JP2004222161A - デジタルカメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】撮像素子の品質ランクに応じて、より好ましい合成画像データを得ることが可能なデジタルカメラを提供する。
【解決手段】高感度画像データHighは、OB処理部61a、LMTX62a、WB処理部63a、ガンマ補正部64aによる処理を経て乗算部66aに入力される。また、同様に低感度画像データLowは、OB処理部61b、LMTX62b、WB処理部63b、ガンマ補正部64bによる処理を経て、乗算部66bに入力される。そして、それぞれ合成ゲインLUT65からのゲインデータと乗算され、乗算結果は加算部67で加算される。合成レンジ演算部71は、撮像素子の品質ランクを示すランク情報と撮影感度情報に基づいて画像合成を行う場合の合成すべき輝度レンジを求める。求めた輝度レンジ情報は、合成ゲインLUT65に送られ、高感度画像データと低感度画像データとを加算合成する際のそれぞれのゲインデータの選択に利用される。
【選択図】図1
【解決手段】高感度画像データHighは、OB処理部61a、LMTX62a、WB処理部63a、ガンマ補正部64aによる処理を経て乗算部66aに入力される。また、同様に低感度画像データLowは、OB処理部61b、LMTX62b、WB処理部63b、ガンマ補正部64bによる処理を経て、乗算部66bに入力される。そして、それぞれ合成ゲインLUT65からのゲインデータと乗算され、乗算結果は加算部67で加算される。合成レンジ演算部71は、撮像素子の品質ランクを示すランク情報と撮影感度情報に基づいて画像合成を行う場合の合成すべき輝度レンジを求める。求めた輝度レンジ情報は、合成ゲインLUT65に送られ、高感度画像データと低感度画像データとを加算合成する際のそれぞれのゲインデータの選択に利用される。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相対的に高感度の第1の画像データと相対的に低感度の第2の画像データとの合成処理を行って合成画像データを得る機能を有するデジタルカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
CCD撮像素子等の固体撮像素子のダイナミックレンジは、一般に狭く、ハイコントラストの被写体を撮影する場合は、固体撮像素子の受光量がダイナミックレンジを超えて固体撮像素子の出力が飽和してしまい、被写体の情報が欠落する場合がある。
【0003】
このような問題を解決するため、相対的に高感度の第1の画像データ(以下、単に「高感度画像データ」と記述する場合もある。)と相対的に低感度の第2の画像データ(以下、単に「低感度画像データ」と記述する場合もある。)との合成処理を行うことにより、ダイナミックレンジの拡大を図る技術が提案されている(特許文献1、2参照)
【0004】
特許文献1に記載された技術は、異なる露光条件、異なるゲイン制御の少なくとも何れか1つによって、標準的な明るさの被写体が適正レベルとなるようにして得た標準輝度映像信号(高感度画像データ)と、所定値より明るい被写体が適正レベルとなるようにして得た高輝度映像信号(低感度画像データ)を加算して、広ダイナミックレンジ映像信号を得るものである。そして、その際、高輝度映像信号のピーク値を検出し、このピーク値に基づき、標準輝度映像信号と高輝度映像信号にそれぞれ乗算する乗算係数を算出し、それぞれに乗算した後、加算するものである。
【0005】
特許文献2に記載された技術は、被写界を撮像して該被写界を表わす高感度の映像信号及び低感度の映像信号を生成する撮像手段と、高感度の映像信号を第1の量子化分解能で量子化して、対応する高感度の映像信号データを出力する第1の信号変換手段と、低感度の映像信号を第1の量子化分解能より低い第2の量子化分解能で量子化して、対応する低感度の映像信号データを出力する第2の信号変換手段とを含み、高感度の映像信号データ及び対応する低感度の映像信号データを加算合成して、広いダイナミックレンジの映像信号を形成するものである。
【0006】
しかし、高感度画像データと低感度画像データを、感度の異なる光電変換部を有する撮像素子による撮像信号に基づいて取得する場合、撮像素子の特性のばらつきによる影響が避けられない。特に、低感度画像信号に対する影響が大きく、品質ランクの低い撮像素子からの低感度画像信号は、低ゲインでの利用時には、撮像精度が低下するという問題がある。そのため、このような撮像素子から得られた低感度画像データを利用して画像合成を行うと、合成画像のハイライト側に色付きが生じる等の減少が起こる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−94870号公報
【特許文献2】
特開2001−8104号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、撮像素子の品質ランクに応じて、より好ましい合成画像データを得ることが可能なデジタルカメラを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のデジタルカメラは、相対的に高感度の第1の画像データと相対的に低感度の第2の画像データとの合成処理を行って合成画像データを得る機能を有するデジタルカメラであって、前記第1の画像データと前記第2の画像データは、感度の異なる光電変換部を有する撮像素子による撮像信号に基づいて取得されるものであり、前記合成処理は、被写体の合成すべき輝度レンジに応じて決定される合成パラメータに基づいて行われるものであり、前記輝度レンジは、前記撮像素子の品質ランク情報と撮影感度情報に基づいて制限されるものである。この発明によれば、品質ランクが低い撮像素子を利用する場合は、低感度画像データを充分な大きなゲインで合成することができ、好ましい合成画像データを得ることができる。
【0010】
本発明のデジタルカメラは、前記輝度レンジの制限値が、撮影時の絞り情報とズームポジションによって変更されるものであるデジタルカメラを含む。この発明によれば、光電変換部から得られる撮像信号が小さい場合には、低感度画像データの合成ゲインを大きくすることができ、好ましい合成画像データを得ることができる。
