JP2004223810A - アンカー基板を備えたマイクロ光造形装置 - Google Patents
アンカー基板を備えたマイクロ光造形装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004223810A JP2004223810A JP2003012601A JP2003012601A JP2004223810A JP 2004223810 A JP2004223810 A JP 2004223810A JP 2003012601 A JP2003012601 A JP 2003012601A JP 2003012601 A JP2003012601 A JP 2003012601A JP 2004223810 A JP2004223810 A JP 2004223810A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- substrate
- anchor
- resin
- shaped article
- anchor part
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】本発明の課題は、光硬化性樹脂液に光照射を行ないながら、三次元の造形物を得るマイクロ光造形の技術において、作成された造形物が基台上に堅固に固着形成でき、樹脂洗浄時に流失させることがないマイクロ光造形装置を提供することにある。
【解決手段】レーザー光源からのレーザービームを光硬化性樹脂16にスポット照射して光造形を行なう本発明のマイクロ光造形装置は、造形物が基板上に堅固に形成され洗浄時に流失するようなことがないように、光造形物の基礎となる領域にアンカー部を備えた基板を採用するものである。
また、本発明ではそのようなアンカーの具体例として、基板面上に微細な凹状形状Hを形成するもの、基板面上に微細な凸状形状Mを形成するもの、更には光造形物と親和性がよい材料の膜を基板面上に形成するものを提示した。
【選択図】 図2
【解決手段】レーザー光源からのレーザービームを光硬化性樹脂16にスポット照射して光造形を行なう本発明のマイクロ光造形装置は、造形物が基板上に堅固に形成され洗浄時に流失するようなことがないように、光造形物の基礎となる領域にアンカー部を備えた基板を採用するものである。
また、本発明ではそのようなアンカーの具体例として、基板面上に微細な凹状形状Hを形成するもの、基板面上に微細な凸状形状Mを形成するもの、更には光造形物と親和性がよい材料の膜を基板面上に形成するものを提示した。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体形状データを基にして液体状の光硬化性樹脂に対し、形状部分にレーザー光を照射することにより前記樹脂を硬化させて前記立体形状を形成させる所謂光造形の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ビームスポットを照射して光硬化性樹脂を硬化させ、三次元の形状物に造形する技術は、光造形法として知られている。この三次元光造形法として、樹脂液槽内に垂直方向に上下するテーブルを設け、テーブルを液面下から始め、テーブルと液面との間に所定のレーザーを所定の平面領域照射し、テーブル上に一定厚みの所定形状の硬化層を作り、次に、テーブルを一定深さ沈めて、同様に液面と既硬化層表面レベルとの間に光を照射し、次の硬化層を積層する。その後、テーブルを一定深さ沈め、上記の工程を繰り返して一定厚みの所定形状の硬化層を積み重ねて所要の三次元の造形物を生成する所謂積層法と、光により硬化する光硬化性樹脂液を容器内に収容し、光エネルギーが前記物質の硬化に必要なエネルギーレベルをもって点状に集中するように光照射を行ないながら、前記容器を水平及び垂直に移動させることで、三次元の造形物を得る方法とが知られている。
【0003】
