JP2004225135A - 熱プラズマによる粉末の合成/精製または球状化方法とその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料粉末をプラズマフレームにより加熱溶融して粉末を合成/精製し、あるいは球状化して、その粉末を反応塔底部の回収容器に回収する粉末の合成/精製あるいは球状化装置において、反応塔31の円筒部32の内壁に微粒粉収集手段20を設けて、この微粒粉収集手段20により不純物を含んだり粒度の揃わない微粒粉5を収集し、残部球状粒子4を落下させて回収容器33に回収することにより、不純物の少ない純度の高い粉末、あるいは粒度の揃った製品粉末4を得る。この微粒粉収集手段20は反応塔円筒部32の内壁内周に設けられた受け皿21と該受け皿に集まる微粒粉を吸引する吸引手段とを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱プラズマにより高融点の金属又は金属化合物の純度の高い粉末を得るための合成/精製や、焼結加工性のよい粒度の揃った球状粉末を得るための球状化方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の熱プラズマによる粉末の精製装置は、図3に示すように原料ホッパー15から原料粉末をプラズマフレーム1中に供給して溶融し合成されて、溶融と反応ガスにより精製され、精製された粉末4が反応塔31内に落下して回収容器33に収集されるようになっている。あるいは熱プラズマによる粉末の球状化装置の場合には、プラズマフレーム1中に供給された原料粉末が熱プラズマにより溶融球状化して、この球状粉末が反応塔31内に落下して回収容器33に収集されるようになっている(例えば特許文献1、2、3及び4)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−269511号公報
【特許文献2】特開平5−9075号公報
【特許文献3】実開平1−69631号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の熱プラズマによる粉末の精製装置では、図3に示すように微粒粉の粉末5が反応塔上部内壁に付着して、この微粒粉5が剥離して落下し、他の粒子とともに回収容器33に回収される。この微粒粉5中には蒸気圧の低い不純物などが多く、純度の高い粉末4に混じるために高純度の粉末が得られ難かった。なお、ここでいう微粒粉には超微粒粉を含むものである。
【0005】
また、従来の熱プラズマによる粉末の球状化装置では、前記同様に微粒粉の粉末5が反応塔上部内壁に付着して剥離し、この微粒粉が回収容器に回収される球状粉末4に混じるために成形性の良い粒度の揃った粉末を得るためには分級に手間を要した。
【0006】
そこで、本発明は、プラズマによる粉末の合成/精製装置において、不純物を含む微粒粉を別個に収集して純度の高い粉末が得られる合成/精製方法と装置、及び微粒粉や粒度の異なる粉末を分別して収集して粒度の揃った焼結加工性のよい球状粉末が得られる球状化方法と装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の熱プラズマによる粉末の合成/精製方法と装置は、原料粉末をプラズマフレームにより加熱溶融して粉末を合成/精製し、該合成/精製粉末を反応塔底部の回収容器に回収する粉末の合成/精製方法において、該反応塔内壁に微粒粉収集手段を設け、該微粒粉収集手段により反応塔内に浮遊し内壁に付着する不純物を含む微粒粉を収集し、不純物の少ない残部粉末粒子を落下させて前記回収容器に回収することにより、純度の高い製品粉末を得ることを特徴とするものである。
【0008】
すなわち、本発明者らは前記したように、従来の精製装置では不純物を含む微粒粉が反応塔内壁に集中して付着することに着目し、反応塔内壁に微粒粉収集手段を設けて、これにより反応塔内に浮遊し内壁に付着する超微粒粉を別に収集し、不純物を含まない球状粒子だけを落下させて回収することにより純度の高い製品粉末を得ようとするものである。
【0009】
