JP2004224290A - ダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置およびダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】車両整理案(列車のダイヤスジ)に対する運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への乗務員割り当てを迅速に行えるようにする。
【解決手段】ダイヤ混乱発生時にダイヤ復旧の列車運行計画である車両整理案と、該車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、乗務従事可能な乗務員の情報をもとに勤務上の制約条件を満たすよう車両整理案中の未割当てのスジを乗務員に割当てるシステムにおいて、割当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持した乗務員情報保持手段105と、該手段の保持情報を用い、車両整理案の持つ各スジに対して乗務員の割当てを実施するものであり、割当て可能な乗務員候補が単数のときは該乗務員を割当て、複数候補がある場合は各候補の乗務員について適切さを評価式にて求め良好のものを割当てる乗務員運用整理案作成手段104とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】ダイヤ混乱発生時にダイヤ復旧の列車運行計画である車両整理案と、該車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、乗務従事可能な乗務員の情報をもとに勤務上の制約条件を満たすよう車両整理案中の未割当てのスジを乗務員に割当てるシステムにおいて、割当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持した乗務員情報保持手段105と、該手段の保持情報を用い、車両整理案の持つ各スジに対して乗務員の割当てを実施するものであり、割当て可能な乗務員候補が単数のときは該乗務員を割当て、複数候補がある場合は各候補の乗務員について適切さを評価式にて求め良好のものを割当てる乗務員運用整理案作成手段104とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車運行に乱れが生じたとき、運転計画を元通りに復帰させるために作成した修正計画に対し、乗務させるべき乗務員の割り当てを行うダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置および支援プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道は、列車ダイヤに従って運行を行うが、列車の運転に乱れが生じた時には、運転計画を元通りに復帰させるために、修正計画を作成してその修正計画に沿って運行するようにする。一方で、その運転計画に沿って列車を運行するにあたり、列車乗務員の配置の問題が付きまとう。
【0003】
すなわち、列車乗務員は、鉄道における特定の運転区、車掌区に所属し、労働管理の観点から勤務日はもとより、勤務日での乗務時間や乗務区間、所属区への帰還時刻などが決められていて、それに従って勤務に就いている。そのため、ダイヤの乱れに伴って運転計画を変更しなければならない場合、列車の行き先や列車種別の他、乗務員の割り振りも前記労働管理の観点から許容可能な範囲内でし直さねばならない。
【0004】
列車の運転に乱れが生じた時に、運転計画を元通りに復帰させるために作成した修正計画(ダイヤ復旧に向けての列車運行計画)を、ここでは車両整理案と呼ぶこととし、また、車両整理案の各列車スジに乗務員を割り当てた乗務員のための勤務計画を運用整理案と呼ぶこととする。
【0005】
今、列車の運転に乱れが生じた時に乗務員の現在状態を与えて、勤務条件などの制約条件を満たすように乗務員を車両整理案の列車に割り当てていき、勤務状態や所属区への帰還を含めて、各人にできるだけ偏りなく割り振って修正計画に則った運行ができるように、運用整理案を作成するという命題を考えてみる。
【0006】
この命題を解決するため、従来採用していた手法には、「制約条件を満たす乗務員を検索し、オペレータに提示して最適な乗務員を選択させる」と云うものがある(例えば、特許文献1参照)。これは、対話形式により乗務員の運用計画を作成する乗務員運用計画支援装置であり、ここでは、未割り当て列車の行先駅と行先駅到着時刻を取得し、その到着時刻に乗継準備時間を加算することにより、乗継可能時刻を算出する。乗継可能時刻以降に行先駅を出発する乗務スケジュールが割り当て候補となる。システムが候補を評価点の順に一覧表示すると、オペレータは、一覧表示された乗務スケジュールの候補の中から最も適していると判断するものを選択し、その乗務スケジュールに未割り当ての列車が割り当てられる。
【0007】
このような方式では、乗務員の割り当ては手動で行う。基本計画の作成をする場合は時間的な余裕があり、手動で行っても問題はない。しかし、列車ダイヤに乱れが生じた場合に、運転計画を元通りに復帰させるために作成する修正計画である運用整理案の作成は、事態が緊急であるがために早急に行う必要があるので、できれば全自動で割り当てることができるように、あるいはそれが無理ならばせめて半自動的な割り当てができるようにすることが望ましい。
【0008】
そこで、自動的に運用整理案を作成する技術も提案されている。例えば、一人の乗務員について、乗務開始から終了までの割り当てを一度に行うようにし、制約に違反しない限り、同じ乗務員を1つのスジ(1つの列車)に割り当てるようにし、制約に違反する場合は、乗務員交替可能な駅で1本先のスジ、後のスジなどへの割り当てを試みるようにするというものである(特許文献2参照)。
【0009】
しかし、この提案技術では乗務員を基準にして割り当てるので、全ての乗務員について割り当てが終了した時点で運用整理案の作成を終了する。そのため、車両整理案中に乗務員が未割り当てのスジが残る可能性がある。
【0010】
また、自動的に運用整理案を作成する技術として、車両運用の条件や乗務員運用の条件を満たす列車ダイヤを自動作成するようにしたものもあり、これは、乗務員のスジへの割り当てについては、列車計画(以下、これをダイヤスジと呼ぶ)の作成とセットで行う。ダイヤスジが作成された時点で、その駅が運転士や車掌の交替可能な駅であるかどうかをチェックし、交替可能であった場合には、次の交替可能な駅まで乗務した場合にその運転士または車掌の乗務条件をオーバするかどうかを調べるようにし、乗務条件をオーバする時には、その駅で交替させるようにし、替わりの乗務員は、その駅で待機していて一番効率のよい乗務員を選ぶようにする(特許文献3参照)。
【0011】
この提案では、ダイヤスジの処理の順番は、列車の種類で決まる。すなわち、まず優等列車のスジから優先的に乗務員の割り当てを行い、次に普通列車のスジを処理する。しかし、運用整理案を作成する場合は、必ずしも優等列車のスジに先に乗務員を割り当てるのが望ましいとは限らない。従って、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方と運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方は独立とする方式が望ましい。
その他、GA(Genetic Algorithm)を利用した資源割り当ての問題の解法を、列車ダイヤや乗務員計画の作成に応用している事例もある(非特許文献1参照)。
【0012】
また、運転手等の負荷のばらつきのない仕業ダイヤを短時間に作成するスケジュール自動作成装置として、スジをあらかじめ決められた順に並べておき、リストとし、割り当てはこのリストの順に行うようにするというものもある(特許文献4参照)。ここでのスジの順番は時間順であるが、制約条件により次の2つのバリエーションがある。
【0013】
・朝夕の特定の時間にダイヤが集中している場合、この時間のダイヤをリストの先頭の方に置いて割り当ての早い段階で割り当てることにより、運転手の必要人数が少ない仕業ダイヤを優先して作る。
・朝食を食べる場所、時間が限定されているスジの場合、スジリストの先頭の方にそのスジを置く。
スジと運転手には優先順位が定められていて、その順位をもとに割り当てる。全運転手への割り当てが終わった後で、その割り当てを初期値としてGAにより最適化を行う。
【0014】
しかし、このような割り当て方法は最適解を得るために繰り返し処理をたくさん行うため、比較的長い計算時間を必要とする。そのため、車両計画の乱れを早急に修正する必要がある場合は不向きである。
【0015】
【特許文献1】
特開平09−282372号公報
【特許文献2】
特開平07−96837号公報
【特許文献】
特開平07−52801号公報
【特許文献4】
特開平08−227409号公報
【非特許文献1】
電気学会論文誌C 電子・情報・システム部門誌 Vol.122−C 2002年6月号の「進化型諸アルゴリズムのマン・スケジューリング問題解法としての有効性の検討」
【発明が解決しようとする課題】
このように、列車ダイヤに乱れが生じた場合に、列車の運転計画を元通りに復帰させるために作成する修正計画である乗務員運用整理案の作成にあたっては、迅速さが要求されるが、それが満たされなかったり、また、車両整理案と乗務員の情報を与えて、制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てていくスケジューリングにおいて、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方と乗務員運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方を独立して行えるようになっていないなど、現場で要求される条件に十分に適合できないシステムにとどまっている。
【0016】
そこで、この発明の目的とするところは、車両整理案と乗務員の情報を与えて、制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てていくスケジューリングにおいて、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方と運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方を独立して行えるようにしたダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置および支援プログラムを提供することにある。
【0017】
また、本発明は、車両整理案(列車のダイヤスジ)に対する運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への乗務員割り当て方を迅速に行えるようにしたダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置および支援プログラムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成する。すなわち、第1には、列車の運転混乱発生時に、各列車の運転を元の運転計画に復帰させるべく作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てるスケジューリングのための乗務員運用整理案作成支援装置において、乗務員情報保持手段と乗務員運用整理案作成手段とを備えた構成とした。
【0019】
乗務員情報保持手段は、割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持したものであり、乗務員運用整理案作成手段はこの乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するものであって、割り当て可能な乗務員の候補が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるようにするものである。
【0020】
この乗務員運用整理案作成支援装置は、車両整理案が与えられると、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てる。
【0021】
本乗務員運用整理案作成支援装置には乗務員情報保持手段が用意してあり、前記割り当てにあたり、乗務員運用整理案作成手段はこの乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するが、割り当て可能な乗務員が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるように処理する。
【0022】
従って、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方とは完全に分離させて、運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方について独立してスケジューリングすることができるようになる。そのため、整理案作成システム導入済みの路線の環境に柔軟に対応してスケジューリングの支援を行うことができる。また、乗務員運用整理案を作成するに当たり、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、評価計算によりその評価値に基づいて決定することから、その乗務員に割り当てるのがかなり適切で、かつ、他の乗務員にとってあまり適切でないスジを、少ない計算量で求めることができ、乗務員割り当て済みの乗務員運用整理案を迅速に完成できるようになる効果がある。
【0023】
また、第2には本発明は、列車の運転混乱発生時に、各列車の運転を元の運転計画に復帰させるべく作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てるスケジューリングのための乗務員運用整理案作成支援装置において、乗務員情報保持手段と乗務員運用整理案作成手段とを備えた構成とした。
【0024】
乗務員情報保持手段は、割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持したものであり、乗務員運用整理案作成手段はこの乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するものであって、乗務員の未割り当てのスジを持つ各列車(編成)について、未割り当てスジの発時(発車時刻)が早い順にソートし、当該ソートした上位の列車についてその未割り当てスジに、乗務員を割り当てるべく処理するが、その割り当ては未割り当てスジに対し、割り当て可能な乗務員の候補が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるようにするものである。
【0025】
従って、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方とは完全に分離させて、乗務員運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方について独立してスケジューリングすることができるようになる。そのため、整理案作成装置導入済みの路線の環境に柔軟に対応してスケジューリングの支援を行うことができる。また、乗務員割り当て済みの乗務員運用整理案を完成させるに当たり、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、評価計算によりその評価値に基づいて決定することから、その乗務員に割り当てるのがかなり適切で、かつ、他の乗務員にとってあまり適切でないスジを、少ない計算量で求めることができ、乗務員運用整理案を迅速に完成させることができるようになる効果がある。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
はじめに、ダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置として、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方と乗務員運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方を独立して行えるようにすることで、路線の環境に柔軟に対応できるようにしたシステムと手法を説明する。
【0027】
上述したように、車両整理案とは列車の運転に乱れが生じた時に、運転計画を元通りに復帰させるために作成した修正計画であり、また、運用整理案とは、この車両整理案の各列車スジに乗務員を割り当てた乗務員勤務計画を指す。
【0028】
ここで説明する実施例は、車両整理案と乗務員の情報を与えて、制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てていくスケジューリングの手法に関するものであり、ダイヤ復旧に向けての列車運行計画である各列車(運行対象の各列車)を、どこまで、どのように運行させるかを定める車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方とは完全に独立して、運用整理案への乗務員の割り当てを行えるようにすることで、整理案作成システムを導入する路線の環境に柔軟に対応できる手法を提供するものである。
【0029】
運用整理案(乗務員のダイヤスジ)は、どの乗務員をどの列車にどこまで乗務させるかを定める計画案であるが、運用整理案を作成するときに、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、その乗務員に割り当てるのがかなり適切で、かつ、他の乗務員にとってあまり適切でないスジを計算して自動的に割り当てることができるようにすることにより(すなわち、候補が複数の場合に、評価値計算してそれら候補中の最も良好な評価値を示す乗務員を割り当てるようにすることにより)、システムの計算量を削減して(演算処理の負荷を軽減して)、最適な運用整理案を迅速に作成することができるようにした手法を提供する。
【0030】
本実施例では次の状況を想定している。
−車両整理案と乗務員の作業計画(当日の割り当てられた勤務内容のタイムスケジュール)および作業実績(タイムスケジュールのうちの実働済みの部分の情報)の各情報がシステムには与えられている。
−車両整理案に乗務員を割り当てる時刻範囲(割り当て対象とする時間範囲)が与えられる。
−乗務員を車両整理案のスジに割り当てるには、勤務時間の上限を越えることがないようにするなどの労働面からの制約条件がある。
このような状況下で、次のような乗務員割り当て問題を半自動的に、迅速に解くことが本実施例の目的である。
−与えられた時間内において、車両整理案の全てのスジに乗務員を割り当てる。
−乗務員が制約に違反しないように割り当てる。
【0031】
従って、この実施例に示す発明によれば、別途用意されたダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案を用いて、この車両整理案に対する乗務員の割り当てを、制約条件を損なうことなく合理的に行うことができると共に、乗務員をどの列車にどこまで乗務させるかを定める乗務員運用整理案への割り当てを、車両整理案の決定とは切り離して独立して行えるようにすることで、本システムを導入する路線の環境に柔軟に対応できるようになる。
【0032】
また、乗務員運用整理案を作成するときに、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、それらの乗務員のうち、割り当てるのに最も条件が最適なものを評価計算により計算して選定し、自動的に割り当てるので、迅速に乗務員運用整理案を作成することができるようになる。
【0033】
本実施例では、列車ダイヤ(原計画)に従って列車の運用が行われている場面で、運用に乱れが発生して原計画の実施が不可能になり、原計画へ復帰するための車両整理案を作成したときに、その車両整理案に乗務員を割り当てて最適な乗務員運用整理案の提案を行うという課題を対象としてその課題を解決できるようにしたシステムを説明する。
【0034】
(第1の実施例)
図1に、本システムの構成例をブロック図で示す。図1において、100はシステム本体、101は車両整理案データであり、102はデータ入出力インタフェース、103は入出力端末、104は乗務員運用整理案作成機能部、105は入力された車両整理案や乗務員データ記憶部、106は運用整理データ記憶部、107は制約条件記憶部である。
【0035】
システム本体100は、データ入出力インタフェース102、乗務員運用整理案作成機能部104、乗務員データ記憶部105、運用整理データ記憶部106および制約条件記憶部107より構成されており、入出力端末103を介して各種操作、データの変更などをすることができ、また、結果の出力表示などを行うことができる。入出力端末103は、入力手段としてキーボードやポインティングデバイス(マウス、パドル、トラックボールなど)、タブレットなど、また出力手段としてディスプレイやプリンタ、プロッタなどを備えたものである。
【0036】
前記車両整理案のデータ101は、乱れた列車の運行状況を、原計画(本来のスケジュール)へ復帰するための列車ダイヤ復旧運行計画案である車両整理案を表わす。この車両整理案は、他の部署あるいは他のシステムで作成されるもので、本システムにおいては、用意されて提供される車両整理案を用いて乗務員運用整理案を作成するものである。与えられる車両整理案は、少なくとも次の項目から構成される。一つは編成情報、もう一つはスジ情報である。編成情報は、車両整理案の1運用の単位を意味する。スジ情報のリストを持つ。
【0037】
スジ情報は、乗務員に割り当てる運用の最小単位である。また、少なくとも発時、発駅、着時、着駅の4要素を有する。上記発駅及び上記着駅とは、乗務員の交替が可能な駅を指しており(交替できる乗務員が待機していて入れ替わることができる駅)、列車自体の出発駅終着駅とは違うものである。また、スジに乗務員が割り当てられている場合はその割り当てられた乗務員についての乗務員情報を持つ。ここで、乗務員情報とは、各乗務員の情報を表わすものであって、ID(識別情報)、従業員区分(乗務員/予備人員)、その乗務員の所属する区、その乗務員の割り当てられたスジ情報のリストを持つ。
【0038】
システム本体100は、データ入出力インタフェース102を介してオペレータからの要求を受け取り、運用整理案の作成を実施する。また、その結果をオペレータに提示する。オペレータの操作とオペレータへの提示に供されるものが入出力端末103である。
【0039】
入出力端末103とシステム本体100との間で制御信号やデータの授受のためのインタフェースをとったり、前記車両整理案のデータ101をシステム本体100に取り込むためのインタフェースをとるものがデータ入出力インタフェース102である。
【0040】
乗務員データ記憶部105は、各区(運転区、車掌区などの鉄道組織乗務員管理部署)に所属のそれぞれの乗務員の個人勤務割り当てについての情報である乗務員データを記憶保持するものであり、乗務員データとしては、氏名、ID、所属(所属区)、勤務日、休暇日、勤務日でのスケジュール(勤務着任時刻、勤務終了時刻、乗務開始時刻、乗務列車情報、乗務区間など)がある。また、運用整理データ記憶部106は、乗務員運用整理案作成機能部104により作成された乗務員運用整理案のデータを記憶保持するものであり、制約条件記憶部107は、乗務員運用整理案を作成するときに使用する各種の制約条件を記憶保持するものである。
【0041】
乗務員運用整理案作成機能部104は、このデータ入出力インタフェース102を介して入力された車両整理案のデータ101や乗務員データ記憶部105の記憶情報を参照し、入出力端末103の操作によるオペレータの指示に従って運用整理案を作成処理すると共に、作成された運用整理案は入出力端末103の操作によりオペレータの指示によって確定された後に、運用整理データとして運用整理データ記憶部106に格納するように構成してある。
【0042】
なお、乗務員データは、図1のように必ずしもシステム内部に持つ構成とする必要はなく、データ入出力インタフェース102を介して外部から読み込む形式を採用しても構わない。
【0043】
前記制約条件記憶部107の保持する制約条件は、所望に設定できるもので、この設定する制約条件はオペレータにより変更することができる。制約条件の一例を、図2に示す。図に示すように、制約条件には例えば、条件の種類とその制約の内容があり、制約条件の種類としては「乗務時間の上限(許される最大の乗務時間)」、「乗務待ち時間(乗り換えに要する最小時間や、あるスジの乗務担当を終えた後、次のスジを担当するまでの最大待ち時間など)」、「評価値の計算に必要なパラメータ」、「作成可能な割り当て案の数」、「一度に割り当てる時間幅」などがある。
【0044】
図2に示す例においては、「乗務時間の上限」の項に「9時間」とあるが、これは労働条件の制約から最大で9時間を限度としていることを示している。また、「乗り換え時間」の項目には「最低5分」(スジの担当が終わった後で次のスジを担当するために、乗り換え時間として最低5分間の余裕が必要の意)、「最大40分」(割り当てられたスジの担当が終わった後で次のスジを担当するために、乗り換えの待ち時間としての上限は40分間であるの意)、「推奨7分」(スジの担当が終わった後で次のスジを担当するために、乗り換え時間として理想は7分間であるの意)としていることを示している。
【0045】
また、「評価値の計算に必要なパラメータ」の項には、図2に示す例では、「車両の同一性0.6」、「上り下りの種類の同一性0.1」、「乗り換え時間の適切さ0.3」…と定められていて、これらの数値がそのパラメータの重み付けの値であることを示している。割り当てるスジを選択する評価値を計算するときの各評価指標の重みの値が、「車両の同一性」の場合は“0.6”であり、「上り下りの種類の同一性」の場合は“0.1”であり、「乗り換え時間の適切さ」の場合は“0.3”であることを示している。
【0046】
また、「作成可能な割り当て案の数」は「3」であり、これは割り当て案を最大3まで作成することを意味している。また、「一度に割り当てる時間幅」は「二時間」であり、これは乗務員運用整理案を作成するにあたって、二時間単位で割り当てを作成するようにすることを意味している。従って、時刻12:00を起点する場合はまず始めに12:00〜14:00までの時間帯のものについて作成し、その作成を終えた後は次に、14:00〜16:00までの時間帯のものについて作成し、…といった具合である。
【0047】
図3(a)は、本実施例で扱う車両整理案を表わす。縦軸には停車する駅(厳密には、交替可能な乗務員の待機していて乗務を交替することが可能な停車駅)が割り振られており、横軸にはある1日の数時間の範囲を表わす時刻をとっている。図の例では時刻t0から時刻tmまでのmなる時間範囲を対象としていることを示している。そして、駅を出発して次の駅に到着する複数の列車の運用を斜線の軌跡で示している。斜線と斜線を結ぶ水平線はその列車の駅停車期間を示している。
【0048】
図3(a)において、駅名は符号201を付して示した駅A,駅B,駅Cは上述の乗務員交替可能な停車駅であり、本実施例では、A,B,Cの3駅が存在する。運行する列車の編成は、スジを表す斜線と、駅での停車中を表わす水平線の連続によって表現される。この図3(a)には、符号202,203,204,205を付して示した4つの編成がある。例えば、編成202の列車は、駅Bで停車後にスジ▲6▼を担当して駅Cに到着する。駅Cでしばらく停車した後、スジ▲7▼を担当して駅Aに到着する。その後、駅Aで停車する。
また、既に乗務員が割り当てられているスジは二重線で表わし、それ以外のスジは単線で表わす。本実施例では、丸囲み数字▲1▼、▲6▼、▲8▼で示されるスジに既に乗務員が割り当てられている。
【0049】
図3(a)の両端にある垂直線206および207は、割り当ての範囲(開始時刻/終了時刻)を表わす。垂直線の中にある未割り当てのスジに対して、乗務員を割り当てる。
【0050】
