JP2004222425A - 回転電機用ステータ及びその組立方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】各歯部の後端部を継鉄部の溝に圧入する際の圧入ストロークを短くして製造設備の小形化とコストの低減とを図ることができる回転電機用ステータを提供する。
【解決手段】継鉄部2の各溝2aを、幅が段階的に大きくなる第1の溝部2a1ないし第3の溝部ないし2a3により構成する。歯部3の後端部に幅が段階的に大きくなる第1の圧入部3a1ないし第3の圧入部ないし3a3を設けて、これらの圧入部をそれぞれ継鉄部の第1ないし第3の溝部2a1ないし2a3に圧入することにより、各歯部を継鉄部に結合する。
【選択図】 図3
【解決手段】継鉄部2の各溝2aを、幅が段階的に大きくなる第1の溝部2a1ないし第3の溝部ないし2a3により構成する。歯部3の後端部に幅が段階的に大きくなる第1の圧入部3a1ないし第3の圧入部ないし3a3を設けて、これらの圧入部をそれぞれ継鉄部の第1ないし第3の溝部2a1ないし2a3に圧入することにより、各歯部を継鉄部に結合する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機(電動機または発電機)に用いるステータ(固定子)及びその組立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動機や発電機のステータとして、図9(A)及び(B)に示したような電機子鉄心1´に電機子コイルを巻装したものが多く用いられている。図9(A)は電機子鉄心1´の正面図、図9(B)は同電機子鉄心のIXB−IXB線断面図で、この電機子鉄心は、継鉄部構成用鋼板の積層体により環状に形成された継鉄部(バックコア)2´と、継鉄部2´の周方向に等角度間隔で放射状に並ぶように配置されて後端部3a´,3a´,…が継鉄部2に結合された歯部(ティース)3´,3´,…とからなるもので、歯部3´,3´,…相互間にはスロット4´,4´,…が形成されている。歯部3´,3´,…のそれぞれの先端部には磁極部3b´,3b´,…が形成され、これらの磁極部が図示しないロータの磁極に所定のギャップを介して対向させられる。
【0003】
回転電機としては、ロータがステータの内側に配置されるロータ内転形のものと、ロータがステータの外側に配置されるロータ外転形のものとがある。ロータ内転形の回転電機においては、図9(A)に示されているように、歯部3´,3´,…が継鉄部2´の内周部から径方向の内側に突出した状態で設けられて、一連の歯部3´,3´,…の先端の磁極部3b´,3b´,…の内側にロータが配置される。このような回転電機は、例えば特許文献1に示されている。
【0004】
またロータ外転形の回転電機においては、一連の歯部が継鉄部の外周部から径方向の外側に突出した状態で設けられて、歯部の先端の磁極部を外側から囲むようにロータが設けられる。
【0005】
図9に示すようなステータを用いた回転電機においては、電機子鉄心1の一連の歯部3´,3´,…の先端の磁極部3b´,3b´,…相互間に、歯部相互間のスロット4´,4´,…をロータ側に開口させる開口部が形成されていると、大きなコギングトルクが生じ、騒音が増加する。
【0006】
そのため、特許文献1に示されているように、電機子鉄心1の一連の歯部3´,3´,…のそれぞれの先端に設けられた磁極部3b´,3b´,…相互間を連結部3c´を介して連結して、歯部相互間のスロット4´,4´,…の開口部を塞ぐことにより、コギングトルクの低減を図ることが行われている。
【0007】
このように、一連の歯部の先端の磁極部が連結部を介して連結されてスロットが閉鎖されている構造の電機子鉄心を用いる場合には、継鉄部2´に歯部3´,3´,…が結合されている状態で歯部3´,3´,…に電機子コイルを巻装することはできない。
【0008】
そのため、図9に示したステータでは、歯部3´,3´,…にそれぞれ対応する溝2a´,2a´,…を継鉄部2の内周に等角度間隔で設けておいて、歯部3´,3´,…に電機子コイル(図示せず。)を巻装した後、これらの歯部の後端部を溝2a´,2a´,…に圧入することにより電機子鉄心1を組み立てるようにしている。
【0009】
図7(A)は一連の歯部の先端の磁極部相互間を連結部により連結した構造の電機子鉄心を構成するために用いる歯部構成用鋼板30´を示したもので、この鋼板は、放射状に配列された12個の歯部構成部31´,31´,…を有している。各歯部構成部31´の後端部及び先端部にそれぞれ継鉄部に結合される結合部31a´及び磁極を構成する磁極構成部31b´が設けられ、一連の歯部構成部の先端に形成された磁極構成部31b´相互間が連結部31c´により連結されている。磁極構成部31b´及び連結部31c´の内周面は同一の円筒面上に位置するように形成されている。この鋼板30´を、歯部構成部31´の位置を揃えた状態で(歯部構成部を整列させた状態で)所定枚数積層して、積層した鋼板を適宜の手段により結束することにより、図8(A)に示すように、所定の積層厚さLを有する歯部積層体33´が構成される。
【0010】
図7(B)は継鉄部2を構成する継鉄構成用鋼板20´を示している。この鋼板20´は、円環状に形成されていて、その内周部には、歯部3´,3´,…にそれぞれ対応する切欠き部20a´,20a´,…が等角度間隔で形成されている。溝20a´,20a´,…の位置を合わせて鋼板20´を所定枚数積層することにより、図8(B)に示すような継鉄部2´が構成され、一連の鋼板20´,20´,…の切欠き部20a´,20a´,…により継鉄部の内周に溝2a´,2a´,…が形成される。
【0011】
そして、図8(A)に示した歯部積層体33´の歯部3´,3´,…にボビンに巻かれた電機子コイルを嵌装した後、該歯部積層体の一連の歯部3´,3´,…の後端部3a´,3a´,…を、図8(B)に示した継鉄部2´の対応する溝2a´,2a´,…に圧入することにより、図9(A),(B)に示したような電機子鉄心を組み立てる。この場合、歯部積層体の歯部を継鉄部の溝に圧入する際の圧入ストロークは、継鉄部及び歯部積層体の積層方向の寸法(積層厚)Lだけ必要とされる。
【0012】
上記の説明では、一連の歯部の先端の磁極部3b´,3b´,…相互間が連結部3c´により連結される場合を例にとったが、一連の歯部の先端の磁極部3b´,3b´,…相互間に隙間が形成される場合であっても、磁極部相互間の隙間が狭く、該隙間を通して巻線を行うことができない場合には、歯部を継鉄部に結合する前にコイルを巻装する必要があるため、上記と同様の組立方法がとられる。
【0013】
また従来技術ではないが、図10(A)に示すように、歯部構成部31´,31´,…の先端の磁極構成部31b´,31b´,…が連結部31c´,31c´,…により相互に連結されたx枚の鋼板30A´と、図10(B)に示すように、各歯部構成部31´の先端の磁極構成部31b´が隣接する歯部構成部31´の先端の磁極構成部31b´から分離されていて、各歯部を構成するために積層された際に隣接する磁極部相互間に隙間gが形成されるように設けられたy枚(y>>x)の鋼板30B´とを用意して、鋼板30A´を積層方向に均等に分散させた状態で、鋼板30A´と鋼板30B´とを積層することにより、電機子鉄心の各歯部3を構成することも考えられる。このように構成すると、回転電機の効率を低下させることなくコギングトルクの低減を図ることができる。このような構成をとる場合にも、鋼板30A´の磁極構成部を連結する連結部31c´により各スロットが閉鎖されるため、上記と同様の方法で電機子鉄心を組み立てることが必要になる。