後者の光造形法としては特許文献1がある。この文献には既に開発されている液状の光硬化性樹脂の内部にレーザースポットを走査し任意の3次元構造を形成する方法(紫外レーザーを光源とした内部硬化型マイクロ造形法:Super IH process 略してSIH)の技術には光照射条件の最適化、光硬化性樹脂の硬化特性の最適化等各種の高度な最適化が必要であることや、深部での内部硬化が困難である等の問題があることを指摘している。その上で、この問題点を解決することを目的とした新規な発明として、透明性を有する近赤外パルスレーザー光に着目し、この近赤外パルスレーザー光を利用して2光子吸収を誘起することによって焦点近傍のみにおいて紫外レーザーと同じエネルギーに高め、ピンポイントで樹脂を硬化できる2光子マイクロ光造形方法およびその装置を提示している。その具体的な構成として、図5のAに全体構成をBに要部拡大図を示す。この方法は、近赤外パルスレーザー光源aからの光をミラースキャナーdを通した後、レンズを用いて光硬化性樹脂h中に集光させ、2光子吸収を誘起することによって焦点近傍のみにおいて樹脂を硬化させることを特徴とする。装置としては、近赤外パルスレーザー光源aからの光をミラースキャナーdを通した後、レンズfを用いて光硬化性樹脂h中に集光させる手段と、Zステージeとミラースキャナーdを高速に走査することにより樹脂中の任意の位置に集光スポットSを移動させることができる集光スポット移動手段とを備えていることを特徴とする。
【0004】
ところで、いずれの光造形法で構造物の作成を行なうにせよ、作成された造形物は光硬化樹脂液内に浸かった状態、あるいは表面に未硬化の樹脂液が付着した状態にある。このため、加工後に比較的高粘性である未硬化の樹脂を洗浄して取り出すことになる。因みに特許文献2には図6に示す洗浄システムが開示されている。図中60が洗浄ユニット部60で、70が塗布ユニット部であり、洗浄ユニット部60は、光造形によって形成した造形品に未硬化の状態で残っている液状樹脂を洗浄して取り除くユニットで、61は図示していないテーブル支持ユニットに向けて放射された洗浄液を貯溜する貯溜漕、62は洗浄液を循環して利用するための循環ポンプと貯溜層61とを接続する接続部である。63は前記テーブル支持ユニットを支持するセット枠で、セット枠63の両側縁部には隣接する搬送ユニット部80との間で前記テーブル支持ユニットを移送する搬送レールが設けられている。また、セット枠63は昇降可能に支持され、任意の高さ位置に調節可能である。64は前記テーブル支持ユニットの造形テーブルに形成されている造形品に洗浄液を放射する洗浄液散布部で、この洗浄液散布部64には洗浄液を放射するノズルが配置されている。すなわち、この洗浄液散布部64で搬送レール上を運ばれてくる前記造形テーブルに形成された造形品に洗浄液が散布され、未硬化の状態で残っている液状樹脂が洗浄されて取り除かれる。しかし、この洗浄の際に造形物が流されてしまうという現象がまま起こる。しかも、作成された造形物の寸法がμmオーダーのマイクロ造形物である場合には、一旦流失させたものは微細構造物であるため回収は不可能で、せっかく手間暇掛けて作成した苦労は水泡に帰してしまう。特に、造形物の基礎となる基板との接触面積が少ないものでは流失事故が頻発するという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2001−158050号公報
【特許文献2】特開2002−127261号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、光硬化性樹脂液に光照射を行ないながら、三次元の造形物を得るマイクロ光造形の技術において、作成された造形物が基台上に堅固に固着形成でき、樹脂洗浄時に流失させることがないマイクロ光造形装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
レーザー光源からのレーザービームを光硬化性樹脂にスポット照射して光造形を行なう本発明のマイクロ光造形装置は、造形物が基板上に堅固に形成され洗浄時に流失するようなことがないように、光造形物の基礎となる領域にアンカー部を備えた基板を採用するものである。
また、本発明ではそのようなアンカーの具体例として、基板面上に微細な凹状形状を形成するもの、基板面上に微細な凸状形状を形成するもの、更には光造形物と親和性がよい材料の膜を基板面上に形成するものを提示した。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、前述したように光硬化性樹脂液に光照射を行ないながら、三次元の造形物を得るマイクロ光造形の技術において、作成された造形物が樹脂洗浄時に流失してしまうことがないように、基台上に堅固に固着形成できる技術を開発することに出発した。特に加工される光造形物と基台との接触面積が小さい場合でも堅固に基台上に固着できることを模索し、基礎部分の光造形物と基台の接触を単純な平面接触では無く互いに入り組んだアンカー構造をとるようにすること、また、光造形物と基台の接触を親和性の材料同士とすることで組織的に密なるアンカー形態とすることに想到したものである。