また、本発明の熱プラズマによる粉末の球状化方法と装置は、原料粉末をプラズマフレームにより加熱して溶融球状化し、該球状粉末を反応塔底部の回収容器に回収する粉末の球状化方法において、該反応塔内壁に微粒粉収集手段を設けて、該微粒粉収集手段により反応塔内に浮遊し内壁に付着する微粒粉を収集し、微粒粉が減少した残部球状粒子を落下させて前記回収容器に回収することにより、微粒粉の混入が少ない粒度の揃った球状粒子を得ることを特徴とするものである。ここでいう微粒粉は超微粒粉を含めたものをいい、以下の説明においても同様である。
【0010】
すなわち、本発明者らは前記したように、従来の精製装置では粒度の異なる微粒粉が反応塔内壁に集中して付着することに着目し、反応塔内壁に微粒粉収集手段を設けて、これにより反応塔内に浮遊し内壁に付着する微粒粉を別に収集し、微粒粉の混在の少ない成形性の良い均一粒度の球状粉末を得るものである。
【0011】
また、本発明の熱プラズマによる粉末の球状化方法と装置は、原料粉末をプラズマフレームにより加熱して溶融球状化し、該球状粉末を反応塔底部の回収容器に収集する粉末の球状化方法において、該反応塔内壁の上部側に微粒粉収集手段を設け、該内壁の下部側に中粒粉収集手段を設け、前記微粒粉収集手段により反応塔内上部に浮遊し内壁に付着する微粒粉を収集し、前記中粒粉収集手段により反応塔内下部に浮遊する中粒粉を収集し、残部大粒の球状粒子を落下させて前記回収容器に回収することにより、球状粒子を微粒粉と中粒粉と大粒粉とに分別して得ることを特徴とするものである。
【0012】
すなわち、本発明の熱プラズマによる粉末の球状化方法と装置は、粒度の小さい微粒粉末が反応塔上部内壁に集中し、やや粒度の大きい中粒粉末が反応塔中部、下部に集中することに着目し、反応塔上部の微粒粉収集手段により上部に浮遊し内壁に付着する微粒粉を収集し、下部の中粒粉収集手段により反応塔下部に浮遊する中粒粉を収集し、残りの落下する大粒粉を反応塔底部の回収容器に回収することにより、各粒度ごとに揃った粒度の球状粉を得るものである。
【0013】
また、前記微粒粉収集手段と中粒粉収集手段のそれぞれまたは一方を2以上備えることにより、さらに粒度を分別して回収することも可能である。
【0014】
ここで微粒粉、中粒粉、大粒粉というのは、絶対的大きさではなく比較した相対的な大きさをいい、前述のように微粒粉には超微粒粉といわれるものも含み、材料(比重)などにより異なるが、一般的にいえば微粒粉は10μm以下、中粒粉は10〜30μm、大粒粉は30μm以上位の粒度である。通常回収容器に回収する大粒粉を製品粒粉とするが、微粒粉、中粒粉も用途により使用できる。
【0015】
前記の精製または球状化装置において、前記微粒粉収集手段と中粒粉収集手段は、反応塔内壁内周に設けられた受け皿と該受け皿に集まる微粒粉を吸引する吸引手段とを備えることが望ましい。
【0016】
すなわち、反応塔内壁内周に受け皿を設けると内壁に集中して付着する不純物を含む微粒粉末や、粒度の小さい球状粉末がこの受け皿に溜まるのでこれを吸引手段によって吸引することにより簡易に上記目的を達することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を図示の実施形態について具体的に説明する。図1は本発明実施形態1の球状粉末の精製装置の断面図である。また、図3は従来の球状粉末の精製装置の断面図である。
【0018】
まず図3に基づき従来の精製装置の全体の構成について説明する。従来の精製装置の主体はプラズマトーチ11、原料ホッパー15、反応塔31及び回収容器33により構成されている。
【0019】
プラズマトーチ11において、高周波誘導コイル13に通電するとプラズマフレーム1が発生し、石英管12にAr,H2 などのガスを供給する。原料粉は原料ホッパー15から原料供給管16を介してプラズマフレーム1中に供給される。Ar,H2 などのガスの導入手段は簡略化のため図示を省略した。
【0020】
反応塔31は円筒箱型をなし、円筒部32の上蓋34にプラズマトーチ11が搭載されている。円筒部32の下部は開口されて回収容器33に接続されている。反応塔31内のガスは、円筒部32の側面の排気口35に接続されたサイクロン36、フィルタ37を通して排気されるようになっている。
【0021】