【0014】
【特許文献1】
特開2000−295799号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の回転電機用ステータの組立方法では、一連の歯部3,3,…にコイルを巻装した後、歯部の後端部を継鉄部の溝に圧入する際に、電機子鉄心の積層厚Lに等しい圧入ストロークを必要としたため、歯部の後端部を継鉄部の溝に圧入するために用いるプレス機械のストロークが大きくなり、製造設備が大形になる上に、そのコストが高くなるという問題があった。
【0016】
また従来の組立方法では、歯部の後端部を継鉄部の溝に圧入する際の圧入ストロークが大きくなるため、圧入に長い時間がかかり、ステータの製造能率が低下するという問題もあった。
【0017】
本発明の目的は、各歯部の後端部を継鉄部の溝に圧入する際の圧入ストロークを短くして、製造設備の小形化とコストの低減とを図るとともに、圧入に要する時間を短縮して、製造能率の向上を図ることができるようにした回転電機用ステータ及びその組立方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、継鉄部構成用鋼板の積層体により環状に形成されて軸線方向に延びる複数の溝が等角度間隔で形成された継鉄部と、この継鉄部の周方向に等角度間隔で並ぶように配置されてそれぞれの後端部が継鉄部の溝に圧入され、ロータ側の磁極に対向する磁極部がそれぞれの先端部に形成された複数の歯部とを有して、複数の歯部相互間にスロットが形成された電機子鉄心と、歯部に巻装された電機子コイルとを備えた回転電機用ステータを対象とする。
【0019】
本発明においては、継鉄部の各溝が、該継鉄部の積層方向の一端側から他端側に順次並ぶ第1の溝部ないし第nの溝部(nは2以上の整数)を有して、継鉄部の周方向に測った第1の溝部ないし第nの溝部の幅寸法が順次段階的に大きくなっていくように、各溝部の幅寸法が設定される。また各歯部の後端部に、継鉄部の対応する溝の第1の溝部ないし第nの溝部にそれぞれ圧入するのに適した幅寸法を有する(第1の溝部ないし第nの溝部のそれぞれの幅寸法よりも僅かに大きい幅寸法を有する)第1ないし第nの圧入部が形成され、各歯部の第1ないし第nの圧入部がそれぞれ継鉄部の対応する溝の第1ないし第nの溝部に圧入されて各歯部が継鉄部に結合される。
【0020】
上記のステータを組み立てる際には、各歯部に電機子コイルを巻装した後、各歯部の第1ないし第nの圧入部をそれぞれ継鉄部の対応する溝の第1ないし第nの溝部に圧入して前記各歯部を前記継鉄部に結合する。
【0021】
この場合、第1ないし第nの圧入部を第1ないし第nの溝部に圧入する際には、各歯部の第1の圧入部を下方に向け、継鉄部の第nの溝部を上方に開口させ、かつ各歯部の第1の圧入部を継鉄部の相応する溝部の第nの溝部と整合させた状態で、各歯部を継鉄部側に変位させる。各歯部を継鉄部側に変位させると、各歯部の後端部は最初継鉄部の対応する溝内にほとんど無抵抗で挿入されていき、最も幅が狭い第1の圧入部の先端が最も幅が狭い第1の溝部の入り口(第2の溝部側の端部)に到達したところで、歯部の変位が妨げられる。この状態から歯部に大きな力を加えて、該歯部を継鉄部側に変位させると、第1の圧入部ないし第nの圧入部がそれぞれ第1の溝部ないし第nの溝部内に圧入されて、各歯部が継鉄部に結合される。従って圧入ストロークは第1の圧入部の積層厚により決まり、従来のこの種のステータに比べて、圧入ストロークを大幅に短くすることができる。
【0022】
このように、本発明によれば、歯部の後端部を継鉄部の溝部に圧入する際の圧入ストロークを短くすることができるため、圧入設備の小形化とコストの低減とを図るとともに、圧入に要する時間を短縮して製造能率を向上させることができる。
【0023】
本発明の好ましい態様では、継鉄部の溝の第1ないし第nの溝部の鋼板積層方向の寸法を等しく設定し、各歯部の第1ないし第nの圧入部の鋼板積層方向の寸法を等しく設定する。
【0024】
このように構成した場合には、歯部の第1ないし第nの圧入部を継鉄部の第1ないし第nの溝部に圧入する際の圧入ストロークを従来の1/nにすることができる。
【0025】
上記の構成では、継鉄部の溝の幅及び歯部の後端部(圧入部)の幅を段階的に異ならせるようにしたが、継鉄部の各溝の形状を、継鉄部の積層方向の一端側から他端側に向かって幅寸法が次第に大きくなるようにテーパがつけられた形状とし、各歯部の後端部に設ける圧入部の形状を、継鉄部の溝のテーパに相応するテーパがつけられた形状として、各歯部の後端部の圧入部を継鉄部の対応する溝に圧入するようにしてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図5は、本発明の第1の実施形態を説明するためのもので、図1(A)ないし(C)はそれぞれ本実施形態で用いる3種類の歯部構成用鋼板の正面図、図2(A)ないし(C)は本実施形態で用いる3種類の継鉄部構成用鋼板の正面図である。また図3(A)は本実施形態で用いる歯部積層体の断面図、同図(B)は歯部の後端部に設ける圧入部を示した要部の正面図、同図(C)は継鉄部の断面図である。また図4(A)は歯部積層体の圧入部を継鉄部の溝部に挿入して歯部積層体の各歯部の第1の圧入部を継鉄部の第1の溝部の入口に突き当てた状態を示す平面図、図4(B)は、図4(A)のIVB−IVB線断面図、図4(C)は同図(A)のIVC−IVC線断面図である。図5(A)は圧入が完了した電機子鉄心を示す平面図、同図(B)及び(C)はそれぞれ(A)のVB−VB線断面図及びVC−VC線断面図である。
【0027】
本実施形態のステータは、図5(A)及び(B)に示された電機子鉄心1と、この電機子鉄心に巻装された電機子コイル(図示せず。)とにより構成されるもので、ブラシレス直流電動機のステータ等として用いられるものである。
【0028】
図5(A)及び(B)に示された電機子鉄心1は、継鉄部構成用鋼板の積層体により環状に形成された継鉄部(バックコア)2と、継鉄部2の内周部に等角度間隔で放射状に並ぶように配置されて後端部3a,3a,…が継鉄部2に結合された歯部(ティース)3,3,…とからなり、歯部3,3,…相互間にスロット4,4,…が形成されている。歯部3,3,…のそれぞれの先端部にはロータ側の磁極に対向させられる磁極部3b,3b,…が形成され、これらの磁極部相互間は連結部3c,3c,…により連結されている。
【0029】
本実施形態では、歯部3,3,…が、図1(A)ないし(C)に示す3種類の歯部構成用鋼板30Aないし30Cにより構成されている。図1(A)に示した鋼板30Aは、放射状に配列された12個の歯部構成部31,31,…を有し、各歯部構成部31の後端部が、該歯部構成部の他の部分と同じ幅寸法Tt3を有する圧入部31a3となっている。各歯部構成部31の先端には磁極構成部31bが設けられ、一連の歯部構成部31,31,…の先端に形成された磁極構成部31b,31b,…相互間が連結部31c,31c,…により連結されている。
【0030】
図1(B)に示した歯部構成用鋼板30Bは、各歯部構成部31の後端部に、同図(A)の鋼板の後端部の圧入部31a3の幅寸法Tt3よりも小さい幅寸法Tt2を有する圧入部31a2が形成されている点を除き同図(A)の鋼板と同様に構成されている。
【0031】
また図1(C)に示した歯部構成用鋼板30Cは、各歯部構成部31の後端部に、同図(B)の鋼板の後端部の圧入部の幅寸法Tt2よりも更に小さい幅寸法Tt1を有する圧入部31a1が形成されている点を除き同図(A),(B)の鋼板と同様に構成されている。
【0032】