本発明を具体的に説明する前に本発明で用いられる光造形装置の全体構成を図1に示し説明しておく。1はレーザー光源であり、2はレーザービームの通過/遮断機能をもつシャッター、3はニュートラルデンシティフィルタ(NDフィルタ)で、レーザー光の透過量を制限する機能を有する。4,5はミラー、6,7,10はレンズ、8,9はビームをX方向とY方向に走査させるガルバノミラー、11は光を透過光と反射光に二分するビームスプリッタ、12は結像レンズであり、13は絞り、14は対物レンズ、そして15はカバーガラス、16は光硬化性樹脂、17はガラス基板で18は該ガラス基板をXYZ方向に移動させる三次元移動機構であり、19は観察用の照明で、20がカバーガラス15上に設置された対物レンズ用のZ移動機構であり、21は観察用のCCD撮像カメラである。レーザー光源1からのレーザー光はNDフィルター3で透過量を制限されレンズ6で一旦集光されてから広げられ、レンズ7で平行光線とされる。平行光線とされたレーザー光はガルバノミラー8でX(またはY)方向に振られ、次いでガルバノミラー9でY(またはX)方向に振られる。走査偏向されたレーザー光はレンズ10により集光されてから広げられ結像レンズ12へ入れられるが、本発明では集光点と結像レンズ12間の位置にビームスプリッタ11が配設される。この結像レンズ12でレーザー光は平行光線にされ、絞り13を通過したレーザー光が対物レンズ14で光硬化性樹脂層16に集光される。カバーガラス15を介してこのレーザースポットが照射された部分の樹脂が光硬化する。ここで、光硬化させるパターンはCAD情報等から得られた形状情報に基き前記ガルバノミラー8,9が走査されレーザースポットが断面形状をなぞる。そして該当Z位置の加工が終了したならばシャッター2がレーザー光を遮断した状態でXYZ方向移動機構18でガラス基板17の位置をZ方向に下げて樹脂層の厚みを変えて、一つ上の層のパターンを形成する。
【0009】
当初の光造形はガラス基板17の上面部から開始され、その部分が作成される光造形物の基礎となる。造形がなされた後の洗浄時に造形物が流失してしまわないようにするためには、この部分での固着状態が堅固であるようにガラス基板17など基台となる側の形状を非平面とアンカー構造をとるようにした。非平面とすることで、造形物が基台から剥がれないようにすることとし、具体的には図2に示すようにガラス基板17の面部に凹状形状Hを形成し、アンカーとした。図ではガラス基板17だけでなく、カバーガラス15にも凹状形状Hを形成しているが、これはカバーガラス15を基台として光造形を成長させる加工法もあり、その際に有効な構成である。図中右下部に光硬化した造形物を拡大表示してあるが、その基台と接触している基礎部分は凹状形状の構造内に根をはやした形態であるため、容易に剥離することのない堅固な固着状態である。この凹状形状Hは作成される光造形物の寸法にもよるが、1〜10μm程度のものとなる。
【0010】
図3に本発明の異なる実施形態を示す。この実施形態はガラス基板17の面部に凸状形状Mを形成してアンカーとした。図ではガラス基板17だけでなく、カバーガラス15にも凸状形状Mを形成しているが、これは先の例と同様カバーガラス15を基台として光造形を成長させる加工法の際に有効な構成である。図中右下部に光硬化した造形物を拡大表示してあるが、その基台と接触している基礎部分は凸状形状Mが造形物に食い込んだ形態であるため、容易に剥離することのない堅固な固着状態である。この凸状形状Mは作成される光造形物の寸法にもよるが、先の例と同様1〜10μm程度のものとなる。
【0011】
図4に本発明の更に異なる実施形態を示す。この実施形態の特徴は光造形物と基台との境界形状を非平面にして構造的に固着状態を堅固にするのでは無く、光造形物と基台との材質同士の相性をみて整合を計り、組織的に密なる形態としてアンカーとしたものである。両者の親和性を高くするには基本的に同質の材料で形成することが効果的である。そこでここに示したアンカー例はガラス基板17および/又はカバーガラス15の面に、光造形物を形成する光硬化性樹脂16と同材料の樹脂で光硬化させた膜を予め形成させたものを用いるようにしたものである。光構造物の基礎となる基台表面が加工される造形物と同一材質であることから、組織的に密なる構造として一体的形成される。従ってこの基礎部分は堅固な固着となり、樹脂洗浄の際に剥がれて流失してしまうようなことはない。
