JP2004221966A - 超音波振動子の加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工時間を短縮可能であり、かつ、複雑な形状にも対応可能で、超音波振動子に適した加工方法を提供する。
【解決手段】超音波振動子基材32Mを加工位置に準備し、超音波振動子基材32Mに、マスク5を介して所定の大きさの砥粒を吹き付けて、超音波振動子基材32Mを所定の形状に加工する。
【選択図】 図1
【解決手段】超音波振動子基材32Mを加工位置に準備し、超音波振動子基材32Mに、マスク5を介して所定の大きさの砥粒を吹き付けて、超音波振動子基材32Mを所定の形状に加工する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波プローブに用いる超音波振動子の加工方法に関わり、特定的には、マイクロブラスト(micro blasting)手法を用いた、超音波振動子の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断においては、超音波プローブと、この超音波プローブにケーブルを介して接続される超音波診断装置本体とを有する超音波診断装置が用いられる。超音波プローブは、被検体(被検者)に向けて超音波を送信して、超音波に起因する被検体からのエコー信号を受信する。超音波診断装置本体は、このエコー信号に基づいて、診断に用いる画像を生成する。
【0003】
従来は、超音波プローブにおいて超音波を実際に送受信する超音波振動子の加工には、たとえば特許文献1に開示されているようにダイシングという手法を用いていた。
ダイシングによる超音波振動子の加工においては、数十μm程度の厚さの円盤状のブレードを高速回転させて、接触面に切削液を供給しながら、超音波振動子の基材を切削していた。ダイシングブレードを用いた切削により、超音波振動子基材は、数百個程度の素子を有する形状に加工される。
【0004】
【特許文献1】
特開平07−322397号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、1つのダイシングブレードによって超音波振動子基材を数百個という素子に分割するためには、ある程度の時間がかかる。また、この時間を短縮することは困難である。
また、切削により素子を1つずつ形成するため、複数の素子を一括して加工し形成することは困難であった。
さらに、分解能の向上等の目的のために、平面形状がたとえば六角形やリング状の素子を有するように超音波振動子を加工したい要望があるが、従来のダイシング手法では、超音波振動子をこのような形状の素子に分割することは非常に困難であった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、加工時間を短縮可能であり、かつ、複雑な形状にも対応可能で、超音波振動子に適した加工方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る超音波振動子の加工方法は、超音波振動子基材を加工位置に準備するステップと、前記超音波振動子基材に、所定の大きさの砥粒を吹き付けて、前記超音波振動子基材を所定の形状に加工するステップとを有する超音波振動子の加工方法である。
【0008】
好適には、前記砥粒によって、直交座標系におけるいずれかの座標軸に平行な境界以外の境界によって区分される複数の素子を有する形状に、前記超音波振動子基材を加工する。
【0009】
本発明においては、加工により超音波振動子となる超音波振動子基材に、所定の大きさの砥粒が吹き付けられる。超音波振動子基材における砥粒が吹き付けられた部分には、砥粒の衝突により脆性破壊が生じる。
これにより、超音波振動子基材における砥粒が吹き付けられた部分が削られ、超音波振動子基材が所定の形状に加工される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら述べる。
【0011】
第1実施形態
図1が、本発明の第1実施形態に係るマイクロブラスト装置の概略構成図である。
図1に示すマイクロブラスト装置10は、砥粒供給装置1と、ブラストヘッド(blast head)2と、X−Yテーブル40とを有している。
【0012】
X−Yテーブル40はベース4とテーブル7とを有しており、一例として、ベース4上にテーブル7が載置される。
また、X−Yテーブル40は、たとえばボールねじによるテーブル7の移動機構を備えている。
図1に示すように、テーブル7上に、加工対象であるワークWが載置される。
移動機構によりテーブル7が移動することで、ワークWが、図1に示すような、一例として水平なX−Y平面内において移動する。
【0013】
テーブル7上に載置されるワークWの被加工面32Suに対向するように、ブラストヘッド2が配置される。
ブラストヘッド2は、たとえば、門型コラム等の支持手段(不図示)によって支持する。たとえば門型コラムを用いて支持することにより、テーブル7が移動する面に沿って、ワークWと同様にブラストヘッド2をX−Y方向に移動させることができる。
【0014】
ブラストヘッド2には、砥粒供給装置1が接続されている。砥粒供給装置1は、供給ホース2aを介して、ブラストヘッド2に砥粒を供給する。
ブラストヘッド2は、供給された砥粒を、たとえば圧縮空気による噴射を利用して、ノズル20からワークWの被加工面32Suに向けて吹き付ける。
ブラストヘッド2およびテーブル7が各々X−Y方向に移動可能であることから、被加工面32Su上の任意の位置に砥粒を吹き付けることができる。
砥粒をワークWに吹き付けて加工することは、マイクロブラスト加工と呼ばれる。
【0015】
砥粒としては、一例として、アルミナ、炭化珪素等の、比較的高硬度な材料の粉を用いる。
砥粒の大きさは、大径が5〜40μm程度である。
【0016】
ブラストヘッド2からのワークWへの砥粒の噴射においては、砥粒がワークWへ吹き付けられる領域を制限するマスクを用いることが、被加工面32Suを任意のパターンに容易に加工することが可能になる点から好ましい。