上記3種類の歯部構成用鋼板30Aないし30Cを、それぞれの歯部構成部31を整合させた状態で所定枚数ずつ積層して、積層した鋼板を適宜の手段で結束することにより、図3(A),(B)に示すように、所定の積層厚さLを有する歯部積層体33が構成される。
【0033】
本実施形態では、図1(A)ないし(C)に示した3種類の歯部構成用鋼板をそれぞれ所定枚数ずつ積層して構成した積層体ブロックを、最も幅寸法が小さい圧入部30a1を有する鋼板30Cの積層体ブロックを最下部に配置し、その上に順次より幅寸法が大きい圧入部を有する鋼板の積層体ブロックを積み重ねることにより、各歯部3の後端部に、段階的に大きくなっていく幅寸法Tt1,Tt2及びTt3(Tt1<Tt2<Tt3)を有する第1ないし第3の圧入部3a1ないし3a3が形成される。本発明において第1ないし第3の圧入部3a1ないし3a3のそれぞれの積層厚さ(鋼板の積層方向に測った寸法)Lt1ないしLt3は任意であるが、本実施形態では、Lt1=Lt2=Lt3=L/3に設定されている。
【0034】
なお積層した鋼板の積層体の結束は、リベットにより一連の鋼板を締結することにより行うか、または順送り積層法により行う。順送り積層法では、例えば、各鋼板を打ち抜く際に、各鋼板の一部に平行な2本の切り込みを入れるとともに、該切り込みの内側の部分を鋼板の厚み方向の一方の側にへの字形に押し出すことにより、各鋼板の厚み方向の一方の側に凸で他方の側に凹な結束部を形成し、一連の鋼板の結束部の凸の部分を隣接する鋼板の結束部の凹の部分に圧入することにより、一連の鋼板を結束した状態で積層する。
【0035】
また継鉄部2は、図2(A)ないし(C)に示した3種類の継鉄部構成用鋼板20Aないし20Bを積層することにより構成される。
【0036】
図2(A)に示した継鉄部構成用鋼板20Aは、円環状に形成されていて、その内周部に、歯部3,3,…のそれぞれの第3の圧入部3a3を圧入するのに適した幅寸法Tb3(ステータの周方向に測った幅寸法)を有する切欠き部20a3,20a3,…が等角度間隔で形成されている。
【0037】
また図2(B)に示した継鉄部構成用鋼板20Bは、内周部に形成された切欠き部20a2,20a2,…の幅寸法Tb2が同図(A)の鋼板の切欠き部20a3,20a3,…の幅寸法Tb3よりも小さい点を除き、同図(A)の鋼板20Aと同様に構成されている。切欠き部20a2の幅寸法Tb2は、歯部3の第2の圧入部3a2を圧入するのに適した大きさに設定されている。
【0038】
図2(C)に示した継鉄部構成用鋼板20Cは、内周部に形成された切欠き部20a1,20a1,…の幅寸法Tb1が同図(B)の鋼板の切欠き部の幅寸法Tb2よりも更に小さい点を除き同図(A),(B)の鋼板20A,20Bと同様に構成されている。切欠き部20a1の幅寸法Tb1は、歯部3の第1の圧入部3a1を圧入するのに適した大きさに設定されている。
【0039】
図2(A)ないし(C)に示した継鉄部構成用鋼板20Aないし20Cをそれぞれ所定枚数積層して構成した積層体ブロックを、切欠き部の幅寸法がより小さい鋼板の積層体ブロックを下方に配置するようにして積み重ねて結束することにより、図3(C)に示すように、等角度間隔で並ぶ溝2a,2a,…が内周部に形成された継鉄部2が構成されている。継鉄部2の各溝2aは、その積層方向の一端(図3Cにおいては下端)側から他端側に順次並ぶ第1の溝部2a1ないし第3の溝部2a3からなっている。第1の溝部2a1ないし第3の溝部2a3は、ステータの周方向に測ったそれぞれの幅寸法Tb1,Tb2及びTb3が順次段階的に大きくなるように(Tb1<Tb2<Tb3の関係が成立するように)設けられており、第1の溝部2a1〜第3の溝部2a3のそれぞれの積層厚Lb1ないしLb3は、各歯部の第1の圧入部3a1ないし第3の圧入部3a3の積層厚Lt1ないしLt3にそれぞれ等しく設定されている。継鉄部の各溝を構成する第1ないし第3の溝部の幅寸法Tb1ないしTb3はそれぞれ、歯部の第1ないし第3の圧入部を圧入するのに適した大きさを有している。
【0040】
本発明に係わるステータにおいては、各歯部3の第1ないし第3の圧入部3a1ないし3a3がそれぞれ継鉄部2の対応する溝2aの第1ないし第3の溝部2a1ないし2a3に圧入されて各歯部が継鉄部2に結合される。
【0041】
上記のステータを組み立てる際には、図3(A)に示す歯部積層体33を製作し、図3(C)に示す継鉄部2を製作した後、歯部積層体33の各歯部3にコイルを巻装する。次いで、継鉄部2の最も幅が広い第3の溝部3a3を上方に開口させた状態で該継鉄部2を圧入装置の固定テーブル上にセットし、コイルを巻装した歯部積層体33の各歯部3の最も幅が狭い第1の圧入部3a1を下方に向け、かつ歯部積層体の各歯部を継鉄部の対応する溝に整合させた状態で、歯部積層体33を圧入装置の可動ロッドに保持させて継鉄部2側に変位させる。
【0042】
歯部積層体33を継鉄部2側に変位させると、各歯部の圧入部は最初継鉄部の対応する溝内にほとんど無抵抗で挿入されていき、図4(A)ないし(C)に示したように、最も幅が狭い第1の圧入部3a1の先端が最も幅が狭い第1の溝部2a1の入口(第2の溝部2a2側の端部)に到達したところで、歯部積層体の変位が妨げられる。この状態から歯部積層体33に大きな力を加えて、該歯部積層体を継鉄部2側に変位させると、第1の圧入部ないし第3の圧入部がそれぞれ第1の溝部ないし第3の溝部内に圧入されて、各歯部3が継鉄部2に結合され、図5(A)ないし(C)に示す電機子鉄心が完成する。
【0043】
本実施形態の回転電機用ステータにおいては、各歯部の後端部の圧入部の少なくとも一部を継鉄部の溝内に緩く挿入した状態で、圧入を開始させるので、従来のこの種のステータに比べて、圧入ストロークを短くすることができる。本実施形態では、第1の圧入部ないし第3の圧入部の積層厚Tt1ないしTt3がL/3に設定されているため、従来必要とした圧入ストロークLに比べて、圧入ストロークを1/3に短縮することができる。
【0044】
このように、本発明によれば、歯部3の後端部を継鉄部2の溝部に圧入する際の圧入ストロークを短くすることができるため、圧入設備のストロークを短くして該設備の小形化とコストの低減とを図ることができる。また圧入ストロークが短くなることにより、圧入に要する時間を短縮することができるため、製造能率を高めることができる。
【0045】
なお本発明において、継鉄部に設ける溝部の分割数及び各歯部の後端部に設ける圧入部の分割数(上記の例では3)は任意であり、一般に継鉄部の溝部を第1ないし第nの溝部に分割し、各歯部の後端部に設ける圧入部を第1ないし第n(nは2以上の整数)の圧入部に分割することができる。これらの分割数を多くすればするほど圧入ストロークが短くなる。但し、分割数を余り多くすると継鉄部及び歯部を構成する鋼板の種類が多くなるため鋼板の打ち抜き型の種類が多くなり、製造コストが高くなる。継鉄部に設ける溝部の分割数及び各歯部の後端部に設ける圧入部の分割数は、鋼板の種類を余り多くしない範囲で、しかも圧入ストロークを従来のものに比べて十分に小さくすることができる値(例えば2ないし4)に決めるのが好ましい。
【0046】
一般に継鉄部の溝部2aを第1の溝部2a1ないし第nの溝部2anに分け、歯部の後端部に設ける圧入部を第1ないし第nの圧入部3a1ないし3anに分ける場合には、第1の溝部2a1ないし第nの溝部2anのそれぞれの幅寸法Tb1,Tb2,…,Tbnの間に、Tb1<Tb2<…<Tbnの関係が成立し、第1の圧入部3a1ないし第nの圧入部3anの幅寸法Tt1,Tt2,…,Ttnの間にTt1<Tt2<…<Ttnの関係が成立するように溝部及び圧入部の幅寸法を設定しておく。
