以下、本発明をその実施の形態に基づいて図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の電灯線通信ネットワーク設定システムおよび電灯線通信ネットワーク設定方法の実施例である、電灯線に接続された複数個の機器のうち、少なくとも1つの機器は、他の機器にハウスコードおよびアドレスを設定する機能をもったマスタであって、前記マスタにはすでにハウスコードおよびアドレスが設定されているような構成の電灯線ネットワーク構成の一例を示す図である。
ここで、機器2a〜2nは、電灯線100を通信媒体とし、マスタ1はハウスコード及びアドレスを、後述する方法によって機器2a〜2nに設定する。
一方、新たに接続される機器2a〜2nは、他の機器にハウスコードおよびアドレスを設定するマスタ機能は持たず、ハウスコードが未設定であって、通信を開始するに際して、既に電灯線ネットワークに存在するマスタ1によってネットワーク上に機器があることを暫定的に識別させるための、暫定ハウスコードが設定された状態であるとともに、通信を開始するに際して、既に電灯線ネットワークに存在するマスタ1によって自己を暫定的に識別させるための仮アドレスが設定された状態で電灯線ネットワークに接続されるものとする。
ここで、暫定ハウスコードによりマスタ1と機器2a〜2nとの間で後述するマスタ1から機器2a〜2nに正式ハウスコードを設定するための通信を電灯線100を介して行えるようにする。
図2に示すように、マスタ1はモデム11、処理部12、メモリ13、動作状態切り替えボタン14から構成される。
ここで、モデム11は、送信処理時においては、処理部12から信号を受け取ると、電灯線100に送信し、受信処理時においては、電灯線100の商用電圧カット後の信号を受信信号として、処理部12に受け渡す手段である。
処理部12は、送信処理および受信処理を行う手段である。送信処理としては、ハウスコードと通信相手となる機器のアドレス(後述する仮アドレス、またはマスタ1から設定された正式アドレス)をメモリ13から読み出し、これらとハウスコードおよび正式アドレスを設定するコマンドとから送信信号を生成する。そして、この生成した送信信号をモデム11に受け渡す。
また、受信処理として、ハウスコード、アドレス、および、ハウスコードおよび正式アドレスを設定するコマンドを含む信号をモデム11から受け取ると、以下の動作を行う。まず、信号中のハウスコードと、メモリ13に記憶された自身のハウスコードを比較し、一致するとさらに信号中のアドレスと、メモリ13に記憶された自身のアドレスとを比較する。ここでモデム11からのアドレスが、自身のアドレスと一致するか、一斉同報アドレスと一致すると、モデム11に受信継続等の命令を送る。ハウスコードおよびアドレスが一致しない場合は、電文を破棄する。
メモリ13は、読み書きが可能な記憶装置であり、マスタ自身のハウスコード、および自身のマスタアドレス、機器2a〜2nに設定するアドレス、電灯線通信ネットワークに接続される他の機器に共通に一意に設定された一斉同報アドレス、そして後述するアドレステーブルを記憶する手段であって、例えば不揮発メモリにより実現される。
動作状態切り替えボタン14は、ユーザにより操作される動作状態の切替を行うための手段であって、マスタ1が通常状態からハウスコード・アドレス設定状態に遷移するための指示を、ユーザから受け付けることができるものである。なお、動作状態切り替えボタン14は、ユーザによって直接操作可能ボタンとして示すが、スイッチ、通信インタフェースや、パソコン等のアプリケーションソフトウェアインターフェースとして構成し、パソコンのディスプレイ上のアプリケーションの画面からユーザの操作により操作可能とすることもできる。
次に、図3に示すように、機器2aは、モデム21、処理部22、メモリ23から構成される。モデム21は、モデム11と同様の機能を有するので、説明は省略する。
処理部22は、処理部12と同様の機能を有する以外に、以下の機能を有する。すなわち、処理部22は、モデム21から受け取った信号中のアドレスが、メモリ23に記憶された仮アドレスと一致し、信号中にハウスコード設定のコマンドを検出すると、メモリ23にハウスコードが記憶されているかチェックし、未記憶であれば、後述するシーケンスに基づき、信号中のハウスコードをメモリ23に記憶する。また、それに続き、後述するシーケンスに基づき、信号中のアドレス設定コマンドを受信すると、このアドレス設定コマンドに含まれるアドレスを機器自身の正式アドレスとして、メモリ23に記憶する。
メモリ23は、メモリ13と同様、例えば不揮発メモリにより実現される読み書きが可能な記憶装置であり、電灯線ネットワークに接続されるまではハウスコードが未記憶で、通信を開始するに際しての、マスタ1によって自己を暫定的に識別させる仮アドレスを記憶する手段である。またメモリ23は、電灯線ネットワークに接続し、マスタ1から設定がなされた後は、設定されたハウスコードおよびアドレスを記憶する。
機器2b〜2nの構成は、機器2aと同様であり、詳細な説明は省略する。
マスタ1および機器2a〜2nは、その一例として空気調和機として、モデム11,21、処理部12、22、およびメモリ13,23以外に空気調和手段を備えていてもよいし、電力計や電力モニタで、電力計測手段やモニタ手段を備えていてもよい。
また、マスタ1、および機器2a〜2nは、処理部12、22からインタフェースを介して、空気調和機や電力計や電力モニタなどの機器に接続されていてもよい。なお、ここで機器2nの「n」は任意の順番の機器を示すものである。
以上のような構成を有する、本実施の形態による電灯線通信ネットワークの通信設定システムの動作を、以下に説明するとともに、本発明の通信設定方法、第1の装置、第2の装置の動作の一実施の形態について説明を行う。
ただし、以下の説明において、マスタ1には工場出荷時等に、一意のハウスコードと、マスタに一意に規定されるマスタアドレスが予め設定されているものとする。ただしハウスコードは、市区、県など所定の地域、領域における使用にて互いに識別ができる程度の値であってもよく、必ずしも一意である必要はない。