この例は基台となるガラス基板17および/又はカバーガラス15の面に光造形物と同材質の被膜を施したものであるが、原理的には同一材料に限らず親和性の高い材料であれば用いることができる。
また、親和性の高い材料の被膜を形成するこの実施形態は先の形状構造的なアンカー形態と併用組合せて実施することも可能であり、そうすることにより更なる堅固な固着を実現することができる。
【0012】
【発明の効果】
本発明のマイクロ光造形装置は、レーザー光源からのレーザービームを光硬化性樹脂にスポット照射して光造形を行なう装置において、光造形物の基礎となる領域にアンカー部を備えた基板を採用するものであるから、造形物が堅固に基板上に形成され未硬化樹脂の洗浄時に流失してしまうようなことがなくなる。
本発明のマイクロ光造形装置におけるアンカーの一つの形態は光造形物の基礎となる基台表面を非平面面形状、具体的には微細な凹状形状であるとか、微細な凸状形状であるなどとするものであるから、簡単な形状加工によって堅固なアンカーを簡単に実現することができる。
また、本発明のマイクロ光造形装置におけるアンカーの他の形態は基板面上に形成される光造形物と親和性がよい材料の膜を形成させるものであるから、組織的に密なる形態で一体的形成され、この基礎部分は堅固な固着となり、樹脂洗浄の際に剥がれて流失してしまうようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロ光造形装置の全体構成を示す図である。
【図2】アンカーとして基台表面に凹状形状を形成した本発明の1実施形態を説明する図である。
【図3】アンカーとして基台表面に凸状形状を形成した本発明の他の実施形態を説明する図である。
【図4】アンカーとして基台表面に光造形物と親和性の高い材料の被膜を施した本発明の更に異なる実施形態を説明する図である。
【図5】樹脂内部硬化型マイクロ光造形法の従来技術を説明する図で、Aはその全体図Bはその要部拡大図である。
【図6】従来の光造形装置における洗浄システムを説明する図である。
【符号の説明】
1 レーザー光源 14 対物レンズ
2 シャッター 15 カバーガラス
3 フィルター 16 光硬化性樹脂
4,5 ミラー 17 ガラス基板
6,7,10 レンズ 18 XYZ移動機構
8,9 ガルバノミラー H 凹状形状
11 ビームスプリッタ M 凸状形状
12 結像レンズ R 樹脂膜
13 絞り
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体形状データを基にして液体状の光硬化性樹脂に対し、形状部分にレーザー光を照射することにより前記樹脂を硬化させて前記立体形状を形成させる所謂光造形の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ビームスポットを照射して光硬化性樹脂を硬化させ、三次元の形状物に造形する技術は、光造形法として知られている。この三次元光造形法として、樹脂液槽内に垂直方向に上下するテーブルを設け、テーブルを液面下から始め、テーブルと液面との間に所定のレーザーを所定の平面領域照射し、テーブル上に一定厚みの所定形状の硬化層を作り、次に、テーブルを一定深さ沈めて、同様に液面と既硬化層表面レベルとの間に光を照射し、次の硬化層を積層する。その後、テーブルを一定深さ沈め、上記の工程を繰り返して一定厚みの所定形状の硬化層を積み重ねて所要の三次元の造形物を生成する所謂積層法と、光により硬化する光硬化性樹脂液を容器内に収容し、光エネルギーが前記物質の硬化に必要なエネルギーレベルをもって点状に集中するように光照射を行ないながら、前記容器を水平及び垂直に移動させることで、三次元の造形物を得る方法とが知られている。
【0003】