【0047】
また圧入部3a1ないし3anの幅寸法Tt1,Tt2,…,Ttnは、溝部2a1ないし2a3に圧入するのに適した大きさにするべく、溝部2a1ないし2anのそれぞれの幅寸法Tb1,Tb2,…,Tbnより僅かに大きく設定するが、圧入部2a1,2a2,…,2an−1のそれぞれの幅寸法Tt1,Tt2,…,Ttn−1が、幅寸法がより大きい圧入部が圧入される溝部2a2,2a3,…,2nの幅寸法Tt2,Tt3,…,Ttnより大きくなることはないようにしておく。
【0048】
上記の実施形態では、継鉄部に設ける各溝部の積層厚(ステータの軸線方向に測った各溝部の寸法)を等しくし、各歯部の後端部に設ける各圧入部の積層厚を等しくしたが、第1ないし第nの溝部の積層厚は等しくなくてもよく、第1ないし第nの圧入部の積層厚は等しくなくてもよい。但し、第1ないし第nの溝部及び第1ないし第nの圧入部の対応するものどうしの積層厚は等しくしておく必要がある。即ち、第1ないし第nの溝部の積層圧をそれぞれLt1,Lt2,…,Ltn、第1ないし第nの圧入部の積層厚をそれぞれLb1,Lb2,…,Lbnとした場合、Lt1=Lb1,Lt2=Lb2,…,Ltn=Lbnに設定する必要がある。
【0049】
上記の実施形態では、継鉄部の溝の幅を、該溝の一端から他端側に段階的に大きくしていくように第1ないし第nの溝部を設け、歯部の後端部に一端から他端側に幅が段階的に大きくなる第1ないし第nの圧入部を設けるようにしたが、継鉄部2の各溝2aは、継鉄部の積層方向の一端側から他端側に向かって幅寸法が次第に大きくなるようにテーパがつけられた形状に形成されていてもよい。この場合は、各歯部の後端部に、継鉄部の溝のテーパに相応したテーパがつけられた圧入部を形成し、各歯部の後端部の圧入部を継鉄部の対応する溝に圧入することにより、各歯部を継鉄部に結合する。
【0050】
図6(A)ないし(B)は、継鉄部の溝をテーパが付けられた形状に形成した例を示したもので、同図(A)は歯部積層体33を示し、同図(B)は歯部3の後端部に形成されたテーパ付きの圧入部3aを示している。また図6(C)は溝部2a,2a,…をテーパ付きの形状とした継鉄部2を示している。
【0051】
上記の各実施形態では、各歯部の後端部の圧入部の断面形状と、それ以外の部分(コイルが巻装される部分)の断面形状とを異ならせたが、各歯部の後端部以外の部分(コイルが巻装される部分)の断面形状を、各歯部の後端部の圧入部の断面形状と同じ形状とすることもできる。例えば、図1ないし図5に示した実施形態において、各歯部3の各部の断面形状を、圧入部3a1ないし3a3の断面形状と同じ形状にすることができる。このように構成した場合には、各歯部のコイルが巻装される部分が段付きの形状を呈することになるが、コイルはボビンを介して巻回されるため、コイルの巻装には支障を来さない。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、歯部の後端部を継鉄部の溝部に圧入する際の圧入ストロークを短くすることができるため、圧入設備のストロークを短くして該設備の小形化とコストの低減とを図るとともに、圧入に要する時間を短縮して製造能率を向上させることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)ないし(C)はそれぞれ本発明の第1の実施形態で用いる3種類の歯部構成用鋼板の正面図である。
【図2】(A)ないし(C)は第1の実施形態で用いる3種類の継鉄部構成用鋼板の正面図である。
【図3】(A)は第1の実施形態で用いる歯部積層体の断面図、(B)は歯部の後端部に設ける圧入部を示した要部の正面図、(C)は継鉄部の断面図である。
【図4】(A)は歯部積層体の圧入部を継鉄部の溝部に挿入して歯部積層体の各歯部の第1の圧入部を継鉄部の第1の溝部の入口に突き当てた状態を示す平面図、(B)は、(A)のIVB−IVB線断面図、(C)は(A)のIVC−IVC線断面図である。
【図5】(A)は圧入が完了した電機子鉄心を示す平面図、同図(B)及び(C)はそれぞれ(A)のVB−VB線断面図及びVC−VC線断面図である。
【図6】(A)は本発明の第2の実施形態で用いる歯部積層体の断面図、同図(B)は歯部の後端部に設ける圧入部を示した要部の正面図、同図(C)は継鉄部の断面図である。
【図7】(A)は一連の歯部の先端の磁極部相互間を連結部により連結した構造の電機子鉄心を構成するために用いる歯部構成用鋼板を示した正面図である。(B)は(A)の歯部構成用鋼板の各歯部に結合される継鉄部を構成するために用いる鋼板の正面図である。
【図8】従来技術によるステータの電機子鉄心を構成する歯部積層体の断面図、(B)は同電機子鉄心を構成する継鉄部の断面図である。
【図9】(A)は図8の歯部積層体と継鉄部とにより構成された電機子鉄心の正面図、(B)は(A)のIXB−IXB線断面図である。
【図10】(A)及び(B)は電機子鉄心の歯部を構成するために用いられる2種類の鋼板の例を示した正面図である。
【符号の説明】
2…継鉄部、2a…溝、2a1ないし2a3…第1ないし第3の溝部、3…歯部、3a1ないし3a3…第1ないし第3の圧入部、3b…磁極部、3c…連結部、20Aないし20C…継鉄部構成用鋼板、30Aないし30C…歯部構成用鋼板、31…歯部構成部、31b…磁極構成部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機(電動機または発電機)に用いるステータ(固定子)及びその組立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動機や発電機のステータとして、図9(A)及び(B)に示したような電機子鉄心1´に電機子コイルを巻装したものが多く用いられている。図9(A)は電機子鉄心1´の正面図、図9(B)は同電機子鉄心のIXB−IXB線断面図で、この電機子鉄心は、継鉄部構成用鋼板の積層体により環状に形成された継鉄部(バックコア)2´と、継鉄部2´の周方向に等角度間隔で放射状に並ぶように配置されて後端部3a´,3a´,…が継鉄部2に結合された歯部(ティース)3´,3´,…とからなるもので、歯部3´,3´,…相互間にはスロット4´,4´,…が形成されている。歯部3´,3´,…のそれぞれの先端部には磁極部3b´,3b´,…が形成され、これらの磁極部が図示しないロータの磁極に所定のギャップを介して対向させられる。
【0003】
回転電機としては、ロータがステータの内側に配置されるロータ内転形のものと、ロータがステータの外側に配置されるロータ外転形のものとがある。ロータ内転形の回転電機においては、図9(A)に示されているように、歯部3´,3´,…が継鉄部2´の内周部から径方向の内側に突出した状態で設けられて、一連の歯部3´,3´,…の先端の磁極部3b´,3b´,…の内側にロータが配置される。このような回転電機は、例えば特許文献1に示されている。
【0004】
またロータ外転形の回転電機においては、一連の歯部が継鉄部の外周部から径方向の外側に突出した状態で設けられて、歯部の先端の磁極部を外側から囲むようにロータが設けられる。
【0005】
図9に示すようなステータを用いた回転電機においては、電機子鉄心1の一連の歯部3´,3´,…の先端の磁極部3b´,3b´,…相互間に、歯部相互間のスロット4´,4´,…をロータ側に開口させる開口部が形成されていると、大きなコギングトルクが生じ、騒音が増加する。
【0006】
