JP2004222727A - フラボバクテリウム・ヘパリナム由来のヘパリナーゼiiiの核酸配列および発現系 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)のヘパリナーゼIIIの遺伝子をクローニングし、その塩基配列を決定し、その遺伝子を発現させること。
【解決手段】 ヘパリンおよびヘパラン硫酸塩を分解するヘパリナーゼIII(EC 4.2.2.8)をコード化するフラボバクテリウム・ヘパリナム由来の遺伝子を単離し、配列を決定する。さらに、フラボバクテリウム・ヘパリナムのグリコサミノグリカン・リアーゼ遺伝子由来のプロモータから誘導された修飾リボソーム結合領域を用いて、ヘパリナーゼIIIを発現させる。また、細胞を破砕し、陽イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティ・クロマトグラフィ、およびヒドロキシル・アパタイト・クロマトグラフィを用いてタンパク質を精製する。さらに、フラボバクテリウム・ヘパリナムタンパク質に共通な翻訳後の修飾部分に対する抗体およびそれらの部分およびヘパリナーゼIIIのアミノ酸配列に特異的な抗体を得る。
【選択図】図2

Description

この発明は、フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)のヘパリナーゼIIIに対するクローニング、塩基配列決定、および遺伝子発現に関する。
ヘパリンおよびヘパラン硫酸塩群の分子は、グルコサミン残基とイズロンまたはグルコロンのいずれか一方からなるヘキスロン酸残基との繰り返しからなるもので、グルコサミンの2,3,または6位、あるいはヘキサロン酸の2位が硫酸化している。ヘキスロン残基が交互になった構造と同様に硫酸化の程度および位置は一定ではない。従来からヘパリンは、二糖類あたり硫酸塩が2.6分子というように、硫酸塩含有量が高く、一方でイズロン酸含有量が少ない分子とされている。それとは反対に、ヘパラン硫酸塩は硫酸塩の含有量が低く、二糖類あたり硫酸塩が0.7ないし1.3分子であり、さらにイズロン酸の含有量は僅かである。しかし、中間組成物の変異が存在しており、全生物学的源から得られたヘパリンの特性について未だ記述されてはいない。
ヘパリンの特異的硫酸化/グルコシル化様式は生物学的機能、例えば、非特許文献1に記載された抗トロンビン結合部位や、非特許文献2に記載された線維芽細胞成長因子に関連している。それらの例から明らかなことは、ヘパリンとある種の分子との相互作用が起こるということは、特異的配列によって与えられた構造の結果として起こるもので、ただ単に硫酸塩の組成が高いことによる静電相互作用によるものではない。ヘパリンは、種々の哺乳動物分子と相互作用する。その結果、非特許文献3と非特許文献4とに要約された止血、細胞増殖、遊走、粘着等のいくつかの生物学的事象が変化する。ウシの肺およびブタの腸から抽出したヘパリンは、非特許文献5によって血小板凝集を阻止する性質を有することが発見されたことから、抗凝血剤として使用されている。ヘパリンおよび化学的修飾を受けたヘパリンは、創傷治癒および血管疾患治療の領域における医療上の用途について検討が続けられている。
ヘパリナーゼあるいはヘパリンリアーゼと呼ばれるヘパリンを劣化させる酵素がいくつかの微生物、例えば、非特許文献6にまとめられているように、フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)、バクテリオデス種(Bacteriodes sp.) 、およびアスペルギルス・ニダランス(Aspergillus nidulans) で同定されている。また、ヘパリチナーゼおよびヘパラン硫酸塩リアーゼは、血小板(非特許文献7)、腫瘍(非特許文献8)、および内皮細胞(非特許文献9)で検出されている。哺乳動物のヘパラナーゼはヘパラン硫酸塩の炭化水素主鎖をヘキスロン酸(1→4)グルコサミン結合のところで加水分解する際に触媒として作用する(非特許文献10)。一方で、哺乳動物のヘパラナーゼは高硫酸化ヘパリンによる阻害作用を受ける。しかし、これらの酵素の生化学的特徴を正確に把握することは、該酵素分子の均質な試料を調製する方法が知られていないため、かなり困難である。
フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)は、ヘパリンおよびヘパラン硫酸塩を劣化させる酵素を産生する。これらの酵素には、非特許文献11に記載のヘパリナーゼI(E.C. 4.2.2.7)、特許文献1に記載のヘパリナーゼII、非特許文献12に記載のヘパリナーゼIII(E.C. 4.2.2.8)という術語が付けられている。これらの酵素は、ヘパリン/ヘパラン硫酸塩の主鎖にあるグルコサミン残基とヘキスロン酸残基との間の(α1→4)炭化水素結合の脱離的な切断を触媒する。3種類の酵素の変異体は、特定の炭化水素残基に対する作用がそれぞれ異なる。非特許文献13に記載されているように、ヘパリナーゼI は、α-D-GlcNp2S6S(1→4)α-L-IdoAp2Sのところで切断し、ヘパリナーゼIIIはα-D-GlcNp2Ac(または2S) 6OH (1→4)β-D-GlcApのところで切断し、さらにヘパリナーゼIIはいずれかの結合で切断する。各酵素の第2切断部位もまた、デサイらの文献に記載されている。
ヘパリナーゼIは、非特許文献14に要約されているように、ヘパリンの抗凝血特性を臨床上中和するのに用いられている。また、ヘパリナーゼIおよびIII は、非特許文献15によって示されたような細胞−増殖因子相互作用と、非特許文献16に示されるような細胞−リポタンパク質相互作用とに変化を及ぼすことが知られている。十分な純度と量とを備えたヘパリン劣化酵素が入手できるということは、重要な診断用あるいは治療用配合物の開発につながる。
米国特許第5,169,772 号、ジムマーマンおよびクーニー(Zimmerman and Cooney) チョアイらの文献:Choay et al., Thrombosis Res. 18: 573-578 (1980) ターンバルらの文献:Turnbull et al.,J. Biol. Chem. 267: 10337-10341 (1992) クジェレンおよびリンダールの文献:Kjellen and Lindahl, Ann Rev Biochem. 60: 443-475 (1991) バーゲスおよびマカイグの文献:Burgess and Macaig, Ann. Rev. Biochem. 58: 575-606 (1989) マクレーン(文献:McLean, Am. J. Physiol. 41: 250-257 (1916)) リンハードらの文献(Linhardt et al., Appl. Biochem. Biotechnol. 12:135-177 (1986)) Oldberg et al., Biochemistry 19: 5755-5762 (1980) Nakajima et al., J. Biol. Chem. 259: 2283-2290 (1984) Gaal et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 161: 604-614 (1989) Nakajima et al., J. Cell. Biochem. 36: 157-167 (1988) ヤングらの文献:Yang et al., J. Biol. Chem. 260 (3): 1849-1857 (1985) ロースおよびリンハードの文献:Lohse and Linhardt, J. Biol. Chem. 267: 24347-24355 (1992) デサイらの文献:Desai et al., Arch. Biochem. Biophys. 306 (2): 461-468 (1993) ボーおよびジムマーマンの文献:Baugh and Zimmbermann, Perfusion Rev. 1(2): 8-13, 1993 バシュキンらの文献:Bashkin et al., J. Cell Physiol. 151: 126-137 (1992) チャペルらの文献:Chapell et al., J. Biol. Chem. 268 (19):14168-14175 (1993)
(発明の要約)
本発明がなされる以前は、部分精製されたヘパリナーゼIIおよびIIIが入手可能であった。しかし、それらのアミノ酸配列は知られていなかった。これらの酵素は宿主細胞に対して毒性を示すため、クローニングするのが困難であった。本発明者は、ヘパリナーゼIIおよびIIIにかかわる遺伝子のクローニングを可能とし、ここにそれら酵素のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を提示する。
フラボバクテリウム・ヘパリナム(F.heparinum)からヘパリンおよびヘパラン硫酸塩劣化酵素を高純度で単離するための方法を記載する。各タンパク質の特性を調べたところ、ヘパリナーゼI、II、およびIIIがグルコプロティンであることが示された。3種類のタンパク質全てがN−末端アミノ酸残基で修飾されている。精製ヘパリナーゼをウサギに注射することによって産生された抗体によって、フラボバクテリウム・ヘパリナム(F.heparinum)由来のタンパク質に対して高い交差反応性を示す抗血清が生じた。非単一クローン抗体をアフィニティークロマトグラフィによって、上記タンパク質のアミノ酸部分に結合する複数の分画と、それらの抗体を利用して各ヘパリナーゼタンパク質の未変性および組み換え型を特異的に識別することを可能とする分画とに分けた。
アミノ酸配列の情報をオリゴヌクレオチドの合成に用い、続いてヘパリナーゼIIおよびヘパリナーゼIIIの遺伝子からなる部分を増幅するために該オリゴヌクレオチドを用いてポリメラーゼ・チェイン・リアクション法(PCR)を行った。増幅された領域を用いて、フラボバクテリウム・ヘパリナム(F.heparinum)のゲノムDNAに含まれるλDASH-II遺伝子ライブラリー由来のクローンの同定を試みた。ヘパリナーゼIIおよびヘパリナーゼIII遺伝子全体を含むクローンに対する自然選択を観察した。このことは、ヘパリナーゼII遺伝子のフラグメントを別々にクローニングすることによって、さらに完全ヘパリナーゼIII遺伝子を安定に維持する宿主をスクリーニングすることによって、巧みに回避した。ヘパリナーゼIIおよびIIIの発現は、ヘパリナーゼIの発現の程度を著しく増大させる修飾リボゾーム結合部位が含まれるベクターを用いることによって達成される。
この特許には、フラボバクテリウム・ヘパリナム(F.heparinum)由来のヘパリナーゼIIおよびIIIの遺伝子およびアミノ酸配列が記述されており、これら遺伝子およびアミノ酸配列は、酵素を産生する適当な表現系と組み合わせて使用されるものである。また、ヘパリナーゼI、II、およびIIIを発現するために用いられる修飾リボソーム結合配列が記載されている。
(発明の詳細な説明)
以下のように用語の定義を行うことによって、明細書および請求の範囲を理解するための手助けとする。この際、該用語によって与えられる範囲も含まれる。