図3(b)は、与えられた車両整理案に対しての乗務員の割り当て状況を示す図である。この図における縦軸は各乗務員を表わし、横軸は時刻を表わす。また、この図における太い水平線は、既に乗務員に車両整理案のスジが割り当てられている時間帯を表わす。また、線の右側にその時点で待機する予定の駅を記してある。図3(b)において、例えば、符号301で示す乗務員J1は割り当て済みの最後のスジを担当した後で、C駅(302)に待機する。
【0051】
例えば、この車両整理案において、乗務員が未割り当てとなっている全てのスジに、適切な乗務員を早く割り当てることが、この実施例が解決しようとする問題である。
【0052】
次に、本システムの作用を説明する。
図4は、本システムにおける乗務員運用整理案作成処理のための処理の全体の処理フローを表す。オペレータは入出力端末103を操作してシステムを作動させることにより、乗務員運用整理案の作成作業を開始する(図4のステップS401)。すると、まず、始めにシステムは、外部で作成された車両整理案のデータを入出力インタフェース102を介して取り込む処理をする(図4のステップS402)。オペレータは入出力端末103を操作して割り当てる時刻範囲を設定する(図4のステップS403)。すなわち、乗務員運用整理案の作成は、割り当ての時刻範囲を設定し、その範囲内で乗務員の割り当てを試みるものとする。範囲(開始時刻と終了時刻)はオペレータが設定するが、開始時刻についてはオペレータが設定せずに、現在時刻をもとにしてシステム側が自動的に設定する方式でも良い。
【0053】
時刻範囲の設定が終わると、システムは、車両整理案に対し、乗務員データ記憶部105の持つ乗務員データと制約条件記憶部107の持つ制約条件を読み出し、前記設定された時刻範囲について乗務員運用整理案作成機能部104の機能により、自動的に乗務員をスジに割り当てる(図4のステップS405)。割り当てるアルゴリズムの詳細は後述する。アルゴリズムによっては複数の乗務員割り当て案が作成される。
【0054】
乗務員運用整理案作成機能部104ではステップS405の処理においては、全てのスジに乗務員を割り当てられたかどうかをチェックし、もし割り当てられていれば図4のステップS406へ進む。そうでなければ図4のステップS407に進み、割り当て不可の通知を行って終了する。
【0055】
複数の割り当て案がある場合は乗務員運用整理案作成機能部104では、ステップS406での処理において、それをオペレータに報知するべく入出力端末103に表示出力する制御を行い、入出力端末103を見てオペレータが最適な割り当て案を選択する操作を入出力端末103にて行う。また、割り当てに修正の必要があれば入出力端末103を操作して修正する。その後、確定する操作を行う。
【0056】
次にステップS408の処理において、システムがオペレータに対して別の範囲で割り当てるかを問い合わせる。具体的には、乗務員運用整理案作成機能部104がステップS408の処理を実施することにより、データ入出力インタフェース102を介して入出力端末103に対し、上記問い合わせのための表示出力をする制御を行い、オペレータに対して別の範囲で割り当てるかを問い合わせる。入出力端末103の表示内容を見てオペレータが別の範囲で割り当てる指示の操作を入出力端末103にて行ったならば、これはデータ入出力インタフェース102を介して乗務員運用整理案作成機能部104に伝達されるので、これを受けてシステムは(乗務員運用整理案作成機能部104は)ステップS403の処理に戻る(もし割り当てるならば、S403へ戻る)。そうでなければステップS409へ進み、割り当て作業を終了する。
【0057】
以上の如き内容を持つ乗務員運用整理案作成の処理フローを、図3(a)に示した車両整理案の割り当ての範囲内で図3(b)に示した乗務員に割り当てる過程を例にとって動作の詳細を次に説明する。ここで、現状で、乗務員は図3(b)に示した如きの割り当てがされていたとする。
【0058】
まず、システムは、図4のステップS402で図3(a)に相当する車両整理案を取り込む。また、システムは、固定パラメータを初期設定する。固定パラメータは制約条件記憶部107に記憶させた値を用いるが、これは予めオペレータの設定入力して制約条件記憶部107に記憶保持させておいた設定値である。固定パラメータにはJ,YMIN,YMAX,YADJ,w1, w2, w3,WNがある。これらは次の如きである。
J :乗務時間の上限
YMIN :乗り換えに必要な時間の最小値
YMAX :乗り換えに必要な時間の最大値
YADJ :乗り換えに必要な時間の推奨値(YMIN以上YMAX以下)
w1, w2, w3 :スジの割り当て用の評価関数で使用する重み(0以上1以下で、w1+w2+w3=1)
WN :作成可能な割り当て案の上限値。
【0059】
次に、図4のステップS403で乗務員を割り当てる開始時刻と終了時刻をオペレータが設定する。この例では、オペレータの入出力端末103の操作による乗務員割り当てを行う対象の時刻範囲は時刻t0からtmまでの時間範囲としている。なお、開始時刻は指定させずに、現在時刻をもとにしてシステム側が自動的に設定する方式でも良い。
【0060】
時刻範囲が設定されると、システムは図4のステップS404の処理に移り、割り当ての範囲内でシステムが自動的に乗務員をスジに割り当てる。ここで、1つの車両整理案に対して複数の乗務員運用整理案が作成される可能性がある。従って、この第1の実施例では、乗務員に着目した割り当てを行う。
【0061】
乗務員運用整理案作成機能部104は、まず、図3(b)に示す如きの割り当てがされている乗務員を、乗務可能な時間の早い順にソートする処理をする。さらに、また、図3(a)に示した車両整理案の各編成について、最初の未割り当てのスジを検索し、発時の早い順にソートする。
【0062】
そして、これが終わると、乗務員運用整理案作成機能部104は、次に、J1,J2,J3,J4,J5の各乗務員を1人ずつ順に取り出して、未割り当てのスジに割り当て可能かどうかを調べ、割り当て可能であれば割り当てる。そのような乗務員がいなくなれば終了する。効率を上げるために、未割り当てのスジは発駅別に分類しておいても良い。
【0063】
ステップS404で処理のアルゴリズムを詳細に説明するためのフローチャートを、図5および図6に示し、順を追って説明する。
割り当て作業を開始すると(図5のステップS501)、乗務員運用整理案作成機能部104は、まず、割り当て範囲内で割り当て可能なスジがあるかどうかを検索する(図5のステップS502)。ここでは、以下の2つの条件が成り立つスジ情報のリストを持つ編成が1つでもあれば割り当て可能と判断する。
・条件1:割り当ての開始時刻まではスジに乗務員が割り当たっている。
・条件2:割り当ての終了時刻ではスジに乗務員が割り当たっていない。
条件が成り立てば(図5のステップS503)、ステップS504へ進む。成り立たなければステップS522へ進み、図5のステップS505に戻る。
【0064】
与えられた図3(a)の車両整理案では編成202,203,204,205の計4本の列車があり、車両整理案中の二重線表記部分は乗務員割り当て済み部分、単線表記部分は乗務員未割り当て部分である。上記編成202,203,204,205の計4本の列車は、現時点toで運行状況下にあり、それぞれ乗務員が乗務しているので、行き先の駅までは運行できる。その先、時刻tmまでの期間における運行に対して乗務員の割り当てを行うが、図3(a)における単線部分が乗務員割り当てを行う対象である。上記4本の列車は、本システムによる割り当ての開始時刻to時点より前の時点については、各スジに乗務員が割り当てられているが、その後の時刻tmの時点である割り当ての終了時刻では各スジに乗務員が未割り当てとなっているので、条件が成り立つ。従って、ステップS504へ進む。
【0065】
ステップS504では、オペレータに提示するための割り当て案を1つ作成して初期化する。割り当て案は、各乗務員の持つスジ情報の集合で表す。初期化とは、乗務員のスジへの割り当ての実績をスジ情報に反映することを意味する。図3(b)の場合は、各乗務員の持つスジ情報に太線で示した割り当ての実績までを反映した割り当て案を作成する。また、ステップS504では、割り当て可能なスジが1つしかない乗務員を検索する。そして、割り当て案にその乗務員のそのスジへの割り当てを反映する。
【0066】
具体的には、まず乗務員を割り当て可能な時間の早い順にソートした集合JoumSを作成する。このとき、割り当て済みの最後のスジの着時が割り当て範囲の終了時刻tm(符号207の位置)を超える乗務員は、集合JoumS には登録しない。また、各編成の持つスジ情報から最初の未割り当てのスジを検索し、発時の早い順にソートした集合 SujiSを作成する。
【0067】
次に、集合JoumS に登録されている(集合JoumSに属する)乗務員を順に取り出して、前記集合SujiSのスジに割り当て可能かどうかを調べる。1つのスジにしか割り当てられない乗務員がいればそのスジを割り当てる。また、どのスジにも割り当てることのできない乗務員は集合JoumSから除外する。この作業を、集合JoumS内の乗務員全てが複数のスジに割り当て可能になるまで繰り返す。効率を上げるために、集合 SujiSは発駅別に分類しておいても良い。
【0068】
今、集合JoumSに属するある乗務員をJoum1、ある未割り当てのスジをスジsuji1とする。上記乗務員Joum1は、次の5つの条件を全て満足するとし、当該5条件を満足する乗務員Joum1は、スジsuji1に割り当て可能とする。
条件1:乗務員Joum1は、最後の割り当てスジの乗務終了後にスジsuji1の発駅にいることになること。
条件2:スジsuji1に割り当てても定められた乗務時間Jを超えないこと。
条件3:スジsuji1に割り当てることによって乗務員Joum1が自分の所属する区から外れる場合は、その後の割り当てによって営業終了時刻までに所属する区へ戻れること。
条件4:スジsuji1を担当するまでに、一定範囲の時間的余裕があること(YMIN以上かつYMAX以下)。
条件5:乗務員Joum1は予備人員ではないこと。
本実施例では求められる条件は、上記の5つの条件であるが、条件は他にもあり得る。
【0069】
乗務員の状況が図3(b)に示す如きものである場合(乗務員J1はC駅まで乗務、乗務員J2はB駅まで乗務、乗務員J3はB駅まで乗務、乗務員J4はA駅まで乗務、乗務員J5はB駅まで乗務)、各乗務員の持つスジ情報から割り当て可能な時間を調べて早い順に並べると、
JoumS={J5, J3, J2, J1, J4}
となる。
【0070】
また、各編成の最初の未割り当てのスジを発時の早い順にソートした集合SujiSは、
SujiS={▲4▼, ▲2▼, ▲7▼, ▲9▼}
となる。
【0071】
乗務員J5,J3,J2には2つのスジ▲2▼、▲9▼を割り当て可能である。乗務員J1には1つのスジ▲7▼が割り当て可能である。乗務員J4には割り当て可能なスジはない。従って、乗務員J1にスジ▲7▼を割り当てる。すなわち、割り当て案にその割り当てを反映する。また、乗務員J4を集合JoumSから除外する。この時点で、集合JoumS,SujiSは
JoumS={J5, J3, J2}
SujiS={▲4▼, ▲2▼, ▲9▼}
となる。
【0072】
乗務員J5,J3,J2に対しては2つののスジ▲2▼、▲9▼を割り当て可能であるので、図5のステップS504の作業を終了してステップS505の処理へ進む。図5のステップS505では、複数のスジに割り当て可能な乗務員に対して適切なスジを選び、そのスジへ割り当てる。割り当ては、割り当て案の数だけ図5のステップS506から図6のステップS520までの作業の繰り返し処理となる。割り当て案は最初は1つであるが、図6のステップS515において増える可能性がある。全ての割り当て案の処理が終わっていれば、図6のステップS522に進む。ステップS506では、割り当て案を1つ選択する。
【0073】
図5のステップS507では、割り当て対象の乗務員を割り当て可能な時間の早い順にソートした集合JoumSを作成する。
図3(a)および図3(b)の例では、
JoumS={J5, J3, J2}
である。
【0074】
図5のステップS508では、乗務員のソート順に乗務員を未割り当てのスジに割り当てる。すなわち、ソートした全ての乗務員に対して図5のステップS509から図6のステップS518までの処理を実施する。全ての乗務員に対して割り当て終えたならば、図6のステップS521に進む。
【0075】
図5のステップS509では、ソートした順に乗務員を一人、選択する。図5のステップS510では、ステップS509で選択した乗務員に割り当たっている最後のスジの着時が、割り当ての終了時刻tm(符号207の位置の時刻)を超えるまで、その乗務員へスジを割り当てる作業を繰り返す(図5のステップS511から図6のステップS516までの処理)。
【0076】
図3(a)および図3(b)の例では、まず図5のステップS509の処理において乗務員J5が選ばれる。乗務員J5は割り当たっている最後のスジの着時が割り当ての終了時刻tm(符号207を付した時点位置)を超えていないため、ステップS511からS516までの処理を行って、スジを割り当てる。
【0077】
ステップS511では乗務員に割り当て可能なスジをSujiSから検索し、それらをスジ集合suji−listとする。乗務員Joum2を割り当て可能なスジsuji2は、次の条件を満たすものとする。
・条件1:Joumu2は出発時間にsuji2の発駅にいること。
・条件2:割り当てることによってJoum2の所属する区から外れる場合は、その後の割り当てによって営業終了時刻までに所属する区へ戻れること。
・条件3:Joum2をsuji2に割り当てても定められた乗務時間Jを超えないこと。
・条件4:Joum2がsuji2を担当するまでに、一定範囲の時間的余裕があること。
但し、本実施例では上記の4つの条件を適用するが、適用する条件は他にもあり得る。
図3(a),(b)の例では、乗務員J5に割り当て可能なスジ集合は、
suji−list ={ ▲2▼,▲9▼ }
である。
【0078】
図9のステップS512では、対象の乗務員以外でsuji−listの各スジに割り当て可能な乗務員を検索して、乗務員集合JS1,JS2,… とする。乗務員集合は、suji−listの要素数だけ作成される。また、割り当て可能な条件は、前述の4つの条件と同じものする。
【0079】
図3(a),(b)の例では、乗務員J5以外でスジ▲2▼とスジ▲9▼に割り当て可能な乗務員は、それぞれ、
スジ▲2▼:JS1 ={J3, J2 }
スジ▲9▼:JS2 ={J3, J2 }
である。
【0080】
図9のステップS513では、対象の乗務員にとってそこそこ適切で、それ以外の乗務員(JS1, JS2, …)にとってそれほど適切でないスジを1つ選択して、対象の乗務員をそのスジに割り当てる。スジの割り当ての適切さの度合いを定量的に表すには、例えば以下の評価関数を用いる方法がある。
f(s1, s2)=w1×st+w2×tt+w3×yj
ここで、f(s1, s2)は、適切さの評価値であり、引数のs1は、乗務員に対して割り当てがなされた最後のスジであり、s2は割り当てようとしているスジを意味する。また、stは2つのスジの車両の同一性であり、s1とs2が同じ車両の場合は“1”,それ以外は“0”である。
【0081】
また、ttは2つのスジの上り下りの関係を示すものであり、s1とs2の一方が上りで他方が下りの場合は“0”、双方が同じであれば“1”である。また、yjは乗り換え時間の適切さを示すものであり、s2の発時−s1の着時がYADJからどれだけ離れた値かを“0”から“1”までの小数値で表す。YADJは乗り換え時間の推奨値であり、初期設定で与えられる。乗り換え時間の推奨値YADJは乗り換え時間の下限値YMIN以上乗り換え時間の上限値YMAX以下でなければならない。
【0082】
具体的な式は以下の通りである。
y=max(YMAX−YADJ,YADJ−YMIN)
yj=1−〔{|YADJ−(s2の発時−s1の着時)|}/y〕
但し、w1, w2, w3は重みであり、それぞれ“0”以上“1”以下の固定パラメータで、初期設定で与えられる。そして、w1+w2+w3=1でなければならない。
尚、上記以外にも適切さの指標があれば、重みとともに追加する。
【0083】
次に、図5のステップS511および図6のステップS512における乗務員に対して、それぞれのスジを割り当てたときの評価値を算出する。そして、対象の乗務員に割り当てたときの評価値とそれ以外の乗務員に割り当てたときの評価値についての平均値の差を比較する。
【0084】
ここでは両者の差をとった結果の値同士を比較してみて最も大きい値となるスジを、対象の乗務員にとってそこそこ適切で、それ以外の乗務員にとってはそれほど適切でないスジとみなす。スジを乗務員に割り当てたときの適切さを計算したときに、適切であればあるほど、その値が大きくなり、逆に、適切でなければその値は小さくなる。故に、対象の乗務員に割り当てたときの適切さがなるべく大きく、他の乗務員に割り当てたときの適切さがなるべく小さいものを選ぶ。そのために、両者の差をとってその値から判断するようにするわけである。
【0085】
図3(a),(b)の例を用いて、乗務員J5にとってそこそこ適切であり、乗務員J3およびJ2にとってそれほど適切でないスジを計算してみる。
乗務員J5に割り当てられている最後のスジをSJ5とする。また、乗務員J3に割り当てられている最後のスジをSJ3とする。さらに、乗務員J2には、最後のスジとしてスジ▲1▼が割り当てられているものとする。説明を簡単にするため、スジSJ5およびSJ3は図3(a)には明示的に示していない。また、パラメータはそれぞれ次の値が与えられているものとする。
w1=0.6,w2=0.3,w1=0.1,YADJ=2分,YMAX=5分,YMIN=1分
y=max(|YMAX−YADJ|,|YMIN−YADJ|)=3分。
【0086】
これらのパラメータを用いて適切さの評価値f(s1, s2)を、各乗務員J5,J3,J2別に、スジ▲2▼,▲9▼についてそれぞれ計算した結果の一例を、図9(a)にまとめ、示しておく。
計算により得られた各乗務員J5,J3,J2別適切さの評価値f(s1, s2)の値に基づいて、評価した結果、乗務員J5に適切なスジとして▲9▼を選択する。図9(b)に、スジ▲9▼を選択するに至った計算過程を示す。
【0087】
それぞれのスジ▲2▼,▲9▼を各乗務員J2,J3,J5に割り当てたときの各々の適切さf(s1, s2)の値は図9(a)に示すとおりである。それらを改めて纏める。スジ▲2▼,▲9▼別に各乗務員別の適切さ、或る乗務員(この例ではJ5)を中心に考えた場合に、“他の乗務員(この例ではJ2とJ3)の適切さの平均値A”、および“前記或る乗務員における適切さと他の乗務員の適切さの平均値に対する差(この例では、(J5の適切さ)−A)”を纏める。このあらためてまとめたものが図9(b)である。
【0088】
図9(b)に“乗務員J5の適切さ−A”なる項目の覧があるが、この例ではJ5を中心に考えているからであり、当該乗務員J5には、この“乗務員J5の適切さ−A”の項の値が最も大きな値になっているスジを割り当てる。図9(a),(b)の部分では、評価関数を導入して、乗務員J5にとってそこそこ適切で、それ以外の乗務員にとってそれほど適切でないスジを選ぶわけである。スジを乗務員に割り当てたときの適切さを計算したときに、適切であればあるほどその値が大きくなり、逆に、適切でなければその値は小さくなることから、J5に割り当てたときの適切さが、なるべく大きくて、他の乗務員に割り当てたときの適切さがなるべく小さいものを選ぶことで、目的とする選定ができる。
【0089】
そのような選定のために、或る乗務員(この例ではJ5)を中心に考えた場合に、他の乗務員(この例ではJ2とJ3)の適切さの平均値A、前記或る乗務員における適切さと他の乗務員の適切さの平均値に対する差をとる。
【0090】
この例では、J5以外の乗務員の適切さの平均値を求めて、乗務員J5の適切さとの差をとった結果は図9(b)に示すように、スジ▲2▼については−0.5665であり、スジ▲9▼については−0.2665である。これらの大小関係を比較すると
−0.5665<−0.2665
である。よって、乗務員J5についてスジ▲2▼と▲9▼のいずれを割り当てるのが最適かを知るために比較してみると、「差をとった結果の値同士を比較してみて最も大きい値」となるのはスジ▲9▼であるから、当該スジ▲9▼を乗務員J5に割り当てるのが適切と判断する。
【0091】
ステップS514では、適切さの評価値に基づいて、割り当て案を新たに作成するかどうかを判定する。そして、その判定の結果、作成する場合はステップS515の処理に進む。作成しない場合はステップS516の処理に進む。このステップS514での判定条件は、次の2つの条件を満足するか否かであり、条件を満足する場合に、割り当て案を新たに作成する。
・条件1:比較した値のうち最も大きい値となるものが複数存在する。
・条件2:新たに割り当て案を作成しても割り当て案の総数はWN以下である。
【0092】
図3(a),(b)の例では、乗務員J5に対して割り当てた場合の適切さとそれ以外の乗務員に対して割り当てた場合の適切さの平均との差が最大となる評価値は1つしかないので、上記ステップS514での判定の結果、ステップS516に進むことになる。仮に、差が最大となるものが2つあり、新たに2−1=1個の割り当て案を作成しても割り当て案の総数がWN以下の場合は、ステップS515に進んで割り当て案を新たに作成する。
【0093】
ステップS515では、割り当て案のコピーを作成し、新たな割り当て案とする。そして各割り当て案には、それぞれのスジに対象の乗務員を割り当てる。新たに作成した割り当て案は、後でステップS505以降において処理される。 新たに割り当て案を作成したとき割り当て案の総数がWNを超える場合は、新たに割り当て案を作成しない。この場合は、対象の乗務員に各スジを割り当てたときの評価値を比較して、評価値が高い方を割り当てに適切と判断する。そして、ステップS516へ進む。ステップS516では、現在処理中の割り当て案に、対象の乗務員のステップS514で選択したスジへの割り当てを反映する。
【0094】
この時点で、図3(a)の車両整理案に示す各スジの割り当て状況をまとめると、図10(a)に示す通りとなる。そして、図10(a)に対応する車両整理案は図11(a)の如きであり、スジ▲7▼と▲9▼が二重線となって、この二つのスジが新たに割り当てられたことになる。図10(a)に対応する乗務員の割り当て状況は、図11(b)に示す如く、C駅からA駅に向かう列車に対するスジ▲7▼には乗務員J1が割り当てられ、B駅からC駅に向かう列車に対するスジ▲9▼には乗務員J5が割り当てられ、既に割り当てられているA駅からB駅に向かう列車に対するスジ▲1▼に対する乗務員J2、を含めて3つのスジが割り当てられたことになる。
【0095】
ステップS517では、SujiSの要素をあらためて各編成の最初の未割り当てのスジ集合とする。そして、次の条件のいずれかを満たせば、JoumSの要素をあらためて割り当て可能なスジが存在する乗務員の集合としてステップS518へ進む。そうでなければステップS511へ戻る。
・条件1:対象の乗務員の持つスジ情報から乗務員が乗務可能な開始時刻を調べて、それが割り当ての終了時刻(207)を超えている。
・条件2:対象の乗務員を割り当てられるスジがない。
【0096】
図3(a),(b)の例では、SujiSは、
SujiS={▲4▼,▲2▼,(10)}
となる。また、乗務員J5の乗務可能な開始時刻はスジ▲3▼の着時+YMINであるため、割り当ての終了時刻(207)を超えておらず、かつ、まだ割り当て可能なスジが存在するので、ステップS511へ戻る。なお、符号(10)については、図面3中では“10”を○で囲んだ表記としているが、明細書中では(10)と記載するものとする(以後、他の図面においても同様とする)。
【0097】
ステップS511に戻って乗務員J5に割り当て可能なスジをSujiSから検索し、それらをスジ集合suji−listとする。当該スジ集合suji−listは、
suji−list ={▲2▼,(10)}
となる。ここで、再度、前述した割り当ての適切さの評価を行い、スジ(10)に乗務員J5を割り当てることにする。すなわち、現在処理中の割り当て案にスジ(10)への乗務員J5の割り当てを反映する。
【0098】
この時点で、図3(a)の車両整理案に示す各スジの割り当て状況をまとめると、図10(b)に示す如きとなる。そして、図10(b)に対応する車両整理案は図12(a)の如きであり、前回でのスジ▲1▼と▲6▼と▲7▼と▲9▼に加えて更に今回、再度の評価の結果、スジ(10)が二重線となって、これらのスジが新たに割り当てられたことになる。但し、スジ▲6▼と▲8▼はいずれもJ1からJ5以外の乗務員を割り当てるという不確定要素のある割り当てであり、確実に割り当てが済んだのはスジ▲1▼,▲7▼,▲9▼,(10)であり、乗務員の割り当て状況は、図12(b)に示す如きで、今回、スジ(10)には乗務員J5が割り当てられた結果、前回までに既に割り当てられているA駅からB駅に向かう列車のスジ▲1▼に対する乗務員J2、C駅からA駅に向かう列車に対するスジ▲7▼に対する乗務員J1、B駅からC駅に向かう列車に対するスジ▲9▼に対するそしてその復路となるスジ(10)に対する乗務員J5の割り当て、を含めて4つのスジが割り当てられたことになる。
【0099】
この時点で乗務員J5の乗務可能な開始時刻は、スジ(10)の着時+YMINであるため、割り当ての終了時刻(207)を超えることとなるので、JoumSの要素を修正してステップS518へ進む。JoumSは、
JoumS ={J3,J2}
となる。
【0100】
ステップS518からステップS509へ戻り、今度は乗務員J3を選択し、スジに割り当てる処理を実施する。ステップS511からステップS516までの処理を実施することにより、スジ▲2▼に乗務員J3を割り当てる。引き続きスジ▲3▼への割り当ても考えられるが、ここでは乗務員J3の乗務時間がJ以上になってしまい、割り当ての条件を満たさないため、割り当てられないものとする。
【0101】
この時点で、図3(a)の車両整理案に示す各スジの割り当て状況をまとめると、図13(a)に示す通りとなる。そして、図13(a)に対応する車両整理案は図14(a)の如きであり、今回、再度の評価の結果、スジ▲2▼が新たに二重線となってスジ▲1▼,▲2▼,▲6▼,▲7▼,▲8▼,▲9▼および(10)について乗務員が割り当てられたことになる。但し、スジ▲6▼と▲8▼はいずれもJ1からJ5以外の乗務員を割り当てるという不確定要素のある割り当てであり、確実に割り当てが済んだのはスジ▲1▼,▲2▼,▲7▼,▲9▼,(10)であり、乗務員の割り当て状況は、図14(b)に示す如きとなって、今回、B駅からC駅に向かう列車のスジ▲2▼に乗務員J3が割り当てられた。
【0102】
また、この割り当ての他、前回までにC駅からA駅に向かう列車に対するスジ▲7▼に乗務員J1が割り当てられ、B駅からC駅に向かう列車に対するスジ▲9▼およびその復路となるスジ(10)には乗務員J5が割り当てられ、A駅からB駅に向かう列車に対するスジ▲1▼に対する乗務員J2が既に割り当てられているから、これらを含めて5つのスジが割り当てられたことになる。
【0103】
乗務員J3を割り当て可能なスジはもう存在しないので、JoumSの要素を修正してステップS518へ進む。この時点で乗務員J2を割り当てられるスジはないので、
JoumS ={ }
である。
【0104】
割り当て可能な乗務員がいなくなったときは、ステップS518からステップS519へ進む。ステップS519では、乗務員を順番に割り当てたことにより、新たに乗務員を割り当て可能なスジができたかどうかを調べて、もしそうならば、それらのスジに対して乗務員を割り当てるために、ステップS507へ戻る。そうでなければステップS520へ進む。ステップS520では、まだ未割り当てのスジがあるか、また、業務終了時点で自分の所属する区へ戻っていない乗務員がいるかどうかを調べて、予備の乗務員または便乗による割り当てを試みる。予備の乗務員についての情報も、予め乗務員データ記憶部105に用意されているので、乗務員運用整理案作成機能部104は乗務員データ記憶部105から情報を読み出して当該割り当てを試みるわけである。