本実施形態においては、図1に示すように、一例として、平板状のマスク5を、ワークWとブラストヘッド2との間に介在させる。
【0017】
マスク5には、所定形状の開口部が形成されており、この開口部を通過する砥粒のみがワークWへ到達し、その他の砥粒は、マスク5の開口部以外の部分に遮られてワークWへは到達しない。
図1においては、明確に図示するためにマスク5をワークWから離して描いている。しかし、実際の加工においては、マスク5の開口部を通過した砥粒のワークWへの移動距離を短くし、加工精度を向上させるために、マスク5をワークWの被加工面32Su上に載置して固定する。
【0018】
マスク5としては、砥粒が吹き付けられることによる脆性破壊に耐えられるように、なるべく高硬度の材料を用いることが好ましい。マスク5の材料としては、たとえばステンレスを用いる。
【0019】
本実施形態においては、ブラストヘッド2およびテーブル7がいずれもX−Y方向に移動可能な構成にした。しかし、ワークWの被加工面Suの任意の位置に砥粒を噴射可能であれば、ブラストヘッド2およびテーブル7のいずれか一方を移動させる形態を採用してもよい。また、必ずしも平面的に移動可能である必要はなく、ワークWの大きさやノズル20から噴射される砥粒の噴射面積によっては、一次元の移動によってワークを加工することが可能である。
【0020】
図2が、本実施形態に係るワークWの拡大斜視図である。
図2に示すように、本実施形態においては、ワークWは、加工後に超音波振動子となる板状の基材32Mと、支持部材33Mとを貼り合わせた構成を有している。
また、支持部材33M上の超音波振動子基材32Mの上から、プラスチック等の樹脂をさらに被覆して、整合層31を形成している。樹脂製の整合層31は、基材32Mと、超音波振動子からの超音波が送信されてはね返ってくる被検体との中間の音響インピーダンスを持たせて、超音波を通りやすくするためのものである。整合層31は、超音波振動子の製造を容易にするために、基材32M上に予め被覆される。
【0021】
支持部材33Mは、マイクロブラスト加工において、超音波振動子基材32Mを支持する。
支持部材33Mとしては、好適には、超音波振動子基材32Mが加工されて得られる超音波振動子を用いて超音波プローブを製造するときに、この超音波振動子に直接的に固定されて使用される部品の基材を用いる。
【0022】
超音波振動子に直接的に固定されて使用される部品の一例として、超音波振動子の超音波発生後の自由振動を抑制するダンパーがある。
ダンパーの基材には、吸音効果を有する材料を用いる。
ダンパー基材33Mは、適度な弾性を有しており、マイクロブラスト加工における超音波振動子基材32Mの支持部材としても好適に用いることができる。
超音波振動子基材32Mは、ダンパー基材33Mにたとえば接着材によって貼り合わせて固定する。超音波プローブとして製造された時と同じ厚さの板状のダンパー基材33Mを予め超音波振動子基材32Mに貼り付けておいてもよいし、超音波振動子の加工後に、ダンパー基材33Mをたとえば切削により所望の厚さにしてもよい。
【0023】
超音波振動子基材(以下、基材)32Mの材料としては、圧電材料を用いる。圧電材料には、例えば、PbZrO3とPbTiO3の固溶体(チタン酸ジルコン酸鉛。略称PZT)等の圧電性セラミックスがある。
板状の基材32Mの厚さL1は、一例として、150〜500μm程度である。基材32Mが、加工により複数の素子32Sに分割されて、超音波振動子が形成される。
素子32S間の境界となる溝の幅L2の大きさは、一例として数十μm程度のオーダーである。したがって、上述のような5μm程度の大きさの砥粒を用いることにより、実用上十分な精度で溝を形成することができる。
また、1つの超音波振動子に含まれる素子32Sの数は、超音波振動子の大きさや使用目的によって異なるが、70〜500個程度である。
なお、図2に示すように、基材32Mを短冊形の素子32Sに形成する場合における、短冊形の各素子32Sの幅L3の大きさは、一例として0.1mm〜0.3mm程度である。
【0024】
基材32Mの基板面に形成される整合層31に用いる樹脂としては、前述のように、超音波振動子と、超音波振動子からの超音波が送信されてはね返ってくる被検体との中間の音響インピーダンスを有するような材料および厚さを選択する。
整合層31の厚さは、一例として0.1〜0.3mm程度である。
基材32Mの、整合層31が形成された面が、被加工面32Suとなる。
【0025】
上述のように、ダンパー基材33Mと基材32Mと整合層31とを、マイクロブラスト加工前に予め一体化させておくことにより、超音波振動子加工後の超音波プローブの製造が容易になる。
【0026】
以下、本第1実施形態に係る超音波振動子の加工プロセスについて、図3に示すプロセスフロー図を参照しながら述べる。
本実施形態においては、まず、上述のように基材32Mとダンパー基材33Mとを貼り合わせて接合し、基材32Mをダンパー基材33Mに固定する(プロセスP1)。
また、整合層31も、基材32Mの表面に形成して、ワークWを作成する。
【0027】
プロセスP1において作成したワークWを、加工位置に準備する(プロセスP2)。
詳細には、ワークWを、X−Yテーブル40のテーブル7上に設置する。
好適には、砥粒のワークWへの噴射中に被加工面32Suの位置がずれないように、たとえば接着材やクランプによって、ワークWをテーブル7に仮留めする。
【0028】
また、被加工面32Su上には、マスク5を設置する(プロセスP3)。
加工精度向上のためには、加工中にはマスク5の位置は変えないことが望ましい。このため、好適には、マスク5の全面において、所望のパターンの開口部を形成しておく。全面に所定パターンの開口部が形成されたマスク5は、一例として接着材により被加工面32Suに仮留めする。接着材の代わりに、図示しないクランプやロボットハンド等の保持手段によってマスク5を保持してもよい。
【0029】
ワークWとマスク5の設置後に、ブラストヘッド2のノズル20から砥粒を噴射して、整合層31および基材32をマイクロブラスト加工する(プロセスP4)。