一方、新たに接続される機器2a〜2nは、他の機器にハウスコードおよびアドレスを設定するマスタ機能は持たず、ハウスコードが未設定であって、通信を開始するに際して、既に電灯線ネットワークに存在するマスタ1によって自己を暫定的に識別させるための仮アドレスが設定された状態で電灯線ネットワークに接続されるものとする。
はじめに図4に示す、マスタ1のハウスコード・アドレス設定のフローに基づきマスタ1側の動作を説明する。
ユーザは、これから新たに電灯線100に機器を接続する直前に、マスタ1の動作状態切り替えボタン14を操作する(STEP1−1)。
その結果、マスタ1の処理部12に、動作状態切り替えボタン14によって、マスタ1が通常状態からハウスコード・アドレス設定状態に遷移するための指示が入力される。このとき、ユーザが誤ってボタンを押しても、容易にマスタが通常状態からハウスコード・アドレス設定状態に遷移しないように、動作状態切り替えボタン14は所定時間(図中X秒)以上押し下げられないと、マスタ1は状態遷移しないようにするなどの、誤動作防止措置が施されていることが望ましい。
ここで、ハウスコード・アドレス設定状態は、ハウスコード割り当てモードとアドレス割り当てモードに区分され、正常処理の場合は、ハウスコード割り当てモードからアドレス割り当てモードの順に遷移する。
マスタ1は通常状態から、ハウスコード・アドレス設定状態のハウスコード割り当てモードに遷移すると、暫定ハウスコードとともに、自身のハウスコードをハウスコードアナウンスデータとして所定周期で仮アドレス宛に送信開始し、電灯線に接続され、かつハウスコードが未だ割り当てられていない機器に対して、ハウスコードの割り当てを行う。なお、この周期はユーザによって調整できるようにしても良い。
ハウスコード割り当てモードのタイムアウト時間(Y分)だけ時間が経過すると、マスタ1は、ハウスコード割り当てモードから通常モードへ遷移し、所定周期でのハウスコードの仮アドレス宛への送信を終了する(STEP1−2)。ここで、ハウスコード割り当てモードのタイムアウト時間は、通信トラフィックを考慮し、短い方が望ましい。また、ユーザによって時間の長短を調整できるようにしておいてもよい。
一方、マスタ1は、ハウスコード割り当てモードのタイムアウト時間までに、ハウスコードが割り当てられた機器からアドレス要求コマンドを受信すると、ハウスコード割り当てモードからアドレス割り当てモードに遷移する(STEP1−3)。
マスタ1は、アドレステーブルから機器へのアドレス付与情報が未付与であるアドレスを検索し、検索された未付与であるアドレスを含むアドレス設定コマンドを仮アドレス宛に送信する。
マスタ1は、アドレス付与先の機器2aからアドレス設定完了を受信すると、ACKをアドレス付与先の機器2aに送信後、アドレステーブル中の付与アドレスに対応する、機器へのアドレス付与情報を付与済みに変更し、再度ハウスコード割り当てモードに遷移する(STEP1−4)。
次に、図5に示す、機器2aの被ハウスコード・アドレス設定のフローに基づき機器2a側の動作を説明する。
ユーザによって、電灯線100に接続されると、機器2aの処理部22はメモリ23に記録された自身のアドレスをチェックし、仮アドレス以外のアドレスが記録されている場合は、通常モードに遷移する。
仮アドレスが記録されている場合は、被ハウスコード・アドレス設定状態に自動的に遷移する(STEP2−1)。
ここで、被ハウスコード・アドレス設定状態は、ハウスコード待ち受けモードとアドレス待ち受けモードに区分され、正常処理の場合は、ハウスコード待ち受けモードからアドレス待ち受けモードの順に遷移する。
機器2aはハウスコード待ち受けモードに遷移後、マスタ1から仮アドレス宛に所定の周期で送信される、正式なハウスコードを含むハウスコードアナウンスデータを、所定の期間(図中ではX秒)内に所定回数(図中ではY回)連続して受信した場合、メモリ23にハウスコードを記録し、これを自らのハウスコードとして設定する(STEP2−2)。ここで、「連続」は、同一のハウスコードを含むハウスコードアナウンスデータがマスタ1から連続して送信されていることに基づく。以降、機器2aは、このハウスコードを自身の正式ハウスコードとし、後述するアドレス要求コマンド送信時のハウスコードとして使用する。このときの処理部22の動作の一例としては、暫定ハウスコードの受信回数をカウントアップし、ハウスコードアナウンスデータの連続して受信回数と、自らに予め設定された連続受信回数設定値とを比較するようにする。このときカウントの対象となるハウスコードアナウンスデータは、同一のハウスコードを含むことが条件とされ、異なるハウスコードを有するハウスコードアナウンスデータの受信回数が混同されてカウントされることはない。
なお、上記STEP2−2において、機器2aが、上記所定期間内に、互いに異なる複数のハウスコードを受信した場合は、その受信順に関わらず、両方のハウスコードを破棄して、設定および受信動作を一時停止する。また、上記所定期間内に、ハウスコードアナウンスデータを受信できなかった場合も、設定および受信動作を一時停止するようにする。
一時停止の期間はユーザが任意に設定してもよいし、ユーザが再起動させるようにしてもよい。これにより、設定時に例えば隣家などに設置された制御端末からのハウスコードが先に機器2aに設定されてしまうような事態や、設定動作が中断するような事態を、ある程度まで避けることが可能となる。
また、この際、機器2aが、マスタ1の暫定ハウスコードとともに、自身のハウスコードを所定周期で仮アドレス宛に送信する動作を停止する停止命令を送信することにより、マスタ1のハウスコード設定の動作を停止するようにしてもよい。これにより、設定時に隣家などに設定された他の機器に対し、ハウスコードが誤設定されるような事態を、ある程度まで避けることが可能となる。
続いて機器2aは、ハウスコード設定後、ハウスコード待ち受けモードからアドレス待ち受けモードに遷移する。
機器2aは、他の機器から識別させるための識別情報、例えばメーカ情報や製品コードとともに、マスタアドレス宛にアドレス要求コマンドを送信する(STEP2−3)。
ここで、機器2aが、他の機器から識別させるための識別情報、例えばメーカ情報や製品コードとともに、アドレス要求コマンドをマスタ1に送信する理由は、マスタ1が誤って、同一の仮アドレスが設定された異なる機器に正式アドレスを送信することを防ぐためである。