【0011】
また、本発明のデジタルカメラは、前記輝度レンジの制限値が、撮影時の照明によって変更されるものであるデジタルカメラを含む。この発明によれば、撮影照明にかかわらず、低感度画像データの合成ゲインを大きくすることができ、好ましい合成画像データを得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図9は、本発明の実施の形態のデジタルカメラの概略構成を示す図である。図9のデジタルカメラは、撮像部1、アナログ信号処理部2、A/D変換部3、駆動部4、ストロボ5、デジタル信号処理部6、圧縮/伸張処理部7、表示部8、システム制御部9、内部メモリ10、メディアインタフェース11、記録メディア12、操作部13を含んで構成される。デジタル信号処理部6、圧縮/伸張処理部7、表示部8、システム制御部9、内部メモリ10、及びメディアインタフェース11は、システムバス20に接続されている。
【0013】
撮像部1は、撮影レンズ等の光学系及びCCDイメージセンサ等の撮像素子を含み、被写体の撮影を行うものであって、アナログの撮像信号を出力する。撮像部1で得られた撮像信号は、アナログ信号処理部2に送られ、所定のアナログ信号処理が施され、A/D変換部3でデジタル信号に変換された後、いわゆるRAW画像データとしてデジタル信号処理部6に送られる。RAW画像データは、撮像部1からの撮像信号の形式のままデジタル化したデジタル画像データである。
【0014】
撮影に際しては、駆動部4を介して撮像部1が制御される。撮像素子として利用されるCCDイメージセンサ等の固体撮像素子は、半導体基板表面に行方向とこれに直交する列方向に配設された複数の光電変換領域(例えばフォトダイオード)を有し、入射光に対応して発生し、蓄積された信号電荷に基づいたアナログ電圧信号を出力するものである。固体撮像素子は、操作部13の一部であるレリーズボタン(図示せず)の操作によるレリーズスイッチ(図示せず)オンを契機として、所定のタイミングで、駆動部4に含まれるタイミングジェネレータ(図9ではTGと記載)からの駆動信号によって駆動される。駆動部4は、システム制御部9の制御に基づいて所定の駆動信号を出力するものであり、アナログ信号処理部2及びA/D変換部3に対する駆動信号も出力する。
【0015】
撮像部1は、相対的に高感度の撮像信号と相対的に低感度の撮像信号を出力するものであり、撮像信号は、共にアナログ信号処理部2、A/D変換部3を経てデジタル画像データに変換され、デジタル信号処理部6に送られる。撮像部1に含まれる撮像素子は、感度の異なる光電変換部を有するものである。感度の異なる光電変換部を有する撮像素子としては、特許文献2に示すように高感度撮像セルと低感度撮像セルを有する固体撮像素子を利用してもよいし、図10に示すような固体撮像素子を用いてもよい。
【0016】
図10は、高感度撮像信号と低感度撮像信号を出力可能な固体撮像素子の概略構成を示す図である。図10は、いわゆるハニカム構造の固体撮像素子の部分拡大平面図であって、半導体基板表面に行方向(矢印Xで示す方向)とこれに直交する列方向(矢印Yで示す方向)に配設された複数の光電変換領域111〜157(図では一部のみに番号を付してある)、垂直転送部201〜208、水平転送部300、及び出力部400を含む。複数の光電変換領域111〜157の内の奇数列のものは、偶数列のものに対して光電変換領域同士の列方向ピッチの略1/2だけ列方向にずれており、また、奇数行の光電変換領域は、偶数行の光電変換領域対して光電変換領域同士の行方向ピッチの略1/2だけ行方向にずれて配置される。なお、図10では、5行8列の光電変換領域を示してあるが、実際には、さらに多くの光電変換領域が設けられる。
【0017】
光電変換領域111〜157は、入射光量に対応した信号電荷を発生し、蓄積するもので、例えばフォトダイオードである。光電変換領域111〜157は、相対的に広い受光面積を有する主領域mと相対的に狭い受光面積を有する副領域sに分割され(図10では、光電変換領域151のみについて符号を付してある。)、それぞれ所定の分光感度の光に対応する信号電荷を発生し、蓄積する。図10の固体撮像素子においては、赤(Rで示す。)、緑(Gで示す。)、又は青(Bで示す。)のフィルタ(図示せず)が、それぞれの光電変換領域111〜157の上方に設けられ、それぞれの色の光に対応する信号電荷を発生し、蓄積する。
【0018】
垂直転送部201〜208は、光電変換領域111〜157からの信号電荷を読み出し、列方向に転送するものであり、光電変換領域111〜157の各列に対応してその側方に設けられる。列方向の転送は、主領域mの信号電荷と副領域sの信号電荷を、それぞれ独立に垂直転送部201〜208に読み出して行う。水平転送部300は、複数の垂直転送部201〜208からの信号電荷が転送され、転送された信号電荷を行方向に転送するものである。出力部400は、転送された信号電荷量に応じた電圧信号を出力するものである。
【0019】
ストロボ5は、被写体の輝度が所定値以下の場合等に動作するものであり、システム制御部9によって制御される。
【0020】
デジタル信号処理部6では、A/D変換部3からのデジタル画像データに対して、操作部13によって設定された動作モードに応じたデジタル信号処理を行うものである。デジタル信号処理部6が行う処理には、黒レベル補正処理(OB処理)、リニアマトリクス補正処理(撮像部からの原色信号に対して、撮像素子の光電変換特性に起因する混食成分を除去する補正を行う処理。RBG入力に対する3×3のマトリクス演算による。)、ホワイトバランス調整処理(ゲイン調整)、ガンマ補正処理、画像合成処理、同時化処理、Y/C変換処理等が含まれる。デジタル信号処理部6の画像合成処理については、後述する。
【0021】
デジタル信号処理部6は、例えばDSPで構成される。圧縮/伸張処理部7は、デジタル信号処理部6で得られたY/Cデータに対して圧縮処理を施すと共に、記録メディア12から得られた圧縮画像データに対して伸張処理を施すものである。
【0022】
表示部8は、例えばLCD表示装置を含んで構成され、撮影され、デジタル信号処理を経た画像データに基づく画像を表示する。記録メディアに記録された圧縮画像データを伸張処理して得た画像データに基づく画像の表示も行う。また、撮影時のスルー画像、デジタルカメラの各種状態、操作に関する情報の表示等も可能である。