マスク5の開口部を通過した砥粒が被加工面32Suに衝突して部分的な脆性破壊を生じさせることにより、整合層31および基材32が切削される。
本実施形態においては、砥粒によって所定の平面形状および幅の溝が形成されるように開口部をパターンニングしたマスク5を用いて、所定の形状の複数の素子32Sに分割されるように、整合層31および基材32Mをマイクロブラスト加工する。
【0030】
各素子32S間の境界となる溝の深さは、ノズル20からの砥粒の噴射速度、および、同じ位置に対する砥粒の噴射時間によって制御することができる。
好適には、基材32Mの層までが加工され、ダンパー基材33Mは加工されないようにする。
【0031】
本第1実施形態においては、ワークWの被加工面32Suよりも狭い範囲に砥粒が噴射されるブラストヘッド2を用いて、ブラストヘッド2とワークWとを相対的に移動させて、被加工面32Suへの砥粒の吹き付け位置を移動させながら、被加工面32Suの全面を加工する。
なお、各素子32S間の溝に詰まった砥粒は、たとえば溝に洗浄液を供給することによって流し出す。
【0032】
以上のプロセスによって加工された超音波振動子は、図4に示すような、超音波プローブの超音波送受信モジュールに用いられる。
図4は、本実施形態によって加工した超音波振動子を用いた超音波送受信モジュールの一例の部分斜視切欠図である。
図4に示す超音波送受信モジュール(以下、モジュール)85は、被検体に当接される接触面20側から、後述するプローブケーブル80に接続される側に向かって、音響レンズ30、整合層31、超音波振動子32、およびダンパー33を設け、これらを保護ケース34に収容することにより構成されている。
【0033】
超音波振動子32が、上述のように基材32Mをマイクロブラスト手法により加工して得られた製造物に相当する。
圧電材料からなる超音波振動子32に電圧を印加して振動させることにより超音波が送信され、また、超音波振動子32が被検部位から反射してきたエコー信号を受信して電気信号に変換することにより、被検部位に関する撮像情報が得られる。
【0034】
整合層31は、前述のように、一例として、被検体と超音波振動子32との中間の音響インピーダンスを有する樹脂によって形成され、被検体と超音波振動子32との間の音響インピーダンスの相違による超音波の反射を抑える役割を果たす。
【0035】
ダンパー33は、加工後のダンパー基材33Mに相当する。超音波送信後の超音波振動子32の自由振動をダンパー33が抑制することによって、超音波のパルス幅を短くすることができる。
また、前述のように吸音効果を有する材料を用いて形成されるダンパー33は、ダンパー33から後方のプローブケーブル80との接続側への超音波の不必要な伝搬を抑制する役割も果たす。
【0036】
前述のように、本実施形態においては、ダンパー基材33Mと基材32Mと整合層31とを互いに固着させ、一体化させたワークWの状態でマイクロブラスト加工する。加工後のワークWを所望の大きさにたとえば切断することによって、モジュール85に用いるダンパー33と超音波振動子32と整合層31とが得られる。
基材32Mの大きさによって、1つの基材32Mから複数個の超音波振動子32等の部品を得ることもできる。
【0037】
なお、音響レンズ30は、超音波振動子32から送信される超音波のフォーカスポイントを設定する役割を果たす。
【0038】
超音波振動子32には、超音波振動子32への電力供給のための給電線、ならびに、駆動信号や撮像情報等の信号の送受信のための信号線が設けられる。これらの給電線および信号線は、接続線36として、ブッシング351を介して保護ケース34の外へ取り出される。
この接続線36は、プローブケーブル80に接続される。
図5は超音波診断装置の一例の概略構成図であり、プローブケーブル80は、図5に示す超音波プローブ81と超音波診断装置本体82とを接続するためのケーブルである。
【0039】
超音波プローブ81は、オペレータが操作時に把持するハンドル84を有するプローブケース81C内に、図4に図解のようなモジュール85を収容する。一例として、モジュール85は、プローブケース81Cの一方の端部に配置される。超音波診断においては、モジュール85の接触面20が、被検体Aに接触する。
プローブケーブル80は、一例として、プローブケース81Cの、モジュール85が収容される端部とは反対側の端部において、ブーツ(Boot)83を介して超音波プローブ81に接続される。
【0040】
超音波診断装置本体82は、図示はしないが、たとえばCPU(Central Processing Unit)によって実現される処理部や、モニタ、操作装置等の構成要素を備えている。
超音波診断装置本体82は、オペレータによる操作装置からの入力に応じて、処理部によってプローブケーブル80を介してモジュール85の超音波振動子32に駆動信号を送信させ、超音波振動子32から被検体Aの被検部位に向けて超音波を送信させる。
【0041】
超音波振動子32が受信した、被検部位からのエコー信号は、超音波診断装置本体2に送信される。処理部は、このエコー信号に基づいて診断画像を生成し、モニタに表示させる。
【0042】
ところで、診断画像の分解能向上等の目的のために、図2に示すような短冊形の素子32S以外の形状の素子に基材32Mを分割したいという要望がある。図6〜8に、短冊形以外の素子形状の超音波振動子32の平面形状の例を示す。
図6には、矩形の素子32_1をマトリクス状に配置した例を示している。
図7(a)には六角形状の素子32_2によりハニカム状の超音波振動子32を形成した例を示しており、図7(b)には円形の素子32_3を用いた例を示しており、図7(c)には楔形の素子32_4を交互に配置した例を示している。
また、図8(d)には径の異なるリング状の素子32_5を同心に配置した例を示しており、図8(e)には凹状に細くなっている素子32_6を配列した例を示しており、図8(f)には凸状に太くなっている素子32_7を配列した例を示している。
【0043】
図7(a)に代表して示すように、図7(a)〜(c)および図8(d)〜(f)に示す形状においては、各素子の境界となる溝Gが、たとえばX−Y直交座標系の各座標軸に平行な方向以外の、斜め方向の成分を有している。
