JP2004224951A - 帯電防止性異型押出成形品 - Google Patents

帯電防止性異型押出成形品 Download PDF

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史崇 近藤
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Abstract

【課題】透明性と持続的な帯電防止性能に優れ、収納された電子部品を汚染することの無い、電子部品搬送体として有用な帯電防止性異型押出成形品を提供する。
【解決手段】(A)芳香族ポリカーボネート樹脂85〜20重量部及び(B)ポリエーテルエステル15〜80重量部の合計100重量部からなる樹脂組成物を異型押出して製造された帯電防止性異型押出成形品、好適には該ポリエーテルエステルは、(B1)スルホン酸塩基を持たない芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル、(B2)スルホン酸塩基で置換された芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル、(B3)炭素数2〜10のグリコール成分および(B4)数平均分子量200〜50,000のポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分より得られたポリエーテルエステルであることを特徴とし、かかる帯電防止性異型押出成形品は特に電子部品搬送体に好適なものである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電防止性の異型押出成形品に関する。更に詳しくは、透明性と、持続的な帯電防止性能に優れ、内部に収納された電子部品を汚染することの無い、電子部品搬送体として有用な帯電防止性異型押出成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、その優れた透明性、耐熱性、機械的強度を有するがゆえに電気、機械、自動車、医療等、幅広い用途に使用されている。しかしながら芳香族ポリカーボネート樹脂は、表面固有抵抗が大きく、接触や摩擦などで誘起された静電気が消失し難い為に、成形品表面への埃の付着、人体への電撃による不快感、更にはエレクトロニクス製品におけるノイズの発生や誤動作を生じる等の問題がある。
【0003】
特にエレクトロニクス分野においては、電子機器の生産自動化を目的として、抵抗、コンデンサなどの電子部品の基板回路への自動装着が行われてきたが、更に近年では、実装技術の発達に伴い、IC、LSIといったより精密な電子部品の自動装着も行われるようになってきている。かかる電子部品、特に集積度の高いICやLSI等の電子部品は、静電気を帯びた物体との接触によって、容易に静電気破壊を起こし得る。かかる電子部品の収納及び搬送には、合成樹脂を異型押出してなる電子部品搬送体が多く使用されているが、搬送中や電子機器組立て工程における取扱い中に、電子部品の静電気破壊を招く恐れがあり、合成樹脂に対する種々の帯電防止方法が検討されてきている。また電子部品搬送体に収納された電子部品を、外側から目視で確認できることが求められる場合があり、搬送体が透明で内部が視認可能であることも要望されている。
【0004】
芳香族ポリカーボネート樹脂の帯電防止方法としては、従来、アルキルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩といったイオン性界面活性剤を利用する方法が、帯電防止効果や経済性に優れるために一般的に広く採用されてきた。その利用方法としては、界面活性剤をポリマー中に練り込む方法と、界面活性剤を成形品表面に塗付する方法の二つに大別できる。これらの方法では高い帯電防止効果が得られ、ポリカーボネート樹脂本来の透明性も維持されるものの、拭き取りや水洗によってその効果が低下するという問題があった。更に、電子部品搬送体として使用した場合には、ブリードアウトした界面活性剤が、収納された電子部品を汚染し、電子部品の接点の腐食や製造工程の汚染の原因となるという問題もある。また、界面活性剤を塗付する方法では、界面活性剤の塗付工程やその後の乾燥工程などが必要となる為、製造方法が煩雑になるという問題もある。
【0005】
そこで、拭き取りや水洗によっても帯電防止効果が損なわれず半永久的に持続するものとして、ポリマー型の帯電防止剤を樹脂に混合する種々の方法が知られている。例えば、ポリカーボネートとポリスチレン系ポリマーから成る樹脂に対して、ポリエーテルエステルアミドを制電性ポリマーとして配合することは公知である(特許文献1参照)。また、高分子系帯電防止剤として幹ポリマーがポリアミド、枝ポリマーがポリアルキレンエーテルとポリエステルとのブロックポリマーから成るグラフトポリマーおよびその表面固有抵抗を減少させる効果については公知である(特許文献2参照)。
【0006】
しかし、このように2種類以上のポリマーから成る組成物では、通常はポリマー同士がミクロには混合していない為に、屈折率の違いに起因する光の散乱のために成形品が不透明となってしまうという問題がある。
【0007】
特定のスルホン酸塩基で置換された芳香族ジカルボン酸、ポリアルキレングリコール、およびグリコールを重縮合して得られたポリエーテルエステルとポリカーボネートからなる熱可塑性樹脂組成物は公知である(特許文献3参照)。更に該ポリエーテルエステルとポリカーボネートからなる樹脂組成物から形成された持続的な帯電防止性能、透明性に優れたフィルムおよびシート(特に溶融押出法により製造された)は公知である。更にかかるフィルムおよびシートを形成する際にポリエーテルエステルとポリカーボネートとの溶融粘度比が特定値以上であることが重要であり、また筋状分散が良好な帯電防止性能に必要であることも公知である(特許文献4参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開昭62−273252号公報
【特許文献2】
特開平5−97984号公報
【特許文献3】
特開平8−283548号公報
【特許文献4】
特開平10−219095号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性と、持続的な帯電防止性能に優れ、収納された電子部品を汚染することの無い、電子部品搬送体として有用な帯電防止性異型押出成形品を提供することにある。
【0010】
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。上記従来技術より界面活性剤を含まず、透明性を維持できる帯電防止性樹脂組成物として前記のポリエーテルエステルとポリカーボネートからなる組成物に注目し、かかる異型押出品の検討を行った。しかしながら異型押出品にあってはフィルムやシートで公知の溶融粘度条件を満足する場合にも、成形品形状や製造条件によって帯電防止性能の差異が大きく、性能が不足する場合のあることが判明した。これは筋状の分散形態が異型押出にあっては極めて形成されにくいか、または成形品形状、成形品部位、および製造条件によって非常にばらつく可能性が考えられる。また電子部品搬送体にあっては、従来のフィルムやシートでの帯電防止性能(表面抵抗)よりも更に良好な性能が求められる場合が多かった。
【0011】