【0023】
内部メモリ10は、例えばDRAMであり、デジタル信号処理部6、システム処理部9のワークメモリとして利用される他、記録メディアに12に記録される撮影画像データを一時的に記憶するバッファメモリ、表示部8への表示画像データのバッファメモリとしても利用される。メディアインタフェース11は、メモリカード等の記録メディア12との間のデータの入出力を行うものである。
【0024】
システム制御部9は、撮影動作を含むデジタルカメラ全体の制御を行う。システム制御部9は、具体的には所定のプログラムによって動作するプロセッサを主体に構成される。
【0025】
操作部13は、デジタルカメラ使用時の各種操作を行うもので、デジタルカメラの動作モード(撮影モード、再生モード等)、撮影時の撮影方法、撮影条件、設定等を行う。操作部13によって設定される撮影条件には、撮影感度(ISO感度)の設定、電子ズームの動作設定、ストロボの動作設定が含まれる。操作部13は、それぞれの機能に対応する操作部材を設けてもよいが、表示部8の表示と連動して操作部材を共用してもよい。また、操作部13には、撮影動作を起動するためのレリーズボタンも含まれる。
【0026】
次に、デジタル信号処理部6の機能を、画像合成処理を中心に説明する。図1は、デジタル信号処理部6の概略機能ブロック図である。デジタル信号処理部6は、OB(オプティカルブラック)処理部61a、61b、LMTX(リニアマトリクス)62a、62b、WB(ホワイトバランス)処理部63a、63b、ガンマ補正部64a、64b、合成ゲインLUT(ルックアップテーブル)65、乗算部66a、66b、加算部67、リミッタ68、同時化及びY/C処理部69、CMTX(色差マトリクス)70、合成レンジ演算部71を含む。
【0027】
OB処理部61a、61bは、画像データの黒レベルを補正するものであり、LMTX62a、62bは、例えば3×3のマトリクス演算を行うことにより、色相を調整するものである。WB処理部63a、63bは、ホワイトバランス補正用のゲインをそれぞれの色を示す画像データに乗算するものであり、ガンマ補正部64a、64bは、それぞれの画像データが所望のガンマ特性になるように入出力特性を変更するものである。
【0028】
合成ゲインLUT65は、高感度画像データと低感度画像データとを加算合成する際のそれぞれのゲインデータを高感度画像データに応じて出力するものである。出力するゲインデータは、合成レンジ演算部71からの合成すべき輝度レンジ情報によって選択される。合成ゲインの求め方については、後述する。
【0029】
デジタル処理部6に入力される高感度画像データHighは、OB処理部61a、LMTX62a、WB処理部63a、ガンマ補正部64aによる処理を経て乗算部66aに入力される。また、同様に低感度画像データLowは、OB処理部61b、LMTX62b、WB処理部63b、ガンマ補正部64bによる処理を経て、乗算部66bに入力される。そして、それぞれ合成ゲインLUT65からのゲインデータと乗算され、乗算結果は加算部67で加算される。
【0030】
加算部67からの画像データは、リミッタ68で予め定めたビット数(例えば8ビット)で表現できる範囲に収まるように制限され、同時化及びY/C処理部69に入力される。同時化及びY/C処理部69は、点順次のRGB信号を補間し、各撮像位置毎にRGB信号を求め、さらにRGB信号から輝度信号Yと色差信号Cr,Cbに変換する。そして、CMTX70によって彩度補正を行い、合成画像データとして出力する。
【0031】
合成レンジ演算部71は、画像合成を行う場合の合成すべき輝度レンジを求めるものである。求めた輝度レンジ情報は、合成ゲインLUT65に送られ、高感度画像データと低感度画像データとを加算合成する際のそれぞれのゲインデータの選択に利用される。合成レンジ演算部71には、撮像素子の品質ランクを示すランク情報、撮影感度(ISO感度)情報、絞り情報、ズームポジション情報、ホワイトバランス(WB)ゲインが入力され、少なくとも、撮像素子の品質ランクを示すランク情報と撮影感度情報に基づいて決定される。具体的には、撮影シーンに応じて決定される輝度レンジを、所定の条件で制限して出力する。輝度レンジの求め方については、後述する。
【0032】
図2に、撮影時の合成演算処理までのデジタル信号処理の概略シーケンスを示す。期間t1において露光がされた後、期間t2で高感度画像データの取り込みが行われる。期間t3では、低感度画像データの取り込みと同時に高感度画像データに対する信号処理が行われる。ここでは、ホワイトバランスゲイン決定処理(AWB)、キズ補正処理(キズ)、及び前処理が行われる。前処理には、OB処理、LMTX演算、WB処理、ガンマ補正処理が含まれる。
【0033】
低感度画像データの取り込みが終了すると、期間t4で合成すべき輝度レンジの演算処理が行われる。合成レンジが決定すると、期間t5で低感度画像データの前処理(WB処理、ガンマ補正処理が含まれる)が行われる。そして、期間t6で、ガンマ補正後の高感度画像データ及び低感度画像データの合成演算が行われる。
【0034】
次いで、合成ゲインLUT65に記憶されるゲインデータについて説明する。ゲインデータは、合成データdataを求める式(1)に基づいて作成される。
【0035】
data=[high+MIN(high/th,1)×low]×MAX[(−lg×high/th)+1,p] (1)
ここで、
highは、ガンマ補正後の高感度画像データ
lowは、ガンマ補正後の低感度画像データ
thは、低感度画像データの加算比率を変更する閾値
pは、トータルゲイン
lgは、高感度画像データと低感度画像データの飽和出力の比に依存する値(例えば、飽和比が4:1とするとp=0.2)である。
【0036】
式(1)を展開し、
h_gain=MAX[(−lg×high/th)+1,p] (2)
l_gain=MAX[(−lg×high/th)+1,p]×MIN(high/th,1)=h_gain×wl (3)
とすると、
data=h_gain×high+l_gain×low
となる。
【0037】