そのため、特許文献1に示されているように、電機子鉄心1の一連の歯部3´,3´,…のそれぞれの先端に設けられた磁極部3b´,3b´,…相互間を連結部3c´を介して連結して、歯部相互間のスロット4´,4´,…の開口部を塞ぐことにより、コギングトルクの低減を図ることが行われている。
【0007】
このように、一連の歯部の先端の磁極部が連結部を介して連結されてスロットが閉鎖されている構造の電機子鉄心を用いる場合には、継鉄部2´に歯部3´,3´,…が結合されている状態で歯部3´,3´,…に電機子コイルを巻装することはできない。
【0008】
そのため、図9に示したステータでは、歯部3´,3´,…にそれぞれ対応する溝2a´,2a´,…を継鉄部2の内周に等角度間隔で設けておいて、歯部3´,3´,…に電機子コイル(図示せず。)を巻装した後、これらの歯部の後端部を溝2a´,2a´,…に圧入することにより電機子鉄心1を組み立てるようにしている。
【0009】
図7(A)は一連の歯部の先端の磁極部相互間を連結部により連結した構造の電機子鉄心を構成するために用いる歯部構成用鋼板30´を示したもので、この鋼板は、放射状に配列された12個の歯部構成部31´,31´,…を有している。各歯部構成部31´の後端部及び先端部にそれぞれ継鉄部に結合される結合部31a´及び磁極を構成する磁極構成部31b´が設けられ、一連の歯部構成部の先端に形成された磁極構成部31b´相互間が連結部31c´により連結されている。磁極構成部31b´及び連結部31c´の内周面は同一の円筒面上に位置するように形成されている。この鋼板30´を、歯部構成部31´の位置を揃えた状態で(歯部構成部を整列させた状態で)所定枚数積層して、積層した鋼板を適宜の手段により結束することにより、図8(A)に示すように、所定の積層厚さLを有する歯部積層体33´が構成される。
【0010】
図7(B)は継鉄部2を構成する継鉄構成用鋼板20´を示している。この鋼板20´は、円環状に形成されていて、その内周部には、歯部3´,3´,…にそれぞれ対応する切欠き部20a´,20a´,…が等角度間隔で形成されている。溝20a´,20a´,…の位置を合わせて鋼板20´を所定枚数積層することにより、図8(B)に示すような継鉄部2´が構成され、一連の鋼板20´,20´,…の切欠き部20a´,20a´,…により継鉄部の内周に溝2a´,2a´,…が形成される。
【0011】
そして、図8(A)に示した歯部積層体33´の歯部3´,3´,…にボビンに巻かれた電機子コイルを嵌装した後、該歯部積層体の一連の歯部3´,3´,…の後端部3a´,3a´,…を、図8(B)に示した継鉄部2´の対応する溝2a´,2a´,…に圧入することにより、図9(A),(B)に示したような電機子鉄心を組み立てる。この場合、歯部積層体の歯部を継鉄部の溝に圧入する際の圧入ストロークは、継鉄部及び歯部積層体の積層方向の寸法(積層厚)Lだけ必要とされる。
【0012】
上記の説明では、一連の歯部の先端の磁極部3b´,3b´,…相互間が連結部3c´により連結される場合を例にとったが、一連の歯部の先端の磁極部3b´,3b´,…相互間に隙間が形成される場合であっても、磁極部相互間の隙間が狭く、該隙間を通して巻線を行うことができない場合には、歯部を継鉄部に結合する前にコイルを巻装する必要があるため、上記と同様の組立方法がとられる。
【0013】
また従来技術ではないが、図10(A)に示すように、歯部構成部31´,31´,…の先端の磁極構成部31b´,31b´,…が連結部31c´,31c´,…により相互に連結されたx枚の鋼板30A´と、図10(B)に示すように、各歯部構成部31´の先端の磁極構成部31b´が隣接する歯部構成部31´の先端の磁極構成部31b´から分離されていて、各歯部を構成するために積層された際に隣接する磁極部相互間に隙間gが形成されるように設けられたy枚(y>>x)の鋼板30B´とを用意して、鋼板30A´を積層方向に均等に分散させた状態で、鋼板30A´と鋼板30B´とを積層することにより、電機子鉄心の各歯部3を構成することも考えられる。このように構成すると、回転電機の効率を低下させることなくコギングトルクの低減を図ることができる。このような構成をとる場合にも、鋼板30A´の磁極構成部を連結する連結部31c´により各スロットが閉鎖されるため、上記と同様の方法で電機子鉄心を組み立てることが必要になる。
【0014】
【特許文献1】
特開2000−295799号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の回転電機用ステータの組立方法では、一連の歯部3,3,…にコイルを巻装した後、歯部の後端部を継鉄部の溝に圧入する際に、電機子鉄心の積層厚Lに等しい圧入ストロークを必要としたため、歯部の後端部を継鉄部の溝に圧入するために用いるプレス機械のストロークが大きくなり、製造設備が大形になる上に、そのコストが高くなるという問題があった。
【0016】
また従来の組立方法では、歯部の後端部を継鉄部の溝に圧入する際の圧入ストロークが大きくなるため、圧入に長い時間がかかり、ステータの製造能率が低下するという問題もあった。
【0017】
本発明の目的は、各歯部の後端部を継鉄部の溝に圧入する際の圧入ストロークを短くして、製造設備の小形化とコストの低減とを図るとともに、圧入に要する時間を短縮して、製造能率の向上を図ることができるようにした回転電機用ステータ及びその組立方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、継鉄部構成用鋼板の積層体により環状に形成されて軸線方向に延びる複数の溝が等角度間隔で形成された継鉄部と、この継鉄部の周方向に等角度間隔で並ぶように配置されてそれぞれの後端部が継鉄部の溝に圧入され、ロータ側の磁極に対向する磁極部がそれぞれの先端部に形成された複数の歯部とを有して、複数の歯部相互間にスロットが形成された電機子鉄心と、歯部に巻装された電機子コイルとを備えた回転電機用ステータを対象とする。
【0019】
本発明においては、継鉄部の各溝が、該継鉄部の積層方向の一端側から他端側に順次並ぶ第1の溝部ないし第nの溝部(nは2以上の整数)を有して、継鉄部の周方向に測った第1の溝部ないし第nの溝部の幅寸法が順次段階的に大きくなっていくように、各溝部の幅寸法が設定される。また各歯部の後端部に、継鉄部の対応する溝の第1の溝部ないし第nの溝部にそれぞれ圧入するのに適した幅寸法を有する(第1の溝部ないし第nの溝部のそれぞれの幅寸法よりも僅かに大きい幅寸法を有する)第1ないし第nの圧入部が形成され、各歯部の第1ないし第nの圧入部がそれぞれ継鉄部の対応する溝の第1ないし第nの溝部に圧入されて各歯部が継鉄部に結合される。
【0020】
上記のステータを組み立てる際には、各歯部に電機子コイルを巻装した後、各歯部の第1ないし第nの圧入部をそれぞれ継鉄部の対応する溝の第1ないし第nの溝部に圧入して前記各歯部を前記継鉄部に結合する。
【0021】
この場合、第1ないし第nの圧入部を第1ないし第nの溝部に圧入する際には、各歯部の第1の圧入部を下方に向け、継鉄部の第nの溝部を上方に開口させ、かつ各歯部の第1の圧入部を継鉄部の相応する溝部の第nの溝部と整合させた状態で、各歯部を継鉄部側に変位させる。各歯部を継鉄部側に変位させると、各歯部の後端部は最初継鉄部の対応する溝内にほとんど無抵抗で挿入されていき、最も幅が狭い第1の圧入部の先端が最も幅が狭い第1の溝部の入り口(第2の溝部側の端部)に到達したところで、歯部の変位が妨げられる。この状態から歯部に大きな力を加えて、該歯部を継鉄部側に変位させると、第1の圧入部ないし第nの圧入部がそれぞれ第1の溝部ないし第nの溝部内に圧入されて、各歯部が継鉄部に結合される。従って圧入ストロークは第1の圧入部の積層厚により決まり、従来のこの種のステータに比べて、圧入ストロークを大幅に短くすることができる。