本発明者は上記の検討結果に基づき更に鋭意検討を進めた結果、比較的多量のポリエーテルエステルを含むポリカーボネートとの組成物からなる異型押出成形品が上記の問題点を解決し、透明性および持続的な帯電防止性能に優れ、かつ電子部品を汚染することの無い電子部品搬送体を提供でき、更に強度などにおいても必要とされる特性を十分に満足できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)(A)芳香族ポリカーボネート樹脂85〜20重量部及び(B)ポリエーテルエステル15〜80重量部の合計100重量部からなる樹脂組成物を異型押出して製造された帯電防止性異型押出成形品にかかるものである。かかる構成(1)によれば、透明性および持続的な帯電防止性能に優れ、かつ電子部品を汚染することの無い電子部品搬送体に好適な(以下、これらを単に“本発明の効果”と総称する場合がある)帯電防止性異型押出成形品が提供される。
【0013】
本発明の好適な態様の1つは、(2)前記(A)芳香族ポリカーボネート樹脂が、該A成分100重量%中、(A1)粘度平均分子量10,000〜50,000の直鎖状ポリカーボネート樹脂10〜100重量%及び(A2)粘度平均分子量10,000〜60,000の分岐状ポリカーボネート樹脂0〜90重量%からなることを特徴とする前記(1)に記載の帯電防止性異型押出成形品である。すなわち本発明の帯電防止性異型押出成形品においては、前記特定の分子量範囲のポリカーボネートであること、更に分岐状ポリカーボネート樹脂は任意であるが、分岐状ポリカーボネートを含むことがより好ましい。分岐状ポリカーボネートを含む場合には、より異型押出性の条件範囲が広く成形性が良好になると共に、帯電防止性異型押出成形品の透明性の改善が認められる。したがってかかる構成(2)によれば、本発明の効果を有し、更に透明性の良好な帯電防止性異型押出成形品が提供され得る。
【0014】
本発明の好適な態様の1つは、(3)前記(B)ポリエーテルエステルが、(B1)スルホン酸塩基を持たない芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル、(B2)下記式(1)で表されるスルホン酸塩基で置換された芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル、(B3)炭素数2〜10のグリコール成分および(B4)数平均分子量200〜50,000のポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分より得られたポリエーテルエステルである前記(1)および(2)に記載の帯電防止性異型押出成形品である。更に好適には(4)前記(B)ポリエーテルエステルの成分中、(B1)スルホン酸塩基を持たない芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステルが、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、及びそれらのエステルから選択される少なくとも1種である前記(3)に記載の帯電防止性異型押出成形品である。
【0015】
【化2】
Figure 2004224951
【0016】
[式(1)中、Arは炭素数6〜20の3価の芳香族基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、Mは金属イオン、テトラアルキルホスホニウムイオン又はテトラアルキルアンモニウムイオンを表す。]
かかる構成(3)および(4)によれば、本発明の効果を有し、更に透明性や帯電防止性能の良好な帯電防止性異型押出成形品が提供され、殊に(4)においては透明性に優れる帯電防止性異型押出成形品が提供される。
【0017】
本発明の好適な態様の1つは、(5)温度23℃、相対湿度50%の雰囲気において測定された表面固有抵抗が1×10〜1×1014Ωの範囲である前記(1)〜(4)に記載の帯電防止性異型押出成形品である。好適には該表面固有抵抗が、1×10〜5×1012Ωの範囲、更に好適には5×10〜1×1012Ωの範囲である帯電防止性異型押出成形品である。かかる構成(5)によれば、本発明の効果を有し殊に電子部品搬送体に好適な帯電防止性異型押出成形品が提供される。
【0018】
本発明の好適な態様の1つは、(6)成形品の全光線透過率が65%以上であることを特徴とする、前記(1)〜(5)に記載の帯電防止性異型押出成形品である。かかる構成(6)によれば、本発明の効果を有し殊に透明性が要求される分野において好適な帯電防止性異型押出成形品が提供される。殊に前記(5)の特性をも満足する態様を本発明は提供し得るものであり、かかる態様は殊に電子部品搬送体に好適である。
【0019】
本発明の好適な態様の1つは、(7)前記(1)〜(6)に記載の帯電防止性異型押出成形品で形成された電子部品搬送体である。かかる構成(7)によれば透明性および持続的な帯電防止性能に優れ、かつ電子部品を汚染することの無い電子部品搬送体が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の帯電防止性異型押出成形品を構成する各成分、該各成分の組成割合、帯電防止性異型押出成形品の調整法、特性および構成等について詳細に説明する。
【0021】
<(A)成分について>
本発明で使用される(A)成分のポリカーボネート樹脂とは通常エンジニアリング樹脂として使用される樹脂であり、二価フェノールとカーボネート前駆体を溶媒中(界面重合法)あるいは溶融状態(エステル交換法)で反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂である。
【0022】
本発明で(A1)成分として使用される直鎖状ポリカーボネート樹脂は、一例として二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重合法または溶融重合法等の方法で反応させて得ることができる。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。
【0023】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0024】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によってポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。また直鎖状ポリカーボネート樹脂(A1)は、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0025】
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下反応させる。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ピリジン等が用いられる。
【0026】
有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。
【0027】
また、反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることができ、分子量調節剤として例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール等の末端停止剤を用いるのが好ましい。