上記構成の従来の精製装置の動作について以下に説明する。まず、プラズマトーチ11の高周波誘導コイル13に高周波電力を投入し、Arなどのガスを流入するとプラズマフレーム1が石英管12の下部側から噴出する。
【0022】
プラズマフレーム1中に原料ホッパー15から原料供給管16を介して原料粉末を供給すると、プラズマフレームにより溶融されて球状化した製品粉末4が反応塔31内で冷却されて落下し回収容器33に回収される。
【0023】
この際に、微粒粉5と中粒粉6の一部は排気口35からサイクロン36、フィルタ37に排気され、中粒粉6はサイクロン36で分離され、微粒粉5はフィルタ37で分離される。しかし、発生する多くの微粒粉は図3に示すように反応塔上部内壁に集中して上部内壁に付着する。そして、この付着して溜った微粒粉が剥離して落下し回収容器33に混入する。発明者らはこの微粒粉に蒸気圧の低い不純物などが多く含まれる傾向があることを見出だし、この落下した微粒粉が回収容器33に回収される製品粉末に混入するために製品粉末の純度が低下することを見出だした。
【0024】
そこで、図1に示す本発明の精製装置は、微粒粉の混入を低減するよう構成されたものである。プラズマトーチ、反応塔などの構成は図3の従来装置とほぼ同一であるあが、図に示すように反応塔31の円筒部32の内壁に受け皿21と微粒粉を吸引する吸引箱25などで構成する吸引手段を有する微粒粉収集手段20が設けられている点で異なる。受け皿21は円筒部32の内壁との間隔が上部で開いたテーパ円筒リング22が底部22aで円筒部32の内壁内周に装着された形状をなしている。受け皿21に対応する円筒部32の外周に吸引箱25が設けられ、受け皿21と吸引箱25の間の円筒部32の円周に亘って多数の吸引孔23が貫通されている。そして吸引箱25の吸引口26が吸引管27を介してフィルター38に導通されている。
【0025】
以下、本発明の精製装置の動作について説明する。プラズマトーチ11のフレーム1に投入された原料粉末は高温で溶融されて精製され、反応塔31内に落下する。この際に微粒粉は反応塔31の上部に浮遊する。そしてこの微粒粉は図に示すように反応塔内壁に付着し、これが剥離して下部に落下する。
【0026】
本発明の精製装置には、反応塔内壁内周に受け皿21が設けられているので、反応塔内壁に付着して落下する微粒粉は受け皿21で受けられ、吸引孔23から吸引口26を介して吸引されてフィルター38に捕集される。
【0027】
なお、製品粉末より粒度の小さい中粒粉の粉末は排気口35から吸引され、サイクロン36、フィルター37に捕集される。そのために、回収容器33に回収される製品粉末には微粒粉をほとんど含まない球状粉が得られる。これにより、回収容器33に回収される製品粉末は、不純物の混入が少なく純度の高い大粒粉の製品粉末が得られる。なお、前述したようにここでいう微粒粉、中粒粉、大粒粉は比較した相対的な粒度をいい、一般的には微粒粉は10μm以下、中粒粉は10〜30μm、大粒粉は30μm以上位である。
【0028】
[実施形態2]
次に本発明の粉末の球状化装置について説明する。実施形態2の球状化装置も実施形態1の精製装置と全く同一の装置を使用するので、前記図1に基づいて説明する。
【0029】
プラズマトーチ11のフレーム2に投入された原料粉末は高温で溶融されて球状になり反応塔31内に落下して球状粉末として回収容器33に回収される。この際に粒度の小さい微粒粉は反応塔上部に浮遊し図に示すように反応塔上部内壁に付着し、剥離して下部に落下する。そのために前記図3の従来の装置では、回収容器に回収される製品粉末には微粒粉が混在する。そのため焼結成形性の良い粒度の球状粉末だけを得るには分級を要するが、微粒であるために分級が困難である。
【0030】
本発明の精製装置には、内壁内周に受け皿21が設けられているので、反応塔内壁に付着した微粒粉は受け皿21に受けられ、吸引孔23から吸引口26を介して吸引され、フィルター38に捕集される。そして、中粒粉は下部の排気口35から吸引され、サイクロン36、フィルター37に捕集される。
【0031】
これにより、微粒粉、中粒粉、大粒粉(製品粉末)と分級して収集される。そのために、回収容器33に回収される製品粉末には微粒粉、中粒粉をほとんど含まない焼結成形性の良い粒度の球状粉末だけが分級しないで得られる。なお、ここでいう微粒粉、中粒粉、大粒粉も前述した相対的な粒度をいうものである。