h_gainは、高感度画像データ用のゲインであり、図3に示す特性を有する。また、l_gainは、低感度画像データ用のゲインであって、h_gain×wlであり、wlは、図4に示す特性を有する。
【0038】
合成ゲインLUT65には、上記式(2)及び(3)によって求められる高感度画像データ用のゲインh_gain、及び低感度画像データ用のゲインl_gainが、高感度画像データhighに対応するテーブル形式のデータとして記憶される。この記憶されるゲインデータは、合成レンジ演算部71から出力される合成すべき輝度レンジに応じて適宜の数だけ記憶される。
【0039】
続いて、合成レンジ演算部71による合成レンジの求め方について説明する。
今、図5に示すように、高感度画像データがとり得る最大値が4095、低感度画像データがとり得る最大値が1023、低感度画像データの輝度レンジが高感度画像データの輝度レンジに対して400%であるとすると、合成処理が可能な輝度レンジは、高感度画像データの最大輝度レンジとの比で表すと400%である。
【0040】
この輝度レンジは、撮影シーンに応じて補正が可能である。例えば,被写体の撮影輝度の最大値、ストロボの使用の有無、逆光、過順光の有無等に応じて、所定の基準で変更される。図6に、合成画像データの合成すべき輝度レンジに応じた階調特性の一例を示す。図6に示すように、レンジ(1)からレンジ(6)へ輝度レンジが大きくなるにつれて、合成画像データの再現範囲を広くなっている。
【0041】
次に、撮像素子の品質ランク、撮影感度、絞り情報、及びズームポジションによって、合成すべき輝度レンジを決定する方法について、説明する。なお、ここで利用する固体撮像素子の品質ランク情報は、図示しない不揮発性メモリに予め記憶させておく。また、撮影感度情報、絞り情報、ズームポジション情報は、操作部13の操作に基づき、システム制御部9を介して取得する。WBゲインは、撮像部1からの撮像信号に基づいて求めたもの、あるいは操作部13の設定に基づくものを利用する。図7に、輝度レンジを変更する処理の概略フローを示す。
【0042】
ステップ701では、撮像素子のランク情報に基づき、デジタルカメラに使用されている撮像素子の品質ランクが所定のランクより低いかどうかを判断する。所定のランクより低い場合は、設定された撮影感度が低い(例えばISO200以下)かどうかを判断し(ステップ702)、撮影感度が低い場合は、撮影照明の種類に応じた輝度レンジの変更処理を行う。
【0043】
輝度レンジは、撮影照明がタングステン電球の場合とそれ以外の場合で異なる変更処理を行う。タングステン電球による照明かどうか判断(ステップ703で)は、赤のホワイトバランスゲインによって行い、赤のホワイトバランスゲインが所定値より小の場合にタングステン電球による照明と判断する。
【0044】
タングステン電球による照明と判断された場合は、ステップ704でタングステン電球による照明時の輝度レンジを選択し、そうでない場合は、ステップ705でそれ以外の照明時の輝度レンジを選択する。ここで選択する輝度レンジは、撮影時の絞り情報とズームポジションに応じた値としてもよい。その場合の選択基準の一例を図8に示す。図8(a)は、タングステン照明時のものであり、図8(b)は、それ以外の照明時のものである。図8において、AVTNG1、AV1は、適宜定めた絞り値、FLTNG1、FLTNG2、FL1、FL2は、適宜定めたズームポジションである。
【0045】
ステップ704、又はステップ705で選択された輝度レンジが、システムで利用可能な上限輝度レンジより小かどうかを判断する(ステップ706)。そして上限輝度レンジより小の場合は、選択された輝度レンジを出力し、小でない場合は、上限輝度レンジを出力する。上限輝度レンジは、撮影シーンに応じて補正されたものでもよい。
【0046】
ステップ701で撮像素子の品質ランクが所定のランクより低くないと判断された場合、及びステップ702で撮影感度が所定感度以下でないと判断された場合は、輝度レンジの変更を行わない。その場合、予め定めた輝度レンジあるいは撮影シーンに応じて補正された輝度レンジを出力する。
【0047】
このように、撮像素子の品質ランク、撮影感度、撮影時の照明、絞り及びスームポジションに応じて、合成すべき輝度レンジを制限することにより、低感度画像データのゲインを充分大きなものとすることができ、好ましい合成画像データを得ることができる。なお、撮影時の照明、絞り及びスームポジションに応じた輝度レンジの制限は、任意であり、撮像素子の品質ランク及び撮影感度に応じて、合成すべき輝度レンジを変更するだけでもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、撮像素子の品質ランクに応じて、より好ましい合成画像データを得ることが可能なデジタルカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタル信号処理部の概略機能ブロック図
【図2】撮影時の合成演算処理までのデジタル信号処理の概略シーケンスを示す図
【図3】高感度画像データ用のゲインの特性を示す図
【図4】低感度画像データ用のゲインと高感度画像データ用ゲインの比wlの特性を示す図
【図5】高感度画像データと低感度画像データの関係の一例を示す図
【図6】合成レンジに応じて合成画像データの階調特性が変化する様子を示す図
【図7】輝度レンジを変更する処理の概略フローを示す図
【図8】撮影時の絞り情報とズームポジションに応じた輝度レンジの選択基準の一例を示す図
【図9】本発明の実施の形態のデジタルカメラの概略構成を示す図
【図10】高感度撮像信号と低感度撮像信号を出力可能な固体撮像素子の概略構成を示す図
【符号の説明】
1・・・撮像部
2・・・アナログ信号処理部
3・・・A/D変換部
4・・・駆動部
5・・・ストロボ
6・・・デジタル信号処理部
7・・・圧縮/伸張処理部
8・・・表示部
9・・・システム制御部
10・・・内部メモリ
11・・・メディアインタフェース
12・・・記録メディア
13・・・操作部
20・・・システムバス
61a、61b・・・OB(オプティカルブラック)処理部
62a、62b・・・LMTX(リニアマトリクス)
63a、63b・・・WB(ホワイトバランス)処理部
64a、64b・・・ガンマ補正部
65・・・合成ゲインLUT(ルックアップテーブル)
66a、66b・・・乗算部