遺伝子(Gene)。“遺伝子”という用語はDNA配列を意味するもので、その鋳型またはメッセンジャーRNAを介して特定のペプチドに特有なアミノ酸の配列をコード化する。さらに、この用語には、調節領域と同様に、介在領域、非コドン領域を含み、さらに5′および3′末端が含まれる。
遺伝子配列(Gene sequence )。“遺伝子配列”という用語は、一般に1つ以上の遺伝子または遺伝子フラグメントを含むDNA分子、同様に非翻訳または非転写を含むDNA分子を一般に意味する。この用語の意味は、さらに遺伝子、遺伝子フラグメント、同一DNA上に存在する非翻訳配列または非転写配列のいずれかを含む。
本発明の配列を、DNA、合成DNA、RNA、あるいはそれらの組み合わせ等、種々のものから得てもよい。そのような遺伝子配列は、自然に生ずる介在配列を含むか、あるいは含まないゲノムDNAが含まれるものであってもよい。さらに、そのようなゲノムDNAはプロモータ領域またはポリA配列に関連させて得ることもできる。遺伝子配列、ゲノムDNA、またはcDNAはいくつかの方法のいずれによって得ることができる。ゲノムDNAは、当業者に既知の方法を用いて、脳細胞等の適当な細胞から抽出および精製することができる。あるいは、mRNAを細胞から単離し、逆転写酵素あるいは他の手段を用いてcDNAを作ることができる。
組み換えDNA(Recombinant DNA)。用語“組み換えDNA”によってとは、インビトロの系でcDNAまたはゲノムDNA配列をスプライシングすることによって組み換えられた分子であることを意味する。
クローニング用ビヒクル(Cloning Vehicle)。宿主細胞内で複製するプラスミドまたはファージDNAまたは他のDNA配列。クローニング用ビヒクルは、一つ以上のエンドヌクレアーゼ認識部位を持つことを特徴とするもので、形質転換したDNAを識別するのに用いられる適当なマーカーが含まれるDNAの必須の生物学的機能を損うことなく、上記部位でDNA配列が限定的な様式でもって切断される。マーカーとしては、例えば、テトラサイクリン耐性細胞またはアンピシリン耐性細胞が含まれる。ベクターという用語は、クローニング用ビヒクルを内包するために用いることができる。
制御配列の発現(Expression Control Sequence)。構造遺伝子に対して作用的に結合された場合に、該構造遺伝子の発現を制御あるいは調節する核酸の配列。このような配列としては、λファージのlac系、trp系主オペレータおよびプロモータ領域、fgコート・タンパク質の制御領域、および原核または真核細胞における遺伝子発現を制御することが知られている他の配列があげられる。
発現用ビヒクル(Expression vehicle)。クローニング用ビヒクルに類似しているけれども、すでにクローニングされ、かつ宿主に形質転換された遺伝を発現させることが可能なビヒクルまたはベクター。このクローニングされた遺伝子は、ある種の制御配列、例えばプロモータ配列の制御下に置かれる(すなわち、作用を受けることが可能なかたちで結合)。発現制御配列は、ベクターが作用を受けることが可能なかたちで結合した遺伝子を原核または真核細胞宿主内で発現させるように設計されたもので、エンハンサー・エレメント、終止配列、組織特異的エレメント、および(または)翻訳開始および終了部位等の転写エレメントをさらに含むかどうかに、非常に依存している。
プロモータ(Promoter)。“プロモータ”という用語は、RNAポリメラーゼによって認識されるDNA配列を意味する。そのような配列が存在することによって、作用的に結合した遺伝子配列にRNAポリメラーゼを結合させ、かつ該遺伝子配列の転写を可能とする。
プロモータ領域(Promoter region)。“プロモータ領域”という用語は、転写の開始に必要とされる遺伝子配列とともにプロモータ配列が含まれた幅広い意味でつかわれる。したがって、プロモータ領域は作用的に結合した遺伝子配列の発現を引き起こすのに十分なものとして存在する。
作用的に結合(Operably Linked)。本願で使用しているように、“作用的に結合”という表現は、プロモータが遺伝子発現開始を制御するということを意味する。宿主細胞に導入された場合、プロモータが隣接するDNA(proximal DNA)の配列に作用を及ぼすことが可能なようにして結合(作用的に結合)し、隣接するDNAの一つ以上の配列を一種類以上のRNAに転写することを決定する。プロモータは、該プロモータがDNA配列の転写を開始する条件を可能とする場合に、DNA配列と作用的に結合する。
原核生物(Prokaryote)。“原核生物”という用語の意味には、細菌などの真の核を持たない全ての生物が含まれる。
宿主(Host)。“宿主”という用語の意味には、原核生物のみならず、真核生物、例えば酵母や糸状菌類、同様に植物細胞および動物細胞が含まれる。また、この用語には、複製可能な発現ビークルを受容する生物体または細胞が含まれる。
本発明は、いままでクローン化されていなかった2種類の酵素のクローン化および発現に着目したものである。従来、ヘパリナーゼIIおよびIIIは部分的には精製されていたけれども、アミノ酸配列を手に入れることはできていない。特に、本発明は、フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)由来のヘパリナーゼIIおよびIIIのクローニング、塩基配列決定、および発現、さらにそれらの遺伝子の発現に修飾リボゾーム結合領域を用いることについて開示する。核酸配列に加えて、ヘパリナーゼIIおよびIIIのアミノ酸配列も提供する。さらに、本発明はヘパリナーゼI、II、およびIIIを発現させる方法とともに、発現されたこれらの酵素を提供する。
クローニングは、以下に詳しく説明するように、精製されたヘパリナーゼフラグメントのアミノ酸配列から誘導された変性および“ゲスマー(guessmer)”核酸プライマーを用いて行った。アミノ酸配列は、いままで入手することはできなかった。フラボバクテリウム・ヘパリナム(F.heparinum)DNAが大腸菌(E.coli)内で毒性を示すという予想外の問題のため、クローニングはたいへん困難なものであった。本発明者は、以下に詳しく説明するように、この問題を解決するための方法を発見した。この開示にもとづいて、当業者は本願に開示された新規な方法を用いてフラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)または別の供給源からさらにヘパリナーゼおよび他のタンパク質のクローンを容易に得ることができる。
本発明では、さらにヘパリナーゼの発現についても開示している。ヘパリナーゼI、II、およびIIIを発現させるために、適当な宿主に認識されうる転写および翻訳のシグナル配列が必要である。クローン化されたヘパリナーゼをコード化する配列は、上記した方法を通じて得られ、好ましくは二重鎖形状をなすものである。この配列は、発現ベクター内での転写発現を制御する配列に作用的に結合し、原核生物または真核生物のいずれかの宿主細胞に導入されて、組み換えヘパリナーゼまたはその機能性誘導体を作る。転写発現を制御する配列に対して作用的に結合しているのはヘパリナーゼ・コード配列のどちらの鎖であるかに依存して、ヘパリナーゼ・アンチセンスRNAまたはその機能的誘導体の発現も可能とする。大腸菌(E.coli)でヘパリナーゼI,II,およびIIIを発現させるために、tacロモータの2つの繰り返しによって発現が誘導されるベクターを構築した。このプロモータのリボゾーム結合領域の修飾は、ポリメラーゼ鎖反応によって突然変異を起こさせることによって行った。発現ベクターの好ましい修飾では、最小コンセンサス・シャイン‐ダルガルノ配列は、シャイン‐ダルガルノ配列とATG開始コドンとの間のヌクレオチドの数を減少させるという利点をさらにもたらす単一突然変異(AGGAA→AGGAG)の誘発によって改善される。ポリメラーゼ鎖反応(PCR)を用いてさらに修飾を加えることができ、それによってシャイン−ダルガルノ配列と開始コドンとの間のギャップがさらに縮まった。同様の方法を用いて、この領域に、挿入および欠失等の修飾をさらに加え、別のヘパリナーゼ発現ベクターを作ることができる。その結果、ヘパリナーゼを発現するための発現ベクターは、5塩基対シャイン−ダルガルノ配列、シャイン−ダルガルノ配列とATG開始コドンとの間の9塩基対スペーサ領域、および組み換えヌクレオチド配列コード化を含む修飾リボゾーム結合領域を有するものとして与えられる。このベクターに対する修飾としては、シャイン‐ダルガルノ配列の長さおよび配列を変えること、またシャイン‐ダルガルノ配列と開始コドンとの間を、8,7,6,5,4またはそれ以下のヌクレオチドに減少させることによっても行うことも含まれる。これらの新規な発現ベクターを用いたヘパリナーゼ発現方法は、本発明の好ましい実施態様を含む。
異なる宿主でのヘパリナーゼの発現は、異なる翻訳後修飾を引き起こすこともあり、該修飾によって真核細胞、特に哺乳動物、昆虫、および酵母の細胞においてヘパリナーゼあるいはその機能的誘導体の特性が変わることもある。特に好ましい宿主は、生体内(in vivo)、動物内、または組織培養内のいずれかの哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞は組み換えヘパリナーゼに対して転写後修飾を与える。この修飾には、天然のヘパリナーゼに見出されるものと類似あるいは同様な部位での折り畳みおよび(または)グリコシレーションが挙げられる。もっとも好ましくは、哺乳動物宿主細胞として脳およびニューロブラストーマ細胞が挙げられる。
核酸分子(例えば、DNA)は、転写調節情報を持つ発現制御配列を有し、かつそのような配列がポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列に“作用的に結合”している場合、ポリメラーゼを“発現させる能力を持つ”といえる。
作用的に結合とは、調節配列の影響または制御下で配列の発現を行うようにして該調節配列(または複数の調節配列)に配列が結合する連鎖(リンケージ)である。2つのDNA配列(例えば、ヘパリナーゼをコード化する配列と該コード配列の5′末端に結合したプロモータ領域配列)は、プロモータ機能の誘導がヘパリナーゼ・コード配列mRNAの転写となる場合と、2つのDNA配列間の結合が(1)フレームシフト突然変異を誘導としないこと、(2)ヘパリナーゼの発現を指示する発現調節配列の能力を妨害しないこと、あるいは(3)はプロモータ領域によって転写されるヘパリナーゼ・テンプレートの能力を妨害しない場合とにおいて、作用的に結合しているといえる。したがって、プロモータがDNA配列の転写を引き起こすことができた場合、プロモータ領域が該DNA配列に作用的に結合していたといえる。
遺伝子発現に必要とされる調節遺伝子の特性は、種または細胞型によって変化に富んでいると思われる。しかし一般的には、不可欠なものとして、それぞれが転写および翻訳の開始を含むTATAボックス、キャップ配列、CAAT配列等の5′非転写および5′非翻訳(非コード化)配列が挙げられる。特に、そのような5′非転写制御配列には、作用的に結合した遺伝子の転写制御を担うプロモータを持つ領域が含まれる。