【0022】
このように、本発明によれば、歯部の後端部を継鉄部の溝部に圧入する際の圧入ストロークを短くすることができるため、圧入設備の小形化とコストの低減とを図るとともに、圧入に要する時間を短縮して製造能率を向上させることができる。
【0023】
本発明の好ましい態様では、継鉄部の溝の第1ないし第nの溝部の鋼板積層方向の寸法を等しく設定し、各歯部の第1ないし第nの圧入部の鋼板積層方向の寸法を等しく設定する。
【0024】
このように構成した場合には、歯部の第1ないし第nの圧入部を継鉄部の第1ないし第nの溝部に圧入する際の圧入ストロークを従来の1/nにすることができる。
【0025】
上記の構成では、継鉄部の溝の幅及び歯部の後端部(圧入部)の幅を段階的に異ならせるようにしたが、継鉄部の各溝の形状を、継鉄部の積層方向の一端側から他端側に向かって幅寸法が次第に大きくなるようにテーパがつけられた形状とし、各歯部の後端部に設ける圧入部の形状を、継鉄部の溝のテーパに相応するテーパがつけられた形状として、各歯部の後端部の圧入部を継鉄部の対応する溝に圧入するようにしてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図5は、本発明の第1の実施形態を説明するためのもので、図1(A)ないし(C)はそれぞれ本実施形態で用いる3種類の歯部構成用鋼板の正面図、図2(A)ないし(C)は本実施形態で用いる3種類の継鉄部構成用鋼板の正面図である。また図3(A)は本実施形態で用いる歯部積層体の断面図、同図(B)は歯部の後端部に設ける圧入部を示した要部の正面図、同図(C)は継鉄部の断面図である。また図4(A)は歯部積層体の圧入部を継鉄部の溝部に挿入して歯部積層体の各歯部の第1の圧入部を継鉄部の第1の溝部の入口に突き当てた状態を示す平面図、図4(B)は、図4(A)のIVB−IVB線断面図、図4(C)は同図(A)のIVC−IVC線断面図である。図5(A)は圧入が完了した電機子鉄心を示す平面図、同図(B)及び(C)はそれぞれ(A)のVB−VB線断面図及びVC−VC線断面図である。
【0027】
本実施形態のステータは、図5(A)及び(B)に示された電機子鉄心1と、この電機子鉄心に巻装された電機子コイル(図示せず。)とにより構成されるもので、ブラシレス直流電動機のステータ等として用いられるものである。
【0028】
図5(A)及び(B)に示された電機子鉄心1は、継鉄部構成用鋼板の積層体により環状に形成された継鉄部(バックコア)2と、継鉄部2の内周部に等角度間隔で放射状に並ぶように配置されて後端部3a,3a,…が継鉄部2に結合された歯部(ティース)3,3,…とからなり、歯部3,3,…相互間にスロット4,4,…が形成されている。歯部3,3,…のそれぞれの先端部にはロータ側の磁極に対向させられる磁極部3b,3b,…が形成され、これらの磁極部相互間は連結部3c,3c,…により連結されている。
【0029】
本実施形態では、歯部3,3,…が、図1(A)ないし(C)に示す3種類の歯部構成用鋼板30Aないし30Cにより構成されている。図1(A)に示した鋼板30Aは、放射状に配列された12個の歯部構成部31,31,…を有し、各歯部構成部31の後端部が、該歯部構成部の他の部分と同じ幅寸法Tt3を有する圧入部31a3となっている。各歯部構成部31の先端には磁極構成部31bが設けられ、一連の歯部構成部31,31,…の先端に形成された磁極構成部31b,31b,…相互間が連結部31c,31c,…により連結されている。
【0030】
図1(B)に示した歯部構成用鋼板30Bは、各歯部構成部31の後端部に、同図(A)の鋼板の後端部の圧入部31a3の幅寸法Tt3よりも小さい幅寸法Tt2を有する圧入部31a2が形成されている点を除き同図(A)の鋼板と同様に構成されている。
【0031】
また図1(C)に示した歯部構成用鋼板30Cは、各歯部構成部31の後端部に、同図(B)の鋼板の後端部の圧入部の幅寸法Tt2よりも更に小さい幅寸法Tt1を有する圧入部31a1が形成されている点を除き同図(A),(B)の鋼板と同様に構成されている。
【0032】
上記3種類の歯部構成用鋼板30Aないし30Cを、それぞれの歯部構成部31を整合させた状態で所定枚数ずつ積層して、積層した鋼板を適宜の手段で結束することにより、図3(A),(B)に示すように、所定の積層厚さLを有する歯部積層体33が構成される。
【0033】
本実施形態では、図1(A)ないし(C)に示した3種類の歯部構成用鋼板をそれぞれ所定枚数ずつ積層して構成した積層体ブロックを、最も幅寸法が小さい圧入部30a1を有する鋼板30Cの積層体ブロックを最下部に配置し、その上に順次より幅寸法が大きい圧入部を有する鋼板の積層体ブロックを積み重ねることにより、各歯部3の後端部に、段階的に大きくなっていく幅寸法Tt1,Tt2及びTt3(Tt1<Tt2<Tt3)を有する第1ないし第3の圧入部3a1ないし3a3が形成される。本発明において第1ないし第3の圧入部3a1ないし3a3のそれぞれの積層厚さ(鋼板の積層方向に測った寸法)Lt1ないしLt3は任意であるが、本実施形態では、Lt1=Lt2=Lt3=L/3に設定されている。
【0034】
なお積層した鋼板の積層体の結束は、リベットにより一連の鋼板を締結することにより行うか、または順送り積層法により行う。順送り積層法では、例えば、各鋼板を打ち抜く際に、各鋼板の一部に平行な2本の切り込みを入れるとともに、該切り込みの内側の部分を鋼板の厚み方向の一方の側にへの字形に押し出すことにより、各鋼板の厚み方向の一方の側に凸で他方の側に凹な結束部を形成し、一連の鋼板の結束部の凸の部分を隣接する鋼板の結束部の凹の部分に圧入することにより、一連の鋼板を結束した状態で積層する。
【0035】
また継鉄部2は、図2(A)ないし(C)に示した3種類の継鉄部構成用鋼板20Aないし20Bを積層することにより構成される。
【0036】
図2(A)に示した継鉄部構成用鋼板20Aは、円環状に形成されていて、その内周部に、歯部3,3,…のそれぞれの第3の圧入部3a3を圧入するのに適した幅寸法Tb3(ステータの周方向に測った幅寸法)を有する切欠き部20a3,20a3,…が等角度間隔で形成されている。
【0037】
また図2(B)に示した継鉄部構成用鋼板20Bは、内周部に形成された切欠き部20a2,20a2,…の幅寸法Tb2が同図(A)の鋼板の切欠き部20a3,20a3,…の幅寸法Tb3よりも小さい点を除き、同図(A)の鋼板20Aと同様に構成されている。切欠き部20a2の幅寸法Tb2は、歯部3の第2の圧入部3a2を圧入するのに適した大きさに設定されている。
【0038】
図2(C)に示した継鉄部構成用鋼板20Cは、内周部に形成された切欠き部20a1,20a1,…の幅寸法Tb1が同図(B)の鋼板の切欠き部の幅寸法Tb2よりも更に小さい点を除き同図(A),(B)の鋼板20A,20Bと同様に構成されている。切欠き部20a1の幅寸法Tb1は、歯部3の第1の圧入部3a1を圧入するのに適した大きさに設定されている。
【0039】