機器2aは、自身の識別情報と同じ識別情報が付与されて送られたアドレスをマスタ1から受信すると、その送られたアドレスをメモリ23に記録する(STEP2−4)。以降、機器2aはこのアドレスを自身の正式アドレスとする。
ここで、機器2aは、マスタ1から何らかの理由で、アドレスをタイムアウト時間以上、受信できない場合は、エラーモードに遷移する。
さらに、機器2aは、このメモリ23への記録後、アドレス設定完了の通知をマスタアドレス宛にする(STEP2−5)。
そして、機器2aはマスタ1からアドレス設定完了の通知に対するACKを受信すると、上記ハウスコードおよび正式アドレスの設定が正しく完了したと判定し、アドレス待ち受けモードから通常モードに遷移する(STEP2−6)。
ここで、機器2aは、マスタ1から何らかの理由で、アドレスをタイムアウト時間以上、受信できない場合は、エラーモードに遷移する。
なお、マスタ1および機器2aにおける、上記ハウスコードおよび正式アドレスを設定するコマンドの送受信を行い、マスタ1は、新たに接続された機器2aに、ハウスコードおよび正式アドレスを設定するまでの処理手順は、エラー処理手順も含め、それぞれ処理部12、22に記録される。
なお、前述したマスタ1と機器2a間における、正式ハウスコードおよび正式アドレスを設定するコマンドの送受信通信シーケンスを図16に示す。
また、上記の動作において、アドレス要求コマンドに含まれる識別情報は、例えばメーカ情報や製品コードであるとしたが、図6に示す構成のように、機器2aは、擬似ランダムデータ生成手段110を備え、機器にハウスコードが設定された後に、機器2aの処理部110が、暫定アドレスと、擬似ランダムデータ生成手段110が生成する擬似ランダムデータとからアドレス要求データを構成して電灯線ネットワーク上に送信するようにしてもよい。このとき生成したアドレス要求データはメモリ13上に保持しておくようにする。
マスタ1は、アドレス要求データを受信すると、メモリ13に記憶している複数のアドレスを参照し、重複しない正式アドレスを決定し、正式アドレスと、受信したアドレス要求データに含まれる暫定アドレスと、擬似ランダムデータとからアドレス設定データを構成し電灯線ネットワーク上に送信する。
機器2aの処理部22は、アドレス設定データを受信し、アドレス設定データに含まれるハウスコードと、メモリ13に保持しているハウスコードとを照合し、照合結果が同一かつ、アドレス設定データに含まれる擬似ランダムデータと、メモリに保持しているアドレス要求データ内の擬似ランダムデータとを照合し、照合結果が同一の場合、アドレス設定データが、自己宛のアドレス要求データであると特定し、アドレス要求データに含まれる正式アドレスを、メモリ13に保持する暫定アドレスに代えて自己アドレスとして保持する。
以上のような本実施の形態によれば、機器を電灯線に接続するのと同時に、マスタの操作を行うすることにより、機器を電灯線に接続するだけで、ハウスコードの設定を行うことが可能となり、ユーザが同時にマスタの操作、機器の電灯線への接続を行うことにより、隣家からのデータの混信、隣家へのデータの漏洩が存在する電灯線システムにおいても、隣家の被制御端末に誤ってハウスコードを設定する可能性や、隣家のマスタのハウスコードに誤って自マスタのハウスコードを設定してしまう可能性を減少させることができる。
また、各家庭ごとに唯一のハウスコードをマスタのみに割り振ればよいため、ハウスコードの管理が著しく容易になる。さらに、ハウスコードの設定の後、速やかにアドレスの自動設定を行うため、ユーザは、アドレスの管理について意識する必要がなく、また誤操作によって、重複したアドレスを設定してしまうことが防止することができる。
なお、上記の動作においては、ハウスコードアナウンスデータはハウスコードを含むものとして説明を行ったが、機器2aが一旦ハウスコードアナウンスデータを取得したことを確認してから、改めてマスタ1がハウスコードのみを機器2aに当てて送信するようにしてもよい。
また、機器の、予め設定した連続受信回数設定値は、ユーザにて任意に変更しても良い。受信に要する所定の期間となるハウスコードアナウンスデータ受信時間もまた、任意に変更してよい。
また、上記の動作においては、暫定ハウスコード宛の同報通信によりハウスコードを設定したが、この際に、マスタ1と、機器2a〜2n他の間で、ユーザにより設定可能なIDを設定し、これを設定用のIDとして、上記の同報通信を行うようにしてもよい。
これにより、マスタ1の処理部12は、ハウスコードおよび設定IDを、電灯線100を介して送信する。機器2a〜2nはハウスコードおよび設定IDを受信するが、受信した設定IDと、自らに設定されている設定ID入力手段に設定された設定IDとを比較し、両者が一致すれば、送信されたハウスコードを、暫定ハウスコードの代わりにハウスコードとして設定し、一致しなければ、設定動作を一時停止する。
ハウスコードおよびアドレスが設定された後は、設定IDは無効化される。
図2,3にそれぞれ示すように、設定IDは、マスタ1においては設定ID入力手段19,機器2a〜2nにおいては、設定ID入力手段24にてユーザが入力できるようにすればよく、そのデータ量は、容易且つ任意に設定できる程度の量であって、例えば3ビット程度であればよい。
これにより、ユーザが希望しない他のグループに属するマスタからのハウスコード設定を受け付けないようにでき、他のマスタを用いてハウスコードアナウンスデータを送信している隣家との混信が発生している状況において、隣家のマスタから送信されたハウスコードアナウンスデータが、先に自己の機器に設定されてしまうような誤設定を完全に防ぐことができる。
なお、マスタ1は、他の機器にハウスコードおよびアドレスを設定するマスタ機能のみを有する専用機器でもよいし、マスタ機能以外の機能を有する機器でも、本実施の形態においては同様の効果が得られる。
なお、電灯線ネットワークにおいて、宅外と宅内の間、またはシステムとシステムの間にブロッキングフィルタが設置された場合でも、同様の効果が得られる。