必要に応じて、ヘパリナーゼの融合産物を形成してもよい。例えば、ヘパリナーゼをコード化する配列がタンパク質を分泌させるか、もしくは特に宿主のタンパク質の区画化を許容するシグナル配列に結合していてもよい。そのようなシグナル配列は、シグナル・ペプチド配列が続いて起こる解離に最も適するように、特異的なプロテアーゼ部位を伴って、あるいは伴わずに設計されてもよい。もしくは、この蛋白質に対する活性シグナル配列を用いてもよい。
転写開始調節シグナルは、抑制または活性を可能とするように選択され、作用的に結合した遺伝子の発現が修飾される。
この開示にもとづいて、当業者は本発明の配列を追加の発現ベクターに組み込み、かつ種々の細菌に形質転換して組み換えヘパリナーゼIIまたはヘパリナーゼIIIを容易に得ることができる。
上記構成要素を有するベクターまたはDNA配列が発現用に一度調製されると、形質移入等の適当な手段が種々ある場合、いずれかの手段でもって該DNA構成要素が適当な宿主細胞に導入される。ベクターの導入後、受容細胞の増殖 を、ベクター含有細胞を選択的に増殖させる選択培地で行う。クローン化遺伝子配列の発現によって、ヘパリナーゼI、II、またはIIIの産生、あるいはこれらのタンパク質のいずれか一つのフラグメントが産生される。発現は連続的に形質転換細胞で、あるは制御されたかたち、例えば形質転換細胞の分化誘導(例えば、ブロモデオキシウラシルをニューロプラストーマ細胞等に投与する)に続いて発現させるかたちで行われる。
発現したタンパク質を従来の条件、例えば抽出、沈殿、クロマトグラフィ、電気泳動等で単離および精製する。ヘパリナーゼの単離に関する詳細な手順は、以下の実施例で詳細に述べる。
本発明は、さらにヘパリナーゼII、ヘパリナーゼIII、および修飾リボゾーム結合部位の配列の機能的誘導体を提供する。本願で使用されているように、“機能的誘導体(functional deriative)”という用語は、もとのDNA配列から誘導され、かつ本来の親分子の生物学的活性を有するどのようなDNAも定義する。機能的誘導体は、もとのDNA配列で一つ以上の塩基を挿入、欠失、または置換することができる。置換は、タンパク質の機能に対して実質的に何ら影響を及ぼさない他のアミノ酸によって本来のアミノ酸が置き換わるものである。当業者は、有望な置換として、積極的にタンパク質の機能を変えるような置換、例えば小さく、かつ中性に帯電したアミノ酸を他の小さく、かつ中性に帯電したアミノ酸配列に置換するような、確実なタンパク質の機能化が含まれることを認識するであろう。また、従来から知られている方法、例えば部位直接的突然変異誘発等の既知の従来法のいずれか一法を用いてDNAの遺伝子突然変異を誘発することによってヘパリナーゼの機能的誘導体を認識することができるということを、当業者は認識するであろう。さらに、ランダムな遺伝子突然変異を導入することができ、機能を保持する突然変異体を適当なスクリーニングにより得ることができる。
本発明の抗体として、単クローン抗体、ポリクローン抗体、同様にこれらの抗体のフラグメントが含まれる。本発明の抗体のフラグメントとして、限定されるものではないが、Fab、Fab2、およびFcフラグメントが含まれる。
また、本発明は上記抗体を産生することが可能なハイブリドーマを提供する。ハイブリドーマは特定の単クローン抗体を分泌することが可能な永続的な細胞系統である。
一般に、所望の抗体を産生することが可能なハイブリドーマと同様にポリクローン抗体及び単クローン抗体を調製する方法は、従来からよく知られている(Campbell, A.M., “Monoclonal Antibody Technology: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology”, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands (1984); St. Groth et al., J. Immunol. Methods 35: 1-21 (1980))。
抗体を産生することが知られている任意の哺乳動物を、疑似遺伝子によって免疫することができる。免疫法は従来からよく知られている。そのような方法としては、ポリペプチドを皮下注射あるいは腹膜下注射することが挙げられる。当業者は、免疫化に使用されるヘパリナーゼの量が免疫される動物、ペプチドの抗原性、および注射する部位に大きく依存することを理解することができよう。
免疫源として使用されるタンパク質を、該タンパク質の抗原性を高めるために修飾したり、あるいはアジュバントとともに処方する。タンパク質の抗原性を高める方法は従来からよく知られており、限定されるものではないけれども、例えば異種タンパク質(例えばグロブリンまたはβ- ガラクトシダーゼ)と抗原とをカップリングさせたり、あるいは免疫化の際にアジュバントを含有させたりすることが挙げられる。
単クローン抗体に関して、免疫化した動物から脾臓細胞を取り出し、ミエローマ細胞、例えばSP2/0-Ag14ミエローマ細胞と融合させ、単クローン抗体産生ハイブリドーマ細胞となるようにする。
既知の方法のいずれか一つを用いて所望の特性を有する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定することができる。既知の方法としては、酸素結合免疫吸着法(ELISA)、ウエスタン・ブロッティング分析、または放射線免疫アッセイが挙げられる(Lutz et al., Exp. Cell. Res. 175:109-124 (1988))。
所望の抗体を分泌するハイブリドーマをクローン化し、そのクラスおよびサブクラスを既知の方法で決定した(Campbell, A.M., Monoclonal Antibody Technology: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands (1984)) 。
ポリクローン抗体に関して、抗体含有抗血清を免疫化動物から採取し、上記した方法のいずれか一つを用いて所望の特異性を有する抗体の存在についてスクリーニングを実施した。
本発明は、さらに上記抗体を検出可能な標識を付したかたちで提供する。抗体に付される検出可能な標識は、放射線同位元素、親和性標識(例えば、ビオチン、アビジンなど)、酵素標識(例えば、ワサビ・ペルオキシダーゼ、アルカリ−フォスファターゼなど)、蛍光標識(例えば、FITCまたはローダミンなど)、常磁性原子、化学発光標識などである。そのような標識を実施するための方法は当業者によく知られたものであり、例えばスターンバーガ(Sternberger, L.A. et al.)の文献を参照せよ(Stermberger, L.A.et al., J. Histochem. Cytochem. 18:315 (1970); Byer, E.A. et al., Meth. Enzym. 62: 308 (1979); Engval, E. et al., Immunol. 109:129(1972); Goding, J.W., J.Immunol. Meth. 13:215 (1976))。
本発明は、さらに固体支持体に固定された上記抗体を提供する。そのような固体支持体の例としては、ポリカーボネート等のプラスチック、アガロースおよびセファロース等の複合炭化水素、ポリアクリルアミドおよびラテックス・ビーズ等のアクリル樹脂が挙げられる。抗体をそのような固体支持体にカップリングさせるための方法は、当業者によく知られている(Weir et al., Handbook of Experimental Immunology, 4th Ed., Blackwell Scientific Publications, Oxford, England (1986))。本発明の固定化抗体をヘパリナーゼの免疫親和性精製に用いることができる。
本発明を概略的に説明した。一連の特定の実施例によって同様なことを理解することができよう。なお、該実施例に限定されるものではない。
(実施例1: へパリナーゼの精製)
ヘパリン・リアーゼ酵素をフラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)培養物から精製した。フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)の培養は、ガイエール(Galliher)らの文献:Galliher et al.,Appl Environ. Microbiol. 41(2):360-365 (1981)に記載された規定栄養培地に改良を加えた培地を用い、15リットルのコンピュータ制御発酵槽で行った。発酵は、ヘパリン・リアーゼを産生するように設計されたもので、ヘパリナーゼ合成の誘導物質として上記改良培地に1.0g/lの濃度の半精製ヘパリン(ケルスス・ラボラトリー(Celsus Laboratories))が加えられている。細胞を遠心により回収し、ジムマーマンおよびコニー(Zimmermann and Cooney)の米国特許第5,262,325号(この特許番号を参照することによって該特許の内容を本願に併合するものとする)に記載された浸透圧ショック法に変更を加えて実施することによって、ペリプラズム間隙から所望の酵素を放出させた。
ヘパリン酵素の半精製試料は、ジムマーマン(Zimmermann)らの米国特許第5,262,325 号に記載された方法の変法によって得られた。粗浸透圧処理産物から得られたタンパク質を伝導率1〜7μmhoの陽イオン交換樹脂(CBX、J.T. ベーカー(Baker)に吸着させた。抽出物から非結合タンパク質を破棄し、樹脂をクロマトグラフィー・カラム(5.0cm i.d.×100cm)に充填した。結合タンパク質の溶出は、0.01Mリン酸塩、0.01Mリン酸塩/0.1M塩化ナトリウム、0.01Mリン酸塩/0.25M塩化ナトリウム、および0.01Mリン酸塩/1.0M塩化ナトリウムからなる階段勾配(各々がpH7.0+/−0.1)を用い、かつ線流量3.75cm・min−1で行った。ヘパリナーゼIIは0.1M塩化ナトリウムに溶出し、一方ヘパリナーゼ1および3は0.25M分画に溶出した。
あるいは、0.1M塩化ナトリウムの段階を除外し、3種類のヘパリナーゼを共に0.25M塩化ナトリウムに溶出させた。ヘパリナーゼ分画をセルフィン・スルフェート(5.0cm i.d.×30cm,アミコン(Amicon))含有カラム上に充填し、0.1Mリン酸塩、0.01Mリン酸塩/0.2M塩化ナトリウム、0.01Mリン酸塩/0.4M塩化ナトリウム、および0.01Mリン酸塩/1.0M塩化ナトリウムからなるかる階段勾配(各々がpH7.0+/−0.1)で、かつ線流量2.50cm/min−1で溶出した。ヘパリナーゼIIおよび3が0.2M塩化ナトリウム分画に溶出し、一方ヘパリナーゼIは0.4M分画に溶出した。