【0028】
反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは通常10以上に保つのが好ましい。
【0029】
溶融重合法による反応は、通常二価フェノールと炭酸ジエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールと炭酸ジエステルを混合し、減圧下通常120〜350℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には133Pa以下にして生成したフェノール類を系外に除去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0030】
炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジブチルカーボネート等が挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0031】
重合速度を速めるために重合触媒を使用することができ、重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ホウ素やアルミニウムの水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第4級アンモニウム塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩、亜鉛化合物、ホウ素化合物、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、有機錫化合物、鉛化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等の通常エステル化反応やエステル交換反応に使用される触媒があげられる。触媒は単独で使用しても良いし、二種類以上を併用して使用しても良い。
【0032】
また、重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重合反応の後期あるいは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることが好ましい。
【0033】
上記以外の反応形式の詳細についても、成書及び特許公報などで良く知られている反応形式を採用することができる。
【0034】
本発明における(A1)直鎖状ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜50,000が好ましく、15,000〜40,000がより好ましく、18,000〜30,000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。かかる粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
【0035】
本発明で(A2)成分として使用される分岐状ポリカーボネート樹脂は、例えば下記例に示すような三官能以上の多官能性化合物の少なくとも一種以上を分岐剤として、該分岐剤から形成される繰返し単位を2価フェノールから形成される繰返し単位との合計量100モル%当たり、少なくとも0.05モル%を含むポリカーボート樹脂をいう。より好適にはかかる分岐剤から形成される繰返し単位の割合が0.05〜3モル%、更に好適には0.1〜1モル%の範囲であるポリカーボネート樹脂である。
【0036】
かかる分岐状ポリカーボネート樹脂は、例えば前記直鎖状ポリカーボネート樹脂における界面重縮合法において二価フェノールと共に分岐剤を共存させる方法によって製造される。分岐剤の例として、例えばフロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、その他テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、イサチンビスフェノール、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0037】
(A2)成分として使用する分岐状ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は一般に10,000〜60,000、好ましくは15,000〜40,000である。分岐状ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が10,000より小さい場合には、得られた成形品の機械特性が不十分となる場合があり、また粘度平均分子量が60,000より大きい場合は分岐状ポリカーボネート樹脂の製造効率が低下し効率的でない。すなわち分岐状ポリカーボネート樹脂を製造した際に含有する不純物の除去に工数が必要となり、かかる部分の工数を削減した場合には不純物が電子部品に悪影響を与える危惧が生ずる。殊に分岐状ポリカーボネート樹脂を界面重縮合法によって製造する場合には、アルカリ金属分の除去は必要であり、その除去の効率が低下しやすい。かかる分岐状ポリカーボネートを製造するに当たって、適当な分子量調節剤、反応を促進するための触媒等の使用は差し支えない。
【0038】
本発明の(A2)成分の分岐状ポリカーボネート樹脂の割合は、(A1)成分と(A2)成分との合計100重量%中、(A1)成分10〜100重量%および(A2)成分0〜90重量%であり、好ましくは該(A1)成分の粘度平均分子量が10,000〜50,000の範囲である。更に好適には(A1)成分と(A2)成分との合計100重量%中、(A1)成分30〜90重量%(より好ましくは45〜85重量%)、(A2)成分の割合は10〜70重量%(より好ましくは15〜55重量%)である。
【0039】
更に分岐成分のA成分中の割合は、好ましくは0.01〜1モル%の範囲であり、より好ましくは0.03〜0.5モル%の範囲であり、更に好ましくは0.05〜0.2モル%の範囲である。かかる範囲にあっては押出性が良好であり、低コストであり、かつ電子部品の汚染の少ない電子部品搬送体に好適な帯電防止性異型押出成形品が提供される。またかかる分岐成分の割合は、分岐剤によってのみ形成される必要はなく、例えば溶融重縮合法にあっては反応中の副反応として分岐成分が形成されることが知られている。かかる場合にあっても前記分岐成分の割合を満足することが好ましい。尚、分岐成分の割合はH−NMR測定により算出することが可能である。
【0040】
一方で、前記の如く(A)芳香族ポリカーボネート樹脂中のアルカリ(土類)金属量を低減することは重要である。したがって界面重縮合法の場合は十分な水洗を行い、溶融エステル交換法の場合はかかる触媒の配合量に十分留意して、法ウ皇族ポリカーボネート樹脂自体のアルカリ(土類)金属元素の含有量を0.5ppm未満とすることが好ましい。より好ましくはかかる含有量を0.3ppm未満、特に好ましくは0.2ppm未満とした芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することが本発明において好ましい。
【0041】
<(B)成分について>