後者の光造形法としては特許文献1がある。この文献には既に開発されている液状の光硬化性樹脂の内部にレーザースポットを走査し任意の3次元構造を形成する方法(紫外レーザーを光源とした内部硬化型マイクロ造形法:Super IH process 略してSIH)の技術には光照射条件の最適化、光硬化性樹脂の硬化特性の最適化等各種の高度な最適化が必要であることや、深部での内部硬化が困難である等の問題があることを指摘している。その上で、この問題点を解決することを目的とした新規な発明として、透明性を有する近赤外パルスレーザー光に着目し、この近赤外パルスレーザー光を利用して2光子吸収を誘起することによって焦点近傍のみにおいて紫外レーザーと同じエネルギーに高め、ピンポイントで樹脂を硬化できる2光子マイクロ光造形方法およびその装置を提示している。その具体的な構成として、図5のAに全体構成をBに要部拡大図を示す。この方法は、近赤外パルスレーザー光源aからの光をミラースキャナーdを通した後、レンズを用いて光硬化性樹脂h中に集光させ、2光子吸収を誘起することによって焦点近傍のみにおいて樹脂を硬化させることを特徴とする。装置としては、近赤外パルスレーザー光源aからの光をミラースキャナーdを通した後、レンズfを用いて光硬化性樹脂h中に集光させる手段と、Zステージeとミラースキャナーdを高速に走査することにより樹脂中の任意の位置に集光スポットSを移動させることができる集光スポット移動手段とを備えていることを特徴とする。
【0004】
ところで、いずれの光造形法で構造物の作成を行なうにせよ、作成された造形物は光硬化樹脂液内に浸かった状態、あるいは表面に未硬化の樹脂液が付着した状態にある。このため、加工後に比較的高粘性である未硬化の樹脂を洗浄して取り出すことになる。因みに特許文献2には図6に示す洗浄システムが開示されている。図中60が洗浄ユニット部60で、70が塗布ユニット部であり、洗浄ユニット部60は、光造形によって形成した造形品に未硬化の状態で残っている液状樹脂を洗浄して取り除くユニットで、61は図示していないテーブル支持ユニットに向けて放射された洗浄液を貯溜する貯溜漕、62は洗浄液を循環して利用するための循環ポンプと貯溜層61とを接続する接続部である。63は前記テーブル支持ユニットを支持するセット枠で、セット枠63の両側縁部には隣接する搬送ユニット部80との間で前記テーブル支持ユニットを移送する搬送レールが設けられている。また、セット枠63は昇降可能に支持され、任意の高さ位置に調節可能である。64は前記テーブル支持ユニットの造形テーブルに形成されている造形品に洗浄液を放射する洗浄液散布部で、この洗浄液散布部64には洗浄液を放射するノズルが配置されている。すなわち、この洗浄液散布部64で搬送レール上を運ばれてくる前記造形テーブルに形成された造形品に洗浄液が散布され、未硬化の状態で残っている液状樹脂が洗浄されて取り除かれる。しかし、この洗浄の際に造形物が流されてしまうという現象がまま起こる。しかも、作成された造形物の寸法がμmオーダーのマイクロ造形物である場合には、一旦流失させたものは微細構造物であるため回収は不可能で、せっかく手間暇掛けて作成した苦労は水泡に帰してしまう。特に、造形物の基礎となる基板との接触面積が少ないものでは流失事故が頻発するという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2001−158050号公報
【特許文献2】特開2002−127261号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、光硬化性樹脂液に光照射を行ないながら、三次元の造形物を得るマイクロ光造形の技術において、作成された造形物が基台上に堅固に固着形成でき、樹脂洗浄時に流失させることがないマイクロ光造形装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
レーザー光源からのレーザービームを光硬化性樹脂にスポット照射して光造形を行なう本発明のマイクロ光造形装置は、造形物が基板上に堅固に形成され洗浄時に流失するようなことがないように、光造形物の基礎となる領域にアンカー部を備えた基板を採用するものである。
また、本発明ではそのようなアンカーの具体例として、基板面上に微細な凹状形状を形成するもの、基板面上に微細な凸状形状を形成するもの、更には光造形物と親和性がよい材料の膜を基板面上に形成するものを提示した。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、前述したように光硬化性樹脂液に光照射を行ないながら、三次元の造形物を得るマイクロ光造形の技術において、作成された造形物が樹脂洗浄時に流失してしまうことがないように、基台上に堅固に固着形成できる技術を開発することに出発した。特に加工される光造形物と基台との接触面積が小さい場合でも堅固に基台上に固着できることを模索し、基礎部分の光造形物と基台の接触を単純な平面接触では無く互いに入り組んだアンカー構造をとるようにすること、また、光造形物と基台の接触を親和性の材料同士とすることで組織的に密なるアンカー形態とすることに想到したものである。