セルフィン・スルフェート・カラムの0.2M塩化ナトリウム分画を、0.01Mリン酸ナトリウムで希釈し、伝導度を5μmhos未満とした。この溶液をさらに精製するために、該材料をヒドロキシル・アパタイト・カラム(2.6cm i.d.×20cmに載せ、結合タンパク質を溶出させた。この際、線流量を1.0cm・min−1とし、0.01Mリン酸塩、0.01Mリン酸塩/0.35M塩化ナトリウム、0.01Mリン酸塩/0.45M塩化ナトリウム、0.01Mリン酸塩/0.65M塩化ナトリウム、および0.01Mリン酸塩/1.0M塩化ナトリウムの段階濃度(すべてがpH7.0+/−0.1)とした。ヘパリナーゼIIIは0.45M塩化ナトリウム分画の単一タンパク質ピークに溶出し、一方ヘパリナーゼIIIは0.65M塩化ナトリウム分画の単一タンパク質ピークに溶出した。
セルフィン・スルフェート・カラムから得られ、かつ希釈されて伝導率が5μmhos未満となった物質をヒドロキシルアパタイト・カラム(2.6cm i.d.×20cm)に載せ、結合タンパク質を溶出させた。この際、線流量を1.0cm・min−1とし、またリン酸塩の濃度勾配を直線状(0.01から0.25M)とし、さらに塩化ナトリウムの濃度勾配を直線状(0.0から0.5M)とした。ヘパリナーゼIは勾配のおおよそ中間の位置に現れた単一タンパク質ピークに溶出した。
この方法によって得られたヘパリナーゼ酵素をラエムリの方法(Laemmli, Nature 227: 680-685(1970))を用いてドデシル硫酸ナトリウム‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって分析し、ゲルの定量をスキャニング・デンシトメータ(バイオ・ラッド(Bio-Rad)、型式GS-670)によって行った。ヘパリナーゼI、II、およびIIIの分子量は、それぞれ42,500±2,000、84,000±4,200、および73,000±3,500ダルトンであった。これらのタンパク質の精製度は、すべて99%を上回るものであった。ヘパリナーゼ酵素の精製結果を表1に示す。
ヘパリナーゼ活性は、ヤング(Yang)らによって記載された分光光度分析法によって決定した。また、ヘパラン硫酸塩の分解活性を測定するために、この分析法の変法として、0.018Mトリス、0.044M塩化ナトリウム、および1.5g/lヘパラン硫酸を含む反応緩衝液(pH7.5)を含む方法を用いた。
組み換えヘパリナーゼIは、活性ヘパリナーゼを得るために変性および再度の折重ねを必要とする細胞内封入体を形成する。2種類の溶媒(尿素およびグアニジン塩酸塩)が溶解液となるかを調べた。もちろん、6MのグアニジンHClのみがヘパリナーゼ1封入体を溶解させることができた。しかし、封入体を3M尿素および6MグアニジンHClで連続的に洗浄することによってもっとも高い精製度が達成された。尿素による洗浄工程は、グアニジンHClによって凝集ヘパリナーゼIを溶解するのに先だって、大腸菌(E.coli)タンパク質や細胞の破片を除去するためのものである。
組み換えヘパリナーゼIの調製は、大腸菌(E.coli)Y1090(pGHep1)株を0.1MのIPTGを含むルリア・ブロス培地で増殖させることによって行った。この株は、タンデムtacプロモータから発現するヘパリナーゼI遺伝子を持つプラスミドを有する。細胞を遠心によって濃縮し、0.01Mナトリウムリン酸塩および0.2M塩化ナトリウムを含む1/10容量の緩衝液(pH7.0)に再懸濁した。パワー・セッティングを#3とし、30秒周期で間欠的に5分間にわたって細胞を音波破砕し、封入体を遠心(7,000×g、5分)によって濃縮した。ペレットの洗浄を3Mの冷尿素で、2時間、pH7.0で2度にわたって行い、さらに遠心によって不溶性の物質を回収した。ヘパリナーゼIを6MグアニジンHCl含有50mMDTTで変性させ、さらに0.1M硫酸アンモニウムによる透析によって復元(refold)した。追加の混在タンパク質を0.1M硫酸アンモニウムで沈殿させ、遠心によって除去することができた。この方法によって精製されたヘパリナーゼIは、比活性が42.21IU/mgであり、SDS-PAGE/走査型デンシトメータによる分析では90%の精製度であった。この酵素を、既に記載したように、陽イオン交換クロマトグラフィによってさらに精製することができ、SDS-PAGE/走査型デンシトメータによる分析では99%を越える精製度でヘパリナーゼI試料を得ることができる。
(実施例2: ヘパリナーゼの特性決定)
3種類のヘパリナーゼ酵素の分子量および動力学的特性は、ロースおよびリンハード(Lohse and Linhardt)によって正確に報告されている(Lohse and Linhardt, J.Biol. Chem. 267: 24347-24355 (1992))。しかし、タンパク質の翻訳後修飾の正確な特性決定については行われていない。本願で記載したようにして精製されたヘパリナーゼI、II、およびIIIを、炭化水素部分の存在について分析した。2ugのヘパリナーゼI、II、およびIIIと組み換え体ヘパリナーゼIとを含む溶液に0.2M酢酸ナトリウムを添加し、pH5.7にした。これらのタンパク質試料に対してグリコトラック・キット(GlycoTrack kit (Oxford Glycosystems)に記載されているプロトコール2aにもとづいて炭化水素のビオチニレーション(biotinylation)を行った。各ビオチル化タンパク質溶液30μlをSDS-PAGE(10%ゲル)にかけて、170mAの定電流でエレクトロブロッティングすることによってニトロセルロース膜に移した。ビオチニル化炭化水素は、ビオチン基に対してストレプトアバジン−アルカリホスファターゼ接合体(conjugate)を結合させた後、特異的呈色反応を行うことによって検出した。これらの分析によって、ヘパリナーゼIおよびIIがグリコシル化していること、またヘパリナーゼIIIおよび組み換えヘパリナーゼIはグリコシル化していないことが明らかになった。
野生型ヘパリナーゼIをウサギに注射することによって得たポリクローン抗体を以下に示すように、2つの集団に分画することができた。これらの分画の一つはフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)が作るタンパク質に共通の転写後部分を認識し、他方の分画はヘパリナーゼIを含むアミノ酸配列を特異的に認識することが明らかとなった。フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)によって作られたヘパリナーゼ酵素のすべてが“非特異的”抗体によって認識された。しかし、大腸菌(E.coli)によって作られたヘパリナーゼは認識されなかった。ヘパリナーゼIから得られる非タンパク質抗原性決定子の もっとも有望なものは、炭化水素成分である。したがって、ウエスタン・ブロッティング実験では、フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)によって作られたリアーゼのすべてがグリコシル化されていることが示されている。
精製ヘパリナーゼIIおよびIIIはエドマン法にもとづいて分析し、完全なタンパク質のN−末端アミノ酸残基を決定した。しかし、エドマンの化学ではアミノ酸を遊離することができず、翻訳後の修飾が両ヘパリナーゼのN-末端アミノ酸残基で生ずることが示された。ヘパリナーゼIIおよびIIIの1nmol試料を用いて、ピログルタメート・アミノペプチダーゼを加えた脱遮断を行った。対照群試料は、ピログルタメート・アミノペプチダーゼなしに1nmolタンパク質試料を模擬脱遮断することによって調製した。全試料を10mM NHCH,pH7.5および10mM DTT(100μl終容量)に入れた。非対照群試料に対して、1mUのピログルタメート・アミノペプチダーゼを添加し、全試料を8時間、37℃でインキュベートした。インキュベーション後、0.5mUのピログルタメート・アミノペプチダーゼをさらに非対照群試料に添加し、全試料をさらに16時間、37℃でインキュベートした。
脱遮断緩衝液を10,000ダルトン・カットオフ・セントリコン・ユニット(10,000 Dalton cut-off Centricon unit)を用いて35%のギ酸に交換し、試料を真空状態で乾燥させた。試料のアミノ酸配列をエドマン法にもとづいて行った。
フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)の3種類のヘパリナーゼの特性を表2に示す。
単離用のペプチドフラグメントを作るために、ヘパリナーゼIIおよびIII をブロモシアンによって消化した。このタンパク質溶液(1〜10mg/mlタンパク質濃度)のDTT濃度を0.1Mにし、40℃、2時間インキュベートした。試料を冷凍し、真空条件下で凍結乾燥した。ペレットを70%のギ酸に再懸濁し、窒素ガスで溶液を泡立てて酸素を除去した。CNBrのストック溶液を70%のギ酸で作り、このストック溶液を窒素ガスで泡立てて暗所で短時間保存した。CNBrを添加するために、タンパク質のメチオニン残基に対して500〜1,000倍モル過剰のCNBrを用いた。CNBrストック溶液をタンパク質溶液に加え、窒素ガスで泡立てて、さらに試験管を密閉した。反応試験管を暗所で24℃、20時間インキュベートした。
試料を真空条件下で部分的に乾燥させ、試料に水を加えて、さらに部分的凍結乾燥を繰り返した。この洗浄手順を試料ペレットが白色となるまで繰り返した。ペプチド混合物をギ酸に溶解しバイダック(Vydac)C18逆相HPLCカラム(4.6mm i.d.×30cm)にかけて、10〜90%アセトニトリル含む1%トリフルオロ酢酸による直線濃度勾配で個々のペプチドフラグメントを線流速6.0cm・min−1で溶出した。これらの反応からフラグメントを回収し、アプライド・バイオシステムズ745Aプロティン・シークエンサ(Applied Biosystems 745A Protein Sequencer)を用いてアミノ酸配列を決定した。ヘパリナーゼIIから単離した3種類のペプチドは、それぞれ配列がEFPEMYNLAAGR(配列識別番号5)、KPADIPEVKDGR(配列識別番号6)、およびLAGDFVTGKILAQGFGPDNQTPDYTYL(配列識別番号7)であって、さらにそれぞれペプチド2A,2B 、および2Cと命名された。また、ヘパリナーゼIIIから得たペプチドは、配列がそれぞれLIKNEVRWQLHRVK(配列識別番号8)、VLKASPPGEFHAQPDNGTFELFI(配列識別番号9)、およびKALVHWFWPHKGYGYFDYGKDIN(配列識別番号10)であって、さらにそれぞれペプチド3A、3B、および3Cと命名された。
(実施例3:ヘパリナーゼ・タンパク質に対する抗体)