本発明の(B)成分として使用されるポリエーテルエステルは、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分からの繰返し単位を必須単位として含有する芳香族ポリエステルをいい、より好適にはスルホン酸塩基で置換された芳香族ジルカルボン酸及び/またはそのエステルからの繰返し単位を必須単位として含有する芳香族ポリエステルをいう。更に好適には本発明の(B)成分として使用されるポリエーテルエステルは、(B1)スルホン酸塩基を持たない芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル、(B2)下記式(1)で表されるスルホン酸塩基で置換された芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル、(B3)炭素数2〜10のグリコール成分および(B4)数平均分子量200〜50,000のポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分より得られたポリエーテルエステルが好適である。
【0042】
【化3】
Figure 2004224951
【0043】
[式(1)中、Arは炭素数6〜20の3価の芳香族基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、Mは金属イオン、テトラアルキルホスホニウムイオン又はテトラアルキルアンモニウムイオンを表す。]
(B1)スルホン酸塩基を持たない芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステルとしては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、及びそれらのエステル形成性の誘導体を挙げることができる。中でも、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸及び/又はそれらのエステル形成性の誘導体、殊にナフタレンジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性の誘導体を用いた場合には、ポリエーテルエステルの屈折率をポリカーボネートの屈折率に近づけることができ、光線透過率の高い透明な成形品を得やすくなるので特に好ましい。具体的には、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジエチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジエチル等のアルキルエステルが挙げられ、これらの化合物の芳香環はアルキル基、ハロゲン原子等で置換されていても良い。これらの芳香族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体は単独で使用しても2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0044】
(B2)スルホン酸塩基で置換された芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステルは、前記式(1)で表される。
【0045】
前記式(1)中のArは、炭素数6〜20の3価の芳香族基であり、具体的には3価のベンゼン環、ナフタレン環が挙げられ、これらの環がアルキル基、フェニル基、ハロゲン、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。
【0046】
前記式(1)において、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、好ましくは水素原子、メチル基およびエチル基である。
【0047】
前記式(1)において、Mは金属イオン、テトラアルキルホスホニウムイオンまたはテトラアルキルアンモニウムイオンを表す。Mとしては具体的にはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン等のアルカリ金属イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、亜鉛イオン、テトラブチルホスホニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。これらのイオンの中では金属イオンが好ましく、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよび亜鉛イオンがより好ましい。但し2価の金属イオンの場合にはスルホン酸基2モルに対して金属イオン1モルが対応するものとする。
【0048】
かかる(B2)スルホン酸塩基で置換された芳香族ジカルボン酸またはそのエステル成分としては、4−ナトリウムスルホ−イソフタル酸、5−ナトリウムスルホ−イソフタル酸、4−カリウムスルホ−イソフタル酸、5−カリウムスルホ−イソフタル酸、2−ナトリウムスルホ−テレフタル酸、2−カリウムスルホ−テレフタル酸、4−スルホ−イソフタル酸亜鉛塩、5−スルホ−イソフタル酸亜鉛塩、2−スルホ−テレフタル酸亜鉛塩、4−スルホ−イソフタル酸テトラアルキルホスホニウム塩、5−スルホ−イソフタル酸テトラアルキルホスホニウム塩、4−スルホ−イソフタル酸テトラアルキルアンモニウム塩、5−スルホ−イソフタル酸テトラアルキルアンモニウム塩、2−スルホ−テレフタル酸テトラアルキルホスホニウム塩、2−スルホ−テレフタル酸テトラアルキルアンモニウム塩、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4−ナトリウムスルホ−2,7−ナフタレンジカルボン酸、4−カリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4−カリウムスルホ−2,7−ナフタレンジカルボン酸、4−スルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸亜鉛塩、4−スルホ−2,7−ナフタレンジカルボン酸亜鉛塩、4−スルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸テトラアルキルアンモニウム塩、4−スルホ−2,7−ナフタレンジカルボン酸テトラアルキルアンモニウム塩、4−スルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸テトラアルキルホスホニウム塩、4−スルホ−2,7−ナフタレンジカルボン酸テトラアルキルホスホニウム塩、又はこれらのジメチルエステル、ジエチルエステル等を挙げることができる。
【0049】
これらの中で、R、Rが共にメチル基またはエチル基(特に好ましくはメチル基)であり、Arがベンゼン環であり、Mがアルカリ金属イオンであることが、重合性、帯電防止性、機械物性、色調等の面でより好ましい。具体的には、例えば、4−ナトリウムスルホ−イソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホ−イソフタル酸ジメチル、4−カリウムスルホ−イソフタル酸ジメチル、5−カリウムスルホ−イソフタル酸ジメチル、2−ナトリウムスルホ−テレフタル酸ジメチル、2−カリウムスルホ−テレフタル酸ジメチル等が挙げられる。
【0050】