【0032】
[実施形態3]
図2は本実施形態3の球状化装置の断面図である。上記実施形態2の球状化装置においても微粒粉、中粒粉、大粒の製品粒度品と分級して収集できるが、実施形態3ではさらに積極的に前記受け皿を反応塔下部の排気口にも設けたものである。
【0033】
図2に基づいて説明すると、実施形態3の球状化装置では、実施形態2の反応塔上部の微粒粉収集手段20の他に下部に同じ形状の中粒粉収集手段20´が設けられている。すなわち、実施形態2の上部受け皿21の他に下部受け皿21´が設けられ、下部受け皿21´も上部受け皿21と同じ形状のテーパ円筒リング22´が円筒部32の内壁内周に装着されている。そして上部受け皿21と同様に吸引孔23´と吸引箱25´が設けられ吸気口26´を介してサイクロン36、フィルター37に導通される。
【0034】
前記実施形態2の中粒粉は下部受け皿21´によりさらに積極的に収集されるので、回収容器33に回収される球状粉末はさらに製品粒度以外の粒度の粉末が排除され、均一粒度の製品粉末が得られる。
【0035】
なお、実施形態3では中粒粉収集手段20´を実施形態2の下部の排気口35と共用したが、中粒粉収集手段20´は排気口35と別個に設けてもよい。
【0036】
【実施例】
[実施例1]
実施例1は、W粉末の精製について、図1の本発明の精製装置と図3の従来の装置とを用いて精練効果を比較した。図4〜6に原料と得られた粉末の顕微鏡写真を示す。図4は原料粉、図5と6は従来の装置と本発明の装置のそれぞれ回収容器に回収された球状粉末を示す。図4に示す破砕形状の原料粉は、図5、図6ともに綺麗に球状化されている。しかし、図5の従来装置による球状粉末は表面に微粒粉が付着しているのに対し、図6の本発明装置による球状粉末は表面にはこのような微粒粉の付着が認められず、微粒粉が微粒粉収集手段により分離されて回収容器には大粒粉のみが回収されたことが判る。
【0037】
上記の図5の従来装置による球状粉末と図6の本発明装置による球状粉末について不純物を分析した結果を表1に示す。表1から、従来装置、本発明装置ともに原料粉からは不純物は大幅に減少して精練効果が認められる。しかし、本発明装置は従来装置に比し全不純物が共に各段に減少し、本発明装置による精練効果の著しい向上が認められる。
【0038】
【表1】
【0039】
[実施例2]
実施例2は、実施例1と同様にしてMo粉末の精製について、本発明の精製装置と従来装置とを用いて精練効果を比較した。図7〜9に粉末の顕微鏡写真を示す。図7は原料粉、図8と9は従来の装置と本発明の装置のそれぞれ回収容器に回収された球状粉末を示す。図7に示す原料粉に対し、図8の従来装置による回収球状粉末は表面に多量の微粒粉が付着して凝集した形状を示し、球状形が認めにくい。これに対し、図9の本発明装置による回収球状粉末は表面に微粒粉の付着がなく綺麗に球状化されている。すなわち本発明装置によれば、微粒粉が分離されて回収容器には大粒粉のみが回収されたことが判る。
【0040】
実施例1と同様に上記の図8の従来装置による球状粉末と図9の本発明装置による球状粉末について不純物を分析した結果を表2に示す。表2から、従来装置では微粒粉が分離されないので回収粉末の不純物は原料粉からほとんど低減せず、あまり精練効果が認められないことが判る。これに対し本発明装置では微粒粉が分離されるので、不純物が原料粉からほぼ半分以下に減少しており十分な精練効果が認められる。このように、本発明装置は従来装置に比し精練効果の著しい向上が認められる。
【0041】
【表2】
【0042】
[実施例3]
実施例3は、Al2 O3 粉末について、実施例1、2と同様の図1の本発明の球状化装置と図3の従来の装置とを用いて球状化試験を行った。表3にその試験結果を示す。まず表の見方について説明する。回収容器、サイクロンの欄は従来方法、本発明方法ともに、それぞれ回収容器33、サイクロン36に回収された粉末、フィルタの欄は従来方法はフィルタ37に回収された粉末、本発明方法はフィルタ37、38に回収された粉末を示す。粒度別比率は各粒径ごとの粒度分布をWt%で示し合計100%である。
【0043】
【表3】