また、上記の動作においては、ハウスコードの設定とアドレスの設定とを同一のフローで行ったが、ハウスコードとアドレスとを同一のコードに設定し、設定の動作を一度で行うようにしてもよい。また、アドレスの設定をハウスコードの設定に先んじて行うようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態として、図7に示すように、他の機器にハウスコードおよびアドレスを設定するマスタ機能を有するマスタを、既にマスタが存在する電灯線ネットワークに新たに接続し、既に電灯線ネットワークに存在するマスタから、新たに接続するマスタにマスタ機能を移行する方法を説明する。
なお、このようにマスタ機能を移行するのは、マスタを既に設置された古いマスタから新規購入した新しいマスタに置き換えたい場合などに発生する。また、後述するように、マスタ機能を無効にすることなく電灯線ネットワークに接続した機器と、この機器からハウスコードを上記の実施の形態1によって付与された機器から構成された電灯線ネットワークと、既に先に存在するマスタと、この先に存在するマスタから、同様に上記の関連技術により付与された機器から構成された電灯線ネットワーク間では直接通信はできない。なぜなら、両電灯線ネットワークの構成機器は、異なるハウスコードが設定されているためである。
以下において、電灯線ネットワークに存在するマスタの移行方法を説明する。
ここで、マスタの移行にあたり、既に電灯線ネットワークにおいてマスタであり、下記手順により最終的に機器に移行するものを旧マスタ3、これから下記手順により、最終的に旧マスタにとってかわり、マスタに移行するものを新マスタ4、そしてマスタ機能を無効にされ、現在は機器として機能するものを潜在的なマスタと定義する。
マスタの移行は大きく次の2つのステップを踏む。
ステップA:マスタ4の電灯線ネットワークへの参入。
ステップB:マスタ4の潜在的なマスタから新マスタへの移行。
以下、ステップAにおけるマスタ4のフローを説明する。ここで、旧マスタ3および新マスタ4は、図8に示すように、それぞれ、図2のマスタ1と同等のモデム、処理部、メモリ、動作状態切り替えボタンに加えて、マスタ機能有効・無効切り替えボタン15を備えており、説明には図8を用いる。
以上のような構成を有する、本発明の第2の実施の形態の説明を以下に行う。
ユーザは新マスタ4のマスタ機能有効・無効切り替えボタン15を押し下げた状態で、電灯線100に接続する。この操作により、新マスタ4のマスタ機能は無効になり、メモリ13に記録されたハウスコードおよびマスタアドレスは消去される。そして、新マスタ4は、自動的にハウスコード待ち受けモードへ遷移し、上記実施の形態で説明した同様のシーケンスで、旧マスタ3から、旧マスタ3のハウスコードおよび正式アドレスを設定される。
ここで、旧マスタ3におけるハウスコード・アドレス設定のフローは、上記実施の形態の図4と同様である。
以下、ステップBにおける旧マスタ3のフローを、図9を用いて説明する。
旧マスタ3は、現時点潜在的マスタである新マスタ4から、アドレステーブル要求コマンドを受信すると、この現時点潜在的マスタである新マスタ4に、アドレステーブルを送信する(STEP B1−1)。
ここで、アドレステーブルは、旧マスタ3自身が他の機器2a〜2nに付与・管理するアドレスと、機器へアドレス付与済みであるか、未付与であるかを示す機器へのアドレス付与情報と、旧マスタ3の応答要求コマンドに対する、機器の無応答回数をアドレス毎に関連づけてメモリ13に記録したものである。
さらに、旧マスタ3は、現時点潜在的マスタから新マスタに移行中である新マスタ4から、空きアドレスへの変更要求およびマスタ機能無効要求を受信すると、アドレスをマスタアドレスからこの空きアドレスへ変更し、またマスタ機能を無効に切り替える(STEP B1−2)。
旧マスタ3は、このアドレス変更およびマスタ機能の切り替えに成功すると、現時点潜在的マスタから新マスタに移行中である新マスタ4に、アドレス設定完了を送信する(STEP B1−3)。
そして、旧マスタ3は、現時点潜在的マスタから新マスタに移行中である新マスタ4からACKを受信すると、通常モードに移行し、旧マスタ側のマスタ機能の移行は完了する。
また、以下、ステップBにおける新マスタ4のフローを、図10を用いて説明する。
現時点潜在的なマスタである新マスタ4は、例えば、ユーザによって、動作状態切り替えボタン14、マスタ機能有効・無効切替ボタン15を両方同時にX秒間以上押されると、マスタアドレス宛に、アドレステーブル要求コマンドを送信する(STEP B2−1)。
なお、ここで、ユーザは、動作状態切り替えボタン14、マスタ機能有効・無効切替ボタン15を両方同時に所定時間以上押さないといけない理由は、ユーザが誤って、不用意にマスタ機能の移行をしてしまうことを防ぐためである。
続いて、潜在的なマスタから新マスタに移行中である新マスタ4は、旧マスタ3からアドレステーブル要求コマンドに対するアドレステーブルを受信すると、このアドレステーブルを設定・記録するとともに、このアドレステーブルから空きアドレスを検索し、マスタアドレス宛で旧マスタ3に、この空きアドレスへのアドレス変更、およびマスタ機能無効要求を送信する(STEP B2−2)。
さらに、潜在的なマスタから新マスタに移行中である新マスタ4は、旧マスタ3からアドレス設定完了を受信すると、自身のアドレスを現在のアドレスからマスタアドレスへ変更するとともに、マスタ機能を有効にする(STEP B2−3)。
そして、潜在的なマスタから新マスタに移行中である新マスタ4は、アドレス変更およびマスタ機能の切り替えに成功すると、旧マスタ3にACKを送信し、通常モードに移行し、新マスタ側のマスタ機能の移行は完了する。
なお、ユーザによる動作状態切り替え手段として、本実施の形態では、プッシュボタンなどに代表される動作状態切り替えボタン14を取り上げたが、ユーザによる直接のボタン入力以外に、例えば赤外線リモコンなどで、動作状態切り替えコマンドをマスタに送信し、マスタの動作状態を切り替えるようにしても本発明においては同様の効果が得られる。
また、同様に、マスタ機能有効・無効切り替え手段として、ユーザによる直接のボタン入力以外に、例えば赤外線リモコンなどで、マスタ機能有効・無効切り替えコマンドをマスタに送信し、マスタ機能有効・無効を切り替えるようにしても本発明においては同様の効果が得られる。