(B)ポリエーテルエステルを構成する(B1)成分および(B2)成分の二種の酸成分は、全酸成分を100モル%として、(B1)スルホン酸塩基を持たない芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル95〜50モル%及び(B2)上記式(1)で示されるスルホン酸塩基で置換された芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル5〜50モル%の割合であることが好ましい。かかる(B2)成分の割合が5モル%未満では、帯電防止効果が十分でない場合がある。また、(B2)成分が50モル%を越えると重合反応が困難になり、十分な重合度の(B)ポリエーテルエステルを得難くなったり、取り扱い性が悪化することがある。上記(B1)成分及び(B2)成分のより好ましい割合は、(B1)92〜65モル%および(B2)8〜35モル%であり、さらに好ましい割合は(B1)90〜70モル%および(B2)10〜30モル%である。
【0051】
また、本発明における好適な(B)ポリエーテルエステルの構成成分の1つである(B3)炭素数2〜10のグリコール成分としては、具体的にはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等を例示することができる。かかるグリコール成分は、ジエチレングリコールのようにエーテル結合、チオジエタノールのようにチオエーテル結合を含んでいても良い。
【0052】
かかるグリコール成分は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。この中で主として1,6−ヘキサンジオールを用いることが帯電防止効果の点で好ましく、1,6−ヘキサンジオールとエチレングリコールを併用することが更に好ましい。(B)ポリエーテルエステル中における1,6−ヘキサンジオールとエチレングリコールの好ましい共重合割合は、1,6−ヘキサンジオール95〜50モル%およびエチレングリコール5〜50モル%であり、更に好ましくは1,6−ヘキサンジオール90〜70モル%およびエチレングリコール10〜30モル%である。
【0053】
本発明における好適な(B)ポリエーテルエステルの構成成分の一つである(B4)ポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分としては、ポリエチレングリコールから主として成るポリアルキレングリコールが好ましい。また、かかるポリエチレングリコールはポリプロピレングリコール等を共重合成分として含んでいても良い。
【0054】
かかるポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量は200〜50,000の範囲が好ましい。かかる分子量が200に満たない場合には、十分な帯電防止効果が得られないことがある。また、実用性の点から、かかる分子量は50,000程度であれば十分である。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの好ましい分子量は500〜30,000であり、さらに好ましくは1,000〜20,000である。
【0055】
上記(B4)ポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性、帯電防止効果の点から、(B)ポリエーテルエステル全体の10〜50重量%の範囲内とすることが好ましい。すなわち、かかる(B4)ポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分は、(B)ポリエーテルエステルを構成する前記単量体(B1)成分、(B2)成分、(B3)成分及び(B4)成分からの縮合重合によって生成する(B)ポリエーテルエステル全体の重量を100重量%として、10〜50重量%となるようにすることが好ましい。10重量%より少ないと帯電防止効果が十分でない場合があり、50重量%より多くなると(B)ポリエーテルエステルの屈折率が低くなり、ポリカーボネート樹脂に配合すると光線透過率の高い、透明性に優れる異型押出成形品を得ることが困難となる場合がある。(B4)成分の含有量は、(B1)成分、(B2)成分、(B3)成分及び(B4)成分からの縮合重合によって生成する(B)ポリエーテルエステル全体の重量を100重量%として15〜45重量%の範囲がより好ましく、20〜40重量%の範囲がさらに好ましい。
【0056】
本発明における(B)ポリエーテルエステルは、フェノール/テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒中30℃で測定した還元粘度(濃度1.2g/dl)が0.3以上であることが好ましい。還元粘度が0.3より小さいと耐熱性や、機械物性低下の原因となることがある。還元粘度に対する上限は、かかるポリマーが実質的に線状の重合体であるので、帯電防止効果の点でも、機械物性の点でも高い方が好ましいが、実際的な重合の上限は4.0程度である。還元粘度はより好ましくは0.4以上であり、更に好ましくは0.5以上である。
【0057】
本発明における(B)ポリエーテルエステルは、上記(B1)成分、(B2)成分、(B3)成分及び(B4)成分をエステル交換触媒存在下、150〜300℃で加熱溶融し、重縮合反応せしめることによって得ることができる。
【0058】
エステル交換触媒としては通常のエステル交換反応に使用できるものならば特に制限はない。かかるエステル交換触媒としては、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酢酸第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート等の錫化合物、テトラブチルチタネート等のチタン化合物、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物、酢酸カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩等を例示することができる。これらのうちテトラブチルチタネートが好ましく用いられる。
【0059】
また上記触媒の使用量としては、通常のエステル交換反応における使用量で良く、概ね使用する酸成分1モルに対し、0.01〜0.5モル%が好ましく、0.03〜0.3モル%がより好ましい。
【0060】
また、反応時には酸化防止剤を併用することも好ましい。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の使用量は、(B)ポリエーテルエステル100重量部に対して0.001〜0.3重量部が好ましい。
【0061】
上記成分(B1)成分〜(B4)成分を加熱溶融して重縮合する温度としては、初期反応として150〜200℃で数十分から十数時間エステル化反応及び/又はエステル交換反応を留出物を留去しながら行った後、反応物を高分子量化する重合反応を180〜300℃で行う。180℃より温度が低いと反応が進み難く、300℃より温度が高いと分解などの副反応が起こりやすくなるため上記温度範囲が好ましい。重合反応温度は200〜280℃がさらに好ましく、220〜260℃が特に好ましい。この重合反応の反応時間は反応温度や重合触媒にもよるが、通常数十分から数十時間程度である。
【0062】
<組成割合について>