図2(A)ないし(C)に示した継鉄部構成用鋼板20Aないし20Cをそれぞれ所定枚数積層して構成した積層体ブロックを、切欠き部の幅寸法がより小さい鋼板の積層体ブロックを下方に配置するようにして積み重ねて結束することにより、図3(C)に示すように、等角度間隔で並ぶ溝2a,2a,…が内周部に形成された継鉄部2が構成されている。継鉄部2の各溝2aは、その積層方向の一端(図3Cにおいては下端)側から他端側に順次並ぶ第1の溝部2a1ないし第3の溝部2a3からなっている。第1の溝部2a1ないし第3の溝部2a3は、ステータの周方向に測ったそれぞれの幅寸法Tb1,Tb2及びTb3が順次段階的に大きくなるように(Tb1<Tb2<Tb3の関係が成立するように)設けられており、第1の溝部2a1〜第3の溝部2a3のそれぞれの積層厚Lb1ないしLb3は、各歯部の第1の圧入部3a1ないし第3の圧入部3a3の積層厚Lt1ないしLt3にそれぞれ等しく設定されている。継鉄部の各溝を構成する第1ないし第3の溝部の幅寸法Tb1ないしTb3はそれぞれ、歯部の第1ないし第3の圧入部を圧入するのに適した大きさを有している。
【0040】
本発明に係わるステータにおいては、各歯部3の第1ないし第3の圧入部3a1ないし3a3がそれぞれ継鉄部2の対応する溝2aの第1ないし第3の溝部2a1ないし2a3に圧入されて各歯部が継鉄部2に結合される。
【0041】
上記のステータを組み立てる際には、図3(A)に示す歯部積層体33を製作し、図3(C)に示す継鉄部2を製作した後、歯部積層体33の各歯部3にコイルを巻装する。次いで、継鉄部2の最も幅が広い第3の溝部3a3を上方に開口させた状態で該継鉄部2を圧入装置の固定テーブル上にセットし、コイルを巻装した歯部積層体33の各歯部3の最も幅が狭い第1の圧入部3a1を下方に向け、かつ歯部積層体の各歯部を継鉄部の対応する溝に整合させた状態で、歯部積層体33を圧入装置の可動ロッドに保持させて継鉄部2側に変位させる。
【0042】
歯部積層体33を継鉄部2側に変位させると、各歯部の圧入部は最初継鉄部の対応する溝内にほとんど無抵抗で挿入されていき、図4(A)ないし(C)に示したように、最も幅が狭い第1の圧入部3a1の先端が最も幅が狭い第1の溝部2a1の入口(第2の溝部2a2側の端部)に到達したところで、歯部積層体の変位が妨げられる。この状態から歯部積層体33に大きな力を加えて、該歯部積層体を継鉄部2側に変位させると、第1の圧入部ないし第3の圧入部がそれぞれ第1の溝部ないし第3の溝部内に圧入されて、各歯部3が継鉄部2に結合され、図5(A)ないし(C)に示す電機子鉄心が完成する。
【0043】
本実施形態の回転電機用ステータにおいては、各歯部の後端部の圧入部の少なくとも一部を継鉄部の溝内に緩く挿入した状態で、圧入を開始させるので、従来のこの種のステータに比べて、圧入ストロークを短くすることができる。本実施形態では、第1の圧入部ないし第3の圧入部の積層厚Tt1ないしTt3がL/3に設定されているため、従来必要とした圧入ストロークLに比べて、圧入ストロークを1/3に短縮することができる。
【0044】
このように、本発明によれば、歯部3の後端部を継鉄部2の溝部に圧入する際の圧入ストロークを短くすることができるため、圧入設備のストロークを短くして該設備の小形化とコストの低減とを図ることができる。また圧入ストロークが短くなることにより、圧入に要する時間を短縮することができるため、製造能率を高めることができる。
【0045】
なお本発明において、継鉄部に設ける溝部の分割数及び各歯部の後端部に設ける圧入部の分割数(上記の例では3)は任意であり、一般に継鉄部の溝部を第1ないし第nの溝部に分割し、各歯部の後端部に設ける圧入部を第1ないし第n(nは2以上の整数)の圧入部に分割することができる。これらの分割数を多くすればするほど圧入ストロークが短くなる。但し、分割数を余り多くすると継鉄部及び歯部を構成する鋼板の種類が多くなるため鋼板の打ち抜き型の種類が多くなり、製造コストが高くなる。継鉄部に設ける溝部の分割数及び各歯部の後端部に設ける圧入部の分割数は、鋼板の種類を余り多くしない範囲で、しかも圧入ストロークを従来のものに比べて十分に小さくすることができる値(例えば2ないし4)に決めるのが好ましい。
【0046】
一般に継鉄部の溝部2aを第1の溝部2a1ないし第nの溝部2anに分け、歯部の後端部に設ける圧入部を第1ないし第nの圧入部3a1ないし3anに分ける場合には、第1の溝部2a1ないし第nの溝部2anのそれぞれの幅寸法Tb1,Tb2,…,Tbnの間に、Tb1<Tb2<…<Tbnの関係が成立し、第1の圧入部3a1ないし第nの圧入部3anの幅寸法Tt1,Tt2,…,Ttnの間にTt1<Tt2<…<Ttnの関係が成立するように溝部及び圧入部の幅寸法を設定しておく。
【0047】
また圧入部3a1ないし3anの幅寸法Tt1,Tt2,…,Ttnは、溝部2a1ないし2a3に圧入するのに適した大きさにするべく、溝部2a1ないし2anのそれぞれの幅寸法Tb1,Tb2,…,Tbnより僅かに大きく設定するが、圧入部2a1,2a2,…,2an−1のそれぞれの幅寸法Tt1,Tt2,…,Ttn−1が、幅寸法がより大きい圧入部が圧入される溝部2a2,2a3,…,2nの幅寸法Tt2,Tt3,…,Ttnより大きくなることはないようにしておく。
【0048】
上記の実施形態では、継鉄部に設ける各溝部の積層厚(ステータの軸線方向に測った各溝部の寸法)を等しくし、各歯部の後端部に設ける各圧入部の積層厚を等しくしたが、第1ないし第nの溝部の積層厚は等しくなくてもよく、第1ないし第nの圧入部の積層厚は等しくなくてもよい。但し、第1ないし第nの溝部及び第1ないし第nの圧入部の対応するものどうしの積層厚は等しくしておく必要がある。即ち、第1ないし第nの溝部の積層圧をそれぞれLt1,Lt2,…,Ltn、第1ないし第nの圧入部の積層厚をそれぞれLb1,Lb2,…,Lbnとした場合、Lt1=Lb1,Lt2=Lb2,…,Ltn=Lbnに設定する必要がある。
【0049】
上記の実施形態では、継鉄部の溝の幅を、該溝の一端から他端側に段階的に大きくしていくように第1ないし第nの溝部を設け、歯部の後端部に一端から他端側に幅が段階的に大きくなる第1ないし第nの圧入部を設けるようにしたが、継鉄部2の各溝2aは、継鉄部の積層方向の一端側から他端側に向かって幅寸法が次第に大きくなるようにテーパがつけられた形状に形成されていてもよい。この場合は、各歯部の後端部に、継鉄部の溝のテーパに相応したテーパがつけられた圧入部を形成し、各歯部の後端部の圧入部を継鉄部の対応する溝に圧入することにより、各歯部を継鉄部に結合する。
【0050】
図6(A)ないし(B)は、継鉄部の溝をテーパが付けられた形状に形成した例を示したもので、同図(A)は歯部積層体33を示し、同図(B)は歯部3の後端部に形成されたテーパ付きの圧入部3aを示している。また図6(C)は溝部2a,2a,…をテーパ付きの形状とした継鉄部2を示している。
【0051】
上記の各実施形態では、各歯部の後端部の圧入部の断面形状と、それ以外の部分(コイルが巻装される部分)の断面形状とを異ならせたが、各歯部の後端部以外の部分(コイルが巻装される部分)の断面形状を、各歯部の後端部の圧入部の断面形状と同じ形状とすることもできる。例えば、図1ないし図5に示した実施形態において、各歯部3の各部の断面形状を、圧入部3a1ないし3a3の断面形状と同じ形状にすることができる。このように構成した場合には、各歯部のコイルが巻装される部分が段付きの形状を呈することになるが、コイルはボビンを介して巻回されるため、コイルの巻装には支障を来さない。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、歯部の後端部を継鉄部の溝部に圧入する際の圧入ストロークを短くすることができるため、圧入設備のストロークを短くして該設備の小形化とコストの低減とを図るとともに、圧入に要する時間を短縮して製造能率を向上させることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)ないし(C)はそれぞれ本発明の第1の実施形態で用いる3種類の歯部構成用鋼板の正面図である。