【0105】
図3(a)、(b)の例では、図14(a)より、ステップS519において、乗務員に割り当て可能なスジ▲3▼、▲4▼に対して、割り当て可能な乗務員がいるかどうか調べる。そして、そのような乗務員はいないためステップS520へ進む。スジ▲3▼に乗務員J3が割り当て可能であるように見えるが、この例の場合は、前述したとおり、乗務員J3にスジ▲3▼を割り当てると乗務時間をオーバーしてしまうため割り当てられないものとする。また、それ以外の乗務員もスジ▲3▼、▲4▼に割り当てはできない。そこで、ステップS520で予備人員(予備の乗務員)または列車便乗移動による割り当てを試みる。
【0106】
予備人員(待機している予備の乗務員)Y1,Y2,Y3がいて、Y1,Y2はB駅待機、Y3がA駅待機であったとする(図14(c)参照)。これら予備の乗務員または列車便乗移動による割り当ての詳細なアルゴリズムを図7、図8に示す。図に従って説明すると、まず、図7におけるステップS602からステップS607までの作業によって、予備人員を未割り当てのスジへ割り当てられるかを試みてみる。
【0107】
次に、まだ未割り当てのスジがあれば、図7におけるステップS608から図8におけるステップS613までの作業で便乗による未割り当てのスジへの乗務員の割り当てを試す。最後に、図8におけるステップS614からステップS617までで、業務終了時点で自分の所属する区に戻っていない乗務員に便乗を割り当てて所属する区へ戻す。
【0108】
図7におけるステップS601で、割り当て作業を開始する。ステップS602で、未割り当てのスジを検索し、発時の早い順にソートした集合SujiMを作成する。
図14(a)は、図13(a)の内容を反映した時点での車両整理案を表わしており、図14(a)の例ではSujiMは、
SujiM ={▲4▼,▲5▼,▲3▼}
となる。
【0109】
図7におけるステップS603では、予備人員である予備の乗務員について乗務可能な開始時刻の早い順にソートした集合YobiSを作成する。
【0110】
本実施例では、図14(c)に示す3人の予備の乗務員Y1,Y2,Y3が存在するものとし、また、これらY1,Y2,Y3いずれもが割り当ての開始時刻においてまだどのスジにも割り当てられていないものとして話を進める。すなわち、
YobiS ={Y1,Y2,Y3}
である。
【0111】
ステップS604では、予備の乗務員の数だけステップS605からステップS606までの処理を繰り返すことにより、予備の乗務員による割り当て処理を行う。ステップS605で、YobiS内の予備の乗務員に割り当て可能なスジをSujiMのソート順に検索する。もしあれば、そのスジを割り当てて、SujiMから削除する。
【0112】
未割り当てのスジsuji3に割り当て可能な予備人員Joum3は、次の3つの条件を満たす。なお、予備人員のスジ情報には、あらかじめ勤務開始時に待機している駅と待機開始時刻とが格納されているものとする。
・条件1:Joum3は予備人員(予備の乗務員)である。
・条件2:Joum3は、未割り当てのスジの発時に、発駅に待機している。
・条件3:suji3にJoum3を割り当てても、Joum3は定められた乗務時間Jを超えない。
なお、本実施例では上記の3つの条件であるが、条件は他にもあり得る。
上記の3条件を満たすスジが複数あれば、最も待機時間が短くなるものを選んで予備人員を割り当てる。その後、割り当てたスジはSujiMから削除する。
【0113】
図14(a)および図14(c)の例では、まずY1が対象の予備人員(予備の乗務員)となる。そして、上記の3条件を満たすスジには、▲4▼がある。そこで、スジ▲4▼に乗務員Y1を割り当てる。すなわち、現在処理中の割り当て案に、スジ▲4▼への乗務員Y1の割り当てを反映する。そして、SujiMから▲4▼を削除する。
【0114】
ステップS606で、対象の予備人員にまだ割り当てることのできるスジがあるかどうかを調べる。その結果、ある場合には、割り当てるためにステップS605の処理に戻る。それ以外はステップS607の処理へ進む。
【0115】
図14(a)および図14(c)の例では、Y1にはさらにスジ▲5▼が割り当てられる。そこでスジ▲5▼に予備乗務員Y1を割り当てる。すなわち、現在処理中の割り当て案に、スジ▲5▼への乗務員Y1の割り当てを反映する。そして、SujiMから▲5▼を削除する。
【0116】
再び、ステップS606の処理に進み、乗務員Y1にまだ割り当てることのできるスジがあるかどうか調べる。その結果、Y1にはもう割り当てることのできるスジはないため、ステップS607の処理へ進む。この時点で、図14(a)の車両整理案に示す各スジの割り当て状況をまとめると、図13(b)に示すとおりとなる。そして、車両整理案は図15(a)の如きであり、今回、予備人員を含めて再評価の結果、スジ▲4▼と▲5▼が新たに二重線となってスジ▲1▼,▲2▼,▲4▼,▲5▼,▲6▼,▲7▼,▲9▼および(10)について乗務員が割り当てられたことになる。
【0117】
但し、スジ▲6▼と▲8▼はいずれもJ1からJ5以外の乗務員を割り当てるという不確定要素のある割り当てであり、確実に割り当てが済んだのはスジ▲1▼,▲2▼,▲4▼,▲5▼,▲7▼,▲9▼,(10)であり、乗務員の割り当て状況は、図15(b)に示す如きとなって、今回、B駅からC駅に向かう列車のスジ▲4▼とA駅からC駅に向かう列車のスジ▲5▼に予備の乗務員Y1が割り当てられ、この割り当ての他、前回までにB駅からC駅に向かう列車のスジ▲2▼に乗務員J3が割り当てられ、C駅からA駅に向かう列車に対するスジ▲7▼に乗務員J1が割り当てられ、B駅からC駅に向かう列車に対するスジ▲9▼およびその復路となるスジ(10)には乗務員J5が割り当てられ、A駅からB駅に向かう列車に対するスジ▲1▼に対する乗務員J2が割り当てられているから、これらを含めて7つのスジが割り当てられたことになる。
ステップS608での判定の結果、未処理の予備人員(予備の乗務員)が残っていればステップS604へ戻る。
【0118】
図14(a)の例では、予備人員Y1の処理が終わったので、次に予備人員である乗務員Y2に対してステップS605からステップS606までの処理を行う。その結果、Y2を割り当てられるスジは存在しないので、割り当ては行われない。すなわち、車両整理案への反映をしないでステップS607へ進む。また、予備人員である乗務員Y3に対しても同様に割り当ては行われない。この時点でY1,Y2,Y3全ての予備人員を処理し終えたので、ステップS608に進む。
【0119】
ステップS608では、未割り当てのスジがまだSujiMに残っているかどうか調べて、残っていなければステップS614の処理に進む。残っていればステップS609へ進み、予備人員を含む全ての乗務員を業務が早く終わる順にソートして集合JoumMとする。
【0120】
図14(a)および図14(c)の例では、
SujiM = { ▲3▼ }
であるので、ステップS609の処理に進む。全ての乗務員を業務が早く終わる順にソートした様子を図16に示す。JoumMは、
JoumM ={ Y2, Y3, J2, J3, J4, J1, Y1, J5 }
となる。
【0121】
ステップS610では、JoumM内の乗務員の数だけステップS611を繰り返すことにより、便乗による割り当て処理を行う。
ステップS611では、乗務員が1回、列車に便乗して移動すれば未割り当てのスジを担当できるかどうか調べて、可能ならば割り当てる。
列車に便乗して移動することによって未割り当てのスジsuji4に割り当てが可能な乗務員Joum4は、次の3つの条件を満たす。
・条件1:Joum4が最後に担当したスジの後にsuji4の発駅へ向かうスジが存在し、suji4の発時までにsuji4の発駅に到着する。
・条件2:suji4の着駅が乗務員の所属区内である。
・条件3:Joum4に、便乗するスジとsuji4に割り当てても定められた乗務時間Jを超えない。
本実施例では上記の3つの条件であるが、条件は他にもあり得る。
【0122】
上記の3つの条件を満たす便乗スジ(移動のために便乗に利用することが可能なスジ)と未割り当てのスジの組み合わせのうち、最も待機時間のばらつきが小さくなる組み合わせを選んで、乗務員に割り当てる。
【0123】
図15および図16の例では、まずY2が選ばれる。Y2はB駅に待機しているが、スジ▲6▼または▲2▼または▲9▼に便乗することで、未割り当てのスジ▲3▼を担当可能である。この場合は、待機時間のばらつきが最も小さくなるスジ▲2▼に便乗して、スジ▲3▼を担当することにする。待機時間は、スジ▲2▼への便乗開始までの時間と、スジ▲2▼の便乗終了からスジ▲3▼の運用開始までの時間の2つを意味する。
【0124】
そこで、乗務員Y2に対してスジ▲2▼への列車便乗による移動と、スジ▲3▼への割り当てを行う。すなわち、現在処理中の運用整理案に、スジ▲2▼に対する乗務員Y2の列車便乗移動および、スジ▲3▼に対する乗務員Y2の割り当てを反映する。そして、スジ▲3▼はSujiMから削除する。この時点でSujiMは、
SujiM ={ }
となる。
【0125】
ステップS612では、未割り当てのスジがまだSujiMに残っているかどうかを調べて、残っていれば、未割り当てのスジへの割り当てを継続するためにステップS611へ戻る。残っていなければステップS614に進む。図15および図16の例では、
SujiM ={ }
であり、未割り当てのスジは無いから、ステップS614へ進む。
【0126】
ステップS614では、予備人員を含む全ての従業員を最後の担当スジの着時が遅い順にソートし、集合JoumRとする。ステップS615では、JoumR内の乗務員の数だけステップS616の処理を繰り返すことにより、業務終了時点で所属する区へ戻っていない乗務員に便乗スジ(列車便乗による移動のために乗車させる対象のスジ)を割り当てる。
【0127】
ステップS616では、割り当ての範囲がその日の業務終了までの場合に、JoumR内の乗務員が業務終了時点で所属区へ戻っているかどうか調べる。戻っていなければ、便乗スジを割り当てて所属区に戻すようにする。
【0128】
乗務員Joum5に割り当て可能な便乗スジsuji5は、次の条件を満たす。
・条件1:suji5は、Joum5が最後に担当したスジの着時後に着駅から発車して、Joum5の所属区に戻る。
・条件2:Joum5はsuji5を割り当てても定められた乗務時間Jを超えない。 上記の条件を満たすスジのうち、最も発時(出発時刻)が早いものを選んで、その乗務員の便乗スジとして登録する。
【0129】
図15および図16の例では、全ての乗務員が所属区へ戻っているものとし、ステップS618へ進んでスジへの乗務員の割り当てを終了する。ステップS618で終了した時点で、ステップS521に戻る。そして、別の割り当て案があれば、ステップS506に戻って新たに乗務員の割り当てを行う。なければ、ステップS522へ進む。
【0130】
ステップS522では、全てのスジに割り当てられた案があれば、それらの案を割り当て結果としてステップS405に戻る。そのような案がなければ、割り当てに失敗したというメッセージおよび、未割り当てのスジの個数、必要な乗務員の人数およびスジ情報などを割り当て結果として、ステップS405に戻る。
【0131】
全てのスジに乗務員を割り当てられた整理案は次の条件を満たす。
・条件1:割り当ての範囲内で未割り当てのスジがない。
・条件2:割り当ての範囲がその日の業務終了までの場合、スジに割り当てられた乗務員が業務終了時点で所属区に戻っている。
図15および図16の例では、全てのスジに乗務員を割り当てられた割り当て案が1つあるので、その案を割り当て結果としてステップS405に戻る。
【0132】
ステップS405では、全てのスジに乗務員の割り当てを済ますことができた割り当て案があれば、割り当ての確定のためにステップS406へ進む。そのような案がなければステップS407に進み、オペレータに割り当て不可の通知を行ってステップS409で終了する。割り当て不可の場合は終了するのではなく、初期条件パラメータの値を変更してやり直すアルゴリズムもあり得る。
【0133】
ステップS406では、オペレータが割り当ての確定を行う。複数の割り当て案が存在する場合は、オペレータが最適な割り当て案を選択し、必要があれば修正するものとする。
【0134】
ステップS408では、まだ未割り当ての範囲が残っているかどうか調べる。もし残っていれば、割り当て作業を中断するかどうかをオペレータに問い合わせる。そして、中断する場合は終了する。そうでなければ、別の範囲に割り当てるためにステップS403に戻る。また、未割り当ての範囲が残っていない場合は、完成された車両整理案を入出力端末103等に出力するための処理を実施して一連の処理を終了する。
【0135】
乗務員運用整理案作成機能部104による以上のような一連の処理が実行された結果、車両整理案に示す各スジの最終的な割り当て状況がどうなったかをまとめると、図17(b)に示す通りとなる。そして、車両整理案は図17(a)の如きであり、今回、予備人員および列車便乗移動による割り当ての可能性を含めて再評価の結果、予備人員である乗務員Y2がスジ▲2▼を利用してこの列車に便乗させ、移動させることで、スジ▲3▼に割り当て可能となるから、スジ▲3▼が新たに二重線となってスジ▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲4▼,▲5▼,▲6▼,▲7▼,▲8▼,▲9▼および(10)について乗務員が割り当てられたことになる。
【0136】
但し、スジ▲6▼と▲8▼はいずれもJ1からJ5以外の乗務員を割り当てるという不確定要素のある割り当てであり、確実に割り当てが済んだのはスジ▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲4▼,▲5▼,▲7▼,▲9▼,(10)であり、スジ▲6▼と▲8▼はいずれもJ1からJ5以外の乗務員を現場指揮者の判断で人為的に割り当てるようにしなければならないが、与えられた車両整理案ついて、一応、可能な範囲ですべて乗務員の割り当てができたことになる。
【0137】
乗務員の割り当て状況は、図17(b)に示す如きとなって、今回、B駅からC駅に向かうスジ▲2▼に予備の乗務員Y2を便乗させてC駅に移動させ、C駅始発の列車のスジであるスジ▲3▼に割り当てるようにし、この割り当ての他、前回までにB駅からC駅に向かう列車のスジ▲4▼とA駅からC駅に向かう列車のスジ▲5▼に予備の乗務員Y1が割り当てられ、B駅からC駅に向かう列車のスジ▲2▼に乗務員J3が割り当てられ、C駅からA駅に向かう列車に対するスジ▲7▼に乗務員J1が割り当てられ、B駅からC駅に向かう列車に対するスジ▲9▼およびその復路となるスジ(10)には乗務員J5が割り当てられ、A駅からB駅に向かう列車に対するスジ▲1▼に対する乗務員J2が割り当てられているから、これらを含めて9つのスジが割り当てられたことになる。最終的なこの割り当て状況を図17(c)に示す。
【0138】
このように本実施例においては、列車の運転に乱れが生じた時に、運転計画を元に復帰させるために作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てるスケジューリングシステムにおいて、割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持した乗務員情報保持手段と、前記乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するものであって、割り当て可能な乗務員が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるようにする乗務員運用整理案作成手段とを備えた乗務員に割り当てのためのスケジューリングシステムである。
【0139】
そして、このようなシステムは、別途用意された車両整理案が与えられると、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てる。本システムには乗務員情報保持手段が用意してあり、前記割り当てにあたり、乗務員運用整理案作成手段はこの乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するが、割り当て可能な乗務員が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるように処理する。
【0140】
従って、本実施例によれば、車両整理案と乗務員の情報を与えて、制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てていくスケジューリングにおいて、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方は分離して、運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方について独立してスケジューリングすることができる。そのため、整理案作成システム導入済みの路線の環境に柔軟に対応してスケジューリングの支援を行うことができる。
【0141】
また、運用整理案を作成するに当たり、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、評価計算によりその評価値に基づいて決定することから、その乗務員に割り当てるのがかなり適切で、かつ、他の乗務員にとってあまり適切でないスジを計算して最適なものを決定するに当たり、少ない計算量で迅速に運用整理案を作成することができる効果がある。
【0142】
以上の第1の実施例は、乗務員を与えられた車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジそれぞれに対し、割り当てる(乗務員を各スジに割り当てる)手法として、所定の評価式に基づく乗務員の評価値に着目するものであったが、人に着目するのではなくスジに着目して割り当てる手法もある。この手法を次に第2の実施例として説明する。
【0143】
(第2の実施例)
第2の実施例においても、第1の実施例の構成とシステム構成は基本的に同様の構成である。但し、この第2の実施例のシステムでは、乗務員運用整理案作成機能部104においては、与えられた車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能駅駅間経路であるスジに対し、乗務員を割り当てる手法として、各列車である編成毎のスジを主体にするもので、その着目した編成のスジに対して割り当てを行っていく。
【0144】
ここでは、スジそれぞれに対し、乗務員を割り当てる手法として、図4の運用整理案作成の全体フローにおけるステップS404での処理である“乗務員をスジに割り当てる”方法としてスジに着目した割り当てを行う実施例を示す。なお、全体フローの流れは第1の実施例と同一であるのでここでは省略する。
【0145】
図18および図19に、乗務員に着目した割り当てのフローチャートを示す。図18および図19に従って、図20(a)の如きの与えられた車両整理案へ図20(b)の乗務員を割り当てる手順を説明する。与えられた車両整理案に対する処理開始時点でのスジの割り当て状況は、図20(c)に示す如きであるものとする。
【0146】
割り当て作業を実行開始すると(図18のステップS1101)、乗務員運用整理案作成機能部104は、まず、ステップS1102の処理において、割り当て範囲内で割り当て可能なスジがあるかを検索する。そして、検索して得たスジに、割り当て可能なスジがあるか否かを判断する(図18のステップS1103)。すなわち、乗務員を割り当てるべく処理する、対象となり得るスジがあるか否かを判断するわけである。
【0147】
ここでの判断条件は以下の2つの条件であり、これら2つの条件が成り立つスジ情報のリストを持つ編成が1つでもあれば割り当て可能と判断する。
・条件1: 割り当ての開始時刻まではスジに乗務員が割り当たっている。
・条件2: 割り当ての終了時刻ではスジに乗務員が割り当てられていない。
【0148】
S1103での判断の結果、条件が成り立てば(図18のステップS1103)、ステップS1104へ進む。しかし、S1103での判断の結果、条件が成り立たなければ図19のステップS1123へ進み、図4のステップS405に戻る。
【0149】
図20(a)の如きの車両整理案では、編成1201,1202, 1203, 1204,1205の計5つの編成(5本の列車)があり、それらは本システムによる割り当ての開始時刻まではスジそれぞれに既に乗務員は割り当てられているが、割り当ての終了時刻ではスジに乗務員は割り当てられてはいないので、条件が成り立つ。従って、図18のステップS1104へ進む。
【0150】
ステップS1104では、オペレータに提示するための割り当て案を1つ作成して初期化する。また、ステップS1104では、割り当て可能な乗務員が1人しかないスジを検索する。そして、割り当て案にその乗務員のそのスジへの割り当てを反映する。
【0151】
具体的には、乗務員運用整理案作成機能部104は、まず、乗務員を割り当て可能な時間の早い順にソートした集合JoumTを作成する。このとき、割り当て済みの最後のスジの着時が割り当て範囲の終了時刻(1207)を超える乗務員は、JoumTに登録しない。また、各編成の持つスジ情報から最初の未割り当てのスジを検索し、それらの編成を発時の早い順にソートした集合HenseiSを作成する。
【0152】
次に、乗務員運用整理案作成機能部104は、集合HenseiSから編成を順に取り出して、その最初の未割り当てのスジにJoumTの各乗務員が割り当て可能かどうかを調べる。1人の乗務員にしか割り当てられないスジであればそのスジにその乗務員を割り当てるようにする。また、どの乗務員も割り当てることができないスジの場合は、集合HenseiSからそのスジを持つ編成を除外する。この作業を、集合HenseiS内の編成全てが、先頭の未割り当てのスジに対して複数の乗務員を割り当て可能になるまで繰り返す。
【0153】
次の5つの条件を全て満足する乗務員Joum1は、スジsuji1に割り当て可能とする。
・条件1: Joum1は、最後の割り当てスジの乗務終了後にsuji1の発駅にいる。
・条件2: suji1に割り当てても定められた乗務時間Jを超えない。
・条件3: suji1に割り当てることによってJoum1が自分の所属する区から外れる場合は、その後の割り当てによって営業終了時刻までに所属する区へ戻ることができる。
・条件4: suji1を担当するまでに、一定範囲の時間的余裕がある(YMIN以上かつYMAX以下)。
・条件5: Joum1は予備人員(予備の乗務員)ではない。
なお、本実施例では上記の5つの条件としているが、条件は他にもあり得る。
【0154】
図20(b)に示す乗務員の状況では、各乗務員J5,J1,J3,J2,J4の持つスジ情報から割り当て可能な時間を調べて早い順に並べると、
JoumT ={J5,J1,J3,J2,J4}
となる。
【0155】
また、各編成の最初の未割り当てのスジの発時の早い順に編成1205,1203,1202,1204,1201をソートした集合HenseiSは、
HenseiS ={編成1205,編成1203,編成1202,編成1204,編成1201}
となる。
【0156】
図20(a)における車両整理案中の編成1205についての未割り当ての先頭スジ▲4▼には、図20(b)に示す乗務員中のどの乗務員も割り当てられない。図20(a)における車両整理案中の編成1203についての先頭スジ▲2▼には、乗務員J3,J5が割り当て可能である。また、図20(a)における車両整理案中の編成1202についての先頭スジ▲7▼には乗務員J1が割り当て可能である。図20(a)における車両整理案中の編成1204についての先頭スジ▲9▼には、乗務員J2,J3,J5が割り当て可能である。図20(a)における車両整理案中の編成1201についての先頭スジ(12)には、乗務員J2,J3,J5が割り当て可能である。なお、符号(12)については、図面20中では“12”を○で囲んだ表記としているが、明細書中では(12)と記載するものとする(以後、他の図面においても同様とする)。
【0157】
従って、割り当てることができる乗務員が一人しかいないスジ▲7▼については、割り当ての該当者となるJ1を割り当てることにし、スジ全てが割り当て済みとなった編成1205を処理対象から除外する。すなわち、乗務員J1にはスジ▲7▼を割り当てるように、割り当て案にその割り当てを反映し、また、図20(a)における車両整理案中の編成1205を集合HenseiSから除外する。
【0158】
この時点で、
HenseiS ={編成1203,編成1204,編成1201}
JoumT ={J5,J3,J2,J4}
となる。また、この時点での車両整理案、乗務員の割り当て状況、スジの割り当て状況をそれぞれ図21(a),(b),(c)に示す。
【0159】
図21(a)における車両整理案中の編成1203,1204,1201の未割り当ての先頭スジにはそれぞれ複数の乗務員を割り当て可能であるので、ステップS1104での作業を終了して図18のステップS1105へ進む。
乗務員運用整理案作成機能部104によるステップS1105での処理は、複数の乗務員に割り当て可能なスジに対して適切な乗務員を選び、その乗務員を割り当てる処理である。割り当ては、割り当て案の数だけ図18のステップS1106から図19におけるステップS1120までの作業の繰り返し処理となる。割り当て案は最初は1つであるが、図19のステップS1115において増える可能性がある。全ての割り当て案の処理が終わっていれば、図19のステップS1122に進む。
【0160】
図18のステップS1106では、割り当て案を1つ選択する。
次にステップS1107では、割り当て対象の編成を、編成が持つスジ情報のうち、先頭の未割り当てのスジの発時が早い順にソートした集合HenseiSを作成する。ここで対象の編成とは、スジ情報に未割り当てのスジを持つ編成である。図21(a),(b)の例では、
HenseiS ={編成1203,編成1204,編成1201}
である。
【0161】
図18のステップS1108では、乗務員運用整理案作成機能部104は編成のソート順に編成の持つスジ情報の未割り当てのスジに乗務員を割り当てる。すなわち、ソートした全ての編成に対して図18のステップS1109から図19のステップS1118までの処理を実施する。全ての編成に対して割り当て処理を終えたならば、図19のステップS1120に進む。
【0162】
図18のステップS1109では、ソートした順に編成を1つ選択する。そして、図18のステップS1110では、ステップS1109で選択した編成に乗務員を割り当て済みの最後のスジの着時が、割り当ての終了時刻(207)を超えるまで、その編成へスジを割り当てる作業を繰り返す(図18のステップS1111から図19のステップS1116までの作業)。
【0163】
図21(a),(b)の例では、まず図18のステップS1109で編成1203が選ばれる。編成1203は乗務員を割り当て済みの最後のスジ▲1▼の着時が割り当ての終了時刻(1207)を超えていないため、図18のステップS1111から図19のステップS1116までの処理を行って、スジを割り当てる。
【0164】
図18のステップS1111では編成の持つスジ情報のうち、先頭の未割り当てのスジに割り当て可能な乗務員をJoumTから検索し、それらを乗務員集合joum−listとする。乗務員Joum2を割り当て可能なスジsuji2は、次の条件を満たすものとする。
・条件1: Joumu2は出発時間にsuji2の発駅にいる。
・条件2: 割り当てることによってJoum2の所属する区から外れる場合は、その後の割り当てによって営業終了時刻までに所属する区へ戻ることができる。
・条件3: Joum2をsuji2に割り当てても、定められた乗務時間Jを超えない。
・条件4: Joum2がsuji2を担当するまでに、一定範囲の時間的余裕がある。
なお、本実施例では上記の4つの条件であるが、条件は他にもあり得る。
【0165】
図21(a),(b)の例では、編成1203のスジ▲2▼に割り当て可能な乗務員集合は、
joumu−list ={J3,J5}
