるものに限らず、化粧蹴込み板20の最大厚さに合わせて同一高さに形成しても良い。この場合、化粧蹴込み板20と取付部材30との間に隙間が生じるので、スペーサを配置したり、あるいは被固定部32に突起を形成して、その隙間を埋めるようにすることができる。こうすれば、取付部材30の加工はより簡単になる。
【0052】
上述の実施形態では、階段の幅方向の隅部の説明を省略したが、隅部については、例えば図7に示すように施工することができる。図7は、既存階段構造10の一方の側壁70付近の平面図である。隅部用の化粧蹴込み板80は、一般の化粧蹴込み板20とは異なる型によって別途に成形しても良いが、一般の化粧蹴込み板20の端部を切断して所定の長さに加工しても良い。そして、隅部用化粧蹴込み板80の切断端部の側面には、例えばスリット82が加工形成される。
【0053】
隅部用取付部材90は、横断面がクランク形状であり、一方の垂直片が被固定部92とされて、蹴込み部14に埋め込まれたプラグ42と、ボルト44とで蹴込み部14に固定される。隅部用取付部材90の他方の垂直片が係止部94で、隅部用化粧蹴込み板80のスリット82に挿入される。
【0054】
側壁70と隅部用化粧蹴込み板80との間の隙間100は、排水溝として利用できる。なお、隅部用取付部材90を図示しない目隠し板により目隠しすることもできる。この時、目隠し板が隅部用化粧蹴込み板80の化粧表面26よりも突出させないようにすれば、それにより確保される凹所を排水溝として確保することができる。
【0055】
<第2の実施形態>
図8〜図11(A)(B)は、化粧蹴込み板200と取付部材210とを用いた本発明の第2の実施形態を示しており、第1の実施形態と異なる点は以下の通りである。
【0056】
(取付部材)
取付部材210は、図10(A)(B)に示すように、ボルト孔212Aを有する被固定部212、連結部214及び2つのの対向部216とを一体的に備える点で、第1の実施形態と同じである。被固定部212から対向部216までの高さhは、上端210Aから下端210Bに向かうに従い低くなる点も第1の実施形態と同じであるが、第2の実施形態の高さh<第1の実施形態の高さHとなっている。
【0057】
(化粧蹴込み板)
図11(A)(B)に示す化粧蹴込み板200が、第1の実施形態(図4(A)(B)参照)と相違する第1点は、第1の実施形態の段部28に相当するものが設けられていない点である。第2点は、化粧蹴込み板200の板厚Tは、上端200Aから下端200Cに亘って均一である点である。第3点は、第2の実施形態の化粧蹴込み板200の両側面(上端部202の側面は除く)には、それぞれスリット208が形成されている点である。化粧蹴込み板20の背面からスリット208に至る厚さtは、図11(B)に示すように、上端200Aから下端200Cに向かうに従い薄くなっている。なお、化粧蹴込み板200の上端200A側には面取り200Bが形成され、上端部202の下方の両側壁には切り欠き204が形成されている点は、第1の実施形態と共通している。また、第2の実施形態の化粧蹴込み板200もまた、例えば型により大量生産可能なタイル材にて形成され、既存階段構造10の踏面部12とは異なる色を有している。
【0058】
(施工方法)
施工方法としては、上述した化粧蹴込み板200及び取付部材210の形状変更が施工方法に影響を与える第2工程のみが第1の実施形態と異なり、他の点は第1の実施形態と同じであり、第1の実施形態についての変形例も、第2の実施形態に適用可能である。
【0059】
取付部材210の仮止め工程である第1工程の実施後の第2工程は、化粧蹴込み板200の取付工程である。この第2工程は、仮止めされた取付部材210の2つの対向部216を、化粧仮込み板200のスリット208に挿通するようにして、化粧蹴込み板200をその下端200C側から取付部材210内に落とし込むことで実施される。このとき、第1の実施形態と同様にして、化粧蹴込み板200の寸法tと取付部材210の寸法hとの関係から、化粧蹴込み板200の初期負荷抵抗を少なくして取付作業を行うことができる。
【0060】
第3工程は、取付部材210の本止め工程であり、ボルト44を締結することで、取付部材210と蹴込み部14との間で化粧蹴込み板200は強固に支持される。また、この取付部材210は、化粧蹴込み板200と蹴込み部14との間に接着剤が塗布された場合には、それが乾燥するまでの間であっても、階段の通行を可能とする。
【0061】
このように、第2の実施形態においても、第1の実施形態の作用・効果を奏することができることに加えて、化粧蹴込み板200の板厚Tが一定となり、取付部材210の高さhが低くなることから、化粧蹴込み板200と取付部材210の加工は第1の実施形態よりも簡便となる。なお、この第2の実施形態においても、図6と同様にして、化粧蹴込み板200の化粧表面206よりも埋没している取付部材210を、目隠し部材により覆っても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る階段構造の横断面図である。