本実施形態のようにマイクロブラスト手法を用いることにより、斜め方向の成分を有する境界によって区分される複数の素子を有する形状に、基材32Mを容易に加工することが可能になる。
ある程度の面積に砥粒を分散させて噴射することにより、複数の素子を同時に加工形成することができるため、加工時間も短縮される。
また、複数の平面形状の素子を、1つの基材32Mに形成することも可能になる。
なお、図7(a),(b)に示すような、溝Gによって囲まれる部分が発生する形状においては、1枚のマスクでは加工が困難なことがある。このような場合には、開口部パターンを適宜設計した複数のマスクをたとえば交互に用いて、溝Gを部分的に形成していけばよい。
【0044】
また、マイクロブラスト手法においては、レーザー加工法のような高温の熱が発生しないため、基材32Mに形成した樹脂製の整合層31を溶かして機能を損なう危険性を発生させることなく加工することができる。
溝Gの深さの制御も容易であるため、支持部材を損傷させる可能性が低く、支持部材としてダンパー基材33Mを取り付けた状態において基材32Mを加工することができる。
このように、本実施形態においては、ダンパー基材33Mと基材32Mと整合層31とを一体とした状態において加工を行なうことができる。
さらに、加工に用いる砥粒は再利用することができる。
したがって、超音波振動子32ならびにモジュール85の製造が容易になり、また、コスト低下にも効果がある。
【0045】
本第1実施形態のように、ワークWの被加工面32Suへの砥粒の吹き付け位置を移動させながら加工する形態においては、吹き付け位置ごとに砥粒の噴射速度や噴射時間等の条件をきめ細かく制御することができる。このため、複雑で高精度な加工が可能になる。
【0046】
第2実施形態
図9が、本発明の第2実施形態に係るマイクロブラスト装置の概略構成図である。
第2実施形態に係るマイクロブラスト装置100は、第1実施形態よりもさらに効率的に超音波振動子を加工するためのものである。
図9に図解のマイクロブラスト装置100は、第1実施形態に係るマイクロブラスト装置10のブラストヘッド2に代えて、ワークWの被加工面32Suの全面に砥粒を吹き付けることが可能なノズル220を備えるブラストヘッド200を有している。
マイクロブラスト装置100のその他の構成および機能は第1実施形態に係るマイクロブラスト装置10と同じであるため、同一構成要素には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0047】
ブラストヘッド200を用いて、被加工面32Suの全面に砥粒を吹き付けることにより、ワークWおよびブラストヘッド200を移動させることなく、被加工面32Suの全面を一括して加工することができる。
したがって、本第2実施形態によれば、第1実施形態よりもさらに超音波振動子の加工時間、ならびにモジュール85の製造時間を短縮することができる。
また、マイクロブラスト装置100の構成が簡単になり、コスト低減にも役立つ。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、実施形態における形状、材質や各種数値等の記載は、本発明を説明するための一例であり、適宜変更可能である。
また、整合層31やダンパー基材33Mを基材32Mに一体化させず、基材32Mのみを加工してもよい。図3に示したワークとマスクの設置順序に関しても、最終的に加工が行なえるならば、変更可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、加工時間を短縮可能であり、かつ、複雑な形状にも対応可能で、超音波振動子に適した加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るマイクロブラスト装置の概略構成図である。
【図2】加工対象であるワークの構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るプロセスフロー図である。
【図4】本発明に係る加工方法により得られる超音波振動子を用いた超音波送受信モジュールの一例の部分斜視切欠図である。
【図5】本発明に係る加工方法により得られる超音波振動子を用いた超音波診断装置の一例の概略構成図である。
【図6】超音波振動子の平面形状の一例を示す図である。
【図7】超音波振動子の平面形状の他の例を示す図である。
【図8】図8に続き、超音波振動子の平面形状の他の例を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るマイクロブラスト装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…砥粒供給装置
2,200…ブラストヘッド
5…マスク
7…テーブル
10,100…マイクロブラスト装置
20,220…ノズル
31…整合層
32M…超音波振動子基材
32S,32_1〜32_7…素子
33M…支持部材(ダンパー基材)
40…X−Yテーブル
W…ワーク
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波プローブに用いる超音波振動子の加工方法に関わり、特定的には、マイクロブラスト(micro blasting)手法を用いた、超音波振動子の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断においては、超音波プローブと、この超音波プローブにケーブルを介して接続される超音波診断装置本体とを有する超音波診断装置が用いられる。超音波プローブは、被検体(被検者)に向けて超音波を送信して、超音波に起因する被検体からのエコー信号を受信する。超音波診断装置本体は、このエコー信号に基づいて、診断に用いる画像を生成する。
【0003】
従来は、超音波プローブにおいて超音波を実際に送受信する超音波振動子の加工には、たとえば特許文献1に開示されているようにダイシングという手法を用いていた。