である。
【0166】
図19のステップS1112では、乗務員運用整理案作成機能部104は、対象の編成の先頭の未割り当てスジ以外でjoum−listの各乗務員に割り当て可能なスジを検索して、スジ集合SS1, SS2, …とする。スジ集合は、joum−listの要素数だけ作成される。また、割り当て可能な条件は、前述の4つの条件と同じものする。
【0167】
図20(a),(b)の例では、スジ▲2▼以外で乗務員J3,J5を割り当て可能なスジは、それぞれ、
乗務員J3:SS1 = { ▲9▼, (12) }
乗務員J5:SS2 = { ▲9▼, (12) }
である。
【0168】
次に図19のステップS1113の処理に進み、ここででは、対象のスジにとってそこそこ適切で、それ以外のスジ(SS1, SS2, …)にとってそれほど適切でない乗務員を1人選択して、対象のスジにその乗務員を割り当てる。
【0169】
図20(a),(b)の例では、第1の実施例と同様の評価関数を導入して、乗務員J3にスジ▲9▼を割り当てたときの適切さと、スジ(12)を割り当てたときの適切さの平均A1を求める。そして、乗務員J3にスジ▲2▼を割り当てたときの適切さB1を求めて、その差B1−A1を求める。
【0170】
また、乗務員J5にスジ▲9▼を割り当てたときの適切さとスジ(12)を割り当てたときの適切さの平均A2を求める。そして、乗務員J5にスジ▲2▼を割り当てたときの適切さB2を求めて、その差B2−A2を求める。
【0171】
これらを求めたならば、乗務員運用整理案作成機能部104は、次に図19のステップS1114に移る。このステップS1114では、適切さの評価値に基づいて、割り当て案を新たに作成するかどうかを判定する。判定の結果、作成する場合はステップS1115に進む。ステップS1114での判定の結果、作成しない場合は図19のステップS1116に進む。
【0172】
判定の基準は次の2つであり、当該2つの条件を満足する場合に、割り当て案を新たに作成する。
・条件1:比較した値のうち最も大きい値となるものが複数存在する。
・条件2:新たに割り当て案を作成しても割り当て案の総数はWN以下である。
【0173】
図21(a),(b)の例では、評価値を算出して比較した結果、スジ▲2▼にJ5を割り当てるのが適切という結果になったとする。詳細な計算過程については第1の実施例と同様であるから、ここでは省略する。また、適切さの評価値の差が最大となるものが1つしかないものとする。従って、この場合、乗務員運用整理案作成機能部104は、図19のステップS1116に進む。
【0174】
仮に評価値の差が最大となるものが2つあり、新たに2−1=1個の割り当て案を作成しても、割り当て案の総数がWN以下の場合は、図19のステップS1115に進んで割り当て案を新たに作成する。ステップS1115では、割り当て案のコピーを作成し、新たな割り当て案とする。そして各割り当て案には、それぞれのスジに対象の乗務員を割り当てる。新たに作成した割り当て案は、後で図18のステップS1105以降において処理される。
【0175】
新たに割り当て案を作成したとき、割り当て案の総数がWNを超える場合は、新たに割り当て案を作成しない。この場合は、対象の乗務員に各スジを割り当てたときの評価値を比較して、評価値が高い方を、“割り当てに適切”と判断する。そして、図19のステップS1116へ進む。
【0176】
ステップS1116では、現在処理中の割り当て案に、対象の乗務員のステップS1114で選択したスジへの割り当てを反映する。
【0177】
図21(a),(b)の例では、乗務員J5にスジ▲2▼を割り当てる。すなわち、割り当て案にその割り当てを反映する。この時点での車両整理案、乗務員の割り当て状況、スジの割り当て状況をそれぞれ図22(a),(b),(c)に示す。
【0178】
図19のステップS1117では、乗務員運用整理案作成機能部104は、JoumTの要素をあらためて割り当て可能なスジがある乗務員の集合とする。そして、次の条件のいずれかを満たせば図19のステップS1118へ進む。そうでなければ図18のステップS1111へ戻る。
・条件1: 対象の乗務員の持つスジ情報から乗務員が乗務可能な開始時刻を調べて、それが割り当ての終了時刻(1207)を超えている。
・条件2: 対象のスジを割り当てられる乗務員がいない。
【0179】
図22(a),(b)の例では、編成1203におけるスジ▲2▼の着時+YMINは、割り当ての終了時刻(1207)を超えておらず、かつ、まだ割り当て可能な乗務員が存在するので、図18のステップS1111へ戻る。そして、図19のステップS1116までの処理を行うことによりスジ▲3▼に適切な乗務員を検索して割り当てる。
【0180】
スジ▲3▼に適切な乗務員はJ5のみなので、当該乗務員J5にスジ▲3▼を割り当てる。すなわち、割り当て案にその割り当てを反映する。この時点での車両整理案、乗務員の割り当て状況、スジの割り当て状況をそれぞれ図23(a),(b),(c)に示す。
【0181】
乗務員J5に編成1203の未割り当てスジ▲3▼を割り当てた時点で、スジ▲3▼の着時+YMINは、割り当ての終了時刻(1207)を超える。従って、JoumTの要素を修正して図19のステップS1118へ進む。割り当ての時間範囲内では乗務員J1とJ5にはもう割り当てることができないので、修正後のJoumTは以下のようになる。
JoumT ={J3,J2,J4}
図19のステップS1118から図18のステップS1109へ戻り、HenseiS ={ 編成1203 ,編成1204 ,編成1201 }の次の要素である編成1204についても同様の処理を行って、編成の持つスジ▲9▼、(10)に対し、順番に適切な乗務員を割り当てる。
【0182】
図23(a),(b)の例では、編成1204の未割り当てスジ▲9▼に対しての割り当て可能な乗務員集合joumu−listは、
joumu−list ={J2,J3}
である。
【0183】
図19のステップS1112では、乗務員運用整理案作成機能部104は、対象とする編成での先頭の未割り当てスジ以外でjoum−listの各乗務員に割り当て可能なスジを検索する。そして、スジ集合SS1, SS2, …とする。スジ集合は、joum−listの要素数だけ作成される。
【0184】
図23(a),(b)の例では、スジ▲9▼以外で乗務員J2,J3を割り当て可能なスジは、それぞれ、
乗務員J2:SS1 ={(12)}
乗務員J3:SS2 ={(12)}
である。
【0185】
図19のステップS1113では、対象のスジにとってそこそこ適切で、それ以外のスジ(SS1, SS2, …)にとってそれほど適切でない乗務員(すなわち、対象のスジに割り当てるのに最適であるが、他のスジではあまり最適ではない乗務員)を評価演算により評価して1人選択し、対象のスジにその乗務員を割り当てる。
【0186】
図23(a),(b)の例では、この評価に第1の実施例と同様の評価関数を導入する。そして、乗務員運用整理案作成機能部104は、この評価関数による演算を行って評価値を算出して比較し、乗務員を割り当てる。その結果、編成1203のスジ▲9▼に乗務員J3を割り当てるものとする。割り当てた後の時点でスジ▲9▼の着時+YMINは割り当ての終了時刻(1207)を超えておらず、かつ、まだ割り当て可能な乗務員が存在するので、乗務員運用整理案作成機能部104は、図18のステップS1111へ処理を戻す。
【0187】
そして、図19のステップS1116までの処理を行うことによりスジ(10)に適切な乗務員を検索して割り当てる。スジ(10)に対しては、割り当て可能な乗務員はJ3しかいない。従って、スジ(10)に乗務員J3を割り当てる。これにより、スジ▲9▼,(10)が割り当てられて編成1204は未割り当てスジが全て無くなる。この時点での車両整理案、乗務員の割り当て状況、スジの割り当て状況をそれぞれ図24(a),(b),(c)に示す。
【0188】
乗務員J3にスジ(10)を割り当てた時点で、スジ(10)の着時+YMINは割り当ての終了時刻(1207)を超えるので、JoumTの要素を修正して図19のステップS1118へ進む。割り当ての時間範囲内では乗務員J3にはもう割り当てることができないので、修正後のJoumTは以下のようになる。
JoumT ={J2,J4}
図19のステップS1118から図18のステップS1109へ戻り、HenseiS ={ 編成1203 ,編成1204 ,編成1201 }の次の要素である編成1201についても同様の処理を行って、編成1201の持つ未割り当てスジ(12)に対して、順番に適切な乗務員を割り当てる。
【0189】
図24(a),(b)の例では、編成1201のスジ(12)に割り当て可能な乗務員は、J2のみであるので、スジ(12)にこの乗務員J2を割り当てるものとする。これにより、スジ(12)が割り当てられて編成1201は未割り当てスジが全て無くなる。
【0190】
乗務員J2にスジ(12)を割り当てた時点で、スジ(12)の着時+YMINは割り当ての終了時刻(1207)を超えるので、JoumTの要素を修正して図19のステップS1118へ進む。割り当ての時間範囲内では乗務員J2にはもう割り当てることができないので、修正後のJoumTは以下のようになる。
JoumT ={J4}
また、この時点でHenseiS内の全ての要素(編成)について割り当て処理が終わったことになる。この時点での車両整理案、乗務員の割り当て状況、スジの割り当て状況をそれぞれ図25(a),(b),(c)に示す。
【0191】
割り当て対象の編成がなくなったときは、図19のステップS1118からステップS1119の処理へ進む。ステップS1119では、編成のスジに乗務員を順番に割り当てたことにより、新たに乗務員を割り当て可能なスジを持つ編成ができたかどうかを調べて、もしそうならば、それらのスジに対して乗務員を割り当てるために、ステップS1107へ戻る。そうでなければステップS1120へ進む。ステップS1120では、まだ未割り当てのスジがあるか、また、業務終了時点で自分の所属する区へ戻っていない乗務員がいるかどうかを調べて、第1の実施例と同様の予備人員(予備の乗務員)または便乗(列車便乗による移動)による割り当てを試みる。予備人員または便乗による割り当ての詳細なアルゴリズムは第1の実施例と同じ図7,図8のフローチャートに示した手法を用いる。
【0192】
図25(a)、(b)の例では、ステップS1119において、編成1205のスジ▲4▼に割り当て可能な乗務員がいるかどうか調べる。そして、そのような乗務員はいないためステップS1119へ進む。ここで、乗務員運用整理案作成機能部104は編成1205の未割り当てのスジ▲4▼と▲5▼に対して、割り当てのスジへの予備人員または便乗による割り当てを試みる。
【0193】
すなわち、図7のステップS601で、割り当て作業を開始する。そして、図7のステップS602で、未割り当てのスジを検索し、発時の早い順にソートした集合SujiMを作成する。
図25(a),(b)の例ではSujiMは、
SujiM ={▲4▼,▲5▼}
となる。
【0194】
図7のステップS603で、予備人員を乗務可能な開始時刻の早い順にソートした集合YobiSを作成する。本実施例では、第1の実施例と同様に、図14(c)に示す予備の乗務員Y1,Y2,Y3の計3人の予備人員が存在するものとする。また、いずれの予備人員も割り当ての開始時刻において、まだどのスジにも割り当てられていないものとする。
YobiS ={Y1,Y2,Y3}
である。
【0195】
図7のステップS604では、予備人員の数だけステップS605からステップS606までの処理を繰り返すことにより、予備人員による割り当て処理を行う。すなわち、乗務員運用整理案作成機能部104はステップS605では、YobiS内の予備人員に割り当て可能なスジをSujiMのソート順に検索する。もしあれば、そのスジを割り当てて、SujiMから削除する。
【0196】
未割り当てのスジsuji3に割り当て可能な予備人員Joum3は、次の3つの条件を満たす。なお、予備人員のスジ情報には、あらかじめ勤務開始時に待機している駅と待機開始時刻が格納されているものとする。
・条件1: Joum3は予備人員(予備の乗務員)である。
・条件2: Joum3は、未割り当てのスジの発時に、発駅に待機している。
・条件3: suji3にJoum3を割り当てても、Joum3は定められた乗務時間Jを超えない。
なお、本実施例では上記の3つの条件であるが、条件は他にもあり得る。
条件を満たすスジが複数あれば、最も待機時間が短くなるものを選んで予備人員を割り当てる。その後、割り当てたスジはSujiMから削除する。
【0197】
図25(a),(b)の例では、まず乗務員Y1が対象の予備人員となる。そして、上記の3条件を満たすスジには、編成1205のスジ▲4▼がある。そこで、スジ▲4▼に乗務員Y1を割り当てる。すなわち、現在処理中の割り当て案に、スジ▲4▼への乗務員Y1の割り当てを反映する。そして、未割り当てスジ▲4▼は割り当て済みとなったので、SujiMからスジ▲4▼を削除する。
【0198】
そして、乗務員運用整理案作成機能部104は図7のステップS606の処理に移る。このステップS606の処理では、対象の予備人員にまだ割り当てられるスジがあるかどうかを調べる。その結果、ある場合は、割り当てるためにステップS605に戻る。それ以外はステップS607へ進む。
【0199】
図25(a),(b)の例では、乗務員Y1にはさらに編成1205のスジ▲5▼が割り当てられる。そこで、当該スジ▲5▼に乗務員Y1を割り当てる。すなわち、現在処理中の割り当て案に、スジ▲5▼への乗務員Y1の割り当てを反映する。そして、割り当てスジ▲5▼は割り当て済みとなったので、SujiMから当該スジ▲5▼を削除する。
【0200】
乗務員運用整理案作成機能部104は、再びステップS606に進み、乗務員Y1にまだ割り当てることのできるスジがあるかどうか調べる。
【0201】
しかし、乗務員Y1には、もはや割り当てることのできるスジはないため、ステップS607へ進む。この時点での車両整理案、乗務員の割り当て状況、スジの割り当て状況をそれぞれ図26(a),(b),(c)に示す。図に示すように、時刻t0からtmまでの間については、全ての編成の全てのスジに乗務員が割り当て済みとなっている。
図7のステップS608で、未処理の予備人員が残っていればステップS604へ戻る。
【0202】
図26(a),(b)の例では、予備人員である乗務員Y1の処理が終わったので、次に別の予備人員である乗務員Y2に対して図7のステップS605からステップS606までの処理を行う。その結果、乗務員Y2を割り当てることのできるスジは存在しないので、割り当ては行われない。すなわち、乗務員運用整理案作成機能部104は、車両整理案への反映をしないで図7のステップS607へ進む。また、別の予備人員である乗務員Y3に対しても同様に割り当ては行われない。この時点で全ての予備人員を処理し終えたので、ステップS608に進む。
【0203】
図7のステップS608では、未割り当てのスジがまだSujiMに残っているかどうか調べて、残っていなければ図8のステップS614に進む。残っていれば図7のステップS609へ進み、予備人員を含む全ての乗務員を業務が早く終わる順にソートして集合JoumMとする。図26(a),(b)の例では、未割り当てのスジがSujiMに残っていないので乗務員運用整理案作成機能部104は、図8のステップS614に進む。ステップS614では、予備人員を含む全ての従業員を最後の担当スジの着時が遅い順にソートし、集合JoumRとする。
図8のステップS615では、JoumR内の乗務員の数だけステップS616の処理を繰り返すことにより、業務終了時点で所属する区へ戻っていない乗務員に便乗スジを割り当てる。図8のステップS616では、割り当ての範囲がその日の業務終了までの場合に、JoumR内の乗務員が業務終了時点で所属区へ戻っているかどうか調べる。戻っていなければ、便乗スジを割り当てて所属区に戻すようにする。
【0204】
図26(a),(b)の例では、全ての乗務員が所属区へ戻っているものとし、図8のステップS618へ進んでスジへの乗務員の割り当てを終了する。図8のステップS618で終了した時点で、乗務員運用整理案作成機能部104は図19のステップS1121の処理に戻る。そして、別の割り当て案があれば、図18のステップS1106に戻って新たに乗務員の割り当てを行う。なければ、図19のステップS1122へ進む。
【0205】
ステップS1122では、乗務員運用整理案作成機能部104は、全てのスジに割り当てられた案があれば、それらの案を本システムにより得た割り当て結果とし、図7のステップS405に戻る。そのような案がなければ、割り当てに失敗したというメッセージを入出力端末103等に出力する処理を実施し、また、未割り当てのスジの個数、必要な乗務員の人数およびスジ情報などを割り当て結果として入出力端末103等に出力する処理を実施し、図7のステップS405に戻る。
【0206】
図26(a),(b)の例では、全てのスジに乗務員を割り当てられた割り当て案が1つあるので、その案を割り当て結果としてステップS405に戻る。ステップS405では、全ての乗務員が割り当てられた割り当て案があれば割り当ての確定のためにステップS406へ進む。そのような案がなければ図7のステップS407に進み、オペレータに割り当て不可の通知を行ってステップS409で終了する。なお、割り当て不可の場合は処理を終了するのではなく、初期条件パラメータの値を変更してやり直すアルゴリズムもあり得る。
【0207】
乗務員運用整理案作成機能部104は図7のステップS406の処理においては、オペレータによる割り当ての確定を促すために入出力端末103等にそのメッセージ出力を行い、最終的にはオペレータによる割り当ての確定を行わせるようにする。従って、複数の割り当て案が存在する場合は、オペレータが入出力端末103による操作を行って最適な割り当て案を選択し、必要があれば修正することで、その操作指令情報を入出力端末103から受けると乗務員運用整理案作成機能部104はそれによる選択された割り当て案あるいは修正を反映させた割り当て案を乗務員割り当て済みの最終的な乗務員運用整理案とし、運用整理データ記憶部106に保存し、また、入出力端末103等に出力すべく処理する。
【0208】
図7のステップS408では、乗務員運用整理案作成機能部104は、まだ未割り当ての範囲が残っているかどうか調べる。もし残っていれば、割り当て作業を中断するかどうかをオペレータに問い合わせる。そして、中断する場合は処理を終了する。そうでなければ、別の範囲に割り当てるためにステップS403に戻る。また、未割り当ての範囲が残っていない場合は、完成された車両整理案を入出力端末103等に出力するための処理を実施して一連の処理を終了する。
【0209】
このように、本第2の実施例においては、列車の運転混乱発生時に、各列車の運転を元の運転計画に復帰させるべく作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てるスケジューリングシステムにおいて、乗務員情報保持手段と、乗務員運用整理案作成手段とを備えた構成とした。乗務員情報保持手段は、割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持したものであり、乗務員運用整理案作成手段はこの乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するものであって、乗務員の未割り当てのスジを持つ各列車(編成)について、未割り当てスジの発時(発車時刻)が早い順にソートし、当該ソートした上位の列車についてその未割り当てスジに、乗務員を割り当てるべく処理するが、その割り当ては未割り当てスジに対し、割り当て可能な乗務員の候補が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるようにするものである。
【0210】
従って、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方とは完全に分離させて、乗務員運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方について独立してスケジューリングすることができるようになる。そのため、整理案作成システム導入済みの路線の環境に柔軟に対応してスケジューリングの支援を行うことができる。また、乗務員割り当て済みの乗務員運用整理案を完成させるに当たり、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、評価計算によりその評価値に基づいて決定することから、その乗務員に割り当てるのがかなり適切で、かつ、他の乗務員にとってあまり適切でないスジを、少ない計算量で求めることができ、乗務員運用整理案を迅速に完成させることができるようになる効果がある。 なお、上記説明はあくまでも一例であり、種々変形して実施可能である。また、本発明において、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0211】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方とは完全に分離させて、運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方について独立してスケジューリングすることができるようになるため、整理案作成システム導入済みの路線の環境に柔軟に対応してスケジューリングの支援を行うことができるようになる。
【0212】
また、乗務員運用整理案を作成するに当たり、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、評価計算によりその評価値に基づいて決定することから、ある乗務員に割り当てるのが適切で、他の乗務員には適切でないスジを、少ない計算量で求めることができ、乗務員割り当て済みの乗務員運用整理案を迅速に完成できるようになる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステム構成例を示すブロック図
【図2】本発明における乗務員運用整理案の作成にあたっての制約条件の例を示す図
【図3】本発明における入力された車両整理案と乗務員割り当て状況の初期状態の例を示す図
【図4】本発明システムに用いる運用整理案作成の処理に関わる全体の処理フローを示す図
【図5】本発明システムに用いる乗務員に着目した割り当ての処理に関わるフローを示す図
【図6】本発明システムに用いる乗務員に着目した割り当ての処理に関わるフローを示す図
【図7】本発明システムに用いる乗務員割り当ての処理に関わる予備人員(予備乗務員)または便乗による乗務員割り当ての処理フローを示す図
【図8】本発明システムに用いる乗務員割り当ての処理に関わる予備人員(予備乗務員)または便乗による乗務員割り当ての処理フローを示す図
【図9】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図10】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図11】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図12】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図13】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図14】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図15】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図16】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図17】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図18】第2の実施例における本発明システムに用いるスジに着目した割り当ての処理に関わるフローを示す図
【図19】第2の実施例における本発明システムに用いるスジに着目した割り当ての処理に関わるフローを示す図
【図20】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図21】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図22】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図23】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図24】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図25】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図26】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【符号の説明】
100…システム本体、101…車両整理案データ、102…データ入出力インタフェース、103…入出力端末、104…乗務員運用整理案作成機能部、105…入力された車両整理案や乗務員データ記憶部、106…運用整理データ記憶部、107…制約条件記憶部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車運行に乱れが生じたとき、運転計画を元通りに復帰させるために作成した修正計画に対し、乗務させるべき乗務員の割り当てを行うダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置および支援プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道は、列車ダイヤに従って運行を行うが、列車の運転に乱れが生じた時には、運転計画を元通りに復帰させるために、修正計画を作成してその修正計画に沿って運行するようにする。一方で、その運転計画に沿って列車を運行するにあたり、列車乗務員の配置の問題が付きまとう。
【0003】
すなわち、列車乗務員は、鉄道における特定の運転区、車掌区に所属し、労働管理の観点から勤務日はもとより、勤務日での乗務時間や乗務区間、所属区への帰還時刻などが決められていて、それに従って勤務に就いている。そのため、ダイヤの乱れに伴って運転計画を変更しなければならない場合、列車の行き先や列車種別の他、乗務員の割り振りも前記労働管理の観点から許容可能な範囲内でし直さねばならない。
【0004】
列車の運転に乱れが生じた時に、運転計画を元通りに復帰させるために作成した修正計画(ダイヤ復旧に向けての列車運行計画)を、ここでは車両整理案と呼ぶこととし、また、車両整理案の各列車スジに乗務員を割り当てた乗務員のための勤務計画を運用整理案と呼ぶこととする。
【0005】
今、列車の運転に乱れが生じた時に乗務員の現在状態を与えて、勤務条件などの制約条件を満たすように乗務員を車両整理案の列車に割り当てていき、勤務状態や所属区への帰還を含めて、各人にできるだけ偏りなく割り振って修正計画に則った運行ができるように、運用整理案を作成するという命題を考えてみる。
【0006】
この命題を解決するため、従来採用していた手法には、「制約条件を満たす乗務員を検索し、オペレータに提示して最適な乗務員を選択させる」と云うものがある(例えば、特許文献1参照)。これは、対話形式により乗務員の運用計画を作成する乗務員運用計画支援装置であり、ここでは、未割り当て列車の行先駅と行先駅到着時刻を取得し、その到着時刻に乗継準備時間を加算することにより、乗継可能時刻を算出する。乗継可能時刻以降に行先駅を出発する乗務スケジュールが割り当て候補となる。システムが候補を評価点の順に一覧表示すると、オペレータは、一覧表示された乗務スケジュールの候補の中から最も適していると判断するものを選択し、その乗務スケジュールに未割り当ての列車が割り当てられる。
【0007】