67・・・加算部
68・・・リミッタ
69・・・同時化及びY/C処理部
70・・・CMTX(色差マトリクス)
71・・・合成レンジ演算部
【発明の属する技術分野】
本発明は、相対的に高感度の第1の画像データと相対的に低感度の第2の画像データとの合成処理を行って合成画像データを得る機能を有するデジタルカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
CCD撮像素子等の固体撮像素子のダイナミックレンジは、一般に狭く、ハイコントラストの被写体を撮影する場合は、固体撮像素子の受光量がダイナミックレンジを超えて固体撮像素子の出力が飽和してしまい、被写体の情報が欠落する場合がある。
【0003】
このような問題を解決するため、相対的に高感度の第1の画像データ(以下、単に「高感度画像データ」と記述する場合もある。)と相対的に低感度の第2の画像データ(以下、単に「低感度画像データ」と記述する場合もある。)との合成処理を行うことにより、ダイナミックレンジの拡大を図る技術が提案されている(特許文献1、2参照)
【0004】
特許文献1に記載された技術は、異なる露光条件、異なるゲイン制御の少なくとも何れか1つによって、標準的な明るさの被写体が適正レベルとなるようにして得た標準輝度映像信号(高感度画像データ)と、所定値より明るい被写体が適正レベルとなるようにして得た高輝度映像信号(低感度画像データ)を加算して、広ダイナミックレンジ映像信号を得るものである。そして、その際、高輝度映像信号のピーク値を検出し、このピーク値に基づき、標準輝度映像信号と高輝度映像信号にそれぞれ乗算する乗算係数を算出し、それぞれに乗算した後、加算するものである。
【0005】
特許文献2に記載された技術は、被写界を撮像して該被写界を表わす高感度の映像信号及び低感度の映像信号を生成する撮像手段と、高感度の映像信号を第1の量子化分解能で量子化して、対応する高感度の映像信号データを出力する第1の信号変換手段と、低感度の映像信号を第1の量子化分解能より低い第2の量子化分解能で量子化して、対応する低感度の映像信号データを出力する第2の信号変換手段とを含み、高感度の映像信号データ及び対応する低感度の映像信号データを加算合成して、広いダイナミックレンジの映像信号を形成するものである。
【0006】
しかし、高感度画像データと低感度画像データを、感度の異なる光電変換部を有する撮像素子による撮像信号に基づいて取得する場合、撮像素子の特性のばらつきによる影響が避けられない。特に、低感度画像信号に対する影響が大きく、品質ランクの低い撮像素子からの低感度画像信号は、低ゲインでの利用時には、撮像精度が低下するという問題がある。そのため、このような撮像素子から得られた低感度画像データを利用して画像合成を行うと、合成画像のハイライト側に色付きが生じる等の減少が起こる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−94870号公報
【特許文献2】
特開2001−8104号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、撮像素子の品質ランクに応じて、より好ましい合成画像データを得ることが可能なデジタルカメラを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のデジタルカメラは、相対的に高感度の第1の画像データと相対的に低感度の第2の画像データとの合成処理を行って合成画像データを得る機能を有するデジタルカメラであって、前記第1の画像データと前記第2の画像データは、感度の異なる光電変換部を有する撮像素子による撮像信号に基づいて取得されるものであり、前記合成処理は、被写体の合成すべき輝度レンジに応じて決定される合成パラメータに基づいて行われるものであり、前記輝度レンジは、前記撮像素子の品質ランク情報と撮影感度情報に基づいて制限されるものである。この発明によれば、品質ランクが低い撮像素子を利用する場合は、低感度画像データを充分な大きなゲインで合成することができ、好ましい合成画像データを得ることができる。
【0010】
本発明のデジタルカメラは、前記輝度レンジの制限値が、撮影時の絞り情報とズームポジションによって変更されるものであるデジタルカメラを含む。この発明によれば、光電変換部から得られる撮像信号が小さい場合には、低感度画像データの合成ゲインを大きくすることができ、好ましい合成画像データを得ることができる。
【0011】
また、本発明のデジタルカメラは、前記輝度レンジの制限値が、撮影時の照明によって変更されるものであるデジタルカメラを含む。この発明によれば、撮影照明にかかわらず、低感度画像データの合成ゲインを大きくすることができ、好ましい合成画像データを得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図9は、本発明の実施の形態のデジタルカメラの概略構成を示す図である。図9のデジタルカメラは、撮像部1、アナログ信号処理部2、A/D変換部3、駆動部4、ストロボ5、デジタル信号処理部6、圧縮/伸張処理部7、表示部8、システム制御部9、内部メモリ10、メディアインタフェース11、記録メディア12、操作部13を含んで構成される。デジタル信号処理部6、圧縮/伸張処理部7、表示部8、システム制御部9、内部メモリ10、及びメディアインタフェース11は、システムバス20に接続されている。
【0013】
撮像部1は、撮影レンズ等の光学系及びCCDイメージセンサ等の撮像素子を含み、被写体の撮影を行うものであって、アナログの撮像信号を出力する。撮像部1で得られた撮像信号は、アナログ信号処理部2に送られ、所定のアナログ信号処理が施され、A/D変換部3でデジタル信号に変換された後、いわゆるRAW画像データとしてデジタル信号処理部6に送られる。RAW画像データは、撮像部1からの撮像信号の形式のままデジタル化したデジタル画像データである。
【0014】