ダイシングによる超音波振動子の加工においては、数十μm程度の厚さの円盤状のブレードを高速回転させて、接触面に切削液を供給しながら、超音波振動子の基材を切削していた。ダイシングブレードを用いた切削により、超音波振動子基材は、数百個程度の素子を有する形状に加工される。
【0004】
【特許文献1】
特開平07−322397号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、1つのダイシングブレードによって超音波振動子基材を数百個という素子に分割するためには、ある程度の時間がかかる。また、この時間を短縮することは困難である。
また、切削により素子を1つずつ形成するため、複数の素子を一括して加工し形成することは困難であった。
さらに、分解能の向上等の目的のために、平面形状がたとえば六角形やリング状の素子を有するように超音波振動子を加工したい要望があるが、従来のダイシング手法では、超音波振動子をこのような形状の素子に分割することは非常に困難であった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、加工時間を短縮可能であり、かつ、複雑な形状にも対応可能で、超音波振動子に適した加工方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る超音波振動子の加工方法は、超音波振動子基材を加工位置に準備するステップと、前記超音波振動子基材に、所定の大きさの砥粒を吹き付けて、前記超音波振動子基材を所定の形状に加工するステップとを有する超音波振動子の加工方法である。
【0008】
好適には、前記砥粒によって、直交座標系におけるいずれかの座標軸に平行な境界以外の境界によって区分される複数の素子を有する形状に、前記超音波振動子基材を加工する。
【0009】
本発明においては、加工により超音波振動子となる超音波振動子基材に、所定の大きさの砥粒が吹き付けられる。超音波振動子基材における砥粒が吹き付けられた部分には、砥粒の衝突により脆性破壊が生じる。
これにより、超音波振動子基材における砥粒が吹き付けられた部分が削られ、超音波振動子基材が所定の形状に加工される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら述べる。
【0011】
第1実施形態
図1が、本発明の第1実施形態に係るマイクロブラスト装置の概略構成図である。
図1に示すマイクロブラスト装置10は、砥粒供給装置1と、ブラストヘッド(blast head)2と、X−Yテーブル40とを有している。
【0012】
X−Yテーブル40はベース4とテーブル7とを有しており、一例として、ベース4上にテーブル7が載置される。
また、X−Yテーブル40は、たとえばボールねじによるテーブル7の移動機構を備えている。
図1に示すように、テーブル7上に、加工対象であるワークWが載置される。
移動機構によりテーブル7が移動することで、ワークWが、図1に示すような、一例として水平なX−Y平面内において移動する。
【0013】
テーブル7上に載置されるワークWの被加工面32Suに対向するように、ブラストヘッド2が配置される。
ブラストヘッド2は、たとえば、門型コラム等の支持手段(不図示)によって支持する。たとえば門型コラムを用いて支持することにより、テーブル7が移動する面に沿って、ワークWと同様にブラストヘッド2をX−Y方向に移動させることができる。
【0014】
ブラストヘッド2には、砥粒供給装置1が接続されている。砥粒供給装置1は、供給ホース2aを介して、ブラストヘッド2に砥粒を供給する。
ブラストヘッド2は、供給された砥粒を、たとえば圧縮空気による噴射を利用して、ノズル20からワークWの被加工面32Suに向けて吹き付ける。
ブラストヘッド2およびテーブル7が各々X−Y方向に移動可能であることから、被加工面32Su上の任意の位置に砥粒を吹き付けることができる。
砥粒をワークWに吹き付けて加工することは、マイクロブラスト加工と呼ばれる。
【0015】
砥粒としては、一例として、アルミナ、炭化珪素等の、比較的高硬度な材料の粉を用いる。
砥粒の大きさは、大径が5〜40μm程度である。
【0016】
ブラストヘッド2からのワークWへの砥粒の噴射においては、砥粒がワークWへ吹き付けられる領域を制限するマスクを用いることが、被加工面32Suを任意のパターンに容易に加工することが可能になる点から好ましい。
本実施形態においては、図1に示すように、一例として、平板状のマスク5を、ワークWとブラストヘッド2との間に介在させる。
【0017】
マスク5には、所定形状の開口部が形成されており、この開口部を通過する砥粒のみがワークWへ到達し、その他の砥粒は、マスク5の開口部以外の部分に遮られてワークWへは到達しない。
図1においては、明確に図示するためにマスク5をワークWから離して描いている。しかし、実際の加工においては、マスク5の開口部を通過した砥粒のワークWへの移動距離を短くし、加工精度を向上させるために、マスク5をワークWの被加工面32Su上に載置して固定する。
【0018】
マスク5としては、砥粒が吹き付けられることによる脆性破壊に耐えられるように、なるべく高硬度の材料を用いることが好ましい。マスク5の材料としては、たとえばステンレスを用いる。
【0019】
本実施形態においては、ブラストヘッド2およびテーブル7がいずれもX−Y方向に移動可能な構成にした。しかし、ワークWの被加工面Suの任意の位置に砥粒を噴射可能であれば、ブラストヘッド2およびテーブル7のいずれか一方を移動させる形態を採用してもよい。また、必ずしも平面的に移動可能である必要はなく、ワークWの大きさやノズル20から噴射される砥粒の噴射面積によっては、一次元の移動によってワークを加工することが可能である。
【0020】
図2が、本実施形態に係るワークWの拡大斜視図である。
図2に示すように、本実施形態においては、ワークWは、加工後に超音波振動子となる板状の基材32Mと、支持部材33Mとを貼り合わせた構成を有している。