このような方式では、乗務員の割り当ては手動で行う。基本計画の作成をする場合は時間的な余裕があり、手動で行っても問題はない。しかし、列車ダイヤに乱れが生じた場合に、運転計画を元通りに復帰させるために作成する修正計画である運用整理案の作成は、事態が緊急であるがために早急に行う必要があるので、できれば全自動で割り当てることができるように、あるいはそれが無理ならばせめて半自動的な割り当てができるようにすることが望ましい。
【0008】
そこで、自動的に運用整理案を作成する技術も提案されている。例えば、一人の乗務員について、乗務開始から終了までの割り当てを一度に行うようにし、制約に違反しない限り、同じ乗務員を1つのスジ(1つの列車)に割り当てるようにし、制約に違反する場合は、乗務員交替可能な駅で1本先のスジ、後のスジなどへの割り当てを試みるようにするというものである(特許文献2参照)。
【0009】
しかし、この提案技術では乗務員を基準にして割り当てるので、全ての乗務員について割り当てが終了した時点で運用整理案の作成を終了する。そのため、車両整理案中に乗務員が未割り当てのスジが残る可能性がある。
【0010】
また、自動的に運用整理案を作成する技術として、車両運用の条件や乗務員運用の条件を満たす列車ダイヤを自動作成するようにしたものもあり、これは、乗務員のスジへの割り当てについては、列車計画(以下、これをダイヤスジと呼ぶ)の作成とセットで行う。ダイヤスジが作成された時点で、その駅が運転士や車掌の交替可能な駅であるかどうかをチェックし、交替可能であった場合には、次の交替可能な駅まで乗務した場合にその運転士または車掌の乗務条件をオーバするかどうかを調べるようにし、乗務条件をオーバする時には、その駅で交替させるようにし、替わりの乗務員は、その駅で待機していて一番効率のよい乗務員を選ぶようにする(特許文献3参照)。
【0011】
この提案では、ダイヤスジの処理の順番は、列車の種類で決まる。すなわち、まず優等列車のスジから優先的に乗務員の割り当てを行い、次に普通列車のスジを処理する。しかし、運用整理案を作成する場合は、必ずしも優等列車のスジに先に乗務員を割り当てるのが望ましいとは限らない。従って、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方と運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方は独立とする方式が望ましい。
その他、GA(Genetic Algorithm)を利用した資源割り当ての問題の解法を、列車ダイヤや乗務員計画の作成に応用している事例もある(非特許文献1参照)。
【0012】
また、運転手等の負荷のばらつきのない仕業ダイヤを短時間に作成するスケジュール自動作成装置として、スジをあらかじめ決められた順に並べておき、リストとし、割り当てはこのリストの順に行うようにするというものもある(特許文献4参照)。ここでのスジの順番は時間順であるが、制約条件により次の2つのバリエーションがある。
【0013】
・朝夕の特定の時間にダイヤが集中している場合、この時間のダイヤをリストの先頭の方に置いて割り当ての早い段階で割り当てることにより、運転手の必要人数が少ない仕業ダイヤを優先して作る。
・朝食を食べる場所、時間が限定されているスジの場合、スジリストの先頭の方にそのスジを置く。
スジと運転手には優先順位が定められていて、その順位をもとに割り当てる。全運転手への割り当てが終わった後で、その割り当てを初期値としてGAにより最適化を行う。
【0014】
しかし、このような割り当て方法は最適解を得るために繰り返し処理をたくさん行うため、比較的長い計算時間を必要とする。そのため、車両計画の乱れを早急に修正する必要がある場合は不向きである。
【0015】
【特許文献1】
特開平09−282372号公報
【特許文献2】
特開平07−96837号公報
【特許文献】
特開平07−52801号公報
【特許文献4】
特開平08−227409号公報
【非特許文献1】
電気学会論文誌C 電子・情報・システム部門誌 Vol.122−C 2002年6月号の「進化型諸アルゴリズムのマン・スケジューリング問題解法としての有効性の検討」
【発明が解決しようとする課題】
このように、列車ダイヤに乱れが生じた場合に、列車の運転計画を元通りに復帰させるために作成する修正計画である乗務員運用整理案の作成にあたっては、迅速さが要求されるが、それが満たされなかったり、また、車両整理案と乗務員の情報を与えて、制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てていくスケジューリングにおいて、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方と乗務員運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方を独立して行えるようになっていないなど、現場で要求される条件に十分に適合できないシステムにとどまっている。
【0016】
そこで、この発明の目的とするところは、車両整理案と乗務員の情報を与えて、制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てていくスケジューリングにおいて、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方と運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方を独立して行えるようにしたダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置および支援プログラムを提供することにある。
【0017】
また、本発明は、車両整理案(列車のダイヤスジ)に対する運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への乗務員割り当て方を迅速に行えるようにしたダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置および支援プログラムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成する。すなわち、第1には、列車の運転混乱発生時に、各列車の運転を元の運転計画に復帰させるべく作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てるスケジューリングのための乗務員運用整理案作成支援装置において、乗務員情報保持手段と乗務員運用整理案作成手段とを備えた構成とした。
【0019】
乗務員情報保持手段は、割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持したものであり、乗務員運用整理案作成手段はこの乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するものであって、割り当て可能な乗務員の候補が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるようにするものである。
【0020】
この乗務員運用整理案作成支援装置は、車両整理案が与えられると、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てる。
【0021】
本乗務員運用整理案作成支援装置には乗務員情報保持手段が用意してあり、前記割り当てにあたり、乗務員運用整理案作成手段はこの乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するが、割り当て可能な乗務員が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるように処理する。
【0022】
従って、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方とは完全に分離させて、運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方について独立してスケジューリングすることができるようになる。そのため、整理案作成システム導入済みの路線の環境に柔軟に対応してスケジューリングの支援を行うことができる。また、乗務員運用整理案を作成するに当たり、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、評価計算によりその評価値に基づいて決定することから、その乗務員に割り当てるのがかなり適切で、かつ、他の乗務員にとってあまり適切でないスジを、少ない計算量で求めることができ、乗務員割り当て済みの乗務員運用整理案を迅速に完成できるようになる効果がある。
【0023】
また、第2には本発明は、列車の運転混乱発生時に、各列車の運転を元の運転計画に復帰させるべく作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てるスケジューリングのための乗務員運用整理案作成支援装置において、乗務員情報保持手段と乗務員運用整理案作成手段とを備えた構成とした。
【0024】
乗務員情報保持手段は、割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持したものであり、乗務員運用整理案作成手段はこの乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するものであって、乗務員の未割り当てのスジを持つ各列車(編成)について、未割り当てスジの発時(発車時刻)が早い順にソートし、当該ソートした上位の列車についてその未割り当てスジに、乗務員を割り当てるべく処理するが、その割り当ては未割り当てスジに対し、割り当て可能な乗務員の候補が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるようにするものである。
【0025】
従って、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方とは完全に分離させて、乗務員運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方について独立してスケジューリングすることができるようになる。そのため、整理案作成装置導入済みの路線の環境に柔軟に対応してスケジューリングの支援を行うことができる。また、乗務員割り当て済みの乗務員運用整理案を完成させるに当たり、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、評価計算によりその評価値に基づいて決定することから、その乗務員に割り当てるのがかなり適切で、かつ、他の乗務員にとってあまり適切でないスジを、少ない計算量で求めることができ、乗務員運用整理案を迅速に完成させることができるようになる効果がある。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
はじめに、ダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置として、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方と乗務員運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方を独立して行えるようにすることで、路線の環境に柔軟に対応できるようにしたシステムと手法を説明する。
【0027】
上述したように、車両整理案とは列車の運転に乱れが生じた時に、運転計画を元通りに復帰させるために作成した修正計画であり、また、運用整理案とは、この車両整理案の各列車スジに乗務員を割り当てた乗務員勤務計画を指す。
【0028】
ここで説明する実施例は、車両整理案と乗務員の情報を与えて、制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てていくスケジューリングの手法に関するものであり、ダイヤ復旧に向けての列車運行計画である各列車(運行対象の各列車)を、どこまで、どのように運行させるかを定める車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方とは完全に独立して、運用整理案への乗務員の割り当てを行えるようにすることで、整理案作成システムを導入する路線の環境に柔軟に対応できる手法を提供するものである。
【0029】
運用整理案(乗務員のダイヤスジ)は、どの乗務員をどの列車にどこまで乗務させるかを定める計画案であるが、運用整理案を作成するときに、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、その乗務員に割り当てるのがかなり適切で、かつ、他の乗務員にとってあまり適切でないスジを計算して自動的に割り当てることができるようにすることにより(すなわち、候補が複数の場合に、評価値計算してそれら候補中の最も良好な評価値を示す乗務員を割り当てるようにすることにより)、システムの計算量を削減して(演算処理の負荷を軽減して)、最適な運用整理案を迅速に作成することができるようにした手法を提供する。
【0030】
本実施例では次の状況を想定している。
−車両整理案と乗務員の作業計画(当日の割り当てられた勤務内容のタイムスケジュール)および作業実績(タイムスケジュールのうちの実働済みの部分の情報)の各情報がシステムには与えられている。
−車両整理案に乗務員を割り当てる時刻範囲(割り当て対象とする時間範囲)が与えられる。
−乗務員を車両整理案のスジに割り当てるには、勤務時間の上限を越えることがないようにするなどの労働面からの制約条件がある。
このような状況下で、次のような乗務員割り当て問題を半自動的に、迅速に解くことが本実施例の目的である。
−与えられた時間内において、車両整理案の全てのスジに乗務員を割り当てる。
−乗務員が制約に違反しないように割り当てる。
【0031】
従って、この実施例に示す発明によれば、別途用意されたダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案を用いて、この車両整理案に対する乗務員の割り当てを、制約条件を損なうことなく合理的に行うことができると共に、乗務員をどの列車にどこまで乗務させるかを定める乗務員運用整理案への割り当てを、車両整理案の決定とは切り離して独立して行えるようにすることで、本システムを導入する路線の環境に柔軟に対応できるようになる。
【0032】
また、乗務員運用整理案を作成するときに、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、それらの乗務員のうち、割り当てるのに最も条件が最適なものを評価計算により計算して選定し、自動的に割り当てるので、迅速に乗務員運用整理案を作成することができるようになる。
【0033】
本実施例では、列車ダイヤ(原計画)に従って列車の運用が行われている場面で、運用に乱れが発生して原計画の実施が不可能になり、原計画へ復帰するための車両整理案を作成したときに、その車両整理案に乗務員を割り当てて最適な乗務員運用整理案の提案を行うという課題を対象としてその課題を解決できるようにしたシステムを説明する。
【0034】
(第1の実施例)
図1に、本システムの構成例をブロック図で示す。図1において、100はシステム本体、101は車両整理案データであり、102はデータ入出力インタフェース、103は入出力端末、104は乗務員運用整理案作成機能部、105は入力された車両整理案や乗務員データ記憶部、106は運用整理データ記憶部、107は制約条件記憶部である。
【0035】
システム本体100は、データ入出力インタフェース102、乗務員運用整理案作成機能部104、乗務員データ記憶部105、運用整理データ記憶部106および制約条件記憶部107より構成されており、入出力端末103を介して各種操作、データの変更などをすることができ、また、結果の出力表示などを行うことができる。入出力端末103は、入力手段としてキーボードやポインティングデバイス(マウス、パドル、トラックボールなど)、タブレットなど、また出力手段としてディスプレイやプリンタ、プロッタなどを備えたものである。
【0036】
前記車両整理案のデータ101は、乱れた列車の運行状況を、原計画(本来のスケジュール)へ復帰するための列車ダイヤ復旧運行計画案である車両整理案を表わす。この車両整理案は、他の部署あるいは他のシステムで作成されるもので、本システムにおいては、用意されて提供される車両整理案を用いて乗務員運用整理案を作成するものである。与えられる車両整理案は、少なくとも次の項目から構成される。一つは編成情報、もう一つはスジ情報である。編成情報は、車両整理案の1運用の単位を意味する。スジ情報のリストを持つ。
【0037】
スジ情報は、乗務員に割り当てる運用の最小単位である。また、少なくとも発時、発駅、着時、着駅の4要素を有する。上記発駅及び上記着駅とは、乗務員の交替が可能な駅を指しており(交替できる乗務員が待機していて入れ替わることができる駅)、列車自体の出発駅終着駅とは違うものである。また、スジに乗務員が割り当てられている場合はその割り当てられた乗務員についての乗務員情報を持つ。ここで、乗務員情報とは、各乗務員の情報を表わすものであって、ID(識別情報)、従業員区分(乗務員/予備人員)、その乗務員の所属する区、その乗務員の割り当てられたスジ情報のリストを持つ。
【0038】
システム本体100は、データ入出力インタフェース102を介してオペレータからの要求を受け取り、運用整理案の作成を実施する。また、その結果をオペレータに提示する。オペレータの操作とオペレータへの提示に供されるものが入出力端末103である。
【0039】
入出力端末103とシステム本体100との間で制御信号やデータの授受のためのインタフェースをとったり、前記車両整理案のデータ101をシステム本体100に取り込むためのインタフェースをとるものがデータ入出力インタフェース102である。
【0040】
乗務員データ記憶部105は、各区(運転区、車掌区などの鉄道組織乗務員管理部署)に所属のそれぞれの乗務員の個人勤務割り当てについての情報である乗務員データを記憶保持するものであり、乗務員データとしては、氏名、ID、所属(所属区)、勤務日、休暇日、勤務日でのスケジュール(勤務着任時刻、勤務終了時刻、乗務開始時刻、乗務列車情報、乗務区間など)がある。また、運用整理データ記憶部106は、乗務員運用整理案作成機能部104により作成された乗務員運用整理案のデータを記憶保持するものであり、制約条件記憶部107は、乗務員運用整理案を作成するときに使用する各種の制約条件を記憶保持するものである。
【0041】
乗務員運用整理案作成機能部104は、このデータ入出力インタフェース102を介して入力された車両整理案のデータ101や乗務員データ記憶部105の記憶情報を参照し、入出力端末103の操作によるオペレータの指示に従って運用整理案を作成処理すると共に、作成された運用整理案は入出力端末103の操作によりオペレータの指示によって確定された後に、運用整理データとして運用整理データ記憶部106に格納するように構成してある。
【0042】
なお、乗務員データは、図1のように必ずしもシステム内部に持つ構成とする必要はなく、データ入出力インタフェース102を介して外部から読み込む形式を採用しても構わない。
【0043】
前記制約条件記憶部107の保持する制約条件は、所望に設定できるもので、この設定する制約条件はオペレータにより変更することができる。制約条件の一例を、図2に示す。図に示すように、制約条件には例えば、条件の種類とその制約の内容があり、制約条件の種類としては「乗務時間の上限(許される最大の乗務時間)」、「乗務待ち時間(乗り換えに要する最小時間や、あるスジの乗務担当を終えた後、次のスジを担当するまでの最大待ち時間など)」、「評価値の計算に必要なパラメータ」、「作成可能な割り当て案の数」、「一度に割り当てる時間幅」などがある。
【0044】
図2に示す例においては、「乗務時間の上限」の項に「9時間」とあるが、これは労働条件の制約から最大で9時間を限度としていることを示している。また、「乗り換え時間」の項目には「最低5分」(スジの担当が終わった後で次のスジを担当するために、乗り換え時間として最低5分間の余裕が必要の意)、「最大40分」(割り当てられたスジの担当が終わった後で次のスジを担当するために、乗り換えの待ち時間としての上限は40分間であるの意)、「推奨7分」(スジの担当が終わった後で次のスジを担当するために、乗り換え時間として理想は7分間であるの意)としていることを示している。
【0045】
また、「評価値の計算に必要なパラメータ」の項には、図2に示す例では、「車両の同一性0.6」、「上り下りの種類の同一性0.1」、「乗り換え時間の適切さ0.3」…と定められていて、これらの数値がそのパラメータの重み付けの値であることを示している。割り当てるスジを選択する評価値を計算するときの各評価指標の重みの値が、「車両の同一性」の場合は“0.6”であり、「上り下りの種類の同一性」の場合は“0.1”であり、「乗り換え時間の適切さ」の場合は“0.3”であることを示している。
【0046】
また、「作成可能な割り当て案の数」は「3」であり、これは割り当て案を最大3まで作成することを意味している。また、「一度に割り当てる時間幅」は「二時間」であり、これは乗務員運用整理案を作成するにあたって、二時間単位で割り当てを作成するようにすることを意味している。従って、時刻12:00を起点する場合はまず始めに12:00〜14:00までの時間帯のものについて作成し、その作成を終えた後は次に、14:00〜16:00までの時間帯のものについて作成し、…といった具合である。
【0047】
図3(a)は、本実施例で扱う車両整理案を表わす。縦軸には停車する駅(厳密には、交替可能な乗務員の待機していて乗務を交替することが可能な停車駅)が割り振られており、横軸にはある1日の数時間の範囲を表わす時刻をとっている。図の例では時刻t0から時刻tmまでのmなる時間範囲を対象としていることを示している。そして、駅を出発して次の駅に到着する複数の列車の運用を斜線の軌跡で示している。斜線と斜線を結ぶ水平線はその列車の駅停車期間を示している。
【0048】
図3(a)において、駅名は符号201を付して示した駅A,駅B,駅Cは上述の乗務員交替可能な停車駅であり、本実施例では、A,B,Cの3駅が存在する。運行する列車の編成は、スジを表す斜線と、駅での停車中を表わす水平線の連続によって表現される。この図3(a)には、符号202,203,204,205を付して示した4つの編成がある。例えば、編成202の列車は、駅Bで停車後にスジ▲6▼を担当して駅Cに到着する。駅Cでしばらく停車した後、スジ▲7▼を担当して駅Aに到着する。その後、駅Aで停車する。
また、既に乗務員が割り当てられているスジは二重線で表わし、それ以外のスジは単線で表わす。本実施例では、丸囲み数字▲1▼、▲6▼、▲8▼で示されるスジに既に乗務員が割り当てられている。
【0049】
図3(a)の両端にある垂直線206および207は、割り当ての範囲(開始時刻/終了時刻)を表わす。垂直線の中にある未割り当てのスジに対して、乗務員を割り当てる。
【0050】
図3(b)は、与えられた車両整理案に対しての乗務員の割り当て状況を示す図である。この図における縦軸は各乗務員を表わし、横軸は時刻を表わす。また、この図における太い水平線は、既に乗務員に車両整理案のスジが割り当てられている時間帯を表わす。また、線の右側にその時点で待機する予定の駅を記してある。図3(b)において、例えば、符号301で示す乗務員J1は割り当て済みの最後のスジを担当した後で、C駅(302)に待機する。
【0051】
例えば、この車両整理案において、乗務員が未割り当てとなっている全てのスジに、適切な乗務員を早く割り当てることが、この実施例が解決しようとする問題である。
【0052】
次に、本システムの作用を説明する。
図4は、本システムにおける乗務員運用整理案作成処理のための処理の全体の処理フローを表す。オペレータは入出力端末103を操作してシステムを作動させることにより、乗務員運用整理案の作成作業を開始する(図4のステップS401)。すると、まず、始めにシステムは、外部で作成された車両整理案のデータを入出力インタフェース102を介して取り込む処理をする(図4のステップS402)。オペレータは入出力端末103を操作して割り当てる時刻範囲を設定する(図4のステップS403)。すなわち、乗務員運用整理案の作成は、割り当ての時刻範囲を設定し、その範囲内で乗務員の割り当てを試みるものとする。範囲(開始時刻と終了時刻)はオペレータが設定するが、開始時刻についてはオペレータが設定せずに、現在時刻をもとにしてシステム側が自動的に設定する方式でも良い。
【0053】
時刻範囲の設定が終わると、システムは、車両整理案に対し、乗務員データ記憶部105の持つ乗務員データと制約条件記憶部107の持つ制約条件を読み出し、前記設定された時刻範囲について乗務員運用整理案作成機能部104の機能により、自動的に乗務員をスジに割り当てる(図4のステップS405)。割り当てるアルゴリズムの詳細は後述する。アルゴリズムによっては複数の乗務員割り当て案が作成される。
【0054】
乗務員運用整理案作成機能部104ではステップS405の処理においては、全てのスジに乗務員を割り当てられたかどうかをチェックし、もし割り当てられていれば図4のステップS406へ進む。そうでなければ図4のステップS407に進み、割り当て不可の通知を行って終了する。
【0055】
複数の割り当て案がある場合は乗務員運用整理案作成機能部104では、ステップS406での処理において、それをオペレータに報知するべく入出力端末103に表示出力する制御を行い、入出力端末103を見てオペレータが最適な割り当て案を選択する操作を入出力端末103にて行う。また、割り当てに修正の必要があれば入出力端末103を操作して修正する。その後、確定する操作を行う。
【0056】
次にステップS408の処理において、システムがオペレータに対して別の範囲で割り当てるかを問い合わせる。具体的には、乗務員運用整理案作成機能部104がステップS408の処理を実施することにより、データ入出力インタフェース102を介して入出力端末103に対し、上記問い合わせのための表示出力をする制御を行い、オペレータに対して別の範囲で割り当てるかを問い合わせる。入出力端末103の表示内容を見てオペレータが別の範囲で割り当てる指示の操作を入出力端末103にて行ったならば、これはデータ入出力インタフェース102を介して乗務員運用整理案作成機能部104に伝達されるので、これを受けてシステムは(乗務員運用整理案作成機能部104は)ステップS403の処理に戻る(もし割り当てるならば、S403へ戻る)。そうでなければステップS409へ進み、割り当て作業を終了する。
【0057】
以上の如き内容を持つ乗務員運用整理案作成の処理フローを、図3(a)に示した車両整理案の割り当ての範囲内で図3(b)に示した乗務員に割り当てる過程を例にとって動作の詳細を次に説明する。ここで、現状で、乗務員は図3(b)に示した如きの割り当てがされていたとする。
【0058】
まず、システムは、図4のステップS402で図3(a)に相当する車両整理案を取り込む。また、システムは、固定パラメータを初期設定する。固定パラメータは制約条件記憶部107に記憶させた値を用いるが、これは予めオペレータの設定入力して制約条件記憶部107に記憶保持させておいた設定値である。固定パラメータにはJ,YMIN,YMAX,YADJ,w1, w2, w3,WNがある。これらは次の如きである。
J :乗務時間の上限
YMIN :乗り換えに必要な時間の最小値
YMAX :乗り換えに必要な時間の最大値
YADJ :乗り換えに必要な時間の推奨値(YMIN以上YMAX以下)
w1, w2, w3 :スジの割り当て用の評価関数で使用する重み(0以上1以下で、w1+w2+w3=1)
WN :作成可能な割り当て案の上限値。
【0059】
次に、図4のステップS403で乗務員を割り当てる開始時刻と終了時刻をオペレータが設定する。この例では、オペレータの入出力端末103の操作による乗務員割り当てを行う対象の時刻範囲は時刻t0からtmまでの時間範囲としている。なお、開始時刻は指定させずに、現在時刻をもとにしてシステム側が自動的に設定する方式でも良い。