【図2】(A)ないし(C)は第1の実施形態で用いる3種類の継鉄部構成用鋼板の正面図である。
【図3】(A)は第1の実施形態で用いる歯部積層体の断面図、(B)は歯部の後端部に設ける圧入部を示した要部の正面図、(C)は継鉄部の断面図である。
【図4】(A)は歯部積層体の圧入部を継鉄部の溝部に挿入して歯部積層体の各歯部の第1の圧入部を継鉄部の第1の溝部の入口に突き当てた状態を示す平面図、(B)は、(A)のIVB−IVB線断面図、(C)は(A)のIVC−IVC線断面図である。
【図5】(A)は圧入が完了した電機子鉄心を示す平面図、同図(B)及び(C)はそれぞれ(A)のVB−VB線断面図及びVC−VC線断面図である。
【図6】(A)は本発明の第2の実施形態で用いる歯部積層体の断面図、同図(B)は歯部の後端部に設ける圧入部を示した要部の正面図、同図(C)は継鉄部の断面図である。
【図7】(A)は一連の歯部の先端の磁極部相互間を連結部により連結した構造の電機子鉄心を構成するために用いる歯部構成用鋼板を示した正面図である。(B)は(A)の歯部構成用鋼板の各歯部に結合される継鉄部を構成するために用いる鋼板の正面図である。
【図8】従来技術によるステータの電機子鉄心を構成する歯部積層体の断面図、(B)は同電機子鉄心を構成する継鉄部の断面図である。
【図9】(A)は図8の歯部積層体と継鉄部とにより構成された電機子鉄心の正面図、(B)は(A)のIXB−IXB線断面図である。
【図10】(A)及び(B)は電機子鉄心の歯部を構成するために用いられる2種類の鋼板の例を示した正面図である。
【符号の説明】
2…継鉄部、2a…溝、2a1ないし2a3…第1ないし第3の溝部、3…歯部、3a1ないし3a3…第1ないし第3の圧入部、3b…磁極部、3c…連結部、20Aないし20C…継鉄部構成用鋼板、30Aないし30C…歯部構成用鋼板、31…歯部構成部、31b…磁極構成部。
Claims (6)
- 継鉄部構成用鋼板の積層体により環状に形成されて軸線方向に延びる複数の溝が等角度間隔で形成された継鉄部と、前記継鉄部の周方向に等角度間隔で並ぶように配置されてそれぞれの後端部が前記継鉄部の溝に圧入され、ロータ側の磁極に対向する磁極部がそれぞれの先端部に形成された複数の歯部とを有して、前記複数の歯部相互間にスロットが形成された電機子鉄心と、前記歯部に巻装された電機子コイルとを備えた回転電機用ステータにおいて、
前記継鉄部の各溝は、前記継鉄部の積層方向の一端側から他端側に順次並ぶ第1の溝部ないし第nの溝部(nは2以上の整数)を有して、前記継鉄部の周方向に測った前記第1の溝部ないし第nの溝部の幅寸法が順次段階的に大きくなっていくように各溝部の幅寸法が設定され、
前記各歯部の後端部には、前記継鉄部の対応する溝の第1の溝部ないし第nの溝部にそれぞれ圧入するのに適した幅寸法を有する第1ないし第nの圧入部が形成され、
前記各歯部の第1ないし第nの圧入部がそれぞれ前記継鉄部の対応する溝の第1ないし第nの溝部に圧入されて前記各歯部が前記継鉄部に結合されていること、
を特徴とする回転電機用ステータ。 - 前記継鉄部の溝の第1ないし第nの溝部の鋼板積層方向の寸法が等しく設定され、前記各歯部の第1ないし第nの圧入部の鋼板積層方向の寸法が等しく設定されていること、
を特徴とする請求項1に記載の回転電機用ステータ。 - 継鉄部構成用鋼板の積層体により環状に形成されて軸線方向に延びる複数の溝が等角度間隔で形成された継鉄部と、前記継鉄部の周方向に等角度間隔で並ぶように配置されてそれぞれの後端部が前記継鉄部の溝に圧入され、ロータ側の磁極に対向する磁極部がそれぞれの先端部に形成された複数の歯部とを有して、前記複数の歯部相互間にスロットが形成された電機子鉄心と、前記歯部に巻装された電機子コイルとを備えた回転電機用ステータにおいて、
前記継鉄部の各溝は、前記継鉄部の積層方向の一端側から他端側に向かって幅寸法が次第に大きくなるようにテーパがつけられた形状に形成され、
前記各歯部の後端部に、前記継鉄部の溝のテーパに相応したテーパがつけられた圧入部が形成されて、各歯部の後端部の圧入部が前記継鉄部の対応する溝に圧入されていること、
を特徴とする回転電機用ステータ。 - 継鉄部構成用鋼板の積層体により環状に形成されて軸線方向に延びる複数の溝が等角度間隔で形成された継鉄部と、前記継鉄部の周方向に等角度間隔で並ぶように配置されてそれぞれの後端部が前記継鉄部の溝に圧入され、ロータ側の磁極に対向する磁極部がそれぞれの先端部に形成された複数の歯部とを有して、前記複数の歯部相互間にスロットが形成された電機子鉄心と、前記歯部に巻装された電機子コイルとを備えた回転電機用ステータを組み立てる回転電機用ステータの組立方法において、
前記継鉄部の各溝を、前記継鉄部の積層方向の一端側から他端側に順次並ぶ第1の溝部ないし第nの溝部(nは2以上の整数)に分けて、前記継鉄部の周方向に測った前記第1の溝部ないし第nの溝部の幅寸法が順次段階的に大きくなっていくように各溝部の幅寸法を設定しておき、
前記各歯部の後端部に、前記継鉄部の対応する溝の第1の溝部ないし第nの溝部にそれぞれ圧入するのに適した幅寸法を有する第1ないし第nの圧入部を形成しておき、
前記各歯部に前記電機子コイルを巻装した後、各歯部の第1ないし第nの圧入部をそれぞれ前記継鉄部の対応する溝の第1ないし第nの溝部に圧入して前記各歯部を前記継鉄部に結合すること、
を特徴とする回転電機用ステータの組立方法。 - 前記継鉄部の溝の第1ないし第nの溝部の鋼板積層方向の寸法を等しく設定し、前記各歯部の第1ないし第nの圧入部の鋼板積層方向の寸法を等しく設定しておくこと、
を特徴とする請求項4に記載の回転電機用ステータの組立方法。 - 継鉄部構成用鋼板の積層体により環状に形成されて軸線方向に延びる複数の溝が等角度間隔で形成された継鉄部と、前記継鉄部の周方向に等角度間隔で並ぶように配置されてそれぞれの後端部が前記継鉄部の溝に圧入され、ロータ側の磁極に対向する磁極部がそれぞれの先端部に形成された複数の歯部とを有して、前記複数の歯部相互間にスロットが形成された電機子鉄心と、前記歯部に巻装された電機子コイルとを備えた回転電機用ステータにおいて、
前記継鉄部の各溝を、前記継鉄部の積層方向の一端側から他端側に向かって幅寸法が次第に大きくなるようにテーパがつけられた形状に形成しておき、
前記各歯部の後端部に、前記継鉄部の溝のテーパに相応するテーパがつけられた圧入部を形成しておき、
前記各歯部に前記電機子コイルを巻装した後、各歯部の後端部の圧入部を前記継鉄部の対応する溝に圧入して各歯部を前記継鉄部に結合すること、
を特徴とする回転電機用ステータの組立方法。
Priority Applications (1)
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JP2003007455A JP2004222425A (ja) | 2003-01-15 | 2003-01-15 | 回転電機用ステータ及びその組立方法 |
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CN104638783A (zh) * | 2013-11-08 | 2015-05-20 | 珠海格力节能环保制冷技术研究中心有限公司 | 定子结构及电机 |
-
2003
- 2003-01-15 JP JP2003007455A patent/JP2004222425A/ja active Pending
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