また、支持部材33M上の超音波振動子基材32Mの上から、プラスチック等の樹脂をさらに被覆して、整合層31を形成している。樹脂製の整合層31は、基材32Mと、超音波振動子からの超音波が送信されてはね返ってくる被検体との中間の音響インピーダンスを持たせて、超音波を通りやすくするためのものである。整合層31は、超音波振動子の製造を容易にするために、基材32M上に予め被覆される。
【0021】
支持部材33Mは、マイクロブラスト加工において、超音波振動子基材32Mを支持する。
支持部材33Mとしては、好適には、超音波振動子基材32Mが加工されて得られる超音波振動子を用いて超音波プローブを製造するときに、この超音波振動子に直接的に固定されて使用される部品の基材を用いる。
【0022】
超音波振動子に直接的に固定されて使用される部品の一例として、超音波振動子の超音波発生後の自由振動を抑制するダンパーがある。
ダンパーの基材には、吸音効果を有する材料を用いる。
ダンパー基材33Mは、適度な弾性を有しており、マイクロブラスト加工における超音波振動子基材32Mの支持部材としても好適に用いることができる。
超音波振動子基材32Mは、ダンパー基材33Mにたとえば接着材によって貼り合わせて固定する。超音波プローブとして製造された時と同じ厚さの板状のダンパー基材33Mを予め超音波振動子基材32Mに貼り付けておいてもよいし、超音波振動子の加工後に、ダンパー基材33Mをたとえば切削により所望の厚さにしてもよい。
【0023】
超音波振動子基材(以下、基材)32Mの材料としては、圧電材料を用いる。圧電材料には、例えば、PbZrO3とPbTiO3の固溶体(チタン酸ジルコン酸鉛。略称PZT)等の圧電性セラミックスがある。
板状の基材32Mの厚さL1は、一例として、150〜500μm程度である。基材32Mが、加工により複数の素子32Sに分割されて、超音波振動子が形成される。
素子32S間の境界となる溝の幅L2の大きさは、一例として数十μm程度のオーダーである。したがって、上述のような5μm程度の大きさの砥粒を用いることにより、実用上十分な精度で溝を形成することができる。
また、1つの超音波振動子に含まれる素子32Sの数は、超音波振動子の大きさや使用目的によって異なるが、70〜500個程度である。
なお、図2に示すように、基材32Mを短冊形の素子32Sに形成する場合における、短冊形の各素子32Sの幅L3の大きさは、一例として0.1mm〜0.3mm程度である。
【0024】
基材32Mの基板面に形成される整合層31に用いる樹脂としては、前述のように、超音波振動子と、超音波振動子からの超音波が送信されてはね返ってくる被検体との中間の音響インピーダンスを有するような材料および厚さを選択する。
整合層31の厚さは、一例として0.1〜0.3mm程度である。
基材32Mの、整合層31が形成された面が、被加工面32Suとなる。
【0025】
上述のように、ダンパー基材33Mと基材32Mと整合層31とを、マイクロブラスト加工前に予め一体化させておくことにより、超音波振動子加工後の超音波プローブの製造が容易になる。
【0026】
以下、本第1実施形態に係る超音波振動子の加工プロセスについて、図3に示すプロセスフロー図を参照しながら述べる。
本実施形態においては、まず、上述のように基材32Mとダンパー基材33Mとを貼り合わせて接合し、基材32Mをダンパー基材33Mに固定する(プロセスP1)。
また、整合層31も、基材32Mの表面に形成して、ワークWを作成する。
【0027】
プロセスP1において作成したワークWを、加工位置に準備する(プロセスP2)。
詳細には、ワークWを、X−Yテーブル40のテーブル7上に設置する。
好適には、砥粒のワークWへの噴射中に被加工面32Suの位置がずれないように、たとえば接着材やクランプによって、ワークWをテーブル7に仮留めする。
【0028】
また、被加工面32Su上には、マスク5を設置する(プロセスP3)。
加工精度向上のためには、加工中にはマスク5の位置は変えないことが望ましい。このため、好適には、マスク5の全面において、所望のパターンの開口部を形成しておく。全面に所定パターンの開口部が形成されたマスク5は、一例として接着材により被加工面32Suに仮留めする。接着材の代わりに、図示しないクランプやロボットハンド等の保持手段によってマスク5を保持してもよい。
【0029】
ワークWとマスク5の設置後に、ブラストヘッド2のノズル20から砥粒を噴射して、整合層31および基材32をマイクロブラスト加工する(プロセスP4)。
マスク5の開口部を通過した砥粒が被加工面32Suに衝突して部分的な脆性破壊を生じさせることにより、整合層31および基材32が切削される。
本実施形態においては、砥粒によって所定の平面形状および幅の溝が形成されるように開口部をパターンニングしたマスク5を用いて、所定の形状の複数の素子32Sに分割されるように、整合層31および基材32Mをマイクロブラスト加工する。
【0030】
各素子32S間の境界となる溝の深さは、ノズル20からの砥粒の噴射速度、および、同じ位置に対する砥粒の噴射時間によって制御することができる。
好適には、基材32Mの層までが加工され、ダンパー基材33Mは加工されないようにする。
【0031】
本第1実施形態においては、ワークWの被加工面32Suよりも狭い範囲に砥粒が噴射されるブラストヘッド2を用いて、ブラストヘッド2とワークWとを相対的に移動させて、被加工面32Suへの砥粒の吹き付け位置を移動させながら、被加工面32Suの全面を加工する。
なお、各素子32S間の溝に詰まった砥粒は、たとえば溝に洗浄液を供給することによって流し出す。
【0032】
以上のプロセスによって加工された超音波振動子は、図4に示すような、超音波プローブの超音波送受信モジュールに用いられる。
図4は、本実施形態によって加工した超音波振動子を用いた超音波送受信モジュールの一例の部分斜視切欠図である。
図4に示す超音波送受信モジュール(以下、モジュール)85は、被検体に当接される接触面20側から、後述するプローブケーブル80に接続される側に向かって、音響レンズ30、整合層31、超音波振動子32、およびダンパー33を設け、これらを保護ケース34に収容することにより構成されている。
【0033】
超音波振動子32が、上述のように基材32Mをマイクロブラスト手法により加工して得られた製造物に相当する。