本願の記載にもとづいて精製したヘパリナーゼI、II、およびIIIと組み換えヘパリナーゼIを用いてウサギのポリクローン抗体の産生を行った。ヘパリナーゼI、II、およびIIIの各々を以下の標準的な免疫化手順に供した。1mlの滅菌リン酸緩衝生理食塩水に溶解した0.5〜1.0mgの精製タンパク質からなるプライマリ・インジェクションを、1mlのフロイント・アジュバント(Cedarlane Laboratories, Ltd.)とともにホモゲナイズした。このタンパク質−アジュバント乳化剤を用いてニュージーランド・ホワイト系雌ウサギに対して注射を行った。すなわち、ウサギあたり1ml、股関節部近傍の菲薄化した筋肉内、後ろ足一本あたり0.5m筋内注射(i.m.)した。2ないし3週間後、このウサギに対して、不完全フロイント・アジュバント(Cedarlane Laboratories, Ltd.) 1mlとともにホモゲナイズしたリン酸緩衝生理食塩水に溶解した精製タンパク質0.5〜1.0mlからなる注射追加免疫を行った。再び2ないし3週間後に、ウサギに対して2回目の注射による追加免疫を行った。
最終注射追加免疫約10日後に各動物の耳中心動脈から採血した。試料を2時間、22℃で凝固させ、その後4℃で一晩インキュベートし、さらに5,000rpmで10分間遠心して透明化させることによって。血清を調製した。抗血清をトリス緩衝液(pH7.5)で1:100,000に希釈して、ウエスタン・ブロッティング分析にかけ、抗ヘパリナーゼI、II、およびIII抗体を含む血清の同定を行った。
野生型ヘパリナーゼIに対して抗体が産生されたが、組換えヘパリナーゼIに対しては産生されず、他のフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)タンパク質に対する交差反応の度合いが高かった。このことは、大腸菌(E.coli)には認められず、フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)に共通な抗原性翻訳後の修飾の存在によるものと思われる。この点をさらに検討するために、組換えヘパリナーゼIをセファロース・ビーズに固定化し、クロマトグラフィ・カラムに充填した。精製抗ヘパリナーゼI(野生型)抗体をカラムに載せて未結合分画を回収した。結合抗体を0.1Mグリシン、pH2.0で溶出した。IgGが未結合および結合分画の両方で検出され、続いてそれをウエスタン・ブロッティング実験に使用した。未結合分画から単離された抗体はフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)を認識した。しかし、もはや組換えヘパリナーゼI(大腸菌)を検出することなく、結合分画から単離した抗体のみがフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)および大腸菌(E.coli)のいずれで合成されたヘパリナーゼIであっても認識した。この結果によれば、仮説したように、抗体の2つの集団が野生型ヘパリナーゼI抗原に曝されることによって形成され、一つはタンパク質主鎖に対して特異的であり、他方はフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)タンパク質の翻訳後の修飾部分を認識する。
このような知見によって、特異的抗ヘパリナーゼ抗体の精製手段と野生型ヘパリナーゼIタンパク質の特性を決定するためのツールとが提供される。
(実施例4: フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)遺伝子ライブラリーの構築)
フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)の染色体DNAライブラリをλファージDASHIIに構築した。マニアチスらの文献;Maniatis, et al. Molecular Cloning Manual, Cold Spring Harbor (1982)の記載に従って、0.4ugのフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)染色体DNAを制限酵素Sau3A 部分消化し、サイズが20kb周辺の大部分のフラグメントを作った。このDNAをフェノール/クロロホルム抽出し、エタノール沈殿させ、λDASHIIのアームに連結させ、さらにλDASHII/BamHIクローニング・キット(Stratagene, La Jolla, CA)のパッキング・エクストラクトによってパッキングした。パッキング後、このライブラリの力価は約10−5pfu/mlであった。シルヘビイらの文献:Silhavy, T.J., et al. Experiments in Molecular Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory (1992)の記載されているようにして平板溶解法によって10−8pfu/mlに増幅し、−70℃で保存した。
フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)染色体ライブラリーの力価は約300pfu/プレートであった。これを大腸菌(E.coli)からなるローンの上に上敷きし、一晩37℃で細胞へのトランスフェクションを行い、プラークを形成させた。マニアチスらの文献(上掲)の記載に従って、ファージ・プラークをニトロセルロース紙に移し、ファージのDNAをフィルタに結合させた。
(実施例5: フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)グリコサミノグリカン・リアーゼ発現のための修飾リボソーム結合領域)
完全ヘパリナーゼIタンパク質の遺伝子をベクターpB9のEcoRI部位にクローン化した。この部位ではtac プロモータ(発現ベクターpKK223-3由来、Brosius, and Holy, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6929-6933 (1984))の2つの繰り返し配列によってその発現が駆動される。このベクターpBhep では、ヘパリナーゼIに対する最初のコドンATGは最小シャイン‐ダルガルノ配列AGGA(Shine and Dalgarno, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 71: 1342-1346 (1974))からの10ヌクレオチドによって分離した(図1)。この構成を大腸菌(E.coli)株JM109に形質転換し、37℃で増殖し、回収2時間前に1mM IPTGで誘導した。細胞を音波破砕し、細胞膜分画をペレット化し、さらに上清を回収した。膜分画を6MグアニジンHClに再懸濁し、組換えヘパリナーゼI酵素を含む封入体の溶解を行った。この溶解ヘパリナーゼIを20mMリン酸緩衝液で希釈して再生させた。酵素活性は再生ペレット分画および上清分画で測定した。低い値の活性が上清およびペレット分画で検出された。SDS-PAGEによる分画の分析では、両方の分画に組換えヘパリナーゼIに対応するマイナー・バンドが含まれている可能性が示された。
pBhepからの発現レベルを高めるために、図1に示すように2種類の突然変異を導入した。シャイン−ダルガルノ配列の長さを増加させることによって、またシャイン−ダルガルノ配列とATG開始部位との距離を縮めることによってヘパリナーゼImRNAの翻訳度合いを改善するために、上記突然変異を作った。PCRを用い、AをGに変換した単一塩基突然変異はシャイン−ダルガルノ配列を最小AGGA配列からAGGAG配列に改善し、一方シャイン−ダルガルノ配列と翻訳開始部位との距離は10塩基対から9塩基対となった。この構成をpGhep と命名する。第2の構成p△4hepでは、4つのヌクレオチド(AACA)がPCRを用いることによって欠失され、シャイン−ダルガルノ配列を長くしてAGGAGにするとともに、ATG開始部位の5塩基対のなかにそれを移動する。
異なる構成を上記のように分析した。pGhepによって形質転換した大腸菌(E.coli)由来の再生ペレットは、pBhepを含む大腸菌(E.coli)由来の再生ペレットと比較した場合、ヘパリナーゼI活性が約7倍増加した。一方、p△4hepを含む大腸菌(E.coli)は、pBhepを含む大腸菌(E.coli)と比較して2〜3倍少ない活性を示した。上清のヘパリナーゼI活性のレベルも同様であった。
プラスミドpBhepをEcoRIで消化し、S1ヌクレアーゼ処理することによってブラント末端DNA(blunt-ended DNA)を形成した。つぎに、プラスミドDNAをBamHIで消化し、クレノウフラグメントによって単一鎖末端を埋めて二重鎖にした。ブラント末端DNAを結合し、大腸菌(E.coli)FTB1株に形質転換した。特有のBamHI部位を含み、かつヘパリナーゼI遺伝子DNAを含まないプラスミドをカナマイシン耐性コロニーから精製し、プラスミドpGB とした。DNA配列分析によれば、このプラスミドpGBは修飾リボソーム結合部位を含むもので、図1に示した。
(実施例6:ヘパリナーゼIIをコード化した核酸)
2種類のペプチド配列2Aおよび2Bの情報を利用し、かつ表3に示したフラボバクテリウム(Flavobacterium)のコンセンサス・コドンを用いて、4通りの“ゲッスマー(guessmer)”を合成した。これらは、
5'-GAATTCCCTGAGATGTACAATCTGGCCGC-3' ( 配列識別番号11) 、
5'-CCGGCAGCCAGATTGTACATTTCAGG-3' (配列識別番号12),
5'-AAACCCGCCGACATTCCCGAAGTAAAAGA-3' ( 配列識別番号13) 、および
5"-CGAAAGTCTTTTACTTCGGGAATGTCGGC-3' ( 配列識別番号14) であり、それぞれ2-1 ,2-2 ,2-3 ,および2-4と命名されている。オリゴヌクレオチドをBio/CAN Mississauga, Ontario)ペプチド・シンセサイザを用いて合成した。これらのオリゴヌクレオチドの対をPCR反応のプライマーとして用いた。フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)染色体DNAを制限エンドヌクレアーゼSalI、XbaI、またはNotIで消化し、さらにフラグメント化したDNAを結合してテンプレートDNAとして使用した。ポリメラーゼ鎖反応混合物を、DNA増幅試薬キット(Perkin Elmer Cetus, Norwalk, CT)を用いて調製した。PCR増幅は、50mM KCl,10mMトリスHCl, pH9、0.1%トリトン X−100,1.5mM MgCl ,4種類のデオキシリボース・ヌクレオチド・トリホスフェート(dNTP)の各々を0.2mM、100pmolの各プライマー、10ngのフラグメント化フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)ゲノムDNA、さらに2.5単位のTaqポリメラーゼ(Bio/CAN Scientific Inc., Mississauga, Ontario) 含む100μl反応量でもって行った。試料を自動加熱ブロック(DNAサーマル・サイクラー、Barnstead/Thermolyne Corporation, Dubuque, IA)に静置した。この自動加熱ブロックは、変性温度92℃(1分)、アニーリング温度37℃、42℃、または45℃(1分)、および伸展温度72℃(2分)の段階周期にプログラムした。この周期を35回繰り返した。得られたPCR生成物をマニアチスら(上掲)の記載に従って、0.6ug/mlのエチジウムブロマイドを含む1.0%アガロースゲル上で分析した。DNAフラグメントはオリゴヌクレオチド2-2 および2-3 から得られた。サイズが250bpおよび350bpのフラグメントをまずはじめに1%アガロースゲル電気泳動によって分離し、ゲンクリーンI キット(GENECLEAN I kit)(Bio/CAN Scientific Inc., Mississauga, Ontario)を用いてDNAを抽出した。精製フラグメントを事前にNotIによって消化したpTZ/PC(Tessier and Thomas、未発表)に結合(リゲーション)させ(図2) 、さらにマニアチスら(上掲)の記載に従ってリゲーション混合物を用いて大腸菌(E.coli)FTB1の形質転換を行った。制限酵素およびT4 DNAリガーゼはすべてニュー・イングランド・バイオラボ(New England Biolabs)(Mississauga, Ontario)から購入した。