【図2】図1に示す階段構造の正面図である。
【図3】図3(A)は図1の階段構造に用いられる取付部材の正面図、図3(B)はその取付部材の右側面図である。
【図4】図4(A)は図1の階段構造に用いられる化粧蹴込み板の正面図、図4(B)はその化粧蹴込み板の右側面図である。
【図5】図1の階段構造を施工するための化粧蹴込み板の取り付け工程を示す概略説明図である。
【図6】取付部材を目隠し板にて被覆した変形例を示す階段の一段部の正面図である。
【図7】階段の隅部の施工の一例を示す一部を切欠した平面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る階段構造の横断面図である。
【図9】図8に示す階段構造の正面図である。
【図10】図10(A)は図8の階段構造に用いられる取付部材の正面図、図10(B)はその取付部材の右側面図である。
【図11】図11(A)は図8の階段構造に用いられる化粧蹴込み板の正面図、図11(B)はその化粧蹴込み板の右側面図である。
【符号の説明】
10 既存階段構造、12 踏面部、14 蹴込み部、20,200 化粧蹴込み板、20A,200A 上端、20B,200B 面取り、20C,200C下端、21 天面、22,202 上端部、24 切り欠き、26,206 化粧表面、28 段部、30,210 取付部材、30A,210A 上端、30B,210B 下端、32,212 被固定部、34,214 連結部、36,216 対向部、40 下孔、42 プラグ、44 ボルト、50 シール部材、60 目隠し板、70 側壁、80 隅部用化粧蹴込み板、82 スリット、90 隅部用取付部材、100 排水溝,218 スリット

Claims (9)

  1. 踏面部及び蹴込み部を備えた既存階段構造の前記蹴込み部を施工する方法であって、
    前記蹴込み部に、その幅方向にて所定間隔をおいて複数の取付部材を仮止めする工程と、
    前記複数の取付部材を支持ガイドとして、前記踏面部とは異色の複数の化粧蹴込み板を前記蹴込み部の表面側にて支持する工程と、
    前記複数の取付部材を本止めして、前記蹴込み部の表面と前記複数の取付部材との間にて前記複数の化粧蹴込み板を挟み込んで固定する工程と、
    を有することを特徴とする既存階段構造の蹴込み部の施工方法。
  2. 請求項1において、
    前記複数の取付部材を本止めする前に、前記複数の化粧蹴込み板の背面または前記蹴込み部の表面に、接着剤が塗布されることを特徴とする既存階段構造の蹴込み部の施工方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記蹴込み部の最下部に位置する前記踏面部上と、前記複数の化粧蹴込み板の下端との間に、目地材を配置する工程をさらに有することを特徴とする既存階段構造の蹴込み部の施工方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    前記複数の取付部材の各々は、前記蹴込み部に固定される被固定部と、前記蹴込み部の表面と間隔をおいて対向配置される対向部とを一体的に備え、
    前記複数の化粧蹴込み板は、前記被固定部の仮止め時に、その一部が前記蹴込み部の表面と前記対向部との間に落とし込んで配置され、前記被固定部を本止めすることで、前記蹴込み部の表面と前記対向部との間で挟み込んで固定されることを特徴とする既存階段構造の蹴込み部の施工方法。
  5. 請求項4において、
    前記複数の化粧蹴込み板の各々は、上端部の側面が隣接する他の化粧蹴込み板の上端部の側面と接するように配置され、前記上端部より下方の側面は、前記取付部材の前記被固定部と干渉しないように切り欠かれていることを特徴とする階段の蹴込み部の施工方法。
  6. 請求項5において、
    前記複数の化粧蹴込み板の各々には、前記上端部を除く両側面にスリットが形成され、前記複数の化粧蹴込み板の取り付け時には、前記取付部材の前記対向部が前記スリットに挿入されることを特徴とする既存階段構造の蹴込み部の施工方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記複数の取付部材の各々は、前記化粧蹴込み板の化粧表面よりも埋没して配置され、その埋没された前記複数の取付部材の各々を目隠し部材により被覆する工程をさらに有することを特徴とする既存階段構造の蹴込み部の施工方法。
  8. 請求項5において、
    前記化粧蹴込み板の背面から前記スリットに至る厚さが、上端から下端に向かうに従い薄く形成され、前記化粧蹴込み板の落とし込みの初期の負荷抵抗を小さくしたことを特徴とする既存階段構造の蹴込み部の施工方法。
  9. 請求項4乃至8のいずれかにおいて、
    前記複数の取付部材の各々の前記被固定部と、前記蹴込み部との間に、前記複数の取付部材の各々を前記蹴込み部よりも前方に移動付勢するバネ材を配置する工程をさらに有することを特徴とする既存階段構造の蹴込み部の施工方法。
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