本発明を具体的に説明する前に本発明で用いられる光造形装置の全体構成を図1に示し説明しておく。1はレーザー光源であり、2はレーザービームの通過/遮断機能をもつシャッター、3はニュートラルデンシティフィルタ(NDフィルタ)で、レーザー光の透過量を制限する機能を有する。4,5はミラー、6,7,10はレンズ、8,9はビームをX方向とY方向に走査させるガルバノミラー、11は光を透過光と反射光に二分するビームスプリッタ、12は結像レンズであり、13は絞り、14は対物レンズ、そして15はカバーガラス、16は光硬化性樹脂、17はガラス基板で18は該ガラス基板をXYZ方向に移動させる三次元移動機構であり、19は観察用の照明で、20がカバーガラス15上に設置された対物レンズ用のZ移動機構であり、21は観察用のCCD撮像カメラである。レーザー光源1からのレーザー光はNDフィルター3で透過量を制限されレンズ6で一旦集光されてから広げられ、レンズ7で平行光線とされる。平行光線とされたレーザー光はガルバノミラー8でX(またはY)方向に振られ、次いでガルバノミラー9でY(またはX)方向に振られる。走査偏向されたレーザー光はレンズ10により集光されてから広げられ結像レンズ12へ入れられるが、本発明では集光点と結像レンズ12間の位置にビームスプリッタ11が配設される。この結像レンズ12でレーザー光は平行光線にされ、絞り13を通過したレーザー光が対物レンズ14で光硬化性樹脂層16に集光される。カバーガラス15を介してこのレーザースポットが照射された部分の樹脂が光硬化する。ここで、光硬化させるパターンはCAD情報等から得られた形状情報に基き前記ガルバノミラー8,9が走査されレーザースポットが断面形状をなぞる。そして該当Z位置の加工が終了したならばシャッター2がレーザー光を遮断した状態でXYZ方向移動機構18でガラス基板17の位置をZ方向に下げて樹脂層の厚みを変えて、一つ上の層のパターンを形成する。
【0009】
当初の光造形はガラス基板17の上面部から開始され、その部分が作成される光造形物の基礎となる。造形がなされた後の洗浄時に造形物が流失してしまわないようにするためには、この部分での固着状態が堅固であるようにガラス基板17など基台となる側の形状を非平面とアンカー構造をとるようにした。非平面とすることで、造形物が基台から剥がれないようにすることとし、具体的には図2に示すようにガラス基板17の面部に凹状形状Hを形成し、アンカーとした。図ではガラス基板17だけでなく、カバーガラス15にも凹状形状Hを形成しているが、これはカバーガラス15を基台として光造形を成長させる加工法もあり、その際に有効な構成である。図中右下部に光硬化した造形物を拡大表示してあるが、その基台と接触している基礎部分は凹状形状の構造内に根をはやした形態であるため、容易に剥離することのない堅固な固着状態である。この凹状形状Hは作成される光造形物の寸法にもよるが、1〜10μm程度のものとなる。
【0010】
図3に本発明の異なる実施形態を示す。この実施形態はガラス基板17の面部に凸状形状Mを形成してアンカーとした。図ではガラス基板17だけでなく、カバーガラス15にも凸状形状Mを形成しているが、これは先の例と同様カバーガラス15を基台として光造形を成長させる加工法の際に有効な構成である。図中右下部に光硬化した造形物を拡大表示してあるが、その基台と接触している基礎部分は凸状形状Mが造形物に食い込んだ形態であるため、容易に剥離することのない堅固な固着状態である。この凸状形状Mは作成される光造形物の寸法にもよるが、先の例と同様1〜10μm程度のものとなる。
【0011】
図4に本発明の更に異なる実施形態を示す。この実施形態の特徴は光造形物と基台との境界形状を非平面にして構造的に固着状態を堅固にするのでは無く、光造形物と基台との材質同士の相性をみて整合を計り、組織的に密なる形態としてアンカーとしたものである。両者の親和性を高くするには基本的に同質の材料で形成することが効果的である。そこでここに示したアンカー例はガラス基板17および/又はカバーガラス15の面に、光造形物を形成する光硬化性樹脂16と同材料の樹脂で光硬化させた膜を予め形成させたものを用いるようにしたものである。光構造物の基礎となる基台表面が加工される造形物と同一材質であることから、組織的に密なる構造として一体的形成される。従ってこの基礎部分は堅固な固着となり、樹脂洗浄の際に剥がれて流失してしまうようなことはない。