本発明における(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)ポリエーテルエステルとの配合割合は、(A)成分と(B)成分との合計を100重量部として、(A)成分85〜20重量部および(B)成分15〜80重量部の割合であり、(A)成分78〜50重量部および(B)成分22〜50重量部の割合が好ましく、(A)成分69〜60重量部および(B)成分31〜40重量部の割合が更に好ましい。(B)成分が15重量部より少ないと帯電防止性異型押出成形品の帯電防止効果が不十分となるために好ましくなく、80重量部を超えると異型押出成形品の物性が低下したり、表面に粘着性が生じ電子部品搬送体として好ましくない場合がある。
【0063】
本発明における(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)ポリエーテルエステルの混合方法は特に限定されるものではないが、前記(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて各種の添加剤を通常用いられている方法で溶融混練することにより、従来公知の方法で容易に混合して製造することができる。
【0064】
例えば、一軸あるいは二軸の溶融押出し機を用いて、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)ポリエーテルエステル及び必要に応じて各種の添加剤を溶融混合することができる。これらを混合する温度としては、180〜340℃の範囲が好ましく、200〜320℃の範囲がより好ましい。180℃より温度が低いと混合が十分ではないことがあり、320℃より温度が高いと分解などの劣化を起こすことがあり上記温度範囲が好ましい。
【0065】
比較的多量のイオン性界面活性剤を含む樹脂組成物から形成された成形品を電子部品搬送体として使用した場合には、成形品表面にブリードアウトしたイオン性低分子量物質が、電子部品に付着してその表面を汚染する場合がある。その結果、電子部品の接点の腐食や製造工程の汚染といった問題を引き起こす可能性がある。従って、かかる用途において、イオン性界面活性剤を含む樹脂組成物を使用することは一般的には好ましくないと考えられる。しかし、このような汚染の原因となるイオン性低分子量物質のブリードアウトがない場合には、電子部品の汚染を起こすこと無く使用可能である。本発明の異型押出成形品は実質的にイオン性界面活性剤を含まないことが好ましいが、前記の問題を生じない程度の少量のイオン性界面活性剤を含むことは可能である。本発明は既に(B)成分の作用により十分な帯電防止性能を有していることから、少量のイオン性界面活性剤で更なる帯電防止性能の向上が(B)成分との相乗効果によって発揮される。条件が許す限り少量のイオン性界面活性剤を本発明の異型押出成形品を構成する樹脂組成物に配合することは可能である。かかる場合のイオン性界面活性剤の配合量は、本発明の(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対して1.0重量部未満が好ましく、0.5重量部未満が更に好ましい。尚、イオン性界面活性剤を配合する場合には、その配合量は0.005重量部以上であると効果的であり、より好ましくは0.01重量部以上である。
【0066】
前記の如く本発明においては異型押出成形品を構成する樹脂組成物のより好適な態様は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂85〜20重量部及び(B)帯電防止剤15〜80重量部の合計100重量部からなり、且つ、該帯電防止剤が実質的にポリエーテルエステルよりなることを特徴とするものである。
【0067】
<他の成分について>
本発明の異型押出成形品を構成する樹脂組成物には、押出成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するために、さらにリン系熱安定剤を使用することができる。かかる熱安定剤としては、燐酸誘導体である燐酸エステル、亜燐酸の誘導体である亜燐酸エステルに加え、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられる。
【0068】
具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイト、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられ、なかでもトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましい。
【0069】
これらの熱安定剤は、1種もしくは2種以上を混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の使用量は、(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対して0.001〜0.5重量部が好ましい。
【0070】
本発明における異型押出成形品を構成する樹脂組成物には、必要に応じて各種の添加剤を本発明の目的が損なわれない範囲で少割合使用することができる。本発明の帯電防止性異型押出成形品は、特に電子部品搬送体に好適なものである。しかしながらその特性は他の分野においても極めて有効であり、特に透明性は他の添加剤の効果(例えば、顔料による着色の効果や光拡散剤による光拡散効果など)をより有効に発揮できる点において有利である。すなわち透明性や帯電防止性能を利用してより有効な効果が発揮される場合には、かかる添加剤の配合は本発明の目的を損なう範囲ではない。
【0071】
各種の添加剤としては、ガラス繊維、金属繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウムウィスカー、炭素繊維、アスベストのような繊維状強化剤、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ワラストナイト、クレー、酸化チタン、酸化アルミニウム、ガラスフレーク、ミルドファイバー、金属フレーク、金属粉末のような各種充填剤、あるいは触媒失活剤、酸化安定剤、光安定剤、滑剤(脂肪酸エステルおよびシリコーン化合物など)、顔料(一般の染料および顔料の他、蛍光染料、蓄光顔料、メタリック顔料、および蛍光増白剤などを含む)、光拡散剤(無機微粒子および高分子微粒子など)、難燃化剤、難燃助剤、可塑剤等の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
【0072】
<異型押出成形品の製造方法およびその構成について>
本発明の帯電防止性異型押出成形品の製造方法には特に限定は無く、従来公知の方法にて容易に製造できる。即ち、予め溶融混合された前述の異型押出成形品を構成する樹脂組成物を、目的とする製品形状に応じた異型押出ダイを取り付けた押出機を用いて再度溶融押出し、サイジングダイへの導入、引取、冷却の工程を経て、製造することが可能である。異型押出温度としては、180〜340℃の範囲が好ましく、200〜320℃の範囲がより好ましい。180℃より温度が低いと混合が十分ではないことがあり、320℃より温度が高いと分解などの劣化を起こすことがあり上記温度範囲が好ましい。
【0073】