撮影に際しては、駆動部4を介して撮像部1が制御される。撮像素子として利用されるCCDイメージセンサ等の固体撮像素子は、半導体基板表面に行方向とこれに直交する列方向に配設された複数の光電変換領域(例えばフォトダイオード)を有し、入射光に対応して発生し、蓄積された信号電荷に基づいたアナログ電圧信号を出力するものである。固体撮像素子は、操作部13の一部であるレリーズボタン(図示せず)の操作によるレリーズスイッチ(図示せず)オンを契機として、所定のタイミングで、駆動部4に含まれるタイミングジェネレータ(図9ではTGと記載)からの駆動信号によって駆動される。駆動部4は、システム制御部9の制御に基づいて所定の駆動信号を出力するものであり、アナログ信号処理部2及びA/D変換部3に対する駆動信号も出力する。
【0015】
撮像部1は、相対的に高感度の撮像信号と相対的に低感度の撮像信号を出力するものであり、撮像信号は、共にアナログ信号処理部2、A/D変換部3を経てデジタル画像データに変換され、デジタル信号処理部6に送られる。撮像部1に含まれる撮像素子は、感度の異なる光電変換部を有するものである。感度の異なる光電変換部を有する撮像素子としては、特許文献2に示すように高感度撮像セルと低感度撮像セルを有する固体撮像素子を利用してもよいし、図10に示すような固体撮像素子を用いてもよい。
【0016】
図10は、高感度撮像信号と低感度撮像信号を出力可能な固体撮像素子の概略構成を示す図である。図10は、いわゆるハニカム構造の固体撮像素子の部分拡大平面図であって、半導体基板表面に行方向(矢印Xで示す方向)とこれに直交する列方向(矢印Yで示す方向)に配設された複数の光電変換領域111〜157(図では一部のみに番号を付してある)、垂直転送部201〜208、水平転送部300、及び出力部400を含む。複数の光電変換領域111〜157の内の奇数列のものは、偶数列のものに対して光電変換領域同士の列方向ピッチの略1/2だけ列方向にずれており、また、奇数行の光電変換領域は、偶数行の光電変換領域対して光電変換領域同士の行方向ピッチの略1/2だけ行方向にずれて配置される。なお、図10では、5行8列の光電変換領域を示してあるが、実際には、さらに多くの光電変換領域が設けられる。
【0017】
光電変換領域111〜157は、入射光量に対応した信号電荷を発生し、蓄積するもので、例えばフォトダイオードである。光電変換領域111〜157は、相対的に広い受光面積を有する主領域mと相対的に狭い受光面積を有する副領域sに分割され(図10では、光電変換領域151のみについて符号を付してある。)、それぞれ所定の分光感度の光に対応する信号電荷を発生し、蓄積する。図10の固体撮像素子においては、赤(Rで示す。)、緑(Gで示す。)、又は青(Bで示す。)のフィルタ(図示せず)が、それぞれの光電変換領域111〜157の上方に設けられ、それぞれの色の光に対応する信号電荷を発生し、蓄積する。
【0018】
垂直転送部201〜208は、光電変換領域111〜157からの信号電荷を読み出し、列方向に転送するものであり、光電変換領域111〜157の各列に対応してその側方に設けられる。列方向の転送は、主領域mの信号電荷と副領域sの信号電荷を、それぞれ独立に垂直転送部201〜208に読み出して行う。水平転送部300は、複数の垂直転送部201〜208からの信号電荷が転送され、転送された信号電荷を行方向に転送するものである。出力部400は、転送された信号電荷量に応じた電圧信号を出力するものである。
【0019】
ストロボ5は、被写体の輝度が所定値以下の場合等に動作するものであり、システム制御部9によって制御される。
【0020】
デジタル信号処理部6では、A/D変換部3からのデジタル画像データに対して、操作部13によって設定された動作モードに応じたデジタル信号処理を行うものである。デジタル信号処理部6が行う処理には、黒レベル補正処理(OB処理)、リニアマトリクス補正処理(撮像部からの原色信号に対して、撮像素子の光電変換特性に起因する混食成分を除去する補正を行う処理。RBG入力に対する3×3のマトリクス演算による。)、ホワイトバランス調整処理(ゲイン調整)、ガンマ補正処理、画像合成処理、同時化処理、Y/C変換処理等が含まれる。デジタル信号処理部6の画像合成処理については、後述する。
【0021】
デジタル信号処理部6は、例えばDSPで構成される。圧縮/伸張処理部7は、デジタル信号処理部6で得られたY/Cデータに対して圧縮処理を施すと共に、記録メディア12から得られた圧縮画像データに対して伸張処理を施すものである。
【0022】
表示部8は、例えばLCD表示装置を含んで構成され、撮影され、デジタル信号処理を経た画像データに基づく画像を表示する。記録メディアに記録された圧縮画像データを伸張処理して得た画像データに基づく画像の表示も行う。また、撮影時のスルー画像、デジタルカメラの各種状態、操作に関する情報の表示等も可能である。
【0023】
内部メモリ10は、例えばDRAMであり、デジタル信号処理部6、システム処理部9のワークメモリとして利用される他、記録メディアに12に記録される撮影画像データを一時的に記憶するバッファメモリ、表示部8への表示画像データのバッファメモリとしても利用される。メディアインタフェース11は、メモリカード等の記録メディア12との間のデータの入出力を行うものである。
【0024】
システム制御部9は、撮影動作を含むデジタルカメラ全体の制御を行う。システム制御部9は、具体的には所定のプログラムによって動作するプロセッサを主体に構成される。
【0025】
操作部13は、デジタルカメラ使用時の各種操作を行うもので、デジタルカメラの動作モード(撮影モード、再生モード等)、撮影時の撮影方法、撮影条件、設定等を行う。操作部13によって設定される撮影条件には、撮影感度(ISO感度)の設定、電子ズームの動作設定、ストロボの動作設定が含まれる。操作部13は、それぞれの機能に対応する操作部材を設けてもよいが、表示部8の表示と連動して操作部材を共用してもよい。また、操作部13には、撮影動作を起動するためのレリーズボタンも含まれる。
【0026】
次に、デジタル信号処理部6の機能を、画像合成処理を中心に説明する。図1は、デジタル信号処理部6の概略機能ブロック図である。デジタル信号処理部6は、OB(オプティカルブラック)処理部61a、61b、LMTX(リニアマトリクス)62a、62b、WB(ホワイトバランス)処理部63a、63b、ガンマ補正部64a、64b、合成ゲインLUT(ルックアップテーブル)65、乗算部66a、66b、加算部67、リミッタ68、同時化及びY/C処理部69、CMTX(色差マトリクス)70、合成レンジ演算部71を含む。