なお、上記マスタ機能の移行処理手順は、エラー処理手順も含め、それぞれ新旧マスタ3、4の処理部12に記録されている。
なお、マスタは、他の機器にハウスコードおよびアドレスを設定するマスタ機能のみを有する専用機器でもよいし、マスタ機能以外の機能を有する機器でも、本発明においては同様の効果が得られる。
なお、本電灯線ネットワークにおいて、宅外と宅内の間、またはシステムとシステムの間にブロッキングフィルタが設置された場合でも、同一のネットワーク内におけるマスタの交換動作であるため、本発明においては同様の効果が得られる。
ここで図11(a)(b)に、上記マスタ1,旧マスタ3,新マスタ4および機器2aの一例の外観図を示す。
図11(a)(b)のように、告知手段としてLED16、17で、マスタのハウスコード・アドレス設定状態や、機器2aの被ハウスコード・アドレス設定状態をユーザに明示したり、ブザー18等でユーザにハウスコードおよびアドレス設定完了を通知してもよい。また、通信エラーなどの不具合によってハウスコード・アドレス設定が失敗した場合、または想定しないハウスコード・アドレス設定が生じた場合にも、その状態をLED16、17やブザー18等で通知してもよい。
ここでは、告知手段として、LED16を種別モニタLEDと定義し、マスタは点灯、マスタ以外の機器は消灯とし、マスタから機器へ、または機器からマスタへの移行時は点滅させる。そして、種別モニタLEDにより、マスタであるか、マスタ以外の機器であるか、または移行時であることを明示する。
また、LED17を動作モードモニタLEDと定義し、マスタは、ハウスコード・アドレス設定状態時、機器は、被ハウスコード・アドレス設定状態時に点灯させ、通常時は消灯させる。さらにエラー時は、動作モードモニタLEDを点滅させる。そして、動作モードモニタLEDにより、マスタまたは機器の現在の動作状態を明示する。
その結果、ハウスコード・アドレスの再設定をするべきか否か、またハードウェアリセット(ハードリセット)を、かけるべきか否かをユーザが容易に判定できる効果がある。
なお、マスタ1,旧マスタ3,新マスタ4および機器2aにおけるハウスコード・アドレス設定状態と、種別モニタLEDおよび動作モードモニタLEDの点灯・点滅状態を関連づけて図4、図5、図9、図10に示す。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の電灯線通信ネットワーク設定システムおよび電灯線通信ネットワーク設定方法の第3の実施の形態として、マスタ1がアドレステーブルに記録された情報から、機器2a〜2nに付与済みのアドレスを、機器2a〜2nの電灯線ネットワークへの接続状態に応じて削除する方法を説明する。
なお、マスタ1および機器2a〜2nの構成は、図2〜図3と同様であり、説明は省略する。ただし実施の形態2と同様、マスタ1には機器2a〜2nのアドレスを管理するアドレステーブルが設定されている。
ここで、下記の手順の、機器の電灯線ネットワークの接続状態において、マスタ1が電灯線ネットワークから削除されたと判定した付与済みのアドレスを、再付与対象にする方法は、アドレス資源を有効活用できる効果がある。
図12中に、電灯線ネットワークに接続された他の機器2a〜2nにハウスコードおよびアドレスを設定する機能をもったマスタ1が保持するアドレステーブル30の一例を示す。
ここで、アドレステーブル30は、マスタ1自身が他の機器2a〜2nに付与・管理するアドレスと、機器へアドレス付与済みであるか、未付与であるかを示す機器へのアドレス付与情報と、マスタ1の応答要求コマンドに対する、機器の応答要求コマンド無応答回数をアドレス毎に関連づけてメモリ13に記録したものである。
マスタ1は、ある所定のタイミングで、自身が保持するアドレステーブル30の機器へのアドレス付与情報から付与済みアドレス数をチェックする(STEP3−1)。
ここで、電灯線ネットワークに順次新たに機器が接続され、マスタ1が機器に付与した付与済みアドレス数が、例えばマスタ1の付与可能最大アドレス数(M個)の半数(N)を超えたとマスタ1は判定すると(STEP3−2)、ある所定の周期で(X時間に1回の定周期)、付与済みアドレス宛に順次、マスタ宛への応答を要求する応答要求コマンドを送信する(STEP3−3)。
そして、マスタ1は、応答要求コマンドに対する応答が得られない場合、応答が得られない付与済みアドレスと関連づけられた、アドレステーブルに記録された応答要求コマンド無応答回数を1増やす。 さらに、マスタ1はある所定のタイミングで、付与済みアドレス数のチェックを続行し、付与済みアドレス数が、ある所定値(Y)を超えたと判定すると(STEP3−4)、アドレステーブル30に、各付与済みアドレス毎に関連づけて記録された、応答要求コマンド無応答回数を調べる。そして、応答要求コマンド無応答回数が、ある所定値以上のアドレスに対応づけられた機器へのアドレス付与情報を付与済みから未付与に変更する(STEP3−5)。なお、ここで、応答要求コマンド無応答回数が、ある所定値以上のアドレスに対応づけられた機器へのアドレス付与情報を付与済みから未付与に変更する理由は、応答要求コマンドに対して応答を返さないのは、ある所定時間以上電灯線ネットワークから、その機器が離脱したと判断するためである。
そして、今後新たに電灯線400に接続される機器に、このアドレス付与情報を付与済みから未付与に変更したアドレスを再付与するようにする。その結果、付与・管理するアドレス数が有限であるアドレス体系において、アドレス資源を有効活用できる。
なお、上記マスタ1がアドレステーブル30に記録された、機器2a〜2nに付与済みのアドレスを、機器の電灯線ネットワークへの接続状態に応じて削除する処理手順は、エラー処理手順も含め、マスタ1に記録されている。
なお、マスタ1は、他の機器2a〜2nにハウスコードおよびアドレスを設定するマスタ機能のみを有する専用機器でもよいし、マスタ機能以外の機能を有する機器でも、本実施の形態においては同様の効果が得られる。