この例は基台となるガラス基板17および/又はカバーガラス15の面に光造形物と同材質の被膜を施したものであるが、原理的には同一材料に限らず親和性の高い材料であれば用いることができる。
また、親和性の高い材料の被膜を形成するこの実施形態は先の形状構造的なアンカー形態と併用組合せて実施することも可能であり、そうすることにより更なる堅固な固着を実現することができる。
【0012】
【発明の効果】
本発明のマイクロ光造形装置は、レーザー光源からのレーザービームを光硬化性樹脂にスポット照射して光造形を行なう装置において、光造形物の基礎となる領域にアンカー部を備えた基板を採用するものであるから、造形物が堅固に基板上に形成され未硬化樹脂の洗浄時に流失してしまうようなことがなくなる。
本発明のマイクロ光造形装置におけるアンカーの一つの形態は光造形物の基礎となる基台表面を非平面面形状、具体的には微細な凹状形状であるとか、微細な凸状形状であるなどとするものであるから、簡単な形状加工によって堅固なアンカーを簡単に実現することができる。
また、本発明のマイクロ光造形装置におけるアンカーの他の形態は基板面上に形成される光造形物と親和性がよい材料の膜を形成させるものであるから、組織的に密なる形態で一体的形成され、この基礎部分は堅固な固着となり、樹脂洗浄の際に剥がれて流失してしまうようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロ光造形装置の全体構成を示す図である。
【図2】アンカーとして基台表面に凹状形状を形成した本発明の1実施形態を説明する図である。
【図3】アンカーとして基台表面に凸状形状を形成した本発明の他の実施形態を説明する図である。
【図4】アンカーとして基台表面に光造形物と親和性の高い材料の被膜を施した本発明の更に異なる実施形態を説明する図である。
【図5】樹脂内部硬化型マイクロ光造形法の従来技術を説明する図で、Aはその全体図Bはその要部拡大図である。
【図6】従来の光造形装置における洗浄システムを説明する図である。
【符号の説明】
1 レーザー光源 14 対物レンズ
2 シャッター 15 カバーガラス
3 フィルター 16 光硬化性樹脂
4,5 ミラー 17 ガラス基板
6,7,10 レンズ 18 XYZ移動機構
8,9 ガルバノミラー H 凹状形状
11 ビームスプリッタ M 凸状形状
12 結像レンズ R 樹脂膜
13 絞り
Claims (4)
- レーザー光源からのレーザービームを光硬化性樹脂にスポット照射して光造形を行なう装置において、光造形物形成の基礎となる基板にアンカー部を備えることによって、造形物が洗浄時に流れてしまわないように堅固に基板上に形成されることを特徴とするマイクロ光造形装置。
- 前記アンカーは基板面上に形成された微細な凹状形状である請求項1に記載のマイクロ光造形装置。
- 前記アンカーは基板面上に形成された微細な凸状形状である請求項1に記載のマイクロ光造形装置。
- 前記アンカーは基板面上に形成される光造形物と親和性がよい材料の膜である請求項1に記載のマイクロ光造形装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003012601A JP2004223810A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | アンカー基板を備えたマイクロ光造形装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003012601A JP2004223810A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | アンカー基板を備えたマイクロ光造形装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004223810A true JP2004223810A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=32901161