帯電防止性や透明性は、異型押出成形品から形成される製品の一部分においてのみ必要とされる場合がある。かかる場合には、本発明の樹脂組成物から製造される異型押出成形品と他の材料とを同時に異型押出成形して一体の異型押出成形品を製造することも可能である。かかる一体化の方法は、多色異型押出成形法および多層異型押出成形法などが例示される。すなわち本発明によれば、本発明の樹脂組成物から製造された異型押出成形部分と、他の材料から製造された異型押出成形部分が接合され一体化した異型押出成形品が提供される。特に帯電防止性能は成形品表面の特性であることから、帯電防止性能を要求される側の面が本発明の(A)成分と(B)成分との前記特定割合からなる樹脂組成物となるように構成された、2層以上の層から成る多層異型押出成形品も好ましい。その場合、かかる樹脂組成物と共に押出成形される熱可塑性樹脂は、多層異型押出成形品の透明性確保の為に、透明樹脂であることがより好ましい。そのような透明な熱可塑性樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、非晶ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。中でも芳香族ポリカーボネート樹脂、非晶ポリエステル樹脂が、透明性と、本発明のポリカーボネート樹脂との密着性に優れることからより好ましい。かかる多層異型押出成形品の製造方法は特に制限されるものではないが、溶融シリンダーを必要に応じて2機以上設置し、フィードブロック付きダイや、マルチマニホールドダイ等を使用して共押出することによって製造することができる。
【0074】
<帯電防止性異型押出成形品の特性について>
本発明の帯電防止性異型押出成形品は透明性に優れ、成形品内部の収納物が成形品外部から目視で確認可能なものが提供される。かかる透明性は、より具体的には該異型押出成形品の全光線透過率が65%以上であることをいい、より好ましくは70%以上であることをいう。尚、透明性が本発明の異型押出成形品から形成される製品の一部分においてのみ要求される場合には、該製品の中で透明性を要求される部分について測定された全光線透過率が65%以上であること、より好ましくは70%以上であることを満足すればよい。
【0075】
本発明における異型押出成形品は、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定された表面固有抵抗値が1×10〜1×1014Ωの範囲となることが好ましく、1×10〜5×1012Ωの範囲がより好ましく、5×10〜1×1012Ωが特に好ましい。
【0076】
したがって、本発明によれば、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定された表面固有抵抗値が1×10〜1×1014Ωの範囲であり、かつその全光線透過率が65%以上である帯電防止性異型押出成形品が提供され、かかる異型押出成形品からなる電子部品搬送体が提供される。
【0077】
更に本発明の帯電防止性異型押出成形品は、その厚みが好ましくは0.1〜3mmの範囲であり、より好ましくは0.3〜2mm、更に好ましくは0.5〜1.5mmである。本発明の帯電防止性異型押出成形品はかかる厚みにあって実用上十分な強度を有する。
【0078】
また本発明の帯電防止性異型押出成形品は、異型押出品をそのまま切断することにより製品とすることができるが、更に2次加工を行い各種製品にすることも可能である。かかる2次加工としては例えば曲げ加工、蛇腹加工、打ち抜き加工、および熱プレス加工などが挙げられる。
【0079】
本発明における電子部品搬送体とは、静電気破壊による損傷を受け得る電子部品を収納し搬送する為の容器をいい、電子部品の保管、電子部品製造工場への部品の配送、電子部品製造工場における工程間の搬送等の際に、取扱い中の電子部品を静電気破壊から守る為に使用されるものである。通常はかかる搬送体は電子部品を搭載するための製造装置に設置され、内部の電子部品は自動的に該装置によりに送りこまれるように使用される。また本発明の電子部品搬送体は長尺状の形状であることが好ましいが、それらに限定されるものではない。例えば2次加工によって長尺物から箱状の容器にすることもできる。
【0080】
本発明の帯電防止性異型押出成形品は、低い表面固有抵抗値を有し、該成形品中に収められた電子部品の静電気破壊を避けることが可能であると共に、透明性にも優れ、該成形品中に収められた電子部品を外部から目視で確認可能であることから、電子部品搬送体としての実用性に優れる。電子部品としては集積回路(集積密度やその機能については限定されない)が好ましい代表例として例示される。
【0081】
本発明の帯電防止性異型押出成形品は、前記の電子部品搬送体以外のいかなる用途に使用しても良い。電子精密機器、OA機器、家電製品等のハウジング部品、機器制御用電子回路基板カバー・ケース類、プリンターや複写機等における通紙機構周辺部品、自動車や電車等の車両内装材、空調設備・空調機(換気設備や空気清浄設備を含む)における空気吹出し口枠材やルーバー部品、クリーンルーム内装材、窓材(窓枠材、二重ガラスの内枠材)、壁材、中空パネル構造部品等として好適に使用できる。
【0082】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明の好ましい態様について記載するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中「部」は「重量部」を意味する。
(1)ポリエーテルエステル重合体の還元粘度:フェノール/テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒中において、濃度1.2(g/dl)、30℃にて測定した。
(2)初期表面固有抵抗:異型押出成形直後の異型押出成形品から切出したテストピースを、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間放置した後、超絶縁計(東亜電波工業株式会社製SM−8210)を用いて、印加電圧1000Vにて測定した。
(3)水洗後表面固有抵抗:初期表面固有抵抗を測定したテストピースを、30℃流水にて2時間水洗し、表面の水分を拭取り、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間放置した後、超絶縁計(東亜電波工業株式会社製SM−8210)を用いて、印加電圧1000Vにて測定した。
(4)全光線透過率:ASTM D1003に従い、光線透過率を測定した。測定には分光光度計(島津製作所(株)製UV−2400PC)を用い、CIE Source Cにより測定した。
(5)内部視認性:断面が8mm×18mmの棒状の木片に新聞紙を貼り付けたものを、異型押出成形品に挿入し、透視性を目視で判定した。
○:文字が判読可能、△:文字輪郭がぼやけ判読不可能、×:文字が見えない
【0083】
(6)粘着テープ付着物:異型押出成形品表面に、透明粘着テープを貼った後すぐに剥離し、粘着テープに付着物があるかどうかを目視で判定した。粘着テープに付着物がある場合には、成形品内部に収容された製品が汚染される可能性がある。
○:付着物無し、×:付着物有り
【0084】
[参考例1]