なお、アドレステーブル30には、応答要求コマンド無応答回数ではなく、マスタ自身が応答要求コマンドを送信した時点の時刻である、応答要求コマンド送信時刻と、前記応答要求コマンドに対する機器の応答を受信した応答受信時刻、もしくは機器からの応答に含まれる応答時刻情報をアドレス毎に順次更新記録し、現時点の、前記応答要求コマンド送信時刻と、アドレス毎の前記応答受信時刻、もしくは前記応答時刻情報を比較して、ある規定時間以上応答要求コマンドに対する応答を受信していない機器のアドレスを削除するようにしても、応答要求コマンド無応答回数をもとにアドレスを削除する、前記説明と同様の効果が得られる。
また、なお、次に述べるように、応答要求コマンド送信回数をもとに、応答要求コマンドを所定の回数以上返さない機器のアドレス付与情報を付与済みから未付与に修正するようにしても前記説明と同様の効果が得られる。
応答要求コマンド送信回数における処理のフローを図17に示す。
マスタ1は、現時点の応答要求コマンド送信回数を、自身記録するとともに、アドレステーブル1730において、応答要求コマンドに対して応答した応答要求コマンド送信回数をアドレス毎に順次更新記録していく。
マスタ1は、自身が記録する現時点の応答要求コマンド送信回数と、アドレステーブル1730にアドレス毎に記録された応答要求コマンド送信回数の差分が、ある所定値を超えたと判定すると、この応答要求コマンド送信回数の差分がある所定値を超えたアドレスに対応づけられた、機器へのアドレス付与情報を付与済みから未付与に変更する。なお、このマスタ1自身が記録する現時点の応答要求コマンド送信回数と、アドレステーブル30にアドレス毎に記録された応答要求コマンド送信回数に差分が生じるのは、電灯線ネットワークから削除され、マスタからの応答要求コマンドに対する応答を返すことができないためである。
ここで、機器へのアドレス付与情報を付与済みから未付与に変更する差分の判定値を調整することで、アドレス再利用の対象となる、電灯線ネットワークから削除され接続されていないとみなされる期間を調整することができる。また、応答要求コマンド送信回数と、応答要求コマンド送信回数の差分との比較対象となる所定値の大小は、ユーザにより任意に設定されるようにしても良い。
なお、本電灯線ネットワークにおいて、宅外と宅内の間、またはシステムとシステムの間にブロッキングフィルタが設置された場合でも、同一のネットワーク内におけるマスタの交換動作であるため、本発明において同様の効果が得られる。
(第4の実施の形態)
以下に本発明の第4の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図13は、本発明の第4の実施の形態による電灯線通信制御システムのハウスコード設定方式のシステムの形態を示す図である。
図13において、本発明の電灯線通信制御システムは、電灯線100に接続される制御端末200と、電灯線100に接続される複数の被制御端末300〜nとから構成されている。
制御端末200は、ハウスコード付与手段210と、ハウスコード付与モード移行用インタフェース220と、電灯線通信処理部230とを備えている。
ハウスコード付与手段210は図示しない不揮発メモリを有し、これに工場出荷時等に全世界で唯一のハウスコードおよび他の制御端末および被制御端末と共通に一意に設定された暫定ハウスコードを予め保持しており、予め保持するハウスコードを電灯線100に接続される被制御端末300〜nに、暫定ハウスコードにより電灯線通信処理部230により付与することにより、制御端末200と被制御端末300〜nとの間、もしくは、被制御端末300〜n相互に電灯線100を介した通信を行えるようにする。
ハウスコード付与モード移行用インタフェース220は、ハウスコード付与モードに移行するためのユーザインタフェースを提供する。ハウスコード付与モード移行用インタフェース220はユーザによって直接操作可能なスイッチやボタンにより構成することができる。このときハウスコード付与モード移行用インタフェース220は、通信インタフェースや、パソコン等のアプリケーションソフトウェアインターフェースとして構成し、パソコンのディスプレイ上のアプリケーションの画面からユーザの操作により操作可能とすることもできる。ただし上記の構成において、被制御端末300〜600,およびnを互いに識別するためのアドレス設定に関する構成については、簡単のため省略した。
以上のような構成を有する、本実施の形態による電灯線通信制御システムの動作を、以下に説明するとともに、本発明の電灯線通信ネットワーク設定システムの一実施の形態について説明を行う。
ハウスコード付与モード移行用インタフェース220のユーザの操作により、制御端末200は、ハウスコード付与モードに移行すると、ハウスコード付与手段210の動作を開始する。
一方、被制御端末nは、ハウスコード保持手段n1と、ハウスコード設定手段n2と、電灯線通信処理部n3とを備えており、ハウスコード保持手段n1は、電源切断時にもハウスコードを保持することが可能なタイプのメモリである。被制御端末nは、電灯線100により構成するネットワークに参入する場合には、ハウスコード保持手段n1には、暫定ハウスコードのみが設定されており、ハウスコードが未設定の状態である。
被制御端末nは、電灯線100への接続と同時に、ハウスコード保持手段n1にハウスコードが設定されているか否かを確認し、ハウスコードが設定されていない場合、暫定ハウスコードが設定されていることを検出し、電灯線100への接続と同時にハウスコード設定モードに移行し、ハウスコード設定手段n2の動作を開始する。
制御端末200のハウスコード付与手段210は動作を開始すると、電灯線通信処理部230に、制御端末200が予め保持するハウスコードをデータとして含むハウスコードアナウンスデータの定期的な送信要求を受け渡す。
電灯線通信処理部230は、ハウスコード付与手段210からハウスコードアナウンスデータの定期的な送信要求を受け取り、電灯線100上に一斉同報により、ハウスコードアナウンスデータを送信する。
被制御端末nのハウスコード設定手段n2は、動作を開始すると、電灯線通信処理部n3に、電灯線100からハウスコードアナウンスデータを受信する設定を行い、電灯線通信処理部n3から電灯線100から受信したハウスコードアナウンスデータを受け取る。