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003012601A Pending JP2004223810A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | アンカー基板を備えたマイクロ光造形装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004223810A (ja) |
-
2003
- 2003-01-21 JP JP2003012601A patent/JP2004223810A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20200282650A1 (en) | Device and method for creating three-dimensional structures | |
JP3803735B2 (ja) | リコートと同時に光走査する光固化造形装置 | |
EP1103368B1 (en) | Apparatus for forming three-dimensional laminated product from photocurable liquid | |
Naessens et al. | Flexible fabrication of microlenses in polymer layers with excimer laser ablation | |
JP7012705B2 (ja) | 光重合性拡散反射材料を固化させるための方法 | |
JPS61114818A (ja) | 立体形状形成装置 | |
US20210031438A1 (en) | Multimaterial fabrication for digital light processing based 3d printing and systems therefor | |
WO2006109355A1 (ja) | 異波長レーザー光を用いた多光束微小構造物光造形方法及び装置 | |
JP2930455B2 (ja) | 三次元形状の形成方法 | |
Kirchner et al. | Benchmarking surface selective vacuum ultraviolet and thermal postprocessing of thermoplastics for ultrasmooth 3-D-printed micro-optics | |
Park et al. | Investigation of three-dimensional pattern collapse owing to surface tension using an imperfection finite element model | |
US10118338B2 (en) | Additive manufacturing with integrated microliter resin delivery | |
JP2004223810A (ja) | アンカー基板を備えたマイクロ光造形装置 | |
JPH0224122A (ja) | 光学的造形体の透明化処理方法 | |
JPH0523588B2 (ja) | ||
JP3805749B2 (ja) | 薄膜硬化型光造形装置 | |
JPH0295831A (ja) | 三次元形状の形成方法および装置 | |
JP3378406B2 (ja) | 三次元造形方法およびそれに用いる装置 | |
JP3380367B2 (ja) | 三次元造形装置および方法 | |
JP3988964B2 (ja) | 光造形加工法によるマイクロマシン用可動装置の形成方法 | |
JP2004223809A (ja) | 樹脂安定供給機能を備えたマイクロ光造形装置 | |
JP4376649B2 (ja) | 異波長レーザー光を用いた多光束微小構造物光造形方法及び装置 | |
JP2004223791A (ja) | 層厚可変型マイクロ光造形装置 | |
RU2783378C2 (ru) | Пористый полимерный трехмерный объект сложной формы и способ изготовления пористого полимерного трехмерного объекта сложной формы | |
JP2001322177A (ja) | 立体造形方法および立体造形装置 |