圧電材料からなる超音波振動子32に電圧を印加して振動させることにより超音波が送信され、また、超音波振動子32が被検部位から反射してきたエコー信号を受信して電気信号に変換することにより、被検部位に関する撮像情報が得られる。
【0034】
整合層31は、前述のように、一例として、被検体と超音波振動子32との中間の音響インピーダンスを有する樹脂によって形成され、被検体と超音波振動子32との間の音響インピーダンスの相違による超音波の反射を抑える役割を果たす。
【0035】
ダンパー33は、加工後のダンパー基材33Mに相当する。超音波送信後の超音波振動子32の自由振動をダンパー33が抑制することによって、超音波のパルス幅を短くすることができる。
また、前述のように吸音効果を有する材料を用いて形成されるダンパー33は、ダンパー33から後方のプローブケーブル80との接続側への超音波の不必要な伝搬を抑制する役割も果たす。
【0036】
前述のように、本実施形態においては、ダンパー基材33Mと基材32Mと整合層31とを互いに固着させ、一体化させたワークWの状態でマイクロブラスト加工する。加工後のワークWを所望の大きさにたとえば切断することによって、モジュール85に用いるダンパー33と超音波振動子32と整合層31とが得られる。
基材32Mの大きさによって、1つの基材32Mから複数個の超音波振動子32等の部品を得ることもできる。
【0037】
なお、音響レンズ30は、超音波振動子32から送信される超音波のフォーカスポイントを設定する役割を果たす。
【0038】
超音波振動子32には、超音波振動子32への電力供給のための給電線、ならびに、駆動信号や撮像情報等の信号の送受信のための信号線が設けられる。これらの給電線および信号線は、接続線36として、ブッシング351を介して保護ケース34の外へ取り出される。
この接続線36は、プローブケーブル80に接続される。
図5は超音波診断装置の一例の概略構成図であり、プローブケーブル80は、図5に示す超音波プローブ81と超音波診断装置本体82とを接続するためのケーブルである。
【0039】
超音波プローブ81は、オペレータが操作時に把持するハンドル84を有するプローブケース81C内に、図4に図解のようなモジュール85を収容する。一例として、モジュール85は、プローブケース81Cの一方の端部に配置される。超音波診断においては、モジュール85の接触面20が、被検体Aに接触する。
プローブケーブル80は、一例として、プローブケース81Cの、モジュール85が収容される端部とは反対側の端部において、ブーツ(Boot)83を介して超音波プローブ81に接続される。
【0040】
超音波診断装置本体82は、図示はしないが、たとえばCPU(Central Processing Unit)によって実現される処理部や、モニタ、操作装置等の構成要素を備えている。
超音波診断装置本体82は、オペレータによる操作装置からの入力に応じて、処理部によってプローブケーブル80を介してモジュール85の超音波振動子32に駆動信号を送信させ、超音波振動子32から被検体Aの被検部位に向けて超音波を送信させる。
【0041】
超音波振動子32が受信した、被検部位からのエコー信号は、超音波診断装置本体2に送信される。処理部は、このエコー信号に基づいて診断画像を生成し、モニタに表示させる。
【0042】
ところで、診断画像の分解能向上等の目的のために、図2に示すような短冊形の素子32S以外の形状の素子に基材32Mを分割したいという要望がある。図6〜8に、短冊形以外の素子形状の超音波振動子32の平面形状の例を示す。
図6には、矩形の素子32_1をマトリクス状に配置した例を示している。
図7(a)には六角形状の素子32_2によりハニカム状の超音波振動子32を形成した例を示しており、図7(b)には円形の素子32_3を用いた例を示しており、図7(c)には楔形の素子32_4を交互に配置した例を示している。
また、図8(d)には径の異なるリング状の素子32_5を同心に配置した例を示しており、図8(e)には凹状に細くなっている素子32_6を配列した例を示しており、図8(f)には凸状に太くなっている素子32_7を配列した例を示している。
【0043】
図7(a)に代表して示すように、図7(a)〜(c)および図8(d)〜(f)に示す形状においては、各素子の境界となる溝Gが、たとえばX−Y直交座標系の各座標軸に平行な方向以外の、斜め方向の成分を有している。
本実施形態のようにマイクロブラスト手法を用いることにより、斜め方向の成分を有する境界によって区分される複数の素子を有する形状に、基材32Mを容易に加工することが可能になる。
ある程度の面積に砥粒を分散させて噴射することにより、複数の素子を同時に加工形成することができるため、加工時間も短縮される。
また、複数の平面形状の素子を、1つの基材32Mに形成することも可能になる。
なお、図7(a),(b)に示すような、溝Gによって囲まれる部分が発生する形状においては、1枚のマスクでは加工が困難なことがある。このような場合には、開口部パターンを適宜設計した複数のマスクをたとえば交互に用いて、溝Gを部分的に形成していけばよい。
【0044】
また、マイクロブラスト手法においては、レーザー加工法のような高温の熱が発生しないため、基材32Mに形成した樹脂製の整合層31を溶かして機能を損なう危険性を発生させることなく加工することができる。
溝Gの深さの制御も容易であるため、支持部材を損傷させる可能性が低く、支持部材としてダンパー基材33Mを取り付けた状態において基材32Mを加工することができる。
このように、本実施形態においては、ダンパー基材33Mと基材32Mと整合層31とを一体とした状態において加工を行なうことができる。
さらに、加工に用いる砥粒は再利用することができる。
したがって、超音波振動子32ならびにモジュール85の製造が容易になり、また、コスト低下にも効果がある。
【0045】
本第1実施形態のように、ワークWの被加工面32Suへの砥粒の吹き付け位置を移動させながら加工する形態においては、吹き付け位置ごとに砥粒の噴射速度や噴射時間等の条件をきめ細かく制御することができる。このため、複雑で高精度な加工が可能になる。