【0027】
OB処理部61a、61bは、画像データの黒レベルを補正するものであり、LMTX62a、62bは、例えば3×3のマトリクス演算を行うことにより、色相を調整するものである。WB処理部63a、63bは、ホワイトバランス補正用のゲインをそれぞれの色を示す画像データに乗算するものであり、ガンマ補正部64a、64bは、それぞれの画像データが所望のガンマ特性になるように入出力特性を変更するものである。
【0028】
合成ゲインLUT65は、高感度画像データと低感度画像データとを加算合成する際のそれぞれのゲインデータを高感度画像データに応じて出力するものである。出力するゲインデータは、合成レンジ演算部71からの合成すべき輝度レンジ情報によって選択される。合成ゲインの求め方については、後述する。
【0029】
デジタル処理部6に入力される高感度画像データHighは、OB処理部61a、LMTX62a、WB処理部63a、ガンマ補正部64aによる処理を経て乗算部66aに入力される。また、同様に低感度画像データLowは、OB処理部61b、LMTX62b、WB処理部63b、ガンマ補正部64bによる処理を経て、乗算部66bに入力される。そして、それぞれ合成ゲインLUT65からのゲインデータと乗算され、乗算結果は加算部67で加算される。
【0030】
加算部67からの画像データは、リミッタ68で予め定めたビット数(例えば8ビット)で表現できる範囲に収まるように制限され、同時化及びY/C処理部69に入力される。同時化及びY/C処理部69は、点順次のRGB信号を補間し、各撮像位置毎にRGB信号を求め、さらにRGB信号から輝度信号Yと色差信号Cr,Cbに変換する。そして、CMTX70によって彩度補正を行い、合成画像データとして出力する。
【0031】
合成レンジ演算部71は、画像合成を行う場合の合成すべき輝度レンジを求めるものである。求めた輝度レンジ情報は、合成ゲインLUT65に送られ、高感度画像データと低感度画像データとを加算合成する際のそれぞれのゲインデータの選択に利用される。合成レンジ演算部71には、撮像素子の品質ランクを示すランク情報、撮影感度(ISO感度)情報、絞り情報、ズームポジション情報、ホワイトバランス(WB)ゲインが入力され、少なくとも、撮像素子の品質ランクを示すランク情報と撮影感度情報に基づいて決定される。具体的には、撮影シーンに応じて決定される輝度レンジを、所定の条件で制限して出力する。輝度レンジの求め方については、後述する。
【0032】
図2に、撮影時の合成演算処理までのデジタル信号処理の概略シーケンスを示す。期間t1において露光がされた後、期間t2で高感度画像データの取り込みが行われる。期間t3では、低感度画像データの取り込みと同時に高感度画像データに対する信号処理が行われる。ここでは、ホワイトバランスゲイン決定処理(AWB)、キズ補正処理(キズ)、及び前処理が行われる。前処理には、OB処理、LMTX演算、WB処理、ガンマ補正処理が含まれる。
【0033】
低感度画像データの取り込みが終了すると、期間t4で合成すべき輝度レンジの演算処理が行われる。合成レンジが決定すると、期間t5で低感度画像データの前処理(WB処理、ガンマ補正処理が含まれる)が行われる。そして、期間t6で、ガンマ補正後の高感度画像データ及び低感度画像データの合成演算が行われる。
【0034】
次いで、合成ゲインLUT65に記憶されるゲインデータについて説明する。ゲインデータは、合成データdataを求める式(1)に基づいて作成される。
【0035】
data=[high+MIN(high/th,1)×low]×MAX[(−lg×high/th)+1,p] (1)
ここで、
highは、ガンマ補正後の高感度画像データ
lowは、ガンマ補正後の低感度画像データ
thは、低感度画像データの加算比率を変更する閾値
pは、トータルゲイン
lgは、高感度画像データと低感度画像データの飽和出力の比に依存する値(例えば、飽和比が4:1とするとp=0.2)である。
【0036】
式(1)を展開し、
h_gain=MAX[(−lg×high/th)+1,p] (2)
l_gain=MAX[(−lg×high/th)+1,p]×MIN(high/th,1)=h_gain×wl (3)
とすると、
data=h_gain×high+l_gain×low
となる。
【0037】
h_gainは、高感度画像データ用のゲインであり、図3に示す特性を有する。また、l_gainは、低感度画像データ用のゲインであって、h_gain×wlであり、wlは、図4に示す特性を有する。
【0038】
合成ゲインLUT65には、上記式(2)及び(3)によって求められる高感度画像データ用のゲインh_gain、及び低感度画像データ用のゲインl_gainが、高感度画像データhighに対応するテーブル形式のデータとして記憶される。この記憶されるゲインデータは、合成レンジ演算部71から出力される合成すべき輝度レンジに応じて適宜の数だけ記憶される。
【0039】
続いて、合成レンジ演算部71による合成レンジの求め方について説明する。
今、図5に示すように、高感度画像データがとり得る最大値が4095、低感度画像データがとり得る最大値が1023、低感度画像データの輝度レンジが高感度画像データの輝度レンジに対して400%であるとすると、合成処理が可能な輝度レンジは、高感度画像データの最大輝度レンジとの比で表すと400%である。
【0040】
この輝度レンジは、撮影シーンに応じて補正が可能である。例えば,被写体の撮影輝度の最大値、ストロボの使用の有無、逆光、過順光の有無等に応じて、所定の基準で変更される。図6に、合成画像データの合成すべき輝度レンジに応じた階調特性の一例を示す。図6に示すように、レンジ(1)からレンジ(6)へ輝度レンジが大きくなるにつれて、合成画像データの再現範囲を広くなっている。
【0041】
次に、撮像素子の品質ランク、撮影感度、絞り情報、及びズームポジションによって、合成すべき輝度レンジを決定する方法について、説明する。なお、ここで利用する固体撮像素子の品質ランク情報は、図示しない不揮発性メモリに予め記憶させておく。また、撮影感度情報、絞り情報、ズームポジション情報は、操作部13の操作に基づき、システム制御部9を介して取得する。WBゲインは、撮像部1からの撮像信号に基づいて求めたもの、あるいは操作部13の設定に基づくものを利用する。図7に、輝度レンジを変更する処理の概略フローを示す。