ハウスコード設定手段n2は、ハウスコードアナウンスデータの受信回数をカウントアップし、ハウスコードアナウンスデータに含まれるハウスコードが同一であるハウスコードアナウンスデータを連続して受信した回数と、予め設定した連続受信回数設定値とを比較し、所定の期間内に連続して受信した回数が、連続受信回数設定値を上回った場合に、ハウスコードアナウンスデータに含まれるハウスコードを、暫定ハウスコードの代わりにハウスコード保持手段n1に設定し、前記ハウスコード設定モードを終了する。このとき、ハウスコード設定手段n2は、上記所定期間内に、互いに異なるハウスコードを含んだ複数のハウスコードアナウンスデータを受信した場合は、その受信順に関わらず、両方のハウスコードを破棄して、設定および受信動作を一時停止する。一時停止の期間はユーザが任意に設定してもよいし、ユーザが再起動させるようにしてもよい。これにより、設定時に例えば隣家などに設置された制御端末からのハウスコードアナウンスデータが先に被制御端末nに設定されてしまうような事態を、ある程度まで避けることが可能となる。
なお、この際に、被制御端末nが制御端末200のハウスコード付与手段12の動作を停止する停止命令を送信することにより、制御端末200のハウスコード付与手段210の動作を停止するようにしてもよい。これにより、設定時に隣家などに設置された被制御端末に、ハウスコードアナウンスデータが設定されてしまうような事態を、ある程度まで避けることができる。
被制御端末nが、ハウスコード設定モードを終了した後に、通信処理部n3は、ハウスコード保持手段n1に保持しているハウスコードと、電灯線100上を流れるデータに含まれるハウスコードとを比較し、ハウスコード保持手段n1に保持しているハウスコードと、電灯線100上を流れるデータに含まれるハウスコードとが同一でないデータは廃棄する処理を行う。
また、被制御端末nが、電灯線上に送信するデータにハウスコード保持手段n1に保持しているハウスコードを付加して送信する。これにより、同一のハウスコードを有する端末のみとの通信が可能となり、電灯線100に接続された他システムの端末からの混信を防ぐことが可能となる。
また、ハウスコード設定手段n2は、予め設定したハウスコードアナウンスデータ受信時間設定値と、ハウスコード設定手段n2が動作開始してからの経過時間とを比較し、ハウスコード設定手段n2が動作開始してからの経過時間がハウスコードアナウンスデータ受信時間設定値を上回った場合に、前記ハウスコード設定手段n2の動作を終了する。
この一連の連携動作により、制御端末200は、複数の被制御端末に対し、一対一で設定を行ったり、互いに異なるアドレスを割り振ることなく、一定時間内に、複数の制御端末からのハウスコードの設定を行うことが可能となる。また、設定のためのハウスコードアナウンスデータを所定の期間内に所定の回数受信することで設定が行われるため、電灯線を介して入力するノイズや、他の制御端末からのハウスコードアナウンスデータが同時に入力するような場合の誤設定を回避することができる。
なお、上記の動作においては、ハウスコードアナウンスデータはハウスコードを含むものとして説明を行ったが、被制御端末nが一旦ハウスコードアナウンスデータを取得してから、改めて制御端末200がハウスコードのみを送信するようにしてもよい。
また、ハウスコード設定手段n2の、予め設定した連続受信回数設定値は、ユーザにて任意に変更しても良い。受信に要する所定の期間もまた、任意に設定してもよい。
(第5の実施の形態)
図14は、本発明の第5の実施の形態による電灯線通信制御システムのハウスコード設定方式のシステムの形態を示す図である。図において、同一部または相当部には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。また、24a、24bは設定ID入力手段である。
以上のような構成を有する本実施の形態による電灯線通信制御システムの動作は、基本的には実施の形態4と同様であるが、制御端末200と、被制御端末nとの間で、ハウスコードアナウンスデータのやりとりを行う前に、設定ID入力手段24a、24bを用いて、ユーザが所定の設定IDを制御端末200と、被制御端末nとに設定した後に、上記の動作を行うようにしたものである。
これにより、制御端末200のハウスコード付与手段210は、ハウスコードアナウンスデータにハウスコードと共に設定IDを格納して、電灯線100上に一斉同報により、ハウスコードアナウンスデータを送信する。被制御端末nのハウスコード設定手段n2は、ハウスコードアナウンスデータを受信するが、このときハウスコード設定手段n2は、受信したハウスコードアナウンスデータに含まれている設定IDと、自らの設定ID入力手段に設定された設定IDとを比較し、両者が一致すれば、ハウスコードアナウンスデータに含まれるハウスコードを、暫定ハウスコードの代わりにハウスコード保持手段n1に設定し、前記ハウスコード設定モードを終了し、一致しなければ、設定動作を一時停止する。
設定IDは、ユーザが任意に設定できる程度の複雑さであって、3ビット程度のデータ量であればよい。
これにより、ユーザが希望しない他のグループに属する制御端末からのハウスコード設定を受け付けないようにでき、他の制御端末を用いてハウスコードアナウンスデータを送信している隣家との混信が発生している状況において、他の制御端末から送信された同一のハウスコードアナウンスデータが、先に被制御端末nに設定されてしまうような誤設定を完全に防ぐことができる。
(第6の実施の形態)
図15は、本発明の第6の実施の形態による電灯線通信制御システムのアドレス設定方式のシステムの形態を示す図である。
被制御端末nは、ハウスコード保持手段n1、ハウスコード設定手段n2、自己アドレス記憶手段n5、擬似ランダムデータ生成手段n6と、電灯線通信処理部n3と、送信アドレス要求データ記憶手段n7とから構成されている。自己アドレス記憶手段n5は、自己ノードを暫定的に識別させるために予め指定された暫定アドレスを予め記憶しており、電源切断時にもアドレスを保持することが可能なタイプのメモリで構成している。
一方、制御端末200は、アドレステーブル記憶手段250と、電灯線通信処理部230と、ハウスコード付与手段210とから構成しており、アドレステーブル記憶手段250は、被制御端末300〜n2に割り当てた複数の正式アドレスを保持しており、電源切断時にも複数の正式アドレスを保持することが可能なタイプのメモリである。