【0046】
第2実施形態
図9が、本発明の第2実施形態に係るマイクロブラスト装置の概略構成図である。
第2実施形態に係るマイクロブラスト装置100は、第1実施形態よりもさらに効率的に超音波振動子を加工するためのものである。
図9に図解のマイクロブラスト装置100は、第1実施形態に係るマイクロブラスト装置10のブラストヘッド2に代えて、ワークWの被加工面32Suの全面に砥粒を吹き付けることが可能なノズル220を備えるブラストヘッド200を有している。
マイクロブラスト装置100のその他の構成および機能は第1実施形態に係るマイクロブラスト装置10と同じであるため、同一構成要素には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0047】
ブラストヘッド200を用いて、被加工面32Suの全面に砥粒を吹き付けることにより、ワークWおよびブラストヘッド200を移動させることなく、被加工面32Suの全面を一括して加工することができる。
したがって、本第2実施形態によれば、第1実施形態よりもさらに超音波振動子の加工時間、ならびにモジュール85の製造時間を短縮することができる。
また、マイクロブラスト装置100の構成が簡単になり、コスト低減にも役立つ。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、実施形態における形状、材質や各種数値等の記載は、本発明を説明するための一例であり、適宜変更可能である。
また、整合層31やダンパー基材33Mを基材32Mに一体化させず、基材32Mのみを加工してもよい。図3に示したワークとマスクの設置順序に関しても、最終的に加工が行なえるならば、変更可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、加工時間を短縮可能であり、かつ、複雑な形状にも対応可能で、超音波振動子に適した加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るマイクロブラスト装置の概略構成図である。
【図2】加工対象であるワークの構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るプロセスフロー図である。
【図4】本発明に係る加工方法により得られる超音波振動子を用いた超音波送受信モジュールの一例の部分斜視切欠図である。
【図5】本発明に係る加工方法により得られる超音波振動子を用いた超音波診断装置の一例の概略構成図である。
【図6】超音波振動子の平面形状の一例を示す図である。
【図7】超音波振動子の平面形状の他の例を示す図である。
【図8】図8に続き、超音波振動子の平面形状の他の例を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るマイクロブラスト装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…砥粒供給装置
2,200…ブラストヘッド
5…マスク
7…テーブル
10,100…マイクロブラスト装置
20,220…ノズル
31…整合層
32M…超音波振動子基材
32S,32_1〜32_7…素子
33M…支持部材(ダンパー基材)
40…X−Yテーブル
W…ワーク
Claims (8)
- 超音波振動子基材を加工位置に準備するステップと、
前記超音波振動子基材に、所定の大きさの砥粒を選択的に吹き付けて、前記超音波振動子基材を所定の形状に加工するステップと
を有する超音波振動子の加工方法。 - 直交座標系におけるいずれかの座標軸に平行な境界以外の境界によって区分される複数の素子を有する形状に前記超音波振動子基材を加工する
請求項1に記載の超音波振動子の加工方法。 - 前記超音波振動子基材の被加工面には、樹脂が被覆されている
請求項1または2に記載の超音波振動子の加工方法。 - 前記砥粒が前記超音波振動子基材へ吹き付けられる領域を、所定のパターンの領域に制限するマスクを用いて前記超音波振動子基材を加工する
請求項1〜3のいずれかに記載の超音波振動子の加工方法。 - 前記超音波振動子基材の被加工面の全面を一括して加工する
請求項1〜4のいずれかに記載の超音波振動子の加工方法。 - 前記超音波振動子基材の被加工面への前記砥粒の吹き付け位置を移動させながら、前記被加工面の全面を加工する
請求項1〜4のいずれかに記載の超音波振動子の加工方法。 - 前記超音波振動子基材を、支持部材上に固定した状態において加工する
請求項1〜6のいずれかに記載の超音波振動子の加工方法。 - 前記支持部材は、加工により得られる超音波振動子を用いた超音波プローブの製造のステップにおいて、前記超音波振動子に固定されて使用される部品である
請求項7に記載の超音波振動子の加工方法。
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JP2003007252A JP2004221966A (ja) | 2003-01-15 | 2003-01-15 | 超音波振動子の加工方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010193937A (ja) * | 2009-02-23 | 2010-09-09 | Hoya Corp | 超音波内視鏡用穿刺針とその製造方法 |
JP2014501058A (ja) * | 2010-10-13 | 2014-01-16 | エイチ シー マテリアルズ コーポレーション | 高周波用圧電性結晶複合体、装置、及びそれらの製造方法 |
JP2016049504A (ja) * | 2014-09-01 | 2016-04-11 | 国立大学法人東京農工大学 | 体感装置およびシステム |
-
2003
- 2003-01-15 JP JP2003007252A patent/JP2004221966A/ja active Pending
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