【0060】
時刻範囲が設定されると、システムは図4のステップS404の処理に移り、割り当ての範囲内でシステムが自動的に乗務員をスジに割り当てる。ここで、1つの車両整理案に対して複数の乗務員運用整理案が作成される可能性がある。従って、この第1の実施例では、乗務員に着目した割り当てを行う。
【0061】
乗務員運用整理案作成機能部104は、まず、図3(b)に示す如きの割り当てがされている乗務員を、乗務可能な時間の早い順にソートする処理をする。さらに、また、図3(a)に示した車両整理案の各編成について、最初の未割り当てのスジを検索し、発時の早い順にソートする。
【0062】
そして、これが終わると、乗務員運用整理案作成機能部104は、次に、J1,J2,J3,J4,J5の各乗務員を1人ずつ順に取り出して、未割り当てのスジに割り当て可能かどうかを調べ、割り当て可能であれば割り当てる。そのような乗務員がいなくなれば終了する。効率を上げるために、未割り当てのスジは発駅別に分類しておいても良い。
【0063】
ステップS404で処理のアルゴリズムを詳細に説明するためのフローチャートを、図5および図6に示し、順を追って説明する。
割り当て作業を開始すると(図5のステップS501)、乗務員運用整理案作成機能部104は、まず、割り当て範囲内で割り当て可能なスジがあるかどうかを検索する(図5のステップS502)。ここでは、以下の2つの条件が成り立つスジ情報のリストを持つ編成が1つでもあれば割り当て可能と判断する。
・条件1:割り当ての開始時刻まではスジに乗務員が割り当たっている。
・条件2:割り当ての終了時刻ではスジに乗務員が割り当たっていない。
条件が成り立てば(図5のステップS503)、ステップS504へ進む。成り立たなければステップS522へ進み、図5のステップS505に戻る。
【0064】
与えられた図3(a)の車両整理案では編成202,203,204,205の計4本の列車があり、車両整理案中の二重線表記部分は乗務員割り当て済み部分、単線表記部分は乗務員未割り当て部分である。上記編成202,203,204,205の計4本の列車は、現時点toで運行状況下にあり、それぞれ乗務員が乗務しているので、行き先の駅までは運行できる。その先、時刻tmまでの期間における運行に対して乗務員の割り当てを行うが、図3(a)における単線部分が乗務員割り当てを行う対象である。上記4本の列車は、本システムによる割り当ての開始時刻to時点より前の時点については、各スジに乗務員が割り当てられているが、その後の時刻tmの時点である割り当ての終了時刻では各スジに乗務員が未割り当てとなっているので、条件が成り立つ。従って、ステップS504へ進む。
【0065】
ステップS504では、オペレータに提示するための割り当て案を1つ作成して初期化する。割り当て案は、各乗務員の持つスジ情報の集合で表す。初期化とは、乗務員のスジへの割り当ての実績をスジ情報に反映することを意味する。図3(b)の場合は、各乗務員の持つスジ情報に太線で示した割り当ての実績までを反映した割り当て案を作成する。また、ステップS504では、割り当て可能なスジが1つしかない乗務員を検索する。そして、割り当て案にその乗務員のそのスジへの割り当てを反映する。
【0066】
具体的には、まず乗務員を割り当て可能な時間の早い順にソートした集合JoumSを作成する。このとき、割り当て済みの最後のスジの着時が割り当て範囲の終了時刻tm(符号207の位置)を超える乗務員は、集合JoumS には登録しない。また、各編成の持つスジ情報から最初の未割り当てのスジを検索し、発時の早い順にソートした集合 SujiSを作成する。
【0067】
次に、集合JoumS に登録されている(集合JoumSに属する)乗務員を順に取り出して、前記集合SujiSのスジに割り当て可能かどうかを調べる。1つのスジにしか割り当てられない乗務員がいればそのスジを割り当てる。また、どのスジにも割り当てることのできない乗務員は集合JoumSから除外する。この作業を、集合JoumS内の乗務員全てが複数のスジに割り当て可能になるまで繰り返す。効率を上げるために、集合 SujiSは発駅別に分類しておいても良い。
【0068】
今、集合JoumSに属するある乗務員をJoum1、ある未割り当てのスジをスジsuji1とする。上記乗務員Joum1は、次の5つの条件を全て満足するとし、当該5条件を満足する乗務員Joum1は、スジsuji1に割り当て可能とする。
条件1:乗務員Joum1は、最後の割り当てスジの乗務終了後にスジsuji1の発駅にいることになること。
条件2:スジsuji1に割り当てても定められた乗務時間Jを超えないこと。
条件3:スジsuji1に割り当てることによって乗務員Joum1が自分の所属する区から外れる場合は、その後の割り当てによって営業終了時刻までに所属する区へ戻れること。
条件4:スジsuji1を担当するまでに、一定範囲の時間的余裕があること(YMIN以上かつYMAX以下)。
条件5:乗務員Joum1は予備人員ではないこと。
本実施例では求められる条件は、上記の5つの条件であるが、条件は他にもあり得る。
【0069】
乗務員の状況が図3(b)に示す如きものである場合(乗務員J1はC駅まで乗務、乗務員J2はB駅まで乗務、乗務員J3はB駅まで乗務、乗務員J4はA駅まで乗務、乗務員J5はB駅まで乗務)、各乗務員の持つスジ情報から割り当て可能な時間を調べて早い順に並べると、
JoumS={J5, J3, J2, J1, J4}
となる。
【0070】
また、各編成の最初の未割り当てのスジを発時の早い順にソートした集合SujiSは、
SujiS={▲4▼, ▲2▼, ▲7▼, ▲9▼}
となる。
【0071】
乗務員J5,J3,J2には2つのスジ▲2▼、▲9▼を割り当て可能である。乗務員J1には1つのスジ▲7▼が割り当て可能である。乗務員J4には割り当て可能なスジはない。従って、乗務員J1にスジ▲7▼を割り当てる。すなわち、割り当て案にその割り当てを反映する。また、乗務員J4を集合JoumSから除外する。この時点で、集合JoumS,SujiSは
JoumS={J5, J3, J2}
SujiS={▲4▼, ▲2▼, ▲9▼}
となる。
【0072】
乗務員J5,J3,J2に対しては2つののスジ▲2▼、▲9▼を割り当て可能であるので、図5のステップS504の作業を終了してステップS505の処理へ進む。図5のステップS505では、複数のスジに割り当て可能な乗務員に対して適切なスジを選び、そのスジへ割り当てる。割り当ては、割り当て案の数だけ図5のステップS506から図6のステップS520までの作業の繰り返し処理となる。割り当て案は最初は1つであるが、図6のステップS515において増える可能性がある。全ての割り当て案の処理が終わっていれば、図6のステップS522に進む。ステップS506では、割り当て案を1つ選択する。
【0073】
図5のステップS507では、割り当て対象の乗務員を割り当て可能な時間の早い順にソートした集合JoumSを作成する。
図3(a)および図3(b)の例では、
JoumS={J5, J3, J2}
である。
【0074】
図5のステップS508では、乗務員のソート順に乗務員を未割り当てのスジに割り当てる。すなわち、ソートした全ての乗務員に対して図5のステップS509から図6のステップS518までの処理を実施する。全ての乗務員に対して割り当て終えたならば、図6のステップS521に進む。
【0075】
図5のステップS509では、ソートした順に乗務員を一人、選択する。図5のステップS510では、ステップS509で選択した乗務員に割り当たっている最後のスジの着時が、割り当ての終了時刻tm(符号207の位置の時刻)を超えるまで、その乗務員へスジを割り当てる作業を繰り返す(図5のステップS511から図6のステップS516までの処理)。
【0076】
図3(a)および図3(b)の例では、まず図5のステップS509の処理において乗務員J5が選ばれる。乗務員J5は割り当たっている最後のスジの着時が割り当ての終了時刻tm(符号207を付した時点位置)を超えていないため、ステップS511からS516までの処理を行って、スジを割り当てる。
【0077】
ステップS511では乗務員に割り当て可能なスジをSujiSから検索し、それらをスジ集合suji−listとする。乗務員Joum2を割り当て可能なスジsuji2は、次の条件を満たすものとする。
・条件1:Joumu2は出発時間にsuji2の発駅にいること。
・条件2:割り当てることによってJoum2の所属する区から外れる場合は、その後の割り当てによって営業終了時刻までに所属する区へ戻れること。
・条件3:Joum2をsuji2に割り当てても定められた乗務時間Jを超えないこと。
・条件4:Joum2がsuji2を担当するまでに、一定範囲の時間的余裕があること。
但し、本実施例では上記の4つの条件を適用するが、適用する条件は他にもあり得る。
図3(a),(b)の例では、乗務員J5に割り当て可能なスジ集合は、
suji−list ={ ▲2▼,▲9▼ }
である。
【0078】
図9のステップS512では、対象の乗務員以外でsuji−listの各スジに割り当て可能な乗務員を検索して、乗務員集合JS1,JS2,… とする。乗務員集合は、suji−listの要素数だけ作成される。また、割り当て可能な条件は、前述の4つの条件と同じものする。
【0079】
図3(a),(b)の例では、乗務員J5以外でスジ▲2▼とスジ▲9▼に割り当て可能な乗務員は、それぞれ、
スジ▲2▼:JS1 ={J3, J2 }
スジ▲9▼:JS2 ={J3, J2 }
である。
【0080】
図9のステップS513では、対象の乗務員にとってそこそこ適切で、それ以外の乗務員(JS1, JS2, …)にとってそれほど適切でないスジを1つ選択して、対象の乗務員をそのスジに割り当てる。スジの割り当ての適切さの度合いを定量的に表すには、例えば以下の評価関数を用いる方法がある。
f(s1, s2)=w1×st+w2×tt+w3×yj
ここで、f(s1, s2)は、適切さの評価値であり、引数のs1は、乗務員に対して割り当てがなされた最後のスジであり、s2は割り当てようとしているスジを意味する。また、stは2つのスジの車両の同一性であり、s1とs2が同じ車両の場合は“1”,それ以外は“0”である。
【0081】
また、ttは2つのスジの上り下りの関係を示すものであり、s1とs2の一方が上りで他方が下りの場合は“0”、双方が同じであれば“1”である。また、yjは乗り換え時間の適切さを示すものであり、s2の発時−s1の着時がYADJからどれだけ離れた値かを“0”から“1”までの小数値で表す。YADJは乗り換え時間の推奨値であり、初期設定で与えられる。乗り換え時間の推奨値YADJは乗り換え時間の下限値YMIN以上乗り換え時間の上限値YMAX以下でなければならない。
【0082】
具体的な式は以下の通りである。
y=max(YMAX−YADJ,YADJ−YMIN)
yj=1−〔{|YADJ−(s2の発時−s1の着時)|}/y〕
但し、w1, w2, w3は重みであり、それぞれ“0”以上“1”以下の固定パラメータで、初期設定で与えられる。そして、w1+w2+w3=1でなければならない。
尚、上記以外にも適切さの指標があれば、重みとともに追加する。
【0083】
次に、図5のステップS511および図6のステップS512における乗務員に対して、それぞれのスジを割り当てたときの評価値を算出する。そして、対象の乗務員に割り当てたときの評価値とそれ以外の乗務員に割り当てたときの評価値についての平均値の差を比較する。
【0084】
ここでは両者の差をとった結果の値同士を比較してみて最も大きい値となるスジを、対象の乗務員にとってそこそこ適切で、それ以外の乗務員にとってはそれほど適切でないスジとみなす。スジを乗務員に割り当てたときの適切さを計算したときに、適切であればあるほど、その値が大きくなり、逆に、適切でなければその値は小さくなる。故に、対象の乗務員に割り当てたときの適切さがなるべく大きく、他の乗務員に割り当てたときの適切さがなるべく小さいものを選ぶ。そのために、両者の差をとってその値から判断するようにするわけである。
【0085】
図3(a),(b)の例を用いて、乗務員J5にとってそこそこ適切であり、乗務員J3およびJ2にとってそれほど適切でないスジを計算してみる。
乗務員J5に割り当てられている最後のスジをSJ5とする。また、乗務員J3に割り当てられている最後のスジをSJ3とする。さらに、乗務員J2には、最後のスジとしてスジ▲1▼が割り当てられているものとする。説明を簡単にするため、スジSJ5およびSJ3は図3(a)には明示的に示していない。また、パラメータはそれぞれ次の値が与えられているものとする。
w1=0.6,w2=0.3,w1=0.1,YADJ=2分,YMAX=5分,YMIN=1分
y=max(|YMAX−YADJ|,|YMIN−YADJ|)=3分。
【0086】
これらのパラメータを用いて適切さの評価値f(s1, s2)を、各乗務員J5,J3,J2別に、スジ▲2▼,▲9▼についてそれぞれ計算した結果の一例を、図9(a)にまとめ、示しておく。
計算により得られた各乗務員J5,J3,J2別適切さの評価値f(s1, s2)の値に基づいて、評価した結果、乗務員J5に適切なスジとして▲9▼を選択する。図9(b)に、スジ▲9▼を選択するに至った計算過程を示す。
【0087】
それぞれのスジ▲2▼,▲9▼を各乗務員J2,J3,J5に割り当てたときの各々の適切さf(s1, s2)の値は図9(a)に示すとおりである。それらを改めて纏める。スジ▲2▼,▲9▼別に各乗務員別の適切さ、或る乗務員(この例ではJ5)を中心に考えた場合に、“他の乗務員(この例ではJ2とJ3)の適切さの平均値A”、および“前記或る乗務員における適切さと他の乗務員の適切さの平均値に対する差(この例では、(J5の適切さ)−A)”を纏める。このあらためてまとめたものが図9(b)である。
【0088】
図9(b)に“乗務員J5の適切さ−A”なる項目の覧があるが、この例ではJ5を中心に考えているからであり、当該乗務員J5には、この“乗務員J5の適切さ−A”の項の値が最も大きな値になっているスジを割り当てる。図9(a),(b)の部分では、評価関数を導入して、乗務員J5にとってそこそこ適切で、それ以外の乗務員にとってそれほど適切でないスジを選ぶわけである。スジを乗務員に割り当てたときの適切さを計算したときに、適切であればあるほどその値が大きくなり、逆に、適切でなければその値は小さくなることから、J5に割り当てたときの適切さが、なるべく大きくて、他の乗務員に割り当てたときの適切さがなるべく小さいものを選ぶことで、目的とする選定ができる。
【0089】
そのような選定のために、或る乗務員(この例ではJ5)を中心に考えた場合に、他の乗務員(この例ではJ2とJ3)の適切さの平均値A、前記或る乗務員における適切さと他の乗務員の適切さの平均値に対する差をとる。
【0090】
この例では、J5以外の乗務員の適切さの平均値を求めて、乗務員J5の適切さとの差をとった結果は図9(b)に示すように、スジ▲2▼については−0.5665であり、スジ▲9▼については−0.2665である。これらの大小関係を比較すると
−0.5665<−0.2665
である。よって、乗務員J5についてスジ▲2▼と▲9▼のいずれを割り当てるのが最適かを知るために比較してみると、「差をとった結果の値同士を比較してみて最も大きい値」となるのはスジ▲9▼であるから、当該スジ▲9▼を乗務員J5に割り当てるのが適切と判断する。
【0091】
ステップS514では、適切さの評価値に基づいて、割り当て案を新たに作成するかどうかを判定する。そして、その判定の結果、作成する場合はステップS515の処理に進む。作成しない場合はステップS516の処理に進む。このステップS514での判定条件は、次の2つの条件を満足するか否かであり、条件を満足する場合に、割り当て案を新たに作成する。
・条件1:比較した値のうち最も大きい値となるものが複数存在する。
・条件2:新たに割り当て案を作成しても割り当て案の総数はWN以下である。
【0092】
図3(a),(b)の例では、乗務員J5に対して割り当てた場合の適切さとそれ以外の乗務員に対して割り当てた場合の適切さの平均との差が最大となる評価値は1つしかないので、上記ステップS514での判定の結果、ステップS516に進むことになる。仮に、差が最大となるものが2つあり、新たに2−1=1個の割り当て案を作成しても割り当て案の総数がWN以下の場合は、ステップS515に進んで割り当て案を新たに作成する。
【0093】
ステップS515では、割り当て案のコピーを作成し、新たな割り当て案とする。そして各割り当て案には、それぞれのスジに対象の乗務員を割り当てる。新たに作成した割り当て案は、後でステップS505以降において処理される。 新たに割り当て案を作成したとき割り当て案の総数がWNを超える場合は、新たに割り当て案を作成しない。この場合は、対象の乗務員に各スジを割り当てたときの評価値を比較して、評価値が高い方を割り当てに適切と判断する。そして、ステップS516へ進む。ステップS516では、現在処理中の割り当て案に、対象の乗務員のステップS514で選択したスジへの割り当てを反映する。
【0094】
この時点で、図3(a)の車両整理案に示す各スジの割り当て状況をまとめると、図10(a)に示す通りとなる。そして、図10(a)に対応する車両整理案は図11(a)の如きであり、スジ▲7▼と▲9▼が二重線となって、この二つのスジが新たに割り当てられたことになる。図10(a)に対応する乗務員の割り当て状況は、図11(b)に示す如く、C駅からA駅に向かう列車に対するスジ▲7▼には乗務員J1が割り当てられ、B駅からC駅に向かう列車に対するスジ▲9▼には乗務員J5が割り当てられ、既に割り当てられているA駅からB駅に向かう列車に対するスジ▲1▼に対する乗務員J2、を含めて3つのスジが割り当てられたことになる。
【0095】
ステップS517では、SujiSの要素をあらためて各編成の最初の未割り当てのスジ集合とする。そして、次の条件のいずれかを満たせば、JoumSの要素をあらためて割り当て可能なスジが存在する乗務員の集合としてステップS518へ進む。そうでなければステップS511へ戻る。
・条件1:対象の乗務員の持つスジ情報から乗務員が乗務可能な開始時刻を調べて、それが割り当ての終了時刻(207)を超えている。
・条件2:対象の乗務員を割り当てられるスジがない。
【0096】
図3(a),(b)の例では、SujiSは、
SujiS={▲4▼,▲2▼,(10)}
となる。また、乗務員J5の乗務可能な開始時刻はスジ▲3▼の着時+YMINであるため、割り当ての終了時刻(207)を超えておらず、かつ、まだ割り当て可能なスジが存在するので、ステップS511へ戻る。なお、符号(10)については、図面3中では“10”を○で囲んだ表記としているが、明細書中では(10)と記載するものとする(以後、他の図面においても同様とする)。
【0097】
ステップS511に戻って乗務員J5に割り当て可能なスジをSujiSから検索し、それらをスジ集合suji−listとする。当該スジ集合suji−listは、
suji−list ={▲2▼,(10)}
となる。ここで、再度、前述した割り当ての適切さの評価を行い、スジ(10)に乗務員J5を割り当てることにする。すなわち、現在処理中の割り当て案にスジ(10)への乗務員J5の割り当てを反映する。
【0098】
この時点で、図3(a)の車両整理案に示す各スジの割り当て状況をまとめると、図10(b)に示す如きとなる。そして、図10(b)に対応する車両整理案は図12(a)の如きであり、前回でのスジ▲1▼と▲6▼と▲7▼と▲9▼に加えて更に今回、再度の評価の結果、スジ(10)が二重線となって、これらのスジが新たに割り当てられたことになる。但し、スジ▲6▼と▲8▼はいずれもJ1からJ5以外の乗務員を割り当てるという不確定要素のある割り当てであり、確実に割り当てが済んだのはスジ▲1▼,▲7▼,▲9▼,(10)であり、乗務員の割り当て状況は、図12(b)に示す如きで、今回、スジ(10)には乗務員J5が割り当てられた結果、前回までに既に割り当てられているA駅からB駅に向かう列車のスジ▲1▼に対する乗務員J2、C駅からA駅に向かう列車に対するスジ▲7▼に対する乗務員J1、B駅からC駅に向かう列車に対するスジ▲9▼に対するそしてその復路となるスジ(10)に対する乗務員J5の割り当て、を含めて4つのスジが割り当てられたことになる。
【0099】
この時点で乗務員J5の乗務可能な開始時刻は、スジ(10)の着時+YMINであるため、割り当ての終了時刻(207)を超えることとなるので、JoumSの要素を修正してステップS518へ進む。JoumSは、
JoumS ={J3,J2}
となる。
【0100】
ステップS518からステップS509へ戻り、今度は乗務員J3を選択し、スジに割り当てる処理を実施する。ステップS511からステップS516までの処理を実施することにより、スジ▲2▼に乗務員J3を割り当てる。引き続きスジ▲3▼への割り当ても考えられるが、ここでは乗務員J3の乗務時間がJ以上になってしまい、割り当ての条件を満たさないため、割り当てられないものとする。
【0101】
この時点で、図3(a)の車両整理案に示す各スジの割り当て状況をまとめると、図13(a)に示す通りとなる。そして、図13(a)に対応する車両整理案は図14(a)の如きであり、今回、再度の評価の結果、スジ▲2▼が新たに二重線となってスジ▲1▼,▲2▼,▲6▼,▲7▼,▲8▼,▲9▼および(10)について乗務員が割り当てられたことになる。但し、スジ▲6▼と▲8▼はいずれもJ1からJ5以外の乗務員を割り当てるという不確定要素のある割り当てであり、確実に割り当てが済んだのはスジ▲1▼,▲2▼,▲7▼,▲9▼,(10)であり、乗務員の割り当て状況は、図14(b)に示す如きとなって、今回、B駅からC駅に向かう列車のスジ▲2▼に乗務員J3が割り当てられた。
【0102】
また、この割り当ての他、前回までにC駅からA駅に向かう列車に対するスジ▲7▼に乗務員J1が割り当てられ、B駅からC駅に向かう列車に対するスジ▲9▼およびその復路となるスジ(10)には乗務員J5が割り当てられ、A駅からB駅に向かう列車に対するスジ▲1▼に対する乗務員J2が既に割り当てられているから、これらを含めて5つのスジが割り当てられたことになる。
【0103】
乗務員J3を割り当て可能なスジはもう存在しないので、JoumSの要素を修正してステップS518へ進む。この時点で乗務員J2を割り当てられるスジはないので、
JoumS ={ }
である。
【0104】
割り当て可能な乗務員がいなくなったときは、ステップS518からステップS519へ進む。ステップS519では、乗務員を順番に割り当てたことにより、新たに乗務員を割り当て可能なスジができたかどうかを調べて、もしそうならば、それらのスジに対して乗務員を割り当てるために、ステップS507へ戻る。そうでなければステップS520へ進む。ステップS520では、まだ未割り当てのスジがあるか、また、業務終了時点で自分の所属する区へ戻っていない乗務員がいるかどうかを調べて、予備の乗務員または便乗による割り当てを試みる。予備の乗務員についての情報も、予め乗務員データ記憶部105に用意されているので、乗務員運用整理案作成機能部104は乗務員データ記憶部105から情報を読み出して当該割り当てを試みるわけである。
【0105】
図3(a)、(b)の例では、図14(a)より、ステップS519において、乗務員に割り当て可能なスジ▲3▼、▲4▼に対して、割り当て可能な乗務員がいるかどうか調べる。そして、そのような乗務員はいないためステップS520へ進む。スジ▲3▼に乗務員J3が割り当て可能であるように見えるが、この例の場合は、前述したとおり、乗務員J3にスジ▲3▼を割り当てると乗務時間をオーバーしてしまうため割り当てられないものとする。また、それ以外の乗務員もスジ▲3▼、▲4▼に割り当てはできない。そこで、ステップS520で予備人員(予備の乗務員)または列車便乗移動による割り当てを試みる。
【0106】
予備人員(待機している予備の乗務員)Y1,Y2,Y3がいて、Y1,Y2はB駅待機、Y3がA駅待機であったとする(図14(c)参照)。これら予備の乗務員または列車便乗移動による割り当ての詳細なアルゴリズムを図7、図8に示す。図に従って説明すると、まず、図7におけるステップS602からステップS607までの作業によって、予備人員を未割り当てのスジへ割り当てられるかを試みてみる。
【0107】
次に、まだ未割り当てのスジがあれば、図7におけるステップS608から図8におけるステップS613までの作業で便乗による未割り当てのスジへの乗務員の割り当てを試す。最後に、図8におけるステップS614からステップS617までで、業務終了時点で自分の所属する区に戻っていない乗務員に便乗を割り当てて所属する区へ戻す。
【0108】
図7におけるステップS601で、割り当て作業を開始する。ステップS602で、未割り当てのスジを検索し、発時の早い順にソートした集合SujiMを作成する。
図14(a)は、図13(a)の内容を反映した時点での車両整理案を表わしており、図14(a)の例ではSujiMは、
SujiM ={▲4▼,▲5▼,▲3▼}
となる。
【0109】
図7におけるステップS603では、予備人員である予備の乗務員について乗務可能な開始時刻の早い順にソートした集合YobiSを作成する。
【0110】
本実施例では、図14(c)に示す3人の予備の乗務員Y1,Y2,Y3が存在するものとし、また、これらY1,Y2,Y3いずれもが割り当ての開始時刻においてまだどのスジにも割り当てられていないものとして話を進める。すなわち、
YobiS ={Y1,Y2,Y3}
である。
【0111】
ステップS604では、予備の乗務員の数だけステップS605からステップS606までの処理を繰り返すことにより、予備の乗務員による割り当て処理を行う。ステップS605で、YobiS内の予備の乗務員に割り当て可能なスジをSujiMのソート順に検索する。もしあれば、そのスジを割り当てて、SujiMから削除する。
【0112】
未割り当てのスジsuji3に割り当て可能な予備人員Joum3は、次の3つの条件を満たす。なお、予備人員のスジ情報には、あらかじめ勤務開始時に待機している駅と待機開始時刻とが格納されているものとする。
・条件1:Joum3は予備人員(予備の乗務員)である。
・条件2:Joum3は、未割り当てのスジの発時に、発駅に待機している。
・条件3:suji3にJoum3を割り当てても、Joum3は定められた乗務時間Jを超えない。
なお、本実施例では上記の3つの条件であるが、条件は他にもあり得る。
上記の3条件を満たすスジが複数あれば、最も待機時間が短くなるものを選んで予備人員を割り当てる。その後、割り当てたスジはSujiMから削除する。
【0113】
図14(a)および図14(c)の例では、まずY1が対象の予備人員(予備の乗務員)となる。そして、上記の3条件を満たすスジには、▲4▼がある。そこで、スジ▲4▼に乗務員Y1を割り当てる。すなわち、現在処理中の割り当て案に、スジ▲4▼への乗務員Y1の割り当てを反映する。そして、SujiMから▲4▼を削除する。
【0114】
ステップS606で、対象の予備人員にまだ割り当てることのできるスジがあるかどうかを調べる。その結果、ある場合には、割り当てるためにステップS605の処理に戻る。それ以外はステップS607の処理へ進む。
【0115】
図14(a)および図14(c)の例では、Y1にはさらにスジ▲5▼が割り当てられる。そこでスジ▲5▼に予備乗務員Y1を割り当てる。すなわち、現在処理中の割り当て案に、スジ▲5▼への乗務員Y1の割り当てを反映する。そして、SujiMから▲5▼を削除する。
【0116】
再び、ステップS606の処理に進み、乗務員Y1にまだ割り当てることのできるスジがあるかどうか調べる。その結果、Y1にはもう割り当てることのできるスジはないため、ステップS607の処理へ進む。この時点で、図14(a)の車両整理案に示す各スジの割り当て状況をまとめると、図13(b)に示すとおりとなる。そして、車両整理案は図15(a)の如きであり、今回、予備人員を含めて再評価の結果、スジ▲4▼と▲5▼が新たに二重線となってスジ▲1▼,▲2▼,▲4▼,▲5▼,▲6▼,▲7▼,▲9▼および(10)について乗務員が割り当てられたことになる。