【0044】
部位別回収率は前述の回収容器、サイクロン、フィルタに回収された粉末の回収比率を示す。粒度別回収効率は各部位で回収された粉末量に対する回収容器では大粒粉、サイクロンでは中粒粉、フィルタでは微粒粉の比率を示す。
【0045】
表3から、従来方法に対して本発明方法は、回収容器においては中粒粉や微粒粉の混入が減少し大粒粉の回収率が89%から95%に向上していることが判る。また、サイクロンにおいては微粒粉の混入が減少し中粒粉の回収率が93%から96%に向上していることが判る。
【0046】
[実施例4]
実施例4は、SiO2 粉末について、実施例3と同様に図1の本発明の球状化装置と図3の従来の装置とを用いて球状化試験を行った。表4にその試験結果を示す。表の見方は表3と同様である。
【0047】
【表4】
【0048】
表4から、従来方法に対して本発明方法は、実施例3と同様に回収容器においては大粒粉の回収率が82%から93%に向上し、サイクロンにおいては中粒粉の回収率が66%から77%に向上していることが判る。
【0049】
上述の実施例3、4に示すように本発明方法によれば、従来方法より回収容器とサイクロンにおいて粒度の異なる粉末の混入が少なく分級がより良く行われるので、回収容器の製品粉末のみでなく、用途によりサイクロンで回収した微粒粉の混入の少ない中粒粉を選択使用することもできる。
【0050】
以上述べたように、本発明の実施形態の熱プラズマによる粉末の合成/精製方法と装置によれば、反応塔内壁に微粒粉収集手段を設けて、これにより内壁周辺に浮遊する微粒粉を収集し、不純物を含まない球状粒子だけを回収容器に落下させるので高純度の粉末を得ることができる。
【0051】
また、本発明の熱プラズマによる粉末の球状化方法と装置によれば、反応塔内壁に微粒粉収集手段を設けて、反応塔内に浮遊し内壁に付着する微粒粉を収集して残部球状粒子だけを回収容器に回収するので、微粒粉の混入が少ない成形性の良い粒度の揃った球状粒子を得ることができる。
【0052】
また、本発明の熱プラズマによる粉末の球状化方法と装置は、反応塔上部と下部に微粒粉収集手段と中粒粉収集手段を設けて、上部の微粒粉収集手段により上部内壁周辺に浮遊する微粒粉を収集し、下部の中粒粉収集手段により反応塔下部内壁周辺に浮遊する中粒粉を収集し、残りの落下する大粒粉を反応塔底部の回収容器に回収することにより、一層各粒度ごとに揃った粒度の球状粉を得ることができる。
【0053】
上記の微粒粉収集手段と中粒粉収集手段は、反応塔上下部内壁に集中する不純物を含む微粒粉末や、粒度の小さい球状粉末を受ける受け皿とこの受け皿に集まった微粒粉を吸引する吸引手段とを備えるので、上記目的を簡易に達することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱プラズマによる粉末の合成/精製方法と装置では、従来装置より不純物の混入の少ない純度の高い粉末が得られるので、合成粉末の性能が向上し新しい用途が開ける。また、本発明の熱プラズマによる粉末の球状化方法と装置では、微粒粉を含まない焼結加工性などのよい均一な所定粒度の球状粉末が得られるので焼結品などの品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施形態1の精製装置の断面図
【図2】本発明実施形態2の球状化装置の断面図
【図3】従来の精製/球状化装置の断面図
【図4】本発明実施例1の原料粉末の顕微鏡写真
【図5】本発明実施例1の従来装置による精製粉末の顕微鏡写真
【図6】本発明実施例1の本発明装置による精製粉末の顕微鏡写真
【図7】本発明実施例2の原料粉末の顕微鏡写真
【図8】本発明実施例2の従来装置による精製粉末の顕微鏡写真
【図9】本発明実施例2の本発明装置による精製粉末の顕微鏡写真
【符号の説明】
1 プラズマフレーム、3 原料粉末、4 製品粉末(大粒粉)、5 微粒粉、6 中粒粉、11 プラズマトーチ、12 石英管、13 高周波誘導コイル、15 原料ホッパー、16 原料供給管、20 微粒粉収集手段、20´ 中粒粉収集手段、21、21´ 受け皿、22 テーパ円筒リング、23 吸引孔、25 吸引箱、26 吸引口、27 吸引管、31 反応塔、32 円筒部、33 回収容器、34 上蓋、35 排気口、36 サイクロン、37 フィルタ、 38 フィルタ