150.8部の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル(B1成分)、24.9部の5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル(B2成分)、47.9部のエチレングリコール(B3−1成分)、74.6部の1,6−ヘキサンジオール(B3−2成分)、89.8部のポリエチレングリコール(数平均分子量2000;B4成分)、及び0.14部のテトラブチルチタネートを精留塔及び攪拌装置を備えた反応器に入れ、容器内を窒素置換した後、攪拌しながら常圧下200℃まで昇温した。反応により生成するメタノールを留去しながら6時間で200℃から230℃まで徐々に昇温していき、反応を完結させた。その後、反応物を攪拌装置を備えた真空留出系を有する反応器に移送し、温度230℃にて攪拌しながら、60分後に6.7×10Pa、100分後に1.3×10Pa、120分後には0.67×10Paと系内を徐々に減圧にしていき、反応留出物を留去しながら重合反応せしめることにより、ポリエーテルエステル共重合体を得た。得られたポリエーテルエステル共重合体の還元粘度は1.34であった。また、得られたポリエーテルエステル共重合体は、B1成分とB2成分との割合が85:15(モル比)であり、B3−1成分とB3−2成分との割合が19:81(モル比)であり、B4成分の割合はポリエーテルエステル共重合体全体の重量を100重量%として32重量%であった。
【0085】
[原料略号]
PC−1:ビスフェノールAとホスゲンから界面重合法で合成した粘度平均分子量22,400の直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂
PC−2:ビスフェノールA及び分岐剤として1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンとを、ビスフェノールAと分岐剤の合計100モル%中、かかる分岐剤を0.3モル%の割合で用い、ホスゲンと反応させる界面重合法で合成した、粘度平均分子量24,500の分岐状芳香族ポリカーボネート樹脂
DBSNa:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
CF:炭素繊維、ベスファイトHTA−C6−U((株)東邦テナックス製)
【0086】
[実施例1〜3]
ポリカーボネート樹脂PC−1、PC−2、及び参考例1で製造したポリエーテルエステル共重合体の表1記載の量を、スクリュー径30mmφの2軸エクストルーダーを用いて、表1に記載のシリンダー温度、スクリュー回転数160rpm、吐出量20kg/hrの条件にて溶融混練し、ペレット化した。次にスクリュー径40mmφの2軸エクストルーダーを用いて、断面外形が20mm×10mmの矩形形状を有する厚み0.8mmの成形品を、表1に記載のシリンダー温度にて異型押出成形により作成した。各物性値は、この異型押出成形品から切出したテストピースにて測定した。結果を表2に示した。
【0087】
[比較例1〜3]
ポリカーボネート樹脂PC−1、DBSNa、及びCFの表1記載の量を、スクリュー径30mmφの2軸エクストルーダーを用いて、表1に記載のシリンダー温度、スクリュー回転数160rpm、吐出量20kg/hrの条件にて溶融混練し、ペレット化した。次にスクリュー径40mmφの2軸エクストルーダーを用いて、断面外形が20mm×10mmの矩形形状を有する厚み0.8mmの製品を、表1に記載のシリンダー温度にて異型押出成形により作成した。各物性値は、この異型押出成形品から切出したテストピースにて測定した。結果を表2に示した。
【0088】
【表1】
Figure 2004224951
【0089】
【表2】
Figure 2004224951
【0090】
上記表から明らかなように、本発明の帯電防止性異型押出成形品は、電子部品搬送体に求められる、透明性と、持続的な帯電防止性能に優れ、収納された電子部品を汚染することの無いとの特性を満足するものであることがわかる。また分岐ポリカーボネートを含む場合にはより透明性に優れることがわかる。
【0091】
【発明の効果】
本発明の異型押出成形品は、透明性と持続的な帯電防止性能に優れ、ブリードアウト成分や脱離成分を含まない為に、異型押出成形品内部に収納された電子部品を汚染することが無く、電子部品搬送体として特に好適に使用される。

Claims (7)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂85〜20重量部及び(B)ポリエーテルエステル15〜80重量部の合計100重量部からなる樹脂組成物を異型押出して製造された帯電防止性異型押出成形品。
  2. 前記(A)芳香族ポリカーボネート樹脂が、該A成分100重量%中、(A1)粘度平均分子量10,000〜50,000の直鎖状ポリカーボネート樹脂10〜100重量%及び(A2)粘度平均分子量10,000〜60,000の分岐状ポリカーボネート樹脂0〜90重量%からなることを特徴とする、請求項1記載の帯電防止性異型押出成形品。
  3. 前記(B)ポリエーテルエステルが、(B1)スルホン酸塩基を持たない芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル、(B2)下記式(1)で表されるスルホン酸塩基で置換された芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル、(B3)炭素数2〜10のグリコール成分および(B4)数平均分子量200〜50,000のポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分より得られたポリエーテルエステルである請求項1または請求項2に記載の帯電防止性異型押出成形品。
    Figure 2004224951
    [式(1)中、Arは炭素数6〜20の3価の芳香族基、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、Mは金属イオン、テトラアルキルホスホニウムイオン又はテトラアルキルアンモニウムイオンを表す。]
  4. 前記(B)ポリエーテルエステルの成分中、(B1)スルホン酸塩基を持たない芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステルが、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、及びそれらのエステルから選択される少なくとも1種である請求項3に記載の帯電防止性異型押出成形品。
  5. 温度23℃、相対湿度50%の雰囲気において測定された表面固有抵抗が1×10〜1×1014Ωの範囲である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の帯電防止性異型押出成形品。
  6. 成形品の全光線透過率が65%以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の帯電防止性異型押出成形品。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の帯電防止性異型押出成形品で形成された電子部品搬送体。
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JP2007277337A (ja) * 2006-04-04 2007-10-25 Teijin Chem Ltd 帯電防止耐熱性ポリカーボネート樹脂組成物

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