【0117】
但し、スジ▲6▼と▲8▼はいずれもJ1からJ5以外の乗務員を割り当てるという不確定要素のある割り当てであり、確実に割り当てが済んだのはスジ▲1▼,▲2▼,▲4▼,▲5▼,▲7▼,▲9▼,(10)であり、乗務員の割り当て状況は、図15(b)に示す如きとなって、今回、B駅からC駅に向かう列車のスジ▲4▼とA駅からC駅に向かう列車のスジ▲5▼に予備の乗務員Y1が割り当てられ、この割り当ての他、前回までにB駅からC駅に向かう列車のスジ▲2▼に乗務員J3が割り当てられ、C駅からA駅に向かう列車に対するスジ▲7▼に乗務員J1が割り当てられ、B駅からC駅に向かう列車に対するスジ▲9▼およびその復路となるスジ(10)には乗務員J5が割り当てられ、A駅からB駅に向かう列車に対するスジ▲1▼に対する乗務員J2が割り当てられているから、これらを含めて7つのスジが割り当てられたことになる。
ステップS608での判定の結果、未処理の予備人員(予備の乗務員)が残っていればステップS604へ戻る。
【0118】
図14(a)の例では、予備人員Y1の処理が終わったので、次に予備人員である乗務員Y2に対してステップS605からステップS606までの処理を行う。その結果、Y2を割り当てられるスジは存在しないので、割り当ては行われない。すなわち、車両整理案への反映をしないでステップS607へ進む。また、予備人員である乗務員Y3に対しても同様に割り当ては行われない。この時点でY1,Y2,Y3全ての予備人員を処理し終えたので、ステップS608に進む。
【0119】
ステップS608では、未割り当てのスジがまだSujiMに残っているかどうか調べて、残っていなければステップS614の処理に進む。残っていればステップS609へ進み、予備人員を含む全ての乗務員を業務が早く終わる順にソートして集合JoumMとする。
【0120】
図14(a)および図14(c)の例では、
SujiM = { ▲3▼ }
であるので、ステップS609の処理に進む。全ての乗務員を業務が早く終わる順にソートした様子を図16に示す。JoumMは、
JoumM ={ Y2, Y3, J2, J3, J4, J1, Y1, J5 }
となる。
【0121】
ステップS610では、JoumM内の乗務員の数だけステップS611を繰り返すことにより、便乗による割り当て処理を行う。
ステップS611では、乗務員が1回、列車に便乗して移動すれば未割り当てのスジを担当できるかどうか調べて、可能ならば割り当てる。
列車に便乗して移動することによって未割り当てのスジsuji4に割り当てが可能な乗務員Joum4は、次の3つの条件を満たす。
・条件1:Joum4が最後に担当したスジの後にsuji4の発駅へ向かうスジが存在し、suji4の発時までにsuji4の発駅に到着する。
・条件2:suji4の着駅が乗務員の所属区内である。
・条件3:Joum4に、便乗するスジとsuji4に割り当てても定められた乗務時間Jを超えない。
本実施例では上記の3つの条件であるが、条件は他にもあり得る。
【0122】
上記の3つの条件を満たす便乗スジ(移動のために便乗に利用することが可能なスジ)と未割り当てのスジの組み合わせのうち、最も待機時間のばらつきが小さくなる組み合わせを選んで、乗務員に割り当てる。
【0123】
図15および図16の例では、まずY2が選ばれる。Y2はB駅に待機しているが、スジ▲6▼または▲2▼または▲9▼に便乗することで、未割り当てのスジ▲3▼を担当可能である。この場合は、待機時間のばらつきが最も小さくなるスジ▲2▼に便乗して、スジ▲3▼を担当することにする。待機時間は、スジ▲2▼への便乗開始までの時間と、スジ▲2▼の便乗終了からスジ▲3▼の運用開始までの時間の2つを意味する。
【0124】
そこで、乗務員Y2に対してスジ▲2▼への列車便乗による移動と、スジ▲3▼への割り当てを行う。すなわち、現在処理中の運用整理案に、スジ▲2▼に対する乗務員Y2の列車便乗移動および、スジ▲3▼に対する乗務員Y2の割り当てを反映する。そして、スジ▲3▼はSujiMから削除する。この時点でSujiMは、
SujiM ={ }
となる。
【0125】
ステップS612では、未割り当てのスジがまだSujiMに残っているかどうかを調べて、残っていれば、未割り当てのスジへの割り当てを継続するためにステップS611へ戻る。残っていなければステップS614に進む。図15および図16の例では、
SujiM ={ }
であり、未割り当てのスジは無いから、ステップS614へ進む。
【0126】
ステップS614では、予備人員を含む全ての従業員を最後の担当スジの着時が遅い順にソートし、集合JoumRとする。ステップS615では、JoumR内の乗務員の数だけステップS616の処理を繰り返すことにより、業務終了時点で所属する区へ戻っていない乗務員に便乗スジ(列車便乗による移動のために乗車させる対象のスジ)を割り当てる。
【0127】
ステップS616では、割り当ての範囲がその日の業務終了までの場合に、JoumR内の乗務員が業務終了時点で所属区へ戻っているかどうか調べる。戻っていなければ、便乗スジを割り当てて所属区に戻すようにする。
【0128】
乗務員Joum5に割り当て可能な便乗スジsuji5は、次の条件を満たす。
・条件1:suji5は、Joum5が最後に担当したスジの着時後に着駅から発車して、Joum5の所属区に戻る。
・条件2:Joum5はsuji5を割り当てても定められた乗務時間Jを超えない。 上記の条件を満たすスジのうち、最も発時(出発時刻)が早いものを選んで、その乗務員の便乗スジとして登録する。
【0129】
図15および図16の例では、全ての乗務員が所属区へ戻っているものとし、ステップS618へ進んでスジへの乗務員の割り当てを終了する。ステップS618で終了した時点で、ステップS521に戻る。そして、別の割り当て案があれば、ステップS506に戻って新たに乗務員の割り当てを行う。なければ、ステップS522へ進む。
【0130】
ステップS522では、全てのスジに割り当てられた案があれば、それらの案を割り当て結果としてステップS405に戻る。そのような案がなければ、割り当てに失敗したというメッセージおよび、未割り当てのスジの個数、必要な乗務員の人数およびスジ情報などを割り当て結果として、ステップS405に戻る。
【0131】
全てのスジに乗務員を割り当てられた整理案は次の条件を満たす。
・条件1:割り当ての範囲内で未割り当てのスジがない。
・条件2:割り当ての範囲がその日の業務終了までの場合、スジに割り当てられた乗務員が業務終了時点で所属区に戻っている。
図15および図16の例では、全てのスジに乗務員を割り当てられた割り当て案が1つあるので、その案を割り当て結果としてステップS405に戻る。
【0132】
ステップS405では、全てのスジに乗務員の割り当てを済ますことができた割り当て案があれば、割り当ての確定のためにステップS406へ進む。そのような案がなければステップS407に進み、オペレータに割り当て不可の通知を行ってステップS409で終了する。割り当て不可の場合は終了するのではなく、初期条件パラメータの値を変更してやり直すアルゴリズムもあり得る。
【0133】
ステップS406では、オペレータが割り当ての確定を行う。複数の割り当て案が存在する場合は、オペレータが最適な割り当て案を選択し、必要があれば修正するものとする。
【0134】
ステップS408では、まだ未割り当ての範囲が残っているかどうか調べる。もし残っていれば、割り当て作業を中断するかどうかをオペレータに問い合わせる。そして、中断する場合は終了する。そうでなければ、別の範囲に割り当てるためにステップS403に戻る。また、未割り当ての範囲が残っていない場合は、完成された車両整理案を入出力端末103等に出力するための処理を実施して一連の処理を終了する。
【0135】
乗務員運用整理案作成機能部104による以上のような一連の処理が実行された結果、車両整理案に示す各スジの最終的な割り当て状況がどうなったかをまとめると、図17(b)に示す通りとなる。そして、車両整理案は図17(a)の如きであり、今回、予備人員および列車便乗移動による割り当ての可能性を含めて再評価の結果、予備人員である乗務員Y2がスジ▲2▼を利用してこの列車に便乗させ、移動させることで、スジ▲3▼に割り当て可能となるから、スジ▲3▼が新たに二重線となってスジ▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲4▼,▲5▼,▲6▼,▲7▼,▲8▼,▲9▼および(10)について乗務員が割り当てられたことになる。
【0136】
但し、スジ▲6▼と▲8▼はいずれもJ1からJ5以外の乗務員を割り当てるという不確定要素のある割り当てであり、確実に割り当てが済んだのはスジ▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲4▼,▲5▼,▲7▼,▲9▼,(10)であり、スジ▲6▼と▲8▼はいずれもJ1からJ5以外の乗務員を現場指揮者の判断で人為的に割り当てるようにしなければならないが、与えられた車両整理案ついて、一応、可能な範囲ですべて乗務員の割り当てができたことになる。
【0137】
乗務員の割り当て状況は、図17(b)に示す如きとなって、今回、B駅からC駅に向かうスジ▲2▼に予備の乗務員Y2を便乗させてC駅に移動させ、C駅始発の列車のスジであるスジ▲3▼に割り当てるようにし、この割り当ての他、前回までにB駅からC駅に向かう列車のスジ▲4▼とA駅からC駅に向かう列車のスジ▲5▼に予備の乗務員Y1が割り当てられ、B駅からC駅に向かう列車のスジ▲2▼に乗務員J3が割り当てられ、C駅からA駅に向かう列車に対するスジ▲7▼に乗務員J1が割り当てられ、B駅からC駅に向かう列車に対するスジ▲9▼およびその復路となるスジ(10)には乗務員J5が割り当てられ、A駅からB駅に向かう列車に対するスジ▲1▼に対する乗務員J2が割り当てられているから、これらを含めて9つのスジが割り当てられたことになる。最終的なこの割り当て状況を図17(c)に示す。
【0138】
このように本実施例においては、列車の運転に乱れが生じた時に、運転計画を元に復帰させるために作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てるスケジューリングシステムにおいて、割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持した乗務員情報保持手段と、前記乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するものであって、割り当て可能な乗務員が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるようにする乗務員運用整理案作成手段とを備えた乗務員に割り当てのためのスケジューリングシステムである。
【0139】
そして、このようなシステムは、別途用意された車両整理案が与えられると、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てる。本システムには乗務員情報保持手段が用意してあり、前記割り当てにあたり、乗務員運用整理案作成手段はこの乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するが、割り当て可能な乗務員が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるように処理する。
【0140】
従って、本実施例によれば、車両整理案と乗務員の情報を与えて、制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てていくスケジューリングにおいて、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方は分離して、運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方について独立してスケジューリングすることができる。そのため、整理案作成システム導入済みの路線の環境に柔軟に対応してスケジューリングの支援を行うことができる。
【0141】
また、運用整理案を作成するに当たり、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、評価計算によりその評価値に基づいて決定することから、その乗務員に割り当てるのがかなり適切で、かつ、他の乗務員にとってあまり適切でないスジを計算して最適なものを決定するに当たり、少ない計算量で迅速に運用整理案を作成することができる効果がある。
【0142】
以上の第1の実施例は、乗務員を与えられた車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジそれぞれに対し、割り当てる(乗務員を各スジに割り当てる)手法として、所定の評価式に基づく乗務員の評価値に着目するものであったが、人に着目するのではなくスジに着目して割り当てる手法もある。この手法を次に第2の実施例として説明する。
【0143】
(第2の実施例)
第2の実施例においても、第1の実施例の構成とシステム構成は基本的に同様の構成である。但し、この第2の実施例のシステムでは、乗務員運用整理案作成機能部104においては、与えられた車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能駅駅間経路であるスジに対し、乗務員を割り当てる手法として、各列車である編成毎のスジを主体にするもので、その着目した編成のスジに対して割り当てを行っていく。
【0144】
ここでは、スジそれぞれに対し、乗務員を割り当てる手法として、図4の運用整理案作成の全体フローにおけるステップS404での処理である“乗務員をスジに割り当てる”方法としてスジに着目した割り当てを行う実施例を示す。なお、全体フローの流れは第1の実施例と同一であるのでここでは省略する。
【0145】
図18および図19に、乗務員に着目した割り当てのフローチャートを示す。図18および図19に従って、図20(a)の如きの与えられた車両整理案へ図20(b)の乗務員を割り当てる手順を説明する。与えられた車両整理案に対する処理開始時点でのスジの割り当て状況は、図20(c)に示す如きであるものとする。
【0146】
割り当て作業を実行開始すると(図18のステップS1101)、乗務員運用整理案作成機能部104は、まず、ステップS1102の処理において、割り当て範囲内で割り当て可能なスジがあるかを検索する。そして、検索して得たスジに、割り当て可能なスジがあるか否かを判断する(図18のステップS1103)。すなわち、乗務員を割り当てるべく処理する、対象となり得るスジがあるか否かを判断するわけである。
【0147】
ここでの判断条件は以下の2つの条件であり、これら2つの条件が成り立つスジ情報のリストを持つ編成が1つでもあれば割り当て可能と判断する。
・条件1: 割り当ての開始時刻まではスジに乗務員が割り当たっている。
・条件2: 割り当ての終了時刻ではスジに乗務員が割り当てられていない。
【0148】
S1103での判断の結果、条件が成り立てば(図18のステップS1103)、ステップS1104へ進む。しかし、S1103での判断の結果、条件が成り立たなければ図19のステップS1123へ進み、図4のステップS405に戻る。
【0149】
図20(a)の如きの車両整理案では、編成1201,1202, 1203, 1204,1205の計5つの編成(5本の列車)があり、それらは本システムによる割り当ての開始時刻まではスジそれぞれに既に乗務員は割り当てられているが、割り当ての終了時刻ではスジに乗務員は割り当てられてはいないので、条件が成り立つ。従って、図18のステップS1104へ進む。
【0150】
ステップS1104では、オペレータに提示するための割り当て案を1つ作成して初期化する。また、ステップS1104では、割り当て可能な乗務員が1人しかないスジを検索する。そして、割り当て案にその乗務員のそのスジへの割り当てを反映する。
【0151】
具体的には、乗務員運用整理案作成機能部104は、まず、乗務員を割り当て可能な時間の早い順にソートした集合JoumTを作成する。このとき、割り当て済みの最後のスジの着時が割り当て範囲の終了時刻(1207)を超える乗務員は、JoumTに登録しない。また、各編成の持つスジ情報から最初の未割り当てのスジを検索し、それらの編成を発時の早い順にソートした集合HenseiSを作成する。
【0152】
次に、乗務員運用整理案作成機能部104は、集合HenseiSから編成を順に取り出して、その最初の未割り当てのスジにJoumTの各乗務員が割り当て可能かどうかを調べる。1人の乗務員にしか割り当てられないスジであればそのスジにその乗務員を割り当てるようにする。また、どの乗務員も割り当てることができないスジの場合は、集合HenseiSからそのスジを持つ編成を除外する。この作業を、集合HenseiS内の編成全てが、先頭の未割り当てのスジに対して複数の乗務員を割り当て可能になるまで繰り返す。
【0153】
次の5つの条件を全て満足する乗務員Joum1は、スジsuji1に割り当て可能とする。
・条件1: Joum1は、最後の割り当てスジの乗務終了後にsuji1の発駅にいる。
・条件2: suji1に割り当てても定められた乗務時間Jを超えない。
・条件3: suji1に割り当てることによってJoum1が自分の所属する区から外れる場合は、その後の割り当てによって営業終了時刻までに所属する区へ戻ることができる。
・条件4: suji1を担当するまでに、一定範囲の時間的余裕がある(YMIN以上かつYMAX以下)。
・条件5: Joum1は予備人員(予備の乗務員)ではない。
なお、本実施例では上記の5つの条件としているが、条件は他にもあり得る。
【0154】
図20(b)に示す乗務員の状況では、各乗務員J5,J1,J3,J2,J4の持つスジ情報から割り当て可能な時間を調べて早い順に並べると、
JoumT ={J5,J1,J3,J2,J4}
となる。
【0155】
また、各編成の最初の未割り当てのスジの発時の早い順に編成1205,1203,1202,1204,1201をソートした集合HenseiSは、
HenseiS ={編成1205,編成1203,編成1202,編成1204,編成1201}
となる。
【0156】
図20(a)における車両整理案中の編成1205についての未割り当ての先頭スジ▲4▼には、図20(b)に示す乗務員中のどの乗務員も割り当てられない。図20(a)における車両整理案中の編成1203についての先頭スジ▲2▼には、乗務員J3,J5が割り当て可能である。また、図20(a)における車両整理案中の編成1202についての先頭スジ▲7▼には乗務員J1が割り当て可能である。図20(a)における車両整理案中の編成1204についての先頭スジ▲9▼には、乗務員J2,J3,J5が割り当て可能である。図20(a)における車両整理案中の編成1201についての先頭スジ(12)には、乗務員J2,J3,J5が割り当て可能である。なお、符号(12)については、図面20中では“12”を○で囲んだ表記としているが、明細書中では(12)と記載するものとする(以後、他の図面においても同様とする)。
【0157】
従って、割り当てることができる乗務員が一人しかいないスジ▲7▼については、割り当ての該当者となるJ1を割り当てることにし、スジ全てが割り当て済みとなった編成1205を処理対象から除外する。すなわち、乗務員J1にはスジ▲7▼を割り当てるように、割り当て案にその割り当てを反映し、また、図20(a)における車両整理案中の編成1205を集合HenseiSから除外する。
【0158】
この時点で、
HenseiS ={編成1203,編成1204,編成1201}
JoumT ={J5,J3,J2,J4}
となる。また、この時点での車両整理案、乗務員の割り当て状況、スジの割り当て状況をそれぞれ図21(a),(b),(c)に示す。
【0159】
図21(a)における車両整理案中の編成1203,1204,1201の未割り当ての先頭スジにはそれぞれ複数の乗務員を割り当て可能であるので、ステップS1104での作業を終了して図18のステップS1105へ進む。
乗務員運用整理案作成機能部104によるステップS1105での処理は、複数の乗務員に割り当て可能なスジに対して適切な乗務員を選び、その乗務員を割り当てる処理である。割り当ては、割り当て案の数だけ図18のステップS1106から図19におけるステップS1120までの作業の繰り返し処理となる。割り当て案は最初は1つであるが、図19のステップS1115において増える可能性がある。全ての割り当て案の処理が終わっていれば、図19のステップS1122に進む。
【0160】
図18のステップS1106では、割り当て案を1つ選択する。
次にステップS1107では、割り当て対象の編成を、編成が持つスジ情報のうち、先頭の未割り当てのスジの発時が早い順にソートした集合HenseiSを作成する。ここで対象の編成とは、スジ情報に未割り当てのスジを持つ編成である。図21(a),(b)の例では、
HenseiS ={編成1203,編成1204,編成1201}
である。
【0161】
図18のステップS1108では、乗務員運用整理案作成機能部104は編成のソート順に編成の持つスジ情報の未割り当てのスジに乗務員を割り当てる。すなわち、ソートした全ての編成に対して図18のステップS1109から図19のステップS1118までの処理を実施する。全ての編成に対して割り当て処理を終えたならば、図19のステップS1120に進む。
【0162】
図18のステップS1109では、ソートした順に編成を1つ選択する。そして、図18のステップS1110では、ステップS1109で選択した編成に乗務員を割り当て済みの最後のスジの着時が、割り当ての終了時刻(207)を超えるまで、その編成へスジを割り当てる作業を繰り返す(図18のステップS1111から図19のステップS1116までの作業)。
【0163】
図21(a),(b)の例では、まず図18のステップS1109で編成1203が選ばれる。編成1203は乗務員を割り当て済みの最後のスジ▲1▼の着時が割り当ての終了時刻(1207)を超えていないため、図18のステップS1111から図19のステップS1116までの処理を行って、スジを割り当てる。
【0164】
図18のステップS1111では編成の持つスジ情報のうち、先頭の未割り当てのスジに割り当て可能な乗務員をJoumTから検索し、それらを乗務員集合joum−listとする。乗務員Joum2を割り当て可能なスジsuji2は、次の条件を満たすものとする。
・条件1: Joumu2は出発時間にsuji2の発駅にいる。
・条件2: 割り当てることによってJoum2の所属する区から外れる場合は、その後の割り当てによって営業終了時刻までに所属する区へ戻ることができる。
・条件3: Joum2をsuji2に割り当てても、定められた乗務時間Jを超えない。
・条件4: Joum2がsuji2を担当するまでに、一定範囲の時間的余裕がある。
なお、本実施例では上記の4つの条件であるが、条件は他にもあり得る。
【0165】
図21(a),(b)の例では、編成1203のスジ▲2▼に割り当て可能な乗務員集合は、
joumu−list ={J3,J5}
である。
【0166】
図19のステップS1112では、乗務員運用整理案作成機能部104は、対象の編成の先頭の未割り当てスジ以外でjoum−listの各乗務員に割り当て可能なスジを検索して、スジ集合SS1, SS2, …とする。スジ集合は、joum−listの要素数だけ作成される。また、割り当て可能な条件は、前述の4つの条件と同じものする。
【0167】
図20(a),(b)の例では、スジ▲2▼以外で乗務員J3,J5を割り当て可能なスジは、それぞれ、
乗務員J3:SS1 = { ▲9▼, (12) }
乗務員J5:SS2 = { ▲9▼, (12) }
である。
【0168】
次に図19のステップS1113の処理に進み、ここででは、対象のスジにとってそこそこ適切で、それ以外のスジ(SS1, SS2, …)にとってそれほど適切でない乗務員を1人選択して、対象のスジにその乗務員を割り当てる。
【0169】
図20(a),(b)の例では、第1の実施例と同様の評価関数を導入して、乗務員J3にスジ▲9▼を割り当てたときの適切さと、スジ(12)を割り当てたときの適切さの平均A1を求める。そして、乗務員J3にスジ▲2▼を割り当てたときの適切さB1を求めて、その差B1−A1を求める。
【0170】
また、乗務員J5にスジ▲9▼を割り当てたときの適切さとスジ(12)を割り当てたときの適切さの平均A2を求める。そして、乗務員J5にスジ▲2▼を割り当てたときの適切さB2を求めて、その差B2−A2を求める。
【0171】
これらを求めたならば、乗務員運用整理案作成機能部104は、次に図19のステップS1114に移る。このステップS1114では、適切さの評価値に基づいて、割り当て案を新たに作成するかどうかを判定する。判定の結果、作成する場合はステップS1115に進む。ステップS1114での判定の結果、作成しない場合は図19のステップS1116に進む。
【0172】
判定の基準は次の2つであり、当該2つの条件を満足する場合に、割り当て案を新たに作成する。
・条件1:比較した値のうち最も大きい値となるものが複数存在する。
・条件2:新たに割り当て案を作成しても割り当て案の総数はWN以下である。
【0173】
図21(a),(b)の例では、評価値を算出して比較した結果、スジ▲2▼にJ5を割り当てるのが適切という結果になったとする。詳細な計算過程については第1の実施例と同様であるから、ここでは省略する。また、適切さの評価値の差が最大となるものが1つしかないものとする。従って、この場合、乗務員運用整理案作成機能部104は、図19のステップS1116に進む。
【0174】
仮に評価値の差が最大となるものが2つあり、新たに2−1=1個の割り当て案を作成しても、割り当て案の総数がWN以下の場合は、図19のステップS1115に進んで割り当て案を新たに作成する。ステップS1115では、割り当て案のコピーを作成し、新たな割り当て案とする。そして各割り当て案には、それぞれのスジに対象の乗務員を割り当てる。新たに作成した割り当て案は、後で図18のステップS1105以降において処理される。
【0175】
新たに割り当て案を作成したとき、割り当て案の総数がWNを超える場合は、新たに割り当て案を作成しない。この場合は、対象の乗務員に各スジを割り当てたときの評価値を比較して、評価値が高い方を、“割り当てに適切”と判断する。そして、図19のステップS1116へ進む。
【0176】
ステップS1116では、現在処理中の割り当て案に、対象の乗務員のステップS1114で選択したスジへの割り当てを反映する。
【0177】
図21(a),(b)の例では、乗務員J5にスジ▲2▼を割り当てる。すなわち、割り当て案にその割り当てを反映する。この時点での車両整理案、乗務員の割り当て状況、スジの割り当て状況をそれぞれ図22(a),(b),(c)に示す。
【0178】
図19のステップS1117では、乗務員運用整理案作成機能部104は、JoumTの要素をあらためて割り当て可能なスジがある乗務員の集合とする。そして、次の条件のいずれかを満たせば図19のステップS1118へ進む。そうでなければ図18のステップS1111へ戻る。
・条件1: 対象の乗務員の持つスジ情報から乗務員が乗務可能な開始時刻を調べて、それが割り当ての終了時刻(1207)を超えている。
・条件2: 対象のスジを割り当てられる乗務員がいない。
【0179】
図22(a),(b)の例では、編成1203におけるスジ▲2▼の着時+YMINは、割り当ての終了時刻(1207)を超えておらず、かつ、まだ割り当て可能な乗務員が存在するので、図18のステップS1111へ戻る。そして、図19のステップS1116までの処理を行うことによりスジ▲3▼に適切な乗務員を検索して割り当てる。
【0180】
スジ▲3▼に適切な乗務員はJ5のみなので、当該乗務員J5にスジ▲3▼を割り当てる。すなわち、割り当て案にその割り当てを反映する。この時点での車両整理案、乗務員の割り当て状況、スジの割り当て状況をそれぞれ図23(a),(b),(c)に示す。
【0181】