株FTB1はわれわれの研究室で構成した。lacIq抑制遺伝子を持ち、かつ野生型大腸菌(E.coli)よりも10倍多くlac リプレッサーを産生するXL-1Blue大腸菌(E.coli)株(Stratagene, La Jolla, CA)のF′エピソームを、ミラーの文献:Miller, Experiments in Molecular Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory(1972)に記載されているようにして、大腸菌(E.coli)TB1 株に移した(Baker,T.A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81: 6779-6783 (1984))。FTB1のバックグラウンドはlacオペレータを持つプロモータ(すなわち、lacおよびTaqプロモータ)を有するプラスミドからの転写をより一層緊縮させる。FTB1の形質転換から得られたコロニーをアンピシリン含有LB寒天培地で選択し、マニアチスら(上掲)の記載されているようにして、寒天培地に含まれるX-galおよびIPTGによって与えられた青/白スクリーンを用いてスクリーニングした。形質転換体をコロニー・クラッキングによって分析し、またDNAのミニ・プレパレーションをRPM キット(Bio/CAN Scientific Inc., Mississauga, Ontario) を用いた酵素制限分析用に作った。プラスミドは、EcoRIおよびHindIIIによる消化によって作られた適切なサイズの挿入配列(インサート) を含んでいた。
DNAの塩基配列決定(シークエンシング)によって、プラスミドの一つ、pCE14に、ペプチド2C由来の期待されるDNAを持つ350bpPCRフラグメントが含まれることが明らかになった。DNA配列は、サンガーらのジデオキシ連鎖停止法(Sanger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 74: 5463-5467 (1978))によって決定した。シークエンシングの反応はシークエナーゼ・キット(Sequenase Kit)(U.S. Biochemical Corp., Cleveland, Ohio)および35S-dATP (Amersham Canada Ltd. Oakville, Ontario, Canada)を用いて、供給元の指示にしたがって行った。
ヘパリナーゼII遺伝子は、上記したフラボバクテリウム・ヘパリナム
(F. heparinum)染色体DNAライブラリからクローン化した(図2)。10個のプラークを含むフィルターをDNAプローブと雑種形成(ハイブリダイゼーション)させた。このDNAプローブはpCE14 のゲル精製挿入配列から作られたもので、ランダム・ラベリング・キット(Random Labeling Kit)(Boehringer Mannheim Canada, Laval, Quebec) を用いて標識した。プラーク・ハイブリダイゼーションは、マニアチスら(上掲)の記載にもとづいて、65℃、16時間、テック・スター・ハイブリダイゼーション・オーブン(Tek Star hybridization oven)(Bio/CAN Scientific Inc., Mississauga, Ontario)で行った。続いて、65℃で洗浄を行った。すなわち、2倍SSCで15分、2回、2倍SSX/0.1%SDSで30分、1回、さらに0.5倍SSC/0.1%SDSで15分、1回の洗浄を行った。陽性のプラークをプラスチック製のマイクロピペット・チップを用いて回収し、マニアチスら(上掲)の記載にもとづいて、ドット・ブロッティング分析によって確認した。ファージのうちの6つが強い雑種形成シグナルを示し、それらをサザンハイブリダイゼイション分析に用いた(Southern, E.M., J. Mol. Biol. 98: 503-517 (1975))。この分析によれば、一種類のファージHIISに上記プローブと雑種形成する5.5kbのXbaIDNAフラグメントが含まれることが明らかとなった。以下のベクター:pTZ/PC, pBluescript (Stratagene, La Jolla CA) 、pUC18(Yanisch-Perron et al., Gene 33: 103-119 (1985)に記載)、およびpOK12(Vierra and Messing, Gene 100: 189-194 (1991)に記載) のいずれかのXbaI部位に対して行った5.5kb XbaI DNAフラグメントのクローン化はFTB1のバックグラウドをプラシミド・プロモータ誘導転写の抑制に用いたにもかかわらず、うまくいかなかった。ベクターpOK12は、pACYC184由来の複製回数が少ないプラスミドである(約10回の複製/細胞、Chang, A.C.Y. and Cohen, S.N., J. Bact. 134: 1141-1156 (1978))。このプラスミドを用いて、毒性を有する外来フラグメントの複製回数を最小化することによって、大腸菌(E.coli)における外来DNAフラグメントの毒性効果の回避を試みた。また、プラスミドpOK12 へのHIISファージの全NotI染色体DNA挿入配列の挿入はうまくいかなかった。このことから、フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)染色体のこの領域は、それを持つ大腸菌(E.coli)のいずれに対しても負の選択効果を与えると結論された。この毒性効果はいままで他のフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)染色体DNAフラグメントでは観察されていない。
大腸菌(E.coli)に対するフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)DNAの毒性に関する予想もつかない問題を回避するための第2の戦略は、フラグメントを分割する制限エンドヌクレアーゼで染色体DNAを消化することである。また、もし可能であるとしたら、ヘパリナーゼIIの遺伝子を2つのフラグメントにする(図2)。これらのフラグメントは個別にクローン化することができる。プラスミドpCE14 のPCR挿入配列のDNA配列分析によって、BamHIおよびEcoRI位が挿入配列に存在することを示された。雑種形成試験でも、BamHIによってファージHIISにあるフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)DNAを消化すると、1.8および5.5kbの大きさの2つのバンドが生じた。雑種形成データを分析してみると、1.8kbバンドには遺伝子の5′末端が含まれ、一方5.5kbバンドには3′末端が含まれていた。さらに、5kbのEcoRI フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)染色体DNAフラグメントはPCRプローブと雑種形成した。ヘパリナーゼII遺伝子配列を含む1.8、5、および5.5kbフラグメントを上記したようにpBluescriptに挿入した。異なる位置に5.5kbのBamHI 挿入配列を含む2種類のクローン、pBSIB6-7およびpBSIB6-21を単離し、また1.8kbBamHIフラグメントを含む一種類のプラスミドpBSIB213を単離した。可能性のあるクローンに対して精力的にスクリーグをしたにもかかわらず、5kbのEcoRI フラグメントを含むクローンは単離できなかった。
ヘパリナーゼIIタンパク質の分子量は約84kDである。したがって、対応する遺伝子のサイズは約2.4kbであろう。1.8および5.5kbのBamHI染色体DNAフラグメントとしては、例えばヘパリナーゼII遺伝子全体が挙げられる。プラスミドpBSIB6-7、pBSIB6-21、およびpBSIB2-13(図2)を、イレーズ−ア−ベース・システム(Erase-a-Base system)(Promega Biotec, Madison Wis.)による入れ子欠失(nested deletions)を形成するのに用いた。これらのプラスミドはユニバーサルおよびリバース・プライマーと既知のヘパリナーゼII配列由来のオリゴヌクレオチド・プライマーとを用いたDNA配列分析用のテンプレートとして利用することができた。遺伝子は相対的にG-C 含有量の高い部分があり、また数多くの強い二次構造を有することから、配列の分析をdGTPがdITPによって置換される反応を用いて実行した。DNA配列の分析(図4)によって、図5の772アミノ酸残基のコドンが含まれる単一で、かつ連続するオープン・リーディング・フレームがあることが示された。ジーンワーク(Geneworks) (Intelligenetics, Mountain View, CA)を用いて可能性のあるペプチド配列を探してみたところ、タンパク質を完全なかたち:Q-26(グルタミン)およびD-30(アスパラテート)にするための2つの可能性のある部位が存在することが示唆された。脱遮断され、かつ処理されたヘパリナーゼIIのN-末端アミノ酸配列決定によれば、完全タンパク質はQ-26から始まり、計算上の分子量が84,545 ダルトンの747個のアミノ酸を含むことが示された(図5)。
(実施例7 大腸菌(E.coli)におけるヘパリナーゼIIの発現)
ベクターpGBを大腸菌(E.coli)におけるヘパリナーゼIIの発現に用いた(図3)。pGBは、pGhepの修飾リボソーム結合領域(図1)とユニークなBamHI部位とを有する。したがって、この部位に挿入されたDNAフラグメントの発現は、2重tacプロモータによって駆動される。また、このベクターはカナマイシン耐性遺伝子、およびLacIq遺伝子を持ち、IPTGによる転写の誘導を可能とする。最初に、pBSIB6-21のゲル精製5.5kbBamHIフラグメントをBamHI消化pGBと結合させ、FTB1に形質転換した。これをカナマイシン含有LB寒天培地上で選択した。得られたコロニーのうち6つがオープン・リーディング・フレームを発現する上で正しい位置にある挿入配列を有するプラスミドを含んでいた。pGBIIDを形成するプラスミドの一つのPstI消化および再結合によって、5.5kb BamHIフラグメントの3.5kbが削除され、シャイン−ダルガルノ配列の直後のたった一つのBamHI 部位を残してBamHI 部位が取り除かれた。最後に2種類の合成オリゴヌクレオチド:
5'-TGAGGATTCATGCAAACCAAGGCCGATGTGGTTTGGAA-3'(配列識別番号15) 、および5'-GGAGGATAACCACATTCGAGCATT-3' (配列識別番号16)
を、完全タンパク質コード配列の上流およびBamHI 部位の下流にあるATG開始コドンとBamHI部位とを含むフラグメントを作るPCRで用いるために設計した(図3)。ラムダ・クローンHIISと同時に単離したラムダ・クローンHII-I をテンプレートDNAとして用いた。
FTB1を宿主として用いたpTZ/PCへのブラント末端PCR産物のクローン化はうまくいかなかった。再度FTB1を宿主として用いて、BamHI 消化PCR産物のpBluescript のBamHI部位へのクローン化を行ったところ、150の可能性のあるクローンをスクリーニング後、PCRフラグメントを持つ2種類のプラスミドが単離できた。そのうちの一つは、pBSQTK-9であり、リバースおよびユニバーサル・プライマーによって配列を決定したこところ、ヘパリナーゼII遺伝子からDNA配列の正確な再生物が含まれていた。pBSQTK-9のBamHI 消化PCRフラグメントをATG部位がシャイン−ダルガルノ配列の下流となるようにしてpGBIIDのBamHI部位に挿入した。この構成pGBH2 では、完全ヘパリナーゼII遺伝子がpGB のtacプロモータの制御下に置かれた(図3)。大腸菌(E.coli)FTB1(pGBH2)株を50ug/mlカナマイシン含有LB培地で、37℃、3時間にわたって増殖させた。tacプロモータの誘導は1nmolのIPTGを加えることによって達成し、さらに培養を室温または30℃のいずれかで行った。ヘパリンおよびヘパラン硫酸塩分解活性(degrading activity)を、ヤングらの方法(Yang et al.上掲)を用いて4時間増殖させた後に培養株中で測定した。室温および30℃で、それぞれヘパリンの分解活性は0.36および0.24IU/mgタンパク質、またヘパラン硫酸塩の分解活性は0.49および0.44IU/mgタンパク質であった。
(実施例8:ヘパリナーゼIIIをコードする核酸)
本願で記載したようにして精製したヘパリナーゼIII由来ペプチドから得たアミノ酸配列情報(図9)は、高変性オリゴヌクレオチドに逆翻訳(リバース・トランスレート)した。その結果、アミノ酸配列情報にもとづいて合成されたオリゴヌクレオチドを用いて、ヘパリナーゼIII遺伝子の一切片のポリメラーゼ鎖反応増幅を当てにしたクローニング戦略は、いくつかのDNA配列可能性を除外する必要があった。仮定されたコドンの使用は他のフラボバクテリウム種から得られた遺伝子に関する既知のDNA配列に基づいて計算された。17種類の遺伝子に関する配列を分析し、コドンの使用表(表3)をまとめた。
4種類のオリゴヌクレオチドをコドン使用表にもとづいて各コドンを選択することによって設計した。すなわち、それらは、
5'-GAATTCCATCAGTTTCAGCCGCATAAA-3' ( 配列識別番号17),
5'-GAATTCTTTATGCGGCTGAAACTGATG-3' ( 配列識別番号18),
5'-GAATTCCCGCCGGGCGAATTTCATGC-3' (配列識別番号19)、および
5'-GAATTCGCATGAAATTCGCCCGGCGG-3' (配列識別番号20)であり、それぞれオリゴヌクレオチド3-1、3-2、3-3、および3-4と命名した。これらのオリゴヌクレオチドはポリメラーゼ鎖反応を用いたヘパリナーゼIII遺伝子の一部分を増幅する試みで、全ての可能な組み合わせで使用された。PCR増幅はすでに記載したようにして実施した。周期は、変性温度92℃(1分)、アニーリング温度範囲37℃〜55℃(1分)、および伸展尾温度72℃(2分)を35回繰り返した。PCR反応の分析は既に説明したようにして行ったところ、これらの実験によってはDNAフラグメントが作られないことが示された。
オリゴヌクレオチドの第2組を合成し、32塩基対配列からなるものとし、コドン使用表を用いてコドンのたった半分の第3位置を推測した。括弧内のヌクレオチドは単一部位で2つまたは4つの塩基が変質したことを示す。これらは、
5'-GG(ACGT)GAATTTCCATGCCCAGCC(ACGT)GA(CT)AATGG(ACGT)AC-3'(配列識別番号21),
5'-GT(ACGT)CCATT(AG)TC(ACGT)GGCTGGGCATGAAATTC(ACGT)CC-3'(配列識別番号22),
5'-GT(ACGT)CATCAGTT(CT)CAGCC(ACGT)CATAAAGG(ACGT)TATGG-3'(配列識別番号23) 、および
5'-CCCATA(ACGT)CCTTTATG(ACGT)GGCTG(AG)AACTGATG(ACGT)AC-3'(配列識別番号24)であり、それぞれがオリゴヌクレオチド3-5, 3-6, 3-7 ,および3-8 と命名された。ポリメラーゼ鎖反応を用いてヘパリナーゼIII 遺伝子の一部を増幅する試みにこれらのオリゴヌクレオチドを使用した。3-6 および3-7 組み合わせによって、特定の983bpPCR産物が得られた。PCR産物のクローニング用ベクターとしてTAクローニング・キット(TA cloning TM kit)(InVitrogen Corporation, San Diego, CA)から得られ、かつPCR産物のクローニング用に特に設計された2種類のベクター、すなわちpCRIIおよびpTZ/PCと同様に、ブラント末端リゲーションによって、このフラグメントを大腸菌(E.coli)ベクターpBluescriptにクローン化する試みを行った。これらの構成の全てが大腸菌(E.coli)FTB1株に形質転換された。形質転換株について、まずはじめにコロニー・クラッキングを分析し、つづいてDNAのミニ・プレパレーションを酵素制限分析用に作った。このPCRフラグメントを持つクローンは単離できなかった。
オリゴヌクレオチドの第3組を、3-6および3-7のオリゴヌクレオチド配列の末端にBamHIエンドヌクレアーゼ配列を取り込むことによって合成した。999塩基対のDNA配列をフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)染色体DNAを標的としたポリメラーゼ鎖反応を用いることによって調製した。複製回数の高いプラスミドpBluescript と複製回数の少ないプラスミドpBR322およびpACYC184とのBamHI 部位に増幅DNAをクローン化する試みがなされた。これらの構成のすべてが大腸菌(E.coli)FTB1株に再び形質転換された。500を越える候補をスクリーニングした。しかし、フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)DNAを持ったプラスミドを含む形質転換株は得られなかった。再度、フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)染色体のこの領域はそれを組み込んだ大腸菌(E.coli)に対して負の選択的効果を与えると結論できる。
ヘパリナーゼII遺伝子を単離する場合、PCRフラグメントを外来DNA毒性の問題を回避するために分割した。制限エンドヌクレアーゼClaIを持つ981bpBamHI消化ヘパリナーゼIIIPCRフラグメントの消化によって、394および587bpの2つのフラグメントが得られた。増幅フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)領域をClaIで処理し、2つのフラグメントをアガロースゲル電気泳動によって分離した。587 および394 塩基対のフラグメントを、制限酵素BamHI およびClaIによって処理されたプラスミドpBluescriptに結合させた。また、981bpPCRフラグメント全体を精製し、BamHI切断pBluescriptに結合させた。この結合されたプラスミドは、XL-1 Blue E. coli.中に挿入させた。挿入配列を持つプラスミドが含まれた形質転換株を、マニアチスらによって記載されたように、X-gal、IPTG、および50ug/mlアンピシリンを含むLB寒天プレート上で白色のコロニーを形成する能力にもとづいて選択した。587bpのフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)DNAフラグメントを含むプラスミドpFB1と、全体で981塩基対フラグメントを含むpFB2とを、この方法で単離した。XL-1ブルー株は、FTB1株と同様に、F'エピソーム上にlacIqレセプター遺伝子を持つもので、それによってFTB1とは異なり、完全なBamHI PCRフラグメントの安定な維持を可能とする。このような矛盾が生ずる理由は、2つの株のゲノタイプ(すなわち、recA等)からでは明らかとならない。
プラスミドpFB1でのフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)DNAのDNA配列分析によれば、ペプチドHep3-Bをコードする配列が含まれており、またプラスミドpFB2のフラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)挿入配列はHep3-DおよびHep3-Bをコード化するDNA配列を含む(図9)。この分析によって、これらの挿入配列がヘパリナーゼIIIをコードする遺伝子の部分をなすことが確かめられた。
ランダム・プライムドDNAラベリング・キット(Random Primed DNA Labeling kit)(Boehringer Mannheim, Laval.Quebec)を用いてプラスミドpFB1のPCRラグメント挿入配列の32P-ATPによる標識を行った。またプラスミドpFB1のPCRラグメント挿入配列フラボバクテリウム・ヘパリナム(F. heparinum)を用いて、本願で記載されたようにして構成されたλDASHIIライブラリ(図6)のスクリーニングを行った。ラムダ・ライブラリを約1500個のプラークを得るためにプレートに広げ、各プラークをニトロセルロース・フィルタに移した(Schleicher & Schuel, Keene, NH)。PCRプローブをエタノール沈殿によって精製した。プラークの雑種形成は、既に記載した条件を使用して実施した。8つの陽性ラムダ・プラークが同定された。マニアチスの記載にもとづいて溶菌した培地からλDNA単離し、また制限分析による分析を行い、さらにマニアチスによって記載されたプロトコルに従って、ハイボンド-Nナイロン膜(Hybond-N nylon membrane)(Amersham Corporation, Arlington Heights, IL)を用いてサザン・ブロッティングすることによる分析を行った。PCRプローブと強く雑種形成するラムダ・プラーク#3からの2.7 キロベースのHindIIIフラグメントを単離し、かつpBluescriptでクローン化させ、XL-1ブルー大腸菌(E.coli)バックグラウンド存在下、プラスミドpHindIIIBDを作った(図6)。このクローンをさらにDNA配列決定によって分析した。イレーズ−ア−ベース・システム(Erase-a- Base system)(Promega Corporation, Madison, WI)により生じたpHindIIIBDの連続する入れ子欠失(nested deletions)を用いることによって、あるいは合成オリグヌクレオチド・プライマーを用いてシークエンスすることによって配列データが得られた。