Claims (11)
- 原料粉末をプラズマフレームにより加熱溶融して粉末を合成/精製し、該合成/精製粉末を反応塔底部の回収容器に回収する粉末の合成/精製方法において、該反応塔内壁に微粒粉収集手段を設け、該微粒粉収集手段により反応塔内に浮遊し内壁に付着する不純物を含む微粒粉を収集し、不純物の少ない残部粉末粒子を落下させて前記回収容器に回収することにより、純度の高い製品粉末を得ることを特徴とする熱プラズマによる粉末の合成/精製方法。
- 原料粉末をプラズマフレームにより加熱して溶融球状化し、該球状粉末を反応塔底部の回収容器に回収する粉末の球状化方法において、該反応塔内壁に微粒粉収集手段を設けて、該微粒粉収集手段により反応塔内に浮遊し内壁に付着する微粒粉を収集し、微粒粉が減少した残部球状粒子を落下させて前記回収容器に回収することにより、微粒粉の混入が少ない粒度の揃った球状粒子を得ることを特徴とする熱プラズマによる粉末の球状化方法。
- 原料粉末をプラズマフレームにより加熱して溶融球状化し、該球状粉末を反応塔底部の回収容器に収集する粉末の球状化方法において、該反応塔内壁の上部側に微粒粉収集手段を設け、該内壁の下部側に中粒粉収集手段を設け、前記微粒粉収集手段により反応塔内上部に浮遊し内壁に付着する微粒粉を収集し、前記中粒粉収集手段により反応塔内下部に浮遊する中粒粉を収集し、残部大粒の球状粒子を落下させて前記回収容器に回収することにより、球状粒子を微粒粉と中粒粉と大粒粉とに分別して得ることを特徴とする熱プラズマによる粉末の球状化方法。
- 前記微粒粉収集手段と中粒粉収集手段のそれぞれまたは一方を2以上備えることにより、さらに粒度を細分別して回収することを特徴とする請求項3に記載の熱プラズマによる粉末の球状化方法。
- 原料粉末をプラズマフレームにより加熱溶融して粉末を合成/精製し、該合成/精製粉末を反応塔底部の回収容器に回収する粉末の精製装置において、反応塔内壁に該反応塔内に浮遊し内壁に付着する不純物を含む微粒粉を収集する微粒粉収集手段が設けられ、反応塔底部に不純物の少ない残部粉末粒子を落下させて回収する回収容器が設けられた、純度の高い製品粉末が得られることを特徴とする熱プラズマによる粉末の合成/精製装置。
- 前記微粒粉収集手段は、反応塔内壁内周に設けられた受け皿と該受け皿に集まる微粒粉を吸引する吸引手段とを備えたことを特徴とする請求項5に記載の熱プラズマによる粉末の合成/精製装置。
- 原料粉末をプラズマフレームにより加熱して溶融球状化し、該球状粉末を反応塔底部の回収容器に回収する粉末の球状化装置において、反応塔内壁に該反応塔内に浮遊し内壁に付着する微粒粉を収集する微粒粉収集手段が設けられ、反応塔底部に前記微粒粉が減少した残部球状粒子を落下させて回収する回収容器が設けられた、微粒粉の混入が少ない粒度の揃った球状粒子が得られることを特徴とする熱プラズマによる粉末の球状化装置。
- 前記微粒粉収集手段は、反応塔内壁内周に設けられた受け皿と該受け皿に集まる微粒粉を吸引する吸引手段とを有することを特徴とする請求項7に記載の熱プラズマによる球状粉末の球状化装置。
- 原料粉末をプラズマフレームにより加熱して溶融球状化し、該球状粉末を反応塔底部の回収容器に収集する粉末の球状化装置において、該反応塔内壁の上部側に反応塔内上部に浮遊し内壁に付着する微粒粉を収集する微粒粉収集手段が設けられ、該内壁の下部側に反応塔内下部に浮遊する中粒粉を収集する中粒粉収集手段が設けられ、反応塔底部に残部大粒の球状粒子を落下させて回収する回収容器が設けられた、球状粒子を微粒粉と中粒粉と大粒粉とに分別して得られることを特徴とする熱プラズマによる粉末の球状化装置。
- 前記微粒粉収集手段と中粒粉収集手段は、それぞれ反応塔内壁内周に設けられた受け皿と該受け皿に集まる粉末を吸引する吸引手段とを備えることを特徴とする請求項9に記載の熱プラズマによる粉末の球状化装置。
- 前記微粒粉収集手段と中粒粉収集手段のそれぞれまたは一方を2以上備えたことを特徴とする請求項10に記載の熱プラズマによる粉末の球状化装置。
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