乗務員J5に編成1203の未割り当てスジ▲3▼を割り当てた時点で、スジ▲3▼の着時+YMINは、割り当ての終了時刻(1207)を超える。従って、JoumTの要素を修正して図19のステップS1118へ進む。割り当ての時間範囲内では乗務員J1とJ5にはもう割り当てることができないので、修正後のJoumTは以下のようになる。
JoumT ={J3,J2,J4}
図19のステップS1118から図18のステップS1109へ戻り、HenseiS ={ 編成1203 ,編成1204 ,編成1201 }の次の要素である編成1204についても同様の処理を行って、編成の持つスジ▲9▼、(10)に対し、順番に適切な乗務員を割り当てる。
【0182】
図23(a),(b)の例では、編成1204の未割り当てスジ▲9▼に対しての割り当て可能な乗務員集合joumu−listは、
joumu−list ={J2,J3}
である。
【0183】
図19のステップS1112では、乗務員運用整理案作成機能部104は、対象とする編成での先頭の未割り当てスジ以外でjoum−listの各乗務員に割り当て可能なスジを検索する。そして、スジ集合SS1, SS2, …とする。スジ集合は、joum−listの要素数だけ作成される。
【0184】
図23(a),(b)の例では、スジ▲9▼以外で乗務員J2,J3を割り当て可能なスジは、それぞれ、
乗務員J2:SS1 ={(12)}
乗務員J3:SS2 ={(12)}
である。
【0185】
図19のステップS1113では、対象のスジにとってそこそこ適切で、それ以外のスジ(SS1, SS2, …)にとってそれほど適切でない乗務員(すなわち、対象のスジに割り当てるのに最適であるが、他のスジではあまり最適ではない乗務員)を評価演算により評価して1人選択し、対象のスジにその乗務員を割り当てる。
【0186】
図23(a),(b)の例では、この評価に第1の実施例と同様の評価関数を導入する。そして、乗務員運用整理案作成機能部104は、この評価関数による演算を行って評価値を算出して比較し、乗務員を割り当てる。その結果、編成1203のスジ▲9▼に乗務員J3を割り当てるものとする。割り当てた後の時点でスジ▲9▼の着時+YMINは割り当ての終了時刻(1207)を超えておらず、かつ、まだ割り当て可能な乗務員が存在するので、乗務員運用整理案作成機能部104は、図18のステップS1111へ処理を戻す。
【0187】
そして、図19のステップS1116までの処理を行うことによりスジ(10)に適切な乗務員を検索して割り当てる。スジ(10)に対しては、割り当て可能な乗務員はJ3しかいない。従って、スジ(10)に乗務員J3を割り当てる。これにより、スジ▲9▼,(10)が割り当てられて編成1204は未割り当てスジが全て無くなる。この時点での車両整理案、乗務員の割り当て状況、スジの割り当て状況をそれぞれ図24(a),(b),(c)に示す。
【0188】
乗務員J3にスジ(10)を割り当てた時点で、スジ(10)の着時+YMINは割り当ての終了時刻(1207)を超えるので、JoumTの要素を修正して図19のステップS1118へ進む。割り当ての時間範囲内では乗務員J3にはもう割り当てることができないので、修正後のJoumTは以下のようになる。
JoumT ={J2,J4}
図19のステップS1118から図18のステップS1109へ戻り、HenseiS ={ 編成1203 ,編成1204 ,編成1201 }の次の要素である編成1201についても同様の処理を行って、編成1201の持つ未割り当てスジ(12)に対して、順番に適切な乗務員を割り当てる。
【0189】
図24(a),(b)の例では、編成1201のスジ(12)に割り当て可能な乗務員は、J2のみであるので、スジ(12)にこの乗務員J2を割り当てるものとする。これにより、スジ(12)が割り当てられて編成1201は未割り当てスジが全て無くなる。
【0190】
乗務員J2にスジ(12)を割り当てた時点で、スジ(12)の着時+YMINは割り当ての終了時刻(1207)を超えるので、JoumTの要素を修正して図19のステップS1118へ進む。割り当ての時間範囲内では乗務員J2にはもう割り当てることができないので、修正後のJoumTは以下のようになる。
JoumT ={J4}
また、この時点でHenseiS内の全ての要素(編成)について割り当て処理が終わったことになる。この時点での車両整理案、乗務員の割り当て状況、スジの割り当て状況をそれぞれ図25(a),(b),(c)に示す。
【0191】
割り当て対象の編成がなくなったときは、図19のステップS1118からステップS1119の処理へ進む。ステップS1119では、編成のスジに乗務員を順番に割り当てたことにより、新たに乗務員を割り当て可能なスジを持つ編成ができたかどうかを調べて、もしそうならば、それらのスジに対して乗務員を割り当てるために、ステップS1107へ戻る。そうでなければステップS1120へ進む。ステップS1120では、まだ未割り当てのスジがあるか、また、業務終了時点で自分の所属する区へ戻っていない乗務員がいるかどうかを調べて、第1の実施例と同様の予備人員(予備の乗務員)または便乗(列車便乗による移動)による割り当てを試みる。予備人員または便乗による割り当ての詳細なアルゴリズムは第1の実施例と同じ図7,図8のフローチャートに示した手法を用いる。
【0192】
図25(a)、(b)の例では、ステップS1119において、編成1205のスジ▲4▼に割り当て可能な乗務員がいるかどうか調べる。そして、そのような乗務員はいないためステップS1119へ進む。ここで、乗務員運用整理案作成機能部104は編成1205の未割り当てのスジ▲4▼と▲5▼に対して、割り当てのスジへの予備人員または便乗による割り当てを試みる。
【0193】
すなわち、図7のステップS601で、割り当て作業を開始する。そして、図7のステップS602で、未割り当てのスジを検索し、発時の早い順にソートした集合SujiMを作成する。
図25(a),(b)の例ではSujiMは、
SujiM ={▲4▼,▲5▼}
となる。
【0194】
図7のステップS603で、予備人員を乗務可能な開始時刻の早い順にソートした集合YobiSを作成する。本実施例では、第1の実施例と同様に、図14(c)に示す予備の乗務員Y1,Y2,Y3の計3人の予備人員が存在するものとする。また、いずれの予備人員も割り当ての開始時刻において、まだどのスジにも割り当てられていないものとする。
YobiS ={Y1,Y2,Y3}
である。
【0195】
図7のステップS604では、予備人員の数だけステップS605からステップS606までの処理を繰り返すことにより、予備人員による割り当て処理を行う。すなわち、乗務員運用整理案作成機能部104はステップS605では、YobiS内の予備人員に割り当て可能なスジをSujiMのソート順に検索する。もしあれば、そのスジを割り当てて、SujiMから削除する。
【0196】
未割り当てのスジsuji3に割り当て可能な予備人員Joum3は、次の3つの条件を満たす。なお、予備人員のスジ情報には、あらかじめ勤務開始時に待機している駅と待機開始時刻が格納されているものとする。
・条件1: Joum3は予備人員(予備の乗務員)である。
・条件2: Joum3は、未割り当てのスジの発時に、発駅に待機している。
・条件3: suji3にJoum3を割り当てても、Joum3は定められた乗務時間Jを超えない。
なお、本実施例では上記の3つの条件であるが、条件は他にもあり得る。
条件を満たすスジが複数あれば、最も待機時間が短くなるものを選んで予備人員を割り当てる。その後、割り当てたスジはSujiMから削除する。
【0197】
図25(a),(b)の例では、まず乗務員Y1が対象の予備人員となる。そして、上記の3条件を満たすスジには、編成1205のスジ▲4▼がある。そこで、スジ▲4▼に乗務員Y1を割り当てる。すなわち、現在処理中の割り当て案に、スジ▲4▼への乗務員Y1の割り当てを反映する。そして、未割り当てスジ▲4▼は割り当て済みとなったので、SujiMからスジ▲4▼を削除する。
【0198】
そして、乗務員運用整理案作成機能部104は図7のステップS606の処理に移る。このステップS606の処理では、対象の予備人員にまだ割り当てられるスジがあるかどうかを調べる。その結果、ある場合は、割り当てるためにステップS605に戻る。それ以外はステップS607へ進む。
【0199】
図25(a),(b)の例では、乗務員Y1にはさらに編成1205のスジ▲5▼が割り当てられる。そこで、当該スジ▲5▼に乗務員Y1を割り当てる。すなわち、現在処理中の割り当て案に、スジ▲5▼への乗務員Y1の割り当てを反映する。そして、割り当てスジ▲5▼は割り当て済みとなったので、SujiMから当該スジ▲5▼を削除する。
【0200】
乗務員運用整理案作成機能部104は、再びステップS606に進み、乗務員Y1にまだ割り当てることのできるスジがあるかどうか調べる。
【0201】
しかし、乗務員Y1には、もはや割り当てることのできるスジはないため、ステップS607へ進む。この時点での車両整理案、乗務員の割り当て状況、スジの割り当て状況をそれぞれ図26(a),(b),(c)に示す。図に示すように、時刻t0からtmまでの間については、全ての編成の全てのスジに乗務員が割り当て済みとなっている。
図7のステップS608で、未処理の予備人員が残っていればステップS604へ戻る。
【0202】
図26(a),(b)の例では、予備人員である乗務員Y1の処理が終わったので、次に別の予備人員である乗務員Y2に対して図7のステップS605からステップS606までの処理を行う。その結果、乗務員Y2を割り当てることのできるスジは存在しないので、割り当ては行われない。すなわち、乗務員運用整理案作成機能部104は、車両整理案への反映をしないで図7のステップS607へ進む。また、別の予備人員である乗務員Y3に対しても同様に割り当ては行われない。この時点で全ての予備人員を処理し終えたので、ステップS608に進む。
【0203】
図7のステップS608では、未割り当てのスジがまだSujiMに残っているかどうか調べて、残っていなければ図8のステップS614に進む。残っていれば図7のステップS609へ進み、予備人員を含む全ての乗務員を業務が早く終わる順にソートして集合JoumMとする。図26(a),(b)の例では、未割り当てのスジがSujiMに残っていないので乗務員運用整理案作成機能部104は、図8のステップS614に進む。ステップS614では、予備人員を含む全ての従業員を最後の担当スジの着時が遅い順にソートし、集合JoumRとする。
図8のステップS615では、JoumR内の乗務員の数だけステップS616の処理を繰り返すことにより、業務終了時点で所属する区へ戻っていない乗務員に便乗スジを割り当てる。図8のステップS616では、割り当ての範囲がその日の業務終了までの場合に、JoumR内の乗務員が業務終了時点で所属区へ戻っているかどうか調べる。戻っていなければ、便乗スジを割り当てて所属区に戻すようにする。
【0204】
図26(a),(b)の例では、全ての乗務員が所属区へ戻っているものとし、図8のステップS618へ進んでスジへの乗務員の割り当てを終了する。図8のステップS618で終了した時点で、乗務員運用整理案作成機能部104は図19のステップS1121の処理に戻る。そして、別の割り当て案があれば、図18のステップS1106に戻って新たに乗務員の割り当てを行う。なければ、図19のステップS1122へ進む。
【0205】
ステップS1122では、乗務員運用整理案作成機能部104は、全てのスジに割り当てられた案があれば、それらの案を本システムにより得た割り当て結果とし、図7のステップS405に戻る。そのような案がなければ、割り当てに失敗したというメッセージを入出力端末103等に出力する処理を実施し、また、未割り当てのスジの個数、必要な乗務員の人数およびスジ情報などを割り当て結果として入出力端末103等に出力する処理を実施し、図7のステップS405に戻る。
【0206】
図26(a),(b)の例では、全てのスジに乗務員を割り当てられた割り当て案が1つあるので、その案を割り当て結果としてステップS405に戻る。ステップS405では、全ての乗務員が割り当てられた割り当て案があれば割り当ての確定のためにステップS406へ進む。そのような案がなければ図7のステップS407に進み、オペレータに割り当て不可の通知を行ってステップS409で終了する。なお、割り当て不可の場合は処理を終了するのではなく、初期条件パラメータの値を変更してやり直すアルゴリズムもあり得る。
【0207】
乗務員運用整理案作成機能部104は図7のステップS406の処理においては、オペレータによる割り当ての確定を促すために入出力端末103等にそのメッセージ出力を行い、最終的にはオペレータによる割り当ての確定を行わせるようにする。従って、複数の割り当て案が存在する場合は、オペレータが入出力端末103による操作を行って最適な割り当て案を選択し、必要があれば修正することで、その操作指令情報を入出力端末103から受けると乗務員運用整理案作成機能部104はそれによる選択された割り当て案あるいは修正を反映させた割り当て案を乗務員割り当て済みの最終的な乗務員運用整理案とし、運用整理データ記憶部106に保存し、また、入出力端末103等に出力すべく処理する。
【0208】
図7のステップS408では、乗務員運用整理案作成機能部104は、まだ未割り当ての範囲が残っているかどうか調べる。もし残っていれば、割り当て作業を中断するかどうかをオペレータに問い合わせる。そして、中断する場合は処理を終了する。そうでなければ、別の範囲に割り当てるためにステップS403に戻る。また、未割り当ての範囲が残っていない場合は、完成された車両整理案を入出力端末103等に出力するための処理を実施して一連の処理を終了する。
【0209】
このように、本第2の実施例においては、列車の運転混乱発生時に、各列車の運転を元の運転計画に復帰させるべく作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てるスケジューリングシステムにおいて、乗務員情報保持手段と、乗務員運用整理案作成手段とを備えた構成とした。乗務員情報保持手段は、割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持したものであり、乗務員運用整理案作成手段はこの乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するものであって、乗務員の未割り当てのスジを持つ各列車(編成)について、未割り当てスジの発時(発車時刻)が早い順にソートし、当該ソートした上位の列車についてその未割り当てスジに、乗務員を割り当てるべく処理するが、その割り当ては未割り当てスジに対し、割り当て可能な乗務員の候補が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるようにするものである。
【0210】
従って、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方とは完全に分離させて、乗務員運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方について独立してスケジューリングすることができるようになる。そのため、整理案作成システム導入済みの路線の環境に柔軟に対応してスケジューリングの支援を行うことができる。また、乗務員割り当て済みの乗務員運用整理案を完成させるに当たり、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、評価計算によりその評価値に基づいて決定することから、その乗務員に割り当てるのがかなり適切で、かつ、他の乗務員にとってあまり適切でないスジを、少ない計算量で求めることができ、乗務員運用整理案を迅速に完成させることができるようになる効果がある。 なお、上記説明はあくまでも一例であり、種々変形して実施可能である。また、本発明において、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0211】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、車両整理案(列車のダイヤスジ)の決め方とは完全に分離させて、運用整理案(乗務員のダイヤスジ)への割り当て方について独立してスケジューリングすることができるようになるため、整理案作成システム導入済みの路線の環境に柔軟に対応してスケジューリングの支援を行うことができるようになる。
【0212】
また、乗務員運用整理案を作成するに当たり、ある乗務員に複数の割り当て可能なスジが存在する場合は、評価計算によりその評価値に基づいて決定することから、ある乗務員に割り当てるのが適切で、他の乗務員には適切でないスジを、少ない計算量で求めることができ、乗務員割り当て済みの乗務員運用整理案を迅速に完成できるようになる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステム構成例を示すブロック図
【図2】本発明における乗務員運用整理案の作成にあたっての制約条件の例を示す図
【図3】本発明における入力された車両整理案と乗務員割り当て状況の初期状態の例を示す図
【図4】本発明システムに用いる運用整理案作成の処理に関わる全体の処理フローを示す図
【図5】本発明システムに用いる乗務員に着目した割り当ての処理に関わるフローを示す図
【図6】本発明システムに用いる乗務員に着目した割り当ての処理に関わるフローを示す図
【図7】本発明システムに用いる乗務員割り当ての処理に関わる予備人員(予備乗務員)または便乗による乗務員割り当ての処理フローを示す図
【図8】本発明システムに用いる乗務員割り当ての処理に関わる予備人員(予備乗務員)または便乗による乗務員割り当ての処理フローを示す図
【図9】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図10】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図11】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図12】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図13】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図14】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図15】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図16】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図17】第1の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図18】第2の実施例における本発明システムに用いるスジに着目した割り当ての処理に関わるフローを示す図
【図19】第2の実施例における本発明システムに用いるスジに着目した割り当ての処理に関わるフローを示す図
【図20】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図21】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図22】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図23】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図24】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図25】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【図26】第2の実施形態における本発明システムの動作を説明する図
【符号の説明】
100…システム本体、101…車両整理案データ、102…データ入出力インタフェース、103…入出力端末、104…乗務員運用整理案作成機能部、105…入力された車両整理案や乗務員データ記憶部、106…運用整理データ記憶部、107…制約条件記憶部。
Claims (6)
- 列車の運転混乱発生時に、各列車の運転を元の運転計画に復帰させるべく作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てるスケジューリングのための乗務員運用整理案作成支援装置において、
割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持した乗務員情報保持手段と、前記乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するものであって、割り当て可能な乗務員の候補が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるようにする乗務員運用整理案作成手段と
を備えたことを特徴とするダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置。 - 列車の運転混乱発生時に、各列車の運転を元の運転計画に復帰させるべく作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てるスケジューリングのための乗務員運用整理案作成支援装置において、
割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持した乗務員情報保持手段と、前記乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記未割り当ての各スジに対して所定時刻から所定時間範囲についてそれぞれ乗務員の割り当てを実施するものであって、割り当て可能な乗務員の候補が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるようにする乗務員運用整理案作成手段と
を備えたことを特徴とするダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置。 - 列車の運転混乱発生時に、各列車の運転を元の運転計画に復帰させるべく作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てるスケジューリングのための乗務員運用整理案作成支援装置において、
割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持した乗務員情報保持手段と、前記乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施するものであって、乗務員の未割り当てのスジを持つ各列車について、未割り当てスジの発時(発車時刻)の早い順に、乗務員を順に割り当てるべく処理すると共に、その割り当ては未割り当てスジに対し、割り当て可能な乗務員の候補が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるようにする乗務員運用整理案作成手段と
を備えたことを特徴とするダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置。 - 列車の運転混乱発生時に、各列車の運転を元の運転計画に復帰させるべく作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てるスケジューリングのための乗務員運用整理案作成支援装置において、
割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を保持した乗務員情報保持手段と、この乗務員情報保持手段の保持情報を用い、前記車両整理案の持つ前記未割り当ての各スジに対して所定時刻から所定時間範囲についてそれぞれ乗務員の割り当てを実施するものであって、乗務員の未割り当てのスジを持つ各列車について、未割り当てスジの発時(発車時刻)の早い順に、乗務員を順に割り当てるべく処理すると共に、その割り当ては未割り当てスジに対し、割り当て可能な乗務員の候補が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを割り当てるようにする乗務員運用整理案作成手段と
を備えたことを特徴とするダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置。 - 列車の運転混乱発生時に、各列車の運転を元の運転計画に復帰させるべく作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てる乗務員運用整理案作成支援のためのコンピュータプログラムであって、
前記車両整理案を取り込む工程と、
割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を取得する取得工程と、
この取得した乗務員のスケジュール情報を用い、前記車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施すべく処理するものであって、割り当て可能な乗務員の候補が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを選択して割り当てるべく処理する工程と、
この割り当てられた結果を情報として保持手段に保持させる工程と、
割り当てられた列車のスジの割り当て結果を保持手段から読み出して表示手段に表示させるべく処理する表示工程と
を備えたことを特徴とするコンピュータ処理用ダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援プログラム。 - 列車の運転混乱発生時に、各列車の運転を元の運転計画に復帰させるべく作成したダイヤ復旧に向けての列車運行計画である車両整理案と、この車両整理案の持つ各列車の予定運行経路における乗務員交替可能な駅で挟まれる経路であるスジに対し、割り当てて乗務に従事させることが可能な乗務員の情報をもとに、勤務上の制約条件を満たすように車両整理案中の未割り当てのスジを乗務員に割り当てる乗務員運用整理案作成支援のためのコンピュータプログラムであって、
前記車両整理案を取り込む工程と、
割り当て可能な乗務員のスケジュール情報を取得する工程と、
この取得した乗務員のスケジュール情報を用い、前記取り込んだ車両整理案の持つ前記各スジに対して乗務員の割り当てを実施すべく、乗務員の未割り当てのスジを持つ各列車について、未割り当てスジの発時(発車時刻)早い順にソートするソート工程と、
ソートにより上位となった列車におけるその未割り当てスジに、乗務員を割り当てるべく処理するものであって、その割り当ては未割り当てスジに対し、割り当て可能な乗務員の候補が単数のときはその乗務員を割り当て、複数候補がある場合には、各候補の乗務員についてそれぞれ適切さを所定の評価式に基づき演算し、得られた適切さの値が良好のものを選択して割り当てるべく処理する工程と、
この割り当てられた結果を情報として保持手段に保持させる工程と、
割り当てられた列車のスジの割り当て結果を保持手段から読み出して表示手段に表示させるべく処理する表示工程と
を備えたことを特徴とするコンピュータ処理用ダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援プログラム。
Priority Applications (1)
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JP2003017207A JP2004224290A (ja) | 2003-01-27 | 2003-01-27 | ダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援装置およびダイヤ復旧のための乗務員運用整理案作成支援プログラム |
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