【0042】
ステップ701では、撮像素子のランク情報に基づき、デジタルカメラに使用されている撮像素子の品質ランクが所定のランクより低いかどうかを判断する。所定のランクより低い場合は、設定された撮影感度が低い(例えばISO200以下)かどうかを判断し(ステップ702)、撮影感度が低い場合は、撮影照明の種類に応じた輝度レンジの変更処理を行う。
【0043】
輝度レンジは、撮影照明がタングステン電球の場合とそれ以外の場合で異なる変更処理を行う。タングステン電球による照明かどうか判断(ステップ703で)は、赤のホワイトバランスゲインによって行い、赤のホワイトバランスゲインが所定値より小の場合にタングステン電球による照明と判断する。
【0044】
タングステン電球による照明と判断された場合は、ステップ704でタングステン電球による照明時の輝度レンジを選択し、そうでない場合は、ステップ705でそれ以外の照明時の輝度レンジを選択する。ここで選択する輝度レンジは、撮影時の絞り情報とズームポジションに応じた値としてもよい。その場合の選択基準の一例を図8に示す。図8(a)は、タングステン照明時のものであり、図8(b)は、それ以外の照明時のものである。図8において、AVTNG1、AV1は、適宜定めた絞り値、FLTNG1、FLTNG2、FL1、FL2は、適宜定めたズームポジションである。
【0045】
ステップ704、又はステップ705で選択された輝度レンジが、システムで利用可能な上限輝度レンジより小かどうかを判断する(ステップ706)。そして上限輝度レンジより小の場合は、選択された輝度レンジを出力し、小でない場合は、上限輝度レンジを出力する。上限輝度レンジは、撮影シーンに応じて補正されたものでもよい。
【0046】
ステップ701で撮像素子の品質ランクが所定のランクより低くないと判断された場合、及びステップ702で撮影感度が所定感度以下でないと判断された場合は、輝度レンジの変更を行わない。その場合、予め定めた輝度レンジあるいは撮影シーンに応じて補正された輝度レンジを出力する。
【0047】
このように、撮像素子の品質ランク、撮影感度、撮影時の照明、絞り及びスームポジションに応じて、合成すべき輝度レンジを制限することにより、低感度画像データのゲインを充分大きなものとすることができ、好ましい合成画像データを得ることができる。なお、撮影時の照明、絞り及びスームポジションに応じた輝度レンジの制限は、任意であり、撮像素子の品質ランク及び撮影感度に応じて、合成すべき輝度レンジを変更するだけでもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、撮像素子の品質ランクに応じて、より好ましい合成画像データを得ることが可能なデジタルカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタル信号処理部の概略機能ブロック図
【図2】撮影時の合成演算処理までのデジタル信号処理の概略シーケンスを示す図
【図3】高感度画像データ用のゲインの特性を示す図
【図4】低感度画像データ用のゲインと高感度画像データ用ゲインの比wlの特性を示す図
【図5】高感度画像データと低感度画像データの関係の一例を示す図
【図6】合成レンジに応じて合成画像データの階調特性が変化する様子を示す図
【図7】輝度レンジを変更する処理の概略フローを示す図
【図8】撮影時の絞り情報とズームポジションに応じた輝度レンジの選択基準の一例を示す図
【図9】本発明の実施の形態のデジタルカメラの概略構成を示す図
【図10】高感度撮像信号と低感度撮像信号を出力可能な固体撮像素子の概略構成を示す図
【符号の説明】
1・・・撮像部
2・・・アナログ信号処理部
3・・・A/D変換部
4・・・駆動部
5・・・ストロボ
6・・・デジタル信号処理部
7・・・圧縮/伸張処理部
8・・・表示部
9・・・システム制御部
10・・・内部メモリ
11・・・メディアインタフェース
12・・・記録メディア
13・・・操作部
20・・・システムバス
61a、61b・・・OB(オプティカルブラック)処理部
62a、62b・・・LMTX(リニアマトリクス)
63a、63b・・・WB(ホワイトバランス)処理部
64a、64b・・・ガンマ補正部
65・・・合成ゲインLUT(ルックアップテーブル)
66a、66b・・・乗算部
67・・・加算部
68・・・リミッタ
69・・・同時化及びY/C処理部
70・・・CMTX(色差マトリクス)
71・・・合成レンジ演算部
Claims (3)
- 相対的に高感度の第1の画像データと相対的に低感度の第2の画像データとの合成処理を行って合成画像データを得る機能を有するデジタルカメラであって、
前記第1の画像データと前記第2の画像データは、感度の異なる光電変換部を有する撮像素子による撮像信号に基づいて取得されるものであり、
前記合成処理は、被写体の合成すべき輝度レンジに応じて決定される合成パラメータに基づいて行われるものであり、
前記輝度レンジは、前記撮像素子の品質ランク情報と撮影感度情報に基づいて制限されるものであるデジタルカメラ。 - 請求項1記載のデジタルカメラであって、
前記輝度レンジの制限値は、撮影時の絞り情報とズームポジションによって変更されるものであるデジタルカメラ。 - 請求項2記載のデジタルカメラであって、
前記輝度レンジの制限値は、撮影時の照明によって変更されるものであるデジタルカメラ。
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Cited By (1)
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JP2016226059A (ja) * | 2011-07-11 | 2016-12-28 | キヤノン株式会社 | 画像処理装置、撮像装置及び画像処理方法 |
-
2003
- 2003-01-17 JP JP2003009806A patent/JP2004222161A/ja active Pending
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