被制御端末nの電灯線通信処理部n3は、ハウスコード設定手段n1が、ハウスコード保持手段n2にハウスコードを設定した後に、自己アドレス記憶手段n5に記憶している暫定アドレスと、擬似ランダムデータ生成手段n6が生成する擬似ランダムデータとからアドレス要求データを構成し、制御端末200宛てに電灯線100上に送信する。送信アドレス要求データ記憶手段n7は、前記制御端末200に送信したアドレス要求データに含まれる擬似ランダムデータを保持する。
制御端末200の電灯線通信制御部230は、アドレス要求データを受信すると、ハウスコード付与手段210に、ハウスコード付与モードの終了を要求することにより、ハウスコード付与手段210の動作を停止させる。
さらに、電灯線通信制御部230は、アドレステーブル記憶手段250に記憶している複数のアドレスを参照し、重複しない正式アドレスを決定し、正式アドレスと、受信したアドレス要求データに含まれる暫定アドレスと、擬似ランダムデータとからアドレス設定データを構成し電灯線100上に送信する。
被制御端末nの電灯線通信処理部n3は、アドレス設定データを受信し、アドレス設定データに含まれるハウスコードと、ハウスコード保持手段n1に保持しているハウスコードとを照合し、照合結果が同一かつ、アドレス設定データに含まれる擬似ランダムデータと、送信アドレス要求データ記憶手段に保持している擬似ランダムデータとを照合し、照合結果が同一の場合、アドレス設定データが、自己宛のアドレス要求データであると特定し、アドレス要求データに含まれる正式アドレスを、自己アドレス記憶手段n5に保持する暫定アドレスに代えて自己アドレス記憶手段n5に記憶させる。
上記一連の連携動作により、電灯線通信制御の機能を使用したい端末に対してアドレスを設定することが可能となる。
以上のような本発明の各実施の形態によれば、被制御端末を電灯線に接続するのと同時に、制御端末のインタフェースの操作することにより、被制御端末を電灯線に接続するだけで、ハウスコードの設定を行うことが可能となり、ユーザが同時に制御端末のインタフェースの操作、被制御端末の電灯線への接続を行うことにより、隣家からのデータの混信、隣家へのデータの漏洩が存在する電灯線システムにおいても、隣家の被制御端末に誤ってハウスコードを設定する可能性や、隣家の制御端末のハウスコードに誤って制御端末のハウスコードを設定してしまう可能性を減少することができる。
また、各家庭ごとに唯一のハウスコードを制御端末のみに割り振ればよいため、ハウスコードの管理が著しく容易になる。さらに、ハウスコードの設定の後、速やかにアドレスの自動設定を行うため、ユーザは、アドレスの管理について意識するする必要がなく、また誤操作によって、重複したアドレスを設定してしまうことが防止することができる。
なお、上記の説明においては、第1または第5の実施の形態の動作と第6の実施の形態の動作とは、時系列順により行われるものとして説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ハウスコードの設定と、アドレスの設定とを同時に行っても良い。すなわち、ハウスコードアナウンスデータとアドレス設定データとを同時に、もしくはハウスコードアナウンスデータにアドレス設定データの内容を持たせて、暫定アドレスに当てて送るようにして、上記第4または第5の実施の形態の動作と第6の実施の形態の動作を一元化して実現するようにしても良い。
また、上記各実施の形態の説明において、ハウスコードアナウンスデータは本発明のハウスコード通知に相当し、アドレス要求コマンドは、本発明のアドレス設定要求に相当する。
なお、上記の説明においては、ハウスコード設定の動作とアドレス設定の動作とは、時系列順により行われるものとして説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ハウスコードの設定と、アドレスの設定とを同時に行っても良い。すなわち、ハウスコードアナウンスデータとアドレス設定データとを同時に、もしくはハウスコードアナウンスデータにアドレス設定データの内容を持たせて、仮アドレスに当てて送るようにして、ハウスコード設定の動作とアドレス設定の動作を一元化して実現するようにしても良い。
なお、本発明は、上述した本発明の他の機器へハウスコード又はアドレスの設定を行うマスタ機能を有する装置、マスタ機能を有する装置の制御対象となる装置の手段(または、装置、素子、回路、部等)の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムであってもよい。
また、本発明は、上述した本発明の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムを担持した媒体であり、コンピュータにより読み取り可能且つ、読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協動して前記機能を実行する媒体であってもよい。
また、本発明のプログラムを記録した、コンピュータに読みとり可能な記録媒体も本発明に含まれる。
また、本発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
また、本発明のプログラムの一利用形態は、伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読みとられ、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
また、本発明のデータ構造としては、データベース、データフォーマット、データテーブル、データリスト、データの種類などを含む。
また、記録媒体としては、ROM等が含まれ、伝送媒体としては、インターネット等の伝送機構、光・電波・音波等が含まれる。
また、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。
なお、以上説明した様に、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても良い。