配列分析によって、1929塩基対からなり、かつ643アミノ酸に対応する翻訳終了コドンなしの単一の連続するオープン・リーディング・フレームが明らかとなった。ラムダ・ライブラリをさらにスクリーニングすることによって、pBluescriptのKpnI部位に同様にクローン化され、プラスミドpFB4を作る673bpのKpnIフラグメントの同定が可能となる。終了コドンは、ヘパリナーゼIII遺伝子に追加で51塩基対を加え、また16アミノ酸をヘパリナーゼIIIタンパク質に加えたKpnIフラグメントのなかに見いだすことができた。完全なヘパリナーゼIII遺伝子は、ラムダ・プラーク#118から得た3.2キロ塩基PstIフラグメント内に含まれることが後になってわかった。フラボバクテリウム(Flavobacterium)から得た完全なヘパリナーゼIII遺伝子は、したがって1980塩基対の長さを有し(図8)、さらに659のアミノ酸タンパク質をコード化している(図9)。脱遮断され、かつ処理されたヘパリナーゼIII のN-末端アミノ酸の配列決定は、完全タンパク質がQ25により始まり、計算上の分子量が73,135ダルトンで635のアミノ酸を含むことをしていた(図9)。
(実施例9:大腸菌(E.coli)におけるヘパリナーゼIIIの発現)
タンパク質のカルボキシル末端から欠失された16のアミノ酸を持つ完全な、先端が切り取られたヘパリナーゼIII遺伝子を得るために、PCRを用いた。5'-CGCGGATCCATGCAAAGCTCTTCCATT-3'(配列識別番号25)からなるオリゴヌクレオチドは、完全ヘパリナーゼIIIの第一アミノ酸(Q-25)のコドンの直前のATG開始部位に挿入するように設計された。一方、5'-CGCGGATCCTCAAAGCTTGCCTTTCTC-3'(配列識別番号26)からなるオリゴヌクレオチドは2.7kbのHindIIIフラグメント上のヘパリナーゼIII遺伝子の最終アミノ酸の後に終了コドンを挿入するように設計されている。両方のオリゴヌクレオチドもまたBamHi部位を含む。プラスミドpHindIIIBDをアニーリング温度50℃でPCR反応を行う際のテンプレートとして使った。予想されるサイズの特定のフラグメント、1857塩基対を得た。このフラグメントは、計算上の分子量が71.535ダルトンであり、620個のアミノ酸からなるタンパク質をコード化する。それを単離し、かつ発現ベクターpGBのBamHI部位に挿入する。この構成をpGB-H3△3'と名付けた(図7)。
3′ヘパリナーゼIIIの失われた3'領域を加えるために、pGB-H3△3'からのBspEI/Sall制限フラグメントを除去し、pFB5のBspEI/SalIフラグメントと置換した。完全なヘパリナーゼIII遺伝子を含む構成をpGBH3 と呼ぶことにする(図7)。組換えヘパリナーゼIIIは637個のアミノ酸からなるタンパク質で、計算上の分子量が73,266ダルトンである。大腸菌(E.coli)のXL-1Blue(pGBH3)を37℃で75ug/mlのカナマイシンを含むLB培地でOD600が0.5になるまで増殖を行い、この時点で1mM IPTGを添加することによってpGBからのtacプロモータを誘導した。さらに2ないし5時間にわたって23℃、30℃、または37℃のいずれかで培養株を増殖させた。細胞を氷の上で冷やし、遠心機によって濃縮し、当初の培養容量の1/10で再び冷PBSに懸濁した。細胞を音波破砕し、さらに10,000×g、5分間の遠心によって細胞の破片を取り除いた。ペレットおよび上清分画を、ヘパラン硫酸塩分解活性(ヘパリナーゼIII)について調べた。23℃、30℃、および37℃での培養による増殖で観察されたヘパラン硫酸塩分解活性は、それぞれ1.29、5.27、および3.29IU/mlであった。
本発明は高純度のヘパリンおよびヘパラン硫酸塩分解タンパク質を、適当な発現系でこれらのタンパク質に関する遺伝子を発現させることによって、また細胞の破砕、陽イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティ・クロマトグラフィ、およびヒドロキシルアパタイト・クロマトグラフィを利用することによって得るための方法を述べるものである。このような方法の変形例は、当業者ならば本発明の記載から容易に実施することができよう。そのような変更は添付した特許請求の範囲の範囲内にある。
Figure 2004222727
Figure 2004222727
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図1は、tacプロモータ・リボゾーム結合領域に対する修飾を示すもので、ヘパリナーゼIの発現の程度について評価した。pBhepに見出された本来の配列と、pGhepおよびp △4hepに見出された修飾配列とを、下線を付けたShine-Dalgarnoシークエンス(S-D)およびヘパリナーゼI遺伝子開始コドンとともに示す。それらの領域間のギャップ(ヌクレオチド内、nt)は各配列ごとに下に示す。pGBのリボゾーム結合領域は、開始コドンを含まず、pGhep に見出されたEcoRI 部位(GAATTC)のかわりにBamHI部位(下線部分)を有する。
図2は、フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)由来ヘパリナーゼII遺伝子の配列を行う際に使用したプラスミドの構成を示すものである。制限部位は、N-NotI, Nc=NcoI, S=SaII, B=BamHI, P=PstI, E=EcoRI, H=HindIII, C=ClaI,およびK=KpnIである。
図3は、縦に並んだtacプロモータ(二重になった矢印の先の部分)から大腸菌(E.coli)での活性ヘパリナーゼIIの発現を指示することが可能なプラスミドであるpGBH2の構成を示すものである。制限部位は、B=BamHI, P=PstIである。
図4Aは、フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)由来のヘパリナーゼII遺伝子の核酸配列の一部を示すものである(配列識別番号1(SEQU ID NO:1))。
また、図4Bも、フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)由来のヘパリナーゼII遺伝子の核酸配列の一部を示すものである(配列識別番号1(SEQU ID NO:1))。
図5は、フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)由来のヘパリナーゼII遺伝子の核酸配列を示すものである(配列識別番号2(SEQU ID NO:2))。リーダー・ペプチド配列は下線の部分である。成熟タンパク質はQ-26から開始される。ペプチド2A、2B、および2Cはタンパク質内のそれぞれに対応する部位で示されている。
図6は、フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)由来のヘパリナーゼIII遺伝子の配列の際に用いられたプラスミドの構成を示すものである。制限部位は、S=SalI、B=BamHI、P=PstI、E=EcoRI、H=HindIII C=ClaI、およびK=KpnIである。
図7は、縦に並んだtaqプロモータ(二重になった矢印の先の部分)から大腸菌(E.coli)での活性ヘパリナーゼIIIの発現を指示することが可能なプラスミドであるpGBH3の構成を示すものである。制限部位は、S=SalI、B=BamHI、P=PstI、E=EcoRI、H=HindIII、Bs=BspEI、C=ClaI、およびK=KpnIである。
図8Aは、フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)由来のヘパリナーゼIII遺伝子の核酸配列の一部を示すものである(配列識別番号3(SEQU ID NO:3))。
また、図8Bも、フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)由来のヘパリナーゼIII遺伝子の核酸配列の一部を示すものである(配列識別番号3(SEQU ID NO:3))。
図9は、フラボバクテリウム・ヘパリナム(Flavobacterium heparinum)由来のヘパリナーゼIII遺伝子のアミノ酸配列を示すものである(配列識別番号4(SEQU ID NO:4))。リーダー・ペプチド配列は下線の部分である。成熟タンパク質はQ-25から開始される。ペプチド3A、3B、および3Cはタンパク質内のそれぞれに対応する部位で示されている。

Claims (10)

  1. 配列識別番号3の配列を有するフラボバクテリウム・ヘパリナム由来のヘパリナーゼIIIをコード化することを特徴とする組換え核酸配列。
  2. 前記ヘパリナーゼの発現を指示可能な核酸配列をさらに含むことを特徴とする請求項1の核酸配列。
  3. 修飾リボソーム結合領域を含むことを特徴とする請求項2の核酸配列。
  4. 請求項2の核酸配列を持つベクターによって形質転換された宿主細胞であって、ヘパリナーゼIIIを発現する能力を呈することを特徴とする宿主細胞。
  5. 前記宿主細胞は大腸菌であることを特徴とする請求項4の宿主細胞。
  6. 配列番号4のアミノ酸配列を有する、単離、精製されたフラボバクテリウム・ヘパリナムのへパリナーゼIIIであって、そのアミノ末端は、修飾されたピログルタミン酸残基でないことを特徴とするヘパリナーゼIII。
  7. 大腸菌細胞中で発現されたように配列番号4のアミノ酸配列を有する、単離、精製されたヘパリナーゼIII。
  8. シャイン・ダルガルノ配列と、前記シャイン・ダルガノ配列とATG開始コドンとの間のスペーサ領域と、配列識別番号4のアミノ酸配列を有するヘパリナーゼIIIをコードする組換え核酸配列とを含む修飾リボソーム結合領域をすることを特徴とするヘパリナーゼを発現するための発現ベクター。
  9. 請求項8の発現ベクターを形成することと、該発現ベクターによって宿主原核細胞を形質転換することを有することを特徴とするフラボバクテリウム種からの遺伝子を発現する方法。
  10. 前記発現ベクターがヘパリナーゼIIIをコード化することを特徴とする請求項9